(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104716
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】画像記録装置、サーバ装置およびプログラム等
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220704BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220704BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20220704BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20220704BHJP
B61L 25/04 20060101ALI20220704BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220704BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20220704BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20220704BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
H04N5/232 300
H04N5/77
H04N5/92 010
B61L25/04
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219847
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
【テーマコード(参考)】
5C053
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C053GB06
5C053GB38
5C053JA21
5C053LA01
5C053LA11
5C053LA14
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EA07
5C054FE05
5C054FE06
5C054FE23
5C054FF03
5C054FF06
5C054GB01
5C054GB05
5C054GD03
5C054GD09
5C054HA26
5C122DA14
5C122EA42
5C122GA20
5C122GA34
5C122GC07
5C122GC14
5C122GC52
5C122GC76
5C122HA01
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】 データ通信量を抑えつつ、記録した画像のうち必要な画像を効率よく送ることができる技術を提供する。
【解決手段】 画像記録装置11は、撮影した画像を記録媒体23に逐次記録し、記録する際に時間単位毎に振り分けた連番データからなるリストを作成し、その作成したリストを通信部25を介してサーバ装置100に無線通信で送る。このとき画像は送らない。サーバ装置は、受信したリストを表示し、リストの中から指定された1又は複数の連番データの画像の送信要求を画像記録装置に送る。画像記録装置は、送信要求を受けた画像をサーバ装置に送る。これにより、記録した全ての画像を送らずに、必要な画像を送ることで、データ通信量を削減できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられ、所定の通信回線を介して外部の装置と通信する画像記録装置であって、
前記移動体に設けられた撮影手段により撮影された画像を示す画像データを記録手段に記録する処理と、
前記記録手段に記録されている前記画像データを特定するための特定情報を生成する処理と、
前記特定情報を前記装置へ送信する処理と、
を行う制御部を有する画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記記録手段に記録されている前記画像データを送信するに先立ち、前記特定情報を前記装置へ送信する処理を行う
請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記特定情報に基づき生成された画像送信要求を外部の装置から受信した場合、前記記録手段に記録されている前記画像送信要求により特定される前記画像データを、当該装置へ送信する処理を行う
請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記画像データは、所定の時間軸上に配置された複数の画像を示すデータであり、
前記特定情報は、前記複数の画像の各画像の前記時間軸上での位置を特定する情報を含む
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記特定情報は、前記記録手段に前記画像データが記録されている時間帯、及び記録されていない時間帯の少なくとも一方を特定するための情報を含む
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記移動体は、決められた経路を走行する乗り物であり、
前記特定情報は、前記乗り物に割り当てられた識別情報を含む
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記移動体は、複数の車両を連結して構成された乗り物であり、
前記特定情報は、前記撮影がされた前記車両の識別情報を含む
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記移動体において所定の事象が発生したことを示す条件を満たした場合に、当該発生した時点を含む期間に撮影された画像を示す前記画像データを、前記記録手段に記録する処理を行う
請求項6又は7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記条件は、前記移動体の位置、及び前記移動体の状態の少なくとも一方に関する条件を含む
請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記条件は、前記乗り物が前記経路におけるカーブの区間を走行することに関する条件を含む
請求項8又は9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記経路には、前記乗り物が走行する軌道が設置されており、
前記条件は、前記乗り物が前記経路における踏切を走行することに関する条件を含む
請求項8から10のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記経路における所定の位置には、前記乗り物についての乗降場所が設けられ、
前記条件は、前記乗り物が前記乗降場所への接近、到着、及び前記乗降場所からの出発のいずれかに関する条件を含む
請求項8又は11に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記条件は、前記移動体に設けられた扉が開いたことを含む
請求項8又は12に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記条件は、前記車両の走行を制御するシステム、又は前記車両の走行状態を検知するシステムから取得した情報に関する条件を含む
請求項8から13のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記撮影手段から取得した画像を表す第1のフレームと、前記撮影手段により撮影された画像を前記第1のフレームとの差分で表した第2のフレームとにより構成される動画データを、前記記録手段に記録する処理を行い、
前記特定情報に基づき生成された画像送信要求を受信した場合、前記画像送信要求により特定される画像データのうち、前記第1のフレームの画像データを送信する処理を行う
請求項1から14のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記乗り物が前記経路上の所定の区間内に位置する場合、前記記録手段に記録されている画像データを送信する処理を行い、前記乗り物が前記経路上の所定の区間外に位置する場合に、前記記録手段に記録されている画像データの送信を抑制する
請求項1から15のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項17】
前記所定の区間は、前記所定の区間外に比べて、通信料金が安い、又は通信速度が高い区間である
請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記乗り物が前記経路上の所定の区間外に位置する場合でも、前記特定情報を送信する処理を行う
請求項16又は17に記載の画像記録装置。
【請求項19】
前記撮影手段として、前記車両の前方からの光を集光するレンズと、前記集光された光によりイメージサークルが形成される撮像素子と、を有する撮影装置があり、
前記イメージサークルの直径の大きさを、前記撮像素子の長手方向の長さに対応させ、
前記撮影装置を設置した姿勢で、前記撮像素子の長手方向が、左右方向を向くようにする
請求項1から18のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の画像記録装置と前記通信回線を介して通信するサーバ装置であって、
前記画像記録装置から受信した前記特定情報に基づいて、画像送信要求を前記画像記録装置へ送信する処理と、
前記画像送信要求により特定される画像データを、前記画像記録装置から取得する処理と、を行う制御部と、
を有するサーバ装置。
【請求項21】
前記サーバ装置の制御部は、
前記画像記録装置から受信した前記特定情報に基づいて、指示入力画像を表示装置に表示させる処理と、
前記指示入力画像を用いて指示の入力を受け付ける処理と、
前記入力を受け付けた指示に基づいて、前記画像送信要求を前記画像記録装置へ送信する処理と、
を行う請求項20に記載のサーバ装置。
【請求項22】
前記画像データは、所定の時間軸上に配置された複数の画像を示すデータであり、
前記サーバ装置の制御部は、前記時間軸において前記画像データが記録されている期間と、記録されていない期間とを明示する前記指示入力画像を表示する処理を行う
請求項21に記載のサーバ装置。
【請求項23】
前記サーバ装置の制御部は、前記画像データが記録されている期間を明示する要素に対する前記指示の入力に指定に応じて、前記画像送信要求を送信する処理を行う
請求項21又は22に記載のサーバ装置。
【請求項24】
前記画像記録装置が複数あり、
前記サーバ装置の制御部は、
複数の前記画像記録装置から前記特定情報を取得する処理と、
撮影時刻を規定する時間軸を共通にして、前記複数の画像記録装置の各画像記録装置についての前記画像データが記録されている期間を明示する要素を表示する処理を行う
請求項21から23のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項25】
コンピュータを、請求項1から19のいずれか1項に記載の画像記録装置の制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項26】
コンピュータを、請求項20から24のいずれか1項に記載のサーバ装置の制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像記録装置、サーバ装置およびプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、扉開異常などが発せられた際、発生車両のカメラ映像を運転情報とともに2芯シールド線1本で伝送し、モニター画面に表示する車両監視用の画像伝送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、移動体で撮影された画像に関するデータの送信又は受信に関する技術を提供する。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はない。本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)移動体に設けられ、所定の通信回線を介して外部の装置と通信する画像記録装置であって、前記移動体に設けられた撮影手段により撮影された画像を示す画像データを記録手段に記録する処理と、前記記録手段に記録されている前記画像データを特定するための特定情報を生成する処理と、前記特定情報を前記装置へ送信する処理と、を行う制御部を有する画像記録装置を提供する。移動体で撮影された画像に関するデータの送信又は受信に関するに関する技術を提供することができる。例えば、記録手段に記録されている前記画像データを特定するための特定情報を生成し、これを送信することで、送信する必要のない画像データについてまで送信する機会を減らすことができる。画像データよりも特定情報のデータ量が小さくなるようにすることで、通信回線を伝送させるデータの送信量の増大が抑えられ、その結果、通信回線の使用料(つまり通信料金)の増大を軽減させる効果も期待できる。
【0007】
(2)前記制御部は、前記記録手段に記録されている前記画像データを送信するに先立ち、前記特定情報を前記装置へ送信する処理を行うとよい。画像データを送信するに先立ち、特定情報を送信するので、特定情報に基づき送信の必要のない画像意データを送信する機会を減らすことができる。
【0008】
(3)前記制御部は、前記特定情報に基づき生成された画像送信要求を外部の装置から受信した場合、前記記録手段に記録されている前記画像送信要求により特定される前記画像データを、当該装置へ送信する処理を行うとよい。特定情報を取得した外部の装置から、当該特定情報に基づく画像送信要求を受信すると、これに対する応答として、記録手段に記録された画像データを送信することができる。
【0009】
(4)前記画像データは、所定の時間軸上に配置された複数の画像を示すデータであり、前記特定情報は、前記複数の画像の各画像の前記時間軸上での位置を特定する情報を含むとよい。特定情報を取得した外部の装置から、時間軸上での位置を特定した画像送信要求を受信すると、その位置に対応する画像データを送信することができる。
【0010】
(5)前記特定情報は、前記記録手段に前記画像データが記録されている時間帯、及び記録されていない時間帯の少なくとも一方を特定するための情報を含むとよい。特定情報を取得した外部の装置が、記録手段に画像データが記録されている時間帯、及び記録されていない時間帯の少なくとも一方を特定できるようにすることができる。
【0011】
(6)前記移動体は、決められた経路を走行する乗り物であり、前記特定情報は、前記乗り物に割り当てられた識別情報を含むとよい。特定情報を取得した外部の装置が、記録手段に記録されている画像データが、どの乗り物で撮影された画像を示すのかを特定できるようにすることができる。
【0012】
(7)前記移動体は、複数の車両を連結して構成された乗り物であり、前記特定情報は、前記撮影がされた前記車両の識別情報を含むとよい。特定情報を取得した外部の装置が、記録手段に記録されている画像データが、乗り物における複数の車両のうちどの車両で撮影された画像を示すのかを特定できるようにすることができる。
【0013】
(8)前記制御部は、前記移動体において所定の事象が発生したことを示す条件を満たした場合に、当該発生した時点を含む期間に撮影された画像を示す前記画像データを、前記記録手段に記録する処理を行うとよい。記移動体において所定の事象が発生した場合に、その発生した時点を含む期間において撮影した画像を示す画像データを記録することができる。
【0014】
(9)前記条件は、前記移動体の位置、及び前記移動体の状態の少なくとも一方に関する条件を含むとよい。移動体の位置、及び移動体の状態から、必要な画像データを記録することができる。
【0015】
(10)前記条件は、前記乗り物が前記経路におけるカーブの区間を走行することに関する条件を含むとよい。乗り物がカーブを走行している場合、それ以外の区間を走行する場合に比べて、事故等の撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高いと考えられるが、そのときの画像データを記録することができる。
【0016】
(11)前記経路には、前記乗り物が走行する軌道が設置されており、前記条件は、前記乗り物が前記経路における踏切を走行することに関する条件を含むとよい。乗り物が踏切を走行する場合、それ以外の区間を走行する場合に比べて、事故等の撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高いと考えられるが、そのときの画像データを記録することができる。
【0017】
(12)前記経路における所定の位置には、前記乗り物についての乗降場所が設けられ、
前記条件は、前記乗り物が前記乗降場所への接近、到着、及び前記乗降場所からの出発のいずれかに関する条件を含むとよい。乗り物が接近、到着、又は乗降場所から出発する場合、それ以外の場合に比べて、事故等の撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高いと考えられるが、そのときの画像データを記録することができる。
【0018】
(13)前記条件は、前記移動体に設けられた扉が開いたことを含むとよい。乗り物に設けられた扉が開いたときは、人の乗降があり得るため、事故やトラブル等の撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高いと考えられるが、そのときの画像データを記録することができる。
【0019】
(14)前記条件は、前記車両の走行を制御するシステム、又は前記車両の走行状態を検知するシステムから取得した情報に関する条件を含むとよい。車両の走行を制御するシステム、又は車両の走行状態を検知するシステムは、車両の状況に関する情報を収集、管理しており、かかるシステムとの連係により、的確なタイミングで画像データを記録することができる。
【0020】
(15)前記制御部は、前記撮影手段から取得した画像を表す第1のフレームと、前記撮影手段により撮影された画像を前記第1のフレームとの差分で表した第2のフレームとにより構成される動画データを、前記記録手段に記録する処理を行い、前記特定情報に基づき生成された画像送信要求を受信した場合、前記画像送信要求により特定される画像データのうち、前記第1のフレームの画像データを送信する処理を行うとよい。画像データが複数のフレームを含む動画データである場合に、撮影手段から取得した画像データを表す第1のフレームのデータを抽出して送信するようにすると、フレーム数の減少によりデータの送信量が減じられるとともに、外部の装置では第1のフレームに基づいて撮影手段で撮影された画像を表示することができる。
できる。
【0021】
(16)前記制御部は、前記乗り物が前記経路上の所定の区間内に位置する場合、前記記録手段に記録されている画像データを送信する処理を行い、前記乗り物が前記経路上の所定の区間外に位置する場合に、前記記録手段に記録されている画像データの送信を抑制するとよい。乗り物が経路上の所定の区間内に位置する場合に画像データを送信することができる。
【0022】
(17)前記所定の区間は、前記所定の区間外に比べて、通信料金が安い、又は通信速度が高い区間であるとよい。通信料金が安い、又は通信速度が高い区間を走行中のタイミングで、画像データを送信することができ、通信料金の増大の抑制、又は効率的な画像データの送信を実現できる。
【0023】
(18)前記制御部は、前記乗り物が前記経路上の所定の区間外に位置する場合でも、前記特定情報を送信する処理を行うとよい。通常は特定情報が画像データよりもデータ量が小さいため、記録手段に記録されている画像データがどのような画像データであるかを特定するための情報については、少ないデータ量によって、速やかに外部の装置へ送信することができる。
【0024】
(19)前記撮影手段として、前記車両の前方からの光を集光するレンズと、前記集光された光によりイメージサークルが形成される撮像素子と、を有する撮影装置があり、前記イメージサークルの直径の大きさを、前記撮像素子の長手方向の長さに対応させ、前記撮影装置を設置した姿勢で、前記撮像素子の長手方向が、左右方向を向くようにするとよい。移動体の左右方向の画像を広範囲に撮影し記録することができ、例えば車両の運転手等を撮影しないようにすることができる。
【0025】
(20)上記いずれかの画像記録装置と前記通信回線を介して通信するサーバ装置であって、前記画像記録装置から受信した前記特定情報に基づいて、画像送信要求を前記画像記録装置へ送信する処理と、前記画像送信要求により特定される画像データを、前記画像記録装置から取得する処理と、を行う制御部と、を有するサーバ装置を提供する。移動体で撮影された画像に関するデータの送信又は受信に関する技術を提供することができる。受信する必要のない画像データについてまで受信する機会を減らすことができる。画像データよりも特定情報のデータ量が小さくなるようにすることで、データの受信量の増大が抑えつつどのような画像データが画像記録装置に記録されているかを特定できる。また、通信回線の使用料(つまり通信料金)の増大を軽減させる効果も期待できる。
【0026】
(21)前記サーバ装置の制御部は、前記画像記録装置から受信した前記特定情報に基づいて、指示入力画像を表示装置に表示させる処理と、前記指示入力画像を用いて指示の入力を受け付ける処理と、前記入力を受け付けた指示に基づいて、前記画像送信要求を前記画像記録装置へ送信する処理と、を行うとよい。画像記録装置から受信した特定情報に基づいて、必要な画像データを取得することができる。
【0027】
(22)前記画像データは、所定の時間軸上に配置された複数の画像を示すデータであり、前記サーバ装置の制御部は、前記時間軸において前記画像データが記録されている期間と、記録されていない期間とを明示する前記指示入力画像を表示する処理を行うとよい。サーバ装置を使用するユーザは、画像データが記録されている期間、及び記録されていない期間を視覚的に容易に把握できる。
【0028】
(23)前記サーバ装置の制御部は、前記画像データが記録されている期間を明示する要素に対する前記指示の入力に指定に応じて、前記画像送信要求を送信する処理を行うとよい。ユーザが必要な画像データを容易に指定することができるようにしつつ、その画像データを画像記録装置から取得することができる。
【0029】
(24)前記画像記録装置が複数あり、前記サーバ装置の制御部は、複数の前記画像記録装置から前記特定情報を取得する処理と、撮影時刻を規定する時間軸を共通にして、前記複数の画像記録装置の各画像記録装置についての前記画像データが記録されている期間を明示する要素を表示する処理を行うとよい。複数の画像記録装置における画像データの記録の状況を視覚的に把握しやすくすることができる。
【0030】
(25)(1)から(19)のいずれか1項に記載の画像記録システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【0031】
(26)(20)から(24)のいずれか1項に記載の管理システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【0032】
上述した(1)から(26)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(26)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態の画像記録装置の電車への適用する一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態の画像記録装置及びサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態の記録媒体の内部の構成を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態の常時記録処理を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態の常時記録リストの構成を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態のイベント記録処理を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態のイベント記録リストの構成を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態である画像記録装置が行う常時記録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態である画像記録装置が行うイベント記録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態である画像記録装置が行うリスト送信処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態である画像記録装置が行う画像送信処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態であるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】サーバ装置に表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図14】電車の運転室への画像記録装置の設置例を示す図である。
【
図16】イメージサークルと撮像範囲の関係を説明するである。
【
図17】イメージサークルと撮像範囲の関係を説明するである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。以下の説明における、第1、第2、・・・という数値を用いたラベリングは各要素を識別するためのもので、要素の数を定めるものではない。以下の実施形態は、このような課題を解決するための実施形態の一例である。
【0035】
例えば、特許文献1に記載の発明の構成のもとで、電車その他の移動体に設けた撮影装置で撮影した画像を示す画像データを、画像記録装置に記録し、その記録した画像データを移動体の外部の装置へ送信する場合、2芯シールド線を用いた有線通信に代えて、無線通信を利用して画像の伝送を行うことが考えられる。この場合、記録した全ての画像データを送ろうとすると、データの送信量が大きく、通信時間が過大になる可能性がある。例えば、32ギガバイト又は64ギガバイトの画像データを送信しようとすると、2~4時間程度の通信時間を要する場合がある。また、通信回線が、例えば通信事業者の公衆回線である場合等、通信量に応じた通信回線の使用料金(通信料金)が課される場合、通信料金が増大する可能性がある。また、通信回線が低速度の回線である場合、送信すべき必要度合いの高い画像データを、迅速に外部の装置へ送信できない場合がある。
【0036】
以下に説明する本発明の一実施形態は、この種の問題を解決できるような、移動体で撮影された画像に関するデータの送信又は受信に関する技術を提案する。
【0037】
[1.構成]
以下、本発明の一実施形態である画像記録装置を設けた移動体を、乗り物の一例である電車とした場合を説明する。電車は、1つの車両又は複数の車両を連結して構成される乗り物である。乗り物は、電車に限られず、リニアモーターカー、モノレールその他の1つの車両又は複数の車両を連結して構成される乗り物であってもよい。このような乗り物は、乗り物の運営会社が管理するダイヤ(時刻表)に従って、決められた経路を走行する。この決められた経路には、本実施形態では乗り物が走行する軌道(より具体的には、レール)が設けられている。また、このような乗り物は、不特定(例えば不特定多数)の人が乗客として乗ることのある乗り物である。
【0038】
図1(a)は、本実施形態の画像記録装置11等を設けた電車1の外観図を示す。
図1(b)、(c)は、画像記録装置11等を設けた電車1の一つの車両2の内部を側面から見た図である。
図1(d)は、その一つの車両2の内部の平面的なレイアウトを示す図である。
【0039】
図1の例では、電車1を構成する各車両2の両側の側面に、乗客等の人が出入りするための複数のドア(扉の一例)3が設けられている。複数の車両2のうち、先頭車両と最後部車両には、その一端側に乗務員室4(例えば運転室、車掌室等)が設けられている。乗務員室4の側面に、乗務員が出入りするための乗務員用ドア5が設けられている。
【0040】
ドア3の上の壁面(例えば幕板と呼ばれる。)に、表示装置10(例えば車両用デジタルサイネージである。)及び画像記録装置11が設けられている。画像記録装置11は、撮影手段(後述する撮影装置27)を備え、その撮影手段により撮影した画像を示す画像デ-タを記録する。画像記録装置11は、表示装置10の左右いずれかの側に設けられている。
【0041】
各車両2の両側の側面の各々に3つのドア3が設けられている。表示装置10は、全てのドア3の上の幕板に取り付けられ、画像を表示する。画像記録装置11は、進行方向に関して、同じ位置に配置されている左右のドア3の一方の上の幕板に設けられている。右側の壁面(
図1(d)において上側の側面)においては、奇数番目のドア3の上に画像記録装置11が設けられ、左側の壁面(
図1(d)において下側の壁面)においては、偶数番目のドア3の上に画像記録装置11が設けられている。画像記録装置11は、車内を撮影するようにして設けられ、これら複数のドア3の上に設置された画像記録装置11によって、車内のほぼ全域を撮影することができる。
【0042】
[2.画像記録装置11及びサーバ装置100の構成]
図2は、画像記録装置11及びサーバ装置100の構成を示すブロック図である。
図2には、画像記録装置11が1台だけ示されているが、サーバ装置100と通信する画像記録装置11は複数台存在する。例えば、電車1には複数の画像記録装置11が設けられている。電車1の各車両2に、1台又は複数台の画像記録装置11が設けられている。
図1に示す電車1以外の電車にも、画像記録装置11が設けられている。画像記録装置11及びサーバ装置100は、鉄道会社、警備会社その他の事業者により管理、運用される。
【0043】
画像記録装置11及びサーバ装置100は、所定の通信回線NWを介して外部の装置と通信可能に接続されている。通信回線NWは、特に断りのない限り、通信方式その他の構成は問わないが、例えばLTE、5Gその他の通信方式に対応する公衆回線である。公衆回線の場合、データの伝送量(通信量)に応じて、画像記録装置11又は電車1を管理する事業者に通信料金が課金される場合がある。通信回線NWは、Wi-Fi(登録商標)(例えば、パスワード付きWi-Fi(登録商標))やその他のLAN(Local Area Network)を含んでもよい。LANを利用する場合、公衆回線を利用する場合に比べて、通信量に応じた通信料金の課金がない又は安価であったり、通信速度が高速であったり、輻輳による問題が起こりにくいというメリットを享受できる場合がある。通信回線NWは、公衆回線と物理的又は論理的に隔離された専用線等であってもよい。
【0044】
画像記録装置11は、さらに、システム300と通信可能である。システム300は、車両の走行を制御するシステム、又は車両の走行状態を検知するシステムである。システム300の一例として、自動列車停止装置(ATS:Automatic Train Stop)や列車集中制御装置(CTC:Centralized Traffic Control)がある。
【0045】
(2-1)画像記録装置11の構成
画像記録装置11は、制御部21と、リーダライタ22と、記録媒体23と、データ出力端子24と、通信部25と、位置情報取得部26と、撮影装置27と、マイク28と、内部時計29と、を有する。これらの各構成要素は、一つのケースに実装されてもよいし、複数のケースに分けて実装されてもよい。画像記録装置11が複数のケースから構成される場合、その複数のケース同士は直接或いは所定の連結部材を介して連結し一体化されてもよいし、分離配置するセパレートタイプとして有線通信や無線通信によりデータの送受を行われるようにするとよい。
【0046】
制御部21は、例えば、演算処理回路、及びメモリを含むコンピュータである。演算処理回路は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はその他の演算処理回路を含む。メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はその他の揮発性のメモリを含む。演算処理回路は、メモリにデータを一時的に読み出して演算処理を行うことにより、各種の制御を行う。このデータには、プログラムが含まれる。制御部21は、このプログラムに基づいて、後述する各制御を実行する。制御部21は、例えば、撮影装置27との間でデータの授受を行う機能、リーダライタ22を制御して授受したデータを記録媒体23に記録したり、読み出したりする機能、通信部25を介して外部のサーバ装置100等との間でデータ等の送受を行う機能等を有する。
【0047】
リーダライタ22は、記録媒体23を着脱可能に構成され、装着された記録媒体23に対してデータの読み書きを行う。記録媒体23は、記録手段の一例である。記録媒体23は、本実施形態ではSDカードであるが、USBメモリやハードディスク装置等の記録媒体であってもよい。記録媒体23の記録方式や形態は問わない。なお、記録媒体23が、画像記録装置11に内蔵された記録手段で、画像記録装置11に対して着脱可能でない記録手段であってもよい。
【0048】
データ出力端子24は、例えば、所定の外部機器と通信するためのケーブルが接続される。制御部21は、データ出力端子24からデータを出力する。
【0049】
通信部25は、外部の装置と通信する。通信部25は、例えば通信回路及びアンテナを備える。通信部25は、通信回線NWを介してサーバ装置100と通信する。通信部25は、さらに、システム300と通信してもよい。サーバ装置100は、例えばデータセンタに設置されたサーバ装置であり、電車1の複数の車両2の各々で撮影された画像に関するデータを収集、管理したり、各種通知を受け付けたりする。
【0050】
位置情報取得部26は、現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部26は画像記録装置11に設けられているから、画像記録装置11の位置情報を、電車1又は車両2の位置情報とみなすようにするとよい。位置情報取得部26は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)の一つであるGPS(Global Positioning System)からの信号に基づき、車両の位置(緯度・軽度)を取得するとよい。位置情報取得部26は、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System:準天頂衛星システム)として、みちびきを併せて利用してもよい。また、位置情報取得部26は、基地局からの信号に基づいて位置情報を取得してもよい。
【0051】
撮影装置27は、撮影手段の一例であり、所定の画角の撮影領域を撮影するカメラ部を備える。具体的な図示を省略するが、カメラ部は、レンズと、そのレンズで集光した光を撮像するCMOSセンサ等の撮像素子と、撮像素子からの出力信号を処理する回路部等を備える。レンズは、例えば、広角レンズ、魚眼レンズ、半球レンズなど画角の広いものを用いるとよい。また、半球レンズは、画角が180度のものに限ることなく、180度以上のレンズも含む。
【0052】
カメラ部は、例えば画像記録装置11を構成するケースに対し、画角の向きを固定された状態で設けられ、当該ケースを車両2の所定位置に取り付けた状態ではカメラ部による撮影領域が固定されるようにすると、簡単な構成となる。設置場所の状態等を考慮し、当該ケースを車両2に設けた状態で、カメラ部の撮影領域が所望の箇所になるように構成するとよい。例えば、図示するようにドア3の上方に設置する画像記録装置11の場合、カメラ部の画角の中心軸が、車両2の室内における斜め下方を向くようにするとよい。また、ドア3の上方に設置する画像記録装置11の場合、ドア3側のカメラ部の撮影領域は、ドア3の設置領域を含み、車両2の外側まで撮影できるようにするとよい。このようにすると、ドア3を出入りする乗客や、ドア3の直近の外側に存在する人等まで撮影でき、例えば車両2との接触事故、ドア3に挟まれる事故の発生時に、その発生状況を撮影できる。
【0053】
また、当該ケースに対するカメラ部の向きを変更調整可能にし、カメラ部が所定の方向を向いた状態でその向きを保持する支持機構を備えるとよい。このようにすると、ケースを車両2の所定の設置場所に取り付けた状態でカメラ部の向きを変えることで、撮影可能な領域を適切な位置に変えることができる。よって、例えば車両2の取付面の角度が異なっていても対応でき汎用性が高まる。
【0054】
マイク28は、例えば周囲の音を集音する。マイク28は、例えば車両2に乗車している人の音声その他の車両2内で発生している音等などを集音する。
【0055】
内部時計29は、例えば水晶発振器により駆動するリアルタイムクロックである。本実施形態では、電車1に複数の画像記録装置11が設けられるため、各画像記録装置11の内部時計29の時刻合わせをする機能を備えるとよい。このように時刻合わせをすると、同一タイミングで各画像記録装置11がそれぞれ撮影し、記録した画像データを容易に収集することができる。また、時刻合わせ処理は、制御部21が記録媒体23に撮影中の一連の画像データの記録処理を行っていないときに行うとよい。例えば、後述するイベント記録処理や常時記録処理により、連続して画像データの記録を行っている最中に時刻合わせを行うと、時刻合わせの前後で記録した時刻情報が飛び不連続となってしまう。そして、時刻合わせ前では、各画像記録装置11で記録した画像データの記録タイミングにずれが生じる。そこで、制御部21は、画像記録装置11の電源がオンされて起動すると、所定の初期処理を行った後や、初期処理の一部として時刻合わせ処理を行うとよい。制御部21は、時刻合わせ処理が完了した後で、画像データの記録を開始可能にしてもよい。制御部21は、電源のオフ指令を受けた際に時刻合わせ処理を行い、時刻合わせ処理が完了した後で、電源をオフにしてもよい。制御部21は、電車1が車庫等の画像データの記録を行う必要が無いか必要性の低い所定の領域に位置したと判定した場合に、時刻合わせ処理を行ってもよい。時刻合わせ処理を行う場合の正しい時刻は、例えば、位置情報取得部26が受信したGPS信号に含まれる時刻情報を利用するとよい。
【0056】
以上の構成のもと、制御部21は、記録媒体23にアクセスして、常時記録処理、イベント記録処理、リスト送信処理、及び画像送信処理の各処理を行う機能を有する。
【0057】
図3は、記録媒体23の内部の構成を説明する図である。
図3に示すように、記録媒体23は、常時記録用領域231、及びイベント記録用領域232を有する。さらに、記録媒体23は、常時記録リストL1、及びイベント記録リスト群L2を記憶する。イベント記録リスト群L2は、イベント記録リストL21、L22、L23、L24を含む。
【0058】
(2-1-1)常時記録処理
図4及び
図5は、常時記録処理を説明する図である。
図4は、常時記録処理による画像データの記録方法の説明図である。
図5は、常時記録リストL1の構成の説明図である。
図4において、常時記録処理の開始時点から、n(nは自然数)番目に記録される画像データには、連番データとして「n」が割り当てられる。この画像データを、「画像データVn」と表す。
図4における各正方形が画像データに対応しており、内部の数値は連番データの値を意味する。画像データは、本実施形態では動画データである。動画データは、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)形式(例えば、MPEG2、MPEG4)であるが、AVI、MOV、WMV又はその他の形式であってもよい。
【0059】
常時記録処理は、撮影装置27により撮影された画像を示す画像データを常時記録用領域231に記録する処理と、記録されている画像データを特定する情報(後述する特定情報)を生成する処理と、を含む。記録される画像データを特定する情報を生成する処理は、本実施形態では、常時記録リストL1にデータを記録する処理である。常時記録処理は、画像記録装置11の電源がオンされている期間においては、原則として、常時(継続的に)行われる。
【0060】
常時記録処理は、原則として所定期間(本実施形態では、3分である)ごとに画像を区切って、常時記録用領域231に画像データを記録する。区切りの方法は、当該所定期間毎にファイルを分ける方法でもよいし、複数期間に対応するファイルは1つであるが、チャプターを挿入する等して論理的に区切られていてもよい。本実施形態では、前者として説明する。
図4において、「9:05:30」~「9:20:30」の期間は、画像データが記録されていない「無記録期間T」である。この例では、画像データV62の記録終了時刻と、画像データV63の記録開始時刻との間の期間が、無記録期間Tである。無記録期間Tで画像データが記録されていない原因は、例えば、画像記録装置11の電源がオフされている場合である。例えば、電車1が営業時間外である場合や、車庫に配置されている等の撮影の必要性が低い又は不要である場合に、画像記録装置11の電源がオフされる。これ以外の原因として、記録媒体23の交換中や、一時的な動作不具合等が考えられる。なお、本実施形態において、無記録期間が存在することを前提とするものではなく、仮に画像記録期間が生じた場合には、異常のような動作をするように構成されている。
【0061】
なお、
図4では、各時刻の「00分」から3分毎に、各期間の画像記録時刻が到来するようになっている。このため、無記録期間T後の画像データV64が「9:21:00」が記録開始時刻である。ただし、画像データV63の時間長が3分となるようにしてもよい。
【0062】
図5に示すように、常時記録リストL1には、記録媒体23に記録されている画像データを特定するための情報である特定情報が書き込まれる。特定情報は、1つの画像データに対応して1つ作成されるものとし、
図5でいえば、1行のデータが1つの特定情報と対応する。これらの特定情報をリスト化して表現したものが、「常時記録リスト」である。特定情報は、記録媒体23に記録されている画像データの時間軸上での位置を特定する情報を少なくとも含む。時間軸上での位置は、本実施形態では、上述した連番データ及び時刻情報により特定される。特定情報は、本実施形態では、1つの画像データに割り当てられた連番データと、記録開始時刻と、記録終了時刻と、位置情報とを対応付けたデータである。位置情報は、位置情報取得部26が取得した位置情報である。位置情報は、常時記録処理が行われたときの電車1の位置を示す情報である。位置情報は、例えば、常時記録処理の開始時点の位置情報でもよいし、常時記録処理が行われた期間の中間地点等に決められてもよい。特定情報は、文字コードを用いたテキストデータである。特定情報やこれらの集合である常時記録リストL1は、一般に、常時記録処理により記録された画像データよりも、データ量が小さい。
【0063】
図5に示すように、常時記録リストL1では、連番データ「62」に対応する「記録終了時刻」(9:05:30)と、連番データ63に対応する「記録開始時刻」(9:20:30)との間に乖離があり、ここから無記録期間が存在することが分かる。よって、常時記録リストL1は、記録媒体23に画像データが記録されている時間帯、及び記録されていない時間帯の少なくとも一方を特定するための情報を含んでいる、ということができる。
【0064】
常時記録リストL1に記録される情報には、さらに、電車ID及び車両IDが含まれる。電車IDは、電車1に割り当てられた識別情報である。この例では、電車IDは「T001」である。電車毎に電車IDは異なる。車両IDは、撮影装置27により撮影がされた車両2の識別情報である。この例では、車両IDは「C0001」である。電車1の複数の車両2の各々で車両IDは異なる。電車ID及び車両IDは、画像データが、どの電車1のどの車両2で撮影された画像を示すかを特定するために用いられることがある。
【0065】
(2-1-2)イベント記録処理
図6及び
図7は、イベント記録処理を説明する図である。
図6は、イベント記録処理による画像データの記録方法の説明図である。
図7は、イベント記録リスト群L2の構成の説明図である。
図6において、画像データ「VA-n」は、n回目のカーブイベントによるイベント記録処理により生成された画像データである。画像データ「VB-n」は、n回目の踏切イベントによるイベント記録処理により生成された画像データである。画像データ「VC-n」は、n回目の乗降イベントによるイベント記録処理により生成された画像データである。画像データ「VD-n」は、n回目の扉イベントによるイベント記録処理により生成された画像データである。イベントの種類について詳しくは後述する。
図6における各正方形が画像データに対応しており、内部の数値は連番データの値を意味する。
【0066】
イベント記録処理は、電車1又は車両2において所定のイベント(事象の一例)が発生したことを示す条件(以下「イベント条件」)を満たした場合に行われる、撮影装置27により撮影された画像を示す画像データをイベント記録用領域232に記録する処理と、記録される画像データを特定する情報を生成する処理と、を含む。記録されている画像を特定する情報を生成する処理は、本実施形態では、イベント記録リスト群L2にデータを記録する処理である。イベント記録処理は、画像記録装置11の電源がオンされている期間において、イベント条件を満たした場合に行われる。画像データは、本実施形態では動画データで、常時記録処理と同様の形式のデータとするとよい。イベント記録処理による画像データの記録は、イベントの発生時を含む期間に撮影した画像を示す画像データが記録される。当該期間は、イベント発生時の前後を含む期間(例えば、前後数分間等)とすることが望ましいが、前後どちらか一方の期間のみとすることもあり得る。イベント記録処理で記録される画像データは、適宜、常時記録用領域231から取得されてもよい。本実施形態のイベント記録処理は、イベントが発生する毎に、新たなにファイルを作成して、画像データを記録する。
【0067】
イベント記録リスト群L2にデータを記録する処理は、連番データと、イベント記録処理の開始時刻と、イベント記録処理の終了時刻と、位置情報とを、イベント記録リストL21、L22、L23、L24のいずれかに記録する処理である。イベント記録リストL21、L22、L23、L24のぞれぞれは、対応するイベントの種類が異なる。イベント記録リストL21は、カーブ状の経路を電車1が走行することに関するカーブイベントに対応する。イベント記録リストL22は、電車1が踏切を走行することに関する踏切イベントに対応する。イベント記録リストL23は、電車1が乗降場所に接近、到着及び乗降場所から出発することのいずれかに関する乗降イベントに対応する。乗り物が電車やモノレール、リニアモーターカー等である場合、乗降場所は駅(より詳細には、駅のホーム)である。乗り物がバスである場合、乗降場所はバス停である。これらのイベントが発生する場所では、事故等の撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高い場所といえ、電車1の運転に特に運転に注意すべき区間の一例である。イベント記録リストL24は、電車1のドア3が開いたことをイベントとする扉イベントに対応する。ドア3の開いたときは乗客の乗降があるので、事故やトラブル等の撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高いという考えに基づく。
【0068】
図7に示すように、イベント記録リスト群L2には、記録媒体23に記録されている画像データを特定するための特定情報が含まれる。特定情報は、1つのイベント(換言すると、1つのイベントに対応する画像データ)に対応して1つ作成されるものとし、
図7でいえば1行のデータが1つの特定情報と対応する。これら特定情報をリスト化して表現したものが、イベント記録リストである。特定情報は、記録媒体23に記録されている各画像の時間軸上での位置を特定する情報を少なくとも含む。時間軸上での位置は、上述した常時記録処理と同じで、連番データ及び時刻情報により特定される。特定情報は、本実施形態では、1つの画像データに対応する連番データと、記録開始時刻と、記録終了時刻とを対応付けたデータである。特定情報は、文字コードを用いたテキストデータである。特定情報は、一般に、イベント記録処理により記録された画像データよりも、データ量が小さい。
【0069】
連番データは、イベントの種類毎に、画像データの記録順に採番される連番データも記録される。位置情報は、イベントが発生したときの電車1の位置を示す情報である。位置情報は、常時記録処理が行われたときに存在していたいずれかの電車1の位置を示す情報で、例えば、常時記録処理の開始時点の位置情報でもよいし、常時記録処理が行われた区間の中間地点等に決められてもよい。イベント記録リストに記録される情報には、さらに、車両ID及び車両IDが含まれるが、車両ID及び車両IDの意味や用途は、常時記録処理の場合と同じである。
【0070】
ところで、常時記録処理及びイベント記録処理において、制御部21が位置情報取得部26から取得した位置情報を、各リストに書き込むことに代えて又は加えて、システム300と通信して、位置情報を取得してもよい。車両の走行を制御するシステム、又は車両の走行状態を検知するシステムで例示されるシステム300は、車両の状況に関する情報を収集。管理していることがあるからである。画像記録装置11は、システム300との連係により所定の場所かどうかを判定してもよい。
【0071】
ここで、各イベントの内容の一例について詳しく説明しておく。本実施形態のイベント記録処理は、電車1の位置、及び電車1の状態の少なくとも一方に基づくイベント条件を満たした場合に、実行される。
【0072】
(A)カーブイベント
カーブ区間は、一定速度以上で走行すると脱線の可能性があるので、所定の速度以下で走行するように定められていることがある。カーブ区間を走行する場合に全てイベント記録処理を行うのではなく、閾値を超えて走行している場合にイベント記録処理を行い、閾値以下の場合にはイベント記録処理を行わないようにするとよい。このようにすると、実際の事故発生の有無に関わらず、記録したデータに基づき、危険運転を撮影し、反省したり、検証したりするのに利用できる。閾値以下での走行の場合には、イベント記録処理が行われないので、メモリ容量の削減等できる。閾値は、区間により変えるとよい。
【0073】
(B)踏切イベント
踏切区間は、人や自動車の進入がある可能性があるので、事故の可能性が比較的高い区間と言える。そこで、踏切に接近したこと及び踏切を走行していることの少なくともいずれかをイベントとしてイベント記録処理を行うとよい。
【0074】
(C)乗降イベント
乗り物が乗降場所に接近したこと、乗降場所に到着したこと、及び乗降場所から出発することの少なくともいずれかをイベント条件とするとよい。乗り物が乗降場所に接近したり、乗降場所に到着したり、乗降場所から出発したりする場合、それ以外の場合よりも、事故等撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高い。このようなタイミングで録画をすることができる。例えば、上述したように、車両2の前面に人等が接触や衝突をする場合、例えば、踏切等から線路内に進入した人のように車両の前方にいる場合以外に、ホームにいる人のように車両の横から進入する場合もある。そこで、画像記録装置11を運転台6に設置した状態で、撮影装置27による撮影エリアが、車両2の側面よりも外側までカバーされるようにするとよく、左右方向の画角が広くなるようにするとよい。例えば、撮影装置27は、例えば広角カメラを用いるとよい。
【0075】
(D)扉イベント
また例えば、画像記録機能は、電車1に設けられたドア3が開いたことをイベント条件とするとよい。例えば、上記のようにイベントの発生を電車1の存在位置等に基づくものではなく、車両の状態、例えばドア3が開いた状態をイベントの発生とし、ドア3が開いている間を含む所定期間に撮影した画像データを記録するとよい。このようにすると、車両2へ乗り降りする乗客の状態を撮影し、記録できる。ドア3が閉じていれば、車両への乗り降りができず、乗り降り時の事故等の検証に必要な画像データを過不足なく記録できる。また、車両2に設けられたドア3が開くときは、移動体への人の乗り降りがあり、トラブル等撮影すべき事象が発生する可能性が比較的高い。このようなタイミングでイベント記録処理を行うことができる。
【0076】
ドア3の開閉は、例えば、画像記録装置11に別途センサを設けたり、車両からの信号を受信し判断するとよい。また、走行速度や加速度が所定値を超えているなど危険な運転をしている場合に、その超えたときや超えている期間をイベント発生中としてもよい。走行速度や加速度は、例えばそれらを検出するセンサ等を用いてもよいが、位置情報取得部26から取得する現在位置の変化に基づき求めるとよい。
【0077】
本実施形態では、イベントの種類毎にイベント記録リストを分けているが、複数の種類のイベントについての特定情報を共通のイベントにリストに記述してもよい。この場合、イベントの種類を示す情報を、特定情報に含ませることが望ましい。
26から取得する現在位置の変化に基づき求めるとよい。
【0078】
(2-1-3)リスト送信処理
リスト送信処理は、画像記録装置11が生成したリスト、すなわち、常時記録リストL1、及びイベント記録リスト群L2の各リストを、サーバ装置100へ送信する処理である。
【0079】
(2-1-4)画像送信処理
画像送信処理は、画像記録装置11が記録媒体23に記録した画像データ、すなわち、常時記録処理により記録した画像データ、及びイベント記録処理により記録した画像データを、サーバ装置100へ送信する処理である。
【0080】
(2-2)サーバ装置100の構成
図2に示すように、サーバ装置100は、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、入力装置104と、表示装置105と、を備える。サーバ装置100は、画像記録装置11と通信回線NWを介して通信して画像に関するデータの送信又は受信を行う装置の一例である。制御部101は、サーバ装置100の各部を制御する。サーバ装置100は、例えば、演算処理回路、及びメモリを含むコンピュータである。演算処理回路は、例えば、CPU、ASIC、FPGA、又はその他の演算処理回路を含む。メモリは、例えば、RAM又はその他の揮発性のメモリを含む。演算処理回路は、メモリにデータを一時的に読み出して演算処理を行うことにより、各種の制御を行う。このデータには、プログラムが含まれる。制御部101は、このプログラムに基づいて後述する各種制御を実行する。記憶部102は、データを記憶する。記憶部102は、ハードウェアディスクその他の補助記憶装置である。通信部103は、通信回線を介して画像記録装置11と通信する。通信部103は、例えばモデムその他の通信回路を有する。入力装置104は、ユーザが指示を入力するための装置である。入力装置104は、キーボード、マウス、タッチセンサ、マイクその他の情報を入力するための装置である。表示装置105は、画像を表示する。表示装置105は、液晶ディスプレイその他の方式の表示装置である。
【0081】
以上の構成のもと、サーバ装置100の制御部101は、画像記録装置11から受信したリストに基づいて、画像送信要求を画像記録装置11へ送信する処理と、画像送信要求により特定される画像データを、画像記録装置11から取得する処理と、を行う。画像記録装置11から取得する処理は、画像記録装置11から受信したリストに基づいて、指示入力画像を表示装置に表示させる処理と、その指示入力画像を用いて指示の入力を受け付ける処理と、入力を受け付けた指示に基づいて、画像送信要求を画像記録装置へ送信する処理と、を含むようにするとよい。
【0082】
次に、本実施形態の動作を説明する。
[3.画像記録装置11の動作]
以下で説明する各処理は、画像記録装置11の電源がオンされている期間において、マルチタスク処理により並列的に実行される。
【0083】
<3-1.常時記録処理>
図8は、画像記録装置11が行う常時記録処理を示すフローチャートである。画像記録装置11の電源がオンされている期間において、制御部21は、
図8の処理を繰り返し実行する。
【0084】
まず、制御部21は、連番データ及び記録開始時刻を、常時記録リストL1に書き込む(ステップS11)。制御部21は、常時記録リストL1のうち既存のレコード(行)の次に新たなレコードを作成して、連番データ及び記録開始時刻を書き込む。既存のレコードで最新のレコードの連番データが「n」であれば、次に発行する連番データは「n+1」である。記録開始時刻は、内部時計29が計る現在時刻とするとよい。
【0085】
次に、制御部21は、撮影装置27により撮影された画像を示す画像データを、常時記録用領域231に書き込む(ステップS12)。次に、制御部21は、画像記録装置11の電源がオフされたかどうかを判定する(ステップS13)。ステップS13で「NO」と判定すると、制御部21は、所定期間が経過したかどうかを判定する(ステップS4)。所定期間は、直前のステップS11で記録した記録開始時刻からの経過時間のことで、本実施形態では3分間である。ステップS14で「NO」と判定した場合、制御部21は、ステップS12に処理を戻して、現在の連番データについての画像データの記録を継続する。ステップS14で「YES」と判定した場合、制御部21は、常時記録リストL1に記録終了時刻及び位置情報を書き込む(ステップS15)。ステップS15では、直前のステップS11で書き込んだ連番データ及び記録開始時刻に対応付けて、記録終了時刻及び位置情報を書き込む。そして、制御部21は、ステップS11に処理を戻す。ステップS11では、制御部21は、常時記録リストL1に新たなレコードを作成して、連番データ及び記録開始時刻を書き込み、ステップS12以降の処理を行う。
【0086】
ステップS13で「YES」と判定した場合、制御部21は、所定期間の経過前に常時記録処理を終了することになる。この場合、制御部21は、常時記録リストL1に記録終了時刻を書き込む(ステップS16)。ステップS16では、直前のステップS11で書き込んだ連番データ及び記録開始時刻に対応付けて記録終了時刻を書き込む。そして、画像記録装置11の動作を終了する。
【0087】
<3-2.イベント記録処理>
図9は、画像記録装置11が行うイベント記録処理を示すフローチャートである。画像記録装置11の電源がオンされている期間は、制御部21は、
図9の処理を繰り返し実行する。
【0088】
制御部21は、イベント条件を満たしたかどうかを判定する(ステップS21)。制御部21は、ここでは、制御部21は、カーブイベント、踏切イベント、乗降イベント、及び扉イベントのいずれかが発生したかどうかを判定する。制御部21は、いずれかのイベント条件を満たすまで待機し(ステップS21;NO)、イベント条件を満たしたと判定した場合は、連番データ及び記録開始時刻を、イベント記録リスト群L2のうち、発生したイベントに対応するイベント記録リストに書き込む(ステップS22)。制御部21は、イベント記録リストのうち既存のレコードの次に新たなレコードを作成して、連番データ及び記録開始時刻を書き込む。
【0089】
次に、制御部21は、撮影装置27により撮影された画像を示す画像データを、イベント記録用領域232に書き込む(ステップS23)。次に、制御部21は、画像記録装置11の電源がオフされたかどうかを判定する(ステップS24)。ステップS24で「NO」と判定すると、制御部21は、イベント条件が終了したかどうかを判定する(ステップS25)。ステップS25では、制御部21は、イベントが発生した状況になくなったかどうかを判定する。ステップS25で「NO」と判定した場合、制御部21は、ステップS12に処理を戻して、現在の連番データについての画像データの記録を継続する。ステップS25で「YES」と判定した場合、制御部21は、イベント記録リストに記録終了時刻及び位置情報を書き込む(ステップS26)。ステップS26では、直前のステップS22で書き込んだ連番データ及び記録開始時刻に対応付けて記録終了時刻及び位置情報を書き込む。そして、制御部21は、ステップS21に処理を戻す。
【0090】
ステップS24で「YES」と判定した場合、制御部21は、イベントの発生中であるが、処理を終了することになる。この場合、制御部21は、イベント記録リストに記録終了時刻を書き込む(ステップS27)。ステップS27では、直前のステップS22で書き込んだ連番データ及び記録開始時刻に対応付けて記録終了時刻を書き込む。そして、画像記録装置11の動作を終了する。
【0091】
<3-3.リスト送信処理>
図10は、画像記録装置11が行うリスト送信処理を示すフローチャートである。画像記録装置11の電源がオンされている期間は、制御部21は、
図10の処理を繰り返し実行する。
【0092】
制御部21は、いずれかのリストをサーバ装置100へ送信するかどうかを判定する(ステップS31)。ここでいうリストは、常時記録リストL1及びイベント記録リスト群L2の各リストの少なくともいずれかである。制御部21は、所定の送信タイミングを満たしたと判定した場合には、ステップS31で「YES」と判定する。制御部21は、例えば、所定の期間が経過するごとなど、定期的に、その時点での常時記録リストL1とイベント記録リスト群L2とを送信すると判定する。制御部21は、例えば、イベント記録リスト群L2については、対応するイベントが発生してイベント記録処理が終わったタイミングでイベント記録リスト群L2を送信すると判定する。このように、制御部21は、所定の送信タイミングにプッシュで送信してもよいが、サーバ装置100からのリストの送信要求に応じて、要求に応じたリストを送信すると判定してもよい。ステップS21で「YES」と判定した場合、制御部21は、通信部25を用いてリストをサーバ装置100へ送信する(ステップS32)。
【0093】
<3-4.画像送信処理>
図11は、画像記録装置11が行う画像送信処理を示すフローチャートである。画像記録装置11の電源がオンされている期間は、制御部21は、
図11の処理を繰り返し実行する。
【0094】
次に、制御部21は、画像データを送信するかどうかを判定する(ステップS41)。制御部21は、所定の送信タイミングを満たしたと判定した場合には、ステップS41で「YES」と判定して、記録媒体23に記憶されている画像データを、通信部25を用いてサーバ装置100へ送信する(ステップS42)。
【0095】
制御部21は、少なくとも、画像データの送信の頻度を、リストの送信頻度よりは低くするとよい。その理由は、画像データの容量は、リストの容量よりも大きいことが通常であるから、通信量やそれに伴う通信料金の増大を抑制する観点である。制御部21は、画像データを生成したら直ちに(例えば、リアルタイムに)送信するのではなく、記録媒体23に記憶させ、所定のタイミングが到来したときに送信する。そのタイミングとして、本実施形態では、サーバ装置100からの画像送信要求が受信したことである。画像送信要求では、送信したリストに基づいて連番データや時刻等により送信を要求する画像データが何であるかが特定される。よって、制御部21は、画像送信要求に含まれる連番データや時刻より特定される画像データを、記録媒体23から読み出して、画像データをサーバ装置100へ送信する。制御部21は、連番データで画像データの送信が要求された場合は、その連番データにより特定される画像データを送信し、時刻(時間帯)で画像データの送信が要求された場合は、その時刻(時間帯)に撮影された画像データを送信するとよい。このように、制御部21は、画像データに先立ちリストを送信し、そのリストに基づき生成された画像送信要求をサーバ装置100から受信した場合に、画像データを送信する処理を行うこととなる。
【0096】
例えば、
図4、
図5の例を用いて説明すると、画像送信要求に連番データ「1」~「3」が指定されていれば、制御部21は記録媒体23から画像データV11、V2及びV3を読み出して、サーバ装置100へ送信する。画像送信要求に時刻「6:00:00」~「6:10:00」という時間帯が指定されている場合、制御部21は記録媒体から画像データV1、V2、及びV3を読み出して、サーバ装置100へ送信する。画像データV3には、「6:12:00」までの画像データが含まれているが、制御部21は画像データV3をそのまま送信してもよいし、「06:09:00」~「06:10:00」までの期間の画像を送信してもよい。なお、「9:05:00」~「9:20:30」という時間帯については画像データが記録されていないが、この期間について画像送信要求で指定されている場合は、制御部21は同時間帯については画像データが存在しない旨をサーバ装置100へ送信するとよい。サーバ装置100においては、リストに基づいてこの期間についてはあらかじめ画像送信要求を送信しないように構成されているとよいが、この構成について後述する。
【0097】
[4.サーバ装置100の動作]
図12は、サーバ装置100の動作を示すフローチャートである。サーバ装置100の電源がオンされている期間は、制御部101は、
図12の処理を繰り返し実行する。制御部101は、画像記録装置11からリストを受信したかどうかを判定する(ステップS51)。ステップS51で、制御部101は、画像記録装置11からステップS32で送信されたリストを、通信部103を介して受信すると、そのリストを記憶部102に記録する(ステップS52)。制御部101は、画像記録装置11がプッシュで送信したリストを受信して記憶してもよいし、入力装置104を用いてサーバ装置100のユーザ(例えば、サーバ装置100の管理者。以下「管理者」という。)により指示されたタイミングでリストの送信を画像記録装置11に要求し、その要求に応じて送られてきたリストを受信して記憶してもよい。なお、ステップS51で「NO」と判定した場合は、制御部101はステップS53に処理を進める。
【0098】
次に、制御部101は、入力装置104に入力された指示に基づいて、指示入力画像を表示装置105に表示させるかどうかを判定する(ステップS53)。ステップS53で「YES」と判定すると、制御部101は、記憶部102に格納された所定のリストを呼び出し、呼び出したリストに基づいて指示入力画像を、表示装置105に表示させる(ステップS54)。管理者は、例えば、電車IDを指定して、どの電車1についての指示入力画像を表示するかを指示する。制御部101は、その電車IDが含まれるリストを読み出して、指示入力画像を表示させる。なお、ステップS53で「NO」と判定した場合は、制御部101は
図12の処理を終了する。
【0099】
指示入力画像について説明する。指示入力画像は、リストに基づいて表示されるユーザインタフェースを表す。サーバ装置100の制御部101は、記録した画像データが存在する部分を明示する態様にて指示入力画像を、表示装置105の表示部105aに表示させる。指示入力画像は、画像データが存在する部分がわかりやすく、かつ指定しやすい態様で、表示装置105の表示部105aに表示させる。制御部101は、例えば、取得したリストの連番データ、記録開始時刻、及び記録終了時刻に基づいて、表又はグラフを生成して表示させるとよい。
【0100】
図13は、常時記録リストL1に基づき表示される指示入力画像の一例を示す図である。この例では、指示入力画像は、横軸を時間軸とし、画像データが記録されている部分に、棒状の画像(以下、単に「棒」という。)棒111を表示する横棒グラフの態様の画像である。時間軸は、撮影時刻を規定する時間軸である。この例では、画像データが記録されている部分として、画像データが記録されている電車1、車両2(
図13に示す「A車両」、「B車両」、「C車両」、・・・)及び、時刻を視覚的に把握することができるようになっている。
【0101】
図13の例では、各車両2について、画像データが記録されている期間に対応して棒111が表示され、無記録期間に対応する領域Gにおいて棒111が途切れており、不連続となっている。また、例えば車両2毎にイベントの発生状況が異なると、画像データが存在する棒111が表示されている時間帯も異なる。よって、管理者は、画像データが記録されている期間と、無記録期間とのそれぞれを視覚的に把握できる。
図13に示す「A車両」、「B車両」、「C車両」、・・・の各車両2に対応する棒111は、時間軸を共通にして表示されている。よって、複数の車両2における画像データの記録の状況を視覚的に把握しやすくすることができる。なお、ここでは棒111を用いているが、複数の画像記録装置11の各画像記録装置11についての画像データが記録されている期間を明示する要素については、これに限られない。例えば、円グラフ等の別の種類のグラフが用いられてもよい。また、画像記録装置11単位で棒グラフが表示されてもよい。
【0102】
本実施形態では、一つの車両2に複数の画像記録装置11が設けられている場合がある。そのため、その複数の画像記録装置11のうち、一部の画像記録装置11が画像データの記録を行っている場合もあれば、すべての画像記録装置11で画像データが存在しない場合がある。係る場合には、制御部101は、各時刻に少なくとも一つの画像記録装置11で画像データが記録されていれば、その部分に棒111を表示させるとよい。また、制御部101は、画像データが記録されて画像記録装置11の数に応じて、時間軸上の各位置の色や濃淡等の表示の態様を変化させてもよい。
【0103】
管理者は、時刻(日付及び時刻でもよい)及び電車IDを指定してもよい。電車は一般に時刻表に従って運行しているため、時刻表通りに走行している場合には、ある時刻における各電車の存在位置はそれぞれ一意に特定される。よって、例えば、ある電車で事故や事件等の事象が発生した場合、その電車とそれらの事象の発生時刻を指示すれば、制御部101はその指示に応じた指示入力画像を表示させるとよい。管理者は電車ID及び車両IDを指定してもよく、この場合、制御部101は、電車ID及び車両IDで特定される電車1の車両2についての指示入力画像を表示させてもよい。
【0104】
図12に戻って説明する。
制御部101は、指示入力画像を用いて指示の入力を受け付けたかどうかを判断する(ステップS55)。制御部101は、例えば、画像記録装置11から取得すべき画像データを特定する情報として、連番データ又は時刻を指示する入力を受け付けたかを判定する。具体的な管理者の操作については特に問わないが、例えば、入力装置104を構成するマウス等のポインティングデバイスからの入力情報に従い、表示されたグラフの棒111の所定位置を指定することにより行われとよい。指定の仕方は、例えば、一点をクリックして行うピンポイント指定と、開始から終了までの範囲指定(
図13(b)中、両方向矢印115参照)等を備えるとよい。ピンポイント指定の場合、例えば、ポインティングデバイス等で指定した連番データ又は時刻を選択するようにしてもよいし、指定された連番データを含む前後所定数の連番データ、又は指定された時刻を含む所定時間帯の始期及び終期の時刻を一括して選択するようにしてもよい。
図13(b)では、指定した連番データを中心とする円113の範囲内に属する連番データを選択するイメージを示している。
【0105】
指示を受け付けると、
図13(b)に示すように、制御部101は、例えば表示装置105の表示画面の下方の所定領域に「通信で受信します いいですか」のような確認ボタン114を表示、又は元々表示していたものをアクティブにする。また、この確認ボタン114をクリックなどにより操作するまでの間は、指示入力画像に表示された中から複数箇所を選択可能とするとよい。
【0106】
制御部101は、確認ボタン114を選択する操作(例えば、クリック操作)が行われた場合、ステップS55で「YES」と判定する。次に、制御部101は、画像送信要求を、対象の画像記録装置11へ送信する(ステップS56)。制御部101は、具体的には、選択されている連番データ又は時刻に基づいて、取得すべき画像データを記録する画像記録装置11への画像送信要求(例えば、送信コマンド)を生成し、通信部103を用いて、対象の画像記録装置11へ送信する。1つの車両の複数の画像記録装置11が設けられているため、制御部101は、その車両のすべての画像記録装置11に対し同じ時間帯の画像の送信を要求してもよい。
【0107】
画像記録装置11の制御部21は、サーバ装置100から画像送信要求に対する応答として送られてきた画像データを、通信部103を用いて受信(取得)する(ステップS57)。この画像データは、ステップS42において画像記録装置11が画像送信要求に応じて送信した画像データである。
【0108】
制御部101は、受信した画像データが示す画像を表示部105aに表示させる(ステップS58)。制御部101は、画像記録装置11を特定する情報や連番データ、撮影時刻等の、どの車両2でいつ記録された画像データかを特定する情報と関連付けて、画像データが示す画像を表示させるとよい。
【0109】
例えば管理者は、表示されたマーク112や、別途の運行管理システムや他から得た情報に基づき、取得すべき画像データを指定する。このとき、事件発生時刻がはっきりしている場合には、ピンポイント指定を行えば送受信する画像データの容量を少なくなる。また、具体的な事件発生時刻が不明で例えば昼頃など曖昧な場合には、範囲指定により比較的広い一定の時間帯を選択し、可能性のある多くの画像データを取得するとよい。
以上が、サーバ装置100の動作の説明である。
【0110】
サーバ装置100において、制御部101は、イベント記録処理により記録された画像データについても、上述した常時記録処理の場合と同様の方法により、イベント記録リストを用いて画像記録装置11から画像データを取得し、表示させてもよい。この場合、指示入力画像は、イベント記録リストに基づいて表示される。イベントの種類毎に指示入力画像が分けられてもよいし、複数種類のイベントについての指示の入力を単一の指示入力画像を用いて受け付けられるようにしてもよい。また、制御部101は、
図13で説明した常時記録処理に対応する指示入力画面において、イベント記録処理により記憶された画像データの存在を示す情報を表示させてもよい。例えば、制御部101は、指示入力画像において、イベントが発生した車両2のイベント発生時刻に対応する位置に、所定のマーク等の目印となる画像(目印画像)を表示させるとよい。この目印画像が管理者により選択されると、制御部101はこの対応するイベント記録処理の画像データを、画像記録装置11から取得して、表示させるとよい。目印画像は、イベントの種類を視覚的に把握できる態様で表示されると、管理者にとってどのようなイベントが発生したかを視覚的に把握できる。
【0111】
上述したように、本実施形態では、画像記録装置11は、撮影し記録媒体23に記録した画像データを送信するに先立ち、記録されている画像データを特定するためのリストをサーバ装置100へ送信し、その後画像データを送信するようにした。このようにすると、リストに基づき送信の必要のない画像データについてまで送信する機会が減るので、通信量を削減でき、通信時間も削減できる。また、通信回線NWが、通信量に応じて通信料金が課されるような場合であっても、通信料金の増大を抑えられる。また、通信回線NWが仮に低速度の回線である場合であったとしても、リストについては速やかに送信してどのような画像データが記録されているかをサーバ装置100の管理者が把握できるようにしつつ、送信すべき必要度合いの高い画像データについては迅速にサーバ装置100が取得できる。
【0112】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。本発明は、例えば、以下のような形態で実施することも可能である。また、以下に示す形態は、各々を適宜に組み合わせてもよい。
【0113】
(4-1)指示入力画像の表示
(4-1-1)事件等情報の明示
制御部101は、指示入力画像を、管理者が必要とする画像データの存在を明示する(例えば、画像データの存在がわかるようにする)態様にて表示するとよい。このようにすると、管理者は、表示された指示入力画像の中から必要な箇所をすぐに選べる。制御部101は、例えば、事故や事件その他の事象(以下「事件等」という。)が発生した場合の時刻を表示するとよい。また、制御部101は、発生時刻に加え、例えばどの電車1のどの車両2で事象が発生したかもあわせて表示するとよい。例えば「12時前後にC車両でスリがありました」というメッセージが表示されると、管理者は、C車両に設置した画像記録装置11から送られてきたリストから、12時前後の連番データを容易に選択することができる。
【0114】
係る機能を実施するために、例えば、サーバ装置100の記憶部102は、車両2内における痴漢、けんか、スリなどの犯罪、トラブル等の事件等の発生に関する事件等情報を記憶するとよい。事件等情報は、事件等の発生日時情報、発生した電車及び車両を特定する情報、事件の内容等を有するとよい。この事件情報は、電車1の運行を管理する鉄道会社等が把握していることがあるので、当該事件等情報がサーバ装置100の記憶に登録すされとよい。また、事件等情報が別のサーバ等で管理されている場合、サーバ装置100の制御部101は、当該別のサーバ等にアクセスし、事件等情報を取得するとよい。
【0115】
制御部101は、事件等情報に基づいて表示中の車両2で事件等が発生している場合には、その旨を明示する態様で指示入力画像を表示させるとよい。制御部101は、例えば、事件等の発生を示すメッセージを表示したり、事件等が発生した車両2の発生時刻に対応する位置に目印となる画像を表示させたりするとよい。
【0116】
(4-1-2)画像記録装置11毎の指示入力画像の表示
制御部101は、個々の画像記録装置11毎の指示入力画像を表示させてもよい。例えば、リストに画像記録装置11の識別情報が含まれている場合、制御部101はその識別情報に基づいて、画像記録装置11毎の指示入力画像を表示してもよい。このようにすると、画像記録装置11単位での画像データの記録の状況を視覚的に把握しやすくなる効果が期待できる。例えば、例えばスリや痴漢などの事件が発生した場合には、被害者等はどの車両2に乗っていたかまでは把握していても、車両2内のどこにいて、どの画像記録装置11に記録されているかは特定しにくいことが多い。そこで、車両を指定し、車両に実装された複数の画像記録装置11に対し画像送信要求を行い、複数の画像記録装置11から画像データを送信してもらうとよい。制御部101は、画像記録装置11毎に画像データを取得し表示するための処理を行ってもよい。
【0117】
また、サーバ装置100は、車両2単位での指示入力画像の表示と、画像記録装置11単位での指示入力画像の表示を選択できるように構成されてもよい。例えば画像記録装置11単位で指示入力画像を表示すると、ある電車に限定してもそこに設けられた画像記録装置11の数が多く、表示された指示入力画像が煩雑で見にくくなるおそれがある。そこで、例えば、制御部101は、まず車両2単位での指示入力画像の表示を行い、その中から一つ或いは所定数(ただし、全車両数よりは少ない)の車両2を指定して切り替え指示を受けると、指定された車両2に設けられた画像記録装置11についての指示入力画像を表示するとよい。切り替え表示する車両2の指定は、例えば、画像送信要求を生成する際の管理者の操作、すなわち、車両2(図示の例では、「A車両」、「B車両」、「C車両」・・・)に対するクリックや、グラフ表示された棒111の部分に対する連番データの指定とは異なる態様の操作とするとよい。異なる態様の操作は、例えば、シングルクリック(連番データのスポット選択)とダブルクリック(表示切り替え)などとするとよい。
【0118】
このように車両単位から画像記録装置単位に切り替える機能を備えると、例えば、何時何分にD車両のどの辺(例えば車両の先頭側の出口付近、車室内の中央、…)のように車両内での具体的な場所がわかっている場合には、そのエリアを撮影した画像データを記録する1の又は複数の画像記録装置11を指定し、画像送信要求を送信するとよい。このようにすると、画像送信要求を送信する画像記録装置の数が少なくなり、送信する画像データの枚数、容量も削減できる。
【0119】
(4-2)間引き送信処理
画像送信処理は、画像送信要求により特定される画像データのうちの一部の画像データを間引いて送信する処理である、「間引き送信処理」が行われもよい。画像記録装置11の制御部21は、例えば、動画を示す画像データとして、第1のフレームと、撮影装置27により撮影された画像を第1のフレームとの差分で表した第2のフレームとを含む画像データを記録媒体23に記録する。そして、制御部21は、画像送信要求により特定される画像データのうち、第1のフレームを選択して、サーバ装置100へ送信する処理を行うとよい。制御部21は、第1のフレームを選択して送信するようにすると、第2のフレームも送信する場合に比べて通信量が減るとともに、第1のフレームに基づいてサーバ装置100側で比較的きれいな画像(動画)を表示することができる。
【0120】
具体的な動作例を説明しておく。
例えば動画データがMPEG形式である場合、第1のフレームはIフレーム、第2のフレームはPフレームに対応する。この場合、画像記録装置11の制御部21は、画像データVnを送信する場合に、画像データVnを構成するIフレームを抽出して送信し、Pフレームは送信しない。このように、画像送信要求で特定される全ての画像データを送信してもよいが、例えば適宜の間引き処理等をし、一部の画像データを記録媒体23から読み出し、サーバ装置100へ送信するとよい。そのように一部の画像データを送信することで、通信量を抑え、通信時間や通信料金を削減することができる。フレームレートが、例えば1秒間に30フレームの場合、3フレームから4フレームの割合でIフレームが挿入される。送信するのは、所定期間毎(3分毎)のすべてのIフレームとしてもよいし、一部のIフレームとしてもよい。後者の場合、当該所定期間(区切り)の先頭のIフレームとするとよい。このようにすると、通信量を減らしつつ、撮影された画像の内容を把握するために必要十分な画像データを送信できるからである。また、前者と後者のどちらとするかを管理者が入力装置104を用いて選択できるようにしてもよい。
【0121】
(4-3)運転席に画像記録装置11を設置すること
上述した実施形態では、画像記録装置11を車両2のドア3付近に設置する例に基づいて説明したが、画像記録装置11の設置位置は、これに限ることはなく、例えば乗務員室4内に設置するとよい。
図14に示すように、乗務員室4は、運転台6を備えており、例えば、その運転台6の上に画像記録装置11を配置するとよい。この画像記録装置11は、運転台6の上に設置した状態で、主に進行方向に沿った方向の電車1の外の景色を撮影する。進行方向に沿った方向は、先頭車両の乗務員室4(運転室)に設置された画像記録装置11では電車1の進行方向前方であり、最後部車両の乗務員室4(車掌室)に設置された画像記録装置11では電車の進行方向後方となる。このように乗務員室4の運転台6の上に設置する画像記録装置11の場合、画像記録装置11のケースを所定位置に取り付けた状態で、カメラ部の画角の中心軸が、電車の進行方向に沿った方向で車外を向くようにするとよい。
【0122】
このようにすると、例えば運転台6に設置した画像記録装置11は、進行方向の前方外側の景色を撮影するため、例えば、先頭車両において人やその他の物体との衝突事故などが発生した場合に、そのとき記録した画像データを入手することで事故の検証を行うのに利用することができる。例えば、人身事故の場合、例えば勢いよく飛び込んでくるなどその人が自ら飛び込んできたのか、周囲の人に押されたのか、傘などの持ち物が車両に引っかかるなどして車両が人を巻き込んだのかなどの事故原因を分析・特定するのに有益な情報となる。
【0123】
上述したように、車両2の前面に人等が接触や衝突をする場合、例えば、踏切等から線路内に進入した人のように車両の前方にいる場合以外に、ホームにいる人のように車両の横から進入する場合もある。そこで、画像記録装置11を運転台6に設置した状態で、撮影装置27による撮影エリアが、車両2の側面よりも外側までカバーされるようにするとよく、左右方向の画角が広くなるようにするとよい。例えば、撮影装置27は、例えば広角カメラを用いるとよい。
【0124】
また、画像記録装置11を設置する運転台6の高さが低い場合、運転台6の上面に所定の取付台8を置き、その取付台8の上に画像記録装置11を取り付けるとよい。このようにすると、画像記録装置11の撮影装置27の画角の上下方向の範囲を適切にすることができる。取付台8は、電源ボックスとして使用するとよい。
【0125】
また、例えば、撮影装置27は、例えば画角が180度の半球レンズ(レンズの一例)とCMOSセンサ等の撮像素子を備え、半球レンズを通過した光は、撮像素子により電気信号に変換される。そして画像記録装置11を設置した状態で、撮影装置27の画角の中心軸は、水平方向前方を向くようにするとよい。例えば自動車用のドライブレコーダーには、半球レンズを備えたものがあり、係る自動車用のドライブレコーダーは、例えば車両の天井やフロントガラスの上方等に、撮影装置27の画角の中心軸が真下を向くように取り付けるようにしたものがある。
【0126】
このように取り付けるとともに、
図15(a)に示すようにCMOSセンサ等の撮像素子の撮像範囲200の短手方向の辺の長さを、レンズを通過した光のイメージサークル201の直径の長さに対応させると、半球レンズから入ってくる光を広範囲に撮像でき、水平平面内の360度の全周を撮影可能となる。この場合に撮像範囲200の中心が、車室内を撮影する領域となり、撮像範囲200のイメージサークル201内の右側が、車両の前方を撮影する前方撮像領域202となる。電車1の運転室に同じように設置すると、車両の前方の外の景色とともに運転室内も撮影される。係る場合、画像記録装置11を基準として車両の進行方向後方側の180度の角度範囲の領域は運転室となり、運転者や、運転室後方の壁或いはその壁に設けられたガラス窓を介して客車内が撮影されることになり、前方撮像領域202は、半球レンズの中心からずれた周辺領域からの光に基づくので歪みなどを生じるおそれもあり、上述した事故原因の検証・解析に必要な情報が得にくい。
【0127】
これに対し、本実施形態のように、半球レンズが水平方向と平行で前方に向けて配置されると、
図15(b)に示すように車両の前方撮像領域202は、撮像範囲200の中央に配置するレイアウトとなってしっかり撮影できる。さらに、車室内など事故原因の検証等に余り重要でない運転室内の画像は記録されず車両の外の必要な情報を適切に記録できる。さらにまた運転者を含め室内が記録されないので、プライバシー保護ができる。
【0128】
(4-4)イメージサークルと撮像素子の撮像範囲との関係
図15、
図16(a)に示すように、撮像範囲200の短手方向の辺の長さをイメージサークルの直径(左の図)にすると、レンズから入ってくる光は広範囲に撮像できる。但し、撮像素子で撮像に使用しない領域がおおよそ半分と多くなり、撮像素子を有効利用できず、小さく撮影されてしまい、実際に見たい撮影領域に対応した前方の撮影領域の品質が悪くなる。
【0129】
一方、
図16(c)に示すようにイメージサークル201を撮像素子の撮像範囲200の外にすると、広範囲の光が撮像素子に入る。しかし、広角レンズからの光のうち、撮像範囲200からはみ出した範囲は撮影できず、周辺の画像を確認できない。
【0130】
そこで、
図16(b)に示すように、撮像範囲200の長手方向の辺の長さをイメージサークル201の直径に対応させるとよい。これにより、撮影装置27は、半球レンズを通過した光が撮像素子の短手方向を直径とするイメージサークルを形成する場合と比較して、長手方向をより広く撮影でき、撮像素子の使用しない部分を少なくしつつ、半球レンズから入ってくる光の多くを撮像できる。
【0131】
下向きに設置した半球レンズで撮影する場合に、撮像素子の撮像範囲200の長手方向が車両の前後方向と平行になるように撮像素子が配置されているときは、
図17(a)に示すように、撮像範囲200の長手方向が車両の前後に対応することで、前方を効率よく撮影できる。車両の左右は撮影範囲が狭まる。自動車等であれば左右について前後に比べて撮影範囲が狭まったとしても、さほど問題とならない。しかし、本実施形態のように電車の運転室に実装した場合には、左右からの人の飛び込み等を充分に撮影できない等の事態があると望ましくない。そこで、前方に向けて設置した半球レンズで撮影する際に、撮像素子の撮像範囲200の長手方向が車両2の左右方向と平行になるように撮像素子が配置されるようにするとよい。このようにすると、例えば
図17(b)に示すように、車両の前方撮像領域202は撮像範囲200の中央に位置ししっかり綺麗に撮影できるとともに、左右方向も半球レンズから入ってくる光も撮像できる。例えば、電車の左右からの飛び込み等があっても、そのときの状況を適切に撮影し、記録できる。また、このようにすると、上下方向の端の部分は撮影できない場合があるが、下方は線路が存在し、上方は空が存在し、線路脇に設置される信号機の設置位置も運転者が見上げるような位置になく余り高くない。このように上下方向の端はさほど重要でない情報となるのでカットしても事故原因等の分析等に与える影響は少ない。
【0132】
なお、本実施形態では、電車に適用した場合を説明したが、このようなイメージサークルと撮像範囲の関係にするのは自動車その他の車両等にも適用するとよい。例えば、左右からの衝突をしっかり捉えることができ、前方もしっかりとれ、運転者を含め室内が記録されないのでプライバシー保護ができる。このような効果が期待する場合には、好適である。
【0133】
(4-5)LED信号機対応
運転台6に直接又は間接的に取付けられ、車両の前方を撮影する撮影装置27を備えた画像記録装置11は、線路脇に設置された信号機も撮影し、記録媒体23に記録する。線路脇に設置される信号機が、LED信号機の場合、光源は点滅しているため消えているときに撮影すると発光色が写らない。そして、撮影するタイミングと、点滅する光源が消えるタイミングが一致した状態が続くと、信号機は、全てのLEDが消えたままとなり、各種の検証等を適切に行えなくなる。
【0134】
この問題を解決するため、例えば、撮影タイミングをLEDの点滅の周期に比べて1~2Hzずらすとよい。そのようにすると、例えば1秒間で30フレーム撮影した場合、写っているフレームもあれば写っていないフレームもある。このように一部のフレームに点灯したLEDが映っていると、連続再生すると、点滅した状態となり写っていることはわかる。
【0135】
また、例えば上述したように連番データに基づく画像データの送信要求に対し、例えば1又は所定枚数のIフレームだけ送信するようにすると、1枚の画像データが重要となり、送信するIフレームが、LEDが消えたタイミングで撮像したものの場合、各種の検証等を行うのに不適切なものとなる。よって、1枚でも消灯されたタイミングで撮像されたデータがあるといけないので、上記の周期を少しずらす方式は十分なLED対策とは言えなくなる。
【0136】
そこで本実施形態では、通常の撮影装置27では、1画素(ピクセル)あたりに1つのセンサを有するところ、1画素につき、第1のセンサおよび第2のセンサを有するように構成する。第1のセンサの第1の受光部は、第2のセンサより大きい第2の受光部を有する。そして撮像素子は、第1の受光部を用いて第1の周期で撮像を行い、第2の受光部を用いて第1の周期よりも長い周期で撮像を行う。このようにするのは、第2の受光部は第1の受光部よりも受光する部位(例えば受光面)が小さいため、より多くの光を取り込めるようにするためである。よって、第1の受光部と第2の受光部とでは受光する期間(露光する期間ともいう。)が互いに異なる。
【0137】
小さい第1の受光部を有する第1のセンサは、例えば通常の撮影装置27に実装されるものと同様に一定以上の感度を得るためのもので、1回の撮像のために露光する時間をあまり長くすることができず、例えば、数msec程度となる。LED信号機が例えば商用電源の60Hzで動作する場合、LEDは16.6…msecで点滅する。すると、LEDが消灯しているタイミングで撮像することがある。一方、第2の受光部は、1回の撮像のための露光時間内で、点滅するLEDが点灯している状態が存在するように点灯状態が必ずあるように露光する時間を長くすることで、点灯している状態のLEDからの光を受光し、撮像することができる。
【0138】
撮像素子において、第1の受光部及び第2の受光部は、例えば、受光している期間はシャッタが開き、受光していない期間はシャッタが閉じるよう構成されるが、受光/非受光の切り替えの仕組みはこれに限らない。撮像素子は、画素ごとに、第1の受光部の受光結果を示す信号と第2の受光部の受光結果を示す信号とを合成して出力する。この合成後の信号にあっては、第1の受光部と第2の受光部との受光量が反映されているため、制御部21は、LED信号機等の点滅による影響を低減した映像を生成し記憶することができる。このような撮像素子を用いると、第1の受光部が受光しない期間においても第2の受光部は受光するので、画素ごとに単一の受光部を設ける構成に比べて、LED信号機等が点滅して撮像されるのを抑えることができる。また、このような画素構造と露光方法の撮像素子を用いることで、出入り口など明暗差の大きな場面でも、ダイナミックレンジの広い高画質な映像を撮像する効果が期待できる。
【0139】
(4-6)イベントの種類
イベントはそれ以外のイベントでもよい。例えば、イベントは、マイク28で所定の音を検出したことであってもよい。ドア3の上方に設置する画像記録装置11の場合、例えば電車1が駅のホームに停車中におけるドア3の付近のホームにいる人の音声等を集音する。制御部21は、このマイク28が集音した音データを、画像データと関連付けて記録媒体23に記録したり、所定の音の発生を契機としてイベント記録処理を開始する機能を備えたりするとよい。例えば、怒鳴り声の瞬間の前後を含む期間の画像データを記録するイベント記録処理を行うと、けんかや、何かしら問題があった事象を、画像として記録できる。この場合は、イベント記録リストL21~L24とは別のイベント記録リストに情報が書き込まれる。
【0140】
(4-7)記録するデータ種別(履歴情報の記録)
電車等の軌道の上のように決められた経路を時刻表に従って走行する移動体の場合、時刻に基づき電車等の移動体の位置がわかる。また、撮影装置27が撮影した画像からどこを走っているかが特定できる。このように電車等の場合、時刻情報が重要なため、上述した実施形態では、記録した画像データに時刻情報を関連付けて記憶するようにした。制御部21は、画像データに関連付けて時刻情報以外の履歴情報を記録する機能を備えるとよい。履歴情報は、電車1又は車両2の走行に関する履歴を示す情報で、例えば、位置情報取得部26から取得した位置情報や位置情報の変化の履歴に基づいて求めた速度や加速度などといった走行に関する情報とするとよく、これらの情報はテキストデータで記録するとよい。履歴情報、常時記録リストL1や各イベント記録リストに記録されるとよい。履歴記録により、例えば、定刻通りに運行しているかの検証、遅延している場合の正確な位置の特定、何キロでていたかを、位置情報取得部26に基づく履歴情報の速度と、電車の計器の速度とのずれを検証、事故発生時の原因究明等に利用できる。
【0141】
また、履歴情報は、例えば、ドア3の開閉状態など車両の状態に関する情報を含むとよい。このようにすると、例えば、車両2が停止してからドア3が開くまでの時間等の走行・停車とドア3の開閉タイミングの関係や、ドア3が開いた状態で走行したなどの状況と、画像データに基づくそのときの乗客等の状況を確認することができる。なお、例えば車両2の天井中央など奥まった位置に画像記録装置11を設置するなどのように例えばGPS信号等の受信状況が悪い場合、GPSモジュール等の位置情報取得部26を本体から分離したセパレートタイプにし、位置情報取得部26は窓付近や車両の外に配置するとよい。これ以外にも、画像記録装置11がアクセルやブレーキ等の運転操作の履歴に関する情報を取得可能であれば、この情報が履歴情報に含まれてもよい。履歴情報はリストに含まれる方法その他の方法によりサーバ装置100へ送信されるとよい。
【0142】
(4-8)履歴情報を用いた画像送信要求
サーバ装置100は、(4-7)で説明した履歴情報を用いた画像送信要求を、画像記録装置11へ送信してもよい。サーバ装置100側では、例えば特定の位置、区間を走行している時に撮影した画像データを選択して送信する要求をしたり、例えば高速で走行など危険な運転をしていた際の画像データを選択して送信する要求をして適切な運行管理を行うための情報を入手することができる。
【0143】
画像記録装置11は、履歴情報を送信する場合に、以下のようにしてもよい。画像記録装置11が、履歴情報をリアルタイムで送信すると、例えば脱線等の事故が発生しなそうな場合に、事前にサーバ装置100から例えば運転席に設置した画像記録装置11等から警報を発する機能を備えることで、運転手に通知することができる。履歴情報は、リストと同様テキストデータとすることで、リアルタイムで送信しても通信負荷は少なくてすむ。履歴情報の送信タイミングも、例えば、踏切、人身事故が多い場所、急カーブ等の危険な走行区間等に設置するとよい。なお、本明細書で、情報をリアルタイムで送信することは、当該情報を取得した時点と同じ時点、または少なくとも受信遅れを感じないレベルで配情報を送信することを意味する。
【0144】
(4-9)リスト送信処理と画像送信処理
制御部21は、電車1の経路上の所定の区間を通信可能エリアとする無線機に接続した場合に、記録媒体23に記録された画像データを送信するとよい。本実施形態を、
図18を用いて説明する。電車1が
図18の右方向を進行方向(電車1の前方方向)として経路Rを走行する場合を考える。区間R1は、無線機AP1の通信可能エリアAr1内で、無線LAN通信により通信を行える。区間R1よりも進行方向下流側の区間R2は、通信可能エリアAr1外であり、基地局BSに接続して公衆回線を介した無線通信を行うものとする。区間R2よりも進行方向下流側の区間R3は、無線機AP2の通信可能エリアAr2内で、無線LAN通信により通信を行える。
【0145】
このような場合において、制御部21は、生成したリストについては、区間R1~R3のいずれに電車1が存在する場合でも、つまり、画像記録装置11が無線機AP1、AP2、基地局BSのいずれに接続する場合でも、送信する。一方、画像データについては、制御部21は、電車1が区間R1又はR3に存在する場合は、無線機AP1、AP2に接続して送信する一方で、区間R2に存在し基地局BSに接続する場合はその送信を抑制する。送信を抑制することは、送信しないとか、送信の頻度を下げる等して、少なくとも抑制しない場合に比べて送信する画像データのデータ量を低くするようにすることである。制御部21は、通信可能エリアAr1に電車1が進入して無線機AP1に接続した場合において、画像送信要求を受信すると、無線機AP1を介して画像送信要求に応じた画像データを送信する。仮に無線機AP1への接続中に送信しきれなかった場合は、制御部21は、画像記録装置11が基地局BSに接続して送信してもよいのであるが、通信可能エリアAr2に進入して無線機AP2に接続するまで送信を保留し、無線機AP2に接続してから送信してもよい。前者の場合、画像データをいちはやくサーバ装置100へ送信できる点で有利であり、後者の場合、通信料金の増大が抑制される点で有利である。例えば、画像データをリアルタイムで送信しなくてもよいような場合は後者とする。制御部21は、常時録画については後者、イベント記録処理については前者としてもよい。
【0146】
また、制御部21は、電車1が通信可能エリアAr1外に出て、基地局BSに接続した場合において、画像送信要求を受信すると、その時点では画像データの送信を保留し、通信可能エリアAr2内に進入して無線機AP2に接続してから送信してもよい。このようにすると、通信料金の増大が抑制される。制御部21は、イベント記録処理については無線機AP2に接続するまで送信を保留し、イベント記録処理については基地局BSに接続して送信してもよい。
【0147】
無線機AP1及び無線機AP2のようなLAN通信を行うための無線機は、どこに設置されてもよいが、上述したカーブや、踏切、乗降場所等の、画像データ送信すべき必要の高い経路上の区間を通信可能エリアに含むように設置されるとよい。このようにすると、迅速に画像データを送信すべき区間を電車1が走行する場合に、簡易な構成でその送信を実現できる。
【0148】
画像記録装置11が送信する画像データについて、未送信の画像データの全てを送信するようにしてもよいが、撮影装置27により撮影されている画像データをリアルタイムでする等、全ての画像データを送信しない方法も採り得る。
【0149】
制御部21は、画像記録装置11が基地局BSに接続している場合でも、特定区間Seの走行中は、そのときに撮影装置27により撮影された画像データをリアルタイムで送信してもよい。特定区間Seは、例えば、カーブ、踏切、及び乗降場所に例示される事故が起こりやすい等の画像データを直ちに送信すべき事情のある区間とするとよい。このようにすると、サーバ装置100側において、特定区間Seで撮影された画像を、速やかに見ることできる。
【0150】
(4-9)システム300との連係
画像記録装置11の制御部21は、位置情報取得部26が取得した位置情報により特定されるし電車1の状況と、システム300から取得した情報により特定される電車1の状況とに応じた情報を出力する処理を行ってもよい。出力される情報は、これらを対比可能に表示するための表示データや、位置情報取得部26が取得した位置情報により特定されるし電車1の状況の確からしさを示す情報とする。電車1で測定した位置情報と、システム300から取得した情報の両方を用いることで、一方からの情報を用いる場合に比べて、情報が示す電車1の状況の信頼性が向上する。
【0151】
(4-10)画像データを記録処理
画像記録装置11は、イベント記録処理を行うモードと常時記録処理を行うモードとのいずれか一方だけを備えてもよい。画像記録装置11は、両方のモードを備える場合においても、管理者その他の者の設定により一方のモードのみで動作してもよい。
【0152】
(4-11)移動体
本発明を適用可能な乗り物は、上述した実施形態で説明した乗り物に限られない。乗り物は、タクシーやレンタカー、ハイヤー等の車両としてもよい。乗り物は、船舶、飛行機等の車両以外の乗り物としてもよい。これらの乗り物の場合、乗り物が走行する経路には、レールのような軌道が設けられない場合があるが、特定の道筋のように走行する特定の経路が決められているとよいが、そのような特定の経路が決められていない乗用車その他の乗り物又は移動体にも本発明を適用し得る。
【0153】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0154】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0155】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品・画像等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0156】
1 :電車
2 :車両
3 :ドア
4 :乗務員室
5 :乗務員用ドア
6 :運転台
8 :取付台
10 :表示装置
11 :画像記録装置
20 :電車
21 :制御部
22 :リーダライタ
23 :記録媒体
24 :データ出力端子
25 :通信部
26 :位置情報取得部
27 :撮影装置
28 :マイク
29 :内部時計
100 :サーバ装置
101 :制御部
102 :記憶部
103 :通信部
104 :入力装置
105 :表示装置
105a :表示画面
111 :棒
112 :マーク
113 :円
114 :確認ボタン
200 :撮像範囲
201 :イメージサークル
202 :前方撮像領域
300 :システム