(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104748
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】メッシュを基材とした導電回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20220704BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220704BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20220704BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
H05K1/03 610T
H05K1/02 A
H05K1/14 A
D03D1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219887
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】596047067
【氏名又は名称】広繁 勝也
(71)【出願人】
【識別番号】504069439
【氏名又は名称】広繁 孝一
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】広繁 勝也
【テーマコード(参考)】
4L048
5E338
5E344
【Fターム(参考)】
4L048AA02
4L048AA03
4L048AA04
4L048AA05
4L048AA07
4L048AA48
4L048AB06
4L048AC09
4L048BA01
4L048BA02
4L048CA01
4L048CA12
4L048DA43
4L048EB00
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA15
5E338AA16
5E338AA18
5E338EE24
5E338EE60
5E344AA01
5E344BB02
5E344BB05
5E344CC13
5E344CD02
5E344EE11
(57)【要約】
【課題】従来の一種類の繊維で編んだメッシュシートでは不可能な、柔らかさ、薄さに対応できる性質のある繊維を縦糸、又は横糸に強さに対応できる性質の繊維を横糸、又は縦糸により編んだメッシュシートを形成することで、2つの特質が機能する導電回路基板を提供することを目的とする。
【解決手段】織布又は不織布を基材とした導電回路基板において、横糸8と縦糸9とから成る織布や不織布で、縦糸9と横糸8に用いる材料の材質を異なる二種類以上の糸を用いて形成し、この基材Aに導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布又は不織布を基材とした導電回路基板において、横糸と縦糸とから成る織布や不織布で、縦糸と横糸に用いる材料の材質を異なる二種類以上の糸を用いて形成し、この基材に導電回路をメッキで絡めて形成したことを特徴とする導電回路基板。
【請求項2】
請求項1における基材である縦糸と横糸の材質、形状、ピッチ間隔を変えて形成したことを特徴とする導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2における導電回路基板において、メッキで形成した導電回路を繊維の表面に配置して樹脂ペーストで、導電回路と基材を固定したことを特徴とする導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の導電回路基板を多層に積層したことを特徴とする導電回路をメッキで絡めて形成した多層導電回路基板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の導電回路基板に、他の導電材と導電接続させるメッキ導電部に開口部を配して、その基材に接着剤を絡めて、他の導電部材と導電接着剤やハンダで密着固定して導電接続したことを特徴とする導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板。
【請求項6】
導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板における基材の補強を感光剤や樹脂インクで形成したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の導電回路基板。
【請求項7】
材質が同一種の縦糸と横糸から織製された布やメッシュに、他の材質から成る糸を縦糸や横糸として、ミシンで縫い付けたことを特徴とする基材に導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種類以上の繊維により編んだメッシュシートを基材として形成した導電回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、一種類の化学繊維、金属繊維、天然繊維等を使用して編んだメッシュシートに電気導通性部材でパターンを形成したプリント導電シート(例えば、特許文献1参照)が存在している。
しかしながら、これまでの一種類の繊維による縦糸・横糸からなる織布や不織布に、メッキにより導電回路を形成したものは、欠点があるのが現状である。例えば一種類の化学繊維からなるメッシュだと折れには強いが熱に弱く、一種類のガラス繊維からなるメッシュだと、熱には強いが、折れ易い欠点がある。これを二種類以上の繊維によって編むことでそれぞれの欠点を補うメッシュシートを得ることができる。このように種類を選択し、特徴を出すために、より強く、より軽く、より薄く、より厚く、より柔らかく、より耐熱性を高く、より耐薬品性を高く、より緻密性を高く等の特徴を出すために各種の繊維を組み合わせた基材とし、導電回路を形成して、用途や価格にも対応できるようにすることが望まれている。
そこで、本発明は、一種類の繊維による布、メッシュでは、なし得なかった二種類以上の繊維によるメッシュシートを利用して導電回路を形成(例えば、縦糸は化学繊維、横糸はガラス繊維で編んだメッシュシートを利用して導電回路を形成する)したものを発明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-283877号公報 (特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び
図1~
図6を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の一種類の繊維で編んだメッシュシートでは、より強い繊維を採用することで、強さは得られるが、実際には色々な形状、機能を得るためには折り曲げたりする柔らかさが必要である。また、精密機器に採用されるためにコンパクト化が目指されるが、それには薄さが必要である。
これらの欠点を解決するために本発明では、柔らかさ、薄さに対応できる性質のある繊維を縦糸、又は横糸に強さに対応できる性質の繊維を横糸、又は縦糸により編んだメッシュシートを形成することで2つの特質が機能する、より良い導電回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成できる本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
織布又は不織布を基材とした導電回路基板において、横糸と縦糸とから成る織布や不織布で、縦糸と横糸に用いる材料の材質を、異なる二種類以上の糸を用いて形成し、この基材に導電回路をメッキで絡めて形成するという構成である。
【0006】
上記の目的を達成できる本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
請求項1における基材である縦糸と横糸の材質、形状、ピッチ間隔を変えて形成したことを特徴とする導電回路をメッキで絡めて形成するという構成である。
【0007】
上記の目的を達成できる本発明の第3発明は、請求項3に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
請求項1又は請求項2における導電回路基板において、メッキで形成した導電回路を繊維の表面に配置して樹脂ペーストで、導電回路と基材を固定する構成である。
【0008】
上記の目的を達成できる本発明の第4発明は、請求項4に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の発明に加えて、導電回路基板を多層に積層する構成である。
【0009】
上記の目的を達成できる本発明の第5発明は、請求項5に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の発明に加えて、他の導電材と導電接続させるメッキ導電部に開口部を配して、その基材に接着剤を絡めて、他の導電部材と導電接着剤やハンダで密着固定して導電接続する構成である。
【0010】
上記の目的を達成できる本発明の第6発明は、請求項6に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発明に加えて、導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板における基材の補強を感光剤や樹脂インクで形成する構成である。
【0011】
上記の目的を達成できる本発明の第7発明は、請求項7に記載された通りのメッシュを基材とした導電回路基板であり、次のようなものである。
材質が同一種の縦糸と横糸から織製された基材に、他の材質から成る糸を縦糸や横糸として、ミシンで縫い付ける構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るメッシュを基材とした導電回路基板は、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)望む材質として、強度、柔軟性、厚薄、耐熱性、耐薬品性等に鑑みて選択する。従来では、例えば、強度の強い導電回路基板を得るために、一種類の金属繊維やガラス繊維で織ったメッシュを基材にして選択した場合、強度の点では望むものが得られても折り曲げる必要などが発生した場合、折れ易い欠点がある。これを強度が強く、しかも柔軟性が得られる材質の繊維とを選択して、例えば縦糸はガラス繊維で、横糸は化学繊維で織り上げた基材に導電回路をメッキで絡めて形成することにより、ガラス繊維の折れ易い欠点と、化学繊維の熱に弱い欠点をそれぞれ選択する二種類の材質が持っている特性を活かした導電回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のメッシュを基材とした導電回路基板を示すもので、第1実施例の基材の導電回路をメッキで絡めて形成した状態を示す概略正断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例を示す概略平面図である。
【
図3】本発明の第2実施例を示す概略正断面図である。
【
図4】本発明の第2実施例を示す概略平面図である。
【
図5】本発明の第3実施例を示す概略正断面図である。
【
図6】本発明の第3実施例を示す概略平面図である。
【
図7】本発明の第4実施例を示す概略正断面図である。
【
図8】本発明の第5実施例を示す概略正断面図である。
【
図9】本発明の第6実施例を示す概略正断面図である。
【
図10】本発明の第7実施例を示す概略正断面図である。
【
図11】本発明の第7実施例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
織布又は不織布を基材とした導電回路基板において、横糸と縦糸とから成る織布や不織布で、縦糸と横糸に用いる材料の材質を異なる二種類以上の糸を用いて形成し、この基材に導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板である。
【実施例0015】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施例のメッシュを基材とした導電回路基板を説明する。
本発明の第1実施例について
図1、
図2に基づいて説明する。
基材Aの繊維の選択は、ガラス繊維と化学繊維を用いた例で説明する。
1は銅メッキ回路で、横糸8はガラス繊維を選択し、縦糸9は化学繊維を選択して織布にした基材Aを形成し、この基材Aに銅メッキ回路1をメッキで導電回路を形成したものである。
【0016】
次に、本発明の第2実施例について
図3、
図4に基づいて説明する。
基材Aの繊維の選択は、横糸8はガラス繊維を選択し、縦糸9はカーボン繊維を選択して織布にした基材Aを形成し、この基材Aに銅メッキ回路1を樹脂2で固定した導電回路基板を示すものである。
【0017】
次に、本発明の第3実施例について
図5、
図6に基づいて説明する。
前記第1実施例と同様の横糸8をガラス繊維、縦糸9を化学繊維で基材Aを織り、横糸8、縦糸9のどちらか一方、例えば化学繊維から成る縦糸9を感光剤で被覆したものを採用して、織った基材Aにメッキにより銅メッキ回路を形成したものである。
尚、縦糸9の一部を四角形状の縦糸3にしたものを示してある。
【0018】
次に、本発明の第4実施例について
図7に基づいて説明する。
この第4実施例は多層回路基板を示す。第1実施例で示した導電回路基板を3層にした回路基板を示すもので、2層以上複数層にすることができるものである。但し、各導電回路基板間には樹脂2で絶縁層を形成し、上層と中間層、さらに下層の導電回路基板は導電部4で各基板の導電を確保するものである。
【0019】
次に、本発明の第5実施例について
図8に基づいて説明する。
この第5実施例は、第1実施例に示した導電回路基板と銅板回路5を接着剤6を介して接続させた導電回路基板である。
【0020】
次に、本発明の第6実施例について
図9に基づいて説明する。
導電回路基板を2層にしたもので、第1実施例に示す基材に導電回路をメッキで絡めて形成した導電回路基板を接着剤6で積層した導電回路基板の実施例である。
【0021】
次に、本発明の第7実施例について
図10、
図11に基づいて説明する。
横糸8、あるいは縦糸9に加えてミシン糸7で縫い付けることによって補強した導電回路基板を製作する実施例である。
【0022】
以上の通り、具体的な実施例として開示したが、さらに詳細な点を開示すると、基材Aとしての横糸8、縦糸9の材質としては、化学繊維、植物繊維、紙繊維、金属繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、他に繊維に替わる各種繊維を選択して組み合わせることで適正な基材を使用するものである。
樹脂については、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ガラス樹脂のように各種樹脂が採用できることは言うまでもない。
【0023】
また、横糸8、縦糸9の形状は、太さの違う円形、楕円形、四角形、長方形も可能であり、押し潰したカレンダー加工繊維、より糸繊維でも可能である。
また、各種樹脂については、インクジェットプリンターやスクリーン印刷で形成することが可能であり、感光樹脂を用いても良いことは言うまでもない。
【0024】
本発明は、以上のような色々な材質、形状を種々組み合わせて採用できるものである。しかも、横糸8も縦糸9も一種類でなく、各横糸8、縦糸9に複数種を混合させて用途に合ったものを使用することも可能である。