(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104772
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】プランジャー反発圧力低減構造を有する注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
A61M5/315 512
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032957
(22)【出願日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0186182
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521089166
【氏名又は名称】プンリム ファーマテック インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒ ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョン ドク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ チョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066HH14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プランジャーにかかる反発圧力を分散させることにより、労せずして徐々に注射することができるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器を提供する。
【解決手段】先端に注射針が装着されたハブとを含んでなるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器であって、前記プランジャー9はテーパー形の円錐状に形成され、上端に行くほど段々外径が縮小する3段の第1段差部14a、第2段差部14b及び第3段差部14cが形成され、これと対応して結合されるバーレルの縮径管部の内側注射液吐出口の内面にも上端に行くほど段々小さくなるように第1縮径部、第2縮径部及び第3縮径部が形成されることにより、プランジャーが対応して結合されるように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端に指掛け部(2)が形成され、先端吐出部の縮径管部(3)の外側には内側面に螺旋部(5)を有するルアーロック結合部(4)が形成されたバーレル(1)と、前記バーレル(1)の内側に挿入され、後端に押圧板(7)を有する押込みロッド(6)と、前記押込みロッド(6)の先端に締結されるプランジャー(9)と、前記ルアーロック結合部(4)にネジ結合され、先端に注射針(12)が装着されたハブ(11)とを含んでなるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器であって、
前記プランジャー(9)はテーパー形の円錐状に形成され、上端に行くほど段々外径が縮小する3段の第1段差部(14a)、第2段差部(14b)及び第3段差部(14c)が形成され、これと対応して結合されるバーレル(1)の縮径管部(3)の内側注射液吐出口(15)の内面にも上端に行くほど段々小さくなるように第1縮径部(16a)、第2縮径部(16b)及び第3縮径部(16c)が形成されることにより、プランジャー(9)が対応して結合されるように構成されることを特徴とする、プランジャー反発圧力低減構造を有する注射器。
【請求項2】
前記プランジャー(9)に形成される第1段差部(14a)、第2段差部(14b)及び第3段差部(14c)は、第1段差部(14a)と第2段差部(14b)との間の間隔より前記第2段差部(14b)と第3段差部(14c)との間の間隔が短く形成され、上方に行くほど間隔が段々短く形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器。
【請求項3】
前記バーレル(1)の先端吐出部の縮径管部(3)の内側の吐出口(15)の内面に形成される第1縮径部(16a)、第2縮径部(16b)及び第3縮径部(16c)は、第1縮径部(16a)と第2縮径部(16b)との間の間隔より前記第2縮径部(16b)と第3縮径部(16c)との間の間隔が短い範囲内で形成され、上方に行くほど間隔が段々短く形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器に関するもので、より詳しくは注射器で人体に注射する場合、注射液の注入完了時点に至るとき、プランジャーに加わる反発圧力を低減させて労せずして残留薬液なしに完全に注射するのに適するようにしたプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、注射器は、本体である注射器バーレル、取っ手が付いた押込みロッド、押込みロッドの先端に締結され、ピストン作用で注射液を押し出すプランジャー、及びバーレルの先端の縮径管部に締結された針を含んでなる一般型と、バーレルの先端部にネジ締結可能なルアーロック(Luer Lock)締結部が別途形成され、これに注射針の付いたハブ(Hub)がネジ締結されて構成されるルアーロック型とがある。
【0003】
このように構成される注射器は、通常ゴム又はシリコン素材のプランジャーが押込みロッドの先端に装着され、前部が水平面又は略円錐状に構成されることが一般的であるが、バーレルの端部に形成された縮径管部内に残る注射液までは押し出すことができずに注射液が残留して廃棄され、プランジャーが注射器バーレルの先端部に近くなるにつれて注射器バーレルの大径に比べて相対的にとても小さい注射針の内径を通して注射液が通過しなければならないので、瓶首効果によってプランジャーには次第に大きくなる反発圧力が作用するから注射液を最後まで押し出すことが難しくなり、連続的に注射しなければならない場合には医療陣の疲労度が累積しやすく、特に粘性のある注射液の場合にはもっと難しくなるから、手の握力が弱い女性看護師は非常に難しくなり、被注射者はもっと痛症を感じるしかない問題点があった。
【0004】
一例として、韓国登録実用新案第20-0467647号の「注射器」が案出されたことがあり、これは、プランジャーである二つのピストンを採用してピストンロッドに締結されるメインピストンから間隔を置いて区画ピストン部を挿入することで、先端のプラグ部と間隔を置いて相異なる異種の薬液を投入した状態で使用のためにピストンロッドを押圧すれば、メインピストンが押圧されるとともに区画ピストン部が押圧されて移動するにつれて移動空間部を通して上側の薬液が下側に移動して混合され、先端のプラグ側に押圧されて注射針側に吐き出されて注射するようになっていた。
【0005】
しかし、このような注射器も従来の一般型注射器と同様にプランジャーであるピストン先端が水平面になっているから、前方のプラグ側に移動するほど反発圧力がもっと強くかかり、ピストンが2個であるため圧力がもっと強くかかるしかないから、手の力が弱い看護師などが使う場合には非常に難しくなる問題点があった。
【0006】
他の例として、韓国登録実用新案第20-0451044号の「プランジャーの回転防止構造を有する再使用防止使い捨て注射器」はルアーロック型のものであり、注射器バーレルの先端チップが注射針ホルダーの内部まで挿入されるように長く形成され、プランジャーであるガスケットがガスケット支持体にリング形に結合され、ガスケット支持体の先端部には係止突起を有する突部が突設され、スカートチップの内側に形成された弾性片により、最終注射の後には弾性片を押しながら入ることになるが、抜け出ることを防止することにより、一度注射した注射器は再使用することができないようにしたものである。
【0007】
しかし、このようなルアーロック型の注射器もプランジャーであるガスケットの全部が水平面になり、スカートチップ側に移動するほど反発圧力が作用するから、注射液を全部排出させるまでは大きく苦労することになる問題点があった。
【0008】
このような点に着眼し、最近にはテーパー形の長円錐状のプランジャーが出現したことがある。このような構造は注射液を最大に押し出して残留注射液が残らないようにする効果はあるが、これも反発圧力が全体として均等にかかるから、注射液を最終に押し出す地点に至ってはプランジャーの反発力が大きくなる問題を根本的に解決することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録実用新案第20-0467647号公報
【特許文献2】韓国登録実用新案第20-0451044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はバーレル先端の吐出部の縮径管部の内径及びプランジャーの外径をテーパー形に長く形成し、先端に行くほど間隔を置いて段々細くて短くなる3段の段差突部を形成してプランジャーにかかる反発圧力を分散させることにより、労せずして徐々に注射することができるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための手段として、本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器は、プランジャーが長円錐状に形成され、先端に行くほど段々細くなり間隔も短くなる3段の段差突部が形成され、このプランジャーが挿入されるバーレルの先端吐出部の縮径管部の内径もプランジャーに対応して上端に行くほど段々小さくなり間隔も短くなる3段の段差凹部が形成されて結合されることにより、吐出部の先端に行くほど大きくかかる反発圧力を順次分散させることにより、薬液の残量損失なしに労せずして注射することができるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、注射器のプランジャーに多段の段差突部を形成して先端に行くほど段々細くなり間隔も段々短くなるように形成し、バーレルの先端吐出部の縮径管部の内径もプランジャーに対応して上端に行くほど段々小さくなり、間隔も段々短くなる3段の段差凹部を形成して互いに対応して結合されるようにすることにより、注射し始める初期から最後に注射が終わるまでプランジャーにかかる反発圧力を最小化するとともに注射液の残量なしに全量を注射することになるので、例えばコロナワクチン注射のように繰り返して多くの人に連続的に注射する場合にも医療陣が疲労感なしに注射することができ、先端部内に大切な薬剤が吐き出されずに残留して廃棄される問題なしに全量を注射することができる効果を有し、高点性を有する骨注射液のような注射液を注射しなければならない注射器などにも非常に効果的に適用して使うことができる効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器の組立断面図である。
【
図2】本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器の部分拡大組立断面図である。
【
図3】本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器のプランジャーの正面図である。
【
図4】本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器のプランジャーの立体断面図である。
【
図5】本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器のバーレルの立体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、前記目的以外に本発明の他の目的及び特徴は添付図面に基づく実施例についての説明によって明らかになるであろう。
【0015】
他に定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使う全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使われる辞典に定義されているもののような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならなく、本出願ではっきり定義しない限り、理想的な又は過度に形式的な意味に解釈されない。
以下では、本発明の実施例によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器を添付図面に基づいてより具体的に説明する。
【0016】
図示のように、本発明によるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器は通常的なルアーロック型の注射器であり、後端に指掛け部2を有するバーレル1の先端吐出部の縮径管部3の外側には内側面に螺旋部5を有するルアーロック結合部4が形成され、前記バーレル1の内側には後端に押圧板7を有する押込みロッド6が挿入され、前記押込みロッド6の先端のプランジャー締結突起8にはプランジャー9の下端内側に形成される押込みロッド締結溝10が形成されることにより、押込みロッド6とプランジャー9が締結される。
【0017】
一方、前記バーレル1の先端に形成されたルアーロック結合部4の螺旋部5に対応してハブ11の下端両側に突設される締結突出部11a、11bが螺旋部5に沿って結合することによってハブ11が締結される。前記ハブ11の上端には内部を貫通して注射針12が締結され、下部内側にはバーレル縮径管部挿入溝13が形成され、ハブ11のネジ結合ルアーロック締結とともに前記バーレル1の縮径管部3が挿入されることにより、注射針12の装着されたハブ11が締結されるように構成される。
【0018】
このような基本構成のうち、前記プランジャー9の構成において、テーパー形の長円錐状のゴム材又はシリコン材からプランジャー9が形成され、上端に行くほど外径が段々縮小し段差部間の間隔も段々短くなる3段の第1段差部14a、第2段差部14b及び第3段差部14cが形成されてプランジャー9が構成され、これに対応して結合されるバーレル1の縮径管部3の内側注射液吐出口15の内面にも第1縮径部16a、第2縮径部16b及び第3縮径部16cが形成され、これもやはり上端に行くほど内径が段々小さくなり縮径部間の間隔も段々短くなることにより、前記プランジャー9と対応して結合されることができる。
【0019】
このように構成される本発明は、通常の注射器の使用時と同様に、別個の薬液容器に注射針12を突き入れた後、押込みロッド6を引っ張れば、その先端に締結されたプランジャー9がバーレル1内で後進し、バーレル1の内部に薬液が充填され、薬液を充填した状態で被注射者の皮膚に注射針を挿入した後、押込みロッド6を押し込めば、プランジャー9がバーレル1の内部で前進しながら内部に充填されている注射液を押し出し、注射針12を通して吐き出して注射することになり、プランジャー9が終点に至れば、バーレル1の縮径管部3の内部の吐出口15に長く挿入される。
【0020】
ここで、前記バーレル1の縮径管部3の内側の吐出口15に形成された第1縮径部16a、第2縮径部16b及び第3縮径部16cにプランジャー9の第1段差部14a、第2段差部14b及び第3段差部14cが順次当接しながら最後の残留注射液を注射針12を通して全部吐き出すようになる。ここで、前記プランジャー9が長円錐状に形成されているだけでなく上側に行くほど間隔が段々短くなる多段の段差部が形成されることにより、圧力が順次分散されて実在にプランジャー9にかかる反発圧力は大きくないので、最後まで柔らかくて一定した圧力で注射液を注入することができ、被注射者は痛症を感じなくなり、注射液が全く残留しないように全部吐き出して注射することができる。
【0021】
本発明に適用されたバーレル縮径管部3の内側の吐出口15の内面に形成された多段の縮径部とプランジャー9に形成された多段の段差部は好適な実施例として3段を例示したが、注射器のサイズ及び容量によって2段又は4段又はそれ以上に形成されても構わなく、段差間の間隔又は段差の傾斜角などは設計の際に状況に応じて多様に変形して実施することができるといのは言うまでもない。
【0022】
以上のように、本発明では具体的な構成要素などの特定の事項及び実施例及び図面に基づいて説明したが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供したものであるだけで、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常的な知識を有する者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能であろう。
【0023】
したがって、本発明の思想は前述した実施例に限って決定されてはいけなく、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求範囲と均等なものや等価的変形がある全てのものは本発明思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0024】
1 バーレル
3 縮径管部
4 ルアーロック結合部
6 押込みロッド
9 プランジャー
11 ハブ
12 注射針
14a、14b、14c 第1、第2、第3段差部
15 吐出部
16a、16b、16c 第1、第2、第3縮径部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端に指掛け部(2)が形成され、先端吐出部の縮径管部(3)の外側には内側面に螺旋部(5)を有するルアーロック結合部(4)が形成されたバーレル(1)と、前記バーレル(1)の内側に挿入され、後端に押圧板(7)を有する押込みロッド(6)と、前記押込みロッド(6)の先端に締結されるプランジャー(9)と、前記ルアーロック結合部(4)にネジ結合され、先端に注射針(12)が装着されたハブ(11)とを含んでなるプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器であって、
前記プランジャー(9)はテーパー形の円錐状に形成され、上端に行くほど段々外径が縮小する3段の第1段差部(14a)、第2段差部(14b)及び第3段差部(14c)と、第1段差部(14a)と第2段差部(14b)との間を円錐台状に接続する部分と、第2段差部(14b)と第3段差部(14c)との間を円錐台状に接続する部分と、第3段差部(14c)から上端に形成される円錐台状の部分とが形成され、これと対応して結合されるバーレル(1)の縮径管部(3)の内側注射液吐出口(15)の内面にも上端に行くほど段々小さくなるように第1縮径部(16a)、第2縮径部(16b)及び第3縮径部(16c)が形成されることにより、プランジャー(9)が対応して結合されるように構成されることを特徴とする、プランジャー反発圧力低減構造を有する注射器。
【請求項2】
前記プランジャー(9)に形成される第1段差部(14a)、第2段差部(14b)及び第3段差部(14c)は、第1段差部(14a)と第2段差部(14b)との間の間隔より前記第2段差部(14b)と第3段差部(14c)との間の間隔が短く形成され、上方に行くほど間隔が段々短く形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器。
【請求項3】
前記バーレル(1)の先端吐出部の縮径管部(3)の内側の吐出口(15)の内面に形成される第1縮径部(16a)、第2縮径部(16b)及び第3縮径部(16c)は、第1縮径部(16a)と第2縮径部(16b)との間の間隔より前記第2縮径部(16b)と第3縮径部(16c)との間の間隔が短い範囲内で形成され、上方に行くほど間隔が段々短く形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプランジャー反発圧力低減構造を有する注射器。