(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104788
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】グランド端子が電力増幅器ダイに隣接する増幅器モジュールおよびシステム
(51)【国際特許分類】
H03F 3/24 20060101AFI20220704BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20220704BHJP
H03F 1/07 20060101ALI20220704BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
H03F3/24
H03F1/02 188
H03F1/07
H03F3/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021169270
(22)【出願日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】17/136,304
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】エヌエックスピー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NXP USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ケビン ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン キム
(72)【発明者】
【氏名】フレーク エグバート バン ストラーテン
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム カリル
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AA63
5J500AA65
5J500AC51
5J500AC86
5J500AF15
5J500AF16
5J500AH07
5J500AH11
5J500AH16
5J500AH24
5J500AK29
5J500AK65
5J500AK66
5J500AK68
5J500AM08
5J500AQ04
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT07
5J500CK06
5J500CK07
5J500LV08
5J500WU08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】十分なグランド基準をパワートランジスタダイに提供する。
【解決手段】増幅器モジュール200は、モジュール基板210を備える。熱散逸構造316は、モジュール基板を通じて延びる。パワートランジスタダイ233のグランドコンタクト434は、熱散逸構造の表面に対し結合されている。封入材料380は、モジュール基板の搭載面209とパワートランジスタダイとを覆う。封入材料の表面は、増幅器モジュールの接触面382を形成する。グランド端子244は、封入材料内に埋め込まれており、グランド端子パッド344に対し結合されている基端と、接触面において露出している先端とを有する。グランド端子パッドは、ビア444を通じてRFグランド層302に対し電気的に結合される。RFグランド層は、同様に、熱散逸構造に対し電気的に結合される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器モジュールであって、
搭載面、信号伝達層、グランド層、および前記搭載面における第1グランド端子パッドを有する、モジュール基板と、
前記モジュール基板を通じて延びる熱散逸構造であって、第1面および第2面を有し、前記第1面は前記モジュール基板の前記搭載面において露出している、熱散逸構造と、
グランドコンタクトを有するパワートランジスタダイであって、前記グランドコンタクトは前記熱散逸構造の前記第1面に対し結合されている、パワートランジスタダイと、
前記モジュール基板の前記搭載面と前記パワートランジスタダイとを覆う封入材料であって、前記封入材料の表面は前記増幅器モジュールの接触面を形成する、封入材料と、
前記封入材料内に埋め込まれた第1グランド端子であって、前記第1グランド端子パッドに対し結合されている基端と前記接触面において露出している先端とを有し、前記パワートランジスタダイの前記グランドコンタクトに対し、前記第1グランド端子パッド、前記モジュール基板の前記グランド層、および前記熱散逸構造を通じて電気的に結合されている、第1グランド端子と、を備える、増幅器モジュール。
【請求項2】
前記熱散逸構造は、金属コインおよび1組のサーマルビアから選択される導体構造を備える、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項3】
前記モジュール基板の前記グランド層は、前記熱散逸構造に接触する、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項4】
前記第1グランド端子は導体ピラーを備える、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項5】
前記第1グランド端子は、
頂面および底面を有する誘電体と、前記誘電体の前記頂面と前記底面との間に延びる導体ビアと、を備えるインターポーザ端子を含む、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項6】
前記第1グランド端子は、
前記誘電体の前記頂面にあり前記導体ビアの第1端に対し接続されている第1導体パッドであって、前記第1グランド端子の前記先端に対応する、第1導体パッドと、
前記誘電体の前記底面にあり前記導体ビアの第2端に対し接続されている第2導体パッドであって、前記第1グランド端子の前記基端に対応する、第2導体パッドと、をさらに備える、請求項5に記載の増幅器モジュール。
【請求項7】
前記パワートランジスタダイと前記第1グランド端子との間の距離は、前記パワートランジスタダイの幅未満である、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項8】
前記グランドコンタクトから、前記熱散逸構造、前記グランド層、前記第1グランド端子パッド、および前記第1グランド端子を通じる導電経路の電気長がラムダ/5未満である、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項9】
前記モジュール基板は、信号端子パッドと、第2グランド端子パッドと、第3グランド端子パッドと、を前記搭載面にさらに備え、前記信号端子パッドは、前記信号伝達層を通じて、前記パワートランジスタダイの入力と出力とのうちの一方に対し電気的に接続されており、前記第2グランド端子パッドおよび前記第3グランド端子パッドは前記信号端子パッドに隣接し、
前記増幅器モジュールは、
前記封入材料内に埋め込まれた信号端子であって、前記信号端子パッドに対し結合された基端と、前記接触面にて露出している先端と、を有する信号端子と、
前記封入材料内に埋め込まれた第2グランド端子であって、前記第2グランド端子パッドに対し結合された基端と、前記接触面にて露出している先端と、を有する第2グランド端子と、
前記封入材料内に埋め込まれた第3グランド端子であって、前記第3グランド端子パッドに対し結合された基端と、前記接触面にて露出している先端と、を有する第3グランド端子と、をさらに備え、
前記信号端子、前記第2グランド端子、および前記第3グランド端子は、グランド-信号-グランド端子構造を形成する、請求項1に記載の増幅器モジュール。
【請求項10】
増幅器システムであって、
第1搭載面、第1信号伝達層、第1グランド層、および前記第1搭載面におけるグランドパッドを有するシステム基板であって、前記グランドパッドは前記第1グランド層に対し電気的に結合されている、システム基板と、
接触面およびヒートシンク取付面を有する増幅器モジュールであって、前記システム基板に対し、前記システム基板の前記搭載面が前記増幅器モジュールの前記接触面に面するように結合されている、増幅器モジュールと、を備え、前記増幅器モジュールは、
第2搭載面、第2信号伝達層、第2グランド層、および前記第2搭載面における第1グランド端子パッドを有する、モジュール基板と、
前記モジュール基板を通じて延びる熱散逸構造であって、第1面および第2面を有し、前記第1面は前記モジュール基板の前記第2搭載面において露出している、熱散逸構造と、
グランドコンタクトを有するパワートランジスタダイであって、前記グランドコンタクトは前記熱散逸構造の前記第1面に対し結合されている、パワートランジスタダイと、
前記モジュール基板の前記第2搭載面と前記パワートランジスタダイとを覆う封入材料であって、前記封入材料の表面は前記増幅器モジュールの前記接触面を形成する、封入材料と、
前記封入材料内に埋め込まれた第1グランド端子であって、前記第1グランド端子パッドに対し結合されている基端と前記接触面において露出している先端とを有し、前記パワートランジスタダイの前記グランドコンタクトに対し、前記第1グランド端子パッド、前記モジュール基板の前記第2グランド層、および前記熱散逸構造を通じて電気的に結合されている、第1グランド端子と、をさらに備える、増幅器システム。
【請求項11】
前記第1グランド端子の前記先端は、前記システム基板の前記グランドパッドに対し結合されている、請求項10に記載の増幅器システム。
【請求項12】
前記グランドコンタクトから、前記熱散逸構造、前記増幅器モジュールの前記第2グランド層、前記第1グランド端子パッド、前記第1グランド端子、前記システム基板の前記グランドパッドを通じ、前記システム基板の前記第1グランド層までの導電経路の電気長が、ラムダ/5未満である、請求項10に記載の増幅器システム。
【請求項13】
前記モジュール基板は、信号端子パッドと、第2グランド端子パッドと、第3グランド端子パッドと、を前記第2搭載面にさらに備え、前記信号端子パッドは、前記第2信号伝達層を通じて、前記パワートランジスタダイの入力と出力とのうちの一方に対し電気的に接続されており、前記第2グランド端子パッドおよび前記第3グランド端子パッドは前記信号端子パッドに隣接し、
前記増幅器モジュールは、
前記封入材料内に埋め込まれた信号端子であって、前記信号端子パッドに対し結合された基端と、前記接触面にて露出しており前記システム基板の前記第1信号伝達層に対し電気的に結合されている先端と、を有する信号端子と、
前記封入材料内に埋め込まれた第2グランド端子であって、前記第2グランド端子パッドに対し結合された基端と、前記接触面にて露出しており前記システム基板の前記第1グランド層に対し電気的に結合されている先端と、を有する第2グランド端子と、
前記封入材料内に埋め込まれた第3グランド端子であって、前記第3グランド端子パッドに対し結合された基端と、前記接触面にて露出しており前記システム基板の前記第1グランド層に対し電気的に結合されている先端と、を有する第3グランド端子と、をさらに備え、
前記信号端子、前記第2グランド端子、および前記第3グランド端子は、グランド-信号-グランド端子構造を形成する、請求項1に記載の増幅器システム。
【請求項14】
前記ヒートシンク取付面に対し結合されているヒートシンクをさらに備える、請求項10に記載の増幅器システム。
【請求項15】
電力増幅器を作製する方法であって、
パワートランジスタダイを、モジュール基板を通じて延びる熱散逸構造に対し結合する工程であって、
前記モジュール基板は、第1搭載面と、第1信号伝達層と、第1グランド層と、前記第1搭載面における第1グランド端子パッドと、を有し、
前記熱散逸構造の第1面は、前記モジュール基板の前記第1搭載面にて露出しており、
前記パワートランジスタダイは、前記熱散逸構造の前記第1面に対し結合されているグランドコンタクトを有する、工程と、
第1グランド端子の基端を前記モジュール基板の前記第1グランド端子パッドに対し結合する工程と、
前記モジュール基板の前記第1搭載面と前記パワートランジスタダイとを封入材料により覆い、増幅器モジュールを形成する工程であって、前記封入材料の表面は前記増幅器モジュールの接触面を形成し、前記第1グランド端子の先端は前記接触面にて露出しており、前記第1グランド端子は、前記パワートランジスタダイの前記グランドコンタクトに対し、前記第1グランド端子パッド、前記モジュール基板の前記グランド層、および前記熱散逸構造を通じて電気的に結合されている、工程と、を備える方法。
【請求項16】
前記増幅器モジュールをシステム基板に対し、前記システム基板の第2搭載面が前記増幅器モジュールの前記接触面に面するように結合する工程をさらに備え、前記システム基板は、第2信号伝達層と、第2グランド層と、前記第2搭載面におけるグランドパッドと、をさらに備え、前記グランドパッドは前記第2グランド層に対し電気的に結合されており、前記第1グランド端子の前記先端は前記グランドパッドに対し結合されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅器モジュールは、前記接触面の反対にあるヒートシンク取付面を有し、前記方法は、
ヒートシンクを前記増幅器モジュールの前記ヒートシンク取付面に対し結合する工程をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モジュール基板は、前記第1搭載面に、信号端子パッドと、第2グランド端子パッドと、第3グランド端子パッドと、をさらに備え、前記方法は、
信号端子の基端を前記信号端子パッドに対し結合する工程と、
第2グランド端子の基端を前記第2グランド端子パッドに対し結合する工程と、
第3グランド端子の基端を前記第3グランド端子パッドに対し結合する工程と、をさらに備え、前記信号端子、前記第2グランド端子、および前記第3グランド端子は、グランド-信号-グランド端子構造を形成し、前記信号端子、前記第2グランド端子、および前記第3グランド端子の先端は、前記モジュール基板の前記接触面にて露出している、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記増幅器モジュールをシステム基板に対し、前記システム基板の第2搭載面が前記増幅器モジュールの前記接触面に面するように結合する工程をさらに備え、前記システム基板は、第2信号伝達層と、第2グランド層と、前記第2搭載面における第1グランドパッド、第2グランドパッド、および第3グランドパッドと、をさらに備え、
前記第1グランドパッド、前記第2グランドパッド、および前記第3グランドパッドは、前記第2グランド層に対し電気的に結合されており、
前記第1グランド端子の前記先端は、前記第1グランドパッドに対し結合されており、
前記第2グランド端子の前記先端は、前記第2グランドパッドに対し結合されており、
前記第3グランド端子の前記先端は、前記第3グランドパッドに対し結合されており、
前記信号端子の前記端部の前記先端は、前記第2信号伝達層に対し結合されている、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において記載される主題の実施形態は、一般に、増幅器モジュールに関し、より詳細には、パワートランジスタダイを備える増幅器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、無線周波数(RF)信号の電力を増加させるための電力増幅器モジュールを利用する。電力増幅器モジュールは、モジュール基板とそのモジュール基板の搭載面に対し結合された増幅器回路とを備える。典型的なモジュール基板は、モジュールの底面(すなわち、モジュールの搭載面の反対にある面)に入力および出力(I/O)端子を備えるとともに、モジュール基板を通じて、またモジュール基板にわたって、I/O端子とボンドパッドとの間に延びる導体信号ルーティング構造を備えてもよい。さらに、1つまたは複数のグランド/熱散逸構造が、モジュール基板を通じて、搭載面と底面との間に延びてよい。
【0003】
増幅器回路は、多くの場合、底面側導体グランド層を有する1つ以上の集積されたパワートランジスタを有するパワートランジスタダイを備える。パワートランジスタダイの底面側導体グランド層は、モジュール基板の搭載面にて露出されたグランド/熱散逸構造の表面に対し直接接続される。パワートランジスタダイから熱を取り除く機能とともに、グランド/熱散逸構造は、パワートランジスタダイに対しグランド基準を提供するように機能してよい。
【0004】
モジュール基板とパワートランジスタダイとの間においてRF信号を伝達するように、モジュールの搭載面におけるボンドパッドとパワートランジスタダイのI/Oボンドパッドとの間に電気的接続が作られる。集積されたパワートランジスタが電界効果トランジスタ(FET)であるとき、ダイの入力ボンドパッドは、FETのゲート端子に対し接続され、ダイの出力ボンドパッドはFETのドレイン端子に対し接続される。FETのソース端子がダイを通じて底面側導体グランド層に対し結合され、その導体グランド層は、上記の通り、同様にモジュール基板のグランド/熱散逸構造に対し接続される。
【0005】
上記の電力増幅器モジュールを通信システムへと統合するように、モジュールは、典型的には、プリント回路板(PCB)の搭載面に対し結合される。より詳細には、底面側モジュール信号I/O端子が、PCB搭載面上の対応する信号I/Oパッドと位置整合するように、モジュール基板底面は、システムPCBの頂面に対し接続される。これに加えて、モジュールのグランド/熱散逸構造が、システムPCBを通じて延びるPCBヒートスプレッダに接触するように、モジュール基板は、システムPCBに対し接続される。したがって、モジュールのグランド/熱散逸構造とシステムPCBヒートスプレッダとの組合せは、パワートランジスタダイによって発生した熱を取り除くための熱経路を提供することと、パワートランジスタダイに対しグランド基準を提供することとの、二重の機能を果たしてよい。
【0006】
動作中、パワートランジスタは、トランジスタダイの入力ボンドパッドを通じて受信された入力RF信号を増幅し、増幅されたRF信号をトランジスタダイの出力ボンドパッドに対し伝達する。その間中、パワートランジスタダイによって発生した熱は、モジュール基板に埋め込まれたグランド/熱散逸構造を通じて、またシステムPCBヒートスプレッダを通じて散逸し、グランド基準もグランド/熱散逸構造とシステムPCBヒートスプレッダとを通じて提供される。
【0007】
上記の構成は、多くの用途について上手く機能する。しかしながら、他の用途は、パワートランジスタダイによって生成された熱のための熱経路が、システムPCBを通じてというよりはむしろシステムPCBから離れる方向に延びる、異なる構成を必要とする。しかしながら、そうした異なる構造は、十分なグランド基準をパワートランジスタダイに提供することに関連する困難を含む、新たな困難を生じる。
【0008】
以下の図面とともに考慮されるとき、主題のより完全な理解が、詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって得られる。同様の参照番号は、図面を通して同様の要素を参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電力増幅器モジュールにおけるドハティ電力増幅器の概略図。
【
図2】例示的な実施形態に従う、
図1のドハティ電力増幅器を具現化する電力増幅モジュールの頂面図。
【
図3】
図2の電力増幅器モジュールの線3-3線に沿った側面図。
【
図4A】
図2の電力増幅器モジュールの例示的な実施形態の線4-4線に沿った断面側面図。
【
図4B】
図2の電力増幅器モジュールの例示的な実施形態の線4-4線に沿った断面側面図。
【
図5A】
図2の電力増幅器モジュールの例示的な実施形態の線5-5に沿った断面側面図。
【
図5B】
図2の電力増幅器モジュールの例示的な実施形態の線5-5に沿った断面側面図。
【
図5C】
図2の電力増幅器モジュールの例示的な実施形態の線5-5に沿った断面側面図。
【
図6】例示的な実施形態に従う、システム基板とヒートシンクとに対し結合された
図2の電力増幅器モジュールを備える増幅器システムの断面側面図。
【
図7】例示的な実施形態に従う、電力増幅器モジュールと増幅器システムとを作製するための方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される発明の主題の実施形態は、システム基板(例えば、プリント回路板(PCB))とそのシステム基盤に対し結合された電力増幅器モジュールとを備える増幅器システムを含む。電力増幅器モジュールは、埋め込まれた熱散逸構造を有するモジュール基板と、その埋め込まれた熱散逸構造に対し接続された電力増幅器ダイとを備える。埋め込まれた熱散逸構造がシステム基板においてヒートスプレッダに対し結合されている従来のシステムとは対照的に、電力増幅器モジュールは、システム基板に対し「フリップされた配向」により搭載され、埋め込まれた熱散逸構造がシステム基板とは反対を向く。したがって、一実施形態では、ヒートシンクが、電力増幅器モジュールの埋め込まれた熱散逸構造の露出した表面に対し直接接続されてよい。
【0012】
そうしたシステムでは、システム基板に対する電力増幅器ダイの適切な接地が、優れた性能を達成するために重要である。電流(DCまたはRF)が閉ループにおいて進行する必要があることが知られている。「戻り電流」は、グランド平面を通じて電流の源に戻って流れる電流として定義される。電流は常に最小の「障害」を有する経路をとる。純粋なDC電流では、例えば、その障害は抵抗である。対照的に、RF電流は、最小インダクタンス経路をとる傾向がある。より高い周波数では、RF戻り電流経路最適化が、電力増幅器性能において重要な役割を果たす。より詳細には、電力増幅器ダイについての戻り電流経路は、効率、利得、または他の性能メトリックの大幅な減少を避けるように、比較的短い(電気長において)。以下に詳細に記載されるように、上記の通り、フリップされた配向によりシステムPCBに対し搭載された電力増幅器モジュールの電力増幅器ダイに適切なグランド/戻り電流経路を提供する接地構造を有する、電力増幅器モジュールの様々な実施形態が本明細書において開示さる。
【0013】
本明細書において記載される電力増幅器モジュールの実施形態は、様々な異なる種類の電力増幅器のうちのいずれかを実装するように利用されてよい。発明の主題の詳細を伝えるのに役立つ具体例を提供するように、ドハティ電力増幅器モジュールの一例が本明細書において利用される。しかしながら、当業者は、本明細書における記載に基づいて、発明の主題が、他の種類の増幅器を実装する電力増幅器モジュールにも同様に利用されてよいことを理解する。したがって、発明の主題が他の種類の電力増幅器モジュールに同様に用いられてよいため、以下の例示的な実施形態におけるドハティ電力増幅器は、発明の主題の用途を限定することを意図しない。
【0014】
電力増幅器モジュールの様々な物理的実装を記載する前に、
図1を参照する。
図1は、電力増幅器モジュール100において実装されるドハティ電力増幅器110の概略図である。電力増幅器モジュール100は、本質的には、モジュール基板(例えば、モジュール基板210、
図2)上に実装されたドハティ増幅器110を備える。ドハティ増幅器110は、一実施形態では、RF入力ノード112と、RF出力ノード114と、電力スプリッタ120と、1つまたは複数のキャリア増幅器ダイ(例えば、ダイ233,234、
図2)を有するキャリア増幅器経路130と、1つまたは複数のピーク増幅器(例えば、ダイ253,254、
図2)を有するピーク増幅器経路150と、位相遅延およびインピーダンス反転素子170と、合成ノード172と、を備える。これに加えて、以下により詳細に議論されるように、電力増幅器モジュール100は、様々な実施形態に係る、キャリアおよびピーク増幅器経路130,150の電力増幅器ダイに対し外部グランド基準を提供するように構成された、1つまたは複数のグランド端子141,145も備える。以下により詳細に記載される通り、グランド端子141,145は、様々な実施形態に従う、ダイについてのグランド戻りループを最適化するように、電力増幅器ダイのごく近くに配置される。
【0015】
より大型のRFシステムへと組み込まれるとき、RF入力ノード112は、RF信号源に対し結合され、RF出力負荷114は負荷190(例えば、アンテナまたは他の負荷)に対し結合される。RF信号源は、典型的には1つまたは複数のキャリア周波数を中心としたスペクトルエネルギーを含むアナログ信号である、入力RF信号を提供する。根本的には、ドハティ増幅器110は、入力RF信号を増幅させるように、また増幅されたRF信号をRF出力ノード114にて生成するように構成される。
【0016】
電力スプリッタ120は、一実施形態では、1つの入力122と2つの出力124,126を有する。電力スプリッタ入力122は、入力RF信号を受信するように、RF入力ノード112に対し結合されている。電力スプリッタ120は、入力122において受信されたRF入力信号を、出力124,126を通じてキャリアおよびピーク増幅器経路130,150に対し提供される、第1および第2のRF信号(またはキャリアおよびピーク信号)へと分割するように構成されている。一実施形態によれば、電力スプリッタ120は、ピーク信号が出力126に提供される前に、第1の位相シフト(例えば、約90度の位相シフト)をピーク信号に対し与えるように構成された第1の位相シフト素子を備える。したがって、出力124および126では、キャリアおよびピーク信号は、互いから位相が約90度ずれている。
【0017】
ドハティ増幅器110が対照的な構成(すなわち、キャリアおよびピーク増幅器パワートランジスタが、寸法においてほぼ同一である構成)を有するとき、電力スプリッタ120は、入力122にて受信された入力RF信号を、いくつかの実施形態では、等しい電力を有する非常に類似した2つの信号へと分割またはスプリットしてよい。対照的に、ドハティ増幅器110が非対称な構成(すなわち、増幅器パワートランジスタのうちの一方が、典型的にはピーク増幅器トランジスタが、非常に大きい構成)を有するとき、電力スプリッタ120は、等しくない電力を有するキャリアおよびピーク信号を出力してよい。
【0018】
電力スプリッタ120の出力124,126は、キャリアおよびピーク増幅器経路130,150に対しそれぞれ接続されている。キャリア増幅器経路130は、スプリッタ120からのキャリア信号を増幅するように、また増幅されたキャリア信号を電力合成ノード172に対し提供するように構成されている。同様に、ピーク増幅器経路150は、電力スプリッタ120からのピーク信号を増幅するように、また増幅されたピーク信号を電力合成ノード172に対し提供するように構成され、経路130,150は、増幅されたキャリアおよびピーク信号が電力合成ノード172にて互いと同相で到達するように設計される。
【0019】
一実施形態によれば、キャリア増幅器経路130は、入力回路131(例えば、インピーダンス整合回路を含む)と、1つまたは複数のキャリア増幅器ダイ(例えば、ダイ233,234、
図2)を用いて実装されたキャリア増幅器132と、位相シフトおよびインピーダンス反転素子170と、を備える。
【0020】
キャリア増幅器132は、様々な実施形態では、RF入力端子134と、RF出力端子138と、入力および出力端子134,138間に結合された1つまたは複数の増幅段階と、を備える。RF入力端子134は、入力回路170を通じて電力スプリッタ120の第1の出力124に対し結合され、したがって、RF入力端子134は、電力スプリッタ120によって生成されたキャリア信号を受信する。
【0021】
キャリア増幅器132の各増幅段階は、パワートランジスタを備える。単一段階のキャリア増幅器132では、単一のパワートランジスタが単一の電力増幅器ダイ上に実装されてよい。2段階のキャリア増幅器132では、2つのパワートランジスタが単一の電力増幅器ダイ上に実装されてよく、または、
図2に示される電力増幅器モジュールに例示されるように、各電力増幅器が別個のダイ(例えば、ダイ233,234、
図2)上に実装されてよい。
【0022】
いずれにしても、各パワートランジスタは、制御端子(例えば、ゲート端子)と、第1および第2の電流搬送端子(例えば、ドレイン端子およびソース端子)とを備える。単一のパワートランジスタを備える単一段階のデバイスでは、制御端子は、RF入力端子134に対し電気的に接続され、電流搬送端子(例えば、ドレイン端子)はRF出力端子138に対し電気的に接続され、他の電流搬送端子(例えば、ソース端子)はグランド基準(または別の電圧基準)に対し電気的に接続される。対照的に、2段階の増幅器は、直列に結合された2つのパワートランジスタを備え、第1のトランジスタは比較的低利得を有するドライバ増幅器トランジスタとして機能し、第2のトランジスタは比較的高利得を有する最終段階の増幅器トランジスタとして機能する。そうした実施形態では、ドライバ増幅器トランジスタの制御端子は、RF入力端子134に対し電気的に接続され、ドライバ増幅器トランジスタの電流搬送端子のうちの一方(例えば、ドレイン端子)は、最終段階の増幅器トランジスタの制御端子に対し電気的に接続されてよく、ドライバ増幅器トランジスタの他方の電流搬送端子(例えば、ソース端子)は、特殊化されたグランド端子141の一実施形態を通じてグランド基準(または別の電圧基準)に対し電気的に接続される。これに加えて、最終段階の増幅器トランジスタの電流搬送端子のうちの一方(例えば、ドレイン端子)は、RF出力端子138に対し電気的に接続され、最終段階の増幅器トランジスタの他方の電流搬送端子(例えば、ソース端子)は、特殊化されたグランド端子141の一実施形態を通じてグランド基準(または別の電圧基準)に対し電気的に接続される。
図2~
図4とともにより詳細に説明されるように、キャリア増幅器ドライバおよび/または最終段階増幅器トランジスタのグランド基準に対する電気的接続は、比較的短いグランド戻り経路をキャリア増幅器に提供するようにキャリア増幅器トランジスタのごく近くに配置された特殊化されたグランド端子を用いて作られてよい。
【0023】
パワートランジスタに加えて、入力および出力インピーダンス整合ネットワークの部分と、バイアス回路(
図1に示されない)とが、キャリア増幅器132内に含まれてもよく、および/またはキャリア増幅器132に対し電気的に結合されてもよい。さらに、キャリア増幅器132が2段階デバイスである一実施形態では、段階間の整合ネットワーク(
図1に示されない)が、ドライバ増幅器トランジスタと最終段階の増幅器トランジスタとの間においてキャリア増幅器132内に含まれてもよい。
【0024】
キャリア増幅器132のRF出力端子138は、一実施形態では、位相シフトおよびインピーダンス反転素子170を通じて、電力合成ノード172に対し結合されている。一実施形態によれば、インピーダンス反転素子は、キャリア増幅器132による増幅後に約90度の相対位相シフトをキャリア信号に対し与える、ラムダ/4(λ/4)伝送線路位相シフト素子である。インピーダンス反転素子170の第1端は、キャリア増幅器132のRF出力端子138に対し結合され、位相シフト素子170の第2端は、電力合成ノード172に対し結合されている。
【0025】
これよりピーク増幅器経路150を参照し、ピーク増幅器経路150は、一実施形態では、ピーク増幅器152と入力回路151(例えば、インピーダンス整合回路)とを備える。ピーク増幅器152は、様々な実施形態では、RF入力端子154と、RF出力端子158と、入力および出力端子154,158間に結合された1つまたは複数の増幅段階と、を備える。RF入力端子154は、電力スプリッタ120の第2の出力126に対し結合され、したがって、RF入力端子154は、電力スプリッタ120によって生成されたピーク信号を受信する。
【0026】
キャリア増幅器132とともに、ピーク増幅器152の各増幅段階は、制御端子と第1および第2の電流搬送端子とを有するパワートランジスタを備える。ピーク増幅器152のパワートランジスタは、キャリア増幅器132の記載とともに上記されたものと同様にして、RF入力および出力端子154,158間に電気的に結合されてよい。キャリア増幅器132の記載とともに議論される追加の他の詳細は、ピーク増幅器152に対しても適用され、それらの追加の詳細は、簡潔さのためここでは繰り返さない。しかしながら、繰り返すべき1つの重要な点は、各ピーク増幅器トランジスタの電流搬送端子(例えば、ドライバおよび/または最終段階のピーク増幅器トランジスタのソース端子)は、キャリア増幅器132の記載とともに上記されたように、特殊化されたグランド端子145の一実施形態を通じてグランド基準(または別の電圧基準)に対し電気的に接続されてよいことである。
図2~
図4とともにより詳細に説明されるように、ピーク増幅器ドライバおよび/または最終段階増幅器トランジスタのグランド基準に対する電気的接続は、比較的短いグランド戻り経路をピーク増幅器に提供するようにピーク増幅器トランジスタのごく近くに配置された特殊化されたグランド端子を用いて作られてよい。
【0027】
ピーク増幅器152のRF出力端子158は、電力合成ノード172に対し結合されている。一実施形態では、ピーク増幅器152のRF出力端子158と電力合成ノード172とは共通の素子により実装される。より詳細には、一実施形態では、ピーク増幅器152のRF出力端子158は、ピーク増幅器152の合成ノード172、また出力端子158の両方として機能するように構成される。増幅されたキャリアおよびピーク信号の合成を容易にするため、RF出力端子158(したがって合成ノード172)は、位相シフトおよびインピーダンス反転素子170の第2端に対し接続される。他の実施形態では、合成ノード172は、RF出力端子158とは別個の素子であってよい。
【0028】
いずれにしても、増幅されたキャリアおよびピークRF信号は、同相で合成ノード172にて合成される。合成ノード172は、増幅され合成されたRF出力信号をRF出力ノード114に提供するように、RF出力ノード114に対し電気的に結合される。一実施形態では、合成ノード172とRF出力ノード114との間の出力インピーダンス整合ネットワーク174が、適切な負荷インピーダンスをキャリアおよびピーク増幅器132,152の各々に対し提示するように機能する。得られた増幅されたRF出力信号は、RF出力ノード114にて生成され、RF出力ノード114には、出力負荷190(例えば、アンテナ)が接続される。
【0029】
増幅器110は、キャリア増幅器経路130が比較的低レベルの入力信号についての増幅を提供し、増幅経路130,150の両方が比較的高レベルの入力信号についての増幅を提供するべく組合せにより動作するように構成される。これは、例えば、キャリア増幅器132がクラスABモードにより動作するようにキャリア増幅器132にバイアスをかけることによって、またピーク増幅器152がクラスCモードにより動作するようにピーク増幅器152にバイアスをかけることによって、達成されてよい。
【0030】
図1に示され上記された実施形態では、スプリッタ120における第1の位相シフト素子は、増幅前に約90度の位相シフトをピーク信号に与え、位相シフトおよびインピーダンス反転素子170は、同様に、約90度の位相シフトを増幅されたキャリア信号に与え、その結果、増幅されたキャリアおよびピーク信号は、合成ノード172にて同相で合成される。そうしたアーキテクチャは、非反転ドハティ増幅器アーキテクチャと呼ばれる。代替の実施形態では、スプリッタ120における第1の位相シフト素子は、増幅前に約90度の位相シフトを、ピーク信号にというよりはむしろキャリア信号に与えてよく、位相シフトおよびインピーダンス反転素子170が、代わりにピーク増幅器の出力に備えられてよい。そうした代替のアーキテクチャは、反転ドハティ増幅器アーキテクチャと呼ばれる。さらに他の代替の実施形態では、位相シフト素子の他の組合せが、増幅前にキャリア信号とピーク信号との間における約90度の位相差を達成するように、増幅前にキャリアおよび/またはピーク経路130,150において実装されてよく、増幅されたキャリアおよびピーク信号に付与された位相シフトは、信号が同相で合成ノード172にて合成されることを確実にするように、それに応じて選択されてよい。
【0031】
図2は、例示的な実施形態に従う、
図1のドハティ可増幅回路を具現化する電力増幅モジュール200の頂面図である理解の向上のため、
図2は、線3-3に沿った
図2のモジュール200の断面側面図である
図3と同時に参照されたい。本質的には、電力増幅器モジュール200は、多層モジュール基板210により実装されたドハティ電力増幅器(例えば、電力増幅器110、
図1)と、複数のパワートランジスタダイ233,234,253,254と、他の電気コンポーネントと、を備える。電力増幅器モジュール200の様々なコンポーネントが、
図1に示されるコンポーネントと対応し、
図1と
図2~
図3との間において対応するコンポーネントは下2桁の数字が同一である(例えば、コンポーネント120および220は対応するコンポーネントである)ことに留意されたい。
【0032】
電力増幅器モジュール200は、多層プリント回路板(PCB)または他の適切な基板の形態におけるモジュール基板210を備える。モジュール基板210は、頂面209(「搭載面」とも呼ばれる)および底面211(「ヒートシンク取付面」とも呼ばれる)を有する。以下により詳細に記載されるように、複数のコンポーネントおよび端子212,214,241~248,261,262,265,266は、モジュール基板210の搭載面209に対し結合され、非導体封入材料380(例えば、可塑性封入材)は、モジュール200の頂面382(「接触面」とも呼ばれる)搭載面209上にまたコンポーネントおよび端子212,214,241~248,261,262,265,266の上方に載置される。
図3に示されるように、封入材料380は、封入材料380によって覆われたコンポーネント(例えば、スプリッタ220およびパワートランジスタダイ233,234,253,254)の最大高さよりも大きい厚さ384を有する。
【0033】
以下にもまたより詳細に記載されるように、端子212,214,241~248,261,262,265,266の下部のまたは基端面は、モジュール基板210の搭載面209上の導体フィーチャに対し結合され、端子212,214,241~248,261,262,265,266の上部のまたは先端面は、封入材料380の接触面382にて露出している。導体取付材料383(例えば、はんだボール、はんだペースト、または導体接着剤)は、後により詳細に記載されるモジュール200のシステム基板(例えば、システム基板610、
図6)に対する電気的および機械的取付を容易にするように、端子212,214,241~248,261,262,265,266の露出した先端面に載置される。端子212,214,241~248,261,262,265,266の様々なフィーチャおよび実施形態が、後により詳細に議論される。
【0034】
図3に示されるように、モジュール基板210は、複数の導体層301,302,303,304と交互の配置により、複数の誘電体層305,306,307(例えば、FR-4、セラミック、または他のPCB誘電体材料から形成される)を備え、モジュール基板210の頂面209は、パターニングされた導体層301によって形成され、モジュール基板210の底面211は、導体層304によって形成される。モジュール基板210は3つの誘電体層305~307と4つの導体層301~304を備えるように示されるが、モジュール基板の他の実施形態は、より多数または少数の誘電体層および/または導体層を備えてよいことに留意されたい。
【0035】
異なる導体層301~304の各々は、主要目的を有してよく、また信号および/または他の層同士の間の電圧/グランドルーティングを行う導体フィーチャを備えてもよい。以下の記載は導体層301~304の各々についての主要目的を示すが、層(またはそれらの機能)は、
図3に最もよく示され以下において議論される特定の配置とは異なって配置されてよいことが理解される。
【0036】
例えば、一実施形態では、モジュール基板210の搭載面209におけるパターニングされた導体層301は、主として信号伝達層として機能してよい。より詳細には、層301は、複数の導体フィーチャ(例えば、導体パッドまたはトレース)を備え、複数の導体フィーチャは、ダイ233,234,253,254および他のディスクリートコンポーネント用の取付点として機能し、さらにダイ233,234,253,254と他のディスクリートコンポーネントとの間の電気的接続性を提供する。これに加えて、以下に議論されるように、層301は、
図4および
図5とともにより詳細に記載される、導電信号および/またはグランド端子212,214,241~248,261,262,265,266の取付け用に具体的に指定された複数の導体パッド(例えば、信号端子パッド312およびグランド端子パッド342,344,366)を備えてよい。
【0037】
第2のパターニングされた導体層302は、RFグランド層として機能する。RFグランド層302はまた、誘電体層305~307を通じて延びる導体ビア311,313,315により、信号伝達層301の導体フィーチャに対し、またシステムグランド層304(以下に記載)に対し電気的に結合され得る複数の導体フィーチャ(例えば、導体トレース)を備える。例えば、導体グランド端子パッド342,344,366は、ビア311を通じてRFグランド層302に対し電気的に結合され、RFグランド層302は同様に、ビア313,315(および導体層303のルーティングフィーチャ)を通じてシステムグランド層304に対し電気的に結合される。
【0038】
第3のパターニングされた導体層303は、バイアス電圧をダイ233,234,253,254内のパワートランジスタ236,237,256,257に対し伝達するように機能し、上述の通り、ルーティング層として機能してもよい。最後に、第4の導体層304は、
図6とともにより詳細に説明されるように、システムグランド層として、またヒートシンク取付層としても機能する。
【0039】
一実施形態によれば、モジュール基板210は、モジュール基板210の頂面および底面209,211間に延びる1つまたは複数の熱散逸構造316を備えてもよい。ダイ233,234,253,254は、モジュール基板210の頂面209にて露出した熱散逸構造316の表面317に対し物理的および電気的に結合されている。熱散逸構造316の底面318は、モジュール基板210の底面211にて露出してよく、または熱散逸構造316の底面318は、
図3に示されるように、底部導体層304により覆われてよい。いずれにしても、熱散逸構造316は、ダイ233,234,253,254と熱散逸構造316の底面318(したがって、モジュール基板210の底面)との間に熱経路を提供するように構成される。様々な実施形態では、熱散逸構造316は、圧入されたおよび/またはモジュール基板210の表面209,211間に延びるスルーホールへと取付けられた導体金属コインを備えてよい。代替の実施形態では、熱散逸構造316の各々は、モジュール基板210の表面209,211間に延びる複数の(または1組の)導体サーマルビア(例えば、円形または棒形状ビア)を備えてよい。
図6とともにより詳細に記載されるように、熱散逸構造316の表面318(またはそれらの表面318に重なる導体層304の部分)は、モジュール200が大型電気システム内に一体化されるとき、物理的および熱的にヒートシンク(例えば、ヒートシンク、
図6)に対し結合される。
【0040】
電力増幅器モジュール200は、RF信号入力端子212(例えば、RF入力ノード112、
図1)と、2段階キャリア増幅器232(例えば、増幅器132、
図1)と、2段階ピーク増幅器252(例えば、増幅器152、
図1)と、様々な位相シフトおよびインピーダンス反転素子、合成ノード272(例えば、合成ノード172、
図1)と、出力インピーダンス整合ネットワーク274(例えば、ネットワーク174、
図1)と、およびRF信号出力端子214(例えば、RF出力ノード114、
図1)とをさらに備える。
【0041】
端子212は、モジュール200用のRF信号入力端子として機能し、モジュール基板210の頂面209にてRF信号入力パッド312に対し結合される。1つまたは複数の導体構造(例えば、示されるようなビア、トレース、および/またはワイヤボンド)を通じて、RF信号入力パッド312は、電力スプリッタ220への入力222に対し電気的に結合される。
【0042】
図2ではディスクリートダイおよび/またはコンポーネントが単一素子として示されているが、システム基板210の搭載面209に対し接続された電力スプリッタ220は、1つまたは複数のディスクリートダイおよび/またはコンポーネントを備えてよい。電力スプリッタ220は、1つの入力222と2つの出力端子(番号が付されないが、
図1の端子124,126に対応)とを備える。入力端子222は、1つまたは複数の導体構造(例えば、示されるようなビア、トレース、および/またはワイヤボンド)を通じてRF信号入力パッド312に対し、またRF信号入力端子212に対し電気的に結合され、したがって、入力RF信号を受信するように構成される。電力スプリッタ220の出力端子は、1つまたは複数の導体構造(例えば、ビア、トレース、および/またはワイヤボンド)および入力回路231,251を通じて、キャリアおよびピーク増幅器232,252用の入力235,255に対し電気的に結合される。
【0043】
電力スプリッタ220は、RF入力端子212を通じて受信した入力RF信号の電力を、電力スプリッタ220の出力端子にて生成される第1および第2のRF信号へと分割する。これに加えて、電力スプリッタ220は、スプリッタ出力端子に提供されたRF信号間に約90度の位相差を与えるように構成された1つまたは複数の位相シフト素子を備えてよい。電力スプリッタ220の出力にて生成された第1および第2のRF信号は、前記の通り、等しいまたは等しくない電力を有してよい。
【0044】
電力スプリッタの第1の出力は、キャリア増幅器経路130(すなわち、キャリア増幅器232)に対し電気的に結合されており、電力スプリッタの第2の出力は、ピーク増幅器経路(すなわち、ピーク増幅器252に対し)に対し電気的に結合されている。第2の電力スプリッタ出力にて生成されたRF信号は、第1の電力スプリッタ出力にて生成されたRF信号から約90度遅延してよい。換言すると、ピーク増幅器経路に対し提供されるRF信号は、キャリア増幅器経路に対し提供されるRF信号から約90度遅延してよい。いずれにしても、電力スプリッタ220によって生成された第1RF信号は、キャリア増幅器経路232を通じて増幅され、電力スプリッタ220によって生成された第2のRF信号は、ピーク増幅器経路252を通じて増幅される。
【0045】
図2の特定の実施形態では、キャリアおよびピーク増幅器経路の各々は、2段階の電力増幅器232,252を備え、電力増幅器232,252では、ドライバ増幅器トランジスタ236,256がドライバ増幅器ダイ233,253上に実装され、最終段階の増幅器トランジスタ237,257が別個の最終段階の増幅器ダイ234,254上に実装される。例えば、トランジスタ236,237,256,257の各々は、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)FETまたは高電子移動度トランジスタ(HEMT)などの電界効果トランジスタ(FET)であってよい。明細書および特許請求の範囲は、制御端子と2つの電流導電端子とを備える各トランジスタを参照し得る。例えば、FETに関連する専門用語を用いて、「制御端子」はトランジスタのゲート端子を参照し、第1および第2の電流導電端子はトランジスタのドレインおよびソース端子(またはソースおよびドレイン端子)を参照する。以下の記載は、FETデバイスとともに一般に用いられる専門用語を用いてよいが、様々な実施形態は、FETデバイスを利用する実装に限定されず、代わりにバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)デバイスまたは他の適切な種類のトランジスタを利用する実装にも適用されることが意図される。
【0046】
キャリア増幅器232は、より詳細には、例示的な実施形態に従って、シリコンドライバ段階のダイ233と窒化ガリウム(GaN)最終段階のダイ234とを備え、ピーク増幅器252も、シリコンドライバ段階のダイ253とGaN最終段階のダイ254とを備える。他の実施形態では、キャリアおよびピーク増幅器232,252の各々は、単一ダイ上に実装された2段階の電力増幅器を備えてよく、または、キャリアおよびピーク増幅器232,252の各々は、単一ダイ上に実装された単一段階の電力増幅器を備えてよい。さらに別の実施形態では、キャリアおよびピーク増幅器の各々は、別個のドライバおよび最終段階のダイ上に実装された2段階電力増幅器を備えてよいが、ドライバおよび最終段階のダイは、同一の半導体技術(例えば、ドライバと最終段階との両方のダイがシリコンダイまたはGaNダイ)を用いて形成されてよく、またはドライバおよび/または最終段階のダイが、上記の技術とは異なる半導体技術(例えば、ドライバおよび/または最終段階のダイがシリコンゲルマニウム(SiGe)および/またはガリウムヒ素(GaAs)ダイ)を用いて形成されてよい。
【0047】
キャリア増幅器経路は、上述のドライバ段階のダイ233と、最終段階のダイ234と、および位相シフトおよびインピーダンス反転素子270(例えば、素子170、
図1)とを備える。キャリア増幅器経路232のドライバ段階のダイ233および最終段階のダイ234は、ドライバ段階のダイ233の入力端子の235(キャリア増幅器入力に対応)と最終段階ダイ234の出力端子238(キャリア増幅器出力に対応)との間において、カスケード配置によりともに電気的に結合されている。
【0048】
ドライバ段階のダイ233は、複数の集積回路を備える。一実施形態では、ダイ233の集積回路は、一実施形態では、入力端子235(例えば、入力端子135、
図1)の直列結合された配置と、入力インピーダンス整合回路(番号が付されない)と、シリコンパワートランジスタ236と、段階間インピーダンス整合回路の集積部分(番号が付されない)と、番号が付されない出力端子と、を備える。より詳細には、トランジスタ236のゲートは、インピーダンス整合回路を通じて入力端子235に対し電気的に結合され、トランジスタ236のドレインは、出力インピーダンス整合回路を通じてダイ233の出力端子に対し電気的に結合される。トランジスタ236のソースは、ダイ233の底面において導体層(または、ソースコンタクト434などのソース端子434、
図4A、
図4B)に対し電気的に結合され、底部導体層は、熱散逸構造316の露出した頂面317に対し物理的、電気的および熱的に結合される。
【0049】
ドライバ段階のダイ233の出力端子は、ワイヤボンドアレイ(番号が付されない)または別の種類の電気的接続により、最終段階のダイ234の入力端子に対し電気的に接続される。最終段階のダイ234も、複数の集積回路を備えてよい。一実施形態では、ダイ234の集積回路は、入力端子(番号が付されない)の直列結合された配置と、GaNパワートランジスタ237と、出力端子238(例えば、出力端子138、
図1)と、を備える。より詳細には、トランジスタ237のゲートは、ダイ234の入力端子に対し電気的に結合され、トランジスタ237のドレインは、ダイ234の出力端子に対し電気的に結合される。トランジスタ237のソースは、ダイ234の底面における導体層に対し電気的に結合され、底部導体層は、熱散逸構造316の露出した頂面317に対し物理的、電気的および熱的に結合される。
【0050】
ピーク増幅器経路は、上述のドライバ段階のダイ253と最終段階のダイ254とを備える。ピーク増幅器経路252のドライバ段階のダイ253および最終段階のダイ254は、ドライバ段階のダイ253の入力端子255(ピーク増幅器入力に対応)と最終段階のダイ254の出力端子258(ピーク増幅器出力に対応)との間において、カスケード配置によりともに電気的に結合される。
【0051】
ドライバ段階のダイ253は、複数の集積回路を備える。一実施形態では、ダイ253の集積回路は、入力端子255の直列結合された配置(例えば、入力端子155、
図1)と、入力インピーダンス整合回路(番号が付されない)と、シリコンパワートランジスタ256と、段階間インピーダンス整合回路の一体化された部分(番号が付されない)と、一実施形態において、番号が付されない出力端子と、を備える。より詳細には、トランジスタ256のゲートは、インピーダンス整合回路を通じて入力端子255に対し電気的に結合され、トランジスタ256のドレインは、出力インピーダンス整合回路を通じてダイ253の出力端子に対し電気的に結合される。トランジスタ256のソースは、ダイ253の底面における導体層に対し電気的に結合され、底部導体層は、熱散逸構造(例えば、熱散逸構造316と類似または同一)の露出した頂面に対し物理的、電気的および熱的に結合される。
【0052】
ドライバ段階のダイ253の出力端子は、ワイヤボンドアレイ(番号が付されない)または別の種類の電気的接続により、最終段階のダイ254の入力端子に対し電気的に接続される。最終段階のダイ254も、複数の集積回路を備えてよい。一実施形態では、ダイ254の集積回路は、入力端子(番号が付されない)の直列結合された配置と、GaNパワートランジスタ257と、出力端子258(例えば、出力端子158、
図1)と、を備える。より詳細には、トランジスタ257のゲートは、ダイ254の入力端子に対し電気的に結合され、トランジスタ257のドレインは、ダイ254の出力端子258に対し電気的に結合される。トランジスタ257のソースは、ダイ254の底面における導体層に対し電気的に結合され、底部導体層は、熱散逸構造の露出した頂面に対し物理的、電気的および熱的に結合される。
【0053】
増幅されたキャリア信号は、最終段階のダイ234の出力端子238にて生成され、増幅されたピーク信号は、最終段階のダイ254の出力端子258にて生成され、最終段階のダイ254は、増幅器用の合成ノード272(例えば、ノード172、
図1)としても機能する。一実施形態によれば、キャリア最終段階ダイ234の出力端子238は、位相シフトおよびインピーダンス反転素子270の第1端に対し電気的に結合され(例えば、ワイヤボンド(番号が付されない)または別の種類の電気的接続により)、ピーク最終段階ダイ254の出力端子258は、位相シフトおよびインピーダンス反転素子270の第2端に対し電気的に結合される(例えば、ワイヤボンド(番号が付されない)または別の種類の電気的接続により)。
【0054】
一実施形態によれば、位相シフトおよびインピーダンス反転素子270は、導体層301の一部から形成される、4分の1波長もしくはラムダ/4(λ/4)またはより短い伝送線(例えば、最大約90度まで電気長を有するマイクロストリップ伝送線路)により実装されてよい。本明細書において用いられる際、ラムダは増幅器の動作の基本周波数におけるRF信号の波長である(例えば、約600メガヘルツ(Mz)~約10ギガヘルツ(GHz)またはそれより高い範囲における周波数)。位相シフトおよびインピーダンス反転素子270とダイ234,254の出力端子238,258に対するワイヤボンド(または他の)接続との組合せは、信号が出力端子238から出力端子258/合成ノード272に進行するときに、増幅されたキャリア信号に対し約90度の相対位相シフトを与えてよい。キャリアおよびピークRF信号に対しキャリアおよびピーク経路を通じてそれぞれ別個に与えられた様々な位相シフトがほぼ等しいとき、増幅されたキャリアおよびピークRF信号は出力端子258/合成ノード272にてほぼ同相で合成される。
【0055】
出力端子258/合成ノード272は、出力インピーダンス整合ネットワーク274(例えば、ネットワーク174、
図1)を通じてRF出力端子214(例えば、ノード114、
図1)に対し電気的に結合されている(例えば、ワイヤボンドまたは別の種類の電気的接続により)。出力インピーダンス整合ネットワーク274が、適切な負荷インピーダンスをキャリアおよびピーク最終段階ダイ234,254の各々に対し提示するように機能する。
図2に非常に単純化された形態により示されるが、出力インピーダンス整合ネットワーク274は、出力端子258/合成ノード272とRF出力端子214との間に、様々な導体トレース、所望のインピーダンス整合を提供する追加のディスクリートコンポーネント(例えば、キャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器)を備えてよい。
【0056】
前に議論されたように、複数の端子212,214,241~248,261,262,265,266は、モジュール基板210の搭載面209に対し結合され、非導体封入材料380は、モジュール200の接触面382を形成するように、搭載面209上に、また端子212,214,241~248,261,262,265,266のまわりに載置される。端子212,214のうちの特定のものは、信号I/O端子に対応し、端子241~248,261,262,265,266のうちの他のものは、グランド端子の実施形態に対応する。
図2に示されないが、トランジスタ236,237,246,247に対するバイアス電圧(例えば、ゲートおよび/またはドレインバイアス電圧)を提供する追加の端子が、搭載面209に対し結合されてもよい。
【0057】
端子212,214,241~248,261,262,265,266の第1の実施形態が、より詳細に
図3、
図4A、および
図5に示される。
図3と同様に、
図4Aおよび
図5Aは、それぞれ
図2の電力増幅器モジュール200の線4-4および5-5に沿った断面側面図である。
【0058】
より詳細には、
図3、
図4Aおよび
図5Aの断面は、端子212,214,242-244,265および266を通って切断し、端子212および214は信号端子であり、端子242-244,265および266はグランド端子である。それらの種類にかかわらず、各端子212,214,242-244,265および266は、モジュール基板210の搭載面209にて端子パッド(例えば、端子パッド312,314,342,343,344,365,366)に対し接続され、各端子パッドは、パターニングされた導体層301の一部から形成される。信号端子212,214は、RF信号を伝達するように構成され、したがって、信号端子212,214およびそれらの関連する信号パッド312,314は、信号伝達層301の部分から形成された導体トレースに対し電気的に結合される。対照的に、グランド端子241~248,261,262,265,266は、RFグランド層302と外部グランド(例えば、システム基板610のグランド層602、
図6)との間の接続を提供するように構成され、したがって、それらのグランド端子およびそれらの関連するグランド端子パッド(例えば、パッド342,343,344,365,366)は、導体ビア(例えば、ビア442,443,444,465,466)を通じてRFグランド層302に対し電気的に結合される。
図4Aに最もよく示されるように、RFグランド層302は、同様に、ダイ233,234,253,254が接続される熱散逸構造(例えば、構造316)に対し電気的に結合され、したがって、熱散逸構造316、RFグランド層302、ビア442,443,444,465,466、グランド端子パッド342,343,344,365,366、およびグランド端子241~248,261,262,265,266の組み合わせは、パワートランジスタダイ233,234,253,254とモジュール200の接触面382との間に導電経路を提供する。
【0059】
特定の実施形態によれば、
図3および
図4Aに最もよく示されるように、グランド端子241~248のうちの少なくともいくらかが、パワートランジスタダイ233,234,253,254のうちの1つまたは複数の側面に隣接して、また「ごく近接して」配置される。本明細書において用いられる際、表現「ごく近接して」は、上の文脈では、パワートランジスタダイ(例えば、ダイ234)の側面(例えば、側面334、
図4A)とグランド端子(例えば、グランド端子244)の側面との物理的距離(例えば、距離485、
図4A)が、グランド端子が隣接するダイの幅(例えば、距離485に平行なダイの寸法である、幅486)未満であることを意味する。これに加えて、またはこれに代えて、表現「ごく近接して」は、上の文脈では、熱散逸構造(例えば、構造316)を通じたダイ用のグランドコンタクト(例えば、底面ソースコンタクト434)、RFグランド層(例えば、層302)、任意の介在ビア(例えば、ビア444)、グランド端子パッド(例えば、パッド344)、およびグランド端子(例えば、端子244)の高さ間の導電経路(例えば、破線経路487)の電気長が、いくつかの実施形態では約ラムダ/5(λ/5)未満である、または他の実施形態では約ラムダ/16(λ/16)未満であることを意味する。
図2は、モジュール基板210の搭載面209上の特定の位置に配置されたグランド端子241~248を示すが、グランド端子241~248も、追加のおよび/または異なる位置に配置されてよい。より詳細には、グランド端子が配置され、その結果、グランド端子の最終的な効果が最小化され得る、または、定常波と類似のピーク電流エリアを有し得るモジュール基板210にわたって広がるRF戻り電流をほぼ除去することが望ましい。
【0060】
図6とともにより詳細に説明されるように、グランド端子241~248をパワートランジスタダイ233,234,253,254に対しごく近接して配置することは、モジュール200がシステム基板(例えば、システム基板610、
図6)に対し搭載され運転状態にされると、ダイ233,234,253,253に対し比較的短い戻り電流ループを容易にする。この構成は、比較的長い戻り電流ループが実装されたシステムに生じ得る潜在的な有害な性能問題を回避する。
【0061】
別の特定の実施形態によれば、
図3および
図5Aに最もよく示されるように、少なくともいくつかの他のグランド端子261,262,265,266が、モジュール200のRF入力およびRF出力にGSG(グランド-信号-グランド)端子構造260,264を提供するように、端子212,214の両側面に、また両側面に対し「ごく近接して」配置される。本明細書において用いられる際、表現「ごく近接して」は、上の文脈では、グランド端子(例えば、グランド端子265または266)の側面と信号端子(例えば、信号端子214)のうち最も近い側面との間の物理的距離(例えば、距離585、
図5A)が、信号端子212,214の幅の2倍未満であることを意味する。GSG端子構造をモジュール200のRF入力およびRF出力に実装することによって、端子構造に関連する戻り電流ループの長さが非常に短くなってよい。これに加えて、信号端子212,214からの放射電磁エネルギーは、近接するグランド端子261,262,265,266によってグランドまでに終端されてよく、放射電磁エネルギーがモジュールの他の部分に達することが可能であるときに生じ得る潜在的な性能問題を回避する。
【0062】
図3、
図4A、および
図5に示される実施形態では、各信号およびグランド端子214,215,241~248,261,262,264,265は、剛性導体端子ピラーまたはポストを備え、基端はそれぞれの端子パッド(例えば、端子パッド312,314,342,343,344,365,366)に対し直接接続され、先端はモジュール200の接触面382にて露出している。一実施形態によれば、信号およびグランド端子214,216,241~248,261,262,264,265用のピラーは、銅または別の適切な導体金属などの高導電材料から形成される。ピラーは、予め形成されてよく、信号およびグランド端子214,216,241~248,261,262,265に対し、はんだ、導体接着剤、焼結、ろう付けまたは他の適切な材料および方法を用いて取り付けられてよい。他の実施形態では、ピラーは、信号およびグランド端子214,216,241~248,261,262,264,265に対し、in-situで予め形成されてよい。
【0063】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、端子ピラーの各々は正方形または矩形断面を有してよいが、これに代えて、他の実施形態では、端子ピラーは円形または棒形状断面を有してよい。例えば、端子ピラーが正方形または円形断面を有するとき、端子ピラーは、約300マイクロメートル~約800マイクロメートルの範囲における(例えば、約500マイクロメートル)幅386(または直径)を有してよいが、幅386がより小さいかまたはより大きくてもよい。端子ピラーの高さ385は、約500マイクロメートル~約1500マイクロメートルの範囲であってよい(例えば、約1000マイクロメートル)が、例えば、端子ピラーはより短いかまたはより高くてもよい。一実施形態によれば、端子ピラーの高さ385は、端子ピラーの先端がモジュール200の接触面382とほぼ同一平面であるように、封入材料380の厚さ384にほぼ等しくてよい。他の実施形態では、信号およびグランド端子ピラーの先端は、モジュール200の接触面382の下に凹むか上に延びてよい。いずれにしても、信号およびグランド端子ピラーの先端は、接触面382にて露出しており、先端における導体取付材料は、モジュール200がシステム基板(例えば、システム基板610、
図6)に対し物理的および電気的に接続されることを可能にする。
【0064】
図3、
図4Aおよび
図5Aは、モジュール200の封入材料に埋め込まれた導体ピラーを備える信号およびグランド端子214,216,241~248,261,262,264,265を示す。代替の実施形態では、
図4B、
図5Bおよび
図5Cに示されるように、信号およびグランド端子214,216,241~248,261,262,264,265は、代わりに、モジュール基板210およびコンポーネントを封入材料380によりオーバーモールドする前に、信号およびグランド端子パッド(例えば、端子パッド312,314,342,343,344,365,366)に対し取り付けられた小さいインターポーザ構造の形態において実装されてよい。
【0065】
例えば、
図4Bは、
図2の電力増幅器モジュール200の修正版200’の線4-4に沿った断面側面図であり、別の例示的な実施形態に係るパワートランジスタダイ234の両面に配置されたインターポーザグランド端子243’,244’を含む。同様に、
図5Bは、
図2の電力増幅器モジュール200の修正版200”の線5-5に沿った断面側面図であり、別の例示的な実施形態に係るインターポーザ信号端子214’の両面に配置されたインターポーザグランド端子265’,266’を含む。
【0066】
図4Bの右側には、「一般的な」インターポーザ端子491の2つの断面図が示される(すなわち、モジュール200の信号およびグランド端子のうちのいずれかまたはすべてに用いられ得るインターポーザ端子)。その側に、すなわち断面図(
図4Bの右側における上図)に示されるように、インターポーザ端子491は、頂面および底面493,494を有する誘電体492(例えば、FR-4、セラミック、または他の適切な誘電体材料から形成される)を備え、導体ビア495は誘電体492を通じて誘電体492の頂面および底面493,494間に延びる。これに加えて、導体パッド496,497は、それぞれ導体ビア495の第1端および第2端と接触して、頂面および底面493,494に載置される。トップダウン断面図(
図4Bの右側における下図)は、導体ビア495が円形断面形状を有してよいことを示す。しかしながら、他の実施形態では、これに代えて、導体ビア495は正方形、矩形、または棒形状を有してよい。いずれにしても、インターポーザ端子491は、パッド496,497間にビア495を通じて導体経路を提供する。
【0067】
ビア495が正方形または円形断面を有するとき、ビア495は、約300マイクロメートル~約800マイクロメートルの範囲における(例えば、約500マイクロメートル)幅486(または直径)を有してよいが、幅486はより小さいまたはより大きくてもよい。インターポーザ端子491の高さ485は、約500マイクロメートル~約1500マイクロメートルの範囲であってよい(例えば、約1000マイクロメートル)が、例えば、インターポーザ端子はより短いかまたはより高くてもよい。一実施形態によれば、インターポーザ端子491の高さ485は、各インターポーザ端子の頂部導体パッド496がモジュール200’の接触面382とほぼ同一平面であり得るように、封入材料380の厚さ384にほぼ等しくてよい。他の実施形態では、各インターポーザ端子の頂面導体パッド496が、信号およびグランド端子ピラーの先端は、モジュール200’の接触面382の下に凹むか上に延びてよい。いずれにしても、各インターポーザ端子の導体パッド496は、接触面382にて露出しており、頂部導体パッドにおける導体取付材料383は、モジュール200’がシステム基板(例えば、システム基板610、
図6)に対し物理的および電気的に接続されることを可能にする。
【0068】
図2および
図3の信号およびグランド端子214,216,241~248,261,262,264,265は、
図4に示されるインターポーザ端子491などのインターポーザ端子と置き換えられてよい。例えば、上述の通り、
図4Bは、例示的な実施形態に係るパワートランジスタダイ234の両面に配置されたインターポーザグランド端子243’,244’を有する修正されたモジュール200’を示す。
図4に示される実施形態と同様に、インターポーザグランド端子243’,244’(各々が一般的なインターポーザ端子491の構造を有する)は、ダイ234に対し近接して配置され、熱散逸構造を通じたダイ用のグランドコンタクト(例えば、底面ソースコンタクト434)、RFグランド層(例えば、層302)、任意の介在ビア(例えば、ビア444)、グランド端子パッド(例えば、パッド344)、およびインターポーザグランド端子(例えば、端子244’)の高さ間の導電経路の電気長(例えば、破線経路487’)が、いくつかの実施形態では約ラムダ/5(λ/5)未満、他の実施形態では約ラムダ/16(λ/16)未満である。
【0069】
上述の通り、
図5Bは、インターポーザ信号端子214’の両面に配置されたインターポーザグランド端子265’,266’がGSG(グランド-信号-グランド)端子構造264’をモジュール200”のRF出力に提供する、修正されたモジュール200”を示す。同様の構造がモジュール200”のRF入力に実装されてよい。
【0070】
別の実施形態が、
図2の電力増幅器モジュール200の線5-5に沿った別の修正版200”の断面側面図である
図5Cに示され、
図5Cは別の例示的な実施形態に係るインターポーザ信号端子214”の両面に配置されたインターポーザグランド端子265”,266”を有するGSG端子264”をもう一度示す。
図5Bと
図5Cとの実施形態間の主要な違いは、
図5Bに置けるGSG端子構造264’を生成する複数のインターポーザ端子265’,266’,214’が、
図5Cにおいて単一の、複数端子インターポーザ591に置き換えられていることである。より詳細には、複数端子インターポーザ591は、頂面および底面593,594を有する誘電体592(例えば、FR-4、セラミック、または他の適切な誘電体材料から形成される)を備え、複数の導体ビア595-1,595-2,595-3は誘電体592を通じて誘電体592の頂面および底面593,594間に延びる。これに加えて、導体パッド596-1,596-2,596-3,597-1,597-2,597-3は、それぞれ、複数の導体ビア595-1,595-2,595-3の各々の第1端および第2端と接触して、頂面および底面593,594に載置される。もう一度、導体ビア595-1,595-2,595-3の各々は、円形、正方形、矩形、または棒断面形状を有してよい。いずれにしても、パッド596-1、ビア595-1、パッド597-1は、第1のグランドインターポーザ端子265”に対応し、パッド596-2、ビア595-2、パッド597-2の組合せは、信号インターポーザ端子214”に対応し、パッド596-3、ビア595-3、およびパッド597-3の組合せは第2のグランドインターポーザ端子266”に対応する。第1および第2のグランドインターポーザ端子265”,266”と信号インターポーザ端子214”とは、GSG端子構造264”のさらに別の実施形態を生成する。
【0071】
前に示された通り、電力増幅器モジュール200の実施形態をより大きい電気システム(例えば、セルラ基地局の第1段階増幅器)へと組み込むため、電力増幅器モジュール200の1つの面は、システム基板に対し物理的および電気的に結合され、ヒートシンクが電力増幅器モジュール200の反対の面に対し取り付けられる。電力増幅器モジュール200のそうしたシステムへの統合を示すため、
図6を参照する。
図6は、例示的な実施形態に従って、システム基板610およびヒートシンク616に対し結合された、
図2の電力増幅器モジュール200を備える増幅器システム600の断面側面図である。
【0072】
RFシステム600は、システム基板610と、電力増幅器モジュール200(またはモジュール200’,200”,200”’)と、ヒートシンクとを備える。一実施形態によれば、システム基板610は、多層プリント回路板(PCB)または他の適切な基板を備える。システム基板610は、頂面609(「搭載面」とも呼ばれる)、反対の底面611を有する。
図6に示されるように、システム基板610は、複数の導体層601,602,603と交互の配置により、複数の誘電体層605,606,607(例えば、FR-4,セラミック、または他のPCB誘電体材料)を備え、システム基板610の頂面609がパターニングされた導体層601によって形成される。システム基板610は3つの誘電体層605~607と3つの導体層601~603を備えるように示されるが、システム基板の他の実施形態は、より多数または少数の誘電体層および/または導体層を備えてよいことに留意されたい。
【0073】
異なる導体層601~604の各々は、主要目的を有してよく、また信号および/または他の層同士の間の電圧/グランドルーティングを行う導体フィーチャを備えてもよい。以下の記載は導体層601~603の各々についての主要目的を示すが、層(またはそれらの機能)は、
図6に最もよく示され以下において議論される特定の配置とは異なって配置されてよいことが理解される。
【0074】
例えば、一実施形態では、システム基板610の搭載面609におけるパターニングされた導体層601は、主として信号伝達層として機能してよい。より詳細には、層601は、複数の導体フィーチャ(例えば、導体パッドまたはトレース)を備え、複数の導体フィーチャは、モジュール200、入力RFコネクタ691、および出力RFコネクタ692として機能しする。RFコネクタ691,692の各々は、例えば、中心信号導体693と外グランドシールド694とを有する同軸コネクタであってよい。一実施形態によれば、RF入力コネクタ691の信号導体693は、層601の第1の導体トレース612に対し電気的に結合され、以下により詳細に記載されるように、同様に、モジュール200の入力端子212に対し結合される。これに加えて、RF出力コネクタ692の信号導体693は、層601の第2の導体トレース614に対し電気的に結合され、同様に、モジュール200の出力端子(例えば、端子214、
図2)に対し結合される。コネクタ691,692のグランドシールド694は、追加のトレース(番号が付されない)に対し電気的に結合され、同様に、層601と602との間に延びる導体ビア695を通じて、システム基板610のシステムグランド層602に対し電気的に結合される。
【0075】
ちょうど示されたように、導体層602は、システムグランド層として機能する。コネクタ691,692のグランドシールド694、追加のトレース(番号が付されない)に対し電気的に結合されていることに加えて、システムグランド層602も、追加の導体ビア696を通じて、搭載面609上の追加のグランドパッド641に対し電気的に結合される。以下により詳細に記載されるように、追加のグランドパッド641は、モジュール200の様々なグランド端子(例えば、端子241~248,261,262,265,266)に対し物理的および電気的に結合される。
【0076】
モジュール200(またはモジュール200’,200”,200”’のうちのいずれか)は、
図3~
図5に示される配向とは反転した(または「フリップされた」)配向において、システム基板610の搭載面609に対し結合される。より詳細には、モジュール200は、モジュール200の接触面382とシステム基板610の搭載面609とが互いに面するように、システム基板610に対し結合される。モジュール200をシステム基板610に対し接続するように、モジュール200の端子の各々(例えば、端子212,214,241~248,261,262,265,266、
図2)は、整列され、システム基板610の搭載面609上の対応するパッドと接触することになる。導体取付材料383がモジュール端子の露出した端部に載置される実施形態では、導体取付材料383は、モジュール端子をモジュール基板610の搭載面609におけるそのモジュール端子の対応するパッドに対し物理的に接続するようにリフローされるまたは硬化される。他の実施形態では、導体取付材料も、または代替で、システム基板610の導体パッド(例えば、パッド612,614,641)上に載置されてよく、モジュール200をシステム基板610に対し接続するように適切なリフローまたは硬化処理が行われてよい。
【0077】
一実施形態では、電力増幅器モジュール200のヒートシンク616がヒートシンク取付面211に対し、より詳細には、導体層304および/またはモジュール200の埋め込まれた熱散逸構造316の表面318に対し、物理的および熱的に結合される。ヒートシンク616は、導電性も有し得る熱伝導材料から形成される。例えば、ヒートシンク616は、銅または別のバルク導体材料から形成されてよい。ヒートシンク616を電力増幅器モジュール200に対し結合するように、熱伝導材料698(例えば、サーマルグリース)が、ヒートシンク取付面211上(および/または熱散逸構造316の表面318上)および/またはヒートシンク上にディスペンスされ、ヒートシンク616は、ヒートシンク取付面211と接触することとなり得る。ヒートシンク616は、次いで、定位置にクランピングされ、ねじ止めされ、または固定される。
【0078】
RFシステム600の動作中、入力RF信号は、RF入力端子691およびトレース/パッド612を通じて、電力増幅器モジュール200の接触面382におけるRF入力端子212に対し提供される。入力RF信号は、端子212および追加のコンポーネント(例えば、電力スプリッタ220、
図2)を通じて、前に議論した入力RF信号を増幅するパワートランジスタダイ233,234,253,254まで伝達される。増幅された出力RF信号は、トレース/パッド614に対し、またRF出力端子692に対し結合された出力端子214にて生成される。
【0079】
一実施形態によれば、パワートランジスタダイ233,234,253,254の各々とシステムグランド層602との間にグランド経路が提供される。例えば、
図6に示されるダイ233,234では、各ダイ233,234用のグランド経路は、ダイ用のグランドコンタクトから熱散逸構造316の一部を通じて延びる第1の導体グランド経路(例えば、グランド経路487,487’、
図4A,
図4B)と、モジュール200のRFグランド層302と、任意の介在ビア(例えば、ビア442,444)と、グランド端子パッド(例えば、パッド342,344、
図3、
図4A、
図4B)と、1つまたは複数のグランド端子(例えば、端子241~244、
図2、
図3、
図4A、
図4B)を備える。
図6において破線経路687により示されるように、グランド経路は、システム基板610の搭載面609上の1つまたは複数のグランドパッド641と、1つまたは複数のグランドビア696とを通じて、システムグランド層602まで続く。
【0080】
前に詳細に議論されたように、モジュール200のグランド端子241~244は、パワートランジスタダイ233,234,253,254に対しごく近接して置かれ、モジュール200についての比較的短いグランド戻り経路を生じる。望ましくは、各ダイ233,234,253,254用のグランドコンタクトとシステムグランド層602との間のグランド経路の電気長全体は、いくつかの実施形態では約ラムダ/5(λ/5)未満であり、他の実施形態では約ラムダ/16(λ/16)未満である。
【0081】
動作中、かなりの熱エネルギー(熱)が、パワートランジスタダイ233,234,253,254内のパワートランジスタによって生成され得る。矢印699によって示されるように、パワートランジスタによって生成された熱エネルギーは、熱を周囲環境に効果的に散逸させる熱散逸構造316を通じてヒートシンク616まで伝達される。したがって、熱散逸構造316は2つの機能を提供する。1)パワートランジスタダイ233,234,253,254によって生成された熱をヒートシンク616まで伝達する機能、および2)ダイ233,234,253,254のグランドコンタクトをシステムグランドに対し電気的に結合する機能。
【0082】
図7は、例示的な実施形態に従って、電力増幅器モジュール(例えば、電力増幅器モジュール200、
図2)を作製し、電力増幅器モジュールをRFシステム(例えば、RFシステム600、
図6)へと組み立てる方法のフローチャートである。方法は、ブロック702において、既知の技法を用いて多層モジュール基板(例えば、モジュール基板210、
図2、
図3)を作製することによって開始してよい。前に議論されたように、複数のパッドおよびトレースが、モジュール基板の搭載面にてパターニングされた導体層(例えば、層301、
図3)の部分から形成される。ブロック704では、様々な端子(例えば、端子212,214,241~248,262,263,265,266、
図2)、パワートランジスタダイ(例えば、ダイ233,234,253,254、
図2)、および他のコンポーネント(例えば、電力スプリッタ220、
図2)が、モジュール基板の搭載面に対し接続され、追加の接続(例えば、ワイヤボンド)が、パワートランジスタダイとコンポーネントとの間に作られる。ブロック706では、モジュール基板、端子、ダイ、および他のコンポーネントが、接触面382(端子の先端がその接触面382にて露出している)を形成するように封入される(例えば、
図3の封入材料380により)。
【0083】
ブロック708では、モジュール200を反転し、モジュール端子が、システム基板(例えば、システム基板、
図6)の搭載面上の対応するパッド(例えば、パッド612,614,641、
図6)に位置整合させられ接触することとなる。導体取付材料(例えば、はんだまたは導体接着剤などの材料383)は、モジュール端子とシステム基板パッドとの間の機械的および電気的接続を生成するように、リフローされ、硬化され、または処理される。これは、モジュールとシステム基板との間の信号およびグランド経路を確立する。
【0084】
最後に、ブロック710では、ヒートシンク(例えば、ヒートシンク616、
図6)が、モジュール基板のヒートシンク取付面(例えば、表面211、
図3、
図6)に対し取り付けられる。例えば、ヒートシンクは、熱伝導材料(例えば、サーマルグリースなどの材料698)、クランプ、ねじ、および/または他の取付手段を用いてモジュール基板に対し取り付けられてよい。次いで、方法は終了する。
【0085】
増幅器モジュールの一実施形態は、搭載面、信号伝達層、グランド層、および前記搭載面における第1グランド端子パッドを有する、モジュール基板を備える。熱散逸構造は、前記モジュール基板を通じて延びる。パワートランジスタダイのグランドコンタクトは、前記熱散逸構造の第1面に対し結合されている。封入材料は、前記モジュール基板の前記搭載面と前記パワートランジスタダイとを覆い、前記封入材料の表面は前記増幅器モジュールの接触面を形成する。第1グランド端子は、前記封入材料内に埋め込まれている。前記第1グランド端子は、前記第1グランド端子パッドに対し結合されている基端と、前記接触面において露出している先端とを有する。前記第1グランド端子は、前記パワートランジスタダイの前記グランドコンタクトに対し、前記第1グランド端子パッド、前記モジュール基板の前記グランド層、および前記熱散逸構造を通じて電気的に結合されている。
【0086】
増幅器システムの一実施形態は、システム基板と増幅器モジュールとを備える。前記システム基板は、第1搭載面、第1信号伝達層、第1グランド層、および前記第1搭載面におけるグランドパッドを有し、前記グランドパッドは前記第1グランド層に対し電気的に結合されている。前記増幅器モジュールは、接触面およびヒートシンク取付面を有する。前記増幅器モジュールは、前記システム基板に対し、前記システム基板の前記搭載面が前記増幅器モジュールの前記接触面に面するように結合されている。前記増幅器モジュールは、第2搭載面、第2信号伝達層、第2グランド層、および前記第2搭載面におけるグランド端子パッドを有する、モジュール基板を備える。これに加えて、前記増幅器モジュールは、前記モジュール基板を通じて延びる熱散逸構造を備える。前記熱散逸構造は、第1面および第2面を有し、前記第1面は前記モジュール基板の前記第2搭載面において露出している。これに加えて、前記増幅器モジュールは、グランドコンタクトを有するパワートランジスタダイを備え、前記グランドコンタクトは前記熱散逸構造の前記第1面に対し結合されている。封入材料は、前記モジュール基板の前記第2搭載面と前記パワートランジスタダイとを覆い、前記封入材料の表面は前記増幅器モジュールの接触面を形成する。前記増幅器モジュールは、前記封入材料内に埋め込まれたグランド端子をさらに備え、前記グランド端子は、前記グランド端子パッドに対し結合されている基端と前記接触面において露出している先端とを有し、前記パワートランジスタの前記グランドコンタクトに対し、前記グランド端子パッド、前記モジュール基板の前記第2グランド層、および前記熱散逸構造を通じて電気的に結合されている。
【0087】
電力増幅器を作製する方法の一実施形態は、パワートランジスタダイを、モジュール基板を通じて延びる熱散逸構造に対し結合する工程を備え、前記モジュール基板は、第1搭載面と、第1信号伝達層と、第1グランド層と、前記第1搭載面における第1グランド端子パッドと、を有する。前記熱散逸構造の第1面は、前記モジュール基板の前記第1搭載面にて露出している。前記パワートランジスタダイは、前記熱散逸構造の前記第1面に対し結合されているグランドコンタクトを有する。前記方法は、第1グランド端子の基端を前記モジュール基板の前記第1グランド端子に対し結合する工程と、前記モジュール基板の前記第1搭載面と前記パワートランジスタダイとを封入材料により覆い、増幅器モジュールを形成する工程と、を備える。前記封入材料の表面は前記増幅器モジュールの接触面を形成し、前記第1グランド端子の先端は前記接触面にて露出しており、前記第1グランド端子は、前記パワートランジスタダイの前記グランドコンタクトに対し、前記第1グランド端子パッド、前記モジュール基板の前記グランド層、および前記熱散逸構造を通じて電気的に結合されている。
【0088】
前述の詳細な説明は、本質的には例示に過ぎず、本主題の実施形態またはそうした実施形態の応用および使用を限定する意図ではない。本明細書において用いられる際、語句「例示」は、「一例として、実例または例証として機能すること」を意味する。例示として本明細書に記載される任意の実装は、他の実装に対して必ずしも好ましいまたは有利であると解されない。さらに、前述の技術分野、背景、または詳細な説明に提示された任意の表現されたまたは与えられた理論によって束縛される意図はない。
【0089】
本明細書に含まれる様々な図面に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すことが意図される。多くの代替または追加の機能的関係または物理的接続が本主題の一実施形態に提示されてよいことに留意されたい。これに加えて、特定の専門用語が、参照の目的のためだけに本明細書において用いられてもよく、したがって、限定するように意図されず、構造を参照する用語「第1」、「第2」および他のそうした数の用語は、文脈によって明確に示されない限りシーケンスまたは順序を与えない。
【0090】
本明細書において用いられる際、「ノード」は、与えられた信号、論理レベル、電圧、データパターン、電流または量が提示される、任意の内部または外部参照点、接続点、連結、信号線、導体素子などを意味する。さらに、3つ以上のノードが、1つの物理的要素によって実現されてよい(また、3つ以上の信号が、共通のノードにて受信されるまたは出力されるとしても、多重化され、変調され、または区別されることが可能である)。
【0091】
前述の記載は、ともに「接続されている」または「結合されている」要素、ノードまたはフィーチャを参照する。本明細書において用いられる際、別段の明記がない限り、「接続されている」は、1つの要素が、必ずしも機械的にではなく、別の要素に対し直接的に連結されている(または別の要素と直接的に通信する)ことを意味する。同様に、別段の明記がない限り、「結合されている」は、1つの要素が、必ずしも機械的にではなく、別の要素に対し直接的または間接的に連結されている(または別の要素と直接的または間接的に通信する)ことを意味する。したがって、図面に示される概略は要素の1つの例示的な配置であるが、追加の介在素子、デバイス、フィーチャ、またはコンポーネントが、示される主題の一実施形態に存在してよい。
【0092】
1つ以上の例示的な実施形態が前述の詳細な説明に提示されているが、多くの変形形態が存在することが認識される。本明細書に記載された1つまたは複数の例示的な実施形態は、如何とも請求される主題の範囲、利用可能性、または構成を限定することを意図するものではないことも認識される。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に、記載された1つまたは複数の実施形態を実装するのに便利なロードマップを提供する。様々な変更が、本特許出願の出願時において既知の均等物および予見可能な均等物を含む特許請求の範囲によって定められる範囲から逸脱せずに、要素の機能および配置においてなされることが理解される。
【外国語明細書】