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特開2022-10484無線給電用送信装置、無線給電用受信装置、及び無線給電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010484
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】無線給電用送信装置、無線給電用受信装置、及び無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20220107BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20220107BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111109
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】那須 泰明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より多くの電力を取り出すことが可能な無線給電用送信装置、無線給電用受信装置及び無線給電システムを提供する。
【解決手段】無線給電用送信装置(送信装置)2は、取り出せる電力が大きくなるように、伝送する第1データをエンコードする第1制御部(制御部)14と、制御部によりエンコードされた第2データを送信する送信部11と、を具備する。制御部は、第1データを反転させる。さらに、制御部は、データの状態が変化する変化点を表すように、第1データをエンコードする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り出せる電力が大きくなるように、伝送する第1データをエンコードする第1制御部と、
前記第1制御部によりエンコードされた第2データを送信する送信部と、
を具備する無線給電用送信装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第1データを反転させる
請求項1に記載の無線給電用送信装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、データの状態が変化する変化点を表すように、前記第1データをエンコードする
請求項1に記載の無線給電用送信装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、エンコード方法を表す情報を生成し、前記情報を前記第2データに付加する
請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線給電用送信装置。
【請求項5】
請求項1の送信装置から送信された前記第2データを受信する受信部と、
前記第2データをデコードする第2制御部と、
を具備する無線給電用受信装置。
【請求項6】
前記第2データを整流して電力を取り出す整流回路をさらに具備する
請求項5に記載の無線給電用受信装置。
【請求項7】
前記第2制御部は、反転された前記第2データをデコードする
請求項5又は6に記載の無線給電用受信装置。
【請求項8】
前記第2制御部は、データの状態が変化する変化点を表すようにエンコードされた前記第2データをデコードする
請求項5又は6に記載の無線給電用受信装置。
【請求項9】
前記受信部は、前記第2データに付加されかつエンコード方法を表す情報を受信し、
前記第2制御部は、前記情報を判定し、前記判定結果に基づいて、前記第2データをデコードする
請求項5乃至8の何れか1項に記載の無線給電用受信装置。
【請求項10】
請求項1の送信装置と、
請求項5の受信装置と、
を具備する無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電用送信装置、無線給電用受信装置、及び無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナと整流回路とを使用し、電波から電力を取り出す技術は、一般によく知られている。例えば、送信装置のアンテナから電波を放射し、受信装置のアンテナでその電波を受信する。受信装置は、整流回路(例えばダイオードブリッジなど)で電波を整流し、電力を取り出す。
【0003】
アンテナの特性を電波の周波数とマッチングさせたり、整流回路を工夫したりして、より多くの電力を取り出す技術が検討されている。電波は正弦波(搬送波)を使用することが多いが、データを伝送するために変調されたものを使用することもある。
【0004】
振幅変調で変調された電波を使用する場合、取り出せる電力が少なくなってしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-181953号公報
【特許文献2】特開2015-126514号公報
【特許文献3】特開2011-29799号公報
【特許文献4】特開2001-307032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より多くの電力を取り出すことが可能な無線給電用送信装置、無線給電用受信装置、及び無線給電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る無線給電用送信装置は、取り出せる電力が大きくなるように、伝送する第1データをエンコードする第1制御部と、前記第1制御部によりエンコードされた第2データを送信する送信部とを具備する。
【0008】
本発明の第2態様に係る無線給電用送信装置は、第1態様において、前記第1制御部は、前記第1データを反転させる。
【0009】
本発明の第3態様に係る無線給電用送信装置は、第1態様において、前記第1制御部は、データの状態が変化する変化点を表すように、前記第1データをエンコードする。
【0010】
本発明の第4態様に係る無線給電用送信装置は、第1乃至3態様の何れかにおいて、前記第1制御部は、エンコード方法を表す情報を生成し、前記情報を前記第2データに付加する。
【0011】
本発明の第5態様に係る無線給電用受信装置は、第1態様の送信装置から送信された前記第2データを受信する受信部と、前記第2データをデコードする第2制御部とを具備する。
【0012】
本発明の第6態様に係る無線給電用受信装置は、第5態様において、前記第2データを整流して電力を取り出す整流回路をさらに具備する。
【0013】
本発明の第7態様に係る無線給電用受信装置は、第5又は6態様において、前記第2制御部は、反転された前記第2データをデコードする。
【0014】
本発明の第8態様に係る無線給電用受信装置は、第5又は6態様において、前記第2制御部は、データの状態が変化する変化点を表すようにエンコードされた前記第2データをデコードする。
【0015】
本発明の第9態様に係る無線給電用受信装置は、第5乃至8態様の何れかにおいて、前記受信部は、前記第2データに付加されかつエンコード方法を表す情報を受信し、前記第2制御部は、前記情報を判定し、前記判定結果に基づいて、前記第2データをデコードする。
【0016】
本発明の第10態様に係る無線給電システムは、第1態様の送信装置と、第5態様の受信装置とを具備する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より多くの電力を取り出すことが可能な無線給電用送信装置、無線給電用受信装置、及び無線給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態に係る無線給電システムのブロック図である。
図2図2は、図1に示した送信装置のブロック図である。
図3図3は、図1に示した受信装置のブロック図である。
図4図4は、図3に示した整流回路の回路図である。
図5図5は、搬送波と整流された電圧波形とを説明する図である。
図6図6は、変調波の第1例を説明する模式図である。
図7図7は、変調波の第2例を説明する模式図である。
図8図8は、変調波の第3例を説明する模式図である。
図9図9は、送信する画像データの一例を説明する図である。
図10図10は、データエンコードの第1例を説明する図である。
図11図11は、データエンコードの第2例を説明する図である。
図12図12は、データエンコードの第3例を説明する図である。
図13図13は、データエンコードの第4例を説明する図である。
図14図14は、データエンコードの第5例を説明する図である。
図15図15は、データエンコードの第6例を説明する図である。
図16図16は、データエンコードの第1例乃至第6例における取り出せる電力を纏めた図である。
図17図17は、フラグの送信方法を説明する図である。
図18図18は、送信装置のデータ送信動作を説明するフローチャートである。
図19図19は、受信装置のデータ受信動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
[1] 無線給電システムの構成
実施形態に係る無線給電システムは、無線給電方式として、受信した電波を直流電圧に変換する電波受信方式を用いている。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る無線給電システム1のブロック図である。無線給電システム1は、送信装置2、及び受信装置3を備える。
【0022】
送信装置2は、アンテナ10から電波を放射する。受信装置3は、送信装置2から放射された電波をアンテナ20を介して受信する。受信装置3は、受信した電波を整流回路で直流電圧へ変換して電力を取り出す。
【0023】
図2は、図1に示した送信装置2のブロック図である。送信装置2は、アンテナ10、送信部11、記憶部12、外部インターフェース(外部I/F)13、制御部14、及びバス15を備える。送信部11、記憶部12、外部インターフェース13、及び制御部14は、バス15によって互いに接続される。
【0024】
送信部11は、アンテナ10からデータを送信する。また、送信部11は、伝送するデータであるベースバンド信号を変調する。すなわち、送信部11は、ベースバンド信号に合わせて搬送波を変調し、この変調波を送信する。
【0025】
記憶部12は、データを格納する。記憶部12は、揮発性メモリ、及び/又は不揮発性メモリを備える。記憶部12は、例えば、外部インターフェース13に入力されたデータを格納する。
【0026】
外部インターフェース13は、外部との間でデータの送受信を行う。
【0027】
制御部14は、データ読み出し部14A、エンコード方法判定部14B、フラグ生成部14C、エンコード部14D、及び送信データ生成部14Eを備える。
【0028】
データ読み出し部14Aは、伝送すべきデータを、例えば記憶部12から読み出す。
【0029】
エンコード方法判定部14Bは、伝送すべきデータの状態を判定し、取り出せる電力が最大となるエンコード方法を判定する。エンコード方法の詳細については後述する。
【0030】
フラグ生成部14Cは、今回の送信で使用するエンコード方法に対応するフラグを生成する。フラグの詳細については後述する。
【0031】
エンコード部14Dは、エンコード方法判定部14Bにより判定されたエンコード方法を用いて、伝送すべきデータをエンコードする。
【0032】
送信データ生成部14Eは、フラグ生成部14Cで生成されたフラグと、エンコード部14Dでエンコードされたデータとを用いて、送信データを生成する。
【0033】
図3は、図1に示した受信装置3のブロック図である。受信装置3は、アンテナ20、受信部21、整流回路22、電源回路23、記憶部24、外部インターフェース(外部I/F)25、制御部26、及びバス27を備える。受信部21、記憶部24、外部インターフェース25、及び制御部26は、バス27によって互いに接続される。
【0034】
受信部21は、アンテナ20から受信データを受信する。また、受信部21は、受信した変調波を復調し、変調波からベースバンド信号を取り出す。また、受信部21は、受信した変調波に対応する交流電圧を整流回路22に供給する。
【0035】
整流回路22は、受信部21から供給された交流電圧を全波整流し、直流電圧を生成する。整流回路22は、例えばダイオードブリッジで構成される。
【0036】
電源回路23は、整流回路22から直流電圧を受ける。電源回路23は、整流回路22から供給された直流電圧に基づいて電力を蓄積する。そして、電源回路23は、受信装置3内の各モジュールに電力を供給する。電源回路23は、電池を備えていてもよい。
【0037】
記憶部24は、データを格納する。記憶部24は、揮発性メモリ、及び/又は不揮発性メモリを備える。記憶部24は、受信したデータを格納する。また、記憶部24は、例えば、外部インターフェース25に入力されたデータを格納する。
【0038】
外部インターフェース25は、外部との間でデータの送受信を行う。
【0039】
制御部26は、受信データ分離部26A、フラグ判定部26B、デコード部26C、及びデータ書き込み部26Dを備える。
【0040】
受信データ分離部26Aは、受信データを、フラグとデータとに分離する。
【0041】
フラグ判定部26Bは、受信データ分離部26Aで分離されたフラグの状態を判定する。そして、フラグ判定部26Bは、データのエンコード方法を特定する。
【0042】
デコード部26Cは、フラグ判定部26Bで判定されたエンコード方法に基づいて、受信データ分離部26Aで分離されたデータをデコードする。
【0043】
データ書き込み部26Dは、デコード部26Cでデコードされたデータを、記憶部24に書き込む。
【0044】
図4は、図3に示した整流回路22の回路図である。整流回路22は、一例としてダイオードブリッジで構成される。整流回路22は、4個のダーオードD1~D4を備える。
【0045】
ノードN1、N3は、受信部21から供給される交流電圧に接続される。ノードN2は、電源回路23の正極に接続される。ノードN4は、電源回路23の負極に接続される。
【0046】
ダイオードD1のアノードは、ノードN1に接続され、ダイオードD1のカソードは、ノードN2に接続される。ダイオードD2のアノードは、ノードN3に接続され、ダイオードD2のカソードは、ノードN2に接続される。ダイオードD3のアノードは、ノードN4に接続され、ダイオードD3のカソードは、ノードN3に接続される。ダイオードD4のアノードは、ノードN4に接続され、ダイオードD4のカソードは、ノードN1に接続される。
【0047】
整流回路22は、入力された交流電圧を全波整流する。そして、整流回路22は、整流した直流電圧を電源回路23に供給する。なお、実際には、コンデンサを整流回路22のノードN2とノードN4との間に並列接続し、電圧を平滑化する。
【0048】
[2] 動作
[2-1] 変調方法
図5は、搬送波と整流された電圧波形とを説明する図である。図5(a)は、搬送波の波形、図5(b)は、整流された電圧波形である。搬送波は、例えば正弦波である。
【0049】
搬送波は、整流回路22によって全波整流される。図5(b)において、電圧の1つの山を1とする。図5(a)の搬送波を整流すると、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0050】
次に、変調方式について説明する。本実施形態の変調方式は、振幅変調(ASK:amplitude shift keying)である。
【0051】
図6は、変調波の第1例を説明する模式図である。図6(a)は、変調波の波形、図6(b)は、整流された電圧波形である。ベースバンド信号は、変調前の伝送したいデータである。第1例のベースバンド信号は、“11111”である。搬送波にベースバンド信号を乗算すると、変調波が得られる。第1例では、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0052】
図7は、変調波の第2例を説明する模式図である。第2例のベースバンド信号は、“01101”である。第2例では、取り出せる電力(a.u.)は、6である。
【0053】
図8は、変調波の第3例を説明する模式図である。第3例のベースバンド信号は、“0000”である。第3例では、取り出せる電力(a.u.)は、0である。
【0054】
[2-2] データのエンコード方法
送信装置2にて、送信するデータのエンコード方法を、そのデータの状態に応じて使い分ける。エンコード方法は下記の4つを使用する。
1.通常エンコード
2.反転エンコード
3.変化点エンコード1
4.変化点エンコード2
通常エンコードとは、一般的に使用される振幅変調100%のことを表す。
【0055】
反転エンコードとは、データの“1”、“0”を反転させた後、振幅変調をすることを表す。
【0056】
変化点エンコード1とは、データの変化がある場合を“0”とし、変化がない場合を“1”として、エンコードすることを表す。ただし、一番目のデータだけは、通常エンコードとする。すなわち、データが“0”なら“0”、データが“1”なら“1”とする。
【0057】
変化点エンコード2とは、データの変化がある場合を“1”とし、変化がない場合を“0”として、エンコードすることを表す。ただし、一番目のデータだけは、通常エンコードとする。すなわち、データが“0”なら“0”、データが“1”なら“1”とする。
【0058】
送信装置2は、選択したエンコード方法を受信装置3へ伝達するために、エンコード方法を表すフラグ(情報)をデータと一緒に送信する。エンコード方法が4種類の場合、フラグは2ビットデータであり、例えば以下のように設定される。
1.通常エンコード ⇒ “11”
2.反転エンコード ⇒ “10”
3.変化点エンコード1 ⇒ “01”
4.変化点エンコード2 ⇒ “00”
受信装置3は、該フラグを使用し、エンコード方法を判定し、受信したデータを正しくデコードする。
【0059】
図9は、送信する画像データの一例を説明する図である。画像データは、2次元かつモノクロの画像の例である。画像データは、10行×10列のデータで構成される。図9の白(ハッチングなし)の四角が白データ、ハッチング付きの四角が黒データである。白データを“1”、黒データを“0”とする。データ伝送は、行単位で行われ、列1から列10の順で行われるものとする。
【0060】
図10は、データエンコードの第1例を説明する図である。図10(a)が通常エンコード、図10(b)が反転エンコード、図10(c)が変化点エンコード1、図10(d)が変化点エンコード2を表している。第1例は、図9に示した画像データの1行目のデータをエンコードする場合を表している。1行目は、“黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒”からなるデータである。なお、伝送すべきデータに付加されるフラグについては記載を省略している。フラグの送信方法については後述する。
【0061】
通常エンコードは、データ“0000000000”となる。通常エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、0である。
【0062】
反転エンコードは、データ“1111111111”となる。反転エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、20である。
【0063】
変化点エンコード1は、データ“0111111111”となる。変化点エンコード1では、取り出せる電力(a.u.)は、18である。
【0064】
変化点エンコード2は、データ“0000000000”となる。変化点エンコード2では、取り出せる電力(a.u.)は、0である。
【0065】
よって、第1例では、反転エンコードを選択することで、取り出せる電力を最大にできる。
【0066】
図11は、データエンコードの第2例を説明する図である。第2例は、図9に示した画像データの2行目のデータをエンコードする場合を表している。2行目は、“黒、白、黒、黒、黒、黒、黒、黒、白、黒”からなるデータである。
【0067】
通常エンコードは、データ“0100000010”となる。通常エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、4である。
【0068】
反転エンコードは、データ“1011111101”となる。反転エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、16である。
【0069】
変化点エンコード1は、データ“0001111100”となる。変化点エンコード1では、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0070】
変化点エンコード2は、データ“0110000011”となる。変化点エンコード2では、取り出せる電力(a.u.)は、8である。
【0071】
よって、第2例では、反転エンコードを選択することで、取り出せる電力を最大にできる。
【0072】
図12は、データエンコードの第3例を説明する図である。第3例は、図9に示した画像データの4行目のデータをエンコードする場合を表している。4行目は、“黒、白、白、白、白、白、白、白、白、黒”からなるデータである。
【0073】
通常エンコードは、データ“0111111110”となる。通常エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、16である。
【0074】
反転エンコードは、データ“1000000001”となる。反転エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、4である。
【0075】
変化点エンコード1は、データ“0011111110”となる。変化点エンコード1では、取り出せる電力(a.u.)は、14である。
【0076】
変化点エンコード2は、データ“0100000001”となる。変化点エンコード2では、取り出せる電力(a.u.)は、4である。
【0077】
よって、第3例では、通常エンコードを選択することで、取り出せる電力を最大にできる。
【0078】
図13は、データエンコードの第4例を説明する図である。第4例は、図9に示した画像データの8行目のデータをエンコードする場合を表している。8行目は、“黒、白、黒、白、黒、白、黒、白、黒、白”からなるデータである。
【0079】
通常エンコードは、データ“0101010101”となる。通常エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0080】
反転エンコードは、データ“1010101010”となる。反転エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0081】
変化点エンコード1は、データ“0000000000”となる。変化点エンコード1では、取り出せる電力(a.u.)は、0である。
【0082】
変化点エンコード2は、データ“0111111111”となる。変化点エンコード2では、取り出せる電力(a.u.)は、18である。
【0083】
よって、第4例では、変化点エンコード2を選択することで、取り出せる電力を最大にできる。
【0084】
図14は、データエンコードの第5例を説明する図である。第5例は、図9に示した画像データの9行目のデータをエンコードする場合を表している。9行目は、“白、黒、白、黒、白、黒、白、黒、白、黒”からなるデータである。
【0085】
通常エンコードは、データ“1010101010”となる。通常エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0086】
反転エンコードは、データ“0101010101”となる。反転エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、10である。
【0087】
変化点エンコード1は、データ“1000000000”となる。変化点エンコード1では、取り出せる電力(a.u.)は、2である。
【0088】
変化点エンコード2は、データ“1111111111”となる。変化点エンコード2では、取り出せる電力(a.u.)は、20である。
【0089】
よって、第5例では、変化点エンコード2を選択することで、取り出せる電力を最大にできる。
【0090】
図15は、データエンコードの第6例を説明する図である。第6例は、図9に示した画像データの10行目のデータをエンコードする場合を表している。10行目は、“黒、黒、黒、白、白、白、白、黒、黒、黒”からなるデータである。
【0091】
通常エンコードは、データ“0001111000”となる。通常エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、8である。
【0092】
反転エンコードは、データ“1110000111”となる。反転エンコードでは、取り出せる電力(a.u.)は、12である。
【0093】
変化点エンコード1は、データ“0110111011”となる。変化点エンコード1では、取り出せる電力(a.u.)は、14である。
【0094】
変化点エンコード2は、データ“0001000100”となる。変化点エンコード2では、取り出せる電力(a.u.)は、4である。
【0095】
よって、第6例では、変化点エンコード1を選択することで、取り出せる電力を最大にできる。
【0096】
図16は、データエンコードの第1例乃至第6例における取り出せる電力を纏めた図である。図16において、括弧内の数値は、通常エンコード時に取り出せる電力との差である。図16のハッチングを付した数値のエンコード方法が、取り出せる電力を最大にできるエンコード方法である。送信するデータの状態に応じてエンコード方法を選択することで、取り出せる電力を大きくすることができる。
【0097】
[2-3] フラグの送信方法
次に、フラグの送信方法について説明する。図9の画像データの10行目のデータをエンコードする場合を例に挙げて説明する。図17は、フラグの送信方法を説明する図である。
【0098】
フラグは、例えば、伝送すべきデータがエンコードされたデータの一番前に付加される。フラグは、2ビットデータである。前述したように、通常エンコードを選択した場合、フラグは、“11”となる。反転エンコードを選択した場合、フラグは、“10”となる。変化点エンコード1を選択した場合、フラグは、“01”となる。変化点エンコード2を選択した場合、フラグは、“00”となる。
【0099】
送信部11は、フラグと、伝送すべきデータがエンコードされたデータとからなる送信データを送信する。
【0100】
[2-4] データ送信動作
次に、データ送信動作について説明する。図18は、送信装置2のデータ送信動作を説明するフローチャートである。
【0101】
データ読み出し部14Aは、伝送すべきデータを、例えば記憶部12から読み出す(ステップS100)。伝送すべきデータは、記憶部12に格納されているものとする。データ読み出し部14Aは、外部インターフェース13を介して外部からデータを読み出してもよい。
【0102】
続いて、エンコード方法判定部14Bは、ステップS100で読み出したデータの状態を判定し、取り出せる電力が最大となるエンコード方法を判定する(ステップS101)。すなわち、エンコード方法判定部14Bは、今回の送信において、4つのエンコード方法(通常エンコード、反転エンコード、変化点エンコード1、及び変化点エンコード2)のうちどれを用いるかを判定する。
【0103】
続いて、フラグ生成部14Cは、ステップS101で判定されたエンコード方法に対応するフラグを生成する(ステップS102)。
【0104】
続いて、エンコード部14Dは、ステップS101で判定されたエンコード方法を用いて、ステップS100で読み出したデータをエンコードする(ステップS103)。
【0105】
続いて、送信データ生成部14Eは、ステップS102で生成されたフラグと、ステップS103でエンコードされたデータとを用いて、送信データを生成する(ステップS104)。送信データは、エンコードされたデータの前にフラグが付加されて構成される。
【0106】
続いて、送信部11は、ステップS104で生成された送信データを、アンテナ10から送信する(ステップS105)。具体的には、送信部11は、送信データに対応するベースバンド信号に搬送波を乗算して変調波を生成し、この変調波を送信する。
【0107】
[2-5] データ受信動作
次に、データ受信動作について説明する。図19は、受信装置3のデータ受信動作を説明するフローチャートである。
【0108】
受信部21は、アンテナ20を介して、データを受信する(ステップS200)。受信部21は、受信データを復調する。
【0109】
また、受信部21は、復調する前の変調波を整流回路22に送る。整流回路22は、変調波を整流し、電力を取り出す。取り出された電力は、電源回路23に送られる。
【0110】
続いて、受信データ分離部26Aは、受信データを、フラグとデータとに分離する(ステップS201)。
【0111】
続いて、フラグ判定部26Bは、ステップS201で分離されたフラグの状態を判定する(ステップS202)。ステップS202において、データのエンコード方法が判定される。
【0112】
続いて、デコード部26Cは、ステップS202で判定されたエンコード方法に基づいて、ステップS201で分離されたデータをデコードする(ステップS203)。
【0113】
続いて、データ書き込み部26Dは、デコードされたデータを記憶部24に書き込む(ステップS204)。これにより、伝送したいデータが記憶部24に書き込まれる。
【0114】
[3] 実施形態の効果
以上詳述したように本実施形態では、送信装置2は、取り出せる電力が大きくなるように、伝送する第1データをエンコードする制御部14と、制御部14によりエンコードされた第2データを送信する送信部11とを備える。受信装置3は、送信装置2から送信された第2データを受信する受信部21と、第2データをデコードする制御部26とを備える。
【0115】
従って本実施形態によれば、伝送するデータの状態に応じてエンコードすることにより、受信装置3で取り出せる電力を増加させることができる。
【0116】
また、エンコード方法を表すフラグ(情報)をデータと一緒に送信するようにしている。これにより、受信側では、フラグを判定することで、受信データを正確にデコードすることができる。
【0117】
また、受信装置3で受信した受信データ(変調波)は、整流回路22で整流された後に、電源回路23に供給される。よって、電源回路23が電池を有している場合、電池の持ちを長くすることができる。
【0118】
また、データを送信することで給電が可能となるため、電池自体を不要にすることができる。
【0119】
また、給電用の電波を送信データと別途送信する必要がない。これにより、データ伝送における処理時間を短縮することができる。
【0120】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0121】
1…無線給電システム、2…送信装置、3…受信装置、10…アンテナ、11…送信部、12…記憶部、13…外部インターフェース、14…制御部、15…バス、20…アンテナ、21…受信部、22…整流回路、23…電源回路、24…記憶部、25…外部インターフェース、26…制御部、27…バス。
図1
図2
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図5
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図19