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特開2022-104856カセット型電気透析装置およびそれを備えたモジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104856
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】カセット型電気透析装置およびそれを備えたモジュール
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/469 20060101AFI20220705BHJP
   B01D 61/46 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
C02F1/469
B01D61/46
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021087239
(22)【出願日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】109146879
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 翼澤
(72)【発明者】
【氏名】林 冠佑
(72)【発明者】
【氏名】楊 欣茹
【テーマコード(参考)】
4D006
4D061
【Fターム(参考)】
4D006GA17
4D006HA47
4D006HA48
4D006JA04A
4D006JA04C
4D006JA07A
4D006JA08A
4D006JA24A
4D006JA25A
4D006JA27A
4D006JA30A
4D006MA03
4D006MA13
4D006MA14
4D006PA01
4D006PB08
4D061DA08
4D061DB13
4D061EA09
4D061EB04
4D061EB13
4D061EB17
4D061EB19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】締め付けの不備による処理水の漏れを防止する、カセット型電気透析装置、およびそれを備えたモジュールを提供する。
【解決手段】カセット型電気透析装置10は、収容箱1、ろ過膜群2、および収容箱上に配置された蓋部材3を含む。収容箱は膜支持体11、膜制限壁12、および収容開口部13を含む。膜制限壁は、収容開口部を形成するために、膜支持体上に配置され、膜支持体を取り囲む。ろ過膜群は、膜支持体上に配置され、膜制限壁の内側に当接し、および、第1のイオン交換膜21と、第2のイオン交換膜23と、それらの間に配置されたスペーサ22とを含む。蓋部材は、本体部32と、本体部を貫通する開口部33と、押圧部31とを含む。ろ過膜群に隣接した、本体部の第1の面S1は、周辺領域321と、周辺領域よりも開口部に近い内側領域322とを有し、および押圧部は内側領域上に形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を備えるカセット型電気透析装置であって、
前記収容箱が、
膜支持体と、前記膜支持体上に配置され、前記膜支持体を取り囲む膜制限壁と、
前記膜支持体と前記膜制限壁との間に形成された収容開口部と
を備え、
前記ろ過膜群が、前記膜支持体上に配置され、前記膜制限壁の内側に当接し、前記ろ過膜群が、
交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜と、
前記複数の第1のイオン交換膜と前記複数の第2のイオン交換膜との間に配置された複数のスペーサと
を備え、
前記蓋部材が前記収容箱上に配置され、前記蓋部材が、少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを備え、前記少なくとも1つの開口部が前記本体部を貫通し、前記ろ過膜群に隣接した、前記本体部の第1の面が周辺領域および内側領域を有し、前記内側領域が前記周辺領域よりも前記開口部に近く、および前記押圧部が前記内側領域上に形成された、カセット型電気透析装置。
【請求項2】
前記膜支持体と前記ろ過膜群との間に配置された第1のシール部材と、
前記押圧部と前記ろ過膜群との間、かつ、前記周辺領域と前記膜制限壁との間に配置された第2のシール部材と
をさらに備えた、請求項1に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項3】
前記蓋部材が、前記第1の面に対応する内面を有し、前記内側領域内に配置された前記押圧部および前記本体部によって形成された厚さ全体が、前記内面の法線方向において前記周辺領域内に配置された前記本体部によって形成された厚さよりも大きい、請求項1に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項4】
前記押圧部が前記開口部を取り囲む、請求項1に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項5】
前記ろ過膜群は、前記ろ過膜群が前記押圧部によって圧縮される前には第1の厚さを有し、
前記ろ過膜群は、前記ろ過膜群が前記押圧部によって圧縮された後には第2の厚さを有し、前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも小さい、請求項1に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項6】
前記第2の厚さは前記第1の厚さに対する圧縮率を有し、前記圧縮率は3%~15%の範囲である、請求項5に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項7】
前記蓋部材は、前記第1の面に対応する内面、第1の方向に沿って延在する複数の孔、および第2の方向に沿って延在する複数の延在アパーチャそれぞれを有し、前記第1の方向は前記内面の法線方向に対して平行であり、前記第2の方向は前記内面の前記法線方向に対して垂直であり、前記蓋部材の前記複数の孔は前記押圧部および前記本体部を貫通し、前記複数の延在アパーチャは、前記複数の孔のうち、対応する複数の孔を前記開口部に接続する、請求項1に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項8】
前記蓋部材の前記複数の孔が第1群の孔および第2群の孔を備え、前記第1群の孔および前記第2群の孔が前記開口部の対向する2つの側に形成され、前記第1群の孔における複数の孔が、第3の方向に沿って互いに離間しており、前記第2群の孔における複数の孔が、前記第3の方向に沿って互いに離間しており、および前記第3の方向が、前記第1の方向および前記第2の方向に対して垂直であり、
前記第1の群の孔における前記複数の孔に接続された前記複数の延在アパーチャが、前記第2の方向において、前記第2群の孔における前記複数の孔に接続された前記複数の延在アパーチャと離間している、請求項7に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項9】
前記蓋部材の前記複数の孔が第1群の孔および第2群の孔を備え、前記蓋部材の前記第1群の孔および前記第2群の孔が前記開口部の対向する2つの側に形成され、
前記複数の第1のイオン交換膜それぞれが第1群の孔および第2群の孔を備え、前記複数の第2のイオン交換膜それぞれが第1群の孔および第2群の孔を備え、前記複数のスペーサそれぞれが第1群の孔および第2群の孔を備え、
前記蓋部材の前記第1群の孔、前記複数の第1のイオン交換膜それぞれの前記第1群の孔、前記複数の第2のイオン交換膜それぞれの前記第1群の孔、および前記複数のスペーサそれぞれの前記第1群の孔が互いに対応し、前記蓋部材の前記第2群の孔、前記複数の第1のイオン交換膜それぞれの前記第2群の孔、前記複数の第2のイオン交換膜それぞれの前記第2群の孔、および前記複数のスペーサそれぞれの前記第2群の孔が互いに対応している、請求項7に記載のカセット型電気透析装置。
【請求項10】
カセット型電気透析モジュールであって、
複数のカセット型電気透析装置、および位置決めアセンブリであって、前記複数のカセット型電気透析装置それぞれが収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を備える、複数のカセット型電気透析装置、および位置決めアセンブリを備え、
前記収容箱は、
膜支持体と、
前記膜支持体上に配置され、前記膜支持体を取り囲む膜制限壁と、
前記膜支持体と前記膜制限壁との間に形成された収容開口部と
を備え、
前記ろ過膜群は前記膜支持体上に配置され、前記膜制限壁の内側に当接し、前記ろ過膜群は、
交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜と、
前記複数の第1のイオン交換膜と前記複数の第2のイオン交換膜との間に配置された複数のスペーサと
を備え、
前記蓋部材が前記収容箱上に配置され、前記蓋部材が、少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを備え、前記少なくとも1つの開口部が前記本体部を貫通し、前記ろ過膜群に隣接した、前記本体部の第1の面が周辺領域および内側領域を有し、前記内側領域が前記周辺領域よりも前記開口部に近く、および前記押圧部が前記内側領域上に形成され、
前記複数のカセット型電気透析装置が互いに位置合わせされるように、前記位置決めアセンブリが前記膜制限壁の外側に配置された、カセット型電気透析モジュール。
【請求項11】
前記複数のカセット型電気透析装置それぞれは、
前記膜支持体と前記ろ過膜群との間に配置された第1のシール部材と、
前記押圧部と前記ろ過膜群との間、および前記周辺領域と前記膜制限壁との間に配置された第2のシール部材と
をさらに備えた、請求項10に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項12】
前記複数のカセット型電気透析装置間に配置された第3のシール部材をさらに備えた、請求項11に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項13】
前記位置決めアセンブリが、
前記複数のカセット型電気透析装置の同じ側に配置された複数の制限スライドレールと、
前記膜制限壁の外側に形成され、および、前記複数の制限スライドレールと対応して結合された複数の第1の位置決め部と
をさらに備えた、請求項10に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項14】
第1の電極カセットおよび第2の電極カセットであって、前記複数のカセット型電気透析装置が、前記第1の電極カセットと前記第2の電極カセットとの間に配置された第1の電極カセットおよび第2の電極カセットと、
それぞれ、前記第1の電極カセットと、前記複数のカセット型電気透析装置における、前記第1の電極カセットに最も近い前記カセット型電気透析装置との間に配置され、および、前記第2の電極カセットと、前記複数のカセット型電気透析装置における、前記第2の電極カセットに最も近い前記カセット型電気透析装置との間に配置された第4の2つのシール部材と
をさらに備えた、請求項12に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項15】
第3の電極カセットであって、前記第3の電極カセットが前記第1の電極カセットと前記第2の電極カセットとの間に配置され、前記複数のカセット型電気透析装置内に挿入された第3の電極カセットをさらに備えた、請求項14に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項16】
前記位置決めアセンブリが、
前記複数のカセット型電気透析装置の同じ側に配置された複数の制限スライドレールと、
前記膜制限壁の外側に形成され、前記複数の制限スライドレールと対応して結合された複数の第1の位置決め部と、
前記第1の電極カセットおよび前記第2の電極カセットの外側に形成され、前記複数の制限スライドレールと対応して結合された複数の第2の位置決め部と
をさらに備えた、請求項14に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項17】
クランプアセンブリをさらに備え、前記クランプアセンブリが、
前記第1の電極カセットの外側に形成された複数の第1の結合部と、
前記第2の電極カセットの外側に形成された複数の第2の結合部と、
前記第1の電極カセット、前記複数のカセット型電気透析装置、および前記第2の電極カセットが互いに固定されるように前記複数の第1の結合部および前記複数の第2の結合部それぞれと接続された複数のねじ棒と
を備えた、請求項14に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項18】
カセット型電気透析モジュールであって、
複数のカセット型電気透析装置、および位置決めアセンブリを備え、
前記複数のカセット型電気透析装置それぞれが収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を備え、
前記収容箱が、
膜支持体と、
前記膜支持体上に配置され、前記膜支持体を取り囲む膜制限壁と、
前記膜支持体と前記膜制限壁との間に形成された収容開口部と
を備え、
前記ろ過膜群が、前記膜支持体上に配置され、前記膜制限壁の内側に当接し、前記ろ過膜群が、
交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜と、
前記複数の第1のイオン交換膜と前記複数の第2のイオン交換膜との間に配置された複数のスペーサと
を備え、
前記蓋部材が前記収容箱上に配置され、前記蓋部材が、少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを備え、前記少なくとも1つの開口部が前記本体部を貫通し、前記ろ過膜群に隣接した、前記本体部の第1の面が周辺領域および内側領域を有し、前記内側領域が前記周辺領域よりも前記開口部に近く、前記押圧部が前記内側領域上に形成され、
前記位置決めアセンブリが、前記複数のカセット型電気透析装置それぞれの第1の面および第2の面に配置され、前記複数のカセット型電気透析装置それぞれの前記第1の面が前記複数のカセット型電気透析装置それぞれの前記第2の面の反対側である、カセット型電気透析モジュール。
【請求項19】
前記位置決めアセンブリが複数の第1の位置決め部をさらに備え、前記複数の第1の位置決め部が、前記複数のカセット型電気透析装置それぞれの前記第1の面に配置されたくぼみ部、および前記複数のカセット型電気透析装置それぞれの前記第2の面に配置された突出部を備え、前記複数のカセット型電気透析装置のうち、隣接する複数のカセット型電気透析装置の前記くぼみ部および前記突出部が対応して結合された、請求項18に記載のカセット型電気透析モジュール。
【請求項20】
第1の電極カセットおよび第2の電極カセットをさらに備え、前記複数のカセット型電気透析装置が、前記第1の電極カセットと前記第2の電極カセットとの間に配置され、
前記位置決めアセンブリが複数の第2の位置決め部をさらに備え、前記複数の第2の位置決め部が、前記複数のカセット型電気透析装置に隣接した、前記第1の電極カセットの一方側、および前記複数のカセット型電気透析装置に隣接した、前記第2の電極カセットの一方側に配置され、前記複数の第2の位置決め部および前記複数の第1の位置決め部のうち、対応する複数の第2の位置決め部および複数の第1の位置決め部が対応して、互いに結合された、請求項19に記載のカセット型電気透析モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、電気透析装置およびそれを備えたモジュール、特に、カセット型電気透析装置およびそれを備えたモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気透析(Electrodialysis、ED)技術は、脱塩、濃縮、および浄化などの異なる目的のために電場によって駆動される膜分離技術であるため、電気化学的脱塩(ED)とも呼ばれる。電気透析システムは、交互に配置された陰イオン交換膜および陽イオン交換膜を水が通って流れることを可能にする。電極板の直流電場の作用下で、陰イオンおよび陽イオンが移動して陰イオン交換膜と陽イオン交換膜を選択的に透過し、陰イオンと陽イオンを除去したり、別の水路で濃縮したりして、水の浄化という目的を達成することができる。たとえば、電気化学的分離用のフロー分配器が引用文献1に開示されている。
【0003】
一般的な電気透析技術では、水の外部への漏れを防止するために、ねじ棒を使用して陰イオン交換膜および陽イオン交換膜と電極板とのすべてを貫通して陰イオン交換膜および陽イオン交換膜を押圧するが、この押圧方法は、ねじ棒が貫通する位置においてドット状の圧縮応力を生み出すに過ぎない。さらに、ねじ棒それぞれがねじ締めされる必要があり、ねじ棒それぞれがねじ締めにおいて異なる締り具合を有するという問題が生じやすい。ねじ棒をねじ締めするための強度を制御し、および統一することが困難であるのみならず、この応力差により、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜を積層する量が制限され、これは、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜間の中央部分における不十分な水密性をもたらす可能性がより高くなり、浄化された水と汚水との混合をもたらし、電気透析の効果を得られない可能性が高くなる。
【0004】
一般的な電気透析技術では、最外側に押圧板を追加し、ねじ棒が押圧板を貫通するだけで、不均一な圧縮応力という問題を解決している。しかしながら、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜はねじ棒によって固定されないので、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の積層動作からの、多くの派生した問題をもたらす。たとえば、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の寸法が最大80cm×160cmである場合、積層工程中にずれが生じる可能性が高く、これは内部のきれいな水と汚水とを混合する危険性を増加させる。あるいは、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の数が多い場合、積層動作に時間がかかるのみならず、さらに、ホイストにクレーンが必要となり、組み立て効率が非常に悪い。さらに、組み立てが完了した後に、漏水または組立ミスが発見された場合、検査のためにそれらを解体せざるを得ず、その後、組立動作を繰り返さなくてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許第I509109号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、上記技術的課題を解決するために、改善された電気透析装置についての研究が急務となっている。
【0007】
本開示の実施形態によれば、カセット型電気透析装置が提供される。カセット型電気透析装置は、収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を含む。収容箱は、膜支持体、膜制限壁、および収容開口部を含む。膜制限壁は、膜支持体上に配置され、膜支持体を取り囲む。収容開口部は膜支持体と膜制限壁との間に形成される。ろ過膜群は、膜支持体上に配置され、膜制限壁の内側に当接する。ろ過膜群は、交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜と、複数のスペーサとを含む。複数のスペーサは、複数の第1のイオン交換膜と複数の第2のイオン交換膜との間に配置される。蓋部材は収容箱上に配置され、蓋部材は少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを備える。少なくとも1つの開口部は本体部を貫通し、ろ過膜群側に隣接した、本体部の第1の面は周辺領域および内側領域を有し、内側領域は周辺領域よりも開口部に近く、および押圧部は内側領域上に形成される。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、カセット型電気透析モジュールが提供される。カセット型電気透析モジュールは、複数のカセット型電気透析装置、および位置決めアセンブリを含む。複数のカセット型電気透析装置それぞれは収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を備える。収容箱は、膜支持体、膜制限壁、および収容開口部を含む。膜制限壁は、膜支持体上に配置され、膜支持体を取り囲む。収容開口部は、膜支持体と膜制限壁との間に形成される。ろ過膜群は、膜支持体上に配置され、膜制限壁の内側に当接する。ろ過膜群は、交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜;ならびに複数のスペーサを含む。複数のスペーサは、複数の第1のイオン交換膜と複数の第2のイオン交換膜との間に配置される。蓋部材は収容箱上に配置され、蓋部材は、少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを備え、少なくとも1つの開口部は本体部を貫通し、ろ過膜群に隣接した、本体部の第1の面は周辺領域および内側領域を有し、内側領域は周辺領域よりも開口部に近く、および押圧部は内側領域上に形成される。複数のカセット型電気透析装置が互いに位置合わせされるように、位置決めアセンブリは、膜制限壁の外側に配置される。
【0009】
本開示のさらなる実施形態によれば、カセット型電気透析モジュールが提供される。カセット型電気透析モジュールは、複数のカセット型電気透析装置、および位置決めアセンブリを含む。複数のカセット型電気透析装置それぞれは収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を含む。収容箱は、膜支持体、膜制限壁、および収容開口部を含む。膜制限壁は、膜支持体上に配置され、膜支持体を取り囲む。収容開口部は、膜支持体と膜制限壁との間に形成される。ろ過膜群は、膜支持体上に配置され、膜制限壁の内側に当接する。ろ過膜群は、交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜と、複数のスペーサとを含む。複数のスペーサは、複数の第1のイオン交換膜と複数の第2のイオン交換膜との間に配置される。蓋部材は収容箱上に配置され、蓋部材は、少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを含み、少なくとも1つの開口部は本体部を貫通し、ろ過膜群に隣接した、本体部の第1の面は周辺領域および内側領域を有し、内側領域は周辺領域よりも開口部に近く、および押圧部は内側領域上に形成される。位置決めアセンブリは複数のカセット型電気透析装置それぞれの第1の面および第2の面に配置され、複数のカセット型電気透析装置それぞれの第1の面は複数のカセット型電気透析装置それぞれの第2の面の反対側である。
【0010】
本開示の上記および他の局面をより良い理解を有するために、以下の実施形態が特に提供され、および添付図面が以下のように詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置の分解概略図である。
図3】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置の断面図である。
図4】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置の組み立て工程の概略図である。
図5】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置の組み立て工程の概略図である。
図6】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置の組み立て工程の概略図である。
図7】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析モジュールの分解概略図である。
図8】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析モジュールの斜視図である。
図9】本開示の一実施形態によるカセット型電気透析モジュールの側面図である。
図10A】本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析装置の第2の面の斜視図である。
図10B】本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析装置の第1の面の斜視図である。
図11A】本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析装置の第2の面の斜視図である。
図11B】本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析装置の第1の面の斜視図である。
図12】本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュールの斜視図である。
図13】本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置10の斜視図である。図2は本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置10の分解概略図である。図3は本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置10の断面図である。
【0013】
図1および図2を同時に参照すれば、カセット型電気透析装置10は、収容箱1、ろ過膜群2、および蓋部材3を含む。ろ過膜群2は、収容箱1と蓋部材3との間に配置される。図1に示すように、収容箱1の外側は、第1の方向D1において厚さを有し、第2の方向D2において長さL1を有し、および第3の方向D3において幅W1を有する。第1の方向D1、第2の方向D2、および第3の方向D3はたとえば、互いに対して垂直である。蓋部材3の外側は、第2の方向D2において長さL2を有し、および第3の方向D3において幅W2を有する。長さL1は長さL2に等しくてもよく、および幅W1は幅W2に等しくてもよいが、本開示はそれに限定されるものでない。以下に別段の定めがない限り、各要素の厚さは第1の方向において形成された厚さであり、長さは第2の方向において形成された長さであり、および幅は第3の方向において形成された幅である。図1では、本開示のカセット型電気透析装置10は垂直方向に配置され、たとえば、収容箱1の長さ方向(すなわち、第2の方向D2)は、カセット型電気透析装置10が配置される、(図1において第1の方向D1および第3の方向D3によって形成された平面などの)平面Gに対して垂直であるが、本開示はそれに限定されるものでない。カセット型電気透析装置10は、水平方向に配置される、たとえば、収容箱1の長さ方向(すなわち、第2の方向D2)が、図4図6に示すように、配置のための平面Gに対して平行であってもよい。
【0014】
図2を参照すれば、収容箱1は膜支持体11、膜制限壁12、および収容開口部13を含む。膜制限壁12は、膜支持体11上に配置され、および膜支持体11を取り囲む。収容開口部13は、膜支持体11と膜制限壁12との間に形成される。収容箱1はたとえば矩形箱形状の構造であるが、本開示はそれに限定されるものでない。
【0015】
ろ過膜群2は、膜支持体11上に配置され、および膜制限壁12の内側に当接する。すなわち、ろ過膜群2は収容開口部13内に配置される。ろ過膜群2は、交互に配置された複数の第1のイオン交換膜21および複数の第2のイオン交換膜23を含み、複数の第1のイオン交換膜21と複数の第2のイオン交換膜23との間に配置された複数のスペーサ22を含む。複数の第1のイオン交換膜21、複数の第2のイオン交換膜23、および複数のスペーサ22は、ろ過膜群2における多層膜とみなし得る。一実施形態では、第1のイオン交換膜21は陰イオン交換膜であり、および第2のイオン交換膜23は陽イオン交換膜である。別の実施形態では、第1のイオン交換膜21は陽イオン交換膜であり、および第2のイオン交換膜23は陰イオン交換膜である。ろ過膜群2における複数の第1のイオン交換膜21それぞれ、複数の第2のイオン交換膜23それぞれ、および複数のスペーサ22それぞれの寸法(たとえば、長さおよび幅)は、互いに同じであってもよく、および、収容開口部13(または、膜制限壁12によって画定される、膜支持体11の露出領域)の寸法(たとえば、長さおよび幅)に対応していてもよいが、それに限定されるものでない。ユーザは、要求(たとえば、ろ過膜群2の膜圧縮条件および水質浄化基準)に応じて、膜の異なる寸法または異なる数のろ過膜群2を選択し得る。一部の実施形態では、収容開口部13の長さL3が40cm以上160cm以下であってもよく、および収容開口部13の幅W3が20cm以上80cm以下であってもよいが、本開示はそれに限定されるものでない。
【0016】
膜制限壁12によって囲まれた収容開口部13の寸法は第1のイオン交換膜21、第2のイオン交換膜23、およびスペーサ22の寸法に対応しているので、第1のイオン交換膜21、第2のイオン交換膜23、およびスペーサ22が1つずつ収容開口部13内に配置されると、膜制限壁12の内側により、第1のイオン交換膜21、第2のイオン交換膜23、およびスペーサ22が互いに位置合わせされ、および膜支持体11上に固定されることが可能であり、第1のイオン交換膜21、第2のイオン交換膜23、およびスペーサ22を固定するのに接着剤を使用する必要はなく、第1のイオン交換膜21、第2のイオン交換膜23、スペーサ22を互いに位置合わせするための余分な労力は必要でなく、大きい寸法のろ過膜群2でもなお容易に組み立てることが可能である。膜制限壁のない電気透析装置の比較例と比較すると、本開示は、膜制限壁12を有しているので、カセット型電気透析装置10を組立てる際の時間および労力を節減することが可能であり、および、第1のイオン交換膜21、第2のイオン交換膜23、およびスペーサ22を正確に位置合わせすることが可能であり、これにより、膜の位置のずれによって生じる内部の漏水を効果的に削減し、それにより、浄水された水と、汚水との混合のリスクをなくし得る。一部の実施形態では、第1の方向D1における膜制限壁12の厚さは、第1の方向D1におけるろ過膜群2の厚さ以上であってもよい。
【0017】
さらに、ろ過膜群2が膜支持体11上に配置された後、蓋部材3は収容箱1およびろ過膜群2上に配置され得る。すなわち、蓋部材3は着脱可能に収容箱1と結合され、および、ろ過膜群2は収容箱1と蓋部材3との間に配置される。蓋部材3は、少なくとも1つの開口部33と、本体部32と、押圧部31とを含み、開口部33は本体部32を貫通し、本体部32は、ろ過膜群2に隣接した第1の面S1、およびろ過膜群2から離れた第2の面S2を有し、第1の面S1および第2の面S2は本体部32の両側に配置される。本体部32の第1の面S1は周辺領域321および内側領域322を有する。内側領域322は周辺領域321よりも開口部33に近く、および、押圧部31は、たとえば開口部33を取り囲む内側領域322上に形成される。すなわち、押圧部31は、本体部32の第1の面S1にある突出部である。本実施形態では、蓋部材3の中央部は開口部33を有しているが、本開示はそれに限定されるものでない。他の実施形態では、蓋部材3の中央部は複数の開口部を有してもよい。押圧部31の寸法(たとえば、長さおよび幅)は、ろ過膜群2の寸法(たとえば、長さおよび幅)に対応して(たとえば、上記寸法に等しい、上記寸法よりもやや大きい、または上記寸法よりもやや小さい)もよい。蓋部材3が着脱可能に収容箱1と結合された後、押圧部31は、(図3に示すように)面状の圧縮圧力を与えて、ろ過膜群2の厚さが削減されるようにろ過膜群2を均一に圧搾してもよく、ドット状の圧縮応力により、ろ過膜群を圧搾する比較例と比較すると、本開示における押圧部31は、ろ過膜群2の不均一な力という問題を解決し、より良い漏れ防止効果をもたらす。
【0018】
図2を参照すれば、一部の実施形態では、カセット型電気透析装置10は、第1のシール部材41および第2のシール部材42をさらに含む。第1のシール部材41は、膜支持体11とろ過膜群2との間に配置される。たとえば、第1のシール部材41は、膜支持体11の内面の形状に適合しており、膜支持体11の内面に取り付けられ、および、収容開口部13に対応する寸法を有する。第2のシール部材42は、押圧部31とろ過膜群2との間、かつ、周辺領域321と膜制限壁12との間に配置される。さらに、第2のシール部材42は第1の部分42aおよび第2の部分42bを含む。蓋部材3は、第1の面S1に対応する内面3Sを有する。第2のシール部材42の第1の部分42aは、押圧部31に対応する内面3S上に配置され、押圧部31に対応する内面3Sの形状に適合しており、および、押圧部31に対応する内面3Sに取り付けられる。第2のシール部材42の第2の部分42bは、周辺領域321に対応する内面3S上に配置され、周辺領域321に対応する内面3Sの形状に適合しており、および、周辺領域321に対応する内面3Sに取り付けられる。蓋部材3の周辺領域321、およびその上に配置された、第2のシール部材42の第2の部分42bは、着脱可能に、膜制限壁12の上縁121に接続されるように使用される。蓋部材3の押圧部31、およびその上に配置された、第2のシール部材42の第1の部分42aは、(図3に示すように)着脱可能に、ろ過膜群2に接続されるために使用される。蓋部材3の押圧部31は、(図3に示すように)ろ過膜群2を圧縮するために使用され得る。一部の実施形態では、第1のシール部材41および第2のシール部材42はいずれかの軟質パッド材であってもよく、軟質パッド材の材料はたとえば、シリカゲル、ゴム、ポリエチレン(PE)、または他の好適な材料である。第1のシール部材41は、膜支持体11に最も近い、イオン交換膜の第1の片(たとえば、第1のイオン交換膜21または第2のイオン交換膜23)と、膜支持体11との間の水密性をもたらし得る。第2のシール部材42は、蓋部材3に最も近い、イオン交換膜の第1の片(本実施形態では、これは第1のイオン交換膜21であるが、他の実施形態では、これは第2のイオン交換膜23であり得る)と、蓋部材3との間の水密性を付与し得る。
【0019】
図1および図2を参照すれば、蓋部材3は、第1の方向D1に沿って延在する複数の孔301および第2の方向D2に沿って延在する複数の延在アパーチャ302も有している。第1の方向D1は内面3Sの法線方向に対して平行であり、および第2の方向D2は内面3Sの法線方向に対して垂直である。蓋部材3の複数の孔301は押圧部31および本体部32を貫通し、複数の延在アパーチャ302は、対応する複数の孔301を開口部33に接続する。そこで、蓋部材3の複数の孔301は、第1群の孔3011および第2群の孔3012を含む。第1群の孔3011および第2群の孔3012は、開口部33の対向する2つの側(たとえば、上側および下側)に形成される。第1群の孔3011における複数の孔301は第3の方向D3に沿って互いに離間しており、および第2群の孔3012における複数の孔301は第3の方向D3に沿って互いに離間している。第2の方向D2では、第1群の孔3011における複数の孔301に接続された複数の延在アパーチャ302は、第2群の孔3012における複数の孔301に接続された複数の延在アパーチャ302と離間している。すなわち、上側の複数の延在アパーチャ302および下側の複数の延在アパーチャ302はそれぞれ、第2の方向D2において互いに重なり合わない第1群の孔3011および第2群の孔3012に接続される。
【0020】
さらに、複数の第1のイオン交換膜21それぞれは対向する2つの側(たとえば、上側および下側)に配置された第1群の孔2101および第2群の孔2102を含み、複数の第2のイオン交換膜23それぞれは、対向する2つの側(たとえば、上側および下側)に配置された第1群の孔2301および第2群の孔2302を含み、複数のスペーサ22それぞれは、対向する2つの側(たとえば、上側および下側)に配置された第1群の孔2201および第2群の孔2202を含む。膜支持体11は、複数の大孔1100および複数の小孔1102を含み、小孔1102は大孔1100の対向する2つの側(たとえば、上側および下側)に配置され、小孔1102は、大孔1100の上側に配置された第1群の孔(図示せず)、および大孔1100の下側に配置された第2群の孔1102を含む。
【0021】
膜制限壁12のおかげで、膜支持体11の第1群の孔(図示せず)、膜部材3の第1群の孔3011、複数の第1のイオン交換膜21それぞれの第1群の孔2101、複数の第2のイオン交換膜23それぞれの第1群の孔2301、および複数のスペーサ22それぞれの第1群の孔2201は互いに対応し得る。膜支持体11の第2群の孔1102、蓋部材3の第2群の孔3012、複数の第1のイオン交換膜21それぞれの第2群の孔2102、複数の第2のイオン交換膜23それぞれの第2群の孔2302、および複数のスペーサ22それぞれの第2群の孔2202は互いに対応し得る。
【0022】
図3を参照すれば、蓋部材3は第1の面S1に対応する内面3Sを有する。内面3Sの法線方向F3では、内側領域322において配置された押圧部31および本体部32によって形成された厚さT1は全体で、周辺領域321において本体部32によって形成された厚さT2よりも大きい。ろ過膜群2が押圧部31によって圧縮される前に、ろ過膜群2は第1の厚さT3を有する。本実施形態では、ろ過膜群2が押圧部31によって圧縮される前に、膜支持体11から最も離れた、ろ過膜群2における第1のイオン交換膜21の上面21aが膜制限壁12の上縁121と同一平面上にあってもよいが、本開示はそれに限定されるものでない。ろ過膜群2が押圧部31によって圧縮された後、ろ過膜群2は第2の厚さT4を有し、第2の厚さT4は第1の厚さT3よりも小さい。第2の厚さT4は、第1の厚さT3に対する圧縮率Rを有し、圧縮率R=(第1の厚さT3-第2の厚さT4)/第1の厚さT3であり、および圧縮率Rは、3%~15%、たとえば7%~10%の範囲であり得る。収容箱1が蓋部材3によって完全に覆われた後に、内側領域322において配置された押圧部31および本体部32によって形成された厚さ全体、膜制限壁12の厚さ、およびろ過膜群2の厚さが設計されていれば、ろ過膜群2に要求される緊密性の度合いを満たす、ろ過膜群2の必要な圧縮率Rを得ることができることが分かる。
【0023】
一部の実施形態では、ろ過膜群2における第1のイオン交換膜21および第2のイオン交換膜23によって形成された膜対の数は、20~50対の範囲であってもよい。ろ過膜群2の圧縮率Rは3%~15%の範囲であってもよい。単一カセットの電気透析装置10の水生成量は10~100LPMの範囲でもよく、および脱塩効率は10%~40%の範囲でもよいが、本開示はそれに限定されるものでない。電気透析のための、本開示の実施形態によるカセット型透析装置10の使用が、便利な組み立て、正確な位置決め、および良好な水密性という利点を有しているのみならず、さらに、良好な水生成および脱塩性能を維持するということが分かる。
【0024】
図4図6は、本開示の一実施形態によるカセット型電気透析装置10の組み立て工程の概略図である。
【0025】
図4を参照すれば、第1に、収容箱1が設けられ、次いで、ろ過膜群2における第2のイオン交換膜23、スペーサ22、第1のイオン交換膜21、およびスペーサ22が収容開口部13内に順次配置される。本実施形態では、ろ過膜群2における最上膜(すなわち、膜支持体11から最も離れている膜)は第1のイオン交換膜21であり、および最下膜は第2のイオン交換膜23である。しかし、本開示はそれに限定されるものでない。
【0026】
図5を参照すれば、第1のイオン交換膜21、スペーサ22、または第2のイオン交換膜23のうちのいずれかの膜が収容開口部13内に配置された場合、膜支持体11およびろ過膜群2の寸法は同じであるので、膜が収容箱1に滑り込ませられる間に膜支持体11へ落下する膜の角度および位置を自動的に修正し、および配置するために膜制限壁12を使用してもよく、よって、ろ過膜群2は膜支持体11上に整然と配置され、および位置合わせするように複数の膜それぞれの位置を1つずつ調節する必要はない。ろ過膜群2の寸法が大きい場合でも、同様に、単純に、およびすばやく動作させることが可能である。したがって、組み立て効率が大きく改善され、複数の膜それぞれの位置関係を確実に把握し得る。よって、膜位置のずれによってもたらされる内部の漏水の問題を効果的に緩和することが可能であり、浄化された水と、汚水との混合の危険性をなくすことが可能である。
【0027】
図6を参照すれば、ろ過膜群2が収容開口部13内に配置された後、蓋部材3の押圧部31はろ過膜群2に面し、蓋部材3は着脱可能に、ろ過膜群2および収容箱1と結合され、収容箱1の上縁121は蓋部材3の本体部32の周辺領域321、およびその上に配置された第2のシーリング部材42(図示せず)の第1の部分42aと緊密に結合され、よって、ろ過膜群2は、図3に示すように、押圧部31によって圧縮される。
【0028】
図7は、本開示の一実施形態によるカセット型電気透析モジュール10Mの分解概略図を示す。図8は、本開示の一実施形態によるカセット型電気透析モジュール10Mの斜視図を示す。
【0029】
図7および図8を同時に参照すれば、カセット型電気透析モジュール10Mは、第1の電極カセット51b、第2の電極カセット52b、複数のカセット型電気透析装置10Aおよび10B、第3のシール部材43、2つの第4のシール部材44aおよび44b、クランプアセンブリ5b、ならびに位置決めアセンブリ7bを含む。カセット型電気透析装置10Aおよび10Bは、第1の電極カセット51bと、第2の電極カセット52bとの間に配置される。第1の電極カセット51bおよび第2の電極カセット52bは電場を作用させるために使用されることが可能であり、および正の電極または負の電極それぞれとして使用することが可能である。
【0030】
図7および図8におけるカセット型電気透析装置10Aおよび10Bそれぞれは、図1および図2において示すカセット型電気透析装置10と同じであり、および類似点は再び説明しない。本実施形態では、2つのカセット型電気透析装置10Aおよび10Bのみが例示的に示されているが、本開示はそれに限定されるものでなく、本開示のカセット型電気透析装置10Mは、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の対の必要数に応じて任意の数のカセット型電気透析装置をも含み得る。一般的に言えば、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜と、電極板とのすべてを固定するためにねじ棒のみが使用される比較例、または押圧板を貫通して陰イオン交換膜および陽イオン交換膜と、電極板とを締め付けるためにねじ棒のみが使用される比較例では、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の膜対の数は最大400対までしかなく、そうでなければ陰イオン膜および陽イオン膜の積層体の中心における圧縮応力は小さすぎることになり、中間の膜が抜けてしまう。対照的に、本開示のカセット型電気透析装置10Mは、任意の数のカセット型電気透析装置10A、10B...を含むことができ、カセット型電気透析装置10A、10B...それぞれにおける陰イオン交換膜および陽イオン交換膜は、陰イオン膜および陽イオン膜の積層体が所望の圧縮率を達成し得るのに十分な圧縮応力が与えられ得るため、カセット型電気透析装置10Mは、任意の数の陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の対をも含むことができる(すなわち、400対よりも大きくてもよい)。さらに、電気透析処理中に、カセット型電気透析装置10A、10B...において異常が生じた場合でも、問題を有するカセット型電気透析装置が処理されれば(たとえば、カセット型電気透析装置のいずれか1つを容易に取り外し、または交換することが可能である)、あまり長い間、電気透析処理を中断する必要がない。従来の電気透析モジュールと比較すると、カセット型電気透析モジュール10Mは、保守における時間および労力を節減することができる。
【0031】
さらに、水密性を増加させるために、隣接しているカセット型電気透析装置10Aおよび10B間に第3のシール部材43を配置し得る。本実施形態では、第3のシール部材43は、カセット型電気透析装置10Bの膜支持体11の第1の面(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)の表面形状に適合しており、および、カセット型電気透析装置10Bの膜支持体11の第1の面(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)に取り付けられるが、本開示はそれに限定されるものでない。他の実施形態では、第3のシール部材43は、カセット型電気透析装置10Aの蓋部材3の第2の面(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)の表面形状に適合していてもよく、および、カセット型電気透析装置10Aの蓋部材3の第2の面(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)に取り付けられる。さらに、第3のシール部材43の数は、カセット型電気透析装置の数に応じて判定されてもよい。カセット型電気透析装置の数がNの場合、第3のシール部材43が、隣接する2つのカセット型電気透析装置間に配置されている限り、第3のシール43の数はN-1であってもよい。
【0032】
一部の実施形態では、2つの第4のシール部材44は第4のシール部材44aおよび44bを含み、第4のシール部材44aおよび44bはそれぞれ、第1の電極カセット51bと、カセット型電気透析装置10Aおよび10Bにおける、第1の電極カセット51bに最も近いカセット型電気透析装置10Aとの間に、および、第2の電極カセット52bと、カセット型電気透析装置10Aおよび10Bにおける、第2の電極カセット52bに最も近いカセット型電気透析装置10Bとの間に配置される。本実施形態では、第4のシール部材44aは、カセット型電気透析装置10Aの膜支持体11の第1の面(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)の表面形状に適合しており、および、カセット型電気透析装置10Aの膜支持体11の第1の面(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)に取り付けられる。第4のシール部材44bは、第2の電極カセット52bの第1の面(すなわち、カセット型電気透析装置10Bに隣接している側の面)の表面形状に適合しており、および、第2の電極カセット52bの第1の面(すなわち、カセット型電気透析装置10Bに隣接している側の面)に取り付けられるが、本開示はそれに限定されるものでない。他の実施形態では、第4のシール部材44aは、第1の電極カセット51bの第2の面(すなわち、カセット型電気透析装置10Aに隣接している側の面)の表面形状に適合しており、および、第1の電極カセット51bの第2の面に取り付けられる。第4のシール部材44bは、蓋部材3の第2の面S2(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)の表面形状に適合しており、および、蓋部材3の第2の面S2(すなわち、ろ過膜群2から遠ざかる側の面)に取り付けられる。本実施形態では、2つの第4のシール部材44aおよび44bの外観は互いに異なり得る。他の実施形態では、2つの第4のシール部材44aおよび44bの外観は互いに同じであり得る。
【0033】
一部の実施形態では、位置決めアセンブリ7bがカセット型電気透析装置10Aおよび10Bの膜制限壁12の外側、第1の電極カセット51bおよび第2の電極カセット52bの外側に配置され、よって、カセット型電気透析装置10Aおよび10B、第1の電極カセット51b、ならびに第2の電極カセット52bは互いに位置合わせされる。たとえば、位置決めアセンブリ7bは、複数の制限スライドレール71b、複数の第1の位置決め部72b、および複数の第2の位置決め部73bを含む。制限スライドレール71bは、カセット型電気透析装置10Aおよび10Bの同じ側に配置される。第1の位置決め部72bは、膜制限壁12の外側に形成され、および対応して、制限スライドレール71bと結合される。第2の位置決め部73bは、第1の電極カセット51bおよび第2の電極カセット52bの外側に形成され、制限スライドレール71bと対応して結合される。第1の位置決め部72bおよび第2の位置決め部73bはたとえば、溝である。制限スライドレール71bを、互いに対応している第1の位置決め部72bおよび第2の位置決め部73bと結合することにより、カセット型電気透析装置10Aおよび10B、ならびに第1の電極カセット51bおよび第2の電極カセット52bは容易に、互いに位置合わせされ得る。他の実施形態では、位置決めアセンブリ7bは、カセット型電気透析装置10Aおよび10Bの膜制限壁12の外側に設けられなくてもよい(詳細は以下に説明する)。
【0034】
一部の実施形態では、クランプアセンブリ5bは、複数の第1の結合部511b、複数の第2の結合部521b、および複数のねじ棒54bを含む。第1の結合部511bは、第1の電極カセット51bの外側に形成される。第2の結合部521bは、第2の電極カセット52bの外側に形成される。ねじ棒54bは第1の結合部511bおよび第2の結合部521bそれぞれを接続するので、第1の電極カセット51b、カセット型電気透析装置10Aおよび10B、ならびに第2の電極カセット52bは、互いに固定される。本開示におけるカセット型電気透析装置10Aおよび10Bそれぞれにおけるろ過膜群2は所望の圧縮率に達しているので、クランプアセンブリ5bは、第1の電極カセット51b、カセット型電気透析装置10Aおよび10B、ならびに第2の電極カセット52bを締め付けるためにより低い力を加えるだけでよく、カセット型電気透析モジュール10Mの水密性の要件を達成することが可能である。
【0035】
一部の実施形態では、クランプアセンブリ5bは、第1の結合部511b、第2の結合部521b、およびねじ棒54bを含まなくてもよい。これとは逆に、クランプアセンブリ5bは、第1の電極カセット51bの外側と、第2の電極カセット52bの外側と、カセット型電気透析装置10Aおよび10Bの外側とに配置された固定部材(図示せず)を含んでいてもよい。いずれかの隣接する2つの第1の電極カセット51b、カセット型電気透析装置10Aおよび10B、ならびに第2のカセット52bを対応して結合することにより、第1の電極カセット51b、第2の電極カセット52b、ならびに、カセット型電気透析装置10Aおよび10B間の、電気透析モジュール10Mの水密性の要件を満たす緊密性および固定を実現することが可能である。固定部材はたとえば、ロックラッチ、ピン、または他の好適な固定部材(図示せず)である。
【0036】
一部の実施形態では、第1の電極カセット51b、第2の電極カセット52b、ならびに、カセット型電気透析モジュール10Aおよび10Bはそれぞれ、その下にローラ(図示せず)を備えていてもよく、よって、第1の電極カセット51b、第2の電極カセット52b、ならびに、カセット型電気透析装置10Aおよび10Bをより好都合に移動させることが可能である。
【0037】
図9は、本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュール10Nの側面図を示す。カセット型電気透析モジュール10Nとカセット型電気透析モジュール10Mとの間の差はカセット型電気透析装置の数および電極カセットの数であり、および他の同一点または類似点は繰り返さないものとする。
【0038】
図9を参照すれば、カセット型電気透析モジュール10Nは、第1の電極カセット51b、第2の電極カセット52b、第3の電極カセット53b、複数のカセット型電気透析装置10A、10B、10C、10D...、複数の第3のシール部材43、4つの第4のシール部材44a、44b、44c、44d、(図8に示す)クランプアセンブリ5b、ならびに(図8に示す)位置決めアセンブリ7bを含む。しかし、本開示はそれに限定されるものでない。他の実施形態では、カセット型電気透析モジュール10Nはクランプアセンブリ5bを含まなくてもよい。カセット型電気透析装置10A、10B、10C、10D...それぞれの構造は、カセット型電気透析装置10のものと同じである。第3の電極カセット53bは、第1の電極カセット51bと第2の電極カセット52bとの間に配置され、およびカセット型電気透析装置10A、10B、10C、10D...内に挿入される。たとえば、第3の電極カセット53bは、カセット型電気透析装置10Cおよび10D間に配置される。第1の電極カセット51b、第2の電極カセット52b、および第3の電極カセット53bは、電場を作用させるために使用され得る。カセット型電気透析装置10A、10B、10C,10D...の数が増加すると、第1の電極カセット51bと第2の電極カセット52bとの間の距離も増加する。第1の電極カセット51bと第2の電極カセット52bとの間の距離が遠すぎる場合、脱塩反応中の電流効率(脱塩効率と同等)が減少し得る。したがって、処理する対象の水の量が増加し、それにより、カセット型電気透析装置10A、10B、10C、10D...の必要数が増加すると、第3の電極カセット53bはカセット型電気透析装置10A、10B、10C、10D...内に挿入されてもよく、よって、2つの電極間の距離が最善の状態に維持され、良好な電流効率および脱塩効率をそれに応じて維持することが可能である。
【0039】
第3のシール部材43は、隣接する2つのカセット型電気透析装置10A、10B、10C、10D...間に配置される。4つの第4のシール部材は4つのシール44a、44b、44c、および44dを含む。第4のシール部材44a、44b、44c、および44dはそれぞれ、第1の電極カセット51bとカセット型電気透析装置10Aとの間に、第2の電極カセット52bとカセット型電気透析装置10Bとの間に、第3の電極カセット53bとカセット型電気透析装置10Cとの間に、および第3の電極カセット53bとカセット型電気透析装置10Dとの間に配置される。
【0040】
図10Aは本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュール20の第2の面の斜視図を示す。図10Bは本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュール20の第1の面の斜視図を示す。
【0041】
カセット型電気透析装置20の構造はカセット型電気透析装置10Aのものと同様であり、カセット型電気透析装置20は第1の位置決め部17cをさらに備えており、同一の、および/または同様の参照番号は同一の、および/または同様の要素について使用され、繰り返しは詳細に説明しないものとする。
【0042】
図10Aおよび図10Bを参照すれば、カセット型電気透析装置20は収容箱1A、ろ過膜群2、および蓋部材3Aを含む。第1の位置決め部17cは、カセット型電気透析装置20の(第1の面S1に対応する)第1の面に、および、(第2の面S2に対応する)第2の面に配置される。本実施形態では、第1の位置決め部17cは、第2の面に配置されたくぼみ部71cおよび第1の面に配置された突出部72cを含む。たとえば、くぼみ部71cは、蓋部材3Aの第2の面に配置され、膜支持体11に向けて、蓋部材3Aの第2の面から蓋部材3Aの一部分を貫通し、開口部33、第1群の孔3011、および第2群の孔3102を取り囲む。突出部72cは収容箱1Aの第1の面(すなわち、膜支持体11の第1の面)に配置され、蓋部材3Aから遠ざかる方向に、膜支持体11の第1の面から突出し、および、(第1の面からみると、)大孔1100および小孔1102を取り囲む。くぼみ部71cおよび突出部72cはそれぞれ、閉じた矩形であるが、本開示はそれに限定されるものでない。隣接している2つのカセット型電気透析装置20上に配置されたくぼみ部71cおよび突出部72cは互いに対応して係合させ得る(図12に示す)ので、複数のカセット型電気透析装置20を、対応する第1の位置決め部17c(すなわち、くぼみ部71cおよび突出部72c)を介して互いに位置決めされてもよい。
【0043】
図11Aは、本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析装置30の第2の面の斜視図を示す。図11Bは、本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析装置30の第1の面の斜視図を示す。
【0044】
カセット型電気透析装置30の構造はカセット型電気透析装置10Aのものと同様であり、カセット型電気透析装置30は第1の位置決め部17dをさらに備え、および、同一のおよび/または同様の参照番号が、同一のおよび/または同様の要素に使用され、繰り返しは詳細に説明しないものとする。
【0045】
図11Aおよび11Bを参照すれば、カセット型電気透析装置30は、収容箱1B、ろ過膜群2、および蓋部材3Bを含む。第1の位置決め部17dは、カセット型電気透析装置30の(第1の面S1に対応する)第1の面および(第2の面S2に対応する)第2の面に配置される。本実施形態では、第1の位置決め部17dは、第2の面に配置された突出部71dおよび第1の面に配置されたくぼみ部72dを含む。たとえば、突出部71dは、蓋部材3Bの第2の面に配置され、膜支持体11から遠ざかる方向に向けて蓋部材3Bの第2の面から突出しており、および(第2の面からみると、)開口部33、第1群の孔3011、および第2群の孔3012を取り囲む。くぼみ部72dは、収容箱1Bの第1の面(すなわち、膜支持体11の第1の面)に配置され、蓋部材3Bに向けて、膜支持体11の第1の面から膜支持体11の一部分を貫通し、および大孔1100および小孔1102を取り囲む。くぼみ部72dおよび突出部71dはそれぞれ、たとえば閉じた矩形であるが、本開示はそれに限定されるものでない。隣接している2つのカセット型電気透析装置30上に配置されたくぼみ部72dおよび突出部71dは、互いに対応して係合させ得る(図13に示す)ので、複数のカセット型電気透析装置30は、対応する第1の位置決め部17d(すなわち、突出部71dおよびくぼみ部72d)を介して互いに位置決めしてもよい。
【0046】
図12は、本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュール20Mの斜視図である。本実施形態では、カセット型電気透析モジュール20Mは、カセット型電気透析モジュール20Mがクランプアセンブリを有しなくてもよく、および位置決めアセンブリの形態が異なるという点で、カセット型電気透析モジュール10Mとは異なり、他の同じ要素は繰り返さないものとする。他の実施形態では、カセット型電気透析モジュール20Mはクランプアセンブリを有していてもよい。
【0047】
図12を参照すれば、カセット型電気透析モジュール20Mは、第1の電極カセット51b’、第2の電極カセット52b’、複数のカセット型電気透析装置20Aおよび20B、ならびに位置決めアセンブリ7cを含む。カセット型電気透析装置20Aおよび20Bは、第1の電極カセット51b’と第2の電極カセット52b’との間に配置される。カセット型電気透析装置20Aおよび20Bは、図10Aおよび10Bそれぞれに示すカセット型電気透析装置20と同じである。カセット型電気透析モジュール20Mは、任意の数のカセット型電気透析装置をも含み得る。
【0048】
位置決めアセンブリ7cは、カセット型電気透析装置20Aおよび20Bそれぞれの(第1の電極カセット51b’の第1の面に対応する)第1の面、および(第2の電極カセット52b’の第2の面に対応する)第2の面に配置され、カセット型電気透析装置20Aおよび20Bそれぞれの第1の面はカセット型電気透析装置20Aおよび20Bそれぞれの第2の面の反対側であり、カセット型電気透析装置20Aの第2の面は、互いに隣接した2つのカセット型電気透析装置20Aおよび20Bにおけるカセット型電気透析装置20Bの第1の面に隣接していてもよい。さらに、位置決めアセンブリ7cは、カセット型電気透析装置20Aおよび20B、第1の電極カセット51b’、ならびに第2の電極カセット52b’が互いに位置合わせされるように、カセット型電気透析装置20Aおよび20B上に配置された複数の第1の位置決め部17cと、第1の電極カセット51b’および第2の電極カセット52b’上に配置された複数の第2の位置決め部27cとを含む。
【0049】
たとえば、第1の位置決め部17cは、カセット型電気透析装置20Aおよび20Bそれぞれの第1の面に配置された突出部72cと、カセット型電気透析装置20Aおよび20Bそれぞれの第2の面に配置されたくぼみ部71cとを含む。隣接しているカセット型電気透析装置20Aならびに20Bの突出部72cおよびくぼみ部71cは、対応して結合される。第2の位置決め部27cは、カセット型電気透析装置20Aおよび20Bに隣接した、第1の電極カセット51b’の一方側、およびカセット型電気透析装置20Aおよび20Bに隣接した、第2の電極カセット52b’の一方側に配置される。第2の位置決め部27cおよび対応する第1の位置決め部17cは互いに対応して結合される。第2の位置決め部27cは、第1の電極カセット51b’上に配置されたくぼみ部73cおよび第2の電極カセット52b’上に配置された突出部74cを含む。
【0050】
本実施形態では、第1の電極カセット51b’のくぼみ部73cは、カセット型電気透析装置20Aの突出部72cと対応して係合する。カセット型電気透析装置20Aのくぼみ部71cは、カセット型電気透析装置20Bの突出部72cと対応して係合する。カセット型電気透析装置20Bのくぼみ部71cは、電極カセット52b’の突出部74cと対応して係合する。
【0051】
図13は、本開示のさらなる実施形態によるカセット型電気透析モジュール30Mの斜視図である。本実施形態では、カセット型電気透析モジュール30Mは、カセット型電気透析モジュール30Mがクランプアセンブリを有していなくてもよいが、位置決めアセンブリの形態が異なるという点でカセット型電気透析モジュール10Mと異なり、他の同じ要素は繰り返さないものとする。他の実施形態では、カセット型電気透析モジュール30Mはクランプアセンブリを有していてもよい。
【0052】
図13を参照すれば、カセット型電気透析モジュール30Mは、第1の電極カセット51b’’、第2の電極カセット52b’’、複数のカセット型電気透析装置30Aおよび30B、ならびに位置決めアセンブリ7dを含む。カセット型電気透析装置30Aおよび30Bは、第1の電極カセット51b’’と第2の電極カセット52b’’との間に配置される。カセット型電気透析装置30Aおよび30Bは、図11Aおよび11Bそれぞれに示すカセット型電気透析装置30と同じである。カセット型電気透析モジュール30Mは、任意の数のカセット型電気透析装置をも含み得る。
【0053】
位置決めアセンブリ7dは、カセット型電気透析装置30Aおよび30Bそれぞれの(第1の電極カセット51b’’の第1の面に対応する)第1の面に、および(第2の電極カセット52b’’の第2の面に対応する)第2の面に配置される。カセット型電気透析装置30Aおよび30Bそれぞれの第1の面はカセット型電気透析装置30Aおよび30Bそれぞれの第2の面の反対側であり、カセット型電気透析装置30Aの第2の面は、互いに隣接した2つのカセット型電気透析装置30Aおよび30Bにおけるカセット型電気透析装置30Bの第1の面に隣接してもよい。さらに、位置決めアセンブリ7dは、カセット型電気透析装置30Aおよび30B、第1の電極カセット51b’’、ならびに第2の電極カセット52b’’が互いに位置合わせされるように、カセット型電気透析装置30Aおよび30B上に配置された複数の第1の位置決め部17dと、第1の電極カセット51b’’および第2の電極カセット52b’’上に配置された複数の第2の位置決め部27dとを含む。
【0054】
たとえば、第1の位置決め部17dは、カセット型電気透析装置30Aおよび30Bそれぞれの第1の面に配置されたくぼみ部72dと、カセット型電気透析装置30Aおよび30Bそれぞれの第2の面に配置された突出部71dとを含む。隣接しているカセット型電気透析装置30Aおよび30Bの突出部71dおよびくぼみ部72dは対応して結合される。第2の位置決め部27dは、カセット型電気透析装置30Aおよび30Bに隣接した、第1の電極カセット51b’’の一方側と、カセット型電気透析装置30Aおよび30Bに隣接した、第2の電極カセット52b’’の一方側とに配置される。第2の位置決め部27dおよび対応する第1の位置決め部17dは、互いに対応して結合される。第2の位置決め部27dは、第1の電極カセット51b’’上に配置された突出部73dおよび第2の電極カセット52b’’上に配置されたくぼみ部74dを含む。
【0055】
本実施形態では、第1の電極カセット51b’’の突出部73dは、カセット型電気透析装置30Aのくぼみ部72dと係合する。カセット型電気透析装置30Aの突出部71dは、互いに対応している、カセット型電気透析装置30Bのくぼみ部72dと係合する。カセット型電気透析装置30Bの突出部71dは、互いに対応している、第2の電極カセット52b’’のくぼみ部74dと係合する。
【0056】
一部の実施形態では、カセット型電気透析モジュール20Mおよび30Mはそれぞれ、第3の電極カセットを含んでいてもよい。
【0057】
本開示の上述の実施形態の異なる特徴を互いに組み合わせることが可能であることが理解されるはずである。
【0058】
本開示は、カセット型電気透析装置およびカセット型電気透析モジュールを提供する。カセット型電気透析装置は、収容箱、ろ過膜群、および蓋部材を含む。収容箱は、膜支持体、膜制限壁、および収容開口部を含む。膜制限壁は、膜支持体上に配置され、膜支持体を取り囲む。収容開口部は、膜支持体と膜制限壁との間に形成される。ろ過膜群は、膜支持体上に配置され、および膜制限壁の内側に当接する。ろ過膜群は、交互に配置された複数の第1のイオン交換膜および複数の第2のイオン交換膜と、複数のスペーサとを含む。複数のスペーサは、複数の第1のイオン交換膜と複数の第2のイオン交換膜との間に配置される。蓋部材は収容箱上に配置され、蓋部材は、少なくとも1つの開口部と、本体部と、押圧部とを含み、少なくとも1つの開口部は本体部を貫通し、ろ過膜群に隣接した、本体部の第1の面は周辺領域および内側領域を有し、内側領域は周辺領域よりも開口部に近く、および押圧部は内側領域上に形成される。
【0059】
膜制限壁のない電気透析装置の比較例と比較すると、本開示のカセット型電気透析装置は膜制限壁を有しているので、第1のイオン交換膜、第2のイオン交換膜、およびスペーサを位置合わせするための余分な労力を費やす必要なしで、ろ過膜群を積層する間に、容易に、第1のイオン交換膜、第2のイオン交換膜、およびスペーサを互いに位置合わせし、および膜支持体上に固定し得る。大きい寸法のろ過膜群をも容易に組み立てることができ、よって、カセット型電気透析装置を組立てるのに、より大きい時間および労力の節減となり、第1のイオン交換膜、第2のイオン交換膜、およびスペーサをより正確に位置合わせすることが可能であり、これは、膜の位置のずれによって生じる内部の漏水を効果的に削減し、それにより、浄水された水と、汚水との混合の危険性をなくし得る。さらに、押圧部のない比較例と比較すると、本開示のカセット型電気透析装置は蓋部材上に配置された押圧部を有しているので、膜部材が収容箱と結合される間にろ過膜群に対して圧縮応力を均一に与えることができ、および、ろ過膜群の必要な圧縮率を単純な方法で実現し得る。ろ過膜群を圧縮する間の不均一な力という問題を改善することに加え、より良好な漏れ防止効果ももたらすことが可能である。
【0060】
種々の修正および変形を、開示された実施形態に対して行うことが可能であることが当業者に明らかになるであろう。明細書および実施例が例示的なものに過ぎないとみなされ、本開示の真の範囲が以下の請求項およびその同等物によって示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
【外国語明細書】