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  • 特開-ファイバ内オフセット-円環変換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104870
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ファイバ内オフセット-円環変換器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/036 20060101AFI20220705BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20220705BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
G02B6/036
G02B6/02 411
G02B6/02 356
G02B6/26 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168337
(22)【出願日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】63/132,234
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/190,207
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】パトリック グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ メンデル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー ファウルハーバー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ジェー モアヘッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ グレッグ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H137AA13
2H137AB15
2H137BA01
2H137BA13
2H137BA18
2H137BA19
2H137BA23
2H137EA03
2H137EA04
2H250AA51
2H250AC17
2H250AC32
2H250AC35
2H250AC37
2H250AC62
2H250AC93
2H250AD01
2H250AH42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高出力可変又は多状態ビーム整形用途における1つの課題は、入力ビームがオフセットのみにより導波路内の別の領域へ同時に送られる場合にビームパラメータ積(BPP)の過剰な増加を回避することである。
【解決手段】いくつかの実施態様において、導波路が、第1ビームを受光する内部コアと、内部コアを囲み第1ビームから的した第2ビームを受光する外部コアとを備え得る。外部コアは、導波路の長さにわたって内部コアを同心状に囲む円環又は内部コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を含み得る。例えば、ビームガイド領域は、第2ビームがオフセットビームとして導波路に入りリング状ビーム又は部分リング状ビームとして導波路から出るように、導波路の長さにわたって向き又は形状が変わる1組の低屈折率形体により画成され得る。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路であって、
第1ビームを受光するよう配置された内部コアと、
該内部コアを囲み前記第1ビームからオフセットにより変位する第2ビームを受光するよう配置された外部コアと
を含み、該外部コアは、前記導波路の長さにわたって前記内部コアを同心状に囲む円環又は前記内部コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を含む導波路。
【請求項2】
請求項1に記載の導波路において、前記ビームガイド領域は、前記導波路の長さにわたって向き又は形状が変わる1組の低屈折率形体により画成される導波路。
【請求項3】
請求項2に記載の導波路において、該導波路は、前記第2ビームが前記導波路を進むときに、前記1組の低屈折率形体により画成された前記ビームガイド領域に前記第2ビームを閉じ込めるよう構成される導波路。
【請求項4】
請求項2に記載の導波路において、前記1組の低屈折率形体の前記向き又は形状の変化により、前記第2ビームはオフセットビームとして前記導波路に入り、リング状ビーム又は部分リング状ビームとして前記導波路から出る導波路。
【請求項5】
請求項2に記載の導波路において、
前記内部コアと前記外部コアとの間のクラッド層
をさらに備え、前記ビームガイド領域は、前記クラッド層と前記外部コアの縁の外部境界面とによりさらに画成される導波路。
【請求項6】
請求項1に記載の導波路において、前記第2ビームは、前記内部コアから出射する前記第1ビームのビームパラメータ積(BPP)の3倍以下のBPPを有するリング状ビーム又は部分リング状ビームとして前記導波路から出射する導波路。
【請求項7】
請求項1に記載の導波路において、該導波路の長さにわたって前記ビームガイド領域の面積が大きくなるにつれて前記第2ビームの発散が小さくなる導波路。
【請求項8】
請求項1に記載の導波路において、前記外部コアの方位中心が、前記導波路の長さにわたって固定される導波路。
【請求項9】
請求項1に記載の導波路において、前記外部コアの方位中心が、前記導波路の長さにわたって回転する導波路。
【請求項10】
光学系であって、
第1ビーム又は該第1ビームからオフセットにより変位する少なくとも1つの第2ビームの1つ又は複数を生成するよう構成されたビームルータと、
前記第1ビームを伝送する内部コア及び該内部コアを同心状に囲み前記少なくとも1つの第2ビームを伝送する少なくとも1つの円環状外部コアを含むフィーディングファイバと、
前記ビームルータと前記フィーディングファイバとの間に配置された中間導波路と
を備え、該中間導波路は、
前記第1ビームを受光するよう配置された内部コアと、
該内部コアを囲み前記第1ビームからオフセットにより変位する前記少なくとも1つの第2ビームを受光するよう配置された少なくとも1つの外部コアと
を含み、前記中間導波路の前記少なくとも1つの外部コアは、前記中間導波路の長さにわたって前記内部コアを同心状に囲む円環又は前記内部コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を含む光学系。
【請求項11】
請求項10に記載の光学系において、前記中間導波路は、
前記内部コアと前記少なくとも1つの外部コアをとの間のクラッド層
をさらに備え、前記ビームガイド領域は、前記クラッド層と、前記少なくとも1つの外部コアの縁の外部境界面と、前記導波路の長さにわたって向き又は形状が変わる1組の低屈折率形体とにより画成される光学系。
【請求項12】
請求項11に記載の光学系において、前記1組の低屈折率形体の前記向き又は形状の変化により、前記少なくとも1つの第2ビームはオフセットビームとして前記中間導波路に入り、前記フィーディングファイバの前記少なくとも1つの環状外部コアにサイズ及び形状が一致したリング状ビーム又は部分リング状ビームとして前記中間導波路から出る光学系。
【請求項13】
請求項10に記載の光学系において、前記中間導波路の前記少なくとも1つの外部コアは、前記中間導波路の長さにわたって断熱的又は近断熱的に遷移する屈折率プロファイルを有する光学系。
【請求項14】
請求項10に記載の光学系において、前記中間導波路の長さにわたって前記ビームガイド領域の面積が大きくなるにつれて前記少なくとも1つの第2ビームの発散が小さくなる光学系。
【請求項15】
導波路を製造する方法であって、
中心コア及び該中心コアを同心状に囲む1つ又は複数の外部コアを備えた構造体を受け取るステップであり、該構造体は回転対称のファイバ又はプリフォームを含むステップと、
前記中心コアを同心状に囲む前記1つ又は複数の外部コアのそれぞれに、各外部コアの長さにわたって前記中心コアを同心状に囲む円環又は前記中心コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を形成するステップと
を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記ビームガイド領域を形成するステップは、
材料アブレーションを実行して、前記1つ又は複数の外部コアのそれぞれに前記各外部コアの長さにわたって向き又は形状が変わる1組の低屈折率形体を形成するステップ
を含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記材料アブレーションを実行するステップは、
レーザ加工又は選択エッチングを実行して、前記各外部コアの長さにわたる材料除去により前記1組の低屈折率形体を形成するステップ
を含む方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記ビームガイド領域を形成するステップは、
火炎加工又はエッチングを用いて前記1組の低屈折率形体に含まれる1つ又は複数の低屈折率形体に丸みを付けるステップ
をさらに含む方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法において、前記ビームガイド領域を形成するステップは、
第1低屈折率形体を前記構造体の前記1つ又は複数の外部コアに形成された第1孔に挿入した後に前記構造体を捩るステップと、
該構造体を捩った後に第2低屈折率形体を前記1つ又は複数の外部コアに形成された第2孔に挿入するステップと
を含む方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法において、前記ビームガイド領域を形成するステップは、
前記1つ又は複数の外部コアの屈折率プロファイルを該1つ又は複数の外部コアの長さにわたって断熱的又は近断熱的に遷移させるよう調整されたフェムト秒レーザ又は紫外線レーザを用いて、前記1つ又は複数の外部コアを加工するステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2020年12月30日に出願された「IN-FIBER OFFSET TO ANNULUS CONVETER」と題する米国仮特許出願第63/132,234号の優先権を主張する。先願の開示を本特許出願の一部とみなし、参照により本特許出願に援用する。
【0002】
本開示は、包括的には、ビーム整形と、円環又はリング状ビームに漸次変換されるオフセットビームに関連するビームパラメータ積を保つための回転展開するビームガイド領域を含む導波路とに関する。
【背景技術】
【0003】
光学系において、ビーム品質は、特定の条件下での(例えば、限られたビーム発散での)レーザビームの集束の強さの尺度を指す。例えば、高いビーム品質は、レンズでのビームの集束によりビームを強く集束させることができるような滑らかな波面(例えば、ビームプロファイルにわたる位相変化が小さい)を意味する。一方、ビーム品質が低いビームは、ビーム集束をより困難にする乱れた波面を有し得る(例えば、所与のスポットサイズでのビーム発散が大きくなる)。ビーム品質の定量化に用いられることが多い1つのメトリックは、ビームパラメータ積(BPP)であり、これは(ビームウエストで測定した)ビーム半径と(遠視野で測定した)ビーム発散半角との積として定義される。概して、BPP値が増加するとビーム品質が低下し、またその逆であり(例えば、BPPが大きいほど低いビーム品質に結び付き、BPPが小さいほど高いビーム品質に結び付く)、最小到達BPP値はλ/πであり、これは波長λを有する理想的なガウスビームに相当する。例えば、1064ナノメートル(nm)波長をするビームで可能な最小BPP値は、約0.339ミリメートル×ミリラジアン(mm-mrad)である。場合によっては、ビームが薄肉レンズ等の非収差光学系を通して送られる場合、BPPは不変であり得るか又は増加が最小限であり得る(例えば悪化しない)(例えば、レンズによる焦点のビームウエストの半径が増減する場合、それに対応してビーム発散が増減する)。しかしながら、非理想光学系は、BPP値の大幅な増加につながり得ることで、ビーム品質を低下させ得る。例えば、1つ又は複数のコンポーネントがビーム半径を増大させるのに対応してビーム発散半角が小さくならない場合、BPP値は大幅に増加し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様において、導波路が、第1ビームを受光するよう配置された内部コアと、内部コアを囲み第1ビームからオフセットにより変位する第2ビームを受光するよう配置された外部コアとを含み、外部コアは、導波路の長さにわたって内部コアを同心状に囲む円環又は内部コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を含む。
【0005】
いくつかの実施態様において、光学系が、第1ビーム又は第1ビームからオフセットにより変位する少なくとも1つの第2ビームの1つ又は複数を生成するよう構成されたビームルータと、第1ビームを伝送する内部コア及び内部コアを同心状に囲み少なくとも1つの第2ビームを伝送する少なくとも1つの円環状外部コアを含むフィーディングファイバと、ビームルータとフィーディングファイバとの間に配置された中間導波路とを含み、中間導波路は、第1ビームを受光するよう配置された内部コアと、内部コアを囲み第1ビームからオフセットにより変位する少なくとも1つの第2ビームを受光するよう配置された少なくとも1つの外部コアとを含み、中間導波路の少なくとも1つの外部コアは、中間導波路の長さにわたって内部コアを同心状に囲む円環又は内部コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を含む。
【0006】
いくつかの実施態様において、導波路を製造する方法が、中心コア及び中心コアを同心状に囲む1つ又は複数の外部コアを備えた構造体を受け取るステップであり、この構造体は回転対称のファイバ又はプリフォームを含むステップと、中心コアを同心状に囲む1つ又は複数の外部コアのそれぞれに、各外部コアの長さにわたって中心コアを同心状に囲む円環又は中心コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を形成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】マルチコアフィーディングファイバの図である。
図2A】外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路の例示的な一実施態様の図である。
図2B】外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路の例示的な一実施態様の図である。
図3A】外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路を製造する例示的な一技法の図である。
図3B】外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路を製造する例示的な一技法の図である。
図3C】外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路を製造する例示的な一技法の図である。
図4】外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路の製造に関する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の例示的な実施態様の詳細な説明では、添付図面を参照する。異なる図面中で同一の参照符号は、同一又は同様の要素を示し得る。
【0009】
高出力可変又は多状態ビーム整形用途(例えば、高出力材料加工)にとって、作動は困難な課題である。要求に応じて状態を変えることができるには、マルチキロワット(kW)ビームを比較的高速(例えば、ミリ秒(ms)の時間尺度)で損失を導入することなく経路変更又は他の方法で変更する機構が概して必要である。マルチkWビームを経路変更又は他の方法で変更する技法の1つは、カプラボックス又は同様の機構を用いて(例えば、ステアリングミラー、及び/又は他の自由空間幾何光学系、光学位相板等を用いて)自由空間で対象ファイバに対してビームを変位させることである。追加として又は代替として、特定のファイバタイプに曲げを加えることにより、ビームをファイバ内で変位させてもよい。例えば、図1は、2つ(又はそれ以上)の同心コアを含む例示的なマルチコアフィーディングファイバ100の図である。例えば、図示のように、マルチコアフィーディングファイバ100は、内部コア110及び外部コア120を含み、これらは概して高屈折率を有し、マルチコアフィーディングファイバ100はさらに、陰影部分に対応する低屈折率領域130(例えばクラッド層)を含み、これは同心コア110、120の内部及び/又は外部境界面を規定する。したがって、一技法では、マルチコアフィーディングファイバ100内の内部コア110に又は外部コア120にビームをステアリングして、他の例の中でも特に異なるサイズ、異なる形状、及び/又は異なるビームパラメータ積(BPP)を有するビームを送出するために、ビームを自由空間で対象ファイバに対して変位させることができる。
【0010】
例えば、入力ビームが概ね内部コア110のサイズ及び形状である場合、入力ビームは、内部コア110に結合され得るか、又は外部コア120に結合されるためにオフセットシフト又は移動され得る。入力ビームがシフトされ外部コア120に結合される場合、入力ビームは、外部コア120により規定された円環状領域を満たすように広がり得ることで、円環状(リング状)ビームがマルチコアフィーディングファイバ130の出力端でワークへ送出されるようになる。マルチkWビームの状態を経路変更又は他の方法で変更するために、ビームを自由空間で(例えば、カプラボックスを用いて)又はファイバ内で(例えば、特定のファイバタイプに曲げを加えることにより)変位させることができるが、変位技法には基本的な制限がある。例えば、ステアリングされているビームがほぼ内部コア110のサイズであるとすると、内部コア110の領域に入射したビームのBPPは保たれる(例えば、ビーム半径及び発散半角が比較的一定のままなので、大幅に増加しない)。しかしながら、外部コア120にステアリングされたビームは、ビームにより励起されるファイバの面積に対して大幅に小さくなり(例えば、サイズ違いのファイバ間のオフセット接続と同様)、それにより外部コア120にステアリングされたビームのBPPが急増し得る。例えば、図1に示すマルチコアフィーディングファイバ100では、外部コア120の直径は、幾何学的に内部コア110の直径の3倍以上、より典型的には内部コア110と外部コア120との間の低屈折率領域130(例えば、クラッド層)のサイズ公差及び/又は厚さを考慮して4倍以上である。
【0011】
したがって、外部コア120にステアリングされたビームは、ほぼ内部コア110のサイズ及び形状であり(例えば、内部コア110にステアリングされたビームから的され)、外部コア120に対して小さいので、ビームは、外部コア120にステアリングされるか又は他の方法で入射すると、外部コア120の円環状面積を満たすように即座に広がる。ビームの発散は、入力ファイバからリング状の外部コア120への遷移中に本質的に不変であり得るが、外部コア120の直径が大きいほど有効ビーム半径が急増し、それにより外部コア120から出るビームのBPPは、内部コア110から出るビームのBPPの3倍以上大きくなる。小さなBPP(例えば、小さなビーム半径及び小さな発散)は、通常は集束性が高く、より長い距離にわたり集束を保つ(例えば、理想的なビームに近い)ので、BPPの増加はビーム品質を著しく劣化させ得る。したがって、高出力可変又は多状態ビーム整形用途における1つの課題は、入力ビームがオフセットのみにより(例えば、入力ビームを的させることにより)導波路内の別の領域へ同時に送られる場合にBPPの過剰な増加を回避することである。
【0012】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、オフセット形状のビームガイド領域とリング状又は部分リング状のビームガイド領域との間で、中心コアを妨害することのない変換を行う全ファイバ技法に関する。例えば、本明細書に記載のいくつかの実施態様は、方位角方向にテーパ状の遷移により、オフセットスポットビームから円環若しくはリング状ビーム又は部分円環へのファイバ内変換を可能にすることにより、急峻な遷移に対するBPPの低下を達成する。例えば、ビームが、(例えば光ファイバテーパと同様に)所与の距離又は長さにわたってサイズが漸増する有効半径(例えば、空間的な範囲又はサイズ)を有する場合、ビームの有効半径がその所与の距離又は長さにわたって大きくなるにつれてビームの発散は漸減し得る。例えば、本明細書で用いる場合、円環状ビーム又は円環状ビームの角度セクタ(例えば、部分リング状のビーム)の有効半径は、(例えば、円環の外半径として測定した実際のビーム半径とは異なり)その円環状ビーム又は円環状ビームの角度セクタと同じ断面積を有する円の半径を概して指す。したがって、ビーム発散の減少が有効ビーム半径の拡大を補償することができることにより、発散が比較的不変のままビーム半径が急増する急峻な遷移に対して小さいBPPを有するリング状出力ビーム又は部分リング状出力ビームが得られる。
【0013】
例えば、本明細書でさらに詳細に説明するように、導波路が、第1ビームを受光する第1(又は中心)コアと、内部コアを同心状に囲み第1ビームからオフセットにより変位する1つ又は複数の各ビームを受光する1つ又は複数の外部コアとを含み得る。外部コア(単数又は複数)は、導波路の長さにわたって変位したオフセットビーム(単数又は複数)にサイズが一致したセクタから内部コアを同心状に囲む円環又は内部コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を含み得る。例えば、ビームガイド領域は、導波路の長さにわたって向き、形状、又は方位角範囲が変わる1組の1つ又は複数の低屈折率形体(例えば、1つ又は複数のトレンチ、アブレーション加工領域、レーザ加工領域、低屈折率ロッド等)により画成され得る。よって、変位したオフセットビーム(単数又は複数)は、オフセットビームとサイズが一致した(例えば、オフセットビームとほぼ同じサイズの又はオフセットビームより僅かに大きい)セクタで導波路に入ることができ、変位したオフセットビーム(単数又は複数)は、リング状ビーム又は部分リング状ビームとして導波路を出ることができる。このように、ビームガイド領域の方位角方向にテーパ状の遷移の幾何学的形状により、作動機構としてビームシフト及び/又はビーム変位に依存するビーム整形システムの能力が向上する。さらに、有効ビーム半径が漸増するのに対応して発散が小さくなるので、本明細書に記載のいくつかの実施態様は、可変ビーム整形システムで(より高いビーム品質を可能にする)低BPP状態を可能にする。
【0014】
図2A及び図2Bは、外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路の1つ又は複数の例示的な実施態様200の図である。例えば、図2A及び図2Bに示すように、ビームルータ220とマルチコアフィーディングファイバ230(例えば、図1に示すような中心コア及び外部コアを含むデュアルコアフィーディングファイバ、又は中心コア及び中心コアを同心状に囲む複数の外部コアを有するフィーディングファイバ)との間に結合された中間ファイバ210を含み得る。いくつかの実施態様において、中間ファイバ210は、ビームルータ220からオフセットビームを受光して、屈折率プロファイルの漸次遷移によりオフセットビームをリング状ビーム(例えば円環)又は部分リング状ビーム(例えば部分円環)に変換することができる中間導波路として働き得る。中間ファイバ210における断熱的遷移は、ファイバテーパと同様に、近視野サイズを大きくする一方でそれに対応して遠視野サイズを小さくする。例えば、本明細書で用いる場合、用語「断熱的」は、中間ファイバ210の輝度保存特性を指し得る(例えば、中間ファイバ210を通して伝送されたビームの有効半径が大きくなると、有効ビーム半径とビーム発散との積が一定となるようにビーム発散が比例して小さくなる)。さらに、本明細書で用いる場合、「近断熱的」特性により、純断熱的装置より約10%~約50%高い範囲の積を有する有効ビーム半径及び発散となり得る。
【0015】
図2Aに示すように、中間ファイバ210は、ビームルータ220から第1ビームを受光するよう配置された内部(又は中心)コア215と、内部コア215を囲みビームルータ220が(例えば、カプラボックス又は同様の機構を用いて自由空間で、又は特定のファイバタイプに曲げを加えることによりファイバ内で)第1ビームから的させる第2ビームを受光するよう配置された外部コアとを含み得る。例えば、いくつかの実施態様において、ビームルータ220は、内部(又は中心)コア215を通して第1ビーム経路で中間ファイバ210にビームを送出し得るか、又はビームルータ220は、外部コアを通して第2ビーム経路で中間ファイバ210にビームを送出し得る(例えば、1つのビームを、一方が他方からオフセットした2つのビーム経路のいずれかで送出することができる)。代替として、いくつかの実施態様において、ビームルータ220は、第1経路で中間ファイバ210に送出され得る第1部分と、第2経路で中間ファイバ210に送出され得る第2部分とを含む2つの部分にビームを分割し得る。いずれの場合も、外部コアに送出されるオフセットビームの空間的な範囲又はサイズが、リング状ビーム又は部分リング状ビームに漸次展開する一方で、内部コア215に送出される非オフセットビームの空間的な範囲又はサイズは維持される。例えば、参照符号212~218で示すように、外部コアは、中間ファイバ210の長さにわたって第2(変位したオフセット)ビームにサイズが一致したセクタから内部コア215を同心状に囲む円環(例えば、参照符号218で示す)又は内部コア215を部分的に囲む部分円環(例えば、参照符号214及び216で示す)へ回転展開するビームガイド領域を含む。したがって、第2ビームが参照符号212~218で示すビームガイド領域に概して閉じ込められ得ることにより、第2ビームが中間ファイバ210の長さにわたって増加するビームガイド領域の面積を満たすように漸次展開し得るにつれて、第2ビームの有効半径は漸増し得る。さらに、いくつかの実施態様において、第2ビームの発散半角が有効ビーム半径の拡大に伴い漸減することにより、第2ビームが中間ファイバ210の長さにわたってオフセットビームから円環又は部分円環に漸次遷移する際に第2ビームのBPPを保つ(例えば、第2ビームのBPPが増加する速度を最小化及び/又は低下させる)ことができる。
【0016】
例えば、図2Aに示すように、中間ファイバ210の外部コアは、ビームルータ220から受光され得る(変位した)オフセットビームにサイズが一致したオフセットコア212から、内部コア215を同心状に囲み且つマルチコアフィーディングファイバ230の対応する外部コアにサイズ及び形状が一致したリング状円環218へ漸次遷移するビームガイド領域を含む。例えば、図2Aにさらに示すように、ビームガイド領域は、オフセットコア212とリング状円環218との間に中間領域214、216を含み、この中間領域214、216は、中間ファイバ210の長さにわたってサイズが漸増する部分リング形状を有する。さらに、図2Aは、オフセットコア212とリング状円環218との間に2つの中間領域214、216を示すが、ビームガイド領域の部分リング状の面積は、中間ファイバ210の長さにわたって連続的又はほぼ連続的に増加し得る(例えば、中間領域214、216は、斜め矢印で示すようにオフセットコア212とリング状円環218との間の異なる点における中間ファイバ210の2つの断面を表すにすぎない)ことが理解されよう。さらに、図2Aは、ビームガイド領域が内部コア215を同心状に囲むリング状円環218へ回転展開する例を示すが、ビームガイド領域は、内部コア215を部分的に囲む部分円環へ回転展開してもよい(例えば、ビームガイド領域の最終形状は、中間領域214、216について示す形状又はオフセットコア212とリング状円環218との間の中間状態の別の形状であり得る)ことが理解されよう。
【0017】
したがって、いくつかの実施形態において、中間ファイバ210のビームガイド領域は、オフセットコア212として始まる回転展開テーパ(例えば、変位したオフセットビームにサイズが一致した狭いセクタ)を本質的に形成し、漸次展開して内部コア215を部分的に囲む部分リング形状を有する中間領域214、216を経る。さらに、いくつかの実施態様において、ビームガイド領域は、最終的に一周して、内部コア215を同心状に囲むリング状円環218を形成し得るか、又はビームガイド領域は、完全に一周せずに、内部コア215を部分的に囲む部分円環を形成し得る。回転展開テーパは、断熱的又は近断熱的であり得るので、モード混合を最小化することにより、有効ビーム半径(例えば、断面積、空間的な範囲及び/又はサイズ)が中間ファイバ210の長さにわたって大きくなるにつれてビーム発散を小さくすることができる。例えば、純粋な断熱的遷移の場合、発散は、ビームが占める面積の平方根に反比例して小さくなる。このように、中間ファイバ210の長さにわたってビーム発散が小さくなり且つ対応して有効ビーム半径が大きくなる結果として、中間ファイバの外部コア及び/又はマルチコアフィーディングファイバ230の外部コアから出射するリング状又は部分リング状ビームに関するビーム発散と有効ビーム半径との積は、中間ファイバ210の内部コア215及び/又はマルチコアフィーディングファイバ230の中心コアを出るビームに関連するBPPの1倍~3倍であり得る。
【0018】
いくつかの実施態様において、中間ファイバ210がオフセットビームにサイズが一致したオフセットコア212からマルチコアフィーディングファイバ230の外部コアにサイズ及び形状が一致したリング状円環218(又は部分円環)へ漸次遷移する図2Aに示す技法を、多くのタイプのレーザビーム及び最終用途で用いることができる。例えば、いくつかの実施態様において、ビームルータ220からの入力ビームは、シングルモード又はマルチモードとすることができ、入力ビームは、中間ファイバ210で用いられる材料に対して透明である任意の波長とすることができる。いくつかの実施態様において、漸次テーパ状に狭まるビームガイド領域を有する中間ファイバ210の例示的な使用事例は、シリカ系ファイバ内を進む、約1ミクロンの波長及び≧1kWのパワーで入力BPPが0.3ミリメートル×ミリラジアン(mm-mrad)~10.0mm-mradの範囲の、シングルモード又は低マルチモードのレーザビームを含み得る。さらに、図2Aにはオフセットから円環又は部分円環への遷移を1つしか示していないが、実際には、同じファイバで同心状にいかなる数の遷移があってもよい。例えば、内部又は中心コア215に加えて、中間ファイバ210は、内部コア215を同心状に囲む複数の外部コアであって、それぞれがオフセットコアから内部コア215の周りの同心リング又は部分リングへ回転展開するビームガイド領域を含む、外部コア(例えば、内部コア215の周りで異なる同心リング及び/又は部分リングへ漸次遷移する2つ以上のオフセットコア)を含み得る。さらに、内部コア215とオフセットコア212との間のオフセットは、所望のリング径対リング幅比を有する円環状ビーム又は部分円環状ビームを達成するために、マルチコアフィーディングファイバ230の寸法に合わせて選択することができる。例えば、いくつかの実施態様において、オフセットセクタ212は、他の例の中でも特に、切削及び/又は溶接用途で有用であり得るより細いリング又は部分リングを作製するために、内部コア215から比較的離れて位置付けられ得る。
【0019】
概して、上述のように、図2Aは、内部コア215と、中間ファイバ210の長さにわたって連続的又はほぼ連続的に回転展開するビームガイド領域をそれぞれが有する1つ又は複数の外部コアとを含む、中間ファイバ210を示す。しかしながら、実際には、中間ファイバ210は回転非対称の導波路なので、ビームガイド領域を連続的に回転展開するように作ることは困難であり得る。したがって、図3A図3Cを参照して以下でさらに詳細に説明するように、1つ又は複数の製造技法を用いて、中間ファイバ210の外部コア(単数又は複数)に中間ファイバ210の長さにわたって向き又は形状又はサイズが変わる1組の1つ又は複数の低屈折率形体を形成することにより、回転展開するビームガイド領域を形成することができる。例えば、いくつかの実施態様において、1つ又は複数の低屈折率形体は、(例えば、図3Aを参照して以下でさらに詳細に説明するようなレーザ加工により、又は図3Bを参照して以下でさらに詳細に説明するような選択エッチングにより、材料が中間ファイバ210の長さにわたって外部コアから除去される)材料アブレーションにより、中間ファイバ210の外部コアに形成され得る。追加として又は代替として、1つ又は複数の低屈折率形体は、フェムト秒レーザ、紫外線レーザ、又は外部コアの屈折率プロファイルが中間ファイバ210の長さにわたって断熱的又は近断熱的に遷移するような別の適当なデバイスを用いた、中間ファイバ210の外部コアの加工により形成され得る。追加として又は代替として、図3Cを参照して以下でさらに詳細に説明するように、1つ又は複数の低屈折率形体は、プリフォーム段階で、外部コアを穿孔又は切削して第1低屈折率形体(例えば、低屈折率を有する第1攪拌ロッド)を挿入し、プリフォームに捩りを加えてから、捩れたプリフォームを穿孔又は切削して第2の低屈折率形体(例えば、第2攪拌ロッド)を挿入することにより形成され得る。
【0020】
例えば、図2Bは、材料アブレーションにより(例えば、図3Aを参照して以下でさらに詳細に説明するようなレーザ加工により、又は図3Bを参照して以下でさらに詳細に説明するような選択エッチングにより)低屈折率形体の組が中間ファイバ210の外部コアにトレンチとして形成される、例示的な実施態様を示す。例えば、参照符号250、252、254、及び256で示すように、中間ファイバ210は、中間ファイバ210の長さにわたって漸次回転展開するビームガイド領域を有する導波路として構成される。参照符号240、242、244、及び246でさらに示すように、ビームガイド領域は、外部コアに形成され、中間ファイバ210の長さにわたって向きが変わる一対の低屈折率形体で両側が規定される。代替として、ビームガイド領域は、中間ファイバ210の長さにわたって形状が変わる単一の低屈折率形体により画成され得る。例えば、いくつかの実施態様において、単一の低屈折率形体は、ビームガイド領域を形成する材料以外の外部コアの材料の全部を機械加工して、低屈折率形体が中間ファイバ210の長さにわたって形状を変える(例えば、低屈折率形体がオフセットセクタ250を補完するリングの広いセクタとして始まり、参照符号256で示す部分円環を補完するスライバ246を形成するよう形状が漸次遷移して、最終的にはビームガイド領域が円環として終わるように消滅する)ようにすることにより形成され得る。このように、導波路は、中間ファイバ210の長さにわたって低屈折率形体(単数又は複数)の向き(単数又は複数)及び/又は形状(単数又は複数)を変えることにより、狭いセクタ(入射レーザビームをほぼ閉じ込める)から円環又は部分円環へ制御可能に遷移することができる。例えば、図2Bに参照符号240で示すように、低屈折率形体の組は、中間ファイバ210の外部コアに入射したレーザビームを入射レーザビームにサイズが一致した狭いビームガイド領域250にほぼ閉じ込めるように最初に形成されたトレンチ対又は加工除去領域を含み得る。図2Bに参照符号242でさらに示すように、低屈折率形体(単数又は複数)が外部コアに対称に(例えば、特定の速度で)又は非対称に(例えば、異なる速度で、又は複数の低屈折率形体がある場合は1つの低屈折率形体を固定位置にして)巻き付き得ることにより、ビームガイド領域は、参照符号252で示すように漸次増大する部分リング形状を有する。図2Bに参照符号244でさらに示すように、低屈折率形体同士は、最終的に合流して合体した後に、参照符号246で示すように狭窄してリング又は円環を形成する。代替として、いくつかの実施態様において、低屈折率形体は、(例えば製造の障害により)合流及び/又は狭窄しない場合があり、その場合、ビームガイド領域の最終形状は部分リング又は部分円環であり得る。このように、導波路のビームガイド領域は、参照符号254で示すように部分リング形状が大きくなっていくように制御可能に遷移し、参照符号256で示すように最終的にはマルチコアフィーディングファイバ230にサイズ及び形状が一致した円環を形成し得る。いくつかの実施態様において、低屈折率形体は、機械加工されて空間として残されてもよく、又は低屈折率ガラス又は別の適当な材料で再スリーブ形成されてもよい。
【0021】
図2A及び図2Bに示すコンポーネントの数及び配置は、例として与えられている。実際には、図2A及び図2Bに示すものに対して追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、異なるコンポーネント、又は異なる配置のコンポーネントがあり得る。さらに、図2A及び図2Bに示す2つ以上のコンポーネントを単一のコンポーネント内に実装してもよく、又は図2A及び図2Bに示す単一のコンポーネントを複数の分配されたコンポーネントとして実装してもよい。追加として又は代替として、図2A及び図2Bに示す1組のコンポーネントは、図2A及び図2Bに示す別の組のコンポーネントが果たすように記載された1つ又は複数の機能を果たし得る。
【0022】
図3A図3Cは、外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路を製造する1つ又は複数の例300、340、380の図である。例えば、本明細書に記載のように、導波路は、内部又は中心コア及び1つ又は複数の外部コアを含み、内部コアが第1入力ビームを受光するよう配置され、1つ又は複数の外部コアがオフセットビーム(例えば、サイズ及び形状等の特性が第1入力ビームと同じだが第1入力ビームからオフセットにより変位する入力ビーム)を受光するようそれぞれ配置された、光ファイバであり得る。したがって、1つ又は複数の外部コアは、対応するオフセットビームに比較的サイズが一致したオフセットビームから、マルチコアフィーディングファイバの円環状部にサイズ及び形状がよりよく一致した円環又は部分円環コアへ漸次遷移するビームガイド領域をそれぞれが含み得る。本明細書に記載のように、導波路は回転対称でなく、よって例300、340、380は、導波路のビームガイド領域を画成するように1つ又は複数の外部コアに1つ又は複数の低屈折率形体を作るための異なる技法を示す。例えば、回転対称のファイバ又はプリフォーム(例えば、最終ファイバ寸法に線引きされていない構造体)から開始して、図3Aの例300は、微細加工を用いて(例えば、二酸化炭素(CO)レーザ及び/又はフェムト秒レーザ機を用いて)1つ又は複数の低屈折率形体を形成する第1材料アブレーション技法を示し、図3Bの例340は、選択エッチングを用いて1つ又は複数の低屈折率形体を形成する第2材料アブレーション技法を示し、図3Cの例380は、プリフォーム段階で低屈折率形体を形成する技法を示す。したがって、本明細書に記載のように、例300、340、380は、回転対称でない中間ファイバ又は導波路を製造する種々の適当な技法を示す。
【0023】
例えば、図3Aに参照符号310で示すように、第2コア316により同心状に囲まれた中心コア312及び内部低屈折率クラッド層314を含む回転対称ファイバ又は回転対称プリフォームに、レーザ加工が実行され得る。いくつかの実施態様において、微細加工により(例えば、他の例の中でも特に、COレーザ及び/又はフェムト秒レーザによるレーザアブレーション及び/又はレーザ材料加工を用いて)、長手方向の向きのトレンチ318が第2コア316に加工され得る。いくつかの実施態様において、トレンチ318は、第2コア316を貫通して中心コア312を囲むクラッド層314の数ミクロン手前まで、又はクラッド層314に達するまで微細加工され得る。第2コア316の外縁の外部境界面に加えて、トレンチ318と、中心コア312を囲む低屈折率クラッド層314とは、オフセットコアファイバに似た導波路を画成し得る。代替として、いくつかの実施態様において、第2コア316の全ての材料が、第2コア316の残存材料がビームガイド領域を形成する材料のみであるように(例えば、図3Aの薄い陰影部分全体を含め)加工除去され得る。さらに、いくつかの実施態様において、火炎加工、ウェットエッチング、ドライエッチング、及び/又は別の適当な技法を用いて、レーザ加工により作製されたビームガイド領域に丸みを付けて、オフセットラウンドコアに酷似させることができる。いくつかの実施態様において、レーザ加工をさらなるプロセスで補完して、(例えば、レーザ加熱又は化学エッチングを用いてトレンチ318の表面及び/又はビームガイド領域を形成する材料を平滑化又は形状変更することにより)、構造体の形状又は製造性を改善することができる。
【0024】
図3Aに参照符号320でさらに示すように、レーザ加工により作製された構造体が低屈折率層322の管で再スリーブ形成され得るか、又は低屈折率材料層を気相から析出させることができる。いずれの場合も、低屈折率材料は、トレンチ318(又は加工除去領域)を埋めて、ビームに対する外気界面がないオールガラス構造で1つの低屈折率形体又は一対の低屈折率形体を形成し得る。再スリーブ形成と同時に又は最終製造ステップとして、導波路構造体は、最終寸法に線引きされ得る。追加として又は代替として、いくつかの実施態様において、3つ以上の低屈折率形体を第2コア316に形成して付加的な導波路部を画成する(例えば、他の例の中でも特に、2つの入力ビームそれぞれを1点から半円環へ漸次遷移させる、且つ/又は複数の入力ビームそれぞれを1点から部分円環へ漸次遷移させる)ことができる。
【0025】
いくつかの実施態様において、導波路は、微細加工トレンチ318(又は加工除去領域(単数又は複数))を満たす低屈折率材料で2面が規定されるので、導波路は、ファイバの長さにわたって1つ又は複数の低屈折率形体の向き及び/又は形状を変えることにより、狭いセクタ(入射したレーザビームをほぼ閉じ込める)からリング又は部分リングへ制御可能に遷移することができる。例えば、図2Bを参照して上述したように、入射したレーザビームを狭いビームガイド領域にほぼ閉じ込めるように一対のトレンチ318が最初に形成され得ると共に、トレンチ318の一方又は両方は、ビームガイド領域が漸次増大するようにコアに巻き付き得る。したがって、トレンチ318の対は、最終的に合流して合体した後に狭窄して、導波路がフィーディングファイバにサイズ及び形状が一致したリング又は円環へ制御可能に遷移するようになり得る。代替として、トレンチ318の対が完全に合流せずに、導波路が部分リング又は部分円環へ制御可能に遷移するようにしてもよい。代替として、ビームガイド領域以外の全ての材料を加工除去することにより、単一の低屈折率形体が形成される場合、加工除去領域がオフセットセクタを補完するリングの広いセクタとして始まり、ビームガイド領域の部分円環形状を補完する部分リングを形成するよう形状が漸次遷移するように、加工除去される材料の量はファイバの長さにわたって漸減し得る。さらに、いくつかの実施態様において、加工除去領域は、ビームガイド領域が円環として終わる場合には最終的に消滅し得る。
【0026】
いくつかの実施態様において、低屈折率形体の向き及び/又は形状の遷移のプロセスは、レーザ加工により制御することができ、低屈折率形体の向き及び/又は形状が回転するデバイスの有効長を制御することができる。高輝度効率を有する断熱的又は近断熱的遷移を与えるために、有効長は、1mm以上、より好ましくは10mm~50mmとすべきである。50mmを超える有効長は、いくつかの用途でも、例えば大径ビームで又は高スキュー設計で有用であり得る。1つ又は複数の低屈折率形体が2つ以上のトレンチ318として形成される場合、トレンチ318の向きは非対称に変わり得るか(例えば、第1トレンチ318が第1速度で移動し、第2トレンチ318が異なる速度で移動するか又は全く移動しない)、又はトレンチ318の全てが(例えば、図2Bに示すように)対称に変わり得る。追加として、いくつかの実施態様において、構造体全体がスキュー(例えば、角運動量又は回転性)を与えるように回転し得る。例えば、ビームガイド領域は形状が発展し得るが、導波路は回転しない(例えば、12時が常に外部導波路の方位「中心」であり、外部コアの方位中心が導波路の長さにわたって固定されている)のでスキューは導入されない。代替として、いくつかの実施態様において、引き伸ばした螺旋軌道にわたって1つ又は複数の低屈折率形体を作ることにより、又は火炎での後加工により、回転を導入することができ、その場合、外部コアの方位中心が導波路の長さにわたり回転し得る。このように、制御可能なスキューを外部コアのビームガイド領域に入射するビームに導入して、一定のビームサイズで独立したBPP制御を可能にすることができる。このように、導波路は、高輝度を有しスキューのないビームを送出するか又は僅かに輝度が低いスキュービームを送出するよう構成され得る。
【0027】
いくつかの実施態様において、図3Bは、選択エッチング(例えば、空間選択エッチマスクによる)を用いて円環又はリング状のコアに漸次遷移する回転展開するビームガイド領域を有する導波路を製造する例340を示す。例えば、図3Bに参照符号342で示すように、エッチャント(例えば、フッ化水素(HF)酸)に耐性のあるエッチマスクが、回転対称のファイバ又はプリフォーム構造体の一部又は全体に塗布され得る。例えば、エッチマスクは、半導体加工で用いるフォトレジストであり得る。いくつかの実施態様において、エッチマスクを光学処理してエッチマスクの選択材料を除去することができ、エッチマスクの除去された部分は、酸浴に入れられるとガラスをエッチャント材料(例えば、HF酸)に曝して、参照符号344で示すように空間選択的な材料除去を可能にし得る。参照符号346でさらに示すように、エッチマスクを選択エッチング後に除去することができ、参照符号348でさらに示すように、図3Aを参照して上述したのと同様に構造体を再スリーブ形成し且つ/又は線引きすることができる。さらに、いくつかの実施態様において、エッチマスク342をパターニングして、低屈折率形体の組を(例えば、図3Bに示すように)一対のトレンチとして形成することができ、又はエッチマスク342をパターニングして、(例えば、単一の低屈折率形体の場合に)ビームガイド領域を画成する外部コアの一部を除いて外部コアの全域をエッチャント材料に曝すことができる。
【0028】
選択エッチング法の上記説明では、エッチマスク及び酸浴による空間選択的な材料除去を用いているが、ポジ型及び/又はネガ型フォトリソグラフィを実行して材料系に応じて空間選択的に材料を除去することができる。追加として又は代替として、ドーパント依存性エッチングを実行することができ、その場合、導波路構造体は、エッチング速度を向上又は抑制するように空間選択的濃度の特定のドーパントを含む特注のプリフォームから製造され得る。エッチマスクの使用の代替として、エッチングするガラスを(例えば、フェムト秒レーザに曝すことにより)局所的に感光させてもよい。
【0029】
いくつかの実施態様において、(例えば、図3A及び図3Bに示すように)材料アブレーションによる低屈折率形体の形成にレーザ加工又は選択エッチングを実行するのではなく、(例えば、材料アブレーションではなく屈折率シフトを引き起こすよう調整されたフェムト秒又は紫外線レーザを用いて)屈折率を局所的に変えるようファイバを加工することができる。屈折率変更プロセスが屈折率を上昇させるか低下させるかに応じて、屈折率を局所的に変えることにより低屈折率形体を形成するよう加工される構造体は、外部コアテーパ状ガイド領域又は2つのトレンチ状境界となり得る。さらに、場合によっては、このような屈折率変更が表面だけでなくバルク材の内部で実行され得ることにより、出発原料は、図3Aに参照符号320で且つ/又は図3Bに参照符号348で示す再スリーブ形成構造体と同様の完全再スリーブ形成部品となり得る。この場合、外部コア構造は、ファイバが完全に線引きされた後に最終ステップとして刻設され得る。
【0030】
いくつかの実施態様において、図3Cは、プリフォーム段階で円環又は部分円環へ漸次遷移する回転展開するビームガイド領域を有する導波路を製造する技法の例380を示す。例えば、図3Cに参照符号382で示すように、導波路を製造するための出発構造体は、第1(中心)コア、中心コアを同心状に囲むリング状外部コア、及び中心コアとリング状外部コアとの間の境界面の内部クラッド層を有するステップインデックスプリフォームであり得る。図3Cに参照符号384でさらに示すように、第1孔がリング状外部コアに穿孔、切削、又は他の方法で形成され、第1低屈折率形体(例えば、第1低屈折率ロッド等の第1攪拌形体)が第1孔に挿入され得る。したがって、第1低屈折率形体の角度位置がプリフォームの長さにわたって向きを変えるように、続いてプリフォームに捩りが加えられ得る。図3Cに参照符号386でさらに示すように、第2孔が捩れたプリフォームに穿孔、切削、又は他の方法で形成され、第2低屈折率形体(例えば、第2低屈折率ロッド等の第2攪拌形体)が第2孔に挿入され得る。続いて、捩れたプリフォームを第1及び第2低屈折率形体の両方の上で回転させながら又は回転させずに線引きすることにより、異なる速度でプリフォームの中心周りに回転する低屈折率形体を用いて回転展開するビームガイド領域を作ることができる。
【0031】
図3A図3Cは、導波路の長さにわたって向きが変わる1つ又は複数の低屈折率形体により画成された導波路を作る例示的な製造ステップを示すが、いくつかの実施態様において、導波路は、図3A図3Cに示すものに対して追加の製造ステップ、より少ない製造ステップ、異なる製造ステップ、又は異なる配置の製造ステップで作られ得る。追加として又は代替として、図3A図3Cに示す2つ以上の製造ステップを並行して実行してもよい。
【0032】
図4は、外部コア領域に回転展開するビームガイド領域を含む導波路の製造に関する例示的なプロセス400のフローチャートである。
【0033】
図4に示すように、プロセス400は、中心コア及び中心コアを同心状に囲む1つ又は複数の外部コアを備えた構造体を受け取るステップ(ブロック410)を含み得る。いくつかの実施態様において、構造体は、回転対称のファイバ又はプリフォームを含む。
【0034】
図4にさらに示すように、プロセス400は、中心コアを同心状に囲む1つ又は複数の外部コアのそれぞれに、各外部コアの長さにわたって中心コアを同心状に囲む円環又は中心コアを部分的に囲む部分円環へ回転展開するビームガイド領域を形成するステップ(ブロック420)を含み得る。
【0035】
プロセス400は、以下で且つ/又は本明細書の他の箇所に記載の1つ又は複数のプロセスに関連して説明する、任意の単一の実施態様又は任意の実施態様の組み合わせ等のさらなる実施態様を含み得る。
【0036】
第1実施態様において、ビームガイド領域の形成は、材料アブレーションを実行して、1つ又は複数の外部コアのそれぞれに各外部コアの長さにわたって向き又は形状が変わる1組の低屈折率形体を形成することを含む。
【0037】
単独の又は第1実施態様と組み合わせた第2実施態様において、材料アブレーションの実行は、レーザ加工又は選択エッチングを実行して、各外部コアの長さにわたる材料除去により上記1組の低屈折率形体を形成することを含む。
【0038】
単独の又は第1及び第2実施態様の一方又は両方と組み合わせた第3実施態様において、ビームガイド領域の形成は、火炎加工又はエッチングを用いて上記1組の低屈折率形体に含まれる1つ又は複数の低屈折率形体に丸みを付けることをさらに含む。
【0039】
単独の又は第1~第3実施態様の1つ又は複数と組み合わせた第4実施態様において、ビームガイド領域の形成は、第1低屈折率形体を構造体の1つ又は複数の外部コアに形成された第1孔に挿入した後に構造体を捩り、構造体を捩った後に第2低屈折率形体を1つ又は複数の外部コアに形成された第2孔に挿入することを含む。
【0040】
単独の又は第1~第4実施態様の1つ又は複数と組み合わせた第5実施態様において、ビームガイド領域の形成は、1つ又は複数の外部コアの屈折率プロファイルを1つ又は複数の外部コアの長さにわたって断熱的又は近断熱的に遷移させるよう調整されたフェムト秒レーザ又は紫外線レーザを用いて、1つ又は複数の外部コアを加工することを含む。
【0041】
図4は、プロセス400の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施態様において、プロセス400は、図4に示すものに対して追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なる配置のブロックを含み得る。追加として又は代替として、プロセス400のブロックの2つ以上を並行して実行してもよい。
【0042】
上記開示は、図示及び説明を行っているが、網羅的であることも開示された形態そのものに実施態様を限定することも意図していない。変更形態及び変形形態は、上記開示に照らして行うことができるか又は実施態様の実施から得ることができる。さらに、上記開示が1つ又は複数の実施態様を組み合わせることができない理由を明示しない限り、本明細書に記載の実施態様のいずれを組み合わせてもよい。
【0043】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され且つ/又は明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、種々の実施態様の開示の制限を意図するものではない。実際には、これらの特徴の多くを、具体的に特許請求の範囲に記載されておらず且つ/又は明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。併記の各従属請求項が1つの請求項のみに直接従属している場合があるが、種々の実施形態の開示は、各従属請求項をその請求項の組の他の全ての請求項と組み合わせたものを含む。本明細書で用いる場合、列挙した事項の「少なくとも1つ」に言及する語句は、個々の成員を含めそれらの事項の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ事項との任意の組み合わせを包含することが意図される。
【0044】
本明細書で用いるいずれの要素、動作、又は指示も、そのように明記されない限りは重要又は必須であるものと解釈されるべきではない。また、本明細書で用いる場合の不定冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数の事項を含むことを意図し、「1つ又は複数」と交換可能に用いることができる。さらに、本明細書で用いる場合の定冠詞「the」は、定冠詞「the」に関連して言及される1つ又は複数の事項を含むことを意図し、「1つ又は複数」と交換可能に用いることができる。さらに、本明細書で用いる場合の用語「組」は、1つ又は複数の事項(例えば、関係事項、無関係事項、又は関係及び無関係事項の組み合わせ)を含むことを意図し、「1つ又は複数」と交換可能に用いることができる。1つの事項のみが意図される場合、語句「1つのみ」又は同様の文言が用いられる。また、本明細書で用いる場合の用語「有する("has," "have," "having")」等は、オープンエンドな用語であることを意図する。さらに、語句「に基づく」は、特に明記のない限り、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。また、本明細書で用いる場合の用語「又は」は、列挙中に用いられる場合は包括的であることを意図し、特に明記のない限り(例えば、「いずれか」又は「1つのみ」と組み合わせて用いる場合を除き)、「及び/又は」と交換可能に用いることができる。さらに、本明細書では、図示の別の要素(単数又は複数)又は特徴(単数又は複数)に対するある要素又は特徴の関係を説明するにあたり説明を容易にするために、「下」、「下側」、「上」、「上側」等の空間的に相対的な用語を用いる場合がある。空間的に相対的な用語は、図示の向きに加えて使用又は動作時の装置、デバイス、及び/又は素子の異なる向きを包含することを意図する。装置は、他の向き(90°回転しているか又は他の向き)であってもよく、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語もそれに応じて解釈することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
【外国語明細書】