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特開2022-104909視覚信号によるアブレーション後の検証
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104909
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】視覚信号によるアブレーション後の検証
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/339 20210101AFI20220705BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220705BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20220705BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61B5/339
A61B5/33 100
A61B5/367 100
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021214062
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】17/138,066
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イタイ・ドロン
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン・フェルドマン
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ・コーエン-サコムスキー
(72)【発明者】
【氏名】ガル・バル・ゾーハル
(72)【発明者】
【氏名】リリア・スズダルニツキー
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C127HH16
4C127LL08
4C160KK04
4C160KK17
4C160KK30
4C160MM38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アブレーション後の検証期間などの手術期間中に電気信号が検出される位置を示すために、医療処置に関与する器官の描写の視覚的表現をユーザーに提供するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】医療処置において医療機器に関連して実施されるシステム及び方法は、医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、医療処置のレンダリングと共に、測定された電気信号をディスプレイ上に表現することと、医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、医療機器の記録された位置を処理することと、医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、医療機器によって、医療機器の処理された記録された位置を、処理された記録された位置において医療機器を介して測定された描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶されたコードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コードは、プロセッサによって実行されると、前記システムに医療処置において医療機器と関連する方法を実施させるものであり、前記方法は、
前記医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、
前記医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、
前記医療処置をレンダリングすることと併せて、前記測定された少なくとも1つの電気信号を前記ディスプレイ上に表現することと、
前記医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、
少なくとも1つの医療機器の前記記録された位置を処理することと、
前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、
前記少なくとも1つの医療機器によって、少なくとも1つの医療機器の前記処理された記録された位置を、前記処理された記録された位置において前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された前記描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電気信号は心臓の電気信号である、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記医療処置の前記レンダリングは、患者の心臓及びカテーテルのレンダリングを含む、請求項1に記載コンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記医療処置中に前記少なくとも1つの医療機器の位置を記録することは、医療システムを使用して実施される、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記医療システムはCARTO(登録商標)システムである、請求項4に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記相関させる出力を提供することは視覚的表現を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を弱めるための成功したアブレーションを指示する少なくとも1つのゼロ信号測定を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を指示する少なくとも1つのライブ信号測定を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
医療処置において医療機器と関連して方法を実施するためのシステムであって、前記方法は、
前記医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定し、前記医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングするための医療システムであって、
前記医療処置の前記レンダリングと併せて、前記測定された少なくとも1つの電気信号をディスプレイ上に表現するために、前記ディスプレイと連動して動作するプロセッサと、
前記医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録するためのメモリモジュールと、
少なくとも1つの医療機器の前記記録された位置を処理する前記プロセッサと、
前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写するように動作する前記プロセッサ及び前記ディスプレイと、
前記少なくとも1つの医療機器によって、少なくとも1つの医療機器の前記処理された記録された位置を、前記処理された記録された位置において前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された前記描写された信号と相関させる出力を提供するためのディスプレイと、を含む医療システムを含む、システム。
【請求項10】
医療処置において医療機器と関連して実施される方法であって、
前記医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、
前記医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、
前記医療処置をレンダリングすることと併せて、前記測定された少なくとも1つの電気信号を前記ディスプレイ上に表現することと、
前記医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、
少なくとも1つの医療機器の前記記録された位置を処理することと、
前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、
前記少なくとも1つの医療機器によって、前記少なくとも1つの医療機器の前記処理された記録された位置を、前記処理された記録された位置において前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された前記描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電気信号は心臓の電気信号である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記医療処置の前記レンダリングは、患者の心臓及びカテーテルのレンダリングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記医療処置中に前記少なくとも1つの医療機器の位置を記録することは、医療システムを使用して実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記医療システムはCARTO(登録商標)システムである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記相関させる出力を提供することは視覚的表現を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記視覚的表現はマーカーである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記視覚的表現は点滅することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記医療機器は、検出された電気心臓信号を含む前記少なくとも1つの電気信号と共にアブレーションに使用されるカテーテルである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を弱めるための成功したアブレーションを指示する少なくとも1つのゼロ信号測定を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を指示する少なくとも1つのライブ信号測定を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心不整脈に関連するアブレーションに関するものであり、より具体的には、視覚信号によるアブレーション後の検証に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アブレーションカテーテルは、多くの場合、電気信号がアブレーションされた組織を横断するのを防止するべく、心臓組織をアブレーションするために使用される。このような処置は、しばしば誤った信号及び/又は信号源によって引き起こされる心房細動(AF)を防止するために実施されることが多い。
【0003】
アブレーション処置が完了した後、そのアブレーションの有効性が、検証期間中に確認されることが多い。検証期間中、電気信号がアブレーション領域を通過しないことを確認するために、アブレーションの部域及び/又はアブレーションの周囲の部域上にカテーテルの電極が配置される。正の結果は、カテーテルの電極が平坦な電気信号を読み取ることに対応する。
【0004】
検証期間中、信号グラフが提供され、その信号グラフに全てのカテーテルの電極の信号が含まれる。多電極カテーテルを使用する場合、信号グラフは、電極ごとの検出信号を示す。有効なアブレーションの後、アブレーション領域から検出された信号は、平坦であるか、あるいは低い電気的活動を示すと想定される。しかしながら、カテーテル上のどの電極が信号グラフ上の検出信号に対応するかを判定することは多くの場合、困難である。例えば、8個の電極を備えたカテーテル上の第1の電極が、信号グラフに示される信号を検出することがある。しかしながら、医師は、その信号が器官のうちのどの部分に対応するか、またその信号がアブレーション領域内からのものであるか、あるいはアブレーション領域の外側からのものであるかを容易に識別することができない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、アブレーション後の検証期間などの手術期間中に電気信号が検出される位置を示すために、医療処置に関与する器官の描写の視覚的表現をユーザーに提供するためのシステム及び方法が提供される。
【0006】
医療処置において医療機器に関連して実施されるシステム及び方法が開示される。そのシステム及び方法は、医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、医療処置のレンダリングと共に、測定された少なくとも1つの電気信号をディスプレイ上に表現することと、医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、少なくとも1つの医療機器の記録された位置を処理することと、少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、少なくとも1つの医療機器によって、少なくとも1つの医療機器の処理された記録された位置を、処理された記録された位置において少なくとも1つの医療機器を介して測定された描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて例として示される以下の説明より得ることができ、図中の同様の参照番号は、同様の要素を示す。
図1】本開示の主題の1つ以上の特徴が実施され得る例示的なシステムの図である。
図2A】心臓部域をマッピングするために使用され得る複数の電極を含んだ線形カテーテルの例を示す。
図2B】複数のスプライン及び各スプライン上の複数の電極を含む例示的なバルーンカテーテルを示す。
図3】アブレーションの検証期間中にフィードバックを提供するように設計されたディスプレイを示す。
図4A】肺隔離(pulmonary isolation、PI)によって隔離され得る、心腔及び4つの肺静脈を伴った表示を示す、図3のレンダリングのより詳細なバージョンである。
図4B図4Aのレンダリングと併せて提供され得る信号グラフである。
図5】相関信号と共に図3のレンダリングを提供する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として根強く残っている。正常な洞律動を有する患者では、心房、心室、及び興奮伝導組織から構成される心臓は、電気的に興奮して、同期的な、パターン化した形で拍動する。心不整脈を有する患者では、心臓組織の異常領域は、正常な洞調律を有する患者のように通常の伝導組織に関連する同期的な拍動周期には従わない。その代わりに、心臓組織の異常領域では隣接組織への異常な伝導が行われ、これにより心臓周期が乱れて非同期的な心律動となる。こうした異常伝導は、例えば、房室(AV)結節及びヒス束の伝導経路に沿った洞房(SA)結節の領域、又は心室及び心房の壁を形成する心筋組織など、心臓の様々な領域で生じることがこれまでに知られている。
【0009】
心房性不整脈を含む心不整脈は、心房の周りで散乱して、しばしば自己伝播する電気インパルスの複数の非同期的ループを特徴とする、マルチウェーブレットリエントラント型となる場合がある。マルチウェーブレットリエントラント型に対して代替的に、又はそれに加えて、心不整脈はまた、心房の組織の孤立領域が、急速で反復的な様式で自律的に興奮する場合などの、局所的な起源を有する場合もある。心室性頻脈症(Ventricular tachycardia、V-tach又はVT)は、心室のうちの1つから発生する頻脈症又は高速な心律動である。これは、心室細動及び突然死につながり得るため、潜在的に致死性の不整脈である。
【0010】
不整脈の一種である心房細動は、洞房結節によって生成される通常の電気インパルスが、心房及び肺静脈内で生じる無秩序な電気インパルスによって圧倒され、不規則なインパルスが心室に伝導する場合に発生する。その結果、不規則な心拍が生じ、数分~数週間、又は更には数年間持続する場合がある。心房細動(AF)は、多くの場合、脳卒中が原因である場合が多い死亡のリスクのわずかな増加を招く、慢性的な症状である。リスクは年齢と共に増加する。80歳を超える人々の約8%が、ある程度のAFを有している。心房細動は、無症候性である場合が多く、それ自体は概ね致死性ではないが、動悸、脱力感、失神、胸痛及び鬱血性心不全をもたらす恐れがある。収縮が不十分な心房及び左心耳に血液が溜まって血栓を形成する可能性があるため、AF中に脳卒中のリスクが高まる。AF治療の最前線は、心拍数を低下させるか、又は心律動を正常に戻す薬物治療である。更には、AFを有する患者は、脳卒中のリスクから自身を守るために、抗凝血剤を与えられる場合が多い。そのような抗凝血剤の使用は、それ自体のリスクである内出血を伴う。一部の患者では、投薬治療は十分ではなく、それら患者のAFは、薬剤不応、すなわち、標準的な薬理学的介入では治療不可能であると判断される。同期電気的除細動もまた、AFを正常な心律動に変換するために使用することができる。あるいは、AF患者は、カテーテルアブレーションによって治療される。
【0011】
カテーテルアブレーションベースの治療には、心臓組織、特に心内膜及び心臓容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれてもよい。心臓マッピング、例えば、心臓組織に沿った波動伝播の電位マップ(電圧マップ)、又は様々な組織位置点までの到達時間のマップ(局所興奮時間(local time activation、LAT)マップ)を生成することを使用して、局所的心臓組織機能不全を検出することができ、心臓マッピングに基づくものなどのアブレーションは、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することができる。
【0012】
アブレーション法は、非伝導性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作るためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングに続いてアブレーションを行う2段階の処置においては、通常、1つ又は2つ以上の電気センサ(又は電極)を収納したカテーテルを心臓の内部に前進させ、多数のポイントにおけるデータを取得することによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動が感知及び測定される。次いでこれらのデータを利用して、アブレーションが実施される心内膜の標的領域が選択される。
【0013】
心房細動及び心室頻拍などの困難な疾患を医師が治療する際の心臓アブレーション及び他の心臓電気生理学的処置は、ますます複雑化している。複雑な不整脈の治療は、関心のある心腔の解剖学的構造を再構築するために、現在、3次元(3D)マッピングシステムの使用に依存し得る。
【0014】
例えば、心臓病専門医は、心臓内EGM信号を解析して、非通常型心房粗動及び心室頻拍を含む様々な心臓疾患を治療するためのアブレーションポイントを判定するために、Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,California)製のCARTO(登録商標)3 3Dマッピングシステムのコンプレックス細分化心房電位図(CFAE)モジュールなどのソフトウェアに依存する。
【0015】
3Dマップは、これらの困難な不整脈の解剖学的及び機能的基質を表す、組織の電気生理学的特性に関する複数の情報を提供することができる。
【0016】
病因の異なる心筋症(虚血性、拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy、DCM)、肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy、HCM)、不整脈原右室異形成症(arrhythmogenic right ventricular dysplasia、ARVD)、左心室緻密化障害(left ventricular non-compaction、LVNC)等)は、識別可能な基質を有し、正常に機能している心筋細胞領域で囲まれている不健康な組織領域を特徴とする。
【0017】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば、大腿動脈に挿入された後、対象の心腔内へと導かれる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に少なくとも1つの電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極が、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に位置付けられている第2のカテーテルによって、提供される。RF(高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極に通電すると、参照電極に向かって先端電極の周囲の媒質(すなわち、血液及び組織)を通って電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触する電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、心臓組織内に非電導性である損傷部が形成される。このプロセスの間に、加熱された組織から電極自体への伝導によって電極も加熱される。電極の温度が十分に高くなり、場合により60℃を超えると、脱水された血液タンパク質の薄く透明な皮膜が、電極の表面上に形成され得る。温度が上昇し続けると、この脱水層が徐々に厚くなり得、電極表面上に血液が凝固する。脱水された生物学的材料は、心内膜組織よりも高い電気抵抗を有するため、電気エネルギーの組織内部への流れに対するインピーダンスもまた増大する。インピーダンスが十分に高くなると、インピーダンス上昇が起こり、カテーテルを身体から抜いて先端部電極をきれいにしなければならない。
【0018】
医療処置において医療機器に関連して実施されるシステム及び方法が開示される。そのシステム及び方法は、医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、医療処置のレンダリングと共に、測定された少なくとも1つの電気信号をディスプレイ上に表現することと、医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、少なくとも1つの医療機器の記録された位置を処理することと、少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、少なくとも1つの医療機器によって、少なくとも1つの医療機器の処理された記録された位置を、処理された記録された位置において少なくとも1つの医療機器を介して測定された描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む。
【0019】
図1は、本開示の主題の1つ以上の特徴が実装され得る例示的なシステム102の図である。システム102の全て若しくは一部が、訓練データセットの情報を収集するために使用されてもよく、かつ/又はシステム102の全て若しくは一部が、訓練されたモデルを実装するために使用されてもよい。システム102は、体内器官の組織部域を損傷するように構成されたカテーテル140などの構成要素を含んでもよい。カテーテル140はまた、生体データを取得するように更に構成されてもよい。カテーテル140は、ポイントカテーテルであることが示されているが、1つ又は2つ以上の要素(例えば、電極)を含む任意の形状のカテーテルを使用して、本明細書に開示される実施形態を実装することができることが理解されよう。システム102は、ベッド129に横になっている患者128の心臓126などの身体部分の中へと医師130によってナビゲートされ得るシャフトを有するプローブ121を含む。実施形態によれば、複数のプローブが提供されてもよいが、簡潔にするために、単一のプローブ121が本明細書にて記載されている。しかしながら、プローブ121が複数のプローブを表し得ることが理解されるであろう。図1に示されるように、医師130は、カテーテル140の近位端の近くのマニピュレータ132及び/又はシース123からの偏向を使用して、シャフト122の遠位端を操作しながら、シース123を通してシャフト122を挿入することができる。差し込み図125に示されるように、カテーテル140は、シャフト122の遠位端に取り付けられてもよい。カテーテル140は、折りたたまれた状態でシース123を通して挿入されてもよく、次いで、心臓126内で拡張されてもよい。本明細書に更に開示されるように、カテーテル140は、少なくとも1つのアブレーション電極147及びカテーテル針148を含み得る。
【0020】
例示的な実施形態によれば、カテーテル140は、心臓126の心腔の組織部域をアブレーションするように構成されてもよい。差し込み図145は、心臓126の心腔内部のカテーテル140を拡大図で示している。図示のように、カテーテル140は、カテーテルの本体に結合された少なくとも1つのアブレーション電極147を含み得る。他の例示的な実施形態によれば、複数の要素は、カテーテル140の形状を形成するスプラインを介して接続されてもよい。1つ又は2つ以上の他の要素(図示せず)を設けることができ、それらは、アブレーションを行うか又は生体データを取得するように構成された任意の要素であってよく、電極、トランスデューサ、又は1つ又は2つ以上の他の要素であり得る。
【0021】
本明細書に開示される実施形態によれば、電極147などのアブレーション電極は、心臓126などの体内器官の組織部域にエネルギーを供給するように構成されてもよい。エネルギーは、熱エネルギーであってよく、組織領域の表面から始まって組織領域の厚さに延びる組織領域への損傷を引き起こすことができる。
【0022】
本明細書に開示される例示的な実施形態によれば、生体データは、LAT、電気活動、トポロジー、双極マッピング、主要周波数、インピーダンスなどのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。局所興奮時間は、正規化された初期開始点に基づいて計算された、局所興奮に対応する閾値活動の時点であり得る。電気活動は、1つ又は2つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってよく、信号対ノイズ比及び/又は他のフィルタに基づいて、検知及び/又は拡張され得る。トポロジーは、身体部分又は身体部分の一部の物理的構造に対応し得、身体部分の異なる部分に関する、又は異なる身体部分に関する物理的構造の変化に対応し得る。主要周波数は、身体部分の一部に行き渡る周波数又は周波数の範囲であり得、同じ身体部分の異なる部分において異なり得る。例えば、心臓の肺静脈の主要周波数は、同じ心臓の右心房の主要周波数と異なり得る。インピーダンスは、身体部分の所与の領域における抵抗測定値であり得る。
【0023】
図1に示されるように、プローブ121及びカテーテル140は、コンソール124に接続されてもよい。コンソール124は、カテーテルとの間で信号を送受信するため、並びにシステム102の他の構成要素を制御するための、適切なフロントエンド及びインターフェース回路138を備えた汎用コンピュータなどのプロセッサ141を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ141は、電気活動などの生体データを受信し、所与の組織領域が電気を伝導するかどうかを判定するように更に構成され得る。一実施形態によれば、プロセッサは、コンソール124の外部にあってもよく、例えば、カテーテル内、外部デバイス内、モバイルデバイス内、クラウドベースのデバイス内に位置してもよく、又はスタンドアロン型プロセッサであってもよい。
【0024】
上述のように、プロセッサ141は、汎用コンピュータを含み得、このコンピュータは、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされ得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、汎用コンピュータに電子形態でダウンロードされてよく、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的有形媒体上で提供及び/若しくは保存されてもよい。図1に示す例示的な構成は、本明細書に開示される実施形態を実施するように修正され得る。本開示の実施形態は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。更に、システム102は、電気活動を感知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及び表示デバイスなどの追加の構成要素を含み得る。
【0025】
一実施形態によれば、プロセッサ(例えば、プロセッサ141)に接続されたディスプレイ127は、別個の病院などの遠隔地に、又は別個の医療提供者ネットワーク内に位置し得る。更に、システム102は、心臓などの患者の器官の解剖学的及び電気的測定値を取得するように構成されており、心臓アブレーション処置を実施する外科システムの一部であってもよい。かかる外科用システムの一例は、Biosense Websterにより販売されているCarto(登録商標)システムである。
【0026】
システム102はまた、任意選択により、超音波、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、又は当該技術分野において既知の他の医療撮像技術を使用して、患者の心臓の解剖学的測定値などの生体データを取得することができる。システム102は、カテーテル、心電図(EKG)、又は心臓の電気的特性を測定する他のセンサを使用して電気的測定値を取得することができる。次に、解剖学的及び電気的測定値を含む生体データは、図1に示されるように、マッピングシステム102のメモリ142内に記憶されてもよい。生体データは、メモリ142からプロセッサ141に伝送され得る。代替的に、又は加えて、生体データは、ネットワーク162を使用して、ローカル又はリモートであり得るサーバ160に送信され得る。
【0027】
ネットワーク162は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、直接接続若しくは一連の接続、携帯電話ネットワーク、又はマッピングシステム102とサーバ160との間の通信を円滑にすることができる任意の他のネットワーク若しくは媒体など、当該技術分野で一般に知られている任意のネットワーク又はシステムであってもよい。ネットワーク162は、有線、無線、又はこれらの組み合わせであり得る。有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、RJ-11、又は当該技術分野において一般的に知られている任意の他の有線接続を使用して実装することができる。無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、及びBluetooth、赤外線、セルラーネットワーク、衛星、又は当該技術分野において一般的に知られている任意のその他の無線接続方法を使用して実装することができる。追加的に、いくつかのネットワークは、ネットワーク162内の通信を容易にするために、単独で、又は互いに通信して動作し得る。
【0028】
いくつかの場合では、サーバ160は、物理サーバとして実装され得る。他の場合では、サーバ160は、仮想サーバ、パブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))として実装されてもよい。
【0029】
制御コンソール124は、ケーブル139によって体表面電極143に接続されてもよく、体表面電極は、患者128に貼り付けられた接着性皮膚パッチを含んでもよい。プロセッサは、電流追跡モジュールと連動して、患者の身体部分(例えば、心臓126)内のカテーテル140の位置座標を決定してもよい。位置座標は、体表面電極143と電極147又はカテーテル140の他の電磁構成要素との間で測定されたインピーダンス又は電磁場に基づいたものであってよい。追加的に又は代替的に、位置特定パッドは、ベッド129の表面上に配置されてもよく、また、ベッド129から分離されてもよい。
【0030】
プロセッサ141は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路と、その後のアナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)ECG(electrocardiograph、心電計)又はEMG(electromyogram、筋電図)信号変換集積回路と、を含むことができる。プロセッサ141は、A/D ECG又はEMG回路から別のプロセッサへと信号を通過させ得、及び/又は本明細書に開示される1つ又は2つ以上の機能を行うようにプログラムされることができる。
【0031】
制御コンソール124はまた、制御コンソールが電極147から信号を転送すること、及び/又は電極147に信号を転送することを可能にする入力/出力(I/O)通信インターフェースを含んでもよい。
【0032】
処置中、プロセッサ141は、ディスプレイ127上で身体部分レンダリング135を医師130に提示することを容易にしてもよく、また身体部分レンダリング135を表すデータをメモリ142に保存してもよい。メモリ142は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを備え得る。いくつかの実施形態では、医療専門家130は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ又は2つ以上の入力装置を使用して、身体部分レンダリング135を操作することが可能であり得る。例えば、レンダリング135が更新されるように、入力装置を使用してカテーテル140の位置を変更させてもよい。代替的な実施形態では、ディスプレイ127は、身体部分レンダリング135を提示することに加えて、医療専門家130からの入力を受け取るように構成することができるタッチスクリーンを含み得る。
【0033】
心臓内のある点における電気活動は通常、遠位先端部にあるいはその近くに電気センサを収容したカテーテルを心臓内のその点へと前進させ、組織をセンサと接触させ、その点におけるデータを取得することによって測定され得る。単一の遠位先端電極のみを収容したカテーテルを使用して心室をマッピングすることに伴う1つの欠点は、心腔の詳細なマップに全体として要求される必要な数の点に対して、点ごとにデータを集積するために長い時間が必要であることである。したがって、心腔内の複数の点における電気活動を同時に測定するために、多電極カテーテルが開発された。
【0034】
多電極カテーテルは、複数の電極を有する線形カテーテル、バルーンを形作る複数の骨材上に配設された電極を含むバルーンカテーテル、複数の電極を有するラッソーカテーテル若しくはループカテーテル、又は任意の他の適用可能な形状などの任意の適用可能な形状を使用して実施することができる。図2Aは、心臓部域をマッピングするために使用され得る複数の電極204、205及び206を含む線形カテーテル202の例を示す。線形カテーテル202は、受信信号に基づいて、かつ/又は線形カテーテル202への外力(例えば、心臓組織)の印加に基づいて、ねじれる、屈曲する、及び/又は他の方法でその形状を変化させることができるように、完全に又は部分的に弾性であり得る。
【0035】
図2Bは、スプライン214、216、217を含む複数のスプライン(例えば、図2Bの具体例における12のスプライン)と、図示のような電極221、222、223、224、225、及び226を含む各スプライン上の複数の電極と、を含んだ例示的なバルーンカテーテル212を示す。バルーンカテーテル212は、患者の身体の中に展開されたときに、その電極が心内膜の表面に対して密接に接触して保持され得るように設計されてもよい。例として、バルーンカテーテルは、肺静脈(pulmonary vein、PV)などの管腔内に挿入されることができる。バルーンカテーテルは、収縮した状態でPV内に挿入されることができ、その結果、バルーンカテーテルは、PV内に挿入されている間、PVの最大容量を占有しない。バルーンカテーテルは、PVの内側にある間に拡張してもよく、それにより、バルーンカテーテル上の電極は、PVの円形部分全体と接触する。
【0036】
図3は、アブレーションの検証期間中にフィードバックを提供するように設計されたディスプレイ300を示す。アブレーションされる器官のレンダリング310が提供されてもよい。レンダリング310は、アブレーション処置中と検証期間中との両方において提供されてもよい。レンダリング310は、検証期間中にカテーテル320がアブレーション部域330に向けられ得るように、アブレーション部域330を示してもよい。アブレーション部域330は、1つ以上のアブレーション部340を含み得る。図示されるように、アブレーション部340は、プラス記号を形成する垂直アブレーション部及び水平アブレーション部を含んでもよい。カテーテル320は、アブレーション部域内に存在する任意の電気信号を収集するために、アブレーション部域330に(また場合によってはアブレーション部340に)接触してもよい。カテーテル描写320が、器官のレンダリング310内に提供されてもよい。
【0037】
図4Aは、肺隔離(PI)によって隔離され得る心腔450と4つの肺静脈460、460、460、460(総合的にあるいは全体として肺静脈460と呼ばれる)とを示す、図3のレンダリング310のより詳細なバージョンを示す。図3に関して説明されたように、1つ以上のアブレーション部340が形成されたアブレーション部域330内にカテーテル320が存在する。説明されるように、レンダリング部310は、医師が、追加のアブレーションが必要であるかどうかを判定するために、検査期間中に信号が検出される器官の部域を識別することを可能にする視覚的指示を提供する。器官内において、カテーテルが可視化され、またカテーテルの上方において、電極が可視化される。
【0038】
カテーテルが有意な電気活動(閾値として医師によって定義される)を有する信号を検出した場合、信号が検出される図3のディスプレイ内のカテーテル320の電極可視化上に、光、マーカー、フラッシュ、強調表示などの視覚的表現が視覚的に示されてもよい。視覚的表現及び信号の位置に基づいて、検出された信号が、電気的活動を有するべきでない部域330内にあるか否か、又は、良好な組織が存在し、アブレーションが部域470、470内などの信号に影響を及ぼすことが意図されていない、部域470、470などの、部域内にあるそのような部域の外側にあるかどうかについての判定がなされ得る。検出された信号が、電気的活動を有するべきでない部域330内にある場合、追加的なアブレーションが実施されてもよい。
【0039】
例として、電気活動を検出するカテーテル320の全ての電極が「緑色」に提示されてもよいが、閾値と比較して低い電気活動を測定した電極は「赤色」として表示されてもよい。代替的に、あるいは追加的に、電気活動を検出するカテーテル320の電極は「一定」に提示されてもよいが、閾値と比較してゼロの電気活動を測定した電極は、「明滅」するものとして表示されてもよい。
【0040】
図4Bは、レンダリング300と併せて提供され得る信号グラフ400を示す。信号グラフ400は、カテーテル320の全ての電極に対応する電気活動のグラフを示してもよい。これは、例えば、40個の信号など、任意の数の信号を含んでもよい。図4Bの信号グラフ400は、本発明の理解を助けるために、4つのそのような信号を示す。4つの信号は、信号1 410、信号2 420、信号3 430及び信号4 440を含む。これらの信号1 410~信号4 440の各々は、カテーテル320の電極内で測定される信号に対応する。図示されるように、信号1 410、信号2 430は電気活動を含むが、信号3 430、信号4 440は電気活動も低電気活動も含まない。これは、信号グラフ400から判定されてもよい。
【0041】
ディスプレイ300内の信号(信号3 430、信号4 440)が、ユーザーによってあるいはbWIによって、活動信号なし/平坦線として定義され得る閾値を下回るとき、カテーテル320上の特定の電極に関連付けられるこの信号は、可視化指示を有し得、したがって、医師は、レンダリング310内のその部域を位置特定し、信号の欠如が適切であるか否かを判断することが可能となり得る。ディスプレイ300内の信号(信号1 410、信号2 420)が閾値を上回る場合、電気活動を表す活動信号として表示されることができ、カテーテル320上の特定の電極に関連付けられるこの信号は、電極上に可視化指示を有し得、したがって、医師は、レンダリング310内のその部域を位置特定し、電気活動を有することが適切であるか否かを判断することが可能となり得る。図4Aのレンダリング310と図4Bの信号グラフ400は同期されており、カテーテル電極の位置と信号可視化を相関させることが可能となっている。この相関は、光、マーカー、フラッシュ、強調表示などの視覚的表現によって達成され得る。すなわち、電極の信号グラフが点滅してもよいが、レンダリング中の電極もまた点滅してもよい。
【0042】
この相関により、カテーテルを移動させるとき、及びディスプレイと対話するときに、詳細が提供され得る。カテーテル320が腔内で移動している状況では、カテーテル320が移動するとき、レンダリング310内の電極は、説明されたように可視化される。例えば、カテーテル320によって信号が検出される場合、そのような信号を検出する電極は、指定された方法のうちの1つを用いてレンダリング310内にマーキングされてもよい。カテーテル320によって信号が検出される他の場所にカテーテルが移動するとき、そのような信号を検出する電極は、指定された方法のうちの1つを用いてレンダリング310内に更にマーキングされてもよい。カテーテル320が移動し、信号の不在を電極が検出する場所に位置すると、電極のマーキングが中止されてもよく、あるいは信号を有さない電極が、信号を有するものとしてマーキングされた電極と区別してレンダリング310内にマーキングされてもよい。
【0043】
具体的には、電極を使用して電気信号を測定するためにカソードが位置付けられると、測定された信号がプロットされ得る。例えば、位置410に位置付けられた電極は信号プロット410を提供することができ、位置420に位置付けられた電極は信号プロット420を提供することができ、位置430に位置付けられた電極は信号プロット430を提供することができ、位置440に位置付けられた電極は信号プロット440を提供することができる。
【0044】
上述のように、電極がプロット410を伴う位置410にあるとき、位置410の電極及びプロット410は、プロット410が電極410に対応するという視覚的指示をユーザーに提供するようにマーキングされてもよい。電極がプロット420を伴う位置420にあるとき、場所420の電極及びプロット420は、プロット420が電極420に対応するという視覚的指示をユーザーに提供するようにマーキングされてもよい。電極がプロット430を伴う位置430にあるとき、場所430の電極及びプロット430は、プロット430が電極430に対応するという視覚的指示をユーザーに提供するようにマーキングされてもよい。電極がプロット440を伴う位置440にあるとき、場所440の電極及びプロット440は、プロット440が電極440に対応するという視覚的指示をユーザーに提供するようにマーキングされてもよい。
【0045】
代替的に、あるいは追加的に、本システムは、カテーテルと相互作用しているユーザーの代わりに、ディスプレイと対話しているユーザーに対して反応し得るという点で、上記のシステムとは逆に動作し得る。そのような構成では、ユーザーは、ディスプレイへの入力装置を介して信号グラフ400と相互作用することができる。例えば、信号グラフ400内の信号のグラフが、カーソルによってホバリングされてもよく、カテーテルの対応する電極が、レンダリング310内で明滅してもよく、あるいは、レンダリング310上でホバリングし、対応する電気信号が明滅することなどによって、その逆であってもよい。明滅は、ユーザーに視覚的指示を提供する1つの方法として提供されるが、他の技術が追加的にあるいは代替的に使用されてもよい。これらの他の技術には、カラーリングを使用すること、ハッシング、フラッシング、ポインタ、又はディスプレイ内の描写の強調又はハイライト表示を指示又は提供する他の方法を使用することが含まれてよい。
【0046】
代替的に、信号グラフ400上の単一の信号又はカテーテル320上の単一の電極が、例えば、ユーザー入力によって選択されてもよい。すなわち、この描写では、単一の電極と、それに対応するグラフィック描写のみがハイライト表示されても、あるいは観察用に提示されてもよい。信号グラフ400上の信号と一致するカテーテル320上の対応する電極が提示されてもよい。信号グラフ400上の単一の信号又はカテーテル320上の単一の電極が選択されている間、信号グラフ400上の他の信号又はカテーテル320上の他の電極は、視界から隠されてもよい。同様に、カテーテル320上の対応する電極又は信号グラフ400上の対応する信号のみが提示されている間、カテーテル320上の他の電極又は信号グラフ400上の他の信号は、視界から隠されてもよい。
【0047】
カテーテル320の電極を用いてプロービングすることによって、レンダリング310の様々な部域における信号又は電気的活動の欠如を評価することよって、医師は、追加のアブレーションが必要であるかどうかを判定することができる。本質的に、医師は、アブレーション部域330内に望ましくない電気的活動が存在するかどうか、又は、例えば、部域470、470内のアブレーション部域330の外側に、電気的活動の望ましくない欠如が存在するかどうかを判定することが可能となり得る。望ましくない電気的活動がアブレーション部域330内に存在する場合、そのような電気信号の経路を制御するために追加的なアブレーションが実施されてもよい。電気活動の望ましくない欠如が存在する場合、そのような電気活動の欠如は、例えば、瘢痕が既に腔内に存在することを示し得る。そのような瘢痕は、以前の処置からのものである場合もあり、あるいは少なくとも現在の処置からのものでない場合もある。そのような瘢痕は、別の不整脈の原因である場合もあり、かつ/又は現在の処置にとって重要でない場合もある。
【0048】
図5は、相関信号と共に図3のレンダリングを提供する方法500を示す。方法500は、工程510において、医療処置における電気信号を測定することを含む。工程520において、方法500は、医療処置をディスプレイ上にレンダリングすることを含む。工程530において、方法500は、測定された電気信号をディスプレイ上に表現することを含む。工程540において、方法500は、例えば、カテーテル位置などの医療機器位置を記録することを含む。加えて、ECGデータ、力データなどを含む医療処置の他のデータが記録されてもよい。工程550において、方法500は、カテーテル位置及び関連する電気信号などのデータを分析することを含む、処理することを含み得る。この処理することは、ECGデータ上の注釈を識別することを含み得る。当業者には理解されるように、参照用の注釈は、処置が発生している間にデータ内に含められてもよい。工程550における処理することは、これらのマッピング注釈のための特定のチャネル(複数可)を検出又は決定し、注釈をカテーテルチャネルにマッピングすることを含み得る。工程560において、チャネルのそれぞれについて信号の値を可視化又は描写する。
【0049】
電極上で信号が測定されない場合、信号欠如の情報が、その電極の可視化された描写に提供されてもよく、その電極の信号のグラフは、平坦線信号としてグラフ化され得る。上述のように、信号欠如又は平坦線は、多数の方式で提示されてよい。要するに、信号が存在しないことを指示するために、電極及びその電極の信号のグラフは、カラーリングされてもよく、あるいは別様に、ユーザーが電極に気付くようにする視覚的指示が与えられてもよい。視覚的指示としては、明滅、マーキングなどが挙げられる。
【0050】
ECG信号が別の電極上で測定される場合、振幅を含む信号情報、及び他の一般に理解されるECGデータが、その別の電極の可視化された描写及びその別の電極の信号のグラフに提供されてもよい。上述のように、電極の信号は、多数の方式で提示されてもよい。要するに、電極及び電極の信号のグラフは、信号が存在することを示すために緑色にカラーリングされてもよい。
【0051】
工程570において、方法は、所与の電極及び描写された医療処置におけるその位置を、電極によってその位置で測定された信号と相関させる出力を提供することを含み得る。
【0052】
方法500はリアルタイムで実施されてもよい。データは、信号上の平坦線又はシグナルが測定されるときに、3Dカテーテル電極モデル上の信号/無信号の可視化が同時に描写され得るように、リアルタイムで生成及びレンダリングされ得る。
【0053】
一般に、システムは、進行中のタイムラインデータをキャプチャし、このタイムラインデータを他の感知データと相関させる。感知されるデータは、ECG、位置など、システムによって感知されたデータを含んでもよい。ECGデータは処理されてもよく、また閾値を使用することで、この処理は、1つ以上の電極を「ECGデータを感知しない」ものとして識別することができ、この1つ以上の電極の識別は次いで、無信号の時点でのカテーテルの位置と組み合わされて、情報を表示させることができる。同様のアプローチが、カテーテル位置に基づいて検出された閾値を上回る信号に利用されてもよい。
【0054】
特徴及び要素が特定の組み合わせで上記されているが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することができることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載される方法は、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアに実装され得る。コンピュータ可読媒体の例には、電子信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が含まれる。コンピュータ可読記憶媒体の例には、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば、内蔵ハードディスク及び取り外し可能なディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disks、DVD)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 医療処置において医療機器と関連して実施される方法であって、
前記医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、
前記医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、
前記医療処置をレンダリングすることと併せて、前記測定された少なくとも1つの電気信号を前記ディスプレイ上に表現することと、
前記医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、
少なくとも1つの医療機器の前記記録された位置を処理することと、
前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、
前記少なくとも1つの医療機器によって、前記少なくとも1つの医療機器の前記処理された記録された位置を、前記処理された記録された位置において前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された前記描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む、方法。
(2) 前記少なくとも1つの電気信号は心臓の電気信号である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記医療処置の前記レンダリングは、患者の心臓及びカテーテルのレンダリングを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記医療処置中に前記少なくとも1つの医療機器の位置を記録することは、医療システムを使用して実施される、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記医療システムはCARTO(登録商標)システムである、実施態様4に記載の方法。
【0056】
(6) 前記相関させる出力を提供することは視覚的表現を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記視覚的表現はマーカーである、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記視覚的表現は点滅することを含む、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記医療機器は、検出された電気心臓信号を含む前記少なくとも1つの電気信号と共にアブレーションに使用されるカテーテルである、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を弱めるための成功したアブレーションを指示する少なくとも1つのゼロ信号測定を含む、実施態様1に記載の方法。
【0057】
(11) 前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を指示する少なくとも1つのライブ信号測定を含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 記憶されたコードを含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コードは、プロセッサによって実行されると、前記システムに医療処置において医療機器と関連する方法を実施させるものであり、前記方法は、
前記医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定することと、
前記医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングすることと、
前記医療処置をレンダリングすることと併せて、前記測定された少なくとも1つの電気信号を前記ディスプレイ上に表現することと、
前記医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録することと、
少なくとも1つの医療機器の前記記録された位置を処理することと、
前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写することと、
前記少なくとも1つの医療機器によって、少なくとも1つの医療機器の前記処理された記録された位置を、前記処理された記録された位置において前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された前記描写された信号と相関させる出力を提供することと、を含む、コンピュータ可読媒体。
(13) 前記少なくとも1つの電気信号は心臓の電気信号である、実施態様12に記載のコンピュータ可読媒体。
(14) 前記医療処置の前記レンダリングは、患者の心臓及びカテーテルのレンダリングを含む、実施態様12に記載コンピュータ可読媒体。
(15) 前記医療処置中に前記少なくとも1つの医療機器の位置を記録することは、医療システムを使用して実施される、実施態様12に記載のコンピュータ可読媒体。
【0058】
(16) 前記医療システムはCARTO(登録商標)システムである、実施態様15に記載のコンピュータ可読媒体。
(17) 前記相関させる出力を提供することは視覚的表現を含む、実施態様12に記載のコンピュータ可読媒体。
(18) 前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を弱めるための成功したアブレーションを指示する少なくとも1つのゼロ信号測定を含む、実施態様12に記載のコンピュータ可読媒体。
(19) 前記少なくとも1つの電気信号を測定することは、心臓内の信号の電気経路を指示する少なくとも1つのライブ信号測定を含む、実施態様12に記載のコンピュータ可読媒体。
(20) 医療処置において医療機器と関連して方法を実施するためのシステムであって、前記方法は、
前記医療処置において少なくとも1つの電気信号を測定し、前記医療処置の描写をディスプレイ上にレンダリングするための医療システムであって、
前記医療処置の前記レンダリングと併せて、前記測定された少なくとも1つの電気信号をディスプレイ上に表現するために、前記ディスプレイと連動して動作するプロセッサと、
前記医療処置中に少なくとも1つの医療機器の位置を記録するためのメモリモジュールと、
少なくとも1つの医療機器の前記記録された位置を処理する前記プロセッサと、
前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された信号の値を描写するように動作する前記プロセッサ及び前記ディスプレイと、
前記少なくとも1つの医療機器によって、少なくとも1つの医療機器の前記処理された記録された位置を、前記処理された記録された位置において前記少なくとも1つの医療機器を介して測定された前記描写された信号と相関させる出力を提供するためのディスプレイと、を含む医療システムを含む、システム。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
【外国語明細書】