(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104971
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】炭化水素流体-水分離
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20220705BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20220705BHJP
B01D 39/18 20060101ALI20220705BHJP
B01D 17/022 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D39/20 B
B01D39/18
B01D17/022 501
B01D17/022 502C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022060440
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2019505195の分割
【原出願日】2017-08-16
(31)【優先権主張番号】62/375,768
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/375,772
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー, ブラッドリー, ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ソンタグ, スティーブン, ケー.
(72)【発明者】
【氏名】モラヴェック, デイヴィス, ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ラジュガリア, ストゥーティ, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ダラス, アンドリュー, ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】カプール, ヴィジェイ, ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスラー, アフラー
(72)【発明者】
【氏名】クライスト, チャールズ, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ブロック, ジョセフ, エム.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内部燃焼エンジンのディーゼル燃料を含む炭化水素流体から水分および粒子を除去するためのフィルター媒体基材を提供する。
【解決手段】基材を含むフィルター媒体であって、前記基材が、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度から90度の範囲のロールオフ角を有する前記表面を含み、前記表面が、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)またはその組合せを含む、基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性であり、20μmの平均径を有する細孔を含む、フィルター媒体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を含むフィルター媒体であって、前記基材が、
前記表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む、フィルター媒体。
【請求項2】
前記表面が、UV処理表面を含む、請求項1に記載のフィルター媒体。
【請求項3】
前記基材が、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載のフィルター媒体。
【請求項4】
前記基材が、UV反応性樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルター媒体。
【請求項5】
前記表面が、親水基含有ポリマーを含む、請求項1に記載のフィルター媒体。
【請求項6】
前記親水基含有ポリマーが、親水性ペンダント基を含む、請求項5に記載のフィルター媒体。
【請求項7】
前記親水基含有ポリマーが、フルオロポリマーを含まない、請求項5または6のいずれかに記載のフィルター媒体。
【請求項8】
前記基材が、変性樹脂を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルター媒体。
【請求項9】
前記基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルター媒体。
【請求項10】
前記基材が、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルター媒体。
【請求項11】
前記基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルター媒体。
【請求項12】
前記基材が、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含み、前記表面が、UV処理表面を含み、前記基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含み、かつ前記基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、請求項1に記載のフィルター媒体。
【請求項13】
前記表面が、親水基含有ポリマーを含み、前記基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含み、かつ前記基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、請求項1に記載のフィルター媒体。
【請求項14】
前記基材が安定である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルター媒体。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルター媒体を含む、フィルター素子。
【請求項16】
前記フィルター素子が、炭化水素流体から水を除去するために構成される、請求項15に記載のフィルター素子。
【請求項17】
表面を含むフィルター媒体の処理方法であって、前記方法が、
前記表面を処理して、処理表面を形成すること
を含み、前記表面を処理することが、紫外線(UV)放射に前記表面を暴露することを含み、かつ前記フィルター媒体が、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含み、
前記処理表面が、前記表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【請求項18】
前記フィルター媒体が、UV反応性樹脂を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記表面を処理することが、酸素の存在下で、UV放射に前記表面を暴露することを含み、かつ前記UV放射が、180nm~210nmの範囲の第1の波長および210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、請求項17または18のいずれかの方法。
【請求項20】
前記表面を処理することが、オゾンおよびH2O2の少なくとも1種に前記表面を暴露することをさらに含む、請求項17~19のいずれか一項の方法。
【請求項21】
表面を含むフィルター媒体の処理方法であって、前記方法が、
前記表面を処理して、処理表面を形成すること
を含み、前記表面を処理することが、前記表面上に親水基含有ポリマーを含む層を形成することを含み、
前記処理表面が、前記表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【請求項22】
前記親水基含有ポリマーが、親水性ペンダント基を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記基材が、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記材料の前記表面が、処理の前に、前記表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記材料の前記表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
炭化水素を含む流体中に浸漬された材料の表面上の液滴の、40度~90度の範囲のロールオフ角を決定することを含む、炭化水素流体-水分離のために適切な材料の識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
継続出願データ
本出願は、それぞれ本明細書中に参照によって組み込まれる、2016年8月16日出願の米国仮特許出願第62/375,768号明細書および2016年8月16日出願の米国仮特許出願第62/375,772号明細書の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
内部燃焼エンジンでの使用のためのディーゼル燃料を含む炭化水素流体のろ過は、適切なエンジン性能のためにしばしば必須である。好ましいエンジン性能を提供するために、ならびにエンジン部品を損傷から保護するために、水分および粒子除去が必要となる可能性がある。炭化水素流体中に別の相として存在する遊離水(すなわち、非溶解状態の水)が、除去されない場合、空洞化、腐食、あるいは微生物成長の促進によるエンジン部品への損傷を含む問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、例えば、炭化水素流体-水分離フィルターを含むフィルター媒体での使用のための基材;基材の識別方法;基材の製造方法;基材の使用方法;および基材のロールオフ角の改善方法を記載する。炭化水素流体は、例えば、ディーゼル燃料を含む燃料を含むことができる。基材は、表面がトルエン中に浸漬された時の、基材の疎水性表面(すなわち、少なくとも90度の接触角を有する表面)上の水滴のロールオフ角(すなわち、接着)に基づいて識別されるか、または変性させることが可能である。本明細書に記載される場合、表面がトルエン中に浸漬された時の、基材の疎水性表面上の水滴のロールオフ角は、炭化水素流体から水を除去するための基材の能力と関連する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、基材を含むフィルター媒体を記載する。いくつかの実施形態において、基材は、表面がトルエン中に浸漬された時、20マイクロリットル(μL)の水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む。いくつかの実施形態において、表面は、例えば、UV-酸素処理表面を含む、UV処理された表面である。いくつかの実施形態において、基材は、その上に配置された親水基含有ポリマーを有する表面を含む。
【0005】
さらなる態様において、本開示は、基材を含むフィルター媒体を含むフィルター素子を記載する。いくつかの実施形態において、基材は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む。いくつかの実施形態において、基材は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む。
【0006】
別の態様において、本開示は、表面を含む材料の処理方法を記載する。この方法は、処理された表面を形成するために表面を処理することを含む。いくつかの実施形態において、処理された表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する。いくつかの実施形態において、処理された表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する。いくつかの実施形態において、この方法は、基材の表面をUV線に曝露することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することを含む。
【0007】
なお別の態様において、本開示は、炭化水素流体-水分離に適切である材料の識別方法を記載する。この方法は、材料の表面上の液滴のロールオフ角を決定することを含み、ここでは、材料は、炭化水素を含む流体に浸漬され、かつロールオフ角は、40度~90度の範囲にある。いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体はトルエンを含む。
【0008】
さらなる態様において、本開示は、基材のロールオフ角を改善するためのUV線の使用、基材のロールオフ角を改善するためのUV線への芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種の暴露により入手可能な基材の使用、ならびに基材のロールオフ角を改善するための親水基含有ポリマーまたは親水性ポリマーの使用を記載する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「化学的に別」という用語は、2種の化合物が異なった化学組成を有することを意味する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「親水性」という用語は、分子または他の分子の実体の水に溶解する能力を意味し、かつ「親水性物質」という用語は、親水性であり、かつ/または水に引き付けられ、かつ水と混和性となる傾向があるか、または水中に可溶性である分子または他の分子の実体を意味する。いくつかの実施形態において、「親水性」は、飽和に達する範囲まで、少なくとも90%の分子または他の分子の実体、好ましくは、少なくとも95%の分子または他の分子の実体、より好ましくは、少なくとも97%の分子または他の分子の実体、そして最も好ましくは、少なくとも99%の分子または他の分子の実体が25摂氏度(℃)において水中に溶解することを意味する。いくつかの実施形態において、「親水性物質」は、飽和に達する範囲まで、少なくとも90%の分子または他の分子の実体、好ましくは、少なくとも95%の分子または他の分子の実体、より好ましくは、少なくとも97%の分子または他の分子の実体、そして最も好ましくは、少なくとも99%の分子または他の分子の実体が25摂氏度(℃)において水と混和性であるか、または水中に溶解することを意味する。
【0011】
「親水性表面」は、表面上で水滴が90度未満の接触角を有する表面を示す。いくつかの実施形態において、表面は、好ましくは、トルエンに中に浸漬される。
【0012】
「疎水性表面」は、表面上で水滴が少なくとも90度の接触角を有する表面を示す。いくつかの実施形態において、表面は、好ましくは、トルエンに中に浸漬される。
【0013】
「安定である」か、または「安定性」を有する基材または表面は、少なくとも50℃の温度で、少なくとも1時間、少なくとも12時間、または少なくとも24時間、かつ最大10日間、最大30日間、または最大90日間、炭化水素流体中に浸漬された後に、初期ロールオフ角の少なくとも80パーセント(%)、好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、またはなお好ましくは、少なくとも95%のロールオフ角を維持する能力を有する基材または表面を意味する。いくつかの実施形態において、表面または基材の「初期ロールオフ角」は、1時間未満、またはより好ましくは、20分間未満、炭化水素流体中に浸漬された表面基材のロールオフ角である。
【0014】
「極性官能基」は、陰性原子(例えば、窒素、酸素、塩素、フッ素など)の存在の結果として、正味の双極子を有する官能基を意味する。
【0015】
「好ましい」および「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利益を付与し得る本発明の実施形態を意味する。しかしながら、他の実施形態も、同一または他の状況下で好ましくなり得る。さらに、1つまたはそれ以上の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用ではないことを意味せず、かつ本発明の範囲から他の実施形態を除外するように意図されない。
【0016】
「含む」という用語およびその変形は、これらの用語が本記載および請求の範囲を出現する場合、制限的意味を有さない。
【0017】
「からなる」という用語は、「からなる」の句の後に続くものを全て含み、かつそれに制限されることを意味する。すなわち、「からなる」は、リストされた要素が必要であるか、または義務的であり、かつ他の要素は存在し得ないことを示す。
【0018】
「から本質的になる」という用語は、句の後にリストされたいずれの要素も含まれ、かつリストされたもの以外の他の要素は、それらの要素が、リストされた要素に関して本開示に明示された活性または作用を妨害しないか、または寄与しないという条件で、含まれ得ることを示す。
【0019】
他に指定されない限り、「a」、「an」、「the」および「少なくとも1つ」は互換的に使用され、かつ1または2以上を意味する。
【0020】
また本明細書中、終点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0021】
別々のステップを含む本明細書に開示されるいずれの方法に関して、ステップは、いずれかの実行可能な順番で実行され得る。そして、適切に、2以上のステップのいずれの組合せも同時に実行可能であり得る。
【0022】
本発明の上記の要約は、本発明のそれぞれの開示された実施形態または全ての実施を記載するように意図されない。以下の記載は、例示的な実施形態をより特に説明する。本出願を通していくつかの位置において、実施例のリストによってガイダンスが提供され、これらの実施例は種々の組合せで使用可能である。それぞれの例において、列挙されたリストは、単なる代表群として機能し、かつ排他的リストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図1B】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図1C】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図1D】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図2】0度(0°)回転(左)および90°回転(右)におけるトルエン中に浸漬されたUV酸素処理基材1上の50μLの水滴の代表的イメージである。
【
図3】液滴サイジング試験のために使用される2ループシステムの概略図を示す。
【
図4】水分除去効率によって測定された、未処理基材1(対照)およびUV酸素処理基材1の性能を示す。
【
図5】浸漬なし、または30日間ポンプ燃料に浸漬させた後の未処理基材1およびUV酸素処理基材1の接触角およびロールオフ角を示す。接触角およびロールオフ角は、トルエン中50μLの水滴を使用して測定され、かつ報告値は、媒体の異なる領域で測定された独立した測定値の平均である。
【
図6】50μLの水滴を使用して測定された、トルエン中に浸漬されたUV/H
2O
2処理基材1の処理側面および未処理側面の接触角(CA)およびロールオフ角(RO)を示す。
【
図7】0°回転(左)および60°回転(右)におけるトルエン中に浸漬されたPHPM処理基材1上の20μLの水滴の代表的イメージを示す。
【
図8】未処理(対照)およびPEI-10Kコーティング基材1の水分除去効率によって測定された性能を示す。
【
図9】未コーティング基材1および2%(w/v)PHEM、4%(w/v)PHEM、6%(w/v)PHEMまたは8%(w/v)PHEMによってコーティングされた基材1の通気性を示す。
【
図10】未コーティング基材1(対照)、PHPMコーティング基材1、1%(w/v)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用して架橋(CL)されたPHPMコーティング基材1、および1%(w/v)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用して架橋(CL)され、かつ浸漬なし、または明示された期間、ポンプ燃料中に浸漬後、焼鈍しされたPHPMコーティング基材1上の50μLの水滴の接触角およびロールオフ角を示す。
【
図11】未コーティング基材1(対照)、PEI-10Kコーティング基材1、1%(w/v)(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを使用して架橋(CL)されたPEI-10Kコーティング基材1、および1%(w/v)(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを使用して架橋(CL)され、かつ浸漬なし、または明示された期間、ポンプ燃料中に浸漬後、焼鈍しされたPEI-10Kコーティング基材1上の50μLの水滴の接触角およびロールオフ角を示す。
【
図12】架橋剤DAMO-Tを用いた、または用いない、代表的PHEMナノ繊維コーティング基材6上の50μLの水滴の接触角およびロールオフ角を示す。
【
図13】架橋剤を用いない、あるいは(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(架橋剤1)またはポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(架橋剤2)を用いて架橋された代表的PEIナノ繊維コーティング基材6上の50μLの水滴の接触角およびロールオフ角を示す。
【
図14】電界紡糸によるコーティングの形成の1日後、6日後および32日後の代表的PHEMナノ繊維コーティングDAMO-T架橋基材6上の50μLの水滴の接触角およびロールオフ角を示す。
【
図15】電界紡糸によるコーティングの形成の1日後、6日後および32日後の代表的PEI-10Kナノ繊維コーティング架橋基材6上の50μLの水滴の接触角およびロールオフ角を示す。PEIは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(架橋剤1)またはポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)(架橋剤2)のいずれかを使用して架橋された。
【
図16A】倍率1000倍で示される、未コーティング基材6の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)イメージを示す。
【
図16B】倍率1000倍で示される、架橋剤なしでPHEMによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)イメージを示す。
【
図16C】倍率1000倍で示される、架橋剤DAMO-Tを用いて、PHEMによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)イメージを示す。
【
図17A】倍率50倍で示される、架橋剤なしでPEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図17B】倍率50倍で示される、架橋剤(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを用いて、PEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図17C】倍率50倍で示される、架橋剤ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を用いて、PEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18A】倍率200倍で示される、未コーティング基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18B】倍率200倍で示される、架橋剤なしでPEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18C】倍率200倍で示される、PEI-10Kおよび架橋剤1((3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)による電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18D】倍率200倍で示される、PEI-10Kおよび架橋剤2(ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA))による電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
炭化水素流体-水分離フィルターは、粒子を除去するための少なくとも1層および/または炭化水素流体流からの水を合体するための少なくとも1層を含むフィルター媒体を含むことが可能であり;層または複数の層が基材であることが可能であるか、または基材によって支持されることが可能である。いくつかの実施形態において、粒子除去層および水合体層は、同一層であることが可能であり、かつ層は基材であることが可能であるか、もしくは基材によって支持されることが可能である。本開示は、炭化水素流体-水分離フィルターでの使用のための基材を含むフィルター媒体、基材の識別方法、基材の製造方法、基材の使用方法および基材のロールオフ角の改善方法を記載する。フィルター媒体、または例えば炭化水素流体-水分離フィルター素子を含むフィルター素子中に基材を含むことによって、より効率的なフィルター製造、および/または例えば改善された水分分離効率を含むフィルター媒体もしくはフィルター素子の改善された性能特徴を提供することが可能となる。
【0025】
炭化水素流体としては、例えば、ディーゼル燃料、ガソリン、油圧流体、コンプレッサー油などを含むことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素流体は、好ましくは、ディーゼル燃料を含む。
【0026】
炭化水素流体-水分離に適切な材料を識別する方法
一態様において、本開示は、例えば、特定の特性を有するフィルター媒体を含む材料を識別する方法を記載する。材料は、好ましくは、炭化水素流体-水分離に適切である。
【0027】
いくつかの実施形態において、この方法は、材料が、炭化水素を含む流体に浸漬されている間の材料の表面上の液滴のロールオフ角および任意に接触角を決定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、下記のロールオフ角および/または接触角を含む炭化水素流体-水分離に適切な基材の特性を有する材料を識別することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、液滴は親水性物質を含む。いくつかの実施形態において、液滴は、好ましくは、水を含む。いくつかの実施形態において、液滴は、水から本質的になる。いくつかの実施形態において、液滴は水からなる。いくつかの実施形態において、液滴は、少なくとも5μL、少なくとも10μL、少なくとも15μL、少なくとも20μL、少なくとも25μL、少なくとも30μL、少なくとも35μL、少なくとも40μL、少なくとも45μLまたは少なくとも50μLである。いくつかの実施形態において、液滴は、最高10μL、最高15μL、最高20μL、最高25μL、最高30μL、最高35μL、最高40μL、最高45μL、最高50μL、最高60μL、最高70μLまたは最高100μLである。いくつかの実施形態において、液滴は、好ましくは、20μLの液滴または50μLの液滴である。
【0029】
いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体はトルエンを含む。いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体は、トルエンから本質的になる。いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体はトルエンからなる。理論によって拘束されることを望まないが、水とのその表面張力のため、トルエンは、例えば、ディーゼル燃料を含む他の炭化水素流体の代理として作用すると考えられる。
【0030】
炭化水素流体-水分離における使用のために適切な材料を識別するための従来法と対照的に、本明細書に記載される方法は、平面(例えば、非多孔性である表面)の特性に依存しない。むしろ、本明細書に記載される方法は、多孔性材料(例えば、多孔性基材を含む)または多孔性表面を有する材料の特性を試験するための方法を提供する。さらに、本明細書に記載される方法は、空気中での材料の特性に依存しない。むしろ、材料は、例えば、トルエンを含む炭化水素を含む流体中での材料の特性によって識別される。
【0031】
例えば、国際公開第2015/175877号パンフレットには、流体分離効率を強化するよう設計されたフィルター媒体は、分離される流体を湿潤するように変性された表面を有する1つまたはそれ以上の層および分離される流体をはじくように変性された表面を有する1つまたはそれ以上の層を含み得ることが記載されている。そして国際公開第2015/175877号パンフレットには、「親水性表面」は、90度未満の水接触角を有する表面を意味し得、かつ「疎水性表面」は、90度より高い水接触角を有する表面を意味し得ることが記載されている。しかしながら、国際公開第2015/175877号パンフレットには、接触角は空気中ではなく流体中で算出されるべきであることは記載されていない。そして実際に、空気中の表面の疎水性は、炭化水素流体中の表面の疎水性を予測しない。
【0032】
さらに、国際公開第2015/175877号パンフレットには、表面のロールオフ角が重要であることは記載されておらず、またロールオフ角を変更する材料を選択する方法も記載されていない。むしろ、国際公開第2015/175877号パンフレットには、特定の流体に対する層の湿潤性を変性するために粗度またはコーティングを使用し得ること、そして「湿潤」および「湿潤する」という用語は、表面に対する流体の接触角が90度未満であるように、流体が表面と相互作用する能力を意味することが記載されている。
【0033】
しかしながら、表面単独の湿潤性または接触角は、空気中で測定しても、または炭化水素流体中で測定しても、炭化水素流体中の表面の炭化水素-水分離能力を予測しない。それとは対照的に、そして以下にさらに記載されるように、炭化水素流体中の表面上の水滴の接着またはロールオフ角は、任意に炭化水素流体中の表面上の水滴の接触角と組み合わせて、炭化水素流体から水を除去する基材の能力を予測するために使用することができる。
【0034】
基材表面の特性
一態様において、本開示は、炭化水素流体-水分離のために適切な基材を含むフィルター媒体を記載する。基材は表面を含む。いくつかの実施形態において、基材または基材の表面は、好ましくは、安定である。
【0035】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、少なくとも30度、少なくとも35度、少なくとも40度、少なくとも45度、少なくとも50度、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度、少なくとも75度または少なくとも80度のロールオフ角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、少なくとも30度、少なくとも35度、少なくとも40度、少なくとも45度、少なくとも50度、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度または少なくとも80度のロールオフ角を有する。
【0036】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、最高60度、最高65度、最高70度、最高75度、最高80度、最高85度または最高90度のロールオフ角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、最高60度、最高65度、最高70度、最高75度、最高80度、最高85度または最高90度のロールオフ角を有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、表面は、好ましくは、疎水性であり、すなわち、表面は少なくとも90度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、少なくとも90度、少なくとも100度、少なくとも110度、少なくとも120度、少なくとも130度または少なくとも140度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、少なくとも90度、少なくとも100度、少なくとも110度、少なくとも120度、少なくとも130度または少なくとも140度の接触角を有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、最高150度、最高160度、最高170度または最高180度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、最高150度、最高160度、最高170度または最高180度の接触角を有する。
【0040】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~150度の範囲または90度~180度の範囲の接触角を有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~150度の範囲または90度~180度の範囲の接触角を有する。
【0042】
さらに以下に記載されるように、炭化水素流体中の基材の疎水性表面(すなわち、少なくとも90度の接触角を有する表面)上の水滴のロールオフ角(すなわち、接着)は、炭化水素流体中の基材の表面上で合体または成長可能である水滴のサイズと関連する。合体または成長可能である水滴のサイズは、炭化水素流体から水を除去する基材の能力と関連する。したがって、炭化水素流体から水を除去する基材の能力は、炭化水素流体中の基材の表面上の液滴のロールオフ角および接触角を決定することによって正確に予測することが可能である。
【0043】
本明細書に記載される方法によって製造され、かつ/または識別された基材は、高い接触角および高いロールオフ角を有する。高い接触角は、水滴上の低い見掛けの抵抗力を示し、他方、高いロールオフ角は、基材表面に維持される液滴の能力を示す。理論によって拘束されることを望まないが、特徴のこの組合せによって、合体を通してより大きい液滴が形成可能であり、それによって、液滴がより容易に炭化水素流体流から分離され、かつ炭化水素流体流からの水分離の全効率が改善されると考えられる。
【0044】
高い接触角および高いロールオフ角のバランスは、例えば、それらのロールオフ角を増加させるように基材表面を変性することを含む本明細書に開示される方法論を使用して達成可能である。典型的に、これらの方法は、接触角にほとんど悪影響を与えない。いくつかの実施形態において、高い接触角を有するフィルター基材は、したがって、接触角およびロールオフ角の主張された組合せを有する基材を提供するために変性されることが可能である。
【0045】
基材物質および特性
基材は、フィルター媒体での使用に適切ないずれの基材であってもよい。いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、例えば、燃料フィルターを含む炭化水素流体フィルター素子での使用に適切な基材である。いくつかの実施形態において、基材は、例えば、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラスまたはその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物またはコポリマー)を含むことができる。基材は、例えば、不織ウェブ、織物ウェブ、多孔性シート、焼結プラスチック、高密度スクリーン、高密度メッシュまたはその組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、基材は、合成繊維、天然由来繊維またはその組合せ(例えば、そのブレンドまたは混合物)を含むことができる。基材は、典型的に多孔性であり、かつ細孔径、フレーザー(Frazier)通気性および/または別の適切な計量などの特定の定義可能な性能特徴のものである。
【0046】
いくつかの実施形態において、基材は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー繊維を含むことが可能である。繊維のポリマーは、単一ポリマー材料系、二成分繊維またはその組合せに存在し得る。二成分繊維は、例えば、熱可塑性ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、二成分繊維は、同心性または非同心性構造を含むコア-シース構造を有することが可能である。いくつかの実施形態において、加熱時に、コアが構造完全性を保持しながらも、シースが層中で他の繊維に結合するように、二成分繊維のシースは、コアの溶融温度よりも低い溶融温度を有することが可能である。二成分繊維の代表的な実施形態は、サイド-バイ-サイド(side-by-side)繊維またはアイランド-イン-ザ-シー(island-in-the-sea)繊維を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、基材は、例えば、(マーセル化サザンパイン(mercerized southern pine)などの)軟材繊維、(ユーカリ(Eucalyptus)繊維などの)硬材繊維、再生セルロース繊維、機械パルプ繊維またはその組合せ(例えば、その混合物またはブレンド)を含むセルロース繊維を含むことが可能である。
【0048】
いくつかの実施形態において、基材は、例えば、極小ガラス、チョップトガラス繊維またはその組合せ(例えば、その混合物またはブレンド)を含むガラス繊維を含むことが可能である。
【0049】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロンまたは少なくとも25ミクロンの平均直径を有する繊維を含む。いくつかの実施形態において、基材は、最高50ミクロン、最高60ミクロン、最高70ミクロン、最高75ミクロン、最高80ミクロンまたは最高100ミクロンの平均直径を有する繊維を含む。当業者は、繊維の直径が、繊維材料次第で、ならびに繊維を製造するために使用された方法次第で変動し得ることを認識するであろう。これらの繊維の長さも、数ミリメートルの長さから、連続繊維構造になるまで変動することが可能である。繊維の横断面形状は、使用される材料または製造法によって同じく変動することが可能である。
【0050】
基材は、いくつかの実施形態において、1種またはそれ以上の結合材料を含み得る。いくつかの実施形態において、結合材料は、基材に追加的な剛性および/または硬度を提供する変性樹脂を含む。例えば、いくつかの実施形態において、基材は、変性樹脂で飽和されてもよい。変性樹脂は、本明細書に記載されるUV反応性樹脂または非UV反応性樹脂を含み得る。変性樹脂は、いくつかの実施形態において、フェノール樹脂および/またはアクリル樹脂を含み得る。非UV反応性樹脂は、いくつかの実施形態において、芳香族成分および/または不飽和成分を含まないアクリル樹脂を含み得る。
【0051】
例えば、基材がUV処理を受けることによって調製される、いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、芳香族成分および/または不飽和成分を含む。芳香族成分および/または不飽和成分は、基材に含まれる材料中に存在し得るか、または、例えば、樹脂を含む別の材料を使用して基材に添加されてもよい。芳香族成分および/または不飽和成分を含む樹脂は、本明細書中、UV反応性樹脂と記載される。UV反応性樹脂は、例えば、フェノール樹脂を含み得る。いくつかの実施形態において、不飽和成分は、好ましくは、二重結合を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、基材は、最高10ミクロン(μm)、最高20μm、最高30μm、最高40μm、最高45μm、最高50μm、最高60μm、最高70μm、最高80μm、最高90μm、最高100μm、最高200μm、最高300μm、最高400μm、最高500μm、最高600μm、最高700μm、最高800μm、最高900μm、最高1ミリメートル(mm)、最高1.5mm、最高2mm、最高2.5mmまたは最高3mmの平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも2μm、少なくとも5μm、少なくとも10がm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μmまたは少なくとも1mmの平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、基材は、5μm~100μmの範囲の平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、基材は、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、細孔径は、毛管流孔度計を使用して測定されてよい。いくつかの実施形態において、米国特許出願公開第2011/0198280号明細書に記載の通り、細孔径は、好ましくは、液体押出孔度計によって測定される。
【0053】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも15%多孔性、少なくとも20%多孔性、少なくとも25%多孔性、少なくとも30%多孔性、少なくとも35%多孔性、少なくとも40%多孔性、少なくとも45%多孔性、少なくとも50%多孔性、少なくとも55%多孔性、少なくとも55%多孔性、少なくとも60%多孔性、少なくとも65%多孔性、少なくとも70%多孔性、少なくとも75%多孔性または少なくとも80%多孔性である。いくつかの実施形態において、基材は、最高75%多孔性、最高80%多孔性、最高85%多孔性、最高90%多孔性、最高95%多孔性、最高96%多孔性、最高97%多孔性、最高98%多孔性または最高99%多孔性である。例えば、基材は、少なくとも15%多孔性および最高99%多孔性、少なくとも50%多孔性および最高99%多孔性または少なくとも80%多孔性および最高95%多孔性であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、フィルター媒体の使用の間に「上流」から「下流」まで通過する流れのために設計され得る。いくつかの実施形態において、例えば、フィルター媒体が、上流層の下流に位置する基材を含む場合を含めて、基材は、上流層の細孔の平均径より大きい平均径を有する細孔を含み得る。さらに、または代わりに、基材は、上流層の下流側面において形成する液滴の平均径よりも大きい平均径を有する細孔を含み得る。例えば、フィルター媒体が、平均径を有する細孔を含む合体層である上流層を含む場合、基材は、合体層の細孔の平均径より大きい平均径を有する細孔を含み得る。
【0055】
典型的に、(例えば、基材を含む)材料の表面は、いずれの表面変性または処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度未満、40度未満または30度未満のロールオフ角を有する。典型的に、(例えば、基材を含む)材料の表面は、いずれの表面変性または処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、30度未満、20度未満、15度未満または12度未満のロールオフ角を有する。
【0056】
例えば、いずれの表面変性または処理の前の表面のロールオフ角は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、0度~50度の範囲であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性または処理の前の表面のロールオフ角は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、好ましくは、0度~40度の範囲であり得る。
【0058】
例えば、いずれの表面変性または処理の前の表面のロールオフ角は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、0度~20度の範囲であり得る。
【0059】
適切なロールオフ角を有する表面を有する(例えば、基材を含む)材料を提供することは、当業者の権限の範囲内である。
【0060】
典型的に、いずれの表面変性または処理の前の(例えば、基材を含む)材料の表面は、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、少なくとも90度、少なくとも100度または少なくとも110度の接触角を有する。典型的に、いずれの表面変性または処理の前の(例えば、基材を含む)材料の表面は、表面は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、少なくとも90度、少なくとも100度または少なくとも110度の接触角を有する。
【0061】
例えば、いずれの表面変性または処理の前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性または処理の前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、100度~150度の範囲であり得る。
【0063】
例えば、いずれの表面変性または処理の前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性または処理の前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、100度~150度の範囲であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性または処理の前の表面は、0度の接触角を有し得、すなわち、液滴は完全に表面上に広がるであろう。いくつかの実施形態において、いずれの表面変性または処理の前の表面は、0度の接触角を有し、いずれの表面変性または処理の前のロールオフ角は不確定であろう。
【0066】
適切な接触角を有する表面を有する(例えば、基材を含む)材料を提供することは、当業者の権限の範囲内である。典型的に、一般に疎水性である材料を含むことは、通常、より高い接触角をもたらすであろう。
【0067】
表面の接触角に影響を与える他の要素は、細孔径および多孔度を含み得る。例えば、特定の径の細孔は、疎水性である炭化水素流体がフィルター中に閉じ込められることを促進し得る。さらに、水の高い表面張力は、それが、特定の径未満の細孔を効果的に貫入することを防ぐ。
【0068】
基材を含むフィルター媒体
いくつかの実施形態において、基材を含むフィルター媒体は、好ましくは、炭化水素-水分離のために、またはより好ましくは、燃料-水分離のために、そして最も好ましくは、ディーゼル燃料-水分離のために使用される。
【0069】
フィルター媒体は、1層、2層または複数の層を含み得る。いくつかの実施形態において、フィルター媒体の層の1層またはそれ以上の層が基材によって支持され得るか、または基材を含み得るか、または基材であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、そして例えば
図1A~Dに示されるように、フィルター媒体は、炭化水素液体流から粒子を除去するための層20および/または炭化水素液体流からの水を合体するための層(合体層としても記載される)30を含み得る。いくつかの実施形態において、化水素液体流から粒子を除去するための層および/または合体層は、
図1Aおよび
図1Bの説明的な実施形態に示されるように、基材10によって支持されていてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、フィルター媒体が、フィルター媒体の使用の間に「上流」から「下流」に通過する流れを受け入れるように設計される場合を含めて、炭化水素液体流から粒子を除去するための層および/または合体層が基材の上流に位置することが可能である。いくつかの実施形態において、炭化水素液体流から粒子を除去する層および基材は、
図1Cの一実施形態に示されるように、同一層40である。いくつかの実施形態において、合体層および基材は、
図1Dの一実施形態に示されるように、同一層50である。基材および炭化水素液体流から粒子を除去する層が同一層である場合、または基材および炭化水素液体流からの水を合体するための層が同一層である場合、フィルター媒体製造は、フィルター媒体が、減少した数の全体層を含み得るため、より効率的であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、基材の表面は、好ましくは、基材の下流側面を形成する。いくつかの実施形態において、基材の表面は、下流側面、またはフィルター媒体の層、またはフィルター媒体の下流側面を形成することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、例えば、基材の表面は、下流側面、またはフィルター媒体の層、またはフィルター媒体の下流側面を形成する場合を含めて、基材は、好ましくは、水滴形成および/または水滴ロールオフが可能になるように十分な空間によって別の層から分離され得る。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも500μmまたは少なくとも1mmによって別の層から分離され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最高40μm、最高50μm、最高100μm、最高200μm、最高500μm、最高1mm、最高2mm、最高3mm、最高4mmまたは最高5mmによって別の層から分離され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、
図1Aの一実施形態に示されるように、微粒汚染物質を除去するように構成された層20は、合体層30の上流に位置し、そして合体層は、基材10の上流に位置する。いくつかの実施形態において、合体層は、基材の下流に位置する。いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、少なくとも2つの合体層を含み得、合体層の1つは、基材の下流に位置する。
【0074】
いくつかの実施形態において、基材は、例えば、参照によって、媒体構造のその記載に関して本明細書に組み込まれる、08/10/2017出願の「Fluid Filtration Apparatuses,Systems,and Methods」と題された同時係属の米国特許出願第62/543,456号明細書に記載される構造を含むフローバイ(flow-by)構造に含まれ得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、フィルター素子に含まれることが可能である。フィルター媒体は、いずれかの適切な構造を有することができる。いくつかの実施形態において、フィルター素子は、スクリーンを含むことができる。いくつかの実施形態において、スクリーンは、基材の下流に位置することが可能である。
【0076】
フィルター媒体は、いずれかの適切な構造を有し得る。例えば、フィルター媒体は、管状構造を有することができる。いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、プリーツを含むことができる。
【0077】
製造方法
本開示は、さらに材料の製造方法を記載する。いくつかの実施形態において、材料は、基材を含むフィルター媒体を含むことが可能である。材料、フィルター媒体、基材および/またはその表面は、所望のロールオフ角および/または所望の接触角を達成するためのいずれかの適切な方法によって処理されてよい。いくつかの実施形態において、材料、フィルター媒体、基材および/またはその表面を処理することは、材料、フィルター媒体、基材および/またはその表面の一部のみを処理することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、所望のロールオフ角および所望の接触角を達成するための処理は、基材の構造を変化させない。例えば、いくつかの実施形態において、処理は、基材の細孔の平均径および基材の通気性の少なくとも1つを変化させない。いくつかの実施形態において、処理は、500倍拡大において観察する場合、媒体の外観を変えない。
【0079】
硬化
いくつかの実施形態において、基材は、樹脂(例えば、変性樹脂)を含む。樹脂は、周知であり、かつ典型的に、フィルター基材の内部結合を改善するために使用される。
【0080】
例えば、UV反応性樹脂または非UV反応性樹脂を含む、いずれの適切な樹脂も使用されてよい。樹脂は、例えば、部分的硬化樹脂(例えば、部分的硬化フェノール樹脂)を含んでよく、かつ樹脂の硬化は、基材の剛性を増加させるため、および/または使用の間の基材の崩壊を防ぐために実行されてよい。硬化は、所望のロールオフ角および所望の接触角を達成するための処理を実行する前に、あるいは所望のロールオフ角および所望の接触角を達成するための処理を実行した後に実行されてよい。例えば、基材が、樹脂とは別の層に存在する親水基含有ポリマーを含む場合、樹脂の硬化は、親水基含有ポリマーを含む層の形成前に、または親水基含有ポリマーを含む層の形成後に実行されてよい。いくつかの実施形態において、樹脂は、好ましくは、基材中に含浸される。
【0081】
樹脂は、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性ポリマーまたはその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物またはコポリマー)を含むことができる。本明細書で使用される場合、硬化とは、樹脂の固化を意味し、そして樹脂成分の架橋および/または重合を含むことができる。いくつかの実施形態において、樹脂はポリマーを含み、そして硬化の間、ポリマーの分子量はポリマーの架橋のため増加する。
【0082】
硬化は、例えば、基材の加熱を含む、いずれかの適切な手段によって実行されてよい。いくつかの実施形態において、硬化は、好ましくは、(例えば、フェノール樹脂を含む)樹脂を硬化するために十分な温度で、および時間で基材を加熱することによって実行される。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも50℃、少なくとも75℃、少なくとも100℃または少なくとも125℃の温度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最高125℃、最高150℃、最高175℃または最高200℃の温度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、50℃~200℃の範囲を有する温度まで加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも10分または少なくとも15分間加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最高8分、最高10分、最高12分、最高15分、最高20分または最高25分間加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材を10分間、150℃で加熱することが好ましくなり得る。
【0083】
ロールオフ角を改善するための基材の処理方法
いくつかの実施形態において、本開示は、表面のロールオフ角を改善するための基材の処理方法に関する。理論によって拘束されることを望まないが、開示された種々の方法は、水滴に対する表面の全体的な疎水性を維持しながら、表面の微細構造をより親水性にさせるように基材の表面特徴を変性することによってロールオフ角を改善すると考えられる。
【0084】
種々の異なる方法には、以下に開示されたものが含まれる。
【0085】
UV
いくつかの実施形態において、基材は、UV処理表面、すなわち、UV放射によって処理された表面を含む。そのような実施形態において、基材は、好ましくは、芳香族および/または不飽和成分を含む。
【0086】
例えば、基材は、芳香族および/または不飽和成分を有する繊維性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、基材は、UV反応性樹脂、すなわち、芳香族および/または不飽和成分を有する樹脂を含み得る。そのようなUV反応性樹脂は、芳香族および/または不飽和成分を有する繊維性材料に加えて存在し得るか、あるいは芳香族および/または不飽和成分を有さない繊維性材料と組み合わせて使用され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、例えば、フェノール樹脂を含む芳香族樹脂(すなわち、芳香族基を含有する樹脂)を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも0.25センチ(cm)、少なくとも0.5cm、少なくとも0.75cm、少なくとも1cm、少なくとも1.25cm、少なくとも2cmまたは少なくとも5cmの供給源からの距離において基材に適用される。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高0.5cm、最高1cm、最高2cm、最高3cm、最高5cmまたは最高10cmの供給源からの距離において基材に適用される。
【0089】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも250マイクロワットパー平方センチメートル(μW/cm2)、少なくとも300μW/cm2、少なくとも500μW/cm2、少なくとも1ミリワットパー平方センチメートル(mW/cm2)、少なくとも5mW/cm2、少なくとも10mW/cm2、少なくとも15mW/cm2、少なくとも20mW/cm2、少なくとも21mW/cm2または少なくとも25mW/cm2のUV放射に曝露される。いくつかの実施形態において、基材は、最高20mW/cm2、最高21mW/cm2、最高22mW/cm2、最高25mW/cm2、最高30mW/cm2、最高40mW/cm2、最高50mW/cm2、最高60mW/cm2、最高70mW/cm2、最高80mW/cm2、最高90mW/cm2、最高100mW/cm2、最高150mW/cm2または最高200mW/cm2のUV放射に曝露される。
【0090】
いくつかの実施形態において、例えば、基材は、300μW/cm2~100mW/cm2の範囲のUV放射に曝露される。
【0091】
いくつかの実施形態において、例えば、基材は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲のUV放射に曝露される。
【0092】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも1秒、少なくとも2秒、少なくとも3秒、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも9分、少なくとも10分、少なくとも11分、少なくとも13分、少なくとも15分、少なくとも17分または少なくとも20分間UV放射に曝露(すなわち、処理)される。いくつかの実施形態において、基材は、最高5秒、最高10秒、最高30秒、最高1分、最高2分、最高4分、最高5分、最高6分、最高8分、最高10分、最高12分、最高14分、最高15分、最高16分、最高18分、最高20分、最高22分、最高24分、最高25分、最高26分、最高28分または最高30分間UV放射に曝露される。
【0093】
いくつかの実施形態において、UV放射は、2秒~20分の範囲の時間で適用される。
【0094】
いくつかの実施形態において、異なる波長のUV放射が連続的に適用されてもよい。いくつかの実施形態において、異なる波長のUV放射を同時に適用することが望ましいかもしれない。
【0095】
理論によって拘束されることを望まないが、UV放射は、芳香族および/または不飽和成分を反応させ、そして化学的に変性させると考えられる。この反応は、接触角特性を十分に維持しながら、表面のロールオフ角を増加させる。
【0096】
以下に開示されるものなどの追加の試薬が、基材中および/または上に存在する芳香族および/または不飽和成分の化学反応を促進し得ることが見出された。これらの追加の試薬は、UVによる基材の処理の間に、個々に、連続的に、そして/または同時に使用されてよい。
【0097】
UV+酸素
いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、UV酸素処理表面、すなわち、酸素の存在下でUV放射によって処理された表面を含む。酸素の存在下での処理は、例えば、酸素を含む大気空気中の処理、酸素含有環境中の処理、酸素豊富環境中の処理、または基材の中もしくは上に酸素を含む基材の処理を含むことができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、オゾンおよび酸素ラジカルを発生させるために十分な条件下、およびUV放射の波長によって処理される。いくつかの実施形態において、UV放射供給源は、好ましくは、低圧水銀ランプである。UV放射は、距離、強度および時間を含むUV放射による処理に関する上記パラメーターのいずれかの組合せを使用して適用され得、かつ複数の波長が、連続または同時適用を使用して適用されてよい。
【0099】
いくつかの実施形態において、UV放射は、O2から2つの酸素ラジカル(O・)を形成することが可能な波長を含む。酸素ラジカルは、O2と反応して、オゾン(O3)を形成することができる。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも165ナノメートル(nm)、少なくとも170nm、少なくとも175nm、少なくとも180nmまたは少なくとも185nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高190nm、最高195nm、最高200nm、最高205nm、最高210nm、最高215nm、最高220nm、最高230nmまたは最高240nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、180nm~210nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、185nmの波長を含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、UV放射は、オゾン(O3)を分離して、O2および酸素ラジカル(O・)を形成することができる波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも200nm、少なくとも205nm、少なくとも210nm、少なくとも215nm、少なくとも220nm、少なくとも225nm、少なくとも230nm、少なくとも235nm、少なくとも240nm、少なくとも245nmまたは少なくとも250nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高260nm、最高265nm、最高270nm、最高275nm、最高280nm、最高285nm、最高290nm、最高295nm、最高300nm、最高310nmまたは最高320nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、210nm~280nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0101】
UV+オゾン
いくつかの実施形態において、基材は、UVオゾン処理表面、すなわち、すなわち、オゾン(O3)の存在下でUV放射によって処理された表面を含む。UV放射は、距離、強度および時間を含むUV放射による処理に関する上記パラメーターのいずれかの組合せを使用して適用され得、かつ複数の波長が、連続または同時適用を使用して適用されてよい。
【0102】
オゾンの存在下での処理は、例えば、オゾン含有環境での処理、または環境内でのオゾン発生間の処理(例えば、コロナ放電による)を含むことができる。いくつかの実施形態において、オゾン含有環境はO2を含む。他の実施形態においてオゾン含有環境は、10体積パーセント(体積%)未満のO2、5体積%未満のO2、2体積%未満のO2または1体積%未満のO2を含む。いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体またはその混合物を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、少なくとも0.005体積%のO3、少なくとも0.01体積%のO3、少なくとも0.05体積%のO3、少なくとも0.1体積%のO3、少なくとも0.5体積%のO3、少なくとも1体積%のO3、少なくとも2体積%のO3、少なくとも5体積%のO3、少なくとも10体積%のO3または少なくとも15体積%のO3を含む。いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、基材の表面においてより高いオゾン濃度を含む。このような濃度は、例えば、基材表面においてオゾンを導入することによって、(例えば、媒体の後方側面からオゾンが拡散することを可能にすることによって)達成することが可能である。いくつかの実施形態において、基材の表面において、またはその付近におけるオゾン濃度は、好ましくは、UV放射の存在下におけるオゾンの存在から酸素ラジカルを発生させるために十分である。
【0104】
いくつかの実施形態において、UV放射は、オゾン(O3)を分離して、O2および酸素ラジカル(O・)を形成することができる波長を含む。いくつかの実施形態において、例えば、オゾン含有環境が10体積%未満のO2、5体積%未満のO2、2体積%未満のO2または1体積%以下O2を含む場合を含めて、UV放射は、少なくとも165nm、少なくとも170nm、少なくとも175nm、少なくとも180nmまたは少なくとも185nm、および最高260nm、最高265nm、最高270nm、最高275nm、最高280nm、最高285nmまたは最高290nmの波長を含むことができる。いくつかの実施形態において、UV放射は、180nm~280nmの範囲の波長を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、オゾン含有環境が180nm~210nmの範囲のUV放射を吸収するであろうO2を含む場合、UV放射は、好ましくは、少なくとも210nm、少なくとも215nm、少なくとも220nm、少なくとも225nm、少なくとも230nm、少なくとも235nm、少なくとも240nm、少なくとも245nmまたは少なくとも250nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高260nm、最高265nm、最高270nm、最高275nm、最高280nm、最高285nm、最高290nm、最高295nm、最高300nm、最高310nmまたは最高320nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、210nm~280nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0106】
UV+H2O2
いくつかの実施形態において、基材は、UV-H2O2処理表面、すなわち、UV放射およびH2O2によって処理された表面を含む。いくつかの実施形態において、基材の表面および/または基材全体は、H2O2を含む溶液と接触して(例えば、それによってコーティングされ、かつ/またはその中に含浸されて)配置されてよい。いくつかの実施形態において、溶液は、少なくとも20重量パーセント(重量%)のH2O2、少なくとも25重量%のH2O2、少なくとも30重量%のH2O2、少なくとも40重量%のH2O2、少なくとも50重量%のH2O2、少なくとも60重量%のH2O2、少なくとも70重量%のH2O2、少なくとも80重量%のH2O2または少なくとも90重量%のH2O2を含むことができる。いくつかの実施形態において、溶液は、最高30重量%のH2O2、最高40重量%のH2O2、最高50重量%のH2O2、最高60重量%のH2O2、最高70重量%のH2O2、最高80重量%のH2O2、最高90重量%のH2O2または最高100重量%のH2O2を有することができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも45秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも4分、少なくとも6分または少なくとも8分間、H2O2を含む溶液と接触して配置されてよい。いくつかの実施形態において、基材は、最高30秒、最高45秒、最高1分、最高2分、最高4分、最高6分、最高8分、最高10分または最高30分間、H2O2を含む溶液と接触していてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、基材は、H2O2を含む溶液と接触している間にUV放射によって処理されてもよい。いくつかの実施形態において、基材は、H2O2を含む溶液と接触した後、UV放射によって処理されてもよい。UV放射は、距離、強度および時間を含むUV放射による処理に関する上記パラメーターのいずれかの組合せを使用して適用され得、かつ複数の波長が、連続または同時適用を使用して適用されてよい。
【0109】
基材は、ヒドロキシルラジカル(・OH)を発生させるために十分なUV放射によって処理されてもよい。基材は、表面をH2O2と接触させながら、表面がH2O2と接触した後、またはH2O2との接触の間および接触の後の両方にUV放射によって処理されてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態において、UV放射は、O2から2つの酸素ラジカル(O・)を形成することが可能な波長を含む。酸素ラジカルは、O2と反応して、オゾン(O3)を形成することができる。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも165nm、少なくとも170nm、少なくとも175nm、少なくとも180nmまたは少なくとも185nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高190nm、最高195nm、最高200nm、最高205nm、最高210nm、最高215nm、最高220nm、最高230nmまたは最高240nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、180nm~210nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、185nmの波長を含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、UV放射は、オゾン(O3)を分離して、O2および酸素ラジカル(O・)を形成することができる波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも200nm、少なくとも205nm、少なくとも210nm、少なくとも215nm、少なくとも220nm、少なくとも225nm、少なくとも230nm、少なくとも235nm、少なくとも240nm、少なくとも245nmまたは少なくとも250nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高260nm、最高265nm、最高270nm、最高275nm、最高280nm、最高285nm、最高290nm、最高295nm、最高300nm、最高310nmまたは最高320nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、210nm~280nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも330nm、少なくとも340nm、少なくとも350nm、少なくとも355nm、少なくとも360nmまたは少なくとも370nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最高350nm、最高360nm、最高370nm、最高375nm、最高380nm、最高385nm、最高390nm、最高395nm、最高400nm、最高410nmまたは最高420nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、360nmの波長を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、H2O2を含む溶液と接触して配置された後、およびUVによって処理される前に、基材を乾燥させてもよい。いくつかの実施形態において、H2O2を含む溶液と接触して配置された後、およびUVによって処理された後に、基材を乾燥させてもよい。いくつかの実施形態において、基材をオーブン乾燥させてもよい。
【0114】
UV処理は(UV単独か、あるいは酸素、オゾンおよび/または過酸化水素と組み合わせたUVのいずれも)、基材が、芳香族および/または不飽和成分を含む場合、例えば、基材が、例えば、フェノール樹脂を含む、例えば、芳香族樹脂(例えば、芳香族基を含有する樹脂)を含むUV反応性樹脂を含む場合を含めて、より効果的である。
【0115】
親水基含有ポリマーを含む基材
選択肢として、またはUV処理に加えて、基材の表面特性は、性基材中および/または上の親水基含有ポリマーの包含によって変更され得る。いくつかの実施形態において、UV処理および親水基含有ポリマーの包含の両方が使用される場合、基材中に親水基含有ポリマーを含むこと、またはUV処理の前に親水基含有ポリマーを含むように基材を変性させることは好ましくなり得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、基材は、親水基含有ポリマーを含む。親水基含有ポリマーの親水基は、親水性のペンダント基またはポリマー主鎖中で繰り返される親水基あるいは両方を含むことができる。本明細書で使用される場合、「ペンダント基」は、ポリマー主鎖に共有結合しているが、ポリマー主鎖の一部を形成しない。いくつかの実施形態において、親水基は、ヒドロキシ、アミド、アルコール、アクリル酸、ピロリドン、メチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ドーパミンおよびエチレンイミンの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、親水性ペンダント基は、ヒドロキシ、アミド、アルコール、アクリル酸、ピロリドン、メチルエーテルおよびドーパミンの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー主鎖中で繰り返される親水基は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ドーパミンおよびエチレンイミンの少なくとも1つを含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む基材は、その上に配置された親水基含有ポリマーを有する表面を含み得る。いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、親水基含有ポリマーを含む層を含む。いくつかの実施形態において、その上に配置された親水基含有ポリマーを有する表面、またはいくつかの実施形態において、親水基含有ポリマー含有層は、好ましくは、本明細書に記載される(ロールオフ角および接触角を含む)所望の特性を有する基材の表面を形成する。
【0118】
層は、いずれかの適切な方法を使用して形成され得る。例えば、層は、例えば、予備重合させたポリマーを含むポリマーを適用することによって形成することが可能である。加えて、または代わりに、層は、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物またはコポリマー)を適用し、次いで、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはその組合せを重合させて、ポリマー、コポリマーまたはその組合せを形成することによって形成することが可能である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、酸化または還元重合を使用して、溶液から析出させてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態において、層は、例えば、プラズマ析出コーティング、ロール-ツー-ロールコーティング、ディップコーティングおよび/またはスプレーコーティングを含む、いずれかの適切なコーティング法を使用して形成されてもよい。スプレーコーティングとしては、例えば、空気圧スプレー、静電スプレーなどが含まれ得る。いくつかの実施形態において、表面はラミネートされてもよい。いくつかの実施形態において、層は、基材上にポリマーを紡糸することによって形成されてもよい。基材上へのポリマーの紡糸としては、例えば、基材上へのポリマーの電界紡糸、あるいは湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸、ジェット紡糸、マグネトスピニングなどによって基材上にポリマーを析出させることが含まれ得る。基材上へのポリマーの紡糸によって、いくつかの実施形態において、ポリマーナノ繊維が形成され得る。加えて、または代わりに、基材上へのポリマーの紡糸は、基材ですでに存在する繊維をコーティングし得る。いくつかの実施形態において、ポリマーが、基材上にポリマー溶液を乾式紡糸することによって析出させられる場合を含めて、空気、電界、遠心力、磁界などを含む1つまたはそれ以上の推進力が、個々に、または組合せで使用されてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、極性官能基を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、親水性ポリマーである。
【0122】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、水中に溶解することが不可能である(例えば、それは親水性ポリマーではない)が、むしろ、水中に溶解することが可能であるペンダント基(例えば、親水性ペンダント基)または水中に溶解することが可能であるポリマー主鎖内で繰り返される基(例えば、ポリマー主鎖内で繰り返される親水基)の少なくとも1つを含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、フッ素基を含まない。
【0124】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、フルオロポリマーを含まない。本明細書で使用される場合、フルオロポリマーは、少なくとも5%のフッ素、少なくとも10%のフッ素、少なくとも15%のフッ素または少なくとも20%のフッ素を含むポリマーを意味する。
【0125】
いくつかの実施形態において、親水性器含有ポリマーとしては、例えば、ポリ(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(3-ヒドロキシプロピルメタクリレート)またはその混合物を含むポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM);ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O);ポリエチレンイミン(PEI);四級化ポリエチレンイミン;またはポリ(ドーパミン);あるいはその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物またはコポリマー)を含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、層形成の間、黄梅中に分散および/または溶解されることが可能である。いくつかの実施形態において、溶媒は、好ましくは、親水基含有ポリマーを溶解するが、基材または基材のいずれかの成分を溶解しない。いくつかの実施形態において、溶媒は、好ましくは、無毒性である。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、好ましくは、炭化水素流体中に不溶解性である。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、好ましくは、トルエン中に不溶解性である。
【0127】
いくつかの実施形態において、溶媒は、高い誘電率を有する溶媒である。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、(同じくイソプロプルアルコール(IPA)とも呼ばれる)イソプロパノール、ブタノール(その異性体構造のそれぞれを含む)、ブタノン(その異性体構造のそれぞれを含む)、アセトン、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、水などを含むことができる。
【0128】
溶媒中の親水基含有ポリマーの濃度は、ポリマーの分子量に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、少なくとも0.25パーセント(%)重量/体積(w/v)、少なくとも0.5%(w/v)、少なくとも0.75%(w/v)、少なくとも1.0%(w/v)、少なくとも1.25%(w/v)、少なくとも1.5%(w/v)、少なくとも1.75%(w/v)、少なくとも2.0%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも10%(w/v)、少なくとも20%(w/v)、少なくとも30%(w/v)、少なくとも40%(w/v)または少なくとも50%(w/v)の濃度で溶媒中に存在し得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、最高0.5%(w/v)、最高0.75%(w/v)、最高1.0%(w/v)、最高1.25%(w/v)、最高1.5%(w/v)、最高1.75%(w/v)、最高2.0%(w/v)、最高3%(w/v)、最高4%(w/v)、最高5%(w/v)、最高10%(w/v)、最高15%(w/v)、最高20%(w/v)、最高30%(w/v)、最高40%(w/v)、最高50%(w/v)または最高60%(w/v)の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、例えば、ディップコーティングによる親水基含有ポリマーの析出を含めて、ポリマーは、0.5%(w/v)~4%(w/v)の範囲の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、例えば、ディップコーティングによる親水基含有ポリマーの析出を含めて、ポリマーは、0.5%(w/v)~1%(w/v)の範囲の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0131】
いくつかの実施形態において、例えば、電界紡糸による親水基含有ポリマーの析出を含めて、ポリマーは、5%(w/v)~30%(w/v)の範囲の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、層はディップコーティングを使用して形成され得る。ディップコーティングは、例えば、Chemat DipMaster 50 ディップコーターを使用することによって達成可能である。いくつかの実施形態において、層は、1、2、3回またはそれ以上、基材をディップコーティングすることによって形成され得る。いくつかの実施形態において、基材はディップコーティングされ、180度回転され、そして再びディップコーティングされてよい。いくつかの実施形態において、基材は、親水基含有ポリマーを含む分散体中に含浸され、毎分50ミリメートル(mm/分)の速度で引き上げられてよい。いくつかの実施形態において、分散体は、好ましくは、溶液である。
【0133】
いくつかの実施形態において、層は電界紡糸を使用して形成されてもよい。例えば、米国特許第20160047062A1号明細書に記載されるように、電界紡糸が達成されてもよい。
【0134】
いくつかの実施形態において、例えば、親水基含有ポリマーがポリ(ドーパミン)を含む場合を含めて、親水基含有ポリマーは、酸化または還元重合を使用して溶液から析出されてもよい。例えば、ポリ(ドーパミン)を含む層は、ドーパミンの酸化重合から調製され得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む層は、少なくとも0.5オングストローム(Å)、少なくとも1Å、少なくとも5Å、少なくとも8Å、少なくとも10Å、少なくとも12Å、少なくとも14Å、少なくとも16Å、少なくとも18Å、少なくとも20Å、少なくとも25Å、少なくとも30Åまたは少なくとも50Åの厚さを有する。
【0136】
いくつかの実施形態において、溶媒は、例えば、ディップコーティング手順の後を含めて、層形成の後に除去されてよい。溶媒は、例えば、オーブンを使用しての乾燥を含むエバポレーションによって、除去されてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態において、帯電コーティングが(例えば、四級化、電気化学的酸化または還元によって)形成されてもよく、かつ/またはコーティングは、帯電ポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む層は、層の形成後に変化されてもよい。例えば、親水基含有ポリマーは、四級化されてもよい。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、ポリマー層を酸によって処理することによって四級化することができる。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、酸を含む溶液中に親水基含有ポリマー層を含む基材を浸漬することによって四級化することができる。いくつかの実施形態において、酸はHClであることが可能である。
【0138】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーおよび/またはコーティングは無水マレイン酸によって処理されてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、基材は、その中に配置された親水基含有ポリマーを含み得る。基材が変性樹脂を含む場合、ポリマーは、変性樹脂とは化学的に別である。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、変性樹脂と同時に適用されてもよい。例えば、親水基含有ポリマーは、変性樹脂が基材に適用される前に、-変性樹脂と混合されてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは架橋されていてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、親水基含有ポリマーが基材上に層を形成する場合、ポリマーは、コーティングまたは電界紡糸のために使用されるポリマー分散体中に架橋剤を含むことによって架橋され得る。いくつかの実施形態において、例えば、ポリマーが基材中に分散される場合を含めて、親水基含有ポリマーは、親水基含有ポリマーを導入するために使用される分散体中に架橋剤を含むことによって架橋され得る。いくつかの実施形態において、分散体は、好ましくは、溶液である。
【0141】
親水基含有ポリマーと一緒に使用するために適切ないずれかの架橋剤が選択されてよい。例えば、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)は、PHEMのための架橋剤として使用され得る。例えば、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランまたはポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)は、ポリエチレンイミン(PEI)のための架橋剤として使用され得る。一級または二級アミン基を含む親水基含有ポリマーは、例えば、カルボン酸(アジピン酸)、アルデヒド(例えば、グルテルアルデヒド)、ケトン、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂などを含む化合物によって架橋可能である。別の例において、一級または二級アルコール気を含有する親水基含有ポリマーは、例えば、カルボン酸(アジピン酸)、イソシアネート(トルエンジイソシアナート)、有機シラン(テトラメトキシシラン)、チタン(IV)錯体(テトラブチルチタネート)、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂などを含む化合物によって架橋可能である。
【0142】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーの架橋は、親水基含有ポリマーおよび架橋剤を熱に暴露することによって促進され得る。熱は、例えば、オーブン中で基材を加熱すること、赤外線ランプに基材を曝露すること、基材を蒸気に曝露すること、または加熱されたローラーで基材を処理することを含む、いずれかの適切な方法によって適用され得る。親水基含有ポリマー、架橋剤および基材との使用のために適切な時間および温度のいずれの組合せも使用され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーおよび架橋剤は、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃または少なくとも190℃の温度に曝露され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーおよび架橋剤は、最高140℃、最高150℃、最高160℃、最高170℃、最高180℃、最高190℃、最高200℃、最高210℃、最高220℃、最高230℃、最高240℃、最高260℃、最高280℃または最高300℃の温度に曝露され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーおよび架橋剤は、少なくとも15秒、少なくとも30秒、少なくとも60秒、少なくとも120秒、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分または少なくとも1時間、熱処理に曝露され得る。いくつかの実施形態において、媒体は、最高2分、最高3分、最高5分、最高10分、最高15分、最高20分、最高1時間、最高2時間、最高24時間または最高2日間、熱に曝露され得る。例えば、いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、親水基含有ポリマーおよび架橋剤を少なくとも100℃および最高150℃の温度で、15秒間~15分間加熱することによって架橋され得る。別の例において、いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、親水基含有ポリマーおよび架橋剤を少なくとも80℃および最高200℃の温度で、15秒間~15分間加熱することによって架橋され得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、焼鈍しされてもよい。本明細書で使用される場合、「焼鈍し」には、親水基含有ポリマーを、親水基含有ポリマー中の官能基を再配向する目的および/または親水基含有ポリマーの結晶化度を増加させる目的の環境に暴露することが含まれる。親水基含有ポリマーの架橋が、親水基含有ポリマーおよび架橋剤を熱に暴露することによって促進される場合、親水基含有ポリマーは、架橋の前、架橋の間または架橋の後に焼鈍しされ得る。いくつかの実施形態において、親水基含有の架橋が、親水基含有ポリマーおよび架橋剤を熱に暴露することによって促進される場合、親水基含有ポリマーは、好ましくは、架橋の間または架橋の後に焼鈍しされ得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、好ましくは、架橋の後に焼鈍しされ得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、焼鈍しは、極性溶媒の存在下で、親水性含有ポリマーを含む基材を加熱することを含む。例えば、焼鈍しは、極性溶媒の存在下で、親水基含有ポリマーを含有し、かつ/または親水基含有ポリマーによってコーティングされた基材を含浸させることを含み得る。加えて、または代わりに、焼鈍しは、親水基含有ポリマーを含有し、かつ/または親水基含有ポリマーによってコーティングされた基材を、蒸気の形態の極性溶媒に暴露することを含み得る。いくつかの実施形態において、例えば、親水基含有ポリマー層が、ポリマー溶液中に基材をディップコーティングすることによって適用される場合を含めて、ポリマー溶液は極性溶媒を含み得、かつ加熱およびその後の基材からの極性溶媒のエバポレーションによってポリマー層は焼鈍しされ得る。
【0145】
焼鈍しに適切な極性溶媒としては、例えば、水またはアルコールが含まれ得る。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノールなどが含まれ得る。他の適切な極性溶媒としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)などが含まれ得る。
【0146】
いくつかの実施形態において、焼鈍しは、親水基含有ポリマーの少なくともガラス転移温度(Tg)の温度に基材を暴露することを含む。いくつかの実施形態において、焼鈍しは、親水基含有ポリマーの少なくともTgの温度を有する溶媒に基材を暴露することを含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、例えば、焼鈍しが、極性溶媒中での親水基含有ポリマーコーティング基材を含浸させることを含む場合を含めて、極性溶媒は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃または少なくとも150℃である。いくつかの実施形態において、極性溶媒は、最高90℃、最高95℃、最高100℃、最高105℃、最高110℃、最高115℃、最高120℃、最高130℃、最高140℃、最高150℃または最高200℃である。いくつかの実施形態において、媒体は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも60秒、少なくとも90秒、少なくとも120秒、少なくとも150秒または少なくとも180秒間、極性溶媒中に含浸される。いくつかの実施形態において、媒体は、最高60秒、最高120秒、最高150秒、最高180秒、最高3分または最高5分間、極性溶媒中に含浸される。いくつかの実施形態において、極性溶媒は、好ましくは、水であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、焼鈍しは、90℃の水中で少なくとも10秒間および最高5分間、親水基含有ポリマーコーティング媒体を含浸させることを含む。
【0148】
理論によって拘束されることを望まないが、その上に配置された親水基含有ポリマーを有するか、またはその中に配置された親水基含有ポリマーを含む基材の表面は、基材表面上の中断のため、上記される(ロールオフ角および接触角を含む)所望の特性を有し得ると考えられる。したがって、いくつかの実施形態において、基材は、繊維の混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、基材は、非ポリマーおよびポリマー繊維の両方ならびに/または2種の異なる種類のポリマー繊維を含み得る。例えば、基材は、ナイロンで不連続に包囲されたポリエステル繊維および/またはポリエステルで不連続に包囲されたナイロン繊維を含むことが可能である。加えて、または代わりに、基材は、全表面を形成する場合に親水性表面を形成するだろう繊維を含み得、かつ全表面を形成する場合に疎水性表面を形成するだろう繊維を含み得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーコーティングを含む基材またはその上に配置された親水基含有ポリマーを含む基材を含む、親水基含有ポリマーを含む基材は、好ましくは、安定している。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む基材の安定性は、無水マレイン酸によって処理すること、親水基含有ポリマーを焼鈍しすることおよび/または親水基含有ポリマーを架橋することによって増加し得る。理論によって拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む基材の安定性は、例えば、架橋を含めて、親水基含有ポリマーの溶解性を減少させることによって増加すると考えられる。再び、理論によって拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、基材の安定性は、例えば、焼鈍しを含めて、基材の表面上のポリマーの親水性ペンダント基(例えば、ヒドロキシル基)の接近性を増加させることによって増加すると考えられる。
【0150】
処理された基材および使用
いくつかの実施形態において、本開示は、基材の表面をUV放射に曝露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体に関する。基材は、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、基材の表面は、好ましくは、処理の前に、本明細書にさらに記載されるように、少なくとも90度の接触角を有する。
【0152】
いくつかの実施形態において、UV放射に基材の表面を暴露することは、本明細書にさらに記載されるように、酸素の存在下でUV放射に表面を暴露することを含む。いくつかの実施形態において、UV放射に基材の表面を暴露することは、本明細書にさらに記載されるように、H2O2およびオゾンの少なくとも1種の存在下でUV放射に表面を暴露することを含む。いくつかの実施形態において、基材は、UV反応性樹脂、すなわち、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む樹脂を含む。いくつかの実施形態において、UV反応性樹脂は、フェノール樹脂を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、本開示は、基材の表面上で親水基含有ポリマーを配置することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体に関する。
【0154】
いくつかの実施形態において、基材の表面は、好ましくは、処理の前に、本明細書にさらに記載されるように、少なくとも90度の接触角を有する。
【0155】
いくつかの実施形態において、本開示は、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む基材の表面のロールオフ角を改善するためのUV放射の使用に関する。
【0156】
いくつかの実施形態において、使用は、芳香族樹脂を含む基材によって特徴づけられる。
【0157】
いくつかの実施形態において、使用は、フェノール樹脂を含む基材によって特徴づけられる。
【0158】
いくつかの実施形態において、使用は、酸素、オゾンおよびH2O2の少なくとも1種の存在下でのUV放射の使用によって特徴づけられる。
【0159】
いくつかの実施形態において、本開示は、基材のロールオフ角を改善するためのUV放射への芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種の暴露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0160】
いくつかの実施形態において、使用は、基材のロールオフ角を改善するためのUV放射へのUV反応性樹脂の暴露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0161】
いくつかの実施形態において、使用は、基材のロールオフ角を改善するためのUV放射への芳香族樹脂の暴露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0162】
いくつかの実施形態において、使用は、基材のロールオフ角を改善するためのUV放射へのフェノール樹脂の暴露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0163】
いくつかの実施形態において、使用は、酸素、オゾンおよびH2O2の少なくとも1種の存在下でのUV放射への曝露によって特徴づけられる。
【0164】
本開示は、基材のロールオフ角を改善するための親水基含有ポリマーの使用に関する。
【0165】
本開示は、基材のロールオフ角を改善するための親水性ポリマーの使用にさらに関する。
【0166】
これらの使用のいくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、本明細書にさらに記載されるように、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有するフィルター基材を含むフィルター基材である。
【0167】
これらの使用のいくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、本明細書にさらに記載されるように、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有するフィルター基材を含むフィルター基材である。
【0168】
代表的なフィルター媒体の実施形態
実施形態1.基材を含むフィルター媒体であって、基材が、
表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む、フィルター媒体。
【0169】
実施形態2.表面が、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0170】
実施形態3.基材を含むフィルター媒体であって、基材が、
表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む、フィルター媒体。
【0171】
実施形態4.表面が、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態3のフィルター媒体。
【0172】
実施形態5.表面が、UV処理表面を含む、実施形態1~4のいずれか1つのフィルター媒体。
【0173】
実施形態6.表面が、UV-酸素処理表面を含む、実施形態1~5のいずれか1つのフィルター媒体。
【0174】
実施形態7.表面が、UV-オゾン処理表面を含む、実施形態1~6のいずれか1つのフィルター媒体。
【0175】
実施形態8.表面が、UV-H2O2処理表面を含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルター媒体。
【0176】
実施形態9.基材が、親水基含有ポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つのフィルター媒体。
【0177】
実施形態10.表面が、その上に配置された親水基含有ポリマーを含む、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター媒体。
【0178】
実施形態11.親水基含有ポリマーが、親水性ペンダント基を含む、実施形態9または10のいずれかのフィルター媒体。
【0179】
実施形態12.親水基含有ポリマーが、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)またはその組合せを含む、実施形態9~11のいずれか1つのフィルター媒体。
【0180】
実施形態13.親水基含有ポリマーが、親水性ポリマーを含む、実施形態9~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0181】
実施形態14.親水基含有ポリマーが、帯電ポリマーを含む、実施形態9~13のいずれか1つのフィルター媒体。
【0182】
実施形態15.親水基含有ポリマーが、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む、実施形態9~14のいずれか1つのフィルター媒体。
【0183】
実施形態16.親水基含有ポリマーが、フルオロポリマーを含まない、実施形態9~15のいずれか1つのフィルター媒体。
【0184】
実施形態17.基材を含むフィルター媒体であって、
基材が、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含み、かつ
表面が、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)またはその組合せを含む、フィルター媒体。
【0185】
実施形態18.表面が、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態17のフィルター媒体。
【0186】
実施形態19.基材を含むフィルター媒体であって、
基材が、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含み、かつ
表面が、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)またはその組合せを含む、フィルター媒体。
【0187】
実施形態20.表面が、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態19のフィルター媒体。
【0188】
実施形態21.基材が、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラスまたはその組合せを含む、実施形態1~20のいずれか1つのフィルター媒体。
【0189】
実施形態22.基材が、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルター媒体。
【0190】
実施形態23.基材が、変性樹脂を含む、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0191】
実施形態24.基材が、UV反応性樹脂を含む、実施形態1~23のいずれか1つのフィルター媒体。
【0192】
実施形態25.基材が、フェノール樹脂を含む、実施形態1~24のいずれか1つのフィルター媒体。
【0193】
実施形態26.基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~25のいずれか1つのフィルター媒体。
【0194】
実施形態27.基材が、最高40μmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~26のいずれか1つのフィルター媒体。
【0195】
実施形態28.基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、実施形態1~27のいずれか1つのフィルター媒体。
【0196】
実施形態29.フィルター媒体が、基材の上流に位置する合体層をさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つのフィルター媒体。
【0197】
実施形態30.合体層が、平均径を有する細孔を含み、かつ基材が、平均径を有する細孔を含み、かつ基材の細孔の平均径が、合体層の細孔の平均径より大きい、実施形態29のフィルター媒体。
【0198】
実施形態31.基材が、平均径を有する細孔を含み、かつ平均径を有する液滴が、合体層の上流側面で形成し、かつさらに基材の細孔の平均径が、液滴の平均径より大きい、実施形態29または30のいずれかのフィルター媒体。
【0199】
実施形態32.基材が安定である、実施形態1~31のいずれか1つのフィルター媒体。
【0200】
代表的な処理方法の実施形態
実施形態1.表面を含む材料の処理方法であって、
表面を処理して、処理表面を形成すること
を含み、
処理表面が、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【0201】
実施形態2.処理表面が、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1の方法。
【0202】
実施形態3.表面を含む材料の処理方法であって、
表面を処理して、処理表面を形成すること
を含み、
処理表面が、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【0203】
実施形態4.処理表面が、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態3の方法。
【0204】
実施形態5.表面の処理が、紫外線(UV)放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0205】
実施形態6.表面の処理が、酸素の存在下で、紫外線(UV)放射に表面を暴露することを含み、かつUV放射が、180nm~210nmの範囲の第1の波長および210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態5の方法。
【0206】
実施形態7.UV放射が、185nmの波長を含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0207】
実施形態8.UV放射が、254nmの波長を含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0208】
実施形態9.表面の処理が、H2O2に表面を暴露することを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0209】
実施形態10.表面の処理が、350nm~370nmの範囲の波長を含む紫外線(UV)放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
【0210】
実施形態11.表面の処理が、オゾンの存在下で、紫外線(UV)放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0211】
実施形態12.表面の処理が、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲でUV放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
【0212】
実施形態13.表面の処理が、2秒~20分間の範囲の時間でUV放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0213】
実施形態14.表面の処理が、表面上に親水基含有ポリマーを含む層を形成することを含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0214】
実施形態15.親水基含有ポリマーが、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)またはその組合せを含む、実施形態14の方法。
【0215】
実施形態16.親水基含有ポリマーが、親水性ポリマーを含む、実施形態14または15のいずれかの方法。
【0216】
実施形態17.親水基含有ポリマーが、親水性ペンダント基を含む、実施形態14~16のいずれか1つの方法。
【0217】
実施形態18.親水基含有ポリマーが、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む、実施形態14~17のいずれか1つの方法。
【0218】
実施形態19.親水基含有ポリマーが、フルオロポリマーを含まない、実施形態14~18のいずれか1つの方法。
【0219】
実施形態20.層が、帯電層を含む、実施形態14~19のいずれか1つの方法。
【0220】
実施形態21.親水基含有ポリマーを含む層の形成が、親水基含有ポリマーを含む溶液中での材料のディップコーティングを含む、実施形態14~20のいずれか1つの方法。
【0221】
実施形態22.親水基含有ポリマーを含む溶液が、架橋剤をさらに含む、実施形態21の方法。
【0222】
実施形態23.架橋剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1種を含む、実施形態22の方法。
【0223】
実施形態24.表面上での親水基含有ポリマーを含む層の形成が、表面上への親水基含有ポリマーを含む溶液の電界紡糸を含む、実施形態14~20のいずれか1つの方法。
【0224】
実施形態25.表面上での親水基含有ポリマーを含むナノ繊維の形成をさらに含む、実施形態24の方法。
【0225】
実施形態26.親水基含有ポリマーを含む溶液が、架橋剤をさらに含む、実施形態24または25のいずれかの方法。
【0226】
実施形態27.架橋剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1種を含む、実施形態26の方法。
【0227】
実施形態28.親水基含有ポリマーを架橋することをさらに含む、実施形態14~27のいずれか1つの方法。
【0228】
実施形態29.親水基含有ポリマーの架橋が、親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を、80℃~200℃の範囲の温度で、30秒~15分間加熱することを含む、実施形態28の方法。
【0229】
実施形態30.親水基含有ポリマーを焼鈍しすることをさらに含む、実施形態14~29のいずれか1つの方法。
【0230】
実施形態31.親水基含有ポリマーの焼鈍しが、少なくとも10秒間、溶媒中に親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を含浸させることを含み、溶媒の温度が、少なくとも親水基含有ポリマーのガラス転移温度である、実施形態30の方法。
【0231】
実施形態32.材料が、フィルター媒体を含む、実施形態1~31のいずれか1つの方法。
【0232】
実施形態33.フィルター媒体が、基材を含む、実施形態32の方法。
【0233】
実施形態34.材料が、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラスまたはその組合せを含む、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
【0234】
実施形態35.材料が、芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む、実施形態1~34のいずれか1つの方法。
【0235】
実施形態36.材料が、変性樹脂を含む、実施形態1~35のいずれか1つの方法。
【0236】
実施形態37.材料が、UV反応性樹脂を含む、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
【0237】
実施形態38.材料が、フェノール樹脂を含む、実施形態1~37のいずれか1つの方法。
【0238】
実施形態39.材料が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~38のいずれか1つの方法。
【0239】
実施形態40.材料が、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
【0240】
実施形態41.材料が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、実施形態1~40のいずれか1つの方法。
【0241】
実施形態42.処理表面が安定である、実施形態1~41のいずれか1つの方法。
【0242】
実施形態43.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1~42のいずれか1つの方法。
【0243】
実施形態44.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1~43のいずれか1つの方法。
【0244】
実施形態45.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、0度~50度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~44のいずれか1つの方法。
【0245】
実施形態46.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1~42のいずれか1つの方法。
【0246】
実施形態47.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1~42または46のいずれか1つの方法。
【0247】
実施形態48.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~42、46または47のいずれか1つの方法。
【0248】
代表的なフィルター素子の実施形態
実施形態1.表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、50度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む基材を含むフィルター媒体
を含むフィルター素子。
【0249】
実施形態2.表面が、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1のフィルター素子。
【0250】
実施形態3.表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、40度~90度の範囲のロールオフ角および90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む基材を含むフィルター媒体
を含むフィルター素子。
【0251】
実施形態4.表面が、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲または80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態3のフィルター素子。
【0252】
実施形態5.表面が、フィルター媒体の下流側面を画定する、実施形態1~4のいずれか1つのフィルター素子。
【0253】
実施形態6.フィルター媒体が、微粒汚染物質を除去するために構成された層を含む、実施形態1~5のいずれか1つのフィルター素子。
【0254】
実施形態7.微粒汚染物質を除去するために構成された層が、基材の上流である、実施形態6のフィルター素子。
【0255】
実施形態8.フィルター媒体が、合体層を含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルター素子。
【0256】
実施形態9.合体層が、基材の上流である、実施形態8のフィルター素子。
【0257】
実施形態10.フィルター媒体が、微粒汚染物質を除去するために構成された層および合体層を含み、かつ微粒汚染物質を除去するために構成された層が、合体層の上流であり、かつ合体層が、基材の上流である、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター素子。
【0258】
実施形態11.フィルター素子が、スクリーンをさらに含む、実施形態1~10のいずれか1つのフィルター素子。
【0259】
実施形態12.スクリーンが、基材の下流である、実施形態11のフィルター素子。
【0260】
実施形態13.フィルター素子が、基材の下流に第2の合体層をさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター素子。
【0261】
実施形態14.フィルター媒体が、管状構造を有する、実施形態1~13のいずれか1つのフィルター素子。
【0262】
実施形態15.フィルター媒体が、プリーツを含む、実施形態1~14のいずれか1つのフィルター素子。
【0263】
実施形態16.フィルター素子が、炭化水素流体から水を除去するために構成される、実施形態1~15のいずれか1つのフィルター素子。
【0264】
実施形態17.炭化水素流体が、ディーゼル燃料を含む、実施形態16のフィルター素子。
【0265】
実施形態18.表面が安定である、実施形態1~17のいずれか1つのフィルター素子。
【0266】
代表的な炭化水素流体-水分離のために適切な材料の識別方法
実施形態1.炭化水素を含む流体中に浸漬された材料の表面上の液滴の、40度~90度の範囲のロールオフ角を決定することを含む、炭化水素流体-水分離のために適切な材料の識別方法。
【0267】
実施形態2.液滴が、親水性物質を含む、実施形態1の方法。
【0268】
実施形態3.液滴が、水を含む、実施形態1または2の方法。
【0269】
実施形態4.炭化水素を含む流体が、トルエンを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0270】
実施形態5.液滴が、20μLの液滴である、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0271】
実施形態6.液滴が、50μLの液滴である、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0272】
実施形態7.材料の表面上の液滴の接触角を決定することをさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0273】
実施形態8.接触角が、90度~180度の範囲である、実施形態7の方法。
【0274】
実施形態9.材料が、その上に配置された親水基含有ポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0275】
実施形態10.親水基含有ポリマーが、親水性ポリマーを含む、実施形態10の方法。
【0276】
実施形態11.材料の表面が安定である、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0277】
実施形態12.材料が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
【0278】
実施形態13.材料が、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0279】
実施形態14.材料が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0280】
代表的なUV放射処理基材の実施形態
実施形態1.芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む基材の表面を、紫外線(UV)放射に暴露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0281】
実施形態2.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0282】
実施形態3.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1または2のいずれかの方法。
【0283】
実施形態4.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0284】
実施形態5.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1~4のいずれか1つのフィルター媒体。
【0285】
実施形態6.芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む基材であって、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する表面を有する基材を提供すること、ならびに基材の表面を紫外線(UV)放射に暴露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0286】
実施形態7.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態6のフィルター媒体。
【0287】
実施形態8.芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む基材であって、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する表面を有する基材を提供すること、ならびに基材の表面を紫外線(UV)放射に暴露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0288】
実施形態9.材料の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態8のフィルター媒体。
【0289】
実施形態10.基材の表面をUV放射に暴露することが、酸素の存在下で、UV放射に表面を暴露することを含み、かつUV放射が、180nm~210nmの範囲の第1の波長および210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター媒体。
【0290】
実施形態11.UV放射が、185nmの波長を含む、実施形態1~10のいずれか1つのフィルター媒体。
【0291】
実施形態12.UV放射が、254nmの波長を含む、実施形態1~11のいずれか1つのフィルター媒体。
【0292】
実施形態13.表面の曝露が、H2O2に表面を暴露することを含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0293】
実施形態14.表面の曝露が、350nm~370nmの範囲の波長を含むUV放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~13のいずれか1つのフィルター媒体。
【0294】
実施形態15.表面の曝露が、オゾンの存在下で、UV放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~14のいずれか1つのフィルター媒体。
【0295】
実施形態16.表面の曝露が、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲でUV放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~15のいずれか1つのフィルター媒体。
【0296】
実施形態17.表面の曝露が、2秒~20分間の範囲の時間でUV放射に表面を暴露することを含む、実施形態1~16のいずれか1つのフィルター媒体。
【0297】
実施形態18.基材が、芳香族成分および不飽和成分を含む、実施形態1~17のいずれか1つのフィルター媒体。
【0298】
実施形態19.基材が、UV反応性樹脂を含む、実施形態18のフィルター媒体。
【0299】
実施形態20.UV反応性樹脂が、フェノール樹脂を含む、実施形態18または19のいずれかのフィルター媒体。
【0300】
実施形態21.基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~20のいずれか1つのフィルター媒体。
【0301】
実施形態22.基材が、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルター媒体。
【0302】
実施形態23.基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0303】
実施形態24.基材が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、0度~50度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0304】
実施形態25.基材が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0305】
代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態
実施形態1.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0306】
実施形態2.基材の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0307】
実施形態3.基材の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1または2のフィルター媒体。
【0308】
実施形態4.基材の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0309】
実施形態5.基材の表面が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1または4のフィルター媒体。
【0310】
実施形態6.親水基含有ポリマーが、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)またはその組合せを含む、実施形態1~5のいずれか1つのフィルター媒体。
【0311】
実施形態7.親水基含有ポリマーが、親水性ポリマーを含む、実施形態1~6のいずれか1つのフィルター媒体。
【0312】
実施形態8.親水基含有ポリマーが、親水性ペンダント基を含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルター媒体。
【0313】
実施形態9.親水基含有ポリマーが、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つのフィルター媒体。
【0314】
実施形態10.親水基含有ポリマーが、フルオロポリマーを含まない、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター媒体。
【0315】
実施形態11.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することが、表面上に親水基含有ポリマーを含む層を形成することを含む、実施形態1~10のいずれか1つのフィルター媒体。
【0316】
実施形態12.層が、帯電層を含む、実施形態11のフィルター媒体。
【0317】
実施形態13.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することが、親水基含有ポリマーを含む溶液中で基材をディップコーティングすることを含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0318】
実施形態14.親水基含有ポリマーを含む溶液が、架橋剤をさらに含む、実施形態13のフィルター媒体。
【0319】
実施形態15.架橋剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1種を含む、実施形態14のフィルター媒体。
【0320】
実施形態16.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することが、表面上への親水基含有ポリマーを含む溶液の電界紡糸を含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0321】
実施形態17.表面上への親水基含有ポリマーを含む溶液の電界紡糸が、表面上での親水基含有ポリマーを含むナノ繊維の形成を含む、実施形態16のフィルター媒体。
【0322】
実施形態18.親水基含有ポリマーを含む溶液が、架橋剤をさらに含む、実施形態16または17のいずれかのフィルター媒体。
【0323】
実施形態19.架橋剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランおよびポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1種を含む、実施形態18のフィルター媒体。
【0324】
実施形態20.方法が、親水基含有ポリマーを架橋することをさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つのフィルター媒体。
【0325】
実施形態21.親水基含有ポリマーの架橋が、親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を、80℃~200℃の範囲の温度で、30秒~15分間加熱することを含む、実施形態20のフィルター媒体。
【0326】
実施形態22.方法が、親水基含有ポリマーを焼鈍しすることをさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルター媒体。
【0327】
実施形態23.親水基含有ポリマーの焼鈍しが、少なくとも10秒間、溶媒中に親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を含浸させることを含み、溶媒の温度が、少なくとも親水基含有ポリマーのガラス転移温度である、実施形態22のフィルター媒体。
【0328】
実施形態24.基材が、最高2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~23のいずれか1つのフィルター媒体。
【0329】
実施形態25.基材が、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~24のいずれか1つのフィルター媒体。
【0330】
実施形態26.基材が、少なくとも15%の多孔性および最高99%の多孔性である、実施形態1~25のいずれか1つのフィルター媒体。
【0331】
実施形態27.基材が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、0度~50度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~26のいずれか1つのフィルター媒体。
【0332】
実施形態28.基材が、処理の前に、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~26のいずれか1つのフィルター媒体。
【0333】
代表的な使用の実施形態
実施形態1.芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種を含む基材の表面のロールオフ角を改善するための紫外線(UV)放射の使用。
【0334】
実施形態2.芳香族樹脂を含む基材を特徴とする、実施形態1の使用。
【0335】
実施形態3.フェノール樹脂を含む基材を特徴とする、実施形態1または2のいずれかの使用。
【0336】
実施形態4.ロールオフ角を改善するための酸素の存在下でのUV放射の使用を特徴とする、実施形態1~3のいずれか1つの使用。
【0337】
実施形態5.ロールオフ角を改善するためのオゾンの存在下でのUV放射の使用を特徴とする、実施形態1~4のいずれか1つの使用。
【0338】
実施形態6.ロールオフ角を改善するためのH2O2の存在下でのUV放射の使用を特徴とする、実施形態1~5のいずれか1つの使用。
【0339】
実施形態7.基材のロールオフ角を改善するためのUV放射への芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種の曝露によって入手可能な物質の使用。
【0340】
実施形態8.基材のロールオフ角を改善するためのUV放射へのUV反応性樹脂の曝露によって入手可能な物質の使用に関連する、実施形態7の使用。
【0341】
実施形態9.基材のロールオフ角を改善するためのUV放射へのフェノール樹脂の曝露によって入手可能な物質の使用に関連する、実施形態7または8のいずれかの使用。
【0342】
実施形態10.酸素の存在下でのUV放射への芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種の曝露を特徴とする、実施形態7~9のいずれか1つの使用。
【0343】
実施形態11.オゾンの存在下でのUV放射への芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種の曝露を特徴とする、実施形態7~9のいずれか1つの使用。
【0344】
実施形態12.H2O2の存在下でのUV放射への芳香族成分および不飽和成分の少なくとも1種の曝露を特徴とする、実施形態7~9のいずれか1つの使用。
【0345】
実施形態13.基材のロールオフ角を改善するための親水基含有ポリマーの使用。
【0346】
実施形態14.基材のロールオフ角を改善するための親水性ポリマーの使用。
【0347】
実施形態15.基材が、フィルター基材である、実施形態1~14のいずれかの1つの使用。
【0348】
実施形態16.フィルター基材が、表面がトルエン中に浸漬された時、20μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態15の使用。
【0349】
実施形態17.フィルター基材が、表面がトルエン中に浸漬された時、50μLの水滴に対して、90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態15の使用。
【0350】
本発明は、以下の実施例によって例証される。特定の例、材料、量および手順が、本明細書に明示されるような本発明の範囲および精神に従って、概括的に解釈されることは理解される。
【実施例0351】
材料
購入した材料は、全て、受け取った状態のまま(すなわち、さらなる精製をせずに)使用した。他に指定されない限り、材料は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
・CHROMASOLV イソプロプルアルコール(IPA)-99.9%
・CHROMASOLV トルエン-99.9%
・CHROMASOLV 酢酸エチル-99.9%
・メチルアルコール-ACS Reagent-99.8%
・エチルアルコール(EtOH)
・無水マレイン酸-99%
・H2O2-30%または50%
・NH4OH-ACS Reagent-50%
・N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN DAMO-TまたはDAMO-Tとも記載される)-Evonik Industries AG(Essen,Germany)
・DYNASYLAN SIVO 203-Evonik Industries AG(Essen,Germany)
・Tyzor 131(Tyzor)
・イソプロプルアルコール中HCl(IPA)-0.05M
・ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)-Scientific Polymer Products(Ontario,NY)-Mw=20,000
・ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)-Mw=50,000
・ポリエチレンイミン、分岐(PEI-10KまたはPEI 10000)-Mw=25,000-Mn=10,000
・ポリエチレンイミン、分岐(PEI-600)-Mw=600
・ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)-Scientific Polymer Products(Ontario,NY)-Granular
・ポリ(エチレンオキシド)ジアミン末端(PEO-NH2)-Scientific Polymer Products(Ontario,NY)-Mw=2000
・ポリスチレン-コ-アリルアルコール(PS-co-AA)-40モル%
・ポリ(アクリル酸)(PAA)
・Acrodur 950L-BASF Corporation(Florham Park,NJ)
・3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン
・ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)
・超純水は、Millipore Elix 10UVおよびMillipore Milli-Q A10モジュールによって水道水を処理することによって生成され、そして18.2MΩ*cmの抵抗を有した。
・ディーゼル燃料またはポンプ燃料=ASTM-D975を満たす超低硫黄ディーゼル(Ultra-Low Sulfur Diesel)(ULSD)。「ポンプ燃料」は、供給源ULSDが燃料ポンプから受け取られた状態のままで使用されたことを示す。
・バイオディーゼル=ASTM-D6751を満たす大豆ベースのバイオディーゼル(Renewable Energy Group(REG),Inc.,Mason City,IA)。
【0352】
試験手順
接触角およびロールオフ角
基材の接触角およびロールオフ角は、チルトステージを備えたDropMaster DM-701接触角メーター(協和界面科学株式会社;日本、新座市)を使用して測定された。測定は、ワイドカメラレンズ設定を使用して実行され、そしてFAMASソフトウェアパッケージ(協和界面科学株式会社;日本、新座市)による6ミリメートル(mm)校正標準を使用して校正された。測定は、液滴が表面上で均衡に達した直後に実行された(すなわち、接触角および曝露液滴体積は1分間一定であった)。測定は、基材のみと接触した液滴で実行され、すなわち、液滴は、基材を支持する表面に接触していなかった。
【0353】
トルエン中の水接触角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された超純水の20μL液滴または50μL液滴を使用して測定された。接触角は、接線適合を使用して測定され、そして基材の異なる領域で実行された5回の独立した測定の平均から算出された。
【0354】
トルエン中の水ロールオフ角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された超純水の20μL液滴または50μL液滴を使用して測定された。このステージは、2度毎秒(°/秒)の回転速度で90°まで回転するように設定された。水滴が自由に回転して離れた点、または後部接触線が、媒体表面に対して少なくとも0.4ミリメートル(mm)移動した点で、回転を停止した。回転が停止された角度および時間を測定し;この角度は、ロールオフ角と定義される。液滴が90度(°)の前にロールオフしなかった場合、値は90°として報告される。液滴が析出プロセスの間に回転して離れて行った場合、値は1°で報告される。トルエン中に浸漬された基材試料上の水滴の代表的なイメージを
図2に示す。報告された値は、媒体の異なる領域で実行された5回の独立した測定の平均から算出された。基材における意図的な凹部(例えば、ポイント接着凹部)は回避された。基材が指向性マクロ構造(例えば、荒れ)を有する場合、ロールオフ角は、マクロ構造の影響を最小化する方向で測られた。
【0355】
液滴サイジング試験
液滴サイジングを決定するために、ISO 16332の修正版が使用された。
図3に示されるように、マルチパスにおいて2つのループシステムを供給する10リットル(L)タンクが使用された。メインループが、大多数の流れを処理し、そして試験ループは、媒体ホルダーを含めて、メインループから離れるスリップストリームを提供した。手動の背圧バルブを使用して、試験期間中、試験媒体を通って0.07フィート毎分(フィート/分)の面速度まで流れを調節した。この面速度は、現場応用のための特有値である。
【0356】
それぞれの層の2インチ×2インチ平方試料を切断し、次いで、ローディング層、効率層および基材試料を含む多層媒体複合体に充てんした。試験される基材試料を効率層の下流に配置し、そして効率層を、ローディング層の下流に配置した。ローディング層および効率層は、を20%~80%の5μm~50μmの繊維直径および0.1cm~15cmの繊維長さを有する2成分結合剤繊維、0.1ミクロン~30ミクロンの繊維直径および10~10,000のアスペクト比を有するガラス繊維を含み、かつ0.5μm~100μmの細孔径を有する熱的に結合されたシートであった。
【0357】
一旦、多層媒体複合体に充てんされたら、媒体層は、注文製の透明アクリルホルダーに保持された。National Pipe Thread Taper(NPT)装備品を付属するステンレス鋼1/4インチ外径径(OD)管を使用して、試験ループの内外に燃料を送達した。ホルダーは、6インチ×4インチであり、1インチ×1インチの試料窓および1インチ×4インチ×3/4インチのチャネルを媒体の下流側面に有し、合体した液滴が燃料流体から出ていくことを可能にする。液滴が燃料流を出ると、それらはゾーンを通過し、そこで、電荷結合素子(CCD)カメラが液滴のイメージを写した。画像解析ソフトウェア(imagej.nih.govにおいてワールドワイドウェブで入手可能なImage J 1.47T)を使用して、撮影したイメージを分析し、液滴の径を決定した。統計的分析のために、測定された液滴のサイズを使用した。報告された平均液滴径は、加重体積であった。D10は、液滴の10%が、D10未満の全水体積を含み、かつ液滴の90%が、D10より高い全水体積を含むことを表す。D50は、液滴の50%が、D50未満の全水体積を含み、かつ液滴の50%が、D50より高い全水体積を含むことを表す。D90は、液滴の90%が、D90未満の全水体積を含み、かつ液滴の10%が、D90より高い全水体積を含むことを表す。
【0358】
Chevron Phillips Chemical(The Woodlands,TX)からの超低硫黄ディーゼルをベース燃料として使用した。5%(体積%)の大豆バイオディーゼル(Renewable Energy Group(REG),Inc.,Mason City,IA)をベース燃料に添加し、燃料混合物を形成した。燃料混合物の表面張力は、ペンダントドロップ法によって決定したところ、21±2ダイン毎センチメートルであった。全試験に関して、燃料混合物の同一バッチを使用した。
【0359】
試験するために、多層媒体複合体をホルダーに配置し、そしてホルダーに燃料混合物を充てんした。水を導入する前に、0.07フィート/分の面速度が設定され、そして10分間手作業で維持された。
【0360】
水をメイン燃料ループに注入し、そしてオリフィスプレートを通してそれを強制することによって、燃料中水乳濁液が生じた。所望の平均20μmの乳濁液を得るために、1.8mmのプレートが使用された。主ループの流速は、5.0ポンド毎平方インチ(psi)(約1.2リットル毎分(Lpm))のオリフィスプレート全体の差圧力を達成するために調節された。2500百万分率(ppm)の水の初期ターゲットチャレンジで、0.3ミリリットル毎分(mL/分)の速度で水を注入した。試験ループに運ばれなかった燃料は、それが再びオリフィスを通って通過することが可能となる主タンクに戻るように方向づけられる前に、クリーンアップフィルターを通して送られた。システムは20分の試験期間に多層媒体複合体に一貫した乳濁液チャレンジを提供する。
【0361】
燃料-水分離効率試験
燃料-水分離効率試験は、本明細書に記載されるように修正された、ISO/TS 16332実験室試験法を使用して実行された。
【0362】
媒体のフラットシートを試験するために、フィルター媒体の7インチ×7インチシート(有効径6インチ×6インチ)のシートを保持するアルミニウムホルダーが使用された。フィルター媒体の下流側面において、100μmポリエステルスクリーン(有効径6インチ×6インチ)を配置し、直径が100μmよりも大きい合体した水滴が、燃料流とともに下流に確実に運ばれないようにした。
【0363】
燃料中の上流水濃度は5000ppmに設定され、そして試験の期間を通して一定であると考えられる。このような水の濃度は、水注入ポンプおよび燃料流速の両方の周知の流速を測定することによって決定された。下流水濃度は、あらかじめ決定された間隔で記録された。水の濃度は、市販のMetrohm AG(Herisau,Switzerland)841 Titrando滴定装置を使用して、カール-フィッシャー(Karl-Fisher)の体積測定滴定法を使用して測定された。
【0364】
上流遊離水の液滴径分布は、フローセルが付属する市販のMalvern Instruments(Malvern,United Kingdom)Insitec SX液滴径分析器を使用して決定された。乳化水試験に関して、液滴径分布は、典型的に、10μm±1μmのD50と、それぞれ、3μmおよび25μmのD10およびD90を有する。
【0365】
他に指定されない限り、全ての試験において媒体を通っての面速度は、0.05フィート毎分(fpmまたはフィート/分)で固定された。他に指定されない限り、全試験時間は15分であった。
【0366】
試験の間の媒体のパーセント分離効率は、上流水濃縮に対する下流水濃度の比率として算出された。
【0367】
通気性試験
少なくとも38cm2の試料を媒体から切断し、試験した。試料をTEXTEST(登録商標)FX3310(Textest AG,Schwerzenbach,Switzerlandから入手された)上に配置した。媒体を通しての通気性は、空気を使用して測定され、水の0.5インチ(1.27cm)の圧力低下における、1分あたりの媒体の平方フィートあたりの空気の立方フィート(フィート3空気/フィート2媒体/分)または1分あたりの媒体の平方メートルあたりの空気の立方メートル(m3空気/m2媒体/分)を測定した。
【0368】
調製方法
実施例1-UV処理
UV処理媒体層は、基材の下流(ワイヤー側面)表面をUV放射に曝露することによって製造した。UV供給源は、低圧水銀ランプ(4インチ×4インチのStandard Mercury Grid Lamp,BHK,Inc.,Ontario,Canada)であった。低圧水銀ランプは、次の別々の波長のUV光を生じる:185nm、254nm、297nm、302nm、313nm、365nmおよび366nm。4インチ×4インチ試料を、1~20分間、ランプに暴露した。
図2に示す試料を20分間ランプに曝露し;水滴サイジング実験のために使用される試料は、8分間処理された。試料は、処理の間、ランプの約1cm下に配置された。
【0369】
表1にリストされたそれぞれの基材の試料を、空中酸素の存在下、低圧水銀ランプでUV処理した。燃料の同一バッチを使用して、処理の前および後のそれぞれの基材のD10、D50およびD90を測定した。結果を表2に示す。処理の前および後の(トルエン中の)それぞれの基材の接触角およびロールオフ角(20μL液滴および50μL液滴に関する)を表3に示す。
【0370】
低圧水銀ランプによるUV-酸素処理によって、未処理の基材の比較して、増加したロールオフ角を示す基材が得られた。表2に示すように、基材6を除いて、少なくとも2倍のD50平均液滴径の強化も観察された。トルエン中に含浸された基材試料上に配置された水滴を使用して測定された、より高いロールオフ角(表3)は、ディーゼル燃料中の基材による、より大きい液滴の合体(D50強化)(表2および3)と関連する。ロールオフ角が基材の表面上で合体する液滴の径と関連するため、ロールオフ角は、燃料流を出ることが可能な、より大きい液滴を合体する能力を有する基材を識別するために使用され得る。
【0371】
理論によって拘束されることを望まないが、基材6のアクリルベースの樹脂系は、UV照射への曝露の間に表面の必要な変性を考慮に入れないと考えられる。100%ポリエステルおよびフェノール樹脂含有媒体(それぞれ、基材7および基材1~5)における接着および液滴の成長を強化するUV-酸素処理の能力を考慮すると、芳香族成分または炭素-炭素結合不飽和の別の形態が、基材のUV-酸素処理の効果を強化することができると考えられる。
【0372】
それとは対照的に、低圧水銀ランプが、約220nm未満および約400nmより高い波長をブロックする、いずれかのUV帯域フィルター(FSQ-UG5,Newport Corp.,Irving,CA)を備えた場合、処理基材1は、未処理媒体と比較して、ロールオフ角または平均液滴径における変化をほとんど示さなかったか、全く示さなかった。
【0373】
同様に、基材1および7が、360nmより高い波長でUVを放出するランプ(Model F300S,Heraeus Noblelight Fusion UV Inc.,Gaithersburg,MD)によって処理された場合、処理基材は、未処理媒体と比較して、平均液滴径における変化をほとんど示さなかったか、全く示さず、かつロールオフ角のわずかな増加を示した。
【0374】
【0375】
【0376】
【0377】
燃料から水を除去する(未処理およびUV-酸素処理)基材1試料の能力(すなわち、媒体の性能)は、15分後に下流水含有量を測定することによって決定された。結果を
図4に示す。
図4からわかるように、未処理基材1と比較して、UV-酸素処理基材1は、燃料から水を除去するための、および低い下流水含有量を維持するための有意に改善された能力を示した。これは、未処理基材と比較して、観察された増加したロールオフ角およびD50強化と整合性がある。
【0378】
(未処理およびUV-酸素処理)基材1試料を、55℃で30日間、200ミリリットル(mL)のポンプ燃料中に浸漬した。試験の前に、対照(浸漬されていない)および処理試料をヘキサンで洗浄し、次いで、80℃のオーブン中で5分間加熱し、ヘキサンを蒸発させた。トルエン中の接触角およびトルエン中のロールオフ角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された50μLの超純水を使用して測定した。測定は、上記のように実行した。結果を
図5および表4に示す。平均ロールオフ角および接触角、ならびに対応する燃料から水を除去する能力は、いくつかの現場応用において見られ、かつ基材の老化を促進することが可能である条件の55℃において30日間、燃料中に含浸された後でさえも、UV-酸素処理基材において維持された。
【0379】
【0380】
実施例2-UV/H2O2処理
基材1は、10分間150℃において媒体中で加熱することによって硬化された。次いで、基材を、浅いペトリ皿(深さ1cm)中に含まれる50%H2O2溶液に含浸させ、そして0分、2分、4分、6分または8分間、低圧水銀ランプ(4インチ×4インチのStandard Mercury Grid Lamp,BHK,Inc.,Ontario,Canada)によってUV処理した。次いで、基材を5分間、80℃でオーブン乾燥させた。
【0381】
それぞれの基材の処理側面および未処理側面のトルエン中の接触角(CA)およびロールオフ角(RO)は、トルエン中の超純水の50μL液滴を使用して測定した。結果を表4および
図6に示す。
【0382】
実施例3-比較例
Cummins MO-608燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角およびロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、143°の接触角および19°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、146°の接触角および24°のロールオフ角を有した。
【0383】
ACDelco TP3018燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角およびロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、146°の接触角および28°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、1°の報告されたロールオフ角を有した(すなわち、析出プロセスの間に液滴は回転して離れて行った)。
【0384】
Ford F150 FD4615燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角およびロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、149°の接触角および10°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、137°の接触角および9°のロールオフ角を有した。
【0385】
Donaldson P551063燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角およびロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、157°の接触角および22°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、125°の接触角および11°のロールオフ角を有した。
【0386】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜のトルエン中の接触角およびロールオフ角は、50μLの水滴を使用して試験した。膜は、1°の報告されたロールオフ角を有し(すなわち、析出プロセスの間に液滴は回転して離れて行った)、接触角を測定するために液滴を安定化させることが不可能であった。接触角は少なくとも165°であると概算された。
【0387】
Komatsu 600-319-5611燃料フィルターのトルエン中の接触角およびロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、150°の接触角および3°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、145°の接触角および32°のロールオフ角を有した。
【0388】
実施例4-ディップコーティングによるポリマーコーティング
表5に示されるポリマー、濃度および溶媒を使用して、基材1(20%ポリエステル/80%セルロース媒体、部分的に硬化されたフェノール樹脂成分を有する)をポリマーでコーティングした。Chemat DipMaster50ディップコーター(Chemat Technology,Inc.,Northridge,CA)を使用して、試料をディップコーティングした。ポリマーを含む溶液中に媒体を完全に含浸させ、そして50mm/分の速度で引き上げた。コーティング均一性を保証するために、媒体をディップコーティングし、180度回転させ、再びディップコーティングさせた(合計2回のディップコート)。5分間80℃でのオーブン乾燥によって非水系溶媒を除去し、そして5分間100℃でのオーブン乾燥によって水を除去した。
【0389】
PEI-600の(四級化による)帯電コーティングを作成するために(表5(PEI-600 HCl)を参照のこと)、PEI-600であらかじめコーティングされた基材1を、上記のディップコーティング手順を使用して、HCl(IPA中0.05M)中でディップコーティングした。PEI-10K+無水マレイン酸コーティングを作成するために(表5を参照のこと)、PEI-10Kであらかじめコーティングされた基材1を、上記のディップコーティング手順を使用して、無水マレイン酸でディップコーティングした。
【0390】
ディップコーティング手順が完了した後、媒体の剛性を増加させ、そして部分的に硬化されたフェノール樹脂を硬化するために、5分間80℃での乾燥後、10分間150℃で硬化処理を適用した。
【0391】
結果を表5および
図8に示す。
図2に、0度(0°)回転(左)および60°回転(右)におけるトルエン中に浸漬されたPHPM処理基材(表5を参照のこと)上の20μLの水滴の代表的イメージを示す。
【0392】
表4に示されるように、トルエン中に含浸された基材試料上に析出された水滴を使用して測定された、より高いロールオフ角は、ディーゼル燃料中の基材による、より大きい液滴の合体(D50強化)と関連する。ロールオフ角は、基材の表面で合体する液滴の径と関連するため、ロールオフ角は、燃料流を出ることが可能な、より大きい液滴を合体する能力を有する基材を識別するために使用され得る。
図8に示されるように、増加した燃料-水分離効率は、未処理基材と比較して、PEI-10Kコーティング基材に見られ、これは、観察された増加したロールオフ角およびD50強化と整合性がある。
【0393】
【0394】
【0395】
【0396】
【0397】
実施例5-通気性に対するポリマーコーティングの効果
Chemat DipMaster50ディップコーター(Chemat Technology,Inc.,Northridge,CA)を使用して、メタノール中2%(w/v)PHEM、4%(w/v)PHEM、6%(w/v)PHEMまたは8%(w/v)PHEMを使用して、基材1(20%ポリエステル/80%セルロース媒体、部分的に硬化されたフェノール樹脂成分を有する)をディップコーティングした。ポリマーを含む溶液中に媒体を完全に含浸させ、そして50mm/分の速度で引き上げた。コーティング均一性を保証するために、媒体をディップコーティングし、180度回転させ、再びディップコーティングさせた(合計2回のディップコート)。5分間80℃でのオーブン乾燥によって非水系溶媒を除去し、そして5分間100℃でのオーブン乾燥によって水を除去した。
【0398】
ディップコーティング手順が完了した後および5分間80℃での乾燥後、10分間150℃で硬化処理を適用した。
【0399】
【0400】
実施例6-ディップコーティング、架橋および焼鈍しによるポリマーコーティング
表6および7に示されるポリマー、濃度および溶媒を使用して、基材1(20%ポリエステル/80%セルロース媒体、部分的に硬化されたフェノール樹脂成分を有する、表1を参照のこと)をポリマーでコーティングした。Chemat DipMaster50ディップコーター(Chemat Technology,Inc.,Northridge,CA)を使用して、試料をディップコーティングした。ポリマーを含む溶液中に媒体を完全に含浸させ、そして50mm/分の速度で引き上げた。コーティング均一性を保証するために、媒体をディップコーティングし、180度回転させ、再びディップコーティングさせた(合計2回のディップコート)。5分間80℃でのオーブン乾燥によって非水系溶媒を除去し、そして5分間100℃でのオーブン乾燥によって水を除去した。
【0401】
ディップコーティング後および/または焼鈍し前に、もし実施される場合、媒体を5分間80℃でオーブン乾燥させ、次いで、5分間150℃に暴露した。加熱することによって、媒体の剛性が増加し、部分的を硬化されたフェノール樹脂が硬化され、そして、存在する場合、架橋剤の架橋を促進すると考えられる。
【0402】
ポリマーコーティングが焼鈍しされる場合、ディップコーティング手順および加熱の完了後、媒体を1~2分間、熱(90℃)水中に含浸させた。焼鈍し後、媒体を5分間100℃でオーブン乾燥させた。
【0403】
(未処理およびポリマーコーティング)基材1試料を、55℃で(
図10または
図11に示されるように)13日、30日または39日間、200ミリリットル(mL)のポンプ燃料中に浸漬した。試験の前に、対照(浸漬されていない)および処理試料をヘキサンで洗浄し、次いで、80℃のオーブン中で5分間加熱し、ヘキサンを蒸発させた。トルエン中の接触角およびトルエン中のロールオフ角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された50μLの超純水を使用して測定した。測定は、上記のように実行した。
【0404】
結果を
図10および
図11に示す。平均ロールオフ角および接触角、ならびに対応する燃料から水を除去する能力は、いくつかの現場応用において見られ、かつ基材の老化を促進することが可能である条件の55℃において39日間、燃料中に含浸された後でさえも、架橋ポリマーコーティング基材、ならびに架橋および焼鈍しポリマーコーティング基材において維持された。
【0405】
【0406】
【0407】
実施例7-電界紡糸によるポリマーコーティング
表8に示す条件を使用して、10%ポリマー(w/v)溶液による電界紡糸によって、コーティングを基材6(表1を参照のこと)上に形成した。ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)に対してはメタノール溶液を使用し、そしてPEI-10Kに対してはイソプロプルアルコール(IPA)溶液を使用した。コーティングは、紡糸溶液中に架橋剤を存在させて、および存在させないで形成された。0.5%(w/v)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(本明細書中DAMO-Tとも記載される)をPHEMのために架橋剤として使用し;0.5%(w/v)(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(本明細書中、架橋剤1とも記載される)または0.5%(w/v)ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)(本明細書中、架橋剤2とも記載される)をPEI-10Kのために架橋剤として使用した。
【0408】
結果を
図12~
図15に示す。架橋剤あり、および架橋剤なしのPHEMコーティング基材上の50μL水滴の接触角およびロールオフ角を電界紡糸の直後に測定した。これを
図12に示す。架橋剤あり、および架橋剤なしのPEIコーティング基材上の50μL水滴の接触角およびロールオフ角を電界紡糸の直後に測定した。これを
図13に示す。
【0409】
図14は、電界紡糸によるコーティングの形成から1日、6日および32日後の代表的なPHEMナノ繊維コーティングDAMO-T架橋基材6における50μL水滴の接触角およびロールオフ角を示す。電界紡糸によるコーティングの形成から52日後の接触角およびロールオフ角は、電界紡糸によるコーティングの形成から32日後に観察されたものと類似していた。
【0410】
図15は、電界紡糸によるコーティングの形成から1日、6日および32日後の代表的なPEI-10Kナノ繊維コーティング架橋基材6における50μL水滴の接触角およびロールオフ角を示す。PEIは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(架橋剤1)またはポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)(架橋剤2)を使用して架橋された。電界紡糸によるコーティングの形成から52日後の接触角およびロールオフ角は、電界紡糸によるコーティングの形成から32日後に観察されたものと類似していた。
【0411】
電界紡糸によってポリマーがコーティングされた基材6の走査型電子顕微鏡検査法(SEM)イメージを
図16、
図17および
図18に示す。
図16に示されるように、PHEMの電界紡糸によって、セルロース基材をコーティングするPHEMナノ繊維を形成する。それと対照的に、
図17および
図18に示されるように、PEI-10Kは、基材上にナノ繊維を形成しないが、むしろ、基材上に存在するセルロース繊維を直接コーティングした。これらの結果は、電界紡糸技術を使用して作成されたポリマーコーティングが、ナノ繊維の形態で存在し得るか、またはそれが基材上に固体ポリマーコートとして存在し得ることを示す。
【0412】
【0413】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願および刊行物、ならびに電子的に入手可能な資料の全開示は、参照によって組み込まれる。いずれかの不整合性が、本出願の開示と、参照によって本明細書に組み込まれるいずれの文献の開示との間に存在する場合、本出願の開示が支配すべきである。上記の詳細な説明および実施例は、理解の明澄性のためにのみ与えられた。それらから、不要な制限は理解されない。本発明は、示され、および記載された正確な詳細に制限されることなく、当業者にとって明らかな変形は、請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれるであろう。
【0414】
他に明記されない限り、明細書および請求項において使用される成分の量、分子量などを表す全ての数値は、全ての例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、他に明記されない限り、明細書および請求項において明示された数値パラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望の特性次第で変動し得る近似である。少なくとも、そして同等物の教義を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメーターは、少なくとも報告された有効である桁の数値の見地で、そして通常の切上げ機能技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0415】
本発明の広い範囲を明示する数値範囲およびパラメーターが近似であるにもかかわらず、特定の実施例において明示された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数値は、それらのそれぞれの試験測定に見られる標準偏差から必ず得られる範囲を本質的に含む。
【0416】
全ての表題は、読者の便宜のためであって、そのように指定されない限り、表題後に続く本文の意味を限定するために使用されるべきではない。