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特開2022-104991セグメント化ゲル複合材料およびこの複合材料から製造される剛性パネル
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  • 特開-セグメント化ゲル複合材料およびこの複合材料から製造される剛性パネル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104991
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】セグメント化ゲル複合材料およびこの複合材料から製造される剛性パネル
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/80 20060101AFI20220705BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20220705BHJP
   B32B 5/10 20060101ALI20220705BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20220705BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
C04B35/80
C08J5/04 CFH
B32B5/10
B32B5/18 101
B32B5/26
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062906
(22)【出願日】2022-04-05
(62)【分割の表示】P 2019212817の分割
【原出願日】2013-08-09
(31)【優先権主張番号】61/682,198
(32)【優先日】2012-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/800,551
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.スタイロフォーム
2.STYROFOAM
(71)【出願人】
【識別番号】506229844
【氏名又は名称】アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン アール エバンス
(72)【発明者】
【氏名】イレーン メルニコバ
(57)【要約】
【課題】新規な強化型ゲル複合材料、および繊維またはオープンセル発泡体で強化された強化型ゲル複合材料を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、セグメント化された繊維強化材またはオープンセル発泡体強化材およびゲル前駆体を使用して、ゲル複合材料シートを製造する種々の方法を記載する。加えて、その結果として得られたゲル複合材料~製造される剛性パネルも記載される。ゲル複合材料は巻き取るのに充分なほど比較的可撓性であり、そして巻出したときにはフラットに伸長させ、接着剤を使用して剛性パネルにすることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
セグメント化繊維強化シートまたはセグメント化オープンセル発泡体強化シートを含むセグメント化強化シートを与え(providing)、ここで前記セグメント化強化シートは長さ、幅および厚さを有し、かつ前記セグメント化強化シートは、対向シートに取り付けられた別々のセグメントを含み、前記別々のセグメントは、前記対向シートによってつなぎ合わされて、前記セグメント化強化シートの幅にわたって、前記厚さ方向を通してセグメント化されたセグメント化強化シートを形成しており;
前記セグメント化強化シートとゲル前駆体とを組合せ;
前記組合せにおける前記ゲル前駆体をゲル化して、強化ゲル複合材料シートを形成し;そして
前記強化ゲル複合材料シートを乾燥させて、強化エアロゲル複合材料シートを形成する;
を含む、強化エアロゲル複合材料(composite)シートを製造する方法。
【請求項2】
更に、以下の工程を含む、請求項1に記載の方法:
少なくとも2つの主要な(major)面および複数のセグメント化断面を備える請求項1の強化エアロゲル複合材料シートを与え、
前記強化エアロゲル複合材料シートの少なくとも1つの主要な面に接着剤を塗布し;そして
前記強化エアロゲル複合材料シートを平面状の(planar)材料に取り付ける。
【請求項3】
前記平面状の材料が第2の強化エアロゲル複合材料シートである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セグメント化強化シートに、対向する(facing)層または対向するシートが取り付けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記対向する層または対向するシートが繊維を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記セグメント化強化シートが、不連続繊維と少なくとも1種のバインダーとを含むセグメント化繊維強化シートを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲル前駆体がシリカゲル前駆体を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤が、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記強化ゲル複合材料シートを乾燥工程前に巻き取って軸を有するロールを製造する工程をさらに含み、前記強化ゲル複合材料シートの巻き取りが、前記強化ゲル複合材料シートのセグメントの間に形成された任意のギャップが前記ロールの軸とは反対に向くように行われる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記強化エアロゲル複合材料シートの熱伝導率が、37.5℃及び周囲圧力下で25mW/mK未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
エアロゲルとセグメント化強化シートとを含む、強化エアロゲル複合材料シートであって、前記セグメント化強化シートはセグメント化繊維強化シートまたはセグメント化オープンセル発泡体強化シートを含み、ここで前記セグメント化強化シートは長さ、幅および厚さを有し、かつ前記セグメント化強化シートは、対向シートに取り付けられた別々のセグメントを含み、前記別々のセグメントは、前記対向シートによってつなぎ合わされて、前記セグメント化強化シートの幅にわたって、前記厚さ方向を通してセグメント化されたセグメント化強化シートを形成している、強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項12】
前記セグメント化強化シートに、対向する層または対向するシートが取り付けられている、請求項11に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項13】
前記対向する層又は対向するシートが繊維を含む、請求項12に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項14】
前記セグメント化強化シートが、不連続繊維と少なくとも1種のバインダーとを含む繊維強化シートを含む、請求項11に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項15】
前記エアロゲルが乾燥シリカゲルを含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項16】
前記強化エアロゲル複合材料シートの熱伝導率は37.5℃及び周囲圧力下で25mW/mK未満である、請求項11~15のいずれか1項に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項17】
二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された充填剤をさらに含む、請求項11に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項18】
炭化ケイ素をさらに含む、請求項11に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項19】
前記セグメント化繊維強化シートが、繊維中に少なくとも1種のバインダーを含む、請求項11に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項20】
少なくとも2つの隣接セグメント間に、少なくとも1つのギャップが存在しており、前記少なくとも1つのギャップは、強化エアロゲル複合材料シートの幅方向に延在する、請求項11に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項21】
前記少なくとも1つのギャップが、少なくとも前記セグメント化強化シート内における不連続性を含む、請求項20に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項22】
少なくとも2つの隣接セグメント間に存在する前記少なくとも1つのギャップは、強化エアロゲル複合材料シートの幅方向全体に延在する、請求項20に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項23】
強化エアロゲル複合材料(composites)の少なくとも2つの層を含むパネルであって、少なくとも1つの層が、請求項11~22のいずれか1項に記載の強化エアロゲル複合材料シートを含む、パネル。
【請求項24】
カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤を更に含む、請求項23に記載のパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の産業用および家庭用用途において有用な、強化型複合材料(composite)の分野に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、新規な強化型ゲル複合材料、および繊維またはオープンセル発泡体で強化された強化型ゲル複合材料を製造する方法を記載する。この方法は、セグメント化繊維バッティング・シートまたはセグメント化オープンセル発泡シートを用意し、シートとゲル前駆体とを組合せ、ゲル前駆体を組合せた状態でゲル化することにより、複合材料シートを形成し、複合材料シートを巻き取り;そして複合材料を乾燥させて、繊維強化型ゲル複合材料を形成する工程を含む。加えて、乾燥された複合材料を巻出し、複合材料の少なくとも1つの面および好ましくは1つの主要な面に接着剤を塗布し、そして複合材料を他の平面状の材料に取り付ける、更なる工程を実施してもよい。このような平面状の材料は、同様に形成された他の複合材料であってもよい。
【0003】
加えて、ゲル複合パネルを製造する方法であって、少なくとも2つの主要な面および複数のセグメント化断面(好ましくは、セグメントが厚さ全体を通して切り込まれてはいない部分断面を含む)を備えた乾燥されたセグメント化繊維強化型ゲル複合材料シートまたはオープンセル発泡体強化型ゲル複合材料シートを用意し、前記複合材料の少なくとも1つの主要な面に接着剤を塗布し;そして前記複合材料を他の乾燥されたゲル複合材料に取り付ける工程を含む方法が記載されている。
【0004】
加えて、繊維強化型ゲル複合材料を製造する方法であって、セグメント化オープンセル発泡シートを用意し、オープンセル発泡シートとゲル前駆体とを組合せ、前駆体を組合せた状態でゲル化することにより、複合材料を形成し、複合材料を巻き取り;そして複合材料を乾燥させて、繊維強化型ゲル複合材料を形成する工程を含む方法が記載されている。前記方法のうちのいずれかに記載のセグメント化繊維バッティング・シートまたはセグメント化オープンセル発泡シートに、対向する層(facing layer)または対向するシート(facing sheet)が取り付けられていてよい。このような対向層は、繊維を含んでよい。本発明の方法の繊維バッティングまたは不織布は、不連続的な繊維または連続的なフィラメントを含んでよい。
【0005】
加えて、上記方法は、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された添加剤を組み込む工程を含む。
【0006】
更なる態様において、繊維に少なくとも1種のバインダーを加えるか、または少なくとも1種のバインダーを含む繊維または繊維システムを使用する工程を含む。本発明の方法はセグメント化繊維バッティングまたはセグメント化オープンセル発泡シートを、少なくとも1つのセグメントが剛性である状態で使用することを含む。
【0007】
更なる態様において、本発明の方法は、ジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、およびアガロース、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された1種または2種以上の材料またはその誘導体を、繊維強化型ゲル複合材料中のゲルとして使用する。更なる態様においては、本発明のオープンセル発泡シートは、ポリウレタン、イソシアネート系材料、ポリイソシアヌレート、ポリイミド、ポリビニルクロリド、スタイロフォーム(Styrofoam)、シリコーン、ポリオレフィン、エポキシ、尿素ホルムアルデヒド、ラテックスゴム、フルオロポリマーおよびシンタクチックフォームから選択された1種または2種以上の材料またはその誘導体を含む。
【0008】
本発明の繊維バッティング・シート、対向層またはセグメント化繊維強化型ゲル複合材料中の繊維は、鉱物ウール、グラスウール、ロックウール、繊維ガラス、ポリエステル、ポリオレフィンテレフタレート、ポリ(エチレン)ナフタレート、ポリカーボネート、およびレーヨン、ナイロン、綿系ライクラ(DuPont製)、炭素系繊維、例えばグラファイト、炭素繊維のための前駆体、例えばポリアクリロニトリル(PAN)、酸化PAN、非炭化(uncarbonized)熱処理PAN(例えばSGL carbon製のもの)、繊維ガラス系材料、例えばSガラス、901ガラス、902ガラス、475ガラス、Eガラス、シリカ系繊維、例えば石英、quartzel(Saint-Gobain製)、Qフェルト(Johns Manville製)、Saffil(Saffil製)、Durablanket(Unifrax製)、および他のシリカ繊維、ポリアラミド繊維、例えばKevalr, Nomex, Sontera (全てDuPont製)、Conex (Taijin製)、ポリオレフィン、例えばTyvek(DuPont製)、Dyneema(DSM製)、Spectra(Honeywell製)、他のポリプロピレン繊維、例えばTypar、Xavan(両方ともDuPont製)、フルオロポリマー、例えばPTFE{商品名Teflon(DuPont製), Goretex(GORE製)}、炭化ケイ素繊維、例えばNicalon(COI Ceramics製)、セラミック繊維、例えばNextel(3M製)、アクリルポリマー、ウール、絹、麻、皮革、スエードの繊維、PBO-Zylon繊維(Tyobo製)、液晶材料、例えばVectan(Hoechst製)、Cambrelle繊維(DuPont製)、ポリウレタン、ポリアミド、木質繊維、ホウ素、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼繊維、および他の熱可塑性材料、例えばPEEK、PES、PEI、PEK、PPSおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された1種または2種以上の材料を含む。加えて、本発明において記載されたパネルの製造方法は、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された接着剤のうちの1種または2種以上を利用する。強化型ゲル複合材料の熱伝導率は周囲(ambient)条件で25mW/mK未満、または好ましくは16mW/mK未満である。
【0009】
セグメント化繊維強化型またはセグメント化オープンセル発泡体強化型ゲル複合材料であって、ゲルが少なくとも1つのセグメント内で繊維全体にわたって連続しており、そして、少なくとも2つの隣接セグメント間に、少なくとも1つのギャップが存在している。ここで記載したギャップは、これらの隣接セグメントの繊維およびゲルの両方において不連続性があることを意味している。このギャップは、厚さ全体にわたって存在する必要はなく、繊維強化シート、オープンセル発泡シート、またはその結果としての複合材料シートの厚さの一部にわたって存在していてよい。
【0010】
加えて、繊維強化型またはオープンセル発泡体強化型ゲル複合材料の少なくとも2つの層を含む剛性パネルであって、少なくとも1つの層が、少なくとも2つの隣接セグメント間において繊維またはオープンセル発泡体およびゲルの両方に少なくとも1つのギャップを有するセグメント化強化型ゲル複合材料を含む、剛性パネルが記載されている。
【0011】
一態様において、本発明のゲル複合材料またはパネルは更に、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された充填剤を含む。他の態様においては、本発明のパネルまたは複合材料は更に、繊維構造中に少なくとも1種のバインダーを含む。
【0012】
他の態様においては、本発明のパネルまたは複合材料のセグメント化繊維バッティング・シートまたはセグメント化オープンセル発泡シートに、対向層または対向シートが取り付けられている。対向シート層は繊維を含んでよい。本発明の繊維バッティングは不連続的な繊維または連続的なフィラメントまたはこれらの組み合わせを含んでいてよい。一態様においては、対向シートは、実際の用途に適した水蒸気透過性を有する一方、液体水が通過するのを許容しない。他の態様においては、対向シートは水および水蒸気の両方が通過するのを可能にする。更に他の態様においては、対向シートは液体水または水蒸気をほとんど通過させない。
【0013】
加えて、本発明のパネルまたは複合材料は更に、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された添加剤を含んでよい。
【0014】
加えて、本発明のパネルまたは複合材料は更に、繊維中に少なくとも1種のバインダーを含むかまたは少なくとも1種のバインダーを含む繊維を使用してもよい。バインダーは有機または無機であってよく、或いはハイブリッド材料から成っていてもよい。一態様においては、セグメント化繊維バッティングの少なくとも1つのセグメントは、前記パネルまたは複合材料において剛性であってよい。
【0015】
加えて、本発明のパネルまたは複合材料は、ジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、およびアガロース、およびこれらの組み合わせのゲル前駆体から形成された成分を有している。
【0016】
加えて、本発明のパネルまたは複合材料は、鉱物ウール、グラスウール、繊維ガラス、ポリエステル、ポリオレフィンテレフタレート、ポリ(エチレン)ナフタレート、ポリカーボネート、およびレーヨン、ナイロン、綿系ライクラ(DuPont製)、炭素系繊維、例えばグラファイト、炭素繊維のための前駆体、例えばポリアクリロニトリル(PAN)、酸化PAN、非炭化(uncarbonized)熱処理PAN(例えばSGL carbon製のもの)、繊維ガラス系材料、例えばSガラス、901ガラス、902ガラス、475ガラス、Eガラス、シリカ系繊維、例えば石英、quartzel(Saint-Gobain製)、Qフェルト(Johns Manville製)、Saffil(Saffil製)、Durablanket(Unifrax製)、および他のシリカ繊維、ポリアラミド繊維、例えばKevalr, Nomex, Sontera (全てDuPont製)、Conex (Taijin製)、ポリオレフィン、例えばTyvek(DuPont製)、Dyneema(DSM製)、Spectra(Honeywell製)、他のポリプロピレン繊維、例えばTypar、Xavan(両方ともDuPont製)、フルオロポリマー、例えばPTFE{商品名Teflon(DuPont製), Goretex(GORE製)}、炭化ケイ素繊維、例えばNicalon(COI Ceramics製)、セラミック繊維、例えばNextel(3M製)、アクリルポリマー、ウール、絹、麻、皮革、スエードの繊維、PBO-Zylon繊維(Tyobo製)、液晶材料、例えばVectan(Hoechst製)、Cambrelle繊維(DuPont製)、ポリウレタン、ポリアミド、木質繊維、ホウ素、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼繊維、および他の熱可塑性材料、例えばPEEK、PES、PEI、PEK、PPSおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
加えて、本発明のパネルは、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤を含む。一態様においては、本発明のパネルまたは複合材料は、見かけ上の熱伝導率が周囲条件で25mW/mK未満である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、ロータリーガラス不織布(rotary-glass non-woven)をそのまま(as-is)の状態で(セグメント化なしで)使用して製造されたエアロゲル複合材料を示す図である。
図2図2は、剛性が高められた切り込み付き不織布製品を使用してエアロゲル複合材料を製造することを示す模式(schematic)図である。
図3図3は、セグメント化されていないグラスウール・シート(上)、およびセグメント化グラスウール・シート(下)で製造された乾燥されたゲル複合材料を比較して示す図である。
図4図4は、セグメント化湿潤ゲル複合材料およびセグメント化乾燥ゲル複合材料を示す図である。
図5図5は、セグメント化エアロゲル/繊維複合材料をパネル化してボードストック(Board stock)にすることを示す図である。
図6図6は、セグメント化繊維強化シートおよびゲル前駆体から出発する剛性パネルの製造を示す図である。
図7図7は、繊維強化材の長さに沿って、セグメント・サイズが徐々に変化する繊維強化材の他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、エアロゲルおよびエアロゲル様材料に基づくロール型絶縁製品の製造に関する。極めて低い密度、高い表面積、良好な光、熱、および音響特性を呈するエアロゲルが種々の用途のために研究されている。しかしながら、エアロゲルは固有の欠点、例えば弱さおよび脆性を有している。種々のタイプの補強材を用いて、強度、可撓性、および他の重要な特性をエアロゲルに加えることができる。ルーズな繊維または不織布繊維シートをゲル前駆体に加え、これを組合せた状態でゲル化することによってゲルシートを形成し、ゲルシートをエージングし、そして形成されたゲルシートを乾燥させて、繊維強化型エアロゲル複合材料を形成することができる。
【0020】
極めて低い密度、高い表面積、良好な光、熱、および音響特性を呈するエアロゲルは、このような必要性、およびこれらの特性が有利となるような他の必要性に取り組むために以前から使用されている。しかし、エアロゲルは固有の欠点、例えば弱さおよび脆性を有している。とりわけ高い透明性および疎水性を有するエアロゲルを形成すると、脆性はより深刻になり、ひいてはこれらは取り扱いが難しくなり、亀裂を避けるために流体乾燥のための長いサイクル時間が必要となる。
【0021】
低密度エアロゲルの弱さおよび脆性は特に、生産スケールアップに不都合な影響を及ぼし、大規模製造を制限する。加えて、密度がより低いエアロゲルは最良の透明性を有し得るが、しかし熱伝導率が高くなり、ひいては絶縁性能が悪くなる。
【0022】
エアロゲルの脆弱な構造(低い密度および高い多孔性)はまた、凹凸のある表面に整合させること、または動的条件、例えばガラス間のサンドイッチ時において完全性を維持することにいくつかの困難をもたらし、ガラスとエアロゲルとの間の異なる熱膨張率が圧縮力を引き起こす。従って、可撓性、圧縮性、完全性、耐久性、強度、並びに焼結、ダスティング、および亀裂形成(cracking)に対する耐性が全て、エアロゲルおよびエアロゲル複合材料において潜在的に改善の余地がある。
【0023】
これらの問題点に対処し、エアロゲルの驚くべき特性を材料としてより充分に利用するためにエアロゲルおよびエアロゲル複合材料を改善しようと、数多くの試みが為されている。いくつかの特許明細書、例えば欧州特許第0489391号明細書、および米国特許第6,136,216号;同第5,691,392号;同第6,040,375号;および同第6,068,882号の各明細書には、発泡体および粒子状エアロゲルを含む複合材料を形成しようとする試みが記載されている。他の明細書、例えば米国特許第4,966,919号;同第5,037,859号;同第5,972,254号;同第5,973,015号;および同第6,087,407号の各明細書;および米国特許出願公開第2002/0094426号明細書には、発泡体を含むまたは含まない他のエアロゲルまたはエアロゲル複合材料が記載されている。いくつかの明細書、例えば米国特許出願公開第2005/0192367号明細書および米国特許出願第11/392,925号明細書には透明なエアロゲルまたはエアロゲル複合材料が記載されている。
【0024】
本発明の態様の文脈では、「エアロゲル」または「エアロゲル材料」はそれぞれの単数形とともに、広義では分散媒として空気を含有するゲルであって、例えば超臨界流体、臨界未満条件の流体を使用して乾燥させたゲル、僅かに高い圧力、高温で乾燥させたゲル、凍結乾燥技術を用いて乾燥させたゲル、およびこれらの組み合わせを含むゲルを意味し、また狭義では超臨界流体で乾燥させてゲルを意味する。エアロゲルの化学組成は無機、有機(ポリマーを含む)またはハイブリッド有機-無機であり得る。無機エアロゲルは、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、ハフニア、イットリア、セリア、炭化物および窒化物を基剤としてよい。有機エアロゲルは、例えばウレタン、レゾルシノールホルムアルデヒド、ポリイミド、ポリアクリレート、キトサン、ポリメチルメタクリレート、オリゴマーのアクリレート群の員、トリアルコキシシリルを末端とするポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリブタジエン、メラミンホルムアルデヒド、フェノールフルフラール、ポリエーテル物質群の員、またはこれらの組み合わせを含む化合物を基剤とし得る。有機-無機ハイブリッド・エアロゲルの一例としては、シリカ-PMMA、シリカ-キトサン、シリカ-ポリエーテル、または場合によっては上述の有機および無機化合物の組み合わせが挙げられる。米国特許出願公開第2005/0192367号明細書および同第2005/0192366号明細書は、このようなハイブリッド有機-無機材料について広範に教示しており、これらは全体的に参照することによって本明細書中に組み入れられる。
【0025】
本発明に適用可能なエアロゲルは、繊維構造によって強化されるこのようなエアロゲルを含む。このような強化材はエアロゲル構造に強度および可撓性をもたらす。米国特許第6068882号、同第6087407号、同第6770584号、同第5124101号、同第5973015号、同第6479416号、同第5789075号、同第5866027号、同第5786059号、同第5972254号、同第4363738号、同第4447345号、国際公開第9627726号パンフレット、米国特許出願公開第2002/0094426号明細書、同第2003077438号明細書、日本国特許第8034678号公報、英国特許第1205572号明細書は、本発明の態様とともに実施することができるエアロゲル材料のいくつかを教示している。これらの文献は、このような可撓性エアロゲル材料の製造方法を教示するために少なくとも部分的に参照することにより、本明細書中に組み入れられる。可撓性エアロゲルは、ブランケットまたは薄いストリップである形状因子を有することもできる。本発明の態様の多くはエアロゲル複合材料のコーティングに焦点を当てているが、これらは他のエアロゲル形態のコーティングのために用いることもできる。
【0026】
繊維強化材は、適切に使用されると、可撓性のエアロゲル材料をもたらす。エアロゲル材料のこのような可撓性は、前記エアロゲル材料を既存材料の当座の代わりのものにし得る種々の用途において望ましい。しかし可撓性はエアロゲル構造に損傷を招くこともある。これはエアロゲル材料の他の重要な特性に影響を及ぼすことはないかもしれないが、これは物理的取り扱いを厄介にするおそれがある。本発明はその態様の多くにおいて、このような損傷の影響を最小限に抑え、更に損傷されたこのような材料が材料マトリクスから移動するのを防止する。従って、このようなエアロゲル材料の表面上でエアロゲル粒子状材料に関連して結果として生じるいかなる機械的取り扱い問題も、本発明の方法によって回避され、著しく軽減される。いくつかの態様においては、本発明は剛性複合材料およびパネルの製造を可能にする。
【0027】
既存の住宅、建造物、および構造物を、高い耐熱性を有する絶縁材で改造すると、エネルギー消費量および相応するCO2排出量を著しく低減し得ることが判明している。従って、建築・建設市場のためのエアロゲル系絶縁材料を開発することが強く望まれている。中空壁および/又はロフト付き屋根裏用の絶縁に関連しない用途の場合、このような市場の好ましい製品は剛性パネルである。例えば、建造物の多くの内装および外装の改造は、可撓性でないボードストック、例えば鉱物ウールまたはEPS発泡体の設置を伴う。過去10年間にわたって、目下市販されているものよりもR値が高い熱絶縁材を用いて剛性パネルを製造することに新たな関心が寄せられている。高性能エアロゲル系絶縁材は特に興味深い。繊維強化型エアロゲル絶縁材は現在、10mmを超えない厚さの可撓性の耐久性複合ブランケットとして商業的に大量に入手可能である。厚さがより大きい剛性ボードを製造するために、これらの材料からなる複数の層が接着剤によって積層されるのが典型的である。可撓性エアロゲル系絶縁材は必然的にロール型物品として製造されるので、これはある程度の巻き欠陥を、よじれ、うねり、および/又は厚さ変動の形で有する場合があり、従ってこれらの問題に対処するために、広範なプロセス・品質管理の採用が必要である。これらの欠陥の存在は、可撓性エアロゲル材料を積層して剛性ボードストックを形成するのを困難にする。表面欠陥を有するエアロゲル絶縁材の個々の層は、積層プロセス中にそれぞれの個別層を完全に表面一致させることができないため、表面結合を不完全にしてしまう。このように製造されたパネルは数多くのボイドおよび欠陥を含む場合があり、これらのボイドおよび欠陥は機械強度だけでなく熱性能全体にも影響を及ぼす。したがって、主として巻き取りおよび巻出しによって加えられる応力、ロール型物品の製造に典型的に付随する応力に起因するこれらの材料の表面欠陥を排除することが大いに必要である。可撓性複合エアロゲル絶縁材の製造に付随する巻き取り・巻出しプロセスはまた、これらの複合材料の強化材として剛性繊維系材料を使用することを困難にする。ロール型物品製造の巻き取り/巻出しプロセスを持続すると、バインダ含有率が高い繊維材料および/又は剛性材料は、層間剥離、よじれおよび/又は裂けの形態の大量の欠陥を被ることになる。経済性が著しく改善されるという理由から、可撓性エアロゲル絶縁材の生産のために、バインダー含有率が高い低コストの繊維強化材を使用するのを可能にすることが強く望まれる。現時点では、これらのタイプの強化材料はあまりにも剛性が高いので、半径の小さなマンドレルに巻き付けると必ず、折れ、裂けおよび層間剥離の存在下で不整合をもたらすことになる。従って、巻き取りに伴う損傷をもたらすことなしに、このような材料を巻き取り、続いてエアロゲル処理を施し得るプロセスを開発することが必要である。本特許出願の目的上、剛性パネルとは、実用的な設置可能表面積(0.1~10m2)を備えたパネルであって、パネルの実際の取り扱いおよび設置を妨害するほどに曲がることなしに、その自重を保持する能力を有するパネルを意味する。非剛性の平面的材料を他の剛性材料に取り付けることによって剛性パネルを形成することはできるものの、上記に定義した剛性パネルはこのような取り付けの組み合わせを排除する。本発明の剛性パネルは、接着剤または他の手段を介して取り付けられた、上述のように剛性の1つまたは2つ以上のゲル複合層に焦点を当てている。
【0028】
本発明はまた、剛性が高められた低コストの繊維基板またはオープンセル発泡体基板を使用してフラットパネル・エアロゲル系ボードを製造する効率的な方法を記載する。このような基板には、ロール型物品形態を成すゲル複合材料を製造する際に関与する種々のプロセスのための円筒形容器内で行われる標準的な処理を通常は施しにくい。容器を効率的に利用するためには、円筒形容器の容積を最大化し、そして生産に付随する固定費を軽減するように、ロール型物品形態を成す繊維強化型エアロゲル材料を製造することが必要となる。従って、エアロゲルを強化するために使用される繊維強化材は、巻き取りおよび巻出しに耐えるのに充分な可撓性を有する必要がある。過剰な剛性を有する材料および/又は高いバインダー含有率を有する材料は通常は良好に作用することはなく、典型的には折れ、よじれ、層間剥離、および裂けの形態の過剰な欠陥を有するエアロゲル複合材料を製造することになる(図1)。従って、このような剛性強化材を使用して形成される最終製品からは建築・建設用途にとって好ましい製品形態であるフラットパネル・ボードストックを生産しにくい。このような製品中の過剰な量の欠陥は熱性能、材料完全性を低下させ、製作プロセスを著しく複雑にしてしまう。
【0029】
我々が見いだしたのは、剛性の不織布繊維強化材またはオープンセル発泡体強化材を長手方向(ブランケットの幅方向)にセグメント化すると、層間剥離またはよじれを最小限にしか伴わずに製品を巻き取り/巻出すのに充分な可撓性を可能にすることである。他の態様においては、ブランケットの一方の側に対向シートを一体化することによって付加的な引張り強度を提供する。セグメント化不織布ブランケットは種々の方法によって調製することができる。これらの方法は不織布の厚さの一部にわたって切り込みを入れる(スコアリングする)こと、対向シートに別々のセグメントを取り付け、ひいては対向シートによってつなぎ合わされたセグメント化シートを形成すること、不織布シート全体を通して切り込みを入れ、これに対向シートを取り付けること、または当業者に知られた任意の他の実用的な方法を含む。セグメント化およびスコアリング(切り込みを入れる)という用語はこの文献においては、セグメントが対向シートによって一緒に保持されるセグメント化シートを形成するプロセスを意味するために互いに同様に使用される。他の態様においては、スコアリング(カッティング)をシートの厚さ未満に対して実施して、セグメント化シートがまだ1つのピースであるようにし、切り込みプロセスによってカットされていない厚さ部分によって一緒に保持されるようにする。切り込み付き不織布シートは市場で入手可能である。その一例は、Isolparma S.r.I.のIsoroll MWという鉱物ウール不織布である。このセグメント化不織布シートは、繊維強化型エアロゲル複合材料製造プロセスおよび後続の剛性パネル製作を通して対向シート/ベールによって支持される(図2および図6の模式図参照)。不織布繊維強化材は円筒形状に効率的に巻き取ることができ、これから製造されたゲル注入シートを、損傷がほとんどまたは全くない状態で巻出してフラットボード様形状にすることができる。このことはフラット・コンベヤベルトを使用して湿潤ゲル/繊維複合材料を効率的にキャスティングし、最終湿潤ゲル複合材料を巻き取るのを可能にし、これにより、円筒形容器の使用を伴うプロセスを効率的に利用することが可能になる。或いは、セグメント化不織布シートを、その主要な面に他の不透過層が隣接している状態で予め巻き取り、ゲル前駆体を巻き取り軸に沿って繊維マトリクス中に注入し、続いてゲル形成後に巻出して更に処理することによって、乾燥セグメント化ゲル複合材料を製造することもできる。より重要なのは、円筒形に製造されたゲル複合材料内の隣接セグメント間で視認できるエアギャップのほとんどは、巻出してフラットなストックにしたときには事実上消え、典型的なエアロゲル/繊維複合材料の熱性能が維持されるのを保証することである。最終材料を巻出して完全に近いフラットパネルにすることができ、建築・建設用途に適した剛性パネルまたはエアロゲル系ボードの効率的な生産を可能にする。驚くべきことに、そして予期せぬことに、(湿潤または乾燥ゲルとして)巻き取ると、ギャップ、すなわち2つの隣接セグメントの間のギャップが湿潤または乾燥ゲルを粉砕することなしに、きれいな線状にゲルを分離する。本発明において記載されたゲル前駆体から形成されたエアロゲルおよび他の乾燥されたゲルは脆弱な材料であり、これは応力を加えられると亀裂を形成して粉砕されやすい。しかし我々がここで見いだしたのは、乾燥されたゲルをギャップのところできれいな線状に割ることができ、従って続いて巻出したときにゲルがほぼ平面状の面を形成することである。このことはフラットパネルの効率的な製造を可能にする。更に、個々のセグメントは巻き取りおよび巻出しを施しやすいにもかかわらず、なおも剛性である。このセグメント剛性は、製造されたこのような繊維強化型ゲル複合材料シートのうちの2つまたは3つ以上を有する剛性パネルを、種々様々な接着剤、非接着性の機械的ファスナー、製造された複合材料のニードリング、または外部繊維による縫合を用いて製造するのを可能にする。
【0030】
我々は、長さ36”(インチ)(91.44cm)および幅8”(20.32cm)のエアロゲル複合材料の小スケールのロールを製造することにより本発明を実際のものにした。具体的には我々はセグメント化ロータリーガラス系グラスウール・シートと、市販されている鉱物ウール・シートとを使用して、ゲル複合材料をロール物品プロセスで製造した。不織布・ゲル複合材料を直径6”(15.24cm)のマンドレルに巻き付けた。標準的なシリカ・エアロゲル前駆体(テトラエトキシシランおよびその誘導体)を用いて、(その長さに沿って1(2.54cm)または2”(5.08cm)のインターバルでスコアリングまたはセグメントされた)このグラスウール・シートから湿潤ゲル複合材料を製造し、続いてこの複合材料を12分間のシネレシス後に6”(15.24cm)直径の周りに巻き付けた。巻き取り後、湿潤ゲルは切り込みのところできれいに割れる(またはセグメント化する)ことによって、可撓性を可能にし、しかも繊維/エアロゲル・セグメントの完全性を維持した(図4)。或いは、セグメント化繊維バッティングまたはセグメント化オープンセル発泡シートを円筒形に巻き取り、円筒形容器内に入れ、そしてゲル前駆体を繊維またはオープンセル発泡体マトリクス中に注入または含浸し、続いてこのような合体状態でゲル化してもよい。真空または加圧を用いて、繊維バッティングまたはオープンセル発泡体にゲル前駆体を注入または含浸するのを容易にすることができる。
【0031】
巻き取られた湿潤ゲル/繊維複合材料は今や、エージング、洗浄、および超臨界CO2抽出のために円筒形容器内で処理しやすくなり、また円筒形容器の容積を最大化するための理想的な形状となる。超臨界CO2抽出、または本出願において他のところで論じられている他の乾燥技術による溶媒の除去後、材料は、巻出してフラットなストックにするのに充分な可撓性を維持する。セグメント化されていない同じタイプのグラスウールで製造されたエアロゲル複合材料とは対照的に、セグメント化グラスウール・シートを使用すると、巻き取りおよび巻出し工程に付随するいずれの材料欠陥も著しく低減/排除される。セグメント化ゲル複合材料は可撓性を維持するので、巻出してパネル化することによって、ボードストックを形成することができる(図4,5および6)。
【0032】
セグメント化エアロゲル/繊維複合材料から、無機または有機接着剤を使用してフラットなボードストックを製造できることも我々は実証に成功した。具体的に述べるならば、我々はケイ酸カリウム接着剤と2つのセグメント化エアロゲル/繊維複合材料層とを使用してプロトタイプを製造した。未加工の繊維強化材における対向シートの本来の目的は、改善された引張り強度および繊維のセグメントのための支持体を提供することであるが、しかし我々は更に、このような対向シートを今や外方に配向することによって、最終エアロゲル・ボードストックのためのある程度のダスト封じ込めを可能にすることを見いだした。
【0033】
高い圧力の使用を伴うエアロゲル製造プロセスは円筒形圧力容器を必然的に伴う。エージングまたは洗浄のような低圧工程も円筒形容器を使用すると効率的に行われる。流体の取り扱いは、他の形状の容器よりも円筒形容器内で容易に行われる。円筒形容器を最大限に利用するために、可撓性ゲル複合材料が円筒様形状を成し、ひいては利用可能容積の100%近くまで容器を満たすように、可撓性ゲル複合材料を処理しなければならない。これを達成するために、エアロゲル複合材料の繊維強化材は、巻き取りおよび巻出しに耐え得るようにしなければならず、また3~18インチ・オーダー(7.62cm~45.72cm・オーダー)の小さな半径まで失敗なく整合しなければならない。本発明は、充分に剛性の不織布繊維強化材、または典型的にはエアロゲル/繊維複合材料を製造するための強化材として使用されるべきかなりの量のバインダーを含有する不織布繊維強化材を可能にする。これらの不織布材料は他のタイプの不織布(すなわちニードルパンチ型)よりも典型的には低コストなので、本発明は、繊維強化型ゲル複合絶縁材のコストを著しく低くすることができる。
【0034】
他の態様においては、セグメント化不織布補強材から剛性パネルを形成するための統合プロセスが提供される(図6)。セグメント化不織布シート(1)を、運動中のコンベヤベルト上に巻出し、巻出された不織布の上面に液状ゲル前駆体を塗布して不織布中に注入させておくことにより、コンベヤベルトの移動中にゲルシートになるようにする。コンベヤベルトの端部で、ゲル注入済の不織布(湿潤ゲル複合材料シート)をマンドレル(2)に巻き付ける。このロールは、セグメント間のギャップを視認できる状態で示すことができる。こうして巻き取られた湿潤ゲル複合材料を容器に移すことにより、エージングが行われるのを可能にし、その結果、種々の所望の強度および他の特性を備えたゲル複合材料をもたらす。場合によっては、ロールを溶媒で洗浄してもよく、更に他の態様においては疎水性物質で処理することにより表面疎水性を与えてもよい。続いて周囲圧力、臨界未満、超臨界二酸化炭素乾燥を含む種々の方法を用いてロールを乾燥させる。乾燥されたゲルは場合によっては炉を通過させて、残留溶媒または水を更に除去してもよい。こうして乾燥させた2つの複合ロールを、図5(下)に示されているように巻出し、シートのセグメント化側が接着剤(5)で塗布されるようにする。接着剤は有機または無機接着剤であってよい。接着剤の塗布後、ロールを接合して一対の回転ニップローラ間に通し、ここで2つのゲル複合層は押し合わされる。使用される接着剤、およびシートを剛性パネル(6)にするために必要な圧縮力に応じて、この構成に付加的なニップローラ(4)を加えてもよい。こうして形成された剛性パネルを所望のサイズにカットし、出荷またはさらなる検査のために包装し、そして必要に応じてこれに更なる処理または乾燥を施すことができる。
【0035】
他の態様においては、セグメント化繊維強化シートは、長さに沿ったセグメントのサイズが一様でないように調製することができる。具体的に述べるならば、セグメントのサイズを徐々に増大させることができる。このことは、巻き取りが曲率半径を徐々に増大させるこのような強化シートから調製されたゲルシートを巻き取るのを助ける。この態様を示すセグメント化繊維強化シートが図7に示されている。
【0036】
他の態様においては、セグメント化繊維強化シートを使用する代わりに、セグメント化されていない、または部分的にセグメント化された強化シートを使用して、ゲルシート形成後にセグメント化できるゲルシートを形成してもよい。この場合、剛性または中程度に剛性の繊維強化シートをゲル前駆体と組合せ、ゲルシートとしてゲル化させておくことができる。このようなゲルシートをスコアリング(またはカッティング)して、ゲルシート内にセグメント化領域が形成されるようにすることができる。このセグメント化ゲルシートは巻き取り時には、セグメント化繊維強化材から形成されたセグメント化ゲルシートと同様に挙動する。或いは、セグメント化繊維強化材を使用するときにも、これをゲルシートにした後でスコアリングまたはカッティング工程を採用することにより、セグメント・ギャップのきれいなエッジを得ることができる。
【0037】
本発明において有用なシート形態のセグメント化強化材はいくつかのタイプを有していてよい。連続する繊維で形成されたいくつかのタイプの不織布、またはチョップドファイバーを使用してよい。チョップドファイバーを使用する場合、いくつかの態様においては、不織布がバインダーを含有してよい。他の態様においては、本発明において有用な不織布シートにニードルパンチを施すことにより、フェルト様材料を形成することができる。上記材料は、ナイフ、ホットナイフ、鋸刃、または当業者に知られた他のスコアリング技術を用いて厚さ方向に切り込みを入れることによってセグメント化することができる。本発明の繊維強化材を調製するのに有用な繊維は、鉱物ウール、グラスウール、繊維ガラス、ポリエステル、ポリオレフィンテレフタレート、ポリ(エチレン)ナフタレート、ポリカーボネート、およびレーヨン、ナイロン、綿系ライクラ(DuPont製)、炭素系繊維、例えばグラファイト、炭素繊維のための前駆体、例えばポリアクリロニトリル(PAN)、酸化PAN、非炭化(uncarbonized)熱処理PAN(例えばSGL carbon製のもの)、繊維ガラス系材料、例えばSガラス、901ガラス、902ガラス、475ガラス、Eガラス、シリカ系繊維、例えば石英、quartzel(Saint-Gobain製)、Qフェルト(Johns Manville製)、Saffil(Saffil製)、Durablanket(Unifrax製)、および他のシリカ繊維、ポリアラミド繊維、例えばKevalr, Nomex, Sontera (全てDuPont製)、Conex (Taijin製)、ポリオレフィン、例えばTyvek(DuPont製)、Dyneema(DSM製)、Spectra(Honeywell製)、他のポリプロピレン繊維、例えばTypar、Xavan(両方ともDuPont製)、フルオロポリマー、例えばPTFE{商品名Teflon(DuPont製), Goretex(GORE製)}、炭化ケイ素繊維、例えばNicalon(COI Ceramics製)、セラミック繊維、例えばNextel(3M製)、アクリルポリマー、ウール、絹、麻、皮革、スエードの繊維、PBO-Zylon繊維(Tyobo製)、液晶材料、例えばVectan(Hoechst製)、Cambrelle繊維(DuPont製)、ポリウレタン、ポリアミド、木質繊維、ホウ素、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼繊維、および他の熱可塑性材料、例えばPEEK、PES、PEI、PEK、PPSおよびこれらの組み合わせを含む。
【0038】
本発明に記載された繊維材料に加えて、発泡材料、および具体的な態様においては剛性発泡ボードを、対向シートを使用してセグメント化シートにし、そして本出願に記載された技術を用いて処理し、このように製造されたゲル発泡体剛性複合材料シートは更に上記のような剛性パネルにすることができる。他の態様においては、発泡材料は開放孔発泡体であってよい。
【0039】
一般には、本発明において有用なゲル前駆体は、重合時にゲル・ネットワークを形成するゾルゲル法と適合性を有する金属酸化物を含む。使用されるシリカ前駆体は、例えばアルコキシシラン、部分加水分解アルコキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、部分加水分解TEOS、TEOSの縮合ポリマー、テトラメトキシシラン(TMOS)、部分加水分解TMOS、TMOSの縮合ポリマー、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシランの部分加水分解および/又は縮合ポリマー、およびこれらの組み合わせから選択することができる。より一般的な商業的に入手可能なシリカ前駆体のいくつかはTEOS、部分加水分解ポリエチルシリケート、およびポリエチルシリケートである。ゲル形成前のいずれかの時点に、充填剤をゲル前駆体溶液中に定量分配してよい。ゲル形成は、溶液(または混合物)が流れ抵抗を呈し、且つ/またはその体積全体にわたって連続的な重合ネットワークを形成する時点と見なすことができる。充填剤と前駆体とを含む混合物は、ゲル形成を助成する均質溶液であることが好ましい。シリカ系前駆体に加えて、ジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリアの前駆体が有用である。更なる態様においては、有機前駆体、例えばポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、およびアガロース、および上記の組み合わせを本発明におけるゲル前駆体として使用してよい。加えて、上記種の種々の組み合わせを有する有機-無機ゲル前駆体を使用してもよい。
【0040】
本明細書中で使用するのに適した溶媒は、例えば、炭素原子数6、好ましくは2~4の低級アルコールを含むが、当業者に知られている他の溶媒を使用することもできる。典型的に使用される好ましい溶媒はエタノールである。他の有用な溶媒の例としては、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。もちろん、所望のレベルの分散体または溶媒を得るために、所定のゲル前駆体/充填剤システム、または複数溶媒アプローチが必要になることもある。
【0041】
一般に、充分な時間にわたって混合物を静止状態で維持すること、溶液のpHを変化させること、所定の形態のエネルギーを混合物上に導くこと、またはこれらの組み合わせによってゲルを形成することができる。模範的なエネルギー形態は、制御された電磁束(紫外線、可視光、赤外線、マイクロ波)、音響(超音波)、粒子放射線を含む。本発明において、ゲル前駆体を本発明のセグメント化強化材と組み合わせた後、ゲルが形成される。
【0042】
架橋の数を増大させてゲル構造を更に強化するために、乾燥前にゲルを更にエ-ジングしてもよい。この処置は、乾燥中の潜在的な体積損失を防止するか、または単により強力な最終ゲルを得るのに役立つ。エージングは、(乾燥前の)ゲルを長時間にわたって静止状態に維持すること、ゲルを高温で維持すること、架橋促進化合物を加えること、またはこれらの任意の組み合わせを伴うことができる。エ-ジング時間は約1時間~数日間を必要とするのが典型的である。好ましい温度は通常約10℃~約100℃である。加えて、表面疎水性付与剤、例えばヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルエトキシシラン、メチルエトキシシラン、メチルメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシランを使用して、ゲル/繊維複合材料を疎水性することができる。このような物質は溶媒、例えば前の工程で使用された溶媒と混合し、上記エ-ジング工程中に巻き取り済ゲルシートを貫流させることができる。
【0043】
乾燥はエアロゲルの特性、例えば材料熱伝導性に影響を与える多孔率および密度を工学的に作り出す上で重要な役割を果たす。今日まで、数多くの乾燥方法が研究されている。米国特許第6,670,402号明細書に開示された、超臨界CO2を使用して湿潤ゲル内部の溶媒を急速に溶媒交換することを介して行われる乾燥は、エアロゲルを製造するために実質的に超臨界条件まで、またはこれを上回る条件まで予熱され予加圧された抽出器内に、液体CO2ではなく超臨界CO2を注入することによって行われる。米国特許第5,962,539号明細書に記載された、有機溶媒中でゾルゲルの形態を成す高分子材料からエアロゲルを得る方法は、ポリマー分解温度未満の臨界温度を有する流体に対して有機溶媒を交換し、そして流体/ゾルゲルを超臨界乾燥させて行われる。米国特許第6,315,971号明細書に開示されたゲル組成物製造方法は、ゲル固形物と乾燥剤とを含む湿潤ゲルを乾燥させて、乾燥中のゲルの収縮を最小限に抑えるのに充分な乾燥条件下で乾燥剤を除去することを含む。また、米国特許第5,420,168号明細書には、シンプルな空気乾燥処置を用いてレゾルシノール/ホルムアルデヒドエアロゲルを製造する方法が記載されている。最後に、米国特許第5,565,142号明細書(参照することにより本明細書中に組み込まれる)には、臨界未満の乾燥技術が記載されている。本発明の態様は、上記技術のいずれかを用いた乾燥とともに実施することができる。いくつかの態様においては、乾燥は真空ないしは超臨界未満の圧力(何らかの時点においてゲル中に存在する流体の臨界圧力を下回る温度)で、場合によっては表面改質剤を使用して実施される。他の態様においては、乾燥は超臨界CO2を使用して達成される。こうして乾燥させられたゲル/繊維複合材料を、高温の炉に通すことによって更に乾燥させることもできる。
【0044】
本発明の種々の態様において、ゲル形成前に、種々の性能向上添加剤をゲル前駆体に添加してよい。これらの性能向上添加剤は、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせを含む。
【0045】
なお、本発明の種々の態様は強化型エアロゲル系複合材料を形成する方法および技術を記載してはいるものの、同じ方法を用いて、液状または半液状出発材料から形成される他の材料を基剤として強化型複合材料を製造してもよい。例えば、溶融ポリマーまたはモノマーまたはオリゴマーで出発して強化型プラスチックまたはポリマー材料を形成し、そしてこれを本発明の強化材と組合せることによって、強化型複合材料を製造することができる。本発明において開示された充填剤および他の材料をこのような複合材料に同様に添加してもよい。このような非エアロゲル複合材料は、エアロゲル自体ほどには固有に脆弱ではないので、形成または取り扱いがより容易であり得る。他の例は粒子状シリカ材料であり、または繊維バッティングまたはオープンセル発泡体マトリクス中に、液状媒質、例えばポリマーまたは他のゾルゲル材料を通してヒュームド・シリカ材料を組み込むことができ、その結果得られる複合材料は、ここに記載したエアロゲル複合材料以上の利点を有することになる。
【0046】
なお、本発明の種々の態様の全てにおいて、オープンセル発泡シートを繊維強化型バッティング・シートの代わりに使用してよい。このことは、このようなオープンセル発泡体を基剤とする態様が明示されるかどうかとは無関係であり、全てのこのような態様は、オープンセル発泡シートが繊維バッティングまたはマットの代わりに使用され、またはこれとともに機能し得ると理解されるものとする。更に、バッティングに言及する場合には、これは、実質的にシート状またはフラットな形の繊維形態のいずれをも含んでよく、その一例としてはバッティング、ウェブ、マット、およびボードなどが挙げられる。
【0047】

例1:下記例は、本発明によるセグメント化ゲル/繊維複合材料およびエアロゲル系剛性パネルの調製および性能を示す。カッティング深さが元の厚さの90%以上となることを目標としたカスタムメイドのカッティング・ジグと、万能ナイフまたは自動回転工具とを組み合わせて使用して、対向シートが一体化された商業的に入手可能なグラスウール不織布シートを正確に長手方向にセグメント化した。この方法を用いて、36”×8”(91.44cm×20.32cm)のセグメント化グラスウール・シートを、1”および2”(2.54cmおよび5.08cm)のセグメントの両方を有するように製造した。所要量の可溶性シリカ源(すなわち加水分解テトラエトキシシランおよびその誘導体を含むゾル)と縮合触媒である水性水酸化アンモニウムとを組合せ、水平/フラットな形態を成すグラスウール不織布シートに浸透させておいた。15分間のシネレシス後、ゲル/繊維複合材料を直径6”(15.24cm)のマンドレルに巻き付けた。このような複合材料の巻き取りは、セグメント・ギャップが巻き取り中にマンドレルとは反対に向くことを保証することによって行った。このようにすると、それぞれのセグメントに沿ってギャップが形成されるので、巻き応力が軽減された。次いで、円筒形状を成すゲル/繊維複合材料に所定の時間にわたってエ-ジングを施した。エ-ジングの際には、ロール型複合材料を水酸化アンモニウムの高温エタノール溶液、およびアルキル基とシリル基とを含有する疎水性物質(ヘキサメチルジシラザン)に曝露した。エ-ジング後、ロール型複合材料を円筒形圧力容器に移し、次いで超臨界CO2抽出を用いて乾燥させて溶媒を除去した。
【0048】
次いで、複合材料を熱処理することによって、残留湿分および/又は揮発分を除去した。次いで材料を、フラットな形態を成すように水平方向に巻出した。複合材料を巻出した後で熱処理を施してもよい。複合材料を巻出した後、有機系接着剤(Spray 78 またはFastBond)を公称被覆重量20~40g/m2で(エアロゲル側に)噴霧塗布した。次いで、同様に処理された第2のセグメント化ゲル/繊維複合材料片を第1片に取り付け、この場合、セグメントが互い違いに位置するように、そして対向シートが接合面とは反対に向くようにした。次いで、材料に短時間の圧縮応力(<0.25PSI(1723.69Pa))を施すことにより、完全一致および接着剤の硬化を保証した。次いで圧縮応力を軽減し、結果として得られた剛性パネルの熱伝導率を特徴付けした。下記表は、2psi(13789.52Pa)という僅かな圧力下で2種の異なる温度でこうして形成された剛性パネルの測定熱伝導率を示している。
なお、下記表において、「1”」は「2.54cm」、「2”」は「5.08cm」である。
【0049】
【表1】
【0050】
例2:繊維強化材を含有するバインダーと軽量対向シートとの任意の組み合わせを用いて、上記のセグメント化繊維強化材を製作することもできる。例えば、Knauf Batt Insulation(バット絶縁材) (0.5”(1.27cm),2 1b/ft3(32kg/m))および密度10g/m2のガラスベール対向シートを使用して、エアロゲル製造に適した一連のセグメント化繊維強化材を製造した。これらの繊維強化材は2工程プロセスを用いて製作した。2工程プロセスは、アクリル系接着剤(Fastbond)を使用して繊維ガラスバットの一方の側に対向シートを、絶縁バットの全長に沿って最初に積層し、続いて、万能ナイフおよび/又は自動回転工具を使用して元の厚さの90%以上まで正確な長手方向セグメント化をこれに施すことを伴った。長手方向セグメント化は、積層された対向シートを無傷のままにするように実施した。セグメント化長さは1インチ~6インチ(2.54cm~15.24cm)であった。
【0051】
このようなプレハブ型セグメント化材料を使用して、12インチ×24インチ(30.48cm~60.96cm)の一連のエアロゲル複合材料を水平形態で調製した。所要量の可溶性シリカ源(すなわち加水分解テトラエトキシシランおよびその誘導体を含むゾル)および好適な縮合触媒を、2インチ(5.08cm)のセグメント化インターバルでプレハブ型繊維強化材に浸透させておいた。15分間のシネレシス後、ゲル/繊維複合材料を直径6”(15.24cm)のマンドレルに巻き付けた。このような複合材料の巻き取りは、セグメント・ギャップが巻き取り中にマンドレルとは反対に向くことを保証することによって行った。このようにすると、それぞれのセグメントに沿ってギャップが形成されるので、巻き応力が軽減された。次いで、円筒形状を成すゲル/繊維複合材料に所定の時間にわたってエ-ジングを施した。エ-ジングの際には、ロール型複合材料を水酸化アンモニウムの高温エタノール溶液、およびアルキル基とシリル基とを含有する疎水性物質(ヘキサメチルジシラザン)に曝露した。エ-ジング後、ロール型複合材料を円筒形圧力容器に移し、次いで超臨界CO2抽出を用いて乾燥させて溶媒を除去した。次いで、複合材料を熱処理することによって、残留湿分および/又は揮発分を除去した。次いで乾燥されたエアロゲル材料を、フラットな形態を成すように水平方向に巻出した。複合材料を巻出した後、有機系接着剤(Minneapolis, MN在、3Mから入手可能なSpray 78 またはFastBond)を公称被覆重量20~40g/m2で(エアロゲル側に)噴霧塗布した。次いで、同様に処理された第2のセグメント化ゲル/繊維複合材料片を第1片に取り付け、この場合、セグメントが互い違いに位置するように、そして対向シートが接合面とは反対に向くようにした。次いで、材料に短時間の圧縮応力(<0.25PSI(1723.69Pa))を施すことにより、完全一致および接着剤の硬化を保証した。次いで圧縮応力を軽減し、結果として得られた剛性パネルの熱伝導率を特徴付けした。下記表は、2種の異なる平均試験温度で4部製造される剛性パネルの測定熱伝導率を示している。熱伝導率測定は、材料に2psiという僅かな圧力を加えて行った。
【0052】
【表2】
【0053】
例3:不連続な繊維強化材片を適宜の軽量対向シートに積層することにより、プレハブ型セグメント化強化材を製造する。広範な材料、例えば鉱物ウールスラブ、繊維ガラスバット、または剛性オープンセル発泡体を長手方向にカッティングして、1”~6”(2.5cm~15.24cm)の好ましいセグメント化インターバルで不連続片を形成し、次いでこれらを適宜の対向シートに積層することにより、上記例1のようなエアロゲル製造に適したセグメント化製品を製造する。例1~2において概要を述べた技術によって、このような強化材を使用してエアロゲル製品およびパネルを製造する。
【0054】
例4:例1~3に使用された軽量繊維対向シートの代わりに、化学的に適合性を有するポリマーフィルム/積層体を使用する。熱可塑性タイ層を有する積層体を連続的な繊維絶縁バットの一方の側にヒートセットし、続いて、元の厚さの90%以上の深さまで正確な長手方向セグメント化を施す。ポリマーフィルムは非水性または水性塗膜を付与することを介して塗布し、続いて適宜の硬化法を実施することによって、好適な厚さを有するほぼ連続的なポリマーフィルムを形成する。長手方向セグメント化をフィルム形成後に行い、これにより、例1~2において概要を述べた試験技術を用いて、エアロゲル製造に適したセグメント化繊維強化材を製造する。
【0055】
例5:約10mmを僅かに下回る厚さと約48インチ×144インチ(121.92cm~365.76cm)のサイズとを有する、商業的に入手可能な半剛性ポリウレタン発泡シートを、補強材として選択する。万能ナイフを使用して切り込みピッチ1インチ(2.54cm)で、シートの厚さに沿って幅方向に部分的に切り込みを入れる。この補強材は上記例2と同様に使用する。結果として得られた複合材料を巻出し、更にこの複合材料を、Fast Bondを使用して同様に形成された他の複合材料に取り付ける。その結果、強化型エアロゲル複合材料の剛性ボードまたはパネルが得られる。
【0056】
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態の例を記載する。
[実施形態1]
以下の工程を含む、セグメント化強化ゲル複合材料(composite)シートを製造する方法:
セグメント化繊維強化シートまたはセグメント化オープンセル発泡(foam)強化シートを含むセグメント化強化シートを与え(providing)、
該強化シートとゲル前駆体とを組合せ、
該組合せにおける前記前駆体をゲル化して、複合材料シートを形成し、
該複合材料シートを巻き取り(rolling);そして
該複合材料シートを乾燥させて、セグメント化強化ゲル複合材料シートを形成する。
[実施形態2]
前記乾燥された複合材料シートを巻出し、該複合材料シートの少なくとも1つの面に接着剤を塗布し、そして該複合材料シートを他の平面状の(planar)材料に取り付ける(attaching)工程を更に含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
更に、以下の工程を含む、実施形態1に記載の方法:
少なくとも2つの主要な(major)面および複数のセグメント化断面を備える実施形態1の乾燥された複合材料シートを与え、
前記複合材料の少なくとも1つの面に接着剤を塗布し;そして
前記複合材料を他の乾燥されたゲル複合材料シートに取り付ける。
[実施形態4]
前記セグメント化強化シートに、対向する(facing)層またはシートが取り付けられている、実施形態1~3のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態5]
前記対向層が繊維を含む、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
前記セグメント化強化シートが、不連続な繊維を含む繊維強化シートを含む、実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態7]
更に、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された添加剤を組み込む(incorporating)工程を含む、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態8]
前記セグメント化強化シートが繊維強化シートを含む前記方法であって;該方法が、前記繊維強化シートの繊維に少なくとも1種のバインダーを加える工程か、または少なくとも1種のバインダーを含む繊維強化シートを使用する工程を含む、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態9]
前記セグメント化強化シートの少なくとも1つのセグメントが剛性である、実施形態1~3のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態10]
前記ゲル前駆体が、ジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、およびアガロース、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む、実施形態1~9のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態11]
前記セグメント化強化シートが、鉱物ウール、グラスウール、繊維ガラス、ポリエステル、ポリオレフィンテレフタレート、ポリ(エチレン)ナフタレート、ポリカーボネート、およびレーヨン、ナイロン、綿系ライクラ(DuPont製)、炭素系繊維、炭素繊維のための前駆体、ポリアクリロニトリル(PAN)、酸化PAN、非炭化(uncarbonized)熱処理PAN、繊維ガラス系材料、Sガラス、901ガラス、902ガラス、475ガラス、Eガラス、シリカ系繊維、石英、quartzel(Saint-Gobain製)、Qフェルト(Johns Manville製)、Saffil(Saffil製)、Durablanket(Unifrax製)、ポリアラミド繊維、Kevlar(DuPont製),Nomex(DuPont製),Sontera(DuPont製)、Conex(Taijin製)、ポリオレフィン、Tyvek(DuPont製)、Dyneema(DSM製)、Spectra(Honeywell製)、ポリプロピレン繊維、Typar(DuPont製)、Xavan(DuPont製)、フルオロポリマー、PTFE、Teflon(DuPont製), Goretex(GORE製)、炭化ケイ素繊維、Nicalon(COI Ceramics製)、セラミック繊維、Nextel(3M製)、アクリルポリマー、ウール、絹、麻、皮革、スエードの繊維、PBO-Zylon繊維(Tyobo製)、液晶材料、Vectan(Hoechst製)、Cambrelle繊維(DuPont製)、ポリウレタン、ポリアミド、木質繊維、ホウ素、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼繊維、熱可塑性材料、PEEK、PES、PEI、PEK、PPS、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む繊維強化シートを含む、実施形態1~10のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態12]
前記接着剤が、カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態2~11のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態13]
前記乾燥ゲル複合材料シートの熱伝導率が、周囲条件で25mW/mK未満である、実施形態1~12のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態14]
前記複合シートの巻き取りが、前記セグメントの間に形成されたギャップが前記ロールの軸とは反対に向くように行われる、実施形態1~13のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態15]
セグメント化繊維強化シートまたはセグメント化オープンセル発泡体強化シートを含むセグメント化強化シートを含むセグメント化強化ゲル複合材料シートであって;該ゲルが、セグメント化強化シートの少なくとも1つのセグメント内で繊維または発泡(foam)にわたって連続しており、そして、少なくとも2つの隣接セグメント間に、該ゲルおよび繊維または該オープンセル発泡体の両方に不連続性が形成された状態で、少なくとも1つのギャップが存在している、セグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態16]
二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された充填剤を更に含む、実施形態15に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態17]
前記繊維中に少なくとも1種のバインダーを含むセグメント化繊維強化シートを含む、実施形態15~16のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態18]
前記セグメント化強化シートに、対向する層またはシートが取り付けられている、実施形態15~17のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態19]
前記対向する層が繊維を含む、実施形態18に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態20]
前記セグメント化強化シートが、不連続な繊維を含む繊維強化シートを含む、実施形態15~19のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態21]
更に、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された添加剤を含む、実施形態15~20のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態22]
前記セグメント化強化シートの少なくとも1つのセグメントが剛性である、実施形態15~21のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態23]
前記ゲル前駆体が、ジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、およびアガロース、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む、実施形態15~22のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態24]
前記セグメント化強化シートが、鉱物ウール、グラスウール、繊維ガラス、ポリエステル、ポリオレフィンテレフタレート、ポリ(エチレン)ナフタレート、ポリカーボネート、およびレーヨン、ナイロン、綿系ライクラ(DuPont製)、炭素系繊維、炭素繊維のための前駆体、ポリアクリロニトリル(PAN)、酸化PAN、非炭化(uncarbonized)熱処理PAN、繊維ガラス系材料、Sガラス、901ガラス、902ガラス、475ガラス、Eガラス、シリカ系繊維、石英、quartzel(Saint-Gobain製)、Qフェルト(Johns Manville製)、Saffil(Saffil製)、Durablanket(Unifrax製)、ポリアラミド繊維、Kevlar (DuPont製), Nomex(DuPont製), Sontera (DuPont製)、Conex (Taijin製)、ポリオレフィン、Tyvek(DuPont製)、Dyneema(DSM製)、Spectra(Honeywell製)、ポリプロピレン繊維、Typar(DuPont製)、Xavan(DuPont製)、フルオロポリマー、PTFE、Teflon(DuPont製), Goretex(GORE製)、炭化ケイ素繊維、Nicalon(COI Ceramics製)、セラミック繊維、Nextel(3M製)、アクリルポリマー、ウール、絹、麻、皮革、スエードの繊維、PBO-Zylon繊維(Tyobo製)、液晶材料、Vectan(Hoechst製)、Cambrelle繊維(DuPont製)、ポリウレタン、ポリアミド、木質繊維、ホウ素、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼繊維、熱可塑性材料、PEEK、PES、PEI、PEK、PPS、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む繊維強化シートを含む、実施形態15~23のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態25]
前記セグメント化強化ゲル複合材料シートの熱伝導率は周囲条件で25mW/mK未満である、実施形態15~24のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シート。
[実施形態26]
強化ゲル複合材料(composites)の少なくとも2つの層を含むパネルであって、少なくとも1つの層が、実施形態15~25のいずれか1項に記載のセグメント化強化ゲル複合材料シートを含む、パネル。
[実施形態27]
カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤を更に含む、実施形態26に記載のパネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゲル、及び、有機材料を含む強化材を含むセグメント化強化シート;並びに
前記エアロゲル及び前記セグメント化強化シートと接する対向シートであって、前記セグメント化強化シートのセグメントが前記対向シートによってつなぎ合わされている、対向シート;
を含む、強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項2】
前記セグメント化強化シートがさらに長さ、幅および厚さを備え;及び
前記セグメント化強化シートが、前記厚さ方向を通して幅方向にわたる不連続性を含み、前記不連続性は前記セグメント化強化シートの別々のセグメントの間である;
請求項1に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項3】
前記強化材の有機材料が、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、ポリアミド、セルロース系材料、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアラミド、およびフルオロポリマーの1種または2種以上を含む、請求項1に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項4】
エアロゲル、及び、無機材料を含む強化材を含むセグメント化強化シート;並びに
前記エアロゲル及び前記セグメント化強化シートと接する対向シートであって、前記セグメント化強化シートのセグメントが前記対向シートによってつなぎ合わされている、対向シート;
を含む、強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項5】
前記セグメント化強化シートがさらに長さ、幅および厚さを備え;及び
前記セグメント化強化シートが、前記厚さ方向を通して幅方向にわたる不連続性を含み、前記不連続性は前記セグメント化強化シートの別々のセグメントの間である;
請求項4に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項6】
前記強化材の無機材料が、グラファイト、炭素充填剤、セラミック、炭化ケイ素、ホウ素、アルミニウム、鉄およびステンレス鋼の1種または2種以上を含む、請求項4に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項7】
前記強化材が繊維を含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項8】
前記強化材が発泡体を含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項9】
前記発泡体強化材が、ポリウレタン、イソシアネート系材料、ポリイソシアヌレート、ポリイミド、ポリビニルクロリド、スタイロフォーム(Styrofoam)、シリコーン、ポリオレフィン、エポキシ、尿素ホルムアルデヒド、ラテックスゴム、フルオロポリマーおよびシンタクチックフォームの1種または2種以上を含む、請求項8に記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項10】
前記対向シートが繊維を含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項11】
前記エアロゲルが乾燥シリカゲルを含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項12】
前記エアロゲルが、ジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、およびアガロース、およびこれらの組み合わせの1種または2種以上を含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項13】
更に、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項14】
前記強化エアロゲル複合材料シートの熱伝導率は37.5℃および周囲圧力下で25mW/mK未満である、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項15】
二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、水酸化アルミニウム、リン酸塩、ホウ酸塩、金属ケイ酸塩、メタロセン、モリブデン酸塩、スズ酸塩、水酸化物、炭酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、マグネシウム亜鉛ブレンド、マグネシウム亜鉛アンチモンブレンド、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された充填剤を更に含む、請求項1または請求項4のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項16】
前記強化材における不連続性が、隣接するセグメント間で前記強化エアロゲル複合材料シートの幅方向に延在するギャップを含む、請求項2または請求項5のいずれかに記載の強化エアロゲル複合材料シート。
【請求項17】
強化エアロゲル複合材料シートの少なくとも2つの層を含むパネルであって、少なくとも1つの層が、請求項1および4の1または2以上の強化エアロゲル複合材料シートを含む、パネル。
【請求項18】
カリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせの1種または2種以上を含む添加剤を更に含む、請求項17に記載のパネル。
【請求項19】
接着剤をさらに含み、前記接着剤がカリウム水ガラス、ナトリウム水ガラス、セメント、およびアルカリ活性化アルミノケイ酸塩、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチックアロイ、PTFE、ポリビニルハロゲン化物、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ニトリル、EPDM、EP、バイトン(viton)、ビニル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、スチレン、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、アクリルアミド、フェノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載のパネル。
【請求項20】
前記強化エアロゲル複合材料シートの少なくとも2つの層が第1の層と第2の層を含み;および
前記第1の層における少なくとも2つの対応する隣接セグメント間の少なくとも1のギャップが、前記第2の層に面している;
請求項17に記載のパネル。