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特開2022-105018モノアミジン及びジアミジンのエンド-エキソヌクレアーゼ阻害剤とエンド-エキソヌクレアーゼ活性を阻害する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105018
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】モノアミジン及びジアミジンのエンド-エキソヌクレアーゼ阻害剤とエンド-エキソヌクレアーゼ活性を阻害する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 257/18 20060101AFI20220705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
C07C257/18 CSP
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K31/155
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064493
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2020545401の分割
【原出願日】2018-11-08
(31)【優先権主張番号】62/587,118
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520167427
【氏名又は名称】モンドレックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,テリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害し、かつ、がんを治療するのに有用な化合物を提供する。
【解決手段】化学式(I):

を有する化合物であって、R3が低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、R4がH、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、R5が低級アルキルである、化合物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式を有する、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する化合物であって、

R1が、フェニル、シクロプロピル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルからなるグループから選択され、
R2が、Hまたは低級アルキルからなるグループから選択され、
R5が、第1の「O」と第2の「O」とを接続する少なくとも5つの炭素の直線炭素鎖を備える低級アルキルであることを特徴とする化合物。
【請求項2】
下記の化学式を有する化合物であって、

R1が、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、
R2が、H、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、
R5が、第1の「O」と第2の「O」とを接続する少なくとも2つの炭素の直線炭素鎖を備える低級アルキルであることを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物であって、R5が(CHであり、nが2から7までの整数に等しいことを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、nが5に等しいことを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物であって、R2が、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、R2が、プロピル、ブチルまたはフェニルからなるグループから選択され、プロピルが、シクロプロピル、イソプロピルまたはn-プロピルであり、ブチルがn-ブチル、sec-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルであることを特徴とする化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物であって、R2が、フェニル、イソプロピルおよびイソブチルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物であって、R2が、フェニルおよびイソプロピルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項9】
請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物であって、R2がHであることを特徴とする化合物。
【請求項10】
請求項2~9のいずれか一項に記載の化合物であって、R1がプロピル、ブチルまたはフェニルからなるグループから選択され、プロピルがシクロプロピル、イソプロピルまたはn-プロピルであり、ブチルがn-ブチル、sec-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルであることを特徴とする化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、R1が、フェニル、イソプロピルおよびイソブチルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、R1が、フェニルおよびイソプロピルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項13】
下記の化学式を有する化合物であって、

R3が、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、
R4が、H、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、
R5が低級アルキルであることを特徴とする化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、R5が(CHであり、nが1から7までの整数に等しいことを特徴とする化合物。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の化合物であって、R3がメチル、プロピルまたはブチルからなるグループから選択され、プロピルが、シクロプロピル、イソプロピルまたはn-プロピルであり、ブチルがn-ブチル、sec-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルであることを特徴とする化合物。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物であって、R3がメチル、イソプロピルまたはイソブチルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか一項に記載の化合物であって、R4がHであり、nが1に等しいことを特徴とする化合物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物の、薬学的に許容できる塩。
【請求項19】
がんを治療する方法であって、
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を、必要とする患者に対して投与するステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、治療有効量の、DNAの切断を誘導する薬剤を投与するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
がんを治療するための医薬組成物であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項22】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物であって、薬剤として使用することを特徴とする化合物。
【請求項23】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物であって、がんの治療に使用することを特徴とする化合物。
【請求項24】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、がんの治療のための薬剤の製造における使用。
【請求項25】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物を使用することによってエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する方法。
【請求項26】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害するための使用。
【請求項27】
請求項26に記載の使用であって、エンド‐エキソヌクレアーゼがヒトのエンド‐エキソヌクレアーゼであることを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2017年11月16日に出願した米国仮特許出願第62/587,118号の優先権を主張する。
【0002】
本願は、がん治療のための化学療法薬と、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害するための化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
がん細胞は、通常の細胞よりも急速に増殖する。それゆえ、有糸分裂やDNA複製の速度は、がん細胞で著しく高い。DNAの複製と組み換えを阻害する薬剤は、通常の細胞以上にがん細胞に影響を与える。
【0004】
がん治療のための多くの化学療法薬は、DNAの切断を誘導することにより、DNA複製を阻害する。例えばマイトマイシンCなど、薬剤によってはDNAそれ自体に結合することによって、部分的にDNAの切断を誘導する。他の抗がん剤は、DNA一本鎖の切断の修復にとって重要な、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)酵素を妨害する。そうすることで、それらは鎖の切断を誘導する。通常、その切断は一時的なものであるが、オラパリブなどのPARP酵素阻害剤の存在下においては、切断がより長く継続し、DNAに永久的な損傷を与える。
【0005】
生存している生物は、除去修復システムを含む、様々な機構によりDNAを修復する。除去修復を媒介する酵素は、損傷を受けたDNAを切断する。その後、それらは損傷したDNA配列を正しい配列に置き換える。そのような修復システムは、DNA切断を誘導する化学療法剤に依存するがん治療の効率を低下させる。このように効率が下がることで、がんの増殖を十分に阻害するためには、高濃度のDNA切断化学療法剤を使用することが必要となる。これらの化学療法剤は、非常に毒性が高く、有害な副作用を有する。高濃度での使用が必要となることは大きな難点である。
【0006】
これまで、エンド‐エキソヌクレアーゼは、DNAの修復と組み換えにおいて機能する可能性があるということが提案されてきた。Resnickらの米国特許第5,324,830号は、出芽酵母(S. cerevisiae)由来のエンド‐エキソヌクレアーゼのRhoNucをコードするDNA断片の分離について説明している。米国特許第5,489,524号は、ほ乳類のエンド‐エキソヌクレアーゼ遺伝子の特性評価と、霊長類のエンド‐エキソヌクレアーゼの分離について説明している。「ストリング(STRING)」の相互作用ネットワークによって示されるように、エンド‐エキソヌクレアーゼはDNAの修復および組み換えプロセスにおいて様々なタンパク質と相互作用する。エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害することは、DNA修復プロセスまたはがん細胞の増殖を阻害するのに効果的である可能性がある。
【0007】
Chowらの米国特許第7,115,665号は、ペンタミジンとエンド‐エキソヌクレアーゼとの相互作用について説明している。さらに、Molecular Cancer Therapeutics誌, 2004, 3(8) p. 911以降における、Chowらの「The DNAdouble-stranded break repair protein endo-exonuclease as a therapeutic targetfor cancer」には、多種多様の異なるがん細胞株において、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性の増加が見られたということが記載されている。このことは、カナダ特許第2,388,674号の図1にさらに示されており、様々ながん細胞株のエンド‐エキソヌクレアーゼ活性のレベルが、非がん細胞株と比較して示されている。
【0008】
しかしながら、がん細胞の増殖を阻害し、従来の化学療法薬よりも毒性の少ない化合物が必要とされている。さらに、がん細胞の増殖を阻害するための、DNA組み換え修復を阻害する化合物が必要とされている。さらに、従来の化学療法薬と組み合わせて使用することで、がん治療の効率を高めることのできる化合物が必要とされている。さらに、そのような化合物を従来の化学療法薬と組み合わせて使用することで、治療効率を損なうことなく、がん患者に対する化学療法薬の投薬量を少なくすることが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本願は、エンド‐エキソヌクレアーゼの阻害剤に関する。特に、ジアミジンとモノアミジンの化合物が、例えばペンタミジンと比較したときに、増大されたエンド‐エキソヌクレアーゼの阻害活性を発揮することがわかった。ジアミジンとモノアミジンの化合物は、それゆえ例えばがん細胞が、通常の細胞と比べて増大されたエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を示している場合などに、抗がん剤として作用し得る。
【0010】
本開示の第一側面として、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害したり、例えば(これに限定しないが)増大されたエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を有するがんを治療したりするのに使用できるモノアミジン化合物は、次の化学式(化学式I)を有し、

R3は、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、R4はH、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、R5は低級アルキルである。
【0011】
「O」は酸素である。
【0012】
実施例によっては、R5は(CHであってもよく、「n」は1,2,3,4,5,6または7に等しくてもよい。
【0013】
実施例によっては、「n」は1に等しくてもよく、R4は「H」であってもよい。
【0014】
実施例によっては、「n」は5に等しくてもよく、R4は「H」であってもよい。
【0015】
なお、実施例によっては、化学式Iの化合物のフェニル基は、一つ以上の追加的な置換基を有していてもよいことは理解されたい。
【0016】
実施例によっては、R3はメチルであってもよい。
【0017】
実施例によっては、R3はメチル、イソプロピルまたはイソブチルであってもよい。
【0018】
実施例によっては、R3はイソプロピルまたはイソブチルであってもよい。
【0019】
実施例によっては、R3はメチルまたはイソブチルであってもよい。
【0020】
実施例によっては、R3はメチルまたはイソプロピルであってもよい。
【0021】
実施例によっては、R3はメチル、プロピルまたはブチルからなるグループから選択されてもよく、プロピルはイソプロピルまたはn-プロピルであってもよく、ブチルはn-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルであってもよい。
【0022】
実施例によっては、R3はメチル、プロピルまたはブチルからなるグループから選択されてもよく、プロピルはシクロプロピル、イソプロピルまたはn-プロピルであってもよく、ブチルはn-ブチル、sec‐ブチル、イソブチル、tert‐ブチルであってもよい。
【0023】
実施例によっては、R3は低級アルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0024】
実施例によっては、R3は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルまたはアミノアルキルからなるグループから選択されてもよい。
【0025】
実施例によっては、R3は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリールまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0026】
実施例によっては、R3は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0027】
実施例によっては、R3は低級アルキル、シクロアルキル、アリールまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0028】
実施例によっては、R3は低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0029】
実施例によっては、R3はメチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0030】
実施例によっては、R3は低級アルキルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0031】
実施例によっては、R3はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチルおよびヘキシルからなるグループから選択されてもよい。
【0032】
実施例によっては、R3はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0033】
実施例によっては、R3はエチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0034】
実施例によっては、R3はプロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0035】
実施例によっては、R3はブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0036】
実施例によっては、R3はイソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0037】
実施例によっては、R3はイソプロピルであってもよい。
【0038】
実施例によっては、R4はHであってもよく、nは1に等しくてもよい。
【0039】
実施例によっては、R4は低級アルキルであってもよい。
【0040】
実施例によっては、R4は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0041】
実施例によっては、R4はHまたは低級アルキルからなるグループから選択されてもよい。
【0042】
実施例によっては、R4はH、低級アルキルまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0043】
実施例によっては、R4はH、低級アルキル、シクロアルキル、アリールまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0044】
実施例によっては、R4はH、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0045】
実施例によっては、R4はH、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリールまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0046】
実施例によっては、R4はH、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0047】
実施例によっては、R3は低級アルキルであってもよい。
【0048】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチルまたはイソブチルからなるグループから選択されてもよい。
【0049】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0050】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピル、メチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0051】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0052】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0053】
実施例によっては、R3はシクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0054】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0055】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0056】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0057】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0058】
実施例によっては、R3はシクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0059】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0060】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0061】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0062】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0063】
実施例によっては、R3はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0064】
本開示の別の側面として、例えばエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害したり、(これに限定しないが)高いエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を有するがんなどを治療したりするのに使用できるジアミジン化合物は、次の化学式(化学式II)を有し、

R1が低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、R2がH、低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択され、R5が、第1の「O」と第2の「O」とを接続する少なくとも2つの炭素の直線炭素鎖を備える低級アルキルである。
【0065】
「O」は酸素である。
【0066】
実施例によっては、R5は(CHであってもよく、「(CH」の「n」が2,3,4,5,6または7に等しくてもよい。
【0067】
実施例によっては、「n」は5に等しくてもよい。
【0068】
実施例によっては、R2は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノアルキルまたはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0069】
実施例によっては、フェニル基が一つ以上の追加的な置換基を有していてもよい。
【0070】
実施例によっては、 R1はイソプロピルであってもよい。
【0071】
実施例によっては、R1はフェニルであってもよい。
【0072】
実施例によっては、R1はHであってもよい。
【0073】
実施例によっては、R2はイソプロピルであってもよい。
【0074】
実施例によっては、R2はフェニルであってもよい。
【0075】
実施例によっては、R1はメチルであってもよい。
【0076】
実施例によっては、R1は低級アルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0077】
実施例によっては、R1は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルまたはアミノアルキルからなるグループから選択されてもよい。
【0078】
実施例によっては、R1は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、またはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0079】
実施例によっては、R1は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0080】
実施例によっては、R1は低級アルキル、シクロアルキル、アリール、またはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0081】
実施例によっては、R1は低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0082】
実施例によっては、R1はメチル、イソプロピル、イソブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0083】
実施例によっては、R1はプロピル、ブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよく、プロピルはイソプロピルまたはn‐プロピルであってもよく、ブチルはn‐ブチル、sec‐ブチル、イソブチルまたはtert‐ブチルであってもよい。
【0084】
実施例によっては、R1はプロピル、ブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよく、プロピルはシクロプロピル、イソプロピルまたはn‐プロピルであってもよく、ブチルはn‐ブチル、sec‐ブチル、イソブチルまたはtert‐ブチルであってもよい。
【0085】
実施例によっては、R1はイソプロピル、イソブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0086】
実施例によっては、R1はメチル、イソブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0087】
実施例によっては、R1はメチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0088】
実施例によっては、R1はメチル、イソプロピルまたはイソブチルからなるグループから選択されてもよい。
【0089】
実施例によっては、R1はイソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0090】
実施例によっては、R1は低級アルキルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0091】
実施例によっては、R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチルおよびヘキシルからなるグループから選択されてもよい。
【0092】
実施例によっては、R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0093】
実施例によっては、R1はエチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0094】
実施例によっては、R1はプロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0095】
実施例によっては、R1はブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0096】
実施例によっては、R1はイソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0097】
実施例によっては、R1はイソプロピルであってもよい。
【0098】
実施例によっては、R1は低級アルキルであってもよい。
【0099】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチルまたはイソブチルからなるグループから選択されてもよい。
【0100】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0101】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピル、メチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0102】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0103】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0104】
実施例によっては、R1はシクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0105】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0106】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0107】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0108】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0109】
実施例によっては、R1はシクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0110】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0111】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0112】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0113】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0114】
実施例によっては、R1はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0115】
実施例によっては、R2はメチルであってもよい。
【0116】
実施例によっては、R2は低級アルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0117】
実施例によっては、R2は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルまたはアミノアルキルからなるグループから選択されてもよい。
【0118】
実施例によっては、R2は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキル、アリール、またはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0119】
実施例によっては、R2は低級アルキル、オキシアルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0120】
実施例によっては、R2は低級アルキル、シクロアルキル、アリール、またはハロゲンからなるグループから選択されてもよい。
【0121】
実施例によっては、R2は低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなるグループから選択されてもよい。
【0122】
実施例によっては、R2はメチル、イソプロピル、イソブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0123】
実施例によっては、R2はプロピル、ブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよく、プロピルはイソプロピルまたはn‐プロピルであってもよく、ブチルはn‐ブチル、sec‐ブチル、イソブチルまたはtert‐ブチルであってもよい。
【0124】
実施例によっては、R2はプロピル、ブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよく、プロピルはシクロプロピル、イソプロピルまたはn‐プロピルであってもよく、ブチルはn‐ブチル、sec‐ブチル、イソブチルまたはtert‐ブチルであってもよい。
【0125】
実施例によっては、R2はイソプロピル、イソブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0126】
実施例によっては、R2はメチル、イソブチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0127】
実施例によっては、R2はメチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0128】
実施例によっては、R2はメチル、イソプロピルまたはイソブチルからなるグループから選択されてもよい。
【0129】
実施例によっては、R2はイソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0130】
(記載なし)
【0131】
実施例によっては、R2は低級アルキルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0132】
実施例によっては、R2はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチルおよびヘキシルからなるグループから選択されてもよい。
【0133】
実施例によっては、R2はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0134】
実施例によっては、R2はエチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0135】
実施例によっては、R2はプロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0136】
実施例によっては、R2はブチル、イソブチル、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0137】
実施例によっては、R2はイソブチル、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0138】
実施例によっては、R2はイソプロピルであってもよい。
【0139】
実施例によっては、R2は低級アルキルであってもよい。
【0140】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチルまたはイソブチルからなるグループから選択されてもよい。
【0141】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0142】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピル、メチルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0143】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0144】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0145】
実施例によっては、R2はシクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0146】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0147】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0148】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、イソブチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0149】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソプロピルまたはフェニルからなるグループから選択されてもよい。
【0150】
実施例によっては、R2はシクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0151】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0152】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0153】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロペンチル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0154】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、イソブチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0155】
実施例によっては、R2はシクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチルまたはイソプロピルからなるグループから選択されてもよい。
【0156】
R3,R4およびnの上記したすべてのサブグループは、任意の方法で組み合わせることができ、すべてのそのような組み合わせは本開示にもともと記載された目的だけでなく、クレームした主題を限定する目的で本明細書に開示されたものとみなされる。
【0157】
上記した化学式(I)および化学式(II)による化合物に加え、以下に開示されるさらなる任意の化合物も同様に、薬学的に許容できるそれらの塩、薬学的に許容できるそれらの塩を含有する医薬組成物、および、上記した化合物や、それらの薬学的に許容できる塩のいずれかを例えば(これに限定しないが)高いエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を有するがんなどの、がんの治療のための薬剤の調製に使用することが、本明細書に開示されている。
【0158】
本教示の別の側面によると、上記した化学式(I)および化学式(II)による任意の化合物だけでなく、以下に開示される任意のさらなる化合物も同様に、DNAの切断の原因となる一種類以上の既知の化学療法薬と組み合わせて提供されてもよく、これにより、がん細胞および腫瘍の増殖を阻害する薬剤を提供できる。さらに、がん細胞および腫瘍の増殖を阻害する方法についても本願に開示されており、この方法は、本願に開示された、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する任意の化合物の治療有効量と、DNAの切断を引き起こす一種類以上の既知の化学療法薬の治療有効量とを組み合わせて、必要な患者に投与するステップを備えることが好ましい。したがって、本開示の化合物、例えばエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する化合物は、がん細胞および腫瘍の増殖を阻害するためのDNAの切断を引き起こす薬剤と組み合わせて投与されてもよい。そのような化合物の組み合わせが、薬学的に許容できる担体(carrier)に備えられ、本開示による医薬組成物を提供してもよい。
【0159】
本開示の別の側面として、がん細胞を有する患者を治療する方法が開示されている。そのような方法は、治療有効量の下記の化学式(化学式(I))を有する化合物を患者に対して投与することを含むのが好ましい。
【0160】
R3、R4およびR5は、例えばがん細胞の増殖を阻害したり、または患者のがん細胞からなる腫瘍の増殖を阻害したりするための治療有効量で、上下に開示されたR3、R4およびR5のいずれかのグループまたはサブグループに応じて選択されてもよい。実施例によっては、本開示の化合物は、通常の細胞の平均的なエンド‐エキソヌクレアーゼ活性と比べて高いエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を示すがん細胞を有する患者に対して投与されてもよい。
【0161】
実施例によっては、その方法が、DNAの切断を誘導する化学療法薬(例えばヌクレアーゼ)の治療有効量を投与することも含んでいてもよい。その代表的な非限定的な例を以下に列挙する。
【0162】
実施例によっては、投与される化学療法薬がDNAの二本鎖の切断を誘導してもよい。
【0163】
実施例によっては、投与される化学療法薬がシスプラチン、マイトマイシンC、メルファラン、アドリアマイシン、タキソール、5-フルオロウラシル、カルムスチンおよびブレオマイシンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0164】
実施例によっては、その方法がさらに電離放射線を照射することを含んでもよい。
【0165】
本開示の別の側面として、がん細胞を有する患者の治療方法が、患者に対して、下記の化学式(化学式II)を有する化合物を投与することを含む。

R1、R2およびR5は、例えばがん細胞の増殖を阻害したり、または患者のがん細胞からなる腫瘍の増殖を阻害したりするための治療有効量で、上下に開示されたR1,R2およびR5のいずれかのグループまたはサブグループに応じて選択される。
【0166】
実施例によっては、そのような本開示の化合物のいずれかも同様に、通常の細胞の平均的なエンド‐エキソヌクレアーゼ活性と比べて高いエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を示すがん細胞を有する患者に対して投与されてもよい。
【0167】
実施例によっては、そのような方法が、DNAの切断を誘導する化学療法薬(例えばヌクレアーゼ)の治療有効量を投与(例えば同時投与)すことを含んでいてもよい。その代表的な非限定的な例を以下に列挙する。
【0168】
実施例によっては、投与される化学療法薬がDNAの二本鎖の切断を誘導してもよい。
【0169】
実施例によっては、投与される化学療法薬が、シスプラチン、マイトマイシンC、メルファラン、アドリアマイシン、タキソール、5-フルオロウラシル、カルムスチンおよびブレオマイシンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0170】
実施例によっては、その方法が電離放射線を照射することを含んでもよい。
【0171】
本開示の別の側面として、例えば通常の細胞のエンド‐エキソヌクレアーゼ活性と比べてがん細胞が高いエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を示すがんなどの、がんの治療用の医薬組成物も開示されている。そのような医薬組成物は、上下に開示されるアミジン化合物またはジアミジン化合物のいずれかを含むことが好ましい。
【0172】
実施例によっては、医薬組成物は、通常の細胞のエンド‐エキソヌクレアーゼ活性と比べて高いエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を有するがんを治療するのに効果的である。
【0173】
実施例によっては、医薬組成物が、DNAの切断を誘導する化学療法薬をさらに含んでいてもよい。
【0174】
実施例によっては、化学療法薬が、DNAの二本鎖の切断を誘導してもよい。
【0175】
実施例によっては、化学療法薬が、シスプラチン、マイトマイシンC、メルファラン、アドリアマイシン、タキソール、5-フルオロウラシル、カルムスチンおよびブレオマイシンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0176】
実施例によっては、医薬組成物が、薬学的に許容できる担体に備えられていてもよい。
【0177】
実施例によっては、医薬組成物が、がん細胞に対して、DNAの切断を誘導する薬剤や、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する化合物に対して増感させる薬剤を含んでいてもよい。
【0178】
実施例によっては、組成物が、がん細胞に対して、DNAの切断を誘導する薬剤や、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する化合物に対して増感させる薬剤を含んでいてもよい。
【0179】
実施例によっては、化学式Iの化合物、薬学的に有効なその塩、化学式IIの化合物や薬学的に有効なその塩を用いてエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害してもよい。実施例によっては、エンド‐エキソヌクレアーゼが、ヒトのエンド‐エキソヌクレアーゼ活性であってもよい。
【0180】
本開示はまた、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害するための、化学式Iの化合物、薬学的に有効なその塩、化学式IIの化合物や、薬学的に有効なその塩の使用に関連する。実施例によっては、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性は、ヒトのエンド‐エキソヌクレアーゼ活性であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の本発明の代表的、非限定的な実施例の詳細な説明により、より良く理解されるであろう。
図1図1は、通常の非がん細胞と比較したときの、異なるがん細胞株におけるエンド‐エキソヌクレアーゼ活性の相対的な発現レベルを示すグラフである。
図2図2は、アガロースゲルの結果の写真であり、ペンタミジンと比較して、モノアミジン化合物とジアミジン化合物によるエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0182】
本願で用いる「アミノアルキル」という用語は、C1~C7で、飽和または不飽和で、アミノ基(NH2)に結合される直鎖または分岐鎖のアルキルを指す。アミノアルキルの例として、これに限定されないが、-CH2NH2, -CH2CH2NH2等を含む。アミノアルキルは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1つ以上の(例えば1~5つの)置換基と必要に応じて置換されてもよい。
【0183】
本願で用いる「アリール」という用語は、六~十員環の、すべての環原子が炭素原子である単環式または多環式の芳香環を指す。アリールの例として、これに限定されないが、フェニルやビフェニルを含む。アリールは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1~5つの置換基によって必要に応じて置換されてもよい。
【0184】
本願で用いる「シクロアルキル」という用語は、三~十員環で、飽和または部分的に不飽和の、すべての環原子が炭素である単環または多環を指す。シクロアルキルの例として、これに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル等を含む。シクロアルキルは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1~5つの置換基によって必要に応じて置換されてもよい。
【0185】
本願で用いる「ヘテロアリール」という用語は、N,O,SおよびCから選択される原子を有する五~十員環の単環式または多環式芳香環を指す。ヘテロアリールの例として、これに限定されないが、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリニル、チアゾリル等を含む。ヘテロアリールは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1~5つの置換基によって必要に応じて置換されてもよい。
【0186】
本願で用いる「ヘテロシクロアルキル」という用語は、四~十員環の単環式または多環式芳香環であり、飽和または部分的に不飽和であり、環原子はN,O,SおよびCから選択される。ヘテロシクロアルキルの例としては、これに限定されないが、アゼチジニル、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、ジオキサン、モルホリン等を含む。ヘテロシクロアルキルは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1~5つの置換基によって必要に応じて置換されてもよい。
【0187】
本願で用いる「低級アルコキシ」または「オキシアルキル」という用語は、C1~C7で、飽和または不飽和で、直鎖または分岐鎖の、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、イソプロピルオキシ、t‐ブチルオキシなどのアルコキシ(alkoxy)を指す。低級アルコキシまたはオキシアルキルは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1つ以上の(例えば1~5つの)置換基と必要に応じて置換されてもよい。
【0188】
本願で用いる「低級アルキル」という用語は、C1~C7で、飽和または不飽和(例えば一つ以上の二重結合または三重結合)で、直鎖または分岐鎖の、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、イソペンチルおよびヘキシルなどの、アルキルを指す。低級アルキルは、例えばヒドロキシ、チオール、シアノ、ニトロ、低級アルキル、スルホニル、ハロゲンまたはアミノからなるグループから独立に選択される1つ以上の(例えば1~5つの)置換基と必要に応じて置換されてもよい。
【0189】
導入
【0190】
以前から知られていたことであるが、アミジンによっては、抗真菌活性および抗菌活性を有する。Ellen Hildebrandtらによる「Identification and Characterization of an Endo/exonuclease inPneumocystis carinii that is Inhibited by Dicatonic Diary lfurans with EfficacyAgainst Pneumocystis Pneumonia」(1998, J. Euk. Microbiol., 45(1), 1998 pp. 112-121)という記事において、ジアリールフラン,2,5‐ビス[4‐(N‐イソプロピルグアニル)フェニル]フランは、例えばPneumocystis cariniiなどの特定のバクテリアに存在するエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害することが示されている。同様に、2,5-ビス[4-[(N-シクロプロピルメチルグアニル)フェニル]フラン、2,5-ビス[(4-N-シクロブチルグナイル)フェニル]フラン、2,5-ビス-p [3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル)フェニル]フラン、2,5-ビス[4-N-(シクロプロピルグアニル)フェニル]フラン、2,5-ビス[(4-N-シクロペンチルグアニル)フェニル]フラン、2,5-ビス[4-グアニルフェニル]フランおよび2,5-ビス[4-N-イソブチルグアニル)フェニル]フランが、P. Cariniiの感染性バクテリア株におけるヌクレアーゼ阻害活性を示した。
【0191】
さらに、ペンタミジンが、ヒトのエンド‐エキソヌクレアーゼの阻害活性を示し、それゆえ、がん細胞がエンド‐エキソヌクレアーゼ活性の高まりを示しているヒトにおいて、ペンタミジンを抗がん剤として使用できるということが観察されてきた。
【0192】
出願人は、アミジン基のsp3窒素の水素が置換基(例えばイソプロピルやイソブチル等)と置換されたモノアミジン化合物およびジアミジン化合物について研究・観察した。その置換基は、例えば上述したようなEllen Hildebrandtらによる記事で観察されたものと同様のものであり、記事に記載されたアミジンに加えられたときに、バクテリアのエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害することが示された。本願で説明するアミジンとは異なるにもかかわらず、これらの化合物が、ヒトのエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害活性を示すだけでなく、ペンタミジンよりも阻害が向上されないとしても、相当することを示すという発見につながった。結果として、本明細書で説明するように、いくつかの異なる置換基を含むアミジン化合物が合成され(例えばメチル、イソプロピル、イソプロピル、イソブチル等)、それぞれが、顕著なヒトのエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害を示した。
【0193】
概説
【0194】
したがって、本開示の方法および化合物は、がん治療に有用となり得る(例えばエンド‐エキソヌクレアーゼ活性の増大したレベルを示すことによって特徴づけられるがんに対して)。治療するということは、本開示の化合物が、がんの発病、増殖、拡大を阻害し、がんの退縮を引き起こし、がんを治療したり、がんに苦しめられる患者の状態を改善したりすることを意味する。
【0195】
本願に開示する化合物と方法は、主としてヒトの患者を対象とする。しかしながら、当業者であれば容易に理解できるように、本願に開示する化合物と方法は、本願の教示から逸脱することなく、動物などの別の対象を対象としてもよい。
【0196】
上述したように、本願は、化学式(I)の化合物、薬学的に許容されるその塩、化学式(II)の化合物や、薬学的に許容されるその塩を対象とする。これらの化合物は、静脈内投与、エアロゾル投与、非経口投与等のために、薬学的に許容できる一つ以上の担体に提供されてもよい。
【0197】
さらに、投与される投与量(治療有効量(therapeutically effective amount))は、患者の体重、病気の重症度および投与される化合物に依存する。例えば、本願で説明するアミジン化合物に対していくらか構造的類似性を有するペンタミジンを、4mg/kg~7mg/kgの量で2週間ごとに2日間投与することは、患者にとって安全であることが示されている。
【0198】
100mgのパフラミジンを経口で1日2回、14日間投与してニューモシスチス肺炎を治療することで、腎毒性の懸念が生じることが示されている(Alison H. Harrillら, “A Mouse Diversity Panel Approach Reveals the Potential forClinical Kidney Injury Due to DB289 Not Predicated by Classical Rodent Models”,Toxicological Sciences 130(2), 416-426 (2012))。なお、パフラミジンと本願のアミジン化合物との間の一定の構造的類似性により、本願のアミジン化合物がパフラミジンと同様の毒性を示す可能性があることは理解されたい。しかしながら、細菌感染症の治療にとって問題となり得る毒性のレベルは、がんの治療においては実際のところ容認できるであろう。このことは、実際には、本願のアミジン化合物が、がんを治療するための、耐えられる範囲内の毒性であることを示している。本願のアミジン化合物の容認できるレベルの毒性はまた、細菌感染症を治療するために化合物を投与することと比較して、がんを治療するために化合物を投与する頻度を減らし、かつ、投与する量を減らすことによりさらに支持される(Harrillらによる記事に記載されている研究では、化合物は14日間毎日投与されたが、がん治療は概して短サイクルの化学療法を伴うため、そのような長期かつ頻繁な投与計画は、がん治療に必要ではない)。
【0199】
したがって、本願のアミジン化合物に対するペンタミジンとパフラミジンの分子構造における一定の類似性により、当業者であれば、本願のアミジン化合物が、ペンタミジンとパフラミジンと同程度のレベルの毒性を有し得るか、または、それが欠如している可能性があるということは容易に認識できるであろう。このレベルの毒性は、がん治療では容認可能であり得る。また、ペンタミジンとそれらの構造的類似性により、本願のアミジン化合物が、ペンタミジンでがん治療をするためのセットと同様の用量で投与されてもよい(または場合によっては、ペンタミジンと比較したときにそれらの活性が増大されていることが観察されれば、より少ない用量でもよい)。
【0200】
本開示は、本願に開示したアミジン化合物がエンド‐エキソヌクレアーゼの活性を阻害することを示すという予想外の結果に関する。
【0201】
したがって、上記した化学式(I)の化合物、薬学的に許容できるその塩、化学式(II)の化合物や、薬学的に許容できるその塩、またはそれらを組み合わせたものが、例えばエンド‐エキソヌクレアーゼ活性の増大したがんなどの、がんを患う対象を治療するために投与されてもよい。
【0202】
結果として、本開示はまた、例えばがん細胞が通常の細胞のエンド‐エキソヌクレアーゼ活性と比べて増大したエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を有する患者において、がんを治療する方法も対象とする。この方法は、がんを治療するため、化学式(I)の化合物、薬学的に許容できるその塩、化学式(II)の化合物および薬学的に許容できるその塩のうち少なくとも1つを、治療有効量投与することを含む。
【0203】
実施例によっては、免疫ブロット法、免疫組織染色、免疫測定法(例えばELISA法)などの技術を使う方法に、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性のレベルやその存在を測定することを備えていてもよい。
【0204】
以下は、本開示のアミジン化合物の発見、および、上記した化学式(I)の化合物、薬学的に許容できるその塩、化学式(II)の化合物や、薬学的に許容できるその塩、またはそれらを組み合わせたものが、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害するという発見につながった研究の説明である。当業者であれば当然理解できることであるが、本明細書に記載した以外の他の技術やプロトコルを使用して、例えばエンド‐エキソヌクレアーゼ活性やその阻害を所与の化合物を投与することにより測定してもよい。
【0205】
例示的合成
【0206】
以下で、化学式(I)の化合物の例示的合成について説明する。
【0207】
スキーム1:化学式(I)の化合物の例示的合成
化合物1などの適切なp‐シアノ‐フェノールエーテルが(無水)エタノール中において塩酸で処理され、生成物2の形成がそれ以上観察されなくなるまで攪拌される。化合物2は、反応混合物から分離され、イミンの形成に特徴づけられる。
【0208】
化合物2は、無水EtOH中にて室温で適切なアミンで処理され、反応が完了するまで継続される。溶媒が除去され、粗化合物3が水で洗浄され、乾燥されて無水物とする。化合物3はさらに、氷浴した状態の無水EtOHにおいてHClガスで生成物を処理し、最初に濃縮することによって得られた固体を分離し、乾燥ジエチルエーテルを使って沈殿させることによって、塩酸塩へと変換することができる。
【0209】
以下で、化学式(II)の化合物の例示的合成について説明する。
【0210】
スキーム2:R2が水素である、化学式(II)の化合物の例示的合成
化学式(II)の化合物を調製するための合成戦略は、p‐ブロモフェノールを使用することからなり、パラ位のニトリル部分を置換して化合物5を生成することができる。ジニトリル6は、化合物6を得るための塩基の存在下において、適切なアルキルジブロミド、アルキルジハライド、または2つの脱離基を有するアルキル試薬で、化合物5の少なくとも2当量を処理することにより得られる。ジニトリルを化学種IIに変換するための6のさらなる反応は、HClの存在下においてエタノールで処理し、1当量の適切なアミン(R2NH2)で処理した後、エタノール中においてアンモニアで処理することにより達成できる。
【0211】
スキーム3:化学式(II)の化合物の例示的合成
化合物IIIは化合物6から得ることができ、化合物6はスキーム2のステップを使って調製できる。ジニトリルを化合物IIIに変換するための化合物6の反応は、HClの存在下においてエタノールで処理し、1当量の第1の適切なアミン(R1NH2)と1当量の第2の適切なアミン(R2NH2)とで処理することにより達成できる。当然理解できることであるが、R1がR2と等しいとき、少なくとも2当量の適切なアミン(R2NH2)を代わりに用いることができる。
【0212】
化合物IIおよび化合物IIIは、氷浴した状態の無水EtOHにおいてHClガスで生成物を処理し、最初に濃縮することによって得られた固体を分離し、乾燥ジエチルエーテルを使って沈殿させることにより、対応する塩酸塩へとさらに変換され得る。得られた生成物は、化合物IIおよびIIIのそれぞれの塩化物塩である。化合物IIまたは化合物IIIの硫酸塩などの同様の塩形態は、化合物IIまたは化合物IIIを適切な無機酸または有機酸にさらすか、またはアミジンおよびジアミジンの無機塩または有機塩の調製のための既知の手順により、調製することができる。
【0213】
【0214】
ヒト結腸腺がん(HT29)、ヒト乳腺がん(MCF7)およびヒト子宮頸部類上皮癌(human cervical epithelioid carcinoma)(HeLa)の細胞株は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手し、ATCCアクセス番号はそれぞれHTB-38、HTB-22およびCCL-2である。通常の初代細胞、NHDFは、Shirley Lehnert博士から入手した。これらの細胞は通常のヒト皮膚線維芽細胞である。この細胞は、5%COの加湿インキュベーター内において37℃、RPIM培地に10%FCSを補った培地で培養された。
【0215】
例1
細胞のエンド‐エキソヌクレアーゼ濃度の測定
細胞株のヒトエンド‐エキソヌクレアーゼ濃度は、ChowとResnick (1987)により記載された免疫ブロット法に従って測定した(全文は下記)。対数増殖期細胞は、リシスバッファー(0.125 M Tris-HCl pH7.0, 20% グリセロール, 4% SDS, 0.5 mM EDTA)で煮沸した。その後、Laemmli U. K.の「Cleavage of structural proteins during the assembly of the head ofbacteriophage T4」(1970) (Nature 227(5259): 680-685)に記載された方法に従って、溶解した細胞を10,000gで10分間遠心分離し、25μlの上澄みを10%SDS-ポリアクリルアミドゲルで電気泳動(SDS-PAGE)した。SDS-PAGEゲルで分離されたタンパク質は、電気泳動的にニトロセルロース膜に転写された。その後、ニトロセルロース膜は、ChowとResnick(1988)により以前に記載された方法に従って、0.5%脱脂粉乳を含むバッファーB(10 mMTris-HCl, pH 8.0, 1 mM EDTA, 150 mM NaCl)において、サルCV-1エンド‐エキソヌクレアーゼに対するウサギ抗血清と反応させた。膜をバッファーBにおいて15分間、3回洗浄した後、0.5%脱脂粉乳を含むバッファーBにおいてホースラディッシュペルオキシダーゼと結合したタンパク質A(Staphylococcus aureusから分離したポリペプチドで、抗原結合部位で相互作用することなく、免疫グロブリン分子のFc領域と結合する)を膜に添加し、室温で3時間インキュベートした。その後、膜はバッファーBで15分間洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼの酵素反応において、対応するタンパク質位置で、基質4-クロロ-1-ナフトールの発色現象により、陽性シグナルが示された。陽性シグナルの相対量は、HP4cスキャナーと、その対応するスキャナーのプログラムを使って検出した。この方法に基づいて、通常の細胞と、HT29、MCF‐7およびHeLa細胞株のエンド‐エキソヌクレアーゼ濃度が計算された。単独の図に示された結果は、エンド‐エキソヌクレアーゼの濃度が通常の細胞よりもこれらのがん細胞において非常に高いことを示している。これらの結果から、エンド‐エキソヌクレアーゼ酵素を阻害することは、がん細胞を選択的に攻撃する手段を提供していることを示唆している。加えて、この結果は、体液または組織中の酵素濃度を測定することは、がんを検出したりその進行をモニタリングしたりする手段を提供していることを示唆している。
【0216】
例2
細胞生存率の測定
細胞生存率を次の方法に従って測定した。
【0217】
細胞生存率‐‐MTT試験:細胞増殖/細胞毒性を測定するMMT(3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミド)法を用いて、細胞生存率を測定する。MITは、生細胞のミトコンドリアの脱水素酵素によって開裂されるテトラゾリウム塩である。開裂により黄色くて水溶性のMTTが不溶性の紫色のホルマザン結晶に変換される。その結晶は、50%N、N-ジメチルホルムアミド(vol/vol)、20%SDS(wt/vol)溶液(pH4.7)で可溶化でき、570nmの波長での吸光度が測定された。死細胞はMTTを開裂させず、開裂されていないMTTはこの波長では検出できない。開裂されるMTTの量は、細胞数の増加に伴って増加し、細胞の細胞毒性の結果として減少する(NiksとOtto 1990,Hussainら 1993)。細胞は、標準的なプロトコル(すなわちトリプシン/EDTA)を使って細胞培養物から採取された。細胞(50μl中の細胞型に応じて1000~5000細胞)は、その後、プレートにまかれ、37℃で一晩インキュベートされた。化合物(例えば化学式(I)の化合物、化学式(II)の化合物、ペンタミジンまたは賦形剤(vehicle))が導入された。37℃で2日間インキュベートした後、5mg/mlのMTT溶液10μlをすべての実験ウェルおよび培地コントロールウェル内に加えた。プレートをさらに4時間インキュベートした。その後、MTT可溶化バッファー(100μl)を加え、プレートを37℃で一晩インキュベートした。その後、プレートを、ELISAプレートリーダーを使って570nmおよびリファレンスの630nmでの吸光度を測定した。
【0218】
例3
エンド‐エキソヌクレアーゼの分離および試験
ヒトエンド‐エキソヌクレアーゼは、LiuとChowら(1995)により説明された方法に従って分離した。培養細胞はトリプシン‐EDTAで剥離し、細胞懸濁液を4℃、700gの遠心力で10分間、遠心分離した。細胞ペレットは冷やしたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2度洗浄した。その後、細胞は5mM EDTAと1mM PMSF (バッファーA)とを含む20mM Tris-HClに再懸濁されて超音波処理された。得られた細胞溶解懸濁液は、4℃、10,000gで15分間遠心分離した。その後その上清を、ChowとResnick (1987)によって前に説明されたように、抗体タンパク質A-セファロース親和性カラムに投入した。バッファーAで全体的に(extensively)洗浄した後(すなわち溶出液のA280がゼロになるまで)、カラムを3.5M MgCl2を含むバッファーAに溶出させて、エンド‐エキソヌクレアーゼを溶出させた。溶出したエンド‐エキソヌクレアーゼは、少なくともバッファーを2度交換し、蒸留水を1度交換してバッファーAに対して全体的に透析した。その後、そのエンド‐エキソヌクレアーゼは凍結乾燥により濃縮した。
【0219】
エンド‐エキソヌクレアーゼ活性は、以下の例示的な一連のステップに従って環状プラスミドDNAの消化を測定することにより測定した。超らせんのpBR322DNA(またはYEp型DNA)は、37℃でエンド‐エキソヌクレアーゼで処理した。反応は、5mM EDTA、1%SDS、30%グリセロールおよびブロモフェノールブルーを含む溶液を加えることにより停止させた。得られた混合物は、その後、0.7%アガロースゲルに投入し、70Vで3時間、電気泳動した。ゲルは、0.5μg/mlのエチジウムブロマイド溶液100mlで染色した。エンド‐エキソヌクレアーゼ活性は、RFIからRFIIへおよびRFIIIへと、それに続く断片への変換率として測定された。
【0220】
阻害試験のため、ペンタミジン、本教示によるモノアミジン化合物および本教示によるジアミジン化合物は、ヌクレアーゼ反応の開始前にエンド‐エキソヌクレアーゼに加えられた。H661の細胞増殖の割合(%)に関連する測定に到達するため、上記したMTT試験が行われた。得られたエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害は次の表1および表2に示されている。

表1:エンド‐エキソヌクレアーゼ活性および肺がん細胞H661の細胞増殖に対する阻害化合物(アミジン化合物)の効果。本願で用いた阻害化合物は、ペンタミジンと「モノアミジンA」であり、これはR3が-CH3(メチル基)であり、R4が「H」であり、「n」が「1」に等しい、化学式(I)の化合物に対応する。
*モノアミジンについて見られる負の値は、MTT試験によって測定されるように、生育阻害に加えて細胞死滅(死)によるものである。一例として、賦形剤は水であってもよい。
【0221】
表1に示すように、モノアミジンAは、ペンタミジンと比較したとき、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性の阻害の増加を示した。実際、試料におけるがん細胞の減少を示唆する、表1における負の値により示されるように、モノアミジンAの肺がん細胞への吸収が、がん細胞の細胞増殖を遅くしただけではなく、がん細胞のアポトーシスを引き起こした。ペンタミジン、別のエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害剤が投与されたときにはがん細胞の死は観察されなかった。
【0222】
エンド‐エキソヌクレアーゼ阻害剤を備える試料に残った肺嚢胞の数は、次のプロトコルにしたがって取得された。
【0223】
例4
【0224】
ルイス肺がん細胞は、標準的な実験用マウス(すなわちヌードマウス)に皮下注射された。その後、それらは急速に固形腫瘍を形成した。腫瘍の大きさは計測することができる。注射された細胞は肺がんに由来するが、腫瘍は実際にはマウスの背部で増殖する。すべての動物の同じ部位に接種された。
【0225】
原発腫瘍は、0.5~1.0cmの大きさとなるまで増殖させた。この時点で、腫瘍に由来する細胞はマウスの血流を循環し始める。これらの循環細胞は、肺に二次性腫瘍を形成する能力を有する。
【0226】
原発腫瘍はマウスから外科的に除去される。その後、二次腫瘍を制御しようとするために、マウスはアミジン化合物で治療される。制御が実現された程度は、マウスを犠牲にすることによって、かつ、肺の表面で増殖が見られる新たな腫瘍の数を物理的に数えることによって計測される。その結果は以下の表2に示されている。

表2:エンド‐エキソヌクレアーゼ活性と、肺嚢胞の阻害および消失とに対する阻害化合物(アミジン化合物)の影響。ここで用いた阻害化合物は、ペンタミジン、化学式(II)の化合物に対応する「ジアミジンA」、および、同様に化学式(II)の化合物に対応する「ジアミジンB」であった。ジアミジンAにおいて、化学式(II)のR1とR2の両方がフェニルであり、「n」は5に等しい。ジアミジンBにおいてR1とR2の両方がイソプロピルであり、「n」は5に等しい。
【0227】
表2に示される結果に至る実験では、ペンタミジン、ジアミジンAおよびジアミジンBがそれぞれ癌細胞に導入された。ジアミジンAは、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を50%阻害するために58μM必要とされた。これは、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を50%阻害するために50μM必要となるペンタミジンに匹敵する。しかしながら、ジアミジンAは、ペンタミジンよりも肺嚢胞の数を減らすのに効果的であった(ジアミジンAでは1.7%、ペンタミジンでは4.5%)。対照的に、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を50%阻害するには、ペンタミジンよりも低い濃度(14μM)のジアミジンBが必要とされた。さらに、ジアミジンBが投与された後、ほとんどの肺嚢胞はもはや見られず、0.22%残るのみであった。
【0228】
例5
モノアミジンおよびジアミジンの存在下における細胞生存
ペンタミジンとモノアミジンAの存在下における、H661肺がん細胞の生存率は、上述したMTT試験を行うことにより得ることができ、上記表1に示されている。モノアミジンAは、下記で説明する例6でさらに示されるように、用量依存的にがん細胞を選択的に攻撃する。
【0229】
例6
抗がん作用
モノアミジンAの抗がん作用が上記表1に示されている。
【0230】
表1において、がん細胞型H661は、ペンタミジンのコントロールよりもモノアミジンに対して感受性が高く、用量依存的である。
【0231】
それらの薬剤の臨床用途は、抗がん作用と有害な副作用の間のバランスに依存する。したがって、高濃度で投与できる相対的に非毒性の薬剤は、アグレッシブではあるが非常に少用量でのみ許容され得る毒性薬剤よりも、効果的であり得る。既知の臨床データに基づけば、ペンタミジンの毒性は低い。同様に、本明細書で説明したモノアミジンとジアミジンも、例えばペンタミジンや細菌のエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害するのに使用される特定のフランベースの抗生物質に対する分子類似性によれば、濃度の関数として同様に低い毒性を示しそうである。さらに、これらのモノアミジンおよびジアミジンが、ペンタミジンよりもよく効くことが示されているため、実施例によっては、がん細胞の拡大や腫瘍の増殖を阻害するために、より少ない量の化合物を投与することが必要である。さらに、たとえ特定の化合物が特定の細菌感染症を治療するには高すぎる毒性を有すると考えられるとしても、これらの化合物は、投与の間隔がより長いことだけでなく、その病気に関係する重症度とリスクの結果として、がんを治療するために許容できる毒性レベルを有する可能性をまだ有している。
【0232】
上記表1および2に示した結果は、本開示のモノアミジン阻害剤およびジアミジン阻害剤が、エンド‐エキソヌクレアーゼを阻害し、抗がん作用を有するということを示している。
【0233】
表3、4および5は、エンド‐エキソヌクレアーゼのモノアミジン阻害剤とジアミジン阻害剤とは抗がん剤であり、標準的な化学療法剤と組み合わせて使用する場合、相乗的な抗がん作用を発揮することを示している。上記のMTT試験は、H460肺癌細胞株、HT29結腸癌細胞株、およびMCF7乳癌細胞株に対して、上記のジアミジンAを単独で、または化学療法剤とともにさまざまな量で行い、それぞれ表3、表4および表5に示す結果を達成した。化学療法剤は、イニパリブ、ヴェリパリブ、オラパリブから選択された。イニパリブ、ヴェリパリブ、オラパリブはまた、対照(controls)として、エンド‐エキソヌクレアーゼ化合物を使用しないMTT試験の対象とされた。
【0234】

表3:H460肺癌細胞株に対するMTDX101およびPARP阻害剤。MTDX101は、表2に関して上記で説明したジアミジンAである。
【0235】

表4:HT29結腸癌細胞株に対するMTDX101およびPARP阻害剤。MTDX101は、表2に関して上記で説明したジアミジンAである。
【0236】

表5:MCF7乳がん細胞株に対するMTDX101およびPARP阻害剤。MTDX101は、表2に関して上記で説明したジアミジンAである。
【0237】
統計分析
両側スチューデントt検定(two-tailedStudent T-test)を使って異なるグループ間の統計的有意性を比較した。
【0238】
結果
モノアミジンとジアミジンのがん細胞の増殖に対する影響
【0239】
上述したようにいくつかの実験を行い、本教示にしたがって、すなわち、既知の抗がん剤であるペンタミジンと比較したときの、がん細胞の増殖に対するモノアミジンとジアミジンの抗がん特性を試験した。これらの実験は、本教示のモノアミジンとジアミジンが、ペンタミジンよりも優れたエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害剤であり、かつ、より効力のある抗がん剤であることを示唆している。同じ50μMの濃度で、本教示のモノアミジンとジアミジンは、がん細胞の増殖の阻害することについてより効果的であり、がん細胞死につながった(表1および2)。
【0240】
例7
【0241】
YEpDNAを基質として使用し、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性の阻害を測定した。この試験は、エンド‐エキソヌクレアーゼの分離と試験に関連する例3で説明した手順にしたがって行った。結果は図2に示されている。
【0242】
図2に示すように、阻害化合物が存在しないとエンド‐エキソヌクレアーゼがYEpDNAを分解する。阻害化合物を加えることで、いくらかDNAを保護する結果となった。より太く、より密なバンドは、分解されたDNAが少ないことを示しており、このことはエンド‐エキソヌクレアーゼ活性の阻害が増大したことを示している。
【0243】
化合物I,IIおよびIIIによるエンド‐エキソヌクレアーゼの阻害が測定され、ペンタミジンの阻害と比較された。化合物I,IIおよびIIIの分子構造は次の通りである。


【0244】
モノアミジン化合物(I‐1)および(I‐2)について、R3はそれぞれイソプロピルおよびイソブチルである。ジアミジン化合物(III)について、R1とR2は両方ともイソプロピルである。しかしながら、ジアミジン化合物のR1とR2が等しくイソブチルとなり得ることは理解されたい(モノアミジン化合物のsp3窒素をイソブチルで置換すると、同じ窒素がイソプロピルで置換された場合と同様の阻害が生じるように思われるためである。そのため、R1とR2としてイソブチルを有するジアミジン化合物と、R1とR2としてイソプロピルを有するジアミジン化合物との間で観察される阻害も同様であるはずである)。
【0245】
図2に示すように、モノアミジン化合物I‐1またはモノアミジン化合物I‐2が存在することで、ペンタミジンと同様のエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害をもたらした。ジアミジン化合物IIIが導入されたときの、より太いバンドによって示されるように、ジアミジン化合物IIIが存在することで、ペンタミジンよりもエンド‐エキソヌクレアーゼ活性をより強く阻害する結果となった。
【0246】
したがって、図2に示した結果に基づくと、モノジアミン化合物とジアミジン化合物とは、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害することにおいて、ペンタミジンと同程度か、ペンタミジンよりも優れていることに留意されたい。
【0247】
なお、当然理解できることであるが、本研究では例として、特定のタイプのがん細胞に対するモノアミジンとジアミジンの効果を示したが、本教示のモノアミジンとジアミジンを用いて、ヒトエンド‐エキソヌクレアーゼを対象とすることによって、例えば図1に示したがん細胞株などの、ヒトエンド‐エキソヌクレアーゼ活性が増大された、様々ながん細胞株に対応するがんの拡大、増殖を阻害したり治療したりしてもよい。
【0248】
議論
【0249】
異常な(上昇した)レベルのエンド‐エキソヌクレアーゼが、ほとんどすべての患者試料で検出された一方で、標準的ながん診断マーカーであるCEAでは、同じ患者試料の約25%のみ陽性となった。
【0250】
この研究は、本教示のモノアミジンとジアミジンが、がん細胞の増殖を阻害するということを示している。
【0251】
この研究は、本教示のモノアミジンとジアミジンが、ヒトエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害するということを示している。
【0252】
さらに、上述したデータに照らせば、本教示のモノアミジンとジアミジンを既知の化学療法薬と組み合わせることにより、治療反応を明確に改善する。
【0253】
本研究は、本教示のモノアミジンとジアミジンにおいて、基(R3)がモノアミジンのアミジン基のsp3窒素に結合した水素を置換する場合、または、基がジアミジンの一方または両方のアミジン基(R1やR2)のそれぞれのsp3窒素に結合された水素を置換する場合、(例えばヒトエンド‐エキソヌクレアーゼ活性の)エンド‐エキソヌクレアーゼ阻害を有するモノアミジン化合物とジアミジン化合物をもたらすことを示している。本研究では、表1および2に示すように、モノアミジンおよびジアミジンのアミジン基のsp3窒素に結合した特定の置換基に焦点を合わせた。この置換基はそれらの分子構造に関して異なる(すなわち、メチル基、フェニル基、イソプロピル基、イソブチル基)。したがってこの研究は、アミジン基のsp3窒素に結合したHを置換することで、ヒトエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害が増大された、モノアミジン化合物およびジアミジン化合物を生成することを示している。したがって、本願のデータにより示されるように、本教示から逸脱することなく、アミジン基のsp3窒素に結合したHの位置で他の置換基を使用してもよいことは理解されたい。加えて、これも当然理解できることであるが、R1、R2およびR3の置換基が、本教示から逸脱することなく、低級アルキルから選択されてもよい。さらに、本明細書に示すように、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を示す一方で、置換基のサイズや性質が著しく異なっていてもよく(例えばメチル基の大きさとフェニル基の大きさでは、メチル基よりもフェニル基の方が立体障害の原因となる)、ヒトエンド‐エキソヌクレアーゼ活性を比較しつつ、アミジン基のsp3窒素に結合したHの位置で他の置換基を使用してもよいことは理解されよう。最後に、表2の例は、R1とR2が置換されたジアミジン化合物を示しているが、実施例によっては、増大されたエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害を示しつつ、R1またはR2のみが、本明細書で説明したように置換されてもよいということがさらに理解されよう。モノアミジン化合物で観察されたエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害で示されるように、アミジン部位がエンド‐エキソヌクレアーゼ活性部位と相互作用するように思われるため、エンド‐エキソヌクレアーゼ活性を阻害する役割を果たすためには、ジアミジン化合物の一端部のみが必要とされている。したがって置換基は、R1またはR2のいずれか、または、R1とR2の両方に存在してもよい。
【0254】
化学式IIの化合物のR5は、炭素鎖であってもよい。実施例によっては、炭素鎖は5つの炭素からなる。しかしながら、R1やR2が化合式IIの化合物のエンド‐エキソヌクレアーゼ阻害活性に著しく寄与しているように思われるので、炭素鎖の長さは、本教示から逸脱することなく、5つの炭素より多くても少なくてもよい。炭素鎖は飽和または不飽和(一つ以上の二重結合または三重結合)であってもよい。R5は非置換であっても置換されてもよい。
【0255】
医薬組成物
上記化合物の医薬組成物を用いてがんを有する患者を治療する。本願の化合物を人体全体にわたる標的組織に届けるための賦形剤は、塩分とD5W(5%ブドウ糖と水)を含む。本願の化合物の経口剤形の調製に使用される製剤添加剤には、緩衝剤、可溶化剤、懸濁剤、乳化剤、粘度調整剤、香料、乳糖充填剤(lactose filler)、抗酸化剤、防腐剤または染料などの添加物が含まれる。非経口およびその他の投与のための好ましい製剤添加剤が存在する。これらの製剤添加剤には、血清アルブミン、グルタミン酸またはアスパラギン酸、リン脂質および脂肪酸が含まれる。
【0256】
実施例によっては、好ましい保管状態は、凍結乾燥して粉末形状にすることである。好ましい投与製剤は、バイアルまたは点滴静注バッグに保管された液体形態である。本開示の化合物は、例えば錠剤(pills)、タブレット、クリーム、軟膏、粉末、乳濁液、ゼラチンカプセル、カプセル、座薬、ゲット(gets)またはメンブレンなどの、固形または半固形状で製剤されてもよい。好ましい投与経路は静脈内投与である。他の許容できる投与経路として、経口、局所、直腸、非経口(注射可能)、局部、吸入および硬膜外の投与を含む。医薬組成物は、輸送分子に結合されるか、または、例えば賦形剤やミセルなどの輸送モダリティ(transport modalities)に含まれて、分子の輸送を促進することもできる。患者に投与できる薬学的に許容できる組成物の調整方法は当技術分野で知られている。
【0257】
医薬組成物はまた、がん細胞を選択的に標的とするか、または、薬剤が受容されるようにがん細胞を助長する輸送分子、モノクローナル抗体または、賦形剤およびミセルなどの輸送モダリティに結合されてもよい。
【0258】
本開示の化合物を含む医薬組成物は、ヒトまたは動物に投与することができる。投与される用量は、個々の患者の状態、薬物の指示、薬物の物理的および化学的安定性、毒性、所望の効果および選択された投与経路に依存する(Robert Rakel, ed., Conn's Current Therapy (1995, W.B. SaundersCompany, 米国))。これらの医薬組成物を用いてがんを治療する。
【0259】
結論
【0260】
アミジンが抗真菌活性および抗菌活性を有することは前から知られていた。本教示のモノアミジンおよびジアミジンは、インビトロでのがん細胞株の増殖を止めるのに十分にエンド‐エキソヌクレアーゼを阻害することがわかった。本教示のモノアミジンおよびジアミジンはまた、非常に侵攻性のがんを患った動物において腫瘍の増殖を遅くすることが既に示されているペンタミジンと比べた時に、本願で試験した化合物の効能に確実に基づけば、非常にアグレッシブながんを患った動物において腫瘍の増殖を遅くすることも期待される。
【0261】
本発明は好ましい実施例に関して説明してきたが、当業者にとって明らかである場合には、修正をしてもよいことは理解されたい。そのような修正および変形は、本発明の領域および範囲内にあるものとみなされる。
【0262】
本発明の代表的な、非限定的な例について、添付の図面を参照して詳細に上述した。この詳細な説明は、単に本教示の実践的な好ましい側面について当業者に対してさらなる詳細を教示しようとするものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。さらに、上下に開示された付加的な特徴や教示のそれぞれは、別々に利用されたり、他の特徴や教示と併せて用いられたりして、有用なアミジン化合物およびジアミジン化合物、ならびに、それらを使ってがんを治療する方法を提供してもよい。
【0263】
さらに、実験例だけでなく、上記詳細な説明に開示した特徴およびステップの組み合わせは、広義において本発明を実施するために必要ではないかもしれず、その代わりに単に、本発明の代表的な例を具体的に説明するために教示されたものである。さらに、下記の異なる独立クレームおよび従属クレームだけでなく、上述した代表的な例の様々な特徴は、本教示の追加的な有用な実施例を提供するため、具体的、明確には列挙されていない方法で組み合わせることができる。
【0264】
明細書やクレームに開示されたすべての特徴は、当初の記載の開示を目的とするだけでなく、実施例やクレームにおける、クレームされた主題、特徴の構成要素の独立を制限することを目的として、互いから別々に、かつ、独立して開示されるよう意図されている。加えて、すべての数値範囲またはエンティティの集合の示唆は、当初の記載の開示を目的とするだけでなく、クレームされた主題を限定する目的でも、すべてのとり得る中間値または中間的なエンティティを開示しようとするものである。
【0265】
参考文献
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Laemmli, U. K., (1970) Cleavage of structuralproteins during the assembly of the head of bacteriophage T4, (1970) Nature 227, 680-685.
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式を有する化合物であって、

R3が、シクロプロピルメチル、シクロブチル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジル、シクロプロピル、シクロペンチル、イソブチル、イソプロピル、メチル、およびフェニルからなるグループから選択され、
R4が、Hであり
R5が(CH であり、nが1~7までの整数に等しいことを特徴とする化合物。
【請求項2】
請求項に記載の化合物であって、R3がメチル、プロピル、およびブチルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項に記載の化合物であって、R3がメチル、イソプロピル、およびイソブチルからなるグループから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項のいずれか一項に記載の化合物であって、nが1に等しいことを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物の、薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
がんを治療するための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物であって、薬剤として使用することを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物であって、がんの治療に使用することを特徴とする化合物。