(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105031
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】光検出および測距(LIDAR)システムにおける範囲のエイリアシング検出および軽減のための延長された検出期間の使用
(51)【国際特許分類】
G01S 17/18 20200101AFI20220705BHJP
【FI】
G01S17/18
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022066249
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2020504710の分割
【原出願日】2018-06-06
(31)【優先権主張番号】15/665,591
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】シャンド,マーク アレクサンダー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オブジェクトが、公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを判定する。
【解決手段】LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する標準検出期間(複数可)、および標準検出期間(複数可)の持続時間よりも長い持続時間を有する延長された検出期間(複数可)を含む、時間シーケンスに従って光パルスを放出および検出するようにLIDARデバイスを動作させる。特定の放出された光パルス(複数可)に対応する延長された検出期間(複数可)中に、LIDARが戻り光パルス(複数可)を検出したという判定をする。検出された戻り光パルス(複数可)が、1つ以上の範囲を示す特定の放出された光パルス(複数可)の対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定する。1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をし、その後、さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出し、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、コンピューティングシステムによって、光検出および測距(LIDAR)デバイスを動作させることであって、前記検出時間シーケンスが、各放出された光パルスについて、対応する戻り光パルスを検出するための対応する検出期間を含み、前記対応する検出期間は、(i)前記LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する1つ以上の標準検出期間、および(ii)前記1つ以上の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する1つ以上の延長された検出期間を含む、動作させることと、
前記コンピューティングシステムによって、前記LIDARデバイスが、1つ以上の特定の放出された光パルスに対応する前記延長された検出期間のうちの1つ以上の期間中に、1つ以上の戻り光パルスを検出したという判定をすることと、
前記判定をすることに応答して、前記コンピューティングシステムによって、前記1つ以上の検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す、前記1つ以上の特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記1つ以上の範囲は、オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をすることと、
前記コンピューティングシステムによって、前記さらなる判定に従って、オブジェクト検出に関与することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記コンピューティングシステムが、前記1つ以上の延長された検出期間をそれぞれ開始および終了するためのタイミングを示す、固定されたスケジュールへのアクセスを有し、前記検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように前記LIDARデバイスを動作させることは、前記固定されたスケジュールに従って前記LIDARデバイスを動作させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように前記LIDARデバイスを動作させることが、定期的時間シーケンスに従って前記1つ以上の延長された検出期間をそれぞれ開始するように、前記LIDARデバイスを動作させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の延長された検出期間が、前記LIDARによって1つ以上の特定の移動方向に放出された1つ以上の光パルスに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の特定の移動方向が、地面に実質的に平行であるか、または前記地面から離れて上昇する移動方向を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記さらなる判定をすることは、
前記公称検出範囲が、前記1つ以上の範囲を含むかどうかのさらなる判定をすることと、
前記さらなる判定が、前記公称検出範囲が前記1つ以上の範囲を含むという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、前記1つ以上の範囲は、オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないと判定することと、
前記さらなる判定が、前記公称検出範囲が前記1つ以上の範囲を含まないという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、前記1つ以上の範囲は、オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すと判定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトの表示を生成するための基礎として使用することと、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示さないという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、前記公称検出範囲内に位置決めされているオブジェクトの表示を生成するための基礎として使用することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、前記LIDARデバイスと、前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトとの間の距離を判定するための基礎として使用することと、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされているオブジェクトを示さないという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、前記LIDARデバイスと、前記公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトとの間の距離を判定するための基礎として使用することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを識別するための基礎として使用することと、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示さないという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、前記公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトを識別するための基礎として使用することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コンピューティングシステムによって、前記LIDARデバイスが、2つ以上の放出された光パルスの各々に対応する検出期間中に他の戻り光パルスを検出したと判定することと、
前記LIDARデバイスが他の戻り光パルスを検出したと判定することに応答して、前記コンピューティングシステムによって、(i)前記検出された他の戻り光パルスが、第1の組の範囲を示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有し、(ii)前記検出された他の戻り光パルスが、第2の組の範囲を示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することと、をさらに含み、
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することが、
前記さらなる判定に基づいて、前記第1の組の範囲をオブジェクト検出の基礎として使用することと、前記第2の組の範囲をオブジェクト検出の基礎として使用することと、の間で選択することと、
前記選択に従ってオブジェクト検出に関与することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記LIDARデバイスが、2つ以上の放出された光パルスの各々の対応する検出期間中に他の戻り光パルスを検出したと判定することが、前記LIDARデバイスが、前記複数の第1の放出された光パルスの各々の対応する検出期間中に前記他の戻り光パルスを検出したと判定することを含み、前記さらなる判定に基づいて選択することは、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、前記第2の組の範囲のオブジェクト検出の基礎として使用することを選択することと、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示さないという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、前記第1の組の範囲のオブジェクト検出の基礎として使用することを選択することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示さないという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、少なくとも前記1つ以上の範囲を、オブジェクト検出の基礎として使用することと、
前記さらなる判定が、前記1つ以上の範囲が前記公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、前記さらなる判定をすることに応答して、オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを検証するための追加のプロセスに関与することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の特定の放出された光パルスが、前記LIDARによって特定の移動方向に放出され、前記追加のプロセスに関与することは、オブジェクトが、(i)前記公称検出範囲の外側に、および(ii)前記1つ以上の特定の放出された光パルスの前記特定の移動方向に沿って位置決めされているかどうかを検証するように前記追加のプロセスに関与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピューティングシステムによって、前記LIDARデバイスが、2つ以上の放出された光パルスの各々の対応する検出期間中に他の戻り光パルスを検出したと判定することと、
前記LIDARデバイスが他の戻り光パルスを検出したと判定することに応答して、前記コンピューティングシステムによって、(i)前記検出された他の戻り光パルスが、第1の組の範囲を示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有し、(ii)前記検出された他の戻り光パルスが、第2の組の範囲を示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することと、をさらに含み、
前記追加のプロセスに関与することは、
前記第1の組の範囲が、少なくとも1つの既知のオブジェクトを表すかどうかを判定することと、
前記第1の組の範囲が、少なくとも1つの既知のオブジェクトを表すかどうかの前記判定に基づいて、前記第1の組の範囲をオブジェクト検出の基礎として使用することと、前記第2の組の範囲をオブジェクト検出の基礎として使用することと、の間で選択することと、
前記選択に従ってオブジェクト検出に関与することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記コンピューティングシステムによって、前記LIDARデバイスが、2つ以上の放出された光パルスの各々の対応する検出期間中に他の戻り光パルスを検出したと判定することと、
前記LIDARデバイスが他の戻り光パルスを検出したと判定することに応答して、前記コンピューティングシステムによって、(i)前記検出された他の戻り光パルスが、第1の組の範囲を示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有し、(ii)前記検出された他の戻り光パルスが、第2の組の範囲を示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することと、をさらに含み、
前記追加のプロセスに関与することは、
前記第1の組の範囲が、互いに実質的に類似しているかどうかを判定することと、
前記第1の組の範囲が、互いに実質的に類似しているかどうかを判定することに基づいて、前記第1の組の範囲をオブジェクト検出の基礎として使用することと、前記第2の組の範囲をオブジェクト検出の基礎として使用することと、の間で選択することと、
前記選択に従ってオブジェクト検出に関与することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記LIDARデバイスが、車両上に位置決めされ、前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、前記さらなる判定に従って、前記車両の周りの環境に位置決めされたオブジェクトの検出に関与することを含み、前記コンピューティングシステムは、前記車両の周りの前記環境の前記LIDARデバイスによる少なくともスキャンに基づいて、前記車両を動作させるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
自動運転車両のコンピューティングシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
非一時的なコンピュータ可読媒体と、
前記非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され、
放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出するように、光検出および測距(LIDAR)デバイスを動作させることを行うように、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能なプログラム命令と、を備え、
前記放出時間シーケンスが、シーケンス内の大部分の放出後の標準期間、および前記シーケンス内の少なくとも1つの前記放出後の延長された期間を含み、前記標準期間が、前記LIDARデバイスの公称検出範囲に関連付けられている、コンピューティングシステム。
【請求項18】
前記延長された期間は、放出が前記車両の移動方向に放出された後に生じる、請求項17に記載のコンピューティングシステム。
【請求項19】
車両であって、
光検出および測距(LIDAR)デバイスと、
コンピューティングシステムであって、
放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出し、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、前記LIDARデバイスを動作させることであって、前記検出時間シーケンスが、各放出された光パルスについて、対応する戻り光パルスを検出するための対応する検出期間を含み、前記対応する検出期間は、(i)前記LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する1つ以上の標準検出期間、および(ii)前記1つ以上の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する1つ以上の延長された検出期間を含む、動作させることと、
前記LIDARデバイスが、1つ以上の特定の放出された光パルスに対応する前記延長された検出期間のうちの1つ以上の期間中に、1つ以上の戻り光パルスを検出したという判定をすることと、
前記判定をすることに応答して、前記1つ以上の検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す、前記1つ以上の特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することと、
前記1つ以上の範囲は、オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をすることと、
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することと、を行うように構成されている、コンピューティングシステムと、を備える、車両。
【請求項20】
前記さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することが、前記さらなる判定に従って、前記車両の周りの環境に位置決めされているオブジェクトの検出に関与することを含み、前記コンピューティングシステムが、
前記さらなる判定に従って、前記車両の周りの前記環境に位置決めされているオブジェクトの少なくとも検出に基づいて前記車両を動作させることを行うようにさらに構成されている、請求項19に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年8月1日に出願され、「Use of Extended Detection Periods for Range Aliasing Detection and Mitigation in a Light Detection and Ranging(LIDAR)System 」と題された、米国特許出願第15/665,591号に対する優先権を主張する。
【0002】
参照による組み込み
2017年6月30日に出願された、米国特許出願第15/638,607号は、それが本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
車両は、運転者からの入力がほとんどまたはまったくない状態で車両が環境内を道案内する自律モードで動作するように構成され得る。そのような自律車両は、車両が動作する環境に関する情報を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。そのようなセンサの1つに、光検出および測距(LIDAR)デバイスがある。
【0004】
LIDARデバイスは、ある場面全体をスキャンして環境内の反射面を示す「ポイントクラウド」を組み立てながら、環境機能までの距離を推定することができる。ポイントクラウドの個々の点は、レーザパルスを送信することと、もしあれば環境内のオブジェクトから反射されて戻ってくるパルスを検出することと、送信されたパルスと反射されたパルスの受波との間の遅延時間に従ってオブジェクトまでの距離を判定することと、によって判定され得る。
【0005】
したがって、LIDARデバイスは、単一のレーザまたは一組のレーザを含み、ある場面全体にわたって迅速かつ繰り返しスキャンして、その場面内の反射オブジェクトまでの距離に関する連続的なリアルタイムの情報を提供することができる。各距離を測定しながら、測定された距離とレーザ(複数可)の向きとを組み合わせることによって、三次元の位置を、戻ってくる各パルスと関連付けることが可能になる。このようにして、全スキャン範囲について、環境内の反射特徴の場所を示す点の三次元地図が生成され得る。
【0006】
LIDARを使用する際の1つの課題は、範囲のエイリアシングであり得る。範囲のエイリアシングは、生成されたデータに基づいて、ある特定の範囲から散乱した信号と他の範囲から散乱した信号とをシステムが区別できないときなどの、偽エコーの出現に関連している。例えば、LIDARの文脈では、範囲のエイリアシングは、LIDARの最大の明確な範囲内にあると解釈される、LIDARの最大の明確な範囲外からの戻り信号を参照し得る。
【発明の概要】
【0007】
例示的な実装形態は、オブジェクトが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを判定するために、延長された検出期間を使用するための方法およびシステムに関し得る。
【0008】
詳細には、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する標準検出期間(複数可)を含み、標準検出期間(複数可)の持続時間よりも長い持続時間を有する延長された検出期間(複数可)を含む、時間シークエンスに従って光パルスを放出および検出するようにLIDARデバイスを動作させることができる。このようにして、コンピューティングシステムは、延長された検出期間中にLIDARデバイスの検出範囲を延長することができる。
【0009】
この構成により、これらの延長された検出期間中のLIDARデバイスによる光パルス(複数可)の検出に基づいて、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射した戻り光パルスを検出したかどうかを判定し得る。具体的には、コンピューティングシステムは、そのような検出された光パルスの各々について、直近に放出された光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って範囲をそれぞれ判定してもよい。コンピューティングシステムが、公称検出範囲がこれらの判定された範囲を含むと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、これらの範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないと判定してもよい。一方、コンピューティングシステムが、公称検出範囲がこれらの判定された範囲を含まないと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、これらの範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すと判定してもよい。
【0010】
コンピューティングシステムは、範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかの判定をすると、コンピューティングシステムは、それに応じてオブジェクト検出に関与してもよい。例えば、コンピューティングシステムが、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを範囲が示すと判定する場合、コンピューティングシステムは、そのオブジェクトを識別するための操作、および/またはそのオブジェクトまでの距離を判定するための動作を実行し得る。別の実施例では、コンピューティングシステムは、他の検出期間に検出された光パルスが、公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射したかどうかを判定するための基礎としてその判定を使用することによってなど、他の検出期間における範囲のあいまいさを克服するための基礎として、その判定を使用し得る。さらに別の実施例では、コンピューティングシステムは、範囲のあいまいさを克服するのに役立つ他のプロセスの使用を選択的にトリガするための基礎として、その判定を使用し得る。他の実施例も可能である。
【0011】
一態様では、方法が開示される。本方法は、放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出し、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、コンピューティングシステムによって、光検出および測距(LIDAR)デバイスを動作させることであって、検出時間シーケンスは、各放出された光パルスについて、対応する戻り光パルスを検出するための対応する検出期間を含み、対応する検出期間は、(i)LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する1つ以上の標準検出期間、および(ii)1つ以上の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する1つ以上の延長された検出期間を含む、動作させることを含む。本方法はまた、コンピューティングシステムによって、LIDARデバイスが、1つ以上の特定の放出された光パルスに対応する延長された検出期間のうちの1つ以上の期間中に、1つ以上の戻り光パルスを検出したという判定をすることも含む。本方法は、判定をすることに応答して、コンピューティングシステムによって、1つ以上の検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す、1つ以上の特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することを追加的に含む。本方法は、コンピューティングシステムによって、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をすることをさらに含む。本方法はまた、コンピューティングシステムによって、さらなる判定に従って、オブジェクト検出に関与することをさらに含む。
【0012】
別の態様では、自動運転車両のコンピューティングシステムが開示される。コンピューティングシステムは、1つ以上のプロセッサと、非一時的なコンピュータ可読媒体と、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され、1つ以上のプロセッサによって実行可能なプログラム命令と、を備える。詳細には、プログラム命令は、放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出するように、光検出および測距(LIDAR)デバイスを動作させるように実行可能であってもよく、放出時間シーケンスには、シーケンスの放出の大部分の後の標準期間、およびシーケンスの放出の少なくとも1つの後の延長期間を含み、標準期間は、LIDARデバイスの公称検出範囲に関連付けられている。
【0013】
さらに別の態様では、車両が開示される。車両は、光検出および測距(LIDAR)デバイスと、コンピューティングシステムと、を備える。コンピューティングシステムは、放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出し、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、LIDARデバイスを動作させるように構成されてもよく、検出時間シーケンスは、各放出された光パルスについて、対応する戻り光パルスを検出するための対応する検出期間を含み、対応する検出期間は、(i)LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する1つ以上の標準検出期間、および(ii)1つ以上の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する1つ以上の延長された検出期間を含む。コンピューティングシステムはまた、LIDARデバイスが、1つ以上の特定の放出された光パルスに対応する延長された検出期間のうちの1つ以上の期間中に、1つ以上の戻り光パルスを検出したという判定をするように構成されてもよい。コンピューティングシステムは、判定をすることに応答して、1つ以上の検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す、1つ以上の特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定するように追加的に構成されてもよい。コンピューティングシステムは、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をするようにさらに構成されてもよい。コンピューティングシステムは、さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与するようにさらに構成されてもよい。
【0014】
さらに別の態様では、別のシステムが開示される。システムは、放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出し、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、光検出および測距(LIDAR)デバイスを動作させるための手段を含んでもよく、検出時間シーケンスは、各放出された光パルスについて、対応する戻り光パルスを検出するための対応する検出期間を含み、対応する検出期間は、(i)LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する1つ以上の標準検出期間、および(ii)1つ以上の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する1つ以上の延長された検出期間を含む、動作させることを含む。システムはまた、LIDARデバイスが、1つ以上の特定の放出された光パルスに対応する延長された検出期間のうちの1つ以上の期間中に、1つ以上の戻り光パルスを検出したという判定をするための手段を含んでもよい。システムは、判定をすることに応答して、1つ以上の検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す、1つ以上の特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定するための手段を追加的に含んでもよい。システムは、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をするための手段をさらに含んでもよい。システムはまた、さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与するための手段をさらに含んでもよい。
【0015】
これらならびに他の態様、利点、および代替物は、添付の図面を適切に参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に明らかになるであろう。さらに、この要約部および本文書の他の場所で提供される説明は、限定ではなく、例として特許請求された主題を例示することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】例示的な一実施形態による、LIDARデバイスの簡略ブロック図である。
【
図2A】例示的な一実施形態による、LIDARデバイスを示す。
【
図2B】例示的な一実施形態による、別のLIDARシステムを示す。
【
図3A】例示的な一実施形態による、車両の上部に位置決めされているLIDARデバイスのいくつかの図を示す。
【
図3B】例示的な一実施形態による、車両の上部に位置決めされているLIDARデバイスによる光の放出を示す。
【
図3C】例示的な一実施形態による、車両の上部に位置決めされているLIDARデバイスによる反射した光の検出を示す。
【
図3D】例示的な一実施形態による、車両の上部に位置決めされているLIDARデバイスのスキャン範囲を示す。
【
図4A】例示的な一実施形態による、車両の上部に位置決めされているLIDARデバイスの明確な公称検出範囲を示す。
【
図4B】例示的な一実施形態による、LIDARデバイスの明確な公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトから反射したパルスを示す。
【
図4C】例示的な一実施形態による、LIDARデバイスの明確な公称検出範囲内の外側に位置決めされたオブジェクトから反射したパルスを示す。
【
図5A】例示的な一実施形態による、第1の時間シーケンスを示し、複数の検出された光パルスの各々について複数の可能な検出時間を示す。
【
図5B】例示的な一実施形態による、第1の時間シーケンスに対する範囲のあいまいさを示す。
【
図6】例示的な一実施形態による、LIDARシステムで延長された検出期間(複数可)を利用するための方法を示すフローチャートである。
【
図7A】例示的な一実施形態による、延長された検出範囲を示す。
【
図7B】例示的な一実施形態による、延長された検出期間(複数可)を含む第2の時間シーケンスを示す。
【
図7C】例示的な一実施形態による、オブジェクトがLIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定するための延長された検出期間の使用を示す。
【
図7D】例示的な一実施形態による、範囲のあいまいさを克服するための延長された検出期間の使用を示す。
【
図8】例示的な一実施形態による、LIDARデバイスから受信した環境のスキャンに基づく車両の動作を示す。
【
図9】例示的な一実施形態による、車両の簡略化されたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例示的な方法およびシステムが本明細書に記載される。「例示的」という単語は、本明細書では「実施例、例、または事例として役立つ」ことを意味するために使用されることを理解されたい。本明細書に「例示的」または「事例的」として記載される実装または特徴は、他の実装または特徴よりも好ましいまたは有益であると必ずしも解釈されるべきではない。図では、文脈が別の方法で指示しない限り、類似の記号は、通常、類似の構成部品を同一に扱っている。本明細書に記載される例示的な実装形態は、限定することを意図していない。本開示の態様は、本明細書に全般的に記載されるように、また図に示されているように、多種多様な構成で配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができ、それらはすべて本明細書で企図されていることが容易に理解されるであろう。
【0018】
I.要約
運転手からの入力がほとんどまたはまったくない状態で車両が環境内を道案内する自律運転を改善するための継続的な取り組みがある。このような取り組みには、リモートセンシング能と、場合によっては事故回避システムを搭載した車両の開発と、を含む。例えば、LIDARデバイスなどの様々なセンサを車両に含めて、車両の環境内のオブジェクトを検出し、それにより、自律運転および/または事故回避を容易にすることができる。
【0019】
一般に、LIDARデバイスは、ある場面全体をスキャンして環境内の反射面を示す「ポイントクラウド」を組み立てながら、環境機能までの距離(複数可)を推定するのに役立ち得る。ポイントクラウドの個々の点は、光パルスを放出することと、もしあれば環境内のオブジェクトから反射されて戻ってくる光パルスを検出することと、放出された光パルスと反射されて戻ってくる光パルスの検出との間の遅延時間に従ってオブジェクトまでの距離を判定することと、によって判定され得る。LIDARには、レーザ(複数可)またはその他の光源を含めることができる。レーザ(複数可)またはLIDAR全体は、ある場面全体にわたって迅速かつ繰り返しスキャンして、その場面内の反射オブジェクトまでの距離に関する連続的なリアルタイムの情報を提供し得る。この構成により、各距離を測定しながら、測定された距離とレーザ(複数可)の向きとを組み合わせることによって、三次元の位置を、戻ってくる各パルスと関連付けることが可能になる。このようにして、全スキャン範囲について、環境内の反射特徴の場所を示す点の三次元地図が生成され得る。
【0020】
コンピューティングシステム(例えば、車両の)が、LIDARデバイスを動作させるとき、コンピューティングシステムは、特定のタイミングに従って光パルスを放出および検出するように、LIDARデバイスを動作させてもよい。例えば、コンピューティングシステムは、定期的なシーケンス(例えば、マイクロ秒ごとに1回の光パルスの放出)などの放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出するように、LIDARデバイスを動作させてもよい。この実施例では、コンピューティングシステムはまた、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、LIDARデバイスを動作させてもよい。検出時間シーケンスは、LIDARの特定の範囲内に位置付けられたオブジェクトから戻ってきた光パルスを検出することを意図している検出期間を有してもよい。この検出期間は、本明細書では公称検出期間または標準検出期間と呼ぶことができ、この範囲は、本明細書では明確な公称検出範囲または公称検出範囲と呼ぶことができる。
【0021】
より具体的には、所与の光パルスの対応する検出期間は、その所与の光パルスの放出の後すぐに、またはある時間に始まり、後続の光パルスの放出の前または後に終了することができる。この対応する検出期間は、LIDARの公称検出範囲内に位置付けられたオブジェクトから反射する所与の放出された光パルスに対応し、結果的に、その対応する戻り光パルスを生じる、戻り光パルスを検出するように配置され得る。実際には、公称検出範囲は、LIDARデバイスから、最小距離、x0~最大距離xmに及ぶ。例えば、最小距離x0は、0メートル、最大距離xmは、60メートルであってもよい。他の実施例では、例えば、最小距離x0は、オブジェクト検出が起こりにくいか、または車両の操作の入力ではないであろう、LIDARから>0m離れた距離であってもよい。例えば、LIDARが航空機の下に取り付けられている場合、x0は2メートルであってもよい。他の距離も企図される。さらに、本明細書では、最小距離を明確な最小検出範囲と呼び、最大距離を明確な最大検出範囲と呼ぶことができる。
【0022】
LIDARデバイスが戻り光パルスを検出するとき、コンピューティングシステムは、これらの検出された戻り光パルスの範囲の仮説を生成し得る。具体的には、コンピューティングシステムは、検出された光パルスの各々について、直近に放出された光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って範囲をそれぞれ判定し得る。この範囲の仮説は、本明細書では、短距離の仮説またはデフォルト範囲の仮説と呼ばれてもよい。
【0023】
一般に、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射される光パルスは、公称検出期間内にLIDARデバイスによって検出されないはずである。例えば、LIDARデバイスは、LIDARデバイスに到達する前に光パルスの強度が大幅に減衰した場合、そのような光パルスを検出しなくてもよい。
【0024】
ただし、状況によっては、LIDARデバイスは、公称検出範囲の外側に位置決めされているオブジェクトから反射される光パルスをそれでも検出する可能性がある。例えば、問題のオブジェクトは、公称検出範囲の最大距離を超えて位置決めされた再帰反射オブジェクト(例えば、高速道路の大型道路標識)である可能性がある。光パルスが公称検出範囲を超えて位置付けられている再帰反射オブジェクトから反射するとき、戻り光パルスは、公称検出期間より後の検出期間中にLIDARデバイスによって検出され得、範囲のあいまいさが生じる。別の実施例では、問題のオブジェクトは、公称検出範囲の最小距離よりもLIDARデバイスの近くに位置決めされているオブジェクトであってもよい。その結果、一部のシナリオでは、光パルスがより近くのオブジェクトから反射するとき、LIDARデバイスは、公称検出期間の前の検出期間中にその光パルスを検出してもよく、範囲のあいまいさも生じる。
【0025】
本明細書では、LIDARデバイスが、公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクトから反射した戻り光パルスを検出したかどうかをコンピューティングシステムが判定するのに役立ち得る手法を開示する。開示された手法によれば、コンピューティングシステムは、1つ以上の検出期間のそれぞれの持続時間を延長するように配置され得る。このことから、コンピューティングシステムは、次に、これらの延長された検出期間中にLIDARデバイスの検出範囲を延長することができる。そこで、これらの延長された検出期間中のLIDARデバイスによる光パルス(複数可)の検出に基づいて、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射した戻り光パルスを検出したかどうかを判定し得る。
【0026】
具体的には、コンピューティングシステムは、1つ以上の標準検出期間および1つ以上の延長された検出期間を有するように、LIDARデバイスを動作させてもよい。標準検出期間は、上記の説明に沿って、LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する期間であってもよい。延長された検出期間は、標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有してもよく、それにより、それらの延長された検出期間中にLIDARデバイスの検出範囲を一時的に延長する。
【0027】
例示的な一実装形態では、延長された検出期間は、任意の実行可能な時間に発生するように配置され得る。例として、延長された検出期間は、定期的または非定期的に行われることによってなど、固定されたスケジュールに従って行われ得る。例えば、64個の検出期間ごとに1つを延長し、残りの検出期間を標準検出期間にすることができる。ただし、他の実施例では、固定されたスケジュールに従って延長された検出期間が行われない可能性がある。例えば、コンピューティングシステムは、1つ以上の要因に基づいて、1つ以上の検出期間を選択的に延長し得る。他の実施例も可能である。
【0028】
この構成により、LIDARデバイスが特定の放出された光パルスに関連付けられた、延長された検出期間(複数可)中に、戻り光パルス(複数可)を検出するとき、コンピューティングシステムは、それに応答して、これらの検出に関連付けられた範囲を判定し、これらの範囲を、LIDARデバイスが公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射した光パルスを検出したかどうかを判定するための基礎として使用し得る。
【0029】
より具体的には、コンピューティングシステムは、検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することができる。これらの判定された範囲の公称検出範囲との比較に基づいて、コンピューティングシステムは、次に、これらの範囲が、オブジェクトがLIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかを判定し得る。
【0030】
例として、コンピューティングシステムは、判定された範囲が、LIDARデバイスの上述の明確な最大検出範囲よりも大きいかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムが、判定された範囲が明確な最大検出範囲よりも大きくないと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、検出された光パルスが、公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトから反射し、したがって、範囲は、オブジェクトが、公称検出範囲の外側に(例えば、0mの明確な最小検出範囲を想定して)位置決めされていることを示さないと判定してもよい。ただし、コンピューティングシステムが、判定された範囲が明確な最大検出範囲よりも大きいと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、検出された光パルスが、明確な最大検出範囲を超えて位置決めされたオブジェクトから反射し、したがって、範囲は、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すと判定してもよい。他の実施例も可能である。
【0031】
コンピューティングシステムが、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)を評価し、範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかの判定をすると、コンピューティングシステムは、それに応じて、オブジェクト検出に関与してもよい。例えば、コンピューティングシステムが、範囲が最大検出範囲を超えて位置決めされているオブジェクトを示すと判定する場合、コンピューティングシステムは、1つ以上の技術を使用して、オブジェクトを識別する、および/または他のオプションの中でそのオブジェクトまでの距離を判定し得る。別の実施例では、コンピューティングシステムは、他の検出期間における範囲のあいまいさを克服するための基礎として、その判定を使用することができる。例えば、コンピューティングシステムは、他の検出期間に検出された光パルスが、公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射したかどうかを判定するための基礎として、その判定を使用することができる。いずれの場合でも、このようなオブジェクト(複数可)の検出は、次に、コンピューティングシステムが他の結果の中で車両の自律運転を最適化するのに役立ち得る。
【0032】
このようにして、開示された手法は、オブジェクトが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを判定するために実行されることが多い計算の範囲を低減するのに役立ち得る。例えば、LIDARデバイスが標準検出期間のみを有するように動作する場合、そのような標準検出期間中に、LIDARデバイスが、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射した戻り光パルスを検出すると、範囲のあいまいさが生じる可能性がある。また、特定のプロセスは、範囲のあいまいさを克服するのに役立ち、および/または公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを検出するのに役立ち得るが、このようなプロセスは計算コストが高くなる。したがって、開示された手法は、検出期間(複数可)のそれぞれの持続時間をまばらに延長することにより、これらの問題を克服するのに役立ち得ると仮定すると、開示された手法は、このようなプロセスの使用を回避するのに役立ち、および/またはこのようなプロセスの使用を選択的にトリガするためのガイドとして機能し、したがって、最終的には、コンピューティングシステムによって使用されている計算リソースの範囲を低減するのに役立ち得る。
【0033】
II.LIDARデバイスの例示的な構成
ここで図を参照すると、
図1は、例示的な一実施形態による、LIDARデバイス100の簡略化されたブロック図である。図示されるように、LIDARデバイス100は、電源装置102、電子機器104、光源(複数可)106、少なくとも1つの送信機108、少なくとも1つの受信機110、回転プラットフォーム112、アクチュエータ(複数可)114、静止プラットフォーム116、コネクタ装置118、回転リンク120、およびハウジング122を含む。他の実施形態では、LIDARデバイス100は、より多い、より少ない、または異なる構成部品を含んでもよい。加えて、示されている構成部品は、いくつもの方法で組み合わせるか、または分割されてもよい。
【0034】
電源装置102は、LIDARデバイス100の様々な構成部品に電力を供給するように構成されてもよい。具体的には、電源装置102は、LIDARデバイスの構成部品に電力を供給するために、LIDARデバイス100内に配列され、LIDARデバイス100の様々な構成部品に実行可能な任意の様式で接続されている、少なくとも1つの電源を含むか、そうでなければその形態をとってもよい。追加的にまたは代替的に、電源装置102は、1つ以上の外部電源から(例えば、LIDARデバイス100が結合されている車両に配置された電源から)電力を受信し、受信した電力をLIDARデバイス100の様々な構成部品に任意の実行可能な様式で供給するように構成された電源アダプタなどを含むか、そうでなければその形態をとってもよい。いずれの場合でも、例えば、電池など、任意のタイプの電源を使用してもよい。
【0035】
電子機器104は、LIDARデバイス100の特定のそれぞれの動作を容易にするのに役立つように各々配置された1つ以上の電子部品および/またはシステムを含んでもよい。実際には、これらの電子機器104は、任意の実行可能な方法でLIDARデバイス100内に配列されてもよい。例えば、電子機器104の少なくとも一部は、回転リンク120の中央空洞領域内に配列されてもよい。それにもかかわらず、電子機器104は、様々なタイプの電子部品および/またはシステムを含んでもよい。
【0036】
例えば、電子機器104は、コンピューティングシステムから、LIDARデバイス100の様々な構成部品への制御信号の転送に使用され、LIDARデバイス100の様々な構成部品から、コンピューティングシステムへのデータの転送に使用される、様々な配線を含んでもよい。一般に、コンピューティングシステムが受信するデータは、他の可能性の中で、受信機110による光の検出に基づいたセンサデータを含んでもよい。さらに、コンピューティングシステムによって送信された制御信号は、他の可能性の中で、送信機106による光の放出を制御すること、受信機110による光の検出を制御すること、および/または回転プラットフォーム112を回転させるためにアクチュエータ114を制御することなどによって、LIDARデバイス100の様々な構成部品を動作させてもよい。
【0037】
いくつかの構成では、電子機器104はまた、コンピューティングシステムを含んでもよい。このコンピューティングシステムは、1つ以上のプロセッサと、データ記憶装置と、データ記憶装置に記憶され、様々な動作を容易にするために1つ以上のプロセッサによって実行可能なプログラム命令と、を有してもよい。したがって、この構成により、コンピューティングシステムは、以下で説明する方法の動作など、本明細書に記載される動作を実行するように構成されてもよい。追加的にまたは代替的に、コンピューティングシステムは、外部システムとLIDARデバイス100の様々な構成部品との間の制御信号および/またはデータの転送を容易にするのに役立てるために、外部コンピューティングシステム、制御システムなど(例えば、LIDARデバイス100が結合されている、車両に配置されたコンピューティングシステム)と通信してもよい。
【0038】
しかしながら、他の構成では、電子機器104は、コンピューティングシステムを含まなくてもよい。むしろ、上述の配線の少なくとも一部は、外部コンピューティングシステムへの接続に使用されてもよい。この構成により、配線は、外部コンピューティングシステムとLIDARデバイス100の様々な構成部品との間の制御信号および/またはデータの転送を容易にするのに役立ち得る。他の構成も同様に可能である。
【0039】
さらに、1つ以上の光源106は、波長範囲内の波長を有する複数の光ビームおよび/または光パルスをそれぞれ放出するように構成され得る。波長範囲は、例えば、電磁スペクトルの紫外線部分、可視部分、および/または赤外線部分内にあり得る。いくつかの実施例では、波長範囲は、レーザによって提供されるような狭い波長範囲であり得る。
【0040】
実際には、光源106の1つは、光パルスを放出するように構成されているレーザダイオードであってもよい。具体的には、レーザダイオードは、逆向きに偏光され、通電された電荷キャリア(例えば、自由電子および/または自由正孔)が再結合し、一方、電流がデバイスを通じてp-n接合部を流れる活性領域を備えたp-n接合部を含む半導体デバイスであってもよい。再結合により、電荷キャリアのエネルギー状態の変化の結果、光の放出が生じる。活性領域が、そのような通電された対によって大量に投入されるとき(例えば、活性領域は、通電された状態の反転分布を有する場合がある)、活性領域全体の誘導放出は、レーザダイオードから放出された光の実質的にコヒーレントな波面を生成する可能性がある。再結合事象、及び結果として生じる光放出は、デバイスを通じて流れる電流に応答して発生するため、レーザダイオードに電流のパルスを印加すると、結果的に、レーザダイオードから光パルスの放出が生じる。
【0041】
そこで、本開示は、一般に、一次光源106として使用されているレーザダイオードの文脈で本明細書に記載される。しかしながら、いくつかの構成では、1つ以上の光源106は、追加的にまたは代替的に、ファイバーレーザ、発光ダイオード(LED)、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)、発光ポリマー(LEP)、液晶ディスプレイ(LCD)、微小電気機械システム(MEMS)、および/または複数の放出された光ビームおよび/またはパルスを提供するように、光を選択的に送信、反射、および/または放出するように構成された任意の他のデバイスを含んでもよい。
【0042】
さらに、送信機108は、光を環境に放出するように構成されてもよい。具体的には、送信機108は、光源106からの光を環境に向けるように構成された光学装置を含んでもよい。この光学装置は、他の光学部品の中で、物理的空間全体にわたる光の伝搬を導くために使用されるミラー(複数可)および/または光の特定の特性を調整するために使用されるレンズ(複数可)の任意の実行可能な組み合わせを含んでもよい。例えば、光学装置は、光をコリメートするように構成された投光レンズを含んでもよく、それにより、結果的に、互いに実質的に平行な光線を有する光が生じる。さらに、レンズは、例えば、水平軸から+7°の垂直方向の光の広がりを水平軸から-18°の方向に広げることなどにより(例えば、水平軸は理想的には環境内の地面に平行である)、特定の様式で光を広げるか、そうでなければ散乱させるように成形されてもよい。
【0043】
上記のように、LIDARデバイス100は、少なくとも1つの受信機110を含んでもよい。受信機110は、送信機108から放出された光の1つと同じ波長範囲の波長を有する光を少なくとも検出するようにそれぞれ構成されてもよい。そうすることで、受信機110は、特定の分解能で光を検出することができる。例えば、受信機110は、0.036°(水平)×0.067°(垂直)の角度分解能で光を検出するように構成されてもよい。さらに、受信機110は、特定のFOVで環境をスキャンするように構成されてもよい。例えば、受信機110は、上述の水平軸から+7°から、水平軸から-18°離れた範囲内の入射光を集束するように配置されてもよい。このようにして、受信機110は、+7°~-18°の範囲に沿って光の検出を可能にし、これは、送信機108が提供する放出された光の上述の例示的な垂直方向の広がりに一致する。この分解能およびFOVは、例示的な目的のみで説明されており、限定することを意図していないことに留意されたい。
【0044】
例示的な一実装形態では、受信機110は、受信機110が、前述の分解能およびFOVを提供することを可能にする光学装置を有してもよい。一般に、そのような光学装置は、少なくとも1つの光学レンズと光検出器アレイとの間に光路を提供するように配置されてもよい。
【0045】
より具体的には、受信機110は、LIDARデバイス100の環境内の1つ以上のオブジェクトから反射した光を受信機110の検出器に集束させるように配置された光学レンズを含んでもよい。そうするために、光学レンズは、特定の寸法(例えば、約10cm×5cm)ならびに特定の焦点距離(例えば、約35cm)を有してもよい。さらに、光学レンズは、前述の特定の垂直FOVに沿って入射光を集束するように成形されてもよい(例えば、+7°~-18°)。第1の受信機の光学レンズのそのような成形は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な形態のうちの1つ(例えば、球状成形)をとってもよい。
【0046】
さらに、上記のように、受信機110は、(例えば、上述の波長範囲の)検出された光を検出された光を示す電気信号に変換するように各々構成された2つ以上の検出器を含む光検出器アレイを有してもよい。実際には、このような光検出器アレイは、様々な方法の1つで配置され得る。例えば、検出器を1つ以上の基板(例えば、プリント基板(PCB)、フレキシブルPCBなど)に配列し、光学レンズから光路に沿って移動する入射光を検出するように配列することができる。また、そのような光検出器アレイは、任意の実行可能な様式で整列された任意の実行可能な数の検出器を含み得る。例えば、光検出器アレイは、13×16の検出器アレイを含んでもよい。この光検出器アレイは、例示的な目的のみで説明されており、限定することを意図していないことに留意されたい。
【0047】
一般に、アレイの検出器は、様々な形態をとってもよい。例えば、検出器は、光ダイオード、アバランシェ光ダイオード(例えば、ガイガーモードおよび/またはリニアモードアバランシェ光ダイオード)、光トランジスタ、カメラ、アクティブピクセルセンサ(APS)、電荷結合素子(CCD)、極低温検出器、および/または放出された光の波長範囲内の波長を有する集束された光を受信するように構成された任意の他の光センサの形態をとってもよい。他の実施例も同様に可能である。
【0048】
さらに、上記のように、LIDARデバイス100は、軸を中心に回転するように構成された回転プラットフォーム112を含んでもよい。このように回転させるために、1つ以上のアクチュエータ114は、回転プラットフォーム112を作動させてもよい。実際には、これらのアクチュエータ114は、他の可能性の中で、モータ、空気圧式アクチュエータ、油圧ピストン、および/または圧電アクチュエータを含んでもよい。
【0049】
例示的な一実装形態では、送信機108および受信機110は、これらの構成部品の各々が、回転プラットフォーム112の回転に基づいて、環境に対して移動するように、回転プラットフォーム112上に配置されてもよい。具体的には、これらの各構成部品は、LIDARデバイス100が様々な方向から情報を取得できるように、軸に対して回転させることができる。このようにして、LIDARデバイス100は、回転プラットフォーム112を異なる方向に作動させることによって調整することができる水平視野角を有することができる。
【0050】
この構成により、コンピューティングシステムは、様々な方法で環境に関する情報を取得するために、様々な方法で回転プラットフォーム112を回転させるようにアクチュエータ114に指示することができる。具体的には、回転プラットフォーム112は、様々な範囲で、かついずれかの方向に回転することができる。例えば、回転プラットフォーム112は、LIDARデバイス100が環境の360°の水平FOVを提供するように、完全な回転を実行し得る。したがって、受信機110が、回転プラットフォーム112の回転に基づいて回転し得ると仮定すると、受信機110は、前述のように水平FOV(例えば、360°以下)および垂直FOVも有してもよい。
【0051】
さらに、回転プラットフォーム112は、LIDARデバイス100が、様々なリフレッシュ速度で環境をスキャンするように、様々な速度で回転することができる。例えば、LIDARデバイス100は、15Hzのリフレッシュ速度を有するように構成されてもよい(例えば、1秒当たり15回のLIDARデバイス100の完全な回転)。この実施例では、以下でさらに説明するように、LIDARデバイス100が車両に結合されていると仮定すると、スキャンは、毎秒15回、車両の周囲で360°のFOVをスキャンすることを含む。他の実施例も可能である。例えば、回転プラットフォーム112は、より小さな角度の水平FOV内で前後にスキャンするように、LIDARデバイスを旋回させることができる。
【0052】
またさらに、上記のように、LIDARデバイス100は、静止プラットフォーム116を含んでもよい。実際には、静止プラットフォーム116は、任意の形状または形態をとってもよく、例えば、車両の上部などの様々な構造に結合するように構成されてもよい。また、静止プラットフォーム116の結合は、任意の実行可能なコネクタ装置118(例えば、ボルト、ネジ、および/または接着剤)を介して実行されてもよい。このようにして、LIDARデバイス100は、本明細書に記載されるものなど、様々な目的に使用されるように構造に結合され得る。
【0053】
さらに、LIDARデバイス100はまた、静止プラットフォーム116を回転プラットフォーム112に直接または間接的に結合する回転リンク120も含んでもよい。具体的には、回転リンク120は、静止プラットフォーム116に対する軸を中心に、回転プラットフォーム112の回転を提供する任意の形状、形態、および材料をとってもよい。例えば、回転リンク120は、アクチュエータ114からの作動に基づいて回転するシャフトなどの形態をとってもよく、それにより、アクチュエータ114から回転プラットフォーム112に機械力を転送する。さらに、上記のように、回転リンク120は、電子機器104および/またはLIDARデバイス100の1つ以上の他の構成部品が配列され得る中央空洞を有してもよい。他の構成も同様に可能である。
【0054】
またさらに、上記のように、LIDARデバイス100は、ハウジング122を含んでもよい。実際には、ハウジング122は、任意の形状および形態をとってもよい。例えば、ハウジング122は、他の可能性の中で、ドーム形状のハウジングとすることができる。さらに、ハウジング122は、LIDARデバイス100の他の構成部品に対して様々な方法で構成されてもよい。このハウジングは、例示的な目的のみで説明されており、限定することを意図していないことに留意されたい。
【0055】
例示的な一実装形態では、ハウジング122は、ハウジング122が、回転プラットフォーム112の回転に基づいて上述の軸を中心に回転するように構成されるように、回転プラットフォーム112に結合されてもよい。この実装形態により、送信機108、受信機110、および場合によってはLIDARデバイス100の他の構成部品は、ハウジング122内に各々配列されてもよい。このようにして、送信機108および受信機110は、ハウジング122内に配列されながら、このハウジング122とともに回転してもよい。
【0056】
さらに、ハウジング122には、その上に、任意の実行可能な形状およびサイズをとることができる開口部が形成されてもよい。これに関して、送信機108は、開口部を通して環境に光を放出するように、ハウジング122内に配置され得る。このようにして、送信機108は、ハウジング122の対応する回転により、開口部とともに回転してもよく、それにより、様々な方向への光の放出を可能にする。また、受信機110は、開口部を通して環境からハウジング122に入る光を検出するように、ハウジング122内に配置することができる。このようにして、受信機110は、ハウジング122の対応する回転により、開口部とともに回転してもよく、それにより、水平FOVに沿って様々な方向から入ってくる光の検出を可能にする。
【0057】
またさらに、ハウジング122は、透明材料で構成することができる開口部を除いて、少なくとも部分的に不透明な材料で構成されてもよい。このようにして、光は開口部を通して伝播し得、それにより、環境のスキャンが可能になる。しかし、ハウジング122が少なくとも部分的に不透明であるため、ハウジング122は、少なくとも一部の光がハウジング122の内部空間に入るのを阻止し、したがって熱的影響を軽減するのに役立ち得る。例えば、ハウジング122は、太陽光線がハウジング122の内部空間に入るのを阻止することができ、それは、それらの太陽光線によるLIDARデバイス100の様々な構成部品の過熱を回避するのに役立ち得る。さらに、LIDARデバイス100の様々な構成部品がハウジング122内に配列され、ハウジング122がそれらの構成部品とともに回転するため、ハウジング122は、数ある中で、雨および/または雪などの様々な環境ハザードからこれらの構成部品を保護するのに役立ち得る。
【0058】
しかしながら、他の実装形態では、ハウジング122は、LIDARデバイス100とともに回転しない外部静止ハウジングであってもよい。例えば、外部静止ハウジングを車両に結合し、LIDARデバイスを外部静止ハウジング内で回転するように構成しながら車両に結合することもできる。この状況では、外部静止ハウジングは、外部静止ハウジングを通る光の伝搬を可能にし、したがってLIDARデバイス100による環境のスキャンを可能にするために、おそらく透明であろう。さらに、LIDARデバイス100はまた、光が伝播し得る開口部を含んでもよく、そのような開口部は、LIDARデバイス100の他の構成部品とともに外部静止ハウジング内で回転してもよいLIDARデバイス100の内部ハウジング上にあってもよい。他の実装形態も同様に可能である。
【0059】
III.LIDARデバイスの例示的な実装形態
図2Aは、例示的な一実施形態による、LIDARデバイス200を示す。LIDARデバイス200は、LIDAR100に類似していてもよい。例えば、図示されるように、LIDARデバイス200は、光学素子108、回転プラットフォーム216、静止プラットフォーム120、およびハウジング124にそれぞれ類似し得る、レンズ208、回転プラットフォーム216、静止プラットフォーム220、およびハウジング224を含む。加えて、図示されるように、LIDARデバイス200によって放出された光ビーム280は、LIDAR200の指示方向に沿って、レンズ108からLIDARデバイス200の環境に向かって伝播し、反射した光290として環境内の1つ以上のオブジェクトから反射する。
【0060】
いくつかの実施例では、ハウジング224は、実質的に円筒形状を有し、LIDARデバイス200の軸を中心に回転するように構成され得る。一実施例では、ハウジング224は、約10センチメートルの直径を有することができる。他の実施例が可能である。いくつかの実施例では、LIDARデバイス200の回転軸は、実質的に垂直である。例えば、様々な構成部品を含むハウジング224を回転させることによって、LIDARデバイス200の環境の360度の視野の三次元地図を判定することができる。追加的にまたは代替的に、いくつかの実施例では、LIDARデバイス200は、ハウジング224の回転軸を傾斜させてLIDARデバイス200の視界を制御するように構成することができる。したがって、いくつかの実施例では、回転プラットフォーム216は、1つ以上の方向に傾斜させて、LIDARデバイス200の回転軸を変更することができる可動プラットフォームを備えてもよい。
【0061】
いくつかの実施例では、レンズ208は、放出された光ビーム280をコリメートし、LIDARデバイス200の環境内の1つ以上のオブジェクトから反射した光290をLIDARデバイス200内の検出器に集束させる光パワーを有することができる。一実施例では、レンズ208は、約120mmの焦点距離を有する。他の焦点距離の実施例も可能である。これらの機能の両方を実施するために同じレンズ208を使用することによって、コリメート用の投光レンズと焦点合わせ用の受光レンズの代わりに、サイズ、コスト、および/または複雑さに関する利点を提供できる。あるいは、LIDAR200は、別個の投光レンズと受光レンズを含んでもよい。
【0062】
図2Bは、例示的な一実施形態による、LIDARシステムの別の可能な実装を示す。図示されるように、LIDARシステム228は、第1のLIDAR230、第2のLIDAR232、分割構造234、および光フィルタ236を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施例では、例えば、第1のLIDAR230は、1つ以上の光パルスを放出し、車両の環境内のオブジェクトから反射した光パルスを検出しながら、軸(例えば、垂直軸など)を中心に連続的に回転することによって、車両の周囲の環境をスキャンするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のLIDAR230は、軸を中心に繰り返し回転して、環境内のオブジェクトの動きを迅速に検出するために十分に高いリフレッシュ速度で環境をスキャンできるように構成されてもよい。例えば、第1のLIDAR230は、10Hzのリフレッシュ速度(例えば、1秒当たり第1のLIDAR230の10回の完全な回転)を有し得、それにより、毎秒10回、車両の周りの360度のFOVをスキャンする。このプロセスを通じて、例えば、周囲環境の3D地図は、第1のLIDAR230からのデータに基づいて判定されてもよい。一実施形態では、第1のLIDAR230は、905nmの波長を有する64個のレーザビームを放出する複数の光源を含んでもよい。この実施形態では、第1のLIDAR230からのデータに基づいて判定された3D地図は、0.2°(水平)×0.3°(垂直)の角度分解能を有し、第1のLIDAR230は、360°(水平)×20°(垂直)の環境のFOVを有し得る。この実施形態では、3D地図は、例えば、車両から100メートルの中程度の範囲内のオブジェクトを検出または識別するのに十分な分解能を有し得る。ただし、他の構成(例えば、光源の数、角度分解能、波長、範囲など)も同様に可能である。
【0064】
第1のLIDAR230とは異なり、いくつかの実施形態では、第2のLIDAR232は、車両の周りの環境のより狭いFOVをスキャンするように構成されてもよい。例えば、第2のLIDAR232は、同様の軸を中心に完全な回転未満で(水平に)回転するように構成されてもよい。さらに、いくつかの実施例では、第2のLIDAR232は、第1のLIDAR230よりも低いリフレッシュ速度を有してもよい。このプロセスを通じて、車両は、第2のLIDAR232からのデータを使用して、環境のより狭いFOVの3D地図を判定してもよい。この場合の3D地図は、第1のLIDAR230からのデータに基づいて判定された、対応する3D地図よりも高い角度分解能を有してもよく、したがって、第1のLIDAR230の中程度の距離範囲よりも遠くのオブジェクトの検出/識別、ならびに中程度の距離範囲内のより小さなオブジェクトの識別が可能になり得る。一実施形態では、第2のLIDAR232は、8°(水平)×15°(垂直)のFOV、4Hzのリフレッシュ速度を有し、1550nmの波長を有する1つの狭いビームを放出し得る。この実施形態では、第2のLIDAR232からのデータに基づいて判定された3D地図は、0.1°(水平)×0.03°(垂直)の角度分解能を有し、それにより、車両から約300メートルの範囲内のオブジェクトの検出/識別を可能にする。ただし、他の構成(例えば、光源の数、角度分解能、波長、範囲など)も同様に可能である。
【0065】
いくつかの実施例では、車両は、第2のLIDAR232の視野角を調整するように構成されてもよい。例えば、第2のLIDAR232は、狭い水平FOV(例えば、8度)を有するが、第2のLIDAR232は、第2のLIDAR232の視野角を
図1Bに示されているもの以外の指示方向に調整することを可能にするステッパモータ(図示せず)に取り付けられてもよい。したがって、いくつかの実施例では、第2のLIDAR232は、車両からの任意の指示方向に沿って狭いFOVをスキャンするように操舵可能であってもよい。
【0066】
分割構造234は、第1のLIDAR230を支持するおよび/または第1のLIDAR230を第2のLIDAR232から光学的に分離するのに好適な任意の固体材料から形成されてもよい。他の可能性の中で、例示的な材料には金属、プラスチック、発泡体を含んでもよい。
【0067】
光フィルタ236は、ある波長範囲の波長を有する、光に対して実質的に透明な、かつ、その波長範囲外の波長を有する、光に対して実質的に不透明な任意の材料から形成されてもよい。例えば、光フィルタ236は、第1のLIDAR230の第1の波長(例えば、905nm)および第2のLIDAR232の第2の波長(例えば、1550nm)を有する光が、光フィルタ236を通って伝播することを可能にしてもよい。図示されるように、光フィルタ236は、第1のLIDAR230および第2のLIDAR232を包囲するように成形されている。したがって、いくつかの実施例では、光フィルタ236はまた、他の可能性の中で、ほこりの堆積または空中の破片との衝突など、第1のLIDAR230および第2のLIDAR232への環境損傷を防止するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、光フィルタ236は、光フィルタ236を通して伝播する可視光を低減するように構成されてもよい。次に、光フィルタ236は、第1のLIDAR230および第2のLIDAR232を包囲することによって、例えば、傍観者の視点からセンサ装置228の構成部品の可視性を低減しながら、車両の審美的外観を改善してもよい。他の実施例では、光フィルタ236は、光ならびに第1のLIDAR230および第2のLIDAR232からの光を見えるように構成されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、光フィルタ236の一部分は、異なる波長範囲が光フィルタ236を通して伝播することを可能にするように構成されてもよい。例えば、分割構造234の上方の、光フィルタ236の上部分は、第1のLIDAR230の第1の波長を含む第1の波長範囲内の光の伝播を可能にするように構成されてもよい。さらに、例えば、分割構造234の下方の、光フィルタ236の下部分は、第2のLIDAR232の第2の波長を含む第2の波長範囲内の光の伝播を可能にするように構成されてもよい。他の実施形態では、光フィルタ236に関連付けられた波長範囲は、第1のLIDAR230の第1の波長と第2のLIDAR232の第2の波長との両方を含んでもよい。
【0069】
次に、
図3A~
図3Dは、車両300におけるLIDARデバイスの実装をまとめて示し、具体的には、車両300における例示的なLIDARデバイス200の実装を示す。車両300は車として示されているが、他の実施形態も可能である。さらに、例示的な車両300は、自律モードで動作するように構成され得る車両として示されているが、本明細書に記載される実施形態は、自律的に動作するように構成されない車両にも適用可能である。したがって、例示的な車両300は、限定することを意図していない。
【0070】
具体的には、
図3Aは、車両300の右側面図、正面図、背面図、および上面図を示している。図示されるように、車両300は、車両300の車輪302が位置付けられている底面とは反対の、車両300の上面に位置決めされているLIDARデバイス200を含む。LIDARデバイス200は、車両300の上面上に位置決めされているものとして示され、説明されているが、LIDARデバイス200は、本開示の範囲から逸脱することなく、車両のあらゆる部分の実行可能な部分上に位置決めすることができる。
【0071】
さらに、
図3B~
図3Cは、次に、LIDARデバイス200が、垂直軸308を中心に回転することによって、例えば、1つ以上の光パルスを放出し、車両300の環境内のオブジェクトから反射した光パルスを検出しながら、車両300の周りの環境を(例えば、15Hzのリフレッシュ速度で)スキャンするように構成され得ることを示す。
【0072】
より具体的には、
図3Bは、LIDARデバイス200が、上述の+7°~-18°の垂直方向の広がりで光を放出することを示す。このようにして、光放出は、車両300に比較的近い環境の領域(例えば、車線マーカ)および/または車両300からさらに離れた環境の領域(例えば、車両の前方の道路標識)に向かって放出され得る。
【0073】
さらに、
図3Cは、LIDARデバイス200が、上述の+7°~-18°の垂直FOVで反射した光を検出し、0.036°×0.067°の分解能で検出し得ることを示す。このようにして、LIDARデバイス200は、車両300に比較的近い環境の領域から反射した光および/または車両300からさらに離れた環境の領域から反射した光を検出してもよい。
【0074】
一般に、これらの検出距離は、例として
図3Dに示されている。具体的には、
図3Dは、車両300が、周囲環境をスキャンするためにLIDARデバイス200を使用する前述のシナリオにおける車両300の上面図を示している。したがって、LIDARデバイス200の水平FOVは、車両300の周りのすべての方向で360°に及ぶ可能性がある。
【0075】
図3Dに示されるように、LIDARデバイス200は、車両300までの距離の範囲内のオブジェクトの検出および/または識別に好適である可能性がある。より具体的には、輪郭304の外側の、および輪郭306によって画定された距離の範囲内のオブジェクトは、LIDARデバイス200からのデータを使用して適切に検出/識別され得る。これらの輪郭は縮尺通りではなく、説明の便宜上示されているように例示されていることに留意されたい。
【0076】
IV.公称検出範囲および範囲のあいまいさ
LIDARデバイスが、距離の範囲内のオブジェクトの検出に好適であり得ると仮定すると、LIDARデバイスは、明確な最小検出範囲から、明確な最大検出範囲までに及ぶ公称検出範囲を有してもよい。LIDARデバイスの所与の検出期間について、明確な最大検出範囲は、明確な最大検出範囲を過ぎたオブジェクトから反射した光パルスが、所与の検出期間が終了した後にLIDARデバイスに戻る可能性があるため、オブジェクトをLIDARデバイスから離して位置決めし、所与の検出期間内にLIDARデバイスによって検出できる最大距離を画定してもよい。対照的に、所与の検出期間について、明確な最小検出範囲は、最小距離より近くのオブジェクトから反射した光パルスが、所与の検出期間が始まる前にLIDARデバイスに戻る可能性があるため、所与の検出期間内にLIDARデバイスによって検出されるために、オブジェクトをLIDARデバイスから離れて位置決めされるべきである最小距離を画定してもよい。
【0077】
より具体的には、コンピューティングシステムは、特定のタイミングに従って光パルスを放出および検出するように、LIDARデバイスを動作させてもよい。例えば、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスを動作させて、事前定義された、または擬似ランダムであり得る放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出してもよい。次に、この放出時間シーケンスは、LIDARデバイスが戻り光パルスを検出することにより、検出時間シーケンスを確立することができる。
【0078】
例えば、コンピューティングシステムが、LIDARデバイスを動作させて所与の光パルスを放出すると、所与の光パルスの対応する検出期間は、他のオプションの中で、その所与の光パルスの放出の後すぐに、またはある時間に始まり、後続の光パルスの放出の前または後に終了する可能性がある。この対応する検出期間中に、LIDARデバイスは、次に、所与の放出された光パルスが、公称検出範囲内のオブジェクトから反射して、結果的に、その戻り光パルスが生じるなどのときに、所与の放出された光パルスに対応する、所与の戻り光パルスを検出することができる。LIDARデバイスが所与の戻り光パルスを検出した後、次に、コンピューティングシステムは、所与の放出された光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って、所与の戻り光パルスに関連付けられた特定の範囲を判定することができる。
【0079】
上記のように、検出期間は、明確な最小検出範囲から、明確な最大検出範囲までに及ぶ公称検出範囲を確立してもよい。
【0080】
具体的には、光パルスの放出時間と検出期間の終了時間との間の時間差は、その放出された光パルスからの戻り光パルスが、検出期間中にLIDARデバイスによって依然として検出されるために有し得る最大時間遅延に対応してもよい。例えば、検出期間が、光パルスの放出後1ナノ秒で始まり、その光パルスの放出後400ナノ秒(ns)で終了する場合、その放出された光パルスからの戻り光パルスは、公称検出期間中にLIDARデバイスによって検出されるように、この光パルスは、400ns以内にLIDARデバイスに戻るべきである。さらに、コンピューティングシステムは、光パルスの放出時間と反射して戻ってくる光パルスの検出時間との間の時間遅延に従って、オブジェクトまでの距離を判定することができるため、最大時間遅延は、オブジェクトが、LIDARデバイスが検出期間中に、このオブジェクトから反射して、次にLIDARに戻った光パルスを依然として検出することができるように、LIDARデバイスから離れてオブジェクトを位置決めすることができる最大距離を確立してもよい。一般に、この最大距離は、検出期間の明確な最大検出範囲を画定してもよい。
【0081】
加えて、光パルスの放出時間と検出期間の開始時間との間の時間差は、戻り光パルスが、公称検出期間中にLIDARデバイスによって検出されるために有するべき最小時間遅延に対応してもよい。例えば、検出期間が光パルスの放出後50ナノ秒(ns)から始まる場合、光パルスがLIDARデバイスによって放出された後のその検出期間中に、戻り光パルスがLIDARデバイスによって検出されるように、この光パルスは、少なくとも50nm後にLIDARデバイスに戻らなければならない可能性がある。さらに、コンピューティングシステムは、光パルスの放出時間と反射して戻ってくる光パルスの検出との間の時間遅延に従って、オブジェクトまでの距離を判定することができるため、最小時間遅延は、オブジェクトが、LIDARデバイスが検出期間中にこのオブジェクトから反射して、次にLIDARに戻った光パルスを依然として検出することができるように、LIDARデバイスから離れてオブジェクトを位置決めするべきである最小距離を確立してもよい。一般に、この最小距離は、検出期間の明確な最小検出範囲を画定してもよい。
【0082】
この構成により、光パルスが公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクトから反射する場合、コンピューティングシステムは、その光パルスに関連付けられた範囲を判定しないか、その光パルスに関連付けられた誤った範囲を判定する可能性がある。
【0083】
例として、多くの状況で、光パルスが明確な最大検出範囲を超えて位置決めされたオブジェクトから反射する場合、LIDARデバイスは、この光パルスが、LIDARデバイスに到達する前に、その強度の大幅な減衰を体験する場合があるため、そのような光パルスを検出しない可能性がある。その結果、コンピューティングシステムは、その光パルスに関連付けられた範囲を判定しない可能性がある。
【0084】
ただし、状況によっては、LIDARデバイスは、それにもかかわらず、戻ってくる光パルスを検出する可能性がある。例えば、明確な最大検出範囲を超えて位置決めされたオブジェクトは、明確な最大検出範囲を超えて位置付けられている、大きな道路標識などの再帰反射オブジェクトであってもよい。そのような再帰反射オブジェクトから反射した戻り光パルスは、後続の検出期間中に、LIDARデバイスによって検出されてもよい。すなわち、放出された光パルスが、明確な最大検出範囲を超えて位置決めされた再帰反射オブジェクトから反射するとき、LIDARデバイスは、このデバイスが、その放出された光パルスからの戻り信号のリスニングを停止した後の時間、それよりも、デバイスが、後続の放出された光パルスからの戻り信号をリスニングしている時間に、この光パルスを検出してもよい。このことから、コンピューティングシステムは、明確な最大検出範囲を過ぎて位置付けられているオブジェクトから、減衰されていない戻り信号を受信するように想定されていなかったため、後の放出されたパルスの放出時間に基づいて光が移動した距離を計算してもよい。結果として、範囲のエイリアシング/あいまいさのレジリエンスがないと、コンピューティングシステムは、再帰反射オブジェクトが物理的にLIDARデバイスからのものよりも近いと誤って判定する可能性がある。
【0085】
別の実施例では、状況によっては、光パルスが、明確な最小検出範囲よりも近くに位置決めされているオブジェクトから反射される場合、LIDARデバイスは、そのような光パルスを検出しても、検出しなくてもよい。しかし、LIDARデバイスがそのような光パルスを検出した場合、その光パルスは、検出期間の開始前にLIDARデバイスに到達する可能性があり、したがってLIDARデバイスは、その光パルスに関連付けられた検出期間内にその光パルスを検出しない可能性がある。すなわち、放出された光パルスが、明確な最小検出範囲よりも近くに位置決めされているオブジェクトから反射するとき、LIDARデバイスは、デバイスが、その放出された光パルスからの戻り信号のリスニングを開始する前の時間、それよりも、デバイスが、以前に放出された光パルスからの戻り信号をリスニングしている時間に、この光パルスを検出する可能性がある。結果として、コンピューティングシステムは、その光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って、この光パルスに関連付けられた距離を判定しなくてもよい。
【0086】
図4A~
図4Cは、LIDARデバイス200の公称検出範囲を示す。具体的には、
図4A~
図4Cは、LIDARデバイス200が、0メートルの明確な最小検出範囲から、60メートル(60m)の明確な最大検出範囲400までに及ぶ公称検出範囲を有し得ることを示す。この実施例では、この明確な最大検出範囲400は、光パルスの放出時間406Aに続いて開始され、後続の光パルスの後続の放出時間406Bで終了する検出期間408によって確立される。図示されるように、検出期間408は、400nsの持続時間を有し、これにより、明確な最大検出範囲400は、LIDARデバイス200から約60m離れるようになる(明確な最大検出範囲*2=パルスの速度*検出期間=約299,792,458m/s*400ns)。
【0087】
さらに、
図4A~
図4Cは、近くのオブジェクト402(例えば、近くの道路標識)が、明確な最大検出範囲400内に位置決めされ、遠くのオブジェクト404(例えば、再帰反射「高速道路」道路標識)が、明確な最大検出範囲400の外側に位置決めされ得ることを示す。これに関して、
図4Bは、近くのオブジェクト402から反射したパルスが、検出期間408の終了前にLIDARデバイス200に戻り、放出時間406A後350nsの検出時間410で戻るであろうことを示している。この検出時間410は、52.5mの範囲に対応し、これは、近くのオブジェクト402が、LIDARデバイス200から離れて位置決めされている距離である。対照的に、遠くのオブジェクト404は、LIDARデバイス200から80m離れた距離に位置決めされ、これは、60mの明確な最大検出範囲400を超える距離である。したがって、
図4Cに示されるように、遠くのオブジェクト404から反射したパルスは、検出期間408の終了後にLIDARデバイス200に戻ることになるので、その検出期間408中にLIDARデバイス200によって検出されないはずである。他の事例も同様に可能である。
【0088】
光パルスが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射し、その後、LIDARデバイスによって検出されると仮定すると、コンピューティングシステムは、範囲のエイリアシング/あいまいさに遭遇し得る。具体的には、コンピューティングシステムが、LIDARデバイスが戻り光パルスを検出したと判定するとき、コンピューティングシステムは、直近に放出された光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って、その戻り光パルスの範囲を判定することができるか、または別の放出された光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って、その戻り光パルスの範囲を判定することができる。しかし、追加情報がないと、コンピューティングシステムは、これらの範囲のどれが正しい範囲であるかを確実に判定できない可能性があり、範囲のあいまいさが生じることができ、それにより、他の結果の中で、オブジェクトの誤検出が生じる可能性がある。
【0089】
図5A~
図5Bは、範囲のあいまいさをもたらす可能性のあるシナリオを示す。
【0090】
具体的には、
図5Aは、定期的時間シーケンス#1に従って、放出時間A~Fでそれぞれ放出された光パルスA~Fを示す。これらの定期的な放出時間は、同じ400nsの各々の持続時間の検出期間A~Fを確立する。図示されるように、光パルスA~Fは、遠くのオブジェクト404から反射し、結果として、後続の検出期間中にそれぞれ検出される。
【0091】
一般に、コンピューティングシステムは、明確な最大検出範囲を超えて位置付けられている大きな再帰反射オブジェクト(複数可)の可能性を考慮せずに、検出された光パルスA~Fに関連付けられた候補範囲を判定することができる。例えば、コンピューティングシステムは、
図5Bに示されるように、20mの範囲に対応する放出時間Bに対して、LIDARデバイス200が133nsの検出時間Tn0で光パルスAを検出したと判定することができる。また、検出時間Tn1~Tn5によって示されるように、光パルスB~Fに関連付けられた範囲を判定するために、同様の手法を使用することができ、それにより、LIDARデバイス200から20m離れて位置決めされているオブジェクトの近距離の仮説に対応する第1の範囲502が得られる。
【0092】
このことから、コンピューティングシステムは、範囲502が、互いに同じであること、および/または範囲502が、オブジェクトを表すポイントクラウドを組み立てることを判定し、結果として、これらの範囲502が、さらなるオブジェクト検出(例えば、オブジェクトの識別、または範囲502の平均としてオブジェクトまでの距離の確立)の基礎として使用されるべきであると判定し得る。しかしながら、この近距離の仮説は、光パルスA~Fが、実際には、LIDARデバイス200の明確な最大検出範囲を超えて位置決めされている遠くのオブジェクト404から反射したため、不正確である。したがって、オブジェクトの検出にこの近距離の仮説を使用すると、近くのオブジェクトが誤って検出されることができる。
【0093】
いくつかの実装形態では、コンピューティングシステムはまた、
図5Bに示されるように、80mの範囲に対応する放出時間Aに対して、533nsの検出時間Tf0で、LIDARデバイス200が光パルスAを検出したと判定することができる。また、検出時間Tf1~Tf5によって示されるように、光パルスB~Fに関連付けられた範囲を判定するために、同様の手法を使用することができ、それにより、LIDARデバイス200から80m離れて位置決めされているオブジェクトの「遠距離の仮説」に対応する第2の範囲504が得られる。この遠距離の仮説は、光パルスA~Fが、実際には、LIDARデバイス200の最大検出範囲を超えて位置決めされている遠くのオブジェクト404から反射したため、正確である。
【0094】
ただし、この遠距離の仮説は正確であるが、コンピューティングシステムは、近距離の仮説と遠距離の仮説と区別することができない可能性がある。具体的には、コンピューティングシステムは、互いに同じである、および/またはオブジェクトを表すポイントクラウドを組み立てる範囲502を含む近距離の仮説を判定してもよく、次に、これは、オブジェクトがLIDARデバイス200から20m離れて位置決めされていることを示すと判定してもよい。加えて、コンピューティングシステムは、互いに同じである、および/またはオブジェクトを表すポイントクラウドをさらに組み立てる範囲504を含む遠距離の仮説を判定してもよく、次に、これは、オブジェクトがLIDARデバイス200から80m離れて位置決めされていることを示すと判定してもよい。その結果、コンピューティングシステムは、オブジェクトが、LIDARデバイス200から20m離れて位置決めされているか、またはLIDARデバイス200から80m離れて位置決めされ得ると判定する可能性がある。しかし、追加情報がないと、コンピューティングシステムは、これらの判定のどれが実際に正確であるかを判定できない可能性があり、それにより、範囲のあいまいさが生じる。他の事例も可能である。
【0095】
一般に、コンピューティングシステムは、範囲のあいまいさを克服するのに役立ち、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側のオブジェクト位置を検出する可能性があるように、1つ以上の範囲のエイリアシング/あいまいさレジリエンス技術を実行ことができる。このような技術の例には、複数の範囲の仮説の生成および評価だけでなく、放出時間シーケンスへの時変ディザの適用を含む。この技術は、参照により本明細書に組み込まれる、特許出願第15/638,607号に詳細に記載されている。
【0096】
特許出願第15/638,607号に説明される技術によれば、範囲のあいまいさを解決するのに役立てるために、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスを動作させて、時変ディザを含む時間シーケンスに従って光パルスを放出することができ、戻り光パルスが検出されると、複数の範囲の仮説を生成および評価することができる。いくつかの実施例では、範囲の仮説の1つは近距離の仮説であり、コンピューティングシステムは、近距離の仮説に加えて1つ以上の代替範囲の仮説を生成し得る。他の実施例では、近距離の仮説を生成する代わりに、コンピューティングシステムは、2つ以上の代替距離の仮説を生成することができる。
【0097】
これに関して、様々な代替範囲の仮説が可能である。例として、検出された各光パルスについて、コンピューティングシステムは、検出時間と、最後に放出された光パルスの前に光パルスが放出された時間との間の差に基づいて、範囲を決定することができる。この実施例では、判定された範囲が、オブジェクトが明確な最大検出範囲を超えて位置決めされている可能性に対応するため、代替範囲の仮説を遠距離の仮説と呼ぶことができる。
【0098】
そこで、コンピューティングシステムが、LIDARデバイスが2つ以上の検出期間中に戻り光パルスを検出したと判定するとき、コンピューティングシステムは、(i)複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時間に対する時間遅延に従って、第1の組の範囲、および(ii)複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時間に対する時間遅延に従って、第2の組の範囲を判定することができる。
【0099】
1つ以上の要因に基づいて、コンピューティングシステムは、次に、オブジェクト検出の基礎として第1の組の範囲を使用することと、オブジェクト検出の基礎として第2の組の範囲を使用することと、の間で選択することができる。例えば、時変ディザの適用により、誤った範囲の仮説には、任意の既知のオブジェクトに似ていないか、またはそうでなければ互いに実質的に異なる一組の範囲を含むはずである。一方、時変ディザの適用にもかかわらず、正しい範囲の仮説には、既知のオブジェクトに似ているか、またはそうでなければ互いに実質的に類似している一組の範囲を依然として含むことができる。したがって、コンピューティングシステムは、既知のオブジェクト(複数可)との類似点および/または範囲の組間の選択の基礎として範囲の類似性を評価することができる。
【0100】
コンピューティングシステムは、第1の組の範囲が既知のオブジェクトによく似ていること、および第2の組の範囲がどんな既知のオブジェクトにも似ていないことを判定し、システムは、それに応答して、オブジェクト検出の基礎として使用される第1の組の範囲を選択してもよい。別の実施例では、システムは、第1の組が、互いに実質的に類似する範囲を含み、第2の組が、互いに実質的に異なる範囲を含むことを判定し、システムは、それに応答して、オブジェクト検出の基礎として使用される第1の組の範囲を選択してもよい。
【0101】
そのため、この技術を使用すると仮定すると、コンピューティングシステムは、検出された戻り光パルス(複数可)が公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクトから反射する光パルスであっても、オブジェクト検出の基礎として使用するための適切な範囲を判定することができる。
【0102】
V.LIDARシステムにおける延長された検出期間の利用
図6は、例示的な実装形態による、方法600を示すフローチャートである。具体的には、方法600は、オブジェクトが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされている可能性があるかどうかを判定するのに役立ち、それに応じて、オブジェクト検出に関与するように、実施されてもよい。
【0103】
図6に示される方法600(および本明細書に開示される他のプロセスおよび方法)は、例えば、
図1のLIDARデバイス100、
図3A~
図3Dに示される車両300、および/または
図9に示され、以下でさらに説明される車両900を含む構成内で実施され得る方法を提示する(またはより具体的には、プロセッサおよび本明細書に記載される機能をデバイスに実施させるために実行可能な命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体によってなど、1つ以上の構成部品またはそのサブシステムによって)。追加的にまたは代替的に、方法600は、任意の他の構成およびシステム内で実施されてもよい。
【0104】
方法600ならびに本明細書に開示される他のプロセスおよび方法は、ブロック602~610のうちの1つ以上によって示されるような1つ以上の動作、機能、またはアクションを含んでもよい。ブロックは順次示されているが、これらのブロックはまた、並列に、および/または本明細書に記載されるものとは異なる順序で実施されてもよい。また、様々なブロックは、より少ないブロックに結合され、追加のブロックに分割され、および/または所望の実施に基づいて削除されてもよい。
【0105】
加えて、方法600ならびに本明細書に開示される他のプロセスおよび方法について、フローチャートは、本開示の1つの可能な実装の機能および動作を示す。これに関して、各ブロックは、モジュール、セグメント、またはプログラムコードの一部分を表すことができ、プロセスの特定の論理機能またはステップを実装するために、プロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含む。プログラムコードは、例えば、ディスクまたはハードドライブを含む記憶デバイスなど、任意のタイプのコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダムアクセスメモリ(RAM)のような短期間のデータを記憶するコンピュータ可読媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体はまた、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスクまたは磁気ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)などの二次または永続的な長期間記憶装置などの非一時的な媒体も含んでもよい。コンピュータ可読媒体はまた、任意の他の揮発性または不揮発性記憶システムでもあってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、または有形の記憶デバイスと見なされてもよい。さらに、方法600ならびに本明細書に開示される他のプロセスおよび方法について、
図6の各ブロックは、プロセス内の特定の論理機能を実施するために配線される回路を表してもよい。
【0106】
ブロック602において、方法600は、放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出し、検出時間シーケンスに従って戻り光パルスを検出するように、光検出および測距(LIDAR)デバイスを動作させるための手段を含んでもよく、検出時間シーケンスは、各放出された光パルスについて、対応する戻り光パルスを検出するための対応する検出期間を含み、対応する検出期間は、(i)LIDARデバイスの公称検出範囲を確立する1つ以上の標準検出期間、および(ii)1つ以上の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する1つ以上の延長された検出期間を含む、動作させることを含む。
【0107】
コンピューティングシステムは、特定のタイミングに従って光パルスを放出および検出するように、LIDARデバイスを動作させることができる。例えば、コンピューティングシステムは、定期的な放出時間シーケンスまたは非定期的な放出時間シーケンスであり得る放出時間シーケンスに従って光パルスを放出するように、LIDARデバイスを動作させることができる。いずれの場合でも、放出時間シーケンスは、LIDARデバイスが戻り光パルスを検出することに従って検出時間シーケンスを確立するのに役立ち得る。
【0108】
具体的には、検出時間シーケンスは、各放出された光パルスについて、対応する検出期間をそれぞれ含んでもよい。具体的には、所与の光パルスの対応する検出期間は、その所与の光パルスの放出の後すぐに、またはある時間に始まり、後続の光パルスの放出の前または後に終了する場合がある。この対応する検出期間中に、LIDARデバイスは、所与の放出された光パルスが、オブジェクトから反射して、結果的に、その戻り光パルスが生じるときなど、所与の放出された光パルスに対応する、所与の戻り光パルスを検出することができる。LIDARデバイスが特定の検出時間に所与の戻り光パルスを検出した後、コンピューティングシステムは、次に、所与の放出された光パルスを反射したオブジェクトまでの範囲を判定することができる。説明したように、コンピューティングシステムは、所与の戻り光パルスの検出時間と所与の放出された光パルスの放出時間との間の時間遅延に従ってこの範囲を判定することができる。
【0109】
本開示によれば、LIDARデバイスの検出および放出時間シーケンスは、1つ以上の標準検出期間および1つ以上の延長された検出期間を含むように、構成され得る。本明細書にさらに説明されるように、延長された検出期間(複数可)は、標準検出期間(複数可)のそれぞれの持続時間よりも長いそれぞれの持続時間を有してもよい。
【0110】
一般に、標準検出期間は、光パルスの放出に対して特定のタイミングに従って開始および終了してもよい。実際には、標準検出期間は、光パルスの放出後の第1の「標準期間」の時間枠内にある開始時間で開始してもよい。例として、標準検出期間の開始時間は、光パルスの放出後2ns~4nsの間のどこかに設定され得る(例えば、光パルスの放出後3nsに設定され得る)。加えて、標準検出期間は、光パルスの放出後の第2の「標準期間」の時間枠内にある終了時間で修了してもよい。例として、標準検出期間の終了時間は、光パルスの放出後390ns~410nsの間のどこかに設定され得る(例えば、光パルスの放出後400nsに設定され得る)。
【0111】
複数のこのような標準検出期間を含むように時間シーケンスが構成されているとき、標準検出期間の一部またはすべてが互いに同じであり、および/または標準検出期間の一部またはすべてが互いに異なり得る。例えば、標準検出期間の一部またはすべては、対応する光パルスの放出後3nsの開始時間、および対応する光パルスの放出後400nsの終了時間を各々有することもあり得る。別の実施例では、標準検出期間のうちの1つは、対応する光パルスの放出後2.5nsの開始時間、および対応する光パルスの放出後395nsの終了時間を有することもあり得る。一方、標準検出期間のうちの別の1つは、対応する光パルスの放出後3.2nsの開始時間、および対応する光パルスの放出後405nsの終了時刻を有することもあり得る。この実施例では、これらの検出期間が異なる開始時間と終了時間を有するにもかかわらず、これらの検出期間は、開始時間と終了時間が、上述の第1および第2の標準期間の時間枠内にあるため、依然として標準検出期間と見なされることになる。
【0112】
これに関して、標準検出期間は、LIDARデバイスの公称検出範囲を確立してもよい。具体的には、標準検出期間のすべてが互いに同じである場合、これらの検出期間の開始時間と終了時間は、上記の説明に従って公称検出範囲を確立してもよい。ただし、標準検出期間の1つ以上が他の標準検出期間(複数可)とは異なる場合、異なる標準検出期間は、それぞれの異なる公称検出範囲を有することもあり得る。この場合、LIDAR定義の公称検出範囲は、LIDARデバイスの標準検出期間すべてを考慮に入れるとき、LIDARデバイスからオブジェクトを離して位置決めし、LIDARデバイスによって確実に検出され得る距離を定義することもあり得る。
【0113】
具体的には、光パルスの放出に対して最大の最大時間遅延を提供する終了時間を有する標準検出期間は、LIDARデバイスの最大検出範囲を確立してもよく、光パルスの放出に対して最小の最小時間遅延を提供する開始時間を有する標準検出期間は、LIDARデバイスの明確な最小検出範囲を確立してもよい。標準検出期間の他の構成も同様に可能である。
【0114】
対照的に、延長された検出期間は、光パルスの放出に対して特定のタイミングに従って開始および終了してもよく、そのタイミングにより、延長された検出期間が標準検出期間(複数可)のいずれか1つの期間よりも長くなってもよい。具体的には、延長された検出期間は、光パルスの放出後の第1の「延長された期間」の時間枠内の開始時間で開始してもよく、第1の「延長された期間」の時間枠は、第1の「標準期間」の時間枠のタイミングと比較して、光パルスの放出に対して時間的により早く構成される。追加的にまたは代替的に、延長された検出期間は、光パルスの放出後の第2の「延長された期間」の時間枠内の終了時間で終了してもよく、第2の「延長された期間」の時間枠は、第2の「標準期間」の時間枠のタイミングと比較して、光パルスの放出に対して時間的により遅く構成される。
【0115】
例として、延長された検出期間の開始時間は、対応する光パルスの放出後0ns~2nsの間のどこかに設定されることもあり得(例えば、光パルスの放出後1nsに設定されることもあり得る)、これは、上述の実施例である、光パルスの放出後2ns~4nsの間の「標準期間」の時間枠よりも時間的に早い。追加的にまたは代替的に、延長された検出期間の終了時間は、対応する光パルスの放出後410ns~650nsの間のどこかに設定されることもあり得(例えば、光パルスの放出後600nsに設定されることもあり得る)、これは、上述の実施例である、光パルスの放出後390ns~410nsの間の「標準期間」の時間枠よりも時間的に遅い。他の実施例も可能である。
【0116】
複数のこのような延長された検出期間を含むように時間シーケンスが構成されているとき、延長された検出期間の一部またはすべてが互いに同じであることがあり、および/または延長された検出期間の一部またはすべてが互いに異なることもあり得る。例えば、延長された検出期間の一部またはすべては、対応する光パルスの放出後1nsの開始時間、および対応する光パルスの放出後600nsの終了時間を各々有することもあり得る。別の実施例では、延長された検出期間のうちの1つは、対応する光パルスの放出後1.5nsの開始時間、および対応する光パルスの放出後550nsの終了時間を有することもあり得る。一方、延長された検出期間のうちの別の1つは、対応する光パルスの放出後1.7nsの開始時間、および対応する光パルスの放出後570nsの終了時間を有することもあり得る。この実施例では、これらの検出期間が異なる開始時間と終了時間を有するにもかかわらず、これらの検出期間は、開始時間と終了時間が、上述の第1および第2の延長された期間の時間枠内にあるため、依然として延長された検出期間と見なされることになる。
【0117】
この構成により、延長された検出期間(複数可)は、LIDARデバイスの検出範囲を延長するのに時々役立つ可能性がある。例えば、延長された検出期間が、標準検出期間のそれぞれの終了時間よりも時間的により遅い(すなわち、標準検出期間に対応する光パルスの放出に対して)それぞれの終了時間を有する(すなわち、延長された検出期間に対応する光パルスの放出に対して)ように構成される場合、LIDARデバイスは、このような延長された検出期間中に、標準検出期間によって確立された明確な最大検出範囲を超えて位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射する光パルス(複数可)を検出することができる。別の実施例では、延長された検出期間が、標準検出期間のそれぞれの開始時間よりも時間的により早い(すなわち、標準検出期間に対応する光パルスの放出に対して)それぞれの開始時間を有する(すなわち、延長された検出期間に対応する光パルスの放出に対して)ように構成される場合、LIDARデバイスは、このような延長された検出期間中に、標準検出期間によって確立された明確な最小検出範囲よりも近くに位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射する光パルス(複数可)を検出することができる。延長された検出期間の他の構成も同様に可能である。
【0118】
延長された標準検出期間を含む構成から、コンピューティングシステムは、固定されたスケジュールに従って光パルスを放出および検出するように構成され得る。具体的には、コンピューティングシステムは、その上に記憶されることができたか、そうでなければ検出期間をそれぞれ開始および終了するタイミングを示す固定されたスケジュールにアクセスしてもよい。例えば、固定されたスケジュールでは、各延長された検出期間について、開始時間および/または終了時間をそれぞれ指定することもあり得る。別の例では、固定されたスケジュールでは、各標準検出期間について、開始時間および/または終了時間をそれぞれ指定することもあり得る。さらに、固定されたスケジュールでは、どのくらいの頻度、および/または延長された検出期間が、標準検出期間に対して時間シーケンスで発生するときに、指定することもあり得る。例えば、固定されたスケジュールでは、延長された検出期間の後に10個の標準検出期間が続き、これらの10個の標準検出期間の後に、別の延長された検出期間が続き、次に、この他の延長された検出期間の後に、別の8個の標準検出期間が続くなどのように指定することもあり得る。
【0119】
しかしながら、他の実装形態では、コンピューティングシステムは、固定されたスケジュール以外の要因に従って、延長された検出期間を動的に利用するように構成され得る。例えば、コンピューティングシステムは、自律車両のセンサシステムから(例えば、LIDARデバイス以外のセンサ(複数可)から)受信したデータに基づいて、自律車両の環境に関する情報を判定することもあり得る。環境情報に基づいて、コンピューティングシステムは、次に、延長された検出期間の使用を有効にするか、さもなければ拡大するように、LIDARデバイスを動作させるかどうかを判定することもあり得る。特定の実施例では、コンピューティングシステムは、自律車両が高速道路に進入していることを判定するための基準として、全地球測位システム(GPS)からのデータを使用することもあり得る。また、高速道路には多くの再帰反射オブジェクトが含まれる傾向があると仮定すると、コンピューティングシステムは、自律車両が高速道路を走行している間、延長された検出期間を有効にするか、またはそうでなければ拡大することによって、GPSからのデータに応答することもあり得る。他の実施例も可能である。
【0120】
コンピューティングシステムが固定されたスケジュールに従ってLIDARデバイスを動作させるかどうかにかかわらず、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスの動作中に延長された検出期間をまばらに利用するように構成することもあり得る。具体的には、コンピューティングシステムは、標準検出期間が、延長された検出期間の発生と比較して、時間とともにより頻繁に発生するように、LIDARデバイスを動作させるように構成することもあり得る。このようにして、コンピューティングシステムは、本明細書にさらに説明するように、延長された検出期間を有利に利用することもあり、標準検出期間のより頻繁な発生は、LIDARデバイスの動作中に十分に高いサンプリング速度を提供することもあり得る。
【0121】
これに関して、コンピューティングシステムは、延長された検出期間が、時間の経過とともに定期的または非定期的に発生するように、LIDARデバイスを動作させることもあり得る。具体的には、コンピューティングシステムは、X個の放出された光パルスごとに1つが、対応する延長された検出期間を有する定期的なシーケンスに従って延長された検出期間を開始するように、LIDARデバイスを動作させることもあり、Xは、特定の数量を表す。例として、コンピューティングシステムは、64個の放出された光パルスのうちの1つが、対応する延長された検出期間を有するように、LIDARデバイスを動作させることもあり得る。しかしながら、別の構成では、コンピューティングシステムは、非定期的なシーケンスに従って、延長された検出期間を開始するように、LIDARデバイスを動作させることもあり得る。例えば、コンピューティングシステムは、延長された検出期間が、時変ディザの適用に基づいた擬似ランダムシーケンスに従って発生するように、LIDARデバイスを動作させることもあり得る。
【0122】
さらに、いくつかの実装形態では、コンピューティングシステムは、延長された検出期間が発生するときに、それらの延長された検出期間が、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから、より反射する傾向がある、放出された光パルスに対応するように、LIDARを動作させることもあり得る。このように、LIDARデバイスが、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射した戻り光パルス(複数可)を検出したとき、そのような戻り光パルス(複数可)は、延長された検出期間(複数可)中に検出されている可能性が高くなり得る。これは、次に、本明細書にさらに説明されるように、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされている可能性があるかどうかを判定する目的で、延長された検出期間の利用を増加させる可能性がある。
【0123】
例として、コンピューティングシステムは、延長された検出期間が発生するときに、それらの延長された検出期間が、1つ以上の特定の移動方向に放出される光パルスに対応するように、LIDARデバイスを動作させることもあり得る。例えば、1つのそのような特定の移動方向は、自律車両が移動している地面(例えば、道路)などの地面に実質的に平行であるか、そこから離れて上昇する移動方向であり得る。このようにして、コンピューティングシステムは、そのような放出された光パルスが、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射する可能性が少ないため、地面に向けて放出された光パルスに対応する、延長された検出期間の発生を回避するように、LIDARデバイスを動作させることもあり得る。そのため、実際には、コンピューティングシステムは、問題の特定の移動方向のうちの1つに光パルスを放出するように、LIDARデバイスを動作させることもあり、その光パルスの放出の後に、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトであり得る、オブジェクトから反射している結果として光パルスが戻ると、その光パルスの検出に構成された、延長された検出期間が続き得る。他の実装形態も可能である。
【0124】
ブロック604において、方法600は、LIDARデバイスが、1つ以上の特定の放出された光パルスに対応する、延長された検出期間のうちの1つ以上の期間中に、1つ以上の戻り光パルスを検出したという判定をすることを含む。
【0125】
本開示によれば、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、1つ以上の延長された検出期間の各々の間に、1つ以上の戻り光パルスをそれぞれ検出したという判定をすることもあり得る。例えば、複数の放出された光パルスは、対応する延長された検出期間をそれぞれ有することもあり得る。そのような対応する各延長された検出期間について、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、1つ以上の戻り光パルスを検出したと判定することもあり得る。実際には、これらの光パルスの一部またはすべては、LIDARデバイスの公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射した光パルスであり得る。追加的にまたは代替的に、これらの光パルスの一部またはすべては、公称検出範囲内に位置決めされた近くのオブジェクト(複数可)から反射した光パルスであり得る。
【0126】
場合によっては、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、1つ以上の各標準検出期間中に、1つ以上の戻り光パルスをそれぞれ検出したと追加的に判定することもあり得る。例えば、複数の放出された光パルスは、対応する標準検出期間をそれぞれ有することもあり得る。そのような対応する各標準検出期間について、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、1つ以上の戻り光パルスを検出したと判定することもあり得る。繰り返して言うが、これらの光パルスの一部またはすべては、LIDARデバイスの公称検出範囲外に位置決めされたオブジェクト(複数可)から反射した光パルスであり得る。追加的にまたは代替的に、これらの光パルスの一部またはすべては、公称検出範囲内に位置決めされた近くのオブジェクト(複数可)から反射した光パルスであり得る。
【0127】
いずれの場合でも、本明細書にさらに説明されるように、延長された検出期間(複数可)中の光パルス(複数可)の検出は、コンピューティングシステムが、オブジェクトがLIDARデバイスの公称検出範囲外に位置決めされている可能性があるかどうかを判定するのに役立ち得る。また、LIDARデバイスが、標準検出期間(複数可)中に光パルス(複数可)も検出する場合、延長された検出期間(複数可)中の光パルス検出(複数可)は、コンピューティングシステムが標準検出期間(複数可)中に光パルス検出(複数可)に関して生じることもあり得る範囲のあいまいさを克服するのに役立ち得る。
【0128】
ブロック606において、方法600は、判定をすることに応答して、1つ以上の検出された戻り光パルスが、1つ以上の範囲を示す、1つ以上の特定の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定することを含む。
【0129】
コンピューティングシステムが、LIDARデバイスが延長された検出期間(複数可)中に戻り光パルス(複数可)を検出したと判定すると、コンピューティングシステムは、それに応答して、これらの検出された戻り光パルス(複数可)の範囲の仮説を生成してもよい。具体的には、コンピューティングシステムは、直近に放出された光パルスの放出時間に対する時間遅延に従って、検出された各戻り光パルスの範囲をそれぞれ判定してもよい。例えば、所与の光パルスが特定の放出時間に放出され、次に、特定の検出時間に延長された検出期間中に検出された後、コンピューティングシステムは、その後、特定の放出時間と特定の検出時間との間の時間遅延に従って、その光パルスの範囲を判定することもあり得る。
【0130】
コンピューティングシステムが、延長された検出期間中に検出された光パルスの範囲を判定するとき、この範囲判定は、標準検出期間中に検出された光パルスの範囲判定よりも正確であり得る。
【0131】
具体的には、光パルスが対応する標準検出期間を有し、その光パルスが公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射する場合、その光パルスは、対応する標準期間中にLIDARデバイスによって検出されないであろう。このシナリオでは、説明したように、コンピューティングシステムは、異なる光パルス(例えば、後続に放出される光パルス)の放出時間に対する時間遅延に従って、その光パルスの範囲を判定することで終了し得、これは誤った範囲判定につながることになる。
【0132】
一方、同じ光パルスが、対応する延長された検出期間を有し、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから同様に反射した場合、その光パルスは、その対応する延長された検出期間中に検出される可能性が高くなる。言い換えれば、延長された検出期間は、LIDARデバイスの検出範囲を、公称検出範囲を超えて(さらに、および/またはより近くに)有効に延長する。さらに、LIDARデバイスが、その対応する延長された検出期間中にその光パルスを検出する場合、コンピューティングシステムは、正しい範囲判定に達するであろう、光パルスの放出時間に対する時間遅延に従ってその光パルスの範囲を判定することができる。
【0133】
ブロック608において、方法600は、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をすることを含む。
【0134】
延長された検出期間中に検出された光パルスの範囲判定が正しい可能性がより高いと仮定すると、コンピューティングシステムは、オブジェクトが、LIDARデバイスの公称検出範囲の外側に位置決めされている可能性があるかどうかを判定するのに役立つように、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)を使用することもあり得る。具体的には、コンピューティングシステムが、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の1つ以上の範囲を判定すると、コンピューティングシステムは、これらの1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をしてもよく、コンピューティングシステムは様々な方法で判定することもあり得る。
【0135】
例示的な一実装形態では、コンピューティングシステムは、これらの1つ以上の範囲を公称検出範囲と比較することを通じて、さらなる判定をすることもあり得る。具体的には、コンピューティングシステムは、公称検出範囲が、1つ以上の範囲を含むかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムが、公称検出範囲が1つ以上の範囲を含むと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないと判定してもよい。この場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲内に位置決めされていることを示すとさらに判定することもあり得る。一方、コンピューティングシステムが、公称検出範囲が1つ以上の範囲を含まないと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すと判定してもよい。
【0136】
例として、LIDARデバイスは、延長された検出期間中に光パルスを検出してもよく、コンピューティングシステムは、その光パルスの放出時間に対する時間遅延に従ってその光パルスの92mの範囲を判定してもよい。次いで、コンピューティングシステムは、その判定された範囲を2m~60mに及ぶ公称検出範囲と比較してもよい。この実施例では、コンピューティングシステムは、公称検出範囲が判定された範囲を含まないと判定してもよい。具体的には、92mの範囲は、2m~60mに及ぶ公称検出範囲の外側である。そのため、コンピューティングシステムは、それに応答して、判定された92mの範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すと判定してもよい。
【0137】
別の実施例では、LIDARデバイスは、延長された検出期間中に光パルスを検出してもよく、コンピューティングシステムは、その光パルスの放出時間に対する時間遅延に従ってその光パルスの18mの範囲を判定してもよい。次いで、コンピューティングシステムは、その判定された範囲を2m~60mに及ぶ公称検出範囲と比較してもよい。この実施例では、コンピューティングシステムは、公称検出範囲が判定された範囲を含むと判定してもよい。具体的には、18mの範囲は、2m~60mに及ぶ公称検出範囲内である。そのため、コンピューティングシステムは、それに応答して、判定された18mの範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないと判定してもよい。この場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、判定された18mの範囲が、オブジェクトが公称検出範囲内に位置決めされていることを示すとさらに判定することもあり得る。他の実施例も可能である。
【0138】
さらなる態様では、コンピューティングシステムは、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すと判定するとき、コンピューティングシステムは、そのオブジェクトが、公称検出範囲よりも近くに位置決めされている可能性があるかどうか、またはそのオブジェクトが、公称検出範囲を超えて位置決めされている可能性があるかどうかをより具体的には判定することもあり得る。コンピューティングシステムは、様々な方法で判定することもあり得る。
【0139】
例示的な一実装形態では、コンピューティングシステムは、1つ以上の範囲が、明確な最小検出範囲よりも小さいかどうか、または1つ以上の範囲が、明確な最大検出範囲よりも大きいかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムが、1つ以上の範囲が明確な最小検出範囲よりも小さいと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲よりも近くに位置決めされていることを示すと判定してもよい。一方、コンピューティングシステムが、1つ以上の範囲が明確な最大検出範囲よりも大きいと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲を超えて位置決めされていることを示すと判定してもよい。他の実装形態も可能である。
【0140】
ブロック610において、方法600は、さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することを含む。
【0141】
コンピューティングシステムは、範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をすると、コンピューティングシステムは、それに応じてオブジェクト検出に関与してもよい。
【0142】
例示的な一実装形態では、さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、さらなるオブジェクト検出(例えば、オブジェクトの識別)に使用するための適切な範囲を判定する目的など、範囲のあいまいさを克服するための基礎としてさらなる判定を使用することを含み得る。
【0143】
一般に、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、上述の延長された検出期間(複数可)中に検出された戻り光パルス以外のものなど、他の戻り光パルスを検出したと判定することもあり、次に、それに応答して、これらの他の戻り光パルスの複数の範囲の仮説を生成することもあり得る。ただし、上記の説明に沿って、コンピューティングシステムは、これらの範囲の仮説のうちのどれが正しいか、これらの範囲の仮説のうちのどれが誤っているかを追加情報なしでは不明であるため、範囲のあいまいさに遭遇する可能性がある。
【0144】
特定の実施例では、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスが、ブロック604に関して説明したように光パルス(複数可)を検出した間に、上述の延長された検出期間(複数可)に、時間的に実質的に近い標準検出期間(複数可)中に戻り光パルスを検出したと判定することもあり得る。実際には、これらは、例えば、延長された検出期間の直後および/または直前の1つである、1つ以上の標準検出期間であり得る。この実施例では、コンピューティングシステムは、次に、それに応答して、(i)検出された他の戻り光パルスが、第1の組の範囲を示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有し、(ii)検出された他の戻り光パルスが、第2の組の範囲を示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時間に対する検出時間を有すると判定し得る。ただし、第1の組または第2の組の範囲がオブジェクト検出の基礎として使用されるべきかどうかに関して不明であり得るため、範囲のあいまいさが生じる可能性がある。
【0145】
本開示によれば、コンピューティングシステムは、延長された検出期間(複数可)中の光パルス検出(複数可)の評価に基づいて、そのような範囲のあいまいさを克服することもあり得る。具体的には、コンピューティングシステムが、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の範囲(複数可)を判定し、これらの範囲(複数可)が、オブジェクトが公称範囲の外側に位置決めされていることを示すかどうかのさらなる判定をすると、コンピューティングシステムは、このさらなる判定を、オブジェクト検出の第1の組の範囲を使用することと、第2の組の範囲を使用することと、の間で選択するための基礎として使用することもあり得る。
【0146】
より具体的には、さらなる判定が、範囲(複数可)が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないという判定である場合、これは、時間的に近い標準検出期間(複数可)中に検出された光パルスが、公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトから反射した光パルスである可能性がより高いことを示すものとしてさらに機能してもよく、したがって、最終的には、短距離の仮説が正しいという可能性がより高いことを示すものとして機能してもよい。一方、さらなる判定が、範囲(複数可)が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示すという判定である場合、これは、時間的に近い標準検出期間(複数可)中に検出された光パルスが、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトから反射した光パルスである可能性がより高いことを示すものとしてさらに機能してもよく、したがって、最終的には、代替範囲の仮説が正しいという可能性がより高いことを示すものとして機能してもよい。
【0147】
例として、上述の第1の組の範囲が短距離の仮説に従って判定され、上述の第2の組の範囲が代替範囲の仮説に従って判定されたシナリオを考慮する。このシナリオでは、さらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示さないという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、オブジェクト検出のための第1の組の範囲を選択および使用してもよい。他方では、さらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、オブジェクト検出のための第2の組の範囲を選択および使用してもよい。範囲の仮説が、さらなる判定に基づいて選択されると、コンピューティングシステムは、選択に従ってオブジェクト検出に関与してもよい。
【0148】
このようにして、開示された実装形態は、範囲のあいまいさを克服し、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを判定するために実行されることが多い計算の範囲を低減するのに役立ち得る。例えば、開示された実装形態により、コンピューティングシステムは、既知のオブジェクト(複数可)に対する範囲の仮説の類似点の評価および/または範囲の仮説内の範囲の類似性の評価など、より計算コストのかかる検証プロセスを使用することなく、範囲のあいまいさを克服することを可能にする。
【0149】
しかしながら、いくつかの実装形態では、開示された実装形態は、そのようなより計算コストのかかるプロセスの使用を選択的にトリガするためのガイドとして効果的に機能することもあり得る。そのような手法は、これらのプロセスが範囲のあいまいさをさらに確実に克服するのに役立ち得るため、有益であり得る。そしてこれは、そのようなプロセスが、より頻繁に使用されるのではなく、より選択的に使用されることになるため、計算の全体的な範囲を低減するのにも役立ち得る。
【0150】
コンピューティングシステムが、開示された実装形態を他のプロセスの使用を選択的にトリガするためのガイドとして使用するとき、これらの他のプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、特許出願第15/638,607号に記載されるように、既知のオブジェクト(複数可)に対する範囲の仮説の類似点の評価および/または範囲の仮説内の範囲の類似性の評価を含み得る。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、コンピューティングシステムは、追加的にまたは代替的に、他のタイプのプロセスに選択的に関与して、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを検証し得ることを理解されたい。
【0151】
いずれの場合でも、コンピューティングシステムが他のプロセスの使用を選択的にトリガするためのガイドとして本開示の実装形態を使用するとき、コンピューティングシステムは様々な方法でそれを行うことがあり得る。
【0152】
例えば、コンピューティングシステムは、延長された検出期間(複数可)の光パルス検出(複数可)が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされている可能性があることを示すときにのみ、1つ以上の他の検証プロセスの使用をトリガしてもよい。具体的には、上述のさらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示さないという判定である場合、コンピューティングシステムは、本明細書にさらに説明されるように、オブジェクト検出の基礎として1つ以上の範囲を単に使用することもあり、それにより、そのような状況で他の検証プロセスの使用をおそらく回避することができる。他方では、上述のさらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、オブジェクトが本当に公称検出範囲の外側に位置決めされているかどうかを検証するために追加のプロセスに関与することもあり得る。
【0153】
さらに、コンピューティングシステムが追加の検証プロセスに関与するとき、コンピューティングシステムは、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされている可能性のある方向に対してのみ、関与することができる。具体的には、LIDARデバイスは、1つ以上の特定の光パルスを特定の移動方向に放出してもよく、その後、延長された検出期間(複数可)中にこれらの特定の光パルスを検出してもよい。次いで、コンピューティングシステムは、これらの特定の光パルスの範囲(複数可)を判定し、これらの範囲(複数可)が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に特定の移動方向に沿って位置決めされていることを示すというさらなる判定をしてもよい。したがって、このシナリオでは、コンピューティングシステムは、それに応答して、オブジェクトが、公称検出範囲の外側に特定の移動方向に実質的に沿って位置決めされているかどうかを検証するための追加の検証プロセスに関与してもよい。そうするために、例えば、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスの検出器が、特定の移動方向に向けられている間に検出された光パルスに対してのみ、追加の検証プロセスに従って複数の範囲の仮説を生成および評価してもよい。他の実施例も可能である。
【0154】
さらなる一態様では、上述のさらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、他の可能性の中で、オブジェクトの表示を生成し、オブジェクトまでの距離を判定し、および/またはオブジェクトを識別するための基礎としてさらなる判定を使用することを含むこともあり得る。
【0155】
コンピューティングシステムが、さらなる判定に従ってオブジェクトの表示を生成するとき、これは、オブジェクトを表すポイントクラウドを組み立てることを含み得る。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、オブジェクトの他の表示も同様に可能である。いずれの場合でも、コンピューティングシステムが、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の1つ以上の範囲を判定し、任意でこれらの範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すかどうかのさらなる判定をすると、コンピューティングシステムは、オブジェクトの表示を生成するために、少なくともこれらの範囲を使用することができる。
【0156】
具体的には、コンピューティングシステムが、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトの表示を生成するための基礎として、少なくともこれらの1つ以上の範囲を使用してもよい。場合によっては、コンピューティングシステムは、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトの表示を生成するために、1つ以上の他の範囲を追加的に使用することもあり得る。一般に、これらの他の範囲は、例えば、ブロック604に関して説明したように光パルス(複数可)が検出された、延長された検出期間(複数可)に時間的に実質的に近い標準検出期間中など、他の検出期間中に検出された光パルス(複数可)に対して判定された範囲であり得る。さらに、表示を生成するために使用されるこれらの他の範囲(複数可)は、範囲のあいまいさを克服するために、本明細書に説明される技術のいずれか1つに従って選択された範囲(複数可)であり得る。例えば、上記の説明に沿って、これらの他の範囲(複数可)は、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の評価に基づいて選択された代替範囲の仮説の一部であり得る。
【0157】
他方では、コンピューティングシステムは、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないと判定する場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトの表示を生成するための基礎として、少なくともこれらの1つ以上の範囲を使用してもよい。場合によっては、コンピューティングシステムは、公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトの表示を生成するために、1つ以上の他の範囲を追加的に使用することもあり得る。これらの他の範囲は、他の検出期間中に検出される他の光パルス(複数可)に対して判定された範囲であり得る。例えば、上記の説明に沿って、これらの他の範囲(複数可)は、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の評価に基づいて選択された短距離の仮説の一部であり得る。他の実施例も可能である。
【0158】
さらに、上記のように、さらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、オブジェクトまでの距離を判定するための基礎として、さらなる判定を使用することを含み得る。
【0159】
具体的には、さらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、LIDARデバイスと公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトとの間の距離を判定するための基礎として、少なくとも1つ以上の範囲を使用してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、他のオプションの中で、この距離をこれらの範囲のうちの1つであるか、またはこれらの範囲の平均であると判定することもあり得る。
【0160】
場合によっては、コンピューティングシステムは、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトまでの距離を判定するために、1つ以上の他の範囲を追加的に使用することができる。例えば、これらの他の範囲は、(i)標準検出期間中に検出された光パルス(複数可)について判定され、(ii)延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の評価に基づいて選択された代替範囲の仮説の範囲であり得る。そのため、LIDARデバイスと公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトとの間の距離を判定するとき、コンピューティングシステムは、例えば、問題の範囲すべての平均になるように距離を判定することができ、これには、(i)延長された検出期間中に検出された光パルスについて判定された範囲、および(ii)標準検出期間中に検出された光パルスについて判定された範囲(例えば、遠距離の仮説による)を含んでもよい。他の実施例も可能である。
【0161】
他方では、さらなる判定が、1つ以上の範囲が、オブジェクトが公称検出範囲の外側に位置決めされていることを示さないという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、LIDARデバイスと公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトとの間の距離を判定するための基礎として、少なくとも1つ以上の範囲を使用してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、他のオプションの中で、この距離をこれらの範囲のうちの1つであるか、またはこれらの範囲の平均であると判定することもあり得る。
【0162】
場合によっては、コンピューティングシステムは、公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトまでの距離を判定するために、1つ以上の他の範囲を追加的に使用することもあり得る。例えば、これらの他の範囲は、(i)標準検出期間中に検出された光パルス(複数可)について判定され、(ii)延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の評価に基づいて選択された近距離の仮説の範囲であり得る。そのため、LIDARデバイスと公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトとの間の距離を判定するとき、コンピューティングシステムは、例えば、問題の範囲すべての平均になるように距離を判定することができ、これには、(i)延長された検出期間中に検出された光パルスについて判定された範囲、および(ii)標準検出期間中に検出された光パルスについて判定された範囲を含んでもよい。他の実施例も可能である。
【0163】
またさらに、上記のように、上述のさらなる判定に従ってオブジェクト検出に関与することは、オブジェクトを識別するための基礎として、さらなる判定を使用することを含み得る。
【0164】
一般に、コンピューティングシステムは、一組の範囲が、オブジェクト認識技術(複数可)に基づいてなど、1つ以上の既知のオブジェクトを表すかどうかを判定することによって、オブジェクトを識別することもあり得る。例えば、コンピューティングシステムは、既知のオブジェクト(例えば、道路標識(複数可))をそれぞれ示す複数のポイントクラウドを保存することができたか、そうでなければ複数のポイントクラウドにアクセスしてもよい。したがって、コンピューティングシステムは、特定の組の範囲に基づいてポイントクラウドを組み立てることができ、次に、この組み立てられたポイントクラウドが複数のポイントクラウドのうちの少なくとも1つに一致するかどうかを判定することができる。組み立てられたポイントクラウドが、複数のポイントクラウドのうちの少なくとも1つと実質的に一致する場合、コンピューティングシステムは、特定の組の範囲が少なくとも1つの既知のオブジェクトを表すと判定することができる。そうでない場合、コンピューティングシステムは、特定の組の範囲が少なくとも1つの既知のオブジェクトを表さないと判定することができる。
【0165】
いずれの場合でも、コンピューティングシステムが、延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の1つ以上の範囲を判定し、これらの範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すかどうかのさらなる判定をすると、コンピューティングシステムは、あらゆる実行可能なオブジェクト識別技術に従ってオブジェクトを識別するために、少なくともこれらの範囲を使用することができる。
【0166】
具体的には、さらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを識別するための基礎として、少なくともこれらの1つ以上の範囲を使用することができる。場合によっては、コンピューティングシステムは、公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを識別するために、1つ以上の他の範囲を追加的に使用することができる。例えば、これらの他の範囲は、(i)標準検出期間中に検出された光パルス(複数可)について判定され、(ii)延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の評価に基づいて選択された代替範囲の仮説の範囲であり得る。
【0167】
他方では、さらなる判定が、1つ以上の範囲が公称検出範囲の外側に位置決めされたオブジェクトを示すという判定である場合、コンピューティングシステムは、それに応答して、公称検出範囲内に位置決めされているオブジェクトを識別するための基礎として、少なくともこれらの1つ以上の範囲を使用することができる。場合によっては、コンピューティングシステムは、公称検出範囲内に位置決めされたオブジェクトを識別するために、1つ以上の他の範囲を追加的に使用することができる。例えば、これらの他の範囲は、(i)標準検出期間中に検出された光パルス(複数可)について判定され、(ii)延長された検出期間(複数可)中に検出された光パルス(複数可)の評価に基づいて選択された近距離の仮説の範囲であり得る。他の場合も可能である。
【0168】
さらに別の一態様では、本明細書に説明する実装形態は、光パルスの放出およびそのような光パルスの放出にそれぞれ続く期間の観点から、代替的に説明することができる。具体的には、本開示に沿って、自動運転車両のコンピューティングシステムは、放出時間シーケンスに従って放出時間に光パルスを放出するように、LIDARデバイスを動作させることができる。放出時間シーケンスは、シーケンス内の大部分の放出後の(例えば、LIDARデバイスの公称検出範囲に関連付けられた)標準期間およびシーケンス内の少なくとも1つの放出後の延長された期間を含んでもよい。例えば、延長された期間は、放出が車両の移動方向に放出された後に発生することもあり得る。他の態様も可能である。
【0169】
次に、
図7A~
図7Dは、LIDARシステムの延長された検出期間(複数可)の例示的な利用を示す。
【0170】
図7Aは、LIDARデバイス200が、60mの明確な最大検出範囲400よりも大きい、100mの延長された検出範囲700を有し得ることを示す。一般に、この延長された検出範囲700は、
図7Bに示される、延長された検出期間Aによってなど、延長された検出期間(複数可)によってまばらに提供され得る。具体的には、
図7Bは、延長された検出期間(複数可)を含む時間シーケンス#2に従って、放出時間A~Fでそれぞれ放出されている光パルスA~Fを示す。具体的には、これらの放出時間は、持続時間666nsの延長された検出期間A、ならびに各々が同じ持続時間400nsの標準検出期間B~Fを確立する。
【0171】
図示されるように、光パルスAならびに光パルスB~Eは、LIDARデバイス200の明確な最大検出範囲400を超えて位置決めされた遠くのオブジェクト404から各々反射する。しかしながら、明確な最大検出範囲400よりも大きい、延長された範囲700を提供する、対応する延長された検出期間Aを有する光パルスAにより、光パルスAは、その対応する延長された検出期間Aの間に検出される。
【0172】
このことから、コンピューティングシステムは、光パルスAが、明確な最大検出範囲400を超えて位置決めされた遠くのオブジェクト404から反射したとしても、検出された光パルスAに関連付けられた範囲を正しく判定することができる。具体的には、コンピューティングシステムは、
図7Cに示されるように、80mの範囲702に対応する放出時間Aに対して、533nsの検出時間T0で、LIDARデバイス200が光パルスAを検出したと判定することができる。
図7Aに示されるように、この80mの範囲は、実際には、遠くのオブジェクト404がLIDARデバイス200から離れて位置決めされている正しい範囲である。したがって、延長された検出期間Aの間に検出された光パルスAの範囲を判定することによって、コンピューティングシステムは、オブジェクトが明確な最大検出範囲400を超えて位置決めされている可能性があるかどうかを判定するための基礎を有し、次に、それに応じて、オブジェクト検出に関与することができる。
【0173】
例として、コンピューティングシステムは、60mの明確な最大検出範囲400が、80mの範囲702よりも小さいと判定することができ、コンピューティングシステムは、それに応答して、範囲702が、オブジェクトが明確な最大検出範囲400を超えて位置決めされていることを示すと判定することができる。さらに、コンピューティングシステムは、遠くのオブジェクト404が、LIDARデバイス200から80m離れて位置決めされていることを具体的に判定するように、範囲702を使用することができる。同様に、コンピューティングシステムは、次に、遠くのオブジェクト404が、他のオプションの中で、遠くのオブジェクト404(例えば、道路標識)の存在(および場合によっては識別)に従って車両300を道案内することによってなど、LIDARデバイス200から80m離れて位置決めされているという判定に少なくとも基づいて、車両300を動作させることができる。
【0174】
さらに、
図7Bに示されるように、光パルスB~Eは、遠くのオブジェクト404から各々反射し、後続の標準検出期間中にそれぞれ検出されるため、コンピューティングシステムは、上記の説明に沿って複数の範囲の仮説を生成することができる。具体的には、コンピューティングシステムは、明確な最大検出範囲を超えて位置付けられている大きな再帰反射オブジェクト(複数可)の可能性を考慮せずに、検出された光パルスB~Eに関連付けられた候補範囲を判定することができる。
【0175】
例えば、コンピューティングシステムは、
図7Dに示されるように、20mの範囲に対応する放出時間Cに対して、LIDARデバイス200が133nsの検出時間Tn0で光パルスBを検出したと判定することができる。また、検出時間Tn1~Tn4によって示されるように、光パルスC~Eに関連付けられた範囲を判定するために、同様の手法を使用することができ、それにより、LIDARデバイス200から20m離れて位置決めされているオブジェクトの近距離の仮説に対応する第1の範囲704が得られる。加えて、コンピューティングシステムは、
図7Dに示されるように、80mの範囲に対応する放出時間Bに対して、533nsの検出時間Tf1で、LIDARデバイス200が光パルスBを検出したと判定することができる。また、検出時間Tf2~Tf4によって示されるように、光パルスC~Eに関連付けられた範囲を判定するために、同様の手法を使用することができ、それにより、LIDARデバイス200から80m離れて位置決めされているオブジェクトの遠距離の仮説に対応する第2の範囲706が得られる。
【0176】
本開示によれば、コンピューティングシステムは、延長された検出期間中の光パルス検出の評価に基づいて、これらの範囲の仮説のどれが正しい可能性が高いかを判定することができる。具体的には、延長された検出期間Aの間に検出された光パルスAの判定された範囲702に基づいて、および延長された検出期間Aに時間的に実質的に近い標準検出期間B~Fに基づいて、コンピューティングシステムは、オブジェクト検出のための範囲704の使用とオブジェクト検出のための範囲706の使用との間で選択するための基礎として、判定された範囲702を使用することができる。そうすることで、
図7Dに示されるように、コンピューティングシステムは、範囲702が、オブジェクトが明確な最大検出範囲400を超えて位置決めされていることを示すという判定をすることができ、それに応答して、範囲706は、明確な最大検出範囲400よりも大きく、範囲704は、明確な最大検出範囲400よりも小さいため、範囲704ではなく範囲706の使用を選択することができる。
【0177】
コンピューティングがオブジェクト検出の目的で範囲706の使用を選択すると、コンピューティングシステムは、それに応じて、さらなるオブジェクト検出に関与することができる。例えば、コンピューティングシステムは、範囲702と選択された範囲706との組み合わせに基づいてポイントクラウドを組み立てることができる。さらに、コンピューティングシステムは、次に、オブジェクトを識別するための基礎として、組み立てられたポイントクラウドを使用することができる。他の実施例および事例も可能である。
【0178】
VI.LIDARデバイスによるスキャンに基づいた車両の制御
上記のように、コンピューティングシステムは、本明細書に開示されるLIDARデバイスから受信したスキャンに基づいて、車両を動作させることができる。具体的には、コンピューティングシステムは、車両の周りの環境のスキャンをLIDARデバイスから受信することができる。また、コンピューティングシステムは、LIDARデバイスから受信した環境のスキャンに少なくとも基づいて、車両を動作させることができる。
【0179】
より具体的には、コンピューティングシステムは、光を環境に放出するようにLIDARデバイス100を動作させることができる。また、コンピューティングシステムは、反射した光の検出を表すデータをLIDARデバイス100から受信してもよい。また、検出された光ビームを放出された光ビームと比較することによって、コンピューティングシステムは、環境内の1つ以上のオブジェクトの少なくとも一態様を判定してもよい。
【0180】
例えば、複数の光ビームがLIDARデバイス100の送信機によって放出された時間とLIDARデバイス100の受信機が反射した光を検出した時間とを比較することによって、LIDARデバイス100と環境内のオブジェクトとの間の距離が判定され得る。他の実施例では、形状、色、材料などの態様も、放出された光と検出された光との間の様々な比較に基づいて判定され得る。
【0181】
この構成により、コンピューティングシステムは、LIDARデバイス100からのデータに基づいて、環境の三次元(3D)表示を判定することができる。例えば、3D表示は、コンピューティングシステムによって、LIDARデバイス100からのデータに基づいて3Dポイントクラウドとして生成されてもよい。例えば、3Dクラウドの各ポイントは、反射した光パルスに関連付けられ得る。そのため、コンピューティングシステムは、(例えば、連続的にまたは時々)環境またはその一部分の3D表示を生成してもよい。また、コンピューティングシステムは、次に、そのような環境の3D表示の評価に基づいて車両の動作を制御することができる。
【0182】
例として、車両は、自律モードで動作してもよい。この実施例では、コンピューティングシステムは、他の可能性の中で障害物を回避することによって、車両を安全に道案内(例えば、速度、方向などを調整)するように3D表示を利用することができる。障害物またはオブジェクトは、例えば、3D表示を分析し、様々な障害物またはオブジェクトを検出および/または識別するように、画像処理アルゴリズムまたは他の計算方法を使用して検出および/または識別されてもよい。別の実施例として、車両は、部分自律モードまたは手動モードで動作してもよい。この実施例では、車両は、車両の運転者またはオペレータに、車両内のディスプレイまたはスピーカに、環境内の1つ以上のオブジェクトに関する情報を提示させることによってなど、様々なオブジェクトの存在または距離、もしくは道路状況の変化(例えば、街灯、街路から見える標識など)を通知することができる。他の実施例も同様に可能である。
【0183】
次に、
図8は、LIDARデバイス200から受信した環境800のスキャンに基づく車両300の例示的な動作を示す。本開示によれば、車両のコンピューティングシステムは、例えば、道路標識404などの遠くのオブジェクト(複数可)を検出および識別するように、LIDARデバイス200から受信したデータを使用することができる。これに関して、コンピューティングシステムは、データに基づいて、道路標識404が、車両300が所望の目的地に到着するために理想的にとるべき出口を表すと判定することができる。その判定をすることに応答して、コンピューティングシステムは、次に、車線1での走行から車線2での走行に切り替えるように、車両300を動作させることができる。
【0184】
実際には、コンピューティングシステムは、環境800の3D表示内の車線マーカを認識することによって、これらの車線間を区別してもよい。例えば、車両のコンピューティングシステムは、車線1と車線2を分離する近くの車線マーカを検出および識別するように、LIDARデバイス200から受信したデータを使用してもよい。さらに、コンピューティングシステムは、車両を動作させて車線を切り替える前に、オブジェクトを検出および識別するように環境をスキャンしてもよく、その結果、コンピューティングシステムは、車両300をさらに動作させて車線を切り替えながら、検出/識別されたそれらのオブジェクトを回避する方法で車両300を動作させることができる。
【0185】
例えば、コンピューティングシステムは、近くの車両802を検出および識別し、同様に道路標識402を検出および識別するように、LIDARデバイス200から受信したデータを使用してもよい。それらの検出/識別に基づいて、コンピューティングシステムは、車線1での走行から車線2での走行に切り替えるように車両300をさらに動作させながら、車両802および道路標識402を回避する方法で車両300を動作させることができる。他の事例も同様に可能である。
【0186】
VII.車両の例示的な構成
最後に、
図9は、例示的な一実施形態による、車両900の簡略化されたブロック図である。車両900は、車両300と同様であってもよく、LIDARデバイス100と同様のLIDARデバイスを含んでもよい。さらに、車両900は、方法800および/または方法1000などの本明細書の機能および方法を実施するように構成されてもよい。図示されるように、車両900は、推進システム902、センサシステム904、制御システム906(コントローラ906とも呼ばれ得る)、周辺機器908、およびコンピュータシステム910を含む。車両900は、例えば、自動車両、鉄道車両、船舶、または航空機であってもよい。他の実施形態では、車両900は、より多い、より少ない、または異なるシステムを含むことができ、各システムは、より多い、より少ない、または異なる構成部品を含むことができる。
【0187】
加えて、示されているシステムおよび構成部品は、いくつもの方法で組み合わせるか、または分割されてもよい。例えば、制御システム906およびコンピュータシステム910は、様々な動作に従って車両900を動作させる単一のシステムに結合されてもよい。
【0188】
推進システム902は、車両900に動力運動を提供するように構成されてもよい。図示されるように、推進システム902は、エンジン/モータ918、エネルギー源920、変速機922、および車輪/タイヤ924を含む。
【0189】
エンジン/モータ918は、内燃機関、電気モータ、蒸気エンジン、およびスターリングエンジンの任意の組み合わせであってもよく、またはそれらを含んでもよい。他のモータおよびエンジンも同様に可能である。いくつかの実施形態では、推進システム902は、複数のタイプのエンジンおよび/またはモータを含み得る。例えば、ガソリンと電気のハイブリッド車には、ガソリンエンジンと電気モータを含んでもよい。他の実施例が可能である。
【0190】
エネルギー源920は、エンジン/モータ918に完全にまたは部分的に動力を供給するエネルギー源であってもよい。すなわち、エンジン/モータ918は、エネルギー源920を機械的エネルギーに変換するように構成されてもよい。エネルギー源920の例には、ガソリン、ディーゼル、プロパン、他の圧縮ガスベースの燃料、エタノール、ソーラーパネル、電池、および他の電力源を含む。エネルギー源(複数可)920は、追加的にまたは代替的に、燃料タンク、電池、コンデンサ、および/またははずみ車の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、エネルギー源920は、車両900の他のシステムにもエネルギーを提供してもよい。
【0191】
変速機922は、エンジン/モータ918から車輪/タイヤ924に機械的動力を伝達するように構成されてもよい。このため、変速機922は、ギアボックス、クラッチ、差動装置、ドライブシャフト、および/または他の要素を含んでもよい。変速機922がドライブシャフトを含む実施形態では、ドライブシャフトは、車輪/タイヤ924に結合されるように構成された1つ以上の車軸を含んでもよい。
【0192】
車両900の車輪/タイヤ924は、自転車/オートバイ、三輪車、車/トラックの四輪形式、またはレールを含む、様々な形式で構成されてもよい。6個以上の車輪を含むものなど、他の車輪/タイヤ形式も同様に可能である。いずれの場合でも、車輪/タイヤ924は、他の車輪/タイヤ924に対して差動的に回転するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、車輪/タイヤ924は、変速機922に固定的に装着された少なくとも1つの車輪と、走行面と接触することができる、車輪のリムに結合された少なくとも1つのタイヤとを含み得る。車輪/タイヤ924は、金属とゴムの任意の組み合わせか、または他の材料の組み合わせを含み得る。推進システム902は、追加的にまたは代替的に、示されているもの以外の構成部品を含むことができる。
【0193】
センサシステム904は、車両900が位置付けられている環境に関する情報を感知するように構成された複数のセンサ、ならびにセンサの位置および/または向きを変更するように構成された1つ以上のアクチュエータ936を含み得る。図示されるように、センサシステム904のセンサは、全地球測位システム(GPS)926、慣性測定装置(IMU)928、レーダ装置930、レーザ距離計および/またはLIDAR装置932、およびカメラ934を含む。センサシステム904は、例えば、車両900の内部システムを監視するセンサ(例えば、O2モニタ、燃料計、エンジンオイル温度など)を含む追加のセンサも含み得る。他のセンサも同様に可能である。
【0194】
GPS926は、車両900の地理的場所を推定するように構成された任意のセンサ(例えば、場所センサ)であってもよい。このため、GPS926は、地球に対する車両900の位置を推定するように構成された送受信機を含むことができる。GPS926は、他の形態をとることもある。
【0195】
IMU928は、慣性加速度に基づいて車両900の位置および向きの変化を感知するように構成されたセンサの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、センサの組み合わせは、例えば、加速度計およびジャイロスコープを含み得る。他のセンサの組み合わせも同様に可能である。
【0196】
レーダ装置930は、車両900が無線信号を使用して位置付けられている環境内のオブジェクトを感知するように構成された任意のセンサであってもよい。いくつかの実施形態では、レーダ装置930は、オブジェクトを感知することに加えて、オブジェクトの速度および/または進行方向を感知するように追加的に構成されてもよい。
【0197】
同様に、レーザ距離計またはLIDAR装置932は、車両900がレーザを使用して位置付けられている環境内のオブジェクトを感知するように構成された任意のセンサであってもよい。例えば、LIDAR装置932は、1つ以上のLIDARデバイスを含むことができ、その少なくともいくつかは、本明細書に開示されるLIDARデバイス100の形態を取り得る。
【0198】
カメラ934は、車両900が位置付けられている環境の画像を取り込むように構成された任意のカメラ(例えば、スチルカメラ、ビデオカメラなど)であってもよい。このため、カメラは、前述の形態のいずれかをとることができる。センサシステム904は、追加的にまたは代替的に、示されているもの以外の構成部品を含むことができる。
【0199】
制御システム906は、車両900およびその構成部品の動作を制御するように構成され得る。このため、制御システム906は、操舵装置938、スロットル940、ブレーキ装置942、センサ融合アルゴリズム944、コンピュータビジョンシステム946、道案内または経路指定システム948、および障害物回避システム950を含むことができる。
【0200】
操舵装置938は、車両900の進行方向を調整するように構成された機構の任意の組み合わせであってもよい。スロットル940は、エンジン/モータ918の動作速度、次に車両900の速度を制御するように構成された機構の任意の組み合わせであってもよい。ブレーキ装置942は、車両900を減速するように構成された機構の任意の組み合わせであってもよい。例えば、ブレーキ装置942は、車輪/タイヤ924を減速させるように摩擦を使用することができる。別の実施例として、ブレーキ装置942は、車輪/タイヤ924の運動エネルギーを電流に変換してもよい。ブレーキ装置942は、他の形態をとることもある。
【0201】
センサ融合アルゴリズム944は、センサシステム904からのデータを入力として受け入れるように構成されたアルゴリズム(またはアルゴリズムを記憶するコンピュータプログラム製品)であってもよい。データは、例えば、センサシステム904のセンサで感知された情報を表すデータを含んでもよい。センサ融合アルゴリズム944は、例えば、カルマンフィルタ、ベイジアンネットワーク、本明細書の方法の機能のいくつかのアルゴリズム、または任意の他のアルゴリズムを含んでもよい。センサ融合アルゴリズム944は、センサシステム904からのデータに基づいて、例えば、車両900が位置付けられている環境内の個々のオブジェクトおよび/または特徴の評価、特定の状況の評価、および/または特定の状況に基づいて起こり得る影響の評価を含む、様々な評価を提供するようにさらに構成されてもよい。他の評価も同様に可能である。
【0202】
コンピュータビジョンシステム946は、車両900が、例えば、交通信号および障害物を含んで位置付けられている環境内のオブジェクトおよび/または特徴を識別するために、カメラ934が取り込んだ画像を処理および分析するように構成されている任意のシステムであってもよい。このため、コンピュータビジョンシステム946は、オブジェクト認識アルゴリズム、Structure from Motion(SFM)アルゴリズム、ビデオ追跡、または他のコンピュータビジョン技術を使用してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータビジョンシステム946は、環境をマッピングし、オブジェクトを追跡し、オブジェクトの速度を推定するなどのように追加的に構成されてもよい。
【0203】
道案内および経路指定システム948は、車両900の走行経路を判定するように構成された任意のシステムであってもよい。道案内および経路指定システム948は、車両900が動作している間に走行経路を動的に更新するように追加的に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、道案内および経路指定システム948は、車両900の走行経路を判定するために、センサ融合アルゴリズム944、GPS926、LIDAR装置932、および1つ以上の所定の地図からのデータを組み込むように構成されてもよい。
【0204】
障害物回避システム950は、車両900が位置付けられている環境内の障害物を識別、評価、および回避、またはそうでなければ通り抜けるように構成された任意のシステムであってもよい。制御システム906は、追加的にまたは代替的に、示されているもの以外の構成部品を含んでもよい。
【0205】
周辺機器908は、車両900が、外部センサ、他の車両、外部コンピューティングデバイス、および/またはユーザと対話できるように構成されてもよい。このため、周辺機器908は、例えば、無線通信システム952、タッチスクリーン954、マイクロフォン956、および/またはスピーカ958を含んでもよい。
【0206】
無線通信システム952は、直接または通信ネットワークを介してのどちらかで、1つ以上の他の車両、センサ、または他のエンティティに無線で結合するように構成された任意のシステムであってもよい。このため、無線通信システム952は、直接または通信ネットワークを介してのどちらかで、他の車両、センサ、サーバ、または他のエンティティと通信するためのアンテナおよびチップセットを含んでもよい。チップセットまたは無線通信システム952は、一般に、他の可能性の中で、Bluetoothなどの無線通信(例えば、プロトコル)、IEEE802.11(IEEE802.11の改訂を含む)に記述された通信プロトコル、セルラテクノロジー(GSM、CDMA、UMTS、EV-DO、WiMAX、またはLTEなど)、Zigbee、狭域通信(DSRC)、無線周波数識別(RFID)通信のうちの1つ以上のタイプに従って通信するように構成されてもよい。無線通信システム952は、他の形態をとることもある。
【0207】
ユーザは、タッチスクリーン954を使用して、車両900にコマンドを入力することができる。このため、タッチスクリーン954は、他の可能性の中で、静電容量感知、抵抗感知、または弾性表面波プロセスを介して、ユーザの指の位置および動きのうちの少なくとも1つを感知するように構成されてもよい。タッチスクリーン954は、タッチスクリーン表面に平行なまたは平面の方向、タッチスクリーン表面に垂直な方向、またはその両方の指の動きを感知することができ、タッチスクリーン表面に加えられる圧力のレベルを感知することもできる。タッチスクリーン954は、1つ以上の半透明または透明な絶縁層および1つ以上の半透明または透明な導電層で形成されてもよい。タッチスクリーン954は、他の形態をとることもある。
【0208】
マイクロフォン956は、車両900のユーザから、音声(例えば、音声コマンドまたは他の音声入力)を受信するように構成されてもよい。同様に、スピーカ958は、車両900のユーザに音声を出力するように構成されてもよい。周辺機器908は、追加的にまたは代替的に、示されているもの以外の構成部品を含んでもよい。
【0209】
コンピュータシステム910は、推進システム902、センサシステム904、制御システム906、および周辺機器908のうちの1つ以上にデータを送信し、それらからデータを受信し、それらと対話し、および/またはそれらを制御するように構成されてもよい。このため、コンピュータシステム910は、システムバス、ネットワーク、および/または他の接続機構(図示せず)によって、推進システム902、センサシステム904、制御システム906、および周辺機器908のうちの1つ以上に通信可能にリンクされてもよい。
【0210】
一実施例では、コンピュータシステム910は、燃料効率を改善するために変速機922の動作を制御するように構成されてもよい。別の実施例として、コンピュータシステム910は、カメラ934に環境の画像を取り込ませるように構成されてもよい。さらに別の実施例として、コンピュータシステム910は、センサ融合アルゴリズム944に対応する命令を記憶および実行するように構成されてもよい。さらに別の実施例として、コンピュータシステム910は、LIDAR装置932を使用して、車両900の周りの環境の3D表示を判定するための命令を記憶および実行するように構成されてもよい。他の実施例も同様に可能である。したがって、コンピュータシステム910は、LIDAR装置932のコントローラとして機能し得る。
【0211】
図示されるように、コンピュータシステム910は、プロセッサ912およびデータ記憶装置914を含む。プロセッサ912は、1つ以上の汎用プロセッサおよび/または1つ以上の専用プロセッサを含んでもよい。プロセッサ912が2つ以上のプロセッサを含む限り、そのようなプロセッサは、別個にまたは組み合わせて動作することができる。同様、データ記憶装置914は、光記憶装置、磁気記憶装置、および/または有機記憶装置などの1つ以上の揮発性および/または1つ以上の不揮発性記憶装置の構成部品を含んでもよく、データ記憶装置914は、プロセッサ912と全体的または部分的に統合されてもよい。
【0212】
いくつかの実施形態では、データ記憶装置914は、様々な車両機能(例えば、方法500など)を実行するために、プロセッサ912によって実行可能な命令916(例えば、プログラム論理)を含み得る。データ記憶装置914は、推進システム902、センサシステム904、制御システム906、および/または周辺機器908のうちの1つ以上にデータを送信し、それらからデータを受信し、それらと対話し、および/またはそれらを制御するための命令を含む、追加の命令も含むことができる。コンピュータシステム910は、追加的にまたは代替的に、示されているもの以外の構成部品を含んでもよい。
【0213】
図示されるように、車両900は、車両900の構成部品の一部またはすべてに電力を提供するように構成され得る電源960をさらに含む。このため、電源960は、例えば、リチウムイオン二次電池または鉛酸蓄電池を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の電池のバンクは、電力を提供するように構成され得る。他の電源材料および構成も同様に可能である。いくつかの実施形態では、電源960およびエネルギー源920は、一部の全電気式車のように、1つの構成部品として一緒に実装されてもよい。
【0214】
いくつかの実施形態では、車両900は、示されている要素に加えて、またはその代わりに、1つ以上の要素を含んでもよい。例えば、車両900は、1つ以上の追加のインターフェースおよび/または電源を含んでもよい。他の追加の構成部品も同様に可能である。このような実施形態では、データ記憶装置914は、追加の構成部品を制御および/またはそれらと通信するために、プロセッサ912によって実行可能な命令をさらに含んでもよい。
【0215】
またさらに、各構成部品およびシステムは、車両900に統合されるように示されているが、いくつかの実施形態では、1つ以上の構成部品またはシステムは、有線または無線接続を使用して、車両900に取り外し可能に取り付けられるか、そうでなければ(機械的または電気的に)接続されてもよい。車両900は、他の形態をとることもある。
【0216】
VIII.結論
図に示されている特定の構成は、限定と見なされるべきではない。他の実装形態は、所与の図に示される各要素のより多くのまたはより少ない要素を含み得ることを理解されたい。さらに、図示された要素のいくつかは、組み合わされても省略されてもよい。またさらに、例示的な実装形態は、図に示されていない要素を含んでもよい。
【0217】
加えて、様々な態様および実装が本明細書に開示されたが、他の態様および実装が当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様および実装は、例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実装が利用されてもよく、他の変更が行われてもよい。本開示の態様は、本明細書に全般的に記載されるように、また図に示されているように、多種多様な構成で配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができ、それらはすべて本明細書で企図されていることが容易に理解されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光パルスを放出し、複数の対応する検出期間に戻り光パルスを検出するように、コンピューティングシステムによって、光検出および測距(LIDAR)システムを動作させることであって、前記複数の対応する検出期間は、(i)前記LIDARシステムの公称検出範囲を確立する複数の標準検出期間、および(ii)前記複数の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する複数の延長された検出期間を含むことと、
前記コンピューティングシステムによって、1つ以上の延長された検出期間中に検出された1つ以上の戻り光パルスに基づいて、オブジェクトを検出することと、
前記コンピューティングシステムによって、1つ以上の対応する放出された光パルスの1つ以上の放出時間に対する、前記1つ以上の戻り光パルスの1つ以上の検出時間に基づいて、前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の延長された検出期間が、少なくとも、第1の放出された光パルスに対応する第1の延長された検出期間、および第2の放出された光パルスに対応する第2の延長された検出期間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の戻り光パルスが、前記第1の延長された検出期間中、第1の検出時間に検出された第1の戻り光パルス、および、前記第2の延長された検出期間中、第2の検出時間に検出された第2の戻り光パルスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピューティングシステムによって、前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定することは、
前記第1の放出された光パルスの第1の放出時間に対する前記第1の検出時間、および前記第2の放出された光パルスの第2の放出時間に対する前記第2の検出時間に基づいて、前記オブジェクトの範囲を計算することと、
前記計算されたオブジェクトの範囲が前記公称検出範囲よりも大きいと判定することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の延長された期間が、前記第1の延長された期間の後に発生する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の延長された期間が、前記第1の延長された期間と重複する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2の延長された期間が同時に発生する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の放出された光パルスが再帰反射オブジェクトに向かって放出される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記LIDARシステムが、第1のLIDARデバイス、および第2のLIDARデバイスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記LIDARシステムは車両に結合され、前記LIDARシステムからのデータに基づいて、前記コンピューティングシステムによって、前記車両を制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピューティングシステムによって、前記公称検出範囲の外側に位置決めされた前記オブジェクトの表示を生成することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記公称検出範囲の外側に位置決めされた前記オブジェクトの前記表示が、前記車両の環境の三次元ポイントクラウド表示の一部である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
標準検出期間中に前記オブジェクトから戻りパルスを検出することと、
直近に放出された光パルスの放出時間に対する、前記戻りパルスの検出時間に基づいて、前記オブジェクトのための第1の範囲を計算することと、
前記直近に放出された光パルスより前に放出された光パルスの放出時間に対する、前記戻りパルスの前記検出時間に基づいて、前記オブジェクトのための第2の範囲を計算することと、
前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされているとの判定に基づいて、前記オブジェクトのための前記第2の範囲を選択することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記標準検出期間が、前記1つ以上の延長された検出期間の直後または直前である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の光パルスを放出し、複数の対応する検出期間に戻り光パルスを検出するように、光検出および測距(LIDAR)システムを動作させることであって、前記複数の対応する検出期間は、(i)前記LIDARシステムの公称検出範囲を確立する複数の標準検出期間、および(ii)前記複数の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する複数の延長された検出期間を含むことと、
1つ以上の延長された検出期間中に検出された1つ以上の戻り光パルスに基づいて、オブジェクトを検出することと、
1つ以上の対応する放出された光パルスの1つ以上の放出時間に対する、前記1つ以上の戻り光パルスの1つ以上の検出時間に基づいて、前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定することと、を含む、機能を実施するための、1つ以上のプロセッサによって実行可能なプログラム命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記1つ以上の延長された検出期間が、少なくとも、第1の放出された光パルスに対応する第1の延長された検出期間、および第2の放出された光パルスに対応する第2の延長された検出期間を含み、かつ、前記1つ以上の戻り光パルスが、前記第1の延長された検出期間中、第1の検出時間に検出された第1の戻り光パルス、および、前記第2の延長された検出期間中、第2の検出時間に検出された第2の戻り光パルスを含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定することは、
前記第1の放出された光パルスの第1の放出時間に対する前記第1の検出時間、および前記第2の放出された光パルスの第2の放出時間に対する前記第2の検出時間に基づいて、前記オブジェクトの範囲を計算することと、
前記計算されたオブジェクトの範囲が前記公称検出範囲よりも大きいと判定することと、を含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
車両であって、
光検出および測距(LIDAR)システムと、
コンピューティングシステムであって、
複数の光パルスを放出し、複数の対応する検出期間に戻り光パルスを検出するように、前記LIDARシステムを動作させることであって、前記複数の対応する検出期間は、(i)前記LIDARシステムの公称検出範囲を確立する複数の標準検出期間、および(ii)前記複数の標準検出期間のそれぞれの持続時間よりも長い、それぞれの持続時間を有する複数の延長された検出期間を含むことと、
1つ以上の延長された検出期間中に検出された1つ以上の戻り光パルスに基づいて、オブジェクトを検出することと、
1つ以上の対応する放出された光パルスの1つ以上の放出時間に対する、前記1つ以上の戻り光パルスの1つ以上の検出時間に基づいて、前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定することと、を行うように構成された、コンピューティングシステムと、を備える、車両。
【請求項19】
前記1つ以上の延長された検出期間が、少なくとも、第1の放出された光パルスに対応する第1の延長された検出期間、および第2の放出された光パルスに対応する第2の延長された検出期間を含み、かつ、前記1つ以上の戻り光パルスが、前記第1の延長された検出期間中、第1の検出時間に検出された第1の戻り光パルス、および、前記第2の延長された検出期間中、第2の検出時間に検出された第2の戻り光パルスを含む、請求項18に記載の車両。
【請求項20】
前記オブジェクトが前記公称検出範囲の外側に位置決めされていることを判定することは、
前記第1の放出された光パルスの第1の放出時間に対する前記第1の検出時間、および前記第2の放出された光パルスの第2の放出時間に対する前記第2の検出時間に基づいて、前記オブジェクトの範囲を計算することと、
前記計算されたオブジェクトの範囲が前記公称検出範囲よりも大きいと判定することと、を含む、請求項19に記載の車両。
【外国語明細書】