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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105068
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ジッパーテープおよび袋体
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/16 20060101AFI20220705BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20220705BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A44B19/16
B65D33/25 A
B65D81/34 U
B65D81/34 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070257
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2017560406の分割
【原出願日】2017-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2016002051
(32)【優先日】2016-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
(57)【要約】      (修正有)
【課題】帯状基部を部分的にフィルムから剥離する構成を容易に設定できるジッパーテープ、袋体、および袋体の製造方法を提供する。
【解決手段】袋本体を構成するフィルム11A、11Bに接合され得る一対の帯状基部と、帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部23と、を備え、帯状基部のうちのいずれか一方は、係合部が連設される面とは反対側の面で、帯状基部の長手方向と直交する幅方向の一縁より係合部の位置までの間に、フィルムの接合強度が異なる少なくとも2以上の部分を有し、2以上の部分のうち一の部分S1のフィルムとの接合強度は、他の部分S2のフィルムとの接合強度よりも高くなり得る、ジッパーテープ、および袋体。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体を構成するフィルムに接合され得る一対の帯状基部と、前記帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部と、を備えたジッパーテープであって、
前記一対の帯状基部のうちのいずれか一方は、前記係合部が連設される面とは反対側の面で、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向の一縁より前記係合部の位置までの間に、前記フィルムと前記ジッパーテープとが接合した際の接合強度が異なる少なくとも第1および第2の部分を有し、前記第1の部分の前記フィルムとの接合強度は、前記第2の部分の前記フィルムとの接合強度よりも高い
ことを特徴とするジッパーテープ。
【請求項2】
請求項1に記載のジッパーテープにおいて、
前記一対の帯状基部のうちいずれか一方の帯状基部は、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において、前記係合部が係合された状態で、前記係合部が設けられた位置に対して前記第1の部分および前記第2の部分が設けられた側とは反対側の端部が、他方の帯状基部より長く形成された延長部を有し、
前記延長部には、前記係合部が設けられた側の面と同じ面に、長手方向に沿って帯状に設けられ前記フィルムと接合し得るシール可能部分が設けられ、
前記シール可能部分は、前記第1の部分での前記帯状基部と前記フィルムとの接合強度よりも低い接合強度で前記フィルムに接合し得る
ことを特徴とするジッパーテープ。
【請求項3】
請求項1に記載のジッパーテープにおいて、
前記一対の帯状基部のうちいずれか一方の帯状基部は、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において、前記係合部が係合された状態で、前記係合部が設けられた位置に対して前記第1の部分および前記第2の部分が設けられた側とは反対側の端部が、他方の帯状基部より長く形成された延長部を有し、
前記延長部には、当該延長部を前記幅方向で切断可能な切断部が、前記帯状基部の長手方向に沿って設けられ、
前記延長部の、前記切断部の前記係合部の位置と反対側に、前記フィルムに接合し得る接合可能域が設けられている
ことを特徴とするジッパーテープ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジッパーテープにおいて、
前記係合部は、雄部および雌部を有し、
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記雌部が連設する帯状基部に設けられる
ことを特徴とするジッパーテープ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のジッパーテープにおいて、
前記第1の部分は、ポリプロピレンにより形成され、
前記第2の部分は、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合層により形成されている
ことを特徴とするジッパーテープ。
【請求項6】
請求項1に記載のジッパーテープにおいて、
前記一対の帯状基部は、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において前記係合部の位置に対して前記第1の部分および前記第2の部分が設けられた側と反対側において、連結部を介して連結されている
ことを特徴とするジッパーテープ。
【請求項7】
被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体であって、前記袋本体の内面に請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のジッパーテープが取り付けられ、
前記第1の部分および前記第2の部分と前記袋本体とが接合されて第一領域が形成され、
前記第1の部分と前記袋本体との接合部分と、前記第2の部分と前記袋本体との接合部分とは、前記ジッパーテープの帯状基部の長手方向における直線上において重複しない部分を有する
ことを特徴とする袋体。
【請求項8】
被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体であって、前記袋本体の内面に請求項2に記載のジッパーテープが取り付けられ、
前記第1の部分および前記第2の部分と前記袋本体とが接合されて第一領域が形成され、
前記第1の部分と前記袋本体との接合部分と、前記第2の部分と前記袋本体との接合部分とは、前記ジッパーテープの帯状基部の長手方向における直線上において重複しない部分を有し、
前記延長部を有する帯状基部は、前記延長部が設けられていない帯状基部が接合する袋体のフィルムに対向する袋体のフィルムに接合されるとともに、前記シール可能部分において、前記延長部が設けられていない帯状基部とは前記ジッパーテープの長手方向に沿って並列状に、前記延長部が設けられていない帯状基部が接合する袋体のフィルムにも接合し、第二領域が形成されている
ことを特徴とする袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーテープおよび袋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などが収納され加熱調理が可能な袋体が広く利用されている。このような袋体として、加熱調理時に過度に膨張して破裂することを防止する蒸気抜き機構を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の袋体は、袋本体のサイドシール部の近傍に円形に設けられた切欠を塞ぐように、周縁が袋本体に弱化シールされた弱化シール部を有した蒸気抜き機構を備えている。この蒸気抜き機構は、加熱調理時に発生する蒸気により内圧がある程度高まると、弱化シール部が剥がれ、切欠から蒸気を排出し、袋本体が過度に膨張して破裂することを防止している。また、蒸気抜き機構として、ジッパーテープの嵌合を、加熱調理時の膨張により部分的に開口するように調整した構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-46644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような弱化シール部を設ける蒸気抜き機構を設ける構成では、袋体に蒸気抜き機構を別途設ける必要があり、製造が煩雑である。一方、ジッパーテープの嵌合を、加熱調理時の膨張により部分的に開口するように調整する構成とするためには、嵌合する構造について部分的に開口させる形状を設計、調整するなどが必要となり、ジッパーテープ自体の製造が困難である。
本発明は、帯状基部を部分的にフィルムから剥離する構成を容易に設定できるジッパーテープ、袋体、および袋体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のジッパーテープは、袋本体を構成するフィルムに接合され得る一対の帯状基部と、前記帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部と、を備えたジッパーテープであって、前記一対の帯状基部のうちのいずれか一方は、前記係合部が連設される面とは反対側の面で、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向の一縁より前記係合部の位置までの間に、前記フィルムと前記ジッパーテープとが接合し得る際の接合強度が異なる少なくとも2以上の部分を有し、前記2以上の部分のうち一の部分の前記フィルムとの接合強度は、他の部分の前記フィルムとの接合強度よりも高くなり得ることである。
【0007】
この発明の一態様では、一方の帯状基部の係合部が連設される面とは反対側の面で、帯状基部の長手方向と直交する幅方向の一縁より係合部の位置までの間に、フィルムとの接合強度が高くなり得る一の部分と、前記一の部分における帯状基部とフィルムとの接合強度よりも低くなり得る他の部分とが設けられている。本発明のジッパーテープを袋本体になり得るフィルムに接合して袋本体を製造する際に、本発明のジッパーテープの一の部分と他の部分とにまたがる領域において、帯状基部を前記フィルムに接合させて第一領域を形成させ得る。
ここで、第一領域となり得る領域は、フィルムと接合される際の帯状基部の領域であり、一の部分とフィルムとが接合され得る部分および他の部分とフィルムとのが接合され得る部分からなる。第一領域となり得る領域のうち他の部分とフィルムとの接合部分に相当する部分が一の部分とフィルムとの接合部分に相当する部分に比べて接合強度が低く、他の部分がフィルムから剥離しやすいという特徴から、一の部分とフィルムとの接合部分と、他の部分とフィルムとの接合部分と、のジッパーテープの長手方向における直線上での長さの割合を調整することにより、他の部分とフィルムとの接合部分において、帯状基部を部分的にフィルムから剥離させる設計ができる。
係合部とは、開封のために互いに離れる方向に引っ張るときのみ離れ、それ以外は互いに係わり合って離れない一対の部材をいい、例えば、雄部および雌部、一対のフック状部がある。
したがって、ジッパーテープを袋本体に取り付けて製袋した状態では、収納空間に被包装物が収納された状態で電子レンジや湯煎などで加熱調理できる。加熱料理に際して、収納空間に内圧がかかると、接合強度が一の部分とフィルムとの接合部分に比べて小さな他の部分とフィルムとの接合部分のみがフィルムから剥離し、蒸気抜きされる。つまり、他の部分とフィルムとの接合部分において、蒸気抜きの孔が形成されることになる。
ここで、接合強度とは、接合する2材を分離(剥離)するのに必要な力をいい、例えば、互いに接合されている2材のそれぞれを互いに離れるように引っ張った場合の引張力の大きさをいう。フィルムと帯状基部との接合強度とは、フィルムと帯状基部とを分離するのに必要な力をいう。
一の部分とフィルムとの接合部分と他の部分とフィルムとの接合部分との接合強度を異ならせるために、一の部分と他の部分との樹脂を代えるなどの方法を採用できる。この場合、他の部分の樹脂は一の部分の樹脂よりも、前記フィルムの樹脂に対する相溶性が悪い樹脂を用いることで、一の部分とフィルムとの接合部分における接合強度は、他の部分とフィルムとの接合部分における接合強度よりも高くなることが期待できる。また、一の部分を構成する樹脂と帯状基部の表層を構成する樹脂とを同じにしてもよく、一の部分を構成する樹脂と帯状基部を構成する樹脂とを異なるものとしてもよい。
一の部分と他の部分とを帯状基部に形成するには、例えば、帯状基部の係合部が連設される面とは反対側の面で、帯状基部の長手方向と直交する幅方向の一縁より係合部の位置までの間に、一の部分と他の部分とを積層形成したり、一の部分および他の部分の表面と帯状基部の係合部が連設される面とは反対側の表面とが一平面状となるように、一の部分、他の部分、および帯状基部に係る樹脂等を押出し成型等することにより、一体的に形成したりするなどの方法により設けることができる。
【0008】
さらに、本発明の一態様では、前記一対の帯状基部のうちいずれか一方の帯状基部は、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において、前記係合部が係合された状態で、前記係合部が設けられた位置に対して前記一の部分および他の部分が設けられた側とは反対側の端部が、他方の帯状基部より長く形成された延長部を有し、前記延長部には、前記係合部が設けられた側の面と同じ面に、長手方向に沿って帯状に設けられ前記フィルムと接合し得るシール可能部分が設けられ、前記シール可能部分は、前記一の部分での前記帯状基部と前記フィルムとの接合強度よりも低い接合強度で前記フィルムに接合し得る構成とすることもできる。
この一態様では、一対の帯状基部のうちいずれか一方の帯状基部に延長部を設け、延長部に設けられたシール可能部分において、一の部分における帯状基部のフィルムに対する接合強度よりも低い接合強度でフィルムに接合して第二領域が形成され得る。本発明のジッパーテープを袋本体に係るフィルムに接合させて袋本体を製造する際に、シール可能部分において、延長部を前記フィルムに接合させて第二領域を形成させ得る。
なお、延長部が設けられる帯状基部は、前記一の部分および他の部分を有する帯状基部でもよく、あるいは、前記一の部分および他の部分が設けられていない帯状基部でもよい。
したがって、ジッパーテープを袋本体に取り付けて製袋した状態では、袋本体の開口縁のうち、2か所を両手で持って係合部の係合を解除させた後、さらに両手を離間させる方向に袋体に力を加えると、シール可能部分が袋本体を構成するフィルムから容易に剥離されることになる。
さらに、延長部は、シール可能部分を形成することができれば、一対の帯状基部のうち、いずれに設けられていてもよいが、一の部分および他の部分を有する帯状基部に設けられていた場合、シール可能部分と袋本体を構成するフィルムとを剥離させなくとも、他の部分とフィルムとの接合部分を剥離させることで、蒸気抜き孔を形成することができる。
【0009】
本発明の一態様では、前記一対の帯状基部のうちいずれか一方の帯状基部は、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において、前記係合部が係合された状態で、前記係合部が設けられた位置に対して前記一の部分および他の部分が設けられた側とは反対側の端部が、他方の帯状基部より長く形成された延長部を有し、前記延長部には、当該延長部を前記幅方向で切断可能な切断部が、前記帯状基部の長手方向に沿って設けられ、前記延長部の、前記切断部の前記係合部の位置と反対側に、前記フィルムに接合し得る接合可能域が設けられている構成とすることもできる。
この一態様では、一対の帯状基部のうち、いずれか一方の帯状基部に延長部を設け、延長部に切断部を設け、延長部に接合可能域を設けている。接合可能域がフィルムに接合することで、接合領域が形成され得る。本発明のジッパーテープを袋本体に係るフィルムに接合させて袋本体を製造する際に、接合可能域において、延長部を前記フィルムに接合させて接合領域を形成させ得る。
延長部の接合可能域におけるフィルムとの接合強度は、他の部分におけるフィルムとの接合強度より高く、袋体の収納空間での内圧の増大では剥離しない強度である。
切断部は、例えば他の部分に比べて薄肉、欠落、破線状の孔である目打ちなどの他、他の部分より柔らかく切断しやすい部材にて形成したものなど、その部分で延長部を切断可能に剛性が弱められた部分である。
切断部は、内圧の増大では切断しないものの、作業者が係合部の係合を解除して開封する際、切断可能な強度に設定される。
したがって、ジッパーテープを袋本体に取り付けて製袋した状態では、袋本体の開口縁の2か所を両手で持って係合部の係合を解除させた後、さらに両手を離間させる方向に袋体に力を加えると、延長部が切断部で切断されて袋本体から容易に剥離されることになる。そのため、本態様では、延長部が切断される設計が可能となる。
なお、延長部は、接合可能域を形成することができれば、一対の帯状基部のうち、いずれに設けられていてもよい。
【0010】
本発明の一態様では、前記係合部は、雄部および雌部を有し、前記一の部分および他の部分は、前記雌部が連設する帯状基部に設けられる構成とすることができる。
この一態様では、雌部が設けられた帯状基部を袋本体に取り付ける際に、幅方向の第一領域が設けられ得る側のみを取り付けるいわゆる片側外しの状態とすることができる。
これにより、本発明のジッパーテープを用いた袋体において、袋本体内の圧力が上昇しても前記内圧が係合部に集中することを防止し、係合部の係合が解除することを防止し、内圧が第一領域に集中することが期待できる。
【0011】
本発明の一態様では、前記一の部分は、ポリプロピレンにより形成され、前記他の部分は、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合層により形成されている構成とすることができる。
この一態様では、袋本体のフィルムのうち少なくとも帯状基部に接合される側の部分がポリプロピレンから形成された場合、一の部分をポリプロピレンにより形成することで、一の部分とフィルムとの接合強度が高くなり得る。他の部分をポリエチレンとポリプロピレンとの混合層から形成することで、他の部分とフィルムとの接合強度が一の部分とフィルムとの接合強度よりも低くなり得る。そのため、収納空間に内圧がかかると、接合強度が一の部分とフィルムとの接合部分に比べて小さな他の部分とフィルムとの接合部分のみがフィルムから剥離することになる。
ここで、他の部分とフィルムの接合強度はポリエチレンとポリプロピレンとの混合割合を調整することで調整可能である。
【0012】
本発明の一態様では、前記一対の帯状基部は、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において前記係合部の位置に対して前記一の部分および他の部分が設けられた側と反対側において、連結部を介して連結されている構成とすることができる。
この一態様では、一対の帯状部材が連結部を介して互いに連結されているので、被包装物が流動性の高い物質であっても、被包装物の流出を防止することができる。しかも、連結部を切り離すことで、被包装物を容易に取り出すことができる。
ここで、連結部は、一対の帯状部材の端部同士を連結するものである。係合部の係合を解除して袋本体を開封する際に帯状基部は破断されず連結部のみ破断される。連結部のみ破断されるため、例えば、連結部の厚さを帯状基部の厚さより薄くしてもよく、連結部を帯状基部より柔らかな樹脂から形成するものでもよい。
【0013】
本発明の一態様では、前記一対の帯状基部に、前記連結部の長手方向に沿って、それぞれ突起状部が形成されている構成とすることができる。
この一態様では、一対の帯状基部にそれぞれ突起状部を形成することで、連結部と帯状基部との境目が明確になり、突起状部に沿って連結部を容易に切断することができる。
【0014】
本発明の一態様の袋体は、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体であって、前記袋本体の内面に上述のジッパーテープが取り付けられ、前記一の部分および他の部分と前記袋本体とが接合されて第一領域が形成され、前記一の部分と前記袋本体との接合部分と、前記他の部分と前記袋本体との接合部分とは、前記ジッパーテープの帯状基部の長手方向における直線上において重複しない部分を有するものである。
なお、本発明のジッパーテープの、一の部分と他の部分が設けられた帯状基部の、前記一の部分及び他の部分が設けられた側とは反対側の端部は袋本体と接合していない。これにより、袋本体の収納空間の内圧が高まったとき、帯状基部の幅方向に沿って、ジッパーテープの帯状基部同士を剪断させる方向に力が作用する。この剪断させる力により、係合部がより強く係合することが期待され、内圧により係合部の係合が外れることを防止できる。また、内圧は第一領域に集中し、接合強度の低い他の部分と袋本体との接合部分において、帯状基部と袋本体との接合が剥離され、蒸気抜き孔が形成される。
この一態様では、収納空間に被包装物が収納された状態で電子レンジや湯煎などで加熱調理すると、収納空間に内圧がかかるが、一方の帯状基部の一の部分と袋本体との接合強度に対して、他の部分と袋本体との接合強度が小さいので、当該他の部分のみが袋本体から剥離し、蒸気抜きされる。このことにより、内圧がリークされて、被包装物の漏洩や袋本体の破袋などの不都合の防止が可能となる。
ここで、「前記一の部分と前記袋本体との接合部分と、前記他の部分と前記袋本体との接合部分とは、前記ジッパーテープの帯状基部の長手方向における直線上において重複しない」とは、前記他の部分と前記袋本体との接合部分が、前記一の部分と前記袋本体との接合部分と、前記ジッパーテープの長手方向に沿って、少なくとも1以上の重複しない部分を有することをいう。すなわち、前記ジッパーテープの長手方向の少なくとも1箇所以上において、前記他の部分と前記袋本体との接合部分が設けられ、かつ、前記ジッパーテープの幅方向には、前記一の部分と前記袋本体との接合領域が設けられていない。
一方の帯状基部の長手方向に沿った一の部分と袋本体とが接合する部分がない領域の長さの第一領域の長さに対する割合を調整することで、蒸気抜きの孔の大きさを調整できる。本態様では、蒸気抜きされる部分はフィルムとの接合強度が低い他の部分と袋本体との接合部分において、ジッパーテープの帯状基部が袋本体から剥離することにより、形成されるものであり、フィルムとの接合強度が高い一の部分と袋本体との接合部分では、蒸気抜きは形成されない。蒸気抜き孔の大きさを調整することで、電子レンジなどでの加熱具合を調整でき得る。小さな内圧で蒸気抜きをする場合には、他の部分と袋本体とが接合する部分の帯状部材の幅方向に、一の部分と袋本体とが接合する部分がない領域のジッパーテープの長手方向に沿った相対的な長さを短くする。
【0015】
本発明の一態様の袋体は、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体であって、前記袋本体の内面に上述の延長部を有するジッパーテープが取り付けられ、前記一の部分および他の部分と前記袋本体とが接合されて第一領域が形成され、前記一の部分と前記袋本体との接合部分と、前記他の部分と前記袋本体との接合部分とは、前記ジッパーテープの帯状基部の長手方向における直線上において重複しない部分を有し、前記延長部を有する帯状基部は、前記延長部が設けられていない帯状基部が接合する袋体のフィルムに対向する袋体のフィルムに接合されるとともに、前記シール可能部分において、前記延長部が設けられていない帯状基部とは前記ジッパーテープの長手方向に沿って並列状に、前記延長部が設けられていない帯状基部が接合する袋体のフィルムにも接合し、第二領域が形成されているものである。
この一態様の袋体では、延長部に設けられたシール可能部分において、一の部分における帯状基部のフィルムに対する接合強度よりも低い接合強度でフィルムに接合して第二領域が形成される。
そのため、袋体の開口縁の2か所を両手で持って係合部の係合を解除させた後、さらに両手を離間させる方向に袋体に力を加えると、第二領域を構成するシール可能部分が袋本体を構成するフィルムから剥離されて、収納空間が外部空間に開放される。
本態様の袋体では、袋本体の収納空間に収納された被包装物(例えば、スープ、麻婆豆腐の素、などの流動性の食品等)が収納された袋体が係合部と接触する事を防止し、袋体の開封時に被包装物が飛散することの防止が期待できる。また、本態様の袋体は、被包装物を充填後にレトルト殺菌処理をする用途にも好適に使用できる。
ここで、第二領域を構成するシール可能部分と袋本体との接合部分の形状としては、袋体と帯状基部とが接合できる形状であれば、特に限定されないが、例えば、当該接合部分の袋体の開口側の端縁が、前記帯状基部の長手方向に沿った直線または曲線の波形状などの形状とすることができる。
【0016】
本発明の一態様では、前記第二領域の開口側の端縁が前記帯状基部の長手方向に沿って波形状の構成とすることができる。
この一態様では、シール可能部分をフィルムに帯状基部の長手方向に沿って波形状に接合させることで、例えば、袋本体の開口縁を両手で掴んで離間させる方向に袋本体に力を加えると、波形状の部分に力が集中し、比較的に小さい力で第二領域において帯状基部と袋本体のフィルムとが容易に剥離させることが期待できる。さらに、被包装物が収納される収納空間側の波形状の曲率を大きくして内圧強度を強くしたりするなど、接合強度の設定が容易にできる。ここで、波形状とは、曲線状に形成されたものだけでなく、直線状に形成されたものも含む。
【0017】
本発明の一態様では、前記他の部分と前記袋本体とが接合する部分であって、当該接合する部分の前記帯状基部の幅方向には、前記一の部分と前記袋本体とが接合する部分がない領域が複数箇所設けられている構成とすることができる。
この一態様では、他の部分と袋本体とが接合する部分の帯状部材の幅方向に、一の部分と袋本体とが接合する部分がない領域を複数箇所設けることで、例えば収納空間の内圧が増大した際、複数箇所で内圧をリークさせることが可能となり、被包装物に応じて適切な内圧強度に調整することができる。
【0018】
本発明の一態様では、前記一の部分および他の部分では、前記他の部分と前記袋本体とが接合する領域の形状が前記収納空間と反対側から前記収納空間側に、前記帯状基部の長手方向において、少なくとも1以上の箇所で、凸状に突出して形成されている構成としてもよい。
この一態様では、他の部分と袋本体とが接合する領域の形状が凸状となっているため、袋本体の収納空間の内圧が向上したときは、凸状の部分に内圧が集中し、他の部分と袋本体とが容易に剥離し、蒸気抜き孔を形成することが期待できる。
さらに、凸状が形成される領域において、帯状基部の幅方向においては、一の部分と袋本体とが接合しないようにすることで、当該凸状が形成される領域において、蒸気抜き孔を好適に形成することが期待できる。
ここで、凸状とは、突出する形状ではあれば特に限定されるものではなく、例えば、平面視で、三角、四角等の多角形状や円形状等が含まれる。
【0019】
本発明の一態様では、前記袋本体は、対向する一対の平面部と、底面部とを有する袋としてもよい。
この一態様では、袋本体を上記形態とすることで、収納空間に被包装物を収納した状態で、袋体を立たせることが期待できる。そのため、係合部を離脱して袋体を開封した状態では、袋体が転倒することにより、被包装物が袋体から漏洩することがない。そして、袋体に収納された流動性の食品などからなる被包装物を電子レンジで加熱する際に、電子レンジのターンテーブルの上で袋体を立たせることができるので、袋体を開封した状態あるいは一度開封した袋体の封止が十分ではない状態であっても、袋体がターンテーブル上で倒れることが少なく、被包装物が誤って漏洩することが少ない。
【0020】
本発明の一態様では、前記袋本体は、対向する一対の平面部と、前記平面部の両側縁において前記平面部に介在する一対の側面部および底面部とを備え、前記側面部および前記底面部がそれぞれ折り線により内方に折り込まれるガゼット袋としてもよい。
この一態様では、袋本体をガゼット袋とすることで、上記形態の袋と同様に、収納空間に被包装物を収納した状態で、袋体を立たせることができる。
【0021】
本発明の一態様では、前記ジッパーテープの、前記一の部分および他の部分と前記袋本体との接合部分が設けられた側と、前記係合部に対し反対側の端部は、前記袋本体と接合されていない構成としてもよい。
この一態様では、ジッパーテープが袋本体に対して、いわゆる片側外しの形状とすることで、内圧が、ジッパーテープの係合部ではなく他の部分と袋本体との接合された領域に集中するため、他の部分と袋本体との接合する領域において、蒸気抜き孔を好適に形成することができる。
【0022】
本発明の一態様では、前記袋本体における前記収納空間の前記一対の帯状基部を挟んだ反対側の端縁は接合されていない構成としてもよい。
この一態様では、係合部を離脱させて袋本体の接合されていない端縁から好みの被包装物を収納空間に収納し、電子レンジを用いて被包装物を加熱することができる。食品メーカーなどが予め食品を収納空間に収納させた袋体を電子レンジで加熱するのではなく、袋体の購入者が自分の好きな食品を袋体の収納空間に収納し、ジッパーテープで封止した状態で電子レンジなどを用いて加熱調理することが可能となる。
つまり、袋本体の端縁がシールされていない袋体は、調理器具として用いることができる。
【0023】
本発明の一態様の袋体の製造方法は、被包装物を収納可能な収納空間を有しフィルムから製袋される袋本体と、前記袋本体の内面にそれぞれ接合される一対の帯状基部、および前記帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部を備えたジッパーテープと、を具備した袋体を製造する製造方法であって、前記一対の帯状基部のうちのいずれか一方に、前記係合部が連設される面とは反対側の面で、前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向の一縁より前記係合部の位置までの間に、前記フィルムと前記ジッパーテープとが接合し得る際の接合強度が異なる少なくとも2以上の部分を形成し、前記一対の帯状基部のうちいずれか一方の前記帯状基部の長手方向と直交する幅方向において前記係合部より前記袋本体の収納空間側とは反対側のみを、前記フィルムに接合して前記2以上の部分のうち一の部分の前記フィルムとの接合強度が前記他の部分の前記フィルムとの接合強度よりも高くするものである。
この一態様では、帯状基部を部分的にフィルムから剥離する方法を簡単な構成で得られる。
ここで、「前記フィルムに接合して前記2以上の部分のうち一の部分の前記フィルムとの接合強度を前記他の部分の前記フィルムとの接合強度よりも高くする」には、例えば、一の部分と他の部分との樹脂の種類を代えることで実現できる。例えば、一の部分を、例えば、ポリプロピレンから形成し、他の部分を、例えば、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合層により形成する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一実施形態に係る袋体を示す平面図。
図2図4BにおけるII-II断面図。
図3図4BにおけるIII-III断面図。
図4A】ジッパーテープのうち雄部材のヒートシール部を示す平面図。
図4B】ジッパーテープのうち雌部材のヒートシール部を示す平面図。
図5A】ジッパーテープの雄部材をシールする雄側シールバーの図。
図5B】ジッパーテープの雌部材をシールする雌側シールバーの図。
図6】袋体の内圧が作用した状態を示す断面図。
図7A】袋体の内圧をリークしている状態を示すもので、中心部での断面図。
図7B】袋体の内圧をリークしている状態を示すもので、雌部材のヒートシール部を示す平面図。
図8】本発明の第二実施形態に係る袋体を示す平面図。
図9】第二実施形態に係る袋体の要部を示す断面図。
図10】第二実施形態に係る袋体を用いて調理をする手順を説明する図。
図11】本発明の第三実施形態に係る袋体の要部を示す断面図。
図12A】本発明の第四実施形態に係る袋体の要部を示す断面図。
図12B】第四実施形態のジッパーテープを展開した状態を示す図。
図13】本発明の変形例に係る袋体の要部を示す断面図。
図14】本発明のさらに他の変形例に係る袋体の要部を示す平面図。
図15】本発明のさらに他の変形例に係る袋体の要部を示す平面図。
図16】本発明の他の実施形態に係る雌側シールバーを示す図。
図17A】本発明のさらに他の実施形態に係る雌側シールバーのうち第一シールバーを示す図。
図17B】本発明のさらに他の実施形態に係る雌側シールバーのうち第二シールバーを示す図。
図18】本発明のさらに他の実施形態に係る袋体の一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る袋体について図面に基づいて説明する。
本実施形態では、袋体として、加熱調理用の包装袋を例示するがこの限りではなく、食品、薬品、医療品、文具、雑貨などの各種物品を包装する各包装袋を例示できる。
<第一実施形態>
図1から図7Bには本発明の第一実施形態が示されている。
[袋体の構成]
図1には、袋体の平面が示されている。図2には、図4BにおけるII-IIの位置での断面が示されている。図3には、図4BにおけるIII-IIIの位置での断面が示されている。図4Aには、袋体のジッパーテープのヒートシール部で、雄部材のヒートシール部を示す平面が示され、図4Bには、雌部材のヒートシール部を示す平面が示されている。
図1から図3において、袋体1は、例えば三方製袋方法により形成され、平面視で矩形状とされ図示しない被包装物を収納可能な袋本体10と、袋本体10の内面に、接合である取り付け、例えばヒートシールされたジッパーテープ20と、を備えている。
【0026】
(袋本体の構成)
袋本体10は、フィルム11A,11B(図1では、11Aのみ示す)が重ね合わされ、その周縁に一対のサイドシール部12、トップシール部13およびボトムシール部14が形成されている。
そして、袋本体10は、サイドシール部12、トップシール部13およびボトムシール部14により、内部に被包装物が収納される収納空間10Cが区画形成される。
【0027】
この袋本体10の対向するフィルム11A,11Bに、ジッパーテープ20が取り付けられている。
なお、袋本体10のサイドシール部12のうち、ジッパーテープ20の長手方向の両端は、平坦化された図示しないポイントシール部とされている。
また、袋本体10には、ジッパーテープ20の長手方向の両端と、袋本体10のサイドシール部12の周縁とが交差する位置と、トップシール部13とサイドシール部12の周縁とが交差する位置との間に、ノッチ17が切り込み形成されている。
【0028】
フィルム11A,11Bとしては、例えば、(直鎖状)低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene:LLDPE)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)などの熱可塑性樹脂にて形成された単層または多層のフィルムを利用できる。多層のフィルムとしては、表基材に、二軸延伸したポリプロピレン(Oriented Polypropylene:OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、二軸延伸ナイロン(ONy)、キャストポリプロピレン(Cast Polypropylene:CPP)などを用いることができる。なお、多層フィルムとして、いわゆるガスバリアーや遮光などの目的で、アルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層など、無機系の層を備えた構成としてもよい。
また、フィルム11A,11Bは、包装袋用材料であれば特に限定されないが、例えば厚み寸法が10μm以上200μm以下であることが好ましい。厚み寸法が10μm未満であると、シール強度、袋強度が弱くなる場合がある。一方、厚み寸法が200μmを超えると、袋強度が強くなって屈曲しにくくなり、開封しにくくなる場合がある。
【0029】
(ジッパーテープの構成)
ジッパーテープ20の詳細な構成が図2図3図4Aおよび図4Bに示されている。
図2および図3に示すように、ジッパーテープ20は、互いに係脱可能とされた雄部材21と、雌部材22とを備えている。
雄部材21と雌部材22とは、フィルム11A、11Bの対向する内面にそれぞれヒートシールや接着などの適宜な方法で接合されている。
【0030】
雄部材21は、袋本体10の内面に接合、例えばヒートシールされる雄側帯状基部21Aと、雄側帯状基部21Aに連続する雄側鉤部としての雄部21Bと、を有する。雄部21Bは、雄側帯状基部21Aの長手方向(図2の紙面貫通方向)に沿って形成されている。
雄部21Bは、収納空間10C側とは反対側に突出する第一雄側爪21B1と、この第一雄側爪21B1とは反対側に突出する第二雄側爪21B2と、を有している。
第一雄側爪21B1は、雄側帯状基部21Aに対向する開口側斜面21B3を有し、この開口側斜面21B3の接線21B4と、雄側帯状基部21Aの垂線21B5とのなす角αが、90°より大きい角度の断面山形形状に形成されている。
一方、第二雄側爪21B2は、雄側帯状基部21Aに対向する収納側斜面21B6を有し、収納側斜面21B6の接線21B7と、雄側帯状基部21Aの垂線21B5とのなす角βが、90°より小さい角度の断面鉤形状に形成されている。
ここで、接線21B4は、開口側斜面21B3が平面であればその平面の接線であり、湾曲する面であれば、変曲点Sを通る接線である。接線21B7についても同様である。
【0031】
そして、雄部材21は、図2および図4Aに示すように、一対の雄側シール部21Dにより、袋本体10に取り付けられている。一対の雄側シール部21Dは、雄側帯状基部21Aの係合部23に対応する部分を除いた幅方向の両側部分が、袋本体10の一方のフィルム11A(11B)に接合、例えばヒートシールされて形成される。
【0032】
雌部材22は、袋本体10の内面に接合、例えばヒートシールされる雌側帯状基部22Aと、雌側帯状基部22Aから突出して設けられ、雄部21Bと係脱可能な雌側鉤部としての雌部22Bと、を有する。雌部22Bは、雌側帯状基部22Aの長手方向(図2の紙面貫通方向)に沿って形成されている。
雌部22Bは、第一雄側爪21B1が係合可能な第一雌側爪22B1と、第二雄側爪21B2が係合可能な第二雌側爪22B2と、が対向するように形成されている。
そして、ジッパーテープ20は、雄部21Bと雌部22Bとにより、係脱可能な係合部23が構成される。
【0033】
また、雌部材22には、雌部22Bが連設された面とは反対側の面に、雌側帯状基部22Aの長手方向に沿って一の部分S1を含むタイトシール層22C1と、他の部分S2含むイージーピール層22C2とがそれぞれ設けられている。タイトシール層22C1は、雌側帯状基部22Aの幅方向で、収納空間10Cとは反対側の一縁から雌部22B側の所定位置Mまでの間の領域に帯状に設けられる。イージーピール層22C2は、雌側帯状基部22Aの幅方向で、収納空間10Cとは反対側の一縁より雌部22B側の所定位置Mから、雌部22Bの位置Nまでの間の領域に帯状に設けられる。なお、図2および図3は、説明の都合上、袋本体10と接合される面が一平面状となるように記載したが、一平面状の雌側帯状基部22Aにタイトシール層22C1とイージーピール層22C2とを積層形成してもよい。
【0034】
イージーピール層22C2は、ヒートシールされるフィルム11B(11A)との剥離強度が、概ね1~20N/15mm幅程度であることが好ましく、特に1~15N/15mm幅程度が好ましい。なお、イージーピール層22C2とフィルム11B(11A)との剥離は、例えば層間剥離や凝集剥離など、袋体1の用途などに応じて適宜設定される。
タイトシール層22C1は、ヒートシールされるフィルム11B(11A)との接合強度がイージーピール層22C2のフィルム11B(11A)との接合強度より高い。
タイトシール層22C1およびイージーピール層22C2と雌部材22とを、例えば共押出成形法により一体化して得ることができる。
つまり、タイトシール層22C1の一部を構成する一の部分S1のフィルムと11B(11A)の接合強度は、イージーピール層22C2の一部を構成する他の部分S2のフィルム11B(11A)との接合強度よりも高くなり得る。
【0035】
そして、雌部材22は、図2図3および図4Bに示すように、一の部分S1および他の部分S2がフィルム11Bと接合して形成される第一領域22Dのみにより、袋本体10にいわゆる片側外しの状態で取り付けられている。一の部分S1と他の部分S2とから第一領域22Dが形成され得る領域S0が構成される。
第一領域22Dは、雌側帯状基部22Aの幅方向における係合部23の位置より、袋本体10の収納空間10Cとは反対側である一縁側のみが、袋本体10の一方のフィルム11B(11A)に接合、例えばヒートシールされて形成される。
第一領域22Dは、雌側帯状基部22Aの幅方向における所定位置Mより一縁側にある一の部分S1がフィルム11Bにシールされた第一接合部22D1と、第一接合部22D1から収納空間10C側に突出するようにイージーピール層22C2の一部を構成する他の部分S2がフィルム11Bにシールされた第二接合部22D2とから構成されている。
【0036】
第一接合部22D1は、第二接合部22D2を挟んで配置されており、それぞれ、タイトシール層22C1の上であってタイトシール層22C1とイージーピール層22C2との境界部分に沿って所定幅の直線状に形成されている。
第二接合部22D2は、収納空間10C側へ凸状に突出したV字状に形成されている。この凸状の先端部分から容易にフィルム11Bから剥離可能とされている。凸状とは、先鋭状をいい、具体的には平面視で三角形状に突出するように形成されている。
他の部分S2とフィルム11Bとが接合する部分であって、雌側帯状基部22Aの幅方向には、一の部分S1とフィルム11Bとが接合する部分がない領域が他の部分S2を挟んで合計2箇所設けられている。
一の部分S1のうち他の部分S2とつながる端部の領域は平面視で三角形状に形成される。この三角形状の領域が他の部分S2の端部とつながる領域である。本実施形態では、一の部分S1の他の部分S2とつながる領域は、雌側帯状基部22Aの幅方向において他の部分S2と重なることになるが、本態様では、当該つながる領域を除いて、一の部分と袋本体とが接合する部分がない。つまり、一の部分S1とフィルム11Bとが接合された第一接合部22D1と、他の部分S2とフィルム11Bとが接合された第二接合部22D2とは、雌側帯状基部22Aの長手方向における直線上において重複しない。
第一実施形態では、タイトシール層22C1の平面形状を一の部分S1の形状と一致させてもよく、イージーピール層22C2の平面形状を他の部分S2の形状と一致させてもよい。ただし、図4Bに示すように、タイトシール層22C1の平面形状を一の部分S1の平面形状より大きくし、イージーピール層22C2の平面形状を他の部分S2の形状より大きくすれば、後述するシールバーでフィルム11Bにシールする際に、多少の位置ずれがあっても、第一領域22Dを確実に形成することができる。
【0037】
ジッパーテープ20は、例えばポリオレフィン系樹脂を用いて形成されている。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(H-PP)、ブロックポリプロピレン(B-PP)、ランダムポリプロピレン(R-PP)、プロピレン-エチレン-ブテン1ランダム三元共重合体などが利用できる。
なお、ランダムポリプロピレン(RPP)を使用する場合にあっては、このRPPのメルトフローレート(MFR)は、0.5~20g/10分であることが好ましく、1~15g/10分であることが特に好ましい。ランダムポリプロピレンのMFRが0.5g/10分より小さいと、雄部材21および雌部材22を連続して一体的に形成する際、係合部23の押出成形性が悪くなる場合がある。一方、MFRが20g/10分より大きいと、雌部材22の第一雌側爪22B1および第二雌側爪22B2の先端が閉じやすくなったり、雄部材21の雄部21Bが倒れやすくなったりして、再開閉可能な所定の形状に押し出すことが困難になるおそれがある。
【0038】
一の部分S1を含むタイトシール層22C1は、例えば、ポリプロピレンから形成される。
他の部分S2を含むイージーピール層22C2は、例えば、ポリエチレン、または、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合層により形成される。具体的には、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)あるいは低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)との混合物、低密度ポリエチレン(LDPE)とポリプロピレンとの混合物などにより、層状に形成される。
【0039】
そして、ポリプロピレンの割合は、適度な剥離強度を確保できる点で、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、特に20質量%以上60質量%以下が好ましい。すなわち、ポリプロピレンの混合割合を、例えば10質量%程度に少なくすると、レトルト処理後の剥離強度が大幅に低下してしまうが、前記の混合割合にすればその低下を抑えることができる。
なお、タイトシール層22C1の樹脂を雌部材22の樹脂と同じにすることができる。
タイトシール層22C1を構成する樹脂と雌部材22を構成する樹脂とを異なるものとする場合、タイトシール層22C1は、雌部材22の樹脂よりも融点の低い樹脂を用いるのが好ましい。
【0040】
[袋体の製造]
次に、袋体1を製造する装置および方法を説明する。
まず、被包装物を収納する前の袋体を製造する方法について説明する。
ここでは、ジッパーテープ20が取り付けられたフィルム11A,11Bに、サイドシール部12およびトップシール部13を設け、ボトム側の投入口から被包装物を投入し、ボトムシール部14を設けて被包装物を収納した袋体1を形成する方法を例示する。なお、ボトム側の投入口から被包装物を投入する形態に限定されるものではなく、製袋方法は、後述する三方製袋方法に限らず、種々の方法を採用することができる。
袋体1を製造する製造装置は、例えば、図示しない三方製袋機を用いることができる。三方製袋機は、フィルム11A,11Bを供給するフィルム部と、ジッパーテープ20を供給するテープ供給部と、ジッパーテープ20をフィルム11A,11Bに取り付けるテープ取付部と、フィルム11A,11Bにサイドシール部12およびトップシール部13を形成して製袋する製袋部と、を備える。第一実施形態では、テープ取付部に特徴があるものであり、他の構成は従来の構成を採用することができる。
テープ取付部には図5Aおよび図5Bに示されるシールバーを備える。
図5Aは雄部材をヒートシールする雄側シールバーが示され、図5Bは雌部材をヒートシールする雌側シールバーが示されている。
【0041】
図5Aに示すように、雄側帯状基部21Aをヒートシールする一対のシールバーのうちの一方は、矩形状の雄側台座部51Aと、雄側台座部51Aの一面に設けられ、雄側シール部21Dを形成する一対の直線状の雄側凸部51Bとを備えた雄側シールバー51である。一対の雄側凸部51Bは、雄側帯状基部21Aにおける係合部23に対応する部分を除く幅方向の両端部分を押圧可能に設けられている。
図5Bに示すように、雌側帯状基部22Aをヒートシールする一対のシールバーのうちの一方は、矩形状の雌側台座部52Aと、雌側台座部52Aの一面に設けられ、第一領域22Dを形成する雌側凸部52Bと、抑え部52Cと、を備えた雌側シールバー52である。
雌側凸部52Bは、雌側帯状基部22Aの幅方向におけるイージーピール層22C2が設けられた側に当接するように設けられている。具体的には、雌側凸部52Bは、第一接合部22D1を形成する直線部としての直線状部52B1と、第二接合部22D2を形成する異形部としての平面視V字状の先鋭部52B2とを備えている。先鋭部52B2間に位置する直線状部52B1の長さ寸法は、袋体1におけるサイドシール部12の一縁から第二接合部22D2までの距離の2倍に設定されている。
【0042】
抑え部52Cは、雌側帯状基部22Aの幅方向におけるイージーピール層22C2が設けられた側とは反対側に当接し、ヒートシールする際に、雌側凸部52Bにて雌側帯状基部22Aの係合部23の両側に均等に圧力が作用するようになっている。具体的には、抑え部52Cは、直線状部52B1と平行に設けられた直線状に形成されている。この抑え部52Cは、雌側帯状基部22Aの接合に寄与しないため、例えばエポキシガラスなどの耐熱性樹脂にて形成される。なお、雌側シールバー52は、抑え部52Cのみ耐熱性樹脂などにて形成する場合に限らず、例えば雌側台座部52Aの半分から抑え部52C側を耐熱性樹脂にて形成するなど、適宜設計される。
雌側シールバー52は、直線状部52B1と先鋭部52B2とを一サイクル、すなわち先鋭部52B2と、先鋭部52B2の両側にそれぞれ連続する直線状部52B1の半分ずつとにより、第一領域22Dを形成する。つまり、雌側帯状基部22Aに設けられたタイトシール層22C1のうち一の部分S1に直線状部52B1が当たると、第一接合部22D1が形成され、イージーピール層22C2のうち他の部分S2に先鋭部52B2が当たると、第二接合部22D2が形成されることになる。
【0043】
以上の装置を用いて袋体1を製造するには、まず、フィルム11A,11Bを供給するフィルム供給工程を実施し、ジッパーテープ20を供給するテープ供給工程を実施し、雄部材21および雌部材22を、フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールするテープ取付工程を実施し、フィルム11A,11Bからジッパーテープ付袋を形成させる製袋工程を実施する。
フィルム供給工程では、フィルム11A,11Bが重ね合わされた状態で下流側に送り出される。
テープ供給工程では、雄部21Bおよび雌部22Bが係合されたジッパーテープ20が、フィルム11A,11B間に送り出される。
なお、テープ供給工程で送り出されるジッパーテープ20は、予め、雄部材21および雌部材22がそれぞれ押出成形されている。雌部材22の押出成形にあたり、タイトシール層22C1およびイージーピール層22C2が雌側帯状基部22Aと一体となって形成される。
【0044】
テープ取付工程では、図5Aおよび図5Bに示されるシールバーを用いる。
雄部材21および雌部材22を、一方のフィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールする。
このヒートシールの際、フィルム11A,11Bと、フィルム11A,11Bの内面に配置された雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aとを、それぞれ間に挟んで対向配置される二対のシールバーが用いられる。これらシールバーは、互いに近接離間可能とされ、互いに近接することで、雄側帯状基部21Aおよびフィルム11A(11B)、あるいは雌側帯状基部22Aおよびフィルム11B(11A)をヒートシールする。
ここで、雌側帯状基部22Aとフィルム11Bとがシールバーで接合されると、雌側帯状基部22Aの一の部分S1および他の部分S2がフィルム11Bと接合されて第一領域22Dが形成される。
【0045】
そして、製袋工程では、テープ取付工程で雄部材21および雌部材22が取り付けられたフィルム11A,11Bに、トップシールバーによりトップシール部13を形成した後、サイドシールバーによりサイドシール部12を一対形成し、ジッパーテープ20が取り付けられた袋本体10を製袋する。
そして、ジッパーテープ20が取り付けられた袋本体10は、次工程の充填工程により、開口する図示しない投入口から被包装物が投入された後、投入口の縁に、ボトムシール部14が設けられて投入口が封止される。この充填工程により、被包装物を収納した袋体1が得られる。
【0046】
{袋体の使用}
次に、袋体1の使用状況を、図面を参照して説明する。第一実施形態では、収納空間10Cに予め食品などの被包装物が収納された袋体1を使用する例について説明する。
図6には、袋体の内圧が作用した状態の断面が示されている。図7Aおよび図7Bは、袋体の内圧がリークしている状態を示し、図7Aには第二接合部22D2での断面、図7Bには雌部材の平面が示されている。
まず、使用者は、ノッチ17からフィルム11A,11Bを引き裂いて、トップシール部13側を切除する。この状態では、雄部21Bおよび雌部22Bは係合した状態で、収納空間10Cは封止された状態となっている。
この状態で、例えば湯煎や電子レンジなどにより、被包装物を加熱調理する。
【0047】
加熱調理により、内圧が増大し、袋本体10の収納空間10Cが膨れる状態となる。収納空間10Cが膨れた状態では、第一領域22Dとは反対側の雌側帯状基部22Aが、フィルム11Bと接合していないため、図6の矢印で示すように、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの平面に沿って、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aを剪断させる方向に力が作用する。この剪断させる力により、断面鉤形状の第二雄側爪21B2と第二雌側爪22B2とが強く噛合する状態となる。さらに、内圧は、係合部23のみならず、雌側帯状基部22Aとフィルム11B(11A)との間にも分散して作用することとなる。
【0048】
そして、内圧が増大し続けると、図7Aおよび図7Bに示すように、第一領域22Dの第二接合部22D2がフィルム11Bから剥離し、内圧が剥離した第二接合部22D2を介してリークする。なお、第二接合部22D2が剥離して内圧がリークしている状態では、接合強度が高い第一接合部22D1は袋本体10から剥離しない。
このように、第二接合部22D2からのリークにより、係合部23の係合が解除したり、袋本体10が破裂したりして、被包装物が漏洩してしまうという不都合が生じることを防止できる。
ここで、第二接合部22D2の幅寸法、すなわちジッパーテープ20の長手方向に沿った方向の寸法を適宜設計しておくことで、適度な内圧が掛かった状態で加熱調理ができ、いわゆる蒸らし調理などにも対応できる。
【0049】
そして、加熱調理後は、袋本体10におけるトップシール部13側の切除により形成された開口縁を摘んで広げる。
このことにより、雄部21Bの断面山形形状の第一雄側爪21B1が、雌部材22の第一雌側爪22B1を乗り越えるように移動し、係合部23の係合が比較的に小さい力で解除され、収納空間10Cが容易に開放され、被包装物を取出可能となる。
そして、被包装物を取り出しあるいは収納した後は、再び雄部21Bおよび雌部22Bを係合させることで、袋本体10は再封止される。
【0050】
[第一実施形態の効果]
第一実施形態では、雌側帯状基部22Aの所定位置にイージーピール層22C2を設けたジッパーテープ20を用い、雌側帯状基部22Aのイージーピール層22C2が係合部23に対して収納空間10Cとは反対側となるように配置する。そして、イージーピール層22C2のうち他の部分S2のみをフィルム11Bに接合させて第二接合部22D2を形成するとともに、タイトシール層22C1のうち一の部分S1をフィルム11Bに接合させて第一接合部22D1を形成する。
このことにより、第一領域22Dのうち第二接合部22D2の接合強度を第一接合部22D1の接合強度よりも低くすることが容易にでき、第二接合部22D2のみをフィルム11Bから容易に剥離させることが、簡単な構成で得られる。
特に、加熱調理により収納空間10Cの内圧が増大した際、第二接合部22D2のみがフィルム11Bから剥離して内圧をリークさせることができる。よって、別体構成を設けることなく、ヒートシールする部分を設定する簡単な構成で、不用意に係合部23の係合が解除してしまったり、袋本体10が破袋したりして、被包装物が漏れ出てしまう不都合を防止できる。
また、帯状のイージーピール層22C2を設けた構成としているので、第二接合部22D2の位置や易剥離する領域、箇所などを容易に設定できる。このため、用途に応じた仕様に容易に設計でき、汎用性を向上できる。
【0051】
そして、一の部分S1と他の部分S2とを雌部材22の雌側帯状基部22Aに設けたから、一の部分S1と他の部分S2とを雄部材21に設けた場合に比して、雌部材22の剛性が高いので、前述の効果を奏する袋体1を容易に製造できる。
【0052】
さらに、雌側帯状基部22Aの一の部分S1がポリプロピレンにより形成され、他の部分S2がポリエチレンとポリプロピレンとの混合層により形成されているので、フィルム11A,11Bをポリプロピレンから形成すれば、一の部分S1とフィルム11Bとの接合強度が高くなり、他の部分S2とフィルム11Bとの接合強度が一の部分S1とフィルム11Bとの接合強度よりも低くなり得る。そのため、収納空間10Cに内圧がかかると、他の部分S2とフィルム11Bとの第二接合部22D2のみがフィルム11Bから剥離することになる。
【0053】
そして、断面山形形状の第一雄側爪21B1と、断面鉤形状の第二雄側爪21B2とを有した雄部21Bを備えたジッパーテープ20を用いている。
このため、内圧が増大した際には強く係合し、被包装物が漏れ出ることを防止できるとともに、開封時の係合を解除する際には小さい力で容易に開封解除できる。このように、係合部23の係合を解除する方向、具体的には、開封により形成される開口側からの係合解除、あるいは収納空間10C側からの係合解除で、係合解除力が異なる。したがって、用途に応じた係合解除機能を付与でき、汎用性を向上できる。
【0054】
また、第二接合部22D2を雌部材22の長手方向の中央に設けている。
このため、収納空間10Cの内圧が増大して袋本体10が膨れた際、第二接合部22D2でフィルム11Bから剥離する位置が、収納空間10Cに対して鉛直方向の上方に位置することが可能となる。具体的には、ボトムシール部14が底部となるように湯煎したり、袋本体10のフィルム11A側が底部となるように電子レンジ内に載置して加熱調理した場合、第二接合部22D2は、収納空間10Cに収納された被包装物に対して、鉛直方向で上方に位置する状態となる。このため、第二接合部22D2を介して被包装物が漏れ出ることを防止できる。
このような構成の場合、加熱調理の際、底部側となる位置を利用者が認識できるように、袋本体10に表示などを設けることが好ましい。
なお、第一実施形態では、中央に設ける場合に限られるものではない。
【0055】
さらに、第二接合部22D2を係合部23側に先端が向くように凸状に形成している。
このため、係合部23側で接合強度が弱くなる構成が容易に得られる。したがって、第二接合部22D2を係合部23側から剥離しやすくなり、収納空間10Cの内圧が増大した際、第二接合部22D2から適切に剥離でき、適切に内圧をリークさせることができる。第二接合部22D2の先端側にしたがって幅寸法が狭くなるようにしている。このため、第二接合部22D2の係合部23側にしたがって接合強度が次第に弱くなる構成が容易に得られる。
【0056】
また、第二接合部22D2が第一接合部22D1に連続する構成としているため、被包装物が液状物を含む場合でも、第二接合部22D2が剥離する前は液密性が確保でき、被包装物の漏れを防止できる。
さらに、第二接合部22D2の幅寸法を適宜設計することで、例えば適度な内圧が掛かった状態で加熱調理ができ、いわゆる蒸らし調理などにも対応できることから、被包装物に応じてリークさせる圧力を設定でき、汎用性を向上できる。
【0057】
そして、直線状部52B1および先鋭部52B2を交互に一連に設けた雌側シールバー52を用い、一の部分S1および他の部分S2とフィルム11Bとを接合して第一領域22Dを形成している。
このため、第一領域22Dのうち他の部分S2とフィルム11Bとの接合部分のみが剥離しやすい構成を容易に得られる。
【0058】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を図8から図10に基づいて説明する。なお、第二実施形態以下の実施形態および変形例の説明において、第一実施形態と同一構成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にする。
第二実施形態は、袋本体10の構成および液密性を高めたジッパーテープ20の構成が第一実施形態と異なるもので、他の構成は第一実施形態と同じである。
図8は袋体1の平面を示し、図9は袋体1の要部の断面を示す。
図8および図9において、第二実施形態の袋体1は、ガゼット袋からなる袋本体10と、袋本体10に取り付けられたジッパーテープ20とを備える。
袋本体10は、対向する一対の平面部100と、平面部100の両側縁において平面部100に介在する一対の側面部101および底面部102とを備えている。側面部101および底面部102は、それぞれ折り線により内方に折り込まれている。なお、図10では、側面部101および底面部102の図示が省略されている。
【0059】
ジッパーテープ20は、雄部材21および雌部材22を有する。雌部材22の雌側帯状基部22Aは、係合部23に対してイージーピール層22C2とは反対側、つまり、収納空間10C側へ、雄側帯状基部21Aの一縁よりも延長された延長部22Eを有する。
延長部22Eは、雌側帯状基部22Aの幅方向に延びて形成されている。延長部22Eは、雄側帯状基部21Aと袋本体10に接合されている。
延長部22Eには、雄側帯状基部21Aの一縁よりも延長された領域に、第二のイージーピール層22Fが雌側帯状基部22Aの長手方向に沿った帯状に設けられている。第二のイージーピール層22Fの一部はフィルム11Aと接合し得るシール可能部分SGである。シール可能部分SGは、雌側帯状基部22Aの一の部分S1とフィルム11Bとの接合強度よりも低い接合強度でフィルム11Aに接合し得る。シール可能部分SGは、作業者が係合部23の係合を解除して開封する際、延長部22Eとフィルム11Aとが剥離できる接合強度に設定される。
第二のイージーピール層22Fは、雄側帯状基部21Aの係合部23から一縁までの距離より、雌側帯状基部22Aの係合部23からの距離が長くなる位置Wから、延長部22Eにおける収納空間10C側の一縁までの領域に設けられている。
【0060】
ジッパーテープ20は、雄部材21が雄側シール部21Dでフィルム11Aに接合されるとともに、雌部材22の延長部22Eのシール可能部分SGがフィルム11Aと接合されて第二領域22Gとなる。
シール可能部分SGにおいて、フィルム11Aと延長部22Eとの接合部分の端縁が、雌側帯状基部22Aの長手方向に沿って波形状にフィルム11Aに接合されている。
【0061】
シール可能部分SGの波形状の波形などの形状を適宜設定することで、フィルム11Aとの接合強度の調整が容易にできる。具体的には、図9に示すように、第二領域22Gとなり得るシール可能部分SGを、収納空間10C側の波形22G1の曲率半径を大きくし、係合部23側の波形22G2の曲率半径を小さくした波形状としてフィルム11Aに接合する。この構成では、曲率半径の大きい波形22G2からはフィルム11Aとは剥離しにくく、曲率半径の小さい波形22G2からはフィルム11Aとは剥離しやすくなる。このため、収納空間10C側の内圧では剥離しにくく、利用者が係合部23の解除とともにフィルム11Aとシール可能部分SGを剥離する場合には、比較的小さな力で容易に剥離できることとなる。
なお、波形状としては、正弦波などの対照的な形状でもよい。また、シール可能部分SGは、波形状に限らず、直線状、傾斜線状、鋸歯状など、各種形状としてフィルム11Aに接合して第二領域22Gを形成し得る。
【0062】
袋体1では、内圧が増大した際には、図1から図7に示す第一実施形態と同様に、第二接合部22D2がフィルム11Bから剥離して内圧がリークされる。この際、第二領域22Gでは、フィルム11Aからの剥離が生じない。このことにより、係合部23は、収納空間10Cとは延長部22Eにより隔離された状態が維持されている。したがって、内圧が増大した際に、係合部23から被包装物が漏れ出ることを防止できる。
【0063】
次に、第二実施形態の袋体1の使用例を、図10を参照して説明する。
第二実施形態では、袋体1を用いて調理する例を説明する。
図10に示すように、使用者は、収納空間10Cに予め被包装物、例えば、スープ、麻婆豆腐の素、などの流動性の食品P1が収納された袋体1を用意する。食品P1は、袋本体10に充填した後に、レトルト殺菌処理がされていてもよい。そして、ノッチ17から袋本体10を切断して開口を形成する。袋本体10の開口縁を両手で摘んで広げると、雄部材21と雌部材22との係合が解除される。さらに、袋本体10の開口縁を広げて、第二領域22Gをフィルム11Aから剥離させると、収納空間10Cが外部空間に開放される。
【0064】
収納空間10Cが開放されたら、別途用意した被包装物、例えば、スープの具、豆腐などの食品P2を袋本体10の開口から収納空間10Cに投入する。収納空間10Cに食品P1,P2が収納された袋体1を電子レンジLに入れ、加熱調理する。この際、袋体1は、電子レンジLのターンテーブルの上に立てておく。
電子レンジLで加熱される袋体1では、内圧が作用することがあるが、袋体1の内圧は第一実施形態と同様にリークされる。
【0065】
第二実施形態における袋体の製造装置および製造方法は、延長部22Eをフィルム11Aに接合する構成が付加される他、第一実施形態と同じである。
第三実施形態によれば、第一実施形態の効果の他、延長部22Eにおける第二領域22Gにより、内圧がリークする前では、収納空間10C側は高い液密性が得られるという効果を奏する。
しかも、シール可能部分SGにおいて、雌側帯状基部22Aの長手方向に沿って波形状に袋本体10に接合したから、直線状の場合に比して剥離力が集中して比較的に小さい力で剥離できる。
袋本体10をガゼット袋としたから、収納空間10Cに被包装物としての食品P1,P2を収納した状態で、袋体1を電子レンジLのターンテーブル上に立たせることができるため、袋体1の内圧がリークされる際に、袋体1を横に寝かせた場合に比べて、被包装物が漏洩することが少ないことが期待できる。
なお、第二実施形態では、ターンテーブル上に立たせる袋本体10の構成としては、ガゼット袋に限定されるものではなく、他の構成、例えば、対向する一対の平面部と、底面部とを有する袋としてもよい。
【0066】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態を図11に基づいて説明する。
第三実施形態は、延長部22Eの構造が第二実施形態と異なるもので、他の構成は第二実施形態と同じである。
図11において、第三実施形態のジッパーテープ20は、延長部22Eを有する。延長部22Eは、雌側帯状基部22Aより厚肉の第一厚肉部22Hと、第一厚肉部22Hに連設され雌側帯状基部22Aより薄肉の薄肉部22Iと、薄肉部22Iに連設され雌側帯状基部22Aより厚肉の第二厚肉部22Jとを有するものであり、第二厚肉部22Jが収納空間10C側に配置されている。
【0067】
第三実施形態では、薄肉部22Iが延長部22Eを切断する切断部を構成する。薄肉部22Iは、内圧の増大では切断しないものの、作業者が係合部23の係合を解除して開封する際、切断可能な強度に形成されている。なお、破断部の構成としては薄肉部22Iに限らず、第一厚肉部22Hおよび第二厚肉部22J間で切断可能な構成であればよい。例えば、いわゆるミシン目のように凹部を破線状に連続して切断可能としたり、柔らかい部材にて形成して切断可能としたりするなどとしてもよい。なお、特に液密性の観点からは、薄肉などの収納空間10Cを確実に隔離する構成が好ましい。
第二厚肉部22Jはフィルム11Aに接合し得る接合可能域SKを有する。接合可能域SKにフィルム11Aが接合されて接合領域22Kが形成される。
ジッパーテープ20は、雄部材21が雄側シール部21Dでフィルム11Aに接合されるとともに、雌部材22が延長部22Eの接合領域22Kでフィルム11Aに接合されている。
ここで、延長部22Eにおける接合可能域SKとフィルム11Aとの接合は、雌側帯状基部22Aの他の部分S2とフィルム11Bとの接合強度より強く、内圧の増大では剥離しない強度となっている。
【0068】
第三実施形態の袋体1では、内圧が増大した際には、第一実施形態および第二実施形態と同様に、第二接合部22D2が剥離して内圧がリークされる。この際、接合領域22Kでは剥離しないとともに、薄肉部22Iも切断されない。このことにより、係合部23は、収納空間10Cとは延長部22Eにより隔離された状態が維持されている。したがって、被包装物に液体が含まれる場合でも、第二接合部22D2が剥離して内圧がリークする前では、収納空間10C側は高い液密性が得られる。
一方、利用者が開封する際には、係合部23の係合を解除するとともに、フィルム11A,11Bを離間させるように広げて、薄肉部22Iを切断することで、収納空間10Cが開放される。
【0069】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態を図12Aおよび図12Bに基づいて説明する。
第四実施形態は、ジッパーテープ20の構造が第一実施形態と異なるもので、他の構成は第一実施形態と同じである。
図12Aには袋体1の要部の断面が示されている。
図12Aにおいて、第四実施形態のジッパーテープ20は、雄部材21および雌部材22を備え、雄部材21の雄側帯状基部21Aと雌部材22の雌側帯状基部22Aとの長手方向と直交する幅方向のうち収納空間10Cに向いた端部同士は連結部24を介して連結されている。つまり、連結部24は、係合部23の位置に対して第一領域22Dが設けられた側と反対側に雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの長手方向に沿って配置されている。
【0070】
雄側帯状基部21Aと連結部24との間および雌側帯状基部22Aと連結部24との間には、それぞれ突起状部25が連結部24の長手方向に沿って形成されている。これらの突起状部25は、先端部がそれぞれ対向するように配置されている。
図12Bにはジッパーテープ20が展開された状態が示されている。
図12Bにおいて、連結部24の厚さt1は、10μm以上100μm以下であり、好ましくは、20μm以上80μm以下であり、より好ましくは、20μm以上50μm以下であり、より好ましくは、30μm以上50μm以下である。厚さt1が10μm未満では、容易に連結部24を切り離せるが、擦れなどにより、連結部24が破損したり、被包装物を充填する際に、強度不足により破損したりする。厚さt1が100μmより厚いと、連結部24の強度がありすぎて容易に切り離すことが困難となる。
突起状部25の厚さt2は、200μm以上2mm以下であり、好ましくは、300μm以上105mm以下であり、さらに好ましくは、300μm以上1mm以下である。突起状部25を設けたのは、連結部24に応力を集中させやすくするためである。突起状部25がないと、連結部24と雄側帯状基部21Aとの境界や連結部24と雌側帯状基部22Aとの境界が曖昧となり、連結部24を容易に切り離すことができないからである。
雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの厚さは、連結部24の厚さt1と突起状部25の厚さt2との間、例えば、150μmである。
【0071】
第四実施形態の袋体1の使用方法、製造方法および製造装置は第一実施形態と同じである。
第四実施形態では、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aが連結部24を介して互いに連結されているので、被包装物が流動性の高い物質であっても、被包装物の流出を防止することができる。しかも、連結部24を切り離すことで、被包装物を容易に取り出すことができる。
雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aには、それぞれ連結部24との間に突起状部25が形成されているから、連結部24を容易に切断することができる。
【0072】
<第五実施形態>
本発明の第五実施形態を、図1を参照して説明する。
図1では、袋体1にトップシール部13が設けられているが、第五実施形態の袋体1は、トップシール部13が省略されたものである。
すなわち、袋本体10は、サイドシール部12およびボトムシール部14が形成されており、ジッパーテープ20よりボトムシール部14とは反対側であってトップシール部13に相当する部分は開口されている。
第五実施形態では、加熱調理の前に、雄部21Bおよび雌部22Bの係合を解除して収納空間10Cを開放し、使用者が予め準備した食品などの被包装物を収納空間10Cに収納した後、ジッパーテープ20を閉じて電子レンジで加熱調理する。
第五実施形態では、袋本体10の収納空間10Cのジッパーテープ20を挟んだ反対側の端縁が接合されていないから、袋体は、使用者が好みの食品を調理するための調理器具として用いることができる。
【0073】
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
本発明では、加熱調理により内圧が増大することで、第二接合部22D2の剥離により内圧をリークさせる構成に限らない。例えば、外部からの押圧力などにより内圧が増大したり、外部の気圧が低下して相対的に内圧が増大した場合などでも適用できる。
【0074】
本発明では、図13に示すように、係合部23を複数、例えば、2つ備えた構成でもよい。
図13に示すジッパーテープ20は、係合部23に対して収納空間10C側に位置して並列に設けられた第二の係合部40を備えている。第二の係合部40は、雄部21Bに並列に設けられた雄側鉤部41と、雌部22Bに並列に設けられた雌側鉤部42と、により構成される。雄側鉤部41は収納空間10Cに向けて突出する第三雄側爪41Aを有し、雌側鉤部42は第三雄側爪41Aが係合可能な第三雌側爪42Aを有している。この例によれば、係合部23および第二の係合部40の複数箇所の係合により係合強度が強くなり、係合による高い封止性が得られる。
なお、図13では、係合部23を複数対設ける構成として、異なる形状の係合部23,40を設けた例を説明したが、同じ形状の係合部23を複数対設けるものでもよい。
【0075】
また、前記実施形態では、第二接合部22D2を中央に設けたが、ジッパーテープ20のサイドシール部12に位置する両端を除く、サイドシール部12間のいずれの中間位置に設けてもよい。
さらに、フィルム11Bと接合して第二接合部22D2を形成する他の部分S2は複数箇所設けてもよい。なお、複数箇所設ける構成では、例えば収納空間10Cの内圧が増大した際、複数箇所から内圧をリークさせることが可能となる。このため、不用意に係合部23の係合が解除したり、袋本体10が破袋したりする不都合を防止でき、被包装物に応じて適切な内圧強度に設定することができる。
【0076】
そして、第二接合部22D2と第一接合部22D1とが連続する場合に限らず、例えば図14に示すように、非連続に形成してもよい。
図14に示す例では、例えば、所定の内圧までは非連続部分からリークさせ、所定の内圧より高くなった時に第二接合部22D2がフィルム11Bから剥離してリーク量を増大できる。
【0077】
また、前記実施形態では、タイトシール層22C1にのみ雌側シールバー52を当てて第一接合部22D1を形成したが、本発明では、イージーピール層22C2にも雌側シールバー52を当てる構成としてもよい。
つまり、図15に示すように、第一接合部22D1をタイトシール層22C1とイージーピール層22C2とを跨ぐように形成し、かつ、イージーピール層22C2に形成される側縁を直線状に形成してもよい。
【0078】
そして、第一接合部22D1および第二接合部22D2を形成する雌側シールバー52としては、例えば図16に示す構成や、図17Aおよび図17Bに示す構成とするなど、製造装置や製造方法に応じて適宜設定すればよい。
図16に示す雌側シールバー52は、矩形状の雌側台座部52Aと、雌側台座部52Aの一面に、雌側帯状基部22Aにおける一縁部分を押圧して第一領域22Dを形成する雌側凸部52Bと、耐熱性樹脂の抑え部52Cと、を備えている。雌側凸部52Bは、第一接合部22D1を形成する直線状部52B1と、第二接合部22D2を形成する平面視V字状の先鋭部52B2とを備えている。直線状部52B1は、所定の間隔、具体的には第二接合部22D2の幅寸法の間隔で設けられ、先鋭部52B2は直線状部52B1間に連続して設けられている。なお、先鋭部52B2は、所定数毎、例えば3つの直線状部52B1を連続する領域と、3つの直線状部52B1間が不連続となる領域とが、交互に設けられる。なお、直線状部52B1は、第一接合部22D1の接合強度を高めるために、同じ箇所で複数回押圧してシールすることが好ましいことから、直線状部52B1は所定間隔で設けておくことが好ましい。
そして、図16に示す雌側シールバー52は、3つの直線状部52B1と、3つの先鋭部52B2とを一サイクルとして、3つの袋体1分の第一領域22Dを一動作で接合する。
図16に示す例によれば、一動作で複数箇所の第一領域22Dを形成できるので、製造速度の向上が図れる。
【0079】
雌側シールバー52は、図17Aに示す第一シールバー521と、図17Bに示す第二シールバー532と、にて構成されている。
第一シールバー521は、矩形状の雌側台座部52Aと、雌側台座部52Aの一面に、所定の間隔、具体的には第二接合部22D2の幅寸法の間隔で複数設けられ第一接合部22D1を形成する直線状部52B1と、耐熱性樹脂の抑え部52Cと、を備えている。
第二シールバー532は、矩形状の雌側台座部52Aと、雌側台座部52Aの一面に1つ設けられた先鋭部52B2と、を備えている。
そして、図17Aおよび図17Bに示す雌側シールバー52は、第一シールバー521にて袋体1の複数分の第一接合部22D1を設けるとともに、第二シールバー532にて第一接合部22D1間に位置するように第二接合部22D2を設けて接合させる。
図17Aおよび図17Bに示す例によれば、第一接合部22D1用の第一シールバー521と、第二接合部22D2用の第二シールバー532とを用いるので、シールバーを容易に形成できる。
【0080】
また、ジッパーテープ20としては、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの融点より低い低融点層を設け、いわゆる片側外しの効果を安定して得られる構成としてもよい。
具体的には、図18に示すように、雄側帯状基部21Aには、係合部23が設けられる側と反対側の面で、少なくとも幅方向の両側に、雄側低融点層21Lが積層形成されている。なお、雄側低融点層21Lは、係合部23が連設される側とは反対側の全面に設けてもよい。
雌側低融点層22Lにさらに積層して、上記各実施形態と同様のタイトシール層22C1およびイージーピール層22C2が設けられている。なお、雌側低融点層22Lに積層してタイトシール層22C1およびイージーピール層22C2を設ける場合に限らず、タイトシール層22C1およびイージーピール層22C2より一縁側にのみ雌側低融点層22Lを設け、イージーピール層22C2が積層しないようにしてもよい。
なお、図18では、説明の都合上、袋本体10と接合される面が一面状となるように記載したが、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aに順次積層する構成としてもよい。
これら雄側低融点層21Lおよび雌側低融点層22Lは、例えば雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aをホモポリプロピレン(H-PP)で形成した場合、ランダムポリプロピレン(R-PP)にて、共押出成形法などにより一体に形成される。
【0081】
図18に示す例によれば、雄側低融点層21Lおよび雌側低融点層22Lにより袋本体10との確実な接合が得られる。
具体的には、いわゆる片側外しとなる雌側帯状基部22Aをフィルム11Bに接合する際、接合のために用いるシールバーは、雌側帯状基部22Aの幅方向の両側を押圧可能な形状となっている。さらに、このシールバーは、接合させない側となる雌側低融点層22Lが設けられていない側を押圧する部分は、加熱しないように断熱材を用いたものが用いられる。そして、図18に示す例のように、雌側帯状基部22Aの接合する側に雌側低融点層22Lを設けることで、接合しない側と接合する側とで融点格差を大きくすることができる。このため、雌側帯状基部22Aを接合する際、シールバーの断熱材に蓄熱された熱の影響などにより、接合させない側がブロッキングを生じないように、厳密な温度管理にて接合処理をする必要がなく、容易に接合できる。
したがって、より確実に片側外しの構成が得られ、袋本体10の収納空間10C内の圧力が上昇しても、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aが袋本体10から剥離してしまうなどの不都合を防止でき、内圧強度を高めることが、容易にできる。
【0082】
前記実施形態では、雌部材22の雌側帯状基部22Aが一の部分S1および他の部分S2を有する構成としたが、本発明では、雄部材21の雄側帯状基部21Aが一の部分S1および他の部分S2を有する構成としてもよい。
さらに、第二実施形態および第三実施形態では、延長部22Eを雌側帯状基部22Aに設けたが、本発明では、延長部22Eを雄側帯状基部21Aに設けるものでもよい。この場合、延長部22Eはフィルム11Bに接合される。
【符号の説明】
【0083】
1…袋体、10…袋本体、100…平面部、101…側面部、102…底面部、10C…収納空間、11A,11B…フィルム、20…ジッパーテープ、21…雄部材、21A…雄側帯状基部、21B…雄部、22…雌部材、22A…雌側帯状基部、22B…雌部、22D…第一領域、22D1…第一接合部、22D2…第二接合部、22E…延長部、22G…第二領域、22H…第一厚肉部、22I…薄肉部(切断部)、22J…第二厚肉部、22K…接合領域、23…係合部、24…連結部、25…突起状部、40…係合部、51…雄側シールバー、52…雌側シールバー、521…第一シールバー、532…第二シールバー、P1,P2…食品(被包装物)、S1…一の部分、S2…他の部分、SG…シール可能部分、SK…接合可能域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18