(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105129
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】滅菌体液収集デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/15 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
A61B5/15
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074696
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2019230734の分割
【原出願日】2013-12-04
(31)【優先権主張番号】61/733,199
(32)【優先日】2012-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】514113555
【氏名又は名称】マグノリア メディカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バリントン,グレゴリー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パットン,リチャード ジー.,エム.,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ガウ,シャン,イー.
(57)【要約】
【課題】皮膚に存在する微生物等、体液源の外部の微生物又は他の汚染物質からの汚染を低減して、体液サンプルを非経口的に獲得するデバイス及び方法を提供する。
【解決手段】装置は、プリサンプルリザーバ、分流機構及び流量計量機構を含む。分流機構は、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合可能な入口ポートと、プリサンプルリザーバに流体的に結合可能な第1出口ポートと、サンプルリザーバに流体的に結合可能な第2出口ポートと、を有する。分流機構は、第1出口ポート及び第2出口ポートをそれぞれ入口ポートに流体連通するように配置するように構成された第1流体流路及び第2流路を規定する。流量計量機構は、体液の所定体積の第1流体流路を通るプリサンプルリザーバへの流れを計量し、体液の第2体積の第2流体流路を通るサンプルリザーバへの流れを計量し、所定体積及び第2体積に関連する体積インジケータを表示するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から体液サンプルを取得する装置であって、
前記患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されたプリサンプルリザーバと、
入口ポート、第1出口ポート及び第2出口ポートを含む分流機構であって、前記入口ポートが、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成され、前記第1出口ポートが、前記分流機構に前記プリサンプルリザーバを流体的に結合するように構成され、前記第2出口ポートが、前記分流機構にサンプルリザーバを流体的に結合するように構成され、前記分流機構が、前記第1出口ポートを前記入口ポートに流体連通するように配置するように構成された第1流体流路と、前記第2出口ポートを前記入口ポートに流体連通するように配置するように構成された第2流体流路と、を規定する、分流機構と、
前記第1流体流路及び前記第2流体流路に流体連通する流量計量機構であって、体液の第1体積の前記第1流体流路を通る前記プリサンプルリザーバ内への流れを計量し、体液の第2体積の前記第2流体流路を通る前記サンプルリザーバ内への流れを計量するように構成され、前記第1体積及び前記第2体積に関連する体積インジケータを表示するように構成された流量計量機構と、を備える装置。
【請求項2】
前記体液の第1体積が、第1期間中に前記第1流体流路内で流れ、前記体液の第2体積が、前記第1期間の後、第2期間中に前記第2流体流路内で流れる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記体液の第1体積が、皮膚に存在する汚染物質を含み、前記体液の第2体積には、皮膚に存在する汚染物質が実質的にない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プリサンプルリザーバが、前記分流器機構の一部によって少なくとも部分的に規定される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記体積インジケータが視覚的インジケータである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記分流機構が、前記第2出口ポートを通って移動して前記サンプルリザーバを前記第2流体流路に流体連通するように配置するように構成された可動部材を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記流量計量機構が、前記可動部材の一部の中に少なくとも部分的に配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記分流機構が、前記血液の第1体積が前記プリサンプルリザーバ内に配置されると、前記プリサンプルリザーバ及び前記第1流体流路の少なくとも一部を流体的に隔離するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記分流機構が、第2サンプルリザーバを前記分流機構に流体的に結合するように構成された第3出口ポートを含み、前記第3出口ポートを前記入口ポートに流体連通するように配置するように構成された第3流体流路を規定する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
第1内腔及び第2内腔を規定する流量コントローラであって、前記第1内腔が前記第1流体流路を前記入口ポートに流体連通するように配置する第1形態と、前記第2内腔が前記第2流体流路を前記入口ポートに流体連通するように配置する第2形態との間で移動するように構成された流量コントローラをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記流量コントローラが、前記体液の第1体積が前記プリサンプルリザーバ内に配置された後、前記第1形態から前記第2形態に移動するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
患者から体液サンプルを取得する装置であって、
前記患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されたプリサンプルリザーバと、
入口ポート、第1出口ポート及び第2出口ポートを含む分流機構であって、前記入口ポートが、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成され、前記第1出口ポートが前記プリサンプルリザーバを前記分流機構に流体的に結合するように構成され、前記第2出口ポートが、サンプルリザーバを前記分流機構に流体的に結合するように構成される、分流機構と、
前記分流機構内に少なくとも部分的に配置された流量コントローラであって、前記流量コントローラが前記入口ポートと前記第1出口ポートとの間に流体流路の少なくとも一部を規定する第1形態と、前記流量コントローラが前記入口ポートと前記第2出口ポートとの間に流体流路の少なくとも一部を規定する第2形態との間で移動するように構成された流量コントローラと、
前記分流機構に移動可能に結合された可動部材であって、前記サンプルリザーバが前記入口ポートと前記第2出口ポートとの間の流体流路から流体的に隔離される第1形態と、前記サンプルリザーバが前記入口ポートと前記第2出口ポートとの間の前記流体流路に流体連通する第2形態との間で、前記第2出口ポートを通して移動するように構成され、前記サンプルリザーバが、前記流量コントローラがその第2形態にあり、前記可動部材がその第2形態にある時、前記患者から抜き取られる体液の第2体積を受け取るように構成される、可動部材と、を含む装置。
【請求項13】
前記体液の第1体積が、皮膚に存在する汚染物質を含み、前記体液の第2体積には、皮膚に存在する汚染物質が実質的にない、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記流量コントローラが、前記分流機構に対してその第1形態とその第2形態との間で回転する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記流量コントローラが、前記分流機構に対して線形運動で移動する、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記流量コントローラが、その第2形態にある時に、前記プリサンプルリザーバを流体的に隔離するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記可動部材が、その第2形態にある時、前記サンプルリザーバの一部を穿孔するように構成された穿孔部材を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記可動部材が、前記可動部材をその第1形態で少なくとも一時的に維持するように構成された付勢部材に結合されている、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記分流機構が、第2サンプルリザーバを前記分流機構に流体的に結合するように構成された第3出口ポートを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記可動部材が第1可動部材であり、前記装置が、
第2可動部材であって、前記第2サンプルリザーバが前記入口ポートと前記第3出口ポートとの間に規定された流体流路から流体的に隔離される第1形態と、前記第2サンプルリザーバが前記入口ポートと前記第3出口ポートとの間に規定された前記流体流路に流体連通する第2形態との間で、前記第3出口ポートを通して移動するように構成され、前記第2サンプルリザーバが、前記流量コントローラがその第2形態にあり、前記第2可動部材がその第2形態にある時、前記患者から抜き取られる体液の第3体積を受け取るように構成される、第2可動部材をさらに含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
患者から体液サンプルを取得する装置であって、
前記患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されたプリサンプルリザーバと、
ハウジング及び分配部材を含む分流機構であって、前記ハウジングが第1開口部及び第2開口部を規定し、前記第1開口部が前記プリサンプルリザーバに流体連通しており、前記分配部材が、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ前記第2開口に流体連通している流体流路を規定し、前記分配部材が、前記流路に流体連通しかつサンプルリザーバに物理的にかつ流体的に結合されるように構成された結合部分を含む、分流機構と、
前記患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成された入口ポートを含む流量コントローラであって、前記分流機構に回転可能に結合され、かつ前記入口ポートが前記第1開口部に流体連通する第1形態と、前記入口ポートが前記第2開口部に流体連通する第2形態との間で移動するように構成された流量コントローラと、を備える装置。
【請求項22】
前記体液の第1体積が、皮膚に存在する汚染物質を含み、前記体液の第2体積には、皮膚に存在する汚染物質が実質的にない、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記プリサンプルリザーバが、前記分配部材の一部によって少なくとも部分的に規定される、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記結合部分が、前記サンプルリザーバの一部を穿孔して前記サンプルリザーバを前記流体流路に流体連通するように配置するように構成された穿孔部材を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記穿孔部材による前記サンプルリザーバの前記一部の前記穿孔が、前記流量コントローラがその第2形態にある時、体液の前記患者から前記入口ポート及び前記流路を通る前記サンプルリザーバ内への流れを開始する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記体液の第1体積が、体液の第1所定体積であり、前記流体流路が、体液の第2所定体積を受け取るように構成され、前記体液の第2所定体積がサンプル体積に関連する、請求項21に記載の装置。
【請求項27】
前記サンプル体積が、約10ミリリットルと約50ミリリットルとの間である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記サンプル体積が約30ミリリットルである、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記分流機構がシール部材を含み、前記流量コントローラが前記分流機構に結合された時に、前記シール部材が、前記流量コントローラの表面及び前記ハウジングの表面と実質的流体密封シールを形成するように、前記ハウジングと前記流量コントローラとの間に配置され、前記シール部材が第1開口部及び第2開口部を規定し、前記シール部材の前記第1開口部が、前記ハウジングの前記第1開口部と実質的に同軸であり、前記シール部材の前記第2開口部が、前記ハウジングの前記第2開口部と実質的に同軸である、請求項21に記載の装置。
【請求項30】
流量計量移送デバイスを用いて患者から体液の所定サンプル体積を取得する方法であって、前記流量計量移送デバイスが、プリサンプルリザーバ及びサンプルリザーバに流体連通するように選択的に配置されるように構成された入口ポートを含む分流機構と、前記患者からの体液の前記プリサンプルリザーバへの流れ及び前記サンプルリザーバへの流れを計量するように構成された流量計量機構とを含む、方法であり、
前記患者と前記流量計量移送デバイスの前記ポートとの間に流体連通を確立するステップと、
前記ポートと前記プリサンプルリザーバとの間に流体連通を確立するステップと、
前記患者から前記プリサンプルリザーバに移送された体液の流れを計量するステップと、
前記流量計量移送デバイスの前記流量計量機構を介して、前記プリサンプルリザーバ内に配置された体液のプリサンプル体積が体液の所定プリサンプル体積であることを検証するステップと、
前記プリサンプルリザーバを前記ポートから流体的に隔離して、前記プリサンプルリザーバ内で前記体液のプリサンプル体積を封鎖するステップと、
前記ポートと前記サンプルリザーバとの間に流体連通を確立するステップと、
前記患者から前記サンプルリザーバに移送された体液の流れを計量するステップと、
前記流量計量移送デバイスの前記流量計量機構を介して、前記サンプルリザーバ内に配置された体液のサンプル体積が体液の所定サンプル体積であることを検証するステップと、を含む方法。
【請求項31】
前記流量計量移送デバイスが、前記患者と前記プリサンプルリザーバとの間に流体連通が確立される第1形態と、前記患者と前記サンプルリザーバとの間に流体連通が確立される第2形態との間で移動するように構成された流量コントローラを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記体液が血液である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプルリザーバが、好気性菌用培地又は嫌気性菌用培地のうちの少なくとも一方を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記所定プリサンプル体積が、約1ミリリットルと約10ミリリットルとの間である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記所定サンプル体積が、約20ミリリットルと約60ミリリットルとの間である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記所定サンプル体積が約60ミリリットルである、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記サンプルリザーバが第1サンプルリザーバであり、前記サンプル体積が第1サンプル体積であり、
前記第1サンプルリザーバ内の前記第1サンプル体積が前記所定サンプル体積であることを検証した後、前記ポートと第2サンプルリザーバとの間に流体連通を確立するステップと、
前記患者から前記第2サンプルリザーバに移送された体液の流れを計量するステップと、
前記流量計量移送デバイスの前記流量計量機構を介して、前記第2サンプルリザーバ内に配置された体液の第2サンプル体積が体液の前記所定サンプル体積であることを検証するステップと、をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記第1サンプル体積及び前記第2サンプル体積が、まとめて、約20ミリリットルと約60ミリリットルとの間に等しい、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2サンプルリザーバ内の前記第2サンプル体積が前記所定サンプル体積であることを検証した後、前記ポートと第3サンプルリザーバとの間に流体連通を確立するステップと、
前記患者から前記第3サンプルリザーバに移送された体液の流れを計量するステップと、
前記流量計量移送デバイスの前記流量計量機構を介して、前記第3サンプルリザーバ内に配置された体液の第3サンプル体積が体液の前記所定サンプル体積であることを検証するステップと、をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記第1サンプル体積、前記第2サンプル体積及び前記第3サンプル体積が、まとめて、約30ミリリットルと約60ミリリットルとの間に等しい、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1サンプル体積、前記第2サンプル体積及び前記第3サンプル体積が、まとめて、約60ミリリットルに等しい、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本出願は、2012年12月4日に出願された「滅菌体液収集デバイス及び方法(Sterile Bodily-Fluid Collection Device and Methods)」と題する米国仮特許出願第61,733,199号に対する優先権及びその利益を主張し、その出願の開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[1002] 本明細書に記載する実施形態は、概して体液サンプルの非経口的獲得(parenteral procurement)に関し、より詳細には、皮膚に存在する微生物等、体液源の外部の微生物又は他の汚染物質からの汚染を低減して、体液サンプルを非経口的に獲得するデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[1003] 医療従事者は、日常的に、非経口的に取得された体液を用いて患者に対してさまざまなタイプの微生物検査を行う。場合によっては、患者サンプル(例えば、体液)は、細菌、真菌又は酵母菌(例えば、カンジダ)等、1種又は複数種の望ましくない可能性がある微生物が存在するか検査される。微生物検査は、微生物増殖を促進する培地を収容する1つ又は複数の滅菌容器において患者サンプルを培養すること、リアルタイム診断及び/又は分子PCRに基づく手法を含む場合がある。一般に、こうした微生物が患者サンプルに存在する場合、それら微生物は、培地において経時的に繁殖する。可変時間(例えば数時間から数日間)の後、自動化された連続モニタリングにより、生物体の成長を検出することができる。こうした自動化モニタリングは、生物体の増殖によって生成される二酸化炭素を検出することができる。そして、培地に対して、微生物が存在するか検査することができる。培地に微生物が存在する場合、それは、患者サンプルに同じ微生物が存在することを示唆し、それはさらに、サンプルを取得した患者の体液に同じ微生物が存在することを示唆する。従って、培地に微生物が存在すると判断された場合、患者は、患者から望ましくない微生物を処置するか又は他の方法で除去するように特に設計された1種あるいは複数種の抗生物質又は他の処置が処方される可能性がある。
【0004】
[1004] しかしながら、患者サンプルは、獲得中に汚染される可能性がり、及び/又は、他の方法で偽陽性結果が出やすい可能性がある。患者サンプルの汚染が発生する可能性がある1つの過程は、患者の体内への針の挿入中に取り除かれ後に患者サンプルとともに培地に移送された体表からの微生物(例えば、皮膚に存在する微生物)の移送による。体表微生物及び/又は他の望ましくない外部微生物は、直接、又は取り除かれた組織片、毛包、汗腺及び他の皮膚付属器構造を介して取り除かれる可能性がある。別のあり得る汚染源は、患者サンプルを抜き取る人から来る。例えば、医師、瀉血専門医、看護師等が、自身の身体(例えば、指、腕等)から患者サンプルに及び/又は患者サンプルを収容している機器に汚染物質を移送する可能性がある。さらに詳述すると、患者サンプル獲得プロセス(例えば、患者から針、針/管からサンプル容器等)の間に使用される機器及び/又はデバイスは、各々が有り得る汚染の箇所を生じさせる可能性がある複数の流体インタフェースを含むことが多い。こうした機器及び/又はデバイスの使用は、通常、さまざまなインタフェースを接続し及び/又は流体的に結合するための手作業による介入を含む。これらのインタフェースは、単一の流体的に結合されたシステムとして事前に組み立てられかつ滅菌されないため、使用者(例えば、医師、瀉血専門医等)及び/又は他の汚染源(例えば、周囲空気、病室のテーブル及びカウンタの表面の汚染物質、リネン又は衣類から移送された微生物等)を介して患者サンプルに導入される可能性がある。場合によっては、こうした汚染物質は、培地で生育し、最終的に陽性の微生物検査結果をもたらす可能性があり、それにより、体内におけるこうした微生物の存在を誤って示す。
【0005】
[1005] 場合によっては、偽陽性結果及び/又は偽陰性結果は、患者サンプルの所定体積に起因する可能性がある。例えば、体積に影響されやすい血液培養ボトルを過充填することにより、こうした培養ボトル及び関連する自動連続モニタリング微生物検出システムの製造業者からの使用説明書及び/又は警告ラベルにおいて注記されているように、偽陽性結果に至る可能性がある。一方、別の例として、培地内における患者サンプルの体積が不十分であることにより、偽陰性結果がもたらされる可能性がある。例として、Journal of Clinical Microbiologyの2011年12月号に記載された「Optimized Pathogen Detection with 30- Compared to 20-Milliliter Blood Culture Draws」と題するMayo Clinicによって行われた研究において、20ミリリットル(mL)の患者サンプル体積により、患者サンプルに存在する菌血症の約80%の存在を検出することができ、40mLの患者サンプル体積により、菌血症の約88%を検出することができ、60mLの患者サンプル体積により、菌血症の約99%を検出することができる。
【0006】
[1006] 汚染、不十分な患者サンプル体積等の結果としてのこうした不正確な結果は、疑いのある病気又は健康状態を診断するか又は治療しようとする時に問題である。例えば、微生物検査からの偽陰性結果により、患者の病気が誤診され及び/又は治療が遅れることになる可能性があり、それによって場合によっては、患者の死に至る可能性がある。逆に、微生物検査からの偽陽性結果により、患者が1つ又は複数の抗微生物療法を不必要に受けることになる可能性があり、それにより、例えば死を含む患者の深刻な副作用が引き起こされるとともに、患者の入院の期間の延長及び/又は間違った治療に関連する他の合併症のために医療制度に対する不必要な負担及び出費がもたらされる可能性がある。さらに、これらの偽陽性結果に起因する診断撮像機器の使用はまた、コストとともに、種々の撮像処置(例えば、CTスキャン)に関連する高濃度放射線の不必要な照射が長期の患者の健康に対して多くの既知の悪影響を及ぼすため、患者の安全性の観点からも問題である。
【0007】
[1007] 従って、例えば、患者サンプル及び/又は流体インタフェースの周囲の非滅菌状態及び/又は他の外部汚染源への暴露を最小限にすることにより、体液検査サンプルにおける微生物汚染を低減する、滅菌「一体型」体液収集デバイス及び方法が必要とされている。さらに、こうした体液収集デバイスが、患者サンプルを実質的にリアルタイムに(例えば、患者のベッドわきで)獲得している医療従事者に視覚的に、計算された方法で、又は他の方法で通信することができる、患者からサンプルリザーバ又は培地に移送された体液の体液を正確に計量し、測定し、及び/又は、他の方法で評価する手段を含むことが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[1008] 本明細書では、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体液源の外部の微生物からの汚染を低減して体液サンプルを非経口的に獲得するデバイスについて記載されている。いくつかの実施形態では、患者から体液サンプルを取得する装置は、プリサンプルリザーバ、分流機構及び流量計量機構を含む。プリサンプルリザーバは、患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されている。分流機構は、入口ポート、第1出口ポート及び第2出口ポートを含み、第1流体流路及び第2流体流路を規定している。入口ポートを、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合することができる。第1出口ポート及び第2出口ポートは、プリサンプルリザーバ及びサンプルリザーバそれぞれを分流機構に流体的に結合するように構成されている。第1流体流路は、第1出口ポートを入口ポートに流体連通するように配置するように構成され、第2流体流路は、第2出口ポートを入口ポートに流体連通するように配置するように構成されている。流量計量機構は、第1流体流路及び第2流体流路に流体連通している。流量計量機構は、体液の第1体積の第1流体流路を通るプリサンプルリザーバ内への流れを計量し、体液の第2体積の第2流体流路を通るサンプルリザーバ内への流れを計量するように構成されている。流量計量機構は、第1体積及び第2体積に関連する体積インジケータを表示するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態による体液収集デバイスの概略図である。
【
図2】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図3】
図2の体液収集デバイスの組立分解斜視図である。
【
図4】
図2の体液収集デバイスに含まれるハウジングの
図3の線X
1-X
1に沿って取り出された側断面図である。
【
図5】
図2の体液収集デバイスに含まれる可動部材の
図3の線X
2-X
2に沿って取り出された断面図である。
【
図6】
図2の体液収集デバイスに含まれる流量コントローラの
図3の線X
3-X
3に沿って取り出された断面図である。
【
図7】
図2の体液収集デバイスに含まれる流量コントローラの
図3の線X
4-X
4に沿って取り出された断面図である。
【
図8】第1形態にある
図2の体液収集デバイスの上面図である。
【
図9】第1形態にある
図2の体液収集デバイスの
図8の線X
5-X
5に沿って取り出された断面図である。
【
図10】第2形態にある
図2の体液収集デバイスの上面図である。
【
図11】第2形態にある
図2の体液収集デバイスの
図10の線X
6-X
6に沿って取り出された断面図である。
【
図12】第3形態にある
図2の体液収集デバイスの
図10の線X
6-X
6に沿って取り出された断面図である。
【
図13】第4形態にある
図2の体液収集デバイスの
図10の線X
6-X
6に沿って取り出された断面図である。
【
図14】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図15】
図14の体液収集デバイスの線X
7-X
7に沿って取り出された側断面図である。
【
図16】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図17】
図16の体液収集デバイスに含まれる分流機構の組立分解斜視図である。
【
図18】
図16の体液収集デバイスに含まれる分配部材の
図16の線X
8-X
8に沿って取り出された側断面図である。
【
図19】第1形態にある
図16の体液収集デバイスの上面図である。
【
図20】第1形態にある
図16の一部体液収集デバイスの
図19の線X
9-X
9に沿って取り出された断面図である。
【
図21】第2形態にある
図16の体液収集デバイスの上面図である。
【
図22】第2形態にある
図16の体液収集デバイスの
図21の線X
10-X
10に沿って取り出された断面図である。
【
図23】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図24】第1形態にある、
図23の体液収集デバイスの一部の線X
11-X
11に沿って取り出された断面図である。
【
図25】第2形態にある、
図23の体液収集デバイスの線X
11-X
11に沿って取り出された断面図である。
【
図26】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図27】
図26の体液収集デバイスに含まれる分流機構の組立分解斜視図である。
【
図28】
図27の体液収集デバイスに含まれる分配部材の
図27の線X
13-X
13に沿って取り出された断面図である。
【
図29】
図26の体液収集デバイスに含まれる結合部材の
図27の線X
14-X
14に沿って取り出された断面図である。
【
図30】
図26の体液収集デバイスに含まれるダイヤルの
図27の線X
15-X
15に沿って取り出された断面図である。
【
図31】
図26の体液収集デバイスに含まれる弁の
図27の線X
16-X
16に沿って取り出された断面図である。
【
図32】第1形態にある
図26の体液収集デバイスの線X
12-X
12に沿って取り出された断面図である。
【
図33】第2形態にある
図26の体液収集デバイスの線X
12-X
12に沿って取り出された断面図である。
【
図34】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図35】
図34の体液収集デバイスに含まれる分流機構の組立分解斜視図である。
【
図36】
図35の分流機構に含まれる分配部材の線X
17-X
17に沿って取り出された断面図である。
【
図37】第1形態にある
図34の体液収集デバイスの一部の上面図である。
【
図38】第1形態にある
図37の一部体液収集デバイスの線X
18-X
18に沿って取り出された断面図である。
【
図39】第2形態にある
図33の体液収集デバイスの上面図である。
【
図40】第2形態にある
図33の体液収集デバイスの
図39の線X
19-X
19に沿って取り出された断面図である。
【
図41】実施形態による第1形態にある体液収集デバイスの斜視図である。
【
図42】
図41の体液収集デバイスの一部の組立分解斜視図である。
【
図43】第1形態にある
図41の体液収集デバイスの線X
20-X
20に沿って取り出された断面図である。
【
図44】第2形態にある
図41の体液収集デバイスの線X
20-X
20に沿って取り出された断面図である。
【
図45】第3形態にある
図41の体液収集デバイスの線X
20-X
20に沿って取り出された断面図である。
【
図46】実施形態による第1形態にある体液収集デバイスの斜視図である。
【
図47】
図45の体液収集デバイスの一部の組立分解斜視図である。
【
図48】
図46の体液収集デバイスに含まれる分配部材の
図47の線X
21-X
21に沿って取り出された側断面図である。
【
図49】
図46の体液収集デバイスに含まれる可動部材の
図47の線X
22-X
22に沿って取り出された側断面図である。
【
図50】第1形態にある
図46の体液収集デバイスの上面図である。
【
図51】第1形態にある
図46の一部体液収集デバイスの
図50の線X
23-X
23に沿って取り出された断面図である。
【
図52】第2形態にある
図46の体液収集デバイスの上面図である。
【
図53】第2形態にある
図46の体液収集デバイスの
図52の線X
24-X
24に沿って取り出された断面図である。
【
図54】実施形態による体液収集デバイスの斜視図である。
【
図56】実施形態による収集デバイスを用いて、汚染を低減して体液サンプルを取得する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1063] 本明細書では、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体液源の外部の微生物からの汚染を低減して体液サンプルを非経口的に獲得するデバイスについて記載されている。いくつかの実施形態では、患者から体液サンプルを取得する装置は、プリサンプルリザーバ、分流機構及び流量計量機構を含む。プリサンプルリザーバは、患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されている。分流機構は、入口ポート、第1出口ポート及び第2出口ポートを含み、第1流体流路及び第2流体流路を規定している。入口ポートを、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合することができる。第1出口ポート及び第2出口ポートは、プリサンプルリザーバ及びサンプルリザーバそれぞれを分流機構に流体的に結合するように構成されている。第1流体流路は、第1出口ポートを入口ポートに流体連通するように配置するように構成され、第2流体流路は、第2出口ポートを入口ポートに流体連通するように配置するように構成されている。流量計量機構は、第1流体流路及び第2流体流路に流体連通している。流量計量機構は、体液の第1体積の第1流体流路を通るプリサンプルリザーバ内への流れを計量し、体液の第2体積の第2流体流路を通るサンプルリザーバ内への流れを計量するように構成されている。流量計量機構は、第1体積及び第2体積に関連する体積インジケータを表示するように構成されている。
【0011】
[1064] いくつかの実施形態では、患者から体液サンプルを取得する装置は、プリサンプルリザーバ、分流機構、流量コントローラ及び可動部材を含む。プリサンプルリザーバは、患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されている。分流機構は、入口ポート、第1出口ポート及び第2出口ポートを含む。入口ポートは、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合可能である。第1出口ポートは、プリサンプルリザーバを分流機構に流体的に結合し、第2出口ポートは、サンプルリザーバを分流機構に流体的に結合する。流量コントローラは、分流機構内に少なくとも部分的に配置され、流量コントローラを、流量コントローラが入口ポートと第1出口ポートとの間に流体流路の少なくとも一部を規定する第1形態と、流量コントローラが入口ポートと第2出口ポートとの間に流体流路の少なくとも一部を規定する第2形態との間で移動させることができる。可動部材は、分流機構に移動可能に結合され、サンプルリザーバが入口ポートと第2出口ポートとの間の流体流路から流体的に隔離される第1形態と、サンプルリザーバが入口ポートと第2出口ポートとの間の流体流路に流体連通する第2形態との間で、第2出口ポートを通して移動可能である。サンプルリザーバは、流量コントローラがその第2形態にあり、可動部材がその第2形態にある時、患者から抜き取られる体液の第2体積を受け取るように構成されている。
【0012】
[1065] いくつかの実施形態では、患者から体液サンプルを取得する装置は、プリサンプルリザーバ、分流機構及び流量コントローラを含む。プリサンプルリザーバは、患者から抜き取られる体液の第1体積を受け取るように構成されている。分流機構は、ハウジング及び分配部材を含む。ハウジングは、プリサンプルリザーバに流体連通している第1開口部と第2開口部とを規定している。分配部材は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ第2開口に流体連通している流体流路を規定している。分配部材は、流路に流体連通しかつサンプルリザーバに物理的にかつ流体的に結合されるように構成された結合部分を含む。流量コントローラは、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成された入口ポートを含む。流量コントローラは、分流機構に回転可能に結合され、かつ入口ポートが第1開口部に流体連通する第1形態と、入口ポートが第2開口部に流体連通する第2形態との間で移動可能である。
【0013】
[1066] いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ及びサンプルリザーバに流体連通するように選択的に配置されるように構成された入口ポートを含む分流機構と、患者からの体液のプリサンプルリザーバへの流れ及びサンプルリザーバへの流れを計量するように構成された流量計量機構とを有する流量計量移送デバイスを用いる方法は、患者と流量計量移送デバイスの入口ポートとの間に流体連通を確立するステップを含む。そして、ポートとプリサンプルリザーバとの間に流体連通が確立される。患者からプリサンプルリザーバに移送された体液の流れが計量される。本方法は、流量計量移送デバイスの流量計量機構を介して、プリサンプルリザーバ内に配置された体液のプリサンプル体積が体液の第1プリサンプル体積であることを検証するステップを含む。プリサンプルリザーバ内にプリサンプル体積が配置された状態で、プリサンプルリザーバがポートから流体的に隔離されて、プリサンプルリザーバ内で体液のプリサンプル体積が封鎖される。プリサンプルリザーバが流体的に隔離された状態で、本方法は、ポートとサンプルリザーバとの間に流体連通を確立するステップを含む。患者からサンプルリザーバに移送された体液の流れが計量される。本方法は、流量計量移送デバイスの流量計量機構を介して、サンプルリザーバ内に配置された体液のサンプル体積が体液の第1サンプル体積であることを検証するステップを含む。
【0014】
[1067] いくつかの実施形態では、装置は、分流機構及び流量コントローラを含む。分流機構は、入口ポート、第1出口ポート、第2出口ポート及び第3出口ポートを規定することができる。第1出口ポートは、プリサンプルリザーバに流体的に結合され、第2出口ポートは、第1サンプルリザーバに流体的に結合され、第3出口ポートは、第2サンプルリザーバに流体的に結合され、等である。流体リザーバのすべてを、互いから流体的に隔離することができる。流量コントローラはさまざまな流体チャネルを含み、流体チャネルは、指定された方向における流体移動を可能にすることができ、分流機構に動作可能に結合されるように構成され得る。使用時、分流機構が第1形態にある時、流量コントローラは、体液の流れがプリサンプルリザーバに入るのを可能にすることができる。分流機構を第2形態に移動させることができ、そこでは、流量コントローラは、体液の流れが第1サンプルリザーバに入るのを可能にすることができる。さらに、分流機構を、その後、第3形態に移動させることができ、それにより、流量コントローラは、体液の流れが第2サンプルリザーバに入るのを可能にすることができる。
【0015】
[1068] いくつかの実施形態では、体液収集デバイスを、体液の第2体積の第1サンプルリザーバ内への流れ及び/又は体液の第3体積の第2サンプルリザーバ内への流れを可能にする前に、体液の第1の所定体積をプリサンプルリザーバに選択的に分流させるように構成することができる。このように、体液の第2体積及び/又は第3体積を、診断又は他の検査に使用することができ、一方で、体表又はサンプルを獲得する患者の外部の他の微生物源からの微生物を含む可能性がある体液の第1体積が隔離される。いくつかの実施形態では、体液収集デバイスは、行われる分析プロトコル及び/又は検査プロトコルに応じて追加のサンプルリザーバ(例えば、3、4、5、6以上)を含むことができる。
【0016】
[1069] いくつかの実施形態では、体液収集デバイスは、体液の適切な体積が患者から収集され及び/又は所定のプリサンプルリザーバ及び/又はサンプルリザーバに移送されるのを確実にするために、流量計量を含むことができる。体液収集デバイスを、体液の計量された体積が収集された後に、流体流を自動的に分流させ及び/又は制御するように構成することができる。例えば、第1計量プリサンプル体積が収集されると、分流機構を、体液流を第1サンプルリザーバに分流させるように構成することができ、その後、第1計量サンプル体積が収集された後、分流機構を、体液流を第2サンプルリザーバに分流させるように構成することができ、等である。いくつかの実施形態では、体液収集デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等の計量された体積のディスプレイを含み、どれだけの体液が各所定の個々のサンプルリザーバ内に収集されたかの視覚的指示を使用者に提供することができる。いくつかの実施形態では、カスタマイズされたプリサンプル及び/又はサンプル体積収集を可能にするように、複数のディスプレイを設けることができる。
【0017】
[1070] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈に明示的に述べられていない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「(1つの)部材」という用語は、単一部材又は部材の組合せを意味するように意図され、「(1つの)材料」は、1つあるいは複数の材料又はそれらの組合せを意味するように意図されている。
【0018】
[1071] 本明細書で用いる「体液」は、限定されないが、血液、髄液、尿、胆汁、リンパ液、唾液、滑液、漿液、胸膜液、羊水等又はそれらのあらゆる組合せを含む、患者の体内から得られるあらゆる流体を含むことができる。
【0019】
[1072] 本明細書で用いる「第1の所定量」、「第1量」及び「第1体積」という用語は、第1リザーバ又はプリサンプルリザーバによって受け取られるか又は収容されるように構成された体液の量を述べる。「第1量」及び「第1体積」という用語は、所定量を明示的に述べないが、明示的に異なるように述べられていない限り、第1量は第1の所定量であることが理解されるべきである。
【0020】
[1073] 本明細書で用いる「第2量」及び「第2体積」という用語は、第2リザーバ又はサンプルリザーバによって受け取られるか又は収容されるように構成された体液の量を述べる。第2量を、体液のあらゆる好適な量とすることができ、それは所定量である必要はない。逆に、そのように明示的に述べられる場合、第2リザーバ又はサンプルリザーバによって受け取られかつ収容される第2量は、第2の所定量であり得る。
【0021】
[1074] 本明細書で用いる「組」という用語は、複数の機構又は複数の部品を含む単一の機構を指すことができる。例えば、壁の組と言う場合、壁の組を、別個の部分を含む1つの壁とみなすことができ、又は壁の組を、複数の壁とみなすことができる。同様に言えば、一体的に構成された物品は一組の壁を含むことができる。こうした一組の壁は、例えば、互いに不連続である複数の部分を含むことができる。一組の壁を、別個に製造され、後に(例えば、溶接、接着剤又はあらゆる好適な方法を介して)互いに接合される複数の物品から製造することも可能である。
【0022】
[1075] 本明細書で用いる「近位」及び「遠位」という用語は、デバイスを患者に接触するように配置する使用者に対してそれぞれ近い方の方向及び離れる方向を指す。従って、例えば、患者の身体に最初に接触するデバイスの端部は遠位端となり、デバイスの反対側の端部(例えば、使用者が操作しているデバイスの端部)はデバイスの近位端となる。
【0023】
[1076] 本明細書で用いる「約」、「およそ」及び「実質的に」という用語は、数値と関連して用いられる場合、そのように定義される値が名目上示されている値であることを意味するように意図されている。言い換えれば、約、およそ及び実質的にという用語は、数値に関連して用いられる場合、概して、示されている値プラスマイナス所与の許容差を含む。例えば、場合によっては、好適な許容差は、示されている値の±10%である可能性があり、従って、約0.5は0.45及び0.55を含み、約10は9~11を含み、約1000は900~1100を含む。他の場合では、好適な許容差は、プラスマイナス示されている値の最後の有効数字の許容可能な割合であり得る。例えば、好適な許容差は、最後の有効数字の±10%である可能性があり、従って、約10.1は10.09及び10.11を含み、およそ25は24.5及び25.5を含む。こうした変動は、製造公差又は他の実際的な考慮事項(例えば、測定器具に関連する公差、許容可能な人的ミス等)からもたらされ得る。
【0024】
[1077] 体液の所定体積と体液の収集された体積との関係について述べる場合、それらの値は、上述したものの等の好適な許容差を含むことが理解されるべきである。例えば、体液の収集された体積が体液の所定体積と実質的に等しいと述べる場合、収集された体積及び所定体積は、名目上、好適な許容差の範囲内で等しい。場合によっては、許容差を、体液の収集された体積の意図された使用によって求めることができる。例えば、場合によっては、血液培養のアッセイは、血液の収集された体積が製造業者の(又はエビエンスに基づく最適な実践)推奨体積の1.0%から5.0%の範囲内である時、約99%正確であり得る。例として、体液のアッセイに対する製造業者の推奨体積は、約99%の信頼度のために、合計4本又は6本の収集ボトルが使用される場合、1本のサンプル収集ボトル当り10ミリリットル(mL)(すなわち、総体積は40ml~60ml)±5%であり得る。従って、10.5mLの収集体積により、約99%を超える信頼度での結果が提供され、11mLの収集体積により、約99%未満の信頼度の結果が提供される。他の場合では、好適な許容差は、0.1%、0.5%、1.0%、2.0%、3.0%、4.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%又はそれらの間のあらゆる分数値であり得る。さらに他の場合では、許容差は10.0%を上回る可能性がある。従って、本明細書に記載する実施形態のいずれも、好適な許容差の範囲内で体液の流量を計量し及び/又は体液の体積を他の方法で測定するように構成されたあらゆる好適な流量測定機構及び/又はデバイスを含み及び/又はそれとともに使用することができる。さらに、流量計量機構及び/又はデバイスを、不正確な測定、人的ミス等の組合せからもたらされる可能性がある公差の蓄積を最小限にするか又はなくすように配置することができる。
【0025】
[1078]
図1は、実施形態による体液収集デバイス100の一部の概略図である。概して、体液収集デバイス100(本明細書では、「流体収集デバイス」又は「収集デバイス」とも呼ぶ)は、患者から体液を抜き取ることを可能にし、その際、抜き取られた体液の第1部分又は第1量が、医療診断及び/又は治療の目的で検査されるため等、生物学的サンプルとして使用される、抜き取られた体液の第2部分あるいは体積及び/又は第3部分あるいは体積から離れるように分流されるように構成されている。言い換えれば、本明細書においてより詳細に記載するように、収集デバイス100は、体液の第1の所定体積をプリサンプル収集リザーバに、体液の第2体積及び第3体積(又は、いくつかの実施形態では、第4、第5等)を、プリサンプルリザーバから流体的に隔離された1つ又は複数のサンプル収集リザーバ(例えば、サンプルリザーバ)に移送するように構成されている。
【0026】
[1079] 収集デバイス100は、分流機構120、流量コントローラ140、プリサンプルリザーバ170、第1サンプルリザーバ180、及び第1サンプルリザーバ180とは異なる第2サンプルリザーバ190を含む。分流機構120は、
図1に示すように、入口ポート121と、第1出口ポート125及び第2出口ポート126等、少なくとも2つの出口ポートとを含む。いくつかの実施形態では、分流機構120は、プリサンプルリザーバ及びサンプルリザーバの総数に等しい一組の出口ポートを含むことができる。例えば、収集デバイス100が1つのプリサンプル及び4つのサンプリリザーバを有する場合、分流機構120は5つの出口ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、分流機構120を、複数の形態の間の分流機構120の移動を容易にすることができる(
図1には示さない)アクチュエータに動作可能に結合することができる。入口ポート121は、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス100に輸送するための経路Xを規定している医療デバイスに流体的に結合されるように構成されている。例えば、入口ポート121を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。このように、分流機構120は、針又は他のあらゆる内腔規定デバイスを介して患者から体液を受け取ることができる。
【0027】
[1080] 分流機構120の第1出口ポート125を、プリサンプルリザーバ170に流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ170は、第1出口ポート125及び/又は分流機構120の一部と一体的に形成されている。他の実施形態では、プリサンプルリザーバ170を、接着剤、抵抗嵌め(resistance fit)、機械的締結具、あらゆる数の嵌合凹部、ねじ結合及び/又は他のあらゆる好適な結合あるいはその組合せを介して、分流機構120に機械的に及び/又は流体的に結合することができる。同様に言えば、プリサンプルリザーバ170を、分流機構120に物理的に(例えば、機械的に)結合することができ、それにより、プリサンプルリザーバ170によって規定される内部空間(volume)が分流機構120の第1出口ポート125に流体連通する。さらに他の実施形態では、プリサンプルリザーバ170を、可撓性滅菌管等の(
図1には示さない)介在構造を介して、分流機構120の第1出口ポート125に動作可能に結合することができる。より詳細には、介在構造は、プリサンプルリザーバ170を、第1出口ポート125に流体連通するように配置するように構成された内腔を規定することができる。
【0028】
[1081] プリサンプルリザーバ170は、体液の第1の所定体積を受け取りかつ収容するように構成されている。いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ170は、体液の第1体積を、患者から後に抜き取られる(体液の第1体積と同じである場合もあれば異なる場合もある)体液の第2体積及び/又は第3体積から流体的に隔離するように収容するように構成されている。プリサンプルリザーバ170は、全体として参照により本明細書に組み込まれる、「汚染を低減して体液サンプルを非経口的に獲得するシステム及び方法(Systems and Methods for Parenterally Procuring Bodily-Fluid Samples with Reduced Contamination)」と題する米国特許第8,197,420号に詳細に記載されているプリサンプルリザーバ等、体液を収容するあらゆる好適なリザーバであり得る。
【0029】
[1082] いくつかの実施形態では、分流機構120の第2出口ポート126は、第1サンプルリザーバ180及び第2サンプルリザーバ190に結合することができる内腔規定デバイスに流体的に結合されるように構成されている。任意選択的に、他の実施形態では、分流機構120の第2出口ポート126を、第1サンプルリザーバ180に結合することができ、分流機構120は、第2サンプルリザーバ190に結合された(図示せず)第3出口ポートを有することができる。いくつかの実施形態では、第1サンプルリザーバ180を、第2出口ポート126及び/又は分流機構120の一部と一体的に形成することができる。他の実施形態では、第1サンプルリザーバ180を、プリサンプルリザーバ170に関して上述したような介在構造を介して、第2出口ポート126に機械的に結合し、又は第2出口ポート126に動作可能に結合することができる。第1サンプルリザーバ180は、体液の第2体積を受け取りかつ収容するように構成されている。例えば、体液の第2体積は、第1プリサンプル体積の抜取りに続いて患者から抜き取られた量であり得る。いくつかの実施形態では、第1サンプルリザーバ180は、第2体積がプリサンプル体液の第1体積から流体的に隔離されるように、体液の第2体積を収容するように構成されている。
【0030】
[1083] 第1サンプルリザーバ180及び第2サンプルリザーバ190は、例えば、上で参照により組み込んだ‘420特許に記載されているようなサンプルリザーバを含む、体液を収容するあらゆる好適な滅菌リザーバであり得る。いくつかの実施形態では、第2体積を、体液のあらゆる好適な体積とすることができ、それは所定体積である必要はない。他の実施形態では、第1サンプルリザーバ180及び/又は第2サンプルリザーバ190への体液の移送を、第2体積が第2の所定体積であるように、計量等することができる。
【0031】
[1084] 第2サンプルリザーバ190は、あらゆる好適なサンプルリザーバであり得る。いくつかの実施形態では、第2サンプルリザーバ190は、上述した第1サンプルリザーバ180と実質的に同様であり得る。第2サンプルリザーバ190を、上述したように、第2出口ポート126に流体的に結合することができる。第2出口ポート126の第2サンプルリザーバ190への流体的結合は、詳細に上述したように、第2出口ポート126の第1サンプルリザーバ180への流体的結合と実質的に同様であり得る。従って、こうした部分については、本明細書ではそれ以上詳細には記載せず、明示的に異なるように記載されていない限り、実質的に同様であるとみなすべきである。さらに、(
図1には示さない)分流機構120の追加の出口ポート及びサンプルリザーバは、第2出口ポート126及び第1サンプルリザーバ180と実質的に同様であり得る。
【0032】
[1085] いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ170、第1サンプルリザーバ180及び第2サンプルリザーバ190を、分流機構120に同様に結合する(又はともに形成する)ことができる。他の実施形態では、プリサンプルリザーバ170、第1サンプルリザーバ180及び第2サンプルリザーバ190は、分流機構120に同様に結合される必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ170を、分流機構120(例えば、第1出口ポート124)と一体的に形成することができ、第1サンプルリザーバ180及び/又は第2サンプルリザーバ190を、可撓性滅菌管又はそのあらゆる組合せ等の介在構造を介して、分流機構120(例えば、第2出口ポート126)に動作可能に結合することができる。
【0033】
[1086] いくつかの実施形態では、収集デバイス100は、(
図1には示さない)アクチュエータと、第1流体流路142、第2流体流路144及び任意選択的に(
図1には示さない)追加の流体流路を規定する流量コントローラ140と、をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータを、分流機構120に含めるか又は他の方法で動作可能に結合することができる。このように、アクチュエータを、流量コントローラ140内の(例えば、異なる形態の間の)流体移動を制御するように構成することができる。例えば、アクチュエータは、流量コントローラ140の第1形態に対応する第1位置、流量コントローラ140の第2形態に対応する、第1位置とは異なる第2位置等の間で移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータを、単方向に移動するように構成することができる。例えば、アクチュエータを、その第1位置からその第2位置に移動させることができるが、その第2位置からその第1位置に移動させることはできない。同様に、アクチュエータを、その第2位置から第3位置に移動させることができるが、その第3位置からその第2位置に戻るように移動させることはできない。このように、流量コントローラ140は、その第1形態の前にその第2形態又は第3形態に移動することが防止され、従って、体液の第1量がプリサンプルリザーバ170に向けられ、医療診断及び/又は治療の目的での検査のため等、生物学的サンプルとして使用される抜き取られた流体の第2体積及び/又は第3体積を収容するように設計されたサンプルリザーバ180及び/又は190に向けられないことが必要である。
【0034】
[1087] 流量コントローラ140は、第1形態にある時、第1流体流路142が入口ポート121を第1出口ポート125に流体的に結合し、第2形態にある時、第2流体流路144が入口ポート121を第2出口ポート126に流体的に結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、上述したようなアクチュエータを、流量コントローラ140を第1形態及び第2形態、任意選択的に第3形態又は第4形態の間で、並進運動で移動させるように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、流量コントローラ140は、収集デバイス100に対して遠位位置にある時に第1形態であり得る。こうした実施形態では、アクチュエータを、流量コントローラ140を収集デバイス100に対して近位位置まで近位方向に移動させ、それにより流量コントローラ130を第2形態に配置するように作動させることができる。他の実施形態では、アクチュエータを、流量コントローラ140を第1形態及び第2形態又は任意選択的に第3形態あるいは第4形態の間で、回転運動で移動するように作動させることも可能である。
【0035】
[1088] 従って、流量コントローラ140が第1形態にある時、第2出口ポート126(及び任意選択的に、サンプルリザーバに結合された追加の出口ポート)は、入口ポート121から流体的に隔離される。同様に、流量コントローラ140が第2形態にある時、第1出口ポート125は入口ポート121から流体的に隔離される。任意選択的に、流量コントローラ140が(
図1には示さない)第3形態にある場合、第1出口ポート125及び第2出口ポート126は、入口ポート121から流体的に隔離される。このように、流量コントローラ140は、第1形態にある時、体液の第1量を、第1出口ポート125を介してプリサンプル流体リザーバ170に仕向け又は分流させることができ、第2形態にある時、体液の第2量を、第2出口ポート126を介して第1サンプル流体リザーバ180に仕向け又は分流させることができる。
【0036】
[1089] いくつかの実施形態では、アクチュエータの少なくとも一部を、プリサンプル流体リザーバ170に動作可能に結合することができる。このように、アクチュエータ(又はアクチュエータの少なくとも一部)を、「プリサンプル」流体リザーバ170内における真空の発生を引き起こすか又は他の方法で促進し、それにより、分流機構120がその第1形態にある時、体液の収集デバイス100を通りプリサンプル流体リザーバ170に入る流れを開始するように構成することができる。アクチュエータは、例えば、回転ディスク、プランジャ、スライド、ダイヤル、ボタン、ハンドル、レバー及び/あるいは他のあらゆる好適な機構又はそれらの組合せ等、収集デバイス100内への体液の流れを駆動するあらゆる好適な機構を含むことができる。好適なアクチュエータの例については、本明細書において具体的な実施形態を参照してより詳細に記載する。
【0037】
[1090] いくつかの実施形態では、分流機構120を、体液の第2量の流れが分流機構120を通って第1サンプル流体リザーバ180に及び/又は第2サンプル流体リザーバ190に輸送されるのを可能にする前に、体液の第1量をプリサンプル流体リザーバ170に輸送する必要があるように構成することができる。このように、分流機構120を、医療従事者による、体液の第2量及び/又は第3量(例えば、サンプル)を収集する前に体液の第1の所定量(例えば、プリサンプル)を収集することに関するコンプライアンスを必要とするものとして特徴付けることができる。同様に言えば、分流機構120を、医療従事者が、体液の第1量、すなわちプリサンプルをプリサンプルリザーバ170に最初に分流させることなく、体液の第2量すなわちサンプルを第1サンプル流体リザーバ180内に収集するのを防止するように構成することができる。このように、医療従事者は、体表微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質を含む可能性がより高い体液の第1量を、分析に使用される体液サンプル内に(意図的であっても無意図的であっても)含めることが防止される。他の実施形態では、流体収集デバイス100は、強制的コンプライアンスの特徴又は構成要素を含む必要はない。
【0038】
[1091] いくつかの実施形態では、分流機構120は、第1形態、第2形態及び第3形態とは異なる(
図1には示さない)第4形態を有することができる。第4形態にある時、分流機構120は、入口ポート121を、第1出口ポート125、第2出口ポート126及び任意選択的に第3出口ポートから同時に流体的に隔離することができる。従って、分流機構120がその第4形態にある時、入口ポート121からプリサンプル流体リザーバ170、第1サンプル流体リザーバ180及び第2サンプル流体リザーバ190に体液が流れることが防止される。使用時、例えば、分流機構120を、体液が入口ポート121からプリサンプル流体リザーバ170に流れることができるように分流機構120を第1形態に配置するように(例えば、手動で又は自動的に)作動させ、その後、体液が入口ポート121から第1サンプル流体リザーバ180に流れることができるように第2形態まで移動させ、任意選択的に、体液が入口ポート121から第2サンプル流体リザーバ190に流れることができるように第3形態に移動させることができ、その後、体液の分流機構120内への及び/又はそこを通る流れを停止させるように第4形態に移動させることができる。このように、デバイスは、デバイス100内のいかなる残留体液も汚染され及び/又は他の方法で医療従事者及び/又は患者をあり得る危険な流体にさらすことが防止されるように、有効に「ロックされ」かつ第4形態で自己完結する。この任意選択的な安全機能により、HIV、C型肝炎等の病原体が感染している可能性がある体液サンプルへのあり得る暴露を防止することができる。
【0039】
[1092] いくつかの実施形態では、収集デバイス100の1つ又は複数の部分は、(
図1には示さない)ハウジング内に配置されている。例えば、いくつかの実施形態では、分流機構120、第1プリサンプルリザーバ170並びにサンプルリザーバ180及び190のうちの1つ又は複数の少なくとも一部を、ハウジング内に配置することができる。こうした実施形態では、分流機構120の少なくとも一部は、使用者が、患者(例えば、静脈)から収集デバイス100への体液の流れを制御するように流量コントローラ140を作動させることができるように、ハウジングを通してアクセス可能である。好適なハウジングの例については、本明細書において具体的な実施形態を参照してより詳細に記載する。
【0040】
[1093] いくつかの実施形態では、収集デバイス100は、任意選択的に、収集デバイスを通して体液の流れを計量することができる1つ又は複数の流量計量デバイスを含むことができる。例えば、流量計量デバイスは、第1流体流路142及び/又は第2流体流路144に流体連通してそこを通る体液の流れを計量することができる。他の実施形態では、流量計量デバイスは、第1ポート125及び/又は第2ポート126に流体連通し及び/又は他の方法でそこに配置されることが可能である。流量計量デバイスは、プリサンプルリザーバ170、第1サンプルリザーバ180及び/又は第2サンプルリザーバ190に移送されている所定体積に関連する指示を使用者に提供するように構成することができるインジケータ等(例えば、ダイヤル、ディスプレイ、色、触覚出力デバイス、ワイヤレス無線信号、Bluetooth無線信号等の電気信号出力デバイス)を含むことができる。いくつかの実施形態では、流量計量デバイスを、例えば、上述したもののようなアクチュエータ等に動作可能に結合することができる。こうした実施形態では、流量計量デバイスは、流量計量デバイスを通して流れた体液の所望の体積に基づいて、流量コントローラ140をその第1形態とその第2形態との間で移動させるようにアクチュエータを作動させるように、動作可能であり得る。従って、流量計量デバイスを用いて、体液の所望の体積がプリサンプルリザーバ170、第1サンプルリザーバ180及び/又は第2サンプルリザーバ190に移送され、それにより、例えば患者サンプルに対する微生物検査等において不十分な、不正確な及び/又は誤った結果を防止することができることを確実にすることができる。
【0041】
[1094] ここで
図2~
図13を参照すると、収集デバイス200は、分流機構220、流量コントローラ240、プリサンプルリザーバ270、第1サンプルリザーバ280、及び第1サンプルリザーバ280とは異なる第2サンプルリザーバ290を含む。本明細書においてさらに記載するように、収集デバイス200を、例えば皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体外の微生物が実質的にない体液の流れを送出するために、第1形態、第2形態及び第3形態の間で移動させることができる。収集デバイス200は、いかなる好適な形状、サイズ又は構成でもあり得る。例えば、
図2~
図13ではサンプルリザーバ280及び/又は290がハウジング201に対して垂直に向けられているように示されているが、収集デバイス200は、ハウジング201に対して平面に向けられているか又はハウジング201に対して円錐状に配置されている等のサンプルリザーバ280及び/又は290を有することができる。
【0042】
[1095] 分流機構220は、ハウジング201及び可動部材250及び250’を含む。
図2~
図4に示すように、ハウジング201は、プリサンプルリザーバ270、第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290に結合されている。ハウジング201は、入口ポート221、第1出口ポート230、第2出口ポート231、第3出口ポート232を含み、患者から体液を収集するための流体流路を規定することができる内部流路235を規定している。入口ポート221を、内部流路235に流体連通するように選択的に配置することができる。より具体的には、入口ポート221は、内部流路235に流体連通するように配置することができる入口内腔202を規定している。このように、入口ポート221は、内部流路235を、入口内腔202を介してハウジング201の実質的に外側の空間に流体連通するように配置することができるように、ハウジング201の一部から延在している。入口ポート221を、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス200に輸送するための流体流路を規定する(図示せず)医療デバイスに流体的に結合することができる。例えば、入口ポート221を、アダプタ204を介して直接又は間接的に針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。同様に言えば、入口ポート221によって規定された入口内腔202は、内腔規定デバイスが入口ポート221に結合された時に内腔規定デバイスによって規定される内腔に流体連通するように配置される。さらに詳述すると、内腔規定デバイスが患者の身体の一部の中に(例えば、患者の静脈又は脊椎腔内に)配置されると、ハウジング201の内部流路235を、患者の身体のその部分に流体連通するように配置することができる。
【0043】
[1096] ハウジング201によって規定される内部流路235は、ハウジング201の長さに沿って延在する中心内腔であり、それを、本明細書に記載するように静脈穿刺(体液へのアクセスを可能にするために採用される他の方法)に続いて患者の体液に流体連通するように配置することができる。内部流路235は、入口ポート221と第1出口ポート230、第2出口ポート231及び第3出口ポート232との間で体液を移送する流体流経路を形成する。より具体的には、内部流路235が(例えば、入口ポート221に結合された医療デバイスを介して)患者に流体連通するように配置されると、第1出口ポート230、第2出口ポート231及び第3出口ポート232を、内部流路235に流体連通するように選択的に配置して、体液がプリサンプルリザーバ270、第1サンプルリザーバ280又は第2サンプルリザーバ290のうちの少なくとも1つに流れ込むのを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、体液は、体液の所定体積がプリサンプルリザーバ270内に収集される前に、第2出口ポート231及び第3出口ポート232に流れるのが防止される。いくつかの実施形態では、第2出口ポート231及び第3出口ポート232を、同時に内部流路235に流体連通するように配置することができる。いくつかの実施形態では、第2出口ポート231及び第3出口ポート232を、逐次内部流路235に流体連通するように配置することができる。
【0044】
[1097] 可動部材250、250’は、使用者によって、ハウジング201に対して第1位置及び第2位置から作動(例えば、移動)させて、流体流を第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290内に向けるように構成されている。可動部材250及び250’は、実質的に同じであり、従って、単一の可動部材250に関して記載する。
図5に示すように、可動部材250は、内部空洞252を規定するボス251と、入口ポート253と、第1出口ポート254と、内部空洞252に流体的に結合された内腔256を規定する穿孔部材255とを含む。入口ポート253及び出口ポート254は、可動部材250の内部チャンバ252を規定するボス251の壁を通って延在している。可動部材250は、ボス251がボア258(
図4参照)内に配置され、可動部材250の少なくとも一部が環状チャンバ260内に配置されるように、ハウジング201の支持体257(
図4参照)に取り付けられるように構成されている。任意選択的に、可動部材250を使用者が作動させた後にその第1位置に戻すように、付勢部材259(例えば、ばね)を環状チャンバ260内に配置することができる。いくつかの実施形態では、可動部材250、環状チャンバ260、ボア258又はボス251は、使用者によって作動された後に可動部材250を第2位置(例えば、押下位置)で保持するように構成された機械的係止機構を含むことができる。
【0045】
[1098] 本明細書に記載するように、第1形態では、可動部材250は、内部流路235から間隔を空けて配置されるように配置されている。こうした形態では、患者の身体の一部(例えば、静脈、脊椎腔等)とサンプルリザーバ280及び/又は290との間に、流体流路を確立することができない。言い換えれば、可動部材250がその第1形態にある時、第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290は、ハウジング201によって規定される内部流路235から流体的に隔離される。可動部材250を、使用者により、可動部材250を第1形態から第2形態にかつ内部流路235と整列するように移動させるように作動させることができる。使用者によってかけられる力は、付勢部材259を変形させる(例えば、圧縮する)のに十分である可能性があり、それにより、穿孔部材255をサンプルリザーバ280及び/又は290内に挿入することができる。第2形態では、入口ポート253及び出口ポート254は、内部流路235と実質的に位置合せされて、内部空洞252を内部流路235に流体連通するように配置する。従って、可動部材250が第2形態にある場合、内部流路235と、内部空洞252と、穿孔部材255の内腔256と、サンプルリザーバ280との間に流体流経路が確立される。言い換えれば、こうした形態では、本明細書においてさらに詳細に記載するように、体液は、患者(例えば、静脈、脊椎腔等)から分流機構220を通って、第1サンプルリザーバ280及び/又は第2サンプルリザーバ290内に流れ込むことができる。
【0046】
[1099] プリサンプルリザーバ270は、例えば、単回使用使い捨て収集チューブ、真空による収集チューブ等、体液を収容するあらゆる好適なリザーバであり得る。プリサンプルリザーバ270は、収集デバイス200の第1出口ポート230に(直接、又は滅菌可撓性管等の介在構造を介して)あらゆる好適な方法で流体的に結合されるように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ270の一部は、第1出口ポート230の一部の中に摩擦嵌めを形成することができる。他の実施形態では、プリサンプルリザーバ270を、ねじ結合、接着剤、スナップフィット、機械的締結具及び/又は他のあらゆる好適な結合方法を介して、第1出口ポート230に結合することができる。いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ270を、ハウジング201と一体的に形成することができる。プリサンプルリザーバ270を、体液を、真空吸引を介して入口ポート221から出口ポート230を通りプリサンプルリザーバ270に引き込むのを可能にすることができる負圧状態(真空状態)を(プリサンプルリザーバ270の)内部で維持するように構成することができる。プリサンプルリザーバ270は、体液の第1量を収容するように構成されており、そこでは、体液の第1量は所定量であることも未定量であることも可能であり、それにより、体液の第1量は、患者から後に抜き取られる体液の第2量及び/又は第3量から流体的に隔離される。
【0047】
[1100] サンプルリザーバ280及び/又は290は、単回使用使い捨て収集チューブ、真空による収集チューブ、上記参照により本明細書に組み込まれる‘420特許に記載されているようなサンプルリザーバ等を含む、体液を収容するあらゆる好適なリザーバであり得る。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ280及び/又は290は、例えばVacutainer(登録商標)等、既知のサンプル容器と実質的に同様であるか又は同じであり得る。サンプルリザーバ280及び290は、それぞれサンプル容器282及び292を含み、それぞれ真空シール284及び294を含む。真空シール284又は294は、サンプル容器282又は292それぞれ内部に、真空吸引を介して内部流路235からサンプル容器282又は292それぞれに体液が引き込まれるのを可能にすることができる負圧状態(真空状態)を維持する。サンプル容器280及び/又は290を、収集デバイス200の第2出口ポート231及び第3出口ポート232それぞれに(直接、又は滅菌可撓管等の介在構造を介して)あらゆる好適な方法で流体的に結合されるように構成することができる。サンプルリザーバ280及び/又は290を、出口ポート231及び/又は232に流体連通するように配置するように、出口ポート231及び/又は232に対して移動させることができる。サンプルリザーバ280及び290を、体液の第2量又は第3量を収容するように構成することができる。体液の第2量又は第3量は、所定量であることも未定量であることも可能であり、それにより、体液の第2量又は第3量は、患者から抜き取られる体液の第1量から流体的に隔離される。いくつかの構成では、サンプルリザーバ280及び/又は290を、プリサンプルリザーバ270と同様にハウジング201と一体的に形成することによって収集デバイス200に結合することができ、従って、それらについてはここでは詳細に記載しない。場合によっては、サンプルリザーバ280及び/又は290を透明とすることができ、それにより、使用者は、サンプルリザーバ280及び/又は290内への体液の流れを確認するように視覚的フィードバックを得ることができる。
【0048】
[1101] いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ280及び290と分流機構220(及び/又はサンプルリザーバ280及び290以外の収集デバイス200の部分)とは、独立して形成され(例えば、一体的に形成されず)例えば製造プロセス中に合わせて結合される。場合によっては、サンプルリザーバ280及び290を、実質的に滅菌又は密封環境(例えば、エチレンオキシド等で充填された環境)で分流機構220に結合することができる。従って、サンプルリザーバ280及び290と分流機構220との間のインタフェースは、使用前に実質的に滅菌される。さらに、収集デバイス200を、サンプルリザーバ280及び290と分流機構220との間に実質的滅菌インタフェースを維持するため等、事前組立式に輸送及び/又は保管することができる。
【0049】
[1102]
図6及び
図7に示すように、流量コントローラ240は、第1部材241及び第2部材245を含む。第1部材241は、ハウジング201の凹部266(例えば、
図4を参照)内に配置されるように構成され、第1部材241を、例えば、チタン、グラファイト、熱分解炭素、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エラストマー材料等、生体適合性であるあらゆる材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、第2部材245は、第1部材241を第1形態から第2形態に移動させるアクチュエータとしての役割を果たす。より具体的には、第1部材241が凹部266内に配置されると、第2部材245を、第1位置と第2位置との間で移動させて、流量コントローラ240を第1形態と第2形態との間で移動させることができる。いくつかの実施形態では、ハウジング201は、第2部材245のその第1位置からその第2位置への移動を選択的に制限することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング201を、第2位置に移動した第2部材245の移動を防止するように構成することができる。言い換えれば、ハウジング201は、第2部材245が第2位置から第1位置に戻るように移動するのを防止する係止機構を含むことができる。第2部材245及び/又はハウジング201はまた、第2部材245の正確な位置決めを確実にするように視覚的フィードバック又は触覚フィードバックを提供する機械的戻り止め及び/又は他のインジケータを含むことも可能である。
【0050】
[1103] 第1部材241は、静脈穿刺(及び/又は患者の体液にアクセスする他の方法)に続いて流体流を方向付ける複数のチャネルを含むことができる。例えば、
図6及び
図7に示すように、第1部材241は第1流路242及び第2流路244を含む。第2部材245が第1位置にある時(例えば、
図8及び
図9を参照)、流量コントローラ240は第1形態に配置され、第1流路242は、入口ポート221を内部流路235から流体的に隔離しながら、入口ポート221と第1出口ポート230との間に流体連通を確立する。第2部材245が第2位置にある時(例えば、
図10~
図13を参照)、流量コントローラ240は第2形態に配置され、第2流路244は、入口ポート221を第1出口ポート230から流体的に隔離しながら、入口ポート221と内部流路235との間に流体連通を確立する。患者と収集デバイス200との間で流体流をさらに方向付ける/隔離するように、追加の第1部材241の流路及び/又は流量コントローラ240の形態に対応する追加の第2部材245の位置を含めることができる。例えば、第2部材245は、患者と収集デバイス200との間の流体流を全体的に実質的に防止する、流量コントローラ240の第3形態に対応する第3位置を有することができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、すべての体液サンプルが患者から取り出された後に、収集デバイス200内のサンプルを外部環境から実質的に封止するように、ダイヤルを第3位置に移動させることができる。
【0051】
[1104] 動作時、収集デバイス200を使用して、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質からの汚染を低減して、患者から体液(例えば、血液)を収集することができる。例えば、収集デバイス200の入口ポート221は、アダプタ204を介して針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合される。静脈穿刺(又は他の体液アクセス方法)に続いて、第2部材245を、
図8及び
図9に示すように第1位置に達するまで回転させる。別法として、第2部材245を第1位置に事前設定することができ、収集デバイス200を、プリサンプルリザーバ270内の真空及び収集デバイス200の無菌状態を保持するように他の方法で封止することができる。例えば、入口ポート221及び/又はアダプタ204は、収集デバイス200が針又は他の内腔規定デバイスに結合された時に開放される弁を含むことができる。
【0052】
[1105] 上述したように、第2部材245が第1位置にある時、流量コントローラ240は第1形態に配置され、第1部材241の第1流路242は、入口ポート221を内部流路235から流体的に隔離しながら、入口ポート221と第1出口ポート230との間に流体連通を確立する。さらに、第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290は、第1形態では入口ポート221から流体的に隔離され、
図9において矢印AAによって示すように、患者の身体の一部(例えば、静脈)とプリサンプルリザーバ270との間に流体流路が規定される。上述したように、プリサンプルリザーバ270並びにサンプルリザーバ280及び290等、収集デバイス200で使用される流体リザーバを、負圧(すなわち、収集デバイス200が体液を抜き取るために使用されている身体の部分の流体圧力未満の圧力)を規定し、それにより、患者の身体の一部(例えば、静脈)とプリサンプルリザーバ270との間に流体連通が確立されると、プリサンプルリザーバ270内の負圧により、プリサンプルリザーバ270と患者の身体のその部分との間の圧力差によってプリサンプルリザーバ270内に体液が引き込まれるようになる。この第1形態では、流量コントローラ240はまた、プリサンプルリザーバ270を内部流路235から流体的に隔離する。従って、体液の第1量(所定量又は未定量)を、(例えば)静脈穿刺の直後にプリサンプルリザーバ270内に受け取り、後続するサンプルから隔離することができる。このように、収集デバイス200を用いて、体表微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質を含む可能性が最も高い体液の第1量が、診断又は汚染物質によって影響を受ける可能性がある他の検査のために収集され使用される体液サンプルの後続する量を汚染しないようにすることができる。
【0053】
[1106] プリサンプルリザーバ270内における体液プリサンプルの体積の収集に続いて、第2部材245を、
図10及び
図11に示すような第2位置に達するまで、回転させることができる。第2部材245が第2位置にある時、流量コントローラ240は第2形態に配置され、第1部材241の第2流路244は、第1出口ポート230(すなわち、プリサンプルリザーバ270)を入口ポート221から流体的に隔離しながら、入口ポート221と内部流路235との間に流体連通を確立する。言い換えれば、第2形態では、流量コントローラ240は、
図11において矢印BBによって示すように第2流路244を介して、患者の身体の一部(例えば、静脈)と内部流路235との間に流体流路を確立する。
【0054】
[1107] 流量コントローラ240が第2形態にある状態で、可動部材250及び/又は250’を使用者が第1位置から第2位置に作動させて(すなわち、押下して)、患者の身体の一部(例えば静脈)と第1サンプルリザーバ280及び/又は第2サンプルリザーバ290との間に流体連通を確立することができる。より具体的には、可動部材250は、その第1位置からその第2形態に移動して、
図12において矢印CCによって示すように、穿孔部材255が第1サンプルリザーバ280の真空シール284に穴をあけサンプル容器282内部に配置されことが可能であるように、穿孔部材255が出口ポート231を通過するようにする。第2位置にある時、可動部材250の入口ポート253及び出口ポート254は、内部流路235と実質的に位置合せされかつそれに流体連通し、それにより、体液が、内部流路235から可動部材250の内部空洞252内に、かつ穿孔部材255の内腔256から出て第1サンプルリザーバ280内に流れることができる。サンプルリザーバ280(例えば、真空又は負圧)と内部流路235との圧力差により、体液がサンプルリザーバ280内に引き込まれる。言い換えれば、第2形態では、
図12において矢印DDによって示すように、可動部材250は、内部流路235と第1サンプルリザーバ280との間に流体流路を確立する。第1サンプルリザーバ280に体液の所望の量(例えば、第2量)が収集されると、使用者は、可動部材250を解放して、付勢部材259がボタンをその第1位置に戻るように移動させるのを可能にすることができる。可動部材250がその第1位置に戻ると、穿孔部材255は第1サンプルリザーバ280から取り除かれ、シール284(例えば、自己封止膜(self sealing septum))が、第1サンプルリザーバ280を内部流路235から流体的に隔離する。
【0055】
[1108] 同様に、流量コントローラ240が第2形態にある間、
図13において矢印EEによって示すように、可動部材250’を、使用者がその第1位置から第2位置に作動させる(押下する)ことができる。このように、上述した可動部材250及び第1サンプルリザーバ280と同様の方法で、患者の身体の一部(例えば、静脈)と第2サンプルリザーバ290との間に(出口ポート232を介して)流体連通が確立される。言い換えれば、第2形態では、可動部材250’は、
図13において矢印FFによって示すように、内部流路235と第2サンプルリザーバ290との間に流体流路を確立する。第2サンプルリザーバ290内に体液の所望の量(例えば、第3量)が収集されると、使用者は、可動部材250’を解放して、付勢部材259’がボタン250’をその第1位置に戻るように移動させるのを可能にすることができる。逐次プロセスであるものとして示しかつ記載しているが、充填の順序及び/又は順序付けは必ずしも必要ではない(すなわち、サンプルリザーバ280は、必ずしもサンプルリザーバ290より前に充填されなくてもよい、等)。言い換えれば、流量コントローラ240が第2形態に移動すると、第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290(及び任意の追加のサンプルリザーバ)を、あらゆる順序で、同じ時点で(例えば、同時に)及び/又は一部が重なる時間間隔で充填することができる。例えば、使用者は、第1サンプルリザーバ280への充填を開始することができ、その後、第1サンプルリザーバ280が部分的に充填された後、使用者は、可動部材250’を押下して、第1サンプルリザーバ280が充填を終了している間に、第2サンプルリザーバ290への充填を開始するようにすることができる。さらに、サンプルリザーバ280及び/又は290内に収集された体液の体積の調整を、可動部材250及び/又は250’を繰り返し作動させる(挿入する)ことによって可能にすることができる。上述したように、第2部材245は、流量コントローラ240の第3形態に対応する第3位置を有することができ、それにより、患者と収集デバイス200との間の流体流を全体的に実質的に防止して、収集デバイス200内のサンプルを外部環境から実質的に封止することができる。
【0056】
[1109]
図2~
図13には示さないが、収集デバイス200は、プリサンプルリザーバ270、第1サンプルリザーバ280及び/又は第2サンプルリザーバ290に移送される体液の体積を計量するように構成することができる流量計量デバイス等を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、流量コントローラ240の第1部材241は、第1流路242及び第2流路244に流体連通している流量計量デバイスを含むことができる。他の実施形態では、流量計量デバイスを、可動部材250及び/又は250’の内部空洞252内に配置することができる。従って、第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290に移送されかつその中に配置される体液サンプルの体積を、各サンプルリザーバ280及び290内に配置される体液サンプルの体積が例えば10mL、20mL、30mL等の所定体積であるように、計量し及び/又は制御することができる。
【0057】
[1110] 収集デバイス200は、第1サンプルリザーバ280及び第2サンプルリザーバ290を含むものとして示されかつ記載されているが、他の実施形態では、あらゆる数のプリサンプルリザーバ及び/又はサンプルリザーバを含むことができる。例えば、
図14及び
図15は、実施形態による収集デバイス300を示す。図示するように、収集デバイス300のいくつかの態様は、
図2~
図13を参照して上述した収集デバイス200の対応する態様に実質的に同様であり得る。従って、同様の態様については本明細書ではそれ以上詳細には記載しない。
【0058】
[1111]
図14及び
図15に示すように、収集デバイス300は、分流機構320、流量コントローラ340、プリサンプルリザーバ370、第1サンプルリザーバ380、第2サンプルリザーバ380’、第3サンプルリザーバ390及び第4サンプルリザーバ390’を含む。プリサンプルリザーバ370は、詳細に上述したプリサンプルリザーバ270と実質的に同様であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ380、380’、390及び390’は、詳細に上述したサンプルリザーバ280及び290と実質的に同様であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ380、380’、390及び390’は、実質的に同じ形状及びサイズを有することができ、例えば、実質的に同じ培地を含むことができる。他の実施形態では、サンプルリザーバ380、380’、390及び390’は、実質的に同じ形状及びサイズを有することができ、好気性菌用培地又は嫌気性菌用培地のうちの一方を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1サンプルリザーバ380及び第3サンプルリザーバ390は好気性菌用培地を含むことができ、第2サンプルリザーバ380’及び第4サンプルリザーバ390’は嫌気性菌用培地を含むことができる。他の実施形態では、サンプルリザーバ380、380’、390及び390’は、各々、好気性菌用培地又は嫌気性菌用培地をあらゆる配置又は組合せで含むことができる。
【0059】
[1112] 分流機構320は、ハウジング301と一組の可動部材350、350’、350’’及び350’’’とを含む。可動部材350、350’、350’’及び350’’’は、例えば、
図5を参照して上述した可動部材250と実質的に同様である。従って、可動部材350、350’、350’’及び350’’’を、サンプルリザーバ380、380’、390及び390’それぞれに流体連通して配置されるように、ハウジング301に対して第1位置と第2位置との間で移動させることができる。ハウジング301は、入口ポート321と、プリサンプルリザーバ370に流体連通するように配置されるように構成された第1出口ポート330と、第1サンプルリザーバ380に流体連通するように配置されるように構成された第2出口ポート331と、第2サンプルリザーバ380’に流体連通するように配置されるように構成された第3出口ポート332と、第3サンプルリザーバ390’に流体連通するように配置されるように構成された第4出口ポート333と、第4サンプルリザーバ390’に流体連通するように配置されるように構成された第5出口ポート334とを含む。さらに、ハウジング301は、ハウジング201の内部流路235に関して上述したものと同様の方法で、入口ポート321並びに出口ポート331、332、333及び334に流体連通するように選択的に配置することができる内部流路335を規定している。
【0060】
[1113] 流量コントローラ340は、例えば、
図6~
図13を参照して上述した流量コントローラ240と実質的に同様である。従って、流量コントローラ340を、第1形態と第2形態との間で回転させて、患者とプリサンプルリザーバ370又はサンプルリザーバ380、380’、390及び390’との間に流体流路の一部を選択的に規定することができる。このように、使用者は、
図8~
図13において収集デバイス200に関して上述したものと同様の方法で、収集デバイス300を操作することができる。従って、体液の第1体積をプリサンプルリザーバ370に移送しかつその中に配置することができ、体液の後続する体積を、サンプルリザーバ380、380’、390及び390’に移送しかつその中に配置することができる。
【0061】
[1114]
図16~
図22は、実施形態による収集デバイス400を示す。収集デバイス400は、分流機構420、流量コントローラ440並びにサンプルリザーバ480、480’、490及び490’を含む。本明細書においてさらに記載するように、収集デバイス400を、第1形態、第2形態、第3形態、第4形態及び第5形態の間で移動させて、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体外の微生物が実質的にない体液の流れを送出することができる。収集デバイス400は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、
図16~
図22において、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’がハウジング401に対して垂直に向けられて示されているが、収集デバイス400は、ハウジング401に対してあらゆる好適な平面において向けられ、又はハウジング401に対して円錐状に配置される等のサンプルリザーバ480、480’、490及び490’を有することができる。
【0062】
[1115] サンプルリザーバ480、480’、490及び490’は、収集デバイス200のサンプルリザーバ280及び/又は290と形態及び機能が実質的に同様であるか又は同じであり、従って、本明細書では詳細には記載しない。上述したように、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’は、吸引を介して患者からサンプルリザーバ480、480’、490及び490’に体液を引き込むのを可能にすることができる負圧状態(真空状態)を維持する。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ480及び480’を好気性菌用培養ボトルとすることができ、サンプルリザーバ490及び490’を嫌気性菌用培養ボトルとすることができ、収集デバイス400を用いて、1回の静脈穿刺から複数の好気性菌用血液培養サンプル及び複数の嫌気性菌用血液培養サンプルを収集することができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’を、各々、体液サンプルのある体積を受け取るように分流機構420の少なくとも一部に流体連通するように配置することができる。体液サンプルの体積は、所定量でも未定量であり得る。さらに、サンプルリザーバ480、480’、490、490’内に体液の所望の体積が配置されると、本明細書においてさらに詳細に記載するように、各サンプルリザーバ480、480’、490及び490’を、分流機構420の少なくとも一部から流体的に隔離することができる。
【0063】
[1116] 分流機構420は、ハウジング401及び分配部材429を含む。分流機構420のハウジング401は、分配部材429に物理的にかつ流体的に結合され、患者から体液を収集する一組の流体流経路を提供し及び/又は規定している。ハウジング401は、凹部466及び一組の出口開口部403を規定している。凹部466は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、流量コントローラ440に含まれるシール部材441を受け入れるように構成されている。出口開口部403の組は、各々が、分配部材429の異なる部分に流体連通している異なる流体流路を規定するように構成されている、第1出口開口部403a、第2出口開口部403b、第3出口開口部403c、第4出口開口部403d及び第5出口開口部403eを含む。より具体的には、分配部材429は、第1出口開口部403aに流体連通しているプリサンプルリザーバ470の少なくとも一部と、第2出口開口部403bに流体連通している第1流路435a、第3出口開口部403に流体連通している第2流路435b、第4出口開口部403dに流体連通している第3流路435c及び第5出口開口部403eに流体連通している第4流路435とを規定し及び/又は形成している。
【0064】
[1117]
図17及び
図18に示すように、分配部材429は、プリサンプルリザーバ470の少なくとも一部を規定するチャンバ又は空間を規定している。プリサンプルリザーバ470は、例えば、血液、血漿、尿等の体液を収容するように構成されている。ハウジング401の第1出口開口部403aを、プリサンプルリザーバ470が患者から体液の流れを受け取るのを可能にするように、プリサンプルリザーバ470の開放部分と実質的に位置合せすることができる。例えば、プリサンプルリザーバ470は、体液の第1量又は第1体積を受け取りかつ収容することができ、ここで、体液の第1量は、所定量でも未定量でもあり得る。さらに、分流機構420の配置を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、プリサンプルリザーバ470が流路435a、435b、435c及び435d並びに/又は患者から抜き取られた体液の後続する体積から流体的に隔離して維持されるというものとすることができる。プリサンプルリザーバ270及び370を、負圧を維持するものとして上述しているが、プリサンプルリザーバ470は、負圧状態(真空状態)を維持せず、従って、例えば重力等の他の機構を用いて、体液をプリサンプルリザーバ470内に引き込むことができる。
【0065】
[1118] 流路435a~435dは、分配部材429の中心から放射状に延在し、各流路435a、435b、435c及び435dがプリサンプルリザーバ470及び他の流路から流体的に隔離されるように配置されている。このように、流路435a、435b、435c及び435dは、出口開口部403b、403c、403d及び403eそれぞれと実質的に位置合せされる第1端部と第2端部との間で流体流路を方向付け及び/又は他の方法で規定することができる。
図17及び
図18に示すように、分配部材429は、第1流路435aの第2端部に配置された第1出口ポート431と、第2流路435bの第2端部に配置された第2出口ポート432と、第3流路435cの第2端部に配置された第3出口ポート433と、第4流路435dの第2端部に配置された第4出口ポート434とを規定している。さらに、分配部材429は、第1穿孔部材455a、第2穿孔部材455b、第3穿孔部材455c及び第4穿孔部材455dを含み、それらは、第1出口ポート431、第2出口ポート432、第3出口ポート433及び第4出口ポート434それぞれに、物理的にかつ流体的に結合されている。従って、本明細書においてさらに詳細に記載するように、穿孔部材455a~355dを用いて、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’の真空シールに穴をあけることができ、それにより、体液の流れを開始することができる。
図17及び
図18には示さないが、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’を、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’が出口ポート431、432、433及び434それぞれに流体連通するように配置されるのを可能にすることができるあらゆる好適な方法で、分配部材429の一部に(直接、又は滅菌可撓性管等の介在構造を介して)物理的に結合することができる。
【0066】
[1119] 流量コントローラ440は、ダイヤル445及びシール部材441を含む。シール部材441は、ハウジング401の凹部466内に配置される(例えば、
図20を参照)。より詳細には、流量コントローラ440を、シール部材441が凹部466を規定するハウジング401の表面とダイヤル445の表面との間にかつそれらと接触して配置されるように、ハウジング401に結合することができる。さらに、シール部材441は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、流量コントローラ440がハウジング401に結合された時、シール部材441が、ダイヤル445の表面及び凹部466を規定するハウジング401の表面と実質的流体密封シールを形成するような、サイズ及び形状を有することができる。シール部材441を、例えば、シリコーン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、エチレン-ビニルアセテート及び他のアシル置換セルロースアセテートのポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホネートポリオレフィン、ポリエチレンオキシド並びに/又はそれらの混合物及びコポリマー等、生体適合性であるあらゆる材料から作製することができる。
【0067】
[1120]
図17に示すように、シール部材441は、静脈穿刺(又は体液にアクセスする他の方法)に続いて体液の流れを方向付けることができる一組の開口部444を規定している。例えば、シール部材441によって規定される一組の開口部444は、第1開口部444a、第2開口部444b、第3開口部444c、第4開口部444d及び第5開口部444eを含む。シール部材441の配置は、シール部材441が凹部446内に配置された時、第1開口部444a、第2開口部444b、第3開口部444c、第4開口部444d及び第5開口部444eが、ハウジング401の第1出口開口部403a、第2出口開口部403b、第3出口開口部403c、第4出口開口部403d及び第5出口開口部403eそれぞれと実質的に位置合せされる、というものである。
【0068】
[1121] 流量コントローラ440のダイヤル445は、ハウジング401に回転可能に結合され、かつハウジング401に対する第1位置、第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置の間で移動可能である。ダイヤル445は、内腔402を規定する入口ポート421を含む。入口ポート421を、患者の体内から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス400に輸送するための流体流経路を規定する(図示せず)医療デバイスに流体的に結合することができる。例えば、入口ポート421を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に直接又はアダプタ404を介して間接的に流体的に結合することができる。同様に言えば、入口ポート421によって規定される入口内腔402は、内腔規定デバイスが入口ポート421に結合された時、内腔規定デバイスによって規定される内腔に流体連通するように配置される。このように、入口ポート421を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、プリサンプルリザーバ470、第1サンプルリザーバ480、第2サンプルリザーバ480’、第3サンプルリザーバ490及び第4サンプルリザーバ490’を、患者に流体連通するように選択的に配置するように構成することができる。
【0069】
[1122] 上述したように、ダイヤル445は、第1位置、第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置の間で移動可能である。ダイヤル445が第1位置にある時、流量コントローラ440は第1形態で配置され、入口ポート421を、シール部材441の第1開口部444a及びハウジング401の第1出口開口部403aと実質的に位置合せすることができる。このように、シール部材441の第1開口部444aは、入口ポート421を出口開口部403b、403c、403d及び403eから流体的に隔離し、それにより入口ポート421を流路435a~335dから流体的に隔離しながら、入口ポート421と第1出口開口部403aとの間に流体連通を確立する。第1出口ポート403aがプリサンプルリザーバ470の開放部分と位置合せされると、第1開口部444a及び第1出口開口部403aは、入口ポート421とプリサンプルリザーバ470との間に流体連通を確立する。ダイヤル445が第2位置まで回転した(又は駆動された)時、流量コントローラ440は第2形態に配置され、第2出口開口部444bは、入口ポート421を出口開口部403a、403c、403d及び403eから流体的に隔離しながら、入口ポート421と第2出口開口部403bとの間に流体連通を確立する。第2出口開口部403bが第1流路435aの第1端部と位置合せされると、第2開口部444b及び第2出口開口部403bは、入口ポート421と第1流路435aとの間に流体連通を確立する。
【0070】
[1123] 収集デバイス400は、ダイヤル445が第3位置、第4位置及び第5位置まで回転した時、同様に作用する。従って、入口内腔402が(例えば、入口ポート421に結合された医療デバイスを介して)患者に流体連通するように配置されると、第1出口ポート430、第2出口ポート431、第3出口ポート432、第4出口ポート433及び第5出口ポート434を、入口内腔402に流体連通するように選択的に配置して、体液のすべてがプリサンプルリザーバ470のうちの少なくとも1つ、又はサンプルリザーバ480、480’490及び490’のうちの1つあるいは複数に流れ込むのを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、患者と収集デバイス400との間で流体流をさらに方向付け/隔離するために、追加のシール出口開口部及び/又は流量コントローラ440の形態に対応する追加のダイヤル445の位置を含めることができる。例えば、ダイヤル445は、患者と収集デバイス400との間の流体流を全体として実質的に防止する、流量コントローラ440の第6形態に対応する第6位置を有することができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、すべての体液サンプルが患者から取り出された後、収集デバイス400内のサンプルを外部環境から実質的にシールするようにダイヤル445を第6位置に移動させることができる。
【0071】
[1124] いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバ470内に体液の所定体積が収集される後まで、体液は、サンプルリザーバに関連する出口ポート(例えば、出口ポート431~434)に流れるのが防止される。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバに関連する出口ポート(例えば、出口ポート431~434)を、逐次的にのみ、入口内腔402に流体連通するように配置することができる(例えば、出口ポート431は、出口ポート432の前に入口内腔402に流体連通しなければならない、等)。いくつかの実施形態では、後続するサンプルリザーバに関連する出口ポート(例えば、出口ポート432~434)を、体液の確定された体積が収集された後にのみ、入口内腔402に流体連通するように配置することができる。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバに関連する出口ポート(例えば、出口ポート431~434)を、いかなる順序の優先もなくあらゆるランダムな方法で入口内腔402に流体連通するように配置することができる(例えば、出口ポート434は、出口ポート431の前に入口内腔402に流体連通することができ、出口ポート432は、出口ポート433の前に入口内腔402に流体連通することができる等)。
【0072】
[1125] いくつかの実施形態では、ハウジング401は、ダイヤル445のその第1位置からその第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置への移動を選択的に制限することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング401を、第5位置まで移動したダイヤル445の移動を防止するように構成することができる。言い換えれば、ハウジング401は、ダイヤル445が第5位置から第1位置に戻るように移動するのを防止する係止機構を含むことができる。ダイヤル445及び/又はハウジング401は又はウジング401の出口開口部403a~403eに対するダイヤル445の正確な位置決めを確実にするように視覚的フィードバック又は触覚フィードバックを提供する、機械的戻り止め及び/又は他のインジケータを含むことも可能である。
【0073】
[1126] 動作時、収集デバイス400を用いて、汚染を低減して患者から体液(例えば、血液、血漿、尿等)を収集することができる。例えば、収集デバイス400の入口ポート421を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。静脈穿刺(又は体液にアクセスする他の方法)に続いて、
図19及び
図20に示すように、ダイヤル445が第1位置に達するまで駆動される(又は回される)。別法として、ダイヤル445を第1位置に事前設定することができ、収集デバイス400を、収集デバイス400の無菌状態を維持するように他の方法で封止することができる。例えば、入口ポート421は、収集デバイス400が針又は他の内腔規定デバイスに結合されると開放する弁を含むことができる。
【0074】
[1127] 上述したように、ダイヤル445が第1位置にある時、流量コントローラ440は第1形態に配置され、シール部材441の第1開口部444aは、入口ポート421を4つの流路435a~335dから流体的に隔離しながら、(ハウジング401内に含まれる)入口ポート421と第1出口ポート430との間で流体連通を確立する。さらに、サンプルリザーバ480、480’、490及び490’は、第1形態では入口ポート421から流体的に隔離されており、
図20において矢印GGによって示すように、患者の身体の一部(例えば、静脈)とプリサンプルリザーバ470との間に、流体流路が規定される。この第1形態では、体液は、患者の身体のその部分から入口ポート421の入口内腔402、シール部材441の第1開口部444a、第1出口ポート430を通り、プリサンプルリザーバ470内に(例えば、重力、真空等により)流れ込む。第1形態では、流量コントローラ440はまた、プリサンプルリザーバ470を流路435a~335dから流体的に隔離する。従って、体液の第1量(所定量又は未定量)を、静脈穿刺の直後にプリサンプルリザーバ470内に受け取り、後続するサンプルから隔離することができる。このように、収集デバイス400を用いて、体表微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質を含む可能性が最も高い体液の第1量が、診断又は汚染物質によって影響を受ける可能性がある他の試験に対して収集され使用される体液サンプルの後続する量を汚染しないようにすることができる。
【0075】
[1128] プリサンプルリザーバ470内への体液プリサンプルの収集に続き、
図21及び
図22に示すように、ダイヤル445を、第2位置に達するまで作動させる(回転させる)ことができる。ダイヤル445が第2位置にある時、流量コントローラ440は第2形態に配置され、シール部材441の第2開口部444bは、プリサンプルリザーバ470を入口ポート421から流体的に隔離しながら、入口ポート421と流路435aとの間に流体連通を確立する。言い換えれば、第2形態では、
図22において矢印HHによって示すように、流量コントローラ440は、患者の身体の一部(例えば、静脈)と流路435aとの間に流体流路を確立する。流量コントローラ440が第2形態にある状態で、サンプルリザーバ480を、使用者が、第1形態から第2形態に作動させて(例えば、穿孔部材455aを押して)患者の身体の一部(例えば、静脈)と第1サンプルリザーバ480との間に流体連通を確立することができる。
【0076】
[1129] 上述したように、サンプルリザーバ480を第2形態に移動させることにより、穿孔部材455aが、サンプルリザーバ480の真空シールに穴をあけでサンプルリザーバ480の内側に配置される。この第2形態では、患者の身体の一部(例えば、静脈)が、サンプルリザーバ480内の負圧状態(真空)によるサンプルリザーバ480からの真空吸引力にさらされる。サンプルリザーバ480(例えば、真空又は負圧)と患者の身体のその部分との圧力差により、サンプルリザーバ480内に体液が引き込まれる。体液は、患者の身体のその部分から、入口ポート421の入口内腔402、シール部材441の第2開口部444b、ハウジング401の第2出口開口部403bを通って、第1流路435a内に流れ込む。真空吸引により、体液の流れが第1流路435aを通って、第2出口ポート431及び穿孔部材455aを介してサンプルリザーバ480内に引き込まれる。言い換えれば、第2形態では、流量コントローラ440は、入口ポート421とサンプルリザーバ480との間に流体流路を確立する。サンプルリザーバ480内に体液の所望の量(例えば、第2量)が収集されると、使用者は、流量コントローラ440を第3位置まで作動させ(回転させ)、及び/又はサンプルリザーバ480をその第1形態に戻るように移動させて、第1サンプルリザーバ480を流路435aから隔離することができる。サンプルリザーバ480が第1形態に戻ると、穿孔部材455aはサンプルリザーバ480から取り除かれ、サンプルリザーバ480のシール(例えば、自己封止膜)が、第1サンプルリザーバ480を流路435aから隔離する。他のサンプルリザーバの充填は、流量コントローラ440が第3形態、第4形態及び第5形態それぞれに配置されて同様に行われる。
【0077】
[1130] 充填の順序及び/又は順序付けは必ずしも必要ではない(すなわち、サンプルリザーバ480は必ずしもサンプルリザーバ490の前に充填されなくてもよい等)ことに留意されたい。言い換えれば、第1サンプルリザーバ480及び第2サンプルリザーバ490(及び任意の追加のサンプルリザーバ)をあらゆる順序で充填することができる。例えば、使用者は、第1サンプルリザーバ480の充填を開始することができ、その後、第1サンプルリザーバ480が部分的に充填された後、使用者は第2サンプルリザーバ490を充填することができる。さらに、サンプルリザーバ480及び/又は490内に収集された体液の体積の調整を、サンプルリザーバ480及び/又は490の繰り返される充填によって可能とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、充填の順序を、体液の指定された量が第1リザーバ内に配置されたことが確認されるまで、第2サンプルリザーバにアクセスすることができない等のように、機械的に操作することができる。上述したように、ダイヤル445は、患者と収集デバイス400との間の流体流を全体として実質的に防止して、収集デバイス400内のサンプルを外部環境から実質的に封止することができる、流量コントローラ440の第6形態に対する第6位置を有することができる。
【0078】
[1131] 収集デバイス400を、4つのサンプルリザーバの組(例えば、第1サンプルリザーバ480、第2サンプルリザーバ480’、第3リザーバ490及び第4リザーバ490’)を含み及び/又はそれらに他の方法で結合しているものとして上に示し記載しているが、他の実施形態では、収集デバイスは、あらゆる好適な数のサンプルリザーバを含むことができ及び/又はそれらに結合され得る。例えば、
図23~
図25は、実施形態による収集デバイス500を示す。図示するように、収集デバイス500のいくつかの態様は、
図16~
図22を参照して上述した収集デバイス500の対応する態様と実質的に同様であり得る。従って、同様の態様については本明細書ではそれ以上詳細には記載しない。
【0079】
[1132] 収集デバイス500は、分流機構520、流量コントローラ540、第1サンプルリザーバ580及び第2サンプルリザーバ590を含む。サンプルリザーバ580及び590は、詳細に上述したサンプルリザーバと実質的に同様であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ580及び590は、実質的に同じ形状及びサイズを有することができ、実質的に同じ培地を含むことができる。他の実施形態では、サンプルリザーバ580及び590は、実質的に同じ形状及びサイズを有することができ、好気性菌用培地又は嫌気性菌用培地のうちの一方を含むことができる。さらに他の実施形態では、第1サンプルリザーバ580は、第2サンプルリザーバ590のサイズより実質的に大きい第1サイズを有することができる。
【0080】
[1133]
図24及び
図25に示すように、分流機構520は、ハウジング501及び分配部材529を含む。分流機構520のハウジング501は、分配部材529に物理的にかつ流体的に結合されており、患者から体液を収集する一組の流体流経路を提供し及び/又は規定している。ハウジング401に関して上述したように、ハウジング501は、凹部と、第1出口開口部503a、第2出口開口部503b及び第3出口開口部503cとを規定することができる。凹部は、詳細に上述したように、流量コントローラ540に含まれるシール部材541を受け入れるように構成されている。第1出口開口部503a、第2出口開口部503b及び第3出口開口部503cは、ハウジング401によって規定された第1出口開口部403a、第2出口開口部403b及び第3出口開口部403cそれぞれと形態及び機能が実質的に同様であり得る。同様に、分配部材529は、分流部材429に含まれるプリサンプルリザーバ470、第1流路435a及び第2流路435bと実質的に同様である、プリサンプルリザーバ470、第1流路435a及び第2流路435bを規定している。従って、分流機構420に関して上述したように、プリサンプルリザーバ570は、第1出口開口部503aに流体連通しており、第1流路535aは、第2出口開口部503bに流体連通しており、第2流路535bは、第3出口開口部503cに流体連通している。
図25に示すように、分配部材529は、第1流路535a及び第1穿孔部材555aに流体連通している第1出口ポート531と、第2流路535b及び第2穿孔部材555bに流体連通している第2出口ポート532とを規定している。上述したように、穿孔部材555a及び555bを用いて、本明細書においてさらに詳細に記載するように、サンプルリザーバ580及び590の真空シールに穴をあけることができ、それにより、体液の流れを開始することができる。
【0081】
[1134] 流量コントローラ540は、ダイヤル545及びシール部材541を含む。シール部材541は、上述したように、ハウジング501の凹部内に配置される。このように、流量コントローラ540がハウジング501に結合されると、シール部材541は、ダイヤル545の表面及び凹部を規定するハウジング501の表面と実質的流体密封シールを形成する。
図24及び
図25に示すように、シール部材541は、シール部材441に関して詳細に上述したように、第1出口開口部503a、第2出口開口部503b及び第3出口開口部503cそれぞれと実質的に位置合せされる、第1開口部544a、第2開口部544b及び第3開口部544cを規定している。
【0082】
[1135] 流量コントローラ540のダイヤル545は、ハウジング501に結合されるのに好適なサイズを有していながら、ダイヤル445と形態及び機能が実質的に同様であり得る。従って、ダイヤル545を、ハウジング501に回転可能に結合し、ハウジング501に対して第1位置、第2位置及び第3位置の間で移動可能とすることができる。ダイヤル545は、内腔502を規定する入口ポート521を含み、入口ポート521を、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス500に輸送するための流体流経路を規定する医療デバイス(図示せず)に流体的に結合することができる。このように、入口ポート521を、プリサンプルリザーバ570、第1サンプルリザーバ580及び第2サンプルリザーバ590を選択的に配置するように構成することができる。より詳細には、ダイヤル545が第1位置にある時、流量コントローラ540は第1形態に配置され、入口ポート521は、シール部材541の第1開口部544a及びハウジング501の第1出口開口部503aと実質的に位置合せされる。このように、収集デバイス400に関して詳細に上述したように、シール部材541の第1開口部544aは、入口ポート521と第1出口開口部503aとの間に流体連通を確立し、従って、入口ポート521を、プリサンプルリザーバ570に流体連通するように配置する。同様に、ダイヤル545が第2位置まで回される(又は駆動される)と、流量コントローラ540は第2形態に配置され、第2出口開口部544bは、入口ポート521と第2出口開口部503b、従って第1流路535aとの間に流体連通を確立し、ダイヤル545が第3位置まで回されると、流量コントローラ540は第3形態に配置され、第3出口開口部544cは、入口ポート521と第3出口開口部503c、従って第2流路535aとの間に流体連通を確立する。このように、収集デバイス400に関して詳細に上述したように、収集デバイス500を、プリサンプル570に体液の第1体積を移送するために使用し、その後、第1サンプルリザーバ580及び第2サンプルリザーバ590それぞれに体液の第2体積及び第3体積を移送するために使用することができる。
【0083】
[1136]
図26~
図33は、実施形態による収集デバイス600を示す。収集デバイス600は、分流機構620、流量コントローラ640並びにサンプルリザーバ680、680’、690及び690’を含む。本明細書においてさらに記載するように、収集デバイス600を、第1形態、第2形態、第3形態、第4形態及び第5形態の間で移動させて、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体外の微生物が実質的ない体液の流れを送出することができる。収集デバイス600は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、収集デバイス600の態様及び/又は部分は、上述した収集デバイス100、200、300、400及び/又は500のいずれかの対応する態様及び/又は部分と形態及び/又は機能が同様であり得る。従って、こうした同様の態様及び/又は部分については、本明細書ではそれ以上詳細には記載しない。例として、いくつかの実施形態では、収集デバイス600のサンプルリザーバ680、680’、690及び690’は、
図16~
図22の収集デバイス400に含まれるサンプルリザーバ480、480’、490及び490’それぞれと形態及び/又は機能が実質的に同様であり及び/又は同じであり得る。
【0084】
[1137] 分流機構620は、分配部材629並びに一組の結合部材637a、637b、637c及び637dを含む(例えば、
図27を参照)。分配部材629は、結合部材637a、637b、637c及び637dに流体連通しており、患者から体液を収集する一組の流体流経路を提供し及び/又は規定するように構成されている。
図27及び
図28に示すように、分配部材629は、プリサンプルリザーバ670に流体連通している第1出口ポート630と、第1結合部材637aに流体連通している第2出口ポート631と、第2結合部分637bに流体連通している第3出口ポート632と、第3結合部分637cに流体連通している第4出口ポート633と、第4結合部分637dに流体連通している第5出口ポート634とを規定し及び/又は形成している。
【0085】
[1138]
図28に示すように、分配部材629は、プリサンプルリザーバ670の少なくとも一部を規定するチャンバ又は空間を規定している。プリサンプルリザーバ670は、例えば、血液、血漿、尿等の体液を収容するように構成されている。例えば、プリサンプルリザーバ670は、患者から体液の第1量又は第1体積を受け取りかつ収容することができ、そこでは、体液の第1量は所定量でも未定量でもあり得る。さらに、分流機構620及び流量コントローラ640の配置は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、プリサンプルリザーバ670が結合部分637a、637b、637c及び637d並びに/又は患者から抜き取られる体液の後続する体積から流体的に隔離されて維持されるというものであり得る。このように、出口ポート631、632、633及び634は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、流量コントローラ640と結合部材637a、637b、637c及び637dそれぞれとの間に流体流路を方向付け及び/又は他の方法で規定することができる。いくつかの実施形態では、第1出口ポート630及びプリサンプルリザーバ670の配置は、プリサンプルリザーバ470及び/又は570と形態及び機能が実質的に同様であり得る。従って、プリサンプルリザーバ670について、本明細書ではそれ以上詳細には記載しない。
【0086】
[1139]
図29に示すように、第1結合部材637aは、穿孔部材655aに流体的に結合されている流路638aを規定している。上述したように、結合部材637aを、分配部材629に物理的にかつ流体的に結合することができる。例えば、流路638aは、分配部材の第2出口ポート631の一部を受け入れて、結合部材637aをそれに物理的にかつ流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、第2出口ポート631の表面は、流路638aを規定する結合部分637aの内面と実質的流体密封シール(例えば、実質的気密シールを形成することができる摩擦嵌め)を形成することができる。結合部分637aの穿孔部材655aは、
図16~
図22の収集デバイス400に含まれる穿孔部材455aと形態及び機能が実質的に同様であり得る。従って、穿孔部材655aについては本明細書ではそれ以上記載しない。第2結合部材637b、第3結合部材637c及び第4結合部材637dは同様に配置される。従って、第2結合部材637b、第3結合部材637c及び第4結合部材637dは各々、穿孔部材655b、655c及び655dそれぞれを含み、各々、流路638b、638c及び638dそれぞれを規定している。本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1結合部材637a、第2結合部材637b、第3結合部材637c及び第4結合部材637dを用いて、分流機構620を、第1サンプルリザーバ680、第2サンプルリザーバ680’、第3サンプルリザーバ690及び第4サンプルリザーバ690’それぞれに流体連通するように選択的に配置することができる。
【0087】
[1140]
図30及び
図31に示すように、流量コントローラ640は、ダイヤル645及びシール部材641を含む。流量コントローラ640のダイヤル645は、分配部材629内に回転可能に配置され(
図32及び
図33を参照)、第1位置、第2位置、第3位置及び第4位置の間で移動可能である。ダイヤル645は、各々が内部空間646に流体連通している入口ポート621、第1出口ポート647及び第2出口ポート648を含む(例えば、
図30を参照)。内部空間646は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、シール部材641の一部を受け入れるように構成されている。入口ポート621を、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス600に輸送するための流体流経路を規定する(図示せず)医療デバイスに流体的に結合することができる。例えば、入口ポート621を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に直接又はアダプタ604(例えば、
図26及び
図27を参照)を介して間接的に流体的に結合することができる。第1出口ポート647は、プリサンプルリザーバ670に流体連通している。例えば、第1出口ポート647を、分配部材629の第1出口ポート630内に回転可能に配置することができる。ダイヤル645が、その第1位置、第2位置、第3位置及び第4位置にそれぞれある時、第2出口ポート648を、第2出口ポート631、第3出口ポート632、第4出口ポート633及び第5出口ポート634に流体連通するように選択的に配置することができる。このように、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ダイヤル645の内部空間646を、プリサンプルリザーバ670、第1サンプルリザーバ680、第2サンプルリザーバ680’、第3サンプルリザーバ690及び第4サンプルリザーバ690’に流体連通するように選択的に配置することができる。
【0088】
[1141] 流量コントローラ640のシール部材641の少なくとも一部が、ダイヤル645の内部空間646内に回転可能に配置され、第1位置と第2位置との間で移動可能である。さらに、シール部材641は、シール部材641の外面が、内部空間646の少なくとも一部を規定するダイヤル645の内面と実質的流体密封シールを形成するようなサイズ及び形状を有することができる。
図31に示すように、シール部材641は、第1流路642及び第2流路644を規定している。シール部材641が内部空間646内でその第1位置にある時、流路642は、入口ポート621を第2出口ポート648から流体的に隔離しながら、入口ポート621と第1出口ポート647との間に流体連通を確立する。同様に、シール部材641が内部空間646内でその第2位置にある時、第2流路644は、入口ポート621を第1出口ポート647から流体的に隔離しながら、入口ポート621と第2出口ポート648との間に流体連通を確立する。収集デバイス600は、ダイヤル645が分配部材629内で第2位置、第3位置及び第4位置まで回転する時に同様に作用する。従って、入口ポート621が(例えば、入口ポート621及び/又はアダプタ604に結合された医療デバイスを介して)患者に流体連通するように配置されると、分配部材629の第1出口ポート630、第2出口ポート631、第3出口ポート632、第4出口ポート633及び第5出口ポート634を、入口ポート621に流体連通するように選択的に配置して、体液がプリサンプルリザーバ670、第1サンプルリザーバ680、第2サンプルリザーバ680’、第3サンプルリザーバ690及び第4サンプルリザーバ690’それぞれの中に流れ込むのを可能にすることができる。
【0089】
[1142] 動作時、収集デバイス600を用いて、汚染を低減して患者から体液(例えば、血液、血漿、尿等)を収集することができる。例えば、収集デバイス600の入口ポート621を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。静脈穿刺(又は体液にアクセスする他の方法)に続き、
図32に示すように、シール部材をその第1位置になるまで作動(又は回転)させることができる。別法として、シール部材641を第1位置に事前設定することができ、収集デバイス600を、収集デバイス600の無菌状態を維持するように他の方法で封止することができる。シール部材641がその第1位置にある時、流量コントローラ640は、入口ポート621を結合部材637a、637b、637c及び637dから流体的に隔離しながら、入口ポート621と分配部材629の第1出口ポート630との間に流体連通を確立する。従って、
図32において矢印IIによって示すように、収集デバイス400に関して上述したものと同様の方法で、体液を、患者から入口ポート621、第1流路642、ダイヤル645の第1出口ポート647、分配部材629の第1出口ポート630を介してプリサンプルリザーバ670内に移送することができる。
【0090】
[1143] プリサンプルリザーバ670内における体液プリサンプルの収集に続いて、シール部材641をダイヤル645に対してその第1位置からその第2位置に作動させる(回転させる)ことができる。同様に、
図33に示すように、ダイヤル645を、それが分配部材629に対して第2位置に達するまで作動させる(又は回転させる)ことができる。シール部材641及びダイヤル645がその第2位置にある時、流量コントローラ640は第2形態に配置され、シール部材641の第2流路644は、プリサンプルリザーバ670を入口ポート621から流体的に隔離しながら、入口ポート621と第1結合部材637aの流路638aとの間に流体連通を確立する。流量コントローラ640が第2形態にある状態で、サンプルリザーバ680を、使用者によりその第1形態から第2形態に作動させて(例えば、穿孔部材655aを押して)、患者の身体の一部(例えば、静脈)と第1サンプルリザーバ680との間に流体連通を確立することができる。詳細に上述したように、サンプルリザーバ680を第2形態に移動させることにより、穿孔部材655aが、サンプルリザーバ680の真空シールに穴をあけてサンプルリザーバ680の内側に配置される。この第2形態では、患者の身体のその部分(例えば、静脈)が、サンプルリザーバ680内の負圧状態(真空)のためにサンプルリザーバ680からの真空吸引力にさらされる。従って、
図33において矢印JJによって示すように、体液を、患者の身体のその部分から入口ポート621、第2流路644、第2出口ポート631及び流路638a並びに第1結合部材637aの穿孔部材655aを通って第1サンプルリザーバ680内に強制的に流すことができる。
【0091】
[1144] サンプルリザーバ680内に体液の所望の体積(例えば、第2量)が収集されると、使用者は、流量コントローラ640を第3位置まで作動させ(回転させ)及び/又はサンプルリザーバ680をその第1形態に戻るように移動させて、第1サンプルリザーバ680を第2流路644から隔離することができる。サンプルリザーバ680が第1形態に戻ると、穿孔部材655aは、サンプルリザーバ680から取り除かれ、サンプルリザーバ680のシール(例えば、自己封止膜)が、第1サンプルリザーバ680を流路635aから流体的に隔離する。他のサンプルリザーバの充填は、流量コントローラ640が第3形態、第4形態及び第5形態それぞれに配置されている状態で同様に行われる。
【0092】
[1145]
図34~
図40は、実施形態による収集デバイス700を示す。収集デバイス700は、分流機構720、流量コントローラ740並びにサンプルリザーバ780及び790を含む(4つのサンプルリザーバに対してホルダが存在するが、明確にするために図では2つのサンプルリザーバのみが含まれており、収集デバイス700の一部として、追加のサンプルリザーバ(例えば、第5、第6等)を含めることができる)。本明細書においてさらに記載するように、収集デバイス700を第1形態、第2形態、第3形態、第4形態及び第5形態の間で移動させて、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体外の微生物が実質的にない体液の流れを送出することができる。収集デバイス700は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、収集デバイス700の態様及び/又は部分は、上述した収集デバイス100、200、300、400、500及び/又は600のいずれかの対応する態様及び/又は部分と形態及び/又は機能が実質的に同様であり得る。従って、こうした同様の態様及び/又は部分については、本明細書ではそれ以上詳細に記載しない。例として、いくつかの実施形態では、収集デバイス700のサンプルリザーバ780及び790は、
図16~
図22の収集デバイス400に含まれるサンプルリザーバ480及び490それぞれと形態及び機能が実質的に同様及び/又は同じであり得る。
【0093】
[1146] 分流機構720は、ハウジング701、分配部材729及びベースプレート771を含む。収集デバイス400に関して上述したように、ハウジング701は、各々、分配部材729の異なる部分に流体連通しているように構成されている、第1出口開口部703a、第2で出口開口部703b、第3出口開口部703c、第4出口開口部703d及び第5出口開口部703eを規定している。より具体的には、分配部材729は、第1出口開口部703aに流体連通しているプリサンプルリザーバ770の少なくとも一部と、第2出口開口部703bに流体連通している第1流体チャンバ735a、第3出口開口部703bに流体連通している第2流体チャンバ735b、第4出口開口部703dに流体連通している第3流体チャンバ735c、第5出口開口部703eに流体連通している第4流体チャンバ735dとを規定し及び/又は形成している。さらに、本明細書においてさらに記載するように、ハウジング701は、流量コントローラ740の少なくとも一部を移動可能に受け入れるように構成された凹部766を規定している。
【0094】
[1147]
図36に示すように、分配部材729は、プリサンプルリザーバ770の少なくとも一部を形成するチャンバ又は空間を規定している。プリサンプルリザーバ770は、例えば、血液、血漿、尿等の体液を収容するように構成されている。ハウジング701の第1出口開口部703aを、詳細に上述したように、プリサンプルリザーバ770が患者から体液の流れを受け取ることができるように、プリサンプルリザーバ770の開放部分と実質的に位置合せすることができる。さらに詳述すると、分配部材729は一組の壁736を含み、それらは、例えば、分配部材729の内部空間を互いに流体的に隔離されている部分及び/又は空間に分割することができる。例えば、
図36に示すように、一組の壁736は、分配部材729の内部空間を、プリサンプルリザーバ770、第1流体チャンバ735a、第2流体チャンバ735b、第3流体チャンバ735c及び第4流体チャンバ735dに分割することができる。いくつかの実施形態では、壁736は、プリサンプルリザーバ770及び流体チャンバ735a~735dを等しく規定し及び/又は形成することができる。他の実施形態では、プリサンプルリザーバ770は、流体チャンバ735a~735dによって規定される空間とは異なる空間を規定することができる。
【0095】
[1148] 分配部材729は、第1流体チャンバ735a、第2流体チャンバ735b、第3流体チャンバ735c及び第4流体チャンバ735dそれぞれに流体連通している、第1穿孔部材755a、第2穿孔部材755b、第3穿孔部材755c及び第4穿孔部材755dをさらに含む。従って、穿孔部材755a~355dを用いて、本明細書においてさらに詳細に記載するように、サンプルリザーバ780及び790(並びに
図34~
図40には示さない対応するサンプルリザーバ)に穴をあけることができ、それにより、体液の流れを開始することができる。
【0096】
[1149] 収集デバイス700の流量コントローラ740は、ダイヤル745及びシール部材741を含む。シール部材741は、ハウジング701の凹部766内に配置される(例えば、
図38及び
図40を参照)。より詳細には、シール部材741が、凹部766を規定するハウジング701の表面とダイヤル745の表面との間にかつそれらと接触して配置されるように、流量コントローラ740をハウジング701に結合することができる。シール部材741を、詳細に上述したように、ダイヤル745の表面及び凹部766を規定するハウジング701の表面と実質的流体密封シールを形成するように構成することができる。
図35に示すように、シール部材741は、第1開口部744a、第2開口部744b、第3開口部744c、第4開口部744d及び第5開口部744eを規定している。シール部材741の配置は、シール部材741が凹部766内に配置された時、第1開口部744a、第2開口部744b、第3開口部744c、第4開口部744d及び第5開口部744eが、ハウジング701の第1出口開口部703a、第2出口開口部703b、第3出口開口部703c、第4出口開口部703d及び第5出口開口部703eそれぞれと実質的に位置合せされる、というものである。
【0097】
[1150] 流量コントローラ740のダイヤル745は、ハウジング701に回転可能に結合され、ハウジング701に対して第1位置、第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置の間で移動可能である。ダイヤル745は入口ポート721を含み、入口ポート721を、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス700に輸送するための流体流経路を規定する医療デバイスに(直接又はアダプタ704を介して間接的に)流体的に結合することができる。このように、入口ポート721を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、プリサンプルリザーバ770、第1サンプルリザーバ780、第2サンプルリザーバ780’、第3サンプルリザーバ790及び第4サンプルリザーバ790’を患者に流体連通するように選択的に配置するように構成することができる。ダイヤル745が第1位置にある時、流量コントローラ740は第1形態に配置され、入口ポート721を、シール部材741の第1開口部744a及びハウジング701の第1出口開口部703aと実質的に位置合せすることができる。このように、シール部材741の第1開口部744aは、入口ポート721を出口開口部703b、703c、703d及び703eから流体的に隔離し、それにより入口ポート721を流体チャンバ735a~335dから流体的に隔離しながら、入口ポート721と第1出口開口部703aとの間に流体連通を確立する。ダイヤル745が第2位置まで回される(又は駆動される)と、流量コントローラ740は第2形態に配置され、第2出口開口部744bは、入口ポート721をプリサンプルリザーバ770及び流体チャンバ735b~735dから流体的に隔離しながら、入口ポート721と第2出口開口部703bとの間に流体連通を確立する。収集デバイス700は、ダイヤル745が第3位置、第4位置及び第5位置まで回される時、同様に作用する。従って、入口ポート721が(例えば、入口ポート721に結合された医療デビスを介して)患者に流体連通するように配置されると、体液のすべてがプリサンプルリザーバ770、第1サンプルリザーバ780又は第2サンプルリザーバ790(又はそれらに結合された他の任意の流体リザーバ)内に流れ込むことができるように、第1出口開口部703a、第2出口開口部703b、第3出口開口部703c、第4出口開口部703d及び第5出口開口部703eを入口ポート721に流体連通するように選択的に配置することができる。
【0098】
[1151] いくつかの実施形態では、ハウジング701は、ダイヤル745のその第1位置からその第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置への移動を選択的に制限することができる。いくつかの他の実施形態では、ハウジング701を、第5位置まで移動したダイヤルの移動を防止するように構成することができる。言い換えれば、ハウジング701は、ダイヤル745が第5位置から第1位置に戻るように移動するのを防止する係止機構を含むことができる。この特徴により、流量チャンバ735a~735d並びに/又はサンプルリザーバ780及び790内に収集された体液が(表面に結合された微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質を含むリスクが高い)プリサンプルリザーバ770内に収容された体液から汚染されるリスクを低減することができる。この係止機構により、医療従事者を、HIV、C型肝炎等を含む可能性がある患者サンプル内の血液媒介病原体にさらされることから保護することも可能である。ダイヤル745及び/又はハウジング701は又はウジング701における出口ポート703a及び出口開口部703a~703dに対するダイヤル745の正確な位置合せを確実にするように視覚的フィードバック又は触覚フィードバックを提供する、機械的戻り止め及び/又は他のインジケータも含むことができる。
【0099】
[1152]
図16~
図22に示す収集デバイス400の実施形態と同様に、収集デバイス700は、分配部材729内に収容されるチャンバであるプリサンプルリザーバ770を含む。プリサンプルリザーバ770は、例えば、血液、血漿、尿等の体液を収容することができる。プリサンプルリザーバ770は、(ハウジング701内に位置する)収集デバイス700の第1出口ポート703aに流体的に結合されるように構成されている。収集デバイス700の動作中、流量コントローラ740が第1位置にある時、体液は、患者の身体の一部(例えば、静脈)から、入口ポート721を介して、プリサンプルリザーバ770、シール部材741内に位置するプリサンプルリザーバ744a用の開口部及び第1出口ポート703a内に引き込まれる。プリサンプルリザーバ770は、患者から抜き取られる流体の第1量を収容するように構成され、そこでは、体液の第1量は、所定量であることも未定量であることも可能であり、それにより、体液の第1量は、患者から後に抜き取られる体液の第2量及び/又は第3量及び/又は第4量及び/又は第5量から流体的に隔離される。
【0100】
[1153] 動作時、収集デバイス700を用いて、汚染を低減して患者から体液(例えば、血液、血漿、尿等)を収集することができる。例えば、収集デバイス700の入口ポート721を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。静脈穿刺に続き、
図37及び
図38に示すように、ダイヤル745が第1位置に達するまで回される。別法として、上述したように、ダイヤル745を第1位置で事前設定することができ、収集デバイス700の無菌状態を維持するように、収集デバイス700を他の方法で封止することができる。ダイヤル745が第1位置にある状態で、流量コントローラ740は第1形態に配置され、シール部材741の第1出口開口部744aは、入口ポート721を4つのサンプル流路735a~735dから流体的に隔離しながら、(ハウジング701内に含まれる)入口ポート721と第1出口ポート741との間に流体連通を確立する。この第1形態では、体液は、
図38において矢印KKによって示すように、患者の身体のその部分から、入口ポート721、シール部材741の第1出口開口部744a、ハウジング701の第1出口ポート703aを通って、分配部材770によって規定されたプリサンプルリザーバ770内に流れ込む。従って、詳細に上述したように、体液の第1量(所定量又は未定量)を、静脈穿刺の直後にプリサンプルリザーバ770内に受け取り、後続するサンプルから隔離することができる。
【0101】
[1154] プリサンプルリザーバ770内における体液プリサンプルの収集に続き、ダイヤル745を、
図39及び
図40に示すように第2位置に達するまで作動させる(又は回転させる)ことができる。ダイヤル745が第2位置にある時、流量コントローラ740は第2形態に配置され、シール部材741の第2出口開口部744aは、プリサンプルリザーバ770を入口ポート721から流体的に隔離しながら、入口ポート721と第1流体チャンバ735aとの間に流体連通を確立する。第1流体チャンバ735aに体液が充填されると、流量コントローラ740を第3位置に移動させて、第1流路735aを外部環境から隔離し封止することができる。さらに、サンプルリザーバ780を第1形態から第2形態に作動させて、体液を第1流体チャンバ735aからサンプルリザーバ780に移送することができる。例えば、サンプルリザーバ780を使用者が又は自動的に第1形態から第2形態に作動させて(穿孔部材755aを押して)、患者の身体の一部(例えば、静脈)とサンプルリザーバ780との間に流体連通を確立することができる。上述したように、サンプルリザーバ780を第2形態まで移動させることにより、穿孔部材755aがサンプルリザーバ780の真空シールに穴をあけ、サンプルリザーバ780の内側に配置される。第2形態では、患者の身体のその部分(例えば、静脈)は、幾つかの実施形態ではサンプルリザーバ780内部に存在する負圧状態(真空)によりサンプルリザーバ780からの真空吸引にさらされる。従って、
図40において矢印LLによって示すように、体液は、患者の身体のその部分から、入口ポート721、シール部材741の第2出口開口部744b、ハウジング701の第2出口開口部703b、第2流体チャンバ735bを通って第1サンプルリザーバ780内に流れ込む。
【0102】
[1155] サンプルリザーバ780内に体液の所望の量(例えば、第2量)が収集されると、使用者は、流量コントローラ740を第3位置まで作動させ(回転させ)及び/又はサンプルリザーバ780をその第1形態に戻るように移動させて、第1サンプルリザーバ780を入口ポート721から隔離することができる。サンプルリザーバ780が第1形態に戻ると、穿孔部材755aはサンプルリザーバ780から取り除かれ、サンプルリザーバ780のシール(例えば、自己封止膜)が、第1サンプルリザーバ780を第2流体チャンバ735b及び外部環境から流体的に隔離する。他のサンプルリザーバの充填は、流量コントローラ740が第3形態、第4形態及び第5形態それぞれにある状態で同じ方法で行われる。
【0103】
[1156] いくつかの実施形態では、収集デバイス700を、分配部材729内で異なる流体チャンバ735a~735dを分離する一組の壁736が存在しないように構成することができる(
図16における詳細な断面図を参照)。こうした実施形態では、分配部材729は、プリサンプルリザーバ770と結合された流体チャンバ735との間で分割される(すなわち、流体チャンバは、壁736によって4つの別個の部分に分離されない)。こうした実施形態では、使用者は、ダイヤル745を第2位置、第3位置、第4位置又は第5位置のいずれかに作動(回転)させることによって、一度に4つのサンプルリザーバすべてを充填することができる。
【0104】
[1157] 本明細書に記載する実施形態のうちのいずれも、例えば、プリサンプルリザーバ及び/又はサンプルリザーバ内への体液の流れを計量する(例えば、定量化する)ために使用することができる計量デバイスと使用することができる。場合によっては、検査標準実施により、充填体積が臨床医及び/又は瀉血専門医によって視覚的に判断され従って人的ミスを受けやすいという事実により、体液(例えば、血液試料)の正確な接種体積との一貫したコンプライアンスが確保されない。血液収集ボトルの体積インジケータは、保持されている時に読み取ることが困難であり、収集ボトルは引込み処置の間、直立して保持されないという事実が、患者から受け取られた体液サンプルの不正確な体積の要因となる可能性がある。サンプル体積が不十分である(例えば、製造業者の推奨未満である)ことにより、培養検査の感度が低下し、偽陰性結果に至る可能性がある。さらに、所定タイプの検査供給品及び装置(例えば、Franklin Lakes、NJのBecton Dickinson等の製造業者によって生成される自動微生物検出システムと使用するように設計された血液培養ボトル)に対する概要資料及び使用説明書において指示されているように、製造業者の推奨を上回る充填体積は、偽陽性をもたらす可能性がある。従って、流量計量及び体積表示機能により、検査技師及び/又は医療従事者(例えば、瀉血専門医)は、サンプルがいかに処理される必要があるかに応じて、サンプルリザーバをインキュベータに又は他の研究室検査機器内に配置する前に各個々のサンプルリザーバ内に収集される体液の体積を確認することができる。検査技師及び/又は瀉血専門医はまた、結果が受け取られる時に臨床医が評価するための正確な体積情報を(例えば、診療記録、データベース、スプレッドシート等に)記録することも可能であり、それにより、偽陰性結果及び/又は偽陽性結果の誤った解釈の可能性を低減するのに役立つ。
【0105】
[1158] 例として、
図41~
図45は、1つ又は複数の計量デバイスを含むことができる収集デバイス800を示す。収集デバイス800は、分流機構820、流量コントローラ840、ディスプレイ875及びサンプルリザーバ880を含む。本明細書においてさらに記載するように、収集デバイス800を第1形態、第2形態及び第3形態の間で移動させて、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体外の微生物が実質的にない体液の流れを送出することができる。収集デバイス800は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、収集デバイス600の態様及び/又は部分は、上述した収集デバイス100、200、300、400、500、600及び/又は700のいずれかの対応する態様及び/又は部分と形態及び/又は機能が実質的に同様であり得る。従って、こうした同様の態様及び/又は部分については、本明細書ではそれ以上詳細に記載しない。例として、いくつかの実施形態では、収集デバイス800のサンプルリザーバ880は、
図16~
図22の収集デバイス400に含まれるサンプルリザーバ480と形態及び機能が実質的に同様であり及び/又は同じであり得る。
【0106】
[1159]
図41~
図43に示すように、分流機構820は、アクチュエータ部分822(例えば、第1部分)、中間部分823(例えば、第2部分)及び結合部分824(例えば、第3部分)を含む。分流機構820のアクチュエータ部分822は、内部空間806を規定する一組のアクチュエータ壁を含む実質的に円筒状である。より具体的には、アクチュエータ部分822は、実質的に閉鎖されている第1端部と、内部空間806へのアクセスを可能にするように実質的に開放されている、第1端部と反対側の第2端部とを含む。このように、アクチュエータ部分822は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、流量コントローラ840の少なくとも一部を移動可能に受け入れることができる。アクチュエータ部分822は、入口ポート821及び出口ポート831をさらに含む。入口ポート821を、詳細に上述したように、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス800に輸送するための流体流経路を規定する医療デバイスに(直接又はアダプタ804を介して間接的に)流体的に結合することができる。
【0107】
[1160] アクチュエータ部分822の出口ポート831は、アクチュエータ部分822の内部空間806の一部を、中間部分823によって規定される内部空間807に流体連通するように選択的に配置することができる。
図43に示すように、中間部分823は、アクチュエータ部分822と結合部分824との間に配置されている。
図41~
図45には示さないが、中間部分823は、例えばサンプルリザーバ880に移送される体液の体積を計量するように構成することができる計量デバイスを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、流量計量デバイスを出口ポート831に流体的に結合して、そこを通る体液の流れを計量することができる。
図41及び
図42に示すように、中間部分823はディスプレイ875を含み、ディスプレイ875は、例えば、出口ポート831を通って流れた体液の体積に関連する視覚的インジケータ及び/又は情報を使用者に提供することができる。他の実施形態では、流量計量デバイスを、分流機構820内の又はそれに沿った他のあらゆる好適な位置に配置することができる。
【0108】
[1161] 結合部分824を、中間部分823に物理的にかつ流体的に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、結合部分824を、中間部分823の内部空間807内に部分的に配置し、それに、摩擦嵌め、圧入、スナップフィット、ねじ結合、接着剤等を介して少なくとも一時的に結合することができる。結合部分824は、詳細に上述したように、サンプルリザーバ880の一部を受け入れるように構成されており、サンプルリザーバ880の真空シールに穴をあけ、それにより体液の流れを開始することができるように使用することができる穿孔部材855を含む。
【0109】
[1162] 収集デバイス800の流量コントローラ840は、アクチュエータ部分822によって規定された内部空間806内に少なくとも部分的に配置され、第1形態、第2形態及び第3形態の間で移動可能である。
図42及び
図43に示すように、流量コントローラ840は、第1シール部材861、第2シール部材862及び第3シール部材863を有する可動部材850と、付勢部材859(例えば、ばね等)とを含む。シール部材861、862及び863は、内部空間806を規定するアクチュエータ部分822の内面と接触している。従って、本明細書においてさらに詳細に記載するように、シール部材861、862及び863は各々、例えばアクチュエータ部分822の内部空間806を流体的に隔離された部分に分割することができる内面と、実質的流体密封シールを形成することができる。
【0110】
[1163] 可動部材850は、内部空間806内で第1位置、第2位置及び第3位置の間で移動可能である。可動部材850の配置は、可動部材850がその第1位置、第2位置及び第3位置の間で移動する際に、シール部材861、862及び863が内部空間806内で選択的に移動する、というものであり得る。より具体的には、可動部材850がその第1位置、第2位置及び第3位置の間で移動する際、第1シール部材861を可動部材850と同時に移動させることができる。第2シール部材862及び第3シール部材863を、互いに固定して結合し(例えば、互いに固定距離で配置し)、可動部材850の一部の周囲に摺動可能に配置することができ、それにより、可動部材850は、第2シール部材862及び第3シール部材863がアクチュエータ部分822に対して実質的固定位置にあり続ける間に、その第1位置(例えば、
図43を参照)からその第2位置(例えば、
図44を参照)に移動することを可能にすることができる。例えば、可動部材850がその第1位置と第2位置との間で移動する際、第2シール部材862及び第3シール部材863は、実質的固定位置にあり続けることができ、それにより、入口ポート821は第2シール部材862の第1側に配置され、出口ポート831は、第2シール部材862の第1側とは反対側の第2側に配置される。従って、本明細書においてさらに詳細に記載するように、可動部材850がその第1位置(
図43)及びその第2位置(
図44)にある時、入口ポート821は、第1シール部材861と第2シール部材862との間に規定された内部空間806の部分に流体連通しており、出口ポートは、第2シール部材862と第3シール部材863との間に規定された内部空間806の部分に流体連通している。
【0111】
[1164] 流量コントローラ840の配置は、可動部材850がその第1位置からその第2位置に移動した時に、第1シール部材861が第2シール部材862及び第3シール部材863に対して移動する、というものであり得る。第2シール部材862に対する第1シール部材861の移動により、それらの間に規定された空間が拡大することが可能であり、それにより、プリサンプルリザーバ870を形成し及び/又は他の方法で規定することができる。さらに、シール部材861及び862がアクチュエータ部分822の内面と実質的流体密封シールを形成していることにより、第1シール部材861と第2シール部材862との間に規定されたプリサンプルリザーバ870は、内部空間806の他の部分から流体的に隔離される。従って、可動部材850がその第1位置からその第2位置に移動する時、入口ポート821はプリサンプルリザーバ870に流体連通することができる。可動部材850がその第2位置(例えば、
図44を参照)からその第3位置(例えば、
図45を参照)まで移動する時、可動部材850の一部は第3シール部材863と接触して、内部空間806内で第1シール部材861、第2シール部材862及び第3シール部材863を実質的に同時に移動させることができる。従って、本明細書においてさらに詳細に記載するように、入口ポート821及び出口ポート831の両方が、第2シール部材862と第3シール部材863との間に規定された内部空間806の部分に流体連通するように、第2シール部材862を入口ポート821に対して移動させることができる。
【0112】
[1165] 動作時、収集デバイス800を用いて、汚染を低減して患者から体液(例えば、血液、血漿、尿等)を収集することができる。例えば、収集デバイス800の入口ポート821を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。入口ポート821が内腔規定デバイスに結合された状態で、流量コントローラ840をその第1形態からその第2形態に移動させることができる。このように、使用者は、
図44において矢印MMによって示すように、可動部材850をその第1位置からその第2位置に移動させるように力をかけることができる。上述したように、第1シール部材861は、可動部材850と同時に移動し、それによって、第1シール部材861と第2シール部材862との間に規定された空間が拡大し、それにより、プリサンプルリザーバ870が形成され及び/又は規定される。第1シール部材861及び第2シール部材862が、内部空間806を規定するアクチュエータ部分822の内面と実質的流体密封シールを形成していることにより、第1シール部材861と第2シール部材862との間の容積の増大によって、プリサンプリリザーバ870内に負圧がもたらされる。従って、患者の身体の一部(例えば、静脈)とプリサンプルリザーバ870との間に(例えば、
図44における入口ポート821を介して)流体連通が確立されると、
図44において矢印NNによって示すように、プリサンプルリザーバ870と患者の身体のその部分との間の負圧の差により、入口ポート821を通してプリサンプルリザーバ870内に体液が引き込まれる。この第1形態では、流量コントローラ840はまた、プリサンプルリザーバ870を出口ポート831から流体的に隔離する。従って、体液の第1量(所定量又は未定量)を、(例えば)静脈穿刺の直後にプリサンプルリザーバ870内に受け取り、後続するサンプルから隔離することができる。このように、収集デバイス800を用いて、体表微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質を含む可能性が最も高い体液の第1量が、診断又は汚染物質によって影響を受ける可能性がある他の検査のために収集されかつ使用される体液サンプルの後続する量を汚染するのを防止することができる。いくつかの実施形態では、計量デバイスは、プリサンプルリザーバ870内に配置された体液の体積を計量し、その体積に関連する値をディスプレイ875に提示することができる。
【0113】
[1166] プリサンプルリザーバ870内における体液プリサンプルの体積の収集に続き、
図45において矢印OOによって示すように、可動部材850をその第2位置からその第3位置に移動させて、流量コントローラを第3形態に配置することができる。上述したように、可動部材850がその第2位置からその第3位置に移動すると、可動部材850の部分は、第3シール部材863と接触するように配置される。従って、可動部材850は、内部空間806内で、第1シール部材861、第2シール部材862及び第3シール部材863を実質的に同時に移動させる。従って、入口ポート821及び出口ポート831両方が、第2シール部材862と第3シール部材863との間に規定された内部空間806の部分に流体連通するように、第2シール部材862を、入口ポート821に対して移動させることができる。さらに、体液の体積がプリサンプルリザーバ870内で流体的に隔離されているため、第2シール部材862及び第3シール部材863の第1シール部材861の方向における移動が制限される(すなわち、体液は実質的に非圧縮性流体である)。このように、体液のプリサンプル体積は、プリサンプルリザーバ870内で封鎖(sequester)され、第2シール部材862と第3シール部材863との間に規定された空間は、入口ポート821と出口ポート831との間に流体流路を規定する。さらに、流量コントローラ840の配置は、その第3形態にある時、第1シール部材861が付勢部材859と接触するように配置され、使用者により可動部材850にかけられる力の少なくとも一部が、付勢部材859を変形させ、圧縮し、屈曲させ及び/又は他の方法で再構成するように動作可能である、というものである。従って、付勢部材859は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1シール部材861に対して、流量コントローラ840のその第2形態からその第3形態への移動に抵抗する反力を及ぼすことができる。
【0114】
[1167] 詳細に上述したように、穿孔部材855が、サンプルリザーバ880の真空シールに穴をあけてサンプルリザーバ内部に配置されるように、サンプルリザーバ880を収集デバイス800に対して配置することができる。サンプルリザーバ880(例えば、真空又は負圧)と身体のその部分との間の圧力差により、体液がサンプルリザーバ880内に引き込まれる。言い換えれば、第2形態では、流量コントローラ840及び分流機構820は、
図45において矢印PPによって示すように、体液を、患者から、入口ポート821、第2シール部材862と第3シール部材863との間に規定された内部空間806の部分、及びアクチュエータ部分822の出口ポート831を通って、中間部分823及び結合部分824の穿孔部材855を通って、サンプルリザーバ880内に引き込むことができるように、流体流路を確立する。上述したように、(図示せず)計量デバイスが、例えば出口ポート831を通して移送される体液の体積を計量することができ、体液の体積に関連する値をディスプレイ875に提示することができる。
【0115】
[1168] サンプルリザーバ880内に体液の所望の体積(例えば、第2量)が収集されると、使用者は、可動部材850にかけられた力を取り除き及び/又は低減することができ、それにより、付勢部材859が、第1シール部材861及び可動部材850をそれらの第3位置からそれらの第2位置に向かって移動させることができる。さらに、プリサンプルリザーバ870内に配置された体液が実質的に非圧縮性であることにより、第1シール部材861の移動が、体液の体積を通して力を移送し、第2シール部材862及び第3シール部材863をそれらの第3位置からそれらの第2位置に向かって移動させる。いくつかの実施形態では、付勢部材859は、第2シール部材862をアクチュエータ部分822に対して例えば入口ポート821を実質的に遮断することができる第4位置に移動させるように作用可能であり得る力を、第1シール部材861にかけることができる。従って、入口ポート821を、アクチュエータ部分822の内部空間806から流体的に隔離することができる。さらに、穿孔部材855をサンプルリザーバ880から取り除くことができ、シール(例えば、自己封止膜)が、体液サンプルをサンプルリザーバ880の外側の空間から流体的に隔離することができる。後続するサンプルリザーバの充填を、穿孔部材855をサンプルリザーバ内に配置し、流量コントローラ840を第3形態まで移動させて体液が患者からサンプルリザーバに流れるのを可能にすることによって、同様に行うことができる。
【0116】
[1169]
図46~
図53は、実施形態による収集デバイス900を示す。収集デバイス900は、分流機構920、流量コントローラ940及びサンプルリザーバ980、980’、990及び990’を含む。本明細書においてさらに記載するように、収集デバイス900を、第1形態、第2形態、第3形態、第4形態及び第5形態の間で移動させて、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の望ましくない外部汚染物質等、体外の微生物が実質的にない体液の流れを送出することができる。収集デバイス900は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、収集デバイス900の態様及び/又は部分は、上述した収集デバイス100、200、300、400、500、600、700及び/又は800のいずれかの対応する態様及び/又は部分と形態及び/又は機能が実質的に同様であり得る。従って、こうした同様の態様及び/部分については、本明細書ではそれ以上詳細に記載しない。例として、いくつかの実施形態では、収集デバイス900のサンプルリザーバ980、980’、990及び990’は、
図26~
図33の収集デバイス600に含まれる、サンプルリザーバ680、680’、690及び690’と形態及び機能が実質的に同様であり及び/又は同じであり得る。
【0117】
[1170] 分流機構920は、ハウジング901、分配部材929並びに可動部材950a、950b、950c及び950dを含む。ハウジング901は、分配部材929に物理的にかつ流体的に結合されており、患者から体液を収集する一組の流体流経路を提供し及び/又は規定している。ハウジング901は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、流量計量デバイスに含め及び/又は他の方法で(例えば、電気的に及び/又は機械的に)結合することができる一組のディスプレイ975’(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等)を含む。ハウジング901は、凹部966、出口開口部903a、903b、903c、903d、903e及び(本明細書において「開口」とも呼ぶ)可動部材開口950a、950b、950c、950dを規定している。凹部966は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、流量コントローラ940に含まれるシール部材941を受け入れるように構成されている。第1出口開口部903a、第2出口開口部903b、第3出口開口部903c、第4出口開口部903d及び第5出口開口部903eは、各々、分配部材929の異なる部分に流体連通している異なる流体流路を規定するように構成されている。より具体的には、分配部材929は、第1出口開口部903aに流体連通しているプリサンプルリザーバ970の少なくとも一部と、第2出口開口部903bに流体連通している第1流路935a、第3出口開口部903bに流体連通している第2流路935b、第4出口開口部903dに流体連通している第3流路935c、第5出口開口部903eに流体連通している第4流路935とを規定し及び/又は形成している。
【0118】
[1171]
図47及び
図48に示すように、分配部材929は、プリサンプルリザーバ970の少なくとも一部を規定するチャンバ又は空間を規定している。プリサンプルリザーバ970は、例えば、血液、血漿、尿等の体液を収容するように構成されている。
図16~
図22においてプリサンプルリザーバ470に関して詳細に上述したように、プリサンプルリザーバ970が患者から体液の流れを受け取るのを可能にするように、ハウジング901の第1出口開口部903aを、プリサンプルリザーバ970の開放部分と実質的に位置合せすることができる。流路935a~935dは、分配部材929の中心から放射状に延在し、各流路935a、935b、935c及び935dがプリサンプルリザーバ970及び他の流路から流体的に隔離されるように配置されている。このように、流路935a、935b、935c及び935dは、出口開口部903b、903c、930d及び903eそれぞれと実質的に位置合せされた開口を規定する第1端部と、可動部材950a、950b、950c及び950dそれぞれを受け入れるように構成された開口又はポートを規定する第2端部との間で、流体流路を方向付け及び/又は他の方法で規定することができる。
図47及び
図48において、分配部材929は、実質的に閉鎖されている流路935a~935dを含むものとして示されているが、他の実施形態では、
図17及び
図18の分配部材429に関して上に示しかつ記載したように、流路935a~935dを実質的に開放することができる。従って、収集デバイス900の分配部材929は、収集デバイス400の分配部材429と実質的に同様に機能することができる。
【0119】
[1172] 可動部材950a、950b、950c及び950dは、ハウジング901の開口905a、905b、905c及び905dそれぞれと、分配部材929の第2端部によって規定される対応する開口とに移動可能に配置される。
図46~
図53には示さないが、いくつかの実施形態では、可動部材950a、950b、950c及び950dを、収集デバイス200の可動部材250及び250’に関して詳細に上述したように、付勢部材等に動作可能に結合することができる。このように、可動部材950a、950b、950c及び950dを、使用者が、ハウジング901及び分配部材929に対して第1位置及び第2位置から作動させ(移動させ)て、流体流を第1サンプルリザーバ980、第2流体リザーバ980’、第3流体リザーバ990及び第4サンプルリザーバ990’それぞれの中に仕向けることができる。可動部材950a、950b、950c及び950dは、実質的に同じであり、従って、
図49において単一の可動部材950に関して記載する。さらに、可動部材950のいくつかの部分は、上述した可動部材250及び350と実質的に同様であり得る。従って、可動部材950のいくつかの部分については、本明細書においてそれ以上詳細に説明しない。可動部材950は、入口ポート953及び穿孔部材955に流体連通している内部空洞952を規定している。穿孔部材は、詳細に上述したものと実質的に同様である。入口ポート953は、一組の壁を通して延在し、一組の壁は、可動部材950の内部空間952を対応する流路935a、935b、935c又は935dに流体連通するように選択的に配置するように内部チャンバ952を規定している。
【0120】
[1173]
図49に示すように、可動部材950は、内部空間952内に回転可能に配置されかつ入口ポート953と実質的に直接流体連通している流量制御機構967を含む。流量計量機構967は、例えば、一組のスポーク又はフィンを含むことができるホイール等であり得る。このように、体液は、可動部材950の入口ポート953に入り、流量計量デバイス967を通過して流れることができ、それにより、流量計量デバイス967が可動部材950に対して回転することができる。従って、流量計量デバイス967の回転の特徴は、可動部材950の内部空間952に移送される体液の体積、体積流量等を求める際に使用可能であり得る。
図46~
図53には示さないが、可動部材950の流量制御機構967は、ハウジング901のディスプレイ975’に動作可能に結合される。従って、体液が、例えばサンプルリザーバ980、980’、990及び/又は990’に移送される際、体液の流れに関連する体積情報をディスプレイ975’に提示することができる。このように、使用者は、患者から体液サンプルを収集するように収集デバイス900を操作することができ、例えばサンプルリザーバ980に移送される体液サンプルの正確な体積を求めるためにディスプレイ975’の少なくとも1つを視覚化することができる。
【0121】
[1174] 収集デバイス900の流量コントローラ940は、ダイヤル945及びシール部材941を含む。シール部材941は、ハウジング901の凹部966内に配置される。より詳細には、シール部材941が、凹部966を規定するハウジング901の表面とダイヤル945の表面との間にかつそれらと接触するように配置されるように、流量コントローラ940をハウジング901に結合することができる。本明細書において詳細に記載するように、シール部材941を、ダイヤル945の表面及び凹部966を規定するハウジング901の表面と実質的流体密封シールを形成するように構成することができる。
図47に示すように、シール部材941は、第1開口部944a、第2開口部944b、第3開口部944c、第4開口部944d及び第5開口部944eを規定している。シール部材941の配置は、シール部材941が凹部966内に配置されると、第1開口部944a、第2開口部944b、第3開口部944c、第4開口部944d及び第5開口部944eが、ハウジング901の第1出口開口部903a、第2出口開口部903b、第3出口開口部903c、第4出口開口部903d及び第5出口開口部903eそれぞれと実質的に位置合せされる、というものである。
【0122】
[1175] 流量コントローラ940のダイヤル945は、ハウジング901に回転可能に結合され、ハウジング901に対して第1位置、第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置の間で移動可能である。ダイヤル945は入口ポート921を含み、入口ポート921を、患者から体液を抜き取り及び/又は収集デバイス900に輸送するための流体流経路を規定する医療デバイスに(直接又はアダプタ904を介して間接的に)流体的に結合することができる。このように、入口ポート921を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、プリサンプルリザーバ970、第1サンプルリザーバ980、第2サンプルリザーバ980’、第3サンプルリザーバ990及び第4サンプルリザーバ990’を患者に流体連通するように選択的に配置するように構成することができる。ダイヤル945を、収集デバイス400のダイヤル445に関して上述したものと実質的に同様な方法で、第1位置、第2位置、第3位置、第4位置及び第5位置を通して回転するように構成することができ、従って、それについては本明細書においてそれ以上詳細に記載しない。
【0123】
[1176] 図示するように、ダイヤル945は、体液の流れに関連する体積情報を提示するように構成することができるディスプレイ975をさらに含むことができる。例えば、
図46~
図53には示さないが、ダイヤルは、可動部材950に含まれる流量計量デバイス967等、流量計量デバイス等を含むことができる。このように、流量計量デバイスは、例えば入口ポート921を通る体液の流れを計量することができ、入口ポート921を通る体液の流れに関連する体積情報がダイヤル945のディスプレイ975に提示されるように、ディスプレイ975に動作可能に結合され得る。
【0124】
[1177] 動作時、収集デバイス900を用いて、汚染を低減して患者から体液(例えば、血液、血漿、尿等)を収集することができる。例えば、収集デバイス900の入口ポート921を、針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができる。静脈穿刺(又は、体液にアクセスする他の方法)に続き、
図50及び
図51に示すように、ダイヤル945は、第1位置に達するまで駆動される(又は回される)。別法として、ダイヤル945を第1位置に事前設定することができ、収集デバイス900の無菌状態を維持するように、収集デバイス900を他の方法で封止することができる。
【0125】
[1178] 上述したように、ダイヤル945が第1位置にある時、流量コントローラ940は第1形態に配置され、シール部材941の第1開口部944aは、入口ポート921を4つの流路935a~335dから流体的に隔離しながら、(ハウジング901内に含まれる)入口ポート921と第1出口ポート930との間に流体連通を確立する。さらに、サンプルリザーバ980、980’、990及び990’は、第1形態では入口ポート921から流体的に隔離されており、
図51において矢印QQによって示すように、患者の身体の一部(例えば、静脈)とプリサンプルリザーバ970との間に、流体流路が規定される。この第1形態では、体液は、(例えば、重力、真空等により)、患者の身体のその部分から、入口ポート921、シール部材941の第1開口部944a、ハウジング901の第1出口ポート903aを通って、プリサンプルリザーバ970内に流れ込む。第1形態では、流量コントローラ940はまた、流路935a~935dからプリサンプルリザーバ970を流体的に隔離する。従って、体液の第1量(所定量又は未定量)を、静脈穿刺の直後にプリサンプルリザーバ970内に受け取り、後続するサンプルから隔離することができる。このように、収集デバイス900を用いて、体表微生物及び/又は他の望ましくない汚染物質を含む可能性が最も高い体液の第1量が、診断又は汚染物質によって影響を受ける可能性がある他の検査に対して収集されかつ使用される体液サンプルの後続する量を汚染しないようにすることができる。さらに、ディスプレイ975は、例えば、プリサンプルリザーバ970に移送される体液の体積に関連する、(図示せず)流量制御機構から受け取られる情報を提示することができる。従って、体液の正確な体積を、プリサンプルリザーバに移送し、かつその中で流体的に隔離することができる。
【0126】
[1179] プリサンプルリザーバ970内における体液プリサンプルの収集に続き、
図52及び
図53に示すように、ダイヤル945を、第2位置に達するまで作動させる(又は回転させる)ことができる。ダイヤル945が第2位置にある時、流量コントローラ940は第2形態に配置され、シール部材941の第2開口部944bは、プリサンプルリザーバ970を入口ポート921から流体的に隔離しながら、入口ポート921と流路935aとの間に流体連通を確立する。流量コントローラ940が第2形態にある状態で、可動部材950aを、使用者が第1位置から第2位置に作動させて(すなわち押下して)、患者(例えば、静脈)と第1サンプルリザーバ880との間に流体連通を確立することができる。より具体的には、
図53において矢印RRによって示すように、可動部材950は、その第1位置からその第2位置に移動して、穿孔部材955が、第1サンプルリザーバ980の真空シールを通過して第1サンプルリザーバ980内に配置されるようにする。
【0127】
[1180] 第2位置にある間、可動部材950の入口ポート953は、第1流路935aと実質的に位置合せされかつ流体連通し、それにより、体液が、第1流路935aから稼働部材950の内部空洞952内に入り、穿孔部材955から出て第1サンプルリザーバ980に入るように流れることができる。サンプルリザーバ980(例えば、真空又は負圧)と第1流路935aとの圧力差により、サンプルリザーバ980内に体液が引き込まれる。言い換えれば、第2形態では、
図53において矢印SSによって示すように、流量コントローラ940及び可動部材950aは、ダイヤル945の入口ポート921と第1サンプルリザーバ980との間に流体流路を確立する。さらに、体液の可動部材950aを通る流れにより、可動部材950に対して流量計量機構967が回転する。従って、流量計量機構967の回転は、サンプルリザーバ980に移送される体液サンプルの体積を求める際に使用可能であり得る。さらに、ディスプレイ975’は、例えば、サンプルリザーバ980に移送される体液の体積に関連する、流量制御機構967から受け取られる情報を提示することができる。従って、体液の正確な体積をサンプルリザーバ980に移送することができる。例えば、場合によっては、収集デバイス900を用いて、第1サンプルリザーバ980、第2サンプルリザーバ980’及び第3サンプルリザーバ990の各々に20mLの3つのサンプル体積を収集する(すなわち、合計60mLのサンプル体積が収集される)ことができる。
【0128】
[1181] 第1サンプルリザーバ980内に体液の所望の体積(例えば、第2量)が収集されると、使用者は、可動部材950を解放して、(図示せず)付勢部材がその第1位置に戻るように移動するのを可能にすることができる。可動部材950がその第1位置に戻ると、穿孔部材955は、第1サンプルリザーバ980から取り除かれ、シール(例えば、自己封止膜)が、第1サンプルリザーバ980を内部流路935から流体的に隔離する。収集デバイス900を用いて、ダイヤル945をその第3位置、第4位置及び第5位置までそれぞれ回転させることにより、第2サンプル体積を第2サンプルリザーバ980’に、第3サンプル体積を第3サンプルリザーバ990に、第4サンプル体積を第4サンプルリザーバ990’に、同様に移送することができる。
【0129】
[1182] 場合によっては、体液収集デバイス900により、臨床医及び/又は瀉血専門医は、体液収集デバイス900を収容するパッケージを開封し、(分配部材929を含む)ハウジング901のみを取り出し、ハウジング901を患者のベッドわきに持って行くことができる。臨床医及び/又は瀉血専門医は、あらゆる標準化技法を用いて患者の身体の一部(例えば、静脈)に対して静脈穿刺を行う(又は、患者の体液にアクセスする他のあらゆる方法を採用する)ことができる。静脈穿刺に続き、臨床医及び/又は瀉血専門医は、すべてのサンプルに対して必要な総血液体積を収集することができる。例えば、臨床医及び/又は瀉血専門医は、2.5mLプリサンプル分流体積及び4つのサンプルリザーバの各々に対して10mLサンプル体積を収集することができ、それにより、収集された体液(例えば、血液)は合計42.5mLになる。体液の所望の量の収集に続き、皮下注射針を患者の身体のその部分(例えば、静脈)から取り除くことができ、臨床医及び/又は瀉血専門医は、(体液を収容している)ハウジング901を、膜頂部がハウジング901の形状に一致するカスタムトレイ内に事前に配置された状態で、4パック(又は2パック)の事前滅菌されたサンプルリザーバの上に配置することができる。サンプルリザーバのこうした事前滅菌されたパックを使用することにより、臨床医は、滅菌剤を用いてサンプルリザーバの頂部を「拭く」プロセスステップを行う必要がなく、それにより、例えば、リザーバ頂部の滅菌が不適切及び/又は不十分である場合に、汚染の可能性が低減する。そして、臨床医及び/又は瀉血専門医は、体液を含むサンプルリザーバの自動接種を正確な体積制御で起動させることができる。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバの接種が完了した後、各個々のサンプルリザーバに対して体積情報が表示されているデバイス900全体を、分析のために研究室に送ることができる。他の実施形態では、サンプルリザーバ980及び/又は990を個々に取り除き、分析のために研究室に送ることができる。
【0130】
[1183] 収集デバイス900を、
図46~
図53を参照して、収集デバイスの一部を通して移送される体液の体積に関する体積データを提示することができる一組のディスプレイ975及び975’を含むものとして示し記載しているが、他の実施形態では、収集デバイスは、あらゆる好適な出力インジケータを有するあらゆる好適な流量計量機構を含むことができる。例えば、
図54及び
図55は、実施形態による分流機構1020及び流量コントローラ1040を示す。分流機構1020及び流量コントローラ1040は、分流機構920及び流量コントローラ940それぞれと形態及び機能が実質的に同様であり得る。従って、同様の部分については本明細書ではそれ以上記載しない。しかしながら、分流機構1020及び流量コントローラ1040は、一組のディスプレイ1075の配置が異なる可能性がある。例えば、分流機構1020は、可動部材950に関して上述したよう、各々が流量計量機構を含むことができる一組の可動部材1050a、1050b、1050c及び1050dを移動可能に受け入れるように構成されるハウジング1001を含む。従って、可動部材1050a、1050b、1050c及び1050dを用いて、それらを通して移送される体液の正確な体積を求めることができる。
図55に示すように、ハウジング1001のディスプレイ1075は、小さい体積(例えば、5mL)の第1照明、中間の体積(例えば、20mL)に関連する第2照明、及び許容可能な及び/又は大きい体積(例えば、40mL)に関連する第3照明を含む3つの照明の組を含むことができる。このように、体液の流れが流量コントローラ1040及び分流機構1020を通して、例えば第1可動部材1050a内に移送される際、その中に含まれる流量計量機構は、信号等をディスプレイに送信することができ、ディスプレイは、可動部材1050を通して移送される体液の体積に従って第1照明、第2照明及び/又は第3照明を点灯するように動作可能である。
【0131】
[1184] 他の実施形態では、可動部材1050a、1050b、1050c及び1050dを、ハウジング1001に対して第1位置から第2位置、第3位置又は第4位置に移動させることができる。こうした実施形態では、それらの位置を、例えば、サンプルリザーバに移送される体液の意図された体積に関連付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、使用者は、可動部材1050aをその第1位置からその第2位置に作動させる(例えば、移動させる)ことができる。こうした実施形態では、第2位置を、例えば、サンプルリザーバに移送される体液の小さい体積(例えば、10mL)に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、ハウジング1001及び/又は可動部材1050aは、サンプルの低い体積量がサンプルリザーバに移送されるまで、可動部材1050aを第2位置で一時的に保持することができる、戻り止め、ロック、留め具、突起、凹部等を含むことができる。さらに、第2位置に配置されると、ディスプレイ1075を、サンプルリザーバに移送される体液の事前設定された体積を使用者に示すように、小さい体積に関連する第1照明を照明するように構成することができる。体液の所望の体積がサンプルリザーバに移送されかつその中で流体的に隔離されると、分流機構1020を、可動部材1050aをその第1位置に自動的に戻すように構成することができる。このように、分流機構1020及び流量コントローラ1040を、あらゆる数のサンプルリザーバに物理的にかつ流体的に結合し、各サンプルリザーバに体液の正確な体積を移送するように使用することができる。
【0132】
[1185]
図56は、流量計量移送デバイスを用いて患者から体液の所定サンプル体積を取得する方法1190を示すフローチャートである。流量計量移送デバイスは、(本明細書において「収集デバイス」とも呼ぶ)本明細書に記載する移送デバイスのいずれでもあり得る。例として、いくつかの実施形態では、移送デバイスは、
図46~
図53を参照して上述した収集デバイス900であり得る。従って、移送デバイスは、患者に流体連通するように選択的に配置されるように構成された入口ポートと、プリサンプルリザーバ及びサンプルリザーバと、患者からプリサンプルリザーバへの体液の流れ及びサンプルリザーバへの体液の流れを計量するように構成された流量計量機構とを含むことができる。方法1190は、1191において、患者と流量計量移送デバイスのポートとの間に流体連通を確立することを含む。例えば、ポートを針又は他の内腔規定デバイス(例えば、可撓性滅菌管)に流体的に結合することができ、針又は他の内腔規定デバイスを、患者の体内に挿入することができる(例えば、静脈穿刺事象又は体液にアクセスする他の方法)。
【0133】
[1186] ポートが患者に流体連通している状態で、1192において、ポートとプリサンプルリザーバとの間の流体連通を確立する。いくつかの実施形態では、流量計量移送デバイスは流量コントローラ等(例えば、収集デバイス900に含まれる流量コントローラ940等)を含むことができ、それを、ポートとプリサンプルリザーバとの間に流体連通を確立する位置(例えば、第1位置)まで作動させ及び/又は操作する(例えば、回転させる)ことができる。いくつかの実施形態では、流量コントローラの作動により、流量コントローラ及び分流機構は、ポートとプリサンプルリザーバとの間の流体流路の少なくとも一部をまとめて規定するようにすることができる。いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバは、患者からプリサンプルリザーバへの体液の流れを開始することができる負圧等を含むことができる。他の実施形態では、体液の流れを、他のあらゆる好適な方法(例えば、重力等)で開始することができる。
【0134】
[1187] 1193において、患者からプリサンプルリザーバに移送された体液の流れを計量する。例えば、いくつかの実施形態では、ポートは、(例えば、収集デバイス900の流量制御機構967に関して上述したものと同様の方法で)ポートを通過する体液の流れを計量することができる流量制御機構を含むことができる。従って、体液のプリサンプル体積がプリサンプルリザーバに移送される。方法1190は、1194において、流量計量移送デバイスの流量計量機構を介して、プリサンプルリザーバ内に配置された体液のプリサンプル体積が体液の所定プリサンプル体積であることを検証することを含む。例えば、流量計量機構は、ディスプレイ等(例えば、収集デバイス900のディスプレイ975及び/又は975’)を含むことができ、及び/又はディスプレイ等に動作可能に結合され得る。流量計量機構を、上述したように、ディスプレイに体積情報を提示するように構成することができる。
【0135】
[1188] プリサンプルリザーバ内に体液のプリサンプル体積が配置されると、1195において、プリサンプルリザーバをポートから流体的に隔離して、プリサンプルリザーバ内で体液のプリサンプル体積を封鎖する。例えば、場合によっては、流量コントローラ及び/又は分流機構を、第1位置及び/又は第1形態から第2位置及び/又は第2形態に作動させる(又は回転させる)ことができる。流量コントローラ及び/又は分流機構が第2形態にある場合、プリサンプルリザーバは、プリサンプルリザーバの外部の空間から流体的に隔離される。いくつかの実施形態では、流量コントローラ及び/又は分流機構がその第2位置及び/又は第2形態に駆動されると、1196において、ポートとサンプルリザーバとの間に流体連通を確立する。例えば、いくつかの実施形態では、流量計量移送デバイスは、サンプルリザーバの一部(例えば、膜等)を穿孔するように構成された穿孔部材を含むことができる、可動部材(例えば可動部材950)等を含むことができる。従って、流量コントローラ及び/又は分流機構がその第2位置及び/又は第2形態にある時、サンプルリザーバのその部分の穿孔により、サンプルリザーバがポートに流体連通するように配置される。上述したように、サンプルリザーバは、例えば、患者からサンプルリザーバへの体液の流れを開始することができる負圧等を含むことができる。
【0136】
[1189] 1197において、患者からプリサンプルリザーバに移送された体液の流れを計量する。例えば、上述したように、ポートは、(例えば、収集デバイス900の流量制御機構967に関して上述したものと同様の方法で)ポートを通過する体液の流れを計量することができる流量制御機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、流量制御機構を、例えば、
図49の可動部材950等の可動部材等に含めることができる。従って、体液のサンプル体積がサンプルリザーバに移送される。方法1190は、1198において、流量計量移送デバイスの流量計量機構を介して、サンプルリザーバ内に配置された体液のサンプル体積が体積の所定サンプル体積であることを検証することを含む。例えば、上述したように、ディスプレイ等を、体積情報を提示するように構成することができる。
【0137】
[1190] このように、例えば外部に存在する微生物を含む可能性がある、体液の所定プリサンプル体積が収集される。例えば、いくつかの実施形態では、所定プリサンプル体積は、約0.1mL、約0.3mL、約0.5mL、約1.0mL、約2.0mL、約3.0mL、約4.0mL、約5.0mL、約10mL、約20mL、約50mL及び/又はそれらの間のあらゆる体積あるいは体積の分数値であり得る。他の実施形態では、プリサンプル体積は、50mLを超えるか又は0.1mLであり得る。他の実施形態では、所定プリサンプル体積は、約2mLと約5mLとの間であり得る。一実施形態では、所定プリサンプル体積は約3mLであり得る。さらに、所定プリサンプル体積を収集することにより、1つ又は複数のサンプルリザーバ内に配置された所定サンプル体積に、外部に存在する微生物が実質的にないようにすることができる。いくつかの実施形態では、所定サンプル体積は、10mLと60mLとの間であり得る。他の実施形態では、所定サンプル体積は、30mLと60mLとの間であり得る。さらに他の実施形態では、所定サンプル体積は60mLであり得る。体液のサンプル体積を単一のサンプルリザーバに移送するものとして上述したが、他の実施形態では、流量計量移送デバイスを用いて、所定サンプル体積を2つ以上のサンプルリザーバに移送することができる。例えば、いくつかの実施形態では、上述したように、体液の所定プリサンプル体積を、プリサンプルリザーバに収集しかつその中で流体的に隔離することができる。プリサンプル体積が流体的に隔離されている状態で、流量計量移送デバイスを用いて、所定サンプル体積を第1サンプルリザーバに、所定サンプル体積を第2サンプルリザーバに、所定サンプル体積を第3サンプルリザーバに移送することができる。こうした場合、所定サンプル体積を例えば20mLにすることができ、それにより、第1リザーバ、第2リザーバ及び第3リザーバ内に配置される総サンプル体積は60mLとなる。
【0138】
[1191] 本明細書に記載した体液収集デバイスのさまざまな実施形態により、1回の静脈穿刺から2つ(又はそれより多く)の組の体液(例えば、血液)サンプルを収集するのを可能にすることができる。現標準治療では、いくつかの検査(例えば、血液培養)を、(例えば、2回の別個の静脈穿刺を介して、カテーテル+静脈穿刺及び/又はそれらの組合せを介して)サンプルを別個の独立した体液アクセス点から獲得して行うように求められている。本明細書に記載する実施形態により、単一の体液アクセス点(例えば、静脈穿刺)から所定の診断検査(例えば、血液培養検査)のための複数のサンプルの獲得を容易にすることができ、それにより、これらのサンプルの獲得に必要な静脈穿刺の年間の数を1/2低減させることができる。これは、患者及び医療従事者両方に同様に有利である。静脈穿刺(及び/又は他の血液アクセス処置)の数が低減することにより、大幅に、医療従事者に対する針刺し損傷のリスクを低減させ、これらの処置からもたらされる患者に関連する合併症(例えば、血腫、血栓症、静脈炎、感染症等)を低減させることができる。さらに、体液アクセス処置(例えば、静脈穿刺)の数を低減させることにより、これらの処置に関連する供給品の利用、労力及び廃棄物が低減する。医療制度によって実現されるコストの削減は、重要であり、より効率的な資源の消費とともに、治療計画の展開及び実施を通知するより正確な患者診断をもたらすサンプルの完全性の改善のために患者の転帰の改善を促進する機会を示す。体液収集デバイスはまた、収集後分析からの偽陽性の発生も大幅に低減させる。本明細書に記載する体液収集デバイスはまた、体液収集プロセスを効率化し、手作業によるステップ及び「接触点」の数を低減させ、それにより外部汚染の機会を低減させることも可能である。本明細書に記載するデバイスはまた、検査技師及び/又は瀉血専門医に対する針刺し損傷及び感染のリスクを最小限にすることができる。
【0139】
[1192] いくつかの実施形態では、本明細書に記載した体液収集デバイス(例えば、100、200、300、400、500、600、700、800及び900)は、消毒飽和材料(例えば、ハウジング401)を含み及び/又はそれから部分的に形成され得る。現標準は、医療従事者が個々の消毒材料(例えば、イソプロピルアルコール綿棒)を個々のサンプルリザーバ(例えば、480、480’、490及び490’)の頂部に配置することに依存する。このプロトコルとのコンプライアンスを確保するために、(例えば)デバイス400は、デバイス400内に配置された消毒材料を含むことができ、それにより、
図16に示すように、ハウジング401が4パック(又は2パック)のボトルの頂部に配置された時、ハウジング401及びサンプルリザーバ480、480’、490、490’の頂部からの最初の接触点は、消毒材料である。このように、サンプルリザーバ480、480’、490、490’の頂部は、体液がサンプルリザーバ内に接種される前に適切な消毒が適用されることが保証される。
【0140】
[1193] さまざまな実施形態について特に示し記載したが、形態及び詳細のさまざまな変更を行うことができる。例えば、ダイヤル445(アクチュエータ)を、
図19~
図22を参照して、単一方向に回転するものとして示し記載しているが、他の実施形態では、ダイヤル445(アクチュエータ)を、第1方向と第1方向とは反対の第2方向とに回転させることができる。こうした実施形態では、第2方向における回転を、収集デバイスを、あらゆる数の形態を通して移動させるように構成することができる。他の実施形態では、アクチュエータの第2方向における回転を制限することができる。いくつかの実施形態では、ダイヤルは、患者から受け取られる体液の第1体積(すなわち、汚染されたサンプル)を流体的に隔離するように機械的止め具又はロックを含むことができる。言い換えれば、第1リザーバ(プリサンプルリザーバ)に体液の所定体積が充填され、使用者が、追加のサンプルの引込みを開始するようにダイヤル(アクチュエータ)を回転させると、ダイヤル(アクチュエータ)を、(プリサンプルリザーバ内に収容された)第1サンプル体積との流体連通を確立するように戻るように移動させることはできない。
【0141】
[1194] いくつかの実施形態について上述したが、それらは、限定としてではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。さまざまな実施形態を、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを含むものとして記載したが、本明細書に記載した実施形態のいずれかからのいずれの特徴及び/又は構成要素のいかなるコンビネーション又はサブコンビネーションを有する他の実施形態が可能である。例えば、
図34~
図40を参照して、収集デバイス700を、第1形態、第2形態、第3形態、第4形態又は第5形態を有するものとして示し記載しているが、他の実施形態では、本明細書に記載した収集デバイスは、それより多いか又は少ない形態を有することができる。さらに、収集デバイス200を、
図2~
図13を参照して、プリサンプルリザーバ270として真空による収集チューブを有するものとして示し記載しているが、他の実施形態では、収集デバイス200は、分配部材429内に収容されたチャンバであるプリサンプルリザーバ470を含む、
図16~
図22に提示した実施形態の収集デバイス400に類似するハウジング201内に収容されたチャンバを有することができ、その逆も可能である。
【0142】
[1195] さまざまな構成要素の具体的な構成を変更することも可能である。例えば、さまざまな構成要素のサイズ及び具体的な形状は、依然として本明細書に記載するような機能を提供しながら、図示する実施形態とは異なり得る。より具体的には、さまざまな構成要素のサイズ及び形状を、体液流の流体リザーバ内への所望の流量に対して具体的に選択することができる。例えば、
図49において流量計量機構967を特に示すが、本明細書に記載した収集デバイスのいずれも、あらゆる好適な流量計量機構とともに使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、収集デバイスは、流量計量機構、及び/又は、例えば、圧力センサ、電圧センサ、光センサ、速度センサ、流量計、歪みゲージ、弁、タービン、浮き、変位分析、密度分析、重量分析、光学分析、超音波分析、熱分析、ドップラ分析、電磁場(emf)分析、反射分析、障害物分析、面積分析、ベンチュリ分析、コリオリ分析、視覚分析並びに/又は他のあらゆる好適なセンサ、分析及び/あるいは計算(例えば、一例としてボイルの法則、理想気体法則、力計算(力=質量×加速度)等を適用し及び/又は使用する)等、体液の体積特徴を測定するように構成された、他のあらゆる機構、デバイス又は方法を含むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から体液サンプルを取得する装置であって、
プリサンプルリザーバの少なくとも一部を形成する分配部材であって、出口に流体連通する流体流路を規定する分配部材と、
前記分配部材に流体連通して、患者に流体連通するように配置されるように構成された流量コントローラであって、前記流量コントローラは、前記流量コントローラが前記プリサンプルリザーバに流体連通して体液の第1体積を患者から前記プリサンプルリザーバに移送する第1形態を有し、前記流量コントローラは、体液の前記第1体積が前記プリサンプルリザーバ内に移送された後に前記第1形態から第2形態に移行して、(1)前記プリサンプルリザーバ内に前記第1体積を封鎖して、(2)体液の第2体積を前記流体流路に移送するように構成される、流量コントローラと、を備え、
前記分配部材は、体液の前記第2体積が前記流体流路内に移送された後にサンプルリザーバに結合されるように構成され、前記出口は、前記分配部材が前記サンプルリザーバに結合されて体液のサンプル体積を前記流体流路から前記サンプルリザーバ内に移送する時に前記サンプルリザーバに流体連通するように前記流体流路を配置するように構成される、装置。
【請求項2】
汚染物質は体液の前記第1体積内に含まれ、体液の前記第2体積には汚染物質が実質的にない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
体液の前記第1体積は0.1ミリリットル~10ミリリットルである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
体液の前記第2体積は2.5ミリリットル~50ミリリットルである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体流路は第1流体流路であり、前記出口は第1出口であり、前記サンプルリザーバは第1サンプルリザーバであり、前記分配部材は、第2出口に流体連通する第2流体流路を規定し、
前記流量コントローラは、体液の前記第1体積が前記プリサンプルリザーバ内に封鎖された後に前記第2流体流路に体液の第3体積を移送する第3形態に移行されるように構成され、
前記分配部材は、体液の前記第3体積が前記第2流体流路内に移送された後に第2サンプルリザーバに結合されるように構成され、前記第2出口は、前記分配部材が前記第2サンプルリザーバに結合されて体液のサンプル体積を前記第2流体流路から前記第2サンプルリザーバ内に移送する時に前記第2サンプルリザーバに流体連通するように前記第2流体流路を配置するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記流量コントローラは、前記第2形態から前記第1形態に向かう移動を制限するように構成される、請求項1に記載の装置。
【外国語明細書】