(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105148
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】レチノイン酸前駆体を安定化させるための方法および安定化レチノイン酸前駆体を含む皮膚有益組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20220705BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220705BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/34
A61Q19/08
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075923
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2018557404の分割
【原出願日】2017-05-08
(31)【優先権主張番号】16169468.2
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ルー,アンジン
(72)【発明者】
【氏名】モアデル,ティーノッシュ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,アニル・ババブハイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】皮膚有益剤で、安定化されたレチノイン酸前駆体を含む組成物を提供する。
【解決手段】(a)レチナール、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエートおよびそれらの混合物の群から1または複数を含むレチノイン酸前駆体と;(b)4-メチルレゾルシノール等のレゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤と;(c)化粧品として許容される担体と;を含む、組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
(a)酸化されるとレチノイン酸に変換され得る成分を意味するレチノイン酸前駆体で
あって、レチナール、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、ヒドロキシアナサ
チルレチノエートおよびそれらの混合物の群から1または複数を含むレチノイン酸前駆体
と;
(b)レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤であって、「誘導体
」は、レゾルシノールの環構造上よび/またはヒドロキシ基上の少なくとも1つのHがア
ルキル基で置換されていることを意味し、4-メチルレゾルシノール、4-エチルレゾル
シノール、4-プロピルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ペンチルレゾ
ルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチル
レゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノールの群の1または複数を含む皮膚有益剤
と;
(c)化粧品として許容される担体と;
を含む、組成物であって、
前記レチノイン酸前駆体と、前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚
有益剤とが、0.2対4から4対0.2の重量比で存在する、組成物。
【請求項2】
前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤が、4-エチルレゾル
シノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-イソプロピル
レゾルシノールまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記レチノイン酸前駆体が組成物の0.001~10重量%で存在し、
前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤が、組成物の0.00
1~10重量%で存在する、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記レチノイン酸前駆体と、レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益
剤とが、0.2対3から3対0.2の重量比で存在する、請求項1から3のいずれか一項
に記載の組成物。
【請求項5】
前記レチノイン酸前駆体がヒドロキシアナサチルレチノエート(hydroxyana
satil retinoate)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成
物。
【請求項6】
クリンバゾール、ビボナゾール、ファルネソール、グリチルレチン酸(glycyrr
chetinic acid)、ウルソール酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイ
ン、ヘキサノイルスフィンゴシン)、それらの混合物などであるレチノイドブースターを
さらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
エマルジョンではない、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
エマルジョン、好ましくは水中油型である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組
成物。
【請求項9】
クレアチン、1,2-オクタンジオール、日焼け止め剤、共役リノール酸、ヒドロキシ
ル酸、ナイアシンアミド、12-ヒドロキシセリン酸(hydroxysearic a
cid)、フェノキシエタノールまたはそれらの混合物をさらに含む、請求項1から8の
いずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤が、組成物中でレチノ
イン酸前駆体の酸化を妨げる、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
レチノイン酸前駆体の組成物中(in situ)の酸化を妨げる方法であって、
レチノイン酸前駆体と、レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤と
を組み合わせる工程を含む、方法。
【請求項12】
レチノイン酸前駆体の酸化を組成物中で妨げるための、レゾルシノールおよび/または
その誘導体を含む皮膚有益剤の使用であって、
前記レチノイン酸前駆体が、レチノール、レチナール、プロピオン酸レチニル、パルミ
チン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエートおよびそれらの混合物の群の1また
は複数を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチノイン酸前駆体を安定化させるための方法、および、かかる安定化前駆
体を含む皮膚有益組成物に関する。より詳細には、本発明は、レチノイン酸前駆体のin
situ酸化を防止するためにレゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有
益剤を使用する方法および皮膚有益組成物に関する。本発明の組成物は、驚くほど安定で
あり、悪臭および変色がなく、局所塗布の際に皮膚を刺激しない。
【背景技術】
【0002】
多くの消費者は、局所用組成物の適用に依存する方法を介して皮膚の利益を送達するこ
とが望ましいことを見出している。これは特に、消費者が顔の皺やシワ、肌のシミを減ら
して若々しく見せたい場合に当てはまる。
【0003】
内因性および光老化の両方による皮膚の老化を、レチノイン酸前駆体を含む組成物によ
り最小化することが試みられていることが多い。かかる組成物は皮膚に利益をもたらすこ
とができるが、そのような前駆体の不安定性、典型的にはin situの酸化の結果に
より、包装された組成物中および適用前に、レチノイン酸の早期形成および他の酸化化合
物が生じる。これは、塗布直後に消費者の皮膚を刺激し、悪臭を有し、および/または変
色している製品をもたらす。それは、必ずしも皮膚にプラスの影響を及ぼさない酸化化合
物を含む不安定な組成物をもたらす可能性がある。
【0004】
皮膚に利益を提供するのに適しており、レチノイン酸前駆体の早期酸化量が低減した安
定な皮膚有益組成物を開発することがますます関心を集めている。
【0005】
したがって、本発明は、レゾルシノールを含む皮膚有益剤で安定化された安定化レチノ
イン酸前駆体を含む組成物に関する。驚くべきことに、本発明の組成物は、皮膚刺激を引
き起こすことなく、悪臭および変色がなく、同時に優れた皮膚利益を送達しながら局所適
用することができる。本発明の組成物は、レチノイン酸前駆体が浸透後にレチノイン酸に
変換され得るように、レチノイン酸前駆体の皮膚へのより良好な浸透を可能にし、効力の
増強を可能にする。
【0006】
追加情報
皮膚を治療するための製剤を製造するための努力が開示されている。米国特許第4,8
26,828号には、揮発性シリコーンを含む、レチノール含有組成物が記載されている
。
【0007】
皮膚を治療するための製剤を製造するためのさらに他の努力が開示されている。米国特
許第8,299,127号には、水溶性活性物質を皮膚に均一に塗布するための方法およ
び組成物が記載されている。
【0008】
皮膚を治療する製剤を製造するためのさらに他の努力も開示されている。欧州特許第0
093770B1号には、頭皮の毛髪成長を促進するためのレチノイドおよびミノキシジ
ルを含む組成物が記載されている。
【0009】
米国特許第6,863,897号、第6,869,598号、および第6,858,2
17号はすべて、レゾルシノールを含む局所用組成物を記載している。
【0010】
上記の追加情報のいずれも、レゾルシノールを含む皮膚有益剤で安定化された安定化レ
チノイン酸前駆体を含む組成物を記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,826,828号
【特許文献2】米国特許第8,299,127号
【特許文献3】欧州特許第0093770B1号
【特許文献4】米国特許第6,863,897号
【特許文献5】米国特許第6,869,598号
【特許文献6】米国特許第6,858,217号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、
(a)レチノイン酸前駆体と;
(b)レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤と;
(c)化粧品として許容される担体と;
を含み、皮膚有益剤がレチノイン酸前駆体の酸化を妨げ、レチノイン酸前駆体と、レゾル
シノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤とが0.2対4~4対0.2、その
中に包含されるすべての重量比を含む重量比で存在する組成物に関する。
【0013】
第2の態様において、本発明は、レチノイン酸前駆体のin situ酸化を妨げる方
法に関する。
【0014】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明および実施例を考慮することによって
、容易に明らかになるであろう。
【0015】
本明細書で使用する皮膚とは、足、顔、首、胸、背中、腕、手、脚、臀部および頭皮(
毛髪を含む)の皮膚を含むことを意味する。本発明の組成物は、クリーム、ローション、
バーム、セラム(serum)、デオドラント剤および発汗抑制剤、シャンプー、コンデ
ィショナー、固形化粧石鹸(bar)および液体洗浄製品を含む。好ましい実施形態にお
いて、本発明の組成物は、リーブオンクリームまたはローションのようなリーブオン組成
物である。
【0016】
レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤(「SBA」)は、少なく
とも25重量%がレゾルシノールおよび/またはその誘導体、好ましくは40~95重量
%がレゾルシノールおよび/またはその誘導体、最も好ましくはすべてがレゾルシノール
および/またはその誘導体である薬剤を意味する。皮膚有益剤には、皮膚特性を改善する
ために本発明の組成物中に配合することができる薬剤が含まれる。レチノイン酸前駆体(
「RAP」)は、酸化されるとレチノイン酸に変換することができる成分を意味する。そ
のような成分の例には、レチノール、レチナール、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸
レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエート(hydroxyanasatil re
tinoate)(すなわち、Retextra(登録商標))、それらの混合物などが
含まれる。本発明に関連して、より好ましいレチノイン酸前駆体は、レチナール、プロピ
オン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエート(すなわち
Retextra(登録商標))およびそれらの混合物である。さらに好ましいのは、プ
ロピオン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエート(すなわち、Retextra
(登録商標))およびそれらの混合物である。最も好ましいのは、ヒドロキシアナサチル
レチノエート(すなわち、Retextra(登録商標))である。特に明記しない限り
、本明細書に記載されるすべての範囲は、その中に包含されるすべての範囲を含むことを
意味する。用語「含む」は、用語「本質的にからなる」および「からなる」を包含するこ
とを意味する。疑義を避けるために、レチノイン酸前駆体、レゾルシノールおよび化粧品
担体を含む組成物はまた、本質的にそれからなる組成物およびそれからなる組成物を含む
ことを意味する。本明細書で使用されるすべてのパーセンテージは、他に記載がない限り
重量によるものであることを意味する。本発明の組成物は、消費者によって販売および適
用(例えば、局所的)に適した皮膚有益組成物を含むことを意味する。皮膚に利益を提供
するのに適した本発明の組成物は、水および乳化剤を含まないエマルジョンまたは組成物
であり得る。悪臭や変色のないことは、驚くべきことに、単にSBAの枯渇を制御するこ
とを意味する。本明細書で使用される場合、安定とは、組成物内(すなわち、in si
tu)のレチノイン酸前駆体酸化の測定可能な減少を意味する。レゾルシノール誘導体と
は、レゾルシノールの環構造上および/またはヒドロキシル基上の少なくとも1つのHが
アルキル基で置換されていることを意味する。本発明で使用される好ましいRAPは4-
置換レゾルシノールである。
【0017】
実施例および比較実施例を除いて、または他に明示されている場合を除いて、材料また
は条件の量または比、材料および/または使用の物理的特性を示す説明におけるすべての
数字は、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の組成物に使用され得るレチノイン酸前駆体に関する唯一の制限は、ヒト皮膚に
適用され得る組成物への配合に適していることである。本発明において使用され得るレチ
ノイン酸前駆体の実例としては、下記式:
【化1】
【0019】
(式中、各Rは独立して水素またはC
1-6アルキル基であり、Xは
【化2】
【0020】
であり、さらに各R’は水素またはC1-C3-アルキルであり、nは0~16(好ま
しくは6~16、より好ましくは1~5)の整数である)
により表されるものが挙げられる。
【0021】
好ましくは、レチノイン酸前駆体は、レチノール、レチナール、プロピオン酸レチニル
、パルミチン酸レチニルまたはそれらの混合物を含み、より好ましくはこれらである。さ
らにより好ましくは、レチノイン前駆体は、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニ
ルまたはそれらの混合物を含み、より好ましくはこれらである。
【0022】
使用に適したさらに別のレチノイン酸前駆体は、Molecular Design
Internationalによって供給されるRetextra(登録商標)の名称で
市販されているヒドロキサナサチルレチノエート(hydroxanasatil re
tinoate)である。これらを、本明細書に記載の前駆体との混合物として使用して
もよい。
【0023】
典型的には、本発明の組成物に使用されるレチノイン酸前駆体の量は、組成物の総重量
を基準にして0.001~10%、好ましくは0.01~6%、最も好ましくは0.05
~3.5%であり、そこに包含される範囲を含む。
【0024】
使用することができるレゾルシノールおよび/または誘導体を含む皮膚有益剤に関して
は、これらは、組成物、特に局所用組成物中への配合に適している程度にのみ限定される
。
【0025】
本発明で使用され得るSBAのタイプの実例としては、下記式:
【化3】
【0026】
(式中、各R’’は独立して水素またはC1-6アルキルであり、R”’は水素または
C1-18の直鎖または分枝鎖アルキルである)
により表されるものが挙げられる。
【0027】
多くの場合、R’’は水素であり、SBAは、4-メチルレゾルシノール、4-エチル
レゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ペンチ
ルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オ
クチルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノール、それらの混合物などのレゾル
シノール誘導体である。本発明の文脈におけるSBAは、4-メチルレゾルシノール、4
-エチルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4
-ペンチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール
、4-オクチルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノール、それらの混合物など
であることが好ましい。より好ましくは、SBAは、4-メチルレゾルシノール、4-エ
チルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ペ
ンチルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、4
-イソプロピルレゾルシノール、それらの混合物などであるさらにより好ましくは、SB
Aは、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノ
ール、4-イソプロピルレゾルシノール、それらの混合物などである。好ましいSBAは
4-エチルレゾルシノールである。
【0028】
この好ましい(1または複数種の)SBAは、レチナール、プロピオン酸レチニル、パ
ルミチン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエート(すなわちRetextra(
登録商標))およびそれらの混合物である本発明の文脈において好ましいレチノイン酸前
駆体と好ましく組み合わせられる。さらに好ましいのは、プロピオン酸レチニル、ヒドロ
キシアナサチルレチノエート(すなわち、Retextra(登録商標))およびそれら
の混合物である。プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニルおよびそれらの混合物が
より好ましい。ヒドロキシアナサチルレチノエート(すなわち、Retextra(登録
商標))も好ましいRAPであり得る。
【0029】
典型的には、使用されるSBAの量は、組成物の総重量を基準として、約0.001~
10%、好ましくは0.01~6%、最も好ましくは0.1~3.5%であり、その中に
包含されるすべての範囲を含む。
【0030】
RAP対SBAの重量比は、0.2:4~4:0.2、好ましくは0.2:3~3:0
.2、最も好ましくは0.25:1~1:0.25であり、その中に包含されるすべての
比を含む。
【0031】
本発明の組成物は、本明細書に記載の比で存在するRAPおよびSBAを含む油のよう
な非極性液体を化粧品として許容できる担体として有することができる。または、RAP
およびSBAを含むこのような非極性液体は、組成物がエマルジョンである場合に油相と
して使用することができる。RAP対SBAの重量比はまた、0.5:4.0~4.0:
0.5であってもよい。
【0032】
本発明の組成物がエマルジョンである場合、それらは、典型的には、本明細書に記載の
RAPおよびSBAを有する非極性液体に加えて化粧品として許容される担体成分を含む
。多くの場合好ましい態様において、RAPおよびSBAは、本発明の組成物を調製する
ために、非極性液体とのプレミックスとして添加される。水が最も好ましい追加の担体で
ある。水の量は、組成物の総重量を基準にして1~99重量%、好ましくは5~90重量
%、最も好ましくは35~80重量%、最適には40~75重量%の範囲であり、その中
に包含されるすべての範囲を含む。通常、本発明の組成物は、水および油のエマルジョン
であり、最も好ましくは、水中油型のものである。しかし、油中水型エマルジョン、特に
油中水型および高内相型エマルジョンに一般的に分類されるものは選択肢である。本発明
のSBAおよびRAPを担持するのに適した高内相エマルジョンの実例は、共通の所有で
ある米国特許出願公開第2008/0311058号および米国特許第8,425,88
2号に記載されており、当該特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
本発明への使用(水の有無にかかわらず、およびRAPとSBAとを組み合わせるため
の使用)に適した他の化粧品として許容される担体には、鉱油、シリコーン油、エステル
およびアルコールを挙げることができる。これらの材料の量は、合わせて本発明の組成物
の0.1~99重量%、好ましくは0.1~45重量%、最も好ましくは1~20重量%
の範囲であり得、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0034】
シリコーン油は、揮発性および不揮発性の種類に分類することができる。本明細書で使
用する「揮発性」という用語は、周囲温度において測定可能な蒸気圧を有する材料を指す
。揮発性シリコーン油は、好ましくは、3~9個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含
む環状または直鎖状のポリジメチルシロキサンから選択される。
【0035】
直鎖状揮発性シリコーン材料は、一般に、25℃において5センチストーク未満の粘度
を有するが、環状材料は、典型的には、約10センチストーク未満の粘度を有する。
【0036】
担体材料として有用な不揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリ
アルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本
明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば25℃にお
いて5~約100,000センチストークスの粘度を有する(ジメチコンなど)ポリジメ
チルシロキサンが挙げられる。
【0037】
多くの場合好ましいシリコーン源は、シクロペンタシロキサンおよびジメチコノール溶
液である。
【0038】
好適なエステルとしては、
(1)10~20の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル、例
えば、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノ
ニル(isononyl isonanonoate)、ミリスチン酸オレイル、ミリス
チン酸イソプロピル、ステアリン酸オレイルおよびオレイン酸オレイル;
(2)エーテル-エステル、例えば、エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステル
;
(3)多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エス
テル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(2
00-6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪
酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレート、ポリプロピレングリコー
ル2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グ
リセリルモノ-およびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ-脂肪酸エステル、エト
キシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、
1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシ-エチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル;
(4)ワックスエステル、例えば、蜜蝋、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン
酸ステアリル;ならびに
(5)ステロールエステル、例えば、大豆ステロールおよびコレステロールの脂肪酸エ
ステル;
が挙げられる。
【0039】
多くの場合、カプリル酸カプリン酸トリグリセリドなどの油が担体として好ましい。
【0040】
本発明の組成物中には、乳化剤が存在してもよい。乳化剤の総濃度は、組成物の約0.
1~40重量%、好ましくは1~20重量%、最も好ましくは1~5重量%の範囲であり
得、その中に包含されるすべての範囲を含む。乳化剤は、アニオン性、非イオン性、カチ
オン性および両性活性物質からなる群から選択することができる。特に好ましい非イオン
性活性物質は、疎水性物質1モル当たり約2~約100モルのエチレンオキシドまたはプ
ロピレンオキシドと縮合されたC10-C20の脂肪アルコールまたは脂肪酸疎水性物質
;2~20モルのアルキレンオキシドと縮合されたC2-C10アルキルフェノール;エ
チレングリコールのモノ-およびジ-脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタ
ン、モノ-およびジ-C8-C20脂肪酸;およびポリオキシエチレンソルビタン、なら
びにこれらの組み合わせを含むものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド
脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も適切な非イオン性乳化剤である。
【0041】
好ましいアニオン性乳化剤としては、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネー
ト、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキ
ルおよびジアルキルスルホサクシネート、C8-C20アシルイセチオネート、C8-C
20アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレートおよびそれらの
組み合わせが挙げられる。
【0042】
使用することができるカチオン性乳化剤としては、例えば、アルミトアミドプロピルト
リモニウムクロライド(almitamidopropyltrimonium chl
oride)、ジステアリルジモニウムクロライドおよびそれらの混合物が挙げられる。
有用な両性乳化剤としては、ココアミドプロピルベタイン、C12-C20トリアルキル
ベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、およびラウロジアンホ酢酸ナトリウムまたはそ
れらの混合物が挙げられる。
【0043】
他の一般的に好ましい乳化剤としては、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコ
ール、ステアリン酸アミドAMP、ステアリン酸PEG-100、セチルアルコール、な
らびにヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリ
マー/スクワランなどの乳化/増粘添加剤およびそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
有害な可能性がある微生物の増殖を防ぐために、本発明の組成物中に防腐剤を組み込む
ことが望ましい。本発明の組成物に適した従来の防腐剤は、パラ-ヒドロキシ安息香酸の
アルキルエステルである。最近使用されるようになった他の防腐剤としては、ヒダントイ
ン誘導体、プロピオン酸塩、および種々の第4級アンモニウム化合物が挙げられる。化粧
品化学者は、適切な防腐剤に精通しており、保存負荷試験を満足させ、製品の安定性を提
供するために日常的にそれらを選択する。特に好ましい防腐剤は、ヨードプロピニルブチ
ルカルバメート、フェノキシエタノール、1,2-オクタンジオール、エチルヘキシルグ
リセリン、ヘキシレングリコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニ
ル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の
使用、およびエマルジョン中の防腐剤と他の成分との間の不適合の可能性を考慮して選択
されるべきである。防腐剤は、組成物の0.01重量%~2重量%の範囲の量で使用され
ることが好ましく、その中に包含されるすべての範囲を含む。1,2-オクタンジオール
とフェノキシエタノールとの組み合わせ、またはヨードプロピニルブチルカルバメートと
フェノキシエタノールとの組み合わせが好ましく、フェノキシエタノールは、フェノキシ
エタノールとの保存剤の組み合わせの総重量の35~65重量%を構成する。
【0045】
増粘剤は、本発明の組成物に含められていてもよい。多糖類が特に有用である。例とし
ては、デンプン、天然/合成ガムおよびセルロース系が挙げられる。デンプンの代表例は
、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウムおよびオクテニルコハク酸アルミニウム
デンプンのような化学的に修飾されたデンプンである。多くの場合タピオカデンプンが好
ましい。適切なガムとしては、キサンタン、スクレロチウム、ペクチン、カラヤ、アラビ
ア、寒天、グアー、カラギーナン、アルギン酸塩およびこれらの組み合わせが挙げられる
。適切なセルロースとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げら
れる。
【0046】
さらに別のクラスの有効な増粘剤は合成ポリマーである。このカテゴリーには、Car
bomersのような架橋ポリアクリレート、Sepigel305のようなポリアクリ
ルアミド、およびSimulgel EGおよびArlstoflex AVCのような
タウリン酸コポリマーが含まれ、コポリマーは、INCI命名法によりそれぞれ、アクリ
ル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムおよびアクリロイルジメチル
タウリン塩/ビニルピロリドンコポリマーとして同定されている。
【0047】
増粘に適した別の好ましい合成ポリマーはアクリレート系ポリマーであり、Simul
gel INS100の名称でSeppic社によって製造販売されている。
【0048】
増粘剤を使用する場合その量は、組成物の0.001~5重量%、好ましくは0.1~
2重量%、最も好ましくは0.2~0.5重量%の範囲であり得、その中に包含されるす
べての範囲を含む。
【0049】
香料、固定剤および研磨剤が、本発明の組成物に含まれていてもよい。これらの物質の
各々は、約0.05~約5重量%、好ましくは0.1~3重量%の範囲であり得る。
【0050】
皮膚の保湿を増強するために、カチオン性アンモニウム化合物を本発明の組成物に任意
に使用して、保湿が高められてもよい。このような化合物としては、ヒドロキシプロピル
トリ(C1-C3アルキル)アンモニウム一置換サッカライドの塩、ヒドロキシプロピル
トリ(C1-C3アルキル)アンモニウム一置換ポリオールの塩、ジヒドロキシプロピル
トリ(C1-C3アルキル)アンモニウム塩、ジヒドロキシプロピルジ(C1-C3アル
キル)モノ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、グアーヒドロキシプロピルトリモニウ
ム塩、2,3-ジヒドロキシプロピルトリ(C1-C3アルキルまたはヒドロキサルキル
(hydroxalkyl))アンモニウム塩またはそれらの混合物が挙げられる。最も
好ましい実施態様において、そして所望される場合、本発明において使用されるカチオン
性アンモニウム化合物は、第4級アンモニウム化合物の1,2-ジヒドロキシプロピルト
リモニウムクロライドである。使用される場合、そのような化合物は、典型的には組成物
の0.01~30重量%、好ましくは0.1~15重量%を構成する。
【0051】
カチオン性アンモニウム化合物が使用される場合、それとともに使用する追加の好まし
い添加剤は保湿剤であり、例えばヒドロキシメチル尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒドロ
キシプロピル尿素などの置換尿素;ビス(ヒドロキシメチル)尿素;ビス(ヒドロキシエ
チル)尿素;ビス(ヒドロキシプロピル)尿素;N,N’-ジヒドロキシメチル尿素;N
,N’-ジ-ヒドロキシエチル尿素;N,N’-ジヒドロキシプロピル尿素;N,N,N
’-トリ-ヒドロキシエチル尿素;テトラ(ヒドロキシメチル)尿素;テトラ(ヒドロキ
シエチル)尿素;テトラ(ヒドロキシプロピル)尿素;N-メチル-N’-ヒドロキシエ
チル尿素;N-エチル-N,N-N’-ヒドロキシエチル尿素;N-ヒドロキシプロピル
-N’-ヒドロキシエチル尿素およびN,N’-ジメチル-N-ヒドロキシエチル尿素ま
たはそれらの混合物である。用語「ヒドロキシプロピル」が現れる場合、その意味は、3
-ヒドロキシ-n-プロピル、2-ヒドロキシ-n-プロピル、3-ヒドロキシ-i-プ
ロピルまたは2-ヒドロキシ-i-プロピル基のいずれかの総称である。ヒドロキシエチ
ル尿素が最も好ましい。後者は、ICIのNational Starch&Chemi
cal Divisionから商標Hydrovanceとして50%水性液体として入
手可能である。
【0052】
本発明の組成物中に使用される置換尿素の量は、組成物の総重量を基準にして0.01
~20%、好ましくは0.5~15%、最も好ましくは2~10%の範囲であり、その中
に包含されるすべての範囲を含む。
【0053】
従来の湿潤剤は、皮膚有益剤として、レゾルシノールおよび/またはその誘導体に加え
て、本発明において使用することができる。これらは、一般に、多価アルコールタイプの
材料である。典型的な多価アルコールとしては、グリセロール(すなわち、グリセリン(
glycerine)またはグリセリン(glycerin))、プロピレングリコール
、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソル
ビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレン
グリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グ
リセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの混合物が挙げられる。グリセリ
ン(glycerin)、プロピレングリコールまたはそれらの混合物が最も好ましい。
使用される湿潤剤の量は、組成物の0.5~20重量%の範囲内のすべて、好ましくは1
~15重量%の間であり得る。
【0054】
カチオン性アンモニウム化合物および置換尿素が使用される場合、最も特に好ましい実
施形態では、組成物の総重量を基準として少なくとも1~15%、その中に包含されるす
べての範囲を含むグリセリンが使用される。
【0055】
本発明の組成物には、レゾルシノールおよび/またはその誘導体とともに、レチノイン
酸前駆体として存在するレチノール(ビタミンA)の他にビタミンが含まれていてもよい
。例示的なビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、ビタミンB
6、ビタミンC、ビタミンE、葉酸およびビオチンである。ビタミンの誘導体も使用する
ことができる。例えば、ビタミンC誘導体としては、テトラヘキシルデカン酸アスコルビ
ル(ascorbyl tetraisopalmitate)、リン酸アスコルビルマ
グネシウムおよびアスコルビルグリコシド(ascorbyl glycoside)が
挙げられる。ビタミンEの誘導体としては、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェ
リルおよびリノール酸トコフェリルが挙げられる。DL-パンテノールおよび誘導体も使
用することができ、ビタミンDおよびKもまた選択肢である。本発明による組成物中に存
在する場合の任意選択のビタミンの総量は、組成物の0.0~10重量%、好ましくは0
.001~1重量%、最適には0.01~0.5重量%の範囲であり得る。
【0056】
本発明への使用に適した他の任意選択の添加剤としては、アルファおよび/またはベー
タヒドロキシ酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ペトロセリン酸、共役リノール酸、ク
レアチン、クレアチニン、レチノイドブースター(例えば、クリンバゾール、ビボナゾー
ル、ファルネソール、グリチルレチン酸(glycyrrchetinic acid)
、ウルソール酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ヘキサノイルスフィンゴシ
ン)、それらの混合物などが挙げられる。そのような添加剤は、使用される場合、組成物
の約0.001~約12重量%を集合的に構成する。
【0057】
落屑促進剤が存在してもよい。例示的物質にはα-ヒドロキシカルボン酸、β-ヒドロ
キシカルボン酸がある。用語「酸」は、遊離酸だけでなく、それらの塩およびC1-C3
0アルキルもしくはアリールエステル、ならびに水を除去して、環状または直鎖状ラクト
ン構造を形成することによって生成されるラクトンも含むことを意味する。代表的な酸は
、グリコール酸およびその誘導体、乳酸およびリンゴ酸である。サリチル酸は、β-ヒド
ロキシカルボン酸を代表するものである。これらの物質が存在する場合、その量は、本発
明の組成物の0.01~15重量%の範囲であり得る。
【0058】
本発明の組成物には、種々のハーブ抽出物が含まれていてもよい。抽出物は、それぞれ
親水性または疎水性の溶媒に担持された水溶性または水不溶性のいずれかであり得る。水
およびエタノールが好ましい抽出溶媒である。例示的な抽出物としては、緑茶、ノコギリ
ソウ、カモミール、甘草、アロエベラ、ブドウ種子、温州ミカン(citrus uns
hui)、柳樹皮、セージ、タイムおよびローズマリー由来抽出物が挙げられる。
【0059】
また、使用に適しているとされてもよい物質としては、キレート剤(例えば、EDTA
)、乳白剤(TIO2、粒子サイズ50~1200nm、好ましくは50~350nm)
、C8-22脂肪酸置換サッカライド、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(SilC
are IM-75の商標でClariant Corp.から入手可能)、デヒドロエ
ピアンドロステロン(DHEA)およびそれらの組み合わせが挙げられる。セラミド(セ
ラミドI、セラミド3、セラミド36およびセラミド6を含む)ならびに擬似セラミドも
有用であり得る。これらの物質の量は、本発明の組成物の0.000001~10重量%
、好ましくは0.0001~1重量%の範囲であり得る。
【0060】
日焼け止め活性物質もまた、本発明の組成物に含められていてもよい。特に好ましいの
は、Parsol MCXとして入手可能なエチルヘキシルp-メトキシシンナメート、
Parsol 1789として入手可能なAvobenzene、およびOxybenz
oneとしても知られるベンゾフェノン-3のような物質である。無機の日焼け止め活性
物質、例えば、微細な二酸化チタン、オクトクリレン亜鉛酸化物、ポリエチレンおよび種
々の他のポリマーを使用することができる。
【0061】
存在する場合の日焼け防止剤の量は、一般に、0.1~30重量%、好ましくは0.5
~20重量%、最適には0.75~10重量%の範囲であり得る。
【0062】
従来の緩衝液/pH調整剤を使用することができる。これらには、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、塩酸、クエン酸およびクエン酸塩/クエン酸緩衝液のような一般的に使
用される添加剤が含まれる。特に好ましい実施形態では、本発明の組成物のpHは、4~
8、好ましくは4.25~7.75、最も好ましくは6~7.5であり、その中に包含さ
れるすべての範囲を含む。
【0063】
前述のように、本発明のSBAは、レゾルシノールおよび/またはその誘導体に加えて
、追加の皮膚有益剤を含むことができる。レゾルシノールおよび/またはその誘導体は、
SBAの少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも40~95重量%、最も好ましく
は100重量%を構成することが好ましい。
【0064】
任意選択の油溶性皮膚有益剤または添加剤はいずれも、所望であれば、レソルシノール
および/またはその誘導体ではない皮膚有益剤の部分を構成するために、SBAとまとめ
て提供されてもよい。理論に束縛されるものではないが、SBAは、レチノイン酸前駆体
のin situ(すなわち、組成物中)の酸化を妨げることによって、レチノイン酸前
駆体を安定化させると考えられている。
【0065】
本発明の組成物は、好ましくは、リーブオンスキンローション、クリーム、シャンプー
、コンディショナー、シャワージェル、発汗抑制剤、デオドラント剤、脱毛剤、シェービ
ングクリームまたは固形化粧石鹸(toilet bar)である。
【0066】
本発明の発明はさらに、RAPの酸化を妨害する方法であって、RAPとSBAとをこ
れらが可溶である担体中で順不同に組み合わせ、RAPの酸化が妨げられる組成物を得る
方法に関する。
【0067】
本発明の安定なレチノイン酸前駆体を含む組成物を貯蔵および送達するために、多種多
様な包装を用いることができる。包装は、多くの場合パーソナルケア最終用途のタイプに
依存する。例えば、リーブオンスキンローションおよびクリーム、シャンプー、コンディ
ショナーおよびシャワージェルは、一般に、閉鎖部によって覆われた分配端部に開口部を
有するプラスチック容器を使用する。典型的な閉鎖部は、スクリューキャップ、非エアロ
ゾルポンプおよびフリップトップヒンジ蓋である。発汗抑制剤、デオドラント剤および脱
毛剤のための包装は、分配端部にロールオンボールを有する容器を含むことができる。ま
たは、これらのタイプのパーソナルケア製品は、スティックが分配オリフィスに向かって
プラットフォーム上を移動する繰り出し(propel-repel)機構を備えた容器
内のスティック組成物配合物中に送達されてもよい。噴射剤によって加圧され、スプレー
ノズルを有する金属缶は、発汗抑制剤、シェービングクリームおよび他のパーソナルケア
製品のための包装として役立つ。固形化粧石鹸は、セルロース系またはプラスチック製の
包装材によって、またはボール紙箱内に構成された包装を有していてもよく、またはシュ
リンクラッププラスチックフィルムに包まれていてもよい。
【0068】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の
範囲を限定するものではない。
【0069】
[実施例]
[実施例1]
カプリル酸カプリン酸トリグリセリドを担体として100%まで用いて組成物を調製し
た。貯蔵は45℃において維持した。式中のRAP量の評価は、ASTM標準を使用する
HPLCによって達成された。
【表1】
【0070】
結果は、4-エチルレゾルシノールが酸化を防止することによって、RAPの安定性が
改善されることを示している。
【0071】
[実施例2]
実施例2の実験は、4-ヘキシルレゾルシノール(HR)も同様に使用したことを除い
て、実施例1に記載した方法と同様に行った。レゾルシノールは0.35%で添加した。
残りには、カプリル酸カプリン酸トリグリセリドを、担体として100%まで添加した。
【表2】
【0072】
提供されたデータは、レゾルシノールの存在が、予想外にRAPの分解、酸化を防止す
ることを示している。
【0073】
[実施例3]
以下の実験で提供されるデータは、SBAがRAPの約50%の重量比で存在する場合
、最大の安定性が達成されることを実証している。
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2022-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
(a)酸化されるとレチノイン酸に変換され得る成分を意味するレチノイン酸前駆体であって、プロピオン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエートおよびそれらの混合物から選択されるレチノイン酸前駆体と;
(b)レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤と;
(c)化粧品として許容される担体と;
を含み、
前記誘導体は、レゾルシノールの環構造上および/またはヒドロキシ基上の少なくとも1つのHがアルキル基で置換されており、
前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤は、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノールおよびそれらの混合物から選択され、
前記レチノイン酸前駆体と、前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤とが、約1対2から約2対1の重量比で存在する、組成物。
【請求項2】
前記レチノイン酸前駆体が組成物の0.001~10重量%で存在し、
前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤が、組成物の0.001~10重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記レチノイン酸前駆体と、レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤とが、約1対1から約2対1の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記レチノイン酸前駆体がヒドロキシアナサチルレチノエート(hydroxyanasatil retinoate)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
クリンバゾール、ビボナゾール、ファルネソール、グリチルレチン酸(glycyrrchetinic acid)、ウルソール酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ヘキサノイルスフィンゴシンおよびそれらの混合物から選択されるレチノイドブースターをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
エマルジョンではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
水中油型エマルジョンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
クレアチン、1,2-オクタンジオール、日焼け止め剤、共役リノール酸、ヒドロキシル酸、ナイアシンアミド、12-ヒドロキシセリン酸(hydroxysearic acid)、フェノキシエタノールおよびそれらの混合物から選択される成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤が、組成物中で前記レチノイン酸前駆体の酸化を妨げる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中のレチノイン酸前駆体の酸化を妨げる方法であって、
レチノイン酸前駆体と、レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤とを組み合わせる工程を含み、
前記レチノイン酸前駆体が、プロピオン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエートおよびそれらの混合物から選択され、
前記皮膚有益剤が、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノールおよびそれらの混合物から選択され、
前記レチノイン酸前駆体と、前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤とが、約1対2から約2対1の重量比で存在する、方法。
【請求項11】
レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤を含む、組成物であって、
前記皮膚有益剤が、組成物中でレチノイン酸前駆体の酸化を妨げ、
前記レチノイン酸前駆体が、プロピオン酸レチニル、ヒドロキシアナサチルレチノエートおよびそれらの混合物から選択され、
前記皮膚有益剤が、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノールおよびそれらの混合物から選択され、
前記レチノイン酸前駆体と、前記レゾルシノールおよび/またはその誘導体を含む皮膚有益剤とが、約1対2から約2対1の重量比で存在する、組成物。
【請求項12】
下記:
(a)ヒドロキシアナサチルレチノエート;
(b)4-メチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ペンチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノールおよびそれらの混合物から選択されるレゾルシノール誘導体;
(c)化粧品として許容される担体と;
を含む組成物であって、
前記組成物が、化粧組成物であり、
前記ヒドロキシアナサチルレチノエートと、前記レゾルシノール誘導体とが、約1対2から約2対1の重量比で存在することによって、前記ヒドロキシアナサチルレチノエートが、前記レゾルシノール誘導体によって安定化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ヒドロキシアナサチルレチノエートと、レゾルシノール誘導体とが、約1対1の重量比で存在し、
前記レゾルシノール誘導体が、4-エチルレゾルシノールおよび4-ヘキシルレゾルシノールから選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記皮膚有益剤が、4-エチルレゾルシノールまたは4-ヘキシルレゾルシノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記皮膚有益剤が、4-エチルレゾルシノールである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸アミドAMP、ステアリン酸PEG-100および/またはセチルアルコールから選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
クレアチン、1,2-オクタンジオール、日焼け止め剤、共役リノール酸、ヒドロキシル酸、ナイアシンアミド、12-ヒドロキシステアリン酸、フェノキシエタノール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸アミドAMP、ステアリン酸PEG-100、セチルアルコール、および/または、レチノイドブースターから選択される少なくとも1つの成分をさらに含み、
前記レチノイドブースターが、クリンバゾール、ビボナゾール、ファルネソール、グリチルレチン酸(glycyrrchetinic acid)、ウルソール酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ヘキサノイルスフィンゴシンおよびそれらの混合物から選択される、請求項11に記載の組成物。
【外国語明細書】