IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田辺三菱製薬株式会社の特許一覧

特開2022-105159統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン
<>
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図1
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図2
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図3
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図4
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図5
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図6
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図7
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図8
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図9
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図10
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図11
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図12
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図13
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図14
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図15
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図16
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図17
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図18
  • 特開-統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105159
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】統合失調症を治療するための2-((1-(2(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20220705BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220705BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61K31/454
C07D401/06
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/44
A61P25/18
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076280
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2020116157の分割
【原出願日】2015-11-30
(31)【優先権主張番号】62/086,691
(32)【優先日】2014-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,071
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002956
【氏名又は名称】田辺三菱製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】レミー・ルースリンガー
(72)【発明者】
【氏名】奥山 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】ナディネ・ノエル
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ウェルネ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】統合失調症を治療するための放出調節型組成物を提供する。
【解決手段】式(I):

で示される化合物の新規な多形体である、2-((1-(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン・一塩酸塩・二水和物、すなわち、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を提供する。化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む医薬組成物および関連する治療方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I):
を含む医薬製剤であって、約1-100mgの用量でヒトに投与される場合に、50ng/mL未満の化合物(I)の最大血漿濃度(Cmax)を提供し、放出調節剤としてヒプロメロースを、化合物(I):ヒプロメロース=1:1.4~1:6.75の割合で含有する、放出調節型の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年12月2日出願の米国仮出願第62/086,691号および2015年10月29日出願の米国仮出願第62/248,071号の利益を主張する。上記各出願の開示は、全体を参照することにより本願に包含される。
技術分野
いくつかの実施態様において、本発明は、患者の統合失調症を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
統合失調症は、世界保健機関(WHO、2006)によれば、世界人口の0.7%に影響を及ぼす複雑で、挑戦的かつ異質な精神状態である。統合失調症に罹患している患者は、妄想、幻覚、思考障害および激越などの陽性症状;気分平坦および日常生活における喜びの欠如などの陰性症状;情報を理解し、意思決定を行う能力の低下、集中困難、および作業記憶機能の低下などの認知症状;および睡眠障害などの広範囲の症状を有する。
【0003】
統合失調症の病因は完全には理解されていない。統合失調症の病態生理学の主要な説明的仮説は、ドーパミン(DA)仮説であり、DA伝達の活動亢進が障害の発現された症状の原因であることを示唆している。この仮説は、統合失調症の治療に有効な薬物がDAD2受容体を遮断する共通の特徴を有するという知見に基づいている。しかしながら、これらのいわゆる典型的な抗精神病薬は、非常に高い発生率で錐体外路症状(EPS)を伴う。さらに、陰性症状および認知障害は、典型的な抗精神病薬に比較的反応しないと考えられている。
【0004】
統合失調症用に現在承認されている治療法のほとんどは、主に陽性症状の管理において有効性を示す。2012年に、米国および5つの主要欧州連合(EU)市場において、推定人口420万人の人々が統合失調症に苦しんでいる。そのうち、推定48%が主に陰性症状を経験し、80%が認知障害を経験した。さらに、統合失調症患者の約50%が、陽性および陰性症状をさらに悪化させる可能性がある睡眠障害を経験している。
【0005】
過去10年間のいわゆる非定型抗精神病薬の導入は、統合失調症の治療において大きな進歩をもたらした。これらの非定型抗精神病薬は、化学構造および受容体結合プロファイルにおいて大きく異なるが、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)2型受容体(5-HT2A)の強力な拮抗作用の特徴を共有する。高い5-HT2A:D2親和性比は、典型的な抗精神病薬と比較して、EPS誘導の負担を実質的に減少させると考えられている。
【0006】
しかしながら、耐容性という非定型抗精神病薬の利点にもかかわらず、多くの患者は依然として治療ノンコンプライアンスである。EPSのリスクは、非定型抗精神病薬では明らかに低くなるが、一部の非定型抗精神病薬で必要とされる高用量は、EPSの発生率を増加させ、抗パーキンソン薬などの併用薬を必要とする可能性がある。
【0007】
EPSに加えて、抗精神病薬は、鎮静、抗コリン作用、プロラクチン上昇、起立性低血圧、体重増加、グルコース代謝の変化、およびQTc延長などの広範な副作用を引き起こす。これらの副作用は、患者の治療計画に対するコンプライアンスに影響を及ぼす可能性がある。治療計画に対するノンコンプライアンスが、この疾患の再発の主な理由であることに留意すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非定型抗精神病薬は、典型的な抗精神病薬よりも症状緩和および副作用プロファイルに関して有利であるが、これらの差異は一般的に控えめである。特定の集団の患者は、現在利用可能な全ての抗精神病薬に対して、依然として不応性のままである。これらの問題に対処するための新しい作用剤が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、全ての患者、特に現在利用可能な治療によって効果的に治療されていない患者に有効な、統合失調症の治療のための、この長年にわたる、満たされていない必要性に取り組むための組成物、方法およびキットを提供する。本開示の組成物、方法およびキットは、より大きな患者コンプライアンスをもたらす。
【0010】
概要
本開示は、精神病の動物モデルにおいて有効性を示している(米国特許第7,166,617号も参照、この内容は、全体を参照することにより本願に組み込まれる)、式(I):
で示される化合物の新規な多形体(MIN-101、CYR-101およびMT-210としても知られる)を提供する。化合物(I)は、新しい化学物質群に属する抗精神病薬である環状アミド誘導体である。化学名は、2-((1-(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン・一塩酸塩・二水和物である。
【0011】
本明細書で用いる、式(I):
で示される化合物の新規な多形体である、2-((1-(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン・一塩酸塩・二水和物は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)とも呼ばれる。
【0012】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、XRPDによって特徴付けられる。
【0013】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、IRによって特徴付けられる。
【0014】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、1H NMRによって特徴付けられる。
【0015】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、13C NMRによって特徴付けられる。
【0016】
本開示は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の製造方法を提供する。
【0017】
本開示は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)および薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本開示は、治療有効量の化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)またはその医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、神経精神疾患または障害の治療方法を提供する。
【0019】
本開示は、治療有効量の化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)またはその医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症の治療方法を提供する。
【0020】
本開示は、統合失調症を治療するための医薬の製造における、本発明の医薬製剤の使用に関する。
【0021】
本開示は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む医薬組成物および使用説明書を含むキットを提供する。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、単数形には、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含まれる。本明細書に記載されているものと類似または等価な方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によって組み込まれる。本明細書に引用される参考文献は、本願発明の先行技術であると認められるものではない。矛盾が存在する場合、定義を含め、本明細書が制御する。さらに、材料、方法、および実施例は例示的なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0023】
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0024】
前述の概要、ならびに本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読む場合、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】MIN-101の血漿濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図2】BFB-520の血漿濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図3】BFB-999の血漿濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図4】MIN-101、BFB-520、およびBFB-999の血漿濃度を期間別に示すグラフである。
図5】BFB-520、BFB-999およびCYR-101濃度によるQTcFの変化を示す一連のグラフである。
図6】PSGおよびV-Watchを使用して睡眠を監視するスキームを示す図である。
図7】パート1研究デザインを示す図である。
図8】パート2研究デザインを示す図である。
図9】研究期間スキームを示す図である。
図10】統合失調症患者における第IIB相のグローバルスタディデザインを示す図である。
図11】化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の粉末X線回折である。
図12】化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)のIRスペクトルである。
図13】化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の1H-NMRスペクトルである。
図14】化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の13C-NMRスペクトルである。
図15】バッチC001とV039SS(MTPCからの二次参照標準)との間のIRスペクトル比較である。
図16】バッチC001(PCASから)の1H-NMRスペクトルである。
図17】バッチC001(PCASから)の13C-NMRスペクトルである。
図18】MALDI-TOF(MTPCから)による化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)のマススペクトルである。
図19】バッチC001(PCASから)に対するESIイオン化による化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)のマススペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な記載
本開示は、神経精神疾患または状態の治療用組成物、方法およびキットを提供する。好ましくは、精神神経疾患または状態は、統合失調症である。本開示の組成物およびキットには、医薬組成物が含まれる。本開示の組成物は、化合物(I)・HCl・2H2Oの安定な多形体を含み、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)が好ましい。
【0027】
化合物(I)の形態A
本開示は、少なくとも部分的に、化合物(I)・HCl・2H2Oの安定な多形体に関する。
【0028】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体は、形態(A)である。
【0029】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、図11に示されるものと実質的に類似した粉末X線回折パターンを有する。
【0030】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6および14.3°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0031】
1つの実施態様において、形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3および14.7°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0032】
1つの実施態様において、形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3および27.5°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0033】
1つの実施態様において、形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、14.7および27.5°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0034】
1つの実施態様において、形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、14.7、18.6および27.5°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0035】
1つの実施態様において、形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、14.7、14.9、18.6、27.5および30.1°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0036】
1つの実施態様において、形態(A)は、Cu Kα照射を用いると、約7.6、11.2、14.3、14.7、14.9、18.6、22.0、25.9、27.5および30.1°2θに粉末X線回折ピークを有する。
【0037】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、図12に示されるものと実質的に類似したIR吸収スペクトルを有する。
【0038】
1つの実施態様において、形態(A)は、2916cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0039】
1つの実施態様において、形態(A)は、1684cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0040】
1つの実施態様において、形態(A)は、1665cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0041】
1つの実施態様において、形態(A)は、1594cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0042】
1つの実施態様において、形態(A)は、1235cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0043】
1つの実施態様において、形態(A)は、1684および1665cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0044】
1つの実施態様において、形態(A)は、2916、1684および1665cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0045】
1つの実施態様において、形態(A)は、2916、1684および1665cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0046】
1つの実施態様において、形態(A)は、2916、1594および1235cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0047】
1つの実施態様において、形態(A)は、2916、1684、1665および1235cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0048】
1つの実施態様において、形態(A)は、2916、1684、1665、1594および1235cm-1に主な吸収波数をもつIR吸収スペクトルを有する。
【0049】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、図13に示されるものと実質的に類似した1H NMRスペクトルを有する。
【0050】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、図14に示されるものと実質的に類似した13C NMRスペクトルを有する。
【0051】
1つの実施態様において、形態(A)は、d6-ジメチルスルホキシド中、164.7、166.7、167.6および190.1δに13C NMRスペクトルピークを有する。
【0052】
1つの実施態様において、形態(A)は、d6-ジメチルスルホキシド中、60.6、164.7、166.7、167.6および190.1δに13C NMRスペクトルピークを有する。
【0053】
1つの実施態様において、形態(A))は、d6-ジメチルスルホキシド中、50.2、60.6、164.7、166.7、167.6および190.1δに13C NMRスペクトルピークを有する。
【0054】
1つの実施態様において、形態(A))は、d6-ジメチルスルホキシド中、46.5、50.2、60.6、164.7、166.7、167.6および190.1δに13C NMRスペクトルピークを有する。
【0055】
本願はまた、少なくとも部分的に、化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体の製造方法にも関する。
【0056】
1つの実施態様において、本開示は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の製造方法に関する。
【0057】
1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、
(1)アセトン中の化合物(I)の遊離塩基と塩酸との反応;および
(2)アセトンおよび水中の粗化合物(I)の加熱、続いての冷却、ろ過および減圧乾燥;
を含む方法によって製造される。
【0058】
本開示はまた、少なくとも部分的に、化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体の高純度形態の製造方法に関する。1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体の高純度形態は、形態(A)である。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも90%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも92%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも94%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも95%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも96%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも97%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも98%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも99%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも99.5%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも99.6%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも99.7%の純度を有する。1つの実施態様において、形態(A)は、少なくとも99.8%の純度を有する。
【0059】
本開示はまた、少なくとも部分的に、最少量の不純物を含む化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体の製造方法に関する。1つの実施態様において、最少量の不純物を含む化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体は、形態(A)である。1つの実施態様において、最少量の不純物を含む化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体の形態は、形態(A)であり、ここで、不純物は、(V):
、(VI):
、または(VII):
である。1つの実施態様において、形態(A)は、合わせて3%未満の不純物(V)、(VI)および(VII)を含む。1つの実施態様において、形態(A)は、合わせて2.5%未満の不純物(V)、(VI)および(VII)を含む。1つの実施態様において、形態(A)は、合わせて2%未満の不純物(V)、(VI)および(VII)を含む。1つの実施態様において、形態(A)は、合わせて1.5%未満の不純物(V)、(VI)および(VII)を含む。1つの実施態様において、形態(A)は、合わせて1%未満の不純物(V)、(VI)および(VII)を含む。1つの実施態様において、形態(A)は、合わせて0.5%未満の不純物(V)、(VI)および(VII)を含む。
【0060】
もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.5%未満の不純物(V)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.2%未満の不純物(V)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.1%未満の不純物(V)を含む。
【0061】
もう1つの実施態様において、形態(A)は、1%未満の不純物(VI)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.5%未満の不純物(VI)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.2%未満の不純物(VI)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.1%未満の不純物(VI)を含む。
【0062】
もう1つの実施態様において、形態(A)は、1%未満の不純物(VII)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.5%未満の不純物(VII)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.2%未満の不純物(VII)を含む。もう1つの実施態様において、形態(A)は、0.1%未満の不純物(VII)を含む。
【0063】
本開示はまた、化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体および1種以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む医薬組成物に関する。1つの実施態様において、医薬組成物は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)および1種以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む。
【0064】
本開示はまた、治療有効量の化合物(I)・HCl・2H2Oの多形体またはその医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、神経精神疾患または障害の治療方法に関する。
【0065】
本開示はまた、治療有効量の化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)またはその医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、神経精神疾患または障害の治療方法に関する。
【0066】
1つの実施態様において、神経精神疾患は、統合失調症である。
【0067】
用語「多形体」は、「結晶性多形体」、「結晶多形体」、「結晶形態」および「多形体形態」と同義語である。各用語は、化合物(I)・HCl・2H2Oが特定の結晶充填配列、すなわち、化合物(I)・HCl・2H2Oと同じ元素組成を有する形態(A)で結晶化する結晶構造を指す。
【0068】
多形体によって示される物理的性質の差異は、貯蔵安定性、圧縮性および密度などの薬学的パラメータ(製剤および製品製造において重要)、および溶解速度(バイオアベイラビリティにおける重要な因子)に影響を及ぼす。安定性の差異は、化学反応性(たとえば、別の多形体または非晶形からなる場合よりも1つの多形体を含む場合、投与剤形がより急速に変色するような微分酸化など)または機械的特性(たとえば、動力学的に好ましい多形体または非晶形が、熱力学的により安定な多形体または非晶形に変換するとき、錠剤が貯蔵上で崩壊するなど)または両方(たとえば、1つの多形体または非晶形の錠剤は、高湿度でより壊れやすいなど)における変化からもたらされうる。さらに、結晶の物理的特性は、加工において重要であり、たとえば、多形体または非晶形は、溶媒和物を形成する可能性がより高いか、またはろ過および洗浄が困難である(たとえば、粒子の形状およびサイズ分布は、多形体と非晶形とで相違する)。
【0069】
分子の多形体を、当技術分野で知られている多くの方法によって得ることができる。そのような方法として、溶融再結晶化、溶融冷却、溶媒再結晶化、脱溶媒和、急速蒸発、急速冷却、徐冷、蒸気拡散、および昇華が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
多形体を特徴付けるための技術として、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折測定(XRPD)、単結晶X線回折測定、振動分光法(たとえば、IRおよびラマン分光法)、TGA、DTA、DVS、固体NMR、高温光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、電子結晶学および定量分析、粒度分析(PSA)、表面積分析、溶解度試験、および溶解試験が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
本明細書で使用する「非晶形」という用語は、物質の非結晶性固体状態の形態を示す。
【0072】
本明細書中で使用される場合、化合物は、一定の期間(たとえば、1週間、2週間、3週間、および4週間)にわたって、湿度(たとえば、相対湿度0%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%)、露光および温度(たとえば、0℃より高い、たとえば、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、および70℃)の一定条件下で有意な量の分解生成物が観察されない「安定な」状態である。化合物は、分解不純物が現れるか、あるいは存在する不純物の面積パーセンテージ(たとえば、HPLCによって特徴づけられるAUC)が増え始める場合、ある条件で安定であるとは考えられない。化合物の安定性の決定においては、時間の関数としての分解増加の量が重要である。
【0073】
本明細書で使用する「混合(mixing)」という用語は、混合(combining)、混合(blending)、攪拌(stirring)、振とう、旋回または撹拌(agitating)を意味する。「撹拌(stirring)」という用語は、混合、振とう、攪拌(agitating)または旋回を意味する。「攪拌する(agitating)」という用語は、混合、振とう、攪拌(stirring)または旋回を意味する。
【0074】
明示的に他に示されない限り、「約(approximately)」および「約(about)」という用語は同義語である。1つの実施態様において、「約(approximately)」および「約(about)」は、列挙された量、値または期間±20%、±15%、±10%、±8%、±6%、±5%、±4%、±2%、±1%、または±0.5%を意味する。もう1つの実施態様において、約(approximately)」および「約(about)」は、列挙された量、値または期間±10%、±8%、±6%、±5%、±4%、または±2%を意味する。さらにもう1つの実施態様において、「約(approximately)」および「約(about)」は、列挙された量、値または期間±5%を意味する。
【0075】
用語「約(approximately)」および「約(about)」が、XRPDピークを列挙する場合に用いられる場合、これらの用語は、列挙された粉末X線回折ピーク±0.5°2θ、±0.4°2θ、±0.3°2θ、±0.2°2θ、または±0.1°2θを意味する。もう1つの実施態様において、用語「約(approximately)」および「約(about)」は、列挙された粉末X線回折ピーク±0.2°2θを意味する。もう1つの実施態様において、用語「約(approximately)」および「約(about)」は、列挙された粉末X線回折ピーク±0.1°2θを意味する。
【0076】
用語「約(approximately)」および「約(about)」が、温度または温度範囲を列挙する場合に用いられる場合、これらの用語は、列挙された温度または温度範囲±5℃、±2℃、または±1℃を意味する。もう1つの実施態様において、用語「約(approximately)」および「約(about)」は、列挙された温度または温度範囲±2℃を意味する。
【0077】
化合物(I)
本開示は、化合物(I):
、またはその薬学的に許容される塩の医薬製剤を提供する。
【0078】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、改善された治療反応およびより少ない有害反応に関連するレベル(たとえば、QT間隔の延長)において、化合物(I)およびその2つの活性代謝物(BFB-520およびBFB-999)の最大血漿濃度(Cmax)および曲線下面積(AUC)を提供する。
【0079】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、BFB-999の最大血漿濃度(Cmax)および曲線下面積(AUC)を増加させ、同時に、BFB-520の最大血漿濃度(Cmax)および曲線下面積(AUC)を減少させる。
【0080】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、50ng/mL未満、45ng/mL未満、40ng/mL未満、35ng/mL未満、30ng/mL未満、25ng/mL未満、20ng/mL未満、15ng/mL、または10ng/mL未満の化合物(I)の最大血漿濃度(Cmax)を提供する。1つの実施態様において、本開示の製剤は、400hr*ng/mL未満、350hr*ng/mL未満、300hr*ng/mL未満、250hr*ng/mL未満、200hr*ng/mL未満、150hr*ng/mL、または100hr*ng/mL未満の化合物(I)のAUCを提供する。
【0081】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、5.0ng/mL未満、4.5ng/mL未満、4.0ng/mL未満、3.5ng/mL未満、3.0ng/mL未満、2.5ng/mL未満、2.0ng/mL未満、1.5ng/mL、または1.0ng/mL未満のBFB-520の最大血漿濃度(Cmax)を提供する。1つの実施態様において、本開示の製剤は、40hr*ng/mL未満、35hr*ng/mL未満、30hr*ng/mL未満、25hr*ng/mL未満、20hr*ng/mL未満、15hr*ng/mL、または10hr*ng/mL未満のBFB-520のAUCを提供する。1つの実施態様において、BFB-520は、超治療レベルでのQT間隔の延長を伴う。
【0082】
1つの実施態様において、QTの延長を回避するために、化合物(I)およびBFB-520の最大血漿濃度(Cmax)は、それぞれ、80ng/mLおよび12ng/mLを超えるべきではない。1つの実施態様において、本開示の製剤は、10ng/mL未満、9.0ng/mL未満、8.0ng/mL未満、7.0ng/mL未満、6.0ng/mL、5.0ng/mL未満、4.5ng/mL未満、4.0ng/mL未満、3.5ng/mL未満、3.0ng/mL未満、2.5ng/mL未満、2.0ng/mL未満、1.5ng/mL、または1.0ng/mL未満のBFB-520のCmaxを提供する。1つの実施態様において、本開示の製剤は、5.0ng/mL未満、4.5ng/mL未満、4.0ng/mL未満、3.5ng/mL未満、3.0ng/mL未満、2.5ng/mL未満、2.0ng/mL未満、1.5ng/mL、または1.0ng/mL未満のBFB-999のCmaxを提供する。1つの実施態様において、本開示の製剤は、40hr*ng/mL未満、35hr*ng/mL未満、30hr*ng/mL未満、25hr*ng/mL未満、20hr*ng/mL未満、15hr*ng/mL、または10hr*ng/mL未満のBFB-999のAUCを提供する。
【0083】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、約1-100mgの化合物(I)、約1-75mgの化合物(I)、約2-75mgの化合物(I)、約5-75mgの化合物(I)、約10-75mgの化合物(I)、約15-75mgの化合物(I)、約15-70mgの化合物(I)、約15-65mgの化合物(I)を含む。1つの実施態様において、本開示の製剤は、約16mgの化合物(I)、約32mgの化合物(I)、約40mgの化合物(I)、または約64mgの化合物(I)を含む。
【0084】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、慢性投与(たとえば、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、1年、2年、3年、4年および5年)に適している。
【0085】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、一日一回投与される。
【0086】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、絶食条件下で患者に投与される。1つの実施態様において、本開示の製剤は、患者が食事をしてから少なくとも4時間後、患者が食事をしてから少なくとも6時間後、患者が食事をしてから少なくとも8時間後、患者が食事をしてから少なくとも10時間後、患者が食事をしてから少なくとも12時間後に患者に投与される。1つの実施態様において、本開示の製剤は、摂食条件下で患者に投与される。1つの実施態様において、本開示の製剤は、患者が食事をしてから4時間以内、患者が食事をしてから4時間以内、患者が食事をしてから4時間以内、患者が食事をしてから3時間以内、患者が食事をしてから2時間以内、患者が食事をしてから1時間以内、または患者が食事をしてから0.5時間以内に患者に投与される。
【0087】
「食事」とは、炭水化物、タンパク質、アミノ酸などのあらゆる源を含む、あらゆる量の食品を意味する。
【0088】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、または皮下投与に適している。1つの実施態様において、本開示の製剤は、経口投与に適している。1つの実施態様において、本開示の製剤は、錠剤またはカプセルの形態である。
【0089】
1つの実施態様において、錠剤製剤は、化合物(I)、放出調節剤、充填剤、流動促進剤、および滑沢剤を含む。1つの実施態様において、放出調節剤は、ヒプロメロース(たとえば、ヒプロメロースK100LV CR、ヒプロメロースK4M CR、ヒプロメロースE50、またはそれらの組み合わせ)である。1つの実施態様において、充填剤は、微結晶セルロース、ラクトース、またはそれらの組み合わせである。1つの実施態様において、流動促進剤は、無水コロイダルシリカである。1つの実施態様において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、Kolliwax HCO、ステアリルフマル酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。
【0090】
さらなる実施態様において、錠剤製剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤をさらに含んでもよい。さらなる実施態様において、錠剤製剤は、クロスポビドンなどの崩壊剤をさらに含んでもよい。さらなる実施態様において、錠剤製剤は、タルクなどの抗付着剤をさらに含んでもよい。さらなる実施態様において、錠剤製剤は、有機もしくは無機酸、または有機もしくは無機塩基などのpH調節剤をさらに含んでもよい。さらなる実施態様において、錠剤製剤は、糖類(たとえば、マンニトール)などの甘味料をさらに含んでもよい。
【0091】
1つの実施態様において、錠剤製剤の放出プロファイルは、製剤中の放出調節剤の量を変えることによって制御される。1つの実施態様において、錠剤製剤からの化合物(I)の放出速度は、放出調節剤の量を増加させることによって減少する。
【0092】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、速放性製剤である。1つの実施態様において、本開示の製剤は、調節放出製剤である。1つの実施態様において、放出調節製剤は、遅い(放出速度16~24時間)、中程度(放出速度10~12時間)または速い(放出速度5~7時間)放出製剤である。
【0093】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、制御放出製剤である。
【0094】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、徐放性製剤である(たとえば、放出は、少なくとも4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間、または24時間行われる)。1つの実施態様において、本開示の製剤は、遅い徐放性製剤である。
【0095】
本開示はまた、治療有効量の本発明製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、神経精神疾患および障害、特に統合失調症の治療方法に関する。
【0096】
1つの実施態様において、治療有効量の本発明製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、神経精神疾患および障害、特に統合失調症の少なくとも1つの症状を治療または軽減する方法が提供される。
【0097】
1つの実施態様において、治療有効量の本発明製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症の少なくとも1つの症状を治療または軽減する方法が提供される。
【0098】
1つの実施態様において、治療有効量の本発明製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症の少なくとも1つの症状を治療または軽減する方法であって、化合物(I)の量が、約1-100mg、約1-75mg、約2-75mg、約5-75mg、約10-75mg、約15-75、約15-70mg、または約15-65mgの範囲である方法が提供される。
【0099】
1つの実施態様において、治療有効量の本発明製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、統合失調症の少なくとも1つの症状を治療または軽減する方法であって、化合物(I)の量が、約16mg、約32mg、約40mg、または約64mgである方法が提供される。
【0100】
1つの実施態様において、本開示の製剤は、統合失調症の陰性および/または陽性症状、認知機能、睡眠構造および持続性、および社会的機能に関連する統合失調症の症状の少なくとも1つの症状を治療または軽減するために投与される。
【0101】
もう1つの実施態様において、本開示の製剤は、抑うつ症状を改善するために投与される。
【0102】
1つの実施態様において、本発明の製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、抑うつに関連する少なくとも1つの疾患または障害を治療または軽減する方法が提供される。
【0103】
もう1つの実施態様において、本発明の製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、睡眠構造および持続性などの睡眠を改善する方法が提供される。
【0104】
1つの実施態様において、本発明の製剤を、患者に投与することを含む、神経精神疾患および障害、特に統合失調症に罹患した患者における睡眠障害の少なくとも1つの態様を治療または軽減する方法が提供される。1つの実施態様において、睡眠障害の少なくとも1つの態様が治療される。もう1つの実施態様において、睡眠障害の少なくとも1つの態様が改善される。1つの態様において、睡眠の少なくとも1つの態様の破壊は、統合失調症に関連する。
【0105】
入眠潜時、持続睡眠までの潜時、睡眠期間を通しての徐波睡眠の分布、または睡眠期間の1つ以上のセグメント、全睡眠持続性および睡眠構造などの睡眠のさまざまな態様が治療されうるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
認知障害は、思考し、集中し、アイデアを立て、理由を唱え、思い出す能力が低下することである。1つの実施態様において、本発明の製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、認知障害を治療または減少させる方法または認知を改善する方法が提供される。1つの実施態様において、認知障害を引き起こすことなく統合失調症を治療する方法が提供される。
【0107】
1つの実施態様において、他の活性医薬成分、たとえば、抗うつ剤化合物による治療の中止後の患者における、統合失調症の治療および認知の回復、増強および改善のための方法が提供される。
【0108】
1つの実施態様において、認知障害を引き起こすかまたは増加させることなく、活性医薬成分(たとえば、認知低下抗うつ薬化合物)と組み合わせて、統合失調症を治療するか、または患者における認知を改善、増強または回復させる方法が提供される。
【0109】
もう1つの実施態様において、統合失調症に罹患している患者に存在する認知障害は、本発明の製剤を患者に投与することによって治療または軽減される。本明細書の開示に基づいて理解されるように、睡眠パラメータの変更は認知を改善することができる。非限定的な例として、徐波睡眠(SWS)の改善および/または増加は認知を改善する。1つの態様において、一般的認知は改善される。もう1つの態様において、記憶の固定、実行機能、言語記憶、および発話流暢性などの、認知の1つ以上の態様が改善される。1つの実施態様において、認知は、患者における正常な認知が回復される点まで、患者において改善される。もう1つの実施態様において、認知は、患者における正常な認知の点を超えて、患者において改善され、患者における認知のレベルが増強される。
【0110】
1つの実施態様において、認知は、統合失調症に罹患した患者において改善される。
【0111】
有効成分は、化合物(I)(CYR-101およびMT-210としても知られている)である。全体を参照することにより本願に組み込まれる。米国特許第7,166,617号は、化合物(I)、2-{1-[2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イルメチル}-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オン・一塩酸塩・二水和物などの環状アミド誘導体を開示する。米国特許第7,166,617号に開示された誘導体は、シグマリガンド結合部位に対する高い親和性およびシグマ1および/またはシグマ2についての低い阻害定数Kiを有することが見出された。これらの化合物は、従来の既知の化合物とは全く異なる選択的結合プロファイルを有し、シグマリガンドの神経制御機能によって、治療的におよび/または予防的に治療することができる疾患の治療に有用であることも見出された。
【0112】
本明細書に記載される化合物(I)の製剤は、最適な有効性、安全性、忍容性および薬物動態学的フィールに基づいた神経精神医学的療法のカスタマイズされた製剤を開発する努力における重要な節目である。本明細書に記載の製剤は、陰性症状、認知障害および睡眠障害の治療において、満たされていない必要性の重要な領域を標的とすることができる一方で、非常に好ましい安全性プロファイルを提供する。
【0113】
本開示の製剤は、5-HT2Aおよびヒスタミン作動性H1受容体に対するその親和性により、睡眠改善に関連するBFB-520レベルを減少させ、BFB-999レベルを低下させながら、1日にわたって化合物(I)の血漿レベルを維持することができる。本開示の製剤は、超治療のレベルにおいて、QT間隔の延長に関連するBFB-520のより低いレベルを有することが示される。
【0114】
QT間隔は、心室脱分極およびその後の再分極の持続時間を表し、QRS群の開始からT波の終わりまで測定される。心臓再分極の遅延は、心不整脈、最も顕著には多形性心室頻拍(TdP)の発症に最も好都合な電気生理学的環境を作り出すが、他の心室頻脈性不整脈も同様に起こる可能性がある。TdPは、等電点基線の周りのQRS複合体のベクトルの連続的なねじれとしてECG上に現れる多形性心室頻脈性不整脈である。TdPの特徴は、不整脈に先行する上室性拍動におけるQT間隔の延長である。TdPは、心室細動に退化し、突然死をもたらす可能性がある。非抗不整脈薬のQT/QTc間隔延長および催不整脈の潜在的可能性に関する臨床評価に関するICH-E14(ICH-E14 on Clinical Evaluation of QT/QTc Interval Prolongation and Proarrhythmic Potential for Non-Antiarrhythmic Drugs)によれば、治験薬による治療中にQT/QTc間隔の著しい延長があり、特に測定が複数のECGから得られている場合、臨床試験から患者を中断させることが考慮されるべきである。
【0115】
本開示は、QT/QTc延長のリスクを低減し、患者のコンプライアンスを容易にするための1日1回投与戦略を達成する最適な製剤を提供する。
【0116】
定義
本明細書の他の箇所でより詳細に説明するように、他の実施態様において、化合物(I)および/または化合物(I)の形態Aの投薬量および投薬計画は、治療される患者の健康状態および病気、ならびに所望の治療結果に基づいて最適化されうる。
【0117】
本明細書で使用される「受容体」という用語は、1つ以上の種類のシグナル伝達分子が特異的に相互作用することができる分子を意味する。たとえば、5-HT1A受容体は、神経伝達物質のセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)に結合する5-HT受容体のサブタイプである。
【0118】
「患者」という用語は、ヒト、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類などの哺乳類を含む任意の動物を意味する。
【0119】
用語「治療(treating)」(および対応する用語「治療する(treat)」および「治療(treatment)」)は、患者の緩和的、回復的および予防的(「予防的」)治療を含む。用語「緩和的治療」は、状態を治癒させることなく、患者における状態の効果または強度を緩和または軽減する治療を示す。用語「予防的(preventative)治療」(および対応する用語「予防的(prophylactic)処置」)は、患者における状態の発生を防止する治療を示す。用語「修復的治療」(「治癒的」)は、患者における病状の進行を停止させ、病理学的徴候を軽減するか、または完全に排除する治療を示す。治療は、研究者、医師、獣医、または臨床医などの個人によって求められている組織、系または患者の生物学的または医学的応答を誘発する治療有効量の化合物、塩または組成物によって行うことができる。用語「治療」は、治療された個体が経験するすべての症状の完全な寛解のみならず、1つ以上の現存する症状の緩和、ならびに慢性または再発性の神経精神疾患または障害を有する者などの症状のいずれかを起こしやすい、または発症する可能性がある患者への式(I)で示される化合物の先制投与による症状の発生の予防も含むものと理解される。
【0120】
本明細書で使用される用語「調節放出」は、錠剤からの薬物の脱離が何らかの方法で変更されたものとして理解することができる。通常、これは、薬剤を頻繁に服用する必要性がなくなることで、服薬コンプライアンスが改善されるように、薬物の放出を遅らせることである。放出を変更することによるもう1つの利点は、薬物放出が制御され、血液レベルのピークおよびトラフがより小さくなるので、ピーク効果の可能性が低下し、より長期間の治療効果の可能性が増すことである。
【0121】
調節放出(MR)剤形からの薬物放出のパターンは、所望の治療目的またはより良好な患者コンプライアンスを達成するために、従来の(即時放出)投与製剤のものから意図的に変更される。MR薬剤製品のタイプとして、遅延放出(たとえば、腸溶性コーティング)、持続放出(ER)、および経口崩壊錠(ODT)が挙げられうる。
【0122】
用語「調節放出製剤」は、薬物物質のタイミングおよび/または放出速度を変更する製剤を記載するために使用することができる。調節放出剤形は、溶液、軟膏、または即時溶解剤形などの従来の剤形によっては提供されない治療目的または便宜目的を達成するために、時間経過および/または位置の薬物放出特性が選択される製剤である。いくつかのタイプの修調節放出経口医薬品が認識されている。
【0123】
持続放出製剤は、即時放出(従来の)剤形と比較して、少なくとも2倍の投与頻度の減少を可能にする製剤を示す。持続放出剤形の例として、制御放出性、徐放性および長時間作用性の薬剤製品が挙げられる。
【0124】
遅延放出製剤とは、投与直後以外の時間に薬剤の個別の部分(単数または複数)が放出される製剤を指す。最初の部分が投与直後に放出されてもよい。腸溶性コーティング剤形は、一般的な遅延放出製品(たとえば、腸溶性コーティングアスピリンおよび他のNSAID製品)である。
【0125】
「本開示の化合物」という用語「は、本明細書に記載されるような、化合物(I)、化合物(I)の形態Aまたはその薬学的に許容される塩を示す。
【0126】
化合物または組成物に関して本明細書で使用される用語「薬学的に許容される」は、化合物または組成物のバイオアベイラビリティを促進または増強するために、患者において化合物の溶解度または有効性を増加または増強することができる化合物または組成物の形態を意味する。
【0127】
用語「薬学的に許容される塩」は、化合物および/または組成物の溶解およびバイオアベイラビリティを促進するために、たとえば、患者の消化管の胃液中の化合物の溶解度を高めるために提示される本明細書の組成物の1つ以上の塩形態を記載するための用語である。1つの実施態様において、薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機もしくは有機塩基または酸から誘導された塩を包含する。適当な塩として、カリウムおよびナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウムなどのアルカリ土類金属と製薬業界で周知の他の多くの酸から誘導された塩が挙げられる。ナトリウムおよびカリウム塩は、本開示に包含されるカルボン酸および遊離酸性燐酸塩含有組成物の中和塩として特に好ましい。用語「塩」は、本開示に包含される化合物の使用に整合する任意の塩を意味するものとする。化合物がうつ病の治療などの薬学的適応症に使用される場合、用語「塩」は、薬剤としての化合物の使用と整合する、薬学的に許容される塩を意味するものとする。
【0128】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性学的影響を最小限にする塩を示す。このような塩の非限定的な例は、以下の通りである:
(a)無機酸(たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)との酸付加塩、および酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸などの有機酸との塩;
(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどの多価金属カチオンと、あるいはN,N-ジベンジルエチレンジアミン、アンモニウムまたはエチレンジアミンから形成される有機カチオンと形成される塩基付加塩;または
(c)(a)と(b)の組み合わせ;たとえば、タンニン酸亜鉛など。
【0129】
1つの実施態様において、組成物は、本発明化合物の塩基付加塩を含む。本質的に酸性である本発明化合物の薬学的に許容される塩基性塩を製造するための試薬として使用されてもよい化学塩基は、そのような化合物と非毒性の塩基塩を形成する塩基である。このような非毒性の塩基塩として、アルカリ金属カチオン(たとえば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(たとえば、カルシウムおよびマグネシウム)などの薬理学的に許容しうるカチオン、アンモニウムまたはN-メチルグルカミン(メグルミン)などの水溶性アミン付加塩、および薬学的に許容される有機アミンの低級アルカノールアンモニウムおよび他の塩基塩から誘導される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0130】
「組成物」または「薬学的に許容される組成物」は、本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、エステルまたはアミノ酸抱合体を含有する製剤である。1つの実施態様において、医薬組成物は、バルクまたは単位投与財形である。単位投与財形は、たとえば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器のシングルポンプ、またはバイアルなどのさまざまな形態のいずれかである。単位用量の組成物中の活性成分(たとえば、本発明の化合物またはその塩の製剤)の量は有効量であり、関与する特定の治療に従って変化する。当業者であれば、患者の年齢および状態に応じて投与量に日常的な変化を加える必要がある場合もあることを理解するであろう。投与量は、投与経路にも依存する。経口、眼、眼科、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内などのさまざまな経路が企図される。本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形として、散剤、噴霧剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤および吸入剤が挙げられる。もう1つの実施態様において、活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤または高圧ガスと混合される。
【0131】
特定の実施態様において、本発明の医薬製剤または組成物は、医薬組成物中に従来見出されている他の補助成分を、当業界で確立された使用レベルでさらに含有することができる。したがって、たとえば、組成物は、本発明の組成物のさまざまな投与剤形を物理的に製剤化するのに有用な追加の物質、たとえば染料、香味剤、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤および安定剤を含有しうる。しかしながら、そのような物質は、添加された場合、本発明の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げてはならない。製剤を、滅菌し、所望により、製剤のオリゴヌクレオチドと有害に相互作用しない補助剤、たとえば、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、香味剤および/または芳香物質などと混合することができる。
【0132】
特定の実施態様において、本発明の医薬組成物は、1つ以上の賦形剤を含む。特定のこのような実施態様において、賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンから選択される。
【0133】
特定の実施態様において、本発明の医薬組成物は、限定的ではないが、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、水簸、乳化、カプセル化、封入または錠剤化プロセスなどの機知の技術を用いて製造される。
【0134】
化合物の修飾は、活性種の溶解度、バイオアベイラビリティおよび代謝速度に影響を及ぼすことを可能にし、したがって活性種のデリバリーを制御することができる。さらに、修飾は、化合物の所望の活性に影響を及ぼすことを可能にし、場合によっては、親化合物よりも活性を増加させることができる。これは、誘導体を製造し、本明細書に包含される方法または当業者に公知の他の方法にしたがって抗うつ活性を試験することにより容易に評価されうる。
【0135】
本明細書に包含される組成物は、経口的に投与されうる。他の実施態様では、組成物は、吸入スプレーによって、非経口的に、局所的に、直腸に、経鼻的に、頬側的に、経膣的に、または埋め込まれたリザーバーを介して投与することができる。本明細書で使用する用語「非経口」は、皮下、経皮、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を包含する。当業者には理解されるように、本明細書に包含される実施形態を考慮して、選択された投与経路に基づいて、投与手段および有効成分(1つまたは複数の成分)(たとえば、式Iの化合物)の投与量を上方または下方に調整することができる。さらに、任意の選択された投与剤形の活性成分の投与量を最適化することが望ましく、それは、本明細書に記載の方法を用いるか、または抗精神病化合物の有効性を評価するための当該分野で公知の方法を用いることによって達成することができることが理解されるであろう。
【0136】
本明細書で具体化される医薬組成物は、限定的ではないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液などの任意の経口的に許容できる任意の投与財形で経口投与されうる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体として、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。1つの実施態様において、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も加えられる。カプセル形態の経口投与用として、有用な希釈剤は、2つの非限定的な例として、ラクトースおよび/または乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液が経口使用のために必要である場合、活性成分は乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。必要に応じて、特定の甘味料、香味剤または着色剤を添加することもできる。
【0137】
1つの実施態様において、本発明の製剤は、1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与されうる。このような他の薬剤は、当技術分野で公知の形態および用量で投与または共投与されうる。
【0138】
用語「共投与」または「併用療法」は、本明細書に記載の統合失調症または別の神経精神疾患または状態を同時に治療するために少なくとも2つの化合物が使用される療法を記載するために使用される。1つの実施態様において、有効量の少なくとも2つの化合物は、統合失調症または別の神経精神疾患または状態を同時に治療するために使用される。もう1つの実施態様において、その組み合わせが有効量を含む少なくとも2つの化合物は、本明細書に記載される統合失調症または別の神経精神疾患または状態を同時に治療するために使用される。1つの実施態様において、少なくとも2つの化合物による治療の結果は、直接相加的であるか、あるいは2つの化合物を別々に得た結果よりも少ない程度まで相加的であるかのいずれかで、各化合物を別々に使用して得られた治療結果の相加的なものでありうる。1つの実施態様において、少なくとも2つの化合物による治療の結果は、さまざまな程度で、相乗的でありうる。1つの実施態様において、少なくとも2つの化合物による治療の結果は、各化合物を別々に使用して得られた治療結果よりも少なくてもよい。1つの態様において、本明細書に包含される組成物による治療の結果は、1つの化合物については、その治療結果は、その化合物で別々に得られるものよりも少なく、組成物中の他の化合物に関する治療結果は、別々に得られた治療の結果とほぼ同じである。
【0139】
共投与という用語は、2つの活性化合物を患者へ同時に投与することを包含し、その場合、有効量の個々の化合物が患者内に同時に存在するが、化合物が患者に同時に投与される必要はない。
【0140】
1つの実施態様において、本明細書に記載の化合物は、1つ以上の非定型抗精神病薬と共投与されうる。非定型抗精神病薬の例として、フルフェナジン、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セルチンドール、ゾテピンおよびペロスピロンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に包含される併用療法に有用な抗うつ薬の例として、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファキシン、デュロキセチン、ブプロピオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
化合物(I)の合成
保護基の使用を含む、有機分子の調製および官能基の変換および操作のための標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献または当該分野の標準参考テキストから得ることができる。任意の1つ以上の供給源に限定されるものではないが、有機合成の認められた参考テキストとし、以下のものが挙げられる:Smith、M. B.; March、J. March's Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisms、and Structure、5th ed.; John Wiley & Sons:New York、2001; and Greene、T.W.; Wuts、P.G. M. Protective Groups in Organic Synthesis、3rd; John Wiley & Sons:New York、1999。
【0142】
化合物(I)の製造方法は、米国特許第7,166,617号に記載され、該文献は、全体を参照することにより本願に組み込まれる。
【0143】
化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)の医薬組成物
本開示は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)および1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0144】
「医薬品物」は、患者への投与に適した形態の化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む製剤である。1つの実施態様において、医薬組成物は、バルクまたは単位投与財形である。単位投与財形は、たとえば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器のシングルポンプ、またはバイアルなどのさまざまな形態のいずれかである。単位用量の組成物中の活性成分(たとえば、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の製剤)の量は有効量であり、関与する特定の治療に従って変化する。当業者であれば、患者の年齢および状態に応じて投与量に日常的な変化を加える必要がある場合もあることを理解するであろう。投与量は、投与経路にも依存する。経口、眼、眼科、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内などのさまざまな経路が企図される。化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の局所または経皮投与用の剤形として、散剤、噴霧剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤および吸入剤が挙げられる。1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤または高圧ガスと混合される。
【0145】
本明細書中で使用される語句「薬学的に許容される」は、合理的な利益/リスク比に見合って、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症なしでヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、担体および/または投与財形を示す。
【0146】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般に安全で、毒性がなく、生物学的にもその他の点でも望ましい医薬品を調製するのに有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用およびヒト医薬用途に許容される賦形剤を包含する。本明細書および特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容される賦形剤」には、1つ以上のそのような賦形剤が包含される。
【0147】
本開示の医用組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜投与が含まれる。投与経路の例として、非経口、たとえば、静脈内、皮内、皮下、経口(たとえば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含みうる:注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整されうる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに封入することができる。
【0148】
本明細書で使用する用語「治療有効量」は、同定された疾患または状態を治療、改善または予防するため、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すための医薬品の量を示す。この効果は、当技術分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出されうる。患者のための正確な有効量は、患者の体重、サイズ、および健康状態;病気の性質および程度;および投与のために選択された治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。所定の状況に対する治療有効量は、臨床医の熟練と判断の範囲内である日常的な実験によって決定されうる。1つの態様において、治療される疾患または障害は、精神神経疾患または障害である。もう1つの態様において、治療される疾患または状態は、統合失調症である。
【0149】
いずれかの化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイまたは動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタのいずれかにおいて、最初に推定することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために使用されうる。そのような情報は、その後、ヒトにおける投与のための有用な用量および経路を決定するために使用されうる。治療的/予防的有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順、たとえば、ED50(集団の50%において治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%に致命的な用量)
によって決定されうる。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表わされうる。大きい治療指数を示す医薬組成物が好ましい。投与量は、使用される剤形、患者の感受性、および投与経路に依存して、この範囲内で変化しうる。
【0150】
投与量および投与は、十分なレベルの活性成分を提供するように、または所望の効果を維持するように調整される。考慮されうる要因として、疾患状態の重篤度、患者の一般的な健康状態、患者の年齢、体重および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、および耐性/治療への応答が挙げられる。長時間作用型医薬組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス率に応じて、3~4日ごと、毎週、または2週間に1回投与されうる。
【0151】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む医薬組成物は、たとえば、慣用の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、水簸、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥法によって、一般的に知られている方法で製造されうる。医薬組成物は、有効成分の薬学的に使用可能な調製物への加工を容易にする賦形剤および/または補助剤を含む1つ以上の薬学的に許容される担体を用いて従来の方法で製剤化されうる。もちろん、適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。
【0152】
注射用に適した医薬組成物として、滅菌水溶液(水溶性の場合)もしくは分散液および滅菌注射溶液もしくは分散液の即時調製用滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与用には、適切な担体として、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には、必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持されうる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成されうる。多くの場合、組成物中に等張剤、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどのポリアルコールが含まれるのが好ましいであろう。組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンが含まれることにより、注射用組成物の持続的吸収がもたらされうる。
【0153】
滅菌注射液は、必要に応じて、上記に列挙された成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒中に、必要量で化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を配合し、続いて濾過滅菌することによって製造されうる。一般に、分散液は、塩基性分散媒および上記に列挙された成分からの他の必要な成分を含む滅菌ビヒクルに、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を配合することによって製造される。滅菌注射液の製造用の滅菌粉末の場合、製造方法は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の粉末およびあらかじめ滅菌ろ過されたその溶液からの追加の所望の成分が得られる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0154】
口腔用組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用の薬学的に許容される担体を含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入されるか、または錠剤に圧縮されうる。経口治療投与のために、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A))を賦形剤と配合し、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で使用することができる。口腔用組成物は、口腔洗浄剤として使用するための液体担体を用いて製造することもでき、ここで、液体担体中の化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、経口的に適用され、漱がれ、吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント物質を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、任意の以下の成分または類似の性質の化合物を含みうる:微結晶性セルロース、トラガントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogelまたはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料などの香味剤。
【0155】
吸入による投与のために、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、適切な噴射剤、たとえば、二酸化炭素などのガスを含む加圧容器またはディスペンサーまたは噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態でデリバリーされる。
【0156】
全身投与は、経粘膜または経皮的手段によっても行うことができる。経粘膜または経皮投与のために、製剤に、浸透される障壁に適切な浸透剤が使用される。そのような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られており、たとえば、経粘膜投与のために、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは座薬の使用によって達成されうる。経皮投与のために、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、当技術分野で一般的に知られている軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤される。
【0157】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、埋め込みおよびマイクロカプセル化デリバリーシステムなどの制御放出製剤のような、身体からの迅速な排出から化合物を保護する薬学的に許容される担体とともに製造されうる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals、Inc. から購入することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞に標的化されたリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用されうる。これらは、たとえば、米国特許第4,522,811号(その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、当業者に公知の方法に従って製造されうる。
【0158】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、単位投与剤形において経口または非経口組成物を製剤することが特に有利である。本明細書で使用される単位投与剤形とは、治療される患者のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を示す;各単位は、必要とされる薬学的担体に関連する所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。本開示の単位投与剤形の明細は、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果によって直接的に決定される。
【0159】
治療用途では、用途に応じて使用される医薬組成物の用量は、選択された用量に影響を及ぼす他の因子の中でも、薬剤、レシピエント患者の年齢、体重および臨床状態、ならびに治療を施す臨床医または施術者の経験および判断に応じて変化する。用量は、約約0.01mg/kg/日~約5000mg/kg/日の範囲でありうる。1つの態様において、用量は、約1mg/kg/日~約1000mg/kg/日の範囲でありうる。1つの態様において、用量は、単回用量、分割用量または連続用量(患者の体重(kg)、体表面積(m2)および年齢(歳)に合わせて調整することができる)において、約0.1mg/日~約50g/日;約0.1mg/日~約25g/日;約0.1mg/日~約10g/日;約0.1mg~約3g/日;または約0.1mg~約1g/日の範囲である。他の態様において、用量は、単回用量で投与される約16mgの化合物(I)/日~約64mgの化合物(I)/日の範囲でありうる。もう1つの態様において、用量は、単回用量で投与される約30mgの化合物(I)/日~約50mgの化合物(I)/日の範囲でありうる。1つの態様において、医薬組成物での化合物(I)の用量は、単回用量で投与される30mg/日、31mg/日、32mg/日、33mg/日、34mg/日、35mg/日、36mg/日、37mg/日、38mg/日、39mg/日、40mg/日、41mg/日、42mg/日、43mg/日、44mg/日、45mg/日、46mg/日、47mg/日、48mg/日、49mg/日、および50mg/日である。1つの実施態様において、医薬組成物での化合物(I)の用量は、単回用量で投与される40mg/日である。
【0160】
医薬品の有効量は、臨床医または他の資格のある観察者によって述べられたように、客観的に識別可能な改善を提供する量である。本明細書中で使用される場合、用語「効果的な用量」は、患者において所望の効果を生じる化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の量を示す。
【0161】
医薬組成物は、投与のための説明書と共に容器、パック、またはディスペンサーに入れることができる。
【0162】
本開示の医薬組成物は、経口、経鼻、経皮、肺、吸入、口腔、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸内、髄腔内、くも膜下腔内および非経口的に投与される。1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、経口投与される。当業者は、特定の投与経路の利点を認識するであろう。
【0163】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を利用する投与計画は、患者のタイプ、生物種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療される病気の重篤度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;および使用される特定の化合物またはその塩などのさまざまな要因に従って選択される。通常の熟練した医師または獣医師は、病気の進行を予防、対抗または阻止するのに必要な薬物の有効量を容易に決定および配合することができる。
【0164】
出願の開示された化合物の配合および投与のための技術は、Remington:the Science and Practice of Pharmacy、19th edition、Mack Publishing Co.、Easton、PA (1995)に見出すことができる。1つの実施態様において、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせて医薬製剤中で使用される。適切な薬学的に許容される担体として、不活性固体充填剤または希釈剤および滅菌水溶液または有機溶液が挙げられる。化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)は、本明細書に記載の範囲内の所望の投与量を提供するのに十分な量でそのような医薬組成物中に存在する。
【0165】
他に示さない限り、本明細書で使用される百分率および比率はすべて重量による。
【0166】
治療方法
本開示はまた、処置を必要とする被験体に治療上有効な量の化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)、またはその医薬組成物を投与することにより、それを必要とする患者における神経精神疾患または障害を治療する方法を提供する。神経精神疾患または障害は、統合失調症でありうる。
【0167】
「患者」という用語は、ヒト、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類などの哺乳類を含む任意の動物を意味する。患者は、統合失調症と診断されていてもいなくてもよい。患者は、統合失調症の1つ以上の徴候または症状を示してもよい。
【0168】
特定の実施態様において、本開示の患者は、化合物(I)の形態(A)を含む医薬組成物での治療の前に、治療と組み合わせて、または治療後に、1つ以上の定型または非定型抗精神病治療薬で統合失調症を治療されていてもよい。特定の実施態様において、本開示の患者は、化合物(I)の形態(A)を含む医薬組成物での治療の前に、1つ以上の定型または非定型抗精神病治療薬で統合失調症を治療されていてもよく、1つ以上の定型または非定型抗精神病治療薬は、患者の統合失調症の徴候または症状を治療するのに無効であってもよい。
【0169】
本開示の他の特徴および利点は、さまざまな実施例から明らかである。提供される例は、本開示を実施する上で有用なさまざまな構成要素および方法論を例示する。
【0170】
実施例は、本開示の特許請求された組成物、方法、およびキットを限定するものではない。本開示に基づいて、当業者は、本開示を実施するために有用な他の構成要素および方法論を識別し使用することができる。
【実施例0171】
QTc間隔の増加が観察され、それは、化合物(I)およびその代謝産物BFB-520への曝露に関連しているようであった。QT延長は、CYP2D6の代謝が乏しく、BFB-520の高い血漿レベルを示した患者において特に明らかであった。QT/QTcと、化合物(I)およびBFB-520の濃度との間の関係のさらなる分析を行った。QT延長を避けるために、化合物(I)およびBFB-520のCmaxはそれぞれ80ng/mLおよび12ng/mLを超えてはならないことが決定された。
【0172】
30および60msよりも長いベースラインからのQT/QTc変化の発生率および450、480および500msより大きいQTc値の発生率をさらに評価するために、以下の研究を行った。
【0173】
この研究のパート1は、化合物(I)の、MR製剤として投与された場合の薬物動態(PK)プロファイル、および被験者におけるクロスオーバー設計での6通りの単回投与後の食物効果を特性決定し、比較するために設計された。
【0174】
試験のパート2は、安全性、忍容性および心臓血管パラメータにおいて選択されたMR製剤の複数回投与の効果を評価するために設計された。睡眠パラメータにおける化合物(I)の効果も評価される。CYR-101C01の研究では、化合物(I)は徐波睡眠(SWS)分布に影響を与えた:化合物(I)は、夜の最初の3分の1でSWSを有意に増加させ、夜の最後の3分の1でそれを減少させた。結果はまた、化合物(I)が、入眠パラメータ(入眠潜時、持続睡眠までの潜時)を改善したことから、化合物(I)が睡眠促進効果を有することを示唆した。本研究では、睡眠は、次の患者研究で評価される最小活性用量を決定することに役立つバイオマーカーとして使用される。睡眠パラメータは、VWatch方法論を用いて分析される。
【0175】
研究のパート1で使用された製剤は、2つの主な組成変数として活性治療薬である化合物(I)およびHPMC放出制御剤を伴う設計空間から選択された。設計空間の放出速度軸において、MR製剤は、遅い(放出速度16-19時間)、中程度(放出速度10-12時間)または速い(放出速度5-7時間)として記載される。2次元組成製剤設計空間は、スキーム1に示されており、ここでF1~F4は境界製剤(boundary formulation)を表す。
【0176】
研究のパート2は、被験者のより大きな未投薬コホートにおけるプラセボと比較して低用量および高用量レベルでパート1から選択された製剤の複数回投与を評価するように設計された。
【0177】
薬理学的プロファイル(非臨床試験):
インビトロ受容体結合研究において、化合物(I)は、独特の結合プロファイルを示した。化合物(I)は、5-HT2A受容体、α1-アドレナリン作動性受容体およびシグマ-2受容体(それぞれKi =7.53、14.43、8.19nmol/L)にのみ高親和性で結合した。DA受容体に対する親和性はかなり弱かった(IC50>1000nmol/L)。主要代謝産物であるBFB-520とBFB-999は、それぞれ、σ2受容体に対する親和性が低く、5-HT2A受容体に対する化合物(I)の親和性以下であったが、化合物(I)と同様のプロファイルを示した。
【0178】
インビボ機能試験において、化合物(I)は、シグマ2および5-HT2A受容体においてアンタゴニストとして作用した。経口投与後、化合物(I)は、側坐核および線条体におけるドーパミン代謝回転をわずかに増加させ、高用量レベルで前頭前野におけるDOPACおよびHVAなどのDA代謝産物の産生を増加させた。抗精神病活性の動物モデルにおける有効な用量レベルでは、化合物(I)は、モノアミンレベルに影響を及ぼさなかったが、他の抗精神病薬は、それらの強力なD2拮抗作用を反映して、DA代謝回転ならびにDOPACおよびHVAの産生を著しく増加させた。
【0179】
ヒトにおける薬物の抗精神病活性を産生する可能性を評価するために設計されたいくつかの行動パラダイムにおいて、化合物(I)を雄性ウィスターラットで試験した。化合物(I)は、他の抗精神病薬と同様の様式で、メタンフェタミン、アポモルフィン、およびフェンシクリジン誘発性自発運動亢進を阻害した。同様に、BFB-520およびBFB-999もまた、メタンフェタミン誘発性自発運動亢進を阻害し、ED 50は、化合物(I)よりも高かった。さらに、化合物(I)は、反復投与後のPCP誘導性社会的相互作用障害を有意に改善したが、他の非定型抗精神病薬はこの障害を改善せず、MK-801によって誘導された自発的交替行動の障害を改善した。
【0180】
安全性薬理学:
一連の安全性薬理学的研究において、一般的な活性および挙動、CNS、呼吸機能、胃腸系、および水および電解質の排出に対する化合物(I)の効果を、ラットにおいて、1~30mg/kgの経口用量範囲で検討した。化合物(I)は、一般的な活性および挙動のさまざまな変化を誘導した。これらの臨床徴候は、投与後0.25~4時間で観察され、投与後6時間までに消失した。化合物(I)は、CNS機能を阻害し、電気ショック誘発性痙攣の閾値を低下させた。高用量(>10mg/kg)の化合物(I)は、呼吸機能に影響を及ぼし、胃内容排出を抑制し、胃腸膜を損傷し、尿量を減少させ、尿中カリウム排泄を増加させた。
【0181】
心臓血管系に対する化合物(I)の効果をインビトロおよびインビボ研究で調べた。モルモットの乳頭筋を用いたインビトロ電気生理学的研究において、1μM以上の化合物(I)は、リスペリドンおよびハロペリドールと同程度に活動電位持続時間(APD)を延長した。同様に、0.1μM以上のBFB-520および1μM以上のBFB-999は、単離されたモルモット乳頭筋において、化合物(I)と同じか、またはそれ以上の程度でAPDを延長させた。クローニングされた心臓イオンチャネルを発現する培養細胞を用いたインビトロ電気生理学的研究において、化合物(I)は、リスペリドンのIC 50(0.319μM)に匹敵する、0.325μMのIC50でIKr電流を阻害した。BFB-520に関しては、親化合物のIC50よりも0.181μM低いが、ハロペリドール(0.026μM)、チオリダジン(0.145μM)またはジプラシドン(0.134μM)より高いIC50でIKr電流を遮断した。
【0182】
薬物動態プロファイル:
化合物(I)の薬物動態(PK)研究は、特にラットおよびサルにおいて実施されている。単回経口投与後、化合物(I)は、迅速に吸収された。血漿放射能は、雄性ラットでは0.63~2.75時間、雄性サルでは3~3.5時間でピークに達した。経口吸収率は、ラットで90.3~94.7%、サルで70.0~99.9%であった。血漿からの放射能の排出半減期は、ラットで45.13~51.52時間、サルで174.7~184.78時間であった。未変化の化合物(I)の排泄半減期は、ラットで1.68~2.06時間、そしてサルで1.68~2.57時間であった。化合物(I)の絶対経口バイオアベイラビリティは、ラットで52.4~64.5%、サルで90%以上であった。
【0183】
雄ラットに1mg/kg/日を14日間反復投与すると、血漿放射能は、投与回数の増加とともに増加し、7回投与後には定常状態に達した。ラットにおいて、食物および性別の影響も評価された。非絶食ラットに1mg/kgの化合物(I)を経口投与した場合、血漿放射能のTmaxは約1時間遅れ、Cmaxは絶食雄性ラットの約72%に低下したが、AUCは 2つのグループで類似していた。さらに、雌性ラットにおける総放射能の薬物動態学的パラメータは、雄性ラットのものに匹敵した。14C-化合物(I)を泌乳ラットに経口投与した場合、化合物(I)および/またはその代謝産物は、急速に乳に移行し、ゆっくり除去されるとみなされた。
【0184】
化合物(I)の吸収は、毒性動態について、ラットおよびサルにおける単回および反復投与毒性試験においても、血漿曝露の証拠のための遺伝毒性および胚発生試験においても研究された。単回および反復投与後、化合物(I)およびその主要代謝物BFB-520およびBFB-999の曝露レベルは、ラットおよびサルの両方において用量依存的に増加し、ラットのみにおいて性差があった。
【0185】
サルにおけるBFB-520の単回投与後、BFB-520、化合物(I)およびBFB-999の暴露レベルは、比例したものよりも大きく、用量増加と共に増加した。BFB-520は、投与後4時間以内にその最大濃度に達し、そして化合物(I)およびBFB-999のTmaxはBFB-520のTmaxに匹敵した。最後に、経口投与(10mg/kg)後に雄性ラットを用いて化合物(I)の脳移行を研究した。血漿および脳のCmaxは、それぞれ3164.62ng/mLおよび4946.62ng/gであった。Kp値(脳/血漿濃度比)は、1.38mL/gであった。
【0186】
14C化合物(I)の経口投与後に、雄性および雌性ラットおよび雄性サルの血漿および尿中にいくつかの代謝産物(すなわち、BFB-999、BFB-520およびBFB-885)が検出された。雌性ラットの代謝率は、雄ラットよりも低かったが、代謝プロファイルは、雄性ラットと雌性ラットで同様であった。たとえ化合物(I)がシトクロムP450であるCYP1A2、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4によってBFB-520およびBFB-999において代謝されることが示されたとしても、ヒト肝臓ミクロソームを用いたさらなる研究は、CYPアイソフォーム以外の酵素反応によって、化合物(I)が主に代謝されることを示唆する。BFB-520に関しては、CYP2D6およびCYP3A4によって代謝された。ヒトP450アイソフォーム(CYP1A2、2A6、2B6、2C8/9、2C19、2E1および3A4)に顕著な阻害効果は認められなかったが、CYP2D6には弱い阻害効果が認められた。インビトロ代謝に対する化合物(I)の薬物-薬物相互作用の研究は、以下の併用薬:ケトコナゾール、フルボキサミン、パロキセチンおよびロラゼパムについて、IC50値が50μMを超えることを決定した。
【0187】
単回経口または静脈内投与後のラットおよびサルにおける放射能の主要な除去経路は、糞便を介するものであった。胆管カニューレ挿入ラットへの単回経口投与後48時間以内の胆汁への排泄は、44.2%であった。放射能の尿中排泄率は、ラットおよびサルにおいて約35%であった。単回経口投与後168時間以内で、投与された放射能の全回収率は、ラットで101.1%(屠体を含む)であり、サルで92.6%であった。ラットへの14日間の反復投与の後、最終投与後168時間以内で、投与された放射能の全回収率は、尿および糞便で96.6%、屠体で0.7%であった。腸肝循環率は、14C-化合物(I)処理ラットからの胆汁試料の十二指腸内投与後、約27%であると決定された。
【0188】
1つの実施態様において、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体を用いて従来の方法で製剤されてもよく、制御放出製剤にて投与されてもよい。
【実施例0189】
この研究のパート1は、12人の健常なCYP 2D6 EM男性被験者における、オープンラベル、非無作為、単回投与、6期クロスオーバー計画である。パート1では、被験者は無作為化なしで以下の投薬計画を受ける:
【0190】
投薬計画A:絶食状態で投与されるMR製剤プロトタイプ1:32mg化合物(I)遅延放出;
【0191】
投薬計画B:絶食状態で投与されるMR製剤プロトタイプ2;
【0192】
投薬計画C:絶食状態で投与されるMR製剤プロトタイプ3または摂食状態で投与されるプロトタイプ製剤1または2;
【0193】
投薬計画D:絶食状態で投与されるMR製剤プロトタイプ4または摂食状態で投与されるプロトタイプ製剤1、2または3;
【0194】
投薬計画E:絶食状態で投与されるMR製剤プロトタイプ5または摂食状態で投与されるプロトタイプ製剤1、2、3または4;
【0195】
投薬計画F:摂食状態で投与されるMR製剤プロトタイプ1、2、3、4または5。
【0196】
パート1における製剤選択は、以前の投薬計画から収集されたすべてのデータを完全に再検討した後に行われ、パート1のすべてのデータを完全に再検討した後に、パート2のためのオプションの再診のための製剤、用量および必要条件が作成される。
【0197】
この研究のパート2は、24人の健康なCYP 2D6 EM男性および女性被験者における二重盲検、無作為化、プラセボ対照、6シークエンス、3期クロスオーバー計画である。パート2では、3つの研究期間のそれぞれにおいて、被験者は以下の投与計画を無作為で受ける:
【0198】
投薬計画G:7日間のプラセボ、QD;
【0199】
投薬計画H:7日間の高用量MRプロトタイプ製剤、QD;
【0200】
投薬計画I:7日間の低用量MRプロトタイプ製剤、QD。
【0201】
上記の設計空間の概念に基づいて、研究のパート1で使用されるIMP製剤は、活性治療化合物(I)および2つの主な組成変数としての放出制御剤としてヒプロメロース(HPMC)(2つのHPMCポリマーの比に基づくHPMC粘度によって制御される放出)を有する設計空間から選択される。第1表に2次元組成製剤設計空間が示され、ここで、F1~F4は境界製剤を表す。試験のパート2は、被験者のより大きな未投薬コホートにおけるプラセボと比較して、低用量および高用量レベルでパート1から選択された製剤の複数回投与を評価するように設計される。
【0202】
第1表:設計空間のための賦形剤定量的組成範囲
【表1】



* 適用された塩補正係数 1.2。
** 微結晶セルースPH102の量は、同じ錠剤重量を維持するように調整される。
【0203】
したがって、該詳細な組成にしたがって、我々は、これらの範囲内の任意の暫定製剤を製造し、臨床試験中にIMPとして投与することができるという理解をもって、MR錠剤中の16~64mgの化合物(I)の用量範囲の両端値ならびにヒプロメロースK100LV CRおよびヒプロメロースK4M CRの範囲を提示する。製剤のすべての他の成分は、原薬の効力および純度ならびにヒプロメロースK100LV CRおよびヒプロメロースK4M CRの重量に基づいて、錠剤重量を維持するように調節され得る微結晶セルロースPH102以外は、一定のままである。選択された製剤の最終組成は、臨床試験製造のために製造されたバッチ記録に記録される。
【0204】
化合物(I)プロトタイプMR錠剤製剤1、2、3、および4)の組成
化合物(I)プロトタイプMR錠剤製剤1、2、3、および4の成分および定量的組成の完全な記述を第2表に示す。セクション2.1.P.1に記載の設計空間アプローチに沿って、この製剤は、16~64mgの化合物(I)の用量範囲の両端値ならびに本研究に使用されえたヒプロメロースK100LV CRおよびヒプロメロースK4M CRの濃度範囲を提示する。
【0205】
第2表:化合物(I)プロトタイプMR錠剤の組成(製剤1、2、3および4)
【表2】



1 適用された塩補正係数 1.2。
2 微結晶セルースPH102の量は、同じ錠剤重量を維持するように調整される。
【0206】
第3表に、化合物(I)プロトタイプMR錠剤製剤1、2、3、および4のためのバッチ配合を示す。これらの製剤は、16~64mgの化合物(I)の用量範囲の両端値ならびに本研究に使用されえたヒプロメロースK100LV CRおよびヒプロメロースK4M CRの濃度範囲を提示する。無水コロイダルシリカ、ラクトースFastflo 316およびステアリン酸マグネシウムの組成比は、一定のままである。微結晶セルロースPH102の組成比は、原薬の効力および純度ならびにヒプロメロースK100LV CRおよびヒプロメロースK4M CRの重量に基づいて、錠剤重量300mgを維持するように調節され得る
【0207】
第3表:化合物(I)プロトタイプMR錠剤のための「設計空間」バッチ配合
【表3】



1 適用された塩補正係数 1.2。
2 微結晶セルースPH102の量は、同じ錠剤重量を維持するように調整される。
【0208】
スキーム2:化合物(I)プロトタイプMR錠剤の製造
【表4】



【表5】


【0209】
適切に較正された秤を用い、化合物(I)および各賦形剤の量を重量でコントロールして、正しい製剤組成が達成されることを確認する。第2の操作者が重量を検証する。ブレンドの均一性は、スキーム2で詳述される予め定義された混合条件によってコントロールされる。これらのパラメータは、提案された設計空間内のすべての潜在的な配合ブレンドの均一性を確保するために開発されている。これらの加工指示の実行は、バッチ製造記録内でコントロールされ、記録される。内容物の均一性が設計空間全体にわたって一様であることを確実にするために、スキーム1に記載された設計空間のポイントで開発バッチが製造され、テストされている。最終錠剤の内容物の均一性を、アッセイによって評価する。
【0210】
錠剤の硬度は、錠剤圧縮硬度試験を用い、バッチ全体にわたって標準的検査(破壊)で一定の圧力を加えることによってコントロールされる。
【0211】
錠剤は手動で圧縮される。各錠剤は適切に較正された秤を使用して別々に秤量され、第2の操作者が重量を検証する。
【0212】
製剤に使用されるすべての賦形剤は下記に示すPh. Eur.、USP/NFまたはJPの現在の医薬品承認基準に準拠する。全ての賦形剤は、承認された供給者から購入される。分析の製造者証明書が受理され、Quotient Clinical Ltdで受領されたすべての賦形剤は、Quotient Clinical Ltdの受領要件に従って適切に識別検査に付される。
【0213】
第4表:化合物(I)プロトタイプMR錠剤のための明細
【表6】


【0214】
溶解試験
溶出試験は、USP医薬品承認基準711の装置2にしたがって実施される薬局方の方法である。溶解媒体は、ダブル強度絶食状態シミュレート腸液(バージョン2)による、pHスイッチを有する450mLの0.01M塩酸であり、総容量900mLを付与し、75rpmにて攪拌される。
【0215】
サンプルを、化合物(I)含量について、Intersil ODS-3V(4.6mm×150mm)5μmカラムまたは248nmでのUV検出を有する適切に検証された代替物を使用する逆相アイソクラティックHPLC法によって分析する。移動相は、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸を含む。
【0216】
化合物(I)プロトタイプMR錠剤のHPLCアッセイ、同定および内容均一性試験法の記載
化合物(I)プロトタイプMR錠剤の有効成分含量のアッセイ方法は、Intersil ODS-3V(4.6mm×150mm)5μmカラムまたは248nmでのUV検出を用いた適切に検証された代替法を用いる逆相アイソクラティックHPLC法である。移動相は、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸を含む。
【0217】
関連物質試験の記載
化合物(I)プロトタイプMR錠剤の関連物質のための方法は、Intersil ODS-3V(4.6mm×150mm)5μmカラムまたは248nmでのUV検出を用いた適切に検証された代替法を用いる逆相勾配HPLC法である。移動相Aは、0.1%TFA水溶液からなり、移動相Bは、0.1%TFAアセトニトリル溶液である。
【0218】
化合物(I) C02:一日一回製剤
健康なCYP2D6高代謝の男性および女性被験者における単回投与および複数回投与の改良された放出プロトタイプ製剤投与後の、化合物(I)およびその主要代謝物の薬物動態学的プロファイルを評価するため、および化合物(I)の薬物動態プロファイルおよびその主要な代謝産物および心臓血管パラメータを評価するために設計された2部試験。パート1およびパート2のための研究設計をそれぞれ図7および図8に示し、投薬のための期間計画を図9に示す。
【0219】
第5表:PKパラメータの選択の概要-期間1(32mg、遅放出、絶食)
【表7】
【0220】
さらに、化合物(I)、BFB-520、およびBFB-999の血漿濃度-時間プロファイルを図1~3に示す。化合物(I)、BFB-520、およびBFB-999のCmax図4に示す。化合物(I)、BFB-520、およびBFB-999によるQTcFに対する効果を図5に示す。
【0221】
絶食条件化でのMR製剤:
迅速なバイオアベイラビリティを示唆する短いラグタイム;
曝露のばらつきは一般に低い;
ほとんどの時間24時間では定量化できない値になる;
PKは、一般に、化合物(I)およびBFB-999については用量比例であり、BFB-520についてはそれほど用量比例しない;
BFB-520およびBFB-999の逆転は、BFB-520のレベルを一般的に抑制し、BFB-520に対するBFB-999比を高めることで発生した;
MR製剤の所見は、小腸における時間がより短いことがBFB-520レベルの抑制に有用であることを示唆している;
化合物(I)と2つの代謝物の半減期は、3~8時間の範囲であり、フリップフロップ(終末相中にバランスした吸収および除去)による可能性が最も高い40mg遅放出の方が長い;
シミュレーション結果は、10~14日以内に定常状態を示し、3つのすべての検体において蓄積をはなかった。
【0222】
食物効果:
・明らかなポジティブな食物の効果-より高い暴露;
・MR製剤は、大部分は結腸に到達する前に急速放出および吸収を伴うIR製剤と同様に挙動した;
・これは、BFB-520レベルのさらなる増加を説明する;
・急速吸収により、化合物(I)Cmaxの増加は~2倍であり、BFB-520のCmaxの増加は~3倍であり、BFB-999のCmaxの増加は~0.5倍であった;
・半減期は大幅に短縮され、摂食:絶食の比は、以下の通りであった:
・化合物(I)で0.5、
・BFB-520で0.8、
・BFB-999で0.6;
・その結果、蓄積は予期されない;
・AUCの増加は最小であった(Cmaxと比較して):BFB-520の増加が最も高く、1.3~1.8倍であった。
【0223】
統合失調症の患者における化合物(I)C03 第IIB相
統合失調症の陰性症状を有する患者における化合物(I)の有効性、耐容性および安全性を評価する第IIb相、多施設、無作為化、二重盲検、パラレル群、プラセボ対照研究の24週後に、オープンラベル延長。研究設計を図10に示す。
【0224】
研究の目的:
一次:
治療の12週間にわたる、五角形モデルの陽性および陰性症候群スケール(PANSS)陰性サブスケールスコアにおけるベースラインからの変化によって測定される、統合失調症の陰性症状の改善におけるプラセボと比較した化合物(I)の有効性を評価すること。
【0225】
主要二次:
・二重盲検治療の12週間にわたる、五角形モデルのPANSS総スコアおよびサブスコアおよび3因子分析におけるベースラインからの変化によって測定される、統合失調症の陰性症状の改善におけるプラセボと比較した化合物(I)の有効性を評価すること。
・二重盲検治療12週間にわたる、簡易陰性症状評価尺度(BNSS)におけるベースラインからの変化によって測定される、統合失調症の陰性症状の改善におけるプラセボと比較した化合物(I)の有効性を評価すること。
・二重盲検治療の12週間にわたる、統合失調症における簡易認知評価尺度(BACS)によって測定される、認知機能における化合物(I)のプラセボに対する効果を評価すること。
・オープンラベル延長相の24週間中の化合物(I)の有効性の持続、ならびに安全性および忍容性を評価すること。
【0226】
他の目的:
・二重盲検治療の12週間にわたる、カルガリー統合失調症用抑うつ症状評価尺度によって測定される、抑うつ症状における化合物(I)のプラセボに対する効果を評価すること。
・二重盲検治療の12週間にわたる、個人的および社会的機能遂行度尺度(PSP)を用いる、社会的機能における化合物(I)のプラセボに対する効果を評価すること。
・二重盲検治療の12週間にわたる、V-Watch方法論の補助によって測定される、睡眠構造および持続性における化合物(I)のプラセボに対する効果を評価すること。
【0227】
主な試験対象患者基準:
・18~60歳(両端含む)の男性または女性の患者。
・患者は、精神障害の診断および統計マニュアル-第5版(DSM-V)に定義されている統合失調症の診断基準を満たす。
・治療中の精神科医によれば、過去3ヶ月間陽性症状に関して安定している患者。
・治療中の精神科医によれば、過去3ヶ月にわたって陰性症状を呈している患者。
・少なくとも20のPANSS陰性サブスコアを有する患者。
・PANSS項目スコアが4未満の患者:P4興奮、多動性;P7敵意;P6疑念;G8非協力性;G14衝動制御不良。
・先月の向精神薬に変化はない。
・患者は、最初の薬物用量を投与する前の遺伝子型決定試験によって決定されるP450CYP2D6の高代謝群でなければならない。
【0228】
主な除外基準:
・現在の双極性障害、パニック障害、強迫神経症、または精神遅滞の証拠。
・患者の状態は、物質(たとえば、乱用薬物または医薬)または一般的な医学的状態の直接的な生理学的効果による。
・自殺または自殺未遂の重大なリスク、または自己または他人に対する危険性の重大なリスク。
・許可されたもの以外の向精神薬を中止することができない患者。
・スクリーニング来院の6ヶ月以内にクロザピンを投与された患者。
・デポ抗精神病薬による治療を受けている患者は、最後の注射から4週間後に研究に登録することができる。
・重要な他の重大なまたは不安定な神経学的、神経外科的(たとえば、頭部外傷)、代謝性、肝臓、腎臓、血液学的、肺、心臓血管、代謝性、胃腸または泌尿器疾患の病歴を有する患者。
・(QTcF)>430msec(男性)および)>450msec(女性)というFridericiaの式を用いて心拍数を補正したQT間隔値などの、研究において安全性の問題となる可能性のある異常臨床上重要な心電図(ECG)異常を有する患者。
【0229】
主な有効性評価:
-陽性・陰性症状尺度(PANSS)
-簡易陰性症状評価尺度(BNSS):統合失調症および統合失調感情障害における陰性症状の重症度の現在のレベルを測定するために設計された半構造化インタビュー(Kirkpatrickら)
・無快感症
・苦痛
・非社会性
・意欲消失
・感情鈍麻
・失語症
-統合失調症における簡易認知評価尺(BACS)
-個人的および社会的機能遂行度尺度(PSP):社会的機能を評価する;臨床医の評価
-社会的に有用な活動,
-個人的および社会的関係,
-セルフケア
-妨害および攻撃的な行動
-睡眠構造および持続性
【0230】
睡眠評価:
-統合失調症患者の30~80%において、睡眠および概日リズム障害が報告されている。
-不眠症患者は、以下を報告する:
・生活の質の低下
・症状の重篤度の悪化
・治療に対するアドヒアランス/コンプライアンスの悪化
-睡眠障害はまた、精神病の悪化と関連している。
-睡眠は記憶強化のために重要であり、したがって睡眠構造の障害または概日脱同期は統合失調症で観察される認知障害にも寄与しうる。
-化合物(I)は、先の第2a相試験において睡眠構造に及ぼす影響を示したが、このことは陰性症状および認知において観察された改善と関連する可能性があり、したがって、その影響を本研究でさらに検討する。
・睡眠記録(PSG)された患者(20人)のサブグループにおいて、ベースラインおよび第14日に睡眠を評価した。化合物(I)は、以下において効果があった:
-徐波睡眠(SWS)分布:SWSを夜の終わりから初めに移した:化合物(I)は、SWSを夜の最初の3分の1で有意に増加させ、夜の最後の3分の1で減少させた。
-入眠パラメータ(入眠潜時、持続睡眠までの潜時)。
・PSQIによって測定される主観的睡眠の質は改善され、この改善は、統計的に有意ではないが、プラセボよりも化合物(I)の方が大きかった。
【0231】
V-Watch:睡眠バイオマーカー&付随診断ツール
VWatch方法論概観-1(図6):脳波の測定に依存する標準的な睡眠ポリグラフィー検査(PSG)と比較して、V-Watch方法論は、睡眠を評価するために生理学的尺度を使用する。
【0232】
生理学的システムおよびそれらの調節は、生理的状態(覚醒または睡眠)に依存する。
【0233】
睡眠のプロセスは、脳のみならず全身に影響を及ぼす。
・睡眠中の皮質波に見られる変化は、睡眠段階間の移行の反映にすぎず、これらの移行を評価するための唯一の方法ではない。
・これらの移行を、他の生理学的システムからも検出することができる。
【0234】
心拍数特性(レベル、規則性、変動性および突然の変化)ならびに身体運動活動を、睡眠から覚醒を識別し、主な睡眠段階を区別するために使用することができる。
【実施例0235】
化合物(I)のさまざまな錠剤製剤
第6-1表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表8】
【0236】
第6-2表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表9】
【0237】
第7表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表10】
【0238】
第8表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表11】
【0239】
第9表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表12】
【0240】
第10表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表13】
【0241】
第11表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表14】
【0242】
第12表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表15】
【0243】
第13表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表16】
【0244】
第14表:64mgのMIN-101 MR錠剤製剤の分析研究(実験9の64mg, 遅)
【表17】
【0245】
第15表:64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表18】
【0246】
第16表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表19】
【0247】
第17表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表20】
【0248】
第18表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表21】
【0249】
第19表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成
【表22】
【0250】
第20表:参照MIN-101 SR錠剤用のバッチ配合
【表23】
【0251】
第21表:16mgおよび64mgのMIN-101 MR錠剤製剤用組成(製造プロセス開発)
【表24】
【実施例0252】
化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)の製造
2-((1-(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)ピペリジン-4-イル)メチル)イソインドリン-1-オン、すなわち、化合物(I)の遊離塩基をアセトンに溶解し、非晶質火山ガラス、すなわち、パーライト(Perlite(登録商標))を通してろ過し、異物を除去する。溶液に、2 mol/Lの塩酸水溶液、すなわち、2N HClを加える。混合物を数時間攪拌しながら冷却し、化合物(I)の塩酸塩の粗結晶をろ過紙、減圧乾燥する。次いで、アセトンおよび脱イオン水中で粗物質を加熱し、数時間攪拌することによって粗結晶を精製する。次いで、ろ過によって異物を除去し、次いで、更なるアセトンをろ液に加える。混合物を冷却し、結晶をろ過し、減圧乾燥して、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を得る。
【実施例0253】
粉末X線回折of 化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)
RIGAKU、RINT 2500を用いてX線回折測定を行った。化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の粉末X線回折を図11に示す。
【実施例0254】
化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)のIR吸収スペクトル
Perkin-Elmer、Paragon1000を用いて赤外(IR)吸収分光測定を行った。図12に示すように、塩化カリウムディスク法によって、化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)のIRスペクトルを測定した。吸収の主な波数およびそれらの帰属は、以下の通りである:
第22表:化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)のIRスペクトルの帰属
【表25】


【実施例0255】
化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)の核磁気共鳴分光法
d6-ジメチルスルホキシド中で測定した化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の1H-NMRスペクトルおよび13C-NMRスペクトルを、それぞれ図13および図14に示す。
【0256】
参照による組み込み
本明細書で言及された各特許文献および科学論文の開示全体は、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0257】
均等物
本願の開示は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。したがって、前述の実施態様は、本明細書で説明した本願の開示を限定するものではなく、すべての点で例示的なものであるとみなされるべきである。したがって、本願の開示の範囲は、上記の記載よりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入るすべての変更は、本発明に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多形体である化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む、化合物(I):
の結晶形態であって、形態(A)が、図11に示される少なくとも1つの主ピークに実質的に類似した少なくとも1つの主ピークをもつ粉末X線回折パターンを有する結晶形態。
【請求項2】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3および14.7°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、および14.7°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項4】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、および27.5°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項5】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、14.7、および27.5°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1~4のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項6】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、14.7、18.6、および27.5°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項7】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、14.3、14.7、14.9、18.6、27.5 および 30.1°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1~6のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項8】
形態(A)が、Cu Kα照射を用いると、約7.6、11.2、14.3、14.7、14.9、18.6、22.0、25.9、27.5 および 30.1°2θに粉末X線回折ピークを有する、請求項1~7のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項9】
化合物(I):
を含む医薬製剤であって、化合物(I)が、多形体である化合物(I)・HCl・2H 2 Oの形態(A)として存在し、該製剤が、約1-100mgの用量でヒトに投与される場合に、50ng/mL未満の化合物(I)の最大血漿濃度(Cmax)を提供する放出調節剤を含む医薬製剤。
【請求項10】
約10-75mgの化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
約15-65mgの化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
約16mg、約32mg、約40mg、または約64mgの化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)を含む、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
放出調節剤が、ヒプロメロースである、請求項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
充填剤、流動促進剤、および滑沢剤をさらに含む、請求項9~13のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項15】
充填剤が、微結晶セルロース、ラクトース、またはそれらの組み合わせである、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項16】
流動促進剤が、無水コロイダルシリカである、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項17】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、Kolliwax HCO、ステアリルフマル酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項18】
製剤が、10.0ng/mL、好ましくは5.0ng/mL未満のBFB-520の最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項9~17のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項19】
製剤が、5.0ng/mL未満のBFB-999の最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項9~18のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項20】
製剤が、400hr*ng/mL未満の化合物(I)または多形体である化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)のAUCを提供する、請求項9~19のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項21】
製剤が、40hr*ng/mL未満のBFB-520のAUCを提供する、請求項9~20のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項22】
製剤が、40hr*ng/mL未満のBFB-999のAUCを提供する、請求項9~21のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項23】
製剤が、慢性投与に適している、請求項9~22のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項24】
製剤が、速放性形態である、請求項9~23のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項25】
製剤が、制御放出形態である、請求項9~24のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項26】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の投与用量の実質的にすべてが、16-24時間にわたって医薬製剤から放出される、請求項9~25のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【請求項27】
治療有効量の請求項9~26のいずれか1つに記載の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、神経精神疾患または障害の治療方法。
【請求項28】
神経精神疾患または障害が、統合失調症である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
医薬製剤が、一日一回投与される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の投与量が、約1-100mgの範囲である、請求項2729のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の投与量が、約10-75mgの範囲である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の投与量が、約15-65mgの範囲である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
化合物(I)・HCl・2H2Oの形態(A)の投与量が、約16mg、約32mg、約40mg、または約64mgである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
統合失調症の少なくとも1つの症状が、治療または軽減される、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
該症状が、統合失調症の陰性および/または陽性症状、認知機能、睡眠構造および持続性、および社会的機能に関連する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抑うつに関連する少なくとも1つの疾患または障害が治療される、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
治療有効量の請求項9~36のいずれか1つに記載の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、睡眠障害の治療方法。
【請求項38】
睡眠障害の少なくとも1つの態様が、治療または軽減される、請求37に記載の方法。
【請求項39】
睡眠障害の少なくとも1つの態様が、睡眠時間、睡眠期間の1つ以上のセグメント、全睡眠持続性、および睡眠構造から選ばれる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
睡眠障害が、統合失調症に関連する、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
請求項9~40のいずれか1つに記載の医薬製剤、および使用説明書を含むキット。