(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105246
(43)【公開日】2022-07-13
(54)【発明の名称】計算出題システム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/02 20060101AFI20220706BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20220706BHJP
G09B 7/02 20060101ALI20220706BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
G09B19/02 G
G09B5/02
G09B7/02
G09B19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000003
(22)【出願日】2021-01-01
(71)【出願人】
【識別番号】316007827
【氏名又は名称】木部 誠
(71)【出願人】
【識別番号】521005373
【氏名又は名称】鬼丸 琉音
(71)【出願人】
【識別番号】521005384
【氏名又は名称】吉岡 斗茉
(72)【発明者】
【氏名】鬼丸 琉音
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 斗茉
(72)【発明者】
【氏名】木部 誠
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA07
2C028BB01
2C028BC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】出題する計算課題への取り組みを通じ、数の量的観念の支配と、数字入力にかかる操作能力の獲得とを両立的に支援し、数にかかる教習プロセス全体を効率化する技術を提供する。
【解決手段】教習的負荷として数の桁数に着目した負荷逓増制御を実装し、使用される数字種についてコンパクトかつ網羅的な出題機構を実装し、または該負荷逓増制御において数の桁数を基準とする閾値の観念を採用して、教習目的上好ましい出題制御を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱数情報を記憶する乱数情報記憶手段と
該乱数情報記憶手段に記憶された乱数情報に基づいて出題データを作成する出題データ生成手段と
該出題データ生成手段により作成された出題データをユーザーに表示する出題表示手段と
ユーザーからの入力内容を受け付ける入力手段と
該入力手段により受け付けたユーザーからの入力内容と前記出題データ生成手段によって作成された出題データとを比較照合する正誤判定手段と
該正誤判定手段によって判定された結果をユーザーに表示する結果表示手段と
を有し、
前記出題データ生成手段は
出題のたびに
答えとなる数の桁数、または、計算される数のうちの一つないし計算される数の全ての桁数を逓増させること
を特徴とする計算出題システム
【請求項2】
前記出題データ生成手段は
任意の進数におけるその全数字種のうちから重複しないように数字を選んで答えとなる数字列をつくり、
該全ての数字種が採用されたら、再び
該進数における全数字種のうちから重複しないように数字を選んで答えとなる数字列をつくること
を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の計算出題システム
【請求項3】
前記正誤判定手段は
出題に対する応答として誤った入力回数を一問について保持しておき
該誤った入力回数が、答えとなる数の桁数を基準とする閾値を超えた場合には
前記出題データ生成手段は
次の出題において答えとなる数の桁数を逓増させないことを特徴とする
請求項1に記載の計算出題システム
【請求項4】
前記正誤判定手段は
出題に対する応答として誤った入力内容の回数を一問について保持しておき
該誤った入力回数が、答えとなる数の桁数を基準とする閾値を超えた場合には
前記出題データ生成手段は
次の出題において答えとなる数の桁数を逓増させないことを特徴とする
請求項2に記載の計算出題システム
【請求項5】
請求項1または請求項4いずれかに記載のシステムとしてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計算出題システムに関するものです。
【背景技術】
【0002】
筆算問題とその解答文字枠をパソコンモニタなどに表示し、学習者からの解答文字枠に対する数字のキー入力ないし筆跡入力を受け付け、自動採点を行う筆算学習装置が存在します(たとえば、特許文献1、特許文献2)。また、負荷逓増制御により高負荷への段階的順応を促す出題システムが存在します(たとえば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2001-28875
【特許文献2】特願2004-24636
【特許文献3】特願2016-111773
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術には、本願発明のように教習上の認知的負荷としての数の桁数とその制御に着目したものや、計算問題出題における数字の重複制御に着目したものはありませんでした。つまり本願発明は、(1)教習にかかる定量的負荷として桁数に着目したこと、(2)有限の演習回数でも全数字種の網羅的出題が約束される出題制御を実装し、計算演習と同時並行的に数字キー位置の把握を効率的に支援すること、(3)さらにはそれらの技術的特徴から派生した工夫点に関し新たな技術的可能性を発見したこと、により当該技術分野に進歩的改良をもたらしたものです。
【課題を解決するための手段】
【0005】
では本願の各請求項に係る発明を包摂する詳細で十分な説明を記述します。
まず本発明の根本的な技術的意義を説明するための
図1をご覧ください。
この例では、一回という有限回の出題で、10進数における全ての数字種を網羅しています。ですからこれは、数の観念の網羅的な支配を図る教習課題として、コンパクトで偏りがない出題と言えます。このような10桁の数字の応答を求める計算課題に正答する応答プロセスおいて、もし答えとなる数字列に含まれる10の数字が無重複であれば、この問題に応答する一手順で、応答者は0~9までの10進数における全数字種を少なくとも一回ずつ入力することになります。偏りのない練習の実現ために無限回の出題を必要としない点が有利です。
ただ、10桁の応答を要求する計算タスクの認知的負荷は、小さな桁数の計算課題に比べると比較的に大きなものです。好ましくは、いきなり大きな負荷をかけるのではなくて、各ユーザーが十分に対応可能な段階的負荷を実現し、プライベートで細やかに好ましい負荷態様と負荷への効果的順応を促したいところです。
【0006】
そこで次に
図2をご覧ください。このように段階的に負荷(桁数)を逓増してゆく中で、偏りなく網羅的・循環的に、教習すべき内容を出題することができそうです。
【0007】
それでは以下に、各請求項の説明を述べます。
ではまず、本願発明の一態様にかかる請求項1について説明します。
本願発明は、
生成して記憶、あるいは予め記憶した乱数情報に基づいて出題データを作成してユーザーに表示した出題内容と、ユーザーから受け取る入力内容とを照合斟酌して正誤判定を行い、その結果をユーザーに表示する計算出題システムに関するものであり、その一態様は、
出題のたびに、答えとなる数の桁数、または、計算される数のうちの一つないし計算される数の全ての桁数を逓増させることを特徴とします(請求項1)。
【0008】
[定義]
ここで「答えとなる数」とは、ある「計算される数」と「計算される数」の計算の答えのことです。たとえば、ある和算において、「計算される数」が1で、もう一つの「計算される数」が2の場合、1+2ですから、「答えとなる数」は3であり、「答えとなる数の桁数」は1です。
【0009】
[技術的意義]
教習にかかる負荷として数の桁数に着目し、それを逓増制御することに本願発明の技術的意義があります。逓増とは段階的に増やすことを意味します。これは1,2,3,4…と一つずつ等差的に桁数を増やすことのほか、2,4,6,8など、差分を1以外にすることや、1,2,4,8…などと等比的に桁数を増やすことも観念的に含まれます。また等差的でも等比的でもなく、2,3,4,5,8,10などの規則性の明確でない逓増態様もこれに観念的に含まれます。支配する数の観念を段階的に拡大しながら、より大きな数を扱えるようになってゆく教習プロセスは、練習者に達成感と喜びをもたらしうるものであり、本願発明はその好ましいガイドを実現するという基本目的に基づくものです。
【0010】
次に、本願発明の一態様にかかる請求項2について説明します。
本願発明の一態様においては、網羅的に重複を最小限に数字を採用してゆき、答えとなる数字列を形成します。
詳しくは、本発明の一態様は、10進数であれば、0から9までの数字のうちから重複しないように数字を選んで答えとなる数字列をつくり、0から9までの全ての数字が採用されたら、再び0から9までの数字のうちから重複しないように数字を選んで答えとなる数字列をつくることを繰り返すことを特徴とします(請求項2)。
なお計算演習の対象となる数の進数としては、代表的なものとして10進数を考えますが、請求項2等でいう「任意の進数」とは、必ずしも10進数のみに限定されるものではありません。
【0011】
[技術的意義]
有限回の出題回数の中で、全ての数字種の応答を要求する計算出題システムの仕組みは有意義です。それは、ある数字は複数回出現するが、ある数字は一回も出現しない、というような偏りある出題状況を避けうる点にメリットがあります。その仕組みにより、無限回の練習をしなければ必ずしも全内容が偏りなく網羅されない、というような練習偏りのリスクを避けることができます。有限回の練習回数でも確実に全てのキーの偏りない入力操作を要求できるようにすることで、ユーザーの数字入力能力を効率的に伸ばすことができるようになります。
【0012】
次に、本願発明の一態様にかかる請求項3と請求項4について説明します。
本願発明の一態様においては、一問に対する入力間違いの回数が閾値を超えた場合には、次の出題で桁数を逓増させないことを特徴とします。
詳しくは、出題に対する応答として誤った入力回数を一問について保持しておき、該誤った入力回数が「答えとなる数の桁数を基準とする閾値」を超えた場合には、次の出題において答えとなる数の桁数を逓増させないことを特徴とします(請求項3、請求項4)。
【0013】
[定義]
「答えとなる数の桁数を基準とする閾値」は「答えとなる数の桁数」の関数としての、許容される入力間違いの回数、を意味します。具体的には例えば、「答えとなる数の桁数」の45%の四捨五入、つまり8桁の場合なら4回まで間違いが許容される、といった設定方法などが、ここで考えられていることです。
【0014】
[技術的意義]
たとえば、応答すべき桁数によらず「1箇所でも間違ったら逓増を認めない」とすることや、「閾を応答はやさの関数」とすることをここで採用するのではなく、「答えとなる数の桁数を基準とする閾値」を採用していることには明確な技術的意義があります。これを説明するには、まず「乱打入力でゲームクリアを導くことが技術的に可能であり、かつ速やかなゲームクリアのために合理的」であることが発見されなければなりません。つまり、10進数における数字種は0~9までの10種類ですから、ある一つの数字を当てるためには最大9回間違えば必ず整合する答えを入力することができるでしょう。そうすると10桁の場合の10個の数字を当てる場合、数字キーを乱打して0.05秒ごとに一つの数字を入力したとしても5秒以内に正答を導くことが出来ることになります。一方で、10桁の計算を10秒かけて行ってもいくつかの入力箇所で間違う場合がありえます。ですから計算教習目的のシステムを構築する上で、次の段階への負荷逓増ないしゲームクリアにかかる、許容される間違いの閾をどうすべきかを研究することには重要な技術的意義があるといえます。
具体的には例えば、二数の和算の場合、「繰り上げ計算」の箇所で間違いの頻度が上がることが経験的に分かっており、また2つの0~9までの十分にランダムな数の和算において和が繰り上がる確率(和が10以上になる確率)は45%ですので、その45%をそのまま閾とすることが考えられます(この45%は10進数の場合の値であり、これは一般的には、(進数-1)/2/進数、のように導かれます)。もちろんその一定割合、たとえば45%の1/3程度、つまり15%程度を許容される閾とする対応なども本発明の考える範囲に含まれることです。このように見たとき、この閾値は確率的観点で導出されうる値といえます。さらにたとえば、もしあるユーザーは統計的に「繰り上がり計算となる回数の期待値の1/3程度」の間違いが発生する、という観測結果がえられたとすると、それは有力な教習負荷制御の基準となりえると考えられます。このように「桁数を基準とする閾値」に着目し、ゲーム制御のために採用することには基本的で重要な技術的意義があります。
【0015】
最後に、本願発明の一態様にかかる請求項5について説明します。
本発明の一態様には、計算出題システムとしてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体、が含まれます(請求項5)。
【0016】
[技術的意義]
出題に機械を用いることで、偏りのない内容を即時にかつ継続して出題することが可能になります。またさらには機械を用いて自動的に正誤判定等を行うと有利です。
【発明の効果】
【0017】
本願発明は、数の量的意味的観念の支配と数字タイピング技能修得の効率化を両立的に実現し、教習プロセス全体の効率化を達成します。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】重複回避しながら数を選ぶコーディング例です。
【
図7】数字リストを初期化するコーディング例です。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、発明の各実施形態について詳しく述べます。
実施例としてScratch(https://scratch.mit.edu/)を用い、本願出願日時点の非公開環境において作成したプロジェクトについて例示します。ただしこれは基本的には本願発明が実施可能であることを示すための例示であり、このほかのさまざまの実施態様のあることを妨げるものではありません。
【0020】
本願発明は
図1や
図2に代表されるような計算課題を出題します。ここでは10進数の計算課題が例示されています。
図1は10桁の和算課題、
図2には1桁から4桁までの和算課題で、それぞれが0~9までの数字を各一回ずつ入力することを要求する内容になっています。たとえば、これらの計算課題を画面に表示し、計算欄に入力を受け付けて正誤判定を返すゲームを実行することが意図されます。
【0021】
ここでは2数の和算の筆算の場合を例示していますが、本願発明の趣旨、つまり徐々に大きな数を扱えるようになってゆく達成感実現と、偏りのない数字入力課題の実現、の趣旨に沿うものであれば、出題される計算の種別は問いません。
また、桁逓増の態様が等差的であるか等比的であるか、またはそれ以外であるかも問いません。
描画される数字サイズは、好ましくは画面の大きさに応じて調整されるようにするのが良いでしょう。桁数が大きな場合には数字サイズを小さくする工夫などは考え得ることです。
数字を出現させるとき、数字と記号と線を即時にレンダリングしてもよいですが、たとえばキャラクターが動くアニメーションを描画し、あるいはチョークを黒板に当てるような音を鳴らしながら一つ一つの要素がキャラクターにより描画されてゆく様子を映像提示してもよいでしょう。黒板や紙のノートに対するように、ユーザーが画面に繰り上がり記号などを手書き入力等でかきこめるようにしてもよいでしょう。入力を待ち受けている間、時間を計りながら時計のカチコチ音のような音を流し、応答をせかすようにしてもよいでしょう。そのほか、次々とあらわれる問題との対面が楽しくなるような、ゲーム開発者側の工夫のあることは歓迎されます。
【0022】
図3は、好ましい実施態様の具体例を説明するものです。
ここには、フォーカスされた太枠のガイドに従って練習者が低い位から順に回答を入力してゆき、その入力の一つ一つについて正誤判定を受ける、というゲームシステムが代表的な実施態様として示されます。
【0023】
フォーカス状態を示す太枠は、好ましくは目立つ色にし、点滅アニメーションするようにしてもよいでしょう。
好ましくは、各桁の入力が、答えとなる数の内容と一致する場合には正解の音を鳴らし、一致しない場合には不正解の音を鳴らすようにします。また好ましくは、不一致の場合には、一致する入力があるまで次の桁に進まないよう制御します。本願発明の一態様においては、入力間違いが十分に少なく、許容された間違い数以内であったとき、最後の桁まで入力が済むと桁数を増やして次の描画を行います。そのとき、好ましくはクリアして次のシーンに画面遷移する局面に合う演出音を鳴らします。
【0024】
図4は本願発明の実施にかかるスクラッチのプログラム例です。
ここには、まちがった数が、桁数を基準とした値(この図の例では桁×0.45)より小さなときには、次の出題における桁数を1ずつ増やしながら、桁数9に至るまで出題を続けるコードが示されています。
【0025】
ここでは桁逓増の態様として、差分を+1として桁数が9になるまで出題を続ける等差的逓増の場合が描かれていますが、差分の数値は+1以外でもかまいませんし、最終の桁数が9より少ないものでなくてもかまいません。たとえば、最初の桁数を2とし差分を+2として8桁まで出題すると、合計で2+4+6+8=20となり、ちょうど0~9までの10種の数字を2巡できる分量になるでしょう。
また、桁逓増の態様は、等差的なもののほか、等比的でもかまいません。規則性がない逓増態様を妨げるものでもありません。なお、等比的な逓増の仕方では、少ない出題数のうちに負荷が大きくなってゆく感覚、つまり急峻な坂道を登るトレーニングのような印象、が強くあらわれるでしょう。
また、桁によって新たな条件分岐を設け、たとえば、1~4桁までに全数字種を一巡したあとは重複出現制御を行わない「数の生成」パターンに切り替える、など、出題方式のハイブリッド化をする場合などがあってもよいでしょう。
また、予定されている全ての桁数の課題をクリアしたときには好ましくは、ゲームのエンディング画面が表示されるようにし、その際にはかかった時間などの成績を表示するようにします。
なお、この図の例において0.45という値を採用している根拠は、2つの0~9までの十分にランダムな数の和算において和が繰り上がる確率(和が10以上になる確率)が45%だからです。その一般式は、(1+進数-1)×(進数-1)/2/(進数×進数)を整理して、(進数-1)/2/進数となります。本願発明の根底には、桁数を基準として確率的なクリア制限を設けることを有意義な工夫であると考える技術思想があります。
【0026】
図5は、
図4内の「数の生成」のブロック定義の例、つまり出題される数と答えとなる数の生成に関するスクラッチのプログラムの例です。
この例では、数字リストに残っている未選択数字から次の数字を選びながら、和算問題と答えとなる数を形成してゆきます。
さらに、出題される数のうち「上の数」、つまり和算の筆算の上段に配置される数と、「下の数」、つまり筆算の下段に配置される数を適当な演算によって算出しています。
【0027】
図6は、
図5内の「次の数字を選ぶ」のブロック定義のコーディングの例、つまり数字リストから数字を選ぶプログラムの例です。
これは「下限」を引数にもち、その下限位置から数字リストに残っている全体を範囲として、乱数を用いて「次の数字」を選ぶプログラムです。
【0028】
この例で、なぜ下限を定めているかというと、採用範囲を限定した方が自然な数を生成しやすい場合があるからです。たとえば「10」という数字列は「9よりも1大きな十進数二桁の数」に見えますが、たとえば「01」という数字列は二つの数字をもっていますが二桁の数には見えにくい数字列になっています。また答えになる数を「1」としてしまうとそれを充足する和算の式は例えば「1+0=1」のようになりますが、これは和算の計算演習課題として好ましくないと考えられる場合があります。下限を引数とすることで、こういった好ましくないと考えられるであろうケースを除外して取り扱えるようにしているわけです。
【0029】
またこの例では、二つの数字リストを使っています。それぞれ、一連の網羅過程における範囲と、一問単位の範囲とで、数字の重複選択を抑止制御するために用いられます。すなわち、数字リスト1は一連の出題の中で0~9の数字を一回ずつ一通り全部選ぶために用い、もう一つの数字リスト2は一画面中の出題内容で(答えとなる数字列のうちに)同じ字が重複して出現しないよう数字を選ぶために用います。数字リスト1が一度空になって初期化され(
図7参照)、次の数字が呼ばれるとき、もし数字リスト1のみによる制御ですと、先に選ばれた数字と重複する数字が同じ画面内に同時に採用されてしまう場合がありえますが、数字リスト2を準備して応用することで、そういった同時重複出現を回避できるように工夫しています。ところで、10進数でもし桁数が10を超える出題の場合には必ず一つ以上の数字が重複することになります。そういった場合にはもちろん、一画面中の重複制御にかかる数字リスト2の制御は適用範囲外であり、適用すべきでないことになります。数字リスト2の制御が適用可能なのは10進数なら10桁までの場合となります。
なお、ここで示されたアルゴリズムは実施にかかる工夫の一例であり、発明の目的を達するほかのアルゴリズム、たとえばリスト処理でなくフラグ処理を用いたアルゴリズムの適用等を妨げるものではありません。
【0030】
図8は本発明の一態様にかかる基本的構成の例を示すブロック構成図です。
ここに示すシステムは、ROMに記憶された制御シナリオと乱数情報等により作成された計算される数と答えとなる数の情報をRAMに記憶し、その情報を出力デバイスに表示する仕組みをもちます。さらに入力デバイスからの入力にかかる内容がRAMに記憶され、RAMに記憶された答えとなる数の情報と入力内容とをROMに記憶された制御シナリオに則ってCPUが比較照合し、その比較結果に応じて出力デバイスの表示内容等を制御する仕組みをもっています。
【0031】
この本発明の一態様にはパソコン上で作動することが意図されるものが含まれますが、実行環境が単体マシンであるかオンプレミスであるかクラウドであるかなどを問いません。各ハードウェア構成要素を、複数のマシンを組み合わせ、それらに機能を配分し実施する等の種々の変更は容易に想定され得るものであり、それらの変更は、当然に本発明の思想に包摂される概念です。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、計算と数字タイピングの習得に関する優れた技術を提供し、教習業務に貢献するものです。
【符号の説明】
【0033】
1 CPU(出題データ生成手段、正誤判定手段など)
2 ROM(乱数情報記憶手段、出題データ生成手段など)
3 RAM(乱数情報記憶手段、出題データ生成手段など)
4 入力デバイス(入力手段)
5 出力デバイス(出題表示手段、結果表示手段)
6 アドレス・データバス