(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105248
(43)【公開日】2022-07-13
(54)【発明の名称】成績危惧者予測システム、及び成績危惧者予測システム用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20220706BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000005
(22)【出願日】2021-01-01
(71)【出願人】
【識別番号】712007762
【氏名又は名称】株式会社トワール
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼野 裕希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象者の将来動向変化の予測に使用でき、対象グループや志望校といった相対変動要因にも対応できる予測システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】システムは、グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、データ入力によって各候補者の動向を成績度数として記憶する成績記憶手段と、各対象者の設問の回答内容に基づいてIQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する指標式設定手段とを備える。指標式設定手段は、「特定動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、重回帰分析によって設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、多項式設定手段の各項へ乗ずる係数の値を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明に係る危惧者予測システムは、複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下又は交友関係悪化をはじめとする動向悪化の危惧者を予測する危惧者予測システムであって、
グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問を表示すると共に設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、
設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、
データ入力によって各候補者の成績動向又は交友関係悪化動向を成績度数として記憶する成績記憶手段と、
前記回答記憶手段によって記憶された各対象者の設問の回答内容に基づいて、IQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と成績度数との関連度数であるIQ関連度数、並びに、EQ指標値と成績動向との関連度数であるEQ関連度数を導出し、
IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する指標式設定手段と、
多項式設定手段による多項式に基づいて候補者の動向変化の危惧値を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された候補者の危惧値をリスト化するリスト化手段と、
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、リスト化手段によってリスト化された候補者の危惧値のリストから、成績危惧を予測される対象者を抽出して表示する条件抽出手段と、を備え、
指標式設定手段は、「特定動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、論文及び学習機関の実績資料の相関性データを統合して重回帰分析によって
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、多項式設定手段の各項へ乗ずる係数の値を調整することを特徴とする危惧者予測システム。
【請求項2】
対象者グループの下位0-10%、10-25%のパーセンタイルに含まれる対象者をそれぞれ「危惧者」「準危惧者」として抽出する請求項1又は請求項2に記載の危惧者予測システム。
【請求項3】
一対象者の危惧値を、本人以外の被験者による試験結果から再算出し、指標値に閾値以上の優位差がある場合にその旨を表示する請求項1又は請求項2に記載の危惧者予測システム。
【請求項4】
一定期間を開けて対象者試験グループで試験を行い、実際の成績低下との関係のデータを統合して重回帰分析によって係数を再調整する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の危惧者予測システム。
【請求項5】
前記記録手段は、対象者の属性データを含み、各属性データを多項式の加算項として設定する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の危惧者予測システム。
【請求項6】
複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下の危惧者を予測する危惧者予測システムであって、
グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問を表示すると共に設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、
設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、
データ入力によって各候補者の成績動向を記憶する成績記憶手段と、
前記回答記憶手段によって記憶された各対象者の設問の回答内容に基づいて、IQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と成績度数との関連度数であるIQ関連度数、並びに、EQ指標値と成績動向との関連度数であるEQ関連度数を導出し、
交友関係悪化の動向に関する、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する指標式設定手段と、
多項式設定手段による多項式に基づいて候補者の動向変化の危惧値を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された候補者の危惧値をリスト化するリスト化手段と、
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、リスト化手段によってリスト化された候補者の危惧値のリストから、成績危惧を予測される対象者を抽出して表示する条件抽出手段と、を備え、
指標式設定手段は、「成績低下動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、論文及び学習機関の実績資料の相関性データを統合して重回帰分析によって
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、算出式の各項へ乗ずる係数の値を調整することを特徴とする危惧者予測システム。
【請求項7】
複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下及び交友関係悪化の各危惧者を予測する危惧者予測システムであって、
グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問を表示すると共に設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、
設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、
データ入力によって各候補者の成績動向及び交友関係悪化動向をそれぞれ記憶する成績記憶手段と、
前記回答記憶手段によって記憶された各対象者の設問の回答内容に基づいて、IQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された成績動向の動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と成績動向との関連度数であるIQ関連成績度数、並びに、EQ指標値と成績動向との関連度数であるEQ関連成績度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された交友関係悪化動向の動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と交友関係動向との関連度数であるIQ関連交友度数、並びに、EQ指標値と交友関係動向との関連度数であるEQ関連交友度数を導出し、
成績低下の動向に関する、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する成績指標式設定手段と、
交友関係悪化の各動向に関する、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する交友関係指標式設定手段と、
成績指標式設定手段、及び交友関係指標式設定手段のそれぞれによる各多項式に基づいて候補者の動向変化の各危惧値を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された候補者の危惧値をリスト化するリスト化手段と、
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、リスト化手段によってリスト化された候補者の危惧値のリストから、成績危惧を予測される対象者を抽出して表示する条件抽出手段と、を備え、
成績指標式設定手段、及び交友関係指標式設定手段のそれぞれは、「交友関係悪化動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」及び「交友関係悪化動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、論文及び学習機関の実績資料の相関性データを統合して重回帰分析によって
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、算出式の各項へ乗ずる係数の値を調整することを特徴とする危惧者予測システム。
【請求項8】
複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下及び交友関係悪化の各危惧者を予測する危惧者予測システムに用いられる危惧者予測プログラムであって、
対象候補者それぞれが試行する選択式のテストの入力結果によって、候補者それぞれのIQ指標値、EQ指標値、及びGRIT指標値を割出す第一ステップと、
システム内で設定ないし調整された、各指標値の多項式からなる算出式によって、危惧値を算出する第二ステップと、
グループ属性によって対象者を抽出して並び替えを行う第三ステップと、
対象者グループ内の下位所定割合未満又は所定割合以下に属する対象者を危惧者として検出して表示する第四ステップとからなる。
ここで、前記第二ステップにおいて使用される算出式は、
論文として公表され又は塾、学校などの成績管理機関によって記録された、過去の成績低下動向又は交友関係悪化動向と、各指標値とからなるデータの入力を一定期間ごとに受け付けて蓄積する蓄積ステップと、
入力されるデータによって、設定された多項式の係数を重回帰分析によって調整する調整ステップと、によって更新され、
定期的に蓄積ステップ及び調製ステップが繰り返されることで、算出時点で最新の係数に更新された算出式が第二ステップで用いられることを特徴とする危惧者予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者グループの成績を予測して成績の低下の危惧の可能性のある対象者を「危惧者」「準危惧者」として抽出する予測システム、及び成績危惧者予測システム用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、性格診断システムおよび性格診断方法として、複数の他人の回答に基づく性格診断結果の平均値を本人による性格診断結果と対比させる方法が開示される(特許文献1:特開2007-226531)。
【0003】
また従来、認知症の程度を判定するための方法、システム及びプログラムとして、年齢、教育年数、最大歩行速度及びTMTAテストのスコアの全てを用いて認知症の程度を表わす係数を算出し、被験者についての算出した係数Pが予め設定した値よりも大きい場合、認知症であると判定する判定システムが開示される(特許文献2:特許06207547)。
【0004】
また、従来、個人特性推定方法として、要因別に設定された因子得点を集計して要因別に重み付けを行い、その個人がその時に有している対象評価価値観を、前記重み付けされた各要因の線型モデルとして求め、作業者群が望ましい領域に分布しているか否か、分布のばらつきが大きすぎないか否かなどの判断情報を得る方法が開示される(特許文献3:特開2003-006566)。
【0005】
また一般的に、知能理論であるCHC理論に基づいて種々の知能検査モデルが作成されており、知能検査モデルを使用した知能検査やこの検査結果に基づく研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-226531号公報
【特許文献2】特許06207547号公報
【特許文献3】特開2003-006566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の各種システムや方法はいずれも、対象者について行った検査結果に基づいて特定の指標を算出し、対象者の特性や症状を診断ないし推定するものである。
【0008】
しかしながら、これら各種システムや方法は、診断時点における対象者の検査結果を評価するものに過ぎなかった。すなわち、上記システム等は検査後の検査動向や対象者の行動特性を示すものではないため、上記システム等を対象者の成績低下といった将来動向変化の予測にそのまま使用することはできなかった。
【0009】
また成績の低下は一般的な症状や性格の診断と異なり、相対的に評価結果が変動する傾向がある。例えば対象者に「1~5点」の成績低下の傾向が見られた場合でも、対象グループにおける他の比較対象者の多くが成績低下した場合と、逆に成績向上した場合とでは、成績低下に関する評価結果が異なることとなる。また例えば、受験前の合格判定においては診断時点での成績と志望校の設定、当該志望校の他の志望者によって、評価結果は大きく異なる。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、対象者の成績低下などといった将来動向変化の予測に使用できる各動向の危惧者予測システムであって、対象グループや志望校といった相対変動要因にも対応することのできるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決すべく以下(1)~(8)の手段を講じている。
(1)本発明に係る危惧者予測システムは、複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下又は交友関係悪化をはじめとする動向悪化の危惧者を予測する危惧者予測システムであって、
グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問を表示すると共に設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、
設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、
データ入力によって各候補者の成績動向又は交友関係悪化動向を成績度数として記憶する成績記憶手段と、
前記回答記憶手段によって記憶された各対象者の設問の回答内容に基づいて、IQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と成績度数との関連度数であるIQ関連度数、並びに、EQ指標値と成績動向との関連度数であるEQ関連度数を導出し、
IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する指標式設定手段と、
多項式設定手段による多項式に基づいて候補者の動向変化の危惧値を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された候補者の危惧値をリスト化するリスト化手段と、
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、リスト化手段によってリスト化された候補者の危惧値のリストから、成績危惧を予測される対象者を抽出して表示する条件抽出手段と、を備え、
指標式設定手段は、「特定動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、論文及び学習機関の実績資料の相関性データを統合して重回帰分析によって
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、多項式設定手段の各項へ乗ずる係数の値を調整することを特徴とする。
【0012】
(2)対象者グループの下位0%以上10%未満、10%以上25%未満のパーセンタイルに含まれる対象者を「危惧者」「準危惧者」として抽出する請求項1又は請求項2に記載の危惧者予測システム。
【0013】
(3)一対象者の危惧値を、本人以外の被験者による試験結果から再算出し、指標値に閾値以上の優位差がある場合にその旨を表示する請求項1又は請求項2に記載の危惧者予測システム。
【0014】
(4)一定期間を開けて対象者試験グループで試験を行い、実際の成績低下との関係のデータを統合して重回帰分析によって係数を再調整する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の危惧者予測システム。
【0015】
(5)前記記録手段は、対象者の属性データを含み、各属性データを多項式の加算項として設定する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の危惧者予測システム。
【0016】
(6)本発明に係る危惧者予測システムは、複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下の危惧者を予測する危惧者予測システムであって、
グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問を表示すると共に設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、
設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、
データ入力によって各候補者の成績動向を記憶する成績記憶手段と、
前記回答記憶手段によって記憶された各対象者の設問の回答内容に基づいて、IQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と成績度数との関連度数であるIQ関連度数、並びに、EQ指標値と成績動向との関連度数であるEQ関連度数を導出し、
交友関係悪化の動向に関する、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する指標式設定手段と、
多項式設定手段による多項式に基づいて候補者の動向変化の危惧値を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された候補者の危惧値をリスト化するリスト化手段と、
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、リスト化手段によってリスト化された候補者の危惧値のリストから、成績危惧を予測される対象者を抽出して表示する条件抽出手段と、を備え、
指標式設定手段は、「成績低下動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、論文及び学習機関の実績資料の相関性データを統合して重回帰分析によって
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、算出式の各項へ乗ずる係数の値を調整することを特徴とする危惧者予測システム。
【0017】
(7)本発明に係る危惧者予測システムは、複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下及び交友関係悪化の各危惧者を予測する危惧者予測システムであって、
グループの各対象者を対象とした、EQ及びIQの測定に関する設問を表示すると共に設問への回答の入力を受ける設問表示手段と、
設問手段の設問への各対象者の回答の内容を記憶する回答記憶手段と、
データ入力によって各候補者の成績動向及び交友関係悪化動向をそれぞれ記憶する成績記憶手段と、
前記回答記憶手段によって記憶された各対象者の設問の回答内容に基づいて、IQ指標値の度数及びEQ指標値の度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された成績動向の動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と成績動向との関連度数であるIQ関連成績度数、並びに、EQ指標値と成績動向との関連度数であるEQ関連成績度数を導出し、
前記成績記憶手段によって記録された交友関係悪化動向の動向変化の度合いに基づいて、IQ指標値の度数と交友関係動向との関連度数であるIQ関連交友度数、並びに、EQ指標値と交友関係動向との関連度数であるEQ関連交友度数を導出し、
成績低下の動向に関する、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する成績指標式設定手段と、
交友関係悪化の各動向に関する、IQ指標値の項及びEQ指標値の項からなる多項式を設定する交友関係指標式設定手段と、
成績指標式設定手段、及び交友関係指標式設定手段のそれぞれによる各多項式に基づいて候補者の動向変化の各危惧値を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された候補者の危惧値をリスト化するリスト化手段と、
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、リスト化手段によってリスト化された候補者の危惧値のリストから、成績危惧を予測される対象者を抽出して表示する条件抽出手段と、を備え、
成績指標式設定手段、及び交友関係指標式設定手段のそれぞれは、「交友関係悪化動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」及び「交友関係悪化動向に関連するIQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式の一部とし、論文及び学習機関の実績資料の相関性データを統合して重回帰分析によって
設問記録手段と成績記録手段の記録内容の相関性に基づいて、算出式の各項へ乗ずる係数の値を調整することを特徴とする危惧者予測システム。
【0018】
(8)本発明の危惧者予測プログラムは、複数の候補者のうち入力条件に該当する対象者が属するグループにおいて、将来の成績低下及び交友関係悪化の各危惧者を予測する危惧者予測システムに用いられる危惧者予測プログラムであって、
対象候補者それぞれが試行する選択式のテストの入力結果によって、候補者それぞれのIQ指標値、EQ指標値、及びGRIT指標値を割出す第一ステップと、
システム内で設定ないし調整された、各指標値の多項式からなる算出式によって、危惧値を算出する第二ステップと、
グループ属性によって対象者を抽出して並び替えを行う第三ステップと、
対象者グループ内の下位所定割合未満又は所定割合以下に属する対象者を危惧者として検出して表示する第四ステップとからなる。
ここで、前記第二ステップにおいて使用される算出式は、
論文として公表され又は塾、学校などの成績管理機関によって記録された、過去の成績低下動向又は交友関係悪化動向と、各指標値とからなるデータの入力を一定期間ごとに受け付けて蓄積する蓄積ステップと、
入力されるデータによって、設定された多項式の係数を重回帰分析によって調整する調整ステップと、によって更新され、
定期的に蓄積ステップ及び調製ステップが繰り返されることで、算出時点で最新の係数に更新された算出式が第二ステップで用いられることを特徴とする危惧者予測プログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザを目的地の入り口まで適切に案内できる危惧者予測システム、経路案内方法及び危惧者予測システム用プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、実施例として示す各図とともに説明する。なお、以下において各種の用語の直後に数字又はアルファベットとして示す文字列は、実施例として図面を参酌するために便宜的に付した符号であり、文字列それ自体が概念を有するものではなく、用語の意義を限定するものでもなく、実施例等の構成に限定するものでもない。本発明の危惧者検出システムの処理システムは基本的に
図1に示す構成からなる。
【0022】
(検出方法)
本発明の危惧者検出システムの処理プログラムによる検出方法は、
対象候補者それぞれが試行する選択式のテストの入力結果によって、候補者それぞれのIQ指標値、EQ指標値、及びGRIT指標値を割出す第一ステップと、
システム内で設定ないし調整された、各指標値の多項式からなる算出式によって、危惧値を算出する第二ステップと、
グループ属性によって対象者を抽出して並び替えを行う第三ステップと、
対象者グループ内の下位所定割合未満又は所定割合以下に属する対象者を危惧者として検出して表示する第四ステップとからなる。
【0023】
ここで、前記第二ステップにおいて使用される算出式は、
論文として公表され又は塾、学校などの成績管理機関によって記録された、過去の成績低下動向又は交友関係悪化動向と、各指標値とからなるデータの入力を一定期間ごとに受け付けて蓄積する蓄積ステップと、
入力されるデータによって、設定された多項式の係数を重回帰分析によって調整する調整ステップと、によって更新される。
蓄積ステップ及び調製ステップが繰り返されることで、算出時点で最新の係数に更新された算出式が第二ステップで用いられる。
【0024】
(第一ステップ)
第一ステップでは、候補者の選択式のテストの入力結果に基づき、IQ,EQ,GRITの各指標値を導出して候補者の識別タグと共に記憶する。後述のように、本人評価に加えて他人評価を行う場合は、本人評価による各指標値の導出・記憶に加えて、第三者評価による各指標値の導出値と当該第三者の属性データとからなる追加データが、ギャップ機能として、当該候補者の識別タグデータと共に追加記憶される。
【0025】
(ギャップ機能(測定者による数値差の比較)について)
ギャップ機能とは、例えば、 AさんのIQ,EQをAさん自身が本人測定として検査をして測った数値と、AさんのIQ,EQをAさん以外の人が第三者測定として検査をして測った数値とを比較する機能である。第一ステップにおいては、本人測定による各指標値の記憶データに加えて、第三者測定者による各指標値が、第三者測定データとして追加記憶される。また、本人測定による各指標値と第三者測定による各指標値のギャップ(値の差)を追加記憶してもよい。
【0026】
(第二ステップ)
第二ステップでは、候補者の選択式のテストの入力結果に基づき導出されたIQ,EQ,GRITの各指標値を、記憶した内部で予め設定及び調整された各動向の算出式を用いて、各動向の危惧値を算出し、候補者ごとに危惧値及び算出式を紐づけて記憶する。
【0027】
ただし、検出したい動向毎に予め複数設定された複数の算出式を用いて、複数の動向に関する各危惧値を識別タグと共に記憶してもよく、テストの入力結果は候補者本人による入力だけでなく父親、母親又は担当教員による入力結果を追加記憶してもよい。
【0028】
(算出式)
検出したい動向に応じて、「IQ指標値の項とEQ指標値の項及び属性項からなる多項式」を危惧値の算出式として一つ設定する。各項は調整係数を乗じた形となっており、調整係数は予め定められた基準に基づいて設定された初期値か、設定又は調整されたのちに調整ステップによって調整された調整値が用いられる。係数を調整した場合、原則として、最新の係数が最新の値として用いられる。
【0029】
成績低下動向FVgに関する算出式は具体的には、IQ指標値の一要素であるGf(流動性知能)の項に係数αを乗じたα‘ Gf’項と、EQの一要素である‘C’(勤勉性)指標値の項に係数βを乗じたβ‘C’項と、‘GRIT’(やり抜く力/情熱) 指標値の項‘GRIT’に係数γを乗じたγ‘GRIT’項、すなわち、
αGf+βC+γGRITの基本項を有し、この基本項に、属性に関する一つ以上の加算項(属性項)を加算した下式からなる。
【0030】
(式1)
FVg=αGf+βC+γGRIT
+δY+εS+ζN+ηD+ιBs+κBps+λCl+μAdm+νAdf
【0031】
交友関係悪化動向FVfに関する算出式は具体的には、N(情緒安定性)の項に計数αを乗じたαN項と、EQの一要素であるE(外向性)指標値の項に計数βを乗じたβF項と、EQの一要素であるA(協調性)指標の項に計数γを乗じたγA項、すなわち
αN+βE+γA を基本項とし、この基本項に、属性に関する一つ以上の加算項(属性項)を加算した下式からなる。
(式2)
【0032】
FVf=αN+βE+γA
+δY+εS+ζN+ηD+ιBs+κBps+λCl+μAdm+νAdf
【0033】
(加算項)
また算出式の加算項として、候補者の年齢Y、性別S、国籍N、志望校D、所属学校Bs、所属学習機関Bps、さらに各所属学校又は各所属学習機関における所属クラスCl、母親/父親との年齢差Adm/Adfといった、国籍性差又は環境差に基づく各属性項を予め加算して設定することが好ましい。
加算項は、例えば下記の式からなる。
【0034】
(式3)
δY+εS+ζN+ηD+ιBs+κBps+λCl+μAdm+νAdf
(但し、加算項の設定は任意)
【0035】
属性項を加算項とする場合、係数はあらかじめ定められたルールに基づいて任意の値で設定される。例えば、係数性別Sの係数の設定値を、予め男性は0、女性は1と設定しておくことで、(1・)Sの項がついた算出式は必ず女性の候補者となり、ソート条件のタグ情報を付加することなく、多数の候補者から対象者の算出式の抽出が容易に行われる。
特に前記加算項として、候補者が将来志望する可能性のある複数の志望校の項を加算しておき、志望度合いに応じて予め係数設定しておくこともできる。このようにすることで、第三ステップにおいて、各候補者の志望校の志望度合いを考慮した抽出が可能となる。
【0036】
例えば年齢Y=16才、性別S=男性、国籍N=日本、志望校D=x大学、y大学、z大学、所属学校Bs=p学校、所属学習機関Bps=q学習塾、さらに各所属学校又は各所属学習機関における所属クラスCl=sクラス、母親/父親との年齢差Adm/Adf=7/6、といった属性項を加算項とする場合は、
(式4)
16Y+0S+81N+11D+12D+13D+14D+101Bs+11Bps+2C+7Adm+6Adf、といった加算項となる。なお上記加算項において、係数は任意設定された値の例である。
【0037】
(属性区分)
加算項における属性区分は、対象生徒の属性ラベルを入力データソートするための区分である。例えば、
男性か女性かを示す「S0/S1」いずれかのSコード、国籍を示す「N+国番号」のNコード、所属機関を示す「B+所属番号」のBコード、学年を示す「G+学年数値」のGコード、クラスを示す「Cl+クラス数値」のClコード、からなる。
【0038】
具体的には、入力ステップにおいて候補者又はその保護者(母親又は父親)、指導教員によって以下の事項が入力される。
・本人が思う本人のGf,Gs,Gwm, ‘GRIT’,E,O,N,C,A,性別,生年月日,
・第三者から見た本人の‘GRIT’,E,O,N,C,A,当該第三者の生年月日
・偏差値SS
・保護者が望む塾に期待することH(習慣付け/意識変化/知識教授/成績向上/)
・期待する指導方法T(厳しい/中間/緩い)
・学習管理の仕方M(厳格化/現状維持/弛緩化)
・他の習い事(有無)
・本人がどれだけ家族と接しているか(頻繁/適度/稀有)
・兄弟姉妹構成(兄/姉/弟/妹の有無)
上記入力データ列のうち、以下の項目は例えば下記にあげるデータ値として入力される。
・保護者が望む塾に期待すること、期待する指導方法、学習管理の仕方、=肯定的/否定的、抽象的/具体的、楽観的/悲観的の属性判別による0/1値
・習い事=(有0/無1)、
・「本人がどれだけ家族と接しているか」=数値(一週間の接触時間)、「兄弟姉妹構成」なら(兄姉姉妹の4ケタ数(1001など)
【0039】
(ギャップ機能)
第一ステップでは、一の候補者を対象とした選択式テストの入力によって当該候補者の指標値が決定され記憶される。本人評価による入力に基づいて、各指標値が導出され、当該候補者の識別タグと共に記憶される。その後の第二ステップで、各指標値の値が使用する算出式の各項値としてあてはめられることで、本人評価による危惧値が算出され、記憶される。
【0040】
但し、同一の候補者であっても、本人が選択式テストを入力した本人評価と、父親/母親又は指導教員が選択式テストを入力した他人評価とでは入力結果が異なる。このため、本人評価による各指標値の算出結果を記憶するだけでなく、他人評価による各指標値の算出結果を参照値として追加記憶し、参照値を追加情報として記憶させることができる(ギャップ機能)。参照値を追加情報として記憶させた場合、その後の第二ステップで、各指標値の値が使用する算出式の各項値としてあてはめられることで、他人評価による参照危惧値が算出され、前記本人評価による危惧値と紐づけて記憶される。
【0041】
本人評価によるだけでなく他人評価による指標値を参照値として記憶しておき、本人評価の算出危惧値だけでなく、第三者から算出された参照危惧値を記憶しておき、第四ステップにおいて本人評価の危惧値の表示と共に参照危惧値をギャップ機能として表示することで、客観的な第三者評価による値を参照することができる。
【0042】
なお、追加処理として、第四ステップによる危惧表示において、参照危惧値による表示を追加表示すること、或いは、本人評価による危惧値と参照危惧値との差(開きの大きさ)の傾向を、属性値の傾向毎に統計化することができる。本人評価による選択テストは、テストを受験する候補者が恣意的にテスト結果を調整した場合、本来のテスト入力結果と誤差が生じるところ、第三者によるテスト入力に基づく結果を参照することで、誤差の範囲による検出結果の違いを認識することが可能となる。すなわち参照表示によって、本システムの危惧者の検出による対象者へのアラートを、より客観的に行うことができる。
【0043】
(ギャップ機能(第三者評価)の活用例)
本人(田中太郎)が思う本人のGf,Gs,Gwm,
‘GRIT’,E,O,N,‘C’,Aに基づく危惧値(本人評価による危惧値)
第三者から見た本人の‘GRIT’,E,O,N,‘C’,Aに基づく参照危惧値
上記2種類の危惧値と過去のデータとを比較し、
比較式
(田中太郎の指標 - 過去データ)の2乗の総和の平方根を、調整危惧値として算出する。
【0044】
本人評価による危惧値に加えて、上記の調整危惧値を併表示することもできる。また第二ステップの算出式として、第三者評価に相関した相関係数を乗じた新たな加算項として加えた式を設定することもできる。
【0045】
(動向の種類)
本システムで用いる動向の危惧者検出は、将来の成績低下の動向だけでなく、将来の交友関係変化の動向、あるいは将来の就職先又は就業後の離職の動向といった、1又は複数の動向を選択して、或いは組み合わせて用いることができる。この場合、各動向に対応したIQ,EQ,又はGRITの指標値からなる、異なる算出式の項が予め設定され、各動向を示すデータが蓄積されることで、危惧者検出する動向ごとに異なった危惧値が算出され、異なった出力結果となる。
また動向の設定処理として、成績低下、交友関係悪化、就業後の離職といったネガティブな情報を設定することが好ましいこれらのネガティブな情報はIQ,EQ,GRITの指標値との相関性が比較的顕著であり、また結果の判別が比較的明確であるため、将来の危惧者を予測して示すという本発明の危惧者の検出システムに適している。
【0046】
(各動向の組み合わせ)
例えば、成績低下動向に関する算出式を用いて危惧者を検出する方法と、交友関係動向に関する算出式を用いて危惧者を検出する方法とを組み合わせて用いてもよい。
この場合、第一ステップは各動向の危惧者検出方法に共通するテストを用いることで、各動向毎に繰り返すことなく一度のみの実施にすることができる。
また前記の場合、第四ステップもまた、各動向の検出危惧者表示を組み合わせて行うことで、各動向毎に繰り返すことなく一度のみの実施にすることができる。
【0047】
(各動向の組み合わせによる危惧者算出方法)
具体的には、各動向の組み合わせによる危惧者算出方法は、
成績低下動向に関する蓄積及び調整ステップと、
交友関係悪化動向に関する蓄積及び調整ステップと、
各動向に共通する第一ステップと、を任意の順番で行い、
成績低下動向に関する第二~第三ステップと、
交友関係悪化動向に関する第二~第三ステップとを行い、次いで、
各動向に共通する第四ステップを行うことによる。
【0048】
この場合の第四ステップとして例えば図に示すように、成績低下動向の第一危惧者及び第二危惧者を特定の第一位置又は第一記号(図示例では左側)で色分けして示すと共に、交友関係悪化動向の第一危惧者及び第二危惧者を、前記第一位置または第一記号と異なる特定の第二位置又は第二記号(図示例では右側)に色分けして示すことができる。
【0049】
(入力されるデータ)
蓄積ステップにおいて入力されるデータは、論文として公表され又は塾、学校などの成績管理機関によって蓄積された、過去のテスト試行者の成績低下動向又は交友関係悪化動向(成績低下又は交友関係悪化を示す各時点の数値)と、前記いずれかの動向を示す前後の各時点における、当該テスト試行者の各指標値の値とからなる。
【0050】
(調整ステップ)
複数のテスト試行者において重回帰分析を行うことで、成績低下動向又は交友関係悪化動向と、各動向前後の選択された各指標値との相関性が導出される。
【0051】
調整ステップにおいては、蓄積ステップによって入力され蓄積された、論文及び学習機関の実績資料のデータを用いて、IQ指標値並びにEQ指標値と成績低下との相関性データを統合し、重回帰分析によって、成績低下動向に関する算出式の各項の係数を調整する。
【0052】
特に、「IQ指標値の項とEQ指標値の項からなる多項式」を危惧値の算出式とし、これに属性項することで、将来(数か月後又は数週間後)の成績の低下動向を予測することができる。
【0053】
(第三ステップ)
今回の危惧者算出方法として入力された任意の条件が入力された後、第三ステップが行われる。例えば、所属制度すべてを候補者として第一ステップが実施された「学習機関A」の、「中学三年生」「Sクラス」といった任意の条件が入力された場合、当該条件「学習機関A」「中学三年生」「Sクラス」の全てを満たす対象者のみが抽出される。
【0054】
この第三ステップにおいては、サーバに蓄積記憶された、各候補者の算出式及危惧値のデータから、今回の危惧者算出方法として入力された任意の条件を満たした対象者を抽出する。抽出の際に危惧値に付属した加算項を確認することで、任意の条件抽出することができる。
【0055】
(第四ステップ)
第四ステップでは、あらかじめ閾値として設定された所定割合未満又は所定割合以下の対象者を検出者として識別表示する。例えば0%~10%以下に属する対象者を危惧性の高い第一危惧者として赤色で表示し、10%を超えて15%以下に属する対象者を若干の危惧性がある第二危惧者として黄色で表示する。
【0056】
(発明の特徴及び作用)
本発明は、成績動向又は交友関係悪化動向を示す算出式として、IQ指標、EQ指標、GRITから選択された多項式が基本項として設定されており、この算定式の基本項は、一定期間ごとに入力されるデータによって、相関する動向と比較した重回帰分析がなされる。そして、データの追加入力ごとに、各動向の目的式における属性の加算項の係数が自動調整され、最新の算出式に自動更新される。特に重回帰分析の係数調整において、EQの指標値とIQの指標値とを組合せ、さらにGRITの指標値を組み合わせることで、単なる成績変化だけでなく受験又は交友関係の変化に基づいた対象者の知能指標を考慮した、客観的な検出システムとなっている。
【0057】
例えば、IQ測定で‘GF’(流動性知能)の値を試験し、EQ測定で勤勉性(‘C’)、‘GRIT’(やり抜く力)の値を試験する。この場合、危惧値FVの算出式は
(式5)
FV=αGF+β‘C’+γ‘GRIT’ となる。(α、β、γは調整係数。)
性別Sx、学年Gd、国籍Ntの項を加算すると、
FV=αGF+β‘C’+γ‘GRIT’+δSx+εGd+fNt となる。
(α、β、γ、・・・は調整係数。)
【0058】
また算出式の対象者の属性(国籍、学年、男女、学校、塾、親との年齢差)の項を追加の加算項とすることで、データ毎に複数の属性タグを付加する必要がなく、処理データの格納及び蓄積、並びに検出条件ごとの抽出が容易になっている。
【0059】
また本発明は、対象者グループの下位0-10%、10-15%のパーセンタイルに含まれる対象者を「危惧者(第一危惧者)」及び「準危惧者(第二危惧者)」として、危惧性に差を設けて抽出している。
【0060】
将来動向の結果が比較的明確な、成績低下、交友関係悪化、或いは離職率といったネガティブデータを係数調整のための入力相関値として用いており、また、悪化予測危惧者へのアラートとして用いることで、不確実な将来の動向の予測を実質的に悪化方向にのみ絞ることができる。
【0061】
また本発明は、一対象者の危惧値を、本人以外の被験者(母親、父親、担任教諭等)による試験結果から再算出して、参照値として表示または再処理として用いている。
例えば、元の算出値と再算出値との隔たりが閾値以上の場合は、隔たりの大きさに応じて修正した値を危惧値として表示することもできる。
【0062】
例えば、本人以外の被験者の属性(母親、父親、担任教諭等)による試験結果から再算出した値から、対象者グループ下位0-10%、10-15%のパーセンタイルに含まれる対象者を「二次危惧者」「二次準危惧者」として抽出することもできる。
「危惧者」「準危惧者」と「二次危惧者」「二次準危惧者」の重複抽出者を修正結果として抽出し表示することもできる。
これにより、検出結果がより客観性のあるものとなる。また、本人評価に基づく動向と第三者評価に基づく動向を新たな蓄積データの要素として追加蓄積することで、これらの違いによる危惧値の誤差の大きさの傾向を得ることができる。
【0063】
また本発明は、一定期間を開けて対象者試験グループで試験を行い、実際の成績低下との関係のデータを統合して重回帰分析によって係数を再調整することもできる。指導効果の値を追加データとして蓄積することで、将来傾向の表示内容を増やすことも可能となる。
【0064】
例えば、一定期間内にIQ指標、EQ指標の修正指導を行った場合には、指導効果(指導回数と算出値の増減との関係)のデータを蓄積して、IQ指標/EQ指標傾向(‘C’、Gf、‘GRIT’の大小関係)ごとに、改善可能性の値を算出したりその表示を行うことができる。
【0065】
(検査設問について)
第一ステップで用いる検査設問は、IQ,EQ,GRITを導出するための選択式テストからなる。検査設問は端末に表示される。テストを行う候補者の年齢によって問題の一部を可変させており、年齢域ごとに問題を差し替えた複数種類からなる。
具体例として示す図は、ページ1からページ5にわたる設問の例であり、設問番号ごとにGf 検査用、Gc検査用 、Gs検査用、Gwm検査用 といった各指標の設問にカテゴリ化される。
【0066】
(自動調整について)
蓄積ステップで入力されるデータ列は、評価対象の生徒ごとに作成される各入力データからなる。
具体的には、対象生徒の識別コートと、Gf 、Gc、Gs、Gwmの検査値と、成績低下度数と、対象生徒の属性区分が入ったデータになる。
調整ステップでは、蓄積ステップで入力され記憶されたデータが増えると自動的に重回帰分析を行い係数を出し、適用する。
【0067】
(危惧者リストについて)
図に、診断サービスの出力画面(生徒リスト)に至る前の、判断リストのバックグラウンドデータの例(成績危惧スコア、交友危惧スコアのリスト)を示す。図示例では、見ている母集団(1年数学Aクラス、1年英語Bクラスなど)の中の下位25%以内が黄色、更に下位10%以内で赤色として色分け表示されている。
上記のほか、成績危惧スコアの数値が「10点~80点(レッド40点)」に亘ったリストとして全対象者をリスト表示し、また、交友危惧スコアの数値が「5点~90点(レッド35点)」に亘ったリストとして全対象者の交友危惧スコアを切り替え又は併表示するものでもよい。
【0068】
(最終目標の達成確率画面、類似傾向者の就職先提示画面)
図に、最終目標の達成確率画面、類似傾向者の就職先提示画面(田中太郎さんと似た先輩の就職先)を示す。
この画面に至る前には、比較する類似傾向者の類似データ(山田二郎、斎藤花子、鈴木健介さん)のバックグラウンドデータの例として、偏差値、成績危惧スコア、交友危惧スコア、就職先業種、のリストが存在する。これら類似傾向者及び比較する類似傾向者から、偏差値、成績危惧スコア、交友危惧スコアがいずれも誤差+-10%の範囲内にある類似傾向者群を抽出し、当該類似傾向者群の、最終目標達成率を算出して表示する。
また、偏差値、成績危惧スコア、交友危惧スコアの%誤差の絶対値の総和が最も小さい者を最類似傾向者として抽出し、当該最類似傾向者の就職先を提示する。
【0069】
本発明は成績低下、交友関係悪化をはじめとした各種低下動向の危惧者検出システムとして利用できるほか、人を対象とした将来の動向予測システムとして利用することができる。
【0070】
その他、本発明は上記した実施形態に関わらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更、構成の組合せ、順番の組み替え、公知構成への置換が可能である。