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特開2022-105297表面均展剤として有用なポリマー、その製造方法、及びこれを含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105297
(43)【公開日】2022-07-13
(54)【発明の名称】表面均展剤として有用なポリマー、その製造方法、及びこれを含む物品
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/18 20060101AFI20220706BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20220706BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C08G65/18
G03F7/039 601
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209744
(22)【出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】17/139,269
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミンチ・リー
(72)【発明者】
【氏名】イルヴィンダー・カウル
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J005
【Fターム(参考)】
2H197AA01
2H197AA09
2H197AA12
2H197AA43
2H197AA44
2H197CA07
2H197CB01
2H197CC08
2H197JA24
2H225AE07P
2H225AF11P
2H225AF16P
2H225AF22P
2H225AF25P
2H225AF44P
2H225AF53P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AH17
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AL03
2H225AL11
2H225AM66P
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN56P
2H225BA01P
2H225BA29P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB06
2H225CC03
2H225CC15
4J005AA07
4J005BA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表面均展剤として有用なポリマー、その製造方法、及びこれを含む物品の提供。
【解決手段】式(1):

[式中、RがH又はC~Cアルキル基であり、Rが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-、-N-C(O)-、-C(O)-NR-のうちの1つ以上を任意選択的に含有するC~C20アルキル基]の第1の重合単位と、式(2):

[式中、Rが、-O-、-N-、-S-、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~Cアルキル基]の第2の重合単位とを含むコポリマーであって、前記第1の重合単位及び前記第2の重合単位が化学的に異なっている、フッ素を含有しないコポリマーである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[式中、RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基であり、及びRが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-、-N-C(O)-、-C(O)-NR-(RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基である)のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~C20アルキル基である]の第1の重合単位と、
式(2):
【化2】
[式中、Rが、-O-、-N-、-S-、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~Cアルキル基である]の第2の重合単位とを含むコポリマーであって、
前記第1の重合単位及び前記第2の重合単位が化学的に異なっている、フッ素を含有しないコポリマー。
【請求項2】
が分岐構造を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
式(3):
【化3】
[式中、Rが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-、-N-C(O)-、又は-C(O)-NR-(RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基である)のうちの1つ以上で任意選択的に置換され得るC2~C4アルキルである]の第3の重合単位をさらに含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記第1の重合単位が式(1-1)で表され、前記第2の重合単位が式(2-1)で表される請求項3に記載のコポリマーであって、式(4):
【化4】
(式中、Rが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~C20アルキル基である)
【化5】
の第3の重合単位をさらに含むコポリマー。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のコポリマーと、溶媒とを含む組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のコポリマーとマトリックスポリマーとを含む組成物。
【請求項7】
光酸発生剤をさらに含む請求項6に記載の組成物であって、前記マトリックスポリマーが酸分解性基を含む組成物。
【請求項8】
熱酸発生剤をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
架橋剤をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか一項に記載の組成物の層を基材上に適用する工程を含む、コーティング方法。
【請求項11】
請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物の層を基材上に配置する工程と、
前記組成物の層を活性化放射線に露光する工程と、
前記組成物の層を現像してレジストレリーフ画像を提供する工程とを含む、パターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表面均展剤として有用なポリマー、その製造方法及びこれを含む物品が本明細書において開示される。
【背景技術】
【0002】
表面均展剤(SLA)は、薄いフィルム及びコーティング溶液を製造するための組成物において使用される。表面均展剤は典型的に、自由表面(空気に接触する表面)に移動する傾向があり、且つ表面の均展又は表面の平滑化を促進する傾向がある。表面均展剤は一般的に、溶液中の他の分子と比較した場合より低い表面エネルギーを有するポリマー又はオリゴマーを含み、低い表面エネルギーは、低固形分配合量においてもそれらを自由表面に選択的に分離させる。表面に移動するこの能力(すなわち、分子移動度)は、表面/界面層の流動及び均展を促進して、平らな平滑表面/界面を生じさせる。
【0003】
最も一般的な表面均展剤は、ポリシロキサン、アルキル変性アクリルポリマー、ポリエステル又はフルオロカーボンを含有する。良い表面均展剤は、例えば、すぐれた滑り、均展、流動、表面張力の低減、凹み防止能力、フィッシュアイ防止能力、基材湿潤、ベナードセルの形成を防止する傾向、並びに良い気泡安定性などの特性を有する。
【0004】
表面均展剤は、様々なコーティング調合物、例えば、マイクロリソグラフィーを可能にするスピンオン薄フィルムにおいて極めて重要な役割を果たす。ますます増加するパターン化特徴の解像度、アスペクト比及び低欠陥リソグラフィーパターンの必要によって、表面均展剤のための新規な材料を追求する方略が望ましい。
【0005】
欠陥が表面均展剤によって生じる多数の理由がある。これらのいくつかを以下に記載する。大抵の表面均展剤は、ケイ素又はフッ素部分を含有し、高疎水性である。これらの表面均展剤の疎水性の性質は残念なことに、高度フォトレジストパターン化の欠陥の主な原因である。これらの欠陥には、表面欠陥だけでなく、残留物の沈殿、ブリッジング欠陥、パターンが定まらない欠陥などの他のタイプも含まれる。
【0006】
多くのリソグラフィーパターン化プロセスは、湿式塩基現像剤を使用する。これらの塩基現像剤中の不溶性種は不溶解残留物を生じ、それは欠陥を生じる。したがって、あらゆる露光されたレジスト材料が完全に除去可能であること及び欠陥を場合によっては形成し得る不溶解残留物を後に残さないことが望ましい。
【0007】
この問題を克服するために、表面均展剤は、できる限り少ない量でフォトレジスト組成物において使用される。表面均展剤を使用する別の方法は、塩基可溶性単位を含有するか又は塩基でスイッチングできる官能基を含有するように薬剤を改良して溶解度を可能にすることである。言い換えれば、フォトレジスト組成物において使用するために、フッ素及び/又はケイ素部分を含有する表面均展剤を特別に改良することが望ましい。
【0008】
フッ素を含有する表面均展剤の別の問題は、規制問題である。政府規制は、利用度を最低限に抑えたフッ素含有製品を求めている。
【0009】
したがって、リソグラフィー又はコーティング用途のための組成物において使用することができ且つフルオロカーボンを含有せず、得られた物品中に欠陥を生じない良い表面均展特性を提供する表面均展剤を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
式(1):
【化1】
[式中、RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基であり、及びRが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-、-N-C(O)-、-C(O)-NR-(RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基である)のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~C20アルキル基である]の第1の重合単位と、
式(2):
【化2】
[式中、Rが、-O-、-N-、-S-、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~Cアルキル基である]の第2の重合単位とを含むコポリマーであって、第1の重合単位及び第2の重合単位が化学的に異なっている、フッ素を含有しないコポリマーが本明細書において開示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「酸に不安定な基」は、結合が酸の触媒作用により、任意選択で典型的には熱処理によって切断され、ポリマーに形成される、カルボン酸又はアルコール基などの極性基をもたらす基を指し、任意選択で典型的には切断された結合に接続された部位がポリマーから切り離されるようになる。このような酸は、典型的には、露光後のベーク中に結合が切断される光生成酸である。適切な酸に不安定な基は、例えば、3級アルキルエステル基、2級又は3級アリールエステル基、アルキル及びアリール基の組合せを有する2級又は3級エステル基、3級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基を含む。酸不安定基は、当技術分野では、一般に「酸開裂性基」、「酸開裂性保護基」、「酸に不安定な保護基」、「酸で脱離する基」、「酸に不安定な基」及び「酸に感受性である基」とも呼ばれる。
【0013】
「置換」とは、指定された原子の通常の原子価を超えない限り、基における少なくとも1つの水素原子が別の原子又は基に置き換えられることを意味する。置換基がオキソ(即ち=O)である場合、炭素原子における2つの水素が置き換えられている。置換基又は変数の組合せが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基は、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシ(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はこれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)及びC7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む)、アミド(-C(=O)NR(Rは、水素又はC1~6アルキルである))、カルボキサミド(-CH2C(=O)NR(Rは水素又はC1~6アルキルである))、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、各環は、置換又は無置換芳香族である)を有するC6~12アリール、1~3の分離又は縮合環及び6~18の環炭素原子を有するC7~19アリールアルキル、1~3の分離又は縮合環及び6~18の環炭素原子を有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)-アリール)又はトシル(CHSO-)を含むが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0014】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1つ」を表す。さらに、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1つ」を意味する。
【0015】
用語「アルキル」は、本明細書で用いられる場合、指定数の炭素原子、一般的に1~約12個の炭素原子を有する分岐若しくは直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。本明細書で用いられるような用語C~Cアルキルは、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。他の実施形態には、1~8個の炭素原子、1~4個の炭素原子又は1若しくは2個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、及びC~Cアルキルが含まれる。C~Cアルキルが別の基と併せて本明細書で用いられる場合、例えば、(シクロアルキル)C~Cアルキルでは、示された基、この場合にはシクロアルキルは、単一共有結合(C)によって直接結合しているか、又は指定数の炭素原子、この場合には1、2、3、又は4個の炭素原子を有するアルキル鎖によって結合しているかのどちらかである。アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、3-メチルブチル、t-ブチル、n-ペンチル、及びsec-ペンチルが含まれるが、それらに限定されない。
【0016】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で用いられる場合、炭素環原子のみを有する及び指定数の炭素原子、通常は3~約8個の環炭素原子、又は3~約7個の炭素原子を有する、飽和炭化水素環基を示す。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル並びにノルボルナン若しくはアダマンタンなどの橋架け若しくはケージ化飽和環基が含まれる。
【0017】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で用いられる場合、N、O、及びSから選択される1~約3つのヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である飽和環式基を示す。ヘテロシクロアルキル基は、3~約8個の環原子を有し、より典型的には5~7個の環原子を有する。ヘテロシクロアルキル基の例には、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、及びピロリジニル基が含まれる。ヘテロシクロアルキル基中の窒素は、任意選択的に四級化され得る。
【0018】
本明細書での基及び原子基の引用において、置換されているか又は非置換であるかどうかを明記することなしに基が表示される場合には、その基には、置換基を有さない基及び原子基、並びに置換基を有する基及び原子基の両方が含まれる。例えば、置換されているか又は非置換であるかどうかについて表示されない「アルキル基」には、置換基を有さないアルキル基(非置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)も含まれる。
【0019】
表面活性化学用途、特に、スピンオン薄いフィルムを製造するためのリソグラフィー組成物において使用される表面均展剤が本明細書に開示される。表面均展剤は、鎖の骨格にエーテル結合を有する2つ以上のポリマー単位のコポリマーを含む。この2つ以上のポリマー単位はフッ素を含有しない。任意選択の実施形態において、ポリマーは、ケイ素を含む表面エネルギー低下部分を含有しない。前述のエーテル結合はポリマーの主鎖の一部であるが、コポリマーの主鎖に共有結合しているペンダント基(側鎖)に付加的な機能的連結が存在し得る。実施形態において、これらの側鎖は、炭素-炭素結合だけを含むことができる。別の実施形態において、これらの側鎖は、限定されないが、エーテル、エステル、アミド、スルホネート、ヒドロキシ、チオール、シアノ、アミン、チオール、アルデヒド、カルボキシル、アルキルハロゲン化物、ケトン、アリル、アレニル、ノルボルニル、エチニル、アクリレート、メタクリレート、イタコナ-ト、マレイミド、無水マレイン酸などの他の機能的連結又は官能基に加えて、炭素-炭素結合を含むことができる。言い換えれば、側鎖は、窒素、硫黄、酸素などのヘテロ原子を含有することができる。
【0020】
表面均展剤は、リソグラフィー用途のための組成物において使用され得るだけでなく、良い表面均展及び光沢外観が望ましい他の用途、例えば、コーティング、ペイント、インク、めっき液、医用、耐蝕、及び潤滑技術などにおいても使用され得る。
【0021】
典型的な実施形態において、コポリマーのポリマー単位の少なくとも1つは、鎖の骨格に沿って少なくとも1つのアルキル置換基を有するポリオキセタン(以下にポリアルキルオキセタン)である。ポリオキセタン主鎖は、塩基及び水との混和性を促進する親水性を表面均展剤コポリマーにもたらすが、アルキル側鎖は疎水性をもたらして、表面均展剤を薄いフィルム又はコーティングの界面へ移動させる。界面は、スピンオン層と空気との間、或いは代わりに、多層フィルムの2つの層の間にあり得る。実施形態において、ポリアルキルオキセタンは、40モルパーセント(モル%)超の量でコポリマー中に存在している。
【0022】
実施形態において、ポリオキセタンコポリマーは、1つ以上の末端官能基を含有することができる。末端官能基は、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミン又はスルホネートを含むことができる。
【0023】
前述のアルキル置換基は直鎖、分岐鎖であり得るか又はO、S、N、Pなどの他の原子、或いは、エーテル、エステル、アミド、イミド、ウレタン又は尿素など、他の機能的連結を任意選択的に含有することができる。また、アルキル置換基は、例えば、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミン又はスルホネートなどの末端官能基を任意選択的に含有することができる。
【0024】
表面均展剤は特定の用途のために疎水性であり得るが、それは他の用途において水又は湿式現像剤と混和性であるように十分に親水性であり得る。表面均展剤にフッ素又はケイ素含有部分が無いことによって欠陥形成を最小にする。フッ素含有部分が無いことによって環境規制を満たす。
【0025】
表面均展剤は好ましくは、2つ以上の異なる繰り返し単位を含むコポリマーである。実施形態において、表面均展剤は、3つ以上の異なった繰り返し単位を含むコポリマーであり得る。コポリマーは、ランダムコポリマー、交互共重合体、ブロックコポリマー、星型ブロックコポリマー、超分岐ポリマー、コームコポリマー、デンドリマー、グラジエントコポリマーなどであり得るが、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーが好ましい。また、ランダムコポリマーとブロックコポリマーとの組合せを表面均展剤において使用することもできる。
【0026】
実施形態において、コポリマーは、式(1):
【化3】
[式中、RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基であり、及びRが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-、-N-C(O)-、-C(O)-NR-(RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基である)のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~C20アルキル基である]の第1の重合単位と、式(2):
【化4】
[式中、Rが、-O-、-N-、-S-、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~Cアルキル基である]の第2の重合単位とを含み、第1の重合単位及び第2の重合単位が化学的に異なっており、コポリマーはフッ素を含有しない。好ましい実施形態において、Rは非置換C~Cアルキルである。
【0027】
が置換されるとき、置換基の鎖長は2個以下の炭素原子を有する。式(2)の親水性ポリマー単位は、界面活性剤均展剤と水又は湿式塩基現像剤との混和性の利点を提供することができる。
【0028】
実施形態において、Rは分岐構造を有する。実施形態において、Rは2つ以上の分岐を有する。
【0029】
実施形態において、表面均展剤は、式(1)の重合単位、式(2)の重合単位を含み、式(3)の更なる重合単位を含む
【化5】
[式中、Rが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-、-N-C(O)-、-C(O)-NR-(式中、RがHであるか又は置換若しくは非置換のC~Cアルキル基である)のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~Cアルキル基である]。
【0030】
上述の実施形態の特定の例として、第1の重合単位が式(1-1)で表され、第2の重合単位が式(2-1)で表され、第3の重合単位が式(4):
【化6】
(式中、Rが、-O-、-S-、-N-、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を任意選択的に含有する置換又は非置換のC~C20アルキル基である)、
【化7】
で表される。
【0031】
式(1)の重合単位の前駆体の例には、3-メチルオキセタン、3-エチルオキセタン、3-プロピルオキセタン、3-ブチルオキセタン、3-ネオペンチルオキセタン、3-ペンチルオキセタン、3-ヘキシルオキセタン、3-(2,2-ジメチルブチル)オキセタン、3-メトキシメチルオキセタン、3-エトキシメチルオキセタン、3-プロポキシメチルオキセタン、3-ブトキシメチルオキセタン、3-ネオペントキシメチルオキセタン、3-ペントキシメチルオキセタン、3-へキソキシメチルオキセタン、3-(2,2-ジメチルブトキシ)オキセタン、3-メトキシエチルオキセタン、3-エトキシエチルオキセタン、3-プロポキシエチルオキセタン、3-ブトキシエチルオキセタン、3-ネオペントキシエチルオキセタン、3-ペントキシエチルオキセタン、3-へキソキシエチルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-ブチルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-ペンチルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-ネオペンチルオキセタン、3-ブチルオキシメチル-3-ヘキシルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチル-オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチル-オキセタン、3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-(1-メチルエチル)-オキセタン、又はそれらの組合せが含まれる。
【0032】
式(2)の重合単位の前駆体の例には、ホルムアルデヒド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組合せが含まれる。
【0033】
式(3)の重合単位の前駆体の例には、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はそれらの組合せが含まれる。
【0034】
式(1)の重合単位の好ましい前駆体は3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタンであり、式(2)の重合単位の好ましい前駆体はテトラヒドロフランである。式(3)の重合単位の好ましい前駆体は2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールである。
【0035】
表面均展剤は、1モル当たり500~30,000グラム(g/モル)、好ましくは800~12,000g/モル、より好ましくは1000~10,000g/モルの重量平均分子量を有することができる。
【0036】
式(1)の重合単位は典型的に、コポリマー中の全モル数を基準として、40モル%超、好ましくは50モル%超及びより好ましくは60モル%超の量でコポリマー中に存在している。式(1)の重合単位は、コポリマー中の全モル数を基準として、80モル%未満、好ましくは75モル%未満及びより好ましくは70モル%超の量でコポリマー中に存在している。
【0037】
実施形態において、式(2)の重合単位は、コポリマー中の全モル数を基準として、20モル%超、好ましくは25モル%超及びより好ましくは70モル%超の量でコポリマー中に存在している。実施形態において、式(2)の重合単位は、コポリマー中の全モル数を基準として、60モル%未満、好ましくは50モル%未満及びより好ましくは40モル%未満の量でコポリマー中に存在している。
【0038】
実施形態において、式(3)の重合単位は、コポリマー中の全モル数を基準として、0.01モル%以上、好ましくは1モル%以上及びより好ましくは2モル%以上の量でコポリマー中に存在している。実施形態において、式(3)の重合単位は、コポリマー中の全モル数を基準として、20モル%以下、好ましくは15モル%以下及びより好ましくは10モル%以下の量でコポリマー中に存在している。
【0039】
表面均展剤を様々な異なった組成物において使用することができる。実施形態において、リンス調合物として作用する、溶媒又は溶媒混合物だけにおいて表面均展剤を使用することができる。別の実施形態において、マトリックスポリマー、溶媒、及びその他の任意選択の添加剤を含む組成物において表面均展剤を使用することができる。
【0040】
実施形態において、ポリマー母材樹脂、任意選択の失活剤、1つ以上の光酸発生剤、任意選択の添加剤及び溶媒を含有するフォトレジスト組成物において表面均展剤を使用することができる。マトリックスポリマーは好ましくは、酸不安定基を含有する及び/又は架橋性官能基を含有する少なくとも1つの繰り返し単位を含有するコポリマーである。使用される場合、表面均展剤は、組成物の全固形分に基づいて0.001~100重量%、より好ましくは0.001~1重量%の量で存在している。
【0041】
別の実施形態において、表面均展剤に加えて、マトリックスポリマー、光酸発生剤、任意選択の失活剤、溶媒、及びその他の任意選択の添加剤を含有するフォトレジスト組成物において表面均展剤を使用することができる。
【0042】
別の実施形態において、表面均展剤に加えて、マトリックスポリマー、少なくとも1つの熱的活性化酸発生剤、及び溶媒を含有する組成物において表面均展剤を使用することができる。限定されないが、架橋剤などの他の任意選択の添加剤を組成物に添加することができる。熱的活性化酸発生剤を含有する組成物の例は、反射防止コーティング組成物、トップコート、フォトレジストトリミング又はパターン強化組成物、及びその他の下層組成物であり得る。
【0043】
前述の組成物において使用されるポリマーマトリックスは、熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリマーのブレンド、熱硬化性ポリマー、又は熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーとのブレンドを含むことができる。また、ポリマーマトリックスは、ポリマーのブレンド、コポリマー、ターポリマー、又は前述のポリマーの少なくとも1つの組合せを含むことができる。また、ポリマーマトリックスは、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、交互共重合体、ランダムポリマー、ランダムコポリマー、ランダムブロックコポリマー、グラジエントコポリマー、グラフトコポリマー、星型ブロックコポリマー、デンドリマー、高分子電解質(電解質を含有する、いくつかの繰り返し基を有するポリマー)、高分子両性電解質(カチオン繰り返し基及びアニオン繰り返し基の両方を有する高分子電解質)、イオノマーなど、又はそれらの組合せを含むことができる。コポリマーは、溶質分子として、マイクロ粒子の形態で、或いは溶媒又は溶媒混合物中のナノ粒子分散体又は懸濁液の形態で利用可能であり得る。
【0044】
熱可塑性ポリマーの例には、ポリアセタール、ポリジエン、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリアルキド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレート、ポリウレタン、エポキシ、フェノール類、シリコーン、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンゾキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジノフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール、ポリピラジノキノキサリン、ポリピロメリットイミド、ポリキノキサリン、ポリベンゾイミダゾール、ポリオキシンドール、ポリオキソイソインドリン、ポリジオキソイソインドリン、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリジン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリカルボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタリド、ポリアセタール、ポリ酸無水物、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリ尿素、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリシロキサンなど、又はそれらの組合せが含まれる。
【0045】
熱硬化性ポリマーの例には、エポキシポリマー、不飽和ポリエステルポリマー、ポリイミドポリマー、ビスマレイミドポリマー、ビスマレイミドトリアジンポリマー、シアネートエステルポリマー、ビニルポリマー、ベンゾオキサジンポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー、アクリル樹脂、アルキド、フェノール-ホルムアルデヒドポリマー、ノボラック、レゾール、メラミン-ホルムアルデヒドポリマー、尿素-ホルムアルデヒドポリマー、ヒドロキシメチルフラン、イソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、不飽和ポリエステルイミドなど、又はそれらの組合せが含まれる。組成物は、熱硬化性ポリマーの形成を促進するための架橋剤を含むことができる。架橋剤は、自己架橋性であり得、酸又は塩基活性化架橋剤、フリーラジカル架橋剤、又はそれらの組合せであり得る。
【0046】
適切な溶媒は、例えば、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール及び4-メチル-2-ペンタノールなどのアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソールなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ-ブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)などのケトン、酢酸エチル、n-酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチルなどのエステル、γ-ブチロラクトン(GBL)及びε-カプロラクトンなどのラクトン、N-メチルピロリドンなどのラクタム、アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート及びプロピレンカーボネートなどの環状又は非環状カーボネートエステル、ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒、水及びこれらの組合せを含む。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO及びこれらの組合せである。組成物中の総溶媒含量(即ち全ての溶媒の累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として典型的には40~99重量%、例えば70~99重量%又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされたフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存する。
【0047】
組成物は最初に、マトリックスポリマー、表面均展剤並びに任意の他の固体成分及び任意選択の添加剤を溶媒と一緒に混合することによって製造される。組成物は、使用される前に、濾過、イオン交換などの追加のプロセスに供することができる。組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング又は他のコーティング方法によって基材に塗布することができる。基材は、電子デバイス基材、金属、木材、紙、ポリマー基材又は基層を含むことができる。コーティング溶液の固形分を変化させて、可変厚さのフィルムを提供することができる。また、固形分は、利用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転に使用される時間量に基づくことができる。実施形態において、組成物の層を一回の塗布で塗布することができる。別の実施形態において、組成物の層を複数回の塗布で塗布することができる。
【0048】
特定のコーティング組成物に応じて、(基材上に配置される)組成物の層をソフトベークしてフィルム中の溶媒含有量を最小にすることが有益であり得る。ソフトベークは、不粘着性コーティングの形成を促進し、基板への組成物層の接着性を改良する。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、或いは代わりに紫外線を用いて又はレーザーを用いて行ってもよい。
【0049】
フォトレジスト組成物の場合、次いで、直接描画又は接触によって或いは光干渉を用いて生じたパターンによって層をパターン通りに露光してフォトマスクを介しての照射を可能にし、露光領域と非露光領域との間で溶解度の差を生じさせることができる。この照射は、層中に潜像を形成する。フォトマスクは、活性化放射線によって露光されるか又は露光されない組成物の層の領域に対応する光学透明な領域及び光学不透明領域を有する。
【0050】
組成物の層は、その後で現像してレジストレリーフ画像を提供する後露光ベークプロセスを任意選択的に受けることができる。実施形態において、アルカリ性現像液を用いて、組成物の層の露光された部分を除去する。アルカリ性現像液の例には、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの水溶液が含まれる。露光部分は、孔(例えば、接触、ビア若しくはバンプパターン)又は溝(例えば、ライン-スペース)パターンなどのパターンを形成することができる。
【0051】
一実施形態において、表面均展剤は、水及び湿式現像剤と混和性であるので、有利である。別の実施形態において、表面均展剤は、適切なレベルの疎水性を示し、水及び湿式現像剤と混和性ではなく、それが表面均展剤を有機溶媒現像剤と混和性にする。それはフッ素を含有せず、したがって環境に優しい。
【0052】
表面均展剤は、流れ調整を改良するための湿潤剤として使用することができる。これらの特性(表面均展及び湿潤能力)は、良い光学的特性(例えば、高光沢及び画像の十分な明瞭さ)をコーティングに提供する。したがって表面均展剤は多種多様な溶液、ワックス、磨き剤、コーティング、ブレンドなどとブレンドすることができる。実施形態において、床磨き剤調合物、塗装、粉末コーティング組成物などにおいて表面均展剤を使用することができる。
【0053】
本発明は、これから、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例0054】
実施例1
この仮想例は、コポリマー(表面均展剤)において使用されるモノマー繰り返し単位の合成を示すために行われる。コポリマーは、モノマーの1つとして3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタンとテトラヒドロフランと他のモノマーとを使用して製造される。言い換えれば、3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタンはコポリマーの第1のポリマー単位を製造するために使用され、テトラヒドロフランはコポリマーの第2のポリマー単位を製造するために使用される。3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタンモノマーの合成は次の通り行われる。
【化8】
【0055】
鉱油中の50重量パーセント(2.8グラム、58.3mmol)の水素化ナトリウムの分散体をヘキサンで2回洗浄し、35ミリリットルのジメチルホルムアミド中に懸濁する。次に、3.9グラム(52.6mmol)のブタノールを分散体に添加し、混合物を45分間撹拌する。15ミリリットルのジメチルホルムアミド中の10.0グラム(39mmol)の3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタンp-トルエンスルホネートの溶液を添加し、混合物を80℃で20時間加熱し、その際アリコート試料の’H-NMR分析は、出発スルホネートが完全に消費されることを示す。
【0056】
次に、混合物を100ミリリットルの氷水に注ぎ、2容積の塩化メチレンで抽出する。合わせた有機抽出物を水で2回、2重量パーセントの塩酸水溶液、ブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて、1重量パーセント未満のジメチルホルムアミドを含有する油として3-(2,2,2-トリフルオロエトキシメチル)-3-メチルオキセタンを生じる。油を減圧下で蒸留して、解析により高純度3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタンモノマーを生じる。
【0057】
(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル3,3-ジメチルブタノアートモノマーの合成は次の通り行われる。
【化9】
100mLの4首フラスコ内で、10.0gの3,3-ジメチルブタン酸無水物(46.7mmol)、0.6gのジメチルアミノピリジン(4.7mmol)が250mlのジクロロメタン中で溶解される。6.0gの3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(51.4mmol)を氷水浴でゆっくりと添加し、反応物を室温で24時間撹拌しておく。次に、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで一晩乾燥させる。溶媒を除去し、油を減圧下で蒸留して、解析により高純度(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル3,3-ジメチルブタノアートを生じる。
【0058】
実施例2
この仮想例は、表面均展剤として用いられるポリマーの合成を示すために行われる。官能性オキセタン及びテトラヒドロフランを用いてコポリマーを調製する方法は以下に詳細に説明される。
【0059】
400mlのフラスコ(冷却器、熱電対温度プローブ及び機械的攪拌機を取り付けた)に、無水塩化メチレン(100ml)及び1,4-ブタンジオール(2.03g、22.6mmol)を入れる。次に、BFTHF(29.6g、211.7モル)、2,2-ジメチル-l,3-プロパンジオール(22.1g、211.7mmol)を添加し、混合物を10分間撹拌する。次に、無水塩化メチレン(30ml)中の3-ブチルオキシメチル-3-メチルオキセタン(67g。423.4モル)の溶液を5時間にわたって容器内にポンプで送る。反応温度を添加の全体にわたって38~42℃の間に維持する。次に、混合物を(同時に撹拌しながら)さらに2時間の間還流し、その後H-NMRは>98%の変換を示した。反応を10%重炭酸ナトリウム水溶液(200ml)で急冷し、及び有機相を3%HCl水溶液(200ml)及び水(200ml)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒から取り除き、透明な油として(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル3,3-ジメチルブタノアートモノマーを得た。
【0060】
実施例3
この仮想例は、レジスト組成物のレジストコーティング及び現像特性を決定するために行われる。調合物R1~R4(レジスト組成物)及びCR1~CR2(比較のレジスト組成物)を、表1に示される成分及び量で調製する。表1において、括弧内の数字は、それぞれの成分の重量比を示す。C1-2、D1-2、及びS1-2で表される構造を表2で下に示す。表1の全てのポリマーは、この一般的な合成プロトコールに従って調製されることに留意されたい。
【化10】
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
添加剤(C1、C2、D1及びD2)及び溶媒(S1及びS2)の構造はすぐ下に示される。
【化11】
【0064】
ポリマーA1及びA2は、8000g/モルの重量平均分子量を有する。E1は、合成実施例2に説明されるようなポリ3-(2,2,2-トリフルオロエトキシメチル)-3-メチルオキセタンである。
【0065】
E2はPolyFox PF-656であり、それはOmnova Solution Incorporation製の商用材料である。
【化12】
【0066】
表2に示される成分を使用して各調合物を製造し、一晩(撹拌によって)一緒に混合し、次に0.2マイクロメートルのフィルターを通過させ、ウェハー上にスピンコートし、次いで線量の増加と共に焦点を増加させながらASML1100スキャナー下で65nm/130nmピッチ線/スペースのパターンに露光し、次に60秒間100℃で後露光ベーク(PEB)する。PEBの後、ウェハーを12秒間0.26NのTMAH湿式現像剤中で現像し、蒸留水ですすぎ、及び回転乾燥させる。
【0067】
コーティング欠陥の評価は、上記の組成物のスピンコートされたウェハー上で行われる。組成物をヘキサメチルジシラザン(HDMS)プライマー処理シリコンウェハー上にスピンコートした後、計測はHitachi CG4000 CD-SEM及びSP2ツール評価で行われる。欠陥の総数及び曇り値を比較のために測定する。
【0068】
パターン化の欠陥を評価するために、液浸リソグラフィーは、1.3NA(開口数)、0.86/0.61内部/外部シグマ、及び35Y偏光のダイポール照明でTEL Lithius 300mmウェハートラック及びASML 1900i液浸スキャナーを用いて実行した。フォトリソグラフィー試験用のウェハーは、800Å AR40A下部反射防止コーティング(BARC)でコーティングし、205℃で60秒間硬化する。AR40A層に渡り、175℃/60秒の硬化を使用して400ÅのAR104BARCをコーティングする。BARCスタックに渡り、90℃/60秒のソフトベークを使用して900Åのフォトレジストをコーティングする。ウェハーは、焦点を上げ線量を上げて55nm/110nmピッチの線/スペースのパターンに露光され、次いで100℃/60秒で後露光ベーク(PEB)される。PEBに続き、ウェハーを0.26NのTMAH湿式現像剤で12秒間現像し、蒸留水ですすぎ、回転乾燥した。次に、計測をHitachi CG4000 CD-SEMで実施し、欠陥数を比較のために計算する。
【0069】
本発明で説明される表面均展剤を有利に使用して、多数のコーティング及びパターン化の欠陥を含まないフォトレジスト組成物を製造することができることが予想される。