(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105327
(43)【公開日】2022-07-13
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20220706BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220706BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20220706BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 503A
G03F7/004 501
G03F7/40 521
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021215365
(22)【出願日】2021-12-29
(31)【優先権主張番号】63/132,686
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(71)【出願人】
【識別番号】592165510
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 満
(72)【発明者】
【氏名】ミンチ・リー
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA11
2H196CA05
2H196DA01
2H196EA02
2H196FA01
2H196GA08
2H196HA27
2H196JA04
2H197CA02
2H197CA03
2H197CA05
2H197CE10
2H197HA03
2H197JA22
2H225AF83P
2H225AH03
2H225AH04
2H225AH12
2H225AH13
2H225AH19
2H225AJ04
2H225AJ13
2H225AJ44
2H225AJ48
2H225AJ60
2H225AL03
2H225AL22
2H225AL27
2H225AN39P
2H225AN54P
2H225AN82P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB06
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フォトレジスト組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】本明細書で、(a)フォトレジスト組成物の層を半導体基板一面に塗布する工程と;(b)フォトレジスト組成物層をi線放射線にパターン様露光する工程と;(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ画像を提供する工程とを含む、パターン形成方法であって;フォトレジスト組成物が、非イオン性光酸発生剤;溶媒;第1ポリマー及び第2ポリマーを含み;並びに第1ポリマーが高分子色素を含む方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フォトレジスト組成物の層を基板一面に塗布する工程と、
(b)前記フォトレジスト組成物層をi線放射線にパターン様露光する工程と;
(c)前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ画像を提供する工程と
含む、パターン形成方法であって、
前記フォトレジスト組成物が、
非イオン性光酸発生剤;
溶媒;
式(1)の第1重合単位、式(2)の第2重合単位;及び式(3)の第3重合単位:
【化1】
(式中、aは、1~5の整数であり、Z
3は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基であり、Z及びR
5は、独立して、水素原子、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4フルオロアルキル、又はシアノから選択され;Z
1は、その開裂がポリマー上にカルボン酸を形成する、酸不安定基を含む非水素置換基であり;Lは二価の連結基であり;Ar
1は、置換若しくは無置換アントラセン基である)
を含む第1ポリマー(ここで、前記第1ポリマーは、前記フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、0.1~10重量%の量で前記フォトレジスト組成物中に存在する);並びに
式(4)
【化2】
(式中、bは、1~5の整数であり、Z
4は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
の第1重合単位;及び酸不安定基を含むモノマーの第2重合単位を含む第2ポリマー(ここで、前記第2ポリマーは、式(3)重合単位を含まず;前記フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、10~99重量%の量で前記フォトレジスト組成物中に存在する)
を含む方法。
【請求項2】
式(2)の前記第2重合単位の前記酸不安定基は、三級エステル基又はアセタール基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ポリマーの前記第3重合単位は、式(3a)
【化3】
(式中、各R
4は、水素、ハロゲン、1~約12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキル;1~約12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルコキシ;2~約12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルケニル;2~約12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキニル;1~約12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキルチオ;シアノ;ニトロ;アミノ;又はヒドロキシルから選択され;mは、0~9の整数であり、R
5は、水素原子、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4フルオロアルキル及びシアノ基から選択され;Lは、二価の連結基である)
によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(1)の前記第1重合単位は、ポリヒドロキシスチレンを含み、式(2)の前記第2重合単位は、三級アルキルエステルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2ポリマーは、前記第1ポリマーよりも高い平均分子量を有し、前記第2ポリマーは、5,000g/モル~50,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1ポリマーは、ポリヒドロキシスチレン、酸不安定基を有するエチレン性不飽和アクリルエステルに由来するポリマー及び構造:
【化4】
(式中、R
5は水素である)
を有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1ポリマーは、式(4)
【化5】
(式中、コポリマーの総モルを基準として、lは、40~75モル%であり、mは、8~16モル%であり、nは、5~30モル%である)
の構造を有し、前記第1ポリマーの重量平均分子量は、1分子当たり5,000~15,000グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2ポリマーは、式(8)、(9)、(10)、(11)又は(12)
【化6】
(ここで、式(8)において、oは、40~90モル%であり、pは、10~60モル%である)
【化7】
【化8】
【化9】
(ここで、式(9)~(12)において、oは、50~85モル%であり、pは、5~30モル%であり、qは、10~25モル%である)
の構造を有するコポリマーであり;ここで、全モル百分率は、前記第2ポリマーの総モル含有量を基準としている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光酸発生剤は、式(13)
【化10】
(ここで、式(13)において、R
4は、置換若しくは無置換の、線状若しくは分岐C
1~C
14アルキル基、置換複素環、又はハロゲン原子であり;R
5は、1~18個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキル基;ハロゲン原子、又は6~20個の無置換炭素原子を有するアリール基であり;xは、0~6の整数である)
に示される構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト組成物は、塩基クエンチャーを更に含み、前記塩基クエンチャーは、N,N-ジエチルドデカンアミド、2,8-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン及び1,1-ジメチルエチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2ポリマーの前記酸不安定基は、三級アルキルエステル基又はアセタール基である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2ポリマーの前記酸不安定基含有モノマーは、式(7)の構造を有し、
【化11】
ここで、式(7)において、R
bは、水素、フッ素、置換若しくは無置換C
1~5アルキル、又は置換若しくは無置換C
1~5フルオロアルキルであり;各Aは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸若しくはエステル、チオール、直鎖若しくは分岐C
1~20アルキル、単環式若しくは多環式C
3~20シクロアルキル、単環式若しくは多環式C
3~20フルオロシクロアルケニル、単環式若しくは多環式C
3~20ヘテロシクロアルキル、単環式若しくは多環式C
6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C
4~20ヘテロアリールであり、それらのそれぞれは、置換又は無置換であり;mは、独立して、0~4の整数であり;
ここで、式(7)において、R
11、R
10、及びR
8は、それぞれ独立して、水素、直鎖若しくは分岐C
1~20アルキル、直鎖若しくは分岐C
1~20ヘテロアルキル、単環式若しくは多環式C
3~20シクロアルキル、単環式若しくは多環式C
3~20ヘテロシクロアルキル、単環式若しくは多環式C
6~20アリール、C
7~20アリールオキシアルキル、又は単環式若しくは多環式C
4~20ヘテロアリールであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり、並びにここで、R
11、R
10、及びR
8の任意の2つは、一緒に任意選択的に、環を形成し得;
ここで、式(7)において、R
7は、水素、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C
1~20アルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~14アリール、置換若しくは無置換C
3~14ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
7~18アリールアルキル、置換若しくは無置換C
4~18ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
1~12ヘテロアルキルであり;並びにここで、式(7)において、R
9は、水素、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C
1~20アルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~14アリール、置換若しくは無置換C
3~14ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
7~18アリールアルキル、置換若しくは無置換C
4~18ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
1~12ヘテロアルキルであり;並びにここで、R
7及びR
9は、結合して環を形成することができ、R
7、R
9のいずれか1つは、R
8、R
10又はR
11のいずれかと結合して環を形成することができる、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2ポリマーの前記酸不安定基は、三級アルキルエステルであり、前記第2ポリマーは、アセタール基を含むモノマーの第3重合単位を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒は有機系溶媒であり、前記基板は金属層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記フォトレジスト組成物の前記層は、前記金属層上に配置され、前記金属層を金属めっき液に浸漬する工程及び前記フォトレジスト組成物の露出部分の前記金属層上に金属を溶着させる工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フォトレジスト組成物の前記層は、1~50ミクロンの厚さにスピンコーティングによって1回の塗布でコートされる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォトレジスト組成物及びパターン形成方法に関する。より具体的には、フォトレジスト組成物は、電子産業において半導体デバイスの製造に特に適用可能である。特に、本開示は、アントラセン発色団を有するポリマーを含むフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、半導体基板上に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下位層に画像を転写するために使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高める及びナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像度性能を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィー処理ツールが開発されてきたし、開発され続けている。
【0003】
化学増幅(CA)フォトレジストが、従来、高解像度処理のために使用されている。そのようなレジストは、典型的には、酸不安定基を有するポリマー及び光酸発生剤を用いる。フォトマスクを通しての活性化放射線へのパターン様露光は、酸発生剤に酸を形成させ、それは、露光後ベーキング中に、ポリマーの露光領域において酸不安定基の開裂を引き起こす。これは、現像液におけるレジストの露光領域と非露光領域との間の溶解度特性に差を生み出す。ポジ型現像(PTD)プロセスにおいて、フォトレジスト層の露光領域は現像液に可溶になり、基板表面から除去されるが、現像液に不溶性である非露光領域は、現像後に残ってポジ画像を形成する。
【0004】
厚い層レジストの実質的な要求は、最近、包装産業が成長し続けるにつれて増加している。そのような用途は、10μm~おおよそ100μmの範囲の厚さのレジストコーティングを使用する。これらの用途に用いられる露光ツールは、i線(365ナノメートル(nm))及びより長い波長放射線(g-h線)を用いる。
【0005】
厚い層レジストについて、オーバーハングを最小限にすることが望ましい。オーバーハングプロファイルは、側壁角が90°(度)よりも大きいものである。言い換えれば、走査電子顕微鏡横断面画像を用いてフォトレジストパターンの表面及び底面で幅が比較される場合に、表面での幅が底部でのそれよりも狭い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Griffin et al,A Simple Phase Transition Model for Metal Passivation Kinetics,J.Electrochem.Soc.,vol.131,No.1,pages 18-21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
より速い感受性及び減少したオーバーハングを示すフォトレジスト組成物を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で、(a)フォトレジスト組成物の層を半導体基板一面に塗布する工程と、(b)フォトレジスト組成物層をi線放射線にパターン様露光する工程と;(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ画像を提供する工程とを含む、パターン形成方法であって;フォトレジスト組成物が、非イオン性光酸発生剤;溶媒;式(1)の第1重合単位、式(2)の第2重合単位;及び式(3)の第3重合単位:
【化1】
(式中、aは、1~5であり、Z
3は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基であり、Z及びR
5は、独立して、水素原子、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4フルオロアルキル、又はシアノ基から選択され;Z
1は、その開裂がポリマー上にカルボン酸を形成する、酸不安定基を含む非水素置換基であり;Lは二価の連結基であり;Ar
1は、置換若しくは無置換アントラセン基である)
を含む第1ポリマー(ここで、第1ポリマーは、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、0.1~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する);並びに式(4)
【化2】
(式中、bは、1~5であり、Z
3は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
の第1重合単位;及び酸不安定基を含むモノマーの第2重合単位を含む第2ポリマー(ここで、第2ポリマーは、式(3)重合単位を含まず;フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、10~99重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する)
を含む方法が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】非露光領域における膜損失(ダーク侵食)を表すグラフである。
【
図1B】高分子色素(第1ポリマー)ローディングの関数としての感受性(E
op)シフトを表すグラフである。
【
図2】第1ポリマー(アントラセン置換基を含有する)の添加がi線波長(365nm)でのフォトレジストの吸光度(Abs)を増加させることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で用いられる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0011】
本明細書で用いられる場合、「酸不安定基」は、結合が、酸の触媒作用によって、任意選択的に及び典型的に熱処理で開裂され、ポリマー上に形成される、カルボン酸又はアルコール基などの、極性基をもたらす基を指し、任意選択的に及び典型的に開裂された結合に接続した部分は、ポリマーから切り離される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーキング中に結合開裂が起こる光発生酸である。好適な酸不安定基には、例えば:三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基が含まれる。酸不安定基は、当技術分野において一般に、「酸開裂可能な基」、「酸開裂可能な保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸不安定基」、及び「酸感受性基」とも言われる。
【0012】
「置換」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1個の水素原子が別の原子又は基に置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、炭素原子上の2個の水素が置き換えられている。置換基又は変数の組合せが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基には、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシ(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH2)、モノ-若しくはジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそれらのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)及びC7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート、及びラクトンを含む);アミド(-C(=O)NR2(ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである))、カルボキサミド(-CH2C(=O)NR2(ここで、Rは、水素又はC1~6アルキルである))、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環を有するC6~12アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル等、各環は、置換又は無置換のいずれかの芳香族である)、1~3つの別個の環又は縮合環及び6~18個の環炭素原子を有するC7~19アリールアルキル、1~3つの別個の環又は縮合環及び6~18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)2-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)、又はトシル(CH3C6H4SO2-)が含まれるが、それらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CH2CH2CNは、シアノ基で置換されたC2アルキル基である。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1つ」を表す。加えて、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1つ」を意味する。
【0014】
用語「アルキル」は、本明細書で用いられる場合、指定数の炭素原子、一般に1~約12個の炭素原子を有する分岐若しくは直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。本明細書で用いられるような用語C1~C6アルキルは、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。他の実施形態には、1~8個の炭素原子、1~4個の炭素原子又は1若しくは2個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、C1~C6アルキル、C1~C4アルキル、及びC1~C2アルキルが含まれる。C0~Cnアルキルが別の基と併せて本明細書で用いられる場合、例えば、(シクロアルキル)C0~C4アルキルでは、示された基、この場合にはシクロアルキルは、シングル共有結合(C0)によって直接結合しているか、指定数の炭素原子、この場合には1、2、3、又は4個の炭素原子を有するアルキル鎖によって結合しているかのどちらかである。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、3-メチルブチル、t-ブチル、n-ペンチル、及びsec-ペンチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で用いられる場合、炭素環原子のみを有する及び指定数の炭素原子、通常は3~約8個の環炭素原子、又は3~約7個の炭素原子を有する、飽和炭化水素環基を示す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル並びにノルボルナン若しくはアダマンタンなどの橋架け若しくはケージ化飽和環基が挙げられる。
【0016】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で用いられる場合、N、O、及びSから選択される1~約3つのヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である飽和環式基を示す。ヘテロシクロアルキル基は、3~約8個の環原子を有し、より典型的には5~7個の環原子を有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、及びピロリジニル基が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基中の窒素は、任意選択的に四級化され得る。
【0017】
本明細書での基及び原子基の引用において、置換されているか無置換であるかどうかを明記することなしに基が表示される場合には、その基には、置換基を有さない基及び原子基、並びに置換基を有する基及び原子基の両方が含まれる。例えば、置換されているか無置換であるかどうかについて表示されていない「アルキル基」には、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)も含まれる。
【0018】
用語「アリール」は、本明細書で用いられる場合、1つの芳香環若しくは複数の芳香環中に炭素のみを含有する芳香族基を意味する。典型的なアリール基は、1~3つの別個の、縮合した、又はペンダントの環及び環員としてのヘテロ原子なしの、6~約18個の環原子を含有する。示される場合、そのようなアリール基は、炭素又は非炭素原子又は基で更に置換され得る。二環式アリール基は、炭素又は非炭素原子又は基で更に置換され得る。二環式アリール基は、2つの縮合芳香環(ナフチル)、又はN、O、及びSから独立して選択される1又は2つのヘテロ原子を任意選択的に含有する5員~7員非芳香族環式基に縮合した芳香族環、例えば、3,4-メチレンジオキシ-フェニル基を含有し得る。アリール基には、例えば、フェニル、1-ナフチル及び2-ナフチルを含む、ナフチル、並びにビフェニルが含まれる。
【0019】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードのいずれかである。
【0020】
本明細書で、非イオン性光酸発生剤と;有機溶媒と第1ビニル芳香族モノマーの第1重合単位、ペンダント酸不安定基を有する第1エチレン性不飽和二重結合の第2重合単位;及び3つの縮合芳香環を有する置換若しくは無置換芳香族基を有するエチレン性不飽和二重結合の第3重合単位を含む第1ポリマーと;第2ビニル芳香族モノマーの第1重合単位及びペンダント酸不安定基を有する第2エチレン性不飽和二重結合の重合単位を含む第2ポリマーとを含むフォトレジスト組成物が開示される。
【0021】
本明細書で、フォトレジスト組成物の製造及び使用方法もまた開示される。フォトレジスト組成物は、光酸発生剤と、第1ポリマーと第2ポリマーとを溶媒中でブレンドすることによって製造される。フォトレジスト組成物は、任意選択的に濾過する又はイオン交換樹脂を通過させることができよう。フォトレジスト組成物の層(例えば、膜)は、次いで、半導体基板上に塗布される。フォトレジスト組成物層は、パターン様にi線放射線に露光される。露光されたフォトレジスト組成物層は、次いで、現像されてレジストレリーフ画像を提供する。
【0022】
第1ポリマーは、典型的には、3つ以上の異なる繰り返し単位を含むコポリマーである。コポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、スターブロックコポリマー、グラジエントコポリマー等であり得るが、ランダムコポリマーが好ましい。
【0023】
第1モノマーの第1重合単位は、下の式(1):
【化3】
(式中、aは、1~5であり、Z
3は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
で示される構造を有する。好ましい実施形態において、aは1であり、Z
3は水素である。第1ポリマーの第1重合単位はアリール環上でパラ位に配置されたヒドロキシル基を有することが好ましい。第1ポリマーの好ましい第1重合単位は、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)である。
【0024】
第1ポリマーの第1重合単位は、典型的には、第1ポリマー中の総繰り返し単位を基準として、30~90モルパーセント(モル%)、典型的には50~80モル%、55~75モル%、又は63~75モル%の量で第1ポリマー中に存在する。
【0025】
第1ポリマーの第2重合単位は、下の式(2):
【化4】
(式中、Zは、水素原子、置換若しくは無置換C
1~C
4アルキル、置換若しくは無置換C
1~C
4フルオロアルキル又はシアノ基から選択され;Z
1は、その開裂がポリマー上にカルボン酸を形成する、酸不安定基を含む非水素置換基である)
で示される構造を有する。Z及びZ
1に関する追加の詳細は、下に提供される。下の式(2a)及び(2b)において、Zは、Rによって置き換えられている。
【0026】
ある実施形態において、分解時に、ポリマー上にカルボン酸基を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の三級エステル基又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、ここで:R1は、それぞれ独立して、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり、各R1は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基は、一緒に任意選択的に、環を形成し;R2は、独立して、水素、フッ素、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは水素、線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換又は無置換であり、各R2は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基は、一緒に任意選択的に、環を形成し;R3は、線状C1~20アルキル、分岐C3~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、線状C2~20アルケニル、分岐C3~20アルケニル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C2~20ヘテロアリール、好ましくは線状C1~6アルキル、分岐C3~6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3~10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり、R3は、任意選択的に、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-、又は-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2は、R3と一緒に任意選択的に環を形成する。そのようなモノマーは、典型的には、ビニル芳香族、(メタ)アクリレート、又はノルボルニルモノマーである。
【0027】
そのような酸不安定基を含む好適なモノマーには、以下の式(2a)及び(2b):
【化5】
(式中:Rは、水素、C
1~4アルキル、又はC
1~4フルオロアルキル、典型的には水素又はメチルであり;R
1、R
2、及びR
3は、上で定義された通りであり;L
1は、少なくとも1個の炭素原子を含む二価の連結基、典型的にはC
1~10アルキレン、例えば、C
1~10線状、C
3~10分岐、若しくはC
3~10環状アルキレン、又はそれらの組合せであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり得、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、若しくはNを含み得;nは、0又は1である)
のモノマーが含まれる。好ましい実施形態において、nは0である。
【0028】
酸不安定基を含む好適なそのようなモノマーには、例えば、下に示される以下の構造:
【化6】
【化7】
【化8】
(式中、Rは、式(2a)及び(2b)において上で定義された通りである)
が含まれる。
【0029】
第1ポリマー中の式(2)の重合単位の総含有量は、第1ポリマーの総モル数を基準とし、典型的には1~65モル%、より典型的には5~50モル%又は5~30モル%である。第2重合単位を形成するのに使用される好ましいモノマーは、tert-ブチルメタクリレートである。
【0030】
第1ポリマーの第3重合単位は、下の式(3)
【化9】
(式中、Lは二価の連結基であり、R
5は、水素原子、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4フルオロアルキル、又はシアノ基から選択され、Ar
1は、置換若しくは無置換アントラセン基である)
で示される構造を有する。二価の連結基の例としては、1~約4個の炭素を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキレンが挙げられる。好ましい実施形態において、二価の連結基は、無置換メチレン基である。
【0031】
ある実施形態において、第3重合単位は、下の式(3a):
【化10】
(式中、Lは二価の連結基であり、R
5は、上で定義された通りであり、各R
4は、独立して、水素、ハロゲン(F、Cl、Br、I);1~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキル;1~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルコキシ;2~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルケニル;2~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキニル;1~約12個の炭素原子を好ましくは有する置換若しくは無置換アルキルチオ;シアノ;ニトロ;アミノ;ヒドロキシルであり得;mは、0(アントラセニル環が完全に水素置換である)~9の整数である)
に示される構造を有する。ある実施形態において、mは、好ましくは0、1又は2である。好ましい実施形態では構造3(a)において、Lは無置換メチレン基であり、mは0である。好ましい第3重合単位は、以下の構造:
【化11】
(式中、R
5は水素である)
を有する。
【0032】
第3重合単位は、典型的には、第1ポリマーの総モル数を基準として、5~30モルパーセント(モル%)、典型的には15~27モル%、より典型的には18~24モル%の量で第1ポリマー中に存在する。典型的には、第1ポリマーは、1分子当たり5,000~15,000グラムの分子量を有する。
【0033】
例示的な実施形態において、第1ポリマーは、式(4)
【化12】
(式中、l、m及びnは、各重合単位のモル含有量を表し、合計100モル%になる)
に示される構造を有するコポリマーである。ある実施形態において、コポリマーの総モルを基準として、lは、40~75モル%であり、mは、8~16モル%であり、nは、5~30モル%である。式(4)のポリマーの全重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使用して典型的には1分子当たり5,000~15,000グラム(g/モル)、好ましくは7,500~12,500g/モルである。
【0034】
ある実施形態において、(第1重合単位、第2重合単位及び第3重合単位を含む)第1ポリマーは、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、0.1~20重量%、好ましくは1~9重量%、より好ましくは3~8重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0035】
第2ポリマーは、ビニル芳香族モノマーの第1重合単位及び酸不安定基を含むモノマーの第2重合単位を含むコポリマーであり、一方、式(3)の重合単位を含まない。第2ポリマーは、また、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、スターブロックコポリマー、グラジエントコポリマー等であり得るが、ランダムコポリマーが好ましい。
【0036】
ある実施形態において、第2ポリマーのビニル芳香族重合単位は、第1ポリマーの第1(ビニル芳香族)重合単位と同じものであっても異なっていてもよい。好ましい実施形態において、第2ポリマーのビニル芳香族重合単位は、第1ポリマーのビニル芳香族重合単位から化学構造においてか分子量においてかのどちらかで異なる。
【0037】
ある実施形態において、第2ポリマーの第1重合単位は、式(5)
【化13】
(式中、bは、1~5であり、Z
4は、水素又は1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
の構造を有する。好ましい実施形態において、bは1であり、Z
3水素である。好ましい実施形態において、置換基は、アリール環上でパラ位に配置されたヒドロキシル基である。好ましい実施形態において、第2ポリマーの第1重合単位は、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)である。
【0038】
一実施形態において、第1重合単位は、典型的には、第2ポリマーの総モル数を基準として、40~90モルパーセント(モル%)、典型的には52~76モル%、より典型的には55~72モル%の量で第2ポリマー中に存在する。
【0039】
第2ポリマーの第2重合単位は、式(2)において上で又は下の式(7)で記載されるように第1ポリマーの第2重合単位と同じものであっても異なっていてもよい。ある実施形態において、第2ポリマーの第2重合単位は、化学構造においてか分子量においてかのどちらかで第1ポリマーの第2重合単位とは異なる。
【0040】
第2ポリマーは、或いは、アセタール又はケタール基で保護されたフェノール基を含むエチレン性不飽和モノマーの重合によって誘導される第2重合単位を含み得る。ある実施形態において、第2ポリマーの第2重合単位は、式(7):
【化14】
のモノマーに由来し得る。
【0041】
式(7)において、Rbは、水素、フッ素、置換若しくは無置換C1~5アルキル、又は置換若しくは無置換C1~5フルオロアルキルであり;各Aは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸若しくはエステル、チオール、直鎖若しくは分岐C1~20アルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、単環式若しくは多環式C3~20フルオロシクロアルケニル、単環式若しくは多環式C3~20ヘテロシクロアルキル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、又は単環式若しくは多環式C4~20ヘテロアリールであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換であり;mは、独立して、0~4の整数である。好ましくは、Rbは、水素又はメチルであり、Aはヒドロキシであり、mは、0又は1である。
【0042】
式(7)において、R11、R10、及びR8は、それぞれ独立して、水素、直鎖若しくは分岐C1~20アルキル、直鎖若しくは分岐C1~20ヘテロアルキル、単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、単環式若しくは多環式C3~20ヘテロシクロアルキル、単環式若しくは多環式C6~20アリール、C7~20アリールオキシアルキル、又は単環式若しくは多環式C4~20ヘテロアリールであり、それらのそれぞれは、置換若しくは無置換である。ある実施形態において、R11、R10、及びR8の任意の2つは、一緒に任意選択的に、環を形成し得る。更なる実施形態において、多環式構造は、一緒にR11、R10及びR8によって形成することができる。
【0043】
式(7)において、R7は、水素、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C1~20アルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~14アリール、置換若しくは無置換C3~14ヘテロアリール、置換若しくは無置換C7~18アリールアルキル、置換若しくは無置換C4~18ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C1~12ヘテロアルキルである。
【0044】
式(7)において、R9は、水素、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐C1~20アルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換の単環式若しくは多環式C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~14アリール、置換若しくは無置換C3~14ヘテロアリール、置換若しくは無置換C7~18アリールアルキル、置換若しくは無置換C4~18ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C1~12ヘテロアルキルである。ある実施形態において、R7及びR9は、同じものである。
【0045】
式(7)において、R7及びR9は、任意選択的に一緒に、環を形成し得る。
【0046】
式(7)において、別の実施形態では、R7又はR9の1つは、任意選択的に、R8、R10又はR11の1つと環を形成する。
【0047】
例えば、第2ポリマーは、式(7a):
【化15】
(式中、R
b、R
11、R
10、及びR
7は、式(7)に関して定義されたのと同じものである)
のモノマーに由来する繰り返し単位を含有し得る。ある実施形態において、R
10及びR
11は、両方とも水素であるわけではない。ある態様において、R
10及びR
11は、一緒に任意選択的に、環を形成し得る。別の態様において、R
7とR
10又はR
11の1つとは、一緒に任意選択的に、環を形成し得る。
【0048】
式(7a)のモノマーの非限定的な例には:
【化16】
(式中、R
bは、上の式(7)において定義されている)
が含まれる。
【0049】
ある実施形態において、第2ポリマーは、式(5)のモノマーに由来する第1重合単位並びに/又は式(2)のモノマーに由来する及び/若しくは式(7)のモノマーに由来する第2重合単位を含み得る。
【0050】
一実施形態において、第2重合単位は、典型的には、第2ポリマーの総モル数を基準として、10~40モルパーセント(モル%)、好ましくは12~39モル%、より好ましくは14~38モル%の量で第2ポリマー中に存在する。
【0051】
ある例示的な実施形態において、第2ポリマーは、式(8)
【化17】
(式中、第2ポリマーの総モル含有量を基準として、oは、40~90モル%、好ましくは54~70モル%、より好ましくは56~66モル%であり、pは、10~60モル%、好ましくは15~46モル%、より好ましくは20~42モル%、最も好ましくは25~38モル%である)
に示される構造を有するコポリマーである。
【0052】
ある実施形態において、第2ポリマーは、それが式(3)の重合単位を含まない限り、3つの異なる繰り返し単位を含み得る。ある実施形態において、第2ポリマーは、式(5)及び/又は(7)の繰り返し単位を含み得る。
【0053】
別の例示的な実施形態において、第2ポリマーは、式(9)~(12):
【化18】
【化19】
【化20】
(式中、第2ポリマーの総モル含有量を基準として、oは、50~85モル%、好ましくは54~70モル%、より好ましくは56~67モル%であり、pは、5~30モル%、好ましくは18~24モル%であり、qは、10~25モル%、好ましくは14~18モル%である)
に示される構造を有するコポリマーである。
【0054】
ある実施形態において、第2ポリマーは、第1ポリマーよりも高い平均分子量を有する。第2ポリマーは、5,000g/モル~50,000g/モル、好ましくは10,000~40,000g/モル、より好ましくは14,000~25,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0055】
ある実施形態において、(第1重合単位及び第2重合単位を含む)第2ポリマーは、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、10~99重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0056】
フォトレジスト組成物は、また、非イオン性光酸発生剤を含む。ある実施形態において、フォトレジスト組成物は、イオン性光酸発生剤を含有しない。ノリッシュ-I型開裂によって光酸を発生させる光酸発生剤を使用することが望ましい。ノリッシュ-I型反応は、2つのフリーラジカル中間体へのアルデヒド及びケトンの光化学的開裂又はホモリシスである。カルボニル基は、光子を受け取り、光化学一重項状態に励起される。ある実施形態において、光酸発生剤は、式(13)
【化21】
(ここで、式(13)において、R
4は、水素原子、置換若しくは無置換の、線状若しくは分岐C
1~C
14アルキル基、置換複素環基、又はハロゲン原子であり;R
5は、1~18個の炭素原子を有する置換若しくは無置換アルキル基;ハロゲン原子、又は6~20個の無置換炭素原子を有するアリール基である)
に示される構造を有する。
【0057】
好適な光酸発生剤の例は、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(NHNI-TF)、N-ヒドロキシナフタルイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート(NHNI-PFBS)、N-ヒドロキシナフタルイミドカンファー-10-スルホネート、N-ヒドロキシナフタルイミド2-トリフルオロメチルフェニルスルホネート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドパーフルオロブタンスルホネート又はベンゼンアセトニトリル、2-メチル-α-[2-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン](IRGACURE PAG 103として商業的に入手可能である)である。好ましい実施形態において、光酸発生剤は、下に示される式(13a)、(13b)又は(13c)
【化22】
の1種以上であり得る。
【0058】
光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、0.5~30重量%、より典型的には0.7~20重量%、より好ましくは0.9~15重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0059】
フォトレジスト組成物は、また溶媒を含む。溶媒は、組成物に使用されるポリマーを溶媒和するために及び組成物に使用される様々な原料の混和性を促進するために使用される。いくつかの実施形態において、溶液中のフォトレジスト組成物は、総固形分の重量を基準として、5~80重量%、特に10~60重量%、より特に15~40重量%の量でポリマーを含む。レジストにおける構成要素のこれに関連して使用される「ポリマー」は、本明細書で開示されるコポリマーのみ、又はコポリマーとフォトレジストに有用な別のポリマーとの組合せを意味し得ることが理解されるであろう。総固形分には、溶媒を除いて、ポリマー、光分解性塩基、クエンチャー、界面活性剤、任意の添加PAG、及びあらゆる任意選択の添加剤が含まれることが理解されるであろう。
【0060】
溶解させる、分配する、及びコートするのに一般に好適な溶媒には、アニソール;1-メトキシ-2-プロパノール(プロピレングリコールメチルエーテル、PGMEとも言われる)、及び1-エトキシ-2-プロパノールなどのアルコール;n-ブチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、PGMEAとも言われる)、メトキシエチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネートなどのエステル;シクロヘキサノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-ヘプタノンなどのケトン;乳酸エチル(EL)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、3-メトキシプロパン酸メチルエステル、並びにそれらの組合せが含まれる。
【0061】
溶媒量は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として、例えば、20~95重量%、好ましくは40~90重量%、より好ましくは60~52重量%であることができる。
【0062】
フォトレジスト組成物は、塩基クエンチャーを更に含み得る。塩基クエンチャーには、水酸化物、カルボン酸塩、アミン、イミン及びアミドに基づくものなどの、非光分解性塩基が含まれ得る。好ましくは、クエンチャーには、C1~30有機アミン、イミン若しくはアミド、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)又は弱塩基(例えば、カルボン酸塩)が含まれる。
【0063】
ある実施形態において、塩基クエンチャーは、第1クエンチャー及び第2クエンチャーを含む。
【0064】
第1クエンチャーは、金属層上のフォトレジストパターンの底部でのフーチングプロファイル(footing profile)問題を低減するために有効である。放射線感受性(フォトレジスト)膜が、銅又は銅合金層などの金属層上に形成される場合、膜の感光性は、金属層とのその界面の領域において低減し得る。感光性のこの低減は、電気化学反応においてレジスト膜/金属層界面で形成された金属イオンによる発生光酸の消費から生じると考えられる((非特許文献1)を参照されたい)。これは、界面での光酸の低い濃度をもたらすと考えられる。結果として、樹脂の酸不安定部分の酸触媒開裂が、レジスト/銅界面においてあまり効率的ではなく、フーチングが生じるであろう。第1クエンチャーは、レジスト膜/金属層界面での金属イオンの形成を阻害するのに有効であると考えられる。
【0065】
第1クエンチャーは、ベンゾトリアゾール又はその誘導体から選択される。ベンゾトリアゾール誘導体の例としては、1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、1-アミノベンゾトリアゾール、1-(ホルムアミドメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-(メトキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル(ocrylphenyl))ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(benzoriazole)、5,6-ジメチル(methyl)-1H-ベンゾトリアゾール及び5,6-ジメチル-1,2,3-ベンゾトリアゾール水和物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(benzoriazole)又は5,6-ジメチル-1,2,3-ベンゾトリアゾール水和物を本発明のために使用することができる。本発明者らは、ベンゾトリアゾール又はそれの誘導体が、放射線感受性膜の感受性を低減することなく、銅イオンなどの金属イオンの形成を防ぐことができることを見いだした。
【0066】
放射線感受性膜中の第1クエンチャーの量は、固形分の総重量を基準として、好ましくは0.001~1.0重量%、より好ましくは0.005~0.2重量%、最も好ましくは0.01~0.1重量%である。
【0067】
第2クエンチャーは、放射線感受性膜の中間又は上面領域において酸拡散制御剤として働いてベンゾトリアゾール類似体の比較的高い揮発性を相殺すると考えられる。放射線感受性膜が第2クエンチャーの使用なしで形成される場合、コンタクトホール側壁は、先細プロファイルを有することができる。真っ直ぐな及び垂直な側壁は、金属ピラーバンプ形成に非常に有利である。第2クエンチャーは、ノルマル及び分岐三級アルキルアミンを除いてアミン化合物から選択される。
【0068】
第2クエンチャーの例としては、N,N-ジエチルドデカンアミド、2,8-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン(トレーガー塩基)、1,1-ジメチルエチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート及びN-アリルカプロラクタムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0069】
放射線感受性膜中の第2クエンチャーの量は、固形分の総重量を基準として、好ましくは0.001~1.2重量%、より好ましくは、0.01~0.8重量%又は0.02~0.2重量%の量で存在する。
【0070】
ある実施形態において、クエンチャー対光酸発生剤のモル比百分率(百分率として表される)は、5~50%、好ましくは8~30%、最も好ましくは10~15%である。
【0071】
放射線感受性組成物は、1種以上の表面レベリング剤(SLA)、接着促進剤及び/又は可塑剤などの、他の任意選択の原料を含むことができる。使用される場合、SLAは、好ましくは、組成物の総固形分を基準として0.001~0.1重量%の量で存在し、接着促進剤及び/又は可塑剤は、それぞれ、組成物の総固形分を基準として0.1~10重量%の量で存在する。
【0072】
フォトレジスト組成物を使用する方法がこれから記載される。パターン形成プロセスに従って、フォトレジスト組成物の層が基板上に形成される。組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング又は他の従来のコーティング技術によって基板に塗布することができる。スピンコーティングが好ましい。スピンコーティングについて、コーティング溶液の固形分を調整して、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及び回転許容時間量に基づいて所望のフィルム厚さを提供することができる。ある実施形態において、フォトレジスト組成物の層は、一回の適用で塗布される。
【0073】
フォトレジスト組成物層は、次に、層中の溶媒含有量を最小限するためにソフトベークし、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善することができる。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。
【0074】
フォトレジスト組成物層は、次いで、露光領域と非露光領域との間で溶解度の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線にパターン様露光される。層のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物層を露光することへの本明細書での言及は、放射線が層に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によって、それぞれ、露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、200~500nmのUV-可視光などの、500nmより下である。好ましくは、露光は、水銀ランプからの365nm波長の放射線(i線)で行われる。
【0075】
フォトレジスト組成物層の露光後に、露光工程中にPAGから発生した酸によって酸不安定基を分解するために、露光後ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。それによって、極性が切り替えられた領域及び切り替えられていない領域(それぞれ、露光領域及び非露光領域に対応する)の間の境界によって画定される潜像が形成される。
【0076】
フォトレジスト組成物層は、次に、層の露光部分を除去するためにアルカリ性現像液と接触させられ、レジストパターンを形成する非露光領域を残す。現像液は、典型的には、水性アルカリ性現像液、例えば、水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば、0.26規定度(N)(2.38重量%)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。
【0077】
本発明の更なる態様は、金属層上への金属の堆積方法である。本方法は、(i)フォトレジスト組成物層を金属層上に形成する工程と;(ii)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様露光する工程と;(iii)酸不安定基を分解するための露光後ベーク工程と;(iv)フォトレジスト組成物層をアルカリ性現像液と接触させてフォトレジスト組成物層の露光部分を除去する工程と;(v)金属層を金属めっき液に浸漬し、フォトレジスト組成物層の露光部分の金属層上に金属を電着させる工程とを含む。金属層は、典型的には、基板上に形成される。
【0078】
金属層は、例えば、銅、銀、アルミニウム、金又はそれらの合金製であることができる。金属層は、本明細書では第1金属層とも言われ得る。金属層が基板上に形成される場合、金属層は、公知の方法を用いて、例えば、化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)技術によって形成することができ、スパッタリング及びめっきが典型的である。金属層の厚さは、典型的には、10nm~1000nmである。基板の例としては、シリコンウェハー、ガラス基板及びプラスチック基板が挙げられるが、それらに限定されず、そのような基板は、任意選択的に、それらの上に形成された1つ以上の層又は特徴を含む。
【0079】
フォトレジスト組成物層は、第1ポリマー、第2ポリマー、任意選択のクエンチャー、光酸発生剤及び溶剤を含む、本明細書で記載されるようなフォトレジスト組成物から形成される。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ロールコーティング又はスクリーン印刷などの、公知の方法によって金属層上に塗布される。厚いフォトレジスト組成物層を形成するために、高固形分及び/又は高粘度フォトレジスト組成物が典型的には望ましい。組成物の固形分は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として、典型的には10~60重量%、好ましくは20~50重量%である。そのような組成物を使用することによって、例えば、50ナノメートル~50マイクロメートル、好ましくは0.8マイクロメートル~30マイクロメートル、より好ましくは1.2マイクロメートル~10マイクロメートルの厚い層を形成することができる。
【0080】
フォトレジスト組成物を塗布した後に、層中の溶媒含有量を最小限にするために、及び基板への層の接着性を改善するためにソフトベーキングを行うことができる。フォトレジスト組成物層は、次いで、UV-可視光の200~500ナノメートル(nm)の波長を有する紫外光などの放射線を使用して、所定のパターン有するマスクを通して露光される。好ましくは、露光は、365nm波長の放射線(i線)で行われる。
【0081】
フォトレジスト組成物層は、フォトレジスト組成物層の露光部分を現像するためにアルカリ性現像液と接触させられる。アルカリ性現像液の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。露光部分は、穴(例えば、接触、ビア若しくはバンプパターン)又は溝(例えば、ライン-スペース)パターンなどのパターンを形成することができる。そのようなパターンは、好ましくは、高いアスペクト比を有する。本明細書で用いられる場合、アスペクト比(AR)は、AR=h/dと定義され、ここで、hは、フォトレジスト高さ(すなわち、厚さ)であり、dは、パターンにおける間隔、例えば、穴径(例えば、接触、ビア若しくはバンプパターンについて)又は隣接ライン間のスペースの長さ(例えば、溝パターンについて)である。典型的には、穴径は、2~200マイクロメートル、好ましくは10~50マイクロメートルであることができる。アスペクト比は、典型的には、0.1以上、0.2以上、0.1~10.0、又は0.2~7.0である。
【0082】
基板は、次に、フォトレジスト組成物層が現像除去されているそれらの領域における露出第1金属層上に金属をめっきするために金属めっき液中に浸漬することができる。フォトレジスト組成物層の現像領域は、金属めっき用の鋳型の役目を果たす。金属は、例えば、電気めっきによってめっきすることができる。当技術分野において公知の様々なタイプの金属めっき液を使用することができる。また、金属の2つ以上の異なる層を形成することができ、層は、同じ若しくは異なる金属のものであることができる。好ましいめっき金属には、銅、ニッケル、スズ、銀、金並びにそれらの混合物及び合金が含まれるが、それらに限定されない。そのような金属の形成での使用に好適な金属めっき液は、当技術分野において公知であり、DuPont Electronic and Imagingから商業的に入手可能である。めっき金属層の厚さは、典型的には1~100マイクロメートル、好ましくは20~50マイクロメートルである。めっき金属層厚さは、フォトレジスト層の厚さ未満又はそれ超であることができる。
【0083】
金属めっき後に、残っているフォトレジスト組成物層を、基板から除去する(剥離する)ことができる。好適なフォトレジスト剥離剤は、商業的に入手可能であり、例えば、Shipley BPRTM Photostripper(DuPont Electronic and Imaging)である。
【0084】
めっき金属構造物間の露出第1金属層は、めっき金属構造物のそれぞれを電気的に絶縁するために、例えば、エッチ-バックプロセスによって除去することができる。得られた金属構造物は、例えば、電気的接続を2つの構成要素間に提供するためのメタルバンプ用に有用であることができる、ピラー形状を有することができる。有利には、小さい直径及び真っ直ぐな(垂直の)側壁を有する金属ピラーを、本明細書で開示される組成物及び方法によって形成することができる。そのような構造物は、例えば、小さい、軽量の及び薄いデバイスにおける電気的接続に用途を見いだす。ピラーの幅(直径)は、例えば、5~200マイクロメートル、好ましくは10~50マイクロメートルであることができる。ピラーの高さは、例えば、フォトレジスト組成物樹脂の厚さに依存するであろうが、20マイクロメートル以上のピラー高さを形成することができる。
【0085】
本発明は、フォトレジスト組成物が金属めっきのために使用され得るという点において有利である。それはまた、下層(例えば、金属、酸化物又は窒化物等)を除去するために乾式エッチングプロセスにも使用され得、そのプロセスにおいては、フォトレジストパターンは必ずしも使用されるとは限らない。
【0086】
本発明の別の態様は、金属、シリコン(及び/又はその酸化物若しくは窒化物)、或いはそれらの組合せのエッチング方法である。本方法は、(i)フォトレジスト組成物層を金属、シリコン(及び/又はその酸化物若しくは窒化物)、或いはそれらの組合せ上に形成する工程と;(ii)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様露光する工程と;(iii)酸不安定基を分解するために露光後ベークする工程と;(iv)フォトレジスト組成物層をアルカリ性現像液と接触させてフォトレジスト組成物層の露光部分を除去する工程と;(v)フォトレジストが先行工程で除去された、金属、シリコン(及び/又はその酸化物若しくは窒化物)、或いはそれらの組合せをエッチする工程とを含む。ドライプラズマ又は湿式エッチング方法が典型的には用いられる。
【0087】
次いで、フォトレジスト層は、上記のように形成される。フォトレジスト層が非金属表面上に形成される場合、それが金属表面によって引き起こされるパターンフーチングを防ぐだろうから、第1クエンチャーは使用されなくてもよい。パターンフーチングは、イオン化の容易さ及びイオン化金属の移行の容易さを表している。
【0088】
本発明は、これから、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例0089】
実施例1
この実施例は、第1ポリマー及び第2ポリマーを含有するフォトレジスト組成物の吸収特性を詳述する。第1ポリマーは、第1ビニル芳香族モノマーの第1重合単位、ペンダント酸不安定基を有する第1エチレン性不飽和二重結合の第2重合単位;及び3つの縮合芳香環を有する置換若しくは無置換芳香族基を有するエチレン性不飽和二重結合の第3重合単位を含む。縮合芳香環の存在のために、第1ポリマーは、本明細書では高分子色素とも言われている。フォトレジスト組成物の構成要素を下に示す。
【0090】
第1ポリマー(高分子色素Aとも言われる)は、
【化23】
を含む。
【0091】
ポリヒドロキシスチレンとポリ三級ブチル(メタ)アクリレートとのコポリマー(PHS/TBAとして示される)を含む第2ポリマーを下に示す。
【化24】
【0092】
フォトレジストの組成は、重量部として記載する。溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)とガンマ-ブチロラクトン(GBL)との混合物である。溶媒は、71.5重量部の量で存在する。プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びガンマ-ブチロラクトンは、95:5の重量比で使用する。
【0093】
アントラセンは、i線波長(365nm)を有する入射光を吸収するための色素として働く。アントラセンは、露光前のプリベーク工程中に高温にさらされるときに強い昇華を受ける。昇華を防ぐために、アントラセン発色団をアクリル繰り返し単位の側鎖に結合させる。このアントラセン含有ポリマーは、ANTMA(アントラセンメタクリレート)と称される。ANTMAは、320~420nmの間で独特のUVスペクトルを有する。i線波長近くに強いUV吸光度がある。g(436nm)及びh(405nm)のアントラセンのUV吸収は、i線のそれよりも弱い。j線(334nm)は、ANTMAによって吸収される場合がある。330nmカット広域フィルターをリソグラフィックテストのために使用した。
【0094】
第1ポリマー、第2ポリマー、クエンチャー、光酸発生剤及び溶媒を含有するフォトレジスト組成物を、先ず、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で下塗されたシリコン基板上にコートした。
【0095】
表1は、サンプルについてのフォトレジスト組成を示し、一方、表2は、塗布及び露光条件を示す。フォトレジスト組成物に使用される様々な原料についての構造を上に示す。
【0096】
【0097】
【0098】
表1のデータから、i線波長(365nm)での吸光度(フォトレジストによる)は、高分子色素(第1ポリマー)ローディングの量が増えるにつれて増加することが理解され得る。ダーク侵食は、高分子色素の添加によって減少した。ダーク侵食は、現像液での非露光領域におけるレジストの非ゼロ溶解である。しかしながら、感受性は改善される。オーバーハングパターンプロファイルもまた、吸光度を制御することによって改善された。
【0099】
図1Aは、膜の非露光領域における膜損失(ダーク侵食)を表すグラフであり、一方、
図1Bは、高分子色素(第1ポリマー)ローディングの関数としての感受性(E
op)シフトを表すグラフである。CDは、限界寸法を表し、パターンサイズによって測定される。E
thは、規定の現像条件中にフィルムを破過するための最小露光エネルギーを表す。E
opは、所望のパターンサイズを与えるための最適露光エネルギーを表す。15μmのパターンサイズをこの実験の目標にした。
図1Aにおいて、UFTLは、非露光領域の膜厚さ損失(非露光領域における膜厚さ損失)を表す。
【0100】
実施例2
この実施例は、狭いバンドi線露光にかけられたときの高分子色素(第1ポリマー)を含むフォトレジスト組成物を評価するために行った。フォトレジスト組成物に使用される原料を表3に示す。第2ポリマー及びクエンチャーについての構造を下に示す。使用される溶媒は、重量比95:5でのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びガンマ-ブチロラクトン(GBL)であった。第1ポリマーは、実施例1において使用されたものと同じものである。
【0101】
【0102】
【0103】
表3における全ての重量は、フォトレジスト組成物中の固形分の重量を基準として百部当たりの部の単位である。下の表4は、基板上へコートされるときのフォトレジスト組成物についてのテスト条件を示す。
【0104】
【0105】
表3から、より高い高分子色素(第1ポリマー)ローディングは、より高い感受性(厚さをクリアするための[Eth]及び目標パターンサイズを与えるための[Eop]より低い露光エネルギー)を与えることが理解され得る。理論に制約されることなく、フォトレジスト組成物への第1ポリマーの添加は、その吸収能力によって感受性に影響を及ぼす。
図2は、第1ポリマー(アントラセン置換基を含有する)の添加がi線波長(365nm)でのフォトレジストの吸光度を増加させることを示すグラフである。
【0106】
第2ポリマー(Mw=15,500g/モル)についてよりも低い第1ポリマー(Mw=8900g/モル)についての重量平均分子量の使用は、より大きい量のダーク侵食を生み出すと考えられたが、これは起こらなかった。第1ポリマーの添加は、また、より低い膜損失(ダーク侵食)を生み出し、それは、フォトレジスト組成物がより低い溶解速度を有することを可能にする。
【0107】
フォトレジスト組成物中の第1ポリマーの増加したローディングで、側壁角は、アントラセン置換基をポリマー中に含有しない比較フォトレジスト組成物よりも減少する。tBOC-4HP対トレーガー塩基の塩基クエンチャー比の影響は、弱く、特性への有意な影響を全く示さなかった。
【0108】
実施例3
この実施例は、感受性及びオーバーハングパターンプロファイル改善への(アントラセンペンダント基を含有する)第1ポリマーの影響を測定するために行った。使用されるPAGはNHNI-PFBSであり、第1ポリマーは、下に示される高分子DYE-Aであり、第2ポリマーは、それらの構造が下に示される、ポリマーB、ポリマーC又はポリマーEの1つである。
【化25】
【0109】
それぞれの第2ポリマー中の各繰り返し単位についてのモルパーセントは、上で示されている。フォトレジスト組成物は、表5、6及び7に示す。第1ポリマーは、9,800g/モルの重量平均分子量を有する高分子DYE-A(下記)として示される。
【化26】
【0110】
表5は、フォトレジスト組成物を詳述し、一方、表6及び7は、結果のいくつかと一緒にフォトレジスト組成物を詳述する。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
表6及び7から、アントラセンペンダント基を含有する第1ポリマーは、より高い感受性をフォトレジスト組成物に付与することが理解され得る。本フォトレジスト組成物は、NHNI-TF以外のPAGが使用されるときでさえもi線放射線(365nm)で働くことができる。第1ポリマーが表6及び7に見られ得るように配合される場合に、側壁角改善(側壁角のより低い数)が観察される。
【0115】
実施例4
この実施例は、アセタール保護ポリヒドロキシスチレンを酸不安定ポリマーとして含むフォトレジスト組成物を使用することの影響を実証する。フォトレジスト組成物は、また、上で詳述された第1ポリマー(高分子色素)を含む。表9は、フォトレジスト組成物を詳述する。第2ポリマーは、アセタール保護ポリヒドロキシスチレンを酸不安定ポリマーとして含み、ポリマーFとして下で示され、1分子当たり22,000グラムの重量平均分子量を有する。
【化27】
【0116】
表8は、プロセス条件を示し、一方、表9は、第1ポリマー(高分子Dye A)及び第2ポリマー(ポリマーF)を含有する様々なフォトレジスト組成物を示す。表9における全ての重量は、総固形分を基準とする重量部に基づく。
【0117】
【0118】
【0119】
より高い感受性及び側壁角改善は、(高分子色素を含む)第1ポリマー及び第2ポリマー(アセタール保護ポリヒドロキシスチレン)を含むフォトレジスト組成物を使用することによって得られた。