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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105347
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】LEDソケット及びその取付構造
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20220707BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220707BHJP
【FI】
F21V19/00 110
F21V19/00 170
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000033
(22)【出願日】2021-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】591054680
【氏名又は名称】株式会社三晃電気
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 達二郎
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013BA01
(57)【要約】
【課題】文献1の放熱特性を更に向上したLEDソケット、及びそのソケットを取付面に容易に交換可能にした取付構造を提供する。
【解決手段】LEDソケットは、樹脂製の第一半体1,第二半体2、両半体にそれぞれ設けられた開口を備え、基板6aの上面に発光部6b及び給電部6cを配置したLED構造体6を、基板6aが第一半体2に支持されると共に発行部6bが第二半体2の開口に露出されており、照明用機器側取付面M1に対し取付部材により固定されるLEDソケット5において、第二半体の上面部分2aと外周部分2bを覆う上面被覆部分70及び外周被覆部分76を形成し、また取付部材4により押圧される受け部73を上面被覆部分70に形成している金属製カバー7を有している。この取付構造は取付部材として、取付面M1に固定される一端側の取付部4a,4d、受け部73を押圧する他端側の弾性当接部4bを有した線加工ばね4を用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の第一半体及びその上に重合される樹脂製の第二半体、並びに前記両半体にそれぞれ設けられた開口を備え、基板の上面に発光部及び給電部を配置したLED構造体を、前記基板が前記第一半体に支持されると共に前記発行部が第二半体の開口に露出されており、照明用機器側の取付面に対し取付部材により固定されるLEDソケットにおいて、
前記第二半体の上面部分と外周部分を覆う上面被覆部分及び外周被覆部分を形成していると共に、前記取付部材により押圧される受け部を前記上面被覆部分に形成している金属製カバーを有していることを特徴とするLEDソケット。
【請求項2】
前記第一半体及び前記第二半体の間に挟持されていると共に、前記金属製カバーと接触にしている放熱部材を有していることを特徴とする請求項1に記載のLEDソケット。
【請求項3】
前記金属製カバーは前記第二半体の上面の一部を露出している切欠部を形成していると共に、前記第二半体は前記切欠部を覆うよう配置された遮光板を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のLEDソケット。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のLEDソケットを照明用機器側の取付面に対し取付部材により固定するLEDソケットの取付構造であって、
前記取付部材として、一端側に設けられて前記取付面に固定される取付部、他端側に設けられて前記金属製カバーの前記受け部を押圧する弾性当接部を有した線加工ばねを用い、前記取付面に対し前記線加工ばねの2個を略対向させた状態に前記取付部を介して固定しておき、前記弾性当接部により前記受け部を押圧することで前記LEDソケットを着脱可能に支持することを特徴とするLEDソケットの取付構造。
【請求項5】
前記線加工ばねは、一端側の取付部と他端側の弾性当接部との間に形成された巻線部を有し、前記弾性当接部が前記巻線部のばね力に抗して前記LEDソケットの支持を解放可能になることを特徴とする請求項4に記載のLEDソケットの取付構造。
【請求項6】
前記金属製カバーは、前記受け部の近傍に設けられて前記取付面に当接する突部を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載のLEDソケットの取付構造。
【請求項7】
前記取付面は、前記線加工ばねの巻線部のぐらつき規制壁、又は/及び、LEDソケットの位置決め壁を有していることを特徴とする請求項4から6の何れかに記載のLEDソケットの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)素子をセラミックやアルミニウム基板の上に実装したCOB(Chip On Board)タイプに用いられるLEDソケット及びその取付構造に関する。なお、COBタイプは、LED構造体と称されたり、LEDパッケージやCOBタイプLEDパッケージ等と称されている。本明細書では、COBタイプをLED構造体と称し、LED構造体を保持するホルダー等をLEDソケットと称する。このLEDソケットにはLED構造体を保持した態様を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
COBタイプのLED構造体は、SMD(Surface Mount Device)タイプに比べ給電端子の位置が表面(上面)側になると共に搭載チップ数が多く高出力や高光束の照明用に好適とされ、また、LEDソケットにLED構造体を保持した態様で灯具や照明用機器などの取付面に取り付けられる。図9図10は本発明者が先に開発した特許文献1に開示のLEDソケットを示している。
【0003】
同図において、要部は、樹脂製の第一半体1及びその上に重合される樹脂製の第二半体2、並びに両半体1,2にそれぞれ設けられた開口10,20及び同軸線上の取付穴11,21を備え、基板7の上面に発光部8及び給電部を配置したLED構造体6を、基板7が第一半体下面に設けた段差部15に位置決めされた状態で一対の弾性挟持片16により保持され、両半体1,2が照明用機器側の取付面に対し各取付穴11,21に挿入される取付部材であるネジSにより固定される。また、LEDソケット5は、両半体1,2の間に挟持されると共に、ネジSに当接可能に配置された放熱部材3を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-182061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のLEDソケットでは、両半体に挟持された放熱部材が発光部及び給電部などに発生した熱をネジを通して外部、つまり例えば照明用機器側へ効率よく逃がし、それにより樹脂製の両半体にこもり易い熱対策として良好な放熱特性を付与できる。但し、好ましくは、特に第二半体の上面などが発光部からの熱で加熱され易いため、更なる放熱特性を付与して熱変形などの虞をなくしたい。
【0006】
また、LEDソケットは、長期使用により発光部が寿命などで点灯しなくなると、照明用機器の取付面から取り外して新たなLEDソケットに交換しなければならない。ところが、従来のごとくネジを用いた取付構造では、両半体の熱変形の影響により、両半体が当初のように密着性に欠けたり取付穴同士の軸芯がずれて、取付操作において照明用機器側の取付面に対し当初のように精度よく固定支持することができなくなる。
【0007】
以上のような背景から、本発明の目的は第一と第二の各半体が樹脂製の場合、簡単かつ簡明な構造を維持しながら、文献1の放熱特性を更に向上したLEDソケット、及びそのソケットを取付面に容易に交換可能にしたLEDソケットの取付構造を提供することにある。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、図面を参照し特定すると、樹脂製の第一半体1及びその上に重合される樹脂製の第二半体2、並びに前記両半体にそれぞれ設けられた開口10,20を備え、基板6aの上面に発光部6b及び給電部6cを配置したLED構造体6を、前記基板6aが前記第一半体2に支持されると共に前記発行部6bが第二半体2の開口20に露出されており、照明用機器側の取付面M1に対し取付部材により固定されるLEDソケット5において、前記第二半体2の上面部分2a及び外周部分2bを覆う上面被覆部分70及び外周被覆部分76を形成していると共に、前記取付部材4により押圧される受け部73を前記上面被覆部分70に形成している金属製カバー7を有していることを特徴としている。ここで、前記上面被覆部分や外周被覆部分は、第二半体の上面部分つまり上面の一部、第二半体の外周の一部を被覆している態様を含む。
【0009】
以上の発明では、両半体が樹脂製の場合、セラミック製に比べ量産時の加工精度を上げたり製造コストを低減できるものの、熱影響を受け易いため第二半体の上面部分及び側面部分を上面被覆部分と外周被覆部分で覆う金属製カバーにより放熱特性を良好に得られるようにし、同時に取付部材が上面被覆部分に設けた受け部を押圧可能にしたものである。
【0010】
また、このLEDソケットは更に次のように具体化されることが好ましい。すなわち、
(1)前記第一半体1及び前記第二半体2の間に挟持されていると共に、前記金属製カバー7と接触にしている放熱部材3を有している構成である(請求項2)。
(2)前記金属製カバー7は前記第二半体2の上面の一部を露出している切欠部71を形成していると共に、前記第二半体2は前記切欠部71を覆うよう配置された遮光板90を有している構成している(請求項3)。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れかに記載のLEDソケットを照明用機器側の取付面M1に対し取付部材により固定するLEDソケットの取付構造であって、前記取付部材として、一端側に設けられて前記取付面に固定される取付部4a,4d、他端側に設けられて前記金属製カバーの前記受け部73を押圧する弾性当接部4bを有した線加工ばね4を用い、前記取付面M1に対し前記線加工ばね4の2個を略対向させた状態に前記取付部を介して固定しておき、前記弾性当接部4bにより前記受け部73を押圧することで前記LEDソケット5を着脱可能に支持することを特徴としている。
【0012】
ここで、「線加工ばね」は、線細工ばねとも称されるもので、線状の材料を様々な方向に曲げ加工しばね作用を行わせるものである。この線加工ばねは従来の取付用ネジに代わる部材であり、材質は金属や合金等のごとく熱伝導に優れていることが好ましい。なお、以下の形態例では、この発明の取付構造と、両半体に設けられた取付穴11 ,21に対応して金属製カバーにも取付穴72を設け、従来と同様なネジSにより取付面に固定支持する取付構造とを選択可能な態様を示した。これは、本発明の取付構造に取付穴を省いた専用の両半体だけではなく、取付穴を有した市販品の両半体を適用可能な点を明らかにするためである。
【0013】
また、このLEDソケットの取付構造は更に次のように具体化されることが好ましい。
(3)前記線加工ばね4は、一端側の取付部(4a,4d)と他端側の弾性当接部4bとの間に形成された巻線部4cを有し、前記弾性当接部が前記巻線部のばね力に抗して前記LEDソケットの支持を解放可能になる構成である(請求項5)。
(4)前記金属製カバー7は、前記受け部73の近傍に設けられて前記取付面M1に当接する突部79を有している構成している(請求項6)。
(5)前記取付面M1は、前記線加工ばね4の巻線部のぐらつき規制壁M3、又は/及び、LEDソケット5の位置決め壁M2を有している構成である(請求項7)。つまり、取付面M1には、形態例のごとく巻線部のぐらつき規制壁及びLEDソケットの位置決め壁の両方が設けられている構成に限られず、巻線部のぐらつき規制壁とLEDソケットの位置決め壁の何れか一方だけが設けられている構成も含む。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、両半体が樹脂製であるためセラミック製に比べ量産時の加工精度を上げたり製造コストを低減できるタイプにおいて、要部の金属製カバーは、LEDソケットが取付面に固定支持された使用状態で、上面被覆部分で第二半体の上面部分を、外周被覆部分で第二半体の外周部分を覆っているため発光部及び給電部などに発生した熱を効率よく逃がし、それにより熱対策として優れた放熱特性を付与できる。詳述すると、両半体が樹脂製でかつ放熱部材を有しない従来のLEDソケットだと、長期の照明により160℃ぐらいの周囲温に晒されて経年劣化し易くなる。これに比べ、本発明のごとく金属製カバーで覆うことによって、更に請求項2の放熱部材を追加することにより100℃を超えないようになる。
【0015】
請求項2の発明では、放熱特性が金属製カバーに加えて両半体の間に挟持された放熱部材により更に優れたものとなる。すなわち、放熱部材は、発光部及び給電部などに発生した熱を外部、つまり金属製カバーから外部へ効率よく逃がすようにし、それにより樹脂製の両半体にこもり易い熱を効率よく放熱できる。
【0016】
請求項3の発明では、金属製カバーには電気的なショートの虞を避けるため例えばLED構造体の給電部と給電端子の接続等に対応して切欠部を設け、その切欠部を遮光板で覆っているため、熱対策として完璧なものとなる。
【0017】
請求項4の発明では、LEDソケットを照明用機器側の取付面に対し着脱可能に支持するLEDソケットの取付構造として、両半体が樹脂製からなる欠点を金属製カバーを追加して放熱特性を良好にし、更に金属製カバー及び線加工ばねによりLDEソケットを容易に交換可能に固定支持できる。具体的には、線加工ばねが略対向配置された2個用いられて線加工ばね同士の間にLEDソケットを支持する、その場合、少なくとも第一半体の上面部分及び外周部分が金属製カバーの対応部で覆われると共に、線加工ばねの弾性当接部が金属製カバーの対応する受け部を取付面側へ押し、その結果、両半体がその圧接力或いは押圧力により取付面に確実に支持される。
【0018】
請求項5の発明では、線加工ばねが一端側の取付部と他端側の弾性当接部との間に形成された巻線部を有し、図3(b)から推察されるごとく弾性当接部が巻線部のばね力に抗して拡径されてLEDソケットの支持を解放可能となるため、LEDソケットをワンタッチで着脱操作できる。
【0019】
請求項6の発明では、金属製カバーが受け部の近傍に設けられて取付面に当接する突部を有していると、取付面に対しLEDソケットを位置決めしたり、安定した取付状態を維持できる。
【0020】
請求項7の発明では、取付面が線加工ばねの巻線部のぐらつき規制壁、又は/及び、LEDソケット位置決め壁を有していると、線加工ばねやLEDソケットが取付面に位置決め容易となり、線加工ばねを設計通り作動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】発明形態のLEDソケットを発明形態の取付構造により照明機器側の取付面に固定支持した状態で示す模式上面図である。
図2】(a)は上記発明形態のLEDソケットを示す模式上面図、(b)はLEDソケットの模式下面図である。
図3】(a)は図1のA部拡大図、(b)は線加工ばねの作動を示す模式図である。
図4】上記LEDソケットを分解すると共にLED構造体と共に示す概略分解斜視図である。
図5】(a)は金属製カバー単品を示す概略斜視図、(b)は2個の線加工ばねを示す概略斜視図である。
図6】上記金属製カバー単品を示し、(a)は上面図、(b)は下面図である。
図7】(a)は上記形態のLEDソケットに遮光板を追加した変形例1の模式上面図、(b)は遮光板単品を示す模式図である。
図8】特許文献1のLEDソケットに本発明の金属製カバーを追加した状態で示す変形例2の概略斜視図である。
図9】(a)は特許文献1の図1(b)のLEDソケットに照明機器側の取付面を追加した状態で示し、(b)は同文献1の図4(b)を示している。
図10】特許文献1の図2を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の形態例を図面を参照して説明する。この説明では、LEDソケットつまりソケット構成部材を詳述した後、LEDソケットの取付構造を明らかにし、最後に変形例1と2について述べる。
【0023】
(LEDソケット)図1図6において、LEDソケット5は、第一半体1及びその上に重合される第二半体2、並びに両半体にそれぞれ設けられた開口10,20を備え、基板6aの上面に発光部6b及び給電部6cを配置したLED構造体6を、アルミニウム等の基板6aが第一半体1に支持されると共に発行部6bが第二半体の開口20に露出されている点、両半体の間に挟持された放熱部材3を有している点、灯具や照明用機器Mの取付面M1に対し取付部材により固定支持される点で文献1、更に本出願人の先願である特願2019-144176号(以下、先願と略称する)と同じ。異なる点は、LEDケット5として、第二半体の上面部分2a及び外周部分2bを覆う金属製カバー7を有し、取付面M1に対し線加工ばね4により押圧して固定支持される構成にある。
【0024】
なお、LED構造体6は、公知のもので、従来一般的に市販されているものに限られず、例えば新型コロナウイルスの不活化効果を有する深紫外LEDを含む。また、給電部6cは、2箇所設けられて、リード線45,46の端末に給電端子40を介して外部電力が供給される。
【0025】
詳述すると、LEDソケット5は、樹脂製の第一半体1と、第一半体1に重ねられた状態で連結される樹脂製の第二半体2と、第一半体1及び第二半体2の間に挟持される放熱部材3と、第一半体1を覆う金属製カバー7とを備え、またLED構造体6との関係として、基板6aを保持する弾性支持部材8と、遮光片9と、2個の給電端子40と、2個の絶縁性チップ39などを有している。
【0026】
このうち、第一半体1は、図2図4に示されるごとく環状の射出成形品であり、中央部に設けられた開口10、開口10より外周側に設けられて上下に貫通している複数(この例では2つ)の取付穴11、第一半体の上面1aに突設された複数(この例では4つ)の連結片12及び複数(この例では2つ)のボス13、外周囲の2箇所に設けられた切欠部16、下面1bにあって開口10の対向する縁側に設けられて基板6aを位置決めする段差部15と、両段差部15のうち、一方段差部15の隣に設けられている導出穴17とを有している。
【0027】
開口10は発光部6bを上面1a側に突出可能な形状となっている。各取付穴11は同心円上に設けられた貫通穴である。各連結片12は、第一半体の上面1aの外周側に設けられて先端内側に突出された爪を有している。各ボス13は開口10と外周囲との間に設けられている。切欠部16は、両半体1,2の間に配置される放熱部材3に設けられた爪34と係合する箇所である。段差部15は、略矩形の基板6aを、基板の対向した角部側を対応する段差部15で受け止めることで基板を第一半体1の肉厚内に位置決め可能にする。導出穴17は、弾性支持部材8の受け部8b側を外へ導出可能にする。
【0028】
なお、第一半体の上面1aにおいて、符号18は2箇所に対向して設けられた浅い溝部である。各溝部18は後述する遮光片9の下端を位置決めする箇所である。また、符号19a,19bは、第一半体の下面1bに刻印されてLED構造体6を第一半体1に仮止めする際、LED構造体の給電部6cがアノード側かカソード側かが分かるようにして誤組み付けを防ぐ目印である。
【0029】
第二半体2は、第一半体1と重ねられる環状の射出成形品であり、中央部に設けられて発光部6bを下から上へ露出する略円形の開口20、上下に貫通している取付穴21と、外周囲の4箇所に設けられた切欠部22と、ボス13が嵌合する2箇所の穴部23と、リード線45,46を配置する2箇所の不図示の溝などを備えている。このうち、取付穴21は取付穴11と同軸線上に設けられている。切欠部22は、下縁に突設した不図示のリブを有していると共に、該リブの上面側を段差22bに形成している。この段差22bには、連結片12の爪が係合する。上面2aにおいて、符号29a,29bは、両半体1,2の間から外へ引き出されるリード線45,46がアノード側リード線かカソード側リード線かを表す刻印である。
【0030】
放熱部材3は、2枚構成であり、図4に示されるごとくアルミ板等を用いてプレス加工した略円弧状の金属製板体からなる。放熱部材3は、挿通穴31及び挿通穴31の縁部に突出された筒部30とを有している。この筒部30は第二半体の取付穴21に嵌入される。また、放熱部材3は、弧状の外周側に設けられて、第二半体2の不図示のリブに嵌合する切欠部32と、第一半体の切欠部16に嵌合する爪部34と、弾性支持部材8の巻線部8cを逃がす溝部35及び一端8aを係止する係止穴36を有している。
【0031】
また、弧状の内周側には、下面から上面3a側へ折り曲げられた弧状の遮光部37と、遮光部37の一端側と挿入穴31との間に設けられたスリット38とを有している。遮光部37は、第二半体の開口20の縁部分を覆う形状であると共に、両端に形成された細い延長部を有している。この両延長部は、下端面が遮光部37の下端面と面一で、上端面が遮光部37に比べ段差つまり低くなっている。
【0032】
換言すると、この構造では、放熱部材3が、筒部30と取付穴21の嵌合、切欠部32と不図示のリブの嵌合などにより組み込まれる。この状態では、放熱部材3同士の対向している延長部37a,37a、つまり一方の放熱部材3の延長部37aと、他方の放熱部材3の延長部37aとの間に遮光片9を上記した各延長部37aの段差を利用して摺動変位可能に配置される。遮光片9は、マイカ(雲母)板であり、両端9a側が対応する延長部37aの下側段差を通って対応するスリット38等に嵌合した状態で組み込まれている。この遮光片9は、遮光部37のような弧形状に変位可能となっている。
【0033】
一方、弾性支持部材8は、図4の拡大図に示されるごとく線細工ばねからなり、一端8aと他端側の受け部8bの間に巻線部8cを有している。そして、弾性支持部材8は、一端8a側が第二半体2に組み込まれた放熱部材の係止穴36及び第二半体の不図示の係止穴に係合され、LED構造体の基板6aの対応端面を受け部8bで受け止める。また、弾性支持部材8は、受け部8b手前に折り曲げ部8dを有し、折り曲げ部8dが本止め状態で基板6aの端面と圧接する。つまり、弾性支持部材8は、図2(b)に示されるごとく基板6aが対向した両端面のうち、一方端面を対応する段差部15に位置規制し、他方端面を第一半体の導出穴17を通って外へ突出した受け部8bに掛け止めた状態で基板6aないしはLED構造体6を仮止め可能にする。巻線部8cは、微動可能になっており、受け部8bが仮止め位置から本止め位置つまり取付面M1に面一になるまで押圧される過程で付勢力を蓄える。この時、受け部8bの延長末端8eは放熱部材の遮光部37に近づき、かつ、折り曲げ部8dは取付面M1に当接する。また、この形態では、前記付勢力によりLED構造体の基板6aが対応する段差部15と折り曲げ部8dの間に確実強固に拘束可能となり、巻線部8cが取付面M1に当接することによって弾性支持部材8自身は第一半体1に接しない。つまり熱によるぐらつきが抑えられる。又、仮に第一半体1が熱膨張しても、がたつかないよう隙間を吸収可能となる。
【0034】
以上のようにして、放熱部材3と共に給電端子40などを配置した第二半体2には、第一半体1が連結される。両半体1,2は、第一半体の複数のボス13と第二半体の対応する穴部23との嵌合、及び第一半体の連結片12の爪と第二半体の段差22bとの係合により連結される。以上の詳細は上記した先願を参照されたい。そして、この形態では、以上のLEDソケット5ないしは第二半体2に金属製カバー7が組み付けられる。
【0035】
金属製カバー7は、図5(a)及び図6に示されるごとく第二半体の上面部分2a及び外周部分2bを覆う略キャップ形状からなり、上面部分2aを覆うよう形成された上面被覆部分70と、外周部分2bを覆うよう形成された外周被覆部分76,77bとを有している。このうち、上面被覆部分70には、第二半体2の上面の一部を露出している一対の切欠部71と、取付穴11,21と同軸線上に開口された穴部72,72と、各穴部72の外周側に設けられて線加工ばね4により押圧される受け部73,73と、各受け部73の両側を切り欠した合計4箇所の小切欠75とが設けられている。また、各切欠部71の外周側には、外周縁から立ち上がった補強用小立壁部77aが設けられている。
【0036】
これに対し、外周被覆部としては、各受け部73を挟んだ上面被覆部分70の外縁からそれぞれ折り曲げられている2箇所の外周被覆部分76と、各切欠部71を挟んだ上面被覆部分の外周縁に設けられてスリット74,74の間を下向きに折り曲げた2箇所の掛け止め用被覆部分77bとを有している。各外周被覆部分76は、周方向の両側が対応する小切欠75,75の真下に位置し、かつ、下側を内方向に突出形成した圧接部78を有している。各圧接部78は対応する放熱部材3の外周に圧接可能となっている。また、各外周被覆部分76には、下縁から水平に折り曲げられて取付面M1に当接する突部79と、受け部73に対応した部分を切り欠いた縦溝76bとが設けられている。
【0037】
そして、金属製カバー7は、LEDソケット5ないしは第二半体2に組み付けられる。この操作では、金属製カバー7が例えば2箇所の受け部73を対応する取付穴21の外周側切り欠きに位置するよう押圧操作されると、LEDソケット5ないしは第二半体2に回転不能に組み付けられると共に、各圧接部78が放熱部材3の外周の露出部に圧接される。
【0038】
(LEDソケットの取付構造)以上の金属製カバー7を組み付けたLEDケット5は、取付面M1に対し線加工ばね4の2個を略対向させた状態に取り付け、それら各線加工ばね4により押圧して固定支持される。ここで、まず、取付面M1には、図1に示されるごとく複数箇所(この例では2箇所)に突設されたLEDソケット位置決め壁M2と、各線加工ばね4の巻線部4cの暴れ規制ないしはぐらつき規制壁M3とが設けられている。これらは、LEDソケット5を容易かつ正確に位置決めしたり、巻線部4cの正常な作動を維持する構成である。
【0039】
線加工ばね4は、図3及び図5(b)に示されるごとく一端側に設けられて取付面M1に固定される取付部4a,4dと、他端側に設けられて金属製カバーの受け部73に圧接する弾性当接部4bと、取付部4dと弾性当接部4bとの間に形成された巻線部4cとを有している。弾性当接部4bは、巻線部4cから略U形に設けられると共に、先端側を円弧状に折り曲げてその折曲部を受け部73に押圧させるようになっている。
【0040】
そして、この例では、取付面M1に対し取付部4aが係止穴M4に位置決め係止され、取付部4dが取付面M1とネジS1の頭部との間に固定される。それ際には、取付部4dの下にワッシャWを配置することにより線加工ばね4の高さが必要に応じ調整される。また、線加工ばね4は、一端側の取付部4a,4dと他端側の弾性当接部4bとの間に形成された巻線部4cを有している。また、各線加工ばね4は、弾性当接部4bが図3(b)から推察されるごとく、巻線部4cのばね力と、前記した略U形の角度を拡径状態から縮径する方向へ回動するときのばね力により受け部73を下向き、つまり取付面M1側へ押圧してLEDソケット5を固定支持する。また、各線加工ばね4は、弾性当接部4bがばね力に抗して略U形の角度を拡径する方向へ回動操作されることによりLEDソケット5の固定支持を解放可能となる。
【0041】
(変形例1)この変形例1は、金属製カバー7に電気的なショートの虞を避けるため設けられた2箇所の切欠部71を遮光板90で覆ったものである。遮光板90は、上記遮光片9と同様なマイカ(雲母)板であり、図7(b)のごとく略矩形の本体90aと、本体90aの片側から細く延びている延長部90bとを有している。また、この例では、本体90aの外周縁90cなどを薄く潰して、上記した第一半体の上面2aと金属製カバー7の対応縁部の間に挟持されることで不用意に動かなくなるようにしている。
【0042】
(変形例2)この変形例1は、以上の金属製カバー7を図9図10に示されたLEDソケット5ないしは第一半体1に組み付けたものである。金属製カバー7は、上記形態例と同じく上面被覆部分70に設けられた2箇所の受け部73と、外周被覆部76に設けられて両半体1,2の間に挟持された放熱部材3に接触する圧接部78とを有している。このLEDソケット5は、形態例と同様に取付面M1に対し対向配置された2個の線加工ばねで固定支持したり、上面被覆部分70に設けられた穴部72、第一半体の取付穴21、第二半体の取付穴を利用して従来のネジで固定支持することも可能である。
【0043】
(作動特徴)以上のLEDソケット及びその取付構造の利点について明らかにする。
(ア)、LEDソケット5としては、両半体1,2が樹脂製であるためセラミック製に比べ量産時の加工精度を上げたり製造コストを低減でき、加えてLEDソケット5が取付面M1に固定支持された使用状態で、金属製カバー7の上面被覆部分、70で第二半体2の上面部分を、外周被覆部分76で第二半体2の外周部分を覆っているため発光部6b及び給電部6cなどに発生した熱を効率よく逃がし、それにより熱対策として優れた放熱特性を具備でき、両半体1,2の熱変形の虞を解消できる。
【0044】
(イ)、以上の点は、両半体1,2で挟持された熱伝導に優れた放熱部材3を有していると、より優れた放熱特性を具備できる。すなわち、放熱部材3は、発光部6b及び給電部6c等に発生した熱が金属製カバー7を通して外部、例えば照明用機器M側へ効率よく逃がすよう作用し、それにより樹脂製の両半体1,2にこもり易い熱対策として最良の放熱特性を付与できる。すなわち、両半体1,2は樹脂製でかつ放熱部材を有しない従来のLEDソケットだと、長期照明により160℃ぐらいの周囲温に晒されて経年劣化し易くなる。これに比べ、本発明のごとく金属製カバー7で覆うことにより、更に放熱部材を追加することにより100℃を超えないようになる。特に、金属製カバー7の放熱特性は、特許文献1の放熱部材に比べLEDソケットの表面側である第二半体を包み込むため最良なものとなる。また、COBタイプではLED素子をまもるため85℃以下に保つことが好ましいと言われており、対策として金属製カバー7は有用な構成となる。また、上面被覆部分70に設けた受け部73を取付部材である線加工ばね4で押圧することによりLEDソケット5の取付状態を安定化したり、形態例のごとく着脱可能な固定も展開可能となる。
【0045】
(ウ)、形態例では、金属製カバー7の電気的なショートの虞を避けるため例えばLED構造体の給電部6cと給電端子40の接続部等に対応して切欠部71を設け、その切欠部71を遮光板90で覆っているため、熱対策としてより最良となり信頼性を向上できる。
【0046】
(エ)、これに対し、LEDソケット5を照明用機器側の取付面M1に対し着脱可能に支持するLEDソケットの取付構造として、両半体1,2が樹脂製からなる欠点を金属製カバー7を追加して放熱特性を良好にし、更に金属製カバー7及び線加工ばね4によりLDEソケット5を容易に交換可能に固定支持できるようになる。具体的には、線加工ばね4が略対向配置された2個用いられて線加工ばね4同士の間にLEDソケット5を支持する。この取付構造では、両半体1,2が金属製カバー7により覆われると共に、線加工ばね4の弾性当接部4bが金属製カバー7の対応する受け部73を取付面側へ押し、その結果、両半体1,2がその圧接力或いは押圧力により取付面M1に確実に固定支持される。
【0047】
(オ)、この取付構造では、まず、取付面M1が線加工ばね4の巻線部4cのぐらつき規制壁M3やLEDソケット位置決め壁M2を有しているため、線加工ばね4やLEDソケット5が取付面M1に位置決め容易となると共に、線加工ばね4を設計通り正確に作動可能となる。
【0048】
(カ)、この取付構造では、線加工ばね4が一端側の取付部4a,4dと他端側の弾性当接部4bとの間に形成された巻線部4cを有し、図3(b)から推察されるごとく弾性当接部4bが巻線部4cのばね力に抗して拡径されてLEDソケットの支持を解放可能となるため、LEDソケットをワンタッチで着脱操作できる。
(キ)、また、この取付構造では、金属製カバー7が受け部73の近傍に設けられて取付面M1に当接する突部79を有していると、取付面M1に対しLEDソケット5を位置決めしたり、安定した取付状態を維持できる。
【0049】
なお、本発明は、以上の形態例に示したLED構造体、LEDソケットに何ら制約されるものではない。本発明は、請求項に特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。その一例として、形態例では、金属製カバー7の外周被覆部分76を比較的周囲方向に短く形成したが、周囲方向により長く形成することである。また、線加工ばね4の形状もこの形態に限られず、色々な変形可能なものである。又、遮光板90は対の2つとしたが、放熱部材3の遮光部37の縁までまわる略円形の1つものとすることも可能である。
【0050】
1・・・・・第一半体(1aは上面、1bは下面)
2・・・・・第二半体(2aは上面、2bは下面)
3・・・・・放熱部材(3aは上面、3bは下面)
4・・・・・線加工ばね(4a,4dは取付部、4bは弾性当接部)
5・・・・・LEDソケット
6・・・・・LED構造体(6aは基板、6bは発光部、6cは給電部)
7・・・・・金属製カバー(70は上面被覆部分、76は外周被覆部分)
8・・・・・弾性支持部材(8aは一端、8bは受け部、8cは巻線部)
9・・・・・遮光片
10・・・・開口
11・・・・取付穴
12・・・・連結片
15・・・・段差部
20・・・・開口
21・・・・取付穴
30・・・・筒部
31・・・・挿通穴
35・・・・溝部
36・・・・係止穴
37・・・・遮光部(37aは延長部)
38・・・・溝部
39・・・・絶縁性チップ
40・・・・給電端子(45,46はリード線)
71・・・・切欠部
72・・・・穴部
73・・・・受け部
78・・・・圧接部
79・・・・突部
90・・・・遮光板
M・・・・・照明用機器(M1は取付面)
M2・・・・ソケット位置決め壁
M3・・・・ぐらつき規制壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10