IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツバの特許一覧

特開2022-105358モータ制御装置およびモータ制御方法
<>
  • 特開-モータ制御装置およびモータ制御方法 図1
  • 特開-モータ制御装置およびモータ制御方法 図2
  • 特開-モータ制御装置およびモータ制御方法 図3
  • 特開-モータ制御装置およびモータ制御方法 図4
  • 特開-モータ制御装置およびモータ制御方法 図5
  • 特開-モータ制御装置およびモータ制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105358
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】モータ制御装置およびモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20220707BHJP
   H02P 6/28 20160101ALI20220707BHJP
【FI】
H02P27/08
H02P6/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000062
(22)【出願日】2021-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 未也
【テーマコード(参考)】
5H505
5H560
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505BB09
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD06
5H505EE49
5H505FF01
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA01
5H505HA09
5H505HB02
5H505JJ03
5H505JJ18
5H505JJ24
5H505JJ26
5H505KK05
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL44
5H505MM14
5H505MM17
5H560BB04
5H560BB07
5H560DB00
5H560DC05
5H560DC12
5H560DC13
5H560EB01
5H560HA00
5H560JJ16
5H560RR03
5H560TT01
5H560TT08
5H560TT15
5H560UA05
5H560XA02
5H560XA04
5H560XA12
5H560XB05
(57)【要約】
【課題】相電流を検出するセンサを有さない構成において、電源電流に基づいて相電流の算出値を精度良く導出する。
【解決手段】目標デューティを設定する設定部と、目標デューティと所定の補正値とに基づいて、タイマ出力を生成するタイマ出力生成部と、タイマ出力に基づいて、スイッチング素子をオン/オフさせる駆動信号を生成する駆動部と、電源電流の検出値を取得する第1取得部と、目標デューティと、電源電流の検出値とに基づいて、相電流の算出値を導出する相電流算出部と、を備え、設定部は、相電流の算出値と、目標相電流とに基づいて、目標デューティを設定する、モータ制御装置が開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源にインバータ回路を介して電気的に接続されるモータを流れる相電流を目標相電流に追従するように制御するモータ制御装置であって、
目標デューティを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記目標デューティと、所定の補正値とに基づいて、タイマ出力を生成するタイマ出力生成部と、
前記タイマ出力生成部により生成された前記タイマ出力に基づいて、前記インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフさせる駆動信号を生成する駆動部と、
前記電源と前記インバータ回路の間を流れる電源電流の検出値を取得する第1取得部と、
前記設定部により設定された前記目標デューティと、前記第1取得部により取得された前記電源電流の検出値とに基づいて、前記相電流の算出値を導出する相電流算出部と、を備え、
前記設定部が、前記相電流算出部により算出された前記相電流の算出値と、前記目標相電流とに基づいて、前記目標デューティを設定する、モータ制御装置。
【請求項2】
前記所定の補正値は、前記タイマ出力が前記スイッチング素子をオンさせる第1状態に変化してから前記スイッチング素子がオンするまでの第1時間と、前記タイマ出力が前記スイッチング素子をオフさせる第2状態に変化してから前記スイッチング素子がオフするまでの第2時間とに基づいて、適合されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記所定の補正値は、前記第1時間から前記第2時間を引いた差に基づく値であり、
前記タイマ出力生成部は、前記目標デューティに係る時間に前記所定の補正値に係る時間を加算した時間が、前記タイマ出力における前記第1状態の持続時間となるように、前記タイマ出力を生成する、請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記第1時間は、
前記タイマ出力が前記第1状態に変化した時点から、前記タイマ出力における前記第1状態への変化が前記駆動部に入力されるまでの第1遅れ時間、
前記第1状態への変化が前記駆動部に入力された時点から、前記駆動部の出力ポートの電圧であって前記駆動信号に係る電圧が立ち上がるまでの第2遅れ時間、
前記駆動部の出力ポートの電圧が立ち上がった時点から、前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち上がり始めるまでの第3遅れ時間、および、
前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち上がり始めた時点から、前記スイッチング素子がオンするまでの第4遅れ時間、
のうちの、少なくともいずれか1つを含む、請求項2又は請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記第2時間は、
前記タイマ出力が前記第2状態に変化した時点から、前記タイマ出力における前記第2状態への変化が前記駆動部に入力されるまでの第5遅れ時間、
前記第2状態への変化が前記駆動部に入力された時点から、前記駆動部の出力ポートの電圧であって前記駆動信号に係る電圧が立ち下がるまでの第6遅れ時間、
前記駆動部の出力ポートの電圧が立ち下がった時点から、前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち下がり始めるまでの第7遅れ時間、および、
前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち下がり始めた時点から、前記スイッチング素子がオフするまでの第8遅れ時間、
のうちの、少なくともいずれか1つを含む、請求項2~請求項4のうちのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のうちのいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
前記電源の電源電圧および前記駆動部の温度のうちの少なくともいずれか1つを表すパラメータの検出値を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された前記パラメータの検出値に基づいて、前記所定の補正値を算出する補正値算出部とを、更に備える、モータ制御装置。
【請求項7】
電源にインバータ回路を介して電気的に接続されるモータを流れる相電流を目標相電流に追従するように制御するモータ制御方法であって、
目標デューティを設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された前記目標デューティと、所定の補正値とに基づいて、タイマ出力を生成するタイマ出力生成ステップと、
前記タイマ出力生成ステップにより生成された前記タイマ出力に基づいて、前記インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフさせる駆動信号を生成する駆動ステップと、
前記電源と前記インバータ回路の間を流れる電源電流の検出値を取得する第1取得ステップと、
前記設定ステップにより設定された前記目標デューティと、前記第1取得ステップにより取得された前記電源電流の検出値とに基づいて、前記相電流の算出値を導出する相電流算出ステップと、を備え、
前記設定ステップが、前記相電流算出ステップにより算出された前記相電流の算出値と、前記目標相電流とに基づいて、前記目標デューティを設定する、モータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置およびモータ制御方法に関し、特に電源に電気的に接続されるモータを流れる相電流を目標相電流に追従するように制御するモータ制御装置およびモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電圧を生成する制御の方式が異なれば、生成される電圧および電流は同一ではないことを考慮して、モータの回転速度に応じて電圧生成の駆動方式を変更する場合に、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号を補正することで、モータの回転速度の変動を抑制しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-028944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータを流れる相電流を目標相電流に追従するように制御する場合、相電流を精度良く検出できることが望ましい。この点、相電流を検出するセンサを有さない構成では、制御回路の遅れに起因して、電源電流に基づく相電流の算出値を精度良く導出できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、相電流を検出するセンサを有さない構成において、電源電流に基づいて相電流の算出値を精度良く導出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、電源にインバータ回路を介して電気的に接続されるモータを流れる相電流を目標相電流に追従するように制御するモータ制御装置であって、
目標デューティを設定する設定部と、
前記設定部により設定された前記目標デューティと、所定の補正値とに基づいて、タイマ出力を生成するタイマ出力生成部と、
前記タイマ出力生成部により生成された前記タイマ出力に基づいて、前記インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフさせる駆動信号を生成する駆動部と、
前記電源と前記インバータ回路の間を流れる電源電流の検出値を取得する第1取得部と、
前記設定部により設定された前記目標デューティと、前記第1取得部により取得された前記電源電流の検出値とに基づいて、前記相電流の算出値を導出する相電流算出部と、を備え、
前記設定部が、前記相電流算出部により算出された前記相電流の算出値と、前記目標相電流とに基づいて、前記目標デューティを設定する、モータ制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、相電流を検出するセンサを有さない構成において、電源電流に基づいて相電流の算出値を精度良く導出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】モータ駆動システムの一実施形態を概略的に示す図である。
図2】モータ制御装置の一実施形態を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】速度制御部により実現される速度制御を説明する概略的なブロック図である。
図4】電流PI制御部の詳細例を示す機能ブロック図である。
図5】比較例によるPWMタイマ出力の生成方法の説明図である。
図6】本実施形態によるPWMタイマ出力の生成方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、モータ駆動システム2の一実施形態を概略的に示す図である。
【0011】
モータ駆動システム2は、例えば車両に搭載される。なお、モータ駆動システム2は、車両以外の用途で利用されてもよい。
【0012】
モータ駆動システム2は、図1に示すように、電源3と、モータ制御装置10と、モータ12と、電流センサ14とを備えている。
【0013】
電源3は、例えば直流電源である。電源3は、鉛バッテリや、リチウムイオンバッテリ、燃料電池等、任意の電源であってよい。
【0014】
モータ制御装置10は、モータ12を制御する。モータ制御装置10は、例えばマイクロコンピュータ等を含んでなる処理装置である。モータ制御装置10のハードウェア構成は任意であり、車載ECU(Electronic Control Unit)と同様であってよい。
【0015】
図1に示す例では、モータ制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ゲートドライブ回路102と、インバータ回路103とを含む。
【0016】
ゲートドライブ回路102は、例えばIC(Integrated Circuit)の形態である。ゲートドライブ回路102は、6つの入力ポート1021-1~1021-6と、6つの出力ポート1022-1~1022-6とを含む。6つの入力ポート1021-1~1021-6には、CPU101が電気的に接続され、6つの出力ポート1022-1~1022-6には、インバータ回路103が電気的に接続される。
【0017】
CPU101は、ゲートドライブ回路102の6つの入力ポート1021-1~1021-6のそれぞれに、PWMタイマ出力(タイマ出力の一例)を与える。PWMタイマ出力は、パルス信号の形態であり、本実施形態では、LowからHighへの立ち上がりによって、インバータ回路103の対応するスイッチング素子(高電位側スイッチング素子SW1又は低電位側スイッチング素子SW2)をオンさせ、HighからLowへの立ち下がりによって、インバータ回路103の対応するスイッチング素子(高電位側スイッチング素子SW1又は低電位側スイッチング素子SW2)をオフさせる。
【0018】
ゲートドライブ回路102は、6つの入力ポート1021-1~1021-6を介して入力されるCPU101からのPWMタイマ出力に基づいて、6つの出力ポート1022-1~1022-6を介してインバータ回路103を駆動する駆動信号を出力する。本実施形態では、駆動信号は、出力ポート1022-1~1022-6のそれぞれにおける電圧の時系列により実現される。
【0019】
例えば、ゲートドライブ回路102は、入力ポート1021-1におけるPWMタイマ出力のLowからHighへの立ち上がりに基づいて、出力ポート1022-1における出力(ポート出力)を所定電圧[V]まで立ち上げる。また、ゲートドライブ回路102は、入力ポート1021-1におけるPWMタイマ出力のHighからLowへの立ち下がりに基づいて、出力ポート1022-1における出力(ポート出力)を所定電圧[V]から0[V]まで立ち下げる。他の5つの入力ポート1021-2~1021-6についても同様の動作である。なお、所定電圧は、対応するスイッチング素子(高電位側スイッチング素子SW1又は低電位側スイッチング素子SW2)をオンさせるのに必要な電圧値に設定される。
【0020】
インバータ回路103は、各相(u相、v相およびw相)のコイル13u、コイル13v、コイル13wに電気的に接続される。インバータ回路103は、相ごとに、高電位側スイッチング素子SW1および低電位側スイッチング素子SW2を有する。本実施形態では、高電位側スイッチング素子SW1および低電位側スイッチング素子SW2として、n型FET(Field effect transistor)を用いた例を示しているが、任意の素子を用いることができる。
【0021】
各相の高電位側スイッチング素子SW1および低電位側スイッチング素子SW2のそれぞれのゲートには、互いに独立した駆動ラインを介して、ゲートドライブ回路102の出力ポート1022-1~1022-6が電気的に接続されている。従って、例えば、ゲートドライブ回路102の出力ポート1022-1における出力(ポート出力)が所定電圧[V]まで立ち上がると、対応するスイッチング素子(すなわち、出力ポート1022-1に電気的に接続されるU相の高電位側スイッチング素子SW1)がオンし、ゲートドライブ回路102の出力ポート1022-1における出力(ポート出力)が0[V]まで立ち下がると、対応するスイッチング素子がオフする。他の5つの出力ポート1022-2~1022-6についても同様の動作である。
【0022】
モータ12は、例えば3相のブラシレスモータであり、各相(u相、v相およびw相)のコイル13u、コイル13v、コイル13wを有する。モータ12の用途は任意であり、例えば油圧ポンプの駆動用であってもよい。
【0023】
電流センサ14は、電源3とインバータ回路103の間を流れる電源電流を検出するように設けられる。電流センサ14は、例えばシャント抵抗R1を含む。シャント抵抗R1の両端電圧は、増幅器41を介してCPU101に供給される。なお、図1では、電流センサ14は、インバータ回路103の高電位側に配置されているが、低電位側に配置されてもよい。
【0024】
図2は、モータ制御装置10の一実施形態を概略的に示す機能ブロック図である。なお、図2には、関連する構成として、モータ12や回転センサ13、電流センサ14とともに、上位ECU4が併せて示されている。
【0025】
上位ECU4は、モータ制御装置10よりも上位の制御装置であり、モータ制御装置10に対して各種指令(例えば指令電流)を与える。回転センサ13は、モータ12の回転数に応じた電気信号をセンサ情報としてモータ制御装置10に供給する。
【0026】
モータ制御装置10は、図2に示すように、モータ駆動部110(駆動部の一例)と、電流制御部112と、回転数算出部114と、目標値取得部116と、速度制御部118と、を備えている。なお、モータ駆動部110は、図1に示したゲートドライブ回路102およびインバータ回路103により実現されてよく、電流制御部112、回転数算出部114、目標値取得部116、および速度制御部118は、図1に示したCPU101により実現されてよい。
【0027】
モータ駆動部110は、電流制御部112や速度制御部118から与えられるPWMタイマ出力に基づいてインバータ回路103を制御し、PWMタイマ出力に応じた駆動電流(例えば3相の駆動電流)をモータ12に与える。
【0028】
電流制御部112は、モータ12を停止状態から回転させるための電流制御を行う。すなわち、電流制御部112は、モータ12を始動させる電流制御を行う。
【0029】
回転数算出部114は、回転センサ13からのセンサ情報に基づいて、モータ12の回転数(実回転数)を算出する。なお、他の例では、回転数算出部114は、駆動電流のようなパラメータに基づいて、モータ12の実回転数を算出(推定)してもよい。
【0030】
目標値取得部116は、モータ12の回転数に係る目標値である目標回転数を取得する。目標値取得部116は、上位ECU4からの指令回転数に基づいて、目標回転数を取得(算出)する。例えば、目標値取得部116は、上位ECU4からの指令回転数を目標回転数としてそのまま利用してもよい。あるいは、目標値取得部116は、フィルタ処理を行い、フィルタ処理後の指令回転数を目標回転数として取得してもよい。例えば、目標値取得部116は、上位ECU4からの指令回転数と、フィルタ処理後の指令回転数との差分を算出し、当該差分にフィルタゲインを乗じ、フィルタゲインを乗じた差分と、フィルタ処理後の指令回転数とを足し合わせることで、フィルタ処理後の指令回転数を、目標回転数として取得してもよい。
【0031】
速度制御部118は、回転数算出部114により算出されるモータ12の実回転数が、目標値取得部116により取得された目標回転数になるようにモータ12の速度制御を行う。速度制御部118による速度制御は、例えば図3に示す態様で実現できる。図3は、速度制御部118により実現される速度制御を説明する概略的なブロック図である。図3に示す例では、速度制御部118において、目標値取得部116により取得された目標回転数と、回転数算出部114により算出された実回転数との偏差に基づいて、速度PI制御部1181により目標相電流が算出される。そして、目標相電流と相電流(算出値)との偏差に基づいて、電流PI制御部1182によりPWMタイマ出力が生成され、PWMタイマ出力がモータ駆動部110に供給される。
【0032】
モータ12の始動時において、速度制御部118による速度制御は、上記した電流制御部112による電流制御に後続して実行される。本実施形態では、モータ制御装置10の制御状態は、速度制御部118による速度制御状態と、電流制御部112による電流制御状態とを選択的に含み、モータ12の始動時において電流制御から速度制御状態への遷移は、所定遷移条件が満たされた場合に実現される。所定遷移条件は、例えば、回転数算出部114により算出された実回転数が閾値を超えた場合に満たされる。あるいは、所定遷移条件は、電流制御部112による電流制御状態が所定時間以上継続した場合に満たされてもよい。あるいは、所定遷移条件は、モータ12の回転量が閾値(例えば1回転)を超えた場合にも満たされてもよい。
【0033】
次に、図4以降を参照して、電流PI制御部1182の詳細例について説明する。
【0034】
図4は、電流PI制御部1182の詳細例を示す機能ブロック図である。
【0035】
電流PI制御部1182は、図4に示すように、設定部70と、タイマ出力生成部72と、相電流算出部74と、パラメータ取得部76とを含む。
【0036】
設定部70は、図4に示すように、PI制御により、目標相電流と相電流(算出値)との偏差に基づいて、目標デューティを設定(算出)する。具体的には、設定部70は、目標相電流と相電流(算出値)との偏差ΔIを算出し(符号701参照)、偏差ΔIに比例ゲインKpを乗算することで、P項の値(=ΔI×Kp)を算出する(符号702参照)。また、設定部70は、偏差ΔIを時間積算して積算値ΣΔIを導出し(符号703参照)、積算値ΣΔIに積分ゲインKiを乗算することで、I項の値(=ΣΔI×Ki)を算出する(符号704参照)。そして、設定部70は、P項の値(=ΔI×Kp)と、I項の値(=ΣΔI×Ki)とを足し合わせることで(符号705参照)、目標デューティα[%]を得る。
【0037】
タイマ出力生成部72は、設定部70により設定された目標デューティαと、所定の補正値βとに基づいて、PWMタイマ出力を生成する。PWMタイマ出力は、上記したように、パルス信号の形態であり、インバータ回路103の各スイッチング素子(高電位側スイッチング素子SW1又は低電位側スイッチング素子SW2)をオン/オフさせるための信号となる。
【0038】
所定の補正値βは、制御回路の遅れに起因して実デューティと目標デューティαとの間に生じる差を低減又は無くすように機能する。なお、所定の補正値βの単位は、目標デューティと同じ[%]であってよい。
【0039】
タイマ出力生成部72は、目標デューティαと、パラメータ取得部76により取得された所定の補正値βとを足し合わせることで(符号7201参照)、タイマ設定値(=α+β)を算出する(符号7201参照)。そして、タイマ出力生成部72は、タイマ設定値に基づいてPWMタイマ出力を生成し出力する(符号7202参照)。例えば、タイマ出力生成部72は、目標デューティαに係る時間に所定の補正値βに係る時間を加算した時間が、PWMタイマ出力におけるHigh状態の持続時間(以下、「オン期間」とも称する)となるように、PWMタイマ出力を生成する。すなわち、タイマ出力生成部72は、PWMタイマ出力における全体に占めるオン期間の百分率(オンデューティ)が、タイマ設定値に一致するように、PWMタイマ出力を生成する。
【0040】
相電流算出部74は、設定部70により設定された目標デューティαと、パラメータ取得部76により取得された電源電流の検出値Iとに基づいて、相電流の算出値を導出する(符号7401参照)。具体的には、相電流算出部74は、相電流[A]=I[A]/α[%]×100として、相電流の算出値を導出する。このようにして導出された相電流の算出値は、図4に示すように、設定部70において偏差ΔIを算出する際(符号701参照)に利用される。
【0041】
パラメータ取得部76は、第1取得部761を含む。
【0042】
第1取得部761は、上記した電流センサ14から、電源3からモータ12に供給される電源電流の検出値Iを取得する。
【0043】
パラメータ取得部76は、第1取得部761に加えて、第2取得部762を更に含んでよい。この場合、タイマ出力生成部72は、補正値算出部721を含んでよい。
【0044】
第2取得部762は、電源3の電源電圧およびモータ駆動部110の温度、のうちの少なくともいずれか1つを表すパラメータの検出値を取得する。なお、電源3の電源電圧は、例えば電圧センサから取得されてもよい。また、モータ駆動部110の温度は、モータ駆動部110に設けられる温度センサ(例えばサーミスタ)から取得されてもよい。
【0045】
このような第2取得部762を備える場合、上記した所定の補正値βは、可変値であってよい。具体的には、補正値算出部721は、第2取得部762により取得されたパラメータの検出値に基づいて、所定の補正値βを算出する。この場合、補正値算出部721は、例えば電源3の電源電圧が高いほど所定の補正値βが線形的又は非線形的に大きくなる態様で、所定の補正値βを変化させてもよい。また、補正値算出部721は、例えばモータ駆動部110の温度が高いほど所定の補正値βが線形的又は非線形的に小さくなる態様で、所定の補正値βを変化させてもよい。
【0046】
このような本実施形態によれば、設定部70により設定された目標デューティαをそのまま利用してPWMタイマ出力を生成するのではなく、設定部70により設定された目標デューティαに所定の補正値βを適用してPWMタイマ出力を生成するので、実デューティと目標デューティとの間の誤差を低減又は無くすことができる。すなわち、本実施形態によれば、設定部70により設定された目標デューティαに所定の補正値βを適用してPWMタイマ出力を生成することで、制御回路の遅れに起因して生じうる実デューティと目標デューティとの間の誤差を低減又は無くすことができる。これにより、相電流算出部74により算出される相電流の精度を効果的に高めることができる。この結果、設定部70により設定された目標デューティαの精度も向上し、モータ12の制御の信頼性を高めることができる。
【0047】
次に、図5および図6を参照して、所定の補正値βの好ましい設定方法とともに、本実施形態の効果について説明する。
【0048】
図5は、比較例によるPWMタイマ出力の生成方法の説明図であり、図6は、本実施形態によるPWMタイマ出力の生成方法の説明図である。図5および図6には、横軸を時間として、PWMタイマ出力、プリドライバ入力、ポート出力、ゲート電圧、および相電圧の各時系列波形が示されている。なお、プリドライバ入力とは、ゲートドライブ回路102の入力ポート1021-1~1021-6のうちの、一の入力ポートへの入力を表し、ポート出力は、ゲートドライブ回路102の出力ポート1022-1~1022-6のうちの、一の出力ポートからの出力を表す。ここでは、代表として、インバータ回路103の6つのスイッチング素子のうちの、一の高電位側スイッチング素子SW1に係る波形を示す。
【0049】
比較例では、設定部70により設定された目標デューティαをそのまま利用してPWMタイマ出力が生成される。すなわち、タイマ設定値が目標デューティαと同じであり、PWMタイマ出力のオン期間は、目標デューティαに係る時間に対応する。
【0050】
このような比較例の場合、図5に模式的に示すように、制御回路の遅れに起因して生じうる実デューティと目標デューティとの間に誤差が生じやすくなる。
【0051】
具体的には、オフ状態の高電位側スイッチング素子SW1をオンさせる際に制御回路の遅れとして生じうる時間は、以下のように、第1遅れ時間ΔT1、第2遅れ時間ΔT2、第3遅れ時間ΔT3、および第4遅れ時間ΔT4の4つがある。
【0052】
第1遅れ時間ΔT1は、PWMタイマ出力がHigh(第1状態の一例)に変化した時点t1から、該変化(すなわち立ち上がりエッジ)がゲートドライブ回路102に入力される時点t2までの遅れに対応する。
【0053】
第2遅れ時間ΔT2は、PWMタイマ出力のHighへの変化がゲートドライブ回路102に入力された時点t2から、ゲートドライブ回路102の出力ポート(例えば出力ポート1022-1)の電圧が立ち上がる時点t3までの遅れに対応する。
【0054】
第3遅れ時間ΔT3は、ゲートドライブ回路102の出力ポート(例えば出力ポート1022-1)の電圧が立ち上がった時点t3から、高電位側スイッチング素子SW1のゲート電圧が立ち上がり始める時点t4までの遅れに対応する。
【0055】
第4遅れ時間ΔT4は、高電位側スイッチング素子SW1のゲート電圧が立ち上がり始めた時点t4から、高電位側スイッチング素子SW1がオンする時点t5までの遅れに対応する。
【0056】
このようにして、PWMタイマ出力がHighに変化する時点から高電位側スイッチング素子SW1がオンする時点までの時間(第1時間の一例)は、制御回路の各種の遅れに起因してゼロよりも有意に大きくなる傾向がある。
【0057】
また、オン状態の高電位側スイッチング素子SW1をオフさせる際に制御回路の遅れとして生じうる時間(第2時間の一例)は、以下のように、第5遅れ時間ΔT5、第6遅れ時間ΔT6、第7遅れ時間ΔT7、および第8遅れ時間ΔT8の4つがある。
【0058】
第5遅れ時間ΔT5は、PWMタイマ出力がLow(第2状態の一例)に変化した時点t15から、該変化がゲートドライブ回路102に入力される時点t16までの遅れに対応する。
【0059】
第6遅れ時間ΔT6は、PWMタイマ出力のLowへの変化がゲートドライブ回路102に入力された時点t16から、ゲートドライブ回路102の出力ポート(例えば出力ポート1022-1)の電圧が立ち下がる時点t17までの遅れに対応する。
【0060】
第7遅れ時間ΔT7は、ゲートドライブ回路102の出力ポート(例えば出力ポート1022-1)の電圧が立ち下がった時点t17から、高電位側スイッチング素子SW1のゲート電圧が立ち下がり始める時点t18までの遅れに対応する。
【0061】
第8遅れ時間ΔT8は、高電位側スイッチング素子SW1のゲート電圧が立ち下がり始めた時点t18から、高電位側スイッチング素子SW1がオフする時点t19までの遅れに対応する。
【0062】
このようにして、PWMタイマ出力がLowに変化する時点から高電位側スイッチング素子SW1がオフする時点までの時間(第2時間の一例)は、制御回路の各種の遅れに起因してゼロよりも有意に大きくなる傾向がある。
【0063】
この場合、実デューティの時間換算値は、以下のとおりとなる。なお、時間換算値とは、デューティに係る時間(%を時間に換算した値)を表す。
実デューティ=タイマ設定値(時間換算値)-(ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4)+(ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)
そして、タイマ設定値=目標デューティαである比較例の場合、実デューティは、以下のとおりとなる。
実デューティ(時間換算値)=目標デューティα(時間換算値)-(ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4)+(ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)
このとき、オン側の遅れ時間(=ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4)とオフ側の遅れ時間(=ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)とが一致しない場合、その差分に応じた誤差が、実デューティと目標デューティαとの間に生じる。このような誤差が生じると、目標デューティαに基づいて算出される相電流(上記した相電流算出部74の説明参照)において、実際の相電流に対する誤差が生じる。
【0064】
これに対して、本実施形態によれば、オン側の遅れ時間(=ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4)とオフ側の遅れ時間(=ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)とが一致しない場合でも、上記したように、所定の補正値βを適切に設定することによって、上記のような比較例で生じる誤差を低減できる。
【0065】
具体的には、本実施形態では、所定の補正値βは、好ましくは、オン側の遅れ時間(=ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4)からオフ側の遅れ時間(=ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)を引いた差分に応じた値とされる。具体的には、所定の補正値βは、以下のとおりである。
所定の補正値β(時間換算値)=ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4-(ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)
この場合、図6に示すように、オン側の遅れ時間(=ΔT1+ΔT2+ΔT3+ΔT4)とオフ側の遅れ時間(=ΔT5+ΔT6+ΔT7+ΔT8)とが一致しない場合でも、実デューティと目標デューティαとを一致させることができる。この結果、上記のように、相電流算出部74により算出される相電流の精度を効果的に高めることができる。そして、設定部70により設定された目標デューティαの精度も向上し、モータ12に係る制御の信頼性を高めることができる。
【0066】
なお、オン側の遅れ時間およびオフ側の遅れ時間は、制御回路の個体差によって個体ごとに若干異なりうるが、例えば型番ごとに共通な値が利用されてもよい。この場合、設計段階で試験等によりオン側の遅れ時間およびオフ側の遅れ時間が計測され、所定の補正値β(共通な値)が、かかる計測結果に適合されてよい。また、この場合、共通な値は、定期的に更新されてもよい。
【0067】
なお、変形例では、所定の補正値βは、オン側の遅れ時間と、オフ側の遅れ時間とを適宜変更することで、多様な態様で設定できる。所定の補正値βは、例えば以下のように多様な態様で設定されてもよい。
所定の補正値β(時間換算値)=ΔT1+ΔT2-(ΔT5+ΔT6)
所定の補正値β(時間換算値)=ΔT1+ΔT2+ΔT3-(ΔT5+ΔT6+ΔT7)
所定の補正値β(時間換算値)=ΔT1+ΔT2+ΔT4-(ΔT5+ΔT6+ΔT8)
所定の補正値β(時間換算値)=ΔT1+ΔT2-(ΔT7+ΔT8)
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0068】
なお、以上の本発明の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0069】
(付記1)
電源3にインバータ回路103を介して電気的に接続されるモータ12を流れる相電流を目標相電流に追従するように制御するモータ制御装置10であって、
目標デューティαを設定する設定部70と、
前記設定部により設定された前記目標デューティと、所定の補正値βとに基づいて、タイマ出力を生成するタイマ出力生成部72と、
前記タイマ出力生成部により生成された前記タイマ出力に基づいて、前記インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフさせる駆動信号を生成する駆動部(モータ駆動部110)と、
前記電源と前記インバータ回路の間を流れる電源電流の検出値を取得する第1取得部761と、
前記設定部により設定された前記目標デューティと、前記第1取得部により取得された前記電源電流の検出値とに基づいて、前記相電流の算出値を導出する相電流算出部74と、を備え、
前記設定部が、前記相電流算出部により算出された前記相電流の算出値と、前記目標相電流とに基づいて、前記目標デューティを設定する、モータ制御装置。
【0070】
付記1によれば、制御回路の遅れに起因して目標デューティと実デューティとの間に誤差が発生する場合でも、所定の補正値を適用することによって、かかる誤差を低減又は無くすことができる。これにより、相電流を検出するセンサを用いることなく、電源電流に基づいて相電流の算出値を精度良く導出できるモータ制御装置が得られる。
【0071】
(付記2)
前記所定の補正値は、前記タイマ出力が前記スイッチング素子をオンさせる第1状態に変化してから前記スイッチング素子がオンするまでの第1時間と、前記タイマ出力が前記スイッチング素子をオフさせる第2状態に変化してから前記スイッチング素子がオフするまでの第2時間とに基づいて、適合されている、付記1に記載のモータ制御装置。
【0072】
付記2によれば、制御回路の遅れのうちの、スイッチング素子をオンさせる際の遅れと、スイッチング素子をオフさせる際の遅れとを考慮できるので、目標デューティと実デューティとの間の誤差に対する所定の補正値の精度を高めることができる。
【0073】
(付記3)
前記所定の補正値は、前記第1時間から前記第2時間を引いた差に基づく値であり、
前記タイマ出力生成部は、前記目標デューティに係る時間に前記所定の補正値に係る時間を加算した時間が、前記タイマ出力における前記第1状態の持続時間となるように、前記タイマ出力を生成する、付記2に記載のモータ制御装置。
【0074】
付記3によれば、スイッチング素子をオンさせる際の遅れと、スイッチング素子をオフさせる際の遅れとの間の差を考慮できるので、目標デューティと実デューティとの間の誤差に対する所定の補正値の精度を高めることができる。
【0075】
(付記4)
前記第1時間は、
前記タイマ出力が前記第1状態に変化した時点から、前記タイマ出力における前記第1状態への変化が前記駆動部に入力されるまでの第1遅れ時間、
前記第1状態への変化が前記駆動部に入力された時点から、前記駆動部の出力ポートの電圧であって前記駆動信号に係る電圧が立ち上がるまでの第2遅れ時間、
前記駆動部の出力ポートの電圧が立ち上がった時点から、前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち上がり始めるまでの第3遅れ時間、および、
前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち上がり始めた時点から、前記スイッチング素子がオンするまでの第4遅れ時間、
のうちの、少なくともいずれか1つを含む、付記2又は付記3に記載のモータ制御装置。
【0076】
付記4によれば、第1時間を適切に設定できるので、目標デューティと実デューティとの間の誤差に対する所定の補正値の精度を高めることができる。
【0077】
(付記5)
前記第2時間は、
前記タイマ出力が前記第2状態に変化した時点から、前記タイマ出力における前記第2状態への変化が前記駆動部に入力されるまでの第5遅れ時間、
前記第2状態への変化が前記駆動部に入力された時点から、前記駆動部の出力ポートの電圧であって前記駆動信号に係る電圧が立ち下がるまでの第6遅れ時間、
前記駆動部の出力ポートの電圧が立ち下がった時点から、前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち下がり始めるまでの第7遅れ時間、および、
前記スイッチング素子のゲート電圧が立ち下がり始めた時点から、前記スイッチング素子がオフするまでの第8遅れ時間、
のうちの、少なくともいずれか1つを含む、付記2~付記4のうちのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【0078】
付記5によれば、第2時間を適切に設定できるので、目標デューティと実デューティとの間の誤差に対する所定の補正値の精度を高めることができる。
【0079】
(付記6)
付記1~付記5のうちのいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
前記電源の電源電圧および前記駆動部の温度のうちの少なくともいずれか1つを表すパラメータの検出値を取得する第2取得部762と、
前記第2取得部により取得された前記パラメータの検出値に基づいて、前記所定の補正値を算出する補正値算出部721とを、更に備える、モータ制御装置。
【0080】
付記6によれば、電源の電源電圧や駆動部の温度が変動した場合でも、適切な所定の補正値を設定でき、目標デューティと実デューティとの間の誤差に対する所定の補正値の精度を高めることができる。
【0081】
(付記7)
電源にインバータ回路を介して電気的に接続されるモータを流れる相電流を目標相電流に追従するように制御するモータ制御方法であって、
目標デューティを設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された前記目標デューティと、所定の補正値とに基づいて、タイマ出力を生成するタイマ出力生成ステップと、
前記タイマ出力生成ステップにより生成された前記タイマ出力に基づいて、前記インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフさせる駆動信号を生成する駆動ステップと、
前記電源と前記インバータ回路の間を流れる電源電流の検出値を取得する第1取得ステップと、
前記設定ステップにより設定された前記目標デューティと、前記第1取得ステップにより取得された前記電源電流の検出値とに基づいて、前記相電流の算出値を導出する相電流算出ステップと、を備え、
前記設定ステップが、前記相電流算出ステップにより算出された前記相電流の算出値と、前記目標相電流とに基づいて、前記目標デューティを設定する、モータ制御方法。
【0082】
付記7によれば、制御回路の遅れに起因して目標デューティと実デューティとの間に誤差が発生する場合でも、所定の補正値を適用することによって、かかる誤差を低減又は無くすことができる。これにより、相電流を検出するセンサを用いることなく、電源電流に基づいて相電流の算出値を精度良く導出できるモータ制御方法が得られる。
【符号の説明】
【0083】
2 モータ駆動システム
3 電源
10 モータ制御装置
12 モータ
13 回転センサ
13u、13v、13w コイル
14 電流センサ
41 増幅器
70 設定部
72 タイマ出力生成部
74 相電流算出部
76 パラメータ取得部
102 ゲートドライブ回路
103 インバータ回路
110 モータ駆動部
112 電流制御部
114 回転数算出部
116 目標値取得部
118 速度制御部
1181 速度PI制御部
1182 電流PI制御部
721 補正値算出部
761 第1取得部
762 第2取得部
1021-1~1021-6 入力ポート
1022-1~1022-6 出力ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6