(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105366
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】非常設会場冷房システム及び非常設会場冷房方法
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
F24F5/00 102K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000086
(22)【出願日】2021-01-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】521005764
【氏名又は名称】株式会社大野冷熱技研
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】大野 征男
(57)【要約】
【課題】非常設会場の冷房に適した冷房システム及び冷房方法を提供する。
【解決手段】蓄熱材として氷を貯える蓄熱槽3、氷生成用熱交換器4、冷水循環ポンプ17を持つ冷水循環路10、ファンコイルユニット7、バッテリー8を収容した、アイボルト9eを持つハウジング9を有する蓄熱式冷房装置1と、ブライン冷却冷凍装置2と、蓄熱式冷房装置1を運ぶトラックと、アイボルト9eに係合して蓄熱式冷房装置1を吊上げるクレーンとを備える。ブライン冷却冷凍装置2の設置場所で氷生成用熱交換器4にブライン冷却冷凍装置2から低温ブラインを供給することで蓄熱式冷房装置1の蓄熱槽3内に氷を生成した後、蓄熱式冷房装置1をブライン冷却冷凍装置2から分離してクレーンとトラックで非常設会場に運び、バッテリー8で冷水循環ポンプ17、ファンコイルユニット7を作動させ、蓄熱槽3内の氷の融解熱を利用して冷した空気を非常設会場に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱材として氷を収容する蓄熱槽、該蓄熱槽内に配設された氷生成用熱交換器、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン流入口を持つ流入管路、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン排出口を持つ排出管路、環境から取り込んだ空気を空気冷却用熱交換器で冷却して環境に供給するファンコイルユニット、前記氷生成用熱交換器により生成された氷の融解熱に起因して生じた冷水を前記蓄熱槽から前記空気冷却用熱交換器に供給すると共に該空気冷却用熱交換器で生じた戻り冷水を前記蓄熱槽へ戻す、冷水循環ポンプを持つ冷水循環路、及び、前記冷水循環ポンプ並びに前記ファンコイルユニットに作動用の電力を供給するバッテリーを収容した、揚送機構を持つハウジングを有する蓄熱式冷房装置と、
前記氷生成用熱交換器に供給するブラインを冷却する冷却部、前記冷却部に通じる、ブライン回収口を持つ回収管路、前記冷却部に通じる、ブライン送出口を持つ送出管路、及び、前記冷却部で冷却されたブラインを前記ブライン送出口から送出すためのブライン循環ポンプを有し、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であるブライン冷却冷凍装置と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記ブライン冷却冷凍装置の設置場所と該設置場所とは異なる所望の非常設会場との間で搬送するための搬送手段と、
前記揚送機構と係合することにより、前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段に載せたり前記搬送手段から降ろしたりするための揚送手段と
を備える非常設会場冷房システム。
【請求項2】
請求項1に記載の非常設会場冷房システムであって、
前記蓄熱式冷房装置、前記ブライン冷却冷凍装置、前記搬送手段、及び、前記揚送手段は、前記非常設会場を運営する運営者とは別の事業者が所有し、稼働される非常設会場冷房システム。
【請求項3】
請求項1~請求項2のいずれか一に記載の非常設会場冷房システムであって、さらに、
前記蓄熱式冷房装置は、前記蓄熱槽の下部に該蓄熱槽内の水を撹拌するための撹拌ポンプを、前記蓄熱槽内の水を前記ファンコイルユニットへ供給するための冷水送出管路にサーモスタットを、それぞれ備え、
前記蓄熱式冷房装置の冷房運転時に、前記冷水送出管路内の水の温度が所定の温度より高くなると、前記撹拌ポンプが稼働して前記蓄熱槽内の水を撹拌する非常設会場冷房システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一に記載の非常設会場冷房システムであって、さらに、
前記蓄熱式冷房装置は、前記揚送手段及び前記搬送手段に依らない移動を可能とする移動手段を備える非常設会場冷房システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一に記載の非常設会場冷房システムであって、さらに、
前記蓄熱式冷房装置は、前記ハウジングの下部に該蓄熱式冷房装置の傾きを補正するためのアジャスタを備える非常設会場冷房システム。
【請求項6】
請求項1から5に記載の非常設会場冷房システムであって、
前記ファンコイルユニットは、空気を環境から取り込み、その空気を、前記空気冷却用熱交換器を経て環境に吹き出す送風機を備え、
前記ハウジングは、互いに独立した、第一ハウジングと第二ハウジングとからなり、
前記揚送機構は、互いに独立した、第一ハウジングに設けた第一揚送機構と第二ハウジングに設けた第二揚送機構とからなり、
前記冷水循環路は、前記冷水循環ポンプを持ち、該冷水循環ポンプの吐出口に通じる、冷水送出口を持つ冷水送出管路、並びに前記蓄熱槽に通じる、冷水回収口を持つ冷水回収管路を備える第一冷水循環路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水排出管路と、前記空気冷却用交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路とを備える第二冷水循環路とからなり、
前記第一ハウジングは、前記蓄熱槽、前記第一冷水循環路及び前記バッテリーを収容し、前記第二ハウジングは、前記ファンコイルユニット及び前記第二冷水循環路を収容しており、
前記冷水送出口と前記冷水流入口と、並びに前記冷水回収口と前記冷水排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能である非常設会場冷房システム。
【請求項7】
請求項6に記載の非常設会場冷房システムにおいて、前記バッテリーを、
互いに分離可能な、前記冷水循環ポンプに作動用の電力を供給する第一バッテリーと、前記送風機に作動用の電力を供給する第二バッテリーとに替え、前記第一バッテリーを前記第一ハウジングに収容し、前記第二バッテリーを前記第二ハウジングに収容した非常設会場冷房システム。
【請求項8】
請求項1から5に記載の非常設会場冷房システムであって、
前記ファンコイルユニットは、空気を環境から取り込み、その空気を、前記空気冷却用熱交換器を経て環境に吹き出す送風機を備え、
前記ハウジングは、互いに独立した、第一ハウジング、第二ハウジング及び第三ハウジングからなり、
前記揚送機構は、互いに独立した、前記第一ハウジングに設けた第一揚送機構と前記第二ハウジングに設けた第二揚送機構と、前記第三ハウジングに設けた第三揚送機構とからなり、
前記冷水循環路は、前記冷水循環ポンプを持ち、該冷水循環ポンプの吐出口に通じる、冷水送出口を持つ冷水送出管路、並びに前記蓄熱槽に通じる、冷水回収口を持つ冷水回収管路を備える第一冷水循環路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水排出管路と、前記空気冷却用交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路とを備える第二冷水循環路とからなり、
前記第一ハウジングは、前記蓄熱槽及び前記第一冷水循環路を収容し、前記第二ハウジングは、前記ファンコイルユニット及び前記第二冷水循環路を収容し、前記第三ハウジングは、前記バッテリーを収容しており、
前記冷水送出口と前記冷水流入口と、並びに前記冷水回収口と前記冷水排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能である非常設会場冷房システム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一に記載の非常設会場冷房システムを用いた非常設会場冷房方法であって、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とを、それぞれ接続する工程と、
前記氷生成用熱交換器に前記ブライン冷却路で冷却したブラインを通し、前記蓄熱槽内の水と熱交換させて、前記蓄熱槽内の水の少なくとも一部を氷結させる工程と、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口との接続を解く工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記揚送手段により前記搬送手段に載せる工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段により前記非常設会場へ搬送する工程と、
商用電源と前記バッテリーのうち、前記非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、前記蓄熱式冷房装置を稼働させて前記非常設会場を冷房する工程とを含む非常設会場冷房方法。
【請求項10】
請求項8に記載の非常設会場冷房システムを用いた非常設会場冷房方法であって、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とを、それぞれ接続する工程と、
前記氷生成用熱交換器に前記ブライン冷却路で冷却したブラインを通し、前記蓄熱槽内の水と熱交換させて、前記蓄熱槽内の水の少なくとも一部を氷結させる工程と、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口との接続を解く工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記揚送手段により前記搬送手段に載せる工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段により前記非常設会場へ搬送する工程と、
前記非常設会場の状態に応じて、前記第一ハウジング、前記第二ハウジング及び前記第三ハウジングの位置関係を調整する工程と、
商用電源と前記バッテリーのうち、前記非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、前記蓄熱式冷房装置を稼働させて前記非常設会場を冷房する工程とを含む非常設会場冷房方法。
【請求項11】
蓄熱材として氷を収容する蓄熱槽、該蓄熱槽内に配設された氷生成用熱交換器、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン流入口を持つ流入管路、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン排出口を持つ排出管路、環境から取り込んだ空気を空気冷却用熱交換器で冷却して環境に供給するファンコイルユニット、前記氷生成用熱交換器により生成された氷の融解熱に起因して生じた冷水を前記蓄熱槽から前記空気冷却用熱交換器に供給すると共に該空気冷却用熱交換器で生じた戻り冷水を前記蓄熱槽へ戻す、冷水循環ポンプを持つ冷水循環路、及び、前記冷水循環ポンプ並びに前記ファンコイルユニットに作動用の電力を供給するバッテリーを有する蓄熱式冷房装置と、
前記氷生成用熱交換器に供給するブラインを冷却する冷却部、前記冷却部に通じる、ブライン回収口を持つ回収管路、前記冷却部に通じる、ブライン送出口を持つ送出管路、及び、前記冷却部で冷却されたブラインを前記ブライン送出口から送出すためのブライン循環ポンプを有し、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であるブライン冷却冷凍装置と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記ブライン冷却冷凍装置の設置場所と該設置場所とは異なる所望の非常設会場との間で搬送するための搬送手段とを備え、
前記蓄熱式冷房装置が前記搬送手段に据え付けられている非常設会場冷房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外イベント会場や避難所のような非常設会場を冷房するための非常設会場冷房システム及び非常設会場冷房方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化等の影響により、夏期に猛暑になる傾向にあり、特に夏期における、屋外イベント会場や災害時の避難所、高温下で多様な作業に従事せざるを得ない作業現場等の冷房装置が常設されていない非常設会場では、熱中症が危ぶまれる状況にある。そのため、屋外イベント会場及び災害時の避難所、高温下の作業現場のような非常設会場に特化した冷房装置の整備が求められている。
【0003】
災害時の避難所は定められていても、いつ何処でどのような災害が発生するかが予測できないため、何処が避難所となるかは、そのタイミングも含めて特定できない場合がある。また、イベント会場や作業現場についても、突発的に決定する場合もある。このような非常設会場においては、多くの場合、電源設備が無いなど設置場所の様々な物理的制約を受け、冷房利用者のニーズに応じてフレキシブルに設置場所を変更できることが求められる。非常設会場における冷房装置の使用時間・期間は、屋外イベントであれば比較的短いことが多いが、災害時の避難所や作業現場では、長期間に渡って必要になる場合もある。
【0004】
したがって、冷房装置としては、パッケージ型のエアコンと大容量のスポットクーラーが挙げられるところ、パッケージ型のエアコンは、冷媒配管又は冷却水配管、ドレン配管の施工が必須で、常設を前提とするものあるため、非常設会場に設置するものとしては好適とはいえない。また、スポットクーラーの設置においては、凝縮器の設置場所と蒸発器の設置場所とを分離するセパレート型の場合は、冷媒配管の施工が必要となるため、パッケージ型のエアコンと同様に、非常設会場に設置するものとしては好適とはいえない。凝縮器と蒸発器とが一体となった一体型の場合には、フレキシブルに設置場所を変更できるが、非常設会場では、凝縮器による排熱も会場内で行われるので、会場全体としては冷房が妨げられることになる。
【0005】
このように、冷媒及びブライン等の2次冷媒を使用する冷房装置は、非常設会場においては、設置や移設する際に冷媒配管等の施工が必要となることに加えて、冷却に応じた排熱が伴い、その排熱が問題となる。また、非常設会場では電源設備が無い場合が想定されるところ、非常設会場で莫大な電力を要する問題や、冷却に伴う騒音の問題もあった。そのため、非常設会場を冷房するには、非常設会場とは異なる場所で排熱を行うことが考えられる。例えば、夜間などの電力消費の少ない時間帯等に、蓄熱槽内の蓄熱材を所定の場所にて蓄冷し、冷房が必要な時間帯に蓄熱を行った場所とは異なる場所において冷房を行うことが考えられる。
【0006】
従来、この種の冷房システムとしては、特許文献1に開示されているように、氷蓄熱槽に収容した水と氷の冷水を、装置上部に設けられたキャピラリーワッシャーの上部に送水してこれを散水した後、氷蓄熱槽に戻すと共に、キャピラリーワッシャーに室内空気を送気して、キャピラリーワッシャーを通った冷気を室内に吹き出すようにした仮設用冷房装置を備えたものがある。
【0007】
また、特許文献2に開示されているように、冷却機と室内機とを接続部で接続し、冷却機の冷却部で冷却された1次冷媒を、1次冷媒循環路を経由し室内機の蓄熱槽に運んで、蓄熱槽に張られた水を冷凍して氷を生成し、冷却機より室内機を接続部において分離した後、室内機のみをキャスターにより所望の冷房個所に移動し、室内機では、氷が蓄えられている蓄熱槽に設けられる凝縮部と蒸発器とを接続する2次冷媒循環路の中を、2次冷媒を循環させ、室内の高温の空気を、蒸発器に触れさせて冷風として室内に戻すことで冷房を行うようにした冷却機と室内機の組合せがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-240330号公報
【特許文献2】特開2005-201574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述の方法には以下のような問題がある。
【0010】
上述の仮設用冷房装置では、氷の融解熱を利用して冷房を行うため、使用の度に氷蓄熱槽から水を排出し、氷水を投入し直す必要があり不便であった。そして小型化を図っているため冷房能力は少なく、現場で大量の氷を調達するのが大変面倒である等、大型化を図るには不向きである。
【0011】
また、上述の冷却機と室内機の組合せでは、室内機をキャスターで移動できるごく限られた範囲内でしか、室内機を移動させることができず、またファンの稼働に電力が必要であるため、電源がない場所では冷房を行うことができなかった。そして冷却部はヒートパイプ方式のため、放熱部が受熱部よりも上方に位置していなければならないという制約が存在し、機器全体がヒートパイプの原理上複雑化及び大型化する。また、蓄熱部と空気冷却用の蒸発器を分離することは不可能である。また、放熱部が蓄熱槽の氷内部にある場合、放熱部の表面上に接した氷から解氷が始まり水となる。その状態の水は熱伝動率も悪く、対流も発生しにくいため放熱部の放熱効率は悪く、大容量の冷房には不向きである。また冷水内に放熱部がある場合でも冷水の撹拌機能が装備されておらず放熱効率が悪い。
【0012】
さらにまた、従来の冷房システムは、非常設会場の運営者が常備していたところ、当該システムが必要となるのが夏期の数週間から2ヶ月程度に限られるため、経費及び人件費等の観点から、負担が大きく、非効率で、普及しにくかった。
【0013】
本発明は、従来のこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、非常設会場の冷房に好適であり、非常設会場の運営者の負担が小さく、効率的で、広く普及し得る非常設会場冷房システム及び非常設会場冷房方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0014】
本発明の第1の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、蓄熱材として氷を収容する蓄熱槽、該蓄熱槽内に配設された氷生成用熱交換器、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン流入口を持つ流入管路、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン排出口を持つ排出管路、環境から取り込んだ空気を空気冷却用熱交換器で冷却して環境に供給するファンコイルユニット、前記氷生成用熱交換器により生成された氷の融解熱に起因して生じた冷水を前記蓄熱槽から前記空気冷却用熱交換器に供給すると共に該空気冷却用熱交換器で生じた戻り冷水を前記蓄熱槽へ戻す、冷水循環ポンプを持つ冷水循環路、及び、前記冷水循環ポンプ並びに前記ファンコイルユニットに作動用の電力を供給するバッテリーを収容した、揚送機構を持つハウジングを有する蓄熱式冷房装置と、前記氷生成用熱交換器に供給するブラインを冷却する冷却部、前記冷却部に通じる、ブライン回収口を持つ回収管路、前記冷却部に通じる、ブライン送出口を持つ送出管路、及び、前記冷却部で冷却されたブラインを前記ブライン送出口から送出すためのブライン循環ポンプを有し、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であるブライン冷却冷凍装置と、前記蓄熱式冷房装置を、前記ブライン冷却冷凍装置の設置場所と該設置場所とは異なる所望の非常設会場との間で搬送するための搬送手段と、前記揚送機構と係合することにより、前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段に載せたり前記搬送手段から降ろしたりするための揚送手段とを備えるよう構成できる。
【0015】
前記構成により、ブライン冷却冷凍装置は、電源設備が整い、周囲環境に排熱及び騒音の影響がない場所を選んで設置することができ、その場所で蓄熱式冷房装置とブライン冷却冷凍装置とを接続して蓄熱運転を行い、バッテリーにも充電を行っておくことができる。そして蓄熱及び充電が完了すると前記接続を分離し、蓄熱式冷房装置を所望の非常設会場に搬送設置することができ、電源設備が無く大容量の冷房装置が必要な非常設会場であっても、ブライン冷却冷凍装置からの排熱を伴うことなく、冷媒配管等の施工も不要で、さらに騒音の問題も解消しながら、十分な冷房を一定時間行うことができる。
【0016】
また、前記構成により、外気温度が低下し安価な夜間電力の時間帯に、蓄熱槽内の蓄熱材を所定の場所にて蓄冷することで、冷房に要する電力コストを削減することができる。
【0017】
また、本発明の第2の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、前記蓄熱式冷房装置、前記ブライン冷却冷凍装置、前記搬送手段、及び、前記揚送手段は、前記非常設会場を運営する運営者とは別の事業者が所有し、稼働されるように構成できる。
【0018】
前記構成により、従来の冷房システムは、非常設会場の運営者が常備していたところ、当該システムが必要となるのが夏期の数週間から2ヶ月程度に限られるため、経費及び人件費等の観点から、負担が大きく、非効率で、普及しにくかったところ、前記構成により、運営者の負担が小さく、効率的で、広く普及し得る非常設会場冷房システムを提供できる。
【0019】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、前記蓄熱式冷房装置は、前記蓄熱槽の下部に該蓄熱槽内の水を撹拌するための撹拌ポンプを、前記蓄熱槽内の水を前記ファンコイルユニットへ供給するための冷水管にサーモスタットを、それぞれ備え、前記蓄熱式冷房装置の冷房運転時に、前記冷水管内の水の温度が所定の温度より高くなると、前記撹拌ポンプが稼働して前記蓄熱槽内の水を撹拌するように構成できる。
【0020】
前記構成により、蓄熱式冷房装置の冷房運転中に蓄熱槽内の氷が融解するにつれ氷と水との接触面積が小さくなることで熱交換効率が低下するのを防ぐことができ、また蓄熱槽内の氷の完全溶解を図ることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、さらに、前記蓄熱式冷房装置は、前記揚送手段及び前記搬送手段に依らない移動を可能とする移動手段を備えるように構成できる。
【0022】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、さらに、前記蓄熱式冷房装置は、前記ハウジングの下部に該蓄熱式冷房装置の傾きを補正するためのアジャスタを備えるように構成できる。
【0023】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、前記ファンコイルユニットは、空気を環境から取り込み、その空気を、前記空気冷却用熱交換器を経て環境に吹き出す送風機を備え、前記ハウジングは、互いに独立した、第一ハウジングと第二ハウジングとからなり、前記揚送機構は、互いに独立した、第一ハウジングに設けた第一揚送機構と第二ハウジングに設けた第二揚送機構とからなり、前記冷水循環路は、前記冷水循環ポンプを持ち、該冷水循環ポンプの吐出口に通じる、冷水送出口を持つ冷水送出管路、並びに前記蓄熱槽に通じる、冷水回収口を持つ冷水回収管路を備える第一冷水循環路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水排出管路と、前記空気冷却用交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路とを備える第二冷水循環路とからなり、前記第一ハウジングは、前記蓄熱槽、前記第一冷水循環路及び前記バッテリーを収容し、前記第二ハウジングは、前記ファンコイルユニット及び前記第二冷水循環路を収容しており、前記冷水送出口と前記冷水流入口と、並びに前記冷水回収口と前記冷水排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であるよう構成できる。
【0024】
前記構成により、蓄熱槽内に氷を生成する際に、前記第一ハウジングと前記第二ハウジングとを分離してファンコイルユニットを非常設会場の設置場所に残したまま、蓄熱槽を収容した第一ハウジングをブライン冷却冷凍装置の設置場所へ搬送することができるので、蓄熱槽をファンコイルニットと一緒に搬送する場合に比べて搬送が容易になり、蓄熱槽の輸送コストを低減することができる。また容量が異なる複数種類の蓄熱槽を準備しておき、非常設会場の大きさ、非常設会場の周囲の気温、冷房時間、冷房の強弱等、冷房のニーズに応じて適合する容量の蓄熱槽を選び、その蓄熱槽内に氷を生成して非常設会場へ搬送し、ファンコイルユニットの空気冷却用熱交換器に冷水を供給するようにすることもでき、ブライン冷却冷凍装置での氷の生成や蓄熱槽の搬送等の面で効率的な運用が可能になる。
【0025】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、上述の本発明の第6の側面に係る非常設会場冷房システムにおいて、前記バッテリーを、互いに分離可能な、前記冷水循環ポンプに作動用の電力を供給する第一バッテリーと、前記送風機に作動用の電力を供給する第二バッテリーとに替え、前記第一バッテリーを前記第一ハウジングに収容し、前記第二バッテリーを前記第二ハウジングに収容するようにすることができる。
【0026】
さらにまた、本発明の第8の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、前記冷水循環装置は、前記蓄熱槽に通じる、冷水送出口を持つ冷水送出管路と、前記冷水送出管路に設けた、該冷水送出口から前記冷水を送出するための冷水循環ポンプと、前記蓄熱槽に通じる、冷水回収口を持つ冷水回収管路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水排出管路とを備え、前記ファンコイルユニットは、空気を環境から取り込み、その空気を、前記空気冷却用熱交換器を経て環境に吹き出す送風機と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水搬出管と、前記空気冷却用交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路とを備え、前記ハウジングは、互いに独立した、第一ハウジング、第二ハウジング及び第三ハウジングからなり、前記揚送機構は、第一ハウジングに設けた第一揚送機構と、第二ハウジングに設けた第二揚送機構と、第三ハウジングに設けた第三揚送機構とからなり、前記第一ハウジングは前記蓄熱槽、前記冷水送水管、前記冷水回収管路、及び前記冷却水循環ポンプを収容し、前記第二ハウジングは前記ファンコイルユニットを収容し、第三ハウジングは前記バッテリーを収容しており、前記冷水送出口と前記冷水流入口と、並びに前記冷水回収口と前記冷水排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であり、前記第一ハウジング、前記第二ハウジング及び前記第三ハウジングは、相互の位置関係が自在に変更可能であるよう構成できる。
【0027】
前記構成により、蓄熱式冷房装置を非常設会場の設置空間形状に適応するように設置することが可能になる。
【0028】
さらにまた、本発明の第9の側面に係る非常設会場冷房方法によれば、一方の前記ブライン管の開放端を前記ブライン排出口に、他方の前記ブライン管の開放端を前記ブライン回収口に、それぞれ接続する工程と、前記氷生成用熱交換器に前記ブライン冷却路で冷却したブラインを通し、前記蓄熱槽内の水と熱交換させて、前記蓄熱槽内の水の少なくとも一部を氷結させる工程と、前記ブライン管を、前記ブライン排出口及び前記ブライン回収口から分離させる工程と、前記蓄熱式冷房装置を、前記揚送手段により前記搬送手段に載せる工程と、前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段により前記非常設会場へ搬送する工程と、商用電源と前記バッテリーのうち、前記非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、前記蓄熱式冷房装置を稼働させて前記非常設会場を冷房する工程とを含むように構成できる。
【0029】
さらにまた、本発明の第10の側面に係る非常設会場冷房方法によれば、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とを、それぞれ接続する工程と、前記氷生成用熱交換器に前記ブライン冷却路で冷却したブラインを通し、前記蓄熱槽内の水と熱交換させて、前記蓄熱槽内の水の少なくとも一部を氷結させる工程と、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口との接続を解く工程と、前記蓄熱式冷房装置を、前記揚送手段により前記搬送手段に載せる工程と、前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段により前記非常設会場へ搬送する工程と、前記非常設会場の状態に応じて、前記第一ハウジング、前記第二ハウジング及び前記第三ハウジングの位置関係を調整する工程と、商用電源と前記バッテリーのうち、前記非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、前記蓄熱式冷房装置を稼働させて前記非常設会場を冷房する工程とを含むよう構成できる。
【0030】
さらにまた、本発明の第11の側面に係る非常設会場冷房システムによれば、蓄熱材として氷を収容する蓄熱槽、該蓄熱槽内に配設された氷生成用熱交換器、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン流入口を持つ流入管路、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン排出口を持つ排出管路、環境から取り込んだ空気を空気冷却用熱交換器で冷却して環境に供給するファンコイルユニット、前記氷生成用熱交換器により生成された氷の融解熱に起因して生じた冷水を前記蓄熱槽から前記空気冷却用熱交換器に供給すると共に該空気冷却用熱交換器で生じた戻り冷水を前記蓄熱槽へ戻す、冷水循環ポンプを持つ冷水循環路、及び、前記冷水循環ポンプ並びに前記ファンコイルユニットに作動用の電力を供給するバッテリーを有する蓄熱式冷房装置と、前記氷生成用熱交換器に供給するブラインを冷却する冷却部、前記冷却部に通じる、ブライン回収口を持つ回収管路、前記冷却部に通じる、ブライン送出口を持つ送出管路、及び、前記冷却部で冷却されたブラインを前記ブライン送出口から送出すためのブライン循環ポンプを有し、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であるブライン冷却冷凍装置と、前記蓄熱式冷房装置を、前記ブライン冷却冷凍装置の設置場所と該設置場所とは異なる所望の非常設会場との間で搬送するための搬送手段とを備え、前記蓄熱式冷房装置が前記搬送手段に据え付けられているように構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る非常設会場冷房システムが備える蓄熱式冷房装置とブライン冷却冷凍装置の説明図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る非常設会場冷房システムが備える蓄熱式冷房装置とブライン冷却冷凍装置の説明図である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係る非常設会場冷房システムが備える蓄熱式冷房装置とブライン冷却冷凍装置の説明図である。
【
図5】本発明の第四実施形態に係る非常設会場冷房システムが備える蓄熱式冷房装置とブライン冷却冷凍装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための非常設会場冷房システム及び非常設会場冷房方法を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(第一実施形態:非常設会場冷房システム100)
【0033】
図1は、本発明の第一実施形態に係る非常設会場冷房システム100(図示せず)の要部を示し、この非常設会場冷房システム100は、冷房運転時に空気を冷やして送り出す蓄熱式冷房装置1と、蓄熱式冷房装置1へ供給するブラインBを冷却するブライン冷却冷凍装置2と、蓄熱式冷房装置1を、ブライン冷却冷凍装置2の設置場所と所望の非常設会場との間で搬送するための、図示しない搬送手段と、蓄熱式冷房装置1を、前記搬送手段に載せたり該搬送手段から降ろしたりするための揚送手段(図示せず)とを備えている。この実施形態では、搬送手段として例えばトラックを用い、揚送手段としてトラックに設けたクレーンを用いる。
(蓄熱式冷房装置1)
【0034】
蓄熱式冷房装置1は、蓄熱材として氷Iを収容する蓄熱槽3、該蓄熱槽3内に配設された氷生成用熱交換器4、この氷生成用熱交換器4に通じる、ブライン流入口5aを持つ流入管路5、氷生成用熱交換器4に通じる、ブライン排出口6aを持つ排出管路6、環境から取り込んだ空気を冷却して環境に供給するファンコイルユニット7、冷水循環ポンプ17を持つ冷水循環路10、及び、冷水循環ポンプ17並びにファンコイルユニット7に作動用の電力を供給するバッテリー8を備えている。蓄熱式冷房装置1は、更に、
図2に示すように、揚送機構9eを持つハウジング9を有しており、蓄熱槽3、流入管路5、排出管路6、送風機13及びファンコイルユニット7、バッテリー8はハウジング9に収容されている。
(ハウジング9)
【0035】
ハウジング9は、この実施形態の場合、上から見た形状が略四角形の基板9aと、基板9aの四隅に立設した柱9b、梁9cを有する機枠とを備えている。基板9aには車輪9dが設けてあり、蓄熱式冷房装置1は、車輪9dを介して地面又は地面Gの上を容易に移動することができるので、非常設会場内で設置場所を変更するのに都合が良い。また、車輪9dとしてブレーキ付キャスターを用いるとよい。また、重量の大きくなる蓄熱槽3の上側に、重量が比較的小さいファンコイルユニットを配置しているので、ハウジング9の安定性が良く、蓄熱槽3の大型化を図り易い。そのため占有面積が小さく冷却能力の大きい蓄熱式冷房装置1を得るのに都合がよい。なお、ハウジング9に収容されている機器等がハウジング9の側面等から食み出していても、その機器は、ハウジング9と一緒に移動することができればハウジング9に収容されているものとする。
(揚送機構、揚送手段)
【0036】
揚送機構9eは、この実施形態ではハウジング9の上部に固設したアイボルトである。揚送手段としてクレーンを用いるので、蓄熱式冷房装置1を揚送するには、クレーンのフックから伸びるスリングを、アイボルト9eにシャックルを用いて連結し、その後、クレーンで吊上げて所要位置に降ろす。なお、基板9aの下面と地面Gとの間に隙間がある。したがって、揚送手段としてフォークリフトを用い、地面Gとの間にフォークリフトのフォークを差し込むことができる隙間を有する基板9aを、フォークリフトのフォークを係合させる揚送機構としてもよい。この揚送機構は、揚送手段の態様に応じて多様に変わり得る。また、蓄熱式冷房装置1は、ハウジング9に設けた車輪9dでブライン冷却冷凍装置2の設置場所と非常設会場との間を移動することができるようにしてもよい。
(アジャスタ11)
【0037】
蓄熱式冷房装置1は、ハウジング9の下部に該蓄熱式冷房装置1の傾きを補正するためのアジャスタ11を備えている。このアジャスタ11は、水平器とハウジング9の基板9aの四隅付近に配置した4本のボルト11aからなり、各ボルト11aは、その先端を地面に向けて基板9aに螺合している。水平器を見ながらアジャスタ11の必要なボルト11aを回し、そのボルト11aの基板9aからの突出量を調節することにより、蓄熱式冷房装置1の基板9aの上面が水平となるように、つまり蓄熱槽3の縦方向の中心軸線が鉛直になるように調整可能である。
(蓄熱槽3)
【0038】
蓄熱槽3は断熱処理されており、この蓄熱槽3には、予め、水源に分離可能に接続された給水ライン14から水Wが供給される。蓄熱槽3内には水位を検出するフロートスイッチ15が設けてあり、蓄熱槽3が規定の水位に達すると水Wの補給が自動的に停止されるようになっている。蓄熱槽3内への水Wの供給が終わると、給水ライン14は水源から切り離される。蓄熱槽3への水Wの供給は、外部の水源から例えばホースを介して直接的に行ってもよい。
【0039】
蓄熱槽3への冷気貯蓄時つまり製氷時には、ブライン冷却冷凍装置2で冷却されたブラインBは、流入管路5を通じて氷生成用熱交換器4に供給することができ、ブラインBの供給を受けた氷生成用熱交換器4は、その周囲の水Wから熱をブラインBに吸収させることにより、その水Wを氷Iにすることができる。氷生成用熱交換器4を通過することで水Wから熱を吸収したブラインBは、排出管路6を通じてブライン排出口6aよりブライン冷却冷凍装置2へ送り出される。氷生成用熱交換器4へのブラインBの供給を停止すると、蓄熱槽3内の氷Iが融け、蓄熱槽3内には、氷生成用熱交換器4により生成された氷Iの融解熱に起因して冷水W1が生じる。つまり氷Iは、それが融ける際に周囲の水Wから融解熱を奪い、それによって水の融点に近い温度の冷水W1が生じ、この冷水W1は蓄熱槽3の下部に溜まる。
(冷水循環路10)
【0040】
冷水循環路10は、蓄熱槽3の下部に設けた冷水送出管路16、冷水送出管路18、冷水回収管路20、散水管19を備えている。冷水循環ポンプ17は、冷水送出管路16と冷水送出管路18の間に設けてある。冷水循環路10は、ブライン循環ポンプで蓄熱槽3内の冷水W1を、冷水送出管路16を通じて吸引し、冷水送出管路18へ吐出することにより、冷水W1を蓄熱槽3から空気冷却用熱交換器12に供給すると共に、該空気冷却用熱交換器12で冷水W1と空気とが熱交換することにより生じた戻り冷水W2を前記蓄熱槽3へ戻す。
【0041】
冷水送出管路16の冷水W1の取入口は、蓄熱槽3内の氷Iが、その周囲から極力均等に溶解するように、蓄熱槽3内の水Wの流れを考慮して、例えば氷Iの真下に位置するように配置することができる。散水管19は、蓄熱槽3に収容された水Wの水面より低く、かつ蓄熱槽3の氷生成用熱交換器4より高い位置に設けてあり、空気冷却用熱交換器12で熱交換を終えた戻り冷水W2は、冷水回収管路20を通じて散水管19に供給され、散水管19からシャワー状に噴出される。
【0042】
製氷時に、氷生成用熱交換器4へのブラインBの供給を継続すると、氷生成用熱交換器4のまわりの水Wが氷Iになり、時間が経つにつれて氷生成用熱交換器4を中心に氷Iの塊が成長してゆき、蓄熱槽3の内部は、冷水W1と氷Iとが混在する状態になる。時間がさらに経過すると蓄熱槽3内の水Wが全て凍ってしまうので、空気冷却用熱交換器12へ冷水W1を供給したり、熱交換を終えた水Wを散水管19から噴出させたりすることができなくなる。そのため蓄熱槽3内に混在している水Wと氷Iに対する氷Iの割合を意味する氷Iの充填率は70~80パーセント前後であるのが望ましい。そして水Wが氷Iになると体積が増加するので蓄熱槽3内の水位が上昇する。そこで、この水位の上昇を検出するためのフロートスイッチ21を蓄熱槽3に設け、氷Iの充填率が所要値になったときフロートスイッチ21が作動し、それによって氷生成用熱交換器4へのブラインBの供給停止をブライン冷却冷凍装置2に指令するようにしている。
(サーモスタット23と撹拌ポンプ22)
【0043】
冷房運転を行っていくと氷Iは融解し蓄熱槽3内の畜氷量は減少していくため、氷Iと冷水W1の接触面積が小さくなり熱交換効率の低下を招き、蓄熱槽3の出口の冷水W1の温度が上昇する傾向にある。また蓄熱槽3で氷を残したまま再畜氷運転を再開すると氷は歪に形成され解氷時の熱交換効率の低下を招き、氷生成用熱交換器4の破損にもつながる恐れがある。そこで、蓄熱槽3内の水Wを撹拌して熱交換効率を上昇させ、蓄熱槽3の出口の冷水W1の温度の低下及び氷Iの完全溶解を図るために、蓄熱槽3内の下部には、該蓄熱槽3内の水Wを撹拌するための撹拌ポンプ22が設けてあり、蓄熱槽3内の水Wをファンコイルユニット7へ供給するための冷水送出管路16にはサーモスタット23が設けてある。蓄熱式冷房装置1の冷房運転時に、サーモスタット23で検出した冷水送出管路16内の冷水W1の温度が、氷Iと冷水W1の熱交換効率の低下を防ぐために設定された所定の温度より高くなると、撹拌ポンプ22が稼働して蓄熱槽3内の水Wを撹拌するようになっている。
(ドレン水排出機構)
【0044】
空気冷却用熱交換器12の下側には、冷房運転時に空気冷却用熱交換器12において発生するドレンDを受けるドレンパン24が設けてある。ドレンパン24に受けたドレンDは、管路25を通してドレン用ポンプ26に供給され、ドレン用ポンプ26によって外部に排出される。ドレンDの排出は、ドレン用ポンプ26を設けず、重力等を利用して行う場合もあり得る。
(ファンコイルユニット7)
【0045】
ファンコイルユニット7は、空気と冷水W1との間で熱交換を行う空気冷却用熱交換器12、空気を環境から取入部7aを通じて取り込み、その空気を、空気冷却用熱交換器12を経て環境に空気吹出部7bから吹き出す送風機13を有している。空気吹出部7bはフレキシブルな管体でできており、空気の吹出口を所要方向に向けることができる。空気冷却用熱交換器12には、空気と熱交換を行う冷水W1が供給される。この冷水W1は、蓄熱槽3の氷生成用熱交換器4が配設された高さより低い位置から取得された液体の水である。ファンコイルユニット7は、送風機13が作動することによって作動する。
(動力源)
【0046】
送風機13、冷水循環ポンプ17、撹拌ポンプ22、ドレン用ポンプ26は、それぞれ、図示しない駆動用の電動機を有しており、その各電動機、及びそれらを制御するための、フロートスイッチ15,21、サーモスタット23を含む制御部は商用電源からの電力により作動するようになっている。各電動機や制御部をバッテリー8に蓄えられた電力により作動させるために、ハウジング9には、バッテリー8の電力を商用電源と同等の電力に変換して出力するインバータ27を備えており、さらに商用電源からの電力とインバータ27の出力電力とを切替えて前記各電動機や制御部に供給することができる電源切替え装置(図示せず)が備えてある。またファンコイルユニット7の送風機13、及び冷水の循環ポンプ等をAC/DCインバータ制御することで、その能力の増減を変化させ、バッテリーの容量(個数)を増減することにより種々の所望される冷房条件に対応可能となる。
(ブライン冷却冷凍装置2)
【0047】
ブライン冷却冷凍装置2は、ブラインBを冷却するブライン冷却部31、ブライン冷却部31に通じる、ブライン回収口32aを持つ回収管路32、ブライン冷却部31に通じる、ブライン送出口33aを持つ送出管路33、及び、ブライン冷却部31で冷却されたブラインBをブライン送出口33aから送出すためのブライン循環ポンプ40を有している。この実施形態では、ブライン送出口33aは、送出管路33の途中に設けてあるが、回収管路32に設けることもあり得る。そして、このブライン冷却冷凍装置2は、それから生じる騒音や排熱による悪影響の面からすると非常設会場から離れた場所であって、その稼働用の電源設備が整っている場所に設けるのがよい。
【0048】
ブライン冷却部31は、ブラインBと冷凍機34の冷媒とにより熱交換をする、図示しない熱交換器を備え、冷凍機34の冷媒を蒸発させる蒸発器となっており、凍結点摂氏マイナス25度程度のブラインBを、冷凍機34から膨張弁35を経て供給される冷媒により、摂氏マイナス15度程度の低温に冷却することができるようになっている。ブライン送出口33aと蓄熱式冷房装置1のブライン流入口5aとは、管路37で着脱自在に接続可能であり、ブライン回収口32aと蓄熱式冷房装置1のブライン排出口6aとは、管路39で着脱自在に接続可能である。この実施形態では、ブライン送出口33aとブライン流入口5aと、ブライン回収口32aとブライン排出口6aとをそれぞれ着脱自在に接続するために、管路37,39の各両端、ブライン送出口33a、ブライン流入口5a、ブライン回収口32a、ブライン排出口6aには、それぞれ迅速に接続切り離し機能なカプラー継手を構成するソケット又はプラグが設けてあるが、必要に応じてカプラー継手の代わりにフランジ形管継手等、他の管継手を用いてもよい。管路37、39はホースのような可撓性を有する管路が望ましい。
【0049】
ブライン送出口33aと流入管路5のブライン流入口5aとを管路37で接続すると共に、ブライン回収口32aと排出管路6のブライン排出口6aとを管路39で接続し、ブライン循環ポンプ40を作動させると、冷却されたブラインBがブライン冷却部31から氷生成用熱交換器4へ供給され、氷生成用熱交換器4で水Wから熱を受けったブラインBがブライン冷却部31に戻り、ブライン冷却部31と氷生成用熱交換器4との間でブラインBが循環する。
【0050】
回収管路32には、戻ってくるブラインBの温度を検出するサーモスタット41を設けて、サーモスタット41による検出値に基づき、ブライン循環ポンプ40により蓄熱式冷房装置1へ供給されるブラインBの温度を制御可能にしている。
【0051】
送出管路33にはブラインBを貯めておくタンク42が接続されており、送出管路33、管路37、流入管路5、氷生成用熱交換器4、排出管路6、管路39、回収管路32、ブライン冷却部31を循環するブラインBを適宜補充することができる。
(冷房方法)
【0052】
上述のように構成した非常設会場冷房システム100を用いて非常設会場を冷房するには、まず、ブライン冷却冷凍装置2の設置場所において、管路37,39を介して一方の流入管路5のブライン流入口5aをブライン送出口33aに、他方の排出管路6のブライン排出口6aをブライン回収口32aに、それぞれ接続する。また、この実施形態では、ブラインBの供給停止をブライン冷却冷凍装置2に指令するために、フロートスイッチ21の制御線(図示せず)を、ブライン冷却冷凍装置2の冷凍機34やブライン循環ポンプ40の作動を制御する制御装置(図示せず)に、コネクタ等の接続手段を介して接続可能になっているので、フロートスイッチ21の制御線をブライン冷却冷凍装置2の前記制御装置に接続する。またバッテリー8は必要に応じて充電しておく。
【0053】
次いで、ブライン循環ポンプ40を作動させ、氷生成用熱交換器4にブライン冷却部31で冷却したブラインBを通し、蓄熱槽3内の水Wと熱交換させて、蓄熱槽3内の水の少なくとも一部を氷結させる。このとき氷充填率が70~80パーセント前後になるまで氷結させるのが望ましい。
【0054】
次いで、管路37、39を取外して、ブライン送出口33aとブライン流入口5aとを分離させると共に、ブライン回収口32aとブライン排出口6aとを分離する。また、フロートスイッチ21の制御線をブライン冷却冷凍装置2の前記制御装置から切り離す。
【0055】
次いで、蓄熱式冷房装置1を、クレーンで吊上げてトラックに載せた後、蓄熱式冷房装置1を、トラックによりより非常設会場へ搬送する。
【0056】
蓄熱式冷房装置1が非常設会場に着くと、その蓄熱式冷房装置1をトラックで非常設会場内の所要設置場所に移動してクレーンで降ろす。蓄熱式冷房装置1の非常設会場内の所要設置場所への設置は、例えばフォークリフトを用いてもよい。
【0057】
次いで、商用電源とバッテリー8のうち、非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、蓄熱式冷房装置1を稼働させて非常設会場を冷房する。
【0058】
冷房時、蓄熱式冷房装置1においてファンコイルユニット7の送風機13と、冷水循環ポンプ17とを作動させる。そうすると蓄熱槽3の下部の冷水W1が冷水送出管路16,18を経て空気冷却用熱交換器12へ供給され、送風機13によって吸い込まれた空気は空気冷却用熱交換器12を経て空気吹出部7bから送り出される。この空気は空気冷却用熱交換器12で冷水W1によって熱を奪われて冷風となる。一方、熱を奪った冷水W1は、戻り冷水W2となり、冷水回収管路20を経て、蓄熱槽3の上部の散水管19に戻り、散水管19の噴出口からシャワー状に噴き出し、蓄熱槽3内の氷Iを解かす。そして氷が解けてできた水は冷水W1となる。これによって解氷時の熱交換効率は良くなる。また冷房時には、ドレン用ポンプ26を作動させ、空気冷却用熱交換器12で発生するドレンDを外部へ排出する。
(第二実施形態:非常設会場冷房システム200)
【0059】
図3は、本発明の第二実施形態に係る非常設会場冷房システム200(図示せず)の要部を示す。この第二実施形態では、主に、ブライン冷却冷凍装置2は、ブライン冷却部31で冷却された多量の低温のブラインBを多量に貯めておくクッションタンク43と、クッションタンク43から管路44を通じて導入されるブラインBを、複数台の蓄熱式冷房装置1毎に設けた複数の分岐管45を有するヘッダー管路46へ送り出す循環二次ポンプ47と、複数台の蓄熱式冷房装置1毎に設けた分岐管48を有する、ブラインBを回収するための戻り管路49とを備え、送り出し側の各分岐管45は、ブラインBを送出するためのブライン送出口45aを持ち、戻り側の各分岐管48は、ブラインBを受け取るためのブライン回収口48aを持ち、ブライン送出口45aと蓄熱式冷房装置1のブライン流入口5aとが着脱自在に接続可能であり、ブライン回収口48aと、蓄熱式冷房装置1のブライン排出口6aとが着脱自在に接続可能である点で、
図1に示す非常設会場冷房システム100と相違する。
【0060】
また、蓄熱式冷房装置1は、
図1に示すフロートスイッチ21と同様のフロートスイッチ(図示せず)と、流入管路5及び排出管路6にそれぞれ管路を遮断可能な制御弁(図示せず)を備え、氷Iの充填率が所要値になったとき、それによる水面の上昇を前記フロートスイッチが検出し、その検出信号により前記制御弁が自動的に閉じ、氷生成用熱交換器4へのブラインBの供給が停止するようにしている点が、
図1に示すものと相違する。必要に応じて、前記フロートスイッチの検出信号をブライン冷却冷凍装置2の制御装置に入力し、それによりブライン冷却冷凍装置2に接続されている蓄熱式冷房装置1の台数を割り出し、その台数に応じて循環二次ポンプ47の吐出量を調節するようにしてもよい。
【0061】
この非常設会場冷房システム200では、ブライン送出口33aとブライン流入口5aと、ブライン回収口32aとブライン排出口6aとをそれぞれ接続することで、クッションタンク43に、必要な台数の蓄熱式冷房装置1を接続し、クッションタンク43から各蓄熱式冷房装置1に冷却されたブラインBを送ることにより、複数台の蓄熱式冷房装置1の蓄熱槽3に同時に氷を生成することが可能になる。そして外気温度の低下する深夜に安価な深夜電力を利用して製氷運転を行うとよい。それによって、大容量の氷を短時間で効率的に安価に蓄熱式冷房装置1に蓄えることができる。
(第三実施形態:非常設会場冷房システム300)
【0062】
図4は、本発明の第三実施形態に係る非常設会場冷房システム300(図示せず)の要部を示す。この第三実施形態では、非常設会場における蓄熱式冷房装置1の設置空間の高さが低く制限される場合でも、その設置空間に蓄熱式冷房装置1を設置することができるようにするために、ファンコイルユニット7と蓄熱槽3とをハウジング9の基板9a上に左右に並べて設置することで、蓄熱式冷房装置1の高さを低く抑えている。
(第四実施形態:非常設会場冷房システム400)
【0063】
図5は、本発明の第四実施形態に係る非常設会場冷房システム400(図示せず)の要部を示す。この第四実施形態では、同一箇所で繰り返し冷房を行うことが必要な場合、蓄熱槽3とファンコイルユニット7とを分離して、蓄熱槽3を、商用電源が確保できるブライン冷却冷凍装置2の設置場所に移送し、その蓄熱槽3をブライン冷却冷凍装置2の横に設置して蓄熱槽3に氷を生成することができるようにしてある。そのため、ファンコイルユニット7は、空気を環境から取り込み、その空気を、空気冷却用熱交換器12を経て環境に吹き出す送風機13を備え、ハウジング9は、互いに独立した、第一ハウジング9Aと第二ハウジング9Bとからなり、揚送機構は、互いに独立した、第一ハウジング9Aに設けた第一揚送機構と第二ハウジング9Bに設けた第二揚送機構とからなり、冷水循環路10は、冷水循環ポンプ17を持ち、該冷水循環ポンプ17の吐出口に通じる、冷水送出口18aを持つ冷水送出管路18、並びに蓄熱槽3に通じる、冷水回収口20aを持つ冷水回収管路20を備える第一冷水循環路10Aと、空気冷却用熱交換器12に通じる、冷水排出口52aを持つ冷水排出管路52、空気冷却用熱交換器12に通じる、冷水流入口51aを持つ冷水流入管路51を備える第二冷水循環路10Bとからなり、バッテリー8は、冷水循環ポンプ17並びに送風機13に作動用の電力を供給することができ、第一ハウジング9Aは、蓄熱槽3、第一冷水循環路10A及びバッテリー8、インバータ27を収容し、第二ハウジング9Bは、ファンコイルユニット7及び第二冷水循環路10B及びドレン用ポンプ26を収容しており、冷水送出口18aと冷水流入口51aと、並びに冷水回収口20aと冷水排出口52aとは、それぞれ着脱自在に接続可能にしてある。
【0064】
第一ハウジング9A及び第二ハウジング9Bは、各々、車輪9dを有する基板9aと、基板9a上に設けた図示しない機枠とを備え、各々
図1に示すハウジング9と同様の揚送機構を有している。バッテリー8は、第一ハウジング9Aにより着脱可能に保持されている。第二ハウジング9Bに収容されている送風機13を駆動する電動機、及びドレン用ポンプ26を駆動する各電動機に電力を供給する電線は、例えば電線用のコネクタを介して接続分断可能になっている。なお、商用電源からの電力とインバータ27の出力電力とを切替えることができる電源切替え装置を第一ハウジング9Aに収容しておくとよい。またブライン冷却冷凍装置2にバッテリー8を充電するための充電器を設け、この充電器にバッテリー8を接続可能にしておくとよい。
【0065】
この第四実施形態に係る非常設会場冷房システム400により、非常設会場の冷房を行うには、第一実施形態に係る非常設会場冷房システム100の場合と同様に、ブライン冷却冷凍装置2と第一ハウジング9Aの蓄熱槽3をブライン冷却冷凍装置2の隣に設置し、蓄熱槽3内の水の一部を氷結させた後、蓄熱槽3とブライン冷却冷凍装置2とを分離する。そして第一ハウジング9Aをクレーン等の揚送手段によりトラック等の搬送手段に載せて蓄熱式冷房装置を非常設会場へ搬送する。それと同時に、第二ハウジング9Bも非常設会場へ搬送し、非常設会場の所定の設置場所に第一ハウジング9Aと第二ハウジング9Bを並べて設置し、冷水流入口51aと冷水送出口18aとを、並びに、冷水排出口52aと冷水回収口20aとを各々接続する。また送風機13、ドレン用ポンプ26の各電動機と電源とを電線で接続しておく。その後、蓄熱式冷房装置1を始動する。
【0066】
同一箇所で繰り返し冷房を行う場合に、使用済の蓄熱槽3内に再び氷Iを生成することが必要になったときは、まず、冷水流入口51aと冷水送出口18aと、並びに冷水排出口52aと冷水回収口20aとをそれぞれ分離する。また送風機13、ドレン用ポンプ26の各電動機を電源から切り離しておく。
【0067】
次いで、第一ハウジング9Aを、前記揚送手段によって前記搬送手段に載せ、その後、第一ハウジング9Aを、前記搬送手段によりブライン冷却冷凍装置2の設置場所へ搬送してブライン冷却冷凍装置2の横に設置する。
【0068】
次いで、流入管路5のブライン流入口5aをブライン送出口33aに、排出管路6のブライン排出口6aをブライン回収口32aに、それぞれ接続する。またフロートスイッチ21の制御線をブライン冷却冷凍装置2の制御装置に接続する。
【0069】
次いで、ブライン冷却部31で冷却したブラインBを氷生成用熱交換器4に通し、蓄熱槽3内の水Wと熱交換させて、蓄熱槽3内の水Wの一部を氷結させる。
【0070】
次いで、流入管路5,排出管路6を、ブライン送出口33a及びブライン回収口32aから分離させる。またフロートスイッチ21の制御線をブライン冷却冷凍装置2の制御装置から切り離す。
【0071】
次いで、第一ハウジング9Aを、前記揚送手段により前記搬送手段に載せて非常設会場へ搬送し、第二ハウジング9Bに並べて設置した後、冷水流入口51aと冷水送出口18aとを、並びに、冷水排出管路52の冷水排出口52aと冷水回収口20aとを各々接続する。また送風機13、ドレン用ポンプ26の各電動機と電源とを電線で接続する。その後、蓄熱式冷房装置1を始動する。
【0072】
この非常設会場冷房システム400により冷房することができる時間は、蓄熱槽3への氷の生成量、バッテリー8の充電容量、及びファンコイルユニット7の冷却能力に左右され、冷却能力は、ファンコイルユニット7の冷却特性及び風量、吸い込み空気の熱量、冷水の温度及び冷水W1の循環量により左右される。そこで、ブライン冷却冷凍装置での氷の生成や蓄熱槽の搬送等の面で効率的な運用を行うためには、容量が異なる複数種類の蓄熱槽3を個別に収容した複数の第一ハウジング9Aを準備しておき、その第一ハウジング9Aの中から、非常設会場の大きさ、非常設会場の周囲の気温、冷房時間、冷房の強弱等、冷房のニーズに応じて適合する容量の蓄熱槽3を収容してた第一ハウジング9Aを選び、その蓄熱槽3内に氷をブライン冷却冷凍装置2によって生成した後、その第一ハウジング9Aを非常設会場へ搬送してファンコイルユニット7の傍らに設置し、第一ハウジング9A内の蓄熱槽3からファンコイルユニット7の空気冷却用熱交換器12に冷水を供給するようにするとよい。また第一ハウジング9Aに収容するバッテリー8の個数やバッテリー8の個々の容量を、冷房のニーズに応じて変えるとよい。
(非常設会場冷房システムの他の実施形態)
【0073】
本発明の非常設会場冷房システムによれば、
図5に示す非常設会場冷房システムにおいて、バッテリー8を、互いに分離可能な、冷水循環ポンプ17に作動用の電力を供給する第一バッテリーと、送風機13、ドレン用ポンプ26に作動用の電力を供給する第二バッテリーとに替え、第一バッテリーを第一ハウジング9Aに収容し、第二バッテリーを第二ハウジング9Bに収容するようにしてもよい。また、蓄熱槽3、ファンコイルユニット7、バッテリー8を、それぞれハウジング9に対して着脱可能に設けることができる。また、蓄熱槽3、ファンコイルユニット7、バッテリー8を、それぞれハウジング9に対して着脱可能に設けることができる。
【0074】
また、
図5に示す非常設会場冷房システムにおいて、ハウジング9を、互いに独立した、第一ハウジング、第二ハウジング及び第三ハウジングからなるハウジングに替え、また
図5に示す揚送機構を、第一ハウジングに設けた第一揚送機構と、第二ハウジングに設けた第二揚送機構と、第三ハウジングに設けた第三揚送機構とからなる揚送機構に替え、前記第一ハウジングは蓄熱槽3、流入管路5、排出管路6、及び冷水循環ポンプ17を収容し、前記第二ハウジングはファンコイルユニット7を収容し、第三ハウジングはバッテリー8を収容し、前記第一ハウジング、前記第二ハウジング及び前記第三ハウジングは、相互の位置関係が自在に変更可能であるよう構成できる。それによって、蓄熱槽3のみを第一ハウジングと共に取外し、それをブライン冷却冷凍装置2の設置場所に搬送して蓄熱槽3に氷を生成し、その後、その蓄熱槽3を第一ハウジングと共に非常設会場に搬送してハウジング9に収容することが可能になる。また蓄熱槽3だけでなくバッテリー8も、蓄熱槽3、ファンコイルユニット7を伴うことなく充電可能な場所に搬送することができる。そして非常設会場における蓄熱式冷房装置1の設置空間の形状、床面積の広さ、高さが変わっても、それに応じて蓄熱式冷房装置1の占有空間の形状、高さ、占有床面積を変化させることができるので便利である。また収容するバッテリー8の個数やバッテリー8の個々の容量の異なる複数の第三ハウジングを準備しておき、その第三ハウジングの中から冷房のニーズに適合するものを選んで非常設会場へ搬送して設置するようにすることもできる。
【0075】
また、
図1に示す蓄熱式冷房装置1を、例えばトラックの荷台に設置しておく等により搬送手段に据え付けておいてもよい。蓄熱式冷房装置1を搬送手段に据え付けておけば、搬送手段と共に蓄熱式冷房装置1をブライン冷却冷凍装置2の設置場所まで移動し、ブライン送出口33aと流入管路5のブライン流入口5aとを、またブライン回収口32aと排出管路6のブライン排出口6aとを、例えば可撓性を有する管路を介して接続することで、蓄熱式冷房装置1を搬送手段から降ろすことなく、蓄熱槽3内に冷気を貯めることができ、揚送手段が不要になる。そして蓄熱槽3に冷気を貯めた蓄熱式冷房装置1を搬送手段で非常設会場内の設置位置に搬送して、蓄熱式冷房装置1を搬送手段から降ろすことなく冷房を行うことができる。
(ユニット組み替え工程を含む冷房方法)
【0076】
また、本発明に係る非常設会場冷房方法によれば、ハウジング9を、蓄熱槽3を収容する第一ハウジングと、ファンコイルユニット7を収容する第二ハウジングと、バッテリー8を収容する第三ハウジングとを備え、第一ハウジング、第二ハウジング及び第三ハウジングは、相互の位置関係が自在に変更可能にしておき、氷が生成された蓄熱式冷房装置1を、搬送手段により非常設会場へ搬送した後、非常設会場の状態に応じて、第一ハウジング、第二ハウジング及び第三ハウジングの位置関係を調整するようにしてもよい。さらに、商用電源とバッテリー8のうち、非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、蓄熱式冷房装置1を稼働させて非常設会場を冷房するようにするとよい。
(非常設会場冷房システムの事業形態)
【0077】
非常設会場冷房システム100,200,300,400は、必要となるのが夏期の数週間から2ヶ月程度と考えられる。このため、冷房を所望する運営者が、屋外イベント会場を運営する民間であるか、災害時の避難所等を運営する自治体や公共機関であるかを問わず、非常設会場の運営者が当該システムを常備するのは、経費及び人件費等が非効率であり、不経済である。
【0078】
そのため、蓄熱式冷房装置1、ブライン冷却冷凍装置2、搬送手段、及び、揚送手段を、レンタル又はリースの事業形態で、非常設会場を運営する運営者が稼働させるようにしてもよいし、非常設会場を運営する運営者とは別の事業者が稼働させるようにしてもよい。蓄熱式冷房装置1、ブライン冷却冷凍装置2、搬送手段、及び、揚送手段を別の事業者が所有することにより、運営者が非常設会場冷房システムを常備する必要がなくなるため、運営者の負担が小さく、効率的で、広く普及し得る非常設会場冷房システムを提供することができる。ここで、別の事業者による所有については、蓄熱式冷房装置1、ブライン冷却冷凍装置2、搬送手段、及び、揚送手段の各々をそれぞれ異なる事業者が所有してもよいし、同一の事業者が所有してもよく、非常設会場を運営する運営者と異なっていれば、運営者の負担軽減の利益を享受できる。なお、特許請求の範囲における「運営者」及び「事業者」には、法人は勿論のこと、個人、地方公共団体、国も含まれる。
【0079】
屋外イベント会場における非常設会場冷房システム100,200,300,400の使用例の一つとして、夏期のマラソンコースにおける使用例が挙げられる。例えば、マラソン大会の主催者が、非常設会場冷房システム100,200の事業者に発注し、非常設会場冷房システム100,200,300,400の事業者が、マラソン大会の日程に合わせて、複数台(例えば2000台)の蓄熱式冷房装置1をブライン冷却冷凍装置2にて使用できる状態に準備し、搬送手段及び揚送手段によって、マラソンコースに設置し、マラソンコース自体を涼しくしておく。大会終了後、非常設会場冷房システム100,200,300,400の事業者が、搬送手段及び揚送手段によって、マラソンコースから蓄熱式冷房装置1を回収する。このようにすることで、マラソン大会主催者の費用負担を軽減しながら、猛暑でもマラソン大会を開催することができる。
【0080】
また、災害時の避難所における非常設会場冷房システム100,200,300,400の一使用例を挙げておく。例えば、国は、予め、ブライン冷却冷凍装置2にて使用できる状態にした蓄熱式冷房装置1を複数台備蓄しておく。被災地となった地域の地方公共団体は、非常設会場冷房システム100,200,300,400を所有する国に蓄熱式冷房装置1の使用を要請する。使用認可を受けた地方公共団体、又は要請を受けた(若しくは独自の判断で)国は、搬送手段及び揚送手段によって、蓄熱式冷房装置1を避難所に設置して活用する。これにより、地方公共団体及び国は、費用負担を軽減しながら、夏期における災害時の避難所での熱中症を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る非常設会場冷房システム及び非常設会場冷房方法は、屋外イベント会場や避難所のような非常設会場を冷房する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
100…非常設会場冷房システム
1…蓄熱式冷房装置
3…蓄熱槽
4…氷生成用熱交換器
5…流入管路;5a…ブライン流入口
6…排出管路;6a…ブライン排出口
7…ファンコイルユニット;7a…空気吹出部
8…バッテリー
9…ハウジング;9a…基板;9b…柱;9c…梁;9d…車輪;9e…アイボルト
11…アジャスタ;11a…ボルト;
12…空気冷却用熱交換器
36…ブライン排出口;36a…開放端
13…送風機
14…給水ライン
15,21…フロートスイッチ;
10…冷水循環管路
16…冷水送出管路
17…冷水循環ポンプ
18…冷水送出管路;18a…冷水送出口
19…散水管;
20…冷水回収管路;20a…冷水回収口
22…撹拌ポンプ
23…サーモスタット
24…ドレンパン
25…管路;
26…ドレン用ポンプ
27…インバータ
2…ブライン冷却冷凍装置
31…ブライン冷却部
32…回収管路;32a…ブライン回収口
33…送出管路;33a…ブライン送出口
34…冷凍機
35…膨張弁
37,39…管路
40…ブライン循環ポンプ
41…サーモスタット
42…タンク
200…非常設会場冷房システム
43…クッションタンク
44…管路
45…分岐管;45a…ブライン送出口
46…ヘッダー管路
47…循環二次ポンプ
48…分岐管;48a…ブライン回収口
49…戻り管路
300…非常設会場冷房システム
400…非常設会場冷房システム
9A…第一ハウジング
9B…第二ハウジング
51…冷水流入管路:51a…冷水流入口
52…冷水排出管路;52a…冷水排出口
53…冷水排出口;
B…ブライン;D…ドレン;G…地面;W…水;W1…冷水;W2…戻り冷水;I…氷
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱材として氷を収容する蓄熱槽、該蓄熱槽内に配設された氷生成用熱交換器、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン流入口を持つ流入管路、前記氷生成用熱交換器に通じる、ブライン排出口を持つ排出管路、環境から取り込んだ空気を空気冷却用熱交換器で冷却して環境に供給するファンコイルユニット、前記氷生成用熱交換器により生成された氷の融解熱に起因して生じた冷水を前記蓄熱槽から前記空気冷却用熱交換器に供給すると共に該空気冷却用熱交換器で生じた戻り冷水を前記蓄熱槽へ戻す、冷水循環ポンプを持つ冷水循環路、前記蓄熱槽の下部に配され、該蓄熱槽内の水を撹拌するための撹拌ポンプ、及び、揚送機構を持つハウジングを有する蓄熱式冷房装置と、
前記氷生成用熱交換器に供給するブラインを冷却する冷却部、前記冷却部に通じる、ブライン回収口を持つ回収管路、前記冷却部に通じる、ブライン送出口を持つ送出管路、及び、前記冷却部で冷却されたブラインを前記ブライン送出口から送出すためのブライン循環ポンプを有し、前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能であるブライン冷却冷凍装置と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記ブライン冷却冷凍装置の設置場所と該設置場所とは異なる所望の非常設会場との間で搬送するための搬送手段と、
前記揚送機構と係合することにより、前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段に載せたり前記搬送手段から降ろしたりするための揚送手段と、
を備え、
前記蓄熱式冷房装置と搬送手段とが互いに独立していることを特徴とする非常設会場冷房システム。
【請求項2】
請求項1に記載の非常設会場冷房システムであって、さらに、
互いに分離可能な、前記冷水循環ポンプに作動用の電力を供給する第一バッテリーと、前記ファンコイルユニットに作動用の電力を供給する第二バッテリーとからなるバッテリーと、
前記ファンコイルユニット及び前記冷水循環ポンプの作動用の電力の供給源を、商用電源と前記バッテリーとで切り替える電源切替え装置と、
を備え、
前記ファンコイルユニットは、空気を環境から取り込み、その空気を、前記空気冷却用熱交換器を経て環境に吹き出す送風機を備え、
前記ハウジングは、互いに独立した、第一ハウジングと第二ハウジングとからなり、
前記揚送機構は、互いに独立した、第一ハウジングに設けた第一揚送機構と第二ハウジングに設けた第二揚送機構とからなり、
前記冷水循環路は、前記冷水循環ポンプを持ち、該冷水循環ポンプの吐出口に通じる、冷水送出口を持つ冷水送出管路、並びに前記蓄熱槽に通じる、冷水回収口を持つ冷水回収管路を備える第一冷水循環路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水排出管路と、前記空気冷却用交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路とを備える第二冷水循環路とからなり、
前記第一ハウジングは、前記蓄熱槽、前記第一冷水循環路及び前記第一バッテリーを収容し、前記第二ハウジングは、前記ファンコイルユニット、前記第二冷水循環路及び前記第二バッテリーを収容しており、
前記冷水送出口と前記冷水流入口と、並びに前記冷水回収口と前記冷水排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能である非常設会場冷房システム。
【請求項3】
請求項1に記載の非常設会場冷房システムであって、さらに、
前記冷水循環ポンプ並びに前記ファンコイルユニットの作動用の電力を、商用電源から供給するか、前記バッテリーから供給するかを切り替えることができる電源切替え装置を備え、
前記ファンコイルユニットは、空気を環境から取り込み、その空気を、前記空気冷却用熱交換器を経て環境に吹き出す送風機を備え、
前記ハウジングは、互いに独立した、第一ハウジング、第二ハウジング及び第三ハウジングからなり、
前記揚送機構は、互いに独立した、前記第一ハウジングに設けた第一揚送機構と前記第二ハウジングに設けた第二揚送機構と、前記第三ハウジングに設けた第三揚送機構とからなり、
前記冷水循環路は、前記冷水循環ポンプを持ち、該冷水循環ポンプの吐出口に通じる、冷水送出口を持つ冷水送出管路、並びに前記蓄熱槽に通じる、冷水回収口を持つ冷水回収管路を備える第一冷水循環路と、前記空気冷却用熱交換器に通じる、冷水排出口を持つ冷水排出管路と、前記空気冷却用交換器に通じる、冷水流入口を持つ冷水流入管路とを備える第二冷水循環路とからなり、
前記第一ハウジングは、前記蓄熱槽及び前記第一冷水循環路を収容し、前記第二ハウジングは、前記ファンコイルユニット及び前記第二冷水循環路を収容し、前記第三ハウジングは、前記バッテリーを収容しており、
前記冷水送出口と前記冷水流入口と、並びに前記冷水回収口と前記冷水排出口とは、それぞれ着脱自在に接続可能である非常設会場冷房システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一に記載の非常設会場冷房システムを用いた非常設会場冷房方法であって、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とを、それぞれ接続する工程と、
前記氷生成用熱交換器に前記ブライン冷却路で冷却したブラインを通し、前記蓄熱槽内の水と熱交換させて、前記蓄熱槽内の水の少なくとも一部を氷結させる工程と、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口との接続を解く工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記揚送手段により前記搬送手段に載せる工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段により前記非常設会場へ搬送する工程と、
商用電源と前記バッテリーのうち、前記非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、前記蓄熱式冷房装置を稼働させて前記非常設会場を冷房する工程とを含む非常設会場冷房方法。
【請求項5】
請求項3に記載の非常設会場冷房システムを用いた非常設会場冷房方法であって、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口とを、それぞれ接続する工程と、
前記氷生成用熱交換器に前記ブライン冷却路で冷却したブラインを通し、前記蓄熱槽内の水と熱交換させて、前記蓄熱槽内の水の少なくとも一部を氷結させる工程と、
前記ブライン送出口と前記ブライン流入口と、並びに前記ブライン回収口と前記ブライン排出口との接続を解く工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記揚送手段により前記搬送手段に載せる工程と、
前記蓄熱式冷房装置を、前記搬送手段により前記非常設会場へ搬送する工程と、
前記非常設会場の状態に応じて、前記第一ハウジング、前記第二ハウジング及び前記第三ハウジングの位置関係を調整する工程と、
商用電源と前記バッテリーのうち、前記非常設会場の電力供給状況に応じて選択したいずれかを電源として、前記蓄熱式冷房装置を稼働させて前記非常設会場を冷房する工程とを含む非常設会場冷房方法。