(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105476
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】補聴器の利便性および満足度の改善
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20220707BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220707BHJP
【FI】
H04R25/00 M
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021206506
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】PA202170001
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ピエコヴィアク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー デュセゴー
(72)【発明者】
【氏名】アンシア ボット
(72)【発明者】
【氏名】ライオネル プラトー クールマン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】補聴器の利便性及び満足度を向上させる方法、補聴器の満足度を分析するためのデータ処理システム王帯データ処理システムの少なくとも一部を備える補聴器を提供する。
【解決手段】方法は、ユーザに属する補聴器からデータを取得しS10、その後、ユーザが補聴器に不満がある可能性を示す予測スコアの決定を行いS20、予測スコアがユーザが不満足であることを示す場合、対応措置を実行するS30。対応措置は、補聴器の機能性を調整することか、人的支援を手配することか又はそれらの組み合わせを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補聴器の利便性および満足度を改善する方法であって、
ユーザに属する補聴器からデータを取得するステップと、
取得された前記データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザが前記補聴器に不満である可能性を示す予測スコアを決定するステップと、
前記予測スコアが前記ユーザが不満であることを示す場合に、対応措置を実行するステップと、を備えており、
前記対応措置は、前記補聴器の機能性を調整すること、又は人的支援を手配すること、又はそれらの組み合わせを備える、方法。
【請求項2】
前記補聴器の機能を調整する前記対応措置は、
前記補聴器のソフトウェアを再インストールすること、
前記補聴器のソフトウェアを更新すること、
1つまたは複数のアルゴリズムパラメータを変更すること、
前記補聴器の遠隔自動微調整を実行すること、および/または、
前記補聴器の1つまたは複数のプリセット/プログラムを更新すること、のうちの1つまたは複数を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
人的支援を手配する前記対応措置は、
前記補聴器のユーザに通知すること、
聴覚ケア専門家に通知すること、および/または
顧客サービス従業員に通知すること、のうちの1つまたは複数を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記対応措置は、前記補聴器から取得される前記データの少なくとも一部に、少なくとも部分的に基づいて選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予測スコアは、返却されない補聴器から記録されたデータと比較した、補聴器が返却される前に記録されたデータに少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
予測スコアを決定する前記ステップは、少なくとも部分的に、機械学習および/または人工知能を使用して実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
返却される前の補聴器および返却されない補聴器で記録されたデータが、予測スコアの決定の一部を形成するモデルを構築する際に使用されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
データを取得し、予測スコアを決定し、対応措置を実行する前記方法ステップは、自動化されたアクションである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記取得されたデータは、使用時間と、プリセット/プログラム変更の回数と、電源を切った回数と、再起動の回数と、音環境変化の回数と、音環境変化のパターンと、あるタイプの音環境で費やされた時間と、GPS位置と、温度と、脈拍と、酸素飽和度のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記予測スコアは、さらに、ユーザ固有のデータに少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザ固有のデータは、前記補聴器のタイプ、前記補聴器のモデル、年齢、性別、社会経済的属性、聴力損失プロファイル、提供されるユーザフィードバック評価、聴覚ケア専門家へのコンタクト回数、聴覚ケア専門家との最後のコンタクトからの日数、および、リンクされたアプリケーションプログラムの使用時間のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ユーザ固有のデータのうちの1つまたは複数は、リモートで取得される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対応措置は、少なくとも部分的に、取得されたデータまたはユーザ固有のデータの、1人または複数の他の補聴器ユーザからの同じタイプのデータに対する、1つまたは複数の類似性に基づいて選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
補聴器を備えるシステムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補聴器を装着する体験を改善することに関する。補聴器の利便性および満足度を向上させる方法を提供する。さらに、本方法による補聴器の満足度を分析するためのデータ処理システム、およびデータ処理システムの少なくとも一部を備える補聴器が提供される。
【背景技術】
【0002】
補聴器を使用することは、例えば、補聴器の機能性及び/又はフィーリングに起因して、不快であるか又は悩ましいものであり得る。例えば、補償アルゴリズムによる聴覚入力の変化は、不快感を引き起こす可能性がある。その結果、満足度が不足し、最終的には、ユーザが補聴器を製造業者に返却することになり得る。
【0003】
補聴器の返却は、聴覚障害者、聴覚ケア専門家、および補聴器製造業者にとって喜ばしくない局面である。ユーザにとっては、完全には満足していないにも関わらず、補聴器を選択し、聴覚ケア専門家との1つまたは複数のフィッティングを行い、補聴器を着用するために、時間が費やされてきた。聴覚ケア専門家は、ユーザを助け、補聴器のフィッティングを行うために、時間を費やしてきた。さらに、他のユーザに費すことができた時間が、返却の処理のために使用される。製造業者にとっては、聴覚器具の部品を交換するために費やされる時間およびリソースは、多くの場合、すべての聴覚器具のより高い初期コストとなって反映される。
【0004】
場合によっては、調整によってユーザの体験を改善し得るので、補聴器の返却は不要であった。しかしながら、ユーザは、補聴器で経験された問題に対処するために利用可能な助けを求めることを見過ごしている可能性がある。その代わりに、ユーザの中には、しばしば、経験している問題を解決しようとするか、または対処しようとするものもいる。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点の少なくともいくつかを解決または軽減、緩和、または排除することである。
【0006】
第1の態様では、補聴器の利便性および補聴器に対する満足度を改善する方法が提供される。この方法は、
ユーザに属する補聴器からデータを取得するステップと、
取得されたデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザが補聴器に不満がある可能性を示す予測スコアを決定するステップと、
予測スコアがユーザが不満であることを示す場合、対応措置を実行するステップを備えており、対応措置は、補聴器の機能性を調整すること、又は人的支援を手配すること、又はそれらの組み合わせを備える。
【0007】
ユーザからデータを収集する補聴器は、しばしば、例えばユーザに適応するためにデータの一部を使用するか、または補聴器の外部の処理ユニットにデータを送信し得る。補聴器の機能の一部として、補聴器は、ユーザの聴力損失を補償するように動作する補償アルゴリズムを備える。
【0008】
予測スコアは、ユーザが自分の補聴器に満足しているか、または不満があるか、の可能性の指標であり、過去のデータを使用して構築され得る予測モデルの結果であってもよい。
【0009】
対応措置は、ユーザの不満を示す予測スコア、例えば、所定値よりも大きい予測スコアに応答して取られるアクションである。対応措置を実行することは、実施されるべき対応措置を手配することを意味していてもよい。
【0010】
予測スコアが少なくとも部分的に決定される、取得済みのデータは、
使用時間と、
プリセット/プログラム変更の回数と、
電源を切った回数と、
再起動の回数と、
バッテリ充電の回数と、
音環境の変化の回数と、
音環境変化のパターンと、
あるタイプの音環境で費やされた時間と、
GPS位置と、
温度と、
脈拍と、
酸素飽和度と、のうちの少なくとも1つを備えていてもよい。
【0011】
使用時間は、補聴器が、1日の中での時間数のような、所定の期間内にどれだけの時間使用されているかである。補聴器に不満があるユーザは、より多く、またはより少なく、補聴器を使用する傾向にあるかもしれない。
【0012】
プリセット/プログラム変更の回数は、所定の期間内のプリセット/プログラム間の変更である。補聴器に不満があるユーザは、より快適になるセッティングを試して見つけるために、プログラムを何度か変更することもあれば、プログラムをそれほど頻繁に変更しないこともある。
【0013】
電源を切った回数は、補聴器が、所定の期間内で、例えば1日の内で、オフにされた回数である。補聴器に不満があるユーザは、より頻繁に、またはより少なく、補聴器をオフにし得る。
【0014】
再起動の回数は、所定の期間内で、例えば1日の内で、補聴器がオフにされ、直後にオンに戻された回数である。補聴器に不満があるユーザは、補聴器をより頻繁に、またはより少なく、リセットしようと試みることがある。
【0015】
バッテリ充電の回数は、補聴器の再充電可能なバッテリが、所定の期間内に、部分的にまたは完全に再充電された回数である。
【0016】
補聴器が、カクテルパーティのようなタイプの音環境であるか、または静かな対話のようなタイプの音環境であるかのように、屋内環境であるか屋外環境であるかのように、騒々しい環境であるか、または静かな環境であるかの検出のように、音環境を検出することができる場合、所定の期間中の音環境の変化のタイプおよび回数が、補聴器によって記録されてもよい。補聴器に不満があるユーザは、補聴器で経験された不快感または機能不良のために、しばしば音環境を変化させようとする場合もあれば、ユーザは、雑音の少ないタイプの音環境など、異なるタイプのノイズ環境にしばしば変化させようとすることがある。補聴器に不満があるユーザは、静かと考えられるタイプの音環境により多くの時間を費やすように、あるタイプの音環境により多くの時間を費やすこともある。
【0017】
GPS位置は、例えば、ユーザが多くの異なる位置で補聴器を使用しているか否か、またはユーザが少ない位置で補聴器を使用しているか否かを示してもよい。補聴器が、例えば温度、脈拍、酸素飽和度などの1つまたは複数の物理的特性を測定することを可能にする健康監視用のセンサなどの1つまたは複数のセンサを備える場合、これらのセンサデータは、ユーザ満足度について予測値を有し得る。
【0018】
予測スコアは、返却されない補聴器から記録されたデータと比較した、補聴器が返却される前に記録されたデータに少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。すなわち、ユーザが不満を持っていた期間に得られたデータを、補聴器を返却していないユーザからのデータと比較することができる。これは、補聴器ユーザの満足度を予測するのに有用なパラメータを決定するために、補聴器を返却していないユーザからのデータと、返却したユーザからのデータの間で比較を行うことを可能にする。したがって、返却される前の補聴器および返却されない補聴器で記録されたデータは、予測スコアの決定の一部を形成するモデルを構築する際に使用され得る。最終的に補聴器を返却するユーザは、補聴器に不満がある可能性が高く、返却される前のユーザの挙動は、この不満を示している。したがって、補聴器によって記録されるユーザのアクションまたはセンサからのデータのうちの1つまたは複数は、この不満を反映し得る。
【0019】
データにおけるパターンは、機械学習システムのような人工知能アルゴリズムによって区別されてもよい。シーケンス情報に敏感なニューラルネットワークのような機械学習モデル、例えば、一次元畳み込みニューラルネットワークは、補聴器を返却するユーザのデータパラメータの傾向を学習することによって、補聴器を返却するユーザを、補聴器を返却しないユーザと区別するように訓練することができる。したがって、予測スコアを決定するステップは、少なくとも部分的に、機械学習および/または人工知能を使用して実行され得る。例えば、予測スコアを決定するステップは、機械学習を使用して作成されたモデルに少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0020】
それに加えて、またはその代わりに、予測スコアは、さらにユーザ固有のデータに少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。ユーザ固有のデータの例は、例えば、耳内型(In-the-ear:ITE)、耳後方型(Behind-the-ear:BTE)、耳内レシーバ型(Receiver-in-ear:RIE)、耳内マイクロフォン及びレシーバ型(Microphone-and-receiver-in-ear:MaRIE)のような、補聴器のタイプおよび/またはモデル、ならびに、例えば、年齢、性別、社会経済的属性、聴力損失プロファイル、提供されるユーザフィードバック評価のような人口統計的属性である。ユーザ固有のデータの他の例としては、聴覚ケア専門家へのコンタクト回数、およびリンクされたアプリケーションプログラム、すなわち、例えば、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)を介してユーザまたは補聴器にリンクされたアプリケーションプログラムの使用時間である。
【0021】
ユーザ固有のデータの一部または全部は、例えば、1つまたは複数のデータベースまたは外部デバイスから、遠隔で取得されてもよい。遠隔で取得されたこのようなユーザ固有のデータは、情報を補聴器IDにリンクし、それによって、情報を補聴器から取得されたデータにリンクすることができる。
【0022】
ユーザフィードバック評価、すなわち、補聴器の使用に基づいてユーザによって提供される評価は、例えば、ユーザの補聴器の遠隔微調整が実行された後に、ユーザによって与えられる評価とすることができる。ユーザフィードバック評価は、スケール、例えば1~3のスケールで与えられていてもよい。ユーザフィードバック評価は、例えば、アプリケーションプログラムまたはウェブサイトを介してユーザによって提供されてもよい。
【0023】
ユーザの不満を示す予測スコアを決定した後、対応措置が開始され、対応措置は、補聴器の機能性を調整すること、例えば、改善することまたは適応させること、または人的支援を手配することを備える。対応措置は、1つまたは複数のアクションを備えていてもよい。
【0024】
補聴器の機能に対する調整は、例えば、フィッティングパラメータを調整すること、ファームウェアの更新、および動作モードの切り替え、の3つのカテゴリに分類することができる。フィッティングパラメータ(アルゴリズムパラメータとしても知られる)を調整することは、個々の聴力損失に関連しており、聴覚ケア専門家によって、補聴器のフィッティング中に、または後に初期フィッティング後の微調整として行われる。ファームウェアは、補聴器の一般的な動作機能(聴力補償機能、無線通信、電力制御など)を提供するソフトウェアである。動作モードの切り替えは、ユーザによって手動で行われるか、または、例えば、音響環境またはEEGセンサなどに従って自動的に行われる。動作モードは、通常、ファームウェアによって決定され、フィッティング中にカスタマイズされる。しかしながら、異なるモード間の切り替えとは別に、個人に対する聴力補償のためのパラメータは、通常、補聴器の動作中、すなわち補聴器の通常使用時には、変更されない。
【0025】
例えば、対応措置が補聴機能を調整することを備える場合、措置は、
ファームウェアの書き換えのような、補聴器のソフトウェアを再インストールすること、
補聴器のソフトウェアを更新すること、
1つまたは複数のアルゴリズムパラメータ、即ち、補償アルゴリズムパラメータを変更すること、
補聴器の遠隔自動微調整を実行すること、および/または、
補聴器の1つまたは複数のプリセット/プログラムを更新すること、のうちの1つまたは複数を備えていてもよい。
【0026】
遠隔自動微調整は、例えば、ゲイン曲線またはプリセット/プログラムの個数を調整することによって、新しいセッティングを含むデータパッケージを補聴器に送信することを備える。
【0027】
補聴器のプログラムは、ユーザがオンまたはオフに切り換えることができる予め定義されたセッティング、例えば、レストランのようなタイプの音環境における会話のために最適化された設定である。プログラムはプリセットとしても知られている。通常、補聴器は、プリセット/プログラムのコレクションを有する。
【0028】
一方、対応措置が人的支援を手配することを備える場合、措置は、
補聴器のユーザに通知すること、
聴覚ケア専門家に通知すること、および/または
顧客サービス従業員に通知すること、のうちの1つまたは複数を備えていてもよい。
【0029】
対応措置が補聴器のユーザに通知することを備える場合、通知は、補聴器を介して直接的に、および/または、音響信号、または、例えばアプリケーションプログラム/ソフトウェアを介した、および/またはテキストまたは電子メールメッセージを介した視覚信号のうちの1つまたは任意の組み合わせからなるサービスを提供する1つまたは複数の中間デバイスを介して、実行されてもよい。
【0030】
対応措置が、聴覚ケア専門家または顧客サービス従業員に通知することを備える場合、通知は、例えば、音響信号、または、例えばアプリケーションプログラムケーションプログラム/ソフトウェアを介した、および/またはテキストまたは電子メールメッセージを介した、視覚信号のうちの1つまたは任意の組み合わせからなるサービスを提供する少なくとも1つの中間デバイスを介して実行されてもよい。
【0031】
中間デバイスは、コンピュータ、PDA、携帯電話などであってもよい
【0032】
どの対応措置が選択されるかは、少なくとも部分的に、補聴器から取得されるデータの少なくとも一部に基づいていてもよい。すなわち、対応が、例えば、ソフトウェアの再インストール、更新、人的支援の手配などであるかどうかは、ある程度において、取得されるデータの内の1つまたは複数のパラメータに基づいて、選択され得る。
【0033】
代替的に、または追加的に、対応措置は、少なくとも部分的に、取得されたデータまたはユーザ固有のデータの、1人または複数の他の補聴器ユーザからの同じタイプのデータに対する、1つまたは複数の類似性に基づいて選択され得る。具体的には、1人または複数の他の補聴器ユーザが、自分の補聴器を返却しなかった人に属する場合である。例えば、補聴器ユーザの類似の聴力損失プロファイルを1人または複数の他のユーザにマッチングさせることは、対応措置を選択することにつなげることができ、補聴器の1つまたは複数のプリセット/プログラムが、1人または複数の他の補聴器ユーザによって使用されたセッティングに更新される。
【0034】
予測スコアを決定するデータ処理システムは、クラウドベースのユーザプロファイルデータベースへのアクセスを有していてもよく、聴覚喪失プロファイルのようなユーザ固有のデータが利用可能である。別の例は、位置情報、すなわち、GPS情報、加速度計からの入力、またはカレンダからの特定の会議室情報に基づく比較であり、それが対応措置の選択をもたらし、音環境のクラス、すなわち、補聴器によって知られている様々なタイプの音環境のプリセット/プログラムは、同じ位置にいる他の人によって使用されたセッティングに更新される。
【0035】
データを取得し、予測スコアを決定し、対応措置を実行する方法ステップは、完全に自動化されたアクションであってもよく、すなわち、人間の介入なしに実行されてもよい。あるいは、1つまたは複数のステップは、人間の介入を含み得る。方法が完全に自動化されている場合、1つまたは複数のステップは、例えば、予測スコアを決定する際に使用される機械学習モデルのための入力の全部または一部を変更するなど、人間の介入によって最適化されてもよい。
【0036】
第2の態様では、補聴器を備えるシステムが提供され、システムは、第1の態様による方法を実行するように構成されている。
【0037】
さらなる特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0038】
以下において、本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】例示的な実施形態によるフローチャートである。
【
図2】ユーザによって装着された補聴器から取得されるデータのグラフを示す。
【
図3】ユーザによって装着された補聴器から取得されるデータのグラフを示す。
【
図4】例示的な実施形態による、補聴器を備え、補聴器の利便性および満足度を改善する方法を実行するように構成されたシステムを概略的に示す。
【
図5】例示的な実施形態による、補聴器を備え、補聴器の利便性および満足度を改善する方法を実行するように構成されたシステムを概略的に示す。
【
図6】例示的な実施形態による、補聴器を備え、補聴器の利便性および満足度を改善する方法を実行するように構成されたシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態をより詳細に説明し、例示する。しかしながら、本明細書に開示された説明は、多くの異なる形態で実現されることができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。当業者は、添付の図面が、明確にするために概略的かつ簡略化されており、したがって、本発明の理解に不可欠である詳細を単に示すに過ぎず、他の詳細は省略されていることを理解するであろう。全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指す。したがって、同様の要素は、各図に関して必ずしも詳細に説明されない。
【0041】
図1は、補聴器の利便性および補聴器に対する満足度を改善する方法の例示的な実施形態によるフローチャートを示す。
【0042】
現代の補聴器は、いつ、どのように、どこで補聴器が使用されるかといった様々なデータ、ならびに搭載されたセンサからの任意のセンサデータを記録することができる、高度な電子デバイスである。「いつ」は、日付、時刻、最後の再起動からの時間、ユーザによる最初のアクティベーションからの時間、使用時間などを含んでいてもよいが、これらに限定されない。「どのように」は、補聴器がオンであるかオフであるか、プリセット/プログラムが使用または変更されるか、補聴器がオンにされるかオフにされるか、音環境補償、例えば、雑音の多い環境(カクテルパーティ効果)において、一人の話者または対話に焦点を合わせるといった、聴覚損失補償ソフトウェアの特定の部分がアクティブであるか、などを含んでいてもよい。「どこ」は、例えば、GPS情報、加速度計、またはカレンダからの特定の会議室情報からの入力に基づく位置だけでなく、どのタイプの音環境にユーザがいるかを含んでいてもよいが、これに限定されない。センサデータは、温度、脈拍、および酸素飽和度を含み得るが、これらに限定されない。補聴器から取得されるデータは、ユーザおよびユーザのアクションを分析するために使用することができ、それによって、補聴器の利便性および補聴器に対する満足度を向上させる方法を提供することができる。
【0043】
例えば、音環境をパラメータとして使用する場合、一般に、人々の音環境の移動の仕方、例えば、どんな環境に残り、どんな環境を避けようとするかにおいて、不満の影響を見ることになる。これは、例えば、静かな環境において時間が増加し、ノイズの多い環境において時間が減少し、及び/又は会話及び雑音環境において時間が減少することを意味することができる。
【0044】
図1では、ステップS10において、ユーザに属する補聴器からデータが取得される。補聴器外のデータ処理システムにおいてデータが分析される場合、データは、補聴器からインターネットまたはBluetooth、Wi-Fi、NFCのような無線プロトコルを介して、データ処理システムに送信されてもよい。データ処理システムは、また、補聴器内に含まれてもよく、データは、補聴器内の通信経路を介して取得されてもよい。
【0045】
補聴器からデータを取得した後、ステップS20において、ユーザが補聴器に不満がある可能性を示す予測スコアの決定が行われ、この決定は、取得されたデータに少なくとも部分的に基づいて行われる。予測スコアは、ユーザが自分の補聴器に満足している可能があるか否か、または不満を持っている可能性があるか否かの指標であり、過去のデータから構築された予測モデルの結果であってもよい。
【0046】
過去のデータを使用して予測される場合、不満足の可能性は、顧客が自分のデバイスを返却する可能性によって与えられ、その可能性は、機械学習モデルによって、返却される個数によって示され得る。機械学習モデルは、データレイク、すなわちデータのリポジトリからの、またはデータベースからの、トレーニングセットでトレーニングされ、所定のインタラクションパラメータに基づいて、補聴器を返却する人々および返却しない人々の内部表現を作成する。ユーザの挙動のパターンは、モデルによって、その訓練された内部表現と比較され、その比較がどれだけ近いかに基づいて可能性が選定される。
【0047】
予測モデルを構築するために過去のデータを使用することは、例えば、補聴器を返却したユーザの補聴器からの、ある期間にわたって記録されたデータを、補聴器を返却しなかったユーザの補聴器からの、ある期間にわたって記録されたデータと比較することによって達成することができる。多数のユーザから記録されたデータの差および/または傾向を使用して、予測スコアの決定の一部を形成するモデルを構築することができる。
【0048】
機械学習モデルは、タスクに特有のものとされ、そのアルゴリズムは、新しいデータがタスクに供給されるのに伴って学習し、改善する。より多くのデータが追加されると、モデルはより精緻化される。モデルは、生データ、すなわち補聴器から直接取得されるデータ、または処理されたデータを使用してもよい。予測スコアを決定するために使用されるのが、生データではなく、処理されたデータであるように、補聴器から取得されるデータは、多くの既知の方法で処理されてもよい。例えば、データが加算、減算等される単純な計算が、生データに対して実行されてもよい。別の例として、新しいタイプのデータを取得するために、生データを組み合わせてもよい。新しいタイプのデータは、補聴器から直接取得されず、生データを使用して生成される。
【0049】
図2および
図3には、予測スコアの決定に利用し得るデータの例が示されている(以下の
図2および
図3のさらなる説明を参照されたい)。
図2に示される5つのタイプのインタラクションパラメータおよび
図3に示されるパラメータは、補聴器のユーザが補聴器を返却するか否かを予測する際に高い信頼性を示すように見える。1つの例は、補聴器から取得されるデータのシーケンスパターン、例えば、
図2a~
図2eに示されるデータのタイプの1つまたは複数を監視し、取得されるデータに基づいて予測スコアを決定し、予測スコアは、次いで、ユーザが補聴器を返却する可能性があるか否かの指標を与え、それによって、ユーザの不満の指標を与える。
【0050】
使用時間、ボリューム変更の回数、再起動の回数、プリセット変更の回数、および電源を切った回数のパラメータを使用して、機械学習モデルが獲得され、これは、事例の77%で補聴器を返却したユーザを正しく識別し、事例の70%で補聴器を返却しないユーザを正しく識別することができた。このセットアップでは、パラメータの動的挙動が含まれるように、返却の数週間前から返却までの平均シーケンスデータが使用された。
【0051】
補聴器から取得されるデータは、短中期の時間枠内、例えば、90日のトライアル期間中など、ある期間にわたって取得されてもよい。また、補聴器の満足度を継続的に保証するために、補聴器の最初の使用からかなり後に取得されてもよい。ユーザが補聴器を使用して数ヶ月または数年後に補聴器を返却することができない場合であっても、補聴器からのデータの監視およびそれから決定された予測スコアは、ユーザ満足度の指標を提供し続けることができる。取得されるデータはまた、データが予測スコアの決定に使用される前の、1週間、1日、または数時間、数分、または数秒などの、非常に短い時間枠内で収集されたデータであってもよい。
【0052】
予測スコアを決定する際に使用される要因は、時間単位での使用時間などの単純な数であってもよいが、例えば、特定の時間パターンにおける、プリセット/プログラムの変更、またはボリューム制御のアクティベーションなど、ユーザと補聴器との間のより複雑なインタラクションであってもよい。このような複雑なインタラクションは、データ中のパターンが人工知能アルゴリズムによって識別される機械学習アプローチにおいて分析されるのに適している。シーケンス情報に敏感なニューラルネットワークのような機械学習モデル、例えば、一次元畳み込みニューラルネットワークは、補聴器を返却するユーザのデータパラメータの傾向を学習することによって、補聴器を返却するユーザを、補聴器を返却しないユーザと区別するように訓練することができる。したがって、予測スコアを決定するステップは、少なくとも部分的に、機械学習および/または人工知能を使用して実行され得る。例えば、予測スコアを決定するステップは、機械学習を使用して作成されたモデルに少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0053】
予測スコアは数値であってもよく、予測スコアの値は、満足の指標を不満足の指標から分離する所定の臨界値と比較することができる。例えば、予測スコアが、例えば、所定の値よりも高い場合、ユーザは、不満足として分類されてもよい。あるいは、予測スコアは、単一の数字よりも複雑な方法で、例えばいくつかの数字として、または文字および数字として表現されてもよい。ユーザが満足または不満足であると示されるかどうかの決定がなされることを可能にする任意のラベル付けが使用されてもよい。
【0054】
予測スコアが、ユーザが不満足であることを示す場合、対応措置は、
図1のステップS30において実行される。対応措置は、補聴器の機能性を調整すること、または人的支援を手配することを備える。どの対応措置が選択されるかは、少なくとも部分的に、補聴器から取得されるデータの一部または全部に基づくことができる。例えば、ユーザがプリセット/プログラムを頻繁に変更する場合、これは、おそらく他のデータと共に、ユーザがプログラムに不満を感じていることを示している可能性があり、ユーザ体験を試行して改善するための対応措置として、1つまたは複数のプリセット/プログラムの更新が選択されてもよい。補聴器のボリュームが頻繁に変更される場合、ここでもおそらく他のデータと共に、補聴器がユーザの聴力損失に対して適切に較正されなかったことを示す場合があり、適切な対応措置では、新たな較正が実行されることができるように、聴覚ケア専門家に通知してもよい。
【0055】
このようにして、ユーザおよび補聴器とのユーザのインタラクションについて収集されるデータは、ユーザが自身の補聴器に不満がある否かを予測するためのデータ駆動アプローチを提供し、ユーザが自身の補聴器に満足しているか否かを学習するために、ユーザに直接コンタクトする必要なく、補聴器の利便性および満足度を改善するための措置を開始することを可能にする。
【0056】
図2には、補聴器が返却される前の最後のデータの記録の12週間前の5つのパラメータの平均シーケンスデータを、返却されていないものからの同じタイプのデータと比較したグラフが示されている。5つのパラメータは、(a)使用時間[h]、(b)プリセット/プログラム変更の回数、(c)電源を切った回数、(d)少なくとも1回ボリューム変更をしたユーザのパーセンテージ、および(e)再起動の回数であり、全て週の関数である。このデータは、4000個の返却されていないものと2000個の返却されたものに基づいている。
図2a-
図2eにおける全てのパラメータについて、返却される事例の返却されない事例と比較した傾向を確認することができ、それによって予測モデルを作成する実現性がもたらされる。
【0057】
図3には、予測スコアの決定に利用し得るデータの別の例が示されている。示されているのは、補聴器が返却される前の最後のデータの記録の8週間前の、補聴器のパーセンテージ(%)対毎日のプリセット切り替えの回数であり、返却されないものからの同じタイプのデータと比較されている。示されているデータは、2300個の返却されたものと、11000個の返却されていないものに基づく。グラフでは、返却されたものからのデータは黒で示され、返却されていないものからのデータは灰色で示されている。これは、返却された補聴器については、返却されていない補聴器と比較して、毎日のプリセット切り替えがより多いことを示している。これらのデータを使用して、事例の72%において、補聴器を返却したユーザを正しく識別し、事例の96%において、補聴器を返却しないユーザを正しく識別し得る機械学習モデルが獲得された。
【0058】
図4は、例示的な実施形態による、補聴器を備え、補聴器の利便性および満足度を改善する方法を実行するように構成されたシステムを概略的に示す。ユーザ1は補聴器3を装着しており、例えば使用時間、プリセット/プログラム変更の回数、電源を切った回数、再起動の回数、バッテリ充電の回数、音環境変化の回数、音環境変化のパターン、あるタイプの音環境で費やされた時間、位置、温度、脈拍、酸素飽和度のようなユーザ及びユーザの挙動についてのデータを収集する。このデータは、多くの方法で使用することができ、補聴器からデータを取得し、予測スコアを決定し、対応措置を実行するように構成されたデータ処理システム9によって使用されてもよい。
【0059】
図4に示される実施形態において、データ処理システム9は、遠隔サーバ5に含まれており、補聴器3は、補聴器3と遠隔サーバ5との間のデータ伝送7が可能になるように、遠隔サーバ5と通信するように構成されている。補聴器3と遠隔サーバ5との間のデータ伝送7は、例えばアプリケーションプログラムのように、例えば携帯電話のような外部デバイスにおいて実行されるソフトウェアを介して行われてもよい。
【0060】
データ処理システム9は、データ伝送7を介してデータを取得し、取得されたデータに少なくとも部分的に基づいているが、ユーザ固有のデータにも部分的に基づき得る予測スコアを決定する。ユーザ固有のデータは、例えば、補聴器のタイプ、補聴器のモデル、年齢、性別、社会経済的属性、聴力損失プロファイル、提供されるユーザフィードバック評価、聴覚ケア専門家へのコンタクト回数、補聴ケア専門家との最後のコンタクトからの日数、およびリンクされたアプリケーションプログラムの使用時間であり得る。そのようなユーザ固有のデータは、遠隔で、すなわち補聴器の外部から、例えば1つまたは複数のデータベースまたは外部デバイスから取得され得る。
図4に示される実施形態において、ユーザ固有のデータは、遠隔サーバ5 で使用可能であり得る。遠隔で取得されるこのようなユーザ固有のデータは、情報を補聴器IDにリンクし、それによって、情報を補聴器3から得られたデータにリンクすることができる。
【0061】
さらに、試験および/または製造中に生成される補聴器からのデータもまた、予測スコアを決定する際に使用され得る。予測スコアは、ユーザが補聴器に不満がある可能性を示し、予測が不満を示す場合、対応措置が実行される。
【0062】
データ伝送7は、定常的に行われてもよいし、散発的に行われてもよい。例えば、補聴器を返却したユーザの補聴器からの、一定期間記録されたデータを、補聴器を返却していないユーザの補聴器からのデータと比較することから、過去のデータに基づく予測モデルを使用して、予測スコアを決定する場合、予測モデルは、連続的にまたは定期的に更新されてもよい。遠隔サーバ5は、複数の補聴器ユーザに接続することができる。遠隔サーバ5は、予測モデルを経時的に改善することができるように、複数の補聴器ユーザからデータを受信する。遠隔サーバ5は、例えば、補聴器を返却しないユーザのデータパラメータと比較した、補聴器を返却するユーザのデータパラメータの傾向を探すことによって、データを分析する機械学習アルゴリズムを備えていてもよい。あるいは、遠隔サーバ5は、機械学習アルゴリズムを備えるシステムに接続されていてもよい。
【0063】
図5は、他の例示的な実施形態による、補聴器を備え、補聴器の利便性および満足度を改善する方法を実行するように構成された別のシステムを概略的に示す。
図4及び
図6に示すように、ユーザ1は、ユーザ及びユーザの挙動についてのデータを収集する補聴器3を装着している。
図5に示される実施形態において、データ処理システム9は、補聴器3に含まれ、データ処理システム9は、補聴器3内の通信経路を介してデータを取得する。
図5に示す実施形態のデータ処理システム9は、補聴器3からデータを取得し、取得したデータに少なくとも部分的に基づいて予測スコアを決定し、対応措置を実行するように構成される。対応措置を実行することは、補聴器が、実施されるべき対応措置を手配することを意味していてもよい。
【0064】
予測スコアは、過去のデータに基づく予測モデル、例えば、補聴器を返却したユーザの補聴器からの一定期間記録されたデータと、補聴器を返却していないユーザの補聴器からのデータと、を比較することによって取得されるモデルに基づく予測モデルを用いた結果であってもよい。補聴器3内のデータ処理システム9は、予測モデルを実行するソフトウェアを備えていてもよい。予測モデルは、ソフトウェア更新によって、またはデータ処理システム9に含まれる機械学習アルゴリズムによって、定常的または定期的に更新され得る。
【0065】
ソフトウェアまたは機械学習アルゴリズムを更新するため、または、例えば予測モデルの作成に使用するために、他の補聴器ユーザからデータを収集するために、補聴器3は、例えば、
図4に示すような遠隔サーバ5との無線通信、または外部デバイス15上で実行されるアプリケーションプログラムとの無線通信のような、外部システムとの有線または無線通信13の手段を有してもよい。ここで、外部デバイスは、遠隔サーバ5のような他のシステムと通信してもよい。
【0066】
図6は、他の例示的な実施形態による、補聴器を備え、補聴器の利便性および満足度を改善する方法を実行するように構成された、さらに別のシステムを概略的に示す。
図4及び
図5に示すように、ユーザ1は、ユーザ及びユーザの挙動についてのデータを収集する補聴器3を装着している。
図6に示される実施形態において、
図5と同様に、データ処理システム9は、補聴器3に含まれ、データ処理システム9は、補聴器3内の通信経路を介してデータを取得する。
【0067】
他の補聴器ユーザからデータを取得するために、補聴器3は、例えば遠隔サーバ5との無線通信など、外部システムとの有線または無線通信13の手段を有する。遠隔サーバ5は、他の補聴器ユーザからのデータを備えるデータベース11を有し、このデータベース11は、データ処理システム9が予測スコアの決定に使用してもよい。
【0068】
他の補聴器ユーザからのデータは、補聴器を返却したユーザからのデータ、および補聴器を返却しないユーザからのデータであってもよいし、補聴器を返却したユーザからのデータと補聴器を返却しないユーザからのデータに分離することができるデータであってもよい。
【0069】
全ての実施形態において、予測スコアが、ユーザが不満であることを示す場合、対応措置が実行され、対応措置は、補聴器の機能性を調整すること、または人的支援を手配することを備える。
【0070】
例えば、補聴器の機能性を調整する対応措置は、補聴器の機能性の以下の調整、すなわち、補聴器のソフトウェアを再インストールすること、補聴器のソフトウェアを更新すること、1つまたは複数のアルゴリズムパラメータを変更すること、補聴器の遠隔自動微調整を実行すること、および/または、補聴器の1つまたは複数のプリセット/プログラムを更新することのうちの1つまたは複数を備えていてもよい。
【0071】
代替的に、1つまたは複数の方法ステップが補聴器3内の回路によって実行され、残りが補聴器の外部に含まれる回路上で実行されるように、データ処理システム9は、部分的に補聴器3の内部に含まれており、部分的に補聴器の外部に、例えば遠隔サーバ5の内部に含まれていてもよい。
【0072】
データ処理システム9またはその一部が遠隔サーバ5に含まれている場合、補聴器3にそれらをプッシュすることによって補聴機能の1つまたは複数の調整を実行してもよく、または、要求を待ってもよい。例えば、補聴器3は、更新および/または微調整を定期的に要求してもよい。
【0073】
対応措置が人的支援を手配することである場合、それは、例えば、補聴器ユーザに通知すること、聴覚ケア専門家に通知すること、および/または顧客サービス従業員に通知することを備えることができる。補聴器3のユーザ1への通知することは、例えば、アプリケーションプログラムを介して、または補聴器3に含まれる通信手段を介して、達成することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:ユーザ
3:補聴器
5:遠隔サーバ
7:データ伝送
9:データ処理システム
11:データベース
13:有線または無線通信
15:外部デバイス
【外国語明細書】