(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105540
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】センサユニットおよび蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20220707BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/14 L
H01M10/48 301
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074212
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2020133648の分割
【原出願日】2017-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】小寺 康彦
(72)【発明者】
【氏名】濱本 勇
(72)【発明者】
【氏名】内田 淑文
(72)【発明者】
【氏名】津曲 隆行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山中 篤
(57)【要約】
【課題】検出対象に対するセンサ素子の検出精度が低下することを抑制する。
【解決手段】本明細書によって開示されるセンサユニットは、被検出体に取り付けられるセンサユニットであって、前記被検出体上に配され、導電路が形成された可撓性を有する帯状の導電路構成体と、前記導電路構成体の表面において前記導電路に接続されたセンサ素子と、前記導電路構成体において前記センサ素子が設けられた部分の裏面に取り付けられた板材50と、前記板材50における前記センサ素子の外周縁部を弾性復帰力によって前記被検出体に向けて付勢する付勢部材90とを備えるセンサユニット。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体に取り付けられるセンサユニットであって、
前記被検出体上に配され、導電路が形成された可撓性を有する帯状の導電路構成体と、
前記導電路構成体の表面において前記導電路に接続されたセンサ素子と、
前記導電路構成体において前記センサ素子が設けられた部分の裏面に取り付けられた板材と、
前記板材における前記センサ素子の外周縁部を弾性復帰力によって前記被検出体に向けて付勢する付勢部材とを備えるセンサユニット。
【請求項2】
前記センサ素子は、前記被検出体の温度を検出する温度センサである請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記板材は、金属板材である請求項1又は請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記センサ素子を覆うように前記導電路構成体に設けられた台座部を有し、
前記付勢部材は、弾性変形可能な状態で前記台座部に保持される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記台座部と前記センサ素子との間には、前記センサ素子を覆う樹脂製の保護部が設けられている請求項4に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記台座部は、前記被検出体に設けられた保持部と係止可能な係止部を有しており、
前記付勢部材は、前記係止部と前記保持部との係止によって前記係止部と前記保持部とが互いに係止する方向に弾性変形する請求項4又は請求項5に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記付勢部材は、螺旋状をなす金属製のコイルばねである請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記センサ素子を覆うように前記導電路構成体に設けられた台座部を有し、
前記台座部は、前記付勢部材の一部を軸方向に収容する収容部と、
前記収容部に対して前記付勢部材の軸方向に組み付ける蓋部とを有しており、
前記収容部と前記蓋部とは、前記付勢部材を軸方向に挟持する請求項7に記載のセンサユニット。
【請求項9】
前記センサ素子を覆うように前記導電路構成体に設けられた台座部を有し、
前記台座部は、合成樹脂製であって、
前記付勢部材は、前記台座部と一体に合成樹脂によって形成されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記センサ素子を覆うように前記導電路構成体に設けられた台座部を有し、
前記付勢部材は、一対の金属製の板ばねであって、前記台座部において前記センサ素子の両側に設けられた一対のばね保持部に保持されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項11】
前記一対の板ばねは、前記台座部を付勢する部分が前記センサ素子を基準に点対称となるように配置されている請求項10に記載のセンサユニット。
【請求項12】
前記被検出体と、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のセンサユニットとを備え、
前記被検出体は、蓄電素子である蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、センサユニットおよび蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、温度センサを有するバッテリ装置として、特開2003-229110号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このバッテリ装置の温度センサは、ケースに固定される温度検出プレートに固定されており、温度センサを、ケース内に収容された二次電池の表面に接近させることで二次電池の温度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の装置は、温度検出プレートと二次電池との間の寸法公差などにより、温度センサと二次電池との間隔にばらつきが生じやすい。このため、温度センサが二次電池に近接せずに温度が検出できなくなったり、温度検出プレートと二次電池との間で温度センサが押し潰されたりする虞がある。
【0005】
本明細書では、検出対象に対するセンサの検出精度が低下することを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるセンサユニットは、被検出体に取り付けられるセンサユニットであって、前記被検出体上に配され、導電路が形成された可撓性を有する帯状の導電路構成体と、前記導電路構成体の表面において前記導電路に接続されたセンサ素子と、前記センサ素子を覆うように導電路構成体に設けられた台座部と、弾性変形可能な状態で前記台座部に保持され、弾性復帰力によって前記囲部を前記被検出体に向けて付勢することにより前記導電路構成体の裏面側の部分を前記被検出体に接触させる付勢部材とを備える構成とした。
【0007】
このような構成のセンサユニットによると、センサ素子が接続された導電路構成体の裏面側の部分を、付勢部材の弾性復帰力によって被検出体に向けて押し付け、導電路構成体の裏面側の部分が被検出体から浮き上がることを抑制することができる。これにより、台座部によってセンサ素子を他の部材から保護ししつ、センサ素子を被検出体に対して近接した状態に配置することができる。これにより、被検出体に対するセンサ素子の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0008】
本明細書によって開示されるセンサユニットは、以下の構成としてもよい。
前記台座部は、前記被検出体に設けられた保持部と係止可能な係止部を有しており、前記付勢部材は、前記係止部と前記保持部との係止によって前記係止部と前記保持部とが互いに係止する方向に弾性変形する構成としてもよい。
【0009】
このような構成によると、係止部と保持部との係止によって係止方向に弾性変形するから、付勢部材の弾性復帰力によって導電路構成体の裏側の部分を被検出体に向けて適切な圧力によって接触させ、センサユニットを被検出体に取り付けることができる。
【0010】
前記センサ素子は、前記被検出体の温度を検出する温度センサであって、前記導電路構成体において前記センサ素子が設けられた部分の裏面には、板材が取り付けられている構成としてもよい。
このような構成によると、センサ素子が接続された部分の導電路構成体が他の部材に接触するなどして損傷することを防ぐことができる。また、導電路構成体が板材によって補強されているから、センサ素子を導電路に接続する作業性を向上させることができる。
【0011】
前記板材は、熱伝導性の高い金属板材である構成としてもよい。
このような構成によると、板材が被検出体の熱を集める集熱効果を発揮することで、センサ素子によって被検出体の温度を安定的に検出することができる。
【0012】
前記台座部と前記センサ素子との間には、前記センサ素子を覆う樹脂製の保護部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、センサ素子が保護部によって覆われているから、塵埃、水、他の部材などによってセンサ素子に不具合が生じることを防ぐことができる。
【0013】
前記付勢部材は、螺旋状をなす金属製のコイルばねであって、前記付勢部材は、前記センサ素子の外周縁部を付勢する構成としてもよい。
このような構成によると、被検出体に対してセンサ素子を安定して付勢することができ、センサ素子の検出精度が低下することをさらに抑制することができる。
【0014】
前記台座部は、前記付勢部材の一部を軸方向に収容する収容部と、前記収容部に対して前記付勢部材の軸方向に組み付ける蓋部とを有しており、前記収容部と前記蓋部とは、前記付勢部材を軸方向に挟持する構成としてもよい。
このような構成によると、収容部と蓋部とによって付勢部材を軸方向に挟持するように安定して保持することができる。
【0015】
前記台座部は、合成樹脂製であって、前記付勢部材は、前記台座部と一体に合成樹脂によって形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、付勢部材を台座部と一体に形成することができるから、製造コストを低減することができる。また、台座部と付勢部材とを個別に管理する必要が無く、部品保管性に優れる。
【0016】
前記付勢部材は、一対の金属製の板ばねであって、前記台座部において前記センサ素子の両側に設けられた一対のばね保持部に保持されている構成としてもよい。
このような構成によると、台座部の両側において温度センサを被検出体に対して付勢することができるから、被検出体に対してセンサ素子を安定して付勢することができ、センサの検出精度が低下することをさらに抑制することができる。
【0017】
前記一対の板ばねは、前記台座部を付勢する部分が前記センサ部を基準に点対称となるように配置されている構成としてもよい。
このような構成によると、一対の板ばねの台座部を付勢する部分がセンサ部を基準に点対称となるように配置されているから、例えば、一対の板ばねにおける台座部を付勢する部分がセンサ部に対して偏って配される場合に比べて、被検出体に対してセンサ素子を安定して付勢することができる。
【0018】
本明細書によって開示される蓄電モジュールは、前記被検出体と、前記センサユニットとを備え、前記被検出体は、蓄電素子である構成としてもよい。
このような構成の蓄電モジュールによると、センサユニットを付勢部材の弾性復帰力によって蓄電素子に対して押し付け、蓄電素子からセンサユニットが浮き上がることを抑制することができる。これにより、蓄電素子に対するセンサ素子の検出精度が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書によって開示される技術によれば、検出対象に対するセンサ素子の検出精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】温度センサユニットを一対の保持部に取り付ける前の状態を示す斜視図
【
図3】温度センサユニットを一対の保持部に取り付けた状態を示す斜視図
【
図9】ロアハウジングにアッパハウジングを組み付ける前の状態を示す斜視図
【
図10】ロアハウジング内に付勢部材を収容した状態を示す斜視図
【
図11】ロアハウジング内に付勢部材を収容した状態を示す平面図
【
図12】温度センサユニットを蓄電素子本体の側面に組み付けた状態を示す側面図
【
図13】実施形態2に係る温度センサユニットの斜視図
【
図18】温度センサユニットを一対の保持部に組み付けた状態を示す斜視図
【
図19】温度センサユニットを一対の保持部に組み付けた状態を示す平面図
【
図24】ロアハウジングにアッパハウジングを組み付ける前の状態を示す斜視図
【
図25】ロアハウジングにアッパハウジングを組み付ける前の状態を示す側面図
【
図26】ロアハウジングに板ばね部材組み付けた状態を示す平面図
【
図27】温度センサユニットを一対の保持部に組み付ける前の状態を示す側面図
【
図28】温度センサユニットを一対の保持部に組み付けた状態を示す側面図
【
図29】温度センサユニットを一対の保持部に組み付けた状態を示す断面図であって、
図23の断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術における実施形態1について
図1から
図12を参照して説明する。
【0022】
本実施形態は、車両の駆動源として使用される蓄電モジュール10を示している。蓄電モジュール10は、例えば、産業用のプリンタや産業用のロボット、また、電子機器や設備用の電源として使用することもできる。
【0023】
蓄電モジュール10は、
図1に示すように、複数の蓄電素子(「被検出体」の一例)11、複数の蓄電素子11に取り付けられる接続導体B、所定数の蓄電素子11毎に取り付けられる温度センサユニット20などを備えて構成されている。
【0024】
蓄電素子11は、扁平な箱形状の蓄電素子本体(「被検出体」の一例)12と、蓄電素子本体12から突出する一対の接続端子13とを有している。複数の蓄電素子11は、蓄電素子本体12を前後方向に密着するように積層して配置されている。
【0025】
接続導体Bは、例えば、板状のバスバーなどからなり、隣り合う蓄電素子11の接続端子13に電気的に接続されることで、複数の蓄電素子11を直列に接続する。
【0026】
所定数毎の蓄電素子11は、蓄電素子本体12の外面である上面12Aに温度センサユニット20を保持する一対の保持部14を有している。
【0027】
一対の保持部14は、
図1から
図4に示すように、蓄電素子本体12の上面12Aから上方に突出する前後方向に長い平板状に形成されている。一対の保持部14は、板厚方向に対向して配置されており、一対の保持部14の間に温度センサユニット20が取り付けられるようになっている。各保持部14の上端部には、前後方向両側に突出する保持突起(「被係止部」の一例)15が設けられており、各保持突起15は、前後方向に突出するほど下方に傾斜する案内面15Aと、下方に面する保持面15Bとを有している。
【0028】
温度センサユニット20は、
図1から
図4に示すように、一対の保持部14に対して上方から設置するものであって、帯状をなすフレキシブルプリント基板(「導電路構成体」の一例であり、以下、「FPC」とも言う)30と、FPC30の一方の端部である前端部に接続される温度センサ(「センサ素子」の一例)40と、FPC30に取り付けられる板材50と、温度センサ40を覆うハウジング(「台座部」の一例)60と、ハウジング60内に収容される付勢部材90とを備えて構成されている。
【0029】
FPC30は、
図1に示すように、銅箔からなる一対の検知線(「導電路」の一例)33を、一対の検知線33よりも幅広な帯状の絶縁性フィルム35で被覆して形成されている。したがって、FPC30は、被覆電線に比べて柔軟性が高く非常に省スペースな構成となっている。また、FPC30は、温度センサ40が配された位置から左右方向に延びた後、前後方向に折り曲げられて配索される。
FPC30の上面である表面30Aの一方の端部には、一対の検知線33が露出した図示しない一対の接続部が設けられている。一対の接続部は、絶縁性フィルム35を除去することにより形成されている。
【0030】
一方、FPC30の他方の端部(図示省略)における一対の検知線33には、蓄電素子11を制御する図示しない制御ユニットが接続されている。
【0031】
温度センサ40は、
図4、
図8および
図11に示すように、略方形状をなすセンサ本体41を有している。センサ本体41の下端部には、図示しない一対のリード部が設けられている。一対のリード部は、FPC30における一対の接続部に半田などで接続されることにより、一対の検知線33に電気的に接続されている。したがって、FPC30の表面30A上に配置された温度センサ40からの検出信号がFPC30の一対の検知線33を通じて制御ユニットに入力されるようになっている。
【0032】
板材50は、
図6から
図9に示すように、平坦度の高い平板状に形成されており、FPC30の前端部の下面である裏面30Bに取り付けられている。板材50は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金などの伝熱性に優れた金属板材とされている。板材50の左右方向の長さ寸法および前後方向の長さ寸法は、温度センサ40の左右方向の長さ寸法および前後方向の長さ寸法よりも大きく設定されており、FPC30を挟んで温度センサ40が配置された位置の真裏に、例えば、公知の接着剤などによって接着されている。
【0033】
したがって、温度センサ40が配置される部分のFPC30は、板材50によって補強されており、温度センサ40をFPC30に搭載する前に、板材50を取り付けることで、FPC30に対して温度センサ40を固定し易くできるようになっている。
【0034】
ハウジング60は、合成樹脂製であって、
図7に示すように、FPC30の表面30Aにおける前端部に固定されるロアハウジング70と、ロアハウジング70に対してFPC30とは反対側である上方から組み付けられるアッパハウジング80とを備えて構成されている。
【0035】
ロアハウジング70は、
図8から
図11に示すように、略円筒状をなしており、FPC30の表面30Aに例えば、公知の接着剤などによって接着されている。
【0036】
ロアハウジング70は、上半分が内部に付勢部材90を軸方向に収容可能なばね収容部(「収容部」の一例)71とされている。
【0037】
付勢部材90は、SUSなどの金属線材を螺旋状に巻回した金属製のコイルばねであって、軸線方向に弾性変形可能とされている。
【0038】
ばね収容部71は、上方に向かうほど僅かに先細りした形態とされており、ばね収容部71の内部は、付勢部材90の外径寸法よりもやや拡幅された形態とされている。ばね収容部71の深さ寸法は、ばね収容部71内に弾性変形しない自然状態の付勢部材90が収容されると、
図9および
図10に示すように、付勢部材90の一部がばね収容部71から露出する大きさとされている。
【0039】
一方、ロアハウジング70の下半分は、温度センサ40を収容するセンサ収容部72とされている。センサ収容部72内は、
図11に示すように、ばね収容部71よりも幅狭な角形状のキャビティ73が設けられており、キャビティ73の平面視略中央部であって、付勢部材90の軸心に温度センサ40が配置されている。
【0040】
センサ収容部72の内壁には、内側に向かって突出する一対の抜止突起75が設けられている。センサ収容部72内には、温度センサ40を水や塵埃などから保護するための封止材PMが注入され、封止材PMが硬化することで、封止材PMは、温度センサ40を覆いつつ、一対の抜止突起75によって抜け止めされるようになっている。
【0041】
また、センサ収容部の左右方向両端部は、
図11に示すように、直線状をなす直線部72Aを有しており、センサ収容部72の左右方向の長さ寸法は、
図8から
図11に示すように、ばね収容部71の左右方向の長さ寸法よりも小さく設定されている。したがって、ロアハウジング70のばね収容部71におけるセンサ収容部72と隣接する位置には、FPC30側に面する保持面76が設けられている。
【0042】
アッパハウジング80は、
図2から
図6に示すように、ロアハウジング70を上方から覆う円筒部(「蓋部」の一例)81と、円筒部81から互いに対向するように側方に延びる一対の弾性係止脚82とを備えて構成されている。
【0043】
円筒部81は、天井壁83を有する円筒状をなしている。円筒部81の内部は、ロアハウジング70のばね収容部71よりも僅かに大きく形成されており、円筒部81は、
図8および
図9に示すように、ロアハウジング70のばね収容部71を上方から収容可能とされている。
【0044】
円筒部81の下端部には、
図7から
図9に示すように、円筒部81の外面に沿って下方に延びる一対の係止片84が設けられている。一対の係止片84は、円筒部81の軸心を中心に対向した配置とされており、互いに離れる方向に向かって弾性変形可能とされている。
【0045】
各係止片84の下端部には、内側に向かって突出する係止突起85が設けられており、一対の係止片84における係止突起85間の距離は、ばね収容部71の外径寸法よりもやや小さく設定されている。
【0046】
したがって、各係止片84の係止突起85は、ばね収容部71を円筒部81内に収容する際に、ばね収容部71の外面に当接し、係止片84が弾性変形することでばね収容部71に乗り上げて摺動する。そして、ばね収容部71が円筒部81内の正規の位置に収容されると、
図8に示すように、各係止片84がばね収容部71を乗り越え、ロアハウジング70の保持面76と係止片84の係止突起85とが上下方向に係止することで、ロアハウジング70に対してアッパハウジング80が保持されるようになっている。
【0047】
また、ロアハウジング70のばね収容部71が円筒部81内の正規の位置に収容されると、ばね収容部71内の付勢部材90がばね収容部71の底面71Aと円筒部81の天井壁83とによって上下方向に押圧されて弾性変形した状態となる。つまり、
図8に示すように、付勢部材90は、ロアハウジング70の保持面76と係止片84の係止突起85とが上下方向に係止するまで、アッパハウジング80とロアハウジング70と引き離すように付勢するようになっている。
【0048】
円筒部81の天井壁83には、
図4および
図8に示すように、天井壁83の下面83Aから下方に向けて突出する位置決め部86が設けられている。位置決め部86は、底面視略十字状に設けられており、天井壁83から僅かに下方に延びた直線部87と、直線部87の下端から下方に向かうほど円筒部81の軸心に向かって傾斜した傾斜部88とを有している。
【0049】
そして、位置決め部86は、円筒部81内にばね収容部71を収容する際には、付勢部材90の内側に進入し、円筒部81内の正規の位置にばね収容部71が収容されると、付勢部材90の上端部内側に直線部87が配されることで、付勢部材90が円筒部81内において傾いた不正な姿勢になることを防ぐ事ができるようになっている。
【0050】
一対の弾性係止脚82は、
図2、
図4および
図7に示すように、一対の係止片84の両側において互いに対向する平板状に形成されている。
【0051】
一対の弾性係止脚82は、係止片84の対向方向に延びた形態とされており、各弾性係止脚82は、互いに離れる方向に弾性変形可能とされている。
【0052】
一対の弾性係止脚82間の距離は、蓄電素子本体12における保持部14の前後方向の長さ寸法とほぼ同じに設定されており、一対の弾性係止脚82の間には、温度センサユニット20を蓄電素子本体12上に設置する際に、保持部14が下方から挿入されるようになっている。
【0053】
したがって、温度センサユニット20を蓄電素子本体12上に設置する際には、一対の弾性係止脚82の下端部が蓄電素子本体12の一対の保持部14における保持突起15に上方から当接し、一対の弾性係止脚82が互いに離れる方向に向けて弾性変形することで、各弾性係止脚82が保持部14の保持突起15に乗り上げる。
【0054】
そして、温度センサユニット20が、温度センサユニット20の板材50と蓄電素子本体12の上面12Aとが接触した正規の位置に至ると、一対の弾性係止脚82が保持突起15を乗り越え、弾性復帰する。これにより、
図3および
図4に示すように、一対の弾性係止脚82の上面82Aと保持部14における保持突起15の保持面15Bとが上下方向に係止し、蓄電素子本体12に温度センサユニット20が取り付けられる。
【0055】
また、ロアハウジング70の保持面76と係止片84の係止突起85とが上下方向に係止した状態における一対の弾性係止脚82の上面82Aと板材50との間の長さ寸法D1(
図8を参照)は、蓄電素子本体12の保持部14における保持面15Bと蓄電素子本体12の上面12Aとの間の長さ寸法D2(
図4を参照)よりも大きく設定されている。
【0056】
したがって、温度センサユニット20が蓄電素子本体12の一対の保持部14に保持されると、ばね収容部71内の付勢部材90がばね収容部71の底面71Aと円筒部81の天井壁83とによって上下方向にさらに押圧されて弾性変形した状態となる。これにより、
図4に示すように、温度センサユニット20の板材50における温度センサ40の外周縁部が付勢され、板材50が蓄電素子本体12の上面12Aに押し付けられるようになっている。
【0057】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、温度センサユニット20の作用および効果について説明する。
【0058】
温度センサユニット20を蓄電素子本体12の一対の保持部14に取り付ける際には、
図2に示すように、蓄電素子本体12の一対の保持部14の上方にアッパハウジング80の円筒部81が配されるように位置合わせをする。
【0059】
次に、温度センサユニット20の一対の弾性係止脚82の間に一対の保持部14を挿入して、温度センサユニット20を蓄電素子本体12に取り付ける。
【0060】
ここで、一対の弾性係止脚82の間にそれぞれの保持部14を進入させると、一対の弾性係止脚82の下端部に各保持部14の保持突起15における案内面15Aが当接する。さらにそのまま、一対の弾性係止脚82間へ各保持部14を進入させると、一対の弾性係止脚82が互いに離れる方向に向かって弾性変形し、一対の弾性係止脚82が保持突起15に乗り上げる。そして、温度センサユニット20が正規の取り付け位置に至ると、一対の弾性係止脚82が保持突起15を乗り越え、一対の弾性係止脚82が弾性復帰する。これにより、
図4に示すように、一対の弾性係止脚82の上面82Aと保持突起15の保持面15Bとが上下方向に係止し、温度センサユニット20が蓄電素子本体12に保持される。
【0061】
また、温度センサユニット20が蓄電素子本体12に保持されると、ばね収容部71内の付勢部材90が、ばね収容部71の底面71Aと円筒部81の天井壁83とによって上下方向に挟持されて弾性変形した状態となり、
図4に示すように、温度センサユニット20を蓄電素子本体12の上面12Aに付勢する。
つまり、螺旋状のコイルばねである付勢部材90を、ロアハウジング70とアッパハウジング80との間で安定して保持し、温度センサユニット20を蓄電素子本体12の上面12Aに押し付けることができる。
【0062】
つまり、温度センサユニット20を蓄電素子本体12上の一対の保持部14間に取り付けると、ロアハウジング70におけるばね収容部71とアッパハウジング80における円筒部81との間に収容された付勢部材90の弾性復帰力によって、FPC30上に配置された温度センサ40が蓄電素子本体12に向かって適切な圧力によって付勢される。これにより、FPC30および板材50を介して蓄電素子本体12の温度を温度センサ40に安定的に伝えることができる。
【0063】
すなわち、例えば、温度センサユニット20の温度センサ40が製造公差や組付公差などによって蓄電素子本体12から浮き上がることを抑制し、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態によると、温度センサユニット20の板材50は、熱伝導性に優れた平板状の金属板材によって構成されているから、蓄電素子本体12の温度を集熱して温度センサ40に伝えることができる。これにより、例えば、板材の熱伝導度が低かったり、板材の下面に凹凸などが合ったりする場合に比べて、温度センサ40によって蓄電素子本体12の温度を安定的に検出し、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。また、板材50は、FPC30を補強しているから、FPC30に対して温度センサ40を接続する際に、接続作業性を向上させることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態によると、温度センサユニット20を蓄電素子本体12の一対の保持部14に取り付けるだけで、付勢部材90の弾性復帰力によって温度センサユニット20のFPC30および板材50を蓄電素子本体12に押し付ける。これにより、温度センサユニット20の板材50が蓄電素子本体12から浮き上がることを抑制することができる。
つまり、本実施形態によると、ハウジング60内において温度センサ40を他の部材などから保護しつつ、FPC30および板材50を介して温度センサ40を蓄電素子本体12に接触させることができ、蓄電素子本体12に対する温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態によると、温度センサ40が、付勢部材90の軸心位置に配置され、付勢部材90によって温度センサ40の外周を全周に亘って付勢することができるから、板材50を安定して蓄電素子本体12の上面12Aに接触させることができ、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0067】
ところで、温度センサユニット20は、所定数毎の蓄電素子11に設置されている。このため、複数の蓄電素子11からなる蓄電モジュール10では、制御ユニットに対して温度センサユニット20が複数接続されることになる。
【0068】
ところが、本実施形態の温度センサユニット20によると、温度センサ40と制御ユニットを繋ぐFPC30は、被覆電線に比べて柔軟性が高く非常に省スペースな構成となっているため、FPC30を制御ユニットまで配索した場合においても、被覆電線を配索する場合に比べて、省スペース化を図ると共に、軽量化を図ることができる。
【0069】
また、温度センサユニット20は、
図12に示すように、蓄電素子本体12の側面12Bに温度センサ40およびハウジング60を配置し、FPC30を蓄電素子本体12の側面12Bから上面12Aに向けてFPC30を配索する場合においても、FPC30を蓄電素子本体12の表面に沿わせて配索することができる。
【0070】
これにより、例えば、蓄電素子本体に沿うように被覆電線を屈曲させて配索する場合に比べて、蓄電素子本体12からのFPC30の張り出し量を低減することができる。さらに、FPC30は、FPC30を屈曲させた場合の反力が、被覆電線を屈曲させた場合の反力に比べて小さいから、温度センサ40が浮き上がる方向へ反力が作用する場合においても、被覆電線を用いて温度センサユニットを構成した場合に比べて、温度センサ40が浮き上がる方向への反力を低減させることができる。
【0071】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図13から
図20を参照して説明する。
【0072】
実施形態2は、実施形態1における蓄電素子本体12の一対の保持部14を変更すると共に、温度センサユニット20の板材50、ハウジング60および付勢部材90を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0073】
実施形態2における各保持部114は、
図18から
図20に示すように、蓄電素子本体12の上面12Aから上方に向けて立ち上がる平板状の立設壁115と、立設壁115の上端部に設けられた平板状の庇部116と、庇部116と立設壁115とに連なって設けられた一対の支持部117とを備えて構成されている。
【0074】
一対の保持部114における立設壁115は、互いに対向するように配置されており、一対の立設壁115の間に温度センサユニット120が装着される。
【0075】
各庇部116は、立設壁115の上端部から互いに近づく方向である内側に向けて突出した形態をなしている。
【0076】
一対の支持部117は、前後方向に所定間隔離れた状態で配置されており、各支持部117は、立設壁115の内面115Aと庇部116の下面116Aと蓄電素子本体12の上面12Aとに連なるように平板状に形成されている。
【0077】
そして、立設壁115と庇部116と一対の支持部117とによって囲まれた部分は、後述する温度センサユニット120の樹脂ばね部191が係止する凹状の被係止部118とされている。
【0078】
一方、実施形態2における板材150は、
図14、
図16および
図17に示すように、実施形態1の板材50よりも前後方向および左右方向に大きい略方形状に形成されており、板材150の前後方向の長さ寸法および左右方向の長さ寸法は、FPC30の左右方向の長さ寸法とほぼ同じ寸法に設けられている。
【0079】
ハウジング160は、
図13から
図17に示すように、一対の保持部114間の間に配置可能な略方形の角筒状に形成されており、一対の保持部114間に上方から配置される。
【0080】
ハウジング160の内部には、平面視角形状のキャビティ173が設けられており、キャビティ173の平面視略中央部に温度センサ40が配置されている。
【0081】
ハウジング160内には、水や塵埃などから温度センサ40を保護するための封止材(「保護部」の一例)PMが充填されており、封止材PMは、ハウジング160の内壁に突設された一対の抜止突起175によって抜け止めされている。
【0082】
付勢部材190は、ハウジング160の上面160Aにおける左右方向両端部に一対設けられた樹脂ばね部191によって構成されている。一対の樹脂ばね部191は、合成樹脂製であって、ハウジング160と一体に形成されている。
【0083】
各樹脂ばね部191は、
図14に示すように、ハウジング160の上面160Aから上方に向かうほどハウジング160から僅かに離れるように斜め上方に延出された後、ハウジング160から離れるように斜め下方に向けて屈曲して延出され、先端部192がハウジング160から離れるように斜め上方に屈曲された形態をなしている。そして、各樹脂ばね部191は、屈曲した部分を起点に左右方向に収縮するように弾性変形可能とされると共に、ハウジング160の付け根部分と先端部192との間で上下方向にも弾性変形可能とされている。
【0084】
樹脂ばね部191の延出端191Aと板材150の下面150Aとの間の高さ寸法D11(
図17を参照)は、蓄電素子本体12の上面12Aから庇部116の下面116Aまでの高さ寸法D12(
図20を参照)よりも大きく設定されている。また、一対の樹脂ばね部191の延出端191A間の距離は、一対の保持部114における庇部116の突出端116B間の距離よりも大きく、かつ一対の保持部114における一対の立設壁115間の距離よりも小さく設定されている。
【0085】
したがって、樹脂ばね部191は、温度センサユニット120を一対の保持部114に対して上方から組み付ける際に、各樹脂ばね部191における先端部192が一対の保持部114の庇部116に上方から当接することで、ハウジング160側に向かって収縮するように弾性変形する。
【0086】
そして、温度センサユニット120の板材150が、蓄電素子本体12の上面12Aに接触する正規の取り付け位置に至ると、それぞれの樹脂ばね部191の先端部192が庇部116を乗り越え、樹脂ばね部191が弾性復帰することでそれぞれの先端部192が被係止部118内に進入する。すると、
図18から
図20に示すように、被係止部118における庇部116の下面116Aと樹脂ばね部191の延出端191Aとが上下方向に係止した状態となり、温度センサユニット20が蓄電素子本体12に保持される。また、樹脂ばね部191が弾性復帰しようとする弾性復帰力によってハウジング160が蓄電素子本体12上に適切な圧力によって押し付けられるように付勢される。これにより、FPC30および板材50を介して温度センサ40を蓄電素子本体12に接触させることができる。
【0087】
つまり、本実施形態においても、ハウジング160内において温度センサ40を他の部材などから保護しつつ、温度センサ40が製造公差や組付公差などによって蓄電素子本体12から浮き上がることを抑制し、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0088】
また、樹脂ばね部191は、ハウジング160と一体に形成されているから、ハウジング160を形成する際に、同時に形成することができる。これにより、例えば、ハウジングと樹脂ばねとを個別に設ける場合に比べて、温度センサユニット120の部品点数を削減することができ、ハウジング160と樹脂ばね部191とを個別に保管する必要が無く、部品管理性に優れる。
【0089】
<実施形態3>
次に、実施形態3について
図21から
図29を参照して説明する。
【0090】
実施形態3は、実施形態1における蓄電素子本体12の一対の保持部14を変更する共に、温度センサユニット20のハウジング60および付勢部材90を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0091】
実施形態3における一対の保持部214は、
図27から
図29に示すように、上方に向かって立ち上がる前後方向に幅広な係止壁215と、上方に向かって立ち上がる前後方向に幅狭な支持壁216とを備えて構成されている。
【0092】
それぞれの保持部214における係止壁215と支持壁216とは、前後方向に直線的に並んだ配置とされており、一方の保持部214の係止壁215と他方の支持壁216とが対向するように左右で係止壁215と支持壁216とが前後に入れ替わった形態で配置されている。
【0093】
係止壁215の上端部における支持壁216側の位置には、保持突起217が支持壁216側に向けて突設されており、各保持突起217は、支持壁216側に向けうほど下方に傾斜する案内面217Aと、下方に面する保持面217Bとを有している。
【0094】
支持壁216の上端部における係止壁側の位置には、係止壁215側に向かうほど下方に傾斜する案内面216Aが設けられている。
【0095】
一方、実施形態3におけるハウジング260は、
図21から
図23に示すように、一対の保持部214間の間に配置可能な扁平な略方形の角形状に形成されており、ハウジング260は、一対の保持部214間に上方から配置される。
【0096】
ハウジング260は、合成樹脂製であって、
図24および
図25に示すように、FPC30の表面30Aに固定されるロアハウジング270と、ロアハウジング270に上方から組み付けられるアッパハウジング280とを備えて構成されている。
【0097】
ロアハウジング270は、
図24から
図26に示すように、角筒状のセンサ収容部272と、センサ収容部272の左右方向両側の側面272Aに設けられたばね保持部274とを備えて構成されている。
【0098】
センサ収容部272の内部には、
図26に示すように、平面視角形状のキャビティ273が設けられており、キャビティ273の平面視略中央部に温度センサ40が配置されている。
【0099】
センサ収容部272内には、水や塵埃などから温度センサ40を保護するための封止材PMが充填されており、封止材PMは、センサ収容部272の内壁に突設された一対の抜止突起275によって抜け止めされている。
【0100】
それぞれのばね保持部274は、
図24および
図25に示すように、付勢部材290をそれぞれ保持するものであって、センサ収容部272の下端部における前後両端部から側方に突出する一対の下側保持部276と、一対の下側保持部276の間においてセンサ収容部272の下端部よりもやや上方の位置も突設された上側保持部277とを備えて構成されている。
【0101】
付勢部材290は、
図24から
図26に示すように、SUSなどの幅狭な金属板材に曲げ加工を施すことによって形成されており、いわゆる板ばねである。付勢部材290は、前後方向に直線的に延びるベース部291と、ベース部291から斜め上方に折り曲げられた押圧片292と、押圧片292の上端を斜め下方に屈曲させた折り返し部293とを備えて構成されている。
【0102】
付勢部材290は、押圧片292がベース部291に対して近づく方向に弾性変形可能とされている。
【0103】
上側保持部277および一対の下側保持部276は、
図23から
図25に示すように、平板状であって、板面を水平方向にして配置されている。
【0104】
上側保持部277の下面277Aと一対の下側保持部276の上面276Aとの間の高さ寸法は、付勢部材290におけるベース部291の板厚寸法とほぼ同じに設定されており、上側保持部277と一対の下側保持部276との間に、付勢部材290のベース部291を配置することで、それぞれのばね保持部274によって付勢部材290がそれぞれ保持されるようになっている。
【0105】
また、左右方向両側のばね保持部274において付勢部材290の配置を前後反転して配置することで、ロアハウジング270を上方から視た場合に、
図26に示すように、付勢部材290における押圧片292の上端292Aの間に温度センサ40が配置されるように設定されている。
言い換えると、一対の付勢部材290におけるが押圧片292の上端292Aが温度センサ40を基準に点対称となるように配置されている。
【0106】
したがって、板ばねである一対の付勢部材を、温度センサ40を基準に点対称となるように配置されているから、温度センサ40の左右方向両側において、温度センサ40を蓄電素子本体12に対して適切に付勢することができる。これにより、例えば、一対の付勢部材を、温度センサに対して偏って配置する場合に比べて、蓄電素子本体に対して温度センサを安定して付勢することができ、センサの検出精度が低下することをさらに抑制することができる。
【0107】
また、上側保持部277の側面277Bにおける前後方向略中央部には、
図24および
図25に示すように、アッパハウジング280が係止する係止突部278が設けられている。
【0108】
係止突部278は、四隅が丸みを帯びた角柱状に形成されており、上側保持部277の側面277Bからさらに側方に突出して形成されている。
【0109】
アッパハウジング280は、
図24および
図25に示すように、扁平な箱形状をなし、平面視略矩形状の天井板281と、天井板281の前後方向両側縁に設けられた前後板282と、天井板281の左右方向両側縁に設けられた一対の側板284とを備えて構成されている。
【0110】
各側板284は、前後方向両端部と前後方向略中央部との3箇所に上下方向に延びる複数のスリット285を有している。前後方向略中央部におけるスリット285は、中央スリット286とされ、中央スリット286の前後方向の長さ寸法は、ロアハウジング270の係止突部278における前後方向の長さ寸法よりも大きく設定されている。
【0111】
中央スリット286の内壁286Aには、中央スリット286内に向かって突出する係止突起287が設けられている。中央スリット286において係止突起287と対向する内壁286Bと係止突起287の突出端287Aとの間の距離は、ロアハウジング270の係止突部278における前後方向の長さ寸法よりも小さく設定されており、係止突起287の上面は、上方に面する係止面287Bとされている。
【0112】
また、係止突起287の突出端287Aの下端部と、中央スリット286において係止突起287と対向する下端内壁には、側板284の下端部から上方に向かうほど内側に向けて傾斜する一対の案内傾斜面288が設けられている。
【0113】
一対の案内傾斜面288は、ロアハウジング270に対してアッパハウジング280を上方から組み付ける際に、ロアハウジング270の係止突部278を中央スリット286内に案内するようになっている。
【0114】
したがって、ロアハウジング270に対してアッパハウジング280を上方から組み付ける過程では、ロアハウジング270の係止突部278が一対の案内傾斜面288に当接し、係止突部278が中央スリット286内に向かって案内される。そして、係止突部278が中央スリット286内に僅かに進入すると、係止突部278が係止突起287に乗り上げ、係止突起287が設けられた側板284が弾性変形する。そして、アッパハウジング280が正規の取付位置に至ると、係止突部278が係止突起287を乗り越え、側板284が弾性復帰することで、
図27に示すように、係止突部278と係止突起287の係止面287Bとが上下方向に係止可能となる。これにより、ロアハウジング270に対してアッパハウジング280が保持されるようになっている。
【0115】
また、ロアハウジング270に対してアッパハウジング280が上方から組み付けられると、
図23および
図27に示すように、一対の付勢部材290における押圧片292の上端292Aがアッパハウジング280の天井板281によって下方に向かって押圧され、付勢部材290が僅かに弾性変形した状態となる。
【0116】
つまり、アッパハウジング280とロアハウジング270とは、係止突部278と係止突起287とが上下方向に係止する位置まで、付勢部材290によって互いに引き離される方向に付勢された状態となる。
【0117】
アッパハウジング280における前後板282間の距離は、保持部214における係止壁215と支持壁216との間の距離よりもやや小さく設定されている。
【0118】
また、前後板282には、
図24に示すように、蓄電素子本体12の一対の保持部214における係止壁215の保持突起217と係止可能な係止部289が設けられている。
【0119】
係止部289が設けられた前後板282の係止部289よりも上側の部分には、側板284におけるスリット285と連通する切欠部283が設けられており、この切欠部283よって、係止部289が設けられた前後板282は、前後方向に弾性変形可能とされている。
【0120】
また、係止部289は、側板284から離れるように前後方向に延びる平板状の一対の係止板289Aを有しており、ロアハウジング270に対してアッパハウジング280を上方から組み付けた際に、一対の係止板289A間に係止壁215が配されるようになっている。
【0121】
したがって、温度センサユニット220を蓄電素子本体12の一対の保持部214に対して上方から組み付ける際には、まず、それぞれの保持部214における係止壁215の保持突起217の案内面217Aに係止部289の下端部が当接し、係止部289が設けられた前後板282が弾性変形する。
【0122】
そして、温度センサユニット220が正規の組付位置に至ると、前後板282が弾性復帰することで、
図28に示すように、それぞれの保持部214における係止壁215の保持突起217と係止部289の上面289Bとが上下方向に係止し、温度センサユニット20が蓄電素子本体12に取り付けられた状態となる。
【0123】
また、ロアハウジング270にアッパハウジング280が保持された状態における板材50の下面50Aとアッパハウジング280の係止部289の上面289Bとの間の高さ寸法D21(
図27を参照)は、蓄電素子本体12の上面12Aと保持部214の係止壁215における保持突起217の保持面217Bとの間の高さ寸法D22(
図27を参照)よりも大きく設定されている。
【0124】
したがって、それぞれの保持部214における係止壁215の保持突起217と係止部289の上面289Bとが上下方向に係止すると、付勢部材290における押圧片292がベース部291に向かって弾性変形し、
図28および
図29に示すように、温度センサユニット220の板材50が蓄電素子本体12の上面12Aに適切な圧力によって押し付けられるように付勢されるようになっている。
【0125】
したがって、本実施形態においても、温度センサユニット220を蓄電素子本体12の一対の保持部214に対して上方から組み付けるだけで、FPC30および板材50を介して温度センサ40を蓄電素子本体12に適切な圧力によって接触させることができる。これにより、ハウジング260内において温度センサ40を他の部材などから保護しつつ、温度センサ40が製造公差や組付公差などによって蓄電素子本体12から浮き上がることを抑制し、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0126】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0127】
(1)上記実施形態では、FPC30の裏面30Bに板材50を取り付けた構成とした。しかしながら、参考例として、FPC30の裏面30Bに保護フィルムを貼り付けてもよく、FPCの裏面側の絶縁性フィルムの厚みを大きく構成してもよい。
【0128】
(2)上記実施形態では、センサ素子として温度センサ40を用いた構成とした。しかしながら、これに限らず、センサ素子として、振動センサや角度センサなど様々なセンサを用いた構成にしてもよい。
【0129】
(3)上記実施形態では、可撓性を有する導電路構成体としてFPC30を用いた構成とした。しかしながら、これに限らず、導電路構成体として、フレキシブルフラットケーブルなどを用いる構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10:蓄電モジュール
11:蓄電素子(「被検出体」の一例)
12:蓄電素子本体(「被検出体」の一例)
20:温度センサユニット(「センサユニット」の一例)
30:FPC(「導電路構成体」の一例)
33:検知線(「導電路」の一例)
40:温度センサ(「センサ素子」の一例)
50:板材
60,160,260:ハウジング(「台座部」の一例)
90,190,290:付勢部材
71:ばね収容部(「収容部」の一例)
81:円筒部(「蓋部」の一例)
274:ばね保持部
PM:封止材(「保護部」の一例)