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特開2022-105544軽合金上に薄い機能性コーティングを生成する方法
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105544
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】軽合金上に薄い機能性コーティングを生成する方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 11/18 20060101AFI20220707BHJP
   C25D 11/04 20060101ALI20220707BHJP
   C25D 11/08 20060101ALI20220707BHJP
   C25D 11/16 20060101ALI20220707BHJP
   C25D 11/06 20060101ALN20220707BHJP
【FI】
C25D11/18 311
C25D11/04 101A
C25D11/08
C25D11/16 301
C25D11/06 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074943
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2019530243の分割
【原出願日】2017-08-16
(31)【優先権主張番号】62/376,029
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519054080
【氏名又は名称】シーラス マテリアルズ サイエンス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】ホウ フォンイェン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ウィリアム グッド
(72)【発明者】
【氏名】トン チュンチョー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユイシン
(72)【発明者】
【氏名】フー ポー
(57)【要約】
【課題】例示的実施例において、薄膜コーティングの製造方法が提供される。
【解決手段】この方法は、基板を前処理し、少なくともリン酸および硫酸を含むバスに基板を位置させて薄い陽極酸化された層を生成し;薄い陽極酸化された層を溶液中で洗浄し、薄い陽極酸化された層の表面を電着バスでメッキ電流プロファイルにしたがって所定の期間にメッキし、メッキ電流を推奨バスメッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成することを含む。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜コーティングの製造方法であって:
基板を前処理し;
前記基板を少なくともリン酸および硫酸を含むバスに位置させて薄い陽極酸化された層を生成し;
前記薄い陽極酸化された層を溶液中で洗浄し;
前記薄い陽極酸化された層の表面を電着バスでメッキ電流プロファイルにしたがって所定の期間にメッキし;
メッキ電流を推奨バスメッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成すること;を含む、薄膜コーティングの製造方法。
【請求項2】
前記基板は、アルミニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は、チタニウムおよびマグネシウムのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薄い陽極酸化された層は、約2ミクロン~10ミクロンの厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前処理は:
前記基板をアルカリ性バスで脱脂し;
前記基板を溶液中で粗面化し;
前記基板を硝酸溶液でエッチングすること;を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記洗浄のための前記溶液は、希釈フッ化水素酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記薄い陽極酸化された層を洗浄することは、薄膜コーティングに対する干渉を最小化して均一な膜を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記薄い陽極酸化された層は、室温および定電圧で生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記定電圧は、30ボルト(V)~60Vである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電流プロファイルは、公称メッキ電流の1つの百分率として選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記百分率は、メッキされる表面の陽極酸化された細孔を充填するのに十分な時間である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記百分率は、リン酸および硫酸バスに対する公称メッキ電流の5%~50%である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記メッキ電流プロファイルは:
前記メッキ電流を第1の期間にわたってゼロから公称メッキ電流の1つの百分率まで単調な勾配で増加し;
前記メッキ電流をメッキされる表面の陽極酸化処理細孔を充填するのに十分な時間の第2の期間に、第1の値で一定に保持させ;
前記メッキ電流を陽極酸化処理層の上に均一なコーティングを提供するのに十分な時間の第3の期間に、第1の値よりも高い第2の値までに増加させること;を含む工程を通して得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
初期に使用されるメッキ電流を推奨メッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルミニウムおよびその合金は、自動車、構造体および宇宙航空応用分野に広く使用される材料であるが、多くの合金は、適切な機能性コーティングがない場合、腐食による環境的劣化を被る。陽極酸化処理(anodizing)、メッキ(plating)および化学的膜(chemical film)を含む多数の工程がアルミニウム表面を保護するために開発されてきた。しかしながら、アルミニウム表面を効果的に保護するためには、厚くメッキされるか、陽極酸化された膜が要求される。代替的に、カドミウムまたは六価クロムのような環境的に毒性の物質からなる薄膜が要求される。
【背景技術】
【0002】
陽極酸化処理は、アルミニウムと他の軽金属表面を保護するよく知られている方法の1つである。陽極酸化された表面の異なる用途は、高い保護が要求される場合、厚い膜(thick film)を利用するか、より装飾的な応用の場合には、薄い膜(thin film)を利用することができる。厚い膜または硬質陽極酸化処理では、25~150ミクロン厚さの酸化物表面が開発される。この表面は、通常に染色することを含み得る工程において密封される。その後、他の保護コーティングは、このような表面に適用され得る。2つの米国特許第4,431,707号および第4,624,752号は、硬質陽極酸化された表面をさらに処理し、これらがメッキされ得る方法を記述している。これらの方法は両方とも、導電性表面が適用できる1つの層およびこの表面上に電着されたメッキされる層を生成する化学的エッチング段階を含む。
【0003】
薄膜陽極酸化された表面は、通常に0.5~25ミクロンである。硬質陽極酸化処理と同様に、これらの表面は、通常環境保護のために密封される。薄い陽極酸化された表面の利点は、十分な導電性が陽極酸化処理細孔を通して基板間に保持され、陽極酸化された表面に機能性膜を直接電着することが可能であるという点である。米国特許第3,915,811号および米国特許第3,943,039号には、陽極酸化された膜をさらに処理し、そのような膜上に特にはニッケルコーティングを電着する方法を記述している。これらの特許は、機能性表面を提供するために、電着に対する様々なアプローチを提案しながら、陽極酸化処理のための異なるバスおよび工程を具体化している。これらの特許の両方は、自動車産業において、車のバンパー用として特に重要なアルミニウム合金のサブセットと関連され、通常には、これらの応用の腐食防止および装飾的な側面を達成するために1つ以上の厚い層を電着させることを伴う。より具体的には、これらの特許は、陽極酸化処理細孔の完全な充填を保障し、薄膜電着された表面が、優れた腐食防止および他の機能的性質を達成することを可能にする、本出願に開示されているアプローチを教示していない。
【0004】
アルミニウムへの電着度もよく知られているが、その工程は、通常にジンケート処理工程(zincate process)を使用して表面に極めて薄い亜鉛層を適用し、次いでこのような表面に1つ以上のメッキされたコーティングを適用することを含む。ジンケート処理工程は、優れた電着されたコーティングを達成するために必須であるが、固有の問題点があり、したがって、許容可能な結果を達成するためには、二重および三重のジンケート処理段階がしばしば要求される。多くの場合、第1のメッキされた層は、腐食防止を提供するために厚い(40-50ミクロン)無電解Ni-Pコーティングまたは半光沢電解ニッケルである。このような第1の層は、光沢ニッケルであり得る機能的または装飾的な表面層が続く。一応用例において、表面コーティングは、電着されたZn-Niである。Ni-P/Zn-Niコーティングシステムは、電気コネクタシェル用のクロメート不動態化されたカドミウムが環境的に危険のため、これを代替するために開発された。しかし、この工程は、時間と材料の面の両方でコストがかかり、コーティングとしても代替するために設計されたほど効果的ではない。
【0005】
薄い陽極酸化された膜はまた、US2009/0242416に記述されているように、センサ用ナノワイヤを生成するための鋳型として使用される。この特許は、陽極酸化された表面で細孔内にメッキを教示しているが、ナノ-細孔の完全な充填を保障するために電流を制御することと、ナノ-ワイヤと細孔との間のインターロック達成することを教示していない。細孔が充填されるとき、電流を増加させて陽極酸化された膜の完全な被覆を保障することに対しても教示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
結果的に、当業界では、腐食から防止および他の機能的属性を提供する薄くメッキされた膜でアルミニウムおよび他の軽金属表面をコーティングする方法が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に例示された様態によれば、薄膜コーティングを生成する方法が提供される。実施形態の開示された特徴中の1つは、基板を前処理し、基板を少なくともリン酸および硫酸を含むバスに位置させて薄い陽極酸化された層を生成し、薄い陽極酸化された層を溶液中で洗浄し、薄い陽極酸化された層の電着バスで所定の期間の間にメッキ電流プロファイルにしたがってメッキし、メッキ電流を推奨バスメッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成することを含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、陽極酸化された表面の走査型電子顕微鏡(SEM)イメージであり;
図2図2は、陽極酸化処理欠陥のSEMであり;
図3図3は、充填された陽極酸化された層の断面のSEMであり;
図4図4は、独特のモルフォロージーのイメージであり;
図5図5は、半球状表面モルフォロージーの例示的効果のイメージであり;
図6図6は、混成SB/光沢Niコーティングの断面のイメージであり;
図7図7は、混成SB/光沢Niコーティングの接着試験のイメージであり;
図8図8は、前および後の銅促進酢酸塩水噴霧(CASS)試験イメージのイメージであり;
図9図9は、Zn-Ni表面を有する二重混成コーティングのイメージであり;
図10図10は、二重混成コーティングに対する接着試験結果のイメージであり;
図11図11は、二重混成Zn-Niコーティングに対するCASS前および後の試験結果のイメージであり;
図12図12は、混成ブラックニッケルコーティングの表面モルフォロージーのイメージであり;
図13図13は、UV-可視光線-赤外線光吸収属性のイメージであり;
図14図14は、1N荷重下での耐摩耗性のイメージであり;
図15図15は、混成ブラックニッケルコーティングの表面モルフォロージーのイメージであり;
図16図16は、混成コーティングと従来のコーティングの比較摩耗トラックのイメージであり;
図17図17は、様々な層の例示的な厚さのイメージであり;および
図18図18は、薄膜コーティングを生成するための例示的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記述された実施例は、アルミニウムまたは軽金属合金の薄くメッキされたコーティングを展開する改良された工程を提供する。この工程は、次の段階中の1つ以上を含む:基板を脱脂し;基板を電解研磨し;表面を活性化し;実質的にリン酸を含む陽極酸化処理のバスで基板上に1~10ミクロンの膜を陽極酸化処理し;選択的に、陽極酸化された表面末端-キャップを完全に溶解させるためにフッ化水素酸を含有する溶液中で陽極酸化された表面を活性化させ;陽極酸化処理細孔が完全に充填されて封止密封されることを保障し、他のコーティングがその上に堆積され得る表面を展開するために、電着用電圧プロファイルを採用し、1~20ミクロン(陽極酸化処理膜を含む)の第1のメッキされた層を電着し;選択的に、第1メッキ段階によって完全に充填されていない任意の陽極酸化処理細孔を密封するために、第1メッキ段階に続き、酢酸ニッケルバスを使用する密封段階;および選択的に、第1の層上に0~20ミクロンの第2のまたは多層機能性コーティングを堆積させる段階。混成コーティングの総平均厚さは、約2~40ミクロンであり得る。
【0010】
図18は、薄膜コーティングを生成するための例示的な方法1800を示す。一実施形態において、方法1800は、プロセッサまたはコントローラの制御下で処理設備内の様々な装備またはツールによって実行され得る。
【0011】
ブロック1802で、方法1800が開始される。ブロック1804で、方法1800は、基板を前処理することができる。一実施形態において、基板は、アルミニウム、チタンまたはマグネシウムであり得る。
【0012】
前処理は、アルカリ性バスで基板を脱脂し、ポリエチレングリコール、硫酸およびフッ化水素酸の溶液または他の同様の溶液で基板を粗面化し、硝酸溶液で基板をエッチングすることを含むことができる。溶液の一例は、Probright ALと呼ばれる市販のアルミニウム表面前処理であり得る。基板を粗面化する溶液は、エッチングしながら、基板表面を洗滌することができる。
【0013】
前処理の一例としては、MacDermidからのActivaxのような市販溶液で脱脂することによって基板を最初に処理することを含むことができる。脱脂段階に続き、洗浄し、HPO、HF、HSOおよびグリセロールを次の範囲70-85:2-4:6-9:5-20から選択される体積比で含有するバスで電解研磨する。陽極酸化処理の前に基板を洗浄すれば、薄い陽極酸化された層での不完全性を生じさせ得る不純物を表面上から除去する効果を有する。このような不純物には、基板中の不溶性合金元素を含む。電解研磨バスは、70~80セ氏(℃)の温度で約12Vの電圧(V)で保持される。電解研磨段階は、基板の均一な表面に、表面の最小限の基板合金元素を提供するが、これは均一な陽極酸化された層を達成するのに寄与する。次いで、電解研磨基板を活性化および陽極酸化処理段階の前に脱イオン(DI)水で洗浄する。
【0014】
一実施形態において、基板は、陽極酸化処理の前に選択的に活性化されてもよい。活性化段階は、特定の合金に対していくつかの利点を提供することができる。活性化段階の一例は、通常40体積%、効果的には、20~50体積%のHNOおよび1~10ミリリットル/リットル(mL/L)のHFを含むバスで表面を活性化させることを含むことができる。バスを20℃-25℃の温度に保持しながら、基板を20~40秒間浸漬し、秒当たり約1回攪拌させる。
【0015】
活性化段階の別の例は、1分以下の短い陽極酸化処理段階を含むことができるが、「パターニング」と指称される。パターニングは、陽極酸化処理膜の品質を改善することができる。一例には、水酸化ナトリウムバスで展開された陽極酸化処理層を除去し、洗浄した後、本明細書に記述された陽極酸化処理プロセス後に再び陽極酸化処理することを含む。
【0016】
ブロック1806で、方法1800は、少なくともリン酸および硫酸を含むバスに基板を位置させて薄い陽極酸化された層を生成する。一実施形態において、陽極酸化された表面が、図1に示すように、50~70ナノメートル(nm)直径の薄い壁を有する細孔の均一な高密度分布を含有することを保障するために、陽極酸化処理段階の電気的パラメータおよびバス組成物が慎重に制御される。少量の硫酸およびシュウ酸の両方とともにリン酸を主に含有する陽極酸化処理バスは、室温(20℃-25℃)で操作される。バス組成物は、HPO 280-600グラム/リットル(g/L)、HSO4 1-15g/LおよびHOOCCOOH 1-10g/Lの範囲で選択される。30V~60V間の電圧および2アンペア/平方デシメートル(A/dm)の最大電流密度での定電圧陽極酸化処理(Constant volatage anodizing)が最適な細孔分布および密度を提供する。本明細書において、陽極酸化された膜の厚さは、1~10ミクロンであり;しかしながら、その厚さはまた、1~5ミクロンであり得る。一実施形態において、厚さは、1~2ミクロンであり得る。上記記述された条件で10分間陽極酸化処理することは、約2.5ミクロンの陽極酸化された膜をもたらす。薄い陽極酸化された層は、混成コーティングシステムのための核心層になるが、以後に堆積される層がこの層と確実にインターロックして従来のメッキされた溶液よりも優れた接着性を提供することを可能にする。
【0017】
陽極酸化処理段階中に管理されるべき1つの問題は、薄膜を陽極酸化するとき、基板からシリコンおよび鉄のようないくつかの合金元素の不完全な溶解である。陽極酸化処理の前の電解研磨および活性化段階は、表面からこれらの元素の存在を減少させるが、除去することはない。これらの元素の存在は、図2のSEMイメージに示されるように、陽極酸化処理欠陥をもたらしてもよい。これらの欠陥は、第1の電着層が陽極酸化された層を完全に被覆していないか、または完全にインターロックしていないために、第1の電着層で不完全性を生成させる可能性があり、低い接着性および潜在的腐食経路の両方をもたらす。低い温度および低い定電圧陽極酸化処理の選択は、このような欠陥の生成を最小化する。選択的な密封段階は、潜在的腐食経路を除去することができる。
【0018】
ブロック1808で、方法1800は、陽極酸化層を溶液中で洗浄する。一実施形態において、洗浄は、陽極酸化処理末端-キャップを細孔底部で完全に溶解させるために使用され得る。溶液は、0.5-5mL/LのHFを含むバスであり得る。処理しようとする陽極酸化基板を秒当たり約1回攪拌しながら、洗浄バスに約30秒間浸漬させる。
【0019】
ブロック1810で、方法1800は、陽極酸化された層の表面を電着バスでメッキ電流プロファイルにしたがって所定の期間メッキする。例えば、第1の電着コーティングは、可能なバスの範囲から選択されたバスから陽極酸化処理膜に適用される。第1の電着コーティングに関する電気的パラメータを制御されるが、ここで、第1のメッキ電流は第1メッキ段階を含む第1のメッキ期間中に適用され、第2のメッキ電流は第2メッキ段階を含む第2のメッキ期間中に適用される。第1の電着層は、第1のメッキされた層を陽極酸化された表面に確実にロッキングする陽極酸化された層で細孔を完全に充填するインターロック層を形成する。
【0020】
第1メッキ段階は第1のメッキ期間中に進行されるが、その間、第1のメッキ電流または電流プロファイルは、選択されたバス組成物のための公称メッキ電流の1つの百分率で設定される。公称メッキは、特定のメッキバスに対する配合者(formulator)によって提供される技術データシート(TDS,Technical Data Sheet)によって定義され得る。例えば、本明細書で言及される半光沢ニッケルに対するメッキ電流は、2~4A/dmであり得る。一実施形態において、公称メッキ電流は、本明細書に記述されたバスに対して3A/dmであり得る。第1のメッキ電流または電流プロファイルは、選択されたバス組成物に対する公称メッキ電流の5%~50%の間になるように選択され、第1のメッキ期間は、陽極酸化された膜の厚さに依存するが、陽極酸化された細孔を電着コーティングで完全に充填するのに十分である。以下の関数によって定義され得る時間の量は十分である。一例では、半光沢ニッケルバスおよび公称メッキ電流の16%のメッキ電流および2ミクロンの陽極酸化処理層に対して、18分は十分な量の時間を提供することができる。減少された電流に対するメッキ速度は、通常の操作条件下でバスに対して0.05~0.5倍であることが示されている。したがって、第1のメッキ電流が適用される第1のメッキ期間は、ほぼ次の通りである:
【数1】
上記式において、「t」は、分単位の第1のメッキ期間であり、「d」は、ミクロン単位の陽極酸化された層の厚さであり、「n」は、第1の電着バスに対する通常のバス操作条件下のミクロン/分単位のメッキ速度であり、速度係数は、電流の減少百分率、選択されたメッキバスの通常のメッキ効率、およびバスに対する電流対メッキ速度変化の両方に応じて0.06~0.3である。図3は、陽極酸化された表面の細孔がこのような工程にしたがって完全に充填されている場合のSEMイメージを示す。ここで、陽極酸化された膜の厚さは、1.4~1.5ミクロンであり、ロッド(rod)直径は、80~200nmである。
【0021】
一実施形態において、第1のメッキ電流は、第1のメッキ期間中に単調な勾配で増加し(ramp)、選択されたメッキバスに対する公称メッキ電流の0%で開始し、第1のメッキ時間より少ないか、同等の時間にわたって公称メッキ電流の50%まで単調な勾配で増加することができる。第1メッキ段階中に形成される厚さは、1~10ミクロンであってもよく、これは、陽極酸化処理膜の厚さと同一であってもよい。
【0022】
ブロック1812で、方法1800は、所望の初期コーティングの厚さを有する薄膜コーティングを生成させるためにメッキ電流を推奨バスメッキ電流まで増加させる。例えば、一旦細孔が特定のレベルまで充填されると(例えば、完全に充填されているより少ない、完全に充填されている、完全に充填されているより多い、など)、第2メッキ段階が始まる。第2段階の間、電流を第1メッキ段階の間と同一に保持するか、または電流を推奨バスメッキ電流まで直ちに増加させることができる。一実施形態において、推奨バスメッキ電流は、選択されたバスに対する最低公称電流の50%であり得るか、または電流は、第2のメッキ期間より少ないか、同一の時間にわたって第1メッキ段階の間に使用される最終電流から、選択されたバスに対する公称メッキ電流の100%まで単調な勾配で増加することもできる。第2のメッキ期間は、陽極酸化処理膜の完全な被覆を保障し、要求されるメッキ厚さを展開し、要求される表面形態を展開し、および/または第1の電着層に対して他の所望の特性を達成するのに十分であるように選択される。一実施形態において、第2のメッキ状態の厚さは、1~10ミクロンである。ブロック1814で、方法1800は終了する。
【0023】
一実施形態において、特に第1の電着層がメッキされた表面のすべての機能的属性を提供する唯一の電着層であれば、第1の電着層は、2-20ミクロンの厚さであろう。
【0024】
一実施形態において、第1の電着コーティングは、陽極酸化処理層の厚さであり得る。ここで、図17に示すように、第1の電着層は、しばしば第2の層または多重-電着層に続ける。
【0025】
一実施形態において、第1の電着層は、エリートサーフェステクノロジー(Elite Surface TechnoLogy)によって供給されるR850のような光沢ニッケルバスから堆積され得る。一実施形態において、第1の電着層は、CMP Indiaによって供給されるChemipure/Niflowのような半光沢ニッケルバスから堆積され得る。一実施形態において、第1の電着層は、銅バスから堆積され得る。別の実施形態において、第1の電着層は、エリートサーフェステクノロジーによって供給されるEnviralloy Ni 12-15のような亜鉛-ニッケルニッケルバスから堆積され得る。別の実施形態において、第1の電着層は、エリートサーフェステクノロジーによって供給されるようなブラックバスから堆積され得る。別の実施形態において、第1の電着層は、ニッケルホウ素の第1の電着層を得るために30-40g/LのDMAB(ジメチルアミンボラン)が添加される上記記述された光沢ニッケルバスから堆積され得る。別の実施形態において、第1の電着層は、銀、金、または他の金属のような他のバスから堆積され得る。これら各々の場合、標準メッキ電流および時間は、バスの供給業者によって定義されるべきであり、本明細書で記述されたように、陽極酸化された層で細孔を完全に充填し、陽極酸化された層を選択されたコーティングの全体表面にコーティングすることを保障するように適応され得る。
【0026】
一実施形態において、第1の電着層は、全コーティングシステムの第1の機能的構成要素を提供することができる。特に、第1の電着層は、腐食防止および低い導電性の両方を基板に提供することができる。この場合、第1の電着層は、Mil DTL 81706に規定された手順を使用して測定されるとき、0.1ミリオーム(mΩ)未満の導電性を有するであろう。
【0027】
一実施形態において、コーティングされた表面に強化された機能的属性を提供するために、米国特許出願第13/381,487号に記述されている方式でセラミック相のゾールが添加された上記提案されたもののような市販のバスから第1の電着層を堆積され得る。
【0028】
一実施形態において、陽極酸化された膜および第1の電着層は、コーティングシステムの要求される全体機能的性質を提供するのに十分である。ここで、例えば、光沢ニッケル、ブラックニッケルまたはニッケルホウ素のような特定の電着バスから生じられる第1の電着層は、細孔構造にしたがう幾何学的な高電流低電流パターンを示す陽極酸化された細孔を通って展開する電流経路から生じられる有利な高表面積モルフォロージーを示すことができる。このような構造物のコーティング断面および表面モルフォロージーのイメージは、図4に示す。展開されたモルフォロージーは、平坦なメッキされた表面より少なくとも2倍の表面積を示す。このような表面は、改善された放射線吸収特性、改善された摩耗特性および改善された親水性特性を示すことができる。図5は、このような表面モルフォロージーのいくつかの所望の特性、特に耐摩耗性および摩擦係数における改善を示す。
【0029】
一実施形態において、第1の電着層は、平坦な表面を生成するために選択され得る。このような層は、CMPケミカルズ(CMP Chemicals)によって提供されるような半光沢ニッケルバスによって生成される。このような第1の電着層の選択は、基板の強化された腐食防止を提供し、第2の電着層を堆積する傑出した表面を提供する。
【0030】
本開示によれば、第1の電着膜には、コーティングされていない任意の孔が基板の溶解されていない合金元素から生成された不十分に陽極酸化された領域から生じられるが、これは、腐食を防止するために市販酢酸ニッケルバスで30-35℃で5~10分間操作して密封され得る。第2の電着膜が適用されれば、このような密封段階は要求されない場合がある。
【0031】
本開示によれば、第2の、または多重電着層を第1の電着層にわたって適用してコーティングのさらなる機能的様態を提供することができる。このような層は、コーティングシステムの外観、硬度、耐摩耗性、導電性などを強化することができる。
【実施例0032】
以下実施例は、特定の操作条件を指摘し、本開示の実施を例示する。しかしながら、これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。実施例は、薄い陽極酸化された合金表面上の二重および単一コーティング両方の様態を具体的に例示するために選択される。
【実施例0033】
電着させた/SB-Ni/光沢Niを有する混成陽極酸化された6061 Al
【0034】
半光沢ニッケル連結層および光沢ニッケル機能性層と結合された薄い陽極酸化された核心層を含む混成コーティングは、アルミニウムに対するジンケート半光沢ニッケル、光沢ニッケルメッキ溶液に対する薄い代替物を提供する。混成コーティングは、代替物が25ミクロンの代わりに約10ミクロンの厚さであるため、より薄くて;優れた耐腐食性を提供し(144時間超過CASS対75時間CASS);および同等の導電性を有する。
【0035】
3センチメートル(cm)×5cmの6061アルミニウム試験片をHPO、HF、HSOおよびグリセロールを体積70:2:8:20で含有するバスで5分の期間に電解研磨した。電解研磨バスを80℃の温度に保持しながら、12Vの電圧を試験片とPb陰極との間に適用する。
【0036】
次いで、電解研磨された基板を、活性化および陽極酸化処理段階の前に、DI水で洗浄する。
【0037】
試験片をHNO 40体積%および5mL/LのHFを含むバスで活性化させた。バスを20℃の温度に保持しながら、基板を浸漬させて30秒の期間に秒当たり1回攪拌させた。
【0038】
試験片を25℃で10分の期間に陽極酸化させた。陽極酸化処理バス組成物は、HPO 300g/L、HSO 10g/LおよびHOOCCOOH 2g/.であった。60Vの電圧で定電圧陽極酸化処理した。
【0039】
次いで、陽極酸化された基板を1mL/LのHFを含有するバスに30秒間浸漬させ、その間、試験片を秒当たり約1回攪拌して陽極酸化された試験片を活性化させた。
【0040】
第1の電着バス段階:半光沢Niを陽極酸化処理膜を通して電着させた。電流密度を、選択されたバスに対する公称メッキ電流密度2-4A/dmに比べて0.5A/dmで一定であるように選択し、第1のメッキ時間は、30分であった。厚さは、約2ミクロンであった。次いで、電流密度を12分の第2のメッキ期間中に1A/dmで一定であるように選択した。厚さは、約2.4ミクロンであった。第1の電着層は、約4.4ミクロンの厚さを達成し、これは、陽極酸化処理膜で細孔を完全に充填するのに十分であった。第2の電着コーティングを光沢Niであるように選択した。ここで、電流密度を0.15A/dmであるように選択し、8分のメッキ時間を要求した。第2の電着層は、約1.6ミクロンの厚さを有する。生成されたコーティングの断面は、層を示し、図6で見ることができる。
【0041】
得られた堆積物は、均一に光沢があって平滑であり、傑出した接着性を有する、図7。堆積物は、144時間の銅促進塩水噴霧(CASS)試験を経過し、極めて良好な耐腐食性を示した(図8)。
【実施例0042】
SB-Ni/Zn-Niを電着させた混成陽極酸化6061 Al
【0043】
半光沢ニッケル連結層および亜鉛-ニッケル機能性層と結合された薄い陽極酸化された核心層を含む混成コーティングは、ジンケート無電解Ni-Pに対する薄い代替物を提供し、電気メッキされた亜鉛-ニッケルは、電気コネクタに使用される有毒な六価クロム不動態化されたカドミウムコーティングの置換物として提案されている。混成コーティングは、代替物が45ミクロンの代わりに約20ミクロンの厚さのため、より薄くて;同等の耐腐食性を提供し;および同等の導電性を有する。
【0044】
陽極酸化された/SB-Ni/Zn-Ni n 6061A 3cm×5cmの6061アルミニウム試験片を、HPO、HF、HSOおよびグリセロールを体積70:2:8:20で含有するバスで5分の期間に電解研磨した。電解研磨バスを80℃の温度に保持しながら、12Vの電圧を試験片とPb陰極との間に適用する。
【0045】
次いで、電解研磨された基板を、活性化および陽極酸化処理段階の前に、DI水で洗浄する。
【0046】
試験片をHNO 40体積%および5mL/LのHFを含むバスで活性化させた。バスを20℃の温度に保持しながら、基板を浸漬させ、30秒の期間に秒当たり1回攪拌させた。
【0047】
試験片を25℃で10分の期間に陽極酸化させた。陽極酸化処理バス組成物は、HPO300g/L、HSO 10g/LおよびHOOCCOOH 2g/Lであった。60Vの電圧で定電圧陽極酸化処理した。
【0048】
次いで、陽極酸化基板を1mL/LのHFを含有するバスに30秒間浸漬させ、その間、試験片を秒当たり約1回攪拌して陽極酸化された試験片を活性化させた。
【0049】
第1の電着バスを、その優れた耐食性質によって、半光沢ニッケルであるように選択した。このような層に対して電流プロファイルは、陽極酸化処理細孔を充填し、陽極酸化された表面の全体被覆を提供することの両方を選択した。第1電着段階の間、半光沢Niを陽極酸化処理膜を通して電着させた。電流密度を、0.5A/dmで一定であるように選択し、第1のメッキ時間は、30分の期間に陽極酸化された細孔を完全に充填するのに十分であった。第1の電着層の厚さは、約2.1ミクロンであった。第1のメッキ期間の後に、電流を1A/dmまで増加させてメッキを30分の第2のメッキ期間中に続けた。第1の電着層は、約7.0ミクロンの総厚さを有する。
【0050】
第2の電着コーティングをZnNiであるように選択した。電流密度を1A/dmであるように選択し、メッキ期間は40分であった。第2の電着層は、約6.9ミクロンの厚さを有する。
【0051】
得られた堆積物は、均一に光沢があって平滑であり(図9)、パネルに対する全体電着物の接着性は卓越していた(図10)。堆積物はまた、72時間CASSを経過し、極めて良好な耐腐食性を示した(図11)。
【実施例0052】
ブラックNiを電着させた混成陽極化された5251 Al
【0053】
ブラックニッケル連結機能性層と結合された薄い陽極酸化された核心層を含む混成コーティングは、アルミニウム上に従来のブラックニッケルおよびブラッククロムコーティングに対する代替物を提供する。混成コーティングは、既存のコーティングと比較して、改善された耐摩耗性および紫外線領域で改善された吸収性を含む様々な利点を提供する。
【0054】
2cm×3cmの5251アルミニウムをHPO、HF、HSOおよびグリセロールを体積75:4:6:15で含有するバスで5分の期間に電解研磨した。電解研磨バスを80℃の温度に保持しながら、12Vの電圧を試験片とPb陰極との間に適用する。
【0055】
次いで、電解研磨された基板を活性化および陽極酸化処理段階の前にDI水で洗浄する。
【0056】
試験片をHNO 40体積%および5mL/LのHFを含むバスで活性化させた。バスを20℃の温度に保持しながら、基板を浸漬させ30秒の期間に秒当たり1回攪拌させた。
【0057】
試験片を25℃で10分間陽極酸化させた。陽極酸化処理バス組成物は、HPO 350g/L、HSO 10g/LおよびHOOCCOOH 2g/.であった。45Vの電圧で定電圧陽極酸化処理した。2~2.5ミクロンの間の陽極酸化された層が展開された。
【0058】
次いで、陽極酸化された基板を2mL/LのHFを含有するバスに30秒間浸漬させ、その間、試験片を秒当たり約1回攪拌して陽極酸化された試験片を活性化させた。
【0059】
ブラックニッケル機能性層を陽極酸化された表面にわたって市販のブラックニッケルメッキバスから電気メッキした。電気メッキは、電流密度をメッキ期間にわたって0.8A/dmから1.25A/dmに増加させる電流プロファイルを使用して実施した。試料を20分間メッキし、約5ミクロンの総コーティングの厚さを達成した。
【0060】
混成ブラックニッケルの表面モルフォロージーは、均一な結節状(nodular)であるが(図12)、これは優れた良好な光吸収性性質(図13)および耐摩耗性性質(図14)の両方とも生成し、従来のブラックニッケルコーティングとは異なり、基板に対するコーティングの接着性が優れている。
【実施例0061】
Ni-Bを 電着させた混成陽極酸化5251アルミニウム合金
【0062】
ニッケルホウ素連結機能層と結合された薄い陽極酸化された核心層を含む混成コーティングは、従来の硬質クロムに対する代替物を提供する。混成コーティングは、優れた耐摩耗性を有する半球状表面モルフォロージーを生成する。
【0063】
2cm×3cmの5251アルミニウム試験片をHPO、HF、HSOおよびグリセロールを体積75:4:6:15で含有するバスで5分の期間に電解研磨した。電解研磨バスを80℃の温度に保持しながら、12Vの電圧を試験片とPb陰極との間に適用する。
【0064】
次いで、電解研磨された基板を活性化および陽極酸化処理段階の前にDI水中で洗浄する。
【0065】
試験片をHNO 40体積%および5mL/LのHFを含むバスで活性化させた。バスを20℃の温度に保持しながら、基板を浸漬させ30秒の期間に秒当たり1回攪拌させた。
【0066】
試験片を25℃で10分の期間に陽極酸化させた。陽極酸化処理バス組成物は、HPO 350g/L、HSO 10g/LおよびHOOCCOOH 2g/Lであった。45Vの電圧で定電圧陽極酸化処理した。2~2.5ミクロンの間の陽極酸化された層が展開された。
【0067】
次いで、陽極酸化基板を2mL/LのHFを含有するバスに30秒間浸漬させ、その間、試験片を秒当たり約1回攪拌して陽極酸化された試験片を活性化させた。
【0068】
ニッケルホウ素を陽極酸化基板上にCMPによって生成され、3g/LのDMABが添加された市販の光沢ニッケルバスから電気メッキした。メッキは、0.5A/dmの低い一定の電流で10分の期間に開始し、その後に20分間電流を2A/dmまで増加させた。約5ミクロンの総コーティングの厚さが展開された。
【0069】
混成ニッケルホウ素の表面モルフォロージーは、結節状であり(図15)、これは、従来のコーティングと比較して優れた耐摩耗性を有する表面を生成させる(図16)。磨耗条件下で、極めて硬質の混成ニッケルホウ素の半球状モルフォロージーは、摩耗物と主コーティング材料との間に接触を限定する低い摩擦ベアリング表面(friction bearing surface)を提供する。
【実施例0070】
銅を電着させた混成陽極酸化チタン
【0071】
二酸化チタンは、重要な光触媒材料である。陽極酸化されたチタン表面の細孔に銅を電着させた混成コーティングは、TiO表面から放出される電子のための優れた導電性経路を提供する。混成コーティング技術法は、そのような表面を簡単に生成することを可能にする。チタンサンプルを電解研磨して活性化する。二酸化チタンの2~3ミクロンの間の陽極酸化された膜を、酸性または有機陽極酸化処理バスからその表面上に陽極酸化する。銅を低電流パルスメッキと低電流メッキと結合し、陽極酸化処理表面の細孔に優先的に堆積させる。
【0072】
上記開示された変形列および他の特徴、ならびに機能、あるいはこれらの代替は、他の多くの異なるシステムや応用と組み合され得ることが理解されるべきであろう。様々な意外な、または予想しない代替、修正、変形または改善が当業者によって後続して行われ得るが、これは、また以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
上記開示された変形列および他の特徴、ならびに機能、あるいはこれらの代替は、他の多くの異なるシステムや応用と組み合され得ることが理解されるべきであろう。様々な意外な、または予想しない代替、修正、変形または改善が当業者によって後続して行われ得るが、これは、また以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
本発明は、以下の実施態様を含む。
[1]薄膜コーティングの製造方法であって:
基板を前処理し;
前記基板を少なくともリン酸および硫酸を含むバスに位置させて薄い陽極酸化された層を生成し;
前記薄い陽極酸化された層を溶液中で洗浄し;
前記薄い陽極酸化された層の表面を電着バスでメッキ電流プロファイルにしたがって所定の期間にメッキし;
メッキ電流を推奨バスメッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成すること;を含む、薄膜コーティングの製造方法。
[2]前記基板は、アルミニウムを含む、[1]に記載の方法。
[3]前記基板は、チタニウムおよびマグネシウムのいずれかを含む、[1]に記載の方法。
[4]前記薄い陽極酸化された層は、約2ミクロン~10ミクロンの厚みを有する、[1]に記載の方法。
[5]前記前処理は:
前記基板をアルカリ性バスで脱脂し;
前記基板を溶液中で粗面化し;
前記基板を硝酸溶液でエッチングすること;を含む、[1]に記載の方法。
[6]前記洗浄のための前記溶液は、希釈フッ化水素酸を含む、[1]に記載の方法。
[7]前記薄い陽極酸化された層を洗浄することは、薄膜コーティングに対する干渉を最小化して均一な膜を生成する、[1]に記載の方法。
[8]前記薄い陽極酸化された層は、室温および定電圧で生成される、[1]に記載の方法。
[9]前記定電圧は、30ボルト(V)~60Vである、[8]に記載の方法。
[10]前記電流プロファイルは、公称メッキ電流の1つの百分率として選択される、[1]に記載の方法。
[11]前記百分率は、メッキされる表面の陽極酸化された細孔を充填するのに十分な時間である、[10]に記載の方法。
[12]前記百分率は、リン酸および硫酸バスに対する公称メッキ電流の5%~50%である、[10]に記載の方法。
[13]前記メッキ電流プロファイルは:
前記メッキ電流を第1の期間にわたってゼロから公称メッキ電流の1つの百分率まで単調な勾配で増加し;
前記メッキ電流をメッキされる表面の陽極酸化処理細孔を充填するのに十分な時間の第2の期間に、第1の値で一定に保持させ;
前記メッキ電流を陽極酸化処理層の上に均一なコーティングを提供するのに十分な時間の第3の期間に、第1の値よりも高い第2の値までに増加させること;を含む工程を通して得られる、[1]に記載の方法。
[14]初期に使用されるメッキ電流を推奨メッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成することをさらに含む、[1]に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜コーティングの製造方法であって、前記方法は、
基板を前処理し;
前記基板を少なくともリン酸および硫酸を含むバスに位置させて薄い陽極酸化された層を生成し;
前記薄い陽極酸化された層を溶液中で洗浄し;
前記薄い陽極酸化された層の表面を電着バスでメッキ電流プロファイルにしたがって所定の期間にメッキし;
メッキ電流を1.0アンペア/平方デシメートル(A/dm )と4A/dm の間の第2のメッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有する薄膜コーティングを生成すること;を含み、
前記基板はアルミニウムを含み、
前記電着バスはニッケルを含み、
前記メッキ電流プロファイルは0.1A/dm と2.0A/dm の間のメッキ電流である、薄膜コーティングの製造方法。
【請求項2】
コーティングの製造方法であって、
基板を前処理すること、ただし前記基板はアルミニウムを含み、
前記基板を少なくともリン酸および硫酸を含むバスに入れ、前記基板を陽極酸化して薄い陽極酸化された層を生成すること、
前記薄い陽極酸化された層を溶液中で洗浄すること、
前記薄い陽極酸化された層の表面を単一の電着バスで直流またはパルスメッキ電流プロファイルにしたがって所定の期間にメッキすること、ただし前記電着バスはニッケルを含み、前記メッキ電流プロファイルは、第1の期間の間、メッキ電流を0から0.1アンペア/平方デシメートル(A/dm )と2.0A/dm の間に単調な勾配で増加させ、その後、第2の期間の間、メッキ電流を0.1A/dm と2.0A/dm の間の値で一定に保持することを含み、
メッキ電流を0.1A/dm と2.0A/dm の間の値から1.0A/dm と4A/dm の間の第2のメッキ電流まで増加させて所望の初期コーティング厚さを有するコーティングを生成すること
を含む、方法。
【請求項3】
前記薄い陽極酸化された層は、2ミクロン~10ミクロンの厚みを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理は:
前記基板をアルカリ性バスで脱脂し;
前記基板を溶液中で粗面化し;
前記基板を硝酸溶液でエッチングすること;を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄のための前記溶液は、希釈フッ化水素酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記洗浄のための前記溶液は、0.5ミリリットル/リットル(mL/L)~5mL/Lのフッ化水素酸のバスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記薄い陽極酸化された層を洗浄することは、コーティングに対する干渉を最小化して均一な膜を生成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記薄い陽極酸化された層は、室温および定電圧で生成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記定電圧は、30ボルト(V)~60Vである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記メッキ電流プロファイルは:
前記メッキ電流を第1の期間にわたってゼロから0.1A/dm と2.0A/dm の間の第1の値まで単調な勾配で増加し;
前記メッキ電流をメッキされる表面の陽極酸化処理細孔を充填するのに十分な時間の第2の期間に、第1の値で一定に保持させ、ただし、第2の期間は、式d/0.3n≦t≦d/0.06n(ただし、tは分単位の第2の期間であり、dはミクロン単位の陽極酸化された層の厚さであり、nはミクロン/分単位のメッキ速度である。)によって決定され
前記メッキ電流を陽極酸化処理層の上に1~10ミクロンの厚さを有するコーティングを提供するのに十分な時間の第3の期間に、第1の値よりも高い第2のメッキ電流までに増加させること;を含む工程を通して得られる、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】