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特開2022-105603水素ステーションパッケージユニットと簡易型水素ステーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105603
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】水素ステーションパッケージユニットと簡易型水素ステーション
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20220707BHJP
   F17C 13/08 20060101ALI20220707BHJP
   F17C 13/04 20060101ALI20220707BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220707BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/08 301Z
F17C13/04 301B
H01M8/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080314
(22)【出願日】2022-05-16
(62)【分割の表示】P 2018069960の分割
【原出願日】2018-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 統
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】緒方 邦行
(57)【要約】
【課題】圧力損失が少なく、操作性に優れたバルブを備えるとともに、小型に構成されて製造性、施工性及び整備性に優れた水素ステーションパッケージユニットとその水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションを提供すること。
【解決手段】筐体17内に少なくとも圧縮機ユニット18と複数の水素用の蓄圧器30a、30b、30c、30dとバルブユニット20を有し、このバルブユニット20は、支持部材50に水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種のバルブ群51、52、53を搭載して集積化した状態で構成されたことを特徴とする水素ステーションパッケージユニット13と、簡易型水素ステーション11である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に少なくとも圧縮機ユニットと長尺タンク形状の複数の水素用の蓄圧器と支持部材に水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種バルブ類を搭載して集積化したバルブユニットとを有し、
前記筐体の下部収納室に前記複数の長尺タンク形状の蓄圧器を並置した状態で配置し、前記下部収納室の上部に前記圧縮機ユニットが配置され、前記バルブユニットは、前記下部収納室の上部で、かつ前記蓄圧器の長手方向に沿って前記圧縮機ユニットと並置する状態に設けられていることを特徴とする水素ステーションパッケージユニット。
【請求項2】
前記筐体は、直方体形状を有している請求項1に記載の水素ステーションパッケージユニット。
【請求項3】
前記バルブユニットは、前記蓄圧器よりも手前で分岐し、前記蓄圧器よりも後ろで集合する並列した複数の流路を有し、各流路には、前記圧縮機ユニットから前記蓄圧器までの水素ガスの供給を開閉する複数の第1バルブ群と、前記蓄圧器から水素ガスの流出口まで水素ガスの供給を開閉する複数の第2バルブ群と、前記流路内の水素ガスをベントする複数のベントバルブ群がそれぞれ設置され、
前記圧縮機ユニットからの水素ガスの流入口の近傍に前記第1バルブ群が、この第1バルブ群の下方に前記第2バルブ群が配置されるとともに、前記第1及び前記第2バルブ群と前記圧縮機ユニット側との間の領域に前記ベントバルブ群がそれぞれ配置されている請求項1に記載の水素ステーションパッケージユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の水素ステーションパッケージユニットを用いて水素ステーションを構成したことを特徴とする簡易型水素ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ステーションパッケージユニットとその水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン車に代わる環境負荷の小さい自動車として、水素を燃料とする燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)が注目されている。燃料電池自動車は、含酸素の空気と燃料ガスである水素ガスとを燃料電池に供給し、これによって発電した電力を利用して電動機を駆動することにより走行するので、ガソリン車のように二酸化炭素(CO)、NOX、SOX等の排出がなく水を排出するだけであり、環境にやさしい自動車とされている。
【0003】
燃料電池自動車では、車内の水素タンクに予め十分な量の水素ガスを貯蔵しておき、走行には水素タンク内の水素ガスを利用するものが主流であり、燃料電池自動車の水素タンクへの水素ガスの供給は、通常のガソリン自動車と同様に、水素ガスを充填する水素ステーションにおいて行われる。このため、燃料電池自動車の普及を図るためには、燃料電池や車両自体の性能向上とともに、インフラの面においても、水素ガスを燃料電池自動車へ供給する水素ステーションを多くの場所に設置することが必要となる。
【0004】
水素ステーションの整備を加速させるため、官民を挙げて各種取組が推進されているが、水素ステーションの建設には多額の費用と広い敷地が必要となるため、1日に1台程度の需要しかない郊外や、土地の確保で制約が生じ易い大都市については、水素ステーションの小型化とコストダウン、設置規制の見直しが求められている。
【0005】
水素ステーションを小型化するための機材としては、例えば特許文献1及び特許文献2には、水素ガス圧縮する圧縮機ユニット、圧縮された水素ガスを貯留する蓄圧器、蓄圧器からディスペンサーに供給する水素ガスを冷却するプレクールシステム等の水素ステーションに必要な機器を筐体内に収納し、コンパクトにパッケージ化したガス供給システム(パッケージユニット)が開示されている。
【0006】
特許文献1及び特許文献2のパッケージユニットは、水素ステーションに必要な機器をコンパクトにパッケージ化して設置面積を小さくしているため、これらのガス供給システムを利用すると水素ステーションの設置に必要な敷地面積を大幅に削減することができるので、街中の狭小地や従来のガソリンステンドにも水素ステーションを設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6276060号公報
【特許文献2】特許第6276160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたパッケージユニットは、コンパクトにパッケージ化して設置面積を小さくすることを優先した結果、筐体内部で各種機器が立体的かつ複雑に配置し、これらの機器を配管で接続しているため、施工性及び整備性に欠ける問題がある。
【0009】
また、特許文献1及び特許文献2のパッケージユニットを含む従来の水素ステーション用の機器では、70MPa級の高圧に対応するためニードルバルブを使用しているが、二―ドルバルブはCv値が小さいために圧力損失が大きく、開閉速度も遅いという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、圧力損失が少なく、操作性に優れたバルブを備えるとともに、小型に構成されて製造性、施工性及び整備性に優れた水素ステーションパッケージユニットとその水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、筐体内に少なくとも圧縮機ユニットと長尺タンク形状の複数の水素用の蓄圧器と支持部材に水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種バルブ類を搭載して集積化したバルブユニットとを有し、筐体の下部収納室に複数の長尺タンク形状の蓄圧器を並置した状態で配置し、下部収納室の上部に圧縮機ユニットが配置され、バルブユニットは、下部収納室の上部で、かつ蓄圧器の長手方向に沿って圧縮機ユニットと並置する状態に設けられている水素ステーションパッケージユニットである。
請求項2に係る発明は、筐体が、直方体形状を有している水素ステーションパッケージユニットである。
【0012】
請求項3に係る発明は、バルブユニットは、蓄圧器よりも手前で分岐し、蓄圧器よりも後ろで集合する並列した複数の流路を有し、各流路には、圧縮機ユニットから蓄圧器までの水素ガスの供給を開閉する複数の第1バルブ群と、蓄圧器から水素ガスの流出口まで水素ガスの供給を開閉する複数の第2バルブ群と、流路内の水素ガスをベントする複数のベントバルブ群がそれぞれ設置され、圧縮機ユニットからの水素ガスの流入口の近傍に第1バルブ群が、この第1バルブ群の下方に第2バルブ群が配置されるとともに、第1及び第2バルブ群と圧縮機ユニット側との間の領域にベントバルブ群がそれぞれ配置されている水素ステーションパッケージユニットである。
【0013】
請求項4に係る発明は、水素ステーションパッケージユニットを用いて水素ステーションを構成したことを特徴とする簡易型水素ステーションである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によると、筐体内に少なくとも圧縮機ユニットと複数の水素用の蓄圧器とバルブユニットを有し、バルブユニットには、支持部材に水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種のバルブ群を搭載して集積化した状態で水素ステーションパッケージユニットを構成しているので、外部から供給された水素ガスを圧縮機ユニットで昇圧して蓄圧器に貯留し、貯留した水素ガスを外部に供給する機能を備えた水素ステーションパッケージユニットを小型に構成することができる。
また、水素ステーションパッケージユニットは、直方体形状の筐体を上下方向に二分し、下部収納室に複数の長尺タンク形状の蓄圧器を並置した状態で配置して、下部収納室の上部に圧縮機ユニットとバルブユニットが蓄圧器の長手方向に沿って並置する状態に設けられているので、筐体の短尺方向の幅を狭くして小型の水素ステーションパッケージユニットを構成することができる。
【0015】
バルブユニットは、支持部材に水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種のバルブ群を搭載して集積化しているので、バルブユニットの組立てを工場で行い、水素ステーションの施工現場では、工場で組立てたバルブユニットを水素ステーションパッケージ内の所定の場所に取付けた後、バルブユニットと圧縮機ユニットとの間、バルブユニットと複数の蓄圧器との間で最小限の配管の接続作業をすれば良いので、施工性が著しく向上するとともに、施工時の配管ミスを防止することができる。
【0016】
また、バルブユニットを工場で組立てることにより、支持部材への配管作業やバルブの取付作業は治具等を使用して正確に行うことができるとともに、試験機材を使用して厳密に漏洩検査等を実施することができるので、水素ステーションパッケージユニットの信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0017】
これに加え、バルブユニットでは、流路やバルブを支持部材に集積化して搭載しているため、水素ステーションの整備の際には、概ねバルブユニットを中心に点検等を行えば良いので、水素ステーションの整備性を向上させることができる。
【0018】
請求項3に係る発明によると、バルブユニットは、蓄圧器よりも手前で分岐し、蓄圧器よりも後ろで集合する並列した複数の流路を有し、各流路には、圧縮機ユニットから蓄圧器までの水素ガスの供給を開閉する複数の第1バルブ群と、蓄圧器から水素ガスの流出口まで水素ガスの供給を開閉する複数の第2バルブ群と、流路内の水素ガスをベントする複数のベントバルブ群がそれぞれ設置されているので、第1バルブ群のバルブと第2バルブ群のバルブを適宜開閉して流路を切り替えることにより、蓄圧器毎に水素の充填と取出しを行うことができ、第1バルブ群のバルブと第2バルブ群のバルブ、さらベントバルブ群のバルブを適宜開閉して流路を切り替えることにより、水素ステーションパッケージに窒素ガスを供給し、流路内に残留する水素ガスをパージすることができる。
【0019】
また、各流路に設置された第1バルブ群と第2バルブ群とベントバルブ群は、それぞれバルブユニット内の異なる所定領域内に集積化された状態で配置されているので、製造時には、同じ種類のバルブの取付作業を同時に行って作業性を向上させることができるとともに、点検、整備時には、同じ種類のバルブの点検、整備を同時に行ってメンテナンス性を向上させることができる。
【0020】
請求項1に係る発明によると、水素ステーションパッケージユニットは、筐体を上下方向に二分し、下部収納室に複数の長尺タンク形状の蓄圧器を並置した状態で配置して、下部収納室の上部に圧縮機ユニットとバルブユニットが蓄圧器の長手方向に沿って並置する状態に設けられているので、筐体の短尺方向の幅を狭くして小型の水素ステーションパッケージユニットを構成することができる。
請求項2に係る発明によると、水素ステーションパッケージユニットは、直方体形状の筐体を上下方向に二分し、下部収納室に複数の長尺タンク形状の蓄圧器を並置した状態で配置して、下部収納室の上部に圧縮機ユニットとバルブユニットが蓄圧器の長手方向に沿って並置する状態に設けられているので、筐体の短尺方向の幅を狭くして小型の水素ステーションパッケージユニットを構成することができる。
【0021】
また、筐体の下部に重量物である蓄圧器を並べて集中配置したことにより、水素ステーションパッケージユニットが低重心化し、搬送時や設置時に安定性を増すこともできる。
【0022】
請求項3に係る発明によるとバルブユニットは、圧縮機ユニットからの水素ガスの流入口の近傍に第1バルブ群が、この第1バルブ群の下方に第2バルブ群が配置されるとともに、第1群及び第2バルブ群と圧縮機ユニット側との間の領域にベントバルブ群がそれぞれ配置されているので、第1バルブ群、第2バルブ群及びベントバルブ群を、圧縮機ユニットから蓄圧器への水素ガスの流れを考慮して効率よく集積化して配置することができ、コンパクト化を達成しつつも、製造性や整備性を向上させることができる。
【0023】
請求項4に係る発明によると、本発明に係る水素ステーションパッケージユニットを用いて水素ステーションを構成したので、水素ステーションに最小限必要な機能をパッケージ化して小型の筐体に収納して設置することができるため、水素ステーションの設置に必要な敷地面積を大幅に削減することができる。特に、オフサイト方式で水素ステーションを建設する場合には、郊外、大都会の狭小地や従来のガソリンスタンドにも簡易型水素ステーションを設置することができる。
【0024】
また、配管やバルブがバルブユニットに集積化されているため、水素ステーションの配管部材やバルブのメンテナンスの際には略バルブユニットを対象にすれば良く、水素ステーション全体としてのメンテナンス性や稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明における水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションの構成を説明する図面である。
図2】本発明における水素ステーションパッケージユニットの構成を模式的に説明する図面である。
図3図2のバルブユニットでの流路及びバルブの支持部材への実装状態を模式的に示す図面である。
図4】本発明における水素ステーションパッケージユニット内の機器の配置を正面方向から見た状態を示す図面である。
図5】本発明における水素ステーションパッケージユニット内の機器の配置を上方から見た状態を示す図面である。
図6】本発明における水素ステーションパッケージユニット内の機器の配置を右側面方向から見た状態を示す図面である。
図7】本発明における水素ステーションパッケージユニットの下部収納室に蓄圧器を並置した状態を示す図面である。
図8】本発明における水素ステーションパッケージユニットの筐体を上下に分割した状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明における水素ステーションパッケージユニットと簡易型水素ステーションの一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明における水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションの構成を示している。図1において、簡易型水素ステーション11は、いわゆるオフサイト方式の簡易型水素ステーションであり、H受入ユニット12と、水素ステーションパッケージユニット13と、ディスペンサーユニット14と、パージ用Nユニット15と、冷凍機ユニット16により構成されている。
【0027】
受入ユニット12は、既存の工業プラント等で大規模に製造され、大型のボンベを束ねたトレーラー、或いはカードルにより水素ステーションに輸送されてきた水素ガスを受領し、水素ステーションパッケージユニット13に供給する。
【0028】
水素ステーションパッケージユニット13は、筐体17内に、圧縮機ユニット18と、蓄圧器ユニット19と、バルブユニット20とをパッケージ化して設けている。圧縮機ユニット18と蓄圧器ユニット19との間はバルブユニット20を介して充填流路21で接続されており、蓄圧器ユニット19とディスペンサーユニット14との間はバルブユニット20を介して供給流路22で接続されている。
【0029】
ディスペンサーユニット14は、水素ステーション用パッケージユニット13内の蓄圧器ユニット19から供給される高圧水素を流量弁制御弁(図示せず)により流量制御しながら、充填用ノズル(図示せず)を介して燃料電池自動車に水素を供給する。また、ディスペンサーユニット14には、燃料電池自動車に供給する水素を所定温度(例えば、-40℃)に冷却するプレクーラー(熱交換器)(図示せず)を備えている。これは、燃料電池自動車のタンクに水素ガスを急速に充填すると断熱圧縮により温度が上昇するので、タンク温度が上がり過ぎないように予め水素を十分に冷やすためである。
【0030】
パージ用Nユニット15は、水素ステーションパッケージユニット13の流路内、バルブ内に残留する水素の他、空気等の不純物を除去するパージ用の窒素(N)ガスを貯蔵し、必要によりH受入ユニット12を介して水素ステーションパッケージ13に窒素を供給し、流路内に残留する水素ガス等をパージする。
【0031】
冷凍機ユニット16は、ディスペンサーユニット14のプレクーラーに冷媒を循環供給し、燃料電池自動車に供給する水素を所定温度に冷却している。
【0032】
次いで、図2により水素ステーションパッケージユニット13の構成を説明する。図2に模式的に示すように、水素ステーションパッケージユニット13は、筐体17内に、圧縮機ユニット18と、蓄圧器ユニット19と、バルブユニット20とをパッケージ化して設けている。
【0033】
圧縮機ユニット18は、圧縮機(ガスコンプレッサー)25と、遮断弁として機能する自動ボールバルブ26、27と、逆止弁28とを備え、H受入ユニット12から供給される水素を昇圧(圧縮)し、充填流路21を介して蓄圧器ユニット19に充填している。圧縮機は、吐出圧力が80Pa超程度の高圧水素圧縮機であれば、往復動圧縮機(レシプロコンプレッサー)やダイヤフラム型圧縮機等の適宜の方式の圧縮機を使用することができるが、水素ステーションパッケージ13を小型に構成するためには、水素ステーションの水素供給能力に対応した小型の圧縮機を選定することが好ましい。
【0034】
なお、図2には図示していないが、圧縮機25で水素ガスを圧縮する際に断熱圧縮により水素ガスの温度が上昇するので、圧縮後の水素ガスを冷却するためのクーラーを圧縮機ユニットに設けることが好ましい。
【0035】
蓄圧器ユニット19は、圧縮機ユニット18で昇圧した高圧(80MPa超)の水素ガスを貯留する機能を有し、容量300Lの長尺タンク形状の蓄圧器30a、30b、30c、30dを4本備えている。
【0036】
高圧の蓄圧器を使用して燃料電池自動車に水素ガスを供給する差圧式の水素ステーションでは、低圧バンク、中圧バンク、及び高圧バンクの組み合わせによるバンク切り替えが効率的であると考えられている。そのため、本実施例では、2本の蓄圧器30a、30bで低圧のバンク1を、蓄圧器30cで中圧のバンク2を、蓄圧器30dで高圧のバンク3を構成し、低圧のバンク1、中圧のバンク2、高圧のバンク3の順で蓄圧器内に貯留した高圧水素ガスを燃料電池自動車に供給するようにしている。低圧のバンク1は、燃料電池自動車に水素ガスを供給する際に最も水素ガスの供給量が多くなるので、2本の蓄圧器30a、30bを使用し、供給量を確保するようにしている。ただし、蓄圧器の数は、簡易型水素ステーション11に求める水素供給能力に応じ、適宜、増減することができる。また、本実施例では、蓄圧器30a、30b及び30cはいずれも同じ容量としたが、必要に応じ、サイズが異なる蓄圧器を組み合わせてもよい。
【0037】
また、蓄圧器への水素ガスの充填と取出しのため、バンク1には流路31aが、バンク2には流路31bが、バンク3には流路31cが接続されている。なお、バンク1は2本の蓄圧器30a、30bで構成されているため、流路31aは蓄圧器30a、30bの直前で分岐して蓄圧器30a、30bに各々接続されている。
【0038】
バルブユニット20は、圧縮機ユニット18で昇圧した水素ガスの蓄圧器ユニット19内の蓄圧器30a、30b、30c、30dへの充填と、蓄圧器30a、30b、30c、30dに貯留した水素ガスの取出しを制御する。このため、バルブユニット20には、充填流路21が着脱可能な水素ガスの流入口33と、供給流路22が着脱可能な水素ガスの流出口34とを設けるとともに、蓄圧ユニット19の3本の流路31a、31b、31cを着脱可能な水素ガスの出入口35a、35b、35cを設けている。
【0039】
充填流路21は、バルブユニット20内でバンク1に水素ガスを供給する分岐流路21aと、バンク2に水素ガスを供給する分岐流路21bと、バンク3に水素ガスを供給する分岐流路21cに分岐し、分岐流路21aは水素ガスの出入口35aに、分岐流路21bは水素ガスの出入口35bに、分岐流路21cは水素ガスの出入口35cに接続されている。
【0040】
また、蓄圧器ユニット19内の蓄圧器30a、30b、30c、30dからディスペンサーユニット14へ水素ガスを供給するため、バンク1から水素ガスを取出す支流路22a、バンク2から水素ガスを取出す支流路22b、バンク3から水素ガスを取出す支流路22Cを設け、支流路22aと水素ガスの出入口35a、支流路22bと水素ガスの出入口35b、支流路22cと水素ガスの出入口35cとを接続するとともに、バルブユニット20内で支流路22a、22b、22cを集合させて供給流路22を構成している。
【0041】
なお、図2に示すように、分岐流路21aと支流路22a、分岐流路21bと支流路22b、分岐流路21cと支流路22cは、水素ガスの出入口35a、35b、35cの手前で流路の一部を共用しているが、分岐流路と支流路を個別に水素ガスの出入口に接続するようにしても良い。
【0042】
このように、バルブユニット20は、蓄圧器ユニット19よりも手前で分岐し、蓄圧器ユニット19よりも後ろで集合する並列した複数の流路を有している。
【0043】
分岐流路21aには自動ボールバルブ37aと逆止弁38aを、分岐流路21bには自動ボールバルブ37bと逆止弁38bを、分岐流路21cには自動ボールバルブ37cと逆止弁38cを設けている。これら自動ボールバルブ37a、37b、37cは、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19への水素ガスの供給を開閉する第1バルブである。これにより、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19への水素ガスの供給を制御するとともに、水素ガスの逆流を防止している。
【0044】
また、支流路22aには自動ボールバルブ39aと逆止弁40aを、支流路22bには自動ボールバルブ39bと逆止弁40bを、支流路22cには自動ボールバルブ39cと逆止弁40cを設けている。これら自動ボールバルブ39a、39b、39cは、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34まで水素ガスの供給を開閉する第2バルブである。これにより、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34への水素ガスの供給を制御するとともに、水素ガスの逆流を防止している。
【0045】
支流路22a、22b、22cが集合した供給流路22には、逆止弁43と自動ボールバルブ44を設け、水素ガスの逆流防止とディスペンサーユニット14に供給する水素ガスの供給を制御している。
【0046】
さらに、支流路22aから分岐させた流路45aには自動ボールバルブ46aを、支流路22bから分岐させた流路45bには自動ボールバルブ46bを、支流路22cから分岐させた流路45cには自動ボールバルブ46cを設けている。これらの自動ボールバルブ46a、46b、46cは、流路内の水素ガスのベントを開閉するベントバルブである。
【0047】
以上のように、水素ステーションパッケージユニット13は構成されているので、H受入ユニット12から供給された水素ガスを圧縮機ユニット18で昇圧(圧縮)して蓄圧ユニット19に充填、貯留し、所要に応じてディスペンサーユニット14に供給することができる。そして、蓄圧ユニット19への水素ガスの充填、及び蓄圧ユニット19からの水素ガスの取出しは、バルブユニット20内に設けた複数の自動ボールバルブを開閉することにより制御される。
【0048】
次に、バルブユニット20での流路、バルブの実装状態を説明する。バルブユニット20では、水素ガスの供給を開閉したり、水素ガスのベントを開閉したりするための各種のバルブが支持部材50に集積化した状態で搭載されている。図3は、流路及びバルブの支持部材50への実装状態を模式的に示す図面である。
【0049】
図3に示すように、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19への水素ガスの供給を開閉する自動ボールバルブ37a、37b、37cからなる第1バルブ群51と、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34への水素ガスの供給を開閉する自動ボールバルブ39a、39b、39cからなる第2バルブ群52と、流路内の水素ガスのベントを開閉する自動ボールバルブ46a、46b、46cからなるベントバルブ群53は、それぞれバルブユニット20内の異なる所定領域内に集積化された状態で配置されている。
【0050】
第1バルブ群51は水素ガスの流入口33の近傍に配置され、この第1バルブ群51の下方に第2バルブ群52が配置されるとともに、第1バルブ群51と第2バルブ群52と圧縮機ユニット18側との間の領域にベントバルブ群53がそれぞれ配置されている。
【0051】
これにより、圧縮機ユニットから蓄圧器への水素ガスの流れを考慮して効率よく集積化して配置することができ、コンパクト性を向上させつつ、製造性や整備性を向上させることができる。すなわち、製造時には、同じ種類のバルブを所定領域内で同時に支持部材50に取付けることができるので、製造性を向上させることができる。また、水素ステーションパッケージユニットの点検・整備時には、同じ種類のバルブを同時に点検、整備することができるので、整備性を向上させることができる。
【0052】
図3に示すように、圧縮機ユニット18が昇圧した水素ガスを蓄圧器ユニット19に充填するための充填流路21及び分岐流路21a、21b、21c、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34へ水素ガスを供給するための供給流路22及び支流路22a、22b、22c、流路内の水素ガスをベントするための流路45a、45b、45cは、垂直又は水平な状態で支持部材50に取付けられている。
【0053】
このように支持部材50に流路を取付けるため、流路の配置が簡単かつ明解となり、製造時には配管作業が容易となって製造性を向上させることができるとともに、配管ミスが発生しにくい。また、水素ステーションパッケージユニットの点検・整備時には、目視点検を行い易く、かつ異常も発見しやすいので、整備性を向上させることができる。
【0054】
また、このように流路を配管すると、最短距離で流路を連接するよりも流路長が増して圧力損失が増えることになるが、本実施例の水素ステーションパッケージユニットでは、ニードルバルブよりもCv値が格段に大きいボールバルブを使用しているので、流路長が増すことにより生じる圧力損失の増加を補い、流路を簡潔に配管した効果を十分に得ることができる。また、最短距離で流路を連接しようとすると直線的にならざるを得ず、全体として大型化してしまうが、本実施例のような集積化によれば、大幅なコンパクト化が達成される。
【0055】
以上のように、バルブユニット20の支持部材50に各種のバルブ群51、52、53や流路を搭載して集積化しているので、バルブユニット20の組立ては工場で行い、水素ステーションの施工現場では、工場で組立てたバルブユニット20を水素ステーションパッケージユニット13内の所定の場所に取付けた後、バルブユニット20と圧縮機ユニット18との間、バルブユニット20と蓄圧器ユニット19との間で最小限の流路の接続作業をすれば良いので、施工性が著しく向上するとともに、施工時の配管ミスを防止することができる。
【0056】
また、バルブユニットを工場で組立てることにより、支持部材50への配管作業やバルブの取付作業は治具等を使用して正確に行うことができるとともに、試験機材を使用して厳密に漏洩検査等を実施することができるので、水素ステーションパッケージユニット13の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0057】
これに加え、バルブユニット20では流路やバルブを支持部材50に集積化して搭載しているため、水素ステーションの整備の際には、概ねバルブユニット20を中心に点検等を行えば良いので、水素ステーションの整備性を向上させることができる。
【0058】
さらには、バルブユニット20では、支持部材50に適宜に流路を配管することができるので、複数の流路を蓄圧器から水素ガスを供給する順に短く設けたり、略同じ長さに設けたりすることが容易となり、蓄圧器等の機器の特性に対応させて流路を構成することができる。なお、本発明におけるバルブユニットは、上述した例に限定されず、適宜構成を変更可能である。例えば、ベントバルブが設けられている流路45a、45b及び45cとは別に、これらと並列な流路を設け、そこに手動のベントバルブを設置するなどして、自動ボールバルブ46a、46b、46cに異常が生じたときにも確実にベントを行うことができる配管設計としても良い。また、流路の必要箇所に安全弁を設けたり、第2バルブ群52と自動ボールバルブ44との間の流路を脱圧するための流路を設けたりするなど、必要なバルブや配管を設置することができる。さらに、バルブユニットにおいては、必ずしも全ての流路やバルブが単一のフレームに設置されている設置されている必要は無く、複数のフレームに分かれていても、それらが全体として集積化されていれば良い。
【0059】
続いて、水素ステーションパッケージユニット13内の機器の配置について図面に基づいて説明する。図4は正面方向から見た、図5は上面方向から見た、及び図6は右側面方向から見た水素ステーションパッケージユニット13内の機器の配置状況を示す図面である。
【0060】
図4乃至図6に示すように、水素ステーションパッケージユニット13の筐体17は直方体形状を有しており、この筐体17の下部収納室56に蓄圧器ユニット19を構成する4本の長尺タンク形状の蓄圧器30a、30b、30c、30dを並置した状態で配置している。図7は、下部収納室56内に4本の長尺タンク形状の蓄圧器30a、30b、30c、30dを並置した状態を示している。このように蓄圧器を並列に配置したことにより、下部収納室56の短尺方向の幅を狭くするようにしている。
【0061】
また、筐体17の下部収納室56に重量物である蓄圧器を並べて集中配置したことにより、水素ステーションパッケージユニットが低重心化し、搬送時や設置時に安定性を増す効果もある。
【0062】
下部収納室56に収納された蓄圧器30a、30b、30c、30dは、固定金具57によって下部収納室56の床部に固定されているが、図7に示すように、隣接する固定金具57同士が接触しないように互い違いに配置するようにした結果、蓄圧器同士をより近づけて配置することができるようになり、下部収納室56の短尺方向の幅をより狭くすることができるようにしている。
【0063】
このように、下部収納室56の短尺方向の幅を狭くすることに努めた結果、本実施例では、筐体17の短尺方向の幅を2.5m以内に収めることができた。筐体17の幅が2.5mを超えると、車両に積載して道路輸送する際には、道路交通法による制限外積載許可を申請して許可を得るか、或いは構成機器単位に分解して輸送した後、再度組み立てることが必要になる。本実施例では、筐体17の幅が2.5m以内であるので、制限外積載許可申請や分解は不要であり、組立てた状態の水素ステーションパッケージユニット13をそのまま車両輸送することができるので、極めて施工性に優れている。
【0064】
図4に示すように、圧縮機ユニット18とバルブユニット20は下部収納室56の上部に配置されており、図5に示すように、圧縮機ユニット18とバルブユニット20は、蓄圧器30a、30b、30c、30dの長手方向に沿って並置する状態に設けられている。このように、圧縮機ユニット18とバルブユニット20とを並列する状態で配置することによっても、筐体17の短尺方向の幅を狭くするようにしている。
【0065】
さらに、図6に示すように、バルブユニット20を筐体17の内壁面58近くに配置するようにしたことで、バルブユニット20の前面付近にスペース59を設けることができるので、バルブユニット20の支持部材50に取り付けられた配管構成の視認が容易となるだけでなく、整備作業が行い易くなり、整備性が向上する。
【0066】
また、図示はしていないが、筐体17の側面に開閉可能な扉を設けると、圧縮機ユニット18やバルブユニット20への接近性が向上し、整備作業がさらに容易となる。特に、下部収納室56の蓄圧器30a、30b、30c、30dの元弁60側に開閉可能な扉を設けると、蓄圧器30a、30b、30c、30dの整備作業が容易となる他、必要に応じて蓄圧器30a、30b、30c、30dの交換等にも対応できるようになり、作業性が向上する。
【0067】
なお、図8に示すように、筐体17を、圧縮機ユニット18及びバルブユニット20を収容する筐体上部17aと、蓄圧器ユニット19を収容する筐体下部17bとに分離可能な構造とすれば、工場において筐体上部17aと筐体下部17bとを分割した状態で組み立て、筐体上部17aと筐体下部17bとを別々に水素ステーションの設置場所に輸送した後、その場所で組み立てることが可能となるので、水素ステーションパッケージユニットの設置作業をさらに容易化することができる。
【0068】
以上説明したように、本発明の水素ステーションパッケージユニット13では、筐体17内に機器を整然と配置することにより、無駄なスペースを削減して筐体17を小型化するとともに、特にバルブユニット20の支持部材50に流路や水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種のバルブ群を集結化して整然と取付けることにより、施工性、整備性の向上を図っている。
【0069】
本発明の水素ステーションパッケージユニット13では、水素ステーションに必要とされる水素ガスの貯留と供給に不可欠な機能を有しているので、本発明の水素ステーションパッケージユニット13を用いることにより、水素ステーションの設置に必要な敷地面積を大幅に削減することができる。特に、オフサイト方式で水素ステーションを建設する場合には、郊外、大都会の狭小地や従来のガソリンステンドにも図1に示すように構成した簡易型水素ステーションを設置することができる。
【0070】
また、本発明の水素ステーションパッケージユニット13は整備性に優れているので、水素ステーションの稼働率の向上にも寄与することができる。なお、本発明の水素ステーションパッケージユニットは、圧縮器ユニット、蓄圧器及びバルブユニットのほかにも、例えばディスペンサーユニットを筐体内に内蔵するなど、全体的なサイズ等に応じて必要な機器を備えることができる。
【0071】
本発明の水素ステーションパッケージユニットは、少なくとも圧縮機ユニット、複数の蓄圧器及びバルブユニットを搭載するものである。このような水素ステーションパッケージユニットが設置される簡易型水素ステーションは、それが設置される地域によって必要とされる水素供給能力は異なるものである。そこで、その要求能力をちょうど満たすように、圧縮機ユニットの出力、蓄圧器の容量や本数、バルブユニットの配管等の構造を適宜選択して組み合わせることが好ましい。例えば、1時間に2台の燃料電池自動車への水素供給を行うことを想定した簡易型水素ステーションにおいては、ちょうど2台に水素充填を行うことが可能な蓄圧器の容量や本数を適用し、それが一時間以内に必要な水素圧を回復できる能力の圧縮器を組み合わせ、それらに合わせたバルブユニットの配管設計を行う。それによって、必要な水素供給能力を得つつも、最低限の装置構成とすることによるコンパクト化や低コスト化を達成することが可能となる。
【0072】
以下に、本実施形態における水素ステーションパッケージユニットの水素ガスの充填、貯留及び供給方法を説明する。
既存の工業プラント等で大規模に製造され、大型のボンベを束ねたトレーラー、或いはカードルにより水素ステーションに輸送されてきた水素ガスは、H受入ユニット12で受領され、水素ステーションパッケージユニット13に供給される。
【0073】
この時、圧縮機ユニット18で、水素ガスは所定の圧力(80MPa超)まで昇圧され、バルブユニット20を介して蓄圧器ユニットの蓄圧器に充填される。この水素ガスの充填は、基本的に、バンク1、バンク2、バンク3の順に行われる。ただし、バンクの切替は、必要に応じ、順番を変えても良い。
【0074】
先ず、バルブユニット20内の自動ボールバルブ37aのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置となる。これにより、圧縮機ユニット18で昇圧された水素ガスは、分岐流路21aを経由してバンク1を構成する蓄圧器30aと蓄圧器30bに充填される。蓄圧器30aと蓄圧器30bの内圧が所定の圧力まで上昇すると、自動ボールバルブ37aは閉位置となり、蓄圧器30aと蓄圧器30b内に水素ガスが貯留される。
【0075】
次いで、自動ボールバルブ37bのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、圧縮機ユニット18で昇圧された水素ガスは、分岐流路21bを経由してバンク2を構成する蓄圧器30cに充填される。蓄圧器30cの内圧が所定の圧力まで上昇すると、自動ボールバルブ37bは閉位置となり、蓄圧器30c内に水素ガスが貯留される。
【0076】
最後に、自動ボールバルブ37cのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、圧縮機ユニット18で昇圧された水素ガスは、分岐流路21cを経由してバンク3を構成する蓄圧器30dに充填される。蓄圧器30dの内圧が所定の圧力まで上昇すると、自動ボールバルブ37cは閉位置となり、蓄圧器30d内に水素ガスが貯留される。
【0077】
これで水素ステーションパッケージユニット13内への水素ガスの充填は完了し、水素ガスは、燃料電池自動車に供給されるまでの間、蓄圧器ユニットに貯留される。
【0078】
ディスペンサーユニット14の充填用ノズルが燃料電池自動車に接続され、水素ガス充填のスイッチがONとなると、水素ステーションパッケージユニット13に貯留した水素ガスの供給が開始されるが、この場合も水素ガスの供給は、バンク1、バンク2、バンク3の順に行われる。なお、バンクの切換えに伴い、燃料電池自動車に水素を供給していない蓄圧器に対しては、逐次、水素の圧力を回復させるため圧縮機ユニット18からの水素供給を行うことができる。
【0079】
先ずバルブユニット20内の自動ボールバルブ39aのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、バンク1を構成する蓄圧器30aと蓄圧器30bに貯留された高圧の水素ガスは、燃料電池自動車の水素ガスタンクとの差圧により、支流路22a、供給経路22を経由して、ディスペンサーユニット14を介して燃料電池自動車に供給される。バンク1は低圧バンクであるため、燃料電池自動車の水素タンクの内圧が所定の圧力(50MPa程度)に達すると、自動ボールバルブ39aは閉位置となる。
【0080】
次いで、自動ボールバルブ39bのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、バンク2を構成する蓄圧器30cに貯留された高圧の水素ガスは、支流路22b、供給経路22を経由して、ディスペンサーユニット14を介して燃料電池自動車に供給される。バンク2は中圧バンクであるため、燃料電池自動車の水素タンクの内圧が所定の圧力(70MPa程度)に達すると、自動ボールバルブ39bは閉位置となる。
【0081】
最後に、自動ボールバルブ39cのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、バンク3を構成する蓄圧器30dに貯留された高圧の水素ガスは、支流路22c、供給経路22を経由して、ディスペンサーユニット14を介して燃料電池自動車に供給される。バンク3は高圧バンクであるため、燃料電池自動車の水素タンクの内圧が所定の圧力(75MPa超)に達すると、自動ボールバルブ39cは閉位置となり、燃料自動車への水素ガスの供給は完了する。
【0082】
水素ステーションパッケージユニット13は、上述した水素ガスの充填、貯留、供給のサイクルを繰り返し、燃料電池自動車に水素ガスを供給する。
【0083】
また、メンテナンスの際に水素ステーションパッケージユニット13内に残留する水素ガスをパージする際には、バルブユニット20の自動ボールバルブ37a、37b、37cを開位置とし、他のバルブを閉位置にした後、パージ用Nユニット15から窒素を供給し、流路内に窒素で圧を張り、その後、自動ボールバルブ37a、37b、37cを閉位置にして、自動ボールバルブ46a、46b、46cを開位置にすると、流路内に残留する水素ガスをパージすることができる。この操作を複数回繰り返すことにより、水素ステーションパッケージユニット13内に残留する水素等をパージすることができる。
【0084】
なお、以上説明した各ユニットの作動と自動ボールバルブの開閉は、図示しない圧力計等のセンサーからの信号を受信する図示しないPLC(Programmable Logic Controller)により制御される。
【0085】
以上、本発明の水素ステーションパッケージユニットをオフサイト方式の水素ステーションに使用した場合について詳述してきたが、本発明の水素ステーションパッケージユニットの使用はオフサイト方式に限られるものではなく、当然にオンサイト方式でも使用することができる。
【0086】
本発明の水素ステーションパッケージユニットは、小型に構成されて製造性、施工性及び整備性に優れるとともに、この水素ステーションパッケージを用いた簡易型水素ステーションは、郊外、大都会の狭小地や従来のガソリンステンドにも設置することができるので、その利用価値は非常に大きいものがある。
【符号の説明】
【0087】
11 簡易型水素ステーション
12 H2受入ユニット
13 水素ステーションパッケージユニット
14 ディスペンサーユニット
15 パージ用N2ユニット
16 冷凍機ユニット
17 筐体
18 圧縮機ユニット
19 蓄圧器ユニット
20 バルブユニット
21 充填流路
22 供給流路
50 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8