(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105696
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/01 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
E06B9/01 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085700
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2018066888の分割
【原出願日】2018-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】安井 圭司
(72)【発明者】
【氏名】千野 哲玄
(57)【要約】
【課題】アウター部品の取り付けが容易にできる建具を提供する。
【解決手段】四方を枠組みして構成され、枠内でサッシ障子3が左右方向X2に走行可能に配置されたサッシ枠2と、サッシ枠2の屋外側に設けられた網戸4と、網戸4の屋外側においてサッシ枠2のサッシ上枠21及びサッシ下枠22の屋外面に連結され、アタッチメント障子6が左右方向X2に走行可能な走行レール53、54を有するアタッチメント枠5と、アタッチメント障子5の屋外側に支持され、格子部材8が掛止されるアタッチメント7と、を備え、アタッチメント7は、アタッチメント障子6の走行レール53、54よりも屋外側に張り出した状態で設けられた構成の建具を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方を枠組みして構成され、枠内で第1障子が左右方向に走行可能に配置された第1障子枠と、
前記第1障子枠の屋外側に設けられた網戸と、
前記網戸よりも屋外側に第2障子が左右方向に走行可能な走行レールを有する第2障子枠と、
前記第2障子に支持され、アウター部材が掛止されるアタッチメントと、
を備え、
前記アタッチメントは、前記第2障子の前記走行レールよりも屋外側に張り出した状態で設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記第2障子枠は、少なくとも前記第1障子枠の上枠および下枠の屋外面に連結材を介して連結されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記アタッチメントの上端部は、少なくとも前記第2障子枠の上枠に重なる高さに位置している請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記アウター部材は、格子状に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1枚の可動障子からなるスライド構造のサッシとして、例えば、特許文献1に示されるような、開口部に設けられたサッシ枠の下枠に形成された溝に沿って障子を水平方向に走行させる引戸が知られている。このような引戸では、一般的に障子の屋外側に網戸が設けらている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の引戸では、障子を開けた際に、その障子が引戸の開口部を形成する壁面に沿って走行する構造となっているものが多い。このような障子の外側には網戸などが存在するため、網戸などと干渉しないように格子などのアウター部品を取り付け難かった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、アウター部品の取り付けが容易にできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、四方を枠組みして構成され、枠内で第1障子が左右方向に走行可能に配置された第1障子枠と、前記第1障子枠の屋外側に設けられた網戸と、前記網戸よりも屋外側に第2障子が左右方向に走行可能な走行レールを有する第2障子枠と、前記第2障子に支持され、アウター部材が掛止されるアタッチメントと、を備え、前記アタッチメントは、前記第2障子の前記走行レールよりも屋外側に張り出した状態で設けられていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、第2障子を走行可能に支持する第2障子枠よりも屋外側にアタッチメントが張り出しており、アタッチメントに掛止される面材や意匠部材等のアウター部材も第2障子枠よりも屋外側に配置される。そのため、第2障子よりも屋内側を走行する網戸や第1障子にアウター部品が干渉しない。
【0008】
また、本発明では、第1障子及び網戸の位置に合わせて、第2障子を第2障子枠の走行レールに沿って左右方向に移動させることができる。第2障子が第1障子及び網戸の屋外側に配置されるので、例えば第1障子を全開にしたときにも、第1障子の収納側にアタッチメントに係止させた例えば面材からなるアウター部材を配置させておくことで、屋外側から第1障子が見えにくい構成とすることが可能となる。
【0009】
また、アタッチメントが第2障子枠の走行レールや第2障子よりも屋外側に張り出しているので、アウター部材の屋外側から第2障子枠に手が届きにくくなり、走行時の第2障子に対する人の接触を防ぐことができる。
さらに、本発明では、面材等のアウター部材がアタッチメントに掛止されて支持され、耐風圧に強い構造となるので、大きいサイズの障子にアウター部材を設ける場合であっても強風時に面材が吹き飛ばされたり、変形したりすることを防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る建具は、前記第2障子枠が、少なくとも前記第1障子枠の上枠および下枠の屋外面に連結材を介して連結されていることが好ましい。
【0011】
この場合には、第1障子枠と第2障子枠とが連結材によって連結されるため、簡易な構造で施工も容易に第1障子枠と第2障子枠とを一体化することができる。
【0012】
また、本発明に係る建具は、前記アタッチメントの上端部が、少なくとも前記第2障子枠の上枠に重なる高さに位置していることが好ましい。
【0013】
この場合には、アタッチメントとともにアウター部材の上端部が第2障子枠の上枠に重なる高さに設けられるので、屋外側から第2障子枠の上枠が見えにくくなり、意匠性をより向上することができる。
【0014】
また、本発明に係る建具は、前記アウター部材は、格子状に形成されている構成とすることができる。
【0015】
この場合には、格子状にすることで防犯性や採光性に優れたアウター部材を設けることができる。また、第1障子を閉じた状態で、第1障子の屋外側に格子状のアウター部材を配置することで、強風時の飛散物から第1障子のガラスを保護することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建具によれば、アウター部品の取り付けが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による片引き戸を示す縦断面図である。
【
図2】サッシ障子を全開状態とした片引き戸の水平断面図であって、アタッチメント障子をサッシ障子の屋外側に配置した状態を示す図である。
【
図3】サッシ障子を全開状態とした片引き戸の水平断面図であって、アタッチメント障子を開口部側に配置した状態を示す図である。
【
図4】
図1において、アタッチメント上枠とサッシ上枠の取り付け構造を示す要部拡大図である。
【
図5】
図1において、アタッチメント下枠とサッシ下枠の取り付け構造を示す要部拡大図である。
【
図6】アタッチメントと格子部材の構成を示す側断面図である。
【
図7】アタッチメントと格子部材の構成を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態による建具の一例として、建築物の開口部に設けられる片引き戸について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1から
図3に示す本実施形態による片引き戸1(建具)は、建築物の開口部に設けられ、四方を枠組みして四角形枠状に構成されたサッシ枠2と、サッシ枠2内で左右方向X2にスライド可能に設けられたサッシ障子3(第1障子)と、サッシ枠2の屋外側に設けられた網戸4と、網戸4の屋外側においてサッシ枠2のサッシ上枠21及びサッシ下枠22の屋外面に固定されたアタッチメント枠5と、アタッチメント枠5に設けられた走行レール51に沿って左右方向X2にスライド可能に設けられたアタッチメント障子6(第2障子)と、アタッチメント障子6の屋外側に支持され、
図1に示す格子部材8(アウター部材)が連結可能に設けられたアタッチメント7と、を備えている。
【0020】
片引き戸1は、アルミニウムと樹脂の複合のサッシである。
サッシ障子3は、
図2及び
図3に示す全開状態P2において屋内側から見て戸袋側に上下左右の框31~34がすべて隠れる構成になっている。すなわち、サッシ枠2には左右領域のうち一方(本実施形態では屋内側から見て右側)の領域の屋内側に躯体Kが設けられ、他方(屋内側から見て左側)の領域の屋内側に屋内外方向X1に連通する開口部2Aが形成された外付け構造となっている。
【0021】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向X1とし、建築物の開口部が躯体Kを貫通する方向から見た際の左側と右側を結ぶ水平方向を左右方向X2とする。また、片引き戸1を構成する各部材や部品などは、前記開口部に設けられている姿勢であるものとして、その姿勢における屋内外方向X1および左右方向X2を用いて説明する。左右方向X2において、サッシ障子3を閉じる方向を閉方向といい、開く方向を開方向という。
【0022】
図1から
図3に示すように、サッシ枠2は、全体が矩形状に形成され、建築物の屋外側に配置される外付け用となっている。サッシ枠2は、左右方向X2に延在するサッシ上枠21及びサッシ下枠22と、サッシ上枠21の両端部とサッシ下枠22の両端部とをそれぞれ連結し上下方向X3に延在するサッシ縦枠23、24と、を有している。
左右のサッシ縦枠23、24同士の間の左右方向X2の中間部分には、方立25が設けられている。方立25は、サッシ上枠21とサッシ下枠22とのそれぞれの左右方向X2の中間部分に連結されている。
【0023】
サッシ障子3を全開にしたときの開口2Aを形成する開口枠20は、サッシ上枠21、下枠22、一方のサッシ縦枠23、及び方立25を四辺に配置した枠部である。なお、開口枠20は、開口2Aを形成する枠部材であって、上述したサッシ障子3を左右方向X2にスライド可能に支持するサッシ枠2とは一致するものではない。
【0024】
図2及び
図3に示すように、一対の縦枠23、24は、それぞれアルミ合金等の金属製である。一対のサッシ縦枠23、24のうち、サッシ障子3の戸先框33に対向する側を第1縦枠23とし、サッシ障子3の召合框34に対向する側を第2縦枠24として、以下説明する。
【0025】
第1縦枠23は、屋外側に配置されサッシ障子3の戸先框33を開閉自在に係止する屋外側枠部23Aと、屋外側枠部23Aの屋内側に配置され開口部2Aを形成する樹脂製の縦枠カバー26が取り付けられる屋内側枠部23Bと、を有している。
【0026】
第2縦枠24は、屋外側に配置されサッシ障子3の召合框34を開閉自在に係止する屋外側枠部24Aと、屋外側枠部24Aの屋内側に配置され躯体Kが取り付けられる屋内側枠部24Bと、を有している。
【0027】
サッシ上枠21は、
図1に示すように、サッシ障子3の上框31を左右方向X2にスライド可能に支持するサッシ上走行レール211を有する屋外側上枠部21Aと、屋外側上枠部21Aの屋内側に配置され開口2Aを形成する上枠カバー21Cが取り付けられる屋内側上枠部21Bと、を有している。
【0028】
屋外側上枠部21Aには、屋外側を向く外板212の下端から下方に向けて突出するとともに、左右方向X2に延びて網戸4をスライド可能に支持する網戸レール213が設けられている。外板212の屋外側の面(第1固定面212a)には、屋外側に向けて突出する第1連結片215がねじ91(連結材)によって固定されている。
【0029】
第1連結片215には、後述するアタッチメント枠5のアタッチメント上枠51が係止される。第1連結片215は、
図4に示すように、外板212の第1固定面212aに当接して固定される固定板215Aと、固定板215Aの上下端から屋外側に突出し、その突出端に設けられた一対の上向き突起215Bと、を有している。上向き突起215Bには後述するアタッチメント枠5のアタッチメント上枠51に形成される下向き突起512が係止される。
【0030】
また、屋外側上枠部21Aには、
図1に示すように、サッシ上走行レール211の屋内側にサッシ障子3を閉方向に所定速度で全閉位置まで引き寄せるためのソフトクローズ機構9のダンパー9Aを収納するとともに左右方向X2に延びる上枠凹部214が設けられている。
【0031】
サッシ下枠22は、サッシ障子3の下框32に設けられる戸車36を左右方向X2にスライド可能に支持するサッシ下走行レール221を有する屋外側下枠部22Aと、屋外側下枠部22Aの屋内側に配置され開口2Aを形成する樹脂製の下枠カバー22Cが取り付けられる屋内側下枠部22Bと、を有している。
【0032】
屋外側下枠部22Aには、屋外側を向く外板222の上端から上方に向けて突出するとともに、左右方向X2に延びて網戸4をスライド可能に支持する網戸レール223が設けられている。外板222の屋外側の面(第2固定面222a)には、屋外側に向けて突出する第2突出片225がねじ92(連結材)によって固定されている。
【0033】
第2突出片225には、後述するアタッチメント枠5のアタッチメント下枠52が係止される。第2連結片225は、
図5に示すように、外板222の第2固定面222aに当接して固定される固定板225Aと、固定板225Aの上下端から屋外側に突出し、その突出端に設けられた一対の上向き突起225Bと、を有している。上向き突起225Bには後述するアタッチメント枠5のアタッチメント下枠52に形成される下向き突起522が係止される。
【0034】
方立25は、第2縦枠24に支持される躯体Kの第1縦枠23側の端部を支持する方立形材25Aと、方立形材25Aの第1縦枠23側に係合される樹脂製の方立カバー25Bと、を有している。
【0035】
図1から
図3に示すように、サッシ障子3は、左右方向X2に延在する上框31および下框32と、上下方向X3に延在する戸先框33と召合框34と、これらの框31~34の内側で押縁により押さえられて支持されるガラス35と、を有している。
【0036】
上框31は、
図1に示すように、上枠21の上枠外レール211に沿って左右方向X2に案内される走行溝311が形成されている。上框31の上端板312の屋内側には、上枠21の上枠凹部25に収納されるダンパー9Aに対して着脱可能に係止されるラッチ9Bが設けられている。
下框32は、下枠22の下枠外レール221に沿って左右方向X2に案内される戸車36を収納する走行溝321が形成されている。
【0037】
サッシ障子3は、全開した状態(全開状態P2)において、戸先框33が屋内側から見て開口枠20の屋外側に隠れるように構成されている。全開状態P2のサッシ障子3が引き込まれる際の引き込み代は、サッシ障子3の左右方向X2の寸法と同等以上に設定されている。
【0038】
アタッチメント枠5は、
図1から
図3に示すように、アタッチメント障子6の上端を走行可能に支持する上走行レール53が形成されたアタッチメント上枠51と、アタッチメント障子6の下端を走行可能に支持する下走行レール54が形成されたアタッチメント下枠52と、を備えている。
【0039】
アタッチメント上枠51は、上走行レール53が形成されたレール枠部51Aと、レール枠部51Aの屋内側に形成され、サッシ上枠21に固定される第1係止部51Bと、を有している。
レール枠部51Aは、屋内外方向X1に対向する一対の外壁51a、内壁51bを有している。上走行レール53は、外壁51a、内壁51bのそれぞれの壁下端に設けられている。一対の上走行レール53は、互いに対向する側に開口するとともに左右方向X2に延びる溝形状をなし、アタッチメント障子6の上戸車65(後述する)を転動可能に支持している。
【0040】
第1係止部51Bは、
図4に示すように、サッシ上枠21の外板212に固定された第1連結片215の上向き突起215Bに係止される。第1係止部51Bは、レール枠部51Aの内壁51bの上端、及び上下方向X3の中間部分から屋内側に突出する突出壁511と、突出壁511の突出端に設けられた下向き突起512と、を有している。下向き突起512は、サッシ上枠21に固定される第1連結片215の上向き突起215Aに対して屋内側に重なった状態で係止されている。
【0041】
アタッチメント下枠52は、
図1に示すように、下走行レール54が形成されたレール枠部52Aと、レール枠部52Aの屋内側に形成され、サッシ下枠22に固定される第2係止部52Bと、を有している。
レール枠部52Aは、上方に向けて突出するとともに左右方向X2に延びる下走行レール54が設けられている。下走行レール54には、アタッチメント障子6の下戸車66(後述する)が転動可能に載置されている。
【0042】
第2係止部52Bは、
図5に示すように、サッシ下枠22の外板222に固定された第2連結片225の上向き突起225Bに係止される。第2係止部52Bは、レール枠部52Aの内壁52bの上端、及び上下方向X33の中間部分から屋内側に突出する突出壁521と、突出壁521の突出端に設けられた下向き突起522と、を有している。
下向き突起522は、サッシ下枠22に固定される第2連結片225の上向き突起225Aに対して屋内側に重なった状態で係止されている。
また、レール枠部52Aの下走行レール54から屋内側に間隔をあけた内板523(当接面)は、第2連結片225の屋外側の端部(符号225a)に当接している。
【0043】
このようにアタッチメント枠5の第1係止部51Bと第2係止部52Bが、サッシ枠2の第1連結片215、第2連結片225に係止する構造とすることで、アタッチメント枠5が屋外側に倒れるように傾くことを防止できるようになっている。
【0044】
アタッチメント障子6は、
図1から
図3に示すように、全体が矩形状に形成され、アタッチメント枠5の上走行レール53及び下走行レール54に沿って左右方向X2に走行可能に設けられている。アタッチメント障子6は、左右方向X2に延在する上部材61及び下部材62と、上部材61の両端部と下部材62の両端部とをそれぞれ連結し上下方向X3に延在する縦部材63、64と、を有している。
【0045】
上部材61には、屋内外側のそれぞれの面において、アタッチメント上枠51の上側走行レール53に沿って転動可能に支持される上戸車65が設けられている。
下部材62には、アタッチメント下枠52の下側走行レール54に沿って転動可能に載置される下戸車66が設けられている。
【0046】
一対の縦部材63、64には、それぞれ上下方向X3に延びる張出し縦材67が設けられている。張出し縦材67の屋内外方向X1に沿う突出長は、任意に設定されるが、少なくとも突出端67aの位置がアタッチメント上枠51及びアタッチメント下枠52における屋外側の端面51a、52aによりも屋外側に配置されている。
【0047】
なお、本実施形態では、縦部材63、64にアタッチメント枠5に対して係合するロック部材(図示省略)が設けられている。アタッチメント7を介して格子部材8を備えたアタッチメント障子6は、ロック部材によるロック状態を解除したときにのみアタッチメント枠5の走行レール53、54に沿って走行可能となっている。
【0048】
アタッチメント7は、アタッチメント障子6の張出し縦材67の突出端67aに支持され、アタッチメント障子6の走行レール53、54よりも屋外側に張り出した状態で設けられている。
アタッチメント7は、
図1、
図2、
図6及び
図7に示すように、上下方向X3に延在する一対の縦材71、71と、両縦材71、71同士を連結して左右方向X2に延在する一対の横材72、72と、を有している。縦材71は、それぞれ張出し縦材67の屋外側の面に固定されている。縦材71の上端71aは、少なくともアタッチメント枠5のアタッチメント上枠51に重なる高さに位置している。
【0049】
横材72は、左右方向X2の両端のそれぞれが縦材71、71における互いに対向する面71bに接続されている。横材72の屋外側の外面72aには、屋外側に向けて突出するアウター係止片73がねじによって固定されている。
アウター係止片73には、アウター部材をなす格子部材8が係止される。アウター係止片73は、
図1に示すように、外面72aから屋外側に突出し、その突出端に設けられた一対の上向き突起73aを有している。上向き突起73aには、格子部材8の横支持材81に形成されている下向き突起81Bが係止される。
【0050】
格子部材8は、アタッチメント7に連結され、左右方向X2に延在する複数の横支持材81と、左右方向X2に間隔をあけて配列され上下方向X3に延びる複数の縦格子材82と、を備えている。横支持材81は、アタッチメント7のアウター係止片73に対して上側から掛止させることで連結され、ねじやボルトで双方が一体的に固定されている。
縦格子材82の上端82aは、縦材71の上端71aとほぼ同じ高さとなる位置に設定されている。
【0051】
次に、本実施形態による片引き戸1の作用について説明する。
本実施形態では、
図1から
図3に示すように、アタッチメント障子6を走行可能に支持するアタッチメント枠5よりも屋外側にアタッチメント7が張り出しており、屋外側から見てアタッチメント7に掛止される格子部材8もアタッチメント枠5よりも手前側に配置される。
そのため、屋外側から見たときには、格子部材8によってサッシ枠2やアタッチメント枠5が見えにくくなることから、建物の外観に合わせた意匠を実現することができ、意匠性を向上することができる。
【0052】
また、本実施形態では、サッシ障子3及び網戸4の位置に合わせて、アタッチメント障子6をアタッチメント枠5の走行レール53、54に沿って左右方向X2に移動させることができる。そして、アタッチメント障子6がサッシ障子3及び網戸4の屋外側に配置されるので、例えばサッシ障子3を全開にしたときにも、サッシ障子3の収納側にアタッチメント5に係止させた格子部材8を配置させておくことで、屋外側からサッシ障子3が見えにくい構成とすることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、アタッチメント7がアタッチメント枠5の走行レール53、54やアタッチメント障子6よりも屋外側に張り出しているので、格子部材8の屋外側からアタッチメント枠5に手が届きにくくなり、走行時のアタッチメント障子6に対する人の接触を防ぐことができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、格子部材8がアタッチメント7に掛止されて支持され、耐風圧に強い構造となるので、大きいサイズの障子に格子部材8などのアウター部材を設ける場合であっても強風時に面材が吹き飛ばされたり、変形したりすることを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態では、アタッチメント7とともに格子部材8の縦格子材82の上端81aが少なくともアタッチメント上枠51に重なる高さに設けられるので、屋外側からアタッチメント上枠51が見えにくくなり、意匠性をより向上することができる。
【0056】
また、本実施形態では、格子状にすることで防犯性や採光性に優れた格子部材8を設けることができる。
さらに、サッシ障子3を閉じた状態で、サッシ障子3の屋外側に格子部材8を配置することで、強風時の飛散物からサッシ障子3のガラス35を保護することができる。
【0057】
このように本実施形態の片引き戸1によれば、建物の外観に合わせた意匠を実現することができ、意匠性を向上することができる。
【0058】
以上、本発明による片引き戸の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0059】
例えば、本実施形態では、アタッチメント7に連結されるアウター部材として格子部材8を採用しているが、このような格子形状の意匠部であることに限定されることはなく、例えばルーバー等の面材を採用することができる。
【0060】
また、アタッチメント7がアタッチメント障子6の走行レール53、54よりも屋外側に張り出した状態で設けられた構成であればよく、各部材(サッシ枠2、サッシ障子3、網戸4、アタッチメント枠5、アタッチメント障子6、アタッチメント7)の具体的な構成、寸法や接続構造などの構成については適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、アタッチメント7の上端部(縦材71の上端71a)が少なくともアタッチメント枠5のアタッチメント上枠51に重なる高さに位置する構成としているが、このようにアタッチメント上枠51にアタッチメント7の上端71aが重ならない構成であってもかまわない。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 片引き戸(建具)
2 サッシ枠(第1障子枠)
3 サッシ障子(第1障子)
4 網戸
5 アタッチメント枠(第2障子枠)
6 アタッチメント障子(第2障子)
7 アタッチメント
8 格子部材(アウター部材)
21 サッシ上枠(第1障子枠の上枠)
22 サッシ下枠(第1障子枠の下枠)
23 第1縦枠
24 第2縦枠
51 アタッチメント上枠(第2障子枠の上枠)
52 アタッチメント下枠(第2障子枠の下枠)
53 上走行レール
54 下走行レール
71 縦材
71a 上端
91,92 ねじ(連結材)
X1 屋内外方向
X2 左右方向
X3 上下方向