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特開2022-10571構造物点検処理システムおよび構造物点検処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010571
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】構造物点検処理システムおよび構造物点検処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20220107BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q50/08
E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111222
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】513220562
【氏名又は名称】首都高技術株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(71)【出願人】
【識別番号】398018021
【氏名又は名称】株式会社アドバンスト・メディア
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】兼子 大明
(72)【発明者】
【氏名】榎本 太一
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 久
(72)【発明者】
【氏名】高津 惣太
(72)【発明者】
【氏名】井林 康
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 章
【テーマコード(参考)】
2D059
5L049
【Fターム(参考)】
2D059GG39
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】点検者による点検業務や点検結果報告書作成やデータベース記録の負担をかるくし、橋梁等の構造物を点検する際における労力と時間と大幅に軽減することができる構造物点検処理システムおよび構造物点検処理方法を提供する。
【解決手段】点検者が構造物の点検を行うための構造物点検処理システムであって、点検者が携帯して点検業務を行うためのICT端末と、ICT端末と相互に通信し、ICT端末で行った点検業務をアップロードする点検情報処理部と、を有し、点検者が、ICT端末へ構造物の過去の損傷データをダウンロードし、ICT端末を携帯して、構造物を点検する点検業務を行い、その点検データを作成し、ICT端末から、点検情報処理部に点検データをアップロードし、そのアップロードされた点検データが報告書となる構成となっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検者が構造物の点検を行うための構造物点検処理システムであって、
前記点検者が携帯して点検業務を行うためのICT端末と、
前記ICT端末と相互に通信し、前記ICT端末で行った点検業務をアップロードする点検情報処理部と、を有し、
前記点検者が、前記ICT端末へ前記構造物の過去の損傷データをダウンロードし、前記ICT端末を携帯して、前記構造物を点検する点検業務を行い、その点検データを作成し、前記ICT端末から、前記点検情報処理部に前記点検データをアップロードし、そのアップロードされた点検データが報告書となることを特徴とした構造物点検処理システム。
【請求項2】
前記ICT端末は、前記点検者が前記ICT端末へ前記点検業務で発見した損傷を音声入力で記録するための音声入力アシスト機能を有することを特徴とする請求項1に記載の構造物点検処理システム。
【請求項3】
前記点検情報処理部が、報告書の作成するため前記ICT端末で行った点検業務の点検データをアップロードして取り込むコンピュータ部と、前記コンピュータ部に接続され、前記コンピュータ部で展開された点検データを記憶するデータベース部とを有することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の構造物点検処理システム。
【請求項4】
前記ICT端末が、前記点検業務を行うためのアプリケーションソフトを記憶した制御信号処理部を有しており、前記制御信号処理部に、映像表示入力部、通信部、電源部、電源スイッチ部、音声発生部、音声入力部、撮像部が接続され、前記制御信号処理部が、前記アプリケーションソフトに基づいて前記点検業務を行うように、前記映像表示入力部、通信部、電源部、電源スイッチ部、音声発生部、音声入力部、撮像部を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の構造物点検処理システム。
【請求項5】
前記点検情報処理部が、さらに、過去に遡ったより多くの点検情報を記憶するための顧客専用データベース部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の構造物点検処理システム。
【請求項6】
点検者が携帯して構造物の点検業務を行うためのICT端末と、前記ICT端末と相互に通信し、前記点検業務の報告書の作成を行うため前記ICT端末で行った点検業務をアップロードする点検情報処理部とを有する構造物点検処理システムにおける構造物点検処理方法であって、
前記ICT端末において、前記構造物である点検対象の過去のデータをダウンロードするステップと、
前記ICT端末において、ダウンロードされた点検対象データをアップロードして表示するステップと、
前記ICT端末において、アップロードされた点検対象データに基づいて点検作業を行うステップと、
前記ICT端末において、上記点検作業に基づいて、点検した前記構造物の損傷記録作業を行うステップと、を有し、
前記損傷記録作業が、音声入力アシスト機能を用いた音声入力で記録されることを特徴とした構造物点検処理方法。
【請求項7】
前記ICT端末から、前記点検情報処理部に前記点検データをアップロードし、そのアップロードされた点検データが報告書となることを特徴とした請求項6に記載の構造物点検処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁等の構造物を点検する際に使用する構造物点検処理システムおよび構造物点検処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、橋梁等の構造物を点検する場合、以下のような手順で点検を行っていた。
【0003】
準備段階として、点検者は、点検対象構造物の現場に行く前に、まず、その点検現場の図面等を出して見て、その点検対象構造物の確認を行うと共に、点検システムを起動し、過去の点検情報を記憶した点検データベース(DB)より、その点検対象構造物の過去の損傷等の点検データを読み出し印刷して確認する。
【0004】
通常、この準備段階は、その点検対象構造物の現場から離れた場所、すなわち事務所等で行われる。
【0005】
次に、点検者は、デジカメや対象構造物に関する過去の報告書等を持って現場点検を行う。すなわち、点検者は、デジカメにより点検対象構造物の損傷箇所の写真撮影をし、手書きにて、その損傷状態をノート等に記録する。
【0006】
そして、点検者は、事務所等に戻り、上記損傷状態等を記録したノートの情報を基に、以下のような報告書の作成作業を行う。
【0007】
すなわち、点検者は、損傷状況を点検データベース(DB)へ入力するため、点検システムを起動し、1件毎に損傷箇所の状況を点検データベース(DB)へ入力すると共に、デジカメ等の撮像装置により撮影された損傷箇所の写真を読み込み、その損傷箇所の写真を、1枚毎に点検データベース(DB)に登録し、その損傷箇所の損傷ランク判定を、1件毎に行い入力する。
【0008】
また、上述した損傷状態の記録は、全て手作業で行っていたため、点検者の負担が大きかった。
【0009】
そして、上述したように入力した情報を報告書に纏めて印刷し、点検結果報告書として提出して報告を行うようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2018-17076号公報
【特許文献2】特開2019-35276号公報
【特許文献3】特開2019-94620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のような従来技術では、橋梁等の構造物を点検する場合、点検結果報告書を纏めるまでの点検者の負担が大きいと言う問題点があった。
【0012】
すなわち、点検者は、上述した点検業務や点検結果報告書作成やデータベース記録の負担が大きく、大変な労力と時間とがかかるものであった。
【0013】
より具体的には、点検対象構造物の現場に行く前に、その点検現場の図面等を出して見て、その点検対象構造物の確認を行う作業、点検システムを起動し、過去の点検情報を記憶した点検データベース(DB)より、その点検対象構造物の過去の損傷等の点検データを読み出して印刷する作業、デジカメや対象構造物に関する過去の報告書等を持って現場点検を行い、デジカメにより点検対象構造物の損傷箇所の写真撮影をし、手書きにて、その損傷状態をノート等に記録する作業、点検システムを起動し、1件毎に損傷箇所の状況を点検データベース(DB)へ入力すると共に、デジカメにより撮影された損傷箇所の写真を読み込み、その損傷箇所の写真を、1枚毎に点検データベース(DB)に登録し、その損傷箇所の損傷ランク判定を、1件毎に行い入力する作業、および上記入力した情報を報告書に纏めて印刷し、点検結果報告書として提出する作業を、全て手作業で行わなければならず、大変な労力と時間とがかかるものであった。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、点検者による点検業務や点検結果報告書作成やデータベース記録の負担をかるくし、橋梁等の構造物を点検する際における労力と時間と大幅に軽減することができる構造物点検処理システムおよび構造物点検処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、点検者が構造物の点検を行うための構造物点検処理システムであって、前記点検者が携帯して点検業務を行うためのICT端末と、前記ICT端末と相互に通信し、前記ICT端末で行った点検業務をアップロードする点検情報処理部と、を有し、前記点検者が、前記ICT端末へ前記構造物の過去の損傷データをダウンロードし、前記ICT端末を携帯して、前記構造物を点検する点検業務を行い、その点検データを作成し、前記ICT端末から、前記点検情報処理部に前記点検データをアップロードし、そのアップロードされた点検データが報告書となることを特徴とした構造物点検処理システムである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構造物点検処理システムであって、前記ICT端末は、前記点検者が前記ICT端末へ前記点検業務で発見した損傷を音声入力で記録するための音声入力アシスト機能を有することである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは2に記載の構造物点検処理システムであって、前記点検情報処理部が、報告書の作成するため前記ICT端末で行った点検業務の点検データをアップロードして取り込むコンピュータ部と、前記コンピュータ部に接続され、前記コンピュータ部で展開された点検データを記憶するデータベース部とを有することである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載の構造物点検処理システムであって、前記ICT端末が、前記点検業務を行うためのアプリケーションソフトを記憶した制御信号処理部を有しており、前記制御信号処理部に、映像表示入力部、通信部、電源部、電源スイッチ部、音声発生部、音声入力部、撮像部が接続され、前記制御信号処理部が、前記アプリケーションソフトに基づいて前記点検業務を行うように、前記映像表示入力部、通信部、電源部、電源スイッチ部、音声発生部、音声入力部、撮像部を制御することである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の構造物点検処理システムであって、前記点検情報処理部が、さらに、過去に遡ったより多くの点検情報を記憶するための顧客専用データベース部を有することである。
【0020】
請求項6に記載の発明は、点検者が携帯して構造物の点検業務を行うためのICT端末と、前記ICT端末と相互に通信し、前記点検業務の報告書の作成を行うため前記ICT端末で行った点検業務をアップロードする点検情報処理部とを有する構造物点検処理システムにおける構造物点検処理方法であって、前記ICT端末において、前記構造物である点検対象の過去のデータをダウンロードするステップと、前記ICT端末において、ダウンロードされた点検対象データをアップロードして表示するステップと、前記ICT端末において、アップロードされた点検対象データに基づいて点検作業を行うステップと、前記ICT端末において、上記点検作業に基づいて、点検した前記構造物の損傷記録作業を行うステップと、を有し、前記損傷記録作業が、音声入力アシスト機能を用いた音声入力で記録されることを特徴とした構造物点検処理方法である。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構造物点検処理方法であって、前記ICT端末から、前記点検情報処理部に前記点検データをアップロードし、そのアップロードされた点検データが報告書となることである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、点検者による点検業務や点検結果報告書作成やデータベース記録の負担をかるくし、橋梁等の構造物を点検する際における労力と時間と大幅に軽減することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願発明を実施した構造物点検処理システムの全体構成図である。
図2図1に示したICT端末1の概略ブロック構成図である。
図3図1に示したコンピュータ部3aの概略ブロック構成図である。
図4図1に示した構造物点検処理システムにおける実施形態の点検処理動作のフローチャートである。
図5A図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図5B図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図6A図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図6B図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図7A図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図7B図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図8A図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図8B】指定事項一覧63aにおける指定事項内容63bを示すテーブル図である。
図8C図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図9図4に示したステップ107のさらに詳細な点検処理動作のフローチャートである。
図10図4に示したステップ109のさらに詳細な損傷記録動作のフローチャートである。
図11A図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図11B】音声入力処理で用いられる音声データテーブルの一例を示す図である。
図11C図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図12A図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
図12B図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る構造物点検処理システムについて図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本願発明を実施した構造物点検処理システムの全体構成図である。
【0026】
図1に示すように、構造物点検処理システムは、橋梁等の構造物を点検する点検者が携帯して点検業務を行うためのICT端末1と、そのICT端末1と相互に通信し、ICT端末1で行った点検業務をアップロードする点検情報処理部3とを有している。
【0027】
そして、ICT端末1は、後述するような撮像機能および音声入力アシスト機能を有したタブレット等からなり、点検情報処理部3は、図1に示すように、報告書の作成するためICT端末1で行った点検業務をアップロードして取り込むコンピュータ部3aと、そのコンピュータ部3aに接続され、コンピュータ部3aで展開されたデータを記憶するデータベース部3bとを有している。
【0028】
ここで、この実施形態では、点検情報処理部3は、事業所等に設置されている。
【0029】
なお、図1に示すように、過去に遡ったより多くの点検情報を記憶するための顧客専用データベース部3cを設けて、コンピュータ部3aに接続させるようにしても良い。
【0030】
すなわち、この構造物点検処理システムは、まず、点検者がICT端末1へ、点検する橋梁等の構造物の過去の損傷データをダウンロードし、そのICT端末1を携帯して、上記撮像機能および音声入力アシスト機能を用いて橋梁等の構造物を点検する点検業務を行い、その点検データを作成する。そして、そのICT端末1を事業所等に持ち帰り、コンピュータ部3aに点検データをアップロードし、そのアップロードされた点検データが報告書となる。
【0031】
次に、点検者が携帯するICT端末1について説明する。
【0032】
図2は、ICT端末1の内部構成を示す図であり、図2(a)は、概略ブロック構成図であり、図2(b)は、制御信号処理部11の内部構成図である。
【0033】
図2(a)に示すように、ICT端末1は、制御信号処理部11を有しており、制御信号処理部11に、映像表示入力部13、通信部15、電源スイッチ部17、電源部19、音声発生部21、音声入力部22、撮像部23等が接続された構成となっている。
【0034】
映像表示入力部13は、種々の情報を表示すると共に、点検者が情報等を入力する液晶画面からなっている。
【0035】
図2Bに示すように、制御信号処理部11は、CPU11a、RAM11b、ROM11c等からなるマイクロコンピュータで構成することができ、後述する橋梁等の構造物を点検する点検業務を行うためのアプリケーションソフトをROM11cあるいはRAM11bに記憶させ、CPU11aが、そのアプリケーションソフトに基づいて点検業務等を行えるようになっている。
【0036】
すなわち、制御信号処理部11のCPU11aが、アプリケーションソフトに基づいて点検業務を行うように、映像表示入力部13、通信部15、電源スイッチ部17、電源部19、音声発生部21、音声入力部22、撮像部23等を制御する。
【0037】
また、ICT端末1の制御信号処理部11は、通信部15を介してコンピュータ部3aと情報の通信を行う。なお、ICT端末1とコンピュータ部3aとの通信は、インターネットを介した無線通信で行うが、USB端子等を介した有線通信でも良い。
【0038】
映像表示入力部13は、映像信号を表示すると共に、点検者がタッチ入力もので、例えば、液晶表示機能を有している。
【0039】
通信部15は、インターネッを介して、コンピュータ部3aとの通信を行うようになっている。
【0040】
電源部19は、ICT端末1の全体に電源を供給するもので、充電機能を有する充電池等からなり、後述する種々の用途の実施形態に応じて、さまざまな形態を取り得る。
【0041】
電源スイッチ部17は、電源部19からのICT端末1の電源供給を起動させる。
【0042】
音声発生部21は、コンピュータ部3aからの音声情報等を発声させる。
【0043】
音声入力部22は、マイク等の音声情報等を拾う機器からなる。
【0044】
撮像部23は、レンズや撮像素子等を有しており、結像された光像が光電変換により電気信号に変換され、撮像部23の出力信号として制御信号処理部11に出力される。なお、この撮像部23は、広角の動画を撮影する機能を有したビデオカメラからなる。
【0045】
また、その点検業務等を行うアプリケーションソフトにより、ICT端末1に、後述する構造物の所定場所を特定するための所定場所特定番号や音声入力アシスト機能のための慣用句等の用語を予め登録しておく。
【0046】
次に、点検者が使用するコンピュータ部3aについて説明する。
【0047】
図3は、コンピュータ部3aの概略ブロック構成図である。
【0048】
図3に示すように、コンピュータ部3aは、CPU3a1、RAM3a3、ROM3a5、表示部3a7、入力部3a9、電源部3a11等からなるコンピュータで構成されており、後述するICT端末1よりの点検データをアップロードするためのアプリケーションソフトをROM3a5に記憶させ、CPU3a1が、そのアプリケーションソフトに基づいてICT端末1より点検データをアップロードして報告書とするようになっている。
【0049】
次に、データベース部3bについて説明すると、データベース部3bは、データベースサーバからなり、一般のウエブサービスを用いたクラウドサーバとしても良い。
【0050】
なお、顧客専用データベース部3cも上記データベース部3bと同様な構成となっている。
【0051】
そして、データベース部3bおよび顧客専用データベース部3cは、通常、事業所以外の場所に設置されている。
【0052】
次に、上述した構造物点検処理システムにおける実施形態の概略動作について説明する。
【0053】
図4は、図1に示した構造物点検処理システムにおける実施形態の点検処理動作のフローチャートである。図5図8は、図4に示した構造物点検処理システムの点検処理動作においてICT端末1に表示された画面の説明図である。
【0054】
なお、この実施形態の点検処理動作は、点検業務等を行うアプリケーションソフトに基づいて、主に、ICT端末1により行われる。
【0055】
図4のステップ101において、点検者は、ICT端末1においてログイン処理をおこなう。
【0056】
すなわち、まず、点検者は、ICT端末1の電源スイッチ部17をオンにして、電源部19を起動させると、ICT端末1の映像表示入力部13上に、点検業務を行うためのアプリケーションソフトに基づいて、例えば、図5Aに示すようなログイン画面が表示される。
【0057】
そこで、そのログイン画面における、会社ID31、ユーザID33、パスワード35等の必要項目を入力し、ログインアイコン37をタップする。すると、映像表示入力部11上に、点検業務アプリケーションソフトに基づいて、例えば、図5Bに示すようなトップ画面が表示されログイン処理が完了する。
【0058】
次に、ステップ103において、点検者は、準備作業として、ICT端末1へ、その点検対象構造物である点検対象の過去のデータをダウンロードする。
【0059】
なお、ICT端末1への過去の点検対象データのダウンロードは、橋梁等の点検対象構造物の現場に行く前に行っても良いし、橋梁等の点検対象構造物の現場に行ってから行っても良い。
【0060】
また、ICT端末1において、直前に点検業務を行い、引き続き点検作業を行う場合、その点検業務を行った点検対象構造物に最も近い点検対象構造物をGPSを用いて自動的に選択するGPS選択機能を備えるようにしても良い。
【0061】
すなわち、点検者は、例えば、図5Bに示すようなトップ画面における点検対象ダウンロードのアイコン39をタップすると、映像表示入力部13上に、例えば、図6Aに示すような点検対象ダウンロード画面が表示される。
【0062】
そして、点検者が、その例えば、図6Aに示すような点検対象ダウンロード画面における工種41、路線43、データ種類45を選択すると(この場合、全てを選択)、点検データ一覧表47が表示される。
【0063】
そして、点検者は、映像表示入力部13上に表示された点検データ一覧表47から、点検したい点検データの行をタップすることで、その点検データの点検名にチェックアイコン47aが表示され、図6Aに示す点検対象ダウンロード画面のダウンロードのアイコン49をタップすると、その点検名の点検データが、ダウンロードされる。
【0064】
すなわち、ICT端末1の制御信号処理部11が、通信部15を介してコンピュータ部3aと情報の通信を行い、その指定された点検データを、コンピュータ部3aからダウンロードし、そのダウンロードした点検データを、そのRAM等に記憶する。
【0065】
そのICT端末1とコンピュータ部3aとの通信は、インターネットを介した無線通信でも良いし、USB端子等を介した有線通信でも良い。
【0066】
なお、ここで、点検対象構造物の点検データは、予めコンピュータ部3aに記憶されているものとする。すなわち、点検者は、コンピュータ部3aに、データベース部3bあるいは顧客専用データベース部3cより、所定の点検対象構造物の点検データを移しておく。
【0067】
次に、ステップ105において、点検者は、ICT端末1へダウンロードされた点検対象データをアップロードして表示する。
【0068】
すなわち、点検者は、例えば、図6Aに示す点検対象ダウンロード画面のダウンロードのアイコン49をタップすると、映像表示入力部13上に、例えば、図6Bに示すような点検対象アップロード画面が表示される。
【0069】
そして、点検者が、例えば、図6Bに示すような点検対象アップロード画面における点検データ一覧50の所望する点検データをタップして選択し、アップロードのアイコン51をタップすると、映像表示入力部13上に、例えば、図7Aに示すような点検選択画面53が表示される。
【0070】
ここで、点検者が、例えば、図7Aに示すような点検選択画面53における点検データ一覧55の所望する点検データをタップして選択し、点検開始のアイコン57をタップすると、映像表示入力部13上に、例えば、図7Bに示すような点検一覧画面59が表示される。
【0071】
そして、点検者が、例えば、図7Bに示すような点検一覧画面59における点検情報項目61の所望する項目をタップして選択すると、映像表示入力部13上に、例えば、図8Aに示すような指摘事項一覧画面63が表示される。
【0072】
次に、ステップ107において、点検者は、ICT端末1へアップロードされた点検対象データに基づいて点検作業を行う。
【0073】
図9は、図4に示したステップ107のさらに詳細な点検処理動作のフローチャートである。図9を参照して、図4に示したステップ107のさらに詳細な点検処理動作について説明する。
【0074】
すなわち、点検者は、例えば、図8Aに示す指摘事項一覧画面63に基づいて、以下のような点検作業をおこなう。
【0075】
図9のステップ107aにおいて、まず、点検者は、図8Aに示す指摘事項一覧画面63における指定事項一覧63aの指定事項内容63bを確認する。ここで、指定事項一覧63aにおける指定事項内容63bは、図8Bに示すような関係となっている。
【0076】
上記ステップ107aにおいて指定事項内容63bを確認すると、ステップ107bにおいて、点検者は、指定事項内容63bの下の点検年月日63cを、現在の点検日付に更新する。
【0077】
そうすると、ステップ107cにおいて、指摘事項一覧画面63の右側画面に、指定事項内容63bに基づいた点検対象構造物の前に撮影した画像63dが表示される。ここで、点検対象構造物の前に撮影した画像とは、最近に撮影された画像を画像1として、画像2、画像3、画像4と続くように表示される。
【0078】
そして、例えば、画像1をタップすると、その画像1の拡大画像が、写真サムネイル63eに表示される。
【0079】
次に、ステップ107dにおいて、点検者は、ICT端末1のカメラ機能を起動し、写真サムネイル63e等に表示された画像を参照しながら、実際の点検場所を特定し、同じように、その点検場所の現在の映像を、撮像部23にて撮影して新たな写真を取得する。
【0080】
すなわち、点検者は、写真サムネイル63e等に表示された画像を参照しながら、実際の点検場所を特定すると、その点検場所に撮像部23のレンズを向け、撮影ボタン63fをタップする。
【0081】
なお、指定事項内容63bに基づいた点検対象構造物の写真は、その撮影された現在の映像により更新される。
【0082】
すなわち、ステップ107eにおいて、点検者は、カメラロールボタン63gをタップして、カメラロールを起動し、カメラロールで選択した画像を、現在選択中の撮影画像と差し替える。
【0083】
なお、ICT端末1を適切な撮影位置に移動することが困難である等のICT端末1の撮像部23のカメラ機能では不十分な場合、ICT端末1をインターネット接続し、例えば、航空写真等の外部写真インポート機能を設けるようにしても良い。
【0084】
次に、ステップ107fにおいて、図8Aに示す指摘事項一覧画面63における点検中画像メニューのボタン63hをタップすると、図8Cに示すようなメニュー画面65が表示され、そのメニュー画面65における点検終了のボタン65aをタップすると、現在選択されている点検における点検データを保存し、ICT端末1における点検を終了する。
【0085】
なお、ICT端末1における点検を終了すると、点検作業表示がリセットされ、次の被構造物の損傷記録作業に移るために、映像表示入力部13上には、点検一覧画面が表示される。
【0086】
次に、図4のフローチャートに戻り、ステップ109において、点検者は、ICT端末1において、上記ステップ107において行われた点検作業に基づいて、上記ステップ107において点検した被構造物の損傷記録作業を行う。
【0087】
ここでは、この被構造物の損傷記録作業において、被構造物の選択や被構造物の損傷としての変位を音声入力で行うようになっている。
【0088】
図10は、図4に示したステップ109のさらに詳細な損傷記録動作のフローチャートである。図10を参照して、図4に示したステップ109のさらに詳細な損傷記録動作について説明する。
【0089】
すなわち、点検者は、例えば、図11Aに示す指摘事項詳細画面65に基づいて、以下のような損傷記録作業をおこなう。
【0090】
なお、この実施形態では、点検者がICT端末1において、上述した点検業務で発見した損傷を音声入力で記録するための音声入力アシスト機能を用いる。
【0091】
図10のステップ109aにおいて、まず、点検者は、図11Aに示す指摘事項詳細画面65におけるマイク入力のアイコン65aをタップして、マイク入力を可能にする。
【0092】
すなわち、点検者がマイク入力のアイコン65aをタップすることにより、ICT端末1の制御信号処理部11は、音声入力部22を起動させる。
【0093】
そして、ステップ109bにおいて、点検者よりの音声入力を可能となると、点検者は、音声入力部22より音声にて構造物の選択を行う。以下、この実施例では、構造物を橋梁として説明する。
【0094】
すなわち、点検者は、図11Aに示す指摘事項詳細画面65における、構造物の選択65dを行う。
【0095】
この構造物の選択は、点検者がマイク入力のアイコン65aをタップすることにより、音声入力モードとなり、音声入力により、その音声入力の文言から音声データテーブルの読みに紐付く音声読みデータ標記の構造物が選択される。
【0096】
図11Bに、音声入力処理で用いられる音声データテーブルの一例を示す。
【0097】
次に、ステップ109cにおいて、点検者は、上述した音声入力により、指摘事項詳細を指摘して行く。ここでは、指摘事項詳細画面は項目数が多いため、スクロール表示(1)の画面内に入らない項目を順次スクロールして表示しながら指摘する。
【0098】
すなわち、点検者は、図11Aに示すスクロール表示(1)の指摘事項詳細画面65における、構造物の選択65dを行った後、ランプ名の入力および選択65bを行い、続けて、構造物番号およびその方向および本線ランプおよび位置(1)、(2)65cの入力を行う。
【0099】
次に、ステップ109dにおいて、点検者は、指摘事項詳細画面のスクロールを行い、スクロール表示(2)における指摘事項詳細の指摘を続ける。
【0100】
すなわち、点検者は、スクロールにより表示される図11Cに示すスクロール表示(2)の指摘事項詳細画面67における、位置(3)および部位(1)67aの入力を行い、部位(1)のマイク入力を可能にするアイコン67bをタップして、部位(1)のマイク入力を可能にし、部位(2)および部位(3)および変状(1)67cの入力を行い、変状(1)のマイク入力を可能にするアイコン67dをタップして、変状(1)のマイク入力を可能にし、変状(2)および変状(3)67eの入力を行う。
【0101】
次に、ステップ109eにおいて、点検者は、指摘事項詳細画面のスクロールを行い、スクロール表示(3)における指摘事項詳細の指摘を続ける。
【0102】
すなわち、点検者は、スクロールにより表示される図12Aに示すスクロール表示(3)の指摘事項詳細画面69における、指定事項の数量・寸法およびクラック情報(1)およびクラック情報(2)およびクラック情報(3)および今回判定および今回判定の選択69aの入力を行い、点検年月日および初回発見年月日69bの表示を行い、高架下条件69cを入力する。
【0103】
次に、ステップ109fにおいて、点検者は、指摘事項詳細画面のスクロールを行い、スクロール表示(4)における指摘事項詳細の指摘をして、指摘処理を終了する。
【0104】
すなわち、点検者は、スクロールにより表示される図12Bに示すスクロール表示(4)の指摘事項詳細画面71における、指定事項の備考1および指定事項の画像(1)-(4)に紐づく撮影画像71aを表示し、その指摘事項を点検データ71bとして追加登録し、損傷記録作業を終了する。
【0105】
なお、上記損傷記録作業において、点検者が、新規に異常な損傷を発見した場合に、ICT端末1において、コンピュータ部3aへ緊急メール通報する緊急メール通報機能を設けても良い。この場合、この緊急メールに異常な損傷箇所の写真を添付するようにしても良いし、音声入力して、音声情報を添付するようにしても良い。
【0106】
そして、図4に戻り、ステップ111において、点検者は、上記ステップ107およびステップ109で得た損傷記録情報に基づいて報告書の作成を行う。
【0107】
ここでは、点検者は、ICT端末1において、上記ステップ107において行われた点検作業に基づいて、上記ステップ109において点検した被構造物の損傷記録作業を行うわけであるが、この損傷記録作業により入力された情報が、そのまま報告書の情報となる。
【0108】
すなわち、損傷記録作業による情報の入力形式が、報告書の形式となっているので、損傷記録作業を行うことにより、ICT端末1内に報告書の情報が形成されることとなる。
【0109】
従って、点検者は、ICT端末1を事業所等に持ち帰り、ICT端末1において、入力間違い等がないかの簡単なチェックを行い、ICT端末1で行った点検業務を点検情報処理部3のコンピュータ部3aにアップロードすることにより、報告書の作成が完結する。
【0110】
なお、コンピュータ部3aにアップロードされた点検業務の報告書は、データベース部3bあるいは顧客専用データベース部3cに登録される。
【0111】
本願発明による構造物点検処理システムの実施形態によれば、ICT端末1に、直接に点検対象構造物である点検対象の過去のデータをダウンロードし、点検者は、ICT端末1を持って点検対象構造物の現場へ行き、その点検対象のデータに基づいて、点検対象構造物の点検作業を行いながら、ICT端末1に損傷記録情報作業と同時に報告書の作成作業を行うので、以下のような点検者の従来の作業を大幅に簡略化することができる。従って、橋梁等の構造物を点検する際における点検者の労力と時間と大幅に軽減することができる。
【0112】
すなわち、従来では、点検者は、デジカメや対象構造物に関する過去の報告書等を持って現場点検を行い、デジカメにより点検対象構造物の損傷箇所の写真撮影をし、手書きにて、その損傷状態をノート等に記録し、点検者は、事務所等に戻り、損傷状況を点検データベース(DB)へ入力するため、点検システムを起動し、1件毎に損傷箇所の状況を点検データベース(DB)へ入力すると共に、デジカメにより撮影された損傷箇所の写真を読み込み、その損傷箇所の写真を、1枚毎に点検データベース(DB)に登録し、その損傷箇所の損傷ランク判定を、1件毎に行い入力し、上述したように入力した情報を報告書に纏めて印刷し、点検結果報告書として提出して報告を行うようになっていた。
【0113】
次に、本願発明による構造物点検処理システムの他の実施形態について説明する。
【0114】
この他の実施形態では、点検者を、その立場によって種類分けし、それぞれの立場により、行える点検作業の範囲を変えるようにしている。
【0115】
例えば、点検者を、その立場によって、管理者、責任者、一般等に種類分けし、それぞれの立場により、行える点検作業の範囲を変えるようにする。
【0116】
このようにすれば、その点検者に不必要な情報が開示されることがなくなり、より安全な構造物点検処理を実現できるようになる。
【符号の説明】
【0117】
1 ICT端末
3 点検情報処理部
3a コンピュータ部3a
3b データベース部3b
3c 顧客専用データベース部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B