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特開2022-105720双安定電気泳動流体を含む、切替可能な光コリメート層
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105720
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】双安定電気泳動流体を含む、切替可能な光コリメート層
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20220707BHJP
   G02F 1/1677 20190101ALI20220707BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220707BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1677
G02F1/1335
G02F1/1333
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086071
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2021504792の分割
【原出願日】2019-07-29
(31)【優先権主張番号】62/717,124
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516101190
【氏名又は名称】イー インク カリフォルニア, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(72)【発明者】
【氏名】シャオロン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】イー-ミン カン
(72)【発明者】
【氏名】ホンメイ ザン
(57)【要約】
【課題】双安定電気泳動流体を含む、切替可能な光コリメート層の提供。
【解決手段】切替可能な光コリメートフィルムは、コンピュータモニタまたは他のディスプレイデバイスのためのプライバシフィルタとして使用されることができる。本フィルムは、顔料粒子を有する、複数の伸長チャンバを備え、その位置は、印加される電場によって制御されることができる。伸長チャンバ全体を通した顔料粒子の分布は、チャンバの片側上のその濃度とは対照的に、フィルムを通して通過する光に対する視認角度を狭め、視認画像のプライバシをユーザに提供する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、参照することによってその全体として組み込まれる、2018年8月10日に出願された、米国仮出願第62/717,124号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、例えば、透明または半透明基板を通して通過する入射光の指向性を制御するために使用され得る、切替可能な光コリメートフィルムに関する。本能力を有する、受動フィルムは、しばらく前から市販されており、コンピュータモニタのための「プライバシフィルタ」としての使用のために広く販売されている。例えば、3M Corporation(St. Paul, MN)および第US8,213,082号等の種々の米国特許からの提案を参照されたい。典型的には、プライバシフィルタは、ユーザがディスプレイ上の画像を、ユーザによってのみ視認可能である、「プライバシコーン」に限定することを所望するとき、ビデオディスプレイの正面表面に適用される。プライバシフィルムは、典型的には、プラスチック基板からの異なる屈折率を有する、材料で裏込めされる、プラスチックのマイクロ加工されたチャネルを採用する。材料間の界面は、屈折表面を作成し、正しい方向に配向される光のみが、フィルタを通して通過するであろう一方、正しくない方向に配向される他の入射光は、逆反射および/または吸収されるであろう。本同一技術はまた、例えば、外部窓を通して通過する太陽光の指向性を修正するための窓処置としても使用されることができる。
【0003】
いくつかのグループが、プライバシと非プライバシ状態との間で切り替えられ得る、活性媒体を作製することを試みている。例えば、米国特許公開第2016/0179231号(第‘231号出願)は、ディスプレイデバイスと併用され得る、電気活性プライバシ層を説明する。第‘231号出願は、誘電ポリマー等の電気的に異方性の材料を使用することを教示する。電場が、印加されると、異方性材料は、場と整合され、光をコリメートし、ユーザのためのゾーンのプライバシを提供する。しかしながら、一定電気電位をプライバシ層に提供し、材料を整合されたまま保ち、プライバシ状態を維持することが必要である。プライバシデバイスは、プライバシ状態を維持するための一定電場を要求するため、デバイスは、モニタのために必要とされる典型的エネルギー以外の付加的エネルギーを消費する。バッテリ給電式デバイス、例えば、ラップトップコンピュータと併用されるとき、プライバシ層に給電するために要求される付加的エネルギーは、バッテリの動作時間を短縮させるであろう。PCT公開第WO2013/048846号もまた、同様に電場を用いて整合された位置に保持される、異方性粒子を採用する、交互切替可能なプライバシフィルムを説明する。第‘231号出願と同様に、第‘846号公開のデバイスもまた、プライバシ状態に供給されるために、一定エネルギーを要求する。
【0004】
異方性粒子の整合とは対照的に、チャネル内の遮断粒子の移動に依拠する、他の能動的切替プライバシデバイスも、説明されている。例えば、米国特許公開第2016/0011441号(第‘441号出願)は、プライバシ層の長さに延設されるマイクロ構造化されたリブ内に配置される、電気的に切替可能なエレクトロクロミック材料を説明する。第‘441号出願では、エレクトロクロミック材料の吸収スペクトルが、電気電流がエレクトロクロミック材料に供給されると、変化される。実際の切替プロセスは、かなりの量のエネルギー(約5分のDC電流)を要求するが、第‘441号出願のプライバシ層は、いったん変換が完了すると、しばらくの間、その状態を維持することが可能である。別の代替が、米国特許公開第2017/0097554号に説明されており、それによると、長い光制御チャネルが、透明伝導性フィルム間に形成され、チャネルは、透過分散剤と、光遮蔽粒子とを含む、電気泳動部材で充填される。電気泳動部材は、3つの成形電極のセットを使用して、空気間隙内の光遮蔽粒子の分散を制御することによって、狭視認野モードと広視認野モードとの間でトグル切替されることができる。成形電極の製造は、非常に多くの近接して離間された個々にアドレス指定可能な電極を作成する必要性のため、技術的に困難(かつ高価)であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,213,082号公報
【特許文献2】米国特許公開第2016/0179231号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要約)
例えば、異方性粒子整合を使用した切替可能なプライバシフィルタの可用性にもかかわらず、依然として、電力を大量消費しない、安価なプライバシフィルムの必要性が存在する。故に、本発明は、光散乱顔料を含む、双安定電気泳動流体の複数の伸長チャンバを含む、光コリメートフィルムを説明する。伸長チャンバの好適な配列を用いることで、フィルムは、光がフィルムを通して通過するための視認角度の2x(またはそれを上回る)狭化を提供することができる。重要なこととして、光コリメートフィルムは、双安定電気泳動流体を含む場合、光コリメートフィルムは、長時間周期にわたって、広または狭状態において安定し、一方の状態から他方の状態に変化するためだけにエネルギーを要求する。加えて、双安定電気泳動流体は、複数の伸長チャンバにパーティション化されるため、電気泳動材料は、同一光コリメートフィルムが異なる配向に適用されるとき、重力に対して、沈降をあまり受けにくい。加えて、双安定電気泳動流体が多くの伸長チャンバにパーティション化されるとき、広状態と狭状態との間の遷移速度が、改良され、全体的効果が、デバイスを横断してより一貫する。
【0007】
さらに、光コリメートフィルムは、複数の小チャンバを含むため、大量の電気泳動流体を損失せずに、加工後、フィルムを所望の形状/サイズに切断することが容易である。これは、同一機器が、大および小面積光コリメートフィルムの両方を作成するために使用されることを可能にする。例えば、光コリメートフィルムの1平方メートルの裁断シートまたは光コリメートフィルムのロールが、電気泳動流体の有意な損失を伴わずに、望ましいサイズのチップに切断されることができる。いくつかのチャンバは、切断プロセスの間に開放されるであろうが、各チャンバは、少量の流体のみを保持し、したがって、全体的損失は、小さい。ある場合には、数百枚の小シート(例えば、携帯電話のため)が、単一裁断シートまたはロールから切断されることができる。いくつかの実施形態では、伸長チャンバは、シートの切断が電気泳動流体の損失をもたらさないように、所定のパターンで加工されることができる。
【0008】
したがって、一側面では、本発明は、第1の光透過電極層と、複数の伸長チャンバを備える、少なくとも20μmの厚さを有する、コリメート層と、第2の光透過電極層とを含み、第1および第2の光透過層は、コリメート層の両側上に配置される、切替可能な光コリメートフィルムを含む。各伸長チャンバは、開口部を有し、顔料粒子を備える、双安定電気泳動流体が、各伸長チャンバ内に配置される。伸長チャンバは、伸長チャンバの開口部に跨架することによってその中の双安定電気泳動流体をシールする、シール層でシールされる。切替可能な光コリメートフィルムは、典型的には、500μm未満の厚さを有し、伸長チャンバの高さは、コリメート層の厚さ以下である。典型的には、伸長チャンバは、5μm~150μmの幅および200μm~5mmの長さである。例えば、伸長チャンバは、5μm~50μmの幅および50μm~5mmの長さであることができる。
【0009】
切替可能な光コリメートフィルムは、典型的には、ポリマーから作製され、例えば、ポリマーは、アクリレートモノマー、ウレタンモノマー、スチレンモノマー、エポキシドモノマー、シランモノマー、チオ-エンモノマー、チオ-インモノマー、またはビニルエーテルモノマーから作製される。第1または第2の光透過電極層は、酸化インジウムスズから作製されてもよい。
【0010】
双安定電気泳動流体は、典型的には、非極性溶媒中に、ポリマー官能化顔料粒子と、遊離ポリマーとを含む。多くの場合、顔料は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリナフタレン、またはポリジメチルシロキサンを用いて官能化される。遊離ポリマーは、ポリイソブチレン、またはエチレン、プロピレン、またはスチレンモノマーを含む、コポリマーを含んでもよい。シール層は、セルロースまたはゼラチン等の自然発生水溶性ポリマー、またはポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ(ビニル)酢酸、ポリ(ビニル)ピロリデン、ポリウレタン、またはそのコポリマー等の合成ポリマー等の水溶性ポリマーまたは水分散性ポリマーを含んでもよい。
【0011】
ある実施形態では、伸長チャンバは、コリメート層が上方から視認されると、行および列に配列され、伸長チャンバのより長い寸法は、行に沿って延設され、行は、伸長チャンバの幅の少なくとも3倍相互から分離される。多くの場合、伸長チャンバは、コリメート層が上方から視認されると、行および列に配列され、同一行内の隣接する伸長チャンバは、30μm未満の間隙によって分離される。いくつかの実施形態では、第1の行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙は、第2の行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙から水平にオフセットされる。いくつかの実施形態では、伸長チャンバの対称性は、伸長チャンバの長さ、伸長チャンバの幅、伸長チャンバのピッチ、または伸長チャンバ間の間隙の幅または場所を改変することによって途絶される。
【0012】
別の側面では、本発明は、光源と、切替可能な光コリメートフィルムと、薄フィルムトランジスタのアクティブマトリクスと、液晶層と、カラーフィルタアレイとを有する、ディスプレイを含む。切替可能な光コリメートフィルムは、第1の光透過電極層と、複数の伸長チャンバを備える、少なくとも20μmの厚さを有する、コリメート層と、第2の光透過電極層とを含み、第1および第2の光透過層は、コリメート層の両側上に配置される。双安定電気泳動流体を保持する、伸長チャンバは、顔料粒子を備え、伸長チャンバは、伸長チャンバの開口部に跨架する、シール層でシールされる。
【0013】
いくつかの実施形態では、光コリメートフィルムまたはディスプレイは、加えて、電圧インパルスを第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間に提供するための電圧源およびコントローラを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、光源と切替可能な光コリメートフィルムとの間に配置される、プリズムフィルムを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、プリズムフィルムと光源との間の拡散層を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、タッチスクリーン層を含む。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
切替可能な光コリメートフィルムであって、
第1の光透過電極層と、
コリメート層であって、前記コリメート層は、少なくとも20μmの厚さを有し、複数の伸長チャンバを備え、各伸長チャンバは、開口部を有する、コリメート層と、
各伸長チャンバ内に配置される顔料粒子を備える双安定電気泳動流体と、
シール層であって、前記シール層は、前記伸長チャンバの開口部に跨架することによって、前記双安定電気泳動流体を前記複数の伸長チャンバのうちの少なくとも1つ内にシールする、シール層と、
第2の光透過電極層であって、前記第1および第2の光透過層は、前記コリメート層の両側上に配置される、第2の光透過電極層と
を備える、切替可能な光コリメートフィルム。
(項目2)
前記コリメート層は、500μm未満の厚さを有する、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目3)
前記伸長チャンバの高さは、前記コリメート層の厚さ以下であり、前記伸長チャンバの幅は、5μm~150μmであり、前記チャンバの長さは、200μm~5mmである、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目4)
前記コリメート層は、アクリレートモノマー、ウレタンモノマー、スチレンモノマー、エポキシドモノマー、シランモノマー、チオ-エンモノマー、チオ-インモノマー、またはビニルエーテルモノマーを含む、ポリマーを含む、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目5)
前記コリメート層は、ポリアクリレートを含む、項目4に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目6)
前記第1または第2の光透過電極層は、酸化インジウムスズを含む、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目7)
前記双安定電気泳動流体は、非極性溶媒中のポリマー官能化顔料粒子および遊離ポリマーを含む、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目8)
前記顔料は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリナフタレン、またはポリジメチルシロキサンを用いて官能化される、項目7に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目9)
前記遊離ポリマーは、ポリイソブチレン、または、エチレン、プロピレン、またはスチレンモノマーを含むコポリマーを含む、項目7に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目10)
前記シール層は、セルロース、ゼラチン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ(ビニル)酢酸、ポリ(ビニル)ピロリデン、ポリウレタン、または前述のポリマーのいずれかのコポリマーを含む、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目11)
前記伸長チャンバは、前記コリメート層が上方から視認されたとき、行および列に配列されており、前記伸長チャンバのより長い寸法は、行に沿って延設されており、前記行は、前記伸長チャンバの幅の少なくとも3倍相互から分離されている、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目12)
前記伸長チャンバは、前記コリメート層が上方から視認されたとき、行および列に配列されており、同一行内の隣接する伸長チャンバは、30μm未満の間隙によって分離されている、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目13)
伸長チャンバの第1および第2の行は、隣接する伸長チャンバ間の間隙を含み、前記第1の行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙は、前記第2の行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙から水平にオフセットされる、項目12に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目14)
光学的にクリアな接着剤層をさらに備える、項目1に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目15)
前記光学的にクリアな接着剤層に隣接する剥離層をさらに備える、項目14に記載の切替可能な光コリメートフィルム。
(項目16)
項目1-14のいずれかに記載の切替可能な光コリメートフィルムを備える、ディスプレイ。
(項目17)
ガラス基板と、項目1-14のいずれかに記載の切替可能な光コリメートフィルムとを備える、窓またはドア。
(項目18)
ディスプレイであって、
光源と、
切替可能な光コリメートフィルムであって、
第1の光透過電極層と、
コリメート層であって、前記コリメート層は、少なくとも20μmの厚さを有し、複数の伸長チャンバを備え、各伸長チャンバは、開口部を有する、コリメート層と、
各伸長チャンバ内に配置される顔料粒子を備える双安定電気泳動流体と、
シール層であって、前記シール層は、前記開口部に跨架することによって、伸長チャンバ内に前記双安定電気泳動流体をシールする、シール層と、
第2の光透過電極層であって、前記第1および第2の光透過層は、前記コリメート層の両側上に配置される、第2の光透過電極層と
を備える、切替可能な光コリメートフィルムと、
薄フィルムトランジスタのアクティブマトリクスと、
液晶層と、
カラーフィルタアレイと
を備える、ディスプレイ。
(項目19)
電圧インパルスを前記第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間に提供するための電圧源およびコントローラをさらに備える、項目18に記載のディスプレイ。
(項目20)
前記光源と前記切替可能な光コリメートフィルムとの間に配置されるプリズムフィルムをさらに備える、項目18に記載のディスプレイ。
(項目21)
前記プリズムフィルムと前記光源との間の拡散層をさらに備える、項目20に記載のディスプレイ。
(項目22)
タッチスクリーン層をさらに備える、項目20に記載のディスプレイ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分散される、切替可能な光コリメートフィルムの第1の状態を図示する。電気泳動粒子は、本状態では、電力の印加を伴わずに安定する。
【0015】
図1B図1Bは、電気泳動粒子が電気電位の印加を用いて第1の光透過電極に向かって駆動される、切替可能な光コリメートフィルムの第2の状態を図示する。
【0016】
図1C図1Cは、電気泳動粒子が第1の光透過電極に近接して収集される、切替可能な光コリメートフィルムの第3の状態を図示する。粒子は、本位置では、電気電位が除去された後も安定する。
【0017】
図1D図1Dは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分散される、状態への帰還を図示する。
【0018】
図1E図1Eは、電気泳動粒子が図1Bの反対極性を有する電気電位の印加を用いて第2の光透過電極に向かって駆動される、切替可能な光コリメートフィルムの第4の状態を図示する。
【0019】
図1F図1Fは、電気泳動粒子が第2の光透過電極に近接して収集される、切替可能な光コリメートフィルムの第5の状態を図示する。粒子は、本位置では、電気電位が除去された後も安定する。
【0020】
図2A図2Aは、電気泳動粒子がコリメート層のチャンバ全体を通して分散されるとき、源から放出される光の光線が角度θに限定されることを図示する。
【0021】
図2B図2Bは、電気泳動粒子が光源に最も近い光透過電極に対して収集されるとき、源から放出される光の光線が角度θにある(θ>>θ)ことを図示する。
【0022】
図2C図2Cは、電気泳動粒子が光源から最も遠い光透過電極に対して収集されるとき、源から放出される光の光線が角度θにある(θ>>θ)ことを図示する。光コリメートフィルムの発光側における顔料粒子の存在に起因して、最小限の光損失が存在することが観察される。
【0023】
図3図3は、切替可能な光コリメートフィルムを含む、液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。層は、正確な縮尺で描かれていない。
【0024】
図4図4は、切替可能な光コリメートフィルムと、タッチスクリーンとを含む、液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。層は、正確な縮尺で描かれていない。
【0025】
図5図5は、切替可能な光コリメートフィルムと、プリズムフィルムとを含む、液晶ディスプレイアセンブリの動作層を図示する。層は、正確な縮尺で描かれていない。
【0026】
図6図6は、下側基板上に配置される、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態を図示する。切替可能な光コリメートフィルムは、加えて、縁シールを含む。分解図は、双安定電気泳動流体で充填される伸長チャンバ上のシール層を詳述する。
【0027】
図7図7は、光学的にクリアな接着剤および剥離シートを片側上に有する、切替可能な光コリメートフィルムを図示する。そのようなフィルムは、例えば、コリメート特徴をガラス窓等の既存の表面上に提供するために使用されてもよい。
【0028】
図8図8は、複数の伸長チャンバを伴う、コリメート層を形成し、続いて、伸長チャンバを双安定電気泳動流体で充填し、充填された伸長チャンバをシールするために使用され得る、ロールツーロールプロセスを図示する。
【0029】
図9図9Aおよび9Bは、簡略化されたエンボス加工プロセスを図示する。
【0030】
図10図10は、エンボス加工ツールを形成し、本発明のコリメート層を作成するための方法を詳述する。
【0031】
図11図11は、エンボス加工ツールにおいて使用されるためのシムを形成するための方法を詳述する。
【0032】
図12図12は、エンボス加工ツールにおいて使用されるためのシムを形成するための代替方法を詳述する。
【0033】
図13図13は、伸長チャンバが行-列フォーマットに配列される、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である。
【0034】
図14図14は、伸長チャンバが行-列フォーマットに配列される、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である。
【0035】
図15図15は、同一行内の伸長チャンバ間の間隙の場所が連続行間である方向に進み、それによって、列対称性を破壊する、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である
【0036】
図16図16は、同一行内の伸長チャンバの間隙のサイズが、連続行間で異なり、それによって、列対称性を破壊する、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である
【0037】
図17図17は、連続行間のピッチが、変動され、それによって、行対称性を破壊する、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である。
【0038】
図18図18は、チャンバの長さおよび/または幅が、連続行間で変動され、それによって、行および列対称性を破壊する、切替可能な光コリメートフィルムの実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(詳細な説明)
上記に示されるように、本発明は、双安定電気泳動流体の伸長チャンバを含む、光コリメートフィルムを提供する。そのようなフィルムは、それ自体が、透過基板に入射する光の量および/または方向を制御するために使用されることができる。そのようなフィルムはまた、LCDディスプレイ等のデバイスの中に統合され、LCDディスプレイを視認しているユーザのために、プライバシのゾーン等の有用な特徴を提供することができる。光コリメートフィルムは、切替可能であるため、ユーザが、要求に応じて、放出される光のコリメーションを改変することを可能にする。加えて、媒体は、双安定であるため、コリメーション状態は、付加的エネルギーを光コリメートフィルムに提供する必要なく、しばらくの間、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、数日、例えば、数ヶ月、安定するであろう。
【0040】
本発明は、ロールツーロール処理を使用して、切替可能な光コリメートフィルムのコスト効果的加工を可能にする。故に、LCDディスプレイの加工等の他の組立プロセスの間、デバイスの中に組み込まれ得る、切替可能な光コリメートフィルムの大判シートを生産するように実行可能である。そのようなフィルムは、補助的光学的にクリアな接着剤層と、剥離シートとを含み、それによって、光コリメートフィルムが仕上げられた製品として出荷および流通されることを可能にし得る。光コリメートフィルムはまた、例えば、会議室の窓、建物内の外窓、およびサンルーフおよび天窓のためのアフターマーケットの光制御のために使用されてもよい。
【0041】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置される、少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの1つは、電極層である)とを備える。大部分のそのようなディスプレイでは、両層が、電極層であって、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、伸長行電極に、他方は、行電極に対して直角に延設される、伸長列電極にパターン化されてもよく、ピクセルは、行および列電極の交差によって、画定される。代替として、かつより一般的には、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、そのそれぞれが、ディスプレイの1ピクセルを画定する。いくつかの実施形態では、2つの光透過電極層が、使用され、それによって、光が、電気泳動ディスプレイを通して通過することを可能にする。
【0042】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、また、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0043】
切替可能な光コリメートフィルム(10)の一般的機能が、図1A-1Fに示される。フィルム(10)は、第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)を含む。典型的には、各電極層は、それぞれ、第1の基板(16)および第2の基板(18)と関連付けられる。第1の(16)および第2の(18)基板は、光透過ポリマー(例えば、フィルムまたは樹脂)またはガラスであってもよい。フィルム(10)が、ロールツーロール処理を用いて生産される事例では、第1の(16)および第2の(18)基板は、可撓性である。光透過電極および基板はまた、伝導性材料(例えば、グラフェン、ナノチューブ、金属薄片、伝導性金属酸化物粒子、または金属ファイバ)でドープされ、および/または伝導性モノマーまたはポリマーでドープされ、および/または塩等のイオン材料でドープされた、単一層、例えば、PET-ITOフィルム、PEDOT、または別の光透過ポリマー中に統合されてもよい。
【0044】
光コリメート層(21)は、複数の伸長チャンバ(22)を生産し、電気泳動粒子(26)を含む、双安定電気泳動流体(24)を保持するように処理されている、光透過ポリマー(20)を備える。ある実施形態では、双安定電気泳動流体(24)は、炭化水素溶媒を含み、電気泳動粒子(26)は、カーボンブラック(随意に、下記に議論されるように官能化される)を備える。光コリメート層は、少なくとも20μm厚(すなわち、第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間の距離)である。光コリメート層は、20μmより厚い、例えば、30μmより厚い、例えば、50μmより厚い、例えば、70μmより厚い、例えば、100μmより厚い、例えば、150μmより厚い、例えば、200μmより厚くあることができる。例えば、熱可塑性材料をエンボス加工することによる、伸長チャンバの加工が、下記により詳細に説明される。伸長チャンバ(22)を充填するプロセスの後または間、伸長チャンバ(22)は、例えば、双安定電気泳動流体(24)と不親和性である、親水性ポリマーであり得る、シール層(28)でシールされる。
【0045】
フィルム(10)のコリメート性質を変化させるために、第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)は、電気電位の源(30)に結合されてもよい。源は、例えば、バッテリ、電力供給源、光電池、またはある他の電気電位源であってもよい。源は、単純D.C.電位を提供してもよい、または時変電圧、例えば、下記に説明されるように、「波形」を提供するように構成されてもよい。第1の光透過電極層(12)および第2の光透過電極層(14)は、電極、ワイヤ、またはトレース(31)を介して、源(30)に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、トレース(31)は、例えば、トランジスタスイッチであり得る、スイッチ(32)で中断されてもよい。第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間の電気電位は、典型的には、少なくとも1ボルト、例えば、少なくとも2ボルト、例えば、少なくとも5ボルト、例えば、少なくとも10のボルト、例えば、少なくとも15ボルト、例えば、少なくとも18ボルト、例えば、少なくとも25ボルト、例えば、少なくとも30ボルト、例えば、少なくとも30ボルト、例えば、少なくとも50ボルトである。
【0046】
双安定電気泳動流体(24)は、双安定であるため、電気泳動粒子(26)は、電場の印加を伴わずに、その分布を維持するであろう。本特徴は、本明細書に列挙されたE Ink Corporation特許に詳しく説明されているが、主に、電気泳動粒子(26)が枯渇凝集を介して安定化されるように、双安定電気泳動流体(24)中に分散型ポリマー(例えば、ポリイソブチレンまたはポリメタクリル酸ラウリル)の具体的混合物を有することから生じる。故に、図1Aに図示される、第1の状態では、電気泳動粒子(26)は、電気電位が第1の光透過電極層(12)と第2の光透過電極層(14)との間に印加されていないにもかかわらず、分散された状態において安定する。例えば、図1Bに図示されるように、好適な電気電位の印加を用いることで、電気泳動粒子(26)は、好適にバイアスされた電極層に向かって移動し、光透過勾配を伸長チャンバ(22)の高さに沿って作成する。いったん電気泳動粒子(26)が、所望の電極層に駆動されると、源(30)は、電極層から結合解除され、電気電位をオフにすることができる。しかしながら、双安定電気泳動流体(24)の双安定性のため、電気泳動粒子(26)は、図1Cに示されるように、長時間周期、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、数日、第2の状態のままであるであろう。
【0047】
光コリメートフィルム(10)の状態は、図1Dを達成するために、収集された電気泳動粒子(26)を逆極性電圧を伴う電極(図示せず)から離れるように駆動することによって、逆転されることができる。初期状態(1Aと同等)に戻ることに応じて、(概ね)コリメートされた光のみが、下記により詳細に説明されるように、光コリメートフィルムを通過することが可能であろう。図1Dの状態もまた、安定する。電気泳動粒子(26)は、図1Eに示されるように、図1Bから、逆極性電圧の印加を用いて、本分散状態を越えて、第2の光透過電極(14)に向かって駆動されることができる。その結果、電気泳動粒子(26)は、第2の光透過電極(14)に隣接して集中し、これはまた、下記に議論されるように、広視認角度をもたらす。図1Fに示される広角透過状態もまた、双安定である、すなわち、電力が、本状態を維持するために要求されない。図1Cおよび図1Fの状態は両方とも、広角透過をもたらすため、全体的DC平衡を駆動電子機器上に維持しながら、図1A、1C、1D、および1Fに示される状態間でトグル切替することが可能である。駆動電子機器をDC平衡することは、電荷蓄積を低減させ、システム構成要素の寿命を延長させる。
【0048】
電気泳動媒体の内相は、荷電顔料粒子を懸濁流体中に含む。本発明の可変透過率媒体において使用される流体は、典型的には、低誘電定数(好ましくは、10未満、望ましくは、3未満)であろう。特に好ましい溶媒は、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、およびIsopar(R)(Exxon Mobil)またはIsane(R)(Total)等の石油蒸留物、リモネン、例えば、l-リモネン等のテルペン、およびトルエン等の芳香族炭化水素を含む。特に、好ましい溶媒は、低誘電定数(2.3)と比較的に高屈折率(1.47)を組み合わせるため、リモネンである。内相の屈折率は、Cargille-Sacher Laboratories Inc.(Cedar Grove,
NJ)から利用可能なCargille(R)屈折率整合流体等の屈折率整合剤の添加を用いて修正されてもよい。本発明のカプセル化された媒体では、粒子の分散の屈折率が、カプセル化材料のものと可能な限り近似して整合し、ヘイズを低減させることが好ましい。本屈折率整合は、溶媒の屈折率が封止剤のものと近似するとき、最良に達成される(一般に利用可能なポリマー封止剤を採用するとき)。大部分の事例では、550nmにおいて1.51~1.57、好ましくは、550nmにおいて約1.54の屈折率を伴う内相を有することが有益である。
【0049】
荷電顔料粒子は、種々の色および組成であってもよい。加えて、荷電顔料粒子は、表面ポリマーで官能化され、状態安定性を改良してもよい。そのような顔料は、米国特許公開第2016/0085132号(参照することによってその全体として組み込まれる)に説明される。例えば、荷電粒子が、白色である場合、それらは、TiO、ZrO、ZnO、Al、Sb、BaSO、PbSOまたは同等物等の無機顔料から形成されてもよい。それらはまた、高屈折率(>1.5)を伴い、あるサイズ(>100nm)であって、白色を呈する、ポリマー粒子、または所望の屈折率を有するようにエンジニアリングされた複合粒子であってもよい。黒色荷電粒子は、CI顔料黒色26または28または同等物(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)またはカーボンブラックから形成されてもよい。他の色(非白色および非黒色)は、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20等の有機顔料から形成されてもよい。他の実施例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD;Sun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。色粒子はまた、CI顔料青色28、CI顔料緑色50、CI顔料黄色227、および同等物等の無機顔料から形成されることができる。荷電粒子の表面は、米国特許第6,822,782号、第7,002,728号、第9,366,935号、および第9,372,380号、および米国公開第2014-0011913号(その全ての内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、要求される粒子の電荷極性および電荷レベルに基づいて、公知の技法によって修正されてもよい。
【0050】
粒子は、本来の電荷を呈し得る、または電界制御剤を使用して明示的に荷電され得る、または溶媒または溶媒混合物中に懸濁されると電荷を獲得し得る。好適な電界制御剤は、当技術分野において周知である。それらは、性質上、ポリマー性または非ポリマー性であり得る、またはイオン性または非イオン性であり得る。電界制御剤の実施例は、限定ではないが、Solsperse 17000(活性ポリマー分散剤)、Solsperse 9000(活性ポリマー分散剤)、OLOA 11000(スクシンイミド無灰分散剤)、Unithox 750(エトキシレート)、Span 85(ソルビタントリオレエート)、Petronate L(スルホン酸ナトリウム)、Alcolec LV30(大豆レシチン)、Petrostep B100(石油スルホン酸塩)またはB70(硫酸バリウム)、Aerosol OT、ポリイソブチレン誘導体またはポリ(エチレン-co-ブチレン)誘導体、および同等物を含み得る。懸濁流体および荷電顔料粒子に加え、内相は、安定化剤、界面活性剤、および電界制御剤を含んでもよい。安定化材料は、溶媒中に分散されると、荷電顔料粒子上に吸着され得る。本安定化材料は、粒子がその分散状態にあるとき、可変透過率媒体が実質的に非透過性であるように、粒子を相互から分離させたまま保つ。当技術分野において公知のように、荷電粒子(典型的には、上記に説明されるように、カーボンブラック)を低誘電定数の溶媒中に分散させることは、界面活性剤の使用によって補助されてもよい。そのような界面活性剤は、典型的には、極性「ヘッドグループ」と、溶媒と相溶性がある、またはその中に可溶性である、非極性「テールグループ」とを含む。本発明では、非極性テールグループは、飽和または不飽和炭化水素部分、または、例えば、ポリ(ジアルキルシロキサン)等の炭化水素溶媒中に可溶性の別の基であることが好ましい。極性基は、アンモニウム、スルホン酸塩またはホスホン酸塩、または酸性または塩基性基等のイオン性材料を含む、任意の極性有機官能性であってもよい。特に、好ましいヘッドグループは、カルボン酸またはカルボキシレート基である。本発明と併用するために好適な安定化剤は、ポリイソブチレンおよびポリスチレンを含む。いくつかの実施形態では、ポリイソブチレンスクシンイミドおよび/またはソルビタントリオレエートおよび/または2-ヘキサデカン酸等の分散剤が、添加される。
【0051】
本発明の電気泳動媒体は、典型的には、電荷制御剤(CCA)を含有し、電荷供与剤を含有してもよい。これらの電気泳動媒体成分は、典型的には、低分子量界面活性剤、ポリマー剤、または1つ以上の成分の混成物を備え、電気泳動粒子上の電荷を安定化させる、または別様にその符号および/または大きさを修正する役割を果たす。CCAは、典型的には、以降、ヘッドグループと称される、イオンまたは他の極性基を備える、分子である。正または負のイオンヘッドグループのうちの少なくとも1つは、好ましくは、以降、テールグループと称される、非極性鎖(典型的には、炭化水素鎖)に付着される。CCAは、逆ミセルを内相内に形成し、電気泳動流体として典型的に使用される、非常に非極性の流体中の導電性につながる、荷電逆ミセルの小集団であると考えられる。
【0052】
逆ミセルは、CCA分子の非極性テールグループによって囲繞される、サイズが1nmから数十ナノメートルまで変動し得る、(かつ球状、円筒形、または他の幾何学形状を有し得る)、高度に極性のコア(典型的には、水を含有する)を備える。逆ミセルは、特に、油/水/界面活性剤混合物等の三元混合物中において、広範に研究されている。実施例は、例えば、Fayer et al., J. Chem. Phys., 131,14704(2009年)に説明される、イソオクタン/水/AOT混合物である。電気泳動媒体では、3つの相が、典型的には、区別され得る、すなわち、表面を有する、固体粒子、極小液滴(逆ミセル)の形態において分される、高度に極性の相、および流体を備える、連続相である。荷電粒子および荷電逆ミセルは両方とも、電場の印加に応じて、流体を通して移動し、したがって、流体(典型的には、それ自体はほぼゼロに等しい導電性を有する)を通した電気伝導のための2つの平行経路が存在し得る。
【0053】
CCAの極性コアは、表面上への吸着によって、表面上の電荷に影響を及ぼすと考えられる。電気泳動ディスプレイでは、そのような吸着は、電気泳動粒子の表面またはマイクロカプセル(またはマイクロセルの壁等の他の固相)の内壁上で生じ、逆ミセルに類似する構造を形成し得、これらの構造は、以降、半ミセルと称される。イオン対のうちの一方のイオンが、他方より表面に強く付着されると(例えば、共有結合によって)、半ミセルと非結合逆ミセルとの間のイオン交換は、より強く結合されたイオンが粒子と関連付けられたままであって、あまり強く結合されないイオンが遊離逆ミセルのコアの中に組み込まれた状態になる、電荷分離につながり得る。
【0054】
CCAのヘッドグループを形成する、イオン材料は、電気泳動粒子(または他の)表面においてイオン対形成を誘発し得ることもまた、可能性として考えられる。したがって、CCAは、2つの基本機能、すなわち、表面における電荷発生および表面からの電荷-分離を実施し得る。電荷発生は、CCA分子内に存在する、または別様に逆ミセルコアまたは流体の中に組み込まれる、いくつかの部分と粒子表面との間の酸-塩基またはイオン交換反応から生じ得る。したがって、有用なCCA材料は、そのような反応または当技術分野において公知のような任意の他の荷電反応に関わることが可能なものである。CCA分子は、加えて、粒子が光で照射されると電気泳動粒子によって生産される、光励起子の受容体として作用し得る。
【0055】
本発明の媒体中で有用な電荷制御剤の非限定的クラスは、有機硫酸塩またはスルホン酸塩、金属石鹸、ブロックまたはコームコポリマー、有機アミド、有機双性イオン、および有機リン酸およびホスホン酸を含む。有用な有機硫酸塩およびスルホン酸塩は、限定ではないが、ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、石油スルホン酸カルシウム、中性または塩基性ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム、中性または塩基性ジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、およびラウリル硫酸アンモニウムを含む。有用な金属石鹸は、限定ではないが、ナフテン酸、オクタン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびミリスチン酸等のカルボン酸の、塩基性または中性バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、コバルト、カルシウム、銅、マンガン、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、および鉄の塩、および同等物を含む。有用なブロックまたはコームコポリマーは、限定ではないが、(A)p-トルエンスルホン酸メチルで4級化された2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレートのポリマーと(B)ポリ(2-エチルヘキシルメタクリレート)のABジブロックコポリマー、およびポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)の油溶性尾部を伴い、ポリ(メチルメタクリレート-メタクリル酸)の油溶性アンカ基上にペンダントした、約1800の分子量を有する、コームグラフトコポリマーを含む。有用な有機アミド/アミンは、限定ではないが、OLOA371または1200(Chevron Oronite Company LLC(Houston, Tex.)から利用可能)またはSolsperse17000(Lubrizol(Wickliffe, OH)から利用可能:Solsperseは、登録商標である)等のポリイソブチレンスクシンイミド、およびN-ビニルピロリデンポリマーを含む。有用な有機両性イオンは、限定ではないが、レシチンを含む。有用な有機リン酸およびホスホン酸は、限定ではないが、飽和および不飽和酸置換基でリン酸化されたモノ-およびジ-グリセリドのナトリウム塩を含む。CCAのための有用なテールグループは、200~10,000の範囲内の分子量のポリ(イソブチレン)等のオレフィンのポリマーを含む。ヘッドグループは、スルホン酸、リン酸、またはカルボン酸またはアミド、または代替として、第1級、第2級、第3級、または第4級アンモニウム基等のアミノ基であってもよい。
【0056】
本発明の媒体において使用される電荷補助剤は、下記にさらに詳細に説明されるように、電気泳動粒子表面上の電荷をバイアスし得る。そのような電荷補助剤は、ブレンステッドまたはルイス酸または塩基であり得る。
【0057】
粒子分散安定剤が、カプセルまたは他の壁または表面への粒子凝集または付着を防止するために添加されてもよい。電気泳動ディスプレイ中の流体として使用される典型的高抵抗率液体に関して、非水性界面活性剤が、使用されてもよい。これらは、限定ではないが、グリコールエーテル、アセチレングリコール、アルカノールアミド、ソルビトール誘導体、アルキルアミン、第4級アミン、イミダゾリン、酸化ジアルキル、およびスルホコハク酸塩を含む。
【0058】
米国特許第7,170,670号に説明されるように、電気泳動媒体の双安定性は、約20,000超の数平均分子量を有するポリマーを流体中に含むことによって改良されることができ、本ポリマーは、本質的に、電気泳動粒子上で非吸収性であって、ポリ(イソブチレン)は、本目的のための好ましいポリマーである。
【0059】
加えて、例えば、米国特許第6,693,620号に説明されるように、その表面上に不動化された電荷を伴う粒子は、反対電荷の電気二重層を囲繞流体中に構成する。CCAのイオンヘッドグループは、電気泳動粒子表面上の荷電基とイオン対合され、不動化されたまたは部分的に不動化された荷電種の層を形成し得る。本層の外側には、流体中にCCA分子を備える、荷電(逆)ミセルを備える、拡散層が存在する。従来のDC電気泳動では、印加される電場は、滑脱が、拡散層内で生じ、粒子が流体に対して移動するように、力を固定された表面電荷上に付与し、反対力を移動性対電荷上に付与する。滑動平面における電気電位は、ゼータ電位として知られる。
【0060】
結果として生じる光コリメートフィルム(10)は、図2A、2B、および2Cに示されるように、光(33)を狭化(コリメート)するために使用されることができる。図2Aに示される、第1の狭化状態では、電気泳動粒子(26)は、伸長チャンバ(22)全体を通して分散され、伸長チャンバ(22)間のピッチ(A)、各伸長チャンバ(22)の幅(W)、光コリメートフィルム(10)の高さ(H)、および光源(33)から出射側基板(図2Aの実施例では、基板(18))までの距離によって画定される、透過角度θをもたらす。図2Aから分かるように、角度θは、概ね、光線X-X’およびY-Y’によって画定され、これは、光が、源(33)から離れ、電気泳動粒子(26)が全体を通して分散された状態の伸長チャンバ(22)の上部および底部の両方を通り抜け得る、法線からの最大角度を画定する。
【0061】
上記の図1Cと同等の第1の広角状態では、電気泳動粒子(26)は、より近い基板(16)に駆動され、新しい透過角度θが、図2Bに示されるように、光線X-X’およびY-Y’のために確立される。新しい透過角度θは、図2Bに示されるように、θよりはるかに広い、すなわち、θ>>θとなるであろう。再び、透過角度θの有効狭化は、伸長チャンバ(22)間のピッチ(A)、各伸長チャンバ(22)の幅(W)、および光コリメートフィルム(10)の高さ(H)の関数であろう。
【0062】
上記の図1Fと同等の第2の広角状態では、電気泳動粒子(26)は、光源(33)から離れた基板(16)に駆動され、新しい透過角度θが、図2Cに示されるように、光線X-X’およびY-Y’のために確立される。新しい透過角度θは、図2Cに示されるように、θよりはるかに広い、すなわち、θ>>θとなるであろう。図2Bのように、透過角度θの有効狭化は、伸長チャンバ(22)間のピッチ(A)、各伸長チャンバ(22)の幅(W)、および光コリメートフィルム(10)の高さ(H)の関数となるであろう。さらに、陰影が、第2の基板(18)に隣接して蓄積された電気泳動粒子(26)によって投射され得ると考えられるであろうが、これは、観察されない。光コリメートフィルム(10)を通して十分な散乱光が存在し、本効果を相殺すると推測される。
【0063】
大部分の構成では、本発明の光コリメートフィルム(10)は、広透過角度(図2Bおよび2C)から狭透過角度(図2A)への遷移の際、有効視認面積における少なくとも2分の1の低減を提供するであろう(法線からの角度の関数としての50%パーセント未満の相対的透過によって定義される)ことが予期される。いくつかの実施形態では、視認面積における低減は、2分の1、例えば、3分の1、例えば、4分の1を下回るであろう。本機能性のため、光コリメートフィルム(10)は、単に、ガラス窓、例えば、オフィスの内窓に適用されるとき、有用であり得、それによって、ガラスの透過角度は、大幅に低減され、それによって、依然として、良好な量の光が窓を通して透過することを可能にしながら、オフィスの居住者のためのプライバシを増加させることができる。
【0064】
光コリメートフィルム(10)は、図3に示されるように、液晶ディスプレイ(LCD)スタックの中に組み込まれてもよい。図3は、例示であって、LCDスタックのためのいくつかの異なる構成が存在する。図3に示されるように、典型的には、1つ以上の発光ダイオード(LED)である、光(33)が、光ガイドプレート(34)と拡散器プレート(35)の組み合わせによる、活性層を含む、ディスプレイスタックを通して指向される。拡散器プレート(35)から離れる光は、視認者(図3の上部における眼)の方向に進行し、次に、上記に説明されるタイプの光コリメートフィルム(10)に遭遇する。図3に示される状態では、光コリメートフィルム(10)は、その光がより狭い透過角度(図2参照)内を進行するとき、光が活性層にのみ通過することを可能にするであろう。光コリメートフィルム(10)を通して通過する、光は、次に、第1の偏光フィルム(36)を通して、複数のピクセル電極(42)を含む、アクティブマトリクス薄フィルムトランジスタ(AM-TFT)アレイ(40)に進むであろう。AM-TFT(40)およびピクセル電極(42)を通して通過する、偏光された光は、次いで、液晶層(44)に遭遇し、それによって、光の偏光は、光が、第2の偏光フィルム(37)を通して透過される、または撥ね付けられるように、液晶によって操作されることができる。具体的には、液晶層(44)の光学状態は、LCDディスプレイの当技術分野において公知のように、ピクセル電極と正面電極(45)との間に電場を提供することによって改変される。光コリメートフィルム(10)、AM-TFT(40)、ピクセル電極(42)、液晶層(44)、および正面電極(45)を通して透過される、光は、次いで、カラーフィルタアレイ(46)を通して透過し、これは、下層ピクセル電極(42)と関連付けられるべき色のスペクトルのみを通過するであろう。最後に、正しい色および正しい偏光(液晶層によって決定される)である、ある量の光が、第2の偏光フィルム(37)を横断し、視認者によって視認されるであろう。光学接着剤(47)の種々の付加的層が、必要とされる場合、スタック内に含まれてもよい。スタックはまた、保護カバー層(49)を含んでもよく、これは、例えば、ガラスまたはプラスチックであってもよい。容量タッチセンサ式層(48)またはデジタイザ層(図示せず)等の付加的要素もまた、タッチスクリーン能力または書込能力等を達成するためにスタックに追加されてもよい。図4は、保護カバー層(49)および容量タッチセンサ式層(48)の含有を図示する。
【0065】
図3に図示される光コリメートフィルム(10)を含む、LCDスタックの正味効果は、独立して、LCDディスプレイ、例えば、コンピュータモニタ、スマートフォン、データ端末、または他のLCDディスプレイから発出する光の透過角度を制御することが可能であることである。さらに、切替媒体は、双安定であるため、デバイスは、事実上無限に、「広」または「狭」状態に留まることができる。高度な実施形態では、狭化の量は、伸長チャンバの視認側に向かって駆動される顔料の相対的量を制御することによって、調節されることができる。透過角度は、LCDの状態から完全に独立して調節されることができる。すなわち、プライバシモードと非プライバシモードとの間で切り替えるために、モニタの電源を切る必要はない。
【0066】
他の実施形態では、付加的プリズムフィルム(50)が、光コリメートフィルム(10)を通して通過するための正しい配向を伴って、光コリメートフィルム(10)に向かって指向される入射光の量を増加させるために、図5に示されるように、光学要素のスタックに追加されてもよい。プリズムフィルム(50)を組み込むことは、若干の角度依存性を有する、ディスプレイの強度をもたらすであろうが、しかしながら、ディスプレイスタックの全体的効率は、改良され、より少ない電力消費をもたらす。本特徴は、特に、例えば、ラップトップまたは電話等のモバイルデバイスにおいて望ましくあり得る。
【0067】
シール層(28)の分解図が、図6に示される。いくつかの実施形態では、シール層(28)は、双安定電気泳動流体(24)を保持するために、分解図に示されるように、伸長チャンバ(22)の上部部分をシールする。これは、伸長チャンバ(22)を双安定電気泳動流体(24)で過少充填し、次いで、ほぼ完全に伸長チャンバ(22)をシール調合物(下記に議論される)でオーバーコーティングすることによって達成されてもよい。他の実施形態では、シール組成物は、充填時に双安定電気泳動流体(24)中に分散されるが、シール調合物を伸長チャンバ(22)の上部まで上昇させるための正しい親水性および密度で設計されてもよく、それによって、例えば、光、熱、または活性化化学剤への暴露を使用して、硬化される。代替実施形態では(図6に示されない)伸長チャンバ(22)は、上部まで充填され、シール層が、光透過ポリマー(20)の上部の全体にわたって拡散され、それによって、双安定電気泳動流体(24)を伸長チャンバ内にシールしてもよい。
【0068】
シール層のためのシール組成物中の不可欠な成分の実施例は、限定ではないが、熱可塑性または熱硬化性物質およびその前駆体を含んでもよい。具体的実施例は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、セルロース、ゼラチン、または同等物等の材料を含んでもよい。ポリマー結合剤または増粘剤、光開始剤、触媒、加硫剤、充填材、着色剤、または界面活性剤等の添加剤が、物理機械的性質および光コリメートフィルムを改良するために、シール組成物に添加されてもよい。
【0069】
シール組成物は、シール溶媒として水を伴う、水溶性ポリマーであってもよい。好適な水溶性ポリマーまたは水溶性ポリマー前駆体の実施例は、限定ではないが、ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールとのそのコポリマー、およびその誘導体、例えば、PEG-PPG-PEG、PPG-PEG、PPG-PEG-PPG;ポリ(ビニルピロリデン)およびそのコポリマー、例えば、ポリ(ビニルピロリデン)/酢酸ビニル(PVP/VA);多糖類、例えば、セルロースおよびその誘導体、ポリ(グルコサミン)、デキストラン、グアーガム、および澱粉;ゼラチン;メラミン-ホルムアルデヒド;ポリ(アクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(メタクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(マレイン酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(2-ジメチルアミノエチルメタクリレート);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-ビニルピリジン);ポリ(アリルアミン);ポリアクリルアミド;ポリエチレンイミン;ポリメタクリルアミド;ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);第4級アンモニウム基で官能化されたカチオン性ポリマー、例えば、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)を含んでもよい。シール材料はまた、調合溶媒として水を伴う、水分散性ポリマーを含んでもよい。好適なポリマー水分散剤の実施例は、ポリウレタン水分散剤およびラテックス水分散剤を含んでもよい。水分散剤中の好適なラテックスは、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、およびそのコポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、およびポリスチレンコポリマー、例えば、ポリスチレンブタジエンおよびポリスチレン/アクリレートを含む。
【0070】
例えば、接着剤組成物中に存在し得る、付加的成分の実施例は、限定ではないが、アクリル、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、酢酸酪酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エポキシド、多官能アクリレート、ビニル、ビニルエーテル、およびそのオリゴマー、ポリマー、およびコポリマーを含んでもよい。接着剤層はまた、ポリウレタン分散剤とポリビニルアルコール;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールとのそのコポリマー;ポリ(ポリビニルピロリドン)およびそのコポリマー;多糖類;ゼラチン;ポリ(アクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(メタクリル酸)、その塩形態、およびそのコポリマー;ポリ(2-ジメチルアミノエチルメタクリレート);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-ビニルピリジン);ポリ(アリルアミン);ポリアクリルアミド;ポリメタクリルアミド、および第4級アンモニウム基で官能化されたカチオン性ポリマーから成る群から選択される、水溶性ポリマーとを含有してもよい。接着剤層は、積層後、例えば、熱またはUV等の放射によって後硬化されてもよい。
【0071】
例えば、基板(53)を含む、スタックの全体は、図6に示されるように、縁シール(51)でシールされることができる。縁シール(51)は、上記に説明されるシール組成物のいずれかを含んでもよい。縁シール(51)は、光コリメート層(10)および基板(53)の周囲に連続してもよい、または縁シール(51)は、スタックの一部のみ、例えば、光コリメート層(10)の外側縁のみを被覆してもよい。いくつかの実施形態では、縁シール(51)は、付加的保護層、例えば、水に不浸透性の層、例えば、クリアポリエチレンを含んでもよい。保護層は、湿気またはガス障壁性質を提供してもよい。保護層および/または縁シールの縁は、湿気またはガス障壁性質を提供する、熱またはUV硬化性または熱活性化縁シール材料でシールされてもよい。ある実施形態では、縁シールは、2つの保護基板によって狭着される。
【0072】
いくつかの実施形態では、縁シール(51)は、実際には、スタック全体を内封し、それによって、シールされたアセンブリを作成するであろう。示されないが、1つ以上の電気接続は、縁シール(51)を横断して、電気接続を第1の電極(12)および第2の電極(14)に提供する必要があり得ることを理解されたい。そのような接続は、可撓性リボンコネクタによって提供されてもよい。
【0073】
シール層(28)の詳細を示すことに加え、図6はまた、光コリメート層(10)がガラスまたは別のクリアな耐久性のある材料等の基板(53)上に積層され得る方法を図示する。図6に示されないが、光コリメート層(10)は、基板を用いて、上部および底部の両方上で保護されてもよいことに留意されたい。2つの基板は、異なる、または同一であり得、例えば、第1の基板は、ガラスであってもよく、第2の基板は、ポリエチレンであってもよい。縁シール(51)は、上部および底部の両方の基板および基板間の光コリメート層(10)の周囲に延在してもよい。典型的には、Delo Adhesiveから利用可能なもの等の光学接着剤(52)が、光コリメート層(10)を基板(53)に接合するために使用される。代替として、光コリメート層(10)は、光学接着剤(52)および剥離シート(54)の組み合わせでコーティングされてもよく、それによって、光コリメート層(10)は、剥離シート(54)とともに巻回され、組立設備に移送されることができ、そこで、定型サイズに切断されるであろう。展開されることに先立って、剥離シート(54)は、図7に図示されるように、除去されることができ、光コリメート層(10)は、直接、基板(53)に取り付けられることができる。基板は、会議室の窓、自動車のガラス、またはLCDスタック内の拡散器等、光コリメーションが所望される、任意のクリアな表面であってもよい。
【0074】
(光コリメート層の加工)
光コリメートフィルムは、図8に図示され、第US9,081,250号に詳細に説明されるように、ロールツーロールプロセスを使用して生産されることができる。図8に示されるように、プロセスは、いくつかのステップを伴う。第1のステップでは、エンボス加工組成物、例えば、熱可塑性物質、熱硬化性物質、またはその前駆体の層(60)が、随意に、溶媒とともに、インジウムスズ酸化物(PET-ITO)の層を含む、テレフタル酸ポリエチレン(PET)のフィルム等の伝導性透明フィルム(61)上に堆積される。(溶媒は、存在する場合、容易に蒸発する。)プライマ層(すなわち、電極保護層)が、エンボス加工組成物の層と、PETであり得る、支持層との間の接着力を増加させるために使用されてもよい。加えて、接着力助長剤が、支持層への接着力を改良するためにプライマ層において使用されてもよい。第2のステップでは、層(60)は、事前にパターン化されたエンボス加工ツール(62)によって、層材料のガラス遷移温度より高い温度でエンボス加工され、その加工は、下記に説明される。(プライマおよび/または接着力助長剤は、エンボス加工ツール(62)への接着力を減少させるように調節されてもよい。)第3のステップでは、パターン化された層(60)が、好ましくは、例えば、冷却することによって硬化される間またはその後、エンボス加工ツール(62)から剥離される。(上記に説明されるような)伸長チャンバの特性パターンが、ここで確立される。ステップ4では、伸長チャンバ(63)が、上記に説明される、双安定電気泳動流体(64)で充填される。いくつかの実施形態では、双安定電気泳動流体は、電気泳動流体(64)と不親和性であって、電気泳動流体(64)中の溶媒および顔料粒子より低い比重を有する、シール組成物を含むであろう。そのような実施形態では、シール組成物は、伸長チャンバ(63)の上部まで上昇し、それによって、後続ステップにおいて硬化されることができる。代替として(図8に示されない)、シール組成物は、伸長チャンバ(63)が電気泳動流体(64)で充填された後、オーバーコーティングされてもよい。次のステップでは、電気泳動流体(64)で充填される伸長チャンバ(63)が、例えば、UV放射(65)を用いて、または熱または湿気によって、シール組成物を硬化させることによって、シールされる。第6のステップでは、シールされた伸長チャンバが、感圧式接着剤、高温溶融接着剤、熱、湿気、または放射硬化性接着剤であり得る、光学的にクリアな接着剤層(67)で事前にコーティングされ得る、第2の透明伝導性フィルム(66)に積層される。[光学的にクリアな接着剤のための好ましい材料は、アクリル、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、酢酸ラク酸セルロ-ス、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エポキシド、多官能アクリレート、ビニル、ビニルエーテル、およびそのオリゴマー、ポリマー、およびコポリマーを含む。]最終ステップでは、切替可能な光コリメートフィルムの仕上げられたシートが、例えば、ナイフ刃(69)を用いて、またはレーザカッタを用いて、切断されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルムが、裁断シートまたはロールで出荷され、例えば、ディスプレイ、窓、または他のデバイス/基板の中への組み込みのために使用されるべきとき、定型サイズに切断され得るように、別の光学的にクリアな接着剤および剥離シートを積層することを含む、第8のステップが、仕上げられた切替可能な光コリメートフィルム上で実施されてもよい。
【0075】
エンボス加工ツール(62)は、フォトレジストプロセス後、エッチングまたは電鍍のいずれかが続くことによって、調製されてもよい。これは、次いで、フォトレジストの層でコーティングされ、UVに暴露される。マスクが、UVとフォトレジストの層との間に設置される。いくつかの実施形態では、非暴露または暴露面積が、次いで、それらを適切な有機溶媒または水性溶液で洗浄することによって、除去される。残りのフォトレジストは、乾燥され、再び、薄いシード金属の層でスパッタリングされる。マスタが、次いで、電鋳のために準備ができる。電鋳のために使用される典型的材料は、ニッケルコバルトである。代替として、マスタは、スルファミン酸ニッケル電鋳または無電解ニッケル堆積によって、ニッケルから作製されることができる。エンボス加工ツールの床は、典型的には、50および5000ミクロン厚である。マスタはまた、「Replication techniques for mcro-optics」(SPIE Proc. Vol.3099,pp76-82(1997年))に説明されるように、電子ビーム書込、乾燥エッチング、化学エッチング、レーザ書込、またはレーザ干渉を含む、他のマイクロエンジニアリング技法を使用しても作製されることができる。代替として、エンボス加工ツールは、プラスチック、セラミック、または金属を使用して、光機械加工によって作製されることができる。エンボス加工ツール生産のためのいくつかの方法が、下記により詳細に説明される。
【0076】
図9Aおよび9Bは、3次元マイクロ構造(円形部分)をその表面上に伴う、エンボス加工ツール(111)を用いたエンボス加工プロセスを図示する。図9Aおよび9Bに示されるように、エンボス加工ツール(111)が、少なくとも20μm厚、例えば、少なくとも40μm厚、例えば、少なくとも50μm厚、例えば、少なくとも60μm厚、例えば、少なくとも80μm厚、例えば、少なくとも100μm厚、例えば、少なくとも150μm、例えば、少なくとも200μm厚、例えば、少なくとも250μm厚のエンボス加工組成物(112)に適用される。エンボス加工組成物が、硬化された(例えば、放射によって)、または高温エンボス加工可能材料が、熱および圧力によってエンボス加工された状態になった後、エンボス加工された材料は、エンボス加工ツールから剥離され(図9B参照)、必要寸法の伸長チャンバを残し、例えば、伸長チャンバの高さは、コリメート層(エンボス加工組成物)の厚さ以下であって、伸長チャンバの幅は、9μm~150μmであって、チャンバの長さは、200μm~5mmである。
【0077】
従来のエンボス加工ツールを使用すると、硬化または高温エンボス加工された材料は、時として、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の望ましくない強接着力のため、ツールから完全に剥離しない。この場合、一部の硬化または高温エンボス加工された材料が、エンボス加工ツールの表面に転移され、またはその上に吸着され、不均一表面をプロセスから形成される物体上に残し得る。
【0078】
本問題は、物体が透明伝導性層またはポリマー層等の支持層上に形成される場合、さららにより顕著となる。硬化または高温エンボス加工された材料と支持層との間の接着力が、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の接着力より弱い場合、エンボス加工ツールからの硬化または高温エンボス加工された材料の剥離プロセスは、支持層からの物体の分離を生じさせ得る。
【0079】
ある場合には、物体は、層のスタック上に形成され得る。この場合、隣接する層の任意の2つの間の接着力が、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の接着力より弱い場合、エンボス加工ツールからの硬化または高温エンボス加工された材料の剥離プロセスは、2つの層間で破壊を生じさせ得る。
【0080】
上記に説明される問題は、特に、硬化されたエンボス加工組成物または高温エンボス加工された材料がある支持層に良好に接着しないときに懸念される。例えば、支持層が、ポリマー層である場合、ポリマー層と硬化または高温エンボス加工されたエンボス加工組成物との間の接着力は、それらのうちの一方が親水性であって、他方が疎水性である場合には弱くなる。したがって、エンボス加工組成物および支持層の両方が、疎水性であるか、または両方が、親水性であることのいずれかが好ましい。
【0081】
エンボス加工層または支持層を形成するための好適な親水性組成物は、極性オリゴマーまたはポリマー材料を含んでもよい。米国特許第7,880,958号に説明されるように、そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR(Rは、アルキル基である))、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオド)、シアノ(-CN)、スルホン酸塩(-SO)、および同等物等の基のうちの少なくとも1つを有する、オリゴマーまたはポリマーから成る群から選択されてもよい。極性ポリマー材料のガラス遷移温度は、好ましくは、約100℃を下回り、より好ましくは、約60℃を下回る。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の具体的実施例は、限定ではないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ(2-ヒドロキシルエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシ官能化ポリエステルアクリレート(BDE1025、Bomar Specialities Co(Winsted, CT)等)またはアルコキシル化アクリレート、例えば、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えば、SR504、Sartomer Company)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR9035、Sartomer Company)、またはエトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、SR494、Sartomer Company)を含んでもよい。
【0082】
エンボス加工ツール(111)は、直接、組成物(112)をエンボス加工するために使用されてもよい。より典型的には、エンボス加工ツール(111)は、プレーンドラム上に搭載され、エンボス加工組成物(112)にわたってエンボス加工スリーブの回転を可能にする。エンボス加工ドラムまたはスリーブ(121)は、通常、金属(例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、鉄、チタン、コバルトまたは同等物)、前述の金属のいずれかから派生される合金、またはステンレス鋼等の伝導性材料から形成される。異なる材料が、ドラムまたはスリーブを形成するために使用されてもよい。例えば、ドラムまたはスリーブの中心は、ステンレス鋼から形成されてもよく、ニッケル層が、ステンレス鋼と、銅層であり得る、最外層との間に狭入される。
【0083】
方法A:エンボス加工ドラムまたはスリーブ(121)が、図10に示されるように、伝導性コーティングまたは伝導性シード層をその外側表面上に伴う、非伝導性材料から形成され得る。図10のステップBに示されるように、感光性材料(122)をドラムまたはスリーブ(21)の外側表面上にコーティングする前に、精密な研削および研磨が、ドラムまたはスリーブの外側表面の平滑性を確実にするために使用されてもよい。感光性材料(122)、例えば、フォトレジストが、次いで、ドラムまたはスリーブ(121)の外側表面上にコーティングされ得る。感光性材料は、ポジティブトーン、ネガティブトーン、またはデュアルトーンであってもよい。感光性材料はまた、化学的に増幅されたフォトレジストであってもよい。コーティングは、浸漬、噴霧、またはリングコーティングを使用して実施されてもよい。乾燥および/または焼成後、感光性材料は、図10のステップCに示されるように、例えば、感光性材料を光源に暴露させることによって、暴露を受け得る。代替として、感光性材料(122)は、ドラムまたはスリーブ(121)の外側表面上に積層されたドライフィルムフォトレジストであることができる。ドライフィルムが、使用されるとき、また、説明されるように、光源に暴露される。
【0084】
図10のステップCでは、好適な光源(123)、例えば、IR、UV、電子ビーム、またはレーザが、ドラムまたはスリーブ(121)上に積層された感光性材料コーティングまたはドライフィルムフォトレジスト(122)を暴露させるために使用される。光源は、連続またはパルス状光であることができる。光マスク(124)が、随意に、形成されるべき3次元マイクロ構造を画定するために使用される。マイクロ構造に応じて、暴露は、段階的に、連続して、またはそれらの組み合わせで行われることができる。暴露後、感光性材料(122)は、現像前に、後暴露処置、例えば、焼成を受け得る。感光性材料のトーンに応じて、暴露または非暴露面積のいずれかが、現像液を使用することによって除去されるであろう。現像後、パターン化された感光性材料(125)をその外側表面上に伴う、ドラムまたはスリーブ(図10のステップDに示されるように)は、堆積(例えば、電鍍、無電解鍍着、物理蒸着、化学蒸着、またはスパッタリング堆積)の前に、焼成またはブランケット暴露を受け得る。パターン化された感光性材料の厚さは、好ましくは、形成されるべき3次元マイクロ構造の深度または高さを上回る。
【0085】
金属または合金(例えば、ニッケル、コバルト、クロム、銅、亜鉛、または前述の金属のいずれかから派生される合金)が、ドラムまたはスリーブ上に電着および/または無電解鍍着され得る。鍍着材料(126)が、パターン化された感光性材料によって被覆されない面積において、ドラムまたはスリーブの外側表面上に堆積される。堆積物厚は、好ましくは、図10のステップEに示されるように、感光性材料のもの未満である。全体的ドラムまたはスリーブ面積にわたる堆積物の厚さ変動は、鍍着条件、例えば、アノードとカソード(すなわち、ドラムまたはスリーブ)との間の距離、電鍍が使用される場合、ドラムまたはスリーブの回転速度および/または鍍着溶液の循環を調節することによって、1%未満に制御されることができる。
【0086】
代替として、電鍍を使用して、鍍着材料(126)を堆積させる場合、ドラムまたはスリーブの表面全体にわたる堆積物の厚さ変動は、米国特許第8,114,262号(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、非伝導性厚さ均一化装置をカソード(すなわち、ドラムまたはスリーブ)とアノードとの間に挿入することによって制御されてもよい。
【0087】
鍍着後、パターン化された感光性材料(125)は、剥離剤(例えば、有機溶媒または水溶液)によって剥奪されることができる。精密研磨が、随意に、ドラムまたはスリーブ全体にわたる堆積物(126)の容認可能厚さ変動および粗度を確実にするために採用されてもよい。図10のステップFは、その上に形成される3次元パターンマイクロ構造を伴う、エンボス加工ドラムまたはスリーブの断面図を示す。
【0088】
方法B:代替として、3次元マイクロ構造が、図11に示されるように、平坦基板上に形成され得る。図11のステップAでは、感光性材料(142)が、基板層(141)(例えば、ガラス基板)上にコーティングされる。感光性材料(142)は、上記に述べられるように、ポジティブトーン、ネガティブトーン、またはデュアルトーンであってもよい。感光性材料(142)はまた、化学的に増幅されたフォトレジストであってもよい。コーティングは、浸漬、噴霧、スロットダイ、またはスピンコーティングを使用して実施されてもよい。乾燥および/または焼成後、感光性材料は、光マスク(図示せず)を通して好適な光源(図示せず)への暴露を受ける。代替として、感光性材料(142)は、基板(141)上に積層される、ドライフィルムフォトレジスト(通常、市販されている)であることができる。ドライフィルムはまた、上記に説明されるように、光源に暴露される。
【0089】
図11のステップBでは、暴露後、感光性材料のトーンに応じて、感光性材料の暴露または非暴露面積のいずれかが、現像液を使用することによって除去されるであろう。現像後、残りの感光性材料(142)を伴う基板層(141)は、ステップC前に、焼成またはブランケット暴露を受け得る。残りの感光性材料の厚さは、形成されるべき3次元マイクロ構造の深度または高さと同一であるべきである。ステップCでは、導電性シード層(143)が、感光性材料によって占有されない面積内において、残りの感光性材料(142)および基板(141)にわたってコーティングされる。導電性シード層は、通常、銀から形成される。しかしながら、金またはニッケル等の他の伝導性材料もまた、使用されてもよい。
【0090】
ステップDでは、金属または合金(144)(例えば、ニッケル、コバルト、クロム、銅、亜鉛、または前述の金属のいずれかから派生される合金)が、導電性シード層によって被覆される表面上に電着および/または無電解鍍着され、鍍着プロセスが、パターン化された感光性材料にわたって十分な鍍着された材料厚(h)が存在するまで実施される。図11のステップDにおける厚さ(h)は、好ましくは、25~5,000ミクロン、より好ましくは、25~1,000ミクロンである。
【0091】
鍍着後、鍍着された材料(144)は、基板層(141)から分離され、これは、離層される。感光性材料(142)は、導電性シード層(143)とともに、除去される。感光性材料は、剥離剤(例えば、有機溶媒または水溶液)によって除去されてもよい。導電性シード層(143)は、酸性溶液(例えば、硫黄/硝酸混合物)または市販の化学剥離剤によって除去され、片側上に3次元構造を有し、他側が平坦である、金属シート(144)のみを残し得る。精密研磨が、金属シート(144)に適用されてもよく、その後、平坦シムが、直接、エンボス加工のために使用されてもよい、または3次元マイクロ構造を外側表面上に伴うドラム上に搭載され(すなわち、それにわたって巻着され)、エンボス加工ツールを形成してもよい。貴金属またはその合金が、上記に説明されるように、最後に、エンボス加工ツールの表面全体にわたってコーティングされる。上記に述べられるように、金またはその合金は、その反応性の欠如に起因して、他の貴金属および合金より好ましい。
【0092】
方法C:さらなる代替方法が、図12に実証される。本方法は、図11のものに類似するが、簡略化される。銀等の導電性シード層の代わりに、貴金属またはその合金の層(153)が、単に、感光性材料(152)にわたってコーティングされる。上記に述べられるように、金またはその合金は、好ましい。その結果、ステップEでは、鍍着された材料(154)が、基板(151)から分離された後、感光性材料(152)のみが、除去され、金または合金コーティング(153)は、3次元構造を片側上に伴い、他側が平坦である、金属シート(154)とともに残る。
【0093】
コリメート層を形成するための組成物中の成分の実施例は、限定ではないが、アクリレート、メタクリレート、アリール、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、多官能エポキシド、およびそのオリゴマーまたはポリマー、および同等物を含む、多官能ビニル等の、熱可塑性または熱硬化性材料またはその前駆体を含んでもよい。多官能アクリレートおよびそのオリゴマーが、多くの場合、使用される。多官能エポキシドと多官能アクリレートの組み合わせもまた、コリメート層の望ましい物理機械的性質を達成する際に有用である。ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレート等の可撓性を付与する、低Tg(ガラス遷移温度)結合剤または架橋結合可能オリゴマーもまた、エンボス加工されたプライバシ層の撓曲抵抗を改良するために添加されてもよい。
【0094】
コリメート層のための組成物のさらなる実施例は、極性オリゴマーまたはポリマー材料を含んでもよい。そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR(Rは、アルキル基である))、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオド)、シアノ(-CN)、スルホン酸塩(-SO3)、および同等物等の基のうちの少なくとも1つを有する、オリゴマーまたはポリマーから成る群から選択されてもよい。極性ポリマー材料のガラス遷移温度は、好ましくは、約100℃を下回り、より好ましくは、約60℃を下回る。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の具体的実施例は、限定ではないが、ポリヒドロキシ官能化ポリエステルアクリレート(BDE1025、Bomar Specialities Co(Winsted, Conn.)等)またはアルコキシル化アクリレート、例えば、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR504)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR9035)、またはエトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR494)を含んでもよい。
【0095】
代替として、コリメート層組成物は、(a)少なくとも1つの二官能UV硬化性成分と、(b)少なくとも1つの光開始剤と、(c)少なくとも1つの金型剥離剤とを含んでもよい。好適な二官能成分は、約200より高い分子量を有してもよい。二官能アクリレートが、好ましく、ウレタンまたはエトキシ化バックボーンを有する、二官能アクリレートが、特に、好ましい。より具体的には、好適な二官能成分は、限定ではないが、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR230)、トリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR272)、テトラエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR268)、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR295、SR344、またはSR610)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、SartomerからのSR603、SR644、SR252、またはSR740)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、SartomerからのCD9038、SR349、SR601、またはSR602)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(例えば、SartomerからのCD540、CD542、SR101、SR150、SR348、SR480、またはSR541)、およびウレタンジアクリレート(例えば、SartomerからのCN959、CN961、CN964、CN965、CN980、またはCN981;CytecからのEbecryl230、Ebecryl270、Ebecryl8402、Ebecryl8804、Ebecryl8807、またはEbecryl8808)を含んでもよい。好適な光開始剤は、限定ではないが、ビス-アシル-ホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-イソプロピル-9H-キサンタン-9-オン、4-ベンゾイル-4′-メチルジフェニルスルフィドおよび1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンまたは2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンを含んでもよい。好適な金型剥離剤は、限定ではないが、オルガノ修飾シリコーンコポリマー、例えば、シリコーンアクリレート(例えば、CytecからのEbercryl1360またはEbercyl350)、シリコーンポリエーテル(例えば、MormentiveからのSilwet7200、Silwet7210、Silwet7220、Silwet7230、Silwet7500、Silwet7600、またはSilwet7607)を含んでもよい。組成物はさらに、随意に、以下の成分、すなわち、共開始剤、単官能UV硬化性成分、多官能UV硬化性成分、または安定剤のうちの1つ以上のものを含んでもよい。
伸長チャンバの配列
【0096】
上記に説明される加工方法(上記の図)から生じる光コリメート層の2つの幾何学形状が、図13および14に示される。これらの幾何学形状は、それらが、1つの方向(L)において、別の方向(W)より長いという点で、伸長チャンバ(22)の縦横比の一般的傾向を示す。すなわち、伸長チャンバの長さ(L)は、典型的には、伸長チャンバの幅(W)の少なくとも2倍、例えば、伸長チャンバの幅の少なくとも3倍、例えば、伸長チャンバの幅の少なくとも4倍、例えば、伸長チャンバの幅の少なくとも5倍、例えば、伸長チャンバの幅の少なくとも10倍である。[上記に議論されるように、伸長チャンバの高さ(H)(図13および14におけるページの平面から外に向かう)は、コリメート層の厚さ以下である。]典型的には、各伸長チャンバの幅は、9μm~150μmである。典型的には、各伸長チャンバの長さは、200μm~5mmである。
【0097】
行間の間隔(A)(「ピッチ」として知られる)は、電気泳動顔料(26)が、前述のように、伸長チャンバ(22)内に完全に分散されるときの、視認角度が低減される量を決定する際に主要な役割を果たす。伸長チャンバ(22)の高さが、一定のままである場合、視認角度は、間隔「A」の減少に伴って狭くなる。しかしながら、「A」の減少は、光が横断するための顔料粒子を伴うより多くの双安定電気泳動流体(24)が存在し、光コリメートフィルムの全体的光透過を減少させることを意味する。同様に、同一行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙幅「G」もまた、光源と視認者との間の散乱粒子の量のため、光コリメート層の全体的透過に影響を及ぼす。したがって、図13の全体的透過は、図14の全体的透過を下回る。しかしながら、図13では、入射光が伸長チャンバを越えて進行するためのより少ない軸外経路が存在するため、非コリメート光のより少ない「漏出」が存在する。
【0098】
いくつかの実施形態では、伸長チャンバが、例えば、上記に説明されるように、圧延エンボス加工ツールを用いて作成されるとき、伸長チャンバは、行および列内に形成される(上方から視認されると)。漏出を最小限にする試みとして、図13および図14の両方において、第1の行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙は、第2の行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙から水平にオフセットされる。一般に、同一行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙幅「G」は、30μm未満、例えば、25μm未満、例えば、20μm未満、例えば、15μm未満、例えば、10μm未満である。連続行内の隣接する伸長チャンバ間の間隙は、少なくとも1μm、例えば、少なくとも2μm、例えば、少なくとも3μm、例えば、少なくとも5μmオフセットされてもよい。いくつかの実施形態では、第1の行の間隙全体が、図14に示されるように、第2の行の伸長チャンバによって跨架される。大部分の実施形態では、L>Gである。多くの実施形態では、L>>Gである。大部分の実施形態では、A>Wである。多くの実施形態では、A>>Wである。
【0099】
伸長チャンバ間の間隔は、約可視光の波長であるため、図13および14等の繰り返しパターンは、視認のために望ましくない干渉効果を生産し得、これは、スポット、モアレ、スペックル、または他の可視瑕疵として露見し得る。いくつかの改変が、これらの干渉効果を無効にするために、光コリメート層(10)の設計に行われることができる。例えば、隣接する伸長チャンバ(22)間の間隙の位置は、図15に示されるように、各連続行に伴って側方に「ずらされる」ことができる。代替として、または加えて、間隙幅(G)が、図16に示されるように、異なる行に関して隣接する伸長チャンバ(22)間で改変されてもよい。加えて、間隙幅(G)は、同一行内の伸長チャンバ(22)間でも改変されてもよい。代替として、または加えて、行間のピッチ(A)も、図17に示されるように、光コリメートフィルムを横断して修正されてもよい。代替として、または加えて、各伸長チャンバ(22)の長さ(L)も、単一行内および/または行間で修正されてもよい。さらに、各伸長チャンバ(22)の幅(W)も、図18に示されるように、単一行内および/または行間で修正されてもよい。本明細書に説明されるエンボス加工プロセスは、圧延ツールを用いて行われるという点で、反復的であるが、ロール上の特徴の大部分を非対称にすることによって、対称性を無効にすることも可能である。圧延エンボス加工ツールによって生じる繰り返しパターンは、典型的には、約20cmであって、したがって、干渉効果を生産しない。
【0100】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California, LLC、および関連企業に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化されたマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを含み、そのそれぞれはそれ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルはそれ自体が、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、帯電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的には、高分子フィルム内に形成される、複数の空洞内に留保される。
【0101】
これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
【0102】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号および米国特許出願第公開第2016/0170106号参照)
【0103】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号および米国特許出願第公開第2011/0286081号参照)
【0104】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、
【化1】

参照)
【0105】
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、
【化2-1】

【化2-2】

参照)
【0106】
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、
【化3】

参照)
【0107】
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号、第7,535,624号、および第9,310,661号、および米国特許出願公開第2016/0103380号および第2016/0187759号参照)
【0108】
(g)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、
【化4-1】

【化4-2】

参照)
【0109】
3層電気光学ディスプレイの製造は、通常、少なくとも1つの積層動作を伴う。例えば、前述のMITおよびEINK特許および出願のうちのいくつかでは、カプセル化された電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスが、説明され、結合剤中にカプセルを備える、カプセル化された電気泳動媒体が、酸化インジウムスズ(ITO)を含む可撓性基板上にコーティングされる、または類似伝導性コーティング(最終ディスプレイの1つの電極として作用する)が、プラスチックフィルム上にコーディングされ、カプセル/結合剤コーティングは、基板にしっかりと接着された電気泳動媒体のコヒーレント層を形成するように乾燥される。別個に、ピクセル電極を駆動回路構成に接続するためのピクセル電極のアレイおよび導体の適切な配列を含有する、バックプレーンが、調製される。最終ディスプレイを形成するために、カプセル/結合剤層をその上に有する、基板が、積層接着剤を使用して、バックプレーンに積層される。一実施形態では、バックプレーン自体が、可撓性であって、ピクセル電極および導体をプラスチックフィルムまたは他の可撓性基板上に印刷することによって調製される。他の実施形態では、両電極が、可撓性であって、それによって、構築された電気泳動ディスプレイが可撓性であることを可能にする。本プロセスによるディスプレイの大量生産のための明白な積層技法は、積層接着剤を使用したロール積層である。類似製造技法も、他のタイプの電気光学ディスプレイと併用されることができる。例えば、マイクロセル電気泳動媒体が、カプセル化された電気泳動媒体と実質的に同一様式において、バックプレーンまたは可撓性電極に積層されてもよい。
【0110】
米国特許第6,982,178号は、大量生成に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備える、いわゆる「フロントプレーンラミネート」(「FPL」)を説明している。典型的には、光透過性導電性層は、光透過性基板上に担持され、好ましくは、基板が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟性である。この出願および本明細書において、「光透過性」という用語は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基板(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが非可視波長における反射率において変化する場合、「光透過性」という用語は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。基板は、典型的には、ポリマーフィルムであって、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属または金属酸化物層である、または伝導性ポリマーであってもよい。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業上利用可能であって、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果と併用され得る。
【0111】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気泳動ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるのに効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気泳動媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成されてもよい。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的にはロールからロールへのコーティング技術を使用して大量生成され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断されてもよいため、大量生成に非常に適している。
【0112】
用語「インパルス」は、本明細書では、時間に対する電圧の積分のその従来の意味において使用される。しかしながら、一部の双安定電気泳動媒体は、電荷変換器として作用し、そのような媒体では、インパルスの代替定義、すなわち、経時的電流の積分(印加される総電荷に等しい)が、使用されてもよい。インパルスの適切な定義は、媒体が電圧-時間インパルス変換器または電荷インパルス変換器として作用するかどうかに応じて、使用されるべきである。
【0113】
電気泳動ディスプレイを駆動する際のさらなる複雑性は、いわゆる「DC平衡」に関する必要性である。米国特許第6,531,997号および第6,504,524号は、ディスプレイを駆動するために使用される方法が、電気泳動媒体を横断してゼロまたはほぼゼロの正味時間平均印加電場をもたらさない場合、問題に遭遇し、ディスプレイの作業寿命が低減され得ることを議論している。電気泳動媒体を横断してゼロ正味時間平均印加電場をもたらす、駆動方法は、便宜的に、「直流平衡」または「DC平衡」と称される。
【0114】
すでに述べられたように、カプセル化された電気泳動媒体は、典型的には、ポリマー結合剤内に配置される電気泳動カプセルを備え、これは、離散カプセルをコヒーレント層の中に形成する役割を果たす。ポリマー分散電気泳動媒体内の連続相およびマイクロセル媒体のセル壁は、類似機能を果たす。EINK研究者によって、電気泳動媒体内の結合剤として使用される具体的材料が、媒体の電気光学性質に影響を及ぼし得ることが見出されている。中でも、結合剤の選択肢によって影響される電気泳動媒体の電気光学性質は、いわゆる「滞留時間依存性」である。米国特許第7,119,772号(特に、図34および関連説明参照)に議論されるように、ある場合には、双安定電気泳動ディスプレイの2つの具体的光学状態間の遷移のために必要なインパルスは、その初期光学状態におけるピクセルの滞留時間に伴って変動し、本現象は、「滞留時間依存性」または「DTD」と称される。明らかに、DTDが、ディスプレイを駆動する困難度に影響を及ぼし、生産される画像の品質に影響を及ぼし得るため、DTDを可能な限り小さく保つことが望ましい。例えば、DTDは、均一灰色の面積を形成すると仮定されるピクセルをグレーレベルにおいて相互に若干異ならせ得、ヒト眼は、そのような変動に非常に敏感である。結合剤の選択肢がDTDに影響を及ぼすことが、公知であるが、任意の具体的電気泳動媒体のための適切な結合剤を選定することは、本質的に、DTDと結合剤の化学性質との間の関係が理解されておらず、これまで、試行錯誤に基づいている。
【0115】
米国特許出願第公開第2005/0107564号は、(a)(i)a,a,a,a-テトラメチルキシレンジイソシアネートを含む、少なくとも1つのポリイソシアネート[組織名1.3-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン;本材料は、以降、「TMXDI」と呼ばれ得る]、(ii)ポリプロピレングリコールを含む、少なくとも1つの二官能ポリオール、および(iii)酸官能基と、ヒドロキシ、第1級アミノ、第2級アミノ、およびそれらの組み合わせから選択される、少なくとも2つのイソシアネート反応基とを含む、イソシアネート反応化合物の反応生成物を含む、イソシアネート終端プレポリマー、(b)第3級アミノ基を含む、中和剤、(c)単官能鎖停止剤、(d)有機ジアミンを含む、鎖延長剤、および(e)水の反応生成物を含む、ポリウレタンポリマーを含む、水性ポリウレタン分散剤を説明する。以降、「TMXDI/PPO」分散剤と呼ばれ得る、本ポリウレタン分散剤は、電気泳動ディスプレイにおける積層接着剤として有用であることが見出されている。
【0116】
前述から、本発明は、切替可能な光コリメートフィルムと、切替可能な光コリメートフィルムを組み込む、デバイスとを提供することができることが分かるであろう。特に、本発明は、双安定であって、付加的エネルギー入力を伴わずに、広および狭視認条件を維持することが可能である、光コリメートフィルムを提供する。
【0117】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に説明される本発明の具体的実施形態に行われることができることが、当業者に明白となるであろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【外国語明細書】