(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105751
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】玩具部品、及び、模型玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/36 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
A63H3/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087086
(22)【出願日】2022-05-27
(62)【分割の表示】P 2020166089の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊田 直希
(57)【要約】
【課題】より精密でありながらも容易に完成可能な玩具部品を提供する。
【解決手段】第1の部材と、第2の部材とが係合して構成される玩具部品であって、前記第1の部材は、第1の間隔で配置された複数の第1の突起部と、前記複数の第1の突起部のそれぞれの一部分と一体化された第1の本体部とを備え、前記第2の部材は、前記第1の間隔で配置された複数の第2の突起部と、前記複数の第2の突起部のそれぞれの一部分と一体化された第2の本体部とを備え、前記第1の部材と前記第2の部材とが係合する場合に、前記第1の突起部のうち前記第1の本体部と一体化されていない部分が、前記第2の本体部と一体化している前記第2の突起部の間に配置され、前記第2の突起部のうち前記第2の本体部と一体化されていない部分が、前記第1の本体部と一体化している前記第1の突起部の間に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、第2の部材とが係合して構成される玩具部品であって、
前記第1の部材は、
第1の間隔で配置された複数の第1の突起部と、
前記複数の第1の突起部のそれぞれの一部分と一体化された第1の本体部とを備え、
前記第2の部材は、
前記第1の間隔で配置された複数の第2の突起部と、
前記複数の第2の突起部のそれぞれの一部分と一体化された第2の本体部とを備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とが係合する場合に、
前記第1の突起部のうち前記第1の本体部と一体化されていない部分が、前記第2の本体部と一体化している前記第2の突起部の間に配置され、
前記第2の突起部のうち前記第2の本体部と一体化されていない部分が、前記第1の本体部と一体化している前記第1の突起部の間に配置される、玩具部品。
【請求項2】
前記第1の本体部は、前記第2の本体部と係合する第1の係合部を備え、
前記第2の本体部は、前記第1の本体部の前記第1の係合部と係合する第2の係合部を備える
請求項1に記載の玩具部品。
【請求項3】
前記第1の係合部は、前記第1の部材の横方向に凹部と凸部が交互に配列されて形成され、かつ、前記凸部は前記第1の突起部の位置に形成されており、
前記第2の係合部は、横方向の凹凸により形成され、凸部は前記第2の突起部の位置に形成されている、請求項2に記載の玩具部品。
【請求項4】
前記第2の係合部は、前記第2の突起部のうち両端に位置する突起部を先端位置まで覆う凸部を有し、前記凸部により前記第1の部材を挟み込む、請求項3に記載の玩具部品。
【請求項5】
前記複数の第1の突起部と、前記複数の第2の突起部とは、奥行方向の最大幅の異なる突起部をそれぞれ含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項6】
前記複数の第1の突起部と、前記複数の第2の突起部とは、個々の突起部において奥行方向の幅の変化の態様が異なる突起部を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項7】
前記第1の部材と前記第2の部材とが係合すると、前記第1の本体部の背面と、前記第2の本体部の背面とが連続する平面を形成する、請求項1から6のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の玩具部品を備えた模型玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具部品、及び、模型玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
シイタケディテールと呼ばれる模型玩具の細部をより精密に表現するための玩具部品が存在する(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】スジボリ堂、"しいたけディテール用のエッチングノコギリです。ガンプラのダクト、装甲をプラ板加工するためのノコギリです。"[online][令和2年9月23日検索]、インターネット、URL:https://sujibori-do.ocnk.net/product/1465
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シイタケディテールのような玩具部品を完成させるためには、所定厚さのプレートにそれぞれ加工し、等間隔で並べて固定するといった煩雑な作業が必要である。
【0005】
本発明は、より精密でありながらも容易に完成可能な玩具部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の部材と、第2の部材とが係合して構成される玩具部品であって、
前記第1の部材は、
第1の間隔で配置された複数の第1の突起部と、
前記複数の第1の突起部のそれぞれの一部分と一体化された第1の本体部とを備え、
前記第2の部材は、
前記第1の間隔で配置された複数の第2の突起部と、
前記複数の第2の突起部のそれぞれの一部分と一体化された第2の本体部とを備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とが係合する場合に、
前記第1の突起部のうち前記第1の本体部と一体化されていない部分が、前記第2の本体部と一体化している前記第2の突起部の間に配置され、
前記第2の突起部のうち前記第2の本体部と一体化されていない部分が、前記第1の本体部と一体化している前記第1の突起部の間に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より精密でありながらも容易に完成可能な玩具部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に対応する玩具部品の外形の一例を示す図。
【
図3】実施形態に対応する玩具部品の第1の部材の構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態に対応する玩具部品の第2の部材の構成の一例を示す図。
【
図6】実施形態に対応する玩具部品を適用可能な模型玩具の構成の一例を示す図。
【
図7】実施形態に対応する玩具部品を適用可能な模型玩具の部品構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。また、各図において、紙面に対する上下左右表裏方向を、本実施形態における部品(またはパーツ)の上下左右表裏方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0010】
まず、本実施形態に対応する玩具部品の外観の一例を
図1に示す。
図1(A)は、実施形態に係る玩具部品100の正面の構成の一例を示す斜視図である。玩具部品100は、第1の部材110と、第2の部材120とが係合して構成される。
図1(B)は、実施形態に係る玩具部品100の背面の構成の一例を示す斜視図である。玩具部品100は、正面では、凹凸、或いは突起部が横方向に所定の間隔を置いて配置されているが、背面においては、第1の部材110と第2の部材120とが連続する平面を形成する。玩具部品100は、背面において他の部材と接触し、位置を固定することができる。また、玩具部品100の底部には他の部材と結合するために用いられる結合部が配置されている。玩具部品100の大きさは、例えば縦約13.5mm、横約9.5mm、高さ約6.3mmとすることができる。
【0011】
図2は、玩具部品100の6面図を示す。まず、正面図を参照すると、同一の幅を持った突起部が横方向に配列されていることが分かる。各突起部の下側の端部は同じ位置にあるが、上側の端部は、左右の両端の突起部の端部は、他の突起部の端部よりも低い位置にある。上側の端部の残りは、第1の部材110に属する突起部の端部の方が、第2の部材120に属する突起部の端部よりも低い。また、第1の部材110に属する4つの突起部のうち、外側にある突起部の方が内側にある突起部よりも高い。一方、第2の部材120に属する3つの突起部の端部は同じ高さにある。
【0012】
背面図を参照すると、第1の部材110と第2の部材120とは、段差、或いは、凹凸のある係合部を介して互いに係合されている。また、第1の部材110は、第2の部材120の突起部のうち、両端の突起部で挟まれるようにして位置決めされて係合されている。
【0013】
平面図及び底面図を参照すると、第1の部材110と第2の部材120のそれぞれが有する突起部の奥行方向の最大幅が異なることが分かる。第2の部材120の突起部は、奥行方向の最大幅が、第1の部材110の突起部の奥行方向の最大幅よりも小さい。平面図では、第2の部材120の突起部においては、両端の突起部の奥行方向の最大幅の方が(後述する本体部の厚みを考慮すると)、その内側の3つの突起部の奥行方向の最大幅よりも小さくなっているが、これらを等しくしてもよい。第1の部材110の両端に位置する突起部は、奥行方向の最大幅が最も大きい。その第1の部材110の両端の突起部に挟まれる第1の部材110の2つの突起部は同一の奥行方向の最大幅を有し、最長幅よりも小さい。また、第1の部材110と第2の部材120とを係合した状態においては、第1の部材の内側の3つの突起部と、第2の部材120の内側の2つの突起部とが、奥行方向において最大幅が同じ位置に来るように構成されている。
【0014】
次に
図3を参照して、第1の部材110の構造を説明する。
図3(A)、(B)は、第1の部材110の正面及び背面の斜視図を示す。
図3(C)、(D)は、第1の部材110の正面図及び背面図を示す。
【0015】
第1の部材110は、本体部300と4つの突起部301から304が一体化された構成となっており、突起部301から304は一部分において本体部300と一体化されている。本体部300と一体化されていない残りの部分は下側方向に延びており、第2の部材120と係合する際に、当該第2の部材120の後述する突起部401から405の本体部400と一体化された部分の間に形成された間隔に配置される。また、突起部301から304は、それぞれ奥行方向の幅が均一ではなく、幅が短い部分と長い部分があり、また、幅が変化している部分もある。この幅の変化の態様も、突起部301と302とでは異なっており、これにより多層感を表現することができる。
【0016】
第1の部材110の背面において、本体部300には第2の部材120と係合するための係合部が形成されている。当該係合部は、第1の部材110の横方向に凹部と凸部(段差)が交互に配列されて形成され、凸部は突起部301から304の位置に形成されている。これらの凸部は、突起部301から304の先端位置までは届かず一部を覆っている。
【0017】
本実施形態において、各突起の間隔は例えば1.0mmとすることができる。当該間隔は玩具部品100の大きさに応じてより大きくしてもよいし、小さくしてもよい。本実施形態では、第1の部材110と第2の部材120とを組み合わせるので、突起間に間隔を設けることが可能となり、突起を連続して形成する場合よりも突起部の大きさを小さくすることができる。よって、単一の部材で構成する場合よりも突起部の密度を上げることができる。また、設計の自由度が高くなり加工がしやすくなるので、突起部に細かい形状をつけやすくなる。また、突起は手前に行くにしたがって細くなるようにテーパー加工してもよく、その場合に、例えばもっとも先端位置の横方向の幅を0.5mmとすることができる。
【0018】
次に
図4を参照して、第2の部材120の構造を説明する。
図4(A)、(B)は、第2の部材120の正面及び背面の斜視図を示す。
図4(C)、(D)は、第2の部材120の正面図及び背面図を示す。
【0019】
第2の部材120は、本体部400と5つの突起部401から405が一体化された構成となっており、突起部401から405は一部分において本体部400と一体化されており、本体部400と一体化されていない残りの部分は図の上側方向に延びている。また、第2の部材120には下側に、他の部材と結合するための結合部406が配置されている。第1の部材110と係合する際に、突起部402から404は、第1の部材110の突起部301から304の本体部300と一体化された部分の間に形成された間隔に配置される。一方、突起部401と405とは第1の部材110を挟み込む。また、突起部401から405は、それぞれ奥行方向の幅が均一ではなく、幅が短い部分と長い部分があり、また、幅が変化している部分もある。この幅の変化の態様も、突起部401と402とでは異なっており、また、第1の部材110の突起部301から304とも異なっている。これにより多層感を表現することができる。
【0020】
また、第2の部材120の背面において、本体部400には第1の部材110と係合するための係合部が形成されている。当該係合部は、第2の部材120の横方向に凹部と凸部(段差)が交互に配列されて形成され、凸部は突起部401から405の位置に形成される。そのうち、凸部は、突起部401及び405の先端位置まで延びている一方、突起部402から404までに対しては、先端位置までは届かず一部を覆っているだけである。
【0021】
本実施形態においては、本体部300に形成された係合部と、本体部400に形成された係合部とがかみ合うようにして、第1の部材110と第2の部材120とが係合する。第2の部材120においても、各突起の間隔は1.0mmとすることができる。当該間隔は玩具部品100の大きさに応じてより大きくしてもよいし、小さくしてもよい。また、突起は手前に行くにしたがって細くなるようにテーパー加工してもよく、その場合に、例えばもっとも先端位置の横方向の幅を0.5mmとすることができる。
【0022】
図5は、
図1(B)の玩具部品100の背面斜視図において示したA-A'、B-B'、C-C'断面をそれぞれ示した図である。また、各図において、本体部300及び400と各突起部との境目を一点鎖線で示す。
図5(A)はA-A'断面図であり、第1の部材110の突起部301から304間に第2の部材の突起部402、403、404が配置されていると共に、突起部401及び405により第1の部材110が挟み込まれている様子が示されている。また、
図5(A)では、第1の部材110では、本体部300と突起部301から304とが一体化している部分の断面が示されている一方で、第2の部材120については、突起部401、405が本体部400と一体化している一方、突起部402から404は本体部とは独立している。
【0023】
図5(B)はB-B'断面図であり、第1の部材110の突起部301から304と第2の部材の突起部401から405が交互に配置されている様子が示されている。また、
図5(B)では係合部の断面を示しているので、第1の部材110では、突起部301から304と一体化した係合部の凸部の断面が示されている。一方、第2の部材120については、突起部401から405と一体化した係合部の凸部の断面が示されている。
【0024】
図5(C)はC-C'断面図であり、第2の部材の突起部401から405の間に第1の部材110の突起部301から304が配置されている様子が示されている。また、
図5(C)では、第1の部材110では、突起部301から304が本体部300から独立している部分の断面が示されている一方で、第2の部材120については、突起部401から405が本体部400と一体化されている部分の断面が示されている。
【0025】
上記においては、2つの部材を組み合わせることによりシイタケディテールの玩具部品を構成する場合を説明したが、組み合わせる部材の数は2つに限らず3つ以上であってもよい。
【0026】
図6に、本実施形態に対応する玩具部品100を適用可能な模型玩具の外観の一例を示す。
図6は、実施形態に係る模型玩具600を示す模式図である。模型玩具600は、頭部610、胴体部611、腕部612、腰部613、及び、脚部614の各模型部品を有し、これらが結合されて人形玩具として構成されている。個々の部位610から614の少なくとも一部は、隣接する部位に対して回動(或いは揺動)可能に支持される。例えば、頭部610は胴体部611に対して回動可能に支持され、腕部612は胴体部611に対して回動可能に支持される。このようにして模型玩具600の各部位には関節構造が設けられており、ユーザ(例えば、模型玩具600の所有者)は、このような模型玩具600を所望の姿勢にすることができる。
【0027】
脚部114の膝関節にはカバー615が取り付けられており、上述の実施形態に対応する玩具部品100は、カバー615の裏側に配置することができる。カバー615は、脚部114のうち下腿部分に取り付けられている。模型玩具600の膝関節を曲げる前は、大腿部によりカバー615の先端部が覆われているために、カバー615の裏側は視認することができない。しかし、膝関節を曲げることにより、カバー615の先端部が大腿部により覆われなくなるため、カバー615の裏側の玩具部品100が視認可能になる。
【0028】
図7は、カバー615の裏側の構成の一例を示す図である。カバー615の裏側には上記の実施形態で説明した玩具部品100が配置されており、模型玩具600の膝関節を曲げることにより、当該玩具部品100が上側から視認可能となる。
【0029】
本実施形態によれば、複数の部材を組み合わせることにより容易に完成可能なシイタケディテールの玩具部品を提供することができる。当該部品は、例えば、模型玩具の部品の隙間を埋めて密度間を演出したり、膝裏等の熱排気口等の構成部品として使用したりすることができ、模型玩具の細部をより精密に表現することができる。
【0030】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。