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特開2022-105770自己完結型モジュラー分析カートリッジ及びプログラム可能試薬送達システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105770
(43)【公開日】2022-07-14
(54)【発明の名称】自己完結型モジュラー分析カートリッジ及びプログラム可能試薬送達システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20220707BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20220707BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N35/10 H
G01N37/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087841
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2021034409の分割
【原出願日】2014-02-14
(31)【優先権主張番号】61/802,408
(32)【優先日】2013-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515260841
【氏名又は名称】レスリー ドン ロバーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(72)【発明者】
【氏名】レスリー ドン ロバーツ
(57)【要約】
【課題】単一のデバイス内で単一の試料源に対して複数の対称又は非対称の試験を行うことが可能な種々の自己完結型分析カートリッジを構築するためのモジュラーシステム。
【解決手段】前記カートリッジは分解容易な2以上のモジュールの集合体として構成され、これらのモジュールは、分析試験の1又は2以上のタスクを個別の製品として実施し得るように操作可能である。プログラム可能な試薬送達システムは、1又は2以上の湿潤セル(個別包装された試薬)と、0又は1以上の乾燥セル(較正されたスペーサー)とを有する、1又は2以上の直列化された試薬クラスターを含む。ここで、前記湿潤セルを所定の経時的放出順序に対応して直列に配置すると共に、非対称の放出順序を有する2以上の試験プロトコールが同期されるように、乾燥セルを湿潤セルの間に介在するように配置する。これにより、単一の機構によって2以上の試験プロトコールを同時に駆動することができる。
【選択図】図7C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の微小流体モジュールを含むシステムであって、
前記複数の微小流体モジュールが、少なくとも第1の微小流体モジュールを含み、
前記複数の微小流体モジュールは各々、他の微小流体モジュールと相互に連結して共働可能に構成された基本モジュール型を有することを特徴とし、
ここで前記基本モジュール型は、
(I)第1の表面を有する基材と、
(II)前記基材内に配置される流体制御構造と、
(III)少なくとも第1の端部及び第2の端部を含み、前記第1の端部が前記流体制御構造に連結されてなる流通パスと、
(IV)前記基材の第1の表面上に配置され、前記流通パスの前記第2の端部に連結されてなる流体コネクターと、
(V)前記基材の第1の表面に少なくとも一部が配置され、共働する他の微小流体モジュールとの間で流体の連通を許容する接合(coincident)インターフェース連結を確立する第1の連結要素と、
(VI)前記基材の第1の表面に少なくとも一部が配置され、共働する他の微小流体モジュールとの間で共線軸に沿った相対的な移動を許容する共線(collinear)インターフェース連結を確立する第2の連結要素とを有し、
ここで、共働する複数の微小流体モジュールを前記第1及び第2の連結要素で相互に連結し、共線軸に沿って相対的に移動させると、前記連結された共働する微小流体モジュール間で流体の移動が生じる
ことを特徴とする、微小流体モジュールシステム。
【請求項2】
前記複数の微小流体モジュールが更に、第2の微小流体モジュールを含み、
前記第2の微小流体モジュールの基材が、前記第1の微小流体モジュール内に少なくとも部分的に収容され得る高さ、幅、及び深さを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項3】
前記第1の微小流体モジュールにおいて、
前記基材が、前記第1の表面に対向する第2の表面を更に有し、
前記流体制御構造が、駆動可能な液体分注装置を含み、
前記駆動可能な液体分注装置が、
(I)前記第1の表面に開口した内腔と、前記第2の表面と共通の壁面を共有する背面とを有するスロット、並びに、
(II)固体発泡体の特性を有する圧縮可能な基材
を有し、
前記圧縮可能な基材が、
(a)前記第1の表面と接合された分注面、
(b)前記分注面と対向し、前記スロットの背面と接合された駆動面、及び、
(c)直列に連結された1又は2以上のセルを含む直列化試薬クラスター
を有し、
前記1又は2以上のセルが、
(i)液体の包装に適した可撓性薄壁穿孔可能材料に個別に封入された包装液体試薬保存液を含む湿潤セル、及び、
(ii)長さを調節するスペーサー要素を含む乾燥セル
から選択される少なくとも1種のセルを含み、
前記直列化試薬クラスターが、前記駆動面と前記分注面との間に直列に配列され、前記駆動面及び前記分注面と連結されることにより、前記駆動面から前記直列化試薬クラスターの1又は2以上のセルを通じ前記分注面へと機械力を伝達することが可能な機械的結合を確立するように構成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項4】
前記第1の微小流体モジュールにおいて、
前記流体制御構造が、内部容器を含み、
前記基材が更に、第2の表面と、1又は2以上の更なる表面とを含み、
前記流通パスが、前記内部容器を、前記第1の表面、前記第2の表面、及び前記の1又は2以上の更なる表面と連結してなる
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項5】
前記第1の微小流体モジュールにおいて、
前記流体制御構造が、内部容器を含み、
前記基材が更に、前記第1の表面と対向する第2の表面を含み、
前記流通パスが、前記内部容器を、前記第1の表面及び第2の表面と連結してなる
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項6】
前記第1の微小流体モジュールにおいて、
前記流体制御構造が、内部容器を含み、
前記基材が更に、前記第1の表面と隣接する第2の表面を含み、
前記流通パスが、前記内部容器を、前記第1の表面及び前記第2の表面と連結してなる
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項7】
前記基本モジュール型の前記第1の連結要素が、箱型連結部のオペレータ及びレシーバから選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項8】
前記基本モジュール型の前記第1の連結要素が、クリップ・溝型連結部のクリップ及び溝から選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項9】
前記基本モジュール型の前記第2の連結要素が、プリズム型連結部のスライド及びスライドガイドから選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項10】
前記第1の微小流体モジュールにおいて、前記流体制御構造が、
(I)直列に連結された1又は2以上のセルを含む直列化試薬クラスター
を含み、
前記1又は2以上のセルが、
(a)液体の包装に適した可撓性薄壁穿孔可能材料に個別に封入された包装液体試薬保存液を含む湿潤セル、及び、
(b)長さを調節するスペーサー要素を含む乾燥セル
から選択される少なくとも1種のセルを含み、
前記直列化試薬クラスターが、前記駆動面と前記分注面との間に直列に配列され、前記駆動面及び前記分注面と連結されることにより、前記駆動面から前記直列化試薬クラスターの1又は2以上のセルを通じ前記分注面へと機械力を伝達することが可能な機械的結合を確立するように構成され、
前記複数の微小流体モジュールが更に、第2の微小流体モジュールを含み、前記第1及び第2の微小流体モジュールが、前記第1及び第2の連結要素を通じて相互に連結され、共働すると共に、
前記第1の微小流体モジュールを前記第2の微小流体モジュールに対して相対的に移動させると、前記第1の微小流体モジュールの前記直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の湿潤セル及び前記1又は2以上の乾燥セルが、前記第2の微小流体モジュールに対して相対的に移動することにより、前記第1の微小流体モジュールの前記直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の湿潤セル中の液体が、前記第2の微小流体モジュールへと連続的に移動するように構成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項11】
前記流通パスが尖った先端を有する
ことを特徴とする、請求項10に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項12】
前記直列化試薬クラスターが、少なくとも2つのセルを含み、前記少なくとも2つのセルのうち、少なくとも1つが湿潤セルであり、少なくとも1つが乾燥セルであり、
前記第1の微小流体モジュールを前記第2の微小流体モジュールに対して相対的に移動させると、前記少なくとも1つの湿潤セル内の液体が移動するまでに所定の時間間隔が生じるように、前記直列化試薬クラスター内における前記少なくとも1つの乾燥セルと前記少なくとも1つの湿潤セルとの相対位置が設定される
ことを特徴とする、請求項10に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項13】
前記所定の時間間隔が、前記少なくとも1つの乾燥セルの長さの関数である
ことを特徴とする、請求項12に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項14】
前記直列化試薬クラスターが、少なくとも2つのセルを含み、前記少なくとも2つのセルのうち、少なくとも1つが湿潤セルであり、少なくとも1つが乾燥セルであり、
前記第1の微小流体モジュールを前記第2の微小流体モジュールに対して相対的に移動させると、前記少なくとも1つの湿潤セル内の液体が移動するまでに所定の時間間隔が生じるように、前記直列化試薬クラスター内における前記少なくとも1つの乾燥セルと前記少なくとも1つの湿潤セルとの相対位置が設定される
ことを特徴とする、請求項3に記載の微小流体モジュールシステム。
【請求項15】
前記所定の時間間隔が、前記少なくとも1つの乾燥セルの長さの関数である
ことを特徴とする、請求項14に記載の微小流体モジュールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、液体又は半固体環境を要する1又は2以上の分析試験を実施するために携帯可能且つ操作可能と考えられる、自己完結型単回使用流体制御式分析デバイスに関する。本発明に関する用途としては、環境試験、食物安全管理、国防、リサーチツール、薬物開発、医療診断等の分析試験を用いる実用分野がある。
【背景技術】
【0002】
微小流体デバイスは、適切な基材内に物理的に設けられた固定配置の連続流式流体制御ネットワークによって実現される、固体状態の混合デバイスである。この流体制御ネットワークは、少量の分析材料を制御下で、外部から人間が補助することなく混合することを可能とするものであり、これによって多くの複雑な分析手順の自動化を可能とするポテンシャルを秘めている。簡素な混合マニホールドから完全統合型の自己完結式分析システムまで、広範囲の微小流体デバイスが存在する。各デバイスは、自己完結性の程度、実施可能な試験の数及び種類、その流体制御、及びその製造方法において異なる。本発明の対象が最も密接に関連するのは、液体又は半固体環境内における1又は2以上の定量又は定性分析試験を容易化するべく操作可能な、携帯可能な自己完結流体制御型カートリッジとして実現される、完全統合型の分析システムである。
【0003】
携帯性及び自己完結性の要請を満たすために、これらのデバイスは、現場で試料収集の地点に容易に移送可能且つ操作可能でなければならない。また、これらのデバイスは、外部から補助することなく1又は2以上の分析材料を保管し、分注し、制御下での混合を容易化することができ、且つ、分析試験の実施の間に用いられる排溶液の総量を保持しうるものでなければならない。斯かるデバイスは一般に、個別に分割できない総体的に自己完結した製品として、先進のリソグラフィー技術により、或いは累加のステンシル層を積層することにより、流体制御ネットワークに必要な流体制御構造を形成して製造される。次に、試験の実施に必要な分析材料をこれらの構造に装填し、デバイスを密閉することにより閉鎖型システムを形成する。二、三の例外を除いて、これは不可分の構成部分を有するデバイスを生成する連続的な製造プロセスである。斯かるデバイスは通常、デバイス内に圧力傾度力を生じさせ、圧力を上昇させた領域から圧力の比較的低い領域へとデバイス内で流体の運動を引き起こすことにより作動する。操作可能な圧力傾度力は、空気式、油圧式、又は蠕動式ポンプを用いて気体又は非混和性液体を1又は2以上の入口に導入する一方、それに比例する量を出口から排出することにより、或いは、流体制御ネットワークに組み込まれたブリスター包装から物質を放出させて圧力を上昇させることにより、直接生成することができる。また、斯かる圧力傾度力は、プランジャーシステム、スクイーズバルブ、遠心分離機等を用いた間接的な手段により生成することもできる。また、電場内での荷電分子の電気化学的動力特性を利用することも可能である。これらのデバイスにおける流体の混合の制御は、通常は個別に較正された長さ及び直径の異なる複数のパスに沿って複数の流体を同時に放出することにより、及び/又は、デバイスの周囲に計画的に配置された1又は2以上の流体容器に対して、操作可能な起動力を選択的に生成するすることで、各流体を時系列に沿って放出することにより行われる。要するに、複数の異なる分析試薬は異なる流速及び混合速度を呈するところ、大容量の下では通常は見過ごされてしまう毛管現象や表面張力等の弱い力が、少量の流体力学では優勢な力となる。同様に、異なる試験であれば、そこで求められる試薬の種類や量、更にはその投与の時系列も異なる。全材料の総量を経時的に制御された方式で保存し、混合し、保持するべく操作可能な流体制御ネットワークを設計するという行為によれば、得られるデバイスは通常、所与の試験に特化した極めて専用性の高いものとなる。即ち、各試験や複数の試験の組み合わせ毎に、新たなデバイスが必要となる。
【0004】
デバイスがその流体制御経路及びそこで採用される動作様式を達成するためにどのような構成を取るかによって、実施可能な試験の数および種類が決定されることになる。2以上の試験を実施可能に構成されたデバイスは、同種(homogenous)検査プラットフォームと異種(heterogenous)検査プラットフォームとに大別される。これら2種類の間の相違、また、各種類内での相違ゆえに、「試験」(test)をその試料源で呼ぶのか、測定対象となる変数で呼ぶのか、それともその両方で呼ぶのかによって、多少の混乱が生じる場合がある。明確化のために、本明細書では「(1つの)試験」(a test)、「複数の試験」(multiple tests)、又は「1又は2以上の試験」(one or more tests)との語は、「1又は2以上の単一種類の試験」(one or more of a type of tests)等と同義に用いることを意図する。同種検査プラットフォームでは、複数の試験を二種の方式のうち少なくとも一方の方式で実施可能である。即ち、試験プロトコールを一定とし、試験対象の試料を変化させることができるか、或いは試料を一定とし、試験プロトコールに使用される試薬について、その投与量や投与の順番を変更することなく、その種類を変化させることができる。第一の例では、複数の試料源が同じ化合物について試験されることになり、第二の例では、単一の試料源が複数の化合物について試験されることになる。「試験」(a test)をどう定義するかに関わりなく、何れの例でも、各流体の投与の量及び時系列を一定に維持することで、一つの流体制御ネットワークを試験の種類に応じて較正することが可能となり、続いてこれを対称的に複数の所望の試験について再現することで、全ての試験を同時に画一的な方式で実施することが可能となる。斯かるシステムの対称性ゆえに、これらの流体を駆動するための起動力を印加する手段(ポート、電極、プランジャー等)は、デバイスの種々の反復を予測し得ると共に、デバイスの全体的な寸法を節約するように配置される。これによって、複数のデバイスを共通の分析機器によって操作することが可能となり、惹いては高い商業的価値が生まれることになる。「分析機器」(analytical instrument)との語は、本明細書で使用する場合、デバイスから得られたデータを操作及び分析可能に特別に構成された二次的な機器を総称的に指すものとする。これに対して、異種検査プラットフォームとは、異なる種類、量、及び経時的放出順序が異なる複数の試薬を用いた複数種類の異なる試験を統合したものである。これらの検査プラットフォームは、単一の試料源に対して実施できる試験の多様性ゆえに、より高い商業価値を有するものの、その非対称性ゆえに、同種検査プラットフォームと比較すると、その設計及び操作は桁違いに困難になってしまう。同時に動作可能な異種検査プラットフォームは幾つか存在するものの、それらの商業上の有用性は通常、複数の小型の試験に限定されている。商業上関連する複数の試験を実施する異種検査プラットフォームは、通常は個別に異なる構成を有し、互いに独立に動作可能な複数の流体制御ネットワークを必要とする。これゆえに通常は、システム内で複数の流体を移動させるのに必要な起動力を生じさせる手段(ポート、電極、プランジャー等)の配置の予測は不可能である。従って、複数の異なる分析機器を使用するか、これらのシステムを操作可能とする複雑なアダプターを使用する必要が生じるが、これらは何れも商業上好ましくはない。
【0005】
設計及び操作の困難性、個別要素への不可分性、及び総体的な自己完結性に加えて、これらのデバイスの多くは耐故障性に乏しく、製造が困難である。例えば、多数の分析試薬を処理するデバイスの有効期限は、これらの試薬のうち最短の寿命を有するものによって決定される。製造の観点からは、単一のデバイスにおいて実施される複数の試験として、有効期限及び保存条件の面で互換性のあるものを計画的に組み合わせることにより、各デバイスの稼働寿命を最大化することが好ましい。これにより、斯かるデバイスの有用性を最大化するための妨げとなってきた、複数の同等の試験を実施するのに必要な複数のデバイスを多様化することが可能となる。デバイスが個々の構成部分に分離不可能な場合、デバイスの個々の要素について個別に故障試験を行うことはできず、これが連続的製造プロセスとも相まって、デバイス組立時のリスクプロファイルを増加させる原因となっている。即ち、どれか一つの要素でも仕様に適合しない場合、デバイス全体が犠牲となってしまい、そのコストが増大してしまうことになる。同様に、欠陥を有する構成要素を交換できないと、製造後に分析試薬、センサー、又は他の材料が寿命に達した場合や、予想よりも早く使用不能又は機能不全に至った場合に、製造ロット全体がリスクに晒されることになる。
【0006】
前述したように、単一の試料源から可能な限り多くの種類の試験を実施すると共に、共通の分析機器を用いたシステムの試験能力を多様化するべく、デバイスを異なる方法で繰り返し使用することが、商業上は好ましい。このためには、各デバイスの繰り返しには、共通の分析機器と作動式に連携するための作動機構及び全体寸法の双方を節約しなければならない。これは即ち、試験環境に応じて、実施される複数の試験集合の総反応量を収容するように、流体制御ネットワークのスケールを拡大又は縮小しなければならず、システムに統合される試験の数が増加するほど、物理的スペースを開放するために試験当たりの総反応物量を縮小しなければならないことを意味する。流体制御ネットワークの物理的レイアウトは主に設計上の問題であり、それ自体に制約がある。試験の総反応物量、特に試料量を低減できるのは、より大きな系を有意義に反映する範囲に限られる。従って、多くの生物分析系のように希釈環境中に少量の標的が存在する環境では、十分な試料サイズを確保して有意義な試験を行わなければならない。即ち、流体制御システムを拡大してより多くの反応物を扱えるようにしなければならず、これによりデバイスが実施可能な総試験数が制限されることになる。これも商業上は好ましくない。従って、所与の試験を実施するのに必要な流体制御ネットワークを簡素化することにより、物理的痕跡を低減することが商業上好ましい。
【0007】
これで十分に網羅される訳ではないが、商業上実用しうる微小流体カートリッジ設計は、十分な試料サイズに対して精度、感度、及び再現性を以って、複数種の試験を実施することを可能とすべきである。大きな設計変更を要することなく新たな試験又はその組合せに適応できるように、流体制御ネットワークを簡素化及び標準化すべきである。デバイスの動作様式及び全体寸法は、複数のデバイスを単一の分析機器で操作可能なものとすべきであり、デバイスは商業スケールで容易に製造でき、故障検査や故障耐性も改善されたものとすべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、複数の可能な分析カートリッジを作製するためのモジュラーシステムの使用、共通の連続流式流体制御ネットワークに由来するモジュラー分析カートリッジを作製するための方法、分析タスクの1又は2以上の工程を実施するよう操作可能とすることができる複数の可能なモジュール型、自己完結したデバイスとして分析タスクを実施するよう操作可能な複数の可能なモジュラー集合体、分析カートリッジにおける個別包装された複数の試薬の使用、分析カートリッジにおける直列化された試薬クラスターの使用、分注可能材料を分析タスクに対して放出する順序をプログラムする方法、並びに、種々の分注可能材料を2以上の分析タスクに対して放出する順序を経時的に同期する方法に関する。
【0009】
本発明のある側面は、流体制御型システムの種々の側面に関する。本明細書の文脈において、「流体制御ネットワーク」、「流体制御構造」、及び「流体制御経路」との語は、以下のように用いられる。「流体制御経路」(fluid control pathways)とは、二つの構造の間で流体材料の移送を可能とするパスを画定する構造を指す。「流体制御構造」(fluid control structure)とは、流体制御ネットワークを含む種々の構造要素、例えば容器や分析チャンバー等に関する。「流体制御ネットワーク」(fluid control network)とは、流体制御システムの総体を指し、種々の流体制御経路及び流体制御構造の物理的配置を含むと共に、とりわけこれらの物理的配置を指す。これらの物理的配置によって、複数の分析材料の制御された混合が可能となる。同様に、「動作モード」、「作動機構」、及び「動作方法」との用語は以下のように用いる。「動作モード」(mode-of-operation)とは、種々のモジュール又はモジュラー集合体の内部で用いられる傾度力の種類、例えば遠心分離力、圧力傾度力、電気化学起動力等を指す。「作動機構」(mechanism-of-operation)とは、傾度力を発生させるのに使用される手段、例えば線形アクチュエータ、遠心分離機、空圧式又は蠕動式ポンプ等、或いは電流等を指す。「動作方法」(method-of-operation)とは、カートリッジをどのように操作するかを意味し、通常は自動、手動、又は自動及び手動プロセスの組合せを指す。斯かるプロセスは、所定の段階的プロセスを自動化するべくプログラム又は機械構成されたコンピューター支援デバイスにより、及び/又は、ヒトの手を用いてデバイスを把持又はその他の手法で操作することにより、容易化することができる。
【0010】
理解されるように、特定の試験指令の環境として、多数の物品を用いることにより、複数の異なる種類のモジュールを相互接続し、複数の流体の運動を制御し、カートリッジの動作に必要な種々のタスクを実施してもよい。斯かる物品としては、一義的に配置された共働機能アタッチメント、共働スライド及びスライドガイド、クリップ、アップリケ、或いはその他の、特定のモジュールの集合体を特定のカートリッジ型へと指示することが可能な手段;空洞、ブラダー、及び/又は、包装済みの試薬セルを用いて流体を受容、保存、及び/又は利用可能とする手段;ジュール内及びモジュール間での流体移送を可能とする手段、特にチューブやチャネル、或いは他の幾何学的形状の、移送を容易とし、可能であれば流体の分離を容易とする手段;相互接続された複数モジュールの共働流体移送経路間での流体の相互関係及び移送を改良する手段、例えば機械的封止材、ガスケット、滅菌封止バリアー、又は自己回復ストッパー;流体制御を改良する手段、例えばスイッチ、チューブ、弁、チョークポイント、ダイバータ、穿孔デバイス、シャント、ポート、ベント、ガスケット、圧縮フォーム、及び/又は、磁化若しくは磁性材料;分析用試料を調製することを意図する機械的又は化学的手段、例えば分析試薬、膜、篩、フィルター、又はモジュールを遠心分離するための機構;分析手順に関連するデータの取得を支援する手段、例えば電気的、化学的、及び/又は光学的手段:センサー、メーター、フィルター、光電子増倍管、偏光子、又は遮光性、反射性、若しくは透明な材料、構造、若しくはアップリケ;モジュール又はモジュール集合体の内部又は周囲で発生させた電流を用いてデバイスの動作を更に可能とする手段、例えば電気回路、導電性材料、蓄電デバイス、例えばバッテリーやキャパシター等;並びに、モジュールを他のモジュールに対して、他のモジュールの内部又は周囲に設けられたガイドパスにより、相対的に移動可能とする手段、例えばプランジャー、選択的モジュール配置、線形アクチュエータ、スライド、又は他の種類の動作を配向させ、若しくは動作を付与するデバイス等が挙げられる。
【0011】
本発明の一側面によれば、液体又は半固体環境で1又は2以上の分析試験を実施するよう操作可能な、広範な種類の分析カートリッジの作製を可能とするよう構成されたモジュラーシステムが提供される。このモジュラーシステムの種々の側面によれば、複数の可能なモジュラー集合体を最終的な組み立て状態とした場合の全体寸法及び作動機構を節約することが可能となる。これにより、前記システムに由来する複数種のカートリッジを、共通の分析機器により操作することが可能となる。モジュラーシステムの他の側面によれば、分析プロセスの1又は2以上の工程を機能的自己完結型ユニットとして実施するよう操作可能とされた複数の個別のモジュールとして製造される、複数の流体制御構造の機能集団が提供される。これにより製造プロセスをセグメント化することができるので、クリーンルーム等の専用施設を必要とするモジュールの製造コストを、より専門性の低いモジュールから切り離すことが可能となると共に、種々のモジュールを商業的に意味のある製造スケールで製造するスケーラビリティも改善される。このシステムの他の側面によれば、最終的に組み立てられたデバイス形態とは独立に、個々のモジュールの故障検査が可能になると共に、最終的に組み立てられたデバイスの故障耐性も改善される。例えば、試験の初期設定前の任意の時点において、あるモジュールが動作仕様を満たさない場合、許容しえない困難やデバイス全体を犠牲にする恐れ等を伴うことなく、このモジュールをデバイスから容易に切り離し、機能するモジュールと交換することが可能となる。このモジュラーシステムの更に他の側面によれば、独自の作動機構が実現される。特定のモジュラー集合体によれば、あるモジュールを別のモジュールの内部に配置し、このモジュールに対して相対的に移動させてもよい。このシステムにより実現される多くの種類のカートリッジは、モジュール内及びモジュール間における流体の運動を誘導するために空気圧駆動圧力勾配を用いるが、この種類のモジュラー配置を有する特定の態様では、当該システムにより提供される追加の側面を操作するべく、2つのオブジェクトを互いに内側に運動させることにより付与される圧縮力を利用した機械力を用いてもよい。本発明のモジュラーシステムの他の側面によれば、共通の流体制御ネットワークに由来する複数の共働モジュールの一義的組立パターンを、特定のモジュラー集合体へと誘導する手段が提供される。これにより、最終的に組み立てられたデバイスの動作を可能とすることもできる。これは例えば、デバイスを1又は2以上の位置において誤って組み立てる可能性を有するモジュラーシステムを用いる場合に好ましい。斯かる手段としては、複数の共働モジュール間における共働機能アタッチメントの1又は2以上の物理的要素の特定の配置及び相互関係、及び/又は、適切なモジュラー集合体の視覚表示を提供するアップリケや他の視認要素が挙げられる。これらは、分析デバイスの種類やその特定の動作パラメーターに関する情報を更に有していてもよい。また、斯かる手段として、複数の共働モジュールの周囲に電子回路の部分を設け、適切に組み立てた場合にのみ閉回路が形成されるようにした構成も挙げられる。これに伴い、カートリッジを操作可能に設計された分析機器に対して、カートリッジの動作に関する情報を導通させるように構成してもよい。当該システムの他の側面は、特定の分析タスクの要請に応じて、個々のモジュールの物理的寸法及びそれら相互の配置を変更することが可能であると共に、最終的なデバイス形態の標準的な全体寸法及び作動機構に適合することが可能であるという能力に存する。これにより、本発明のモジュラーシステムは、共通の分析機器に依存しながらも、広範な種類の分析タスクの実施に対して高い適応性を有する。
【0012】
本発明の別の側面によれば、分析試験を閉鎖型システムとして実施するよう操作可能なモジュラー分析デバイスを作製する方法が提供される。当該方法は、試料に対して実施される1又は2以上の分析試験を選択する工程;選択された分析試験を実施するよう操作可能な、とりわけ流体制御経路により作動式に相互接続された必要な流体制御構造を構成する、連続流式流体制御ネットワークを設計する工程;流体制御ネットワークを、当初の流体制御ネットワークを再組み立て及び再構築するのに十分な共働モジュラー性を有する複数の個別の製品として製造するのに適した、複数の機能集団に分割する工程を記載する。機能部位内に含まれる流体制御構造の選択は、各試験の環境に応じて変更しうるが、製造及び動作の観点からは、類似の機能を有する流体制御構造の機能部位を作製することが好ましい。例えば、分析チャンバーが滅菌状態に維持しなければならない分析試薬を保持するように構成されている場合には、前記チャンバーのみを有する機能部位を個別の製品とすることが好ましい。この例では、単一のモジュールを滅菌環境下で操作可能とし、密閉して分離施設に輸送し、そこで分析試験を実施するのに必要な他の要素を有する追加のモジュールと連結することができる。しかし、単一のモジュール内で複数の流体制御構造の異なる組合せを構成してもよい。これは、例えば前述したモジュール態様に廃液容器を含める場合のように、特定の環境では好ましい。
【0013】
本発明の別の側面によれば、前記試験を実施するのに必要な分析材料を含めることにより、分析試験の1又は2以上の工程を実施するよう操作可能とすることができる複数の可能なモジュールが提供される。以下に選んだ可能な態様は、種々の動作の場面にて表される数々の可能なモジュール態様の種々の側面を説明するために提供されるものである。可能な態様の含有や除外は、如何なる点でも限定的なものではなく、むしろ選択されたモジュール態様の種々の側面について、より広範な局面を伝えるべく提供されるものである。これらのモジュールの一側面は、1又は2以上の分析タスクを実施可能に構成された共通の流体制御ネットワークから機能的に低減され、個別化された1又は2以上の流体制御構造の含有である。「機能的に低減された」(functionally reduced)との用語は、1又は2以上の流体制御構造、それらの対応する流体制御経路、及び他の必要な装備又は材料を、選択された流体制御ネットワークの一体の機能部位へと統合することを意味する。同様に、「個別化された」(personalized)との語は、操作可能な機能部位が流体制御ネットワークから物理的に分離され、個別モジュールとの関連で不可分且つ操作可能な状態で設けられていることを意味する。例えば、斯かる流体制御構造としては、分析試験の過程で使用される分析試薬、試料、又は廃液を保存、分注、及び/又は、保持することが可能に構成された種類の容器が挙げられる。別の例としては、種々の材料を制御された方式で混合し、或いは実施されている試験に関連する情報の収集を可能とする場所として機能する、混合チャンバー及び/又は分析チャンバーが挙げられる。モジュールの別の側面としては、他の流体制御構造、蓄電デバイス、センサーを具現化した、或いは単にデバイスの全体寸法及び/又は動作モードを節約する機能を有する、各種のモジュールサブアセンブリーを収容するように構成された、実質的に固体の構造、区画、又はスロットとして具現化された機能構造を有していてもよい。他の例としては、2以上の機能を単一の構造に統合した多用途構造、例えば二重混合/試料容器等が挙げられる。流体制御構造については数多くの種類及び配置が考えられるが、斯かる構造を含めるか否かは、試験を実施する環境に依存することになる。また、各モジュールは更に、異なる種類の分析タスクを可能とする装備、例えばフローサイトメトリーを実施するためのフロー開口部、荷電材料の電気泳動分離を可能とする電流を発生させる電極、或いは、モジュール内又はモジュール間に圧力勾配を印加するべく種々のモジュールの気体又は液体の付加又は除去を可能とするポートが挙げられる。モジュールの他の側面としては、モジュール集合の動作を可能とするべく機能しうる2以上のモジュールの特定の組立パターンを補助するために使用できる機械的手段が挙げられる。これらのモジュールの他の側面によれば、1又は2以上の選択された共働モジュールと協調するモジュールの周囲に設けられた共働機能アタッチメントの1又は2以上の要素を含む。例えば、共働機能アタッチメントの要素としては、歯溝クリップの歯が挙げられる。この場合、一方のモジュールに歯を配置し、共働モジュールに溝を配置し、これら双方の要素の位置合わせは各モジュールに選択的とする。別の例としては、スライド/スライドガイド集合体が挙げられる。一方のモジュールにスライドを設け、共働モジュールにスライドガイドを設け、集合体の幾何学的形状、例えば箱型スライド、バレル型スライド、又は三角形型スライド等は、共働モジュールに選択的となるようにする。これらのモジュールのある態様によれば、モジュールの1又は2以上の側面に開口するように、1又は2以上の流体制御経路が設けられる。モジュラー態様の種類に応じて、これらの開口は入口及び/又は出口とする。これらの流体制御経路の別の側面としては、これらの入口又は出口の物理的配置を、共働モジュールの流体制御経路と連携し、共働するようにする。同様に、これらのモジュールの特定の態様は、モジュールに内在する流体制御構造内に材料を包含するために、封止可能である。この封止材のある側面によれば、モジュール間の流体連結を許容するべく、封止材は可逆的である。これを達成する手法は多数考えられる。例えば、第一のモジュールが、流体制御経路内に作動式に収容された穿孔デバイスを有し、これによりその開口上に粘着性バリアーを配設可能に構成するとともに、第二の共働モジュールが、操作可能な直径を有する突起を有し、これが第二のモジュールから延在し、粘着性バリアーによって封止されるように構成する。これら2つのモジュールを動作前状態へと組み立てると、2つの経路が相互に接触することなく作動式に対向する。分析タスクを実施するべくこれを作動させると、第二のモジュールの突起が第一のモジュールの粘着性バリアーを穿孔すると共に、第二のモジュールの粘着性バリアーが第一のモジュールの流体制御経路内に収容された穿孔デバイスによって穿孔される。或いは、第一のモジュールが自己回復型ストッパーを有すると共に、第二のモジュールが露出した穿孔デバイスを有するように構成してもよい。この配置では、実施される試験の動作パラメーターに応じて、これら2つのモジュールが穿孔デバイスを1回又は2回以上に亘って挿入・抜去するように動作される。繰り返すが、これらは1又は2以上の封止されたモジュール間で流体連結を確立するために可能な手段の一部の例に過ぎず、本発明の特定の態様の動作に必要となり得る動作的側面の背景を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、分析カートリッジ中での個別包装試薬の仕様を提供する。本発明のこの側面によれば、複数の分析試薬の所定量がそれぞれ個別の製品として具現化される。これらを「湿潤セル」(wet cells)と呼ぶ。湿潤セルとブリスター包装や予充填試薬との違いは、湿潤セルは物理的にデバイスから分離されており、流体制御ネットワークには組み込まれておらず、また、その内容量は包装によって規定されており、従来配置される固定容器の充填量ではないという点である。これらは自己完結型の個別製品であり、試薬クラスターと相互接続する手段によって使用される。斯かる手段としては、留め金、ネジ連結具、粘着材、又は単なるグループ化が挙げられる。これらは個別包装試薬を用いることで、多くの利点や有用性を有する。試薬の所定量をバルクで製造し、後に別の場所で分析デバイスに組み込むことができる。また、個別包装されているため、静止状態の流体の拡散を防ぐために必要な複雑な流体封じ込め戦略を不要とし、複数の試薬を種々のモジュラー集合体の異なるモジュール内に共局在化させると共に、試薬放出機構をより簡略化することができる。廃液も減らすことができる上に、機能不全や寿命に達した場合は容易に交換することができ、特定の試薬については有効期限を延長するために、特殊包装とすることもできる。例としては、感光性試薬を封入するための遮光材料等が挙げられる。これらの湿潤セルの更なる側面によれば、試験環境の要請に応じて、分析材料の単回使用量又は多回使用量を湿潤セル内に封入してもよい。
【0015】
本発明の別の側面によれば、直列化された試薬クラスターとして物理的に具現化された、プログラム可能試薬送達システムが提供される。この直列化試薬クラスターの一側面は、分析試験の動作プロトコールを、分析試験を実施するのに必要な分注可能材料を含む複数の湿潤セルの所定の物理的配置へと変換するものである。前記湿潤セルは、分析試験により用いられる第一、第二、第三等の試薬の順序に応じて、直列に配置される。斯かる直列配置によって、前記配列の各セルに対するカニューラの直線的な挿入を、経時的に制御しながら順次行うことができ、これにより前記カニューラを介して各セルの内容物を分注することが可能となる。この直列化された試薬クラスターの他の側面によれば、本発明の他の側面により提供される作動機構を利用することも可能となる。例えば、上述したような2つのモジュールを相対的に移動させることにより生じる圧縮力、他のモジュラーサブアセンブリーを収容するスリットを有しうるモジュール、或いは、二重機能プランジャーシステムを有するシリンジ様分析システムにおける斯かるシステムの使用について、以下に説明する。
【0016】
本発明の別の側面は、圧縮型に関する。当該システムを駆動する作動機構に応じて、特定の態様では、圧縮型の使用を必要とする場合がある。圧縮型とは、試薬集合の形成に際し、直列化された試薬クラスターを受容するように構成された開口を有すると共に、カニューラに対して相対的に移動させるように作動可能に構成された構造を有する。圧縮型の機能は、試薬クラスターのセルを包含して圧縮するための空間の提供にある。斯かる圧縮は、前記直列配置内の各セルを圧縮するよう操作可能な試薬クラスターの末端に対して、圧縮力を印加することで行われる。この圧縮型の特定の態様によれば、圧縮力による直列化試薬クラスターの圧縮により前記開口の壁に変形力が生じた場合に、斯かる変形に対する耐性を有する剛性材料を用いて生成しうる。圧縮型の他の態様によれば、圧縮型及び直列化試薬クラスターの双方が圧縮力により圧縮された場合に、1又は2以上の直列化された試薬クラスターの変形に抗する作用を有する、圧縮性及び弾性の特性を有する材料を用いて生成しうる。斯かる圧縮型は、装置内で漏出した分注可能材料を吸着するよう操作可能な吸着性を有していてもよい。また、この試薬集合の特定の態様によれば、直接カニューラを有してこれを位置づけるように構成されていてもよいが、他の態様によれば、デバイス周囲の他の場所にカニューラを配置する方がより好ましい。直列化試薬クラスターの別の側面によれば、単一流体連結経路に沿って複数の流体と連通する能力も提供される。本側面によれば、本発明により実現されるデバイスの流体制御ネットワークの構造を劇的に簡素化することができ、惹いてはより大きなスペースを確保してより多くの試験を行うことが可能となる。
【0017】
本発明の別の側面によれば、湿潤セル及び乾燥セルの双方を有する直列化試薬クラスターを用いた1又は2以上の分析試験の動作をプログラムする方法が提供される。分注可能な内容物を有さない乾燥セルは、湿潤セル間を物理的に分離することによりインキュベーションサイクルを提供する機能を有する。乾燥セルの内部体積により提供される分離が大きいほど、インキュベーション期間もより長くなる。乾燥セルは、複数の処理サイクル間のインキュベーションサイクルを許容することにより、複数の直列化試薬クラスターを時間的に同期し、複数の分析試験を並列に実施することが可能となる。斯かる構成は、試薬クラスターを個別に又は纏めて、段階的に又は連続的に駆動することにより達成することができる。斯かる方法論及び装置の使用により、流体制御ネットワークの物理的配置とは概ね独立の方式で、1又は2以上の分析試験を構成することが可能となる。これにより、同等の動作プロトコール、或いは、種々の分析試薬の種類、投与量、及び投与時機が異なる極めて多様な動作プロトコールを伴う、複数の異なる種類の試験を実施する高次元の適応性が提供される。
【0018】
本発明の別の側面によれば、複数の可能なモジュラー集合体は、単一デバイスの態様において、1又は2以上の分析試験を実施するのに必要な分析材料を含めることにより、斯かる試験を実施するよう操作可能に構成してもよい。以下の可能な態様の選択は、本発明を種々の状況において説明するために供するものである。可能な態様を含めるか否かは、如何なる意味でも本発明を限定することを意図するものではなく、むしろ本発明のより広い態様を伝えるためのものである。複数の可能なモジュラー集合体を用い、液体、半固体、懸濁固体、又はこれらの組合せにおいて、1又は2以上の分析試験を自己完結システムとして実施できるよう構成することができる。前記システムは、1又は2以上の分析試験を実施するべく操作可能な閉鎖型連続流システムを有する2以上のモジュールのモジュラー集合体、例えばシリンジ系システム、電気泳動システム、セル培養システム等であってもよい。
【0019】
本発明には多数の用途が考えられる。その中には、流体系の分析論又は半固体又は懸濁固体環境下の分析論を用いる技術分野が含まれる。本明細書で提供される態様は、本発明の概略的な有用性を、少数の選択された状況との関連で説明することを意図したものであり、可能なモジュール配置、カートリッジ態様、或いは本発明のあらゆる可能な有用性を網羅的に列記することを意図したものではない。本明細書に記載された機能要素の数及び種類は本発明の限定を意図したものではない。具体的な分析手順の仕様として、異なる数及び種類の機能構造を含めることが好ましい。全ての機能構造、変形例、或いは可能な配置が、本明細書に記載されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1Aは、モジュール1、容器11、箱型スライドガイド12、フランジ13、カニューラ14、及び空圧ポート15を含む、可能なモジュールを示す。
【0021】
図1B図1Bは、モジュール1、カニューラ14、及びバルブ集合体を含む、図1Aに記載のモジュールの別態様を、押圧状態16及び開放状態17で示す。
【0022】
図2図2は、モジュール2、容器21、円筒状スライドガイド22、フランジ23、カニューラ24、及び空圧ポート25を含む、可能なモジュールを示す。
【0023】
図3図3は、モジュール3、開放スロット31、円筒状スライド32、箱型スライド33、及び箱型スライドガイド34を含む、可能なモジュールを示す。
【0024】
図4図4は、モジュール4、閉鎖型構造41、円筒状スライド42、及び箱型スライド43を含む、可能なモジュールを示す。
【0025】
図5図5は、モジュール5、箱型スライド51、混合チャンバー52、入口53及び54、出口55及び56、並びに機能アタッチメントの点57を含む、可能なモジュールを示す。機能アタッチメントはモジュールの反対側にも対称的に存在するが、明確化のために省略している。
【0026】
図6図6は、図1~5に示したモジュールの組立パターンを説明するための拡大透視図である。これらのモジュールは、第一のアタッチメントでモジュール2と5との間をパス61を通じて連結することにより集合2:5を形成し、第二及び第三のアタッチメントで集合2:5とモジュール3及び4との間をパス62及び63を通じて連結することにより集合2:5:3:4を形成し、第四のアタッチメントで集合2:5:3:4とモジュール1との間を連結することにより最終的な集合2:5:3:4:1が形成される。種々のスライドガイドによって、更なるモジュールの集合体を操作可能な最終形態へと組み立てる際に、組み立ての特異性を付与することができる。例えば、モジュール5をモジュール3及び4と相互接続することにより、モジュール2は集合から排除される。これは、モジュール3及び4上に存在するスライドガイドが円筒形状を有するためである。これ故に、前記モジュールを、モジュール2上に存在するスライドガイド内に特定の方式で挿入する必要がある。
【0027】
図7A図7Aは、4つの図からなる組の第一の図であり、モジュール1~5、通常は矢印70~73で表される4つの相互接続パス、並びにポート74及び75を含む5モジュール集合の相互接続及び動作を表す。
【0028】
図7B図7Bは、モジュール1~5を静止組立状態で示す図である。
【0029】
図7C図7Cは、図7Bに示したモジュール1~5の透視図であり、斯かるモジュール内の種々の内部構造の仮想的な配向及び配置を示す。
【0030】
図7D図7Dは、図7の最後の図であり、矢印76及び77は、モジュール3及び4をどのようにモジュール5(点線)の内部へと相対的に移動させるかを示す。斯かる動きによって、モジュール3及び4に設けられる材料が圧縮される。
【0031】
図8図8は、図7Cには示されていない、可能な試薬モジュールを示す。前記モジュールは、一連のカニューラ81、圧縮型82、分注可能内容物の存在を示す幾何学形状を含む湿潤セル83、分注可能内容物が存在しないことを示す黒四角の乾燥セル84、6つの分析プロトコール85.1~85.6を実施するように配向された種々の直列化試薬クラスター85、4段階の操作86.1~86.4への時間的同期86、明確化のため空箱として示されるモジュールハウジング87、並びに、種々の要素を操作可能な集合体へと組み立てた試薬モジュール88を含む。
【0032】
図9図9は、流体連結の複数のパスを有する可能な反応器モジュール90を示す。流体連結の第一のパスは入口91から開始し、一連の混合チャンバー95内を進行して、出口92で終了する。流体連結の第二のパスは入口93から開始し、個々の混合チャンバー95内を進んで、出口94で終了する。
【0033】
図10図10は、図7Dにて前述したように、図8に示す試薬モジュールを図9の反応器モジュールの内部へと相対的に進行させることにより、試薬モジュールと反応器モジュールとがどのように操作されるかを示す図であり、項100~104を含む。項100は、前記の反応器と試薬モジュールとの静止状態における操作可能なインターフェースを示す。更に、他の図に記載の幾つかの特定及び非特定の要素を示す。本図において数字で示されているが特定されていない要素については、要素に関連づけられた識別番号の最初の数字を参照すれば、斯かる特定の要素を示す図を見つけることができる。例えば、項81は図8に示されている。前記要素はカニューラ81及び圧縮型82を有し、圧縮型82の一側面には反応器モジュールの入口93が配置され、他方の面には直列化試薬クラスター85.1~85.6が配置される。可動配置では、反応器モジュールは試薬モジュール内に侵入する。これは前述したように、反応器モジュールの箱型スライド51と試薬モジュールのスライドガイド34とによって提供される。項101は、試薬モジュールを反応器モジュールに対して少しだけ前進させた状態を示す。これにより、カニューラによって第一のセルの時系列86.1が穿孔され、分注可能内容物が個々の混合チャンバー内へと放出される。項102~104は、更に段階的に進行させることにより、時系列86.2~86.4を順に放出させると共に、対応する使用済み材料の出口94からの排出105を示す。
【0034】
図11図11は、種々の試薬クラスターを接近させる別の方法を示す。図10と同様、項110~113は、スライドプランジャー110.1又はねじプランジャー110.2を用いることにより、試薬クラスターがカニューラ81に対してどのように押圧されるかを示す。
【0035】
図12図12は、別の可能なモジュラー集合体120を示す。本集合体は、プランジャー押圧部121、プランジャーシャフト122、通気式可撓性隔壁を有する双方向プランジャー123、試薬モジュール124、二重機能式試料/反応器モジュール125、ねじ式雄コネクター雄コネクター126、及び蓋127を含む。前記試薬モジュールは更に、通気式試薬モジュールハウジング124.1、直列化試薬クラスター124.2、並びに、カニューラ及び試薬ハウジング124.3を含む。
【0036】
図13A図13は、図12に示す態様の動作に関する選択的な側面を示す。項130は、デバイス120、試料源130.1、及びプランジャー装置を含む閉鎖型状態を示す。項131は、プランジャー押圧部121を上方に引く動作131.1、プランジャーシステムと試薬モジュール131.2との間の空間の拡大、減圧131.3の形成、及び、二重機能式試料/反応器モジュール内への試料131.4の移動を示す。項132は、デバイスの蓋124による密封132.2を示す。この配置では、試薬モジュールの開口132.2を図示している。
【0037】
図13B図13Bは、図13Aに示すデバイスの動作に関する追加の側面を示す。項133は、プランジャー押圧部120の押圧133.1、二重機能式プランジャーシステムの固定型通気式隔壁133.2及びプランジャー133.3への分解、並びに、試薬モジュール132.2の開口を示す。項134は、プランジャーシステム134.1の更なる前進によって、プランジャーが試薬クラスター134.2に対して押圧されて、試薬モジュール134.3内へと進行し、これによって順次、セルの内容物が二重機能式試料/反応器モジュール134.4内へと放出される。
【0038】
図14図14は、仮想的流体制御ネットワークを個別のモジュールとして製造し得るように操作可能な複数の機能部位へと分割する方法を示す。項140は、分析タスクを実施するよう操作可能な、仮想的閉鎖型連続流式流体制御ネットワークを示す。斯かるネットワークは、試料容器S、混合チャンバーM、廃液コンテナーW、及び、4種の分析試薬を保持するための容器r1、r2、r3、r4からなる。更に、流体連結の第一のパスを示す直線矢印と、流体連結の第二のパスを示す点線矢印とを含む。前記ネットワークに向かう直線又は点線の波線矢印は、当該ネットワークを通じて流体を推進する手段(例えば高圧力)の印加を示す。一方、前記ネットワークから外に向かう直線又は点線の波線矢印は、当該ネットワークを通じて流体を抜き出す手段(例えば低圧力)の印加を示す。項141は、当該ネットワークの4つの可能な機能部位A、B、C、Dを示す。項142は、当該ネットワークを更に機能的に簡略化して得られる、4つの可能な機能部位A’、B’、C’、D’を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1Aは、第一のモジュール1に存在し得る種々の機能要素を示す。前記モジュールは、試料チューブ14、ポート15、モジュールの基材により包囲された内腔11、並びに、2つの共働モジュールから機能アタッチメントを受容することが可能な、2つの独立の可逆的機能アタッチメント対12及び13を含む。内腔11に関して、前記内腔は、ある量の流体材料、例えば使用又は未使用の分析試薬又は試料等を保持するのに使用し得る。前記流体材料をこの内腔内に配置するには、供給チューブ14を前記流体材料の供給源と流体連結し、次いでポート15を通じて気体又は他の材料を内腔から除去する。これにより、内腔を通じて圧力勾配が形成され、結果として流体材料が内腔内に引き込まれることになる。しかし、他の選択肢も利用可能であり、一部の分析試験には他の選択肢の方が好ましい場合もある。例えば、内腔の全内容物を抜き出した後、前記内腔を穿孔可能バリアーで封止することにより、前記内腔内を真空状態としてもよい(図示せず)。続いて、前記サプライチューブの一端を材料供給源と連結し、他端の封止材を穿孔することにより、前記チャンバーの内圧が平衡状態へと移行するに伴って、流体材料を前記内腔内へと誘導することができる。或いは、図1Bは、モジュール1の内腔と作動式に連結されたスクイーズバルブ16を用い、この内腔内に圧力勾配を形成する更に別の動作方法を示す。スクイーズバルブ16を手動で圧縮することにより、内腔の内容物を排出することができる。その後、試料チューブ14を材料供給源と連結し、次いでスクイーズバルブを開放することにより、スクイーズバルブが当初の状態17へと復帰しようとするのに伴って、流体材料を内腔内に誘導することができる。本発明の文脈を逸脱することなく前記内腔を充填するために、記内腔を通じて圧力勾配を形成する方法は、多数存在する。本明細書に挙げる方法は、例示目的のためだけに選択された例に過ぎない。モジュールに存在しうる機械的特徴要素としては、可逆的機能アタッチメントの種々の態様が挙げられる。例えば、何れかの側の共働モジュールからスライド(図示せず)を受容するスライドガイド12と、共働モジュールの溝に嵌合するように形成された、或いは共働モジュールの溝と連結可能な歯等のクリップの要素を有する様に形成された突出フランジ13との対が挙げられる。これは、いかに単一のモジュールが3つの更なるモジュールを受容し、4つのモジュールからなる集合体を生成しうるように構成するかを示す例である。理解されるように、複数の異なる分析タスクには、2又はそれ以上のモジュールを含む分析カートリッジが好ましく、これらも本発明の文脈に合致する。
【0040】
図2は、第二のモジュール2に存在しうる種々の機能要素を示す。前記モジュールには、試料チューブ24、ポート25、モジュールの基材により包囲された内腔21、並びに、2つの共働モジュールからの機能アタッチメントを受容しうるように構成された2つの独立の可逆的機能アタッチメントの対12及び23が含まれる。
【0041】
図3は、第三のモジュール3に存在しうる種々の機能要素を示す。前記モジュールには、スロット31、モジュール内に配置されたスライドガイドの対として具現化された、スロット内の共働モジュールを受容するための第一の可逆的機能アタッチメントの対34、幾何学的に区別可能なスライド32及び33として具現化され、各スライドに設けられた異なる共働モジュールの一義的アタッチメントを提供する、可逆的機能アタッチメントの第二の組を含む。
【0042】
図4は、第四のモジュール4に存在しうる種々の機能要素を示す。前記モジュールは、流体制御ネットワークに関する機能構造を有さなくともよく、むしろデバイスの最終組み立て形態に特定の全体寸法を付与するのに必要な特定の配置を供すればよい。また、斯かるモジュールに、バッテリー、キャパシター、レジスター、或いは他の電気デバイス(図示せず)を収容させ、これらを用いて分析カートリッジに対するエネルギーを保持、供給、又は調整してもよい。
【0043】
図5は、第五のモジュール5に存在しうる種々の機能要素を示す。流体制御ネットワークを含む当該モジュールは、モジュールの周囲に設けられた一連の入口53及び54並びに出口55及び56と、一連の混合チャンバー52と、一端に共働モジュールを連結する溝57の形態を有する可逆的機能アタッチメントの要素とを含むと共に、各側に沿って共働モジュールとの可逆的接続を提供する3組のスライド51を含む。更なるモジュールを受容するための更なる要素が前記モジュール周囲に存在していてもよいが、これらは図の明確化のために図示していない。同様に、流体制御ネットワークの配置はあくまでも例示のみを目的とするものである。実施を意図する分析手順の量及び種類によって、多数の可能な配置を用いることができる。ここに図示される流体制御ネットワークの動作的側面は、混合チャンバー52を通じた流体連結の複数のパスである。第一のパスは入口54から開始し、各混合チャンバーを進み、出口55で終了する。第二のパスは独立の入口53から開始し、独立の混合チャンバーを進み、独立の出口56で終了する。現配置では、試料は第一のパスを通じて各混合チャンバー内へと導入される一方で、複数の第二のパスは複数の分析試薬を混合チャンバー内へと導入するのに使用される。
【0044】
図6は、5つのモジュールを有するカートリッジをどのように組み立てるかを示す図である。この図では、前述した第一のモジュール1、第二のモジュール2、第三のモジュール3、第四のモジュール4、及び第五のモジュール5を示すと共に、これらの相互関係を示すべく、前述した種々の可逆的機能アタッチメントによって各モジュールをどのように組み立てるかを示す点線62~64を示す。本例で図示する組み立て順は一義的である。即ち、パス61に沿った第一の接続モジュール5と2との連結を先に行わなければ、パス62に沿ったモジュール3と5との連結、及び、モジュール4と5とを連結し、3モジュール集合体を形成することができない。モジュール1をモジュール集合2、3、4及び5に連結するためのパス63及び64にも同様のことが言える。この特定の態様は、いかにして特定のモジュールの組合せを特定の集合体へと誘導する物理的要素を付与するかを示す例として選択されたものである。斯かる構成は、物理的配置は類似するが分析試験が異なるモジュールからなる、複数の分析デバイスのアレイであって、これらの選択的手段がなければ不適切に組み立てられてしまう可能性がある場合に好ましい。本図において興味深い他の構造要素としては、モジュールの外周周囲を終端とするように配置され、共働モジュールの流体制御経路と連結可能に構成された開放系を形成する、流体制御経路の好ましい配置が挙げられる。更に、直線で示す流体制御経路53及び56は、混合チャンバー52への直接のアクセスを許容する点で好ましい。これにより、前記経路を通じて挿入されるデバイスの直径をより小さくすることができると共に、カートリッジの組み立てに先立ちモジュール内に自動的に分析試薬を導入する手段も提供される。
【0045】
図7は、空圧式及び機械式作動機構の双方を許容しうる可能な5モジュールカートリッジ集合体の組み立て及び動作を、4つの分図A、B、C、及びDにより示すと共に、図1~6により先に図示したような種々のスライド/スライドガイドの有用性を強調する図である。全体寸法及び作動機構が概ね節約された診断カートリッジの有用性は、複数の可能なカートリッジ集合の動作を単一の分析デバイス種へと併合する点で有益である。即ち、数及び形態が類似する複数のモジュールを有するデバイスは、最終目的となる集合体に応じた正しいモジュールを選択する際に、より曖昧となる場合がある。本図では、種々の機能アタッチメントを、共働すると共に、特定のモジュールに対する一義的な組立パターンを促進うるよう選択的となるように使用することを示す。この組み立てスキームの有用性はあくまでも例示を目的とするものに過ぎない。同等の結果を達成しうる配置が複数存在する場合、カートリッジの種類に束縛されない非一義的な機械的集合要素が好ましい状況もあろう。同様に、5モジュール集合に依存した説明は、中程度の複雑さを有するモジュラーカートリッジを提供するべく選択したものに過ぎず、本発明として当該カートリッジ寸法を含意するものでもなく、他の如何なる意味でも本発明を限定することを意図するものでもない。理解されるように、本発明のモジュラー構成は、操作可能な診断カートリッジの多くの可能な配置に適用可能であり、使用分野並びに必要な試験の種類及び量に応じて、更には状況の要請に応じて、2以上のモジュールを有するモジュラー集合体を用いることが好ましい。
【0046】
図7Aは、図1~5において前述した5つのモジュールの、図6に図示した組立パターンを示す。本例の配置では、このカートリッジの組み立ては、廃液モジュール2と反応器モジュール5とを、パス70に沿って相互接続することから始まる。図6に示すように、この配置において、廃液モジュールは、各試薬モジュールを受容するのに必要な連結点を(スライドの形で)提供し、これがパス71を通じて試薬モジュール4と相互接続され、更にパス72を通じて試薬モジュール3と相互接続される。この配置において、2つの試薬モジュールと反応器モジュールとは、試料モジュールを受容するための連結点を提供する。
【0047】
図7Bは、5モジュールの組み立て状態を示す上面図であり、試料モジュール74及び廃液モジュール75に配置された2つのポートを強調して示す。これらのポートはとりわけ、反応器モジュールを通じて圧力勾配を形成するのに使用される。斯かる圧力勾配は、試料モジュール内に存在する試料の反応器モジュール内への運動、及び当該モジュール内での運動を誘発する第一の作動機構として使用できる。斯かる機構は、気体又は液体をポート74から導入すると同時に、気体又は液体をポート75から除去することにより達成される。
【0048】
図7Cは、各モジュールの内部構造の透視図であり、各可能なモジュールの流体制御経路をどのようにして作動式に相互連結し、1又は2以上の選択される分析タスクに特異的な閉鎖型連続流式流体制御ネットワークを形成するかを示すことを意図するものである。
【0049】
図7Dは、モジュール1、2、3、4、及び5により提供されるスライド/スライドガイドに沿って、モジュール3及び4をどのように、モジュール5に対して相対的に内方に進行させるかを示す。この動作は、図3に図示するモジュール3又は4内に存在するスロット内に保持された内容物を圧縮することによる、第二の作動機構を提供するものであり、通常は図示したように、モジュール5(点線)をモジュール3及び4で包囲する動作により明白となる。この例において、モジュール3及び4の内方への移動は、両モジュール3及び4により提供される窓(半円状の切り欠き)がなければ、モジュール5の混合チャンバーによって完全に妨げられることになる。斯かる窓の使用が好ましいのは、分析反応に関する情報を取得するために、各混合チャンバー内の視界が遮られないことが望まれる場合である。
【0050】
図8は、モジュール及び対応する試薬集合可能な配置を示す。あくまでも例示のためであるが、モジュールは、作動式に配置された6つのカニューレ81を含むように図示され、その下には6区画の圧縮型82と、選択的な内容量を有する複数の個別化されたセルとが記載される。前記セルは乾燥セル85(分注可能内容物を含まない黒四角)と、湿潤セル86(分注可能内容物を表す幾何学形状を含む白四角)とからなる。次に、前記セルは6つの仮想的な分析プロトコール85.1、85.2、85.3、85.4、85.5、85.6と垂直に対応する様に配置される。次いで、各セル列は圧縮型内に挿入される。各プロトコールの第一の段階に対応するセルは、カニューラに最も近い位置に配置される。これにより、各セル列は経時的に同期した段階86.1、86.2、86.3、86.4に配置される。続いて、カニューラ81、圧縮型82、及び試薬の列状配置85を含む試薬集合を、前記集合を受容するための操作可能なスロットを有するモジュール87(単純化のために箱状の線で示す)に挿入し、組み立てられた試薬モジュール88を形成する。この場合も、この方法論を用いて複数の分析手順をプログラムすることができる。本明細書に示す例は可能な配置の一つを示すに過ぎない。
【0051】
図9は、一連の混合チャンバー95を通過する複数のフローパスの流体連結を有する、可能な反応器モジュール90を示す。例示のためであるが、入口91から開始した第一のフローパスは、各混合チャンバーを通過して、出口92で終了する。独立の各入口93から開始した第二のフローパスは、混合チャンバーを通過し、出口94で終了する。単純化のために、この図では、図示した流体制御ネットワークと共に使用される流体制御デバイスは示していないが、斯かるデバイス(例えばチョークポイント、弁、ゲート、隔壁、能動及び/又は受動の弁)が、本発明の対象となる種々の種類のモジュール内に存在していてもよい。
【0052】
図10は、項100、101、102、103、104という一連の図を用いて、単一の形態の駆動方式を用いた可能な試薬集合によって、どのように独立の試薬を経時的に制御された方式で個別の分析手順に分注するかを示す。項100は、図8により前述した6つの分析反応の4つの経時的に同期された段階86.1、86.2、86.3、86.4と共に、図9により前述した出口94と流体制御ネットワークとを示す。項105は、出口94を通じた使用済み溶液の廃棄を表す。例示のためであるが、反応器モジュールに対して試薬モジュールを圧縮すると共に、出口94の圧力を低減し、混合チャンバーの内圧を低下させることにより、混合チャンバーを通じて圧力勾配が形成される。項101に示すように、反応器モジュールに対して試薬モジュールを圧縮することによって、直列化試薬クラスターが圧縮され、これにより各セルの内圧が上昇し、カニューラが駆動されて各試薬列の第一のセル86.1へと挿入される。これが、出口94の圧力低下と相俟って、セル内に維持される分注可能内容物のフローを、圧力勾配に沿ってカニューラ内を通過させ、混合チャンバーへと挿入することができる。混合チャンバーの左側から右側に向かって、「xN」は個々のチャンバーと、それに続く仮想的な分析試薬を示す。図101、102、103、及び104は、試薬モジュールが反応器モジュール内へと圧縮されるに従って、各試薬配列が順次に放出される様子を示す。
項101/86.1:x1=インキュベーション、x2=四角、x3=丸、x4=インキュベーション、x5=三角、x6=丸。
項102/86.2:x1=星、x2=インキュベーション、x3=インキュベーション、x4=インキュベーション、x5=星、x6=三角。
項103/86.3:x1=丸、x2=インキュベーション、x3=四角、x4=丸、x5=丸、x6=インキュベーション。
項104/86.4:x1=四角、x2=星、x3=インキュベーション、x4=四角、x5=四角、x6=インキュベーション。
【0053】
ここで留意すべきは、使用済み試薬105を混合チャンバー外に移動させ、ポート94を通じて廃液モジュール(図示せず)内へと移動させるのに必要な陽圧が、連続した各試薬の投与によって生じるという点であるが、廃液材料を収集するための代替案は複数存在するのは明らかである。例えば、混合チャンバー及び他の流体制御経路とは分離した反応器モジュールの内部構造を、使用済み溶液を保持するように構成してもよい。同様に、複数の廃液モジュールを反応器モジュールの外周周辺に配置し、複数の異なる流体制御ネットワーク毎に別の構成の廃液出口を利用可能としてもよい。前述したように、この例はあくまでも例示に過ぎない。任意の複数の反応、試薬配置、及び流体制御アーキテクチャを利用することにより、環境の要請に応じて異なる分析手順を実施することができる。同様に、本図はカニューラをセルに押圧する態様を示しているが、図11に示すようにセルをカニューラに押圧しても、同様の結果を達成することができる。
【0054】
図11は、110、111、112、113という4つの分図により、ねじ又はプランジャーを用いてセルの配置をカニューラに対してどのように押下するかを示す図である。これは、図10に記載の動作とは逆の動作である。項110は、図8において前述したカニューラ81、圧縮型82、湿潤セル83、乾燥セル84、試薬モジュール87、及びセル列に加えて、プランジャー110.1、ねじ110.2又は他の同様の種類の線形アクチュエータ、例えばヒトの指(図示せず)を示す。項111は、プランジャー110.1又はねじ110.2に対して操作力又はひねりの動作を加えた場合に、いかにセル列が圧縮型を介してカニューラに押しつけられるかを示す図である。項112及び113は、いかに複数の試薬が単一の動作で制御されるかを示す図である。斯かる配置の使用は、1又は2以上の試験プロトコールを実施する際により高い自由度を確保できる上で有利である。同様に、前述したプログラム可能試薬送達システムにおける直列化された試薬の使用は、より簡素化された流体制御型分析システムでも実施可能である。
【0055】
図12Aは、簡素化された流体制御システムを有する可能な2モジュール分析カートリッジ 120を示す。本カートリッジは、プランジャー押圧部121、プランジャーシャフト122、通気式可撓性隔壁を有する双方向プランジャー123、試薬モジュール124、試料量を測定するための勾配を有する二重機能式試料/反応器モジュール125、雄ねじコネクター126、及びねじ蓋127を有する。試薬モジュールは通気式であり、前述したように、カニューラを有する圧縮型内に試薬セル列を位置づけながら、分析カートリッジに挿入されるように設計される。この配置を用いることで、複数の供給源に由来する液体試料に対して、単一の試験を実施することが可能となる。
【0056】
図13Aは、図12に記載のデバイス120が、どのような動作により試料を収集するかを示す。項130は、双方向プランジャーが作動式の押下位置130.2にあるデバイスがどのように液体試料130.1と連結されるかを示す。項131は、プランジャー121を上に引き上げる動作131.1により、どのように双方向プランジャー131.2の通気式隔壁が引き上げられ、結果として生じた真空状態131.3によって試料の二重機能式試料/反応器モジュール131.4内への運動が誘導されるかを示す。項132は、十分な試料が収集された後、ねじ蓋124をデバイスに固定する動作123.1を示す。更に、この図では、プランジャーの引き上げによって試薬モジュールの開口132.2が現れる様子を強調している。
【0057】
図13Bは、デバイス120をどのように操作することにより、試料に試験を実施するかを示す。項133は、双方向プランジャーの押圧133.1によって通気式可撓性隔壁133.2がプランジャー133.3から分離され、隔壁がデバイスの内壁に対して押しつけられた状態で静止位置に維持される様子を示す。プランジャー133.3が試薬区画の開口133.6内に配置される試薬セル列と連結されるに伴って、可撓性隔壁133.2上に示す通気穴によって、図において形成された上側区画133.4と下側区画133.5との間の大気が均一化される。項134は、プランジャーの更なる押下134.1の結果、プランジャーが試薬モジュール内に進行し、順に各試薬セル134.3がカニューラに押圧されて、その内容物を混合区画134.4内に放出する様子を示す。この場合も、本図は広範な種類のモジュラー配置を限定することを意図するものではなく、複数の異なる試験プロトコールにおいて独自の利点を有する複数の試薬セル配置を考えることができる。内容物のデバイスからの漏出を防止することが好ましい用途では、内容物をデバイス内に封止する上で、非通気式隔壁が有用であることが理解できる。
【0058】
図14は、連続流モジュラー診断カートリッジを作製する手順を示す。項140は、試料容器Sと、4つの独立の分析試薬コンテナーr1、r2、r3、r4とを有し、フローパス点線の矢印で示される所定の時系列での投与を含む、分析タスクを実施することが可能な閉鎖型流体制御ネットワークの例を示す。各試薬は混合チャンバーM及び廃液容器Wに到達するように移動しなければならない。項141は、流体制御ネットワークを独立のモジュールとして製造されうる機能集団A、B、C、Dに分割する手順に関する本発明の一側面を示す。項142は、同じ流体制御ネットワークを再構成し、機能的に低減された機能集団A’、B’、C’、D’へと分割する手順に関する本発明の別の側面を示す。
【0059】
これらの図はあくまでも代表的なものに過ぎず、本発明を利用可能なほんの僅かな態様の例を示すものである。これらは如何なる意味でも、本発明に利用可能な全用途の範囲を限定することを意図するものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は2以上の湿潤セルと、1又は2以上の乾燥セルとを含む、直列化された試薬クラスターであって、
(a)前記1又は2以上の湿潤セルは各々、分注可能材料を含有可能に構成された穿孔可能容器に、所定量の分注可能材料を含有してなり、
(b)前記1又は2以上の乾燥セルは各々、所定長の穿孔可能容器からなり、
(c)前記1又は2以上の湿潤セルと、前記1又は2以上の乾燥セルとが、予め定められた各湿潤セル内容物の経時的放出順序に応じて直列に配置され、
(d)各乾燥セルの長さは、湿潤セル内容物の分注のために選択された時間的遅延に応じて調整されてなる、直列化された試薬クラスター。
【請求項2】
(a)前記湿潤セルが、連続した空洞を乾燥セルにより分離した複数の区画として構成されると共に、
(b)前記乾燥セルが、操作可能な所定量の固体又は液体を含む、請求項1に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項3】
(a)前記湿潤セルは各々、所定量の分注可能材料を容器内に封入することにより具現化されると共に、前記容器が、圧縮性及び弾性の性質を操作可能な穿孔可能材料から製造されてなる、請求項1に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項4】
2以上の湿潤セル又は乾燥セルを可逆的に相互接続する手段を更に含むと共に、前記手段が、雌雄勘合性機能アタッチメント、粘着材、及び連結可能な表面からなる群から選択される少なくとも1つの手段を含む、請求項3に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項5】
2以上のセルを不可逆的に相互接続する手段を更に含むと共に、前記手段が、1又は2以上の連結可能な表面と、操作可能な結合剤又は結合プロセスとの併用を含む、請求項3に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項6】
1又は2以上の直列化された試薬クラスターからの分注可能材料の放出順序をプログラムする方法であって、前記方法は、
(a)操作可能な容器内に所定体積の分注可能材料を含む1又は2以上の湿潤セルを提供し、
(b)1又は2以上の所定長さの乾燥セルを提供し、
(c)各湿潤セルの体積及び各ドライセルの長さを計算し、直列化された試薬クラスターからの分注可能材料の時間的放出シーケンスを同期させるように、前記湿潤セル及び乾燥セルを所定の直列配列で配置することにより、直列化試薬クラスターをプログラミングする
ことを含む方法。
【請求項7】
2つ以上の直列化された試薬クラスターを、別々の刺激によって個別に作動するように配置することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記湿潤セルの操作可能な容器が、所定の圧縮性及び弾力性を有する素材からなる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は2以上の湿潤セルと、前記1又は2以上の乾燥セルとが、作動力に応じて共通の経路に沿って共通の終点まで並進するように、動作可能に連結される、請求項1に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項10】
前記乾燥セルの所定長さが、前記湿潤セルを前記共通経路上の位置に所定の時間で移動させるように選択される、請求項9に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項11】
インキュベーション時間に対応する所定の時間的な遅れを生じるようにプログラムされる、請求項1に記載の直列化試薬クラスター。
【請求項12】
プログラム可能な試薬送達システムであって、
(a)分注可能材料を含有可能な穿孔可能容器内に所定体積の分注可能材料を含有する1又は2以上の湿潤セルを有する第1の直列化試薬クラスターを含み、ここで前記1又は2以上の湿潤セルは、前記湿潤セルの各々から内容物を放出する所定の時間的順序に対応する線形系列で配置され、
(b)前記分注可能材料を含有可能な穿孔可能容器内に所定体積の分注可能材料を含有する1又は2以上の湿潤セルを有する第2の直列化試薬クラスターを含み、ここで前記1又は2以上の湿潤セルは、前記湿潤セルの各々から内容物を放出する所定の時間的順序に対応する線形系列で配置され、
(c)前記第1の直列化試薬クラスターは、第1のパスに沿って並進可能に構成され、
(d)前記第2の直列化試薬クラスターは、前記第1のパスとは分離された第2のパスに沿って並進可能に構成され、
(e)前記第1の直列化試薬クラスター及び前記第2の直列化試薬クラスターは、一緒に並進できるように連結されてなる、プログラム可能な試薬送達システム。
【請求項13】
プログラム可能な試薬送達システムであって、
(a)分注可能材料を含有可能な穿孔可能容器内に所定体積の分注可能材料を含有する1又は2以上の湿潤セルを有する第1の直列化試薬クラスターを含み、ここで前記1又は2以上の湿潤セルは、前記湿潤セルの各々から内容物を放出する所定の時間的順序に対応する線形系列で配置され、
(b)第2の直列化試薬クラスターを含み、ここで前記第2の直列化試薬クラスターは、
(i)前記分注可能材料を含有可能な穿孔可能容器内に所定体積の分注可能材料を含有する1又は2以上の湿潤セルと、
(ii)穿孔可能材料からなり、所定の長さを有する1又は2以上の乾燥セルとを含み、
(iii)ここで前記1又は2以上の湿潤セル及び前記1又は2以上の乾燥セルは、前記湿潤セルの各々から内容物を放出する所定の時間的順序に対応する線形系列で配置され、
(c)前記第1の直列化試薬クラスターは、第1のパスに沿って並進可能に構成され、
(d)前記第2の直列化試薬クラスターは、前記第1のパスとは分離された第2のパスに沿って並進可能に構成される、プログラム可能な試薬送達システム。
【請求項14】
前記第2の直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の乾燥セルのうち少なくとも1つの乾燥セルの所定の長さが、所定の時点において、前記第2の直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の湿潤セルのうち少なくとも1つの湿潤セルを、前記第2のパスの所定の位置まで並進させるように選択される、請求項13に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項15】
前記第2の直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の乾燥セルのうち少なくとも1つの乾燥セルの所定の長さが、所定の時点において、前記第2の直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の湿潤セルのうち少なくとも1つの湿潤セルを、前記第1の直列化試薬クラスターの前記1又は2以上の湿潤セルのうち少なくとも1つの湿潤セルに対して、所定の相対位置に移動させるように選択される、請求項13に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項16】
前記第1の直列化試薬クラスター及び前記第2の直列化試薬クラスターが単一のハウジングに収容される、請求項13に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項17】
前記第1の直列化試薬クラスターが第1のハウジングに収容され、前記第2の直列化試薬クラスターが第2のハウジングに収容される、請求項13に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項18】
前記第1の直列化試薬クラスター及び前記第2の直列化試薬クラスターが関連付けられており、対称的に配置された同一数の湿潤セルを含む、請求項13に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項19】
前記第1の直列化試薬クラスター及び前記第2の直列化試薬クラスターが関連付けられており、非対称的に配置された同一数の湿潤セルを含む、請求項12に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項20】
前記第1の直列化試薬クラスター及び前記第2の直列化試薬クラスターが関連付けられており、非対称的に配置された異なる数の湿潤セルを含む、請求項12に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項21】
前記第1の直列化試薬クラスター及び前記第2の直列化試薬クラスターを一緒に移動させるための機構を更に含む、請求項12に記載のプログラム可能試薬送達システム。
【請求項22】
2以上の直列化試薬クラスターを単一の駆動力で纏めて駆動できるように配置することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項23】
2以上の直列化試薬クラスターを段階的に駆動できるように配置することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項24】
2以上の直列化試薬クラスターを連続的に駆動できるように配置することを更に含む、請求項6に記載の方法。