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  • 特開-低温仕様パレット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105786
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】低温仕様パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/28 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
B65D19/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000322
(22)【出願日】2021-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】517261497
【氏名又は名称】平野 泰三
(71)【出願人】
【識別番号】500290581
【氏名又は名称】小谷 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】平野 泰三
(72)【発明者】
【氏名】小谷 謙二
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA02
3E063BA03
3E063CA13
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】 一切溶接部を有さないことで、極低温でもエンドキャップが外れることがないパレットを提供する。
【解決手段】 エンドキャップ5をアルミ合金製パイプの開口部に装着するには、図11に示すように、指先で一対の脚部11、11を内側に曲げた状態で客分先端をアルミ合金製パイプの開口部に差し込む。そして、そのままエンドキャップ5を押し込むと、脚部11の先端の係止片12がアルミ合金製パイプの開口部の奥に形成した穴6に係止する。係止片12が穴6に係止した後は、周囲の温度に関係なく穴6から係止片12が外れることがない。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温下で物品を保管或は搬送する際に使用する低温仕様パレットであって、このパレットは少なくとも一部がアルミ合金製パイプで構成され、前記アルミ合金製パイプの端部開口部はエンドキャップで閉塞され、前記エンドキャップはステンレス或いはアルミ合金製とし、このエンドキャップは前記アルミ合金製パイプの端部開口を塞ぐ板状部材と2本の脚部を有する係止部材からなり、これら板状部材と係止部材は分離しており、前記係止部材に形成した穴部に前記係止部材の2本の脚部を挿入した状態でエンドキャップとして使用され、更に前記脚部には前記アルミ合金製パイプの開口部内側に設けた係止部と係止する係止部が設けられていることを特徴とする低温仕様パレット。
【請求項2】
請求項1に記載の低温仕様パレットにおいて、パレット本体はアルミ合金製パイプ製の横メンバーとこの横メンバーと平面視で交差する方向に組付けられるアルミ合金製板材製の縦メンバーとで構成され、前記縦メンバーの側端部は横メンバーの端部よりも前記エンドキャップを構成する板状部材の厚み分だけ突出することで、組付け状態でエンドキャップと縦メンバーの側端部とが面一となるようにしたことを特徴とする低温仕様パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工場や倉庫で荷物を搬送する際や保管する際の台として用いるパレットのうち、特に極低温環境での使用に耐えるパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には組立式パレットが開示されている。この組立式パレットは、長手方向に延在するとともに、一端面から他端面にかけて内部が中空に形成され並列するように配列される基台と、基台と交差する方向に延在し並列するように配列される基材とを組み付け部を介して組み付けて形成され、組み付け部は、穴部と突部を含み、穴部に突部を挿入することにより、基台に基材を組み付けるとともに、基台の中空内部側と基材に孔部を設け、軸体を中空内部に挿入しつつ孔部に挿入することにより、基台に基材を固定し、更に基台の端面を閉塞する閉塞具(エンドキャップ)を有し、この閉塞具の外面側を支持部材で支持している。
【0003】
特許文献2には疲労特性に優れたアルミニウム合金溶接法が開示されている。具体的には、アルミニウム合金の突き合わせレーザ溶接を行う際に、 表ビードと裏ビードのそれぞれにおける両止端部を結ぶビード表面形状を3次以下のべき乗関数で曲線近似した場合の曲線が、前記ビード表面形状の範囲内において極小値を有しない形状となる条件で溶接することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-26282号公報
【特許文献2】特開2016-19983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパレットは剛性と軽量化を達成するため、パレット本体はアルミ合金製パイプを用い、アルミ合金製パイプの端面開口部にはプラスチック製エンドキャップを嵌め付けるか、金属製エンドキャップを溶接するか、特許文献1に示すように別部材としての支持部材によってエンドキャップが外れないように支持している。
【0006】
一方、最近では極低温で保管したり運搬することが要求される場合がある。例えば、コロナウィルスワクチンの場合は-70℃以下の温度で保管・運搬する必要がある。またコロナウィルスワクチンに限らず細胞などの保管は極低温で行うことが要求される。これら極低温が要求される物を保管・運搬する際にはパレット上に載置することになる。
【0007】
しかしながら、プラスチック製エンドキャップは金属製エンドキャップに比べ強度的に劣り破損しやすく、極低温では熱膨張率の差によって外れやすい。また、特許文献2にも開示されるようにアルミ合金の溶接はそもそも難しく、金属製エンドキャップをアルミ合金製パイプに溶接した場合には、低温下で溶接部が劣化して外れやすい。更に特許文献1に開示されるように別部材を用いた場合には、その分だけパレットの組み立てが面倒になり、パレットの重量も重くなる。
【0008】
また、エンドキャップをアルミ合金製パイプにビス止めすることも考えられるが、アルミ合金製パイプ自体が薄厚なので衝撃で緩む恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は極低温下では、従来のエンドキャップは外れやすいという問題を解消するためになしたものである。
この目的達成のため、本発明に係る低温仕様パレットは、少なくとも一部がアルミ合金製パイプで構成され、前記アルミ合金製パイプの端部開口部はエンドキャップで閉塞され、前記エンドキャップはステンレス或いはアルミ合金製とし、このエンドキャップは前記アルミ合金製パイプの端部開口を塞ぐ板状部材と2本の脚部を有する係止部材からなり、これら板状部材と係止部材は分離しており、前記係止部材に形成した穴部に前記係止部材の2本の脚部を挿入した状態でエンドキャップとして使用され、更に脚部には前記アルミ合金製パイプの開口部内側に設けた係止部と係止する係止部が設けられていることを特徴とする低温仕様パレット。
【0010】
また、上記において、パレット本体を構成する縦メンバーの側端部をエンドキャップを構成する板部材の厚み分だけ横メンバーの端部から食み出すようにすることで、エンドキャップを装着した状態で、エンドキャップの板状部材が上下の縦メンバーの間に面一状態で入り込み、装着後のズレが防止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパレットは、パレット本体のみならず、エンドキャップについても溶接を行っていない。したがって溶接に伴う不具合が発生しない。
また、溶接を全く行わなくても、エンドキャップが外れる不具合が発生せず、アルミ合金製パイプ内に異物が入り込んだりアルミ合金製パイプの端部の変形を防止することができる。その結果、ウィルスワクチンなどを大量に安定した状態で保管・搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る低温仕様パレットの平面図
図2図1のA方向矢示図
図3】縦メンバーの側面図
図4】縦メンバーの端面図
図5】(a)はアルミ合金製パイプ(横メンバー)の一端開口部を示す図、(b)は一端開口部にエンドキャップを装着した状態を示す図
図6】エンドキャップの組立前の状態の斜視図
図7】エンドキャップの側面図
図8図7のB方向矢示図
図9図7のC方向矢示図
図10図7のD方向矢示図
図11】エンドキャップを装着する前の状態を説明した図
図12】エンドキャップの装着後の状態を説明した図
【発明を実施するための形態】
【0013】
低温仕様パレットはパレット本体1を横メンバー2と、この横メンバー2と平面視で交差する方向に組付けられる縦メンバー3とから構成している。
【0014】
前記横メンバー2は断面矩形状の複数のアルミ合金製パイプを一定間隔で並列に配設している。前記縦メンバー3は複数のアルミ合金製板材を横メンバー2と交差する方向に一定間隔で並列に配設している。
【0015】
横メンバー2と縦メンバー3は溶接されることなく組立て固定されている。即ち、縦メンバー3には図3及び図4に示すように、リブ3a、3bが2本づつ形成され、外側の2本のリブ3aは曲げ強度補強用のリブであり、内側の2本のリブ3bはパレットの組立てつなぎ用のリブであり、リブ3bにはアンカーボルトを通す穴3cが形成されている。
【0016】
縦メンバー3を構成する板材の上面には、滑り止めと強度アップを目的としたリブ4を形成してもよく、或は、横メンバー2と同様のアルミ合金製パイプとしてもよい。また実施例にあっては横メンバー2の上面及び下面に縦メンバー3を配置した構造としたが、段数は任意である。
【0017】
横メンバー2を構成するアルミ合金製パイプの両端開口部内は図5(a)に示すように補強用の複数のリブが形成され、このリブの一部に後述するエンドキャップ5の脚部先端が係止する係止穴6が形成されている。
【0018】
図5(b)は上記開口部にエンドキャップ5を装着した状態を示す。横メンバー2の側端部2eと縦メンバー3の側端部3eはエンドキャップ5の厚み分だけ突出しているので、エンドキャップ5を装着した状態で、エンドキャップ5は側端部2e及び側端部3eで囲まれる枠内に面一で嵌り込み、上下方向及び左右方向にズレることがない。
【0019】
アルミ合金製パイプの両端開口部を閉塞するエンドキャップ5はステンレスまたはアルミ合金から構成される。エンドキャップ5は図6に示すように板状部材7と係止部材8から構成される。
【0020】
板状部材7と係止部材8は分離しており、板状部材7は横メンバー2を構成するアルミ合金製パイプの端部開口を覆う大きさで、特に長手方向の寸法は上下の縦メンバー3間の間隔と等しい寸法としている。前記したように縦メンバー3の側端部は図10にも示すようにアルミ合金製パイプの端部から板状部材7の厚み分だけ突出させている。
【0021】
その結果、エンドキャップ5をアルミ合金製パイプの端部開口に装着した状態で板状部材7の上下方向及び左右方向の動きは拘束され、位置ずれが生じることがない。また装着した状態で板状部材7の表面と縦メンバー3の側端部とは面一となり、引っ掛かりなどが生じない。
【0022】
図7図10に示すように、板状部材7には2か所に開口部9、9が形成されている。係止部材8は側面視でコ字状をなし、板状部材7と重なる部分10と、板状部材7に形成した開口部9から反対側に突出する一対の脚部11、11からなり、脚部11の先端は外側に折れ曲がった係止片12になっている。
【0023】
以上において、エンドキャップ5をアルミ合金製パイプの開口部に装着するには、図11に示すように、指先で一対の脚部11、11を内側に曲げた状態で脚部11、11の先端をアルミ合金製パイプの開口部に差し込む。そして、そのままエンドキャップ5を押し込むと、図12に示すように、脚部11の先端の係止片12がアルミ合金製パイプの開口部の奥に形成した係止穴6に弾発力で係止する。
【0024】
係止片12が係止穴6に係止した後は、周囲の温度に関係なく係止穴6から係止片12が外れることがない。
【0025】
また係止穴6の開口端からの寸法は脚部11の長さと略等しくなるように設定している。このため、係止片12が係止穴6に係止した状態で、係止片12の弾発力で係止部材8とともに板状部材7も内側(図12において右側)に引かれ、板状部材7の裏面がアルミ合金製パイプの端部に押し付けられ、開口部が完全に閉塞される。
【0026】
図示例では、脚部11に片12を設け、アルミ合金製パイプの開口部内側に係止片12が係止する係止穴6を設けたが、脚部に穴をアルミ合金製パイプの開口部内側に穴に係合する凸部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1…パレット本体、2…横メンバー、2e…側端部、3…縦メンバー、3a、3b、4…リブ、3e…側端部、5…エンドキャップ、6…係止穴、7…板状部材、8…係止部材、9…開口部、10…板状部材と係止部材の重なる部分、11…脚部、12…係止片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12