(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010579
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】支柱内部撮像システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/954 20060101AFI20220107BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20220107BHJP
H04B 7/15 20060101ALI20220107BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220107BHJP
F16L 55/18 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01N21/954 A
G01N21/84 A
H04B7/15
G02B23/24 A
G02B23/24 B
F16L55/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111234
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】516327608
【氏名又は名称】三桜電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519110227
【氏名又は名称】三桜機材サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514136185
【氏名又は名称】株式会社ライフライン
(71)【出願人】
【識別番号】301054623
【氏名又は名称】有限会社 菊池製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】戸高 和彦
(72)【発明者】
【氏名】陶山 晃
(72)【発明者】
【氏名】岩下 修二
(72)【発明者】
【氏名】波場 ▲将▼人
【テーマコード(参考)】
2G051
2H040
5K072
【Fターム(参考)】
2G051AA82
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC15
2G051CA04
2G051CC01
2G051EA21
2H040AA02
2H040BA21
2H040BA22
2H040DA17
2H040FA13
2H040GA02
2H040GA11
5K072AA30
5K072BB04
5K072BB17
5K072GG11
5K072HH02
(57)【要約】
【課題】鉄塔の検査における作業性を向上することが可能な支柱内部撮像システムを提供すること。
【解決手段】支柱内部撮像システム1は、支柱Pの内部に配置され、支柱内部を撮像する撮像部11を有する撮像システム10と、支柱Pの上端T側に設置され、撮像システム10を吊り下げ、撮像システム10を支柱Pの内部において、上下に移動させる上部システム20と、撮像システム10から、支柱P内部を撮像した画像データを受信可能な端末30と、撮像システム10と端末30との無線通信を中継し、支柱の上端側・下端側に設置された中継装置40と、を備え、撮像システム10は、中継装置40を介して、端末30に画像データを送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管形状の支柱内部を撮像する支柱内部撮像システムであって、
前記支柱の内部に配置され、前記支柱内部を撮像する撮像部を有する撮像システムと、
前記支柱の上端側に設置され、前記撮像システムを吊り下げ、前記撮像システムを前記支柱の内部において、上下に移動させる上部システムと、
前記撮像システムから、前記支柱内部を撮像した画像データを受信可能な端末と、
前記撮像システムと前記端末との無線通信を中継し、前記支柱の上端側と下端側にそれぞれ配置された中継装置と、
を備え、
上端側・下端側の前記中継装置は、前記支柱内に配置されるアンテナを有し、前記上部システム・前記撮像システム・前記端末と通信可能であり、
前記撮像システムは、前記中継装置を介して、前記端末に前記画像データを送信することを特徴とする支柱内部撮像システム。
【請求項2】
前記上部システムは、
前記撮像システムを吊り下げる紐形状の紐状部材と、
前記紐状部材を送り出し、巻き取ることが可能な巻取部と、
前記巻取部から送り出した前記紐状部材の長さを計測する計測部と、を備え、
前記上部システムは、上端側の前記中継装置を介して、前記端末に前記紐状部材の長さを計測した値を示す計測データを送信することを特徴とする請求項1に記載の支柱内部撮像システム。
【請求項3】
前記撮像システムは、
前記撮像部の向きを検出する検出部を備え、
ある位置において、上端側・下端側の前記中継装置を介して、前記端末に、前記画像データとともに、前記検出部で検出した向きを示す方向データを送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の支柱内部撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱内部撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線鉄塔等は、支柱として鋼管が用いられている。鋼管は、経年劣化するところ、外部は目視により点検することが可能であるが、内部は目視により点検することができない。
【0003】
このため、鋼管の内部に挿入されて移動させる映像検出部を、映像伝送ケーブルの先端に設けられホルダー本体により覆い、このホルダー本体を、スライドするスリーブにより鋼管半径方向に変形伸縮する一対のリンクと、これらリンクの連結点に設けられた車輪を管類内面に押圧する伸縮ガイド部を設け、映像検出部を常に鋼管の中心位置に保持する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄塔は、高さが100mに及ぶものもある。このような場合、映像検出部(例えば、カメラ等)を、映像伝送ケーブルで吊る場合、映像伝送ケーブルも少なくとも送電線鉄塔の高さ分が必要となり、映像伝送ケーブルが嵩み、鉄塔の検査における作業性が低下する問題があった。
【0006】
本発明は、鉄塔の検査における作業性を向上することが可能な支柱内部撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 管形状の支柱内部を撮像する支柱内部撮像システムであって、
前記支柱の内部に配置され、前記支柱内部を撮像する撮像部を有する撮像システムと、
前記支柱の上端側に設置され、前記撮像システムを吊り下げ、前記撮像システムを前記支柱の内部において、上下に移動させる上部システムと、
前記撮像システムから、前記支柱内部を撮像した画像データを受信可能な端末と、
前記撮像システムと前記端末との無線通信を中継し、前記支柱の上端側と下端側にそれぞれ配置された中継装置と、
を備え、
上端側・下端側の前記中継装置は、前記支柱内に配置されるアンテナを有し、前記上部システム・前記撮像システム・前記端末と通信可能であり、
前記撮像システムは、前記中継装置を介して、前記端末に前記画像データを送信することを特徴とする支柱内部撮像システム。
【0008】
(1)の構成によれば、支柱内部撮像システムは、管形状の支柱内部を撮像するものであり、撮像システムと、上部システムと、端末と、中継装置と、を備える。
撮像システムは、支柱の内部に配置され、支柱内部を撮像する撮像部を有する。
上部システムは、支柱の上端側に設置され、撮像システムを吊り下げ、撮像システムを支柱の内部において、上下に移動させる。
端末は、撮像システムから、支柱内部を撮像した画像データを受信可能である。
上端側・下端側の中継装置は、撮像システムと端末との通信を中継し、支柱の上端側と下端側にそれぞれ設置されている。
そして、上端側・下端側の中継装置は、上部システム・撮像システム・端末と通信可能である。
撮像システムは、近接する中継装置を介して、端末に画像データを送信する。
【0009】
このように、撮像システムと端末との通信を中継し、支柱の上端側と下端側にそれぞれ設置された中継装置を設けることで、確実に、端末で画像データを受信できるとともとに、従来のように、画像データを伝送するための映像伝送ケーブルを設ける必要がなくなり、鉄塔の検査における作業性を向上することが可能となる。
【0010】
また、無線LAN等の近距離無線通信は、通信可能な範囲が限られている。
このため、例えば、支柱内に撮像システム(無線発信装置)を設置し、支柱外に端末(無線発信装置)を設置した場合、支柱自体が電波を遮断してしまい、撮像システムからの画像データを、端末で受信できない場合がある。
また、鉄塔の高さが100mに及ぶ場合、鉄塔の支柱の上端側に撮像システムが位置しており、鉄塔を検査する検査者が、地上で、端末を操作していた場合、撮像システムと端末とが、互いに通信可能な範囲外となり、端末で支柱内部を撮像した画像データを受信できない場合がある。このように、近距離無線通信は、通信可能な条件・範囲が限られている。
【0011】
ここで、発明者は実験により、鉄塔の支柱のように筒形状の内部であれば、無線通信電波の直進性が向上し、通信可能範囲距離が飛躍的に向上することを見出した。
【0012】
(1)の発明によれば、支柱の上端側と下端側に中継装置を備え、中継装置のアンテナを支柱内部に設置し、この中継装置を介することにより、撮像システムが端末に画像データを送信する。これにより、支柱内に撮像システムが有り、端末が支柱外に有る様な条件であっても、また、検査する鉄塔の高さが100m以上におよび、撮像システムと端末が、互いに通信可能な範囲外となる様な場合であっても、確実に端末で画像データを受信できる。
【0013】
(2) 前記上部システムは、
前記撮像システムを吊り下げる紐形状の紐状部材と、
前記紐状部材を送り出し、巻き取ることが可能な巻取部と、
前記巻取部から送り出した前記紐状部材の長さを計測する計測部と、を備え、
前記上部システムは、上端側の前記中継装置を介して、前記端末に前記紐状部材の長さを計測した値を示す計測データを送信することを特徴とする(1)に記載の支柱内部撮像システム。
【0014】
(2)の構成によれば、上部システムは、紐状部材と、巻取部と、計測部と、を備える。
紐状部材は、撮像システムを吊り下げる紐形状である。
巻取部は、紐状部材を送り出し、巻き取ることが可能である。
計測部は、巻取部から送り出した紐状部材の長さを計測する。
そして、上部システムは、上端側の中継装置を介して、端末に紐状部材の長さを計測した値を示す計測データを送信する。
【0015】
ここで、画像データから、支柱内部が腐食していることが分かったとしても、腐食している位置が特定できないと、補修の作業効率が低下する。
【0016】
(2)の発明によれば、端末に、巻取部から送り出した紐状部材の長さを計測した値を示す計測データを送信することで、支柱内部における撮像システムの位置を特定することが可能となり、画像データから判明した腐食している位置を特定でき、補修の作業効率を向上することが可能となる。
【0017】
(3) 前記撮像システムは、
前記撮像部の向きを検出する検出部を備え、
ある位置において、上端側・下端側の前記中継装置を介して、前記端末に、前記画像データとともに、前記検出部で検出した向きを示す方向データを送信することを特徴とする(1)又は(2)に記載の支柱内部撮像システム。
【0018】
(3)の構成によれば、撮像システムは、撮像部の向きを検出する検出部を備える。
そして、撮像システムは、ある位置において、上端側・下端側の中継装置を介して、端末に、画像データとともに、検出部で検出した向きを示す方向データを送信する。
【0019】
これにより、支柱内部における撮像システムの向きを特定することが可能となり、画像データから判明した腐食している向き(例えば、支柱内部の内側や、外側等)を特定でき、補修の作業効率を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鉄塔の検査における作業性を向上することが可能な支柱内部撮像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムが適用される鉄塔を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの概要を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの撮像システムの概要を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの上部システムの概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る支柱内部撮像システム1の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムが適用される鉄塔を模式的に示す図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの概要を説明する図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの機能ブロック図である。
【0023】
図1に示すように、鉄塔100は、地盤Gから上方に延び、上方にいくにつれ鉄塔100の中心Cに向かって傾斜する管形状の鋼管で形成された複数の支柱Pが、例えば、横架材や筋交い部材等により連結されることで構成されている。
【0024】
図2及び
図3に示すように、支柱内部撮像システム1は、支柱Pの内部に配置され、支柱P内部を撮像する撮像部11を有する撮像システム10と、支柱Pの上端T側に設置され、撮像システム10を吊り下げ、撮像システム10を支柱Pの内部において、上下に移動させる上部システム20と、撮像システム10及び上部システム20から、支柱P内部を撮像した画像データを受信可能な端末30と、撮像システム1又は上部システム20と端末30との無線通信を中継し、支柱Pの上端側(上端T側)と下端側(地盤G側)にそれぞれ設置された複数の中継装置40(L1・L2)と、を備える。
【0025】
支柱内部撮像システム1は、撮像システム10が、上部システム20に吊り下げられながら、自重により、支柱Pの内部を降下し、上部システム20により吊り上げられることで、支柱Pの内部を上昇する。
【0026】
また、支柱内部撮像システム1は、検査者による端末30の操作に基づき、撮像システム10及び上部システム20を制御することが可能である。
【0027】
なお、
図2中の点線は、点線でつながれた機器間で無線通信可能なことを示している。また、図示は省略しているが、撮像システム10、上部システム20、端末30及びの上端側・下端側の中継装置40(L1・L2)は、バッテリーにより電力供給がされている。
【0028】
図3に示すように、撮像システム10は、撮像部11と、撮像部11を支持する支持部12と、を備える。
撮像部11は、支柱P内部を撮像するカメラ111と、検出部112と、送受信部113と、を有する。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの撮像システムの概要を説明する図である。
【0030】
カメラ111は、撮像部11の先端(
図4では下端)に設けられ、静止画又は動画を撮像可能な公知のカメラである。例えば、カメラ111は、画角が160°の魚眼レンズと、1/4インチのイメージセンサ(CMOS-CCD)と、イメージセンサで取得した画像データを記憶するメモリを有する。
【0031】
図3に戻って、検出部112は、撮像部11の向きを検出する。検出部112は、公知の方向検出センサで構成されている。
【0032】
送受信部113は、ある位置において、上端側・下端側の中継装置40(L1・L2)を介して、端末30に、カメラ111が取得した画像データとともに、検出部112で検出した向きを示す方向データを送信する。
【0033】
ここで、撮像システム10は、支柱P内部を移動中に回転してしまう場合がある。撮像システム10が回転すると、画像データも回転してしまい、例えば、画像データで腐食していることが判明しても、支柱P内部のどの方向が腐食しているかが分かりづらい。
【0034】
支柱内部撮像システム1によれば、例えば、検査者による端末30の操作に基づき、所定方向(例えば、鉄塔100の中心C(
図2参照))を方位の基準としてセットすることで、ある位置における方向データにより、当該位置において、撮像システム10が所定方向からどれくらい回転したかを、端末30で認識することが可能となる。
【0035】
図4に示すように、支持部12は、先端(
図4では下端)に撮像部11が接続され、基端(
図4では上端)に、上部システム20(
図2参照)に送り出し、巻き取られる後述する紐状部材が接続されている。支持部12は、撮像部11が接続される複数(例えば、3~4つ)のステー120と、複数のステー120の基端(
図4では上端)が接続される基端部121と、ステー120に回動自在に設けられた滑車122と、を備える。
【0036】
ステー120は、第1部材120aと、第2部材120bと、第3部材120cと、付勢部材120dと、を備える。
第1部材120aは、軸部材であり、一端が回動自在に、撮像部11の基端(
図4では上端)に接続されている。
第2部材120bは、軸部材であり、第1部材120aの他端に、一端が回動自在に接続されている。
第3部材120cは、軸部材であり、第2部材120bの他端に、一端が回動自在に接続され、他端が回動自在に、基端部121に接続されている。
【0037】
付勢部材120dは、例えば、バネ部材で構成され、第1部材120aと第2部材120bとを連結し、第1部材120aと第2部材120bの連結部分を中心に回動し、互いに近接する方向に付勢する。同様に、付勢部材120dは、第2部材120bと第3部材120cとにも設けられ、第2部材120bと第3部材120cとを連結し、第2部材120bと第3部材120cの連結部分を中心に回動し、互いに近接する方向に付勢する。
【0038】
基端部121は、複数のステー120の各第3部材120cの他端が回動自在に接続されており、後述する上部システム20(
図2参照)の紐状部材が接続される接続部121aを有する。
【0039】
滑車122は、第2部材120bの両端部と略中央において、第2部材120bに回転自在に取り付けられている。
【0040】
このような構成により、支持部12は、複数のステー120の各第2部材120bが、付勢部材120dにより、基端部121と撮像部11とを通る中心線から離れる方向に付勢されている。これにより、各第2部材120bは、支柱Pが延びる方向に沿った姿勢となる。そして、各第2部材120bに設けられた複数の滑車122が、支柱Pの内壁に当接する。
【0041】
このように、第1部材120aと第3部材120cとの間に、第2部材120bを設け、この第2部材120bを支柱Pの内壁側に付勢し、この第2部材120bに設けられた複数の滑車122を支柱Pの内壁に当接することで、撮像部11の横方向のブレを抑えることが可能となり、撮像部11で撮像された画像の鮮明度を向上することが可能となる。
【0042】
図5は、本発明の一実施形態に係る支柱内部撮像システムの上部システムの概要を説明する図である。
上部システム20は、紐状部材21と、巻取部22と、計測部23と、を備える。
【0043】
紐状部材21は、紐形状であり、例えば、PEラインの30号(参考直強力100kg)等で構成され、撮像システムを吊り下げる。なお、紐状部材21は、PEラインに限らず、例えば、鋼製ワイヤー等で構成してもよい。
【0044】
巻取部22は、鉄塔100の上端Tに取り付けられ、紐状部材21を送り出し、巻き取ることが可能な、例えば、釣り用の電動リールで構成されている。巻取部22は、釣り用の電動リールに限らず、紐状部材21を送り出し、巻き取ることが可能であれば任意の構成とすることができる。また、巻取部22は、上端側の中継装置40(L1)(
図2参照)を介して、端末30と通信可能に接続され、端末30の制御により、紐状部材21を送り出し、巻き取ってもよい。
【0045】
計測部23は、鉄塔100の上端Tにおいて、巻取部22と、検査する支柱Pとの間に取り付けられ、エンコーダ部231と、制御部232と、を備える。
【0046】
エンコーダ部231は、鉄塔100の上端Tに、回動可能に取り付けられたアーム231aと、アーム231aに回転可能に取り付けられ、巻取部22から延びる紐状部材21が巻き回され、紐状部材21の送り出し又は巻き取りに応じて回転するエンコード231bと、を備える。
【0047】
制御部232は、エンコード231bの回転数に基づき、巻取部22が送り出した紐状部材21の長さを計測し、この計測した値を示す計測データを、上端側の中継装置40(L1)(
図2参照)を介して、端末30に送信する。
【0048】
図3に戻って、端末30は、受付手段31と、制御手段32と、入出力手段33と、を備える。端末30は、一般的なコンピュータ(パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)で構成され、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、通信部として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイス等を備える。
【0049】
受付手段31は、中継装置40を介して、撮像システム10から画像データ及び方向データを受信し、上部システム20から計測データを受信し、撮像システム10や上部システム20を制御する信号を、撮像システム10や上部システム20に送信する。
【0050】
制御手段32は、検査者の操作に基づき、撮像システム10や上部システム20の動作を制御し、受付手段31で受信した撮像システム10からの画像データ及び方向データや、上部システム20からの計測データを、入出力手段33に表示する制御を行う。
【0051】
入出力手段33は、検査者の操作を受け付け、制御手段32の制御による画像を表示する。入出力手段33は、例えば、キーボードやマウス等の入出力装置、ディスプレイ等の表示装置や、入出力装置と表示装置を兼ねたタッチパネル等で構成される。
【0052】
上記各機能処理手段は、端末30に内蔵されたCPUが、ROM、フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク等の記憶手段に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフト等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶手段に格納されたデータベースやメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、キーボードやマウス等の入出力装置、ディスプレイ等の表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0053】
中継装置40は、支柱P内部に延びるアンテナ41(
図2参照)を有し、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFiルーターで構成され、無線通信可能な範囲内において、撮像部11や、制御部232や、端末30とデータ通信可能である。
【0054】
本実施形態において、
図2に示すように、上端側に設置された中継装置40(L1)は、制御部232(
図3参照)と、支柱P内部に配置された送受信部113(
図3参照)と、鉄塔100の上部(上端T側)に配置された端末30と通信可能な範囲に設置されている。
また、中継装置40(L2)は、支柱P内部に配置された送受信部113(
図3参照)と、鉄塔100の下部(地盤G側)に配置された端末30と通信可能な範囲に配置された設置されている。
【0055】
撮影部11は、撮像システム10が、支柱P内部を移動する過程において、中継装置40(L1)を介して、画像データを鉄塔100の上部(上端T側)に配置された端末30に送信する。
また、撮影部11は、撮像システム10が、支柱P内部を移動する過程において、中継装置40(L2)を介して、画像データを鉄塔100の下部(地盤G側)に配置された端末30に送信する。
【0056】
次に、支柱内部撮像システム1の動作について説明する。
検査者は、鉄塔100に、例えば、
図2に示すように、支柱内部撮像システム1を設置する。
検査者は、鉄塔100の上端Tにおいて、支柱P内部に撮像システム10を挿入し、巻取部22による紐状部材21の送り出しを止め、カメラ111で撮像した画像の上部が、鉄塔100の中心Cを向くように、撮像システム10の姿勢を調整する。そして、検査者は、端末30において、撮像部11の向きを示す値をリセットする。これにより、検出部112による撮像部11の向きの基準を、所定方向(例えば、鉄塔100の中心C(
図2参照))の方位にセットすることができる。
【0057】
次に、検査者は、端末30において、撮像システム10の高さを示す値をリセットする。その後、巻取部22による紐状部材21の送り出しを開始する。これにより、撮像システム10は、上部システム20に吊り下げられながら、自重により、支柱Pの内部を降下する。
【0058】
そして、撮像システム10は、随時、カメラ111で撮像した支柱P内部の画像データと、方向データとを、上端側・下端側の中継装置40(L1・L2)を介して、端末30に送信する。また、上部システム20の計測部23は、随時、計測データを、上端側の中継装置40(L1)を介して、端末30に送信する。
【0059】
端末30は、受信した画像データ、方向データ及び計測データを、随時、記憶するとともに、これらのデータに基づく画像を、入出力手段33に表示する。
【0060】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 支柱内部撮像システム
10 撮像システム
11 撮像部
12 支持部
20 上部システム
21 紐状部材
22 巻取部
23 計測部
30 端末
31 受付手段
32 制御手段
33 入出力手段
40 中継装置
41 アンテナ
100 鉄塔
111 カメラ
112 検出部
113 送受信部
120 ステー
120a 第1部材
120b 各第2部材
120b 第2部材
120c 各第3部材
120c 第3部材
120d 付勢部材
121 基端部
121a 接続部
122 滑車
231 エンコーダ部
231a アーム
231b エンコード
232 制御部
P 支柱
C 鉄塔の中心
G 地盤