(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105809
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220708BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220708BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20220708BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B41J29/38 201
H04N1/00 Z
H04N1/21
G06F3/12 374
G06F3/12 320
G06F3/12 371
G06F3/12 391
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000375
(22)【出願日】2021-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】市川 一樹
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
5C073
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HJ06
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK20
2C061HN08
2C061HN15
2C061HR01
5C062AA05
5C062AA14
5C062AA35
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB49
5C062AC23
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF06
5C073AA03
5C073BC04
(57)【要約】
【課題】画像形成装置に接続された不揮発性ストレージに画像データを記憶した後、画像形成を実行せずに不揮発性ストレージに残っている画像データを削除して記憶領域を確保できる画像形成装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】MFP1は、外部電源から電力を供給されていない状態となっても時刻情報32を記憶する不揮発性時計27を備える。MFP1は、USBストレージ47に記憶した第2画像データGD2を削除する経過時間を不揮発性時計27の時刻情報32で判断して削除する(S145,S165)。また、CPU12は、画像データ蓄積用領域11Bに記憶した第1画像データGD1を削除する経過時間を、別のフリーランタイマ28のカウント値35で判断して削除する(S121)。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインタフェースと、
揮発性メモリと、
コントローラと、
画像形成部と、
画像形成ジョブを受信可能な第1インタフェースと、
不揮発性ストレージを接続可能な第2インタフェースと、
を備える画像形成装置であって、
第1初期値からのカウント値である第1カウント値をカウントする第1カウンタと、
第2初期値からのカウント値である第2カウント値をカウントする第2カウンタと、
を備え、
前記第1カウンタは、
前記画像形成装置が外部電源から電力を供給されていない状態となってもカウント値のバックアップが存在し、
前記第2カウンタは、
前記画像形成装置が外部電源から電力を供給されていない状態となったらカウント値のバックアップが存在せず、
前記画像形成装置は、
装置の時計の設定を受け付けることが可能であり、
前記第1カウンタは、
前記時計の設定に応じて前記第1初期値が変更され、
前記コントローラは、
前記画像形成ジョブに基づく画像データを、前記不揮発性ストレージへ記憶するか前記揮発性メモリに記憶するかの選択を受け付ける受付処理と、
前記第1インタフェースが前記画像形成ジョブを受信した場合に、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていれば、前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶させ、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていなければ、前記画像データを前記揮発性メモリに記憶させる記憶処理と、
前記記憶処理が記憶させた前記画像データの印刷指示を、前記ユーザインタフェースを介して受け付けたことに応じて、前記記憶処理が記憶させた前記画像データを前記画像形成部に印刷させる印刷処理と、
前記記憶処理が記憶させた前記画像データのうち、前記印刷処理によって印刷されていない前記画像データを削除する削除処理と、
を実行し、
前記コントローラは、
前記削除処理において、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていれば、前記不揮発性ストレージに記憶した前記画像データを削除する時間を前記第1カウンタの前記第1カウント値に基づいて判断して前記画像データを削除し、前記受付処理において前記画像データを前記揮発性メモリに記憶する選択を受け付けていれば、前記揮発性メモリに記憶した前記画像データを削除する時間を前記第2カウンタの前記第2カウント値に基づいて判断して前記画像データを削除する、画像形成装置。
【請求項2】
電力を蓄電し、蓄電した電力を前記第1カウンタに供給するバックアップ電源を備え、
前記第1カウンタは、
前記外部電源から電力を供給されていない状態でも、前記バックアップ電源から電力を供給され、前記第1カウント値のバックアップを保持する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
時刻サーバを前記第1カウント値のバックアップとして使用し、前記第1カウンタの前記第1カウント値を前記時刻サーバの時刻に応じた値に同期させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
時刻サーバと同期を取った場合、及び前記ユーザインタフェースを介して前記時計の設定を受け付けた場合の少なくとも一方に応じて、前記時計の設定を受け付ける、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付け、前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶するのに応じて、前記時計が設定済みか判断する第1判断処理を実行し、
前記第1判断処理の結果、前記時計が設定済みであると判断したことに応じて、前記画像データに前記第1カウント値を関連付けて記憶し、
前記第1判断処理の結果、前記時計が設定されていないと判断したことに応じて、前記画像データに、前記第1カウント値及び時刻無効情報を関連付けて記憶し、前記時刻無効情報は、前記画像データを記憶する際に、前記時計が設定されていなかったことを示すものである、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記削除処理において、
前記時計が設定済みか否かを判断する第2判断処理と、
前記第2判断処理の結果、前記時計が設定されていないと判断したことに応じて、削除対象の前記画像データに前記時刻無効情報が関連付けられているか否かを判断する時刻無効情報判断処理と、
を実行し、
前記時刻無効情報判断処理の結果、前記時刻無効情報が関連付けられていたと判断したことに応じて、前記画像データに関連付けられた前記第1カウント値と、現在の前記第1カウンタの前記第1カウント値の差が所定の閾値以上であること応じて前記画像データを削除する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記削除処理において、
前記時刻無効情報判断処理の結果、前記時刻無効情報が関連付けられていないと判断したことに応じて、前記画像データに関連付けられた前記第1カウント値を、現在の前記第1カウンタの前記第1カウント値に更新し、更新後の前記第1カウント値が所定の閾値以上であること応じて前記画像データを削除する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記削除処理において、
前記時計が設定済みか否かを判断する第2判断処理と、
前記第2判断処理の結果、前記時計が設定済みであると判断したことに応じて、削除対象の前記画像データに前記時刻無効情報が関連付けられているか否かを判断する第2時刻無効情報判断処理と、
を実行し、
前記第2時刻無効情報判断処理の結果、前記時刻無効情報が関連付けられていないと判断したことに応じて、前記画像データに関連付けられた前記第1カウント値と、現在の前記第1カウンタの前記第1カウント値の差が所定の閾値以上であること応じて前記画像データを削除する、請求項5から請求項7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記時計が設定されたことに応じて、前記不揮発性ストレージに記憶された前記画像データを対象に、前記時刻無効情報が関連付けられているか否かを判断する第3時刻無効情報判断処理と、
前記第3時刻無効情報判断処理の結果、前記時刻無効情報が関連付けられていると判断したことに応じて、前記時刻無効情報を削除し、前記画像データに関連付けられた前記第1カウント値を、前記時計が設定された後の前記第1カウンタの前記第1カウント値に更新するカウント値更新処理と、
を実行し、
前記削除処理において、
前記第1判断処理の結果、前記時計が設定済と判断され、且つ、前記第2時刻無効情報判断処理の結果、前記時刻無効情報が関連付けられていると判断したことに応じて、前記時刻無効情報が関連付けられている前記画像データを削除せず、以降の前記第2時刻無効情報判断処理の結果、前記時刻無効情報が関連付けられていないと判断したことに応じて、前記画像データに関連付けられた前記第1カウント値と、現在の前記第1カウンタの前記第1カウント値の差が所定の閾値以上であること応じて前記画像データを削除する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記カウント値更新処理を実行した後、前記時刻無効情報を削除し前記第1カウント値を更新した前記画像データを対象として、前記削除処理を実行する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
ユーザインタフェースと、
揮発性メモリと、
コントローラと、
画像形成部と、
画像形成ジョブを受信可能な第1インタフェースと、
不揮発性ストレージを接続可能な第2インタフェースと、
第1初期値からのカウント値である第1カウント値をカウントする第1カウンタと、
第2初期値からのカウント値である第2カウント値をカウントする第2カウンタと、
を備える画像形成装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1カウンタは、
前記画像形成装置が外部電源から電力を供給されていない状態となってもカウント値のバックアップが存在し、
前記第2カウンタは、
前記画像形成装置が外部電源から電力を供給されていない状態となったらカウント値のバックアップが存在せず、
前記画像形成装置は、
装置の時計の設定を受け付けることが可能であり、
前記第1カウンタは、
前記時計の設定に応じて前記第1初期値が変更され、
前記コントローラに、
前記画像形成ジョブに基づく画像データを、前記不揮発性ストレージへ記憶するか前記揮発性メモリに記憶するかの選択を受け付ける受付処理と、
前記第1インタフェースが前記画像形成ジョブを受信した場合に、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていれば、前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶させ、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていなければ、前記画像データを前記揮発性メモリに記憶させる記憶処理と、
前記記憶処理が記憶させた前記画像データの印刷指示を、前記ユーザインタフェースを介して受け付けたことに応じて、前記記憶処理が記憶させた前記画像データを前記画像形成部に印刷させる印刷処理と、
前記記憶処理が記憶させた前記画像データのうち、前記印刷処理によって印刷されていない前記画像データを削除する削除処理と、
を実行させ、
前記コントローラは、
前記削除処理において、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていれば、前記不揮発性ストレージに記憶した前記画像データを削除する時間を前記第1カウンタの前記第1カウント値に基づいて判断して前記画像データを削除し、前記受付処理において前記画像データを前記揮発性メモリに記憶する選択を受け付けていれば、前記揮発性メモリに記憶した前記画像データを削除する時間を前記第2カウンタの前記第2カウント値に基づいて判断して前記画像データを削除させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、不揮発性ストレージへ画像データを記憶する画像形成装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、画像形成に係わるジョブを受信し、受信したジョブに係る画像データを自装置に接続されたUSBメモリなどへ記憶する画像形成装置が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した引用文献1のプリンタでは、USBメモリに記憶した画像データの印刷指示を受け付けなかった場合、画像データが印刷されずにUSBメモリに残る可能性がある。印刷されない画像データがUSBメモリに残っていくと、USBメモリの記憶容量が少なくなり、USBメモリが使用できなくなる虞があった。
【0005】
そこで本願は、画像形成装置に接続された不揮発性ストレージに画像データを記憶した後、画像形成を実行せずに不揮発性ストレージに残っている画像データを削除して記憶領域を確保できる画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係る画像形成装置は、ユーザインタフェースと、揮発性メモリと、コントローラと、画像形成部と、画像形成ジョブを受信可能な第1インタフェースと、不揮発性ストレージを接続可能な第2インタフェースと、を備える画像形成装置であって、第1初期値からのカウント値である第1カウント値をカウントする第1カウンタと、第2初期値からのカウント値である第2カウント値をカウントする第2カウンタと、を備え、前記第1カウンタは、前記画像形成装置が外部電源から電力を供給されていない状態となってもカウント値のバックアップが存在し、前記第2カウンタは、前記画像形成装置が外部電源から電力を供給されていない状態となったらカウント値のバックアップが存在せず、前記画像形成装置は、装置の時計の設定を受け付けることが可能であり、前記第1カウンタは、前記時計の設定に応じて前記第1初期値が変更され、前記コントローラは、前記画像形成ジョブに基づく画像データを、前記不揮発性ストレージへ記憶するか前記揮発性メモリに記憶するかの選択を受け付ける受付処理と、前記第1インタフェースが前記画像形成ジョブを受信した場合に、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていれば、前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶させ、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていなければ、前記画像データを前記揮発性メモリに記憶させる記憶処理と、前記記憶処理が記憶させた前記画像データの印刷指示を、前記ユーザインタフェースを介して受け付けたことに応じて、前記記憶処理が記憶させた前記画像データを前記画像形成部に印刷させる印刷処理と、前記記憶処理が記憶させた前記画像データのうち、前記印刷処理によって印刷されていない前記画像データを削除する削除処理と、を実行し、前記コントローラは、前記削除処理において、前記受付処理において前記画像データを前記不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けていれば、前記不揮発性ストレージに記憶した前記画像データを削除する時間を前記第1カウンタの前記第1カウント値に基づいて判断して前記画像データを削除し、前記受付処理において前記画像データを前記揮発性メモリに記憶する選択を受け付けていれば、前記揮発性メモリに記憶した前記画像データを削除する時間を前記第2カウンタの前記第2カウント値に基づいて判断して前記画像データを削除する。
【0007】
尚、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記画像形成装置の機能を実行する画像データの削除方法、機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本願発明に係る画像形成装置によれば、不揮発性ストレージに記憶する選択を受け付けた場合には、第1カウンタを用いることで、画像形成装置の電源オフなどの影響を減らして、第1カウント値をカウントして画像データの削除タイミングを判断できる。また、揮発性メモリに記憶する選択を受け付けた場合には、第2初期値を変更されない第2カウンタを用いることで、時刻サーバとの時刻同期やユーザによる時計の設定などの影響を受けずに、第2カウント値をカウントして画像データの削除タイミングを判断できる。画像データを削除して、不揮発性ストレージや揮発性メモリの記憶領域を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】蓄積印刷ジョブ受信処理の内容を示すフローチャートである。
【
図4】起動時処理の内容を示すフローチャートである。
【
図5】時計設定処理の内容を示すフローチャートである。
【
図6】再設定処理の内容を示すフローチャートである。
【
図7】初期設定処理の内容を示すフローチャートである。
【
図8】削除処理の内容を示すフローチャートである。
【
図9】第1削除処理の内容を示すフローチャートである。
【
図10】第2削除処理の内容を示すフローチャートである。
【
図11】第3削除処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願に係わる画像形成装置を具体化した第1実施形態であるMFP1について
図1を参照しつつ説明する。MFP(Multi Function Peripheralの略)1は、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能を備える複合機である。MFP1は、メモリ11、CPU12、印刷部14、画像を読み取る画像読取部15、FAXを送受信するFAXIF(インタフェースの略)18、ユーザIF20、ネットワークIF21、USBIF23、電源部24、電源ONカウンタ25、揮発性時計26、不揮発性時計27、フリーランタイマ28などを備えている。これらのCPU12等は、バス10で互いに接続されている。電源部24は、例えば、平滑化回路などを備え、商用電源等の外部電源から電力を受電し、MFP1が備える各部へ電力を供給する。
【0011】
メモリ11は、例えば、RAM、ROM、不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えている。また、メモリ11は、HDD、NVRAM、フラッシュメモリ等を備えても良い。また、メモリ11は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体である。しかし、この種の電気信号は、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0012】
また、メモリ11には、設定情報領域11A、画像データ蓄積用領域11Bが設けられている。印刷部14は、例えば電子写真方式の印刷エンジンを有し、電子写真方式により印刷を実行する。尚、印刷エンジンは、インクジェットヘッド等を用いてインクジェット方式で印刷する構成であっても良い。
【0013】
ユーザIF20は、例えば、タッチパネルやキーを備える。ネットワークIF21は、例えば、LANインタフェースであり、ネットワーク41に接続されている。接続形態は、LAN、WANでも良い。ネットワーク41には、例えば、複数のPC(パーソナルコンピュータの略)43が接続されている。ネットワークIF21は、第1インタフェースの一例である。第1インタフェースとしては、例えば、無線LAN、NFCやBluetooth(登録商標)等のインタフェースを採用しても良い。PC43に代えて、スマートフォン、タブレット端末等を採用しても良い。
【0014】
USBIF23は、USB規格に準拠したインタフェースであり、第2インタフェースの一例である。第2インタフェースとして、メモリカードスロット、IEEE1394など、各種のインタフェースを採用できる。USBポート46には、例えば、USB機器としてUSBストレージ47が接続されている。USBストレージ47は、不揮発性ストレージの一例である。不揮発性ストレージとして、ポータブルHDD、ポータブルSSD、メモリーカードを採用しても良い。第2インタフェースと第1インタフェースとを共通のインタフェースとして、ネットワークストレージ、MFP1とネットワーク接続したPCや携帯端末のHDD、SDカードなどの記憶装置を、不揮発性ストレージとして採用しても良い。
【0015】
メモリ11には、CPU12により実行される各種のプログラム30が記憶されている。プログラム30は、例えば、MFP1の各部を統括的に制御するプログラムである。本実施形態では、主に、プログラム30に記述された命令に従ったCPU12の処理を示す。CPU12による処理は、ハードウェア制御も含む。即ち、以下の説明における「受信」、「判断」等の処理は、CPU12の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。即ち、CPU12が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU12がデータを取得する」という概念に含まれる。また、以下の説明では、CPU12でプログラム30を実行するMFP1のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「CPU12がネットワークIF21を介してジョブを受け付ける」という記載は、「MFP1がCPU12でプログラム30を実行することでネットワークIF21を制御し、ネットワークIF21を介してジョブを受け付ける」ということを意味する場合がある。
【0016】
図3は、蓄積印刷ジョブ受信処理の内容を示している。CPU12は、例えば、PC43等から蓄積対象のジョブを受信すると、
図3の処理を開始する。蓄積対象のジョブとは、例えば、PINコードやユーザ名などの認証情報が含まれるジョブである。本実施形態のMFP1は、基本的には常に蓄積機能が有効となっている。CPU12は、蓄積対象のジョブ(以下、単にジョブという場合がある)を受信すると、例えば、受け付けたジョブから画像データを生成し、生成した画像データをメモリ11の揮発性を有する画像データ蓄積用領域11Bに記憶(即ち蓄積)する。CPU12は、蓄積した画像データを対象にした印刷指示を、ユーザIF20を介して受け付けると、画像データに基づく画像を印刷部14で印刷し(本願の印刷処理の一例)、印刷が完了した画像データを画像データ蓄積用領域11Bから削除する。尚、PINコードの認証の成立を印刷指示の受け付けとしても良い。あるいは、蓄積したジョブに設定されたユーザ名の認証をユーザIF20で受け付け、認証の成立を印刷指示の受け付けとしても良い。また、CPU12は、蓄積対象でないジョブを受信すると、ユーザIF20で印刷指示を受け付ける必要なく、そのジョブを印刷する。尚、MFP1は、蓄積機能をON/OFFできる構成でも良い。
【0017】
CPU12は、
図3のステップ(以下、単にSと記載する)13において、ストレージ機能が有効であるか否かを判断する。ストレージ機能は、蓄積対象のジョブをUSBストレージ47に記憶する機能である。ストレージ機能が有効化であるとき、CPU12は、蓄積対象のジョブを受信すると、ジョブに係わる画像データをUSBストレージ47に記憶する。以下、ストレージ機能が有効になっていないときの蓄積機能により画像データ蓄積用領域11Bに記憶する画像データを第1画像データGD1と称し、ストレージ機能によりUSBストレージ47に記憶する画像データを第2画像データGD2と称する。尚、図示しないが、
図3の実行以前に、ストレージ機能の有効・無効を示す設定情報がメモリ11に記憶されている。CPUは、その情報に従って、ストレージ機能に関する処理を行う。また、図示しないが、CPU12は、ユーザIF20を介した操作に従って、ストレージ機能の有効・無効を示す設定情報をメモリ11に記憶させる。CPU12は、MFP1をWebサーバとして機能させ、ストレージ機能の有効・無効の切り替え用WebページをPC43等に提供し、Webページを介して、ストレージ機能を有効化又は無効化する指示を受け付けても良い(本願の受付処理の一例)。
【0018】
CPU12は、S13において、ストレージ機能が無効である場合(S13:NO)、フリーランタイマ28からカウント値35を取得する(S15)。
図2は、電源ONカウンタ25、揮発性時計26、不揮発性時計27、フリーランタイマ28の種類とその特徴を示している。フリーランタイマ28は、例えば、水晶発振回路と接続され、水晶発振回路から入力したクロック信号のクロック数に基づくカウント値35を、揮発性メモリに書き込む。カウント単位は、例えば、水晶発振回路の1クロックであり、1秒よりもずっと小さい単位時間である。フリーランタイマ28は、電源ON時にゼロからカウントを開始し、MFP1に対する時計の設定が変更されても、それまでカウントしたカウント値35を変更されない。フリーランタイマ28は、例えば、MFP1における各種処理の時間の計測等に用いられる。尚、
図2は、各カウンタの特徴を理解し易くする目的で記載しており、正確な技術情報については、一般的な情報を参照されたい。
【0019】
CPU12は、受信したジョブに基づいて第1画像データGD1を生成し、生成した第1画像データGD1を画像データ蓄積用領域11Bに記憶する(S19)。また、CPU12は、S15で取得したカウント値35を第1画像データGD1と関連付けて設定情報領域11Aに記憶する(S19)。以下、第1画像データGD1に関連付けたカウント値35を、カウント値35Aという。CPU12は、S19を実行すると、
図3に示す処理を終了する。
【0020】
また、CPU12は、ストレージ機能が有効である場合(S13:YES)、設定情報領域11Aに記憶される準備完了情報31(
図1)を判断する(S21)。準備完了情報31は、MFP1の時計が設定済みであるか否かを示す情報である。以下、時計が設定済みであることを示す値が準備完了情報31に設定されていることを、準備完了情報31がONであると称し、未設定を示す値が準備完了情報31に設定されていることを、準備完了情報31がOFFであると称する。準備完了情報31は、初期状態ではOFFとなっている。CPU12は、時計の設定を受け付けると、準備完了情報31をOFFからONにする。時計の設定方法は
図5にて説明する。
【0021】
CPU12は、準備完了情報31がONである場合(S21:YES)、不揮発性時計27から時刻情報32を取得する(S23)。例えば、CPU12は、不揮発性時計27の日時で、MFP1の時計を設定・管理する。不揮発性時計27は、時刻メモリを持っており、時刻メモリに時刻情報32を書き込む。時刻メモリは、MFP1を初めて起動させ、初期化処理をするとき、例えば2020/1/1 00:00が時刻情報32の初期値として書き込まれる。また、MFP1の初期起動の際にユーザが時計を設定すれば、設定された日時が時刻メモリに書き込まれ、設定された日時からカウントを開始する。不揮発性時計27は、水晶発振回路のクロック数が1秒の経過を示す数だけ増加すると、時刻メモリの時刻情報32を1秒カウントアップする。時刻メモリは揮発性メモリであるが、バックアップ電源29(
図1)によって電源バックアップされている。また、水晶発振回路もバックアップ電源29に接続されている。そのため、電源OFFとなっても、時刻情報32のカウントアップは続いている。ユーザによる時計設定、時刻サーバによる時計設定によって、時刻メモリの時刻情報32が上書きされる。時刻メモリがカウントアップする都度、CPU12が参照しているRAMに時刻情報32が自動的にコピーされる。CPU12は、S23において、そのRAMを参照し、不揮発性時計27の時刻情報32を取得する。CPU12は、ジョブから第2画像データGD2を生成しUSBストレージ47に記憶する(S27)。また、CPU12は、S23で取得した時刻情報32を第2画像データGD2に関連付けて設定情報領域11Aに記憶する(S27)。以下、第2画像データGD2に関連付けた時刻情報32を、時刻情報32Aという。
【0022】
一方、CPU12は、準備完了情報31がOFFの場合(S21:NO)、時刻無効情報33(
図1)を第2画像データGD2に関連付ける(S29)。時刻無効情報33は、その第2画像データGD2をUSBストレージ47に記憶する際に、時計が設定されていなかったこと、即ち、準備完了情報31がOFFであったことを示す情報である。CPU12は、時刻無効情報33に加え、S23と同様に、不揮発性時計27の時刻情報32Aを第2画像データGD2に関連付けて設定情報領域11Aに記憶し(S31,S27)、第2画像データGD2をUSBストレージ47に記憶する(S27)。CPU12は、S27を実行すると、
図3に示す処理を終了する。
【0023】
また、CPU12は、
図4に示す起動時処理を、例えば、MFP1の電源がONされ、システムを起動した後に開始する。まず、CPU12は、バックアップ電源29に蓄積された電力がなくなって電力切れとなっているか否かを判断する(S41)。例えば、バックアップ電源29は、電源部24から電力を供給されない時間が長くなると、コンデンサ等に蓄積した電力を消費し電力切れとなる。バックアップ電源29は、例えば、蓄積している電力量が所定の閾値電力量以下になると、メモリ11に記憶するレジスタ値を変更する。CPU12は、このレジスタ値をS41で判断することで電力切れを判断できる。
【0024】
CPU12は、電力切れでない場合(S41:NO)、
図4の処理を終了し、例えば、MFP1を、ジョブを受け付ける待機状態にする。一方、CPU12は、電力切れである場合(S41:YES)、準備完了情報31をOFFにする(S43)。バックアップ電源29の電力切れによって不揮発性時計27の時刻情報32は所定のカウント初期値(
図2参照)にリセットされる。即ち、時計が未設定となるため、CPU12は、準備完了情報31をOFFにする。CPU12は、S43を実行した後、不揮発性時計27のカウントを、初期値から開始させる(S45)。
【0025】
次に、CPU12は、ストレージ機能が無効である場合(S47:NO)、
図4の処理を終了し、有効である場合(S47:YES)、時刻情報32を取得し(S49)、S51を実行する。CPU12は、S51以降の処理において、USBストレージ47に記憶された全ての第2画像データGD2を対象に、S53以降の処理を実行する。このため、CPU12は、S51において、USBストレージ47に記憶された第2画像データGD2の全てについてS53以降の処理対象としたか否かを判断する。CPU12は、処理対象としていなかった場合(S51:NO)、USBストレージ47に記憶された第2画像データGD2の中から、処理対象としていない第2画像データGD2を選択し、選択した第2画像データGD2について時刻無効情報33を取得する(S53)。CPU12は、時刻無効情報33を取得できなかった場合、第2画像データGD2に時刻無効情報33が関連付けられていないと判断し(S55:NO)、S51を実行する。CPU12は、USBストレージ47に記憶された第2画像データGD2の中から、新たな第2画像データGD2を選択し(S51:NO)、S53を実行する。
【0026】
また、CPU12は、第2画像データGD2に時刻無効情報33が関連付けられていた場合(S55:YES)、時刻情報32を取得し、取得した時刻情報32を時刻情報32Aとして設定し、第2画像データGD2に関連付ける(S57)。即ち、時計が設定されていないときにUSBストレージ47に記憶された第2画像データGD2には、設定されていないままの時計による時刻情報32を時刻情報32Aとして設定するものの、時計が設定されているときにUSBストレージ47に記憶された第2画像データGD2には、設定されていないままの時計による時刻情報32を設定しない。CPU12は、USBストレージ47に他の第2画像データGD2が記憶されていないか判断し(S51)、全ての第2画像データGD2について処理を完了させると(S51:YES)、
図4に示す処理を終了する。
【0027】
また、CPU12は、
図5に示す時刻設定処理を、例えば、MFP1の電源がONされ、システムを起動した後に開始する。CPU12は、時計の設定を受け付けたか否かを判断し(S61)、受け付けると(S61:YES)、受け付けた時計の設定を反映させる前(以下、反映前という)の準備完了情報31を設定情報領域11Aから取得し(S63)、反映前の時刻情報32を不揮発性時計27から取得する(S65)。CPU12は、取得した準備完了情報31及び時刻情報32を、例えば、メモリ11に一時的に記憶する。時計の設定を受け付ける方法は、特に限定されない。例えば、CPU12は、ユーザIF20を介して時刻情報32の入力等を受け付けて時計を設定しても良い。あるいは、CPU12は、SNTPサーバ等の時刻サーバと同期を取り、時刻情報32を受け付けた場合に、時計の設定を受け付けたと判断しても良い。また、CPU12は、MFP1をWebサーバとして機能させ、PC43等から、WEBページを介して時刻情報32の設定を受け付けても良い。
【0028】
CPU12は、S61で受け付けた時計の設定を、不揮発性時計27に反映させる(S67)。例えば、CPU12は、受け付けた日時に合った時刻情報32からのカウントを不揮発性時計27に実行させる。CPU12は、準備完了情報31をONにし(S69)、ストレージ機能が有効であるか判断し(S71)、有効でない場合(S71:NO)、一定時間だけ待機する処理(S77)を実行した後、S61からの処理を実行する。S77の一定時間としては、例えば、時計の設定を連続して受け付け可能な時間間隔に応じた値を設定できる。例えば、ユーザIF20によって時計の設定を受け付ける場合、1度受け付けた後に次の設定を受け付け可能な最小の時間間隔(1分等)を、一定時間として設定できる。また、例えば、1日ごとに時刻サーバと同期処理を実行する場合、1日(24時間)を一定時間として設定できる。
【0029】
CPU12は、ストレージ機能が有効である場合(S71:YES)、S63で取得した反映前の準備完了情報31がONであった否かを判断する(S73)。CPU12は、反映前の準備完了情報31がONであった場合(S73:YES)、再設定処理(S75)を実行してS77を実行し、反映前の準備完了情報31がOFFであった場合(S73:NO)、初期設定処理(S79)を実行してS77を実行する。
【0030】
図6に示す再設定処理(S75)のS81において、CPU12は、時計の設定を反映した後(以下、反映後という)の時刻情報32を取得し(S81)、S65で取得した反映前の時刻情報32をメモリ11から取得し、反映前後の時刻情報32の時間差が、所定の閾値以下であるか否かを判断する(S83)。この所定の閾値は、設定情報領域11Aの閾値情報34に記憶されている。
【0031】
CPU12は、時刻情報32の時間差が閾値以下である場合(S83:YES)、
図6に示す処理を終了し、
図5のS77を実行する。一方、CPU12は、時間差が閾値よりも大きい場合(S83:NO)、S85以降を実行してUSBストレージ47に記憶中の第2画像データGD2の時刻情報32Aを、反映後の時刻情報32に更新する。即ち、CPU12は、MFP1の時計が大きく変更された場合に、第2画像データGD2の時刻情報32Aを更新し、後述する削除処理において更新後の時刻情報32Aを用いて削除の要否を判断する。このため、S83の閾値は、時計を大きく変更された場合に、時刻情報32がずれる時間の長さとして許容できる範囲の値(仮に、ずれて第2画像データGD2が削除できずに残っていても許容できる時間)であり、例えば、1日(24時間)である。
【0032】
CPU12は、S85において、
図4のS51と同様に、USBストレージ47の第2画像データGD2の全てを処理対象としてS85以降の処理を完了したか否か判断し、完了していない場合(S85:NO)、まだ処理対象としていない第2画像データGD2を選択する。CPU12は、選択した第2画像データGD2に関連付けられた時刻情報32Aを反映後の時刻情報32に更新する(S87)。CPU12は、第2画像データGD2に時刻無効情報33が関連付けられていた場合、その時刻無効情報33の関連付けを解除して時刻無効情報33を削除する(以下、時刻無効情報33を削除する、という)(S89)。即ち、時計が設定されていないときにUSBストレージ47に記憶された第2画像データGD2があれば、設定後の時計の時刻情報32を関連付ける。これにより、時計が設定されていないときにUSBストレージ47に記憶された第2画像データGD2、時計が設定されてからUSBストレージ47に記憶された第2画像データGD2、の双方の削除判断を、同じ、設定後の時計が示す時刻情報32Aに基づいて行うことができる。CPU12は、USBストレージ47の全ての第2画像データGD2についてS87,S89を実行すると(S85:YES)、
図6に示す処理を終了する。
【0033】
また、CPU12は、
図7に示す初期設定処理を開始すると、
図6のS85と同様に、USBストレージ47の全ての第2画像データGD2についてS93以降の処理を完了させたか判断し(S91)、完了していなければ(S91:NO)、選択した第2画像データGD2の時刻無効情報33を取得する(S93)。CPU12は、時刻無効情報33が関連付けられていない場合(S95:NO)、S91を再度実行し、別の第2画像データGD2を選択する。また、CPU12は、時刻無効情報33が関連付けられている場合(S95:YES)、
図6のS87と同様に、第2画像データGD2の時刻情報32Aを、反映後の時刻情報32に更新し(S97)、時刻無効情報33を削除する(S99)。
【0034】
CPU12は、
図8に示す削除処理を、例えば、MFP1の電源がONされ、システムを起動した後に、一定時間ごとに実行する。CPU12は、
図8の処理を開始すると、ストレージ機能が有効か否かを判断する(S101)。CPU12は、ストレージ機能が無効である場合(S101:NO)、第3削除処理を実行する(S103)。また、CPU12は、ストレージ機能が有効である場合(S101:YES)、現在の準備完了情報31がONであれば(S105:YES)、第1削除処理を実行し(S107)、OFFであれば(S105:NO)、第2削除処理を実行する(S109)。CPU12は、S103、S107、S109の何れかを実行すると、
図8に示す処理を終了し、一定時間だけ経過した後、再度、S101を実行する。
【0035】
CPU12は、
図9に示す第1削除処理(S107)を開始すると、不揮発性時計27から現在の時刻情報32を取得し(S131)、削除閾値を閾値情報34から取得する(S133)。CPU12は、まだS137以降の処理対象としていない第2画像データGD2を選択し(S135:NO)、選択した第2画像データGD2の時刻無効情報33を取得する(S137)。CPU12は、時刻無効情報33が関連付けられていない場合(S139:NO)、第2画像データGD2の時刻情報32Aを取得し(S141)、取得した時刻情報32Aから、S131で取得した現在の時刻情報32までの経過時間を演算する(S143)。CPU12は、経過時間がS133で取得した削除閾値以上である場合(S145:YES)、第2画像データGD2をUSBストレージ47から削除する(S147)。これにより、USBストレージ47に蓄積されている第2画像データGD2を対象に、時刻情報32の差(即ち、経過時間)が削除閾値以上となったものについてUSBストレージ47から削除し、記憶領域を開放できる。CPU12は、まだ処理対象としていない、別の第2画像データGD2を対象に、S137以降の処理を実行する。
【0036】
CPU12は、第2画像データGD2に時刻無効情報33が関連付けられている場合(S139:YES)、その第2画像データGD2を削除せず、まだ処理対象としていない、別の第2画像データGD2を対象に、S137以降の処理を実行する。削除されない第2画像データGD2に関連付けられている時刻情報32Aは、設定されていない時計から取得した時刻情報32Aであり、現在の時刻情報32との比較に適していないためである。設定されていない時計から取得した時刻情報32Aが第2画像データGD2に関連付けられていても、
図5:時刻設定処理内のS75,S79(即ち、
図6:再設定処理や
図7の初期設定処理)によって、設定後の不揮発性時計27から取得した時刻情報32Aに書き換えられるようになっている。そして、
図6:再設定処理や
図7の初期設定処理と、
図9:第1削除処理とは並列に実行可能な処理である。時刻無効情報33が関連付けられているために削除されなかった第2画像データGD2も、
図6:再設定処理や
図7の初期設定処理がなされると、時刻無効情報33が関連付けられなくなる。即ち、以降のS139ではNOと判断され、S147での削除対象となる。
【0037】
また、CPU12は、
図10に示す第2削除処理(S109)を開始すると、現在の時刻情報32を取得し(S151)、削除閾値を取得する(S153)。この削除閾値は、上記した第1削除処理と同一値でも良く、異なる値でも良い。CPU12は、まだS157以降の処理対象としていない第2画像データGD2を選択し(S155:NO)、時刻無効情報33が関連付けられている場合(S157、S159:YES)、S141、S143と同様の処理である、S161、S163を実行する。いずれも、設定されていない時計から取得した時刻情報である、第2画像データGD2に関連付けられている時刻情報32Aと、現在の時刻情報32とは、比較に適している。CPU12は、経過時間が削除閾値以上である場合(S165:YES)、第2画像データGD2を削除する(S167)。CPU12は、まだ処理対象としていない、別の第2画像データGD2を対象にS157以降の処理を実行する。
【0038】
また、CPU12は、S159において時刻無効情報33が関連付けられていない場合(S159:NO)、現在の不揮発性時計27の時刻情報32を、選択中の第2画像データGD2の時刻情報32Aとして設定する(S169)。これにより、バックアップ電源29の電力が切れて時計の設定がリセットされてしまったとしても、リセットされる前の、設定されていた時計から取得した時刻情報32Aと関連付けられている第2画像データGD2について、S165の判断対象とすることができる。CPU12は、設定した時刻情報32Aのカウント初期値(
図2)からの経過時間、即ち、時計が未設定のままカウントされた経過時間が所定の削除閾値以上である場合(S165:YES)、第2画像データGD2を削除する(S167)。尚、S163の後に実行するS165と、S169の後に実行するS165とで異なる削除閾値を用いても良い。
【0039】
CPU12は、
図11に示す第3削除処理(S103)を開始すると、フリーランタイマ28からカウント値35を取得し(S111)、削除閾値を閾値情報34から取得する(S113)。CPU12は、画像データ蓄積用領域11Bに記憶された全ての第1画像データGD1を対象にS117以降の処理を実行する。実行が完了していない場合(S115:NO)、まだ処理対象としていない第1画像データGD1を選択してS117を実行する。
【0040】
CPU12は、選択した第1画像データGD1のカウント値35Aを取得し(S117)、取得したカウント値35Aと、現在のフリーランタイマ28のカウント値35の差を演算する(S119)。CPU12は、演算した差がS113で取得した削除閾値以上である場合(S121:YES)、第1画像データGD1を画像データ蓄積用領域11Bから削除する(S123)。また、CPU12は、差が削除閾値以上でない場合(S121:NO)や、S123を実行した場合、S115を実行し、別の第1画像データGD1を対象にS117以降の処理を実行する。CPU12は、画像データ蓄積用領域11Bの全ての第1画像データGD1についてS117以降の処理を実行すると(S115:YES)、
図11に示す処理を終了する。
【0041】
次に、本願の第2実施形態について説明する。第2実施形態の画像形成装置は、例えば、揮発性時計26、フリーランタイマ28、電源ONカウンタ25を備えるプリンタである(
図2参照)。また、以下の説明では、上記した第1実施形態の同様の内容については、その説明を適宜省略する。第2実施形態のプリンタは、不揮発性時計27、画像読取部15やFAXインタフェース18を備えず、揮発性時計26の日時を用いて時計を管理する。CPU12は、例えば、
図3に示すジョブ受信処理のS23、S27で、揮発性時計26の時刻情報32と、電源ONカウンタ25の値を第2画像データGD2に関連付け、S31、S27では、電源ONカウンタ25のみを、第2画像データGD2に関連付ける。
【0042】
揮発性時計26は、バックアップ電源29がないことを除けば、不揮発性時計27と同様の構成となっている。即ち、
図5:時刻設定処理に示すように、例えば、時刻サーバと同期を取ることによって、あるいは、ユーザIF20を介した入力を受け付けることで、時計を設定できる。ただし、バックアップ電源29による電源バックアップはされていないので、電源オンの都度、時刻メモリには例えば2020/1/1が時刻情報32として書き込まれる(
図2)。また、時刻サーバと同期する設定となっていれば、時刻サーバと同期する都度、自動的に時刻情報32が取得され、時計が設定される。すなわち、揮発性時計26は、時刻サーバによって、時刻情報32がバックアップされている時計と言える。また、電源ONカウンタ25は、CPU12がフリーランタイマ28のカウント値35を監視し、カウント値35が、1時間経過に相当するカウント数を示していたら、不揮発性の設定情報領域11Aの電源ONカウンタ25を一つカウントアップする。電源ONカウンタ25は、工場出荷時にゼロであり、以降、上記したカウントアップ以外で編集されることはない。電源ONカウンタ25は、例えば、プリンタの電源ON状態における累積の動作時間の計測に用いられる。
【0043】
また、CPU12は、
図5、
図6、
図7の時刻設定処理において、揮発性時計26の時刻情報32を用いて処理を実行し、時刻情報32Aの更新や時刻無効情報33の削除を実行する。また、CPU12は、
図9の第1削除処理では、揮発性時計26の時刻情報32を用いて経過時間を演算し削除の要否を判断する。一方、CPU12は、
図12の第2削除処理において、第2画像データGD2に関連付けられた電源ONカウンタ25と、現在の電源ONカウンタ25のカウント値の差を演算し削除の要否を判断する。これにより、第2画像データGD2を削除する際に、時計が設定されていれば、揮発性時計26の時刻情報32に基づいてより正確なタイミングで削除できる。また、時計が未設定であれば、1時間単位のカウント単位ではあるがカウント値を変更できない電源ONカウンタ25を用いて削除を判断できる。時計の設定等で編集されない電源ONカウンタ25のカウント値で適切なタイミングで削除できる。尚、上記第1実施形態においても、第2実施形態と同様に、電源ONカウンタ25を用いた削除処理を実行しても良い。具体的には、S23やS31で電源ONカウンタ25のカウント値を取得して関連付けておき、
図10の第2削除処理(時計が未設定の場合)において、関連付けた電源ONカウンタ25のカウント値に基づいて、第2画像データGD2を削除しても良い。
【0044】
因みに、上記各実施形態において、MFP1は、画像形成装置の一例である。画像データ蓄積用領域11Bは、揮発性メモリの一例である。CPU12は、コントローラの一例である。印刷部14は、画像形成部の一例である。ネットワークIF21は、第1インタフェースの一例である。USBIF23は、第2インタフェースの一例である。揮発性時計26,不揮発性時計27は、第1カウンタの一例である。フリーランタイマ28は、第2カウンタの一例である。時刻情報32,32Aは、第1カウント値の一例である。カウント値35,35Aは、第2カウント値の一例である。USBストレージ47は、不揮発性ストレージの一例である。第1及び第2画像データGD1,GD2は、画像データの一例である。S27,S19は、記憶処理の一例である。S21は、第1判断処理の一例である。S105は、第2判断処理の一例である。S159は、時刻無効情報判断処理の一例である。S139は、第2時刻無効情報判断処理の一例である。S95は、第3時刻無効情報判断処理の一例である。S97は、カウント値更新処理の一例である。印刷ジョブは、画像形成ジョブの一例である。
【0045】
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。(1)本実施形態のMFP1のCPU12は、USBストレージ47に記憶した第2画像データGD2を削除する経過時間を不揮発性時計27の時刻情報32で判断して削除する(S145,S165)。また、CPU12は、画像データ蓄積用領域11Bに記憶した第1画像データGD1を削除する経過時間をフリーランタイマ28のカウント値35で判断して削除する(S121)。これによれば、第2画像データGD2の場合、不揮発性時計27を用いることで、電源オフなどの影響を減らして削除のタイミングを判断できる。また、第1画像データGD1の場合、時計が設定されてもその時点のカウント値35が変更されないフリーランタイマ28を用いることで、時計の設定の変更の影響を受けずに削除のタイミングを判断できる。第1及び第2画像データGD1,GD2を削除して、メモリ11やUSBストレージ47の記憶領域を確保できる。
【0046】
(2)不揮発性時計27は、外部電源から電力を供給されていない状態でも、バックアップ電源29から電力を供給されることで、時刻メモリに時刻情報32のバックアップを保持することができる。
【0047】
(3)CPU12は、例えば、第1実施形態において、不揮発性時計27の代わりに揮発性時計26を用いる場合、時刻サーバを時刻情報32のバックアップとして使用し、時刻情報32を時刻サーバの時刻に応じた値に同期させても良い。これにより、装置の電源オフの影響を減らして、時刻情報32を保持できる。
【0048】
(4)CPU12は、時刻サーバと同期を取った場合、及びユーザIF20を介して時計の設定を受け付けた場合の少なくとも一方に応じて、時計の設定を受け付けても良い。これにより、時刻サーバと同期を行う場合は、所定のタイミングで能動的に時計を設定でき、ユーザIF20で受け付ける場合は、ユーザの任意のタイミングで受動的に時計を設定できる。
【0049】
(5)CPU12は、第2画像データGD2を記憶する際、時計が設定済みか判断し(S21)、時計が設定済みの場合、時刻情報32Aを関連付けて記憶し(S27)、未設定の場合、時刻情報32A及び時刻無効情報33を関連付けて記憶する(S29、S27)。これによれば、第2画像データGD2の記憶時に、時計が設定されていたか否かを記憶でき、時刻無効情報33の関連付けの有無に応じて削除処理の内容を変更できる。
【0050】
(6)CPU12は、削除処理において時計が未設定の場合(S105:NO)、削除対象の第2画像データGD2に時刻無効情報33が関連付けられているか判断する(S159)。CPU12は、関連付けられている場合(S159:YES)、関連付けられた時刻情報32Aと、現在の時刻情報32に基づく経過時間が所定の削除閾値以上であれば(S165:YES)、第2画像データGD2を削除する(S167)。これによれば、第2画像データGD2の記憶時に時計が未設定で、且つ、削除処理の判断時にも時計が未設定の場合、時計が設定されていないままカウントが継続された不揮発性時計27の時刻情報32に基づいて、削除する経過時間を判断できる。
【0051】
(7)また、CPU12は、時刻無効情報33が関連付けられていない場合(S159:NO)、第2画像データGD2に関連付ける時刻情報32Aを、現在の時刻情報32に更新し(S169)、更新後の時刻情報32Aで削除を判断する(S165)。これによれば、第2画像データGD2の記憶時には時計が設定されていたものの、削除処理の判断時には時計が未設定の場合、例えば、バックアップ電源29の電力が切れた場合、起動後にカウントを再開した不揮発性時計27の時刻情報32に基づいて、起動後の経過時間で削除のタイミングを判断できる。
【0052】
(8)CPU12は、削除処理において時計が設定済みである場合(S105:YES)、削除対象の第2画像データGD2に時刻無効情報33が関連付けられているか否かを判断する(S139)。CPU12は、時刻無効情報33が関連付けられていない場合(S139:NO)、第2画像データGD2に関連付けられた時刻情報32Aから、現在の時刻情報32までの経過時間に基づいて削除を実行する(S145)。これによれば、記憶時と削除判断時の両方で時計が設定されている場合、設定済みの時刻情報32に基づいて、削除タイミングを適切に判断できる。
【0053】
(9)CPU12は、時計の設定を受け付けると(S61:YES)、USBストレージ47の第2画像データGD2について、時刻無効情報33が関連付けられているか判断する(S95)。CPU12は、時刻無効情報33が関連付けられている場合(S95:YES)、時刻無効情報33を削除し(S99)、関連付けられた時刻情報32Aを、時計設定後の時刻情報32に更新する(S97)。CPU12は、第1削除処理において、時刻無効情報33が関連付けられている第2画像データGD2を削除せず(S139:YES)、以降のS139の判断処理の結果、時刻無効情報33が関連付けられていないと判断した場合(S139:NO)、関連付けられた時刻情報32Aから、現在の時刻情報32までの経過時間に基づいて削除処理を実行する(S145、S147)。これによれば、削除判断時に時計が設定されているものの、記憶時の時刻情報32が未設定の時計によるものである場合、時計が設定され第2画像データGD2の時刻情報32Aが更新された後に、更新後の時刻情報32Aに基づいて削除タイミングを判断できる。
【0054】
(10)CPU12は、S97,S99を実行した第2画像データGD2を対象として、第1削除処理を実行する。これによれば、第2画像データGD2の時刻情報32Aを設定した上で、時刻情報32に基づいて削除を判断できる。
【0055】
なお、本願発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。例えば、MFP1は、バックアップ電源29を備えなくとも良い。また、MFP1は、USBポートを1つだけ備えた構成でも良く、3以上の複数のUSBポートを備える構成でも良い。この場合、CPU12は、例えば、各USBポートに接続されたUSBストレージ47について、第2画像データGD2の削除を判断しても良い。
【0056】
また、印刷指示を受け付けるユーザインタフェースは、タッチパネル等に限らず、MFP1は、NFC等を介してユーザの携帯端末から印刷指示を受け付けても良い。この場合、NFCの無線装置は、本願のユーザインタフェースの一例である。
【0057】
また、例えば、第1カウンタとして揮発性時計26を用いても良い。不揮発性時計27及び電源ONカウンタ25は、電源OFFされ外部電源から電力を供給されてない状態となっても時刻情報32やカウント値35のバックアップが存在する。また、揮発性時計26であっても、時刻サーバを時刻情報32のバックアップとして使用できるため、第1実施形態において、時刻サーバと同期する揮発性時計26を、不揮発性時計27の代わりに使用しても良い。
【0058】
CPU12は、時刻情報32やカウント値35を、設定情報領域11A以外、例えば、画像データ蓄積用領域11BやUSBストレージ47に記憶し、各処理に用いても良い。CPU12は、蓄積した第1及び第2画像データGD1,GD2の削除の指示をユーザIF20等でユーザから受け付ける構成を持っていても良い。
【0059】
また、CPU12は、ジョブのデータを第1及び第2画像データGD1,GD2に変換せずに、メモリ11やUSBストレージ47に蓄積しても良い。この場合、CPU12は、印刷の指示を受け付けた後、蓄積したジョブのラスタライズ等を実行し印刷しても良い。また、CPU12は、メモリ11やUSBストレージ47に蓄積する第1及び第2画像データGD1,GD2を暗号化して記憶しても良い。
【0060】
上記各実施形態のフローチャートの各ステップの処理内容や順番は、一例であり、適宜変更可能である。また、上記各実施形態では、本願発明に係わるコントローラとして、所定のプログラムを実行するCPU12を採用したが、これに限らない。例えば、コントローラを、ASICなどの専用のハードウェアで構成してもよい。また、コントローラは、例えばソフトウェアによる処理と、ハードウェアによる処理とを併用して動作する構成でもよい。また、上記各実施形態では、本願発明に係わる画像形成装置として複合機であるMFP1を採用したが、これに限らない。本願発明に係わる画像形成装置は、プリント機能のみを有するプリンタ装置でもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 MFP(画像形成装置)、11B 画像データ蓄積用領域(揮発性メモリ)、12 CPU(コントローラ)、14 印刷部(画像形成部)、20 ユーザIF、21 ネットワークIF(第1インタフェース)、23 USBIF(第2インタフェース)、26 揮発性時計(第1カウンタ)、27 不揮発性時計(第1カウンタ)、28 フリーランタイマ(第2カウンタ)、29 バックアップ電源、31 準備完了情報、32,32A 時刻情報(第1カウント値)、33 時刻無効情報、35,35A カウント値(第2カウント値)、47 USBストレージ(不揮発性ストレージ)、GD1 第1画像データ(画像データ)、GD2 第2画像データ(画像データ)。