(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105869
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】微細物排出バルブ装置及び遠心分離装置並びに微細物除去システム
(51)【国際特許分類】
F16K 5/06 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
F16K5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000467
(22)【出願日】2021-01-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】501141769
【氏名又は名称】株式会社industria
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一彰
【テーマコード(参考)】
3H054
【Fターム(参考)】
3H054AA03
3H054BB25
3H054CB09
3H054EE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排出経路が閉回路の状態で作動し、液の持ち出しが少ないとともに、微細物が詰まり難い構造で、耐久性が向上する微細物排出バルブ装置及び遠心分離装置並びに微細物除去システムを提供する。
【解決手段】微細物排出バルブ装置10は、ボール弁体40を備え、ボール弁体40は、回転可能に構成されるボール弁41と、ボール弁41を回転可能に支持する弁支持体42と、を含み、ボール弁41は、微粉末状の切削クズ等の微細物を溜める溜め穴部41aを有し、ボール弁41は、待機位置と、回収位置と、排出位置と回転して、溜め穴部41aに回収した微細物を、出口側キャップ30に排出する構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出経路を構成する入口側キャップと、
排出経路を構成する出口側キャップと、
前記入口側キャップと前記出口側キャップの間に配置されるボール弁体を備え、
前記ボール弁体は、
回転可能に構成されるボール弁と、
前記ボール弁を回転可能に支持する弁支持体を含み、
前記ボール弁は、
微粉末状の切削クズ等の微細物を溜める溜め穴部を有し、
前記ボール弁は、
待機位置で、前記溜め穴部が前記出口側キャップ側を向き、前記入口側キャップ側に前記微細物を溜め、
回収位置で、前記入口側キャップ側に溜めた微細物を、前記溜め穴部に回収し、
排出位置で、前記溜め穴部に回収した微細物を、前記出口側キャップに排出する構成であることを特徴とする微細物排出バルブ装置。
【請求項2】
前記溜め穴部は、
底面がテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載の微細物排出バルブ装置。
【請求項3】
前記ボール弁体は、
前記入口側キャップと前記出口側キャップに対して、着脱可能に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細物排出バルブ装置。
【請求項4】
前記入口側キャップと前記ボール弁体の間に、入口側皿バネを介して付勢された入口側シートを配置し、
前記出口側キャップと前記ボール弁体の間に、出口側皿バネを介して付勢された出口側シートを配置し、
前記ボール弁体を、前記入口側シートと前記出口側シートとにより支持したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物排出バルブ装置。
【請求項5】
前記入口側キャップの弁入側と、
前記出口側キャップの弁出側と、
前記溜め穴部の穴開口は、
いずれも断面円形状であり、
前記弁入側の直径は、前記穴開口の直径以下であり、
前記弁出側の直径は、前記穴開口の直径以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の微細物排出バルブ装置。
【請求項6】
軸芯に流体出口を有し、前記軸芯から偏位した位置に流体入口を有し、前記流体入口から微細物を含む液体を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて前記流体出口から微細物を分離した液体を排出し、分離された微細物を沈降させる分離部と、
前記分離部で分離されて沈殿する微細物を沈殿させて溜める容器と、
前記容器に溜まる微細物量を排出する経路に請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微細物排出バルブ装置と、
を備えることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項7】
微細物量検出装置を備え、
前記微細物量検出装置により前記容器に溜まる微細物量を検出し、
前記微細物排出バルブ装置を作動可能な構成であることを特徴とする請求項6に記載の遠心分離装置。
【請求項8】
タンクから液を各機種に供給する経路、またはタンクから液を各機種に供給し、タンクに戻して循環させる経路を有する微細物除去システムであり、
請求項6または請求項7に記載の遠心分離装置を備えることを特徴とする微細物除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排出経路において液の持ち出しが少ない微細物排出バルブ装置及び遠心分離装置並びに微細物除去システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、機械加工では、供給タンクから切削液を供給しながら切削加工が行なわれ、切削液には微粉末状の切削クズ等の微細物が含まれる。この微粉末状の切削クズ等の微細物が含まれる切削液を遠心分離装置に供給し、遠心分離装置により切削液から微細物を分離し、分離された微細物を沈澱部に沈殿させ、微細物を除去して切削液を供給タンクに戻している。
【0003】
このような微細物を除去する排出経路において、開閉バルブやボールバルブ等を配置し、微細物を除去することが行われ、例えば、ドレン排出としては、開閉バルブやボールバルブが提案されている(特許文献1及び特許文献2)。V1、V2が設けられているドレン排水設備ドレン排水管L2の途中のそれぞれに開閉バルブV1、V2が設けられているドレン排水管L2の途中のそれぞれに開閉バルブV1、V2が設けられている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-15869号公報
【特許文献2】特開2002-174397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ドレン排出としては、開閉バルブやボールバルブが提案されているが、特に、切削液から微細物を分離し、分離された微細物を沈澱部に沈殿させ、微細物を除去して切削液を供給タンクに戻すシステムにおいては、排出経路において液の持ち出しを少なくする必要があるとともに、微細物が詰まる虞があり、耐久性が低下するなどの問題がある。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、排出経路が閉回路の状態で作動し、液の持ち出しが少ないとともに、微細物が詰まり難い構造で、耐久性が向上する微細物排出バルブ装置及び遠心分離装置並びに微細物除去システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0008】
請求項1に記載の発明は、排出経路を構成する入口側キャップと、
排出経路を構成する出口側キャップと、
前記入口側キャップと前記出口側キャップの間に配置されるボール弁体を備え、
前記ボール弁体は、
回転可能に構成されるボール弁と、
前記ボール弁を回転可能に支持する弁支持体を含み、
前記ボール弁は、
微粉末状の切削クズ等の微細物を溜める溜め穴部を有し、
前記ボール弁は、
待機位置で、前記溜め穴部が前記出口側キャップ側を向き、前記入口側キャップ側に前記微細物を溜め、
回収位置で、前記入口側キャップ側に溜めた微細物を、前記溜め穴部に回収し、
排出位置で、前記溜め穴部に回収した微細物を、前記出口側キャップに排出する構成であることを特徴とする微細物排出バルブ装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記溜め穴部は、
底面がテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載の微細物排出バルブ装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記ボール弁体は、
前記入口側キャップと前記出口側キャップに対して、着脱可能に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細物排出バルブ装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記入口側キャップと前記ボール弁体の間に、入口側皿バネを介して付勢された入口側シートを配置し、
前記出口側キャップと前記ボール弁体の間に、出口側皿バネを介して付勢された出口側シートを配置し、
前記ボール弁体を、前記入口側シートと前記出口側シートとにより支持したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細物排出バルブ装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記入口側キャップの弁入側と、
前記出口側キャップの弁出側と、
前記溜め穴部の穴開口は、
いずれも断面円形状であり、
前記弁入側の直径は、前記穴開口の直径以下であり、
前記弁出側の直径は、前記穴開口の直径以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の微細物排出バルブ装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、
軸芯に流体出口を有し、前記軸芯から偏位した位置に流体入口を有し、前記流体入口から微細物を含む液体を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて前記流体出口から微細物を分離した液体を排出し、分離された微細物を沈降させる分離部と、
前記分離部で分離されて沈殿する微細物を沈殿させて溜める容器と、
前記容器に溜まる微細物量を排出する経路に請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微細物排出バルブ装置と、
を備えることを特徴とする遠心分離装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、微細物量検出装置を備え、
前記微細物量検出装置により前記容器に溜まる微細物量を検出し、
前記微細物排出バルブ装置を作動可能な構成であることを特徴とする請求項6に記載の遠心分離装置である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、タンクから液を各機種に供給する経路、またはタンクから液を各機種に供給し、タンクに戻して循環させる経路を有する微細物除去システムであり、
請求項6または請求項7に記載の遠心分離装置を備えることを特徴とする微細物除去システムである。
【発明の効果】
【0016】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0017】
請求項1乃至請求項8に記載の発明では、ボール弁は、待機位置で、入口側キャップ側に微細物を溜め、回収位置で、溜めた微細物を溜め穴部に回収し、排出位置で、回収した微細物を出口側キャップに排出する構成であり、排出経路が閉回路の状態で作動し、液の持ち出しが少ないとともに、微細物が詰まり難い構造で、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】微微細物排出バルブ装置の作動を示す図である。
【
図4】微細物排出バルブ装置の駆動手段を示す図である。
【
図10】他の形態の微細物量検出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の微細物排出バルブ装置及び遠心分離装置並びに微細物除去システムの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0020】
(微細物排出バルブ装置)
この発明の微細物排出バルブ装置を、
図1乃至
図4に基づいて説明する。
図1は微細物排出バルブ装置の断面図、
図2は微微細物排出バルブ装置の作動を示す図、
図3はボール弁の断面図、
図4は微細物排出バルブ装置の駆動手段を示す図である。
【0021】
この実施の形態の微細物排出バルブ装置10は、排出経路を構成する入口側キャップ20と、排出経路を構成する出口側キャップ30と、入口側キャップ20と出口側キャップ30の間に配置されるボール弁体40と、を備える。
【0022】
入口側キャップ20と出口側キャップ30は、複数個の締め付け部材50によって締め付け固定され、ボール弁体40は、入口側キャップ20と出口側キャップ30に対して、着脱可能に構成される。締め付け部材50は、ボルト51とナット52により構成される。
【0023】
ボール弁体40は、回転可能に構成されるボール弁41と、ボール弁41を回転可能に支持する弁支持体42と、を含み、ボール弁41は、バルブ駆動手段43により回転する構成である。
【0024】
入口側キャップ20とボール弁体40の間に、入口側皿バネ60を介して付勢された入口側シート61を配置し、出口側キャップ30とボール弁体40の間に、出口側皿バネ70を介して付勢された出口側シート71を配置し、ボール弁体40を、入口側シート61と出口側シート71とにより支持している。入口側シート61及び出口側シート71の材質は、テフロン、ゴム、メタルタッチ等が用いられ、この材質は、微細物などに応じて選択される。
【0025】
この実施の形態では、入口側皿バネ60及び出口側皿バネ70を配置しているが、配置しなくてもよく、出口側皿バネ70のみ配置してもよい。
【0026】
ボール弁41は、微粉末状の切削クズ等の微細物を溜める溜め穴部41aを有する。このボール弁41の材質は、焼き入れ鋼、セラミック、ゴム、樹脂、ライニング等を用いることができ、この材質は、微細物などに応じて選択される。
【0027】
ボール弁41に形成された溜め穴部41aは、円筒形状であるが、円筒形状に限定されず、微細物などに応じた形状が選択される。
【0028】
入口側キャップ20の弁入側20aと、出口側キャップ30の弁出側30aと、溜め穴部41aの穴開口41a1は、いずれも断面円形状であり、弁入側20aの直径L1は、穴開口41a1の直径L2以下であり、弁出側30aの直径L3は、穴開口41a1の直径L2以上である。
【0029】
ボール弁41は、バルブ駆動手段43により移転し、
図2に示すように運転される。待機位置Aでは、溜め穴部41aが出口側キャップ側を向き、入口側キャップ20の弁入側20aを塞ぐために、入口側キャップ側に微細物を溜める。ボール弁41が回転し、回収位置Bでは、溜め穴部41aが入口側キャップ側を向き、入口側キャップ側に溜めた微細物を、溜め穴部41aに回収する。ボール弁41が回転し、排出位置Cでは、溜め穴部41aが出口側キャップ側を向き、溜め穴部41aに回収した微細物を、出口側キャップ30に排出する構成である。
【0030】
ボール弁41の溜め穴部41aは、
図3に示すように構成することができる。
図3(a)の実施形態は、円筒形状に形成され、底面41bがテーパ形状である。
図3(b)の実施形態は、円錐形状に形成され、底面41bがテーパ形状である。このように、底面41bがテーパ形状であることで、溜め穴部41aに回収した微細物を、円滑に出口側キャップ30に排出することができる。
【0031】
バルブ駆動手段43は、
図4に示すように構成することができる。
図4(a)の実施形態は、ボール弁41に駆動軸44を取り付け、この駆動軸44と、駆動モータ45の出力軸45aを連結し、駆動モータ45の駆動によってボール弁41を回転する。
図4(b)の実施形態は、ボール弁41に駆動軸44を取り付け、この駆動軸44と、シリンダ46の出力軸46aをラック・ピニオンで連結し、シリンダ46の駆動によってボール弁41を回転する。
【0032】
このように、この実施の形態の微細物排出バルブ装置10は、ボール弁41を備え、このボール弁41は、排出経路が閉回路の状態で、運転サイクルにおいて、待機位置Aで、入口側キャップ側に微細物を溜め、回収位置Bで、溜めた微細物を溜め穴部41aに回収し、排出位置Cで、溜め穴部41aに回収した微細物を出口側キャップ30に排出する。この運転サイクルにおいて、ボール弁41により排出経路が閉回路の状態で作動するから、液の持ち出しが少ないとともに、微細物が詰まり難い構造で、耐久性が向上する。
【0033】
この微細物排出バルブ装置10は、待機位置Aで入口側キャップ側に微細物を溜める構成であり、入口側キャップ20を交換することで、微細物を溜める容積の調整が容易である。また、入口側キャップ20と出口側キャップ30は、複数個の締め付け部材50によって締め付け固定されるから、ボール弁体40の交換やメンテナンスが容易である。このボール弁体40の交換によって、ボール弁41の材質や溜め穴部41aの形状の選択の自由度が向上する。
【0034】
また、入口側キャップ20と出口側キャップ30は、複数個の締め付け部材50によって締め付け固定されるから、入口側皿バネ60と入口側シート61、または出口側皿バネ70と出口側シート71の交換や選択によって、ボール弁41の圧力調整が容易である。
【0035】
この実施の形態の微細物排出バルブ装置10は、出口側キャップ30に、例えば真空ポンプを接続し、この真空ポンプを使用して真空引きして排出性の向上が可能である。
【0036】
また、微細物排出バルブ装置10は、出口側キャップ30を、例えば、規格、特殊仕様の各ねじ込み、フランジ、フェルールに対応した構造とし、沈殿ポット80に直接取り付けることもできる。
【0037】
(遠心分離装置)
この発明の遠心分離装置は、製薬、化学、食品、飲料の原料他の微細物の除去に、また自動車工業、工作機、工作機械、工作機器などによる加工業の切削粉等の微細物の除去に、また各工場、水処理等の循環水、排水から半導体、バイオ等の不純物等の微細物の除去に、また洗浄水、溶剤等の異物である微細物の除去等に使用され、液体、気体の流体に含まれる微細物を分離除去するものに広く使用される。
【0038】
この発明の遠心分離装置を、
図5乃至
図10に基づいて説明する。
図5は遠心分離装置を説明する図、
図6は微細物量の検出を説明する原理図、
図7は微細物量を検出しない場合を示す図、
図8は微細物量を検出する場合を示す図、
図9は微細物量の検出を示すフロー図、
図10は他の形態の微細物量検出装置を示す図である。
【0039】
この実施の形態の遠心分離装置100は、分離部110と、容器120と、微細物量検出装置130と、微細物排出バルブ装置10と、を備える。
【0040】
分離部110は、軸芯に流体出口111を有し、軸芯から偏位した位置に流体入口112を有し、流体入口112から微細物を含む液体を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて流体出口111から微細物を分離した液体を排出し、分離された微細物を沈降させる構成である。
【0041】
容器120は、分離部110の底部と連通され、分離部110で分離されて沈殿する微細物を沈殿させて溜める構成である。微細物排出バルブ装置10は、
図1乃至
図4に示すように構成され、容器120に連通され、容器120に溜まる微細物を排出する。
【0042】
(形態1の構成)
この実施の形態の微細物量検出装置130は、容器120に溜まる微細物量を検出し、微細物排出バルブ装置10を作動可能な構成である。
【0043】
この実施の形態の微細物量検出装置130は、容器120の外側面に備える超音波センサ131と、超音波センサ131からの出力に基づいて容器120に溜まる微細物量を検出する検出手段132と、制御手段133を備える。
【0044】
超音波センサ131は、容器120の外側面にカップリング材134により保持され、取付治具135で所定位置に取り付けられる。この超音波センサ131を取り付けた位置が、容器120に溜まる微細物量を検出する位置である。容器120の底部には、微細物排出バルブ装置10が設けられ、容器120に溜まった微細物を排出する構成である。
【0045】
検出手段131は、超音波センサ131からの出力が閾値以上の場合には、微細物量が規定値以下と判断し、超音波センサ131からの出力が閾値以下の場合には、微細物量が規定値以上と判断する。
【0046】
制御手段133は、検出手段132の判断に基づき、微細物排出バルブ装置10のバルブ駆動手段43を制御する。制御手段133の制御により、微細物量が規定値以下の場合には、バルブ駆動手段43は作動しない状態であり、微細物量が規定値以上と判断される場合には、バルブ駆動手段43は作動する状態とする。バルブ駆動手段43は、ボール弁41を駆動し、例えば、ボール弁41を所定回数回転させて、または所定時間回転させて、容器120に溜まった微細物を排出する。
【0047】
例えば、容器120に溜まる微細物の体積量を、超音波センサ131によってボール弁41の形成した溜め穴部41aの体積量より少ない位置に設定し、運転サイクルにおいて、ボール弁41を作動させることで、液の持ち出しが少ないとともに、詰まりの可能性が極めて低くなり、かつ制御手段133により検出手段132の判断に基づき、バルブ駆動手段43を制御することで、自動化が可能になる。
【0048】
(検出原理)
この実施の形態の超音波センサ131は、送波器131aにより超音波を対象物に向け発信し、その反射波を受波器131bで受信することにより、対象物の有無検出する構成である。
【0049】
この実施の形態では、反射形を用いており、
図6(a)に示すように、容器120の容器側壁によって、口元反射、内壁反射、外壁反射が生じる。例えば、距離調整ボリウムなどで設定した検出距離範囲内に存在する物体からの反射波のみを検出する方式を用いることができる。
【0050】
図6(b)に示すように、容器120の内部には、切削液のみが溜まっている場合、あるいは切削液が溜まっていない場合には、超音波センサ131の内壁反射による出力が大きい。
図6(c)に示すように、切削液に含まれる微細物を分離して除去し、この微細物が容器120の内部に溜まってくると、超音波センサ131の内壁反射による出力が微細物によって減衰して小さくなる。
【0051】
(微細物量検出)
この実施の形態の微細物量検出装置130による微細物量検出を、
図7乃至
図9に基づいて説明する。この実施の形態の微細物量検出装置130では、超音波センサ131が微細物量の検出を開始し(
図9(a))、超音波センサ131では、超音波を送信し、この反射波を受信する(
図9(b)、(c))。検出手段131では、超音波センサ131で受信した信号を判定し(
図9(d))、超音波センサ131からの出力、即ち受信電圧が閾値以上は、微細物量が規定値以下と判断し(
図7(b))、受信電圧が閾値以下は、微細物量が規定値以上と判断する(
図8(b))。
【0052】
微細物量が規定値以下と判断した場合には、バルブ非駆動であり(
図9(e))、微細物量が規定値以上と判断した場合には、バルブ駆動であり(
図9(f))、容器120の内部に溜まっている微細物を除去し、微細物の分離・回収を行う(
図9(g))。
【0053】
(形態2の構成)
この実施の形態の微細物量検出装置130は、
図10に示すように、容器120の外側面に備える超音波センサ131として透過形を用いる。この透過形は、送波器131aにより超音波を対象物に向け発信し、その送波を受波器131bで受信することにより、対象物の有無検出する構成である。送波器131aと受波器131bは、対抗する位置において、容器120の外側面にカップリング材134により保持され、
図5に示すように、取付治具135で所定位置に取り付けられる。この超音波センサ131を取り付けた位置が、容器120に溜まる微細物量を検出する位置である。
【0054】
検出手段132は、超音波センサ131からの出力が閾値以上の場合には、微細物量が規定値以下と判断し、超音波センサ131からの出力が閾値以下の場合には、微細物量が規定値以上と判断する。
【0055】
この実施の形態では、
図10(b)に示すように、容器120の内部には、切削液のみが溜まっている場合、あるいは切削液が溜まっていない場合には、超音波センサ131の出力が大きい。切削液に含まれる微細物を分離して除去し、この微細物が容器120の内部に溜まってくると、超音波センサ131の出力が微細物によって減衰して小さくなる。
【0056】
(微細物除去システム)
この実施の形態の微細物除去システムを、
図11に基づいて説明する。
図11は微細物除去システムを示す図である。
【0057】
この実施の形態では、工作機、工作機械、工作機器などによる加工業の切削粉等の微細物の回収に用いる場合について説明する。この実施の形態では、流体として液体に含まれる微粉末状クズの微細物を除去する場合について用いているが、気体に含まれる微細物を除去する場合にも同様に用いることができる。また、微細物であればよく、微粉末状クズに限定されない。また、微細物量検出装置130は、超音波センサ、高周波センサ、レーザーセンサ、光電センサ、流量計、近接センサ、静電容量センサなどを用いて微細物量を検出することができるが、この実施の形態では、超音波センサを用いている。
【0058】
この実施の形態の微細物除去システム500は、遠心分離装置100と、微細物量検出装置130と、微細物排出バルブ装置10と、を含み、タンクから液を各機種に供給する経路、またはタンクから液を各機種に供給し、タンクに戻して循環させる経路を有するシステムである。
【0059】
図11(a)の形態では、微細物分離システム500は、タンク501の原料他の流体をポンプP1により各機種502に供給する経路503に配置される。
図11(b)の形態では、タンク511の処理液の流体をポンプP1により加工機512に供給し、この加工機512から加工に用いた処理液をタンク511に戻して循環させる循環経路513に配置される。
【0060】
図11(a)及び
図11(b)の形態では、原料他をポンプにより各機器に供給する経路に遠心分離装置100を含む微細物除去システムが配置され、この遠心分離装置100で原料他に含まれる微細物を除去する。遠心分離装置100には、バルブV1を介して容器120が接続され、この容器120は、カップで構成され、容器120には微細物排出バルブ装置10が接続されている。遠心分離装置100において、微細物を含む流体から微細物を分離し、この微細物はバルブV1を開くことで容器120に溜まる。微細物量検出装置130は、容器120に溜まる微細物を検出し、微細物排出バルブ装置10を駆動して微細物を排出する。
【0061】
図11(c)の形態は、
図11(a)及び
図11(b)の形態と同様に構成され、微細物はバルブV1を開くことで容器120に溜まる。微細物量検出装置130は、容器120に溜まる微細物を検出し、微細物排出バルブ装置10を駆動して容器120に溜まる微細物を排出し、バルブV2を開くことで回収する。この
図11(a)~
図11(c)の形態では、容器120は、遠心分離装置100の微細物排出部にバルブV1を介して接続された構成である。
【0062】
図11(d)の形態は、遠心分離装置100には、容器120が直接接続され、微細物量検出装置130は、容器120に溜まる微細物を検出し、微細物排出バルブ装置10を駆動して微細物を排出する。
【0063】
図11(e)の形態は、
図11(c)の形態と同様に構成されるが、遠心分離装置100では、微細物を含む流体から微細物を分離し、この分離した微細物が沈殿タンク100aに溜まるように構成されており、この沈殿タンク100aに微細物量検出装置130がバルブV1を介して接続される。微細物量検出装置130は、容器120に溜まる微細物を検出し、微細物排出バルブ装置10を駆動して微細物を排出する。この微細物量検出装置130は、後付けで沈殿タンク100aに接続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明は、排出経路において液の持ち出しが少ない微細物排出バルブ装置及び遠心分離装置並びに微細物除去システムに適用され、排出経路が閉回路の状態で作動し、液の持ち出しが少ないとともに、微細物が詰まり難い構造で、耐久性が向上する。
【符号の説明】
【0065】
10 微細物排出バルブ装置
20 入口側キャップ
20a 入口側キャップ20の弁入側
30 出口側キャップ
30a 出口側キャップ30の弁出側
40 ボール弁体
41 ボール弁
41a 溜め穴部
41a 溜め穴部41aの穴開口
41b 溜め穴部41aの底面
42 弁支持体
43 バルブ駆動手段
50 締め付け部材
60 入口側皿バネ
61 入口側シート
70 出口側皿バネ
71 出口側シート
100 遠心分離装置
110 分離部
111 流体出口
112 流体入口
120 容器
130 微細物量検出装置
131 超音波センサ
132 検出手段
133 制御手段
500 微細物分離システム
501 タンク
502 各機種
503 経路
511 タンク
512 加工機