(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105873
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】LPS微粉末、LPS懸濁オイル及びLPS配合製品
(51)【国際特許分類】
C08B 37/00 20060101AFI20220708BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220708BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220708BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220708BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220708BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20220708BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
C08B37/00 G
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q5/06
A61K8/92
C08B37/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000472
(22)【出願日】2021-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】500315024
【氏名又は名称】有限会社バイオメディカルリサーチグループ
(71)【出願人】
【識別番号】390025210
【氏名又は名称】杣 源一郎
(71)【出願人】
【識別番号】508098394
【氏名又は名称】自然免疫応用技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110191
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和男
(72)【発明者】
【氏名】河内 千恵
(72)【発明者】
【氏名】新田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】杣 源一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲川 裕之
【テーマコード(参考)】
4C083
4C090
【Fターム(参考)】
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD022
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB13
4C083CC03
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD17
4C083DD39
4C083FF01
4C090AA01
4C090AA08
4C090BA76
4C090BD19
4C090BD24
4C090CA06
4C090CA19
4C090DA26
(57)【要約】
【課題】油分主体化粧品等に乳化剤を使わずに配合できるLPS原料であるLPS微粉末を提供する。また、そのLPS微粉末が懸濁されているLPS懸濁オイルを提供する。さらに、そのLPS懸濁オイルが配合されているLPS配合製品を提供する。
【解決手段】微粉末状LPSの最大粒子径が20μm以上75μm以下であるLPS微粉末がオイルに懸濁されているLPS懸濁オイルが配合されているLPS配合製品が化粧品、洗浄剤又は整髪剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉末状LPSの最大粒子径が20μm以上75μm以下であることを特徴とするLPS微粉末。
【請求項2】
請求項1記載のLPS微粉末がオイルに懸濁されていることを特徴とするLPS懸濁オイル。
【請求項3】
請求項2記載のLPS懸濁オイルが配合されていることを特徴とするLPS配合製品。
【請求項4】
請求項3記載のLPS配合製品は、化粧品、洗浄剤又は整髪剤であることを特徴とするLPS配合製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LPS微粉末、LPS懸濁オイル及びLPS懸濁オイルを原料として配合した製品である、リップクリーム、オリーブオイルなどの油性化粧品、バーム状又はオイル状のクレンジング剤、椿油等の油性整髪剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や整髪剤(合わせて化粧品等と呼ぶ)は、肌を清潔に保ち、外部刺激から保護し、乾燥を防いで潤いを与えるために使用される。そのため、化粧品等には、保湿成分、肌を健康に保つ機能性成分、香料、防腐剤などの原料が配合される。配合される原料の形状としては、水溶液、油溶液、水又は油に溶解して使う粉体があり、水溶液と油溶液を混合する場合には乳化剤が用いられる。ただし、オイル本来の透明性を保つため乳化剤を使用しない製品や、固形で水溶液を入れる余地がない油分主体化粧品等では、水溶液の原料を配合することができない。
【0003】
ところで、リポポリサッカライド(LPS)は、肌の自然治癒力を高める作用があり、近年、機能性成分として化粧品にも配合されている。LPSは、脂質と糖から成る物質であるが、水溶性の糖の割合が大きいので、LPS全体としては水溶性であり油には溶けない。したがって、化粧品用LPS原料は、水溶液(Somacy-CL001:パントエア・アグロメランス/コムギ粉発酵エキス、SomacyN-CL001:パントエア・アグロメランスエキス、RiB-CL001:パントエア/コメヌカ発酵エキス、APV-CL001:パントエアバガンス培養液エキス)として提供されている(非特許文献1)。水溶液であるため、固形の油分主体化粧品であるリップクリームやクレンジングバームなどには、全く配合することができないか、配合されても微量添加となり機能性を示すための適量を配合することができない。また、オリーブオイルなどでは、乳化剤を使わない限り、加えたLPS水溶液は玉となって、オイルと融合できない。
【0004】
油分主体化粧品等において、水分が持ち込めないことが問題なのであるから、LPS水溶液から水分を蒸発させて粉として配合する方法が考えられる。しかし、化粧品等に混ぜるLPSの推奨量は、1μg/g程度と極めて微量であるため、正確に計り取ったり、均一に混合したりすることが処方上困難である。この問題を解決するため、食品用のLPS原料では、デキストリンを担体とするスプレードライ粉体も提供されている。この方法では、デキストリン水溶液中にLPSを溶解させ、この均一混合液をノズルから噴射しながら乾燥させる。水が蒸発する際に、デキストリンとLPSがくっついて粒子となる。スプレードライ粉体の大きさは噴射する時の水滴の大きさに依存する。デキストリンを担体としてスプレードライすることによって嵩が増えるので、LPSの一定量を正確に計り取ることが可能となる。ただし、スプレードライに使われる担体は水溶性であるから、嵩ましのためのスプレードライ品をオイルに加えると不溶物が増える結果となる。したがって、油分主体化粧品等にLPSを配合するには、油性溶媒中にLPSだけを適当な濃度に懸濁したオイルが最も適しているが、LPSが水溶性であって油性溶媒中に懸濁させることが困難であるために、従来、そのようなLPS懸濁オイルは存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“販売中のLPS原料”,[online],自然免疫応用技研株式会社,[令和2年12月28日検索],インターネット<https://www.macrophi.co.jp/seihin/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
油分主体化粧品等に乳化剤を使わずに配合できるLPS原料であるLPS微粉末を提供する。また、そのLPS微粉末が懸濁されているLPS懸濁オイルを提供する。さらに、そのLPS懸濁オイルが配合されているLPS配合製品を提供する。
【0007】
本発明者らは、水溶性であっても微粉末状LPSの粒子径を所定の大きさにすることによって、乳化剤を使わなくてもオイルに懸濁させることができることを見いだして、油分主体化粧品等に所定の必要な量のLPSを容易に配合させることができるようになった。
【0008】
・油分主体化粧品等に乳化剤を使わずに混合できる原料は、オイルであることが必要である。
・使用するオイルは、化粧品原料として登録されており、かつどのような化粧品にも配合できるよう無色透明無臭であることが望ましい。
・水分はオイルと混じらないので、LPSは凍結乾燥して水分を完全に蒸発させることが必要である。
・LPSはオイルに溶解しないので、オイルに懸濁状態で混ぜ込むことが必要である。
【0009】
・オイルに混ぜ込むLPSは、混ぜた後、均一に分散し、かつ容易に沈殿しない程度に微粉末化するのがよく、最大粒子径が20~75μm、より好ましくは20~45μmがよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のLPS微粉末は、微粉末状LPSの最大粒子径が20μm以上75μm以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記LPS微粉末がオイルに懸濁されていることを特徴とするLPS懸濁オイルである。
【0012】
また、本発明は、上記LPS懸濁オイルが配合されていることを特徴とするLPS配合製品である。
【0013】
また、上記LPS配合製品は、化粧品、洗浄剤又は整髪剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のLPS微粉末を使ったLPS懸濁オイルを原料として用いることで、これまで不可能であったLPS配合の油分主体化粧品、例えばリップクリーム、バーム化粧品、オイル化粧品又はオイル整髪剤等の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】LPS懸濁オイルを配合したクレンジングバームの写真。
【発明を実施するための形態】
【実施例0016】
<オイルに懸濁するためのLPS破砕物の調整>
LPSを有するグラム陰性細菌パントエア・アグロメランスを培養し、培養液を加熱し、遠心分離上清を活性炭処理し、セライトろ過し、膜ろ過濃縮し、エタノール沈殿後、沈殿を凍結乾燥してLPS凍結乾燥品を得た。
【0017】
こうして得られたLPS凍結乾燥品6g程度を、1cm角以下となるように砕き、破砕機(Wonder Crusher WC-3:大阪ケミカル(株):処理容器サイズ108mmφ×51mmH、最大処理容量150mL)に入れて粉砕した。本破砕機の回転数は、ダイヤル0から10の範囲で調節する仕様であり、最高回転数は28000rpmである。一般に、数十gを処理する小型の粉砕機は、高速で長時間連続運転すると高温となる。LPS凍結乾燥品の粉砕では、発熱を制御できる運転手順として、速度7で50秒間の粉砕を2回、さらに速度9で20秒間の粉砕を8回繰り返すことが適当であった。
この結果から、20μmメッシュの篩を通した場合、回収率が著しく低くなることがわかった。したがって、破砕処理後の篩掛け操作では、20μmより大きいメッシュサイズの篩を使用することが適している。