(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105899
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】ウイルス不活性化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20220708BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20220708BHJP
【FI】
A61L9/20
B01D46/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000520
(22)【出願日】2021-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】598130310
【氏名又は名称】株式会社エムアンドエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 静男
【テーマコード(参考)】
4C180
4D058
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180DD03
4C180DD09
4C180HH05
4D058JA02
4D058KA08
4D058KB12
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA17
4D058QA21
4D058TA08
4D058UA25
(57)【要約】
【課題】呼気が発せられた直後において呼気に対するウイルスの不活性化を行うことにより、周囲へのウイルス拡散による感染リスクを効果的に抑制すること。
【解決手段】本願に係るウイルス不活性化装置は、利用者から発せられた呼気を捉えるための入り口となるベルマウス形状の吸引口を一端に備える吸引パイプと、吸引パイプの他の一端に連結される本体装置とを有し、本体装置は、吸引口から本体装置内へと気流を発生させる送風機と、吸引パイプを介して本体装置内に流入した気体に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射する紫外線ランプとを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から発せられた呼気を捉えるための入り口となるベルマウス形状の吸引口を一端に備える吸引パイプと、前記吸引パイプの他の一端に連結される本体装置とを有し、
前記本体装置は、
前記吸引口から前記本体装置内へと気流を発生させる送風機と、
前記吸引パイプを介して前記本体装置内に流入した気体に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射する紫外線ランプと
を有することを特徴とするウイルス不活性化装置。
【請求項2】
前記送風機は、前記吸引口から前記本体装置内へと気流を発生させることで前記利用者から発せられた呼気を前記吸引口から吸引し、
前記紫外線ランプは、前記吸引パイプを介して前記本体装置内に流入した気体として、前記送風機により吸引された呼気を含む気体に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射する
ことを特徴とする請求項1に記載のウイルス不活性化装置。
【請求項3】
前記本体装置は、
前記吸引パイプを介して前記気体が流入する空間であって、前記紫外線ランプが配置される空間を形成する部材である呼気流入ガイドと、
前記紫外線ランプを囲むことで、流入した前記気体に対して紫外線が照射される空間である紫外線照射空間を形成するとともに、前記気体に含まれる浮遊物を濾過する濾過フィルターと、
をさらに有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のウイルス不活性化装置。
【請求項4】
前記紫外線ランプは円柱状であり、筒形状の前記呼気流入ガイドが延伸する方向に向けて前記紫外線照射空間に配置され、
前記濾過フィルターは、前記紫外線ランプを筒形状で囲むように前記呼気流入ガイド内に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載のウイルス不活性化装置。
【請求項5】
前記濾過フィルターは、前記紫外線照射空間へと前記気体を流入させるよう円筒の一端が開口される
ことを特徴とする請求項3または4に記載のウイルス不活性化装置。
【請求項6】
前記濾過フィルターを囲んだ位置で前記濾過フィルターを支持する支持部材を
さらに有する
ことを特徴とする請求項3~5のいずれか1つに記載のウイルス不活性化装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記濾過フィルターを囲むことで前記濾過フィルターの形状を保持する金網である
ことを特徴とする請求項6に記載のウイルス不活性化装置。
【請求項8】
前記呼気流入ガイドは、
前記吸引パイプを介して前記気体が流入する第1の空間を形成する第1の呼気流入ガイドと、前記第1の空間内の気体が流入する第2の空間を形成する第2の呼気流入ガイドとを有する
ことを特徴とする請求項3~7のいずれか1つに記載のウイルス不活性化装置。
【請求項9】
前記呼気流入ガイドは、
前記吸引パイプを介して前記気体が流入する第1の空間を形成する第1の呼気流入ガイドと、前記吸引パイプを介して前記気体が流入する第2の空間を形成する第2の呼気流入ガイドとを有する
ことを特徴とする請求項3~7のいずれか1つに記載のウイルス不活性化装置。
【請求項10】
前記本体装置は、
前記紫外線ランプにより紫外線が照射された気体を外部または他の本体装置へと排出する排出口を
さらに有する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載のウイルス不活性化装置。
【請求項11】
前記ベルマウス形状は、ポテンシャル流の流線に基づき算出された形状であって、呼気の主流方向の形状に対して概略一致させて決定される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載のウイルス不活性化装置。
【請求項12】
前記ベルマウス形状は、前記吸引パイプが有するパイプ半径を前記ポテンシャル流の流線を示す流線図に適用することで算出された形状であって、前記呼気の主流方向の形状に対して概略一致させて決定される
ことを特徴とする請求項11に記載のウイルス不活性化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス不活性化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、製品化、あるいは、製品化を計画されているウイルス不活性化を目的とする装置には、人体に影響のある波長の紫外線を利用し物体表面に付着したウイルスの不活性化を目的とする殺菌装置、室内空気を吸引して該空気中に拡散したウイルスを長時間清浄化し続けてウイルスを不活性化する装置、人体に深刻な影響を与えない波長の紫外線を発する光源を天井や壁に設置したままで室内空気と物体表面に付着したウイルスを不活性化させる装置等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウイルスによる感染の主な原因は、ウイルスを含む呼気が周囲の人物に降りかかることであり、呼気を受けた人物は感染までには数秒とかからないことが知られている。このようなことから、例えばウイルスを含む呼気が室内に排出された場合、室内にいる周囲の人物は常に感染のリスクにさらされることになる。したがって、ウイルスによる感染の原因を排除するには、呼気が排出された直後の数秒間の内にこの呼気に対してウイルスを不活性化させる処置を施すことで室内へのウイルス拡散を抑制することが求められる。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、ウイルスの発生源となっている人物の呼気に含まれる唾液飛沫や固体微粒子に付着したウイルスを、この呼気が排出された直後の数秒間の内に不活性化させることは出来ない。
【0006】
また、人体に影響のある波長の紫外線を利用する装置を用いる場合、ウイルスの発生源となっている人物に向けて紫外線を照射する事は危険であり実行できないといった問題がある。
【0007】
また、人体に影響のないとされる波長の紫外線を天井等から照射する装置を用いる場合であっても、紫外線照射量には限界値が設定されており紫外線を照射し続けることはできないことから、例えば密集状態では呼気が周囲の人物に到達する短時間のうちにウイルスを不活性化することは不可能であるといった問題がある。
【0008】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、呼気が排出された直後において呼気に対するウイルスの不活性化を行うことにより、周囲へのウイルス拡散による感染リスクを抑制することができるウイルス不活性化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係るウイルス不活性化装置は、利用者から発せられた呼気を捉えるための入り口となるベルマウス形状の吸引口を一端に備える吸引パイプと、前記吸引パイプの他の一端に連結される本体装置とを有し、前記本体装置は、前記吸引口から前記本体装置内へと気流を発生させる送風機と、前記吸引パイプを介して前記本体装置内に流入した気体に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射する紫外線ランプとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の位置態様によれば、呼気が発せられた直後において呼気に対するウイルスの不活性化を行うことにより、周囲へのウイルス拡散による感染リスクを効果的に抑制することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ウイルス不活性化装置の全体像を概念的に示す概念図である。
【
図2】
図2は、本体装置を拡大した詳細な構造図(1)を示す図である。
【
図3】
図3は、本体装置を拡大した詳細な構造図(2)を示す図である。
【
図4】
図4は、開口部の形状バリエーションを示す図である。
【
図5】
図5は、ベルマウス形状を決定する決定手法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願に係るウイルス不活性化装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本願に係るウイルス不活性化装置が限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
〔1.ウイルス不活性化装置の概要〕
上記の通り、ウイルスの発生源となっている人物の呼気に含まれる唾液飛沫に対して、この呼気が排出された直後の数秒間の内に不活性化処理することが求められる。例えば、唾液飛沫は発言の際に呼気中に多く含まれるため、実施形態に係るウイルス不活性化装置は、発言者の呼気が一瞬にして室内に拡散することが無く効果的に発言者の呼気を捉え、捉えた呼気とともに流入した気体に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射することで、呼気中のウイルスを不活性化するものである。
【0014】
また、呼気は、口から噴流となって吐き出され、吐き出された噴流は次第に周囲の空気を取り込んでいくうちにその進行距離に比例して直径を増し、近接する聞き手の位置に到達するまでは室内に拡散することなく噴流のままであるということが流体工学において立証されている。したがって、実施形態に係るウイルス不活性化装置は、流体工学上の特性に着目し、発言者と聞き手との間に置いた状態で、かつ、後述するベルマウス形状の吸引口を発言者の口元手前に向けるようにして利用されるといった利用状況が想定される。
【0015】
このようなウイルス不活性化装置によれば、発言者の呼気にウイルスが存在していたとしてもウイルスが直接聴衆に及ぶことを防止するとともに、室内に拡散する量を顕著に抑制できるようになる。
【0016】
〔2.ウイルス不活性化装置の全体像〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係るウイルス不活性化装置の全体像について説明する。
図1は、ウイルス不活性化装置の全体像を概念的に示す概念図である。
図1には、発言者1と周囲の聞き手との間に、実施形態に係るウイルス不活性化装置の一例であるウイルス不活性化装置AP(以下、「不活性化装置AP」と略す)が置かれ、そして発言者1がベルマウス形状の吸引口である吸引口4を口元にあてた状態で発言している場面が示される。
【0017】
また、
図1の例によれば、不活性化装置APは、利用者から発せられた呼気を捉えるための入り口となるベルマウス形状の吸引口4を一端に備える吸引パイプ5と、吸引パイプの他の一端に連結される本体装置6とを有する。また、
図2で説明するが、本体装置6は、吸引口4から自装置内へと気流を発生させる送風機24と、吸引パイプ5を介して自装置内に流入した気体に対して222nmまたは254nmの紫外線を照射する紫外線ランプ11(21)とを有する。
【0018】
このようなことから、
図1の例によれば、本体装置6は、送風機24により吸引口4から自装置内へと気流3を発生させることで、発言者1から排出された呼気2を吸引口4から吸引する。そして、本体装置6は、気流3に応じて吸引パイプ5を介して自装置内に流入した気体、すなわち呼気2を含む気体に対して、紫外線ランプ11(21)による222nmまたは254nmの紫外線を照射する。
【0019】
また、紫外線ランプ11(21)により紫外線が照射されることで不活性化処理された気体は、不活性化装置APが現在置かれている室内もしくは、本体装置6と同様の構成を有する他の本体装置である本体装置8へと排出される。
図1の例では、本体装置6と本体装置8とが導入パイプ7によってつながれており、本体装置6から流出した気体は導入パイプ7を介して本体装置8へと流入し、本体装置8でも同様に不活性化処理が施される。
【0020】
ここで、本体装置6および8の内部には、吸引パイプ5を介して各装置内に流入した気体の流れが太矢印で示されている。このような気体の流れは、送風機24が発生させた気流3に応じて移動する気体の流れ方向を示す。係る例によれば、呼気2を含む気体は、吸引パイプ5を介してまず本体装置6に流入し本体装置6で不活性化処理され、次に本体装置8に流入し本体装置8でさらに不活性化処理される。このように、同様の構成を有する複数の本体装置(
図1の例では、本体装置6および8)を用いれば、不活性化処理をより念入りに行うことができるようになるため、より不活性化効果を高めることができるようになる。
【0021】
なお、
図1の例によれば、本体装置6および8は、互いに同様の形態であるが、各構成部位のサイズや、紫外線ランプによる紫外線強度については必要に応じて任意に選択され得る。
図1の例では、本体装置6はテーブルTBの上に置かれ、一方、本体装置8はテーブルTBの下に置かれていることから、例えば、本体装置6は、発言者1が背負えるサイズ(例えば、内容量20L~30L程度の一般的なリュックサック程度のサイズ)で持ち運び可能とされ、本体装置8は、テーブルTBに対して据え置かれるタイプのより大型サイズであってよい。このような場合、発言者1を例えば教員とし、本体装置8が据え置かれたテーブルTBが存在する空間を1つの教室と仮定する。そうすると、発言者1は、例えば本体装置6を背負って教室へと移動し、そこで本体装置6と本体装置8とを導入パイプ7でつなぎ合わせるというセッティングさえ行えば、自身の発言による唾液飛沫が教室内に拡散されることで生徒に感染リスクが及ぶことを抑制しながら講義を行うことができるようになる。
【0022】
また、
図1の例では、本体装置6および8といった2台の本体装置がつなぎ合わされている例が示されるが、本体装置は、利用者の都合や、設置環境に合わせて任意の数がつなぎ合わされてよい。もちろんつなぎ合わせることなく1台の本体装置(
図1の例では、本体装置6)だけで不活性化処理が行われてもよい。
【0023】
また、本体装置8(本体装置8をつながれない場合には本体装置6)によって不活性化された気体は、装置外の空間(室内)に排出される。このような不活性化装置APによれば、吸収された気体と同量の気体が装置外の空間(室内)に排出されることになるため、室内の換気の回数を大幅に減らすことができる。また、この結果、従来のウイルス対策を念頭に置いた幅広い分野における室内空気環境管理において、著しい労力軽減が期待できる。
【0024】
〔3.パイプについて〕
本体装置の構成を説明するに先立って、不活性化装置APの一部として用いられる各種パイプについて説明する。
図1の例によれば、不活性化装置APは、吸引パイプ5を有するとともに、複数の本体装置を用いて不活性化処理が行われる場合には1の本体装置(本体装置6)から他の本体装置(本体装置8)へと気体を送り込むための導入パイプ7が接続される。吸引パイプ5は、例えばプラスティック材料を主成分としフレキシブルに構成されてよい。これにより、発言者1は、自身の顔の動きに合わせて吸引口4を向けることができるようになる。また、吸引パイプ5は、ジャバラ状に構成されることでフレキシブル性を高められてもよい。また、吸引パイプ5と吸引口4とは一体化されていてもよし、吸引パイプ5に対して吸引口4は取り外し可能であってもよい。
【0025】
また、導入パイプ7も同様にプラスティック材料を主成分としフレキシブルに構成され得る。また、吸引パイプ5および導入パイプ7の直径は限定されないが、送風機24の吸引力に応じて気体を効果的に流せる程度の直径が好ましい。例えば、吸引パイプ5および導入パイプ7の直径は1cm~3cm程度が好ましい。
【0026】
〔4.本体装置の構成について〕
以下では、不活性化装置APが有する本体装置の構成について
図2および
図3を用いて説明する。
図1で説明した通り、本体装置6および8は、用途に合わせてサイズや性能に違いがあってよい一方で、内部構成自体は同一である。したがって、
図2および
図3では、本体装置6にフォーカスして構造の詳細を説明する。また、本体装置6の構成は、一態様に限定されない。したがって、
図2および
図3では、本体装置6に対して採用され得る互いに異なる構成についてパターン分けして説明する。なお、
図2において本体装置6内に示される太矢印は、吸引パイプ5を介して流入した気体の流れを示す。
【0027】
〔4-1.本体装置の構成について(1)〕
図2は、本体装置6(本体装置8であってもよい)を拡大した詳細な構造図(1)を示す図である。本体装置6は、上面、底面、前面、後面、右側側面、左側側面、といった6面で構成される立方体であってよく、
図2には、本体装置6を一側面から見た場合の様子が示される。具体的には、
図2には、本体装置6を上に向けて置いた状態で前面に対する右側側面から見た場合の様子が示される。
【0028】
また、このような立方体形状は、外殻である装置カバー26によって形成される。装置カバー26は、紫外線が外部に漏れ出さない部材で構成される保護カバーに相当する。
【0029】
また、装置カバー26には、吸引パイプ5が連結されるとともに、吸引パイプ5を介して吸収されてきた気体を装置内部に導入するための呼気流入口9が形成される。
図2の例によれば、呼気流入口9は上面に形成される。また、吸引パイプ5の直径と、呼気流入口9の直径とはおよそ同一であることが好ましい。
【0030】
さらに、装置カバー26には、不活性化処理された気体を外部または他の本体装置へと排出する排出口25が形成される。
図2には、排出口25に対して導入パイプ7をつなぐための継手が備えられている様子が示される。
図2の例によれば、排出口25は前面に形成される。
【0031】
ここからは、本体装置6の内部についてより詳細に説明する。まず、本体装置6が有する呼気流入ガイドについて説明する。本体装置6は、吸引パイプ5を介して気体が流入する空間であって、紫外線ランプが配置される空間を形成する部材である呼気流入ガイドを有する。
図2の例によれば、呼気流入ガイドは、吸引パイプ5を介して気体が流入する第1の空間を形成する第1の呼気流入ガイド10と、第1の空間内の気体が流入する第2の空間を形成する第2の呼気流入ガイド20とを有する。以下では、このような流入形態をパターンP1として説明する。
【0032】
パターンP1では、第1の呼気流入ガイド10は、筒形状であることから第1の空間を形成しており、第2の呼気流入ガイド20も同様に筒形状であることから第2の空間を形成している。また、第1の呼気流入ガイド10および第2の呼気流入ガイド20は、同一形状、同一サイズであってよい。
【0033】
また、パターンP1では、第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20とは、
図2に示すように、土台32が設置される底面(もしくは、呼気流入口9が形成される上面)に対して互いに直列に配置される。
【0034】
また、パターンP1では、第1の呼気流入ガイド10の一端には、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体を第1の空間へと誘導するための経路である流入誘導部27-1が形成される。また、パターンP1では、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体は、第1の空間で不活性化処理された後、第2の空間へと送り込まれ、第2の空間でさらに不活性化処理される。したがって、第1の空間で不活性化処理された気体を第2の空間へと誘導するための接続部29が、第1の呼気流入ガイド10と第2の呼気流入ガイド20との間に設けられる。
【0035】
図2の例によれば、接続部29は、半円弧状にカーブする態様で第1の呼気流入ガイド10の一端と、第2の呼気流入ガイド20の一端とを接続するように形成される。また、パターンP1では、第2の呼気流入ガイド20の他の一端には、第2の空間で不活性化処理された気体が送風機24を介して外部(または他の本体装置8)へと誘導されるよう流出誘導部28-1が形成される。
【0036】
ここで、第1の呼気流入ガイド10は、紫外線ランプ11を有する。具体的には、紫外線ランプ11は、222nmまたは254nmの紫外線を発光する光源であり、第1の空間に配置される。紫外線ランプ11は、円柱状であってよく、筒形状の呼気流入ガイド10が延伸する方向に向けて配置される。例えば、紫外線ランプ11は、2つの支持部30によって両端を支えるように、かつ、第1の呼気流入ガイド10が延伸する方向に向けて固定するように配置される。
【0037】
また、このような状態において、第1の呼気流入ガイド10の第1の空間には、濾過フィルター12が配置される。具体的には、濾過フィルター12は、紫外線ランプ11を筒形状で囲むように第1の空間内に配置される。より具体的には、濾過フィルター12は、紫外線ランプ11を囲むことで、流入した気体に対して紫外線が照射される空間である紫外線照射空間13を第1の空間の内側に形成するよう配置される。例えば、濾過フィルター12は、紫外線ランプ11から10ミリ程度離した状態で紫外線ランプ11を囲むように配置される。
【0038】
また、濾過フィルター12は、流入誘導部27-1を介して紫外線照射空間13へと流入した気体に含まれる浮遊物(例えば、唾液飛沫)を濾過する機能を有する。このため、濾過フィルター12は、
図2に示すように、流入誘導部27-1を介して紫外線照射空間13へと気体を流入させるよう円筒の一端、具体的には流入誘導部27-1側の一端が開口される。濾過フィルター12の他の一端は、第1の呼気流入ガイド10を基礎とした支持金具で支持される底板14に固定される。
【0039】
これまで説明してきたように、上記のような第1の呼気流入ガイド10の内部構成によれば、気体は、紫外線が充満している紫外線照射空間13の中で、紫外線ランプ11に沿って流されることになるため効果的に不活性化処理される。さらに、濾過フィルター12の面のうち、紫外線照射空間13側の面には、多くの唾液粉末が付着することになるため、濾過フィルター12によって捕獲された唾液粉末に含まれるウイルスを効果的に不活性化することができるようになる。
【0040】
なお、濾過フィルター12は、所定の支持部材によって覆うように支持されてよい。例えば、濾過フィルター12は、形状保持目的や、紫外線によるダメージからの保護目的のために金網状の支持部材によって囲まれていてよい。
【0041】
また、濾過フィルター12によって濾過された気体は、紫外線照射空間13よりも外の第1の空間へと流出し、その後、接続部29によって第2の呼気流入ガイド20へ誘導される。
【0042】
第2の呼気流入ガイド20は、第1の呼気流入ガイド10と同様の内部構成であってよい。具体的には、第2の呼気流入ガイド20は、紫外線ランプ21を有する。紫外線ランプ21は、紫外線ランプ11と同様に222nmまたは254nmの紫外線を発光する光源であり、第2の空間に配置される。紫外線ランプ21は、円柱状であってよく、筒形状の呼気流入ガイド20が延伸する方向に向けて配置される。例えば、紫外線ランプ21は、2つの支持部31によって両端を支えるように、かつ、第2の呼気流入ガイド20が延伸する方向に向けて固定するように配置される。
【0043】
また、このような状態において、第2の呼気流入ガイド20の第2の空間には、濾過フィルター22が配置される。具体的には、濾過フィルター22は、紫外線ランプ21を筒形状で囲むように第2の空間内に配置される。より具体的には、濾過フィルター22は、紫外線ランプ21を囲むことで、流入した気体に対して紫外線が照射される空間である紫外線照射空間19を第2の空間の内側に形成するよう配置される。例えば、濾過フィルター22は、紫外線ランプ21から10ミリ程度離した状態で紫外線ランプ21を囲むように配置される。
【0044】
また、濾過フィルター22は、接続部29を介して紫外線照射空間19へと流入した気体に含まれる浮遊物(例えば、唾液飛沫)を濾過する機能を有する。このため、濾過フィルター22は、
図2に示すように、接続部29を介して紫外線照射空間19へと気体を流入させるよう円筒の一端、具体的には接続部29側の一端が開口される。濾過フィルター22の他の一端は、第2の呼気流入ガイド20を基礎とした支持金具で支持される底板23に固定される。
【0045】
これまで説明してきたように、上記のような第2の呼気流入ガイド20の内部構成によれば、気体は、紫外線が充満している紫外線照射空間19の中で、紫外線ランプ21に沿って流されることになるため効果的に不活性化処理される。さらに、濾過フィルター22の面のうち、紫外線照射空間19側の面には、多くの唾液粉末が付着することになるため、濾過フィルター22によって捕獲された唾液粉末に含まれるウイルスを効果的に不活性化することができるようになる。
【0046】
なお、濾過フィルター22は、所定の支持部材によって覆うように支持されてよい。例えば、濾過フィルター22は、形状保持目的や、紫外線によるダメージからの保護目的のために金網状の支持部材によって囲まれていてよい。
【0047】
また、濾過フィルター22が有する細孔の孔径は、濾過フィルター12の孔径より小さいことが好ましい。これにより、濾過フィルター12では捕獲できなかった唾液粉末に含まれるウイルスを不活性化することができるようになる。
【0048】
また、濾過フィルター22によって濾過された気体は、紫外線照射空間19よりも外の第2の空間へと流出し、その後、流出誘導部28-1を介して送風機24を通過し、排出口25から外部(または他の本体装置8)へと排出される。
【0049】
また、
図2では不図示であるが、装置カバー26には、第1の呼気流入ガイド10、紫外線ランプ11、濾過フィルター12、第2の呼気流入ガイド20、紫外線ランプ21、濾過フィルター22の交換や、紫外線照射空間13および紫外線照射空間19の保守点検を容易にするために必要な蓋付の開口部が設けられていてよい。
【0050】
また、
図2の例では、本体装置6が、呼気流入ガイドとして、第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20といった2つの不活性化処理空間(第1の空間および第2の空間)を直列関係で形成する呼気流入ガイドを有する例を示した。しかしながら、本体装置6が有する不活性化処理空間の数は限定されず、例えば、本体装置6は、第3の空間を形成する第3の呼気流入ガイド(不図示)がさらに直列に組み合わされた呼気流入ガイドを有してよい。係る場合、
図2に示す流出誘導部28-1の代わりに接続部29が設けられることで、第2の呼気流入ガイド20から折り返すようにして第3の呼気流入ガイドが接続される。また、係る場合、第3の呼気流入ガイドに対して、流出誘導部28-1が設けられそこに送風機24が設置されることになる。このように直列に組み合わせる呼気流入ガイドの数を増やすほど流速をより低下させることができる。また、この結果、気体に対する紫外線の照射時間がより長くなるため、不活性化による殺菌効果をより向上させることができるようになる。
【0051】
次に、本体装置6の内部に備えられるその他の機能部位について説明する。
図2に示すように、本体装置6は、電源配線15と、AC-DC変換器・ランプ点灯回路および配線ターミナル16と、電源コード17と、配電コード18と、送風機24と、土台32とをさらに有する。
【0052】
電源配線15は、電源(コンセント)から供給された電力を紫外線ランプ11および21へと配給するための配線である。AC-DC変換器・ランプ点灯回路および配線ターミナル16は、電源から供給された電力の変換を行うとともに、変換された電力が電源配線15によって紫外線ランプ11および21へと配給されるよう電源配線15のターミナルとしての役割を有する。電源コード17は、電源から電力を取得するためのコードであり、電源差込口に挿入されるプラグを先端に有する。配電コード18は、電源(コンセント)から供給された電力を送風機24へと配給するための配線である。電源配線15と同様に配電コード18もAC-DC変換器・ランプ点灯回路および配線ターミナル16に接続される。
【0053】
送風機24は、吸引口4から本体装置6の内部へと気流を発生させる装置である。例えば、送風機24は、吸引口4から本体装置6の内部へと気流を発生させることで利用者から排出された呼気を含む空気を吸引口4から吸引する。
図1および
図2において太矢印で示される気体の流れは、送風機24が発生させた気流によって生じるものである。また、送風機24は、気流により気体の流れを発生させるだけでなく、紫外線ランプ11および21を冷却する役割も兼ね備えている。また、送風機24は、吸引口4から最適な量の気体を吸引できるよう、通電する電圧を制御することで適切な電力で駆動される。例えば、吸引口4から吸引すべき最適な流量をQリットル/秒と仮定すると、パターンP1では、接続部29において圧力損失が生じることにより流量がQリットル/秒よりも低下してしまう恐れがある。このような状況を鑑みて、例えば、パターンP1では、送風機24は、接続部29での圧力損失を考慮して、Qリットル/秒で気体を吸引できるような最適な電力で駆動される。
【0054】
土台32は、装置カバー26の底面に設置され、呼気流入ガイドの土台となる部材である。
【0055】
〔4-2.本体装置の構成について(2)〕
図2では、呼気流入ガイドは、吸引パイプ5を介して気体が流入する第1の空間を形成する第1の呼気流入ガイド10と、第1の空間内の気体が流入する第2の空間を形成する第2の呼気流入ガイド20とを有してよく、このような流入形態をパターンP1として説明した。また、パターンP1では、第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20とは、土台32が設置される底面(もしくは、呼気流入口9が形成される上面)に対して互いに直列に配置されてよい旨説明した。
【0056】
しかしながら、呼気流入ガイドにおいて、第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20とは、パターンP1とは異なる流入形態をとってよい。具体的には、呼気流入ガイドは、吸引パイプ5を介して気体が流入するように第1の空間を形成する第1の呼気流入ガイド10と、同じく吸引パイプ5を介して気体が流入するように第2の空間を形成する第2の呼気流入ガイド20とを有してもよい。
【0057】
以下では、このような流入形態をパターンP2として、
図3を用いて説明する。
図3は、本体装置6(本体装置8であってもよい)を拡大した詳細な構造図(2)を示す図である。なお、
図3に示す本体装置6は、呼気流入ガイドの流入形態が
図2の例と異なる以外は、
図2の例と同様の構成部位を有する。このため、
図3では、本体装置6が有する構成部位の一部が省略されているが、実際にはこれらを有するものである。
【0058】
ここで、パターンP2では、第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20とは、土台32が設置される底面(もしくは、呼気流入口9が形成される上面)に対して互いに並列に配置される点がパターンP1とは異なる。第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20とが並列に配置される様子は、
図3(a)および
図3(b)によって示される。具体的には、このような並列配置に応じて、
図3(a)には、本体装置6を上に向けて置いた状態で前面に対する右側側面から見た場合の様子が示され、
図3(b)には、本体装置6を上に向けて置いた状態で上面から見た場合の様子が示される。
【0059】
パターンP2で用いられる第1の呼気流入ガイド10は、
図2に示すパターンP1のものと同様であってよい。また、パターンP2で用いられる第2の呼気流入ガイド20も、
図2に示すパターンP1のもと同様であってよい。したがって、
図3に示す第1の呼気流入ガイド10は筒形状であり第1の空間を形成し、また、第2の呼気流入ガイド20も同様に筒形状であり第2の空間を形成している。
【0060】
また、パターンP1と同様にパターンP2でも、円柱状の紫外線ランプ11が第1の呼気流入ガイド10が延伸される方向に向けて配置されるとともに、濾過フィルター12が紫外線ランプ11を筒形状で囲むように第1の空間内に配置される。具体的には、濾過フィルター12は、紫外線ランプ11を囲むことで、流入した気体に対して紫外線が照射される空間である紫外線照射空間13を第1の空間の内側に形成するよう配置される。
【0061】
また、パターンP1と同様にパターンP2でも、円柱状の紫外線ランプ21が第2の呼気流入ガイド20が延伸される方向に向けて配置されるとともに、濾過フィルター22が紫外線ランプ21を筒形状で囲むように第2の空間内に配置される。具体的には、濾過フィルター22は、紫外線ランプ21を囲むことで、流入した気体に対して紫外線が照射される空間である紫外線照射空間19を第2の空間の内側に形成するよう配置される。
【0062】
また、パターンP2では、第1の呼気流入ガイド10、第2の呼気流入ガイド20それぞれの一端(
図3の例では右端)には、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体を第1の空間および第2の空間それぞれへと誘導するための経路である流入誘導部27-2が形成される。ここで、流入誘導部27-2は、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体をおよそ等量ずつ第1の空間および第2の空間それぞれへと誘導できるよう、
図3(b)に示すように、途中で2つに枝分かれした二股構造をとっている。
【0063】
このように流入誘導部27-2が途中で枝分かれしていることで、第1の空間および第2の空間へと気体を送り込む際に気体の流速をより低下させることができるため、気体に対する紫外線の照射時間をより長くし不活性化効果をより高めることができるようになる。例えば、
図3(b)に示すように、流入誘導部27-2が二股に枝分かれしている場合では、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体の流速を1/2に低下させた状態で、およそ等量ずつ第1の空間および第2の空間それぞれへと気体を送り込むことができるようになる。
【0064】
また、パターンP2では、流入誘導部27-2によって分けられた気体は、第1の空間および第2の空間それぞれへと同時に送り込まれると、これら各空間で不活性化処理され、そして、不活性化処理された気体は排出されることとなる。したがって、パターンP2では、第1の空間および第2の空間のそれぞれで不活性化処理された気体が送風機24を介して外部(または他の本体装置8)へと誘導されるよう流出誘導部28-2が形成される。
【0065】
図3(b)の例によれば、流出誘導部28-2は、第1の空間および第2の空間のそれぞれから流出した気体を1つに収束させた状態で外部(または他の本体装置8)へと排出できるよう、
図2に示す接続部29のように半円弧状にカーブする態様であってよい。また、
図3の例では、円弧の中心部分、すなわち流出した気体が収束される部分に送風機24が設けられ、その先に対応する装置カバー26の位置に排出口25が形成される。このようなことから、パターンP1では装置カバー26の前面に排出口25が形成されていたのに対して、パターンP2では装置カバー26の後面に排出口25が形成されてよい。
【0066】
ここで、パターンP2での不活性化処理について気体の流れに基づきより詳細に説明する。パターンP2では、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体は、流入誘導部27-2によって流速を低下させられた状態で、第1の空間の内側の空間に対応する紫外線照射空間13、および、第2の空間の内側の空間に対応する紫外線照射空間19それぞれへと誘導される。
【0067】
紫外線照射空間13に誘導された気体は、紫外線ランプ11に沿って流されながら、かつ、濾過フィルター12の作用によって効果的に不活性化処理され、そして濾過フィルター12によって濾過された気体は、紫外線照射空間13よりも外側の第1の空間へと流出する。また、紫外線照射空間19に誘導された気体は、紫外線ランプ21に沿って流されながら、かつ、濾過フィルター22の作用によって効果的に不活性化処理され、そして濾過フィルター22によって濾過された気体は、紫外線照射空間19よりも外側の第2の空間へと流出する。
【0068】
紫外線照射空間13よりも外側の第1の空間へと流出した気体、紫外線照射空間19よりも外側の第2の空間へと流出した気体は、流出誘導部28-2へと流れ込み、流出誘導部28-2によって1つに収束させた状態で外部(または他の本体装置8)へと排出される。
【0069】
このようなパターンP2での不活性化処理によれば、パターンP1の場合と比較して、気体の流速をより低下させた状態で第1の呼気流入ガイド10および第2の呼気流入ガイド20へと気体を送り込むことができるため、紫外線照射空間13および19内において気体をより長時間流すことができるようになる。このことは、紫外線照射空間13での気体に対する紫外線の照射時間、紫外線照射空間19での気体に対する紫外線の照射時間をより長くすることができることを意味し、これにより不活性化による殺菌効果をより向上させることができるようになる。
【0070】
これまで
図3の例では、本体装置6が、呼気流入ガイドとして、第1の呼気流入ガイド10と、第2の呼気流入ガイド20といった2つの不活性化処理空間(第1の空間および第2の空間)を並列関係で形成する呼気流入ガイドを有する例を示した。しかしながら、本体装置6が有する不活性化処理空間の数は限定されず、例えば、本体装置6は、第3の空間を形成する第3の呼気流入ガイド(不図示)がさらに並列に組み合わされた呼気流入ガイドを有してよい。係る場合、流入誘導部27-2は、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体をおよそ等量ずつ第1の空間、第2の空間および第3の空間それぞれへと誘導できるよう、途中で3つに枝分かれした三股構造をとることができる。
【0071】
例えば、流入誘導部27-2が三股に枝分かれしている場合では、吸引パイプ5を介して吸引されてきた気体の流速を1/2から1/3へとさらに低下させた状態で、およそ等量ずつ第1の空間、第2の空間および第3の空間それぞれへと気体を送り込むことができるようになる。また、この結果、各空間での気体に対する紫外線の照射時間をさらに長くすることができるようになるため、不活性化による殺菌効果をさらに向上させることができるようになる。
【0072】
〔5.排出口の形状バリエーション〕
次に、ベルマウス形状の吸引口4について、もっとも外側の入り口である開口部の形状について説明する。
図4は、開口部の形状バリエーションを示す図である。
図4に示すように、開口部の形状は1つの形状に限定されず、様々な形状をとり得る。例えば、
図4(a)に示すように、開口部の形状は円形であってよい。また、
図4(b)に示すように、開口部の形状は多角形であってよい。なお、開口部の形状を多角形とする場合には、多角形を構成する面と面との継ぎ目において隙間ができないよう密着させる必要がある。
【0073】
また、
図1の例では、不活性化装置AP1台に対する利用者が発言者1の一人である例が示されるが、不活性化装置AP1台に対して利用者が複数存在してもよい。このような場面としては、2人の利用者が隣り合わせた状態で同時に発言するといった場面や、2人の利用者が隣り合わせた状態で会話しながら食事するといった場面などが想定される。そこで、入り口の形状は、不活性化装置AP1台が複数の利用者によって同時に利用される場面に合わせて、
図4(c)に示すようにより幅広の形状であってよい。例えば、開口部の形状は、2人の利用者が隣り合わせて並んだ場合において両者の顔を完全にカバーできる程度に横の広がり幅を有する四角形であってよい。
【0074】
また、不活性化装置AP1台が複数の利用者によって同時に利用される場合には、
図4(c)に示すように、広がり幅を有する入り口を分断するように、隣り合う利用者同士の間を仕切るための仕切り板41が設けられてもよい。これにより、各利用者は、例えば、吸引されなかった自身の唾液粉末が隣人に及んでしまうのではないか気にすることなく行動(例えば、発言や食事等)することができるようになる。
【0075】
また、仕切り板41には、
図4(c)に示すように、円形状の切り抜き42が形成されてよく、さらに切り抜き42の部分には、例えば、極薄い透明部材が接着されてもよい。これにより、各利用者は、自身の唾液粉末が隣人に及んでしまうことを気にすることなく切り抜き42を介して隣人と小声での会話を行うことができるようになる。
【0076】
〔6.ベルマウス形状の決定手法〕
次に、吸引口4を形成するベルマウス形状(ラッパ形の広がり態様)を決定する決定手法について説明する。
【0077】
例えば、ベルマウス形状は、ポテンシャル流の流線に基づき算出された形状であって、呼気の主流方向の形状に対して概略一致させて決定される。例えば、ベルマウス形状は、吸引パイプ5のパイプ半径をポテンシャル流の流線を示す流線図に適用することで算出された形状であって、呼気の主流方向の形状に対して概略一致させて決定される。この点について、
図5を用いて説明する。
図5は、ベルマウス形状を決定する決定手法を説明する説明図である。
【0078】
ベルマウス形状を決定するにあたって、ポテンシャル流の流線を示す従来技術を用いることができる。例えば、ベルマウス形状を決定するには、ポテンシャル流の流線を示す流線図として、
図5に示すような流線
図F1を用いることができる。例えば、吸引パイプ5のパイプ半径をRとすると、流線
図F1内の直線R1がパイプ半径Rに一致するよう流線
図F1のサイズを変更(例えば、拡大または縮小)し、直線R1がパイプ半径Rに一致した場合に特定される実線Sの形状(広がり態様)を、呼気の主流方向の形状として決定することができる。したがって、決定した呼気の主流方向の形状に対して概略一致させるようにベルマウス形状を決定すればよい。
【0079】
また、このようにして決定されたベルマウス形状に基づき形成された吸引口4によれば、呼気を効率的に吸引することができるようになるとともに、呼気の流れに伴い発生する可能性のある剥離渦に基づく騒音を抑制することができるようになる。これまで説明してきたとおり、不活性化装置APは、周囲に対して発言するような場面(例えば、講演、講義、会議等)での利用が想定されるため、剥離渦に基づく騒音を抑制することで、不活性化装置APを利用することで発言内容が聞き取りにくくなってしまうことを防止することができる。
【0080】
〔7.その他〕
紫外線ランプ11(21)について適用され得る電力、直径、長さの組合せとしては次のようなものが考えられる。例えば、紫外線ランプ11(21)は、10ワット、直径26ミリ、長さ33センチで構成されてよい。また、他の一例としては、紫外線ランプ11(21)は、8ワット、直径16ミリ、長さ28センチで構成されてよい。
【0081】
また、不活性化装置APは、利用者の動きに合わせて吸引口4の向きを動的に制御するプログラムが組み合わされてよい。例えば、不活性化装置APは、利用者の顔の向きの変化に合わせて吸引口4の向きを動的に変更させるようなプログラムが組み合わされてよい。また、係る場合には、利用者の顔の向きの変化を検出するためのセンサがさらに組み合わされてよい。
【0082】
また、このようなプログラムとセンサとの組は、不活性化装置AP自体に備えられてもよいし、不活性化装置APが利用される空間(例えば、教室などの室内)の任意の位置に備えられてもよい。任意の位置としては、例えば、天井が考えられ、例えば、天井と、吸引口4(吸引パイプ5でもよい)とがワイヤー等でつながれる。このような場合、ワイヤーは、プログラムの制御に応じて、センサが検出した顔の動きに合わせて吸引口4の向きを変化させるように動作させられる。これにより利用者は、手作業で吸引口4の向きを変える必要がなくなるため、不活性化装置APの利便性を向上させることができるようになる。
【0083】
また、不活性化装置APを利用する場合、利用者の周囲には閉鎖空間が形成されてもよい。
図1の例を用いて説明すると、発言者1の前方、左方向、右方向といった3方向を囲むようにパーテーションを立てておくことで発言者1の周囲を閉鎖空間とすることができる。これにより、不活性化装置APによる呼気の回収効率をより向上させることができる。
【0084】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0085】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 発言者
2 呼気
3 気流
4 吸引口
5 吸引パイプ
6 本体装置
7 導入パイプ
8 本体装置
9 呼気流入口
10 第1の呼気流入ガイド
11 紫外線ランプ
12 濾過フィルター
13 紫外線照射空間
14 底板
15 電源配線
16 AC-DC変換器・ランプ点灯回路および配線ターミナル
17 電源コード
18 配電コード
19 紫外線照射空間
20 第2の呼気流入ガイド
21 紫外線ランプ
22 濾過フィルター
23 底板
24 送風機
25 排出口
26 装置カバー
27-1 流入誘導部
27-2 流入誘導部
28-1 流出誘導部
28-2 流出誘導部
29 接続部
30 支持部
31 支持部
32 土台
AP 不活性化装置