(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105904
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220708BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220708BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220708BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220708BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B41J29/38 301
G03G21/00 390
B41J29/42 F
B41J29/38 201
H04N1/00 127B
H04N1/00 Z
H04N1/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000525
(22)【出願日】2021-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊和
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
5C073
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061CQ42
2C061HJ07
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HR01
2C061HV01
2C061HV32
2H270NB06
2H270NB22
2H270NB26
2H270NC01
2H270ND04
2H270PA59
2H270PA60
2H270PA61
2H270PA62
2H270QA13
2H270QA23
2H270QA35
2H270QB14
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA14
5C062AA35
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AD05
5C062AE15
5C073AA03
5C073AB02
5C073AB05
(57)【要約】
【課題】可搬型メモリを着脱可能なポートを備える画像形成装置において、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【解決手段】MFP10のコントローラ13は、ポートに装着された可搬型メモリを、蓄積印刷機能に係る処理において、印刷データが記憶される可搬型メモリを装着する専用メモリとして設定する。コントローラ13は、印刷指示操作を受付けると、専用メモリに設定されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されているか否かを、印刷データの印刷を実行する前に判断する。専用メモリに設定されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、ユーザIF17に報知画面を表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントユニットと、ユーザインタフェースと、コントローラと、可搬型メモリを着脱可能なポートを有するメモリインタフェースと、を備え、
前記コントローラは、
前記ポートに装着された可搬型メモリを、蓄積印刷機能に係る処理において、印刷データが記憶される可搬型メモリを装着する専用メモリとして設定する設定処理を実行し、前記蓄積印刷機能は、受信されたジョブデータに応じた印刷データを前記専用メモリに設定された可搬型メモリに記憶しておき、前記ユーザインタフェースを介して、印刷指示操作を受付けたことに応じて、前記専用メモリに設定された可搬型メモリに記憶された前記印刷データを前記プリントユニットに印刷させる機能であり、
前記蓄積印刷機能に係る処理において、前記印刷指示操作を受付けると、前記専用メモリに設定された可搬型メモリにライトプロテクトが設定されているか否かを、前記印刷データの印刷を実行する前に判断する判断処理と、
前記専用メモリに設定された可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、前記ユーザインタフェースに報知画面を表示させる報知処理と、を実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記報知画面上で、当該報知画面を非表示にする指示を受付け可能であり、
前記報知画面を非表示にする指示を受付けた場合に、前記ユーザインタフェースに操作受付画面を表示させ、前記操作受付画面は、前記蓄積印刷機能に係る処理における前記印刷指示操作を受付け可能な画面である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ユーザインタフェースを介した操作を受付け可能な待受状態において、前記ユーザインタフェースに前記操作受付画面を表示させ、
前記報知画面を非表示にする指示を受付けた場合に、前記待受状態に戻ることで、前記操作受付画面を前記ユーザインタフェースに再表示可能にする前記請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記判断処理により前記ライトプロテクトが設定されていないと判断された場合に、一覧画面を表示させる表示処理を実行し、前記一覧画面は、前記専用メモリに設定された可搬型メモリに記憶された前記印刷データのうち、前記蓄積印刷機能に係る処理において印刷対象となる前記印刷データの選択指示を受付ける画面である請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断処理では、前記設定処理により前記専用メモリが設定される場合に、前記ポートに装着された可搬型メモリに、前記ライトプロテクトが設定されているか否かを判断する処理を含み、
前記報知処理では、前記専用メモリが設定される場合に行われる前記判断処理において、前記ポートに装着された可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、前記報知画面を前記ユーザインタフェースに表示させ、
前記コントローラは、
前記専用メモリが設定される場合に行われる前記判断処理により、前記ポートに装着された可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていないと判断された場合に、前記ポートに装着された前記可搬型メモリを前記専用メモリに設定し、
前記コントローラは、前記蓄積印刷機能において、前記ポートから前記専用メモリに設定された可搬型メモリが取り外された後、再度、前記ポートに装着された前記専用メモリに設定された可搬型メモリに前記印刷データを記憶させることが可能であり、
前記判断処理では、前記印刷指示操作を受付けた場合に、前記専用メモリに設定された前記可搬型メモリに対して、前記ライトプロテクトが設定されているか否かを、前記印刷データの印刷を実行する前に判断し、
前記報知処理では、前記印刷指示操作を受付ける場合に行われる前記判断処理により、前記専用メモリに設定された前記可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、前記報知画面を表示させる請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判断処理では、前記ジョブデータを受信した場合に、前記専用メモリに設定された可搬型メモリに、前記ライトプロテクトが設定されているか否かを判断する処理を含み、
前記報知処理では、前記ジョブデータを受信した場合に行われる前記判断処理において、前記ポートに装着された可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、前記報知画面を前記ユーザインタフェースに表示させ、
前記ジョブデータを受信した場合に行われる前記判断処理により、前記専用メモリに設定された可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていないと判断された場合に、前記専用メモリに設定された可搬型メモリに前記印刷データを記憶し、
前記コントローラは、
前記蓄積印刷機能において、前記ポートから前記専用メモリに設定された可搬型メモリが取り外された後、再度、前記ポートに装着された前記専用メモリに設定された可搬型メモリに前記印刷データを記憶させることが可能であり、
前記判断処理では、前記印刷指示操作を受付けた場合に、前記専用メモリに設定された前記可搬型メモリに対して、前記ライトプロテクトが設定されているか否かを判断し、
前記報知処理では、前記印刷指示操作を受付ける場合に行われる前記判断処理により、前記専用メモリに設定された前記可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、前記報知画面を表示させる請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記判断処理により、前記専用メモリに設定された前記可搬型メモリに前記ライトプロテクトが設定されていないと判断された場合に、前記蓄積印刷機能に係る処理において、前記専用メモリに設定された可搬型メモリに記憶された前記印刷データを印刷し、その後、
前記可搬型メモリに記憶された、前記蓄積印刷機能に係る処理に関する情報を更新する請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記印刷された印刷データを前記専用メモリに設定された可搬型メモリから削除することで、前記可搬型メモリに記憶された、前記蓄積印刷機能に係る処理に関する情報を更新する請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型メモリに記憶された印刷データを印刷する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受信されたジョブデータに応じた印刷データを、自装置に接続された可搬型メモリに記憶しておき、ユーザインタフェースを介して受付けた操作に応じて、印刷データを印刷する画像形成装置が記載されている。具体的には、画像形成装置のコントローラは、ジョブデータに、可搬型メモリを記憶先に指示する情報が含まれている場合に、ジョブデータから印刷データを作成し、作成された印刷データを可搬型メモリに記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、印刷データを記憶させるための可搬型メモリの状態について十分な記載がない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、可搬型メモリを着脱可能なポートを備える画像形成装置において、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、プリントユニットと、ユーザインタフェースと、コントローラと、可搬型メモリを着脱可能なポートを有するメモリインタフェースと、を備える画像形成装置に関する。コントローラは、ポートに装着された可搬型メモリを、蓄積印刷機能に係る処理において、印刷データが記憶される可搬型メモリを装着する専用メモリとして設定する設定処理を実行し、蓄積印刷機能は、受信されたジョブデータに応じた印刷データを専用メモリに設定された可搬型メモリに記憶しておき、ユーザインタフェースを介して、印刷指示操作を受付けたことに応じて、専用メモリに設定された可搬型メモリに記憶された印刷データをプリントユニットに印刷させる機能であり、蓄積印刷機能において、印刷指示操作を受付けると、専用メモリに設定された可搬型メモリにライトプロテクトが設定されているか否かを、印刷データの印刷を実行する前に判断するプロテクト判断処理と、専用メモリに設定された可搬型メモリにライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、ユーザインタフェースに報知画面を表示させる報知処理と、を実行する。
【0007】
上記構成では、蓄積印刷機能において、印刷データに対して印刷指示を受付けた場合、専用メモリとして設定された可搬型メモリに対してライトプロテクトが設定されているか否かが判断される。そして、この可搬型メモリにライトプロテクトが設定されていると判断された場合に、ユーザインタフェースに報知画面が表示される。これにより、ユーザは、専用メモリに設定された可搬型メモリにライトプロテクトが設定されていることを認識することができるため、例えば、ユーザは、その後に、可搬型メモリのライトプロテクトを解除した後に、印刷指示操作を行うことができる。その結果、ライトプロテクトが設定されていることに起因して、蓄積印刷機能に係る処理に不都合が生じることを抑制することができ、ひいてはユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】保存先のメモリを設定する処理の手順を示すフローチャート。
【
図6】報知状態を判断する処理の手順を示すフローチャート。
【
図11】蓄積印刷機能に係る処理のうち、印刷データの保存の手順を説明するフローチャート。
【
図12】蓄積印刷機能に係る処理のうち、印刷データの印刷の手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態係に係る画像形成装置を、MFP10により説明する。MFPは、Multifunction peripheralの略称である。
図1,
図2に示すMFP10は、ネットワーク200に接続されており、ネットワーク200を通じてPC24と通信可能である。ネットワーク200は、LANや、インターネットである。なお、インターネットは無線接続の他、有線接続であってもよい。ネットワーク200は、MFP10とPC24とを繋ぐUSB配線であってもよい。
【0010】
図2に示すように、MFP10は、メモリIF11,12、コントローラ13、内部メモリ14、プリントユニット15、読取ユニット16、ユーザIF17、通信IF18、FAXユニット19、及びバス20を備えている。これら各部は、バス20に接続されており、互いに通信可能である。なお、「IF」は、Interfaceの略称である。
【0011】
ユーザIF17は、MFP10を直接操作するユーザと、コントローラ13との間に介在するインタフェースであり、例えば、タッチパネルや、物理キーである操作キーを有している。通信IF18は、MFP10をネットワーク200に接続するインタフェースである。プリントユニット15は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する。プリントユニット15の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。また、MFP10は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。
【0012】
メモリIF11,12は、USB(Universal Serial Busの略)規格に準拠した通信を行うインタフェースである。メモリIF11,12は、USBメモリ23と着脱可能なポート21,22を有している。USB規格は、特に限定されないが、USB2.0規格やUSB3.0規格などを採用することができる。なお、USBメモリ23は、可搬型であり、ポートを介してMFP10と着脱可能なメモリであればよく、USB接続が可能なHDD、USB接続されたカードリーダで通信可能なメモリカードであってもよい。この場合、メモリIF11,12は、ポートとして、メモリカードを着脱可能なカードスロットを備えている。
【0013】
図1に示すようにメモリIF12が有するポート22は、MFP10の筐体40において、ユーザIF17が配置される側の部位であるフロント部41に位置している。具体的には、筐体40においてユーザIF17が配置される側を前面側とした場合に、フロント部41は、この前面側と筐体40の側面のうち前側の部分とを含む部分である。具体的には、フロント部41は、筐体40を前後に延びる方向である奥行方向で2等分した場合に、ユーザIF17が備えられている部分ともいえる。また、フロント部41は、筐体40を、略立方体ととらえた場合に、略立方体のユーザIF17が備えられている前面と、前面に接する側面の大部分であって、前面と接する部分を含む部分ともいえる、言い換えると、フロント部は、ユーザが、MFP10のユーザIF17に相対した状態で位置している場合に、ポート22にUSBメモリ23が装着されていることを目視しやすい部分である。本実施形態では、ポート22は、フロント部41のうち、筐体側面に位置している。メモリIF11が有するポート21は、MFP10の筐体40において、ユーザIF17を基準とした場合に、フロント部と反対側の領域であるリア部に位置している。具体的には、リア部42は、筐体40を奥行方向で2等分した場合に、ユーザIF17が備えられていない部分ともいえる。また、リア部42は、筐体40において前面の対面、いわゆる背面と、前面に接する側面のフロント部41に含まれない部分と、を含む部分ともいえる。言い換えると、リア部は、ユーザが、MFP10のユーザIFに相対した状態で、ポート21にUSBメモリ23が装着されていることを目視しづらい領域である。
【0014】
コントローラ13は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)等により構成されている。内部メモリ14は、RAM、ROM、SSD、HDD等が組み合わされて構成されている。各種プログラムの実行時に用いられる、コントローラ13が備えるバッファも、内部メモリ14の一部とみなしてよい。なお、内部メモリ14は、コントローラ13が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ13が読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0015】
内部メモリ14には、コントローラ13が実行可能なプログラムとして、制御プログラムが記憶されている。本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ13の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラ13の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ13が要求することなくデータを受信するという処理も、「コントローラ13がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コントローラに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0016】
内部メモリ14のデータ記憶領域には、管理情報30、暗号化キー31、設定情報32、認証DB33が記憶されている。管理情報30、暗号化キー31、設定情報32及び認証DB33の詳細については後述する。なお、後述するように、「管理情報30」は、USBメモリ23にも記憶されるため、内部メモリ14に記憶される管理情報30と、USBメモリ23に記憶される管理情報30とを区別する場合は、符号の末尾に「a,b」のアルファベットを付す。
【0017】
次に、PC24の構成を説明する。PC24は、不図示の通信IF、メモリ、コントローラを備えている。各部の構成は、MFP10が備える通信IF、メモリ、コントローラと同様である。PC24は、メモリに記憶されたアプリケーションプログラムの機能により、ジョブデータJDを作成することができる。ジョブデータJDは、MFP10に印刷を実行させるためのデータである。本実施形態では、ジョブデータJDには、プリンタジョブ言語(PJL:Printer Job Languageの略)で記述されたPJLデータと、ページ記述言語(PDL:Page Description Languageの略)で記述されたページ記述言語データ(PDLデータ)とが含まれる。PDLデータは、例えば、PS(Post Scriptの略)データ、PCL(Printer Command Languageの略)データ、JPEG(Joint Photographic Experts Groupの略)データ、GDI(Graphic Device Interfaceの略)データなどを含む。
【0018】
図3を用いて、蓄積印刷機能における、保存先のメモリを設定する処理の手順を説明する。蓄積印刷機能は、受信されたジョブデータJDに応じた印刷データを記憶先として設定されたメモリに記憶しておき、ユーザIF17を介して受付けた操作に応じて、記憶先として設定されたメモリに記憶された印刷データをプリントユニット15に印刷させる機能である。蓄積印刷機能には、PINコード付きのジョブデータJDを対象とする第1蓄積印刷機能と、ユーザ名付きのジョブデータJDを対象とする第2蓄積印刷機能がある。MFP10の工場出荷時には第1蓄積印刷機能が有効になっている。第2蓄積印刷機能の有効無効は、外部からの指示によって切り替え可能である。コントローラ13は、ユーザによる指示により、第2蓄積印刷機能を有効に切り替えると、第1蓄積印刷機能を無効にする。逆に、コントローラ13は、ユーザによる指示により、第2蓄積印刷機能を無効に切り替えると、第1蓄積印刷機能を有効にする。蓄積印刷機能では、USBストレージ処理が有効化されている場合、印刷データをUSBメモリ23に蓄積保存させることができる。一方で、USBストレージ処理が無効化されている場合、印刷データを内部メモリ14に蓄積保存させることができる。
【0019】
図3では、サイドポート22を、保存先のUSBメモリ23が装着されるポートとして設定する場合を例に説明を行う。
図3に示す処理は、コントローラ13が、
図4に示す待受画面50に対する操作により、蓄積印刷機能の設定画面に遷移する指示を受付けた場合に実行する処理である。なお、待受画面50は、MFP10の各種機能に対する選択指示を受付ける画面であり、MFP10の電源が投入された後や、MFP10の機能が実行された後、指示を待受けるためにユーザIF17に表示される。
【0020】
まずは、USBストレージ処理が無効化された状態から有効化された状態に切換えられる場面を例に説明を行う。ステップ10(以下、「ステップ」を、単に「S」と記載)では、USBストレージ処理が有効化されたか否かを判断する。具体的には、ユーザIF17に表示された待受画面50を、蓄積印刷機能の設定画面に遷移させた後、この設定画面でUSBストレージ処理を有効化する指示を受け付けた場合、S10を肯定判定する。
【0021】
S10を肯定判定すると、S11に進み、印刷データの保存先となるUSBメモリ23が装着されるポートを設定する。具体的には、ユーザIF17に対する操作に応じて、
図5に示す保存先設定画面55を表示させる。保存先設定画面55には、印刷データの保存先の選択指示を受付ける指定ボタン56,57,58が含まれている。指定ボタン56、57、58それぞれは、印刷データの保存先として、内部メモリ14又はポート21、22を選択指示する場合に操作されるボタンである。また、現在の保存先に対応する指定ボタンは、他の指定ボタンと比べて表示色が異なっている。なお、図中、表示色の差異を斜線で示している。指定ボタン56,57,58に対する操作に応じて、設定情報32を更新する。設定情報32は、印刷データの保存先として設定されたUSBメモリ23が装着されるポート(サイド、リア)又は内部メモリ14を示す情報である。
【0022】
S12では、S11での設定前に保存先として設定されている内部メモリ14に、印刷データが記憶されているか否かを判断する。S12を否定判定すると、S14に進む。一方、S12を肯定判定すると、S13に進み、内部メモリ14に記憶された印刷データを削除する。
【0023】
S14では、リアポート21を、S11で印刷データが保存されるUSBメモリ23が装着されるポートに設定しているか否かを判断する。具体的には、内部メモリ14に記憶されている設定情報32に、現在、リアポート21が専用ポートに設定されていることを示しているか否かを判断する。S14を肯定判定すると、S15に進み、リアポート21を対象とする判定処理を行う。S15でコントローラ13により実行される処理の詳細を、
図6を用いて説明する。
【0024】
S30では、リアポート21に、USBメモリ23が装着されているか否かを判断する。S30を否定判定するとS34に進み、報知画面60(
図7)をユーザIF17に表示させる。
図7に示す報知画面60では、報知の原因を示すメッセージ61と、メッセージ本体62と、クローズボタン63とを含んでいる。メッセージ61は、USBメモリ23のリアポート21への装着が検出されなかったことを示すメッセージである。メッセージ本体62は、報知対象がリアポート22であることを示すメッセージを含んでいる。例えば、サイドポート22を専用ポートとして設定しようとしているユーザが、指定ボタン58を操作し、サイドポート22にUSBメモリを装着させることが想定される。ところが、ユーザが誤って、指定ボタン57を操作してしまう可能性がある。S34では、リアポート21にUSBメモリが装着されていないことを報知するため、ユーザに、USBメモリを装着したサイドポート22を選択していなかったことを理解させることができる。このメッセージを見たユーザは、指定ボタン58を操作すればよい。もちろん、ユーザが、リアポート21の利用を意図していながら、誤ってサイドポート22にUSBメモリを装着してしまった場合にも、このメッセージは役立つ。
【0025】
S30を肯定判定すると、S31に進み、リアポート21に装着されたUSBメモリ23は、アクセスが不可能な故障状態であるか否かを判断する。S31を肯定判定するとS35に進み、報知画面64(
図8)を、ユーザIF17に表示させる。
図8に示す報知画面64には、報知の原因を示すメッセージ65と、メッセージ本体66と、クローズボタン67とを含んでいる。メッセージ65は、リアポート21に装着されたUSBメモリ23がUSBストレージ処理で使用できないことを示すメッセージである。メッセージ本体66は、報知対象がリアポート21であることと、USBメモリ23を取り外し、MFP10のメイン電源を再度投入することを促すメッセージが含まれている。このメッセージにより、ユーザに、リアポート21に装着されているUSBメモリ23を取り外し、MFP10の電源を再投入することや、リアポート21に装着されているUSBメモリ23を故障していないUSBメモリに交換すればよいことを理解させることができる。
【0026】
S31を否定判定すると、S32に進み、リアポート21に装着されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されているか否かを判断する。ライトプロテクトは、USBメモリ23に対するデータの書き込み又は削除を禁止する設定である。本実施形態では、USBメモリ23は、自装置が有するスイッチが操作されることで、ライトプロテクトの設定の有無を切換え可能である。S32の処理を実行する理由は、USBメモリ23にライトプロテクトが設定されている場合、USBメモリ23を保存先に設定しても、印刷データの記憶、及び後述するUSBメモリ23の初期化(S21)を実行できないためである。S32を肯定判定すると、S36に進み、報知画面68(
図9)をユーザIF17に表示させる。
【0027】
図9に示す報知画面68には、報知の原因を示すメッセージ69と、メッセージ本体70と、クローズボタン71とを含んでいる。メッセージ69は、リアポート21に装着されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されていることを示すメッセージである。メッセージ本体70は、報知対象がリアポート21であることと、USBメモリが正しく挿入されていることをユーザに確認させることを示すメッセージが含まれている。このメッセージにより、ユーザに、リアポート21に装着されているUSBメモリ23に対してライトプロテクトが設定されていることを認識させることができる。更には、ユーザに、USBメモリ23に設定されたライトプロテクトの解除、又はライトプロテクトが設定されていないUSBメモリをリアポート21に装着し直すことを促すことができる。本実施形態では、コントローラ13が、S32で実行する処理が、判断処理の一例である。コントローラ13がS36で実行する処理が報知処理の一例である。
【0028】
S32を否定判定すると、S33に進み、リアポート21に装着されたUSBメモリ23の残容量が判定値TH以上であるか否かを判断する。これは、USBストレージ処理で使用されるUSBメモリ23の残容量が少ない場合、印刷データを蓄積保存できなくなる、すなわち、蓄積印刷機能の利用に支障がでることが懸念されるためである。また、USBメモリ23の残容量が少ない場合、USBメモリ23の単位記憶領域当たりの書き込み回数や読み出し回数が増加し、USBメモリ23の故障を招く可能性が高くなるためである。S23での判断に用いられる判定値THは、例えば、8GBである。
【0029】
S33を否定判定すると、S37に進み、報知画面72(
図10)を、ユーザIF17に表示させる。
図10で示す報知画面72には、報知の原因を示すメッセージ73と、メッセージ本体74と、クローズボタン75とが含まれている。メッセージ73は、リアポート21に装着されたUSBメモリ23の残容量不足を示すメッセージである。メッセージ本体74には、報知対象がリアポート21であることを示すメッセージと、USBメモリ23の残容量が不足していることを示すメッセージとを含んでいる。このメッセージにより、ユーザにリアポート21に装着されたUSBメモリ23の残容量が少ないことを理解させることができる。これにより、ユーザに、リアポート21に、残容量が多い新たなUSBメモリ23を装着し直すことを促すことができる。
【0030】
S34,S35,S36,S37いずれかの処理を終了すると、S38に進む。S38では、報知フラグを、リアポート21を対象とした報知状態であることを示す値に設定し、内部メモリ14に記憶する。S39では、いずれかの報知画面で、クローズボタンの操作を検出したか否かを判断する。クローズボタンの操作を検出していなければ、待機する。一方、S39を肯定判定すると、
図3のS20に進む。また、S33を肯定判定した場合も、
図3のS20に進む。
【0031】
一方、
図3のS14において、保存先となるUSBメモリ23が装着されるポートとしてサイドポート22を設定している場合、S16に進む。S16では、サイドポート22が報知状態であるか否かを判断する。S16での各処理は、
図6で説明した処理と同様の処理であり、処理対象がリアポート21ではなくサイドポート22であることが異なる。S16の処理を終了すると、S20に進む。
【0032】
S20では、報知フラグの値が報知状態であることを示すか否かを判断する。S20を否定判定すると、S21に進み、ポートに装着されたUSBメモリ23を初期化する。例えば、USBメモリ23内の全データを削除する。USBメモリ23の記憶領域をフォーマットしてもよい。なお、S21でのUSBメモリ23の初期化に先立ち、USBメモリ23を初期化することを確認する確認画面を表示するものであってもよい。初期化のための確認画面において、初期化の選択指示を受付けた場合に、S25に進み、初期化の選択指示を受付けない場合は、
図3の処理を終了するものであってもよい。
【0033】
S22では、USBストレージ処理を有効化する。USBストレージ処理を有効化する場合、USBストレージ処理の状態を示す有効化判定フラグを、有効化されていることを示す値に設定し内部メモリ14に記憶する。S23では、暗号化キー31を作成する。暗号化キー31は、ポートに装着されるUSBメモリ23に記憶される印刷データ及び管理情報30の暗号化及び復号化に用いられる情報である。USBストレージ処理を有効にする都度、新たな暗号化キーを生成する。
【0034】
S24では、ポートに装着されたUSBメモリ23に識別情報34を記憶する。識別情報34は、この識別情報34を記憶されたUSBメモリ23が、USBストレージ処理において、印刷データの保存先として設定されていることを示す情報である。具体的には、管理情報30bを作成し、S23で作成された暗号化キー31により管理情報30bを暗号化することで、識別情報34を作成する。なお、この時点ではUSBメモリ23に印刷データは記憶されていないため、S24で暗号化される管理情報30bには、印刷データに関する情報は何ら記録されていない。以下では、USBメモリ23のうち、識別情報34が記憶されることで保存先に設定されたUSBメモリ23を、「専用メモリ」とも称す。
【0035】
S25では、内部メモリ14に、S24で識別情報34を作成するのに用いた暗号化キー31を記憶する。即ち、暗号化キー31は、識別情報34と対となる情報である。S25の処理を終了すると、
図3の処理を終了する。本実施形態では、コントローラ13が、S24,S25で実行する処理が、設定処理の一例である。
【0036】
S20を肯定判定する場合、
図3に示す処理を終了する。この場合、ユーザIF17には、
図4に示す待受画面50が表示される。ユーザは、報知すべき状態を解消してから、あるいは、報知すべき状態を解消するために待受画面50を操作することで、蓄積印刷機能の設定画面に遷移する指示を入力すればよい。そして、改めて、USBストレージ処理を有効にする指示を行えばよい。例えば、リアポート21にUSBメモリ23が装着されておらず、S15で報知画面60が報知された場合に、ユーザが、サイドポート22にUSBメモリを装着したにも関わらず、誤って、指定ボタン57を操作してしまっていたなら、指定ボタン58を操作することで、サイドポート22を指定しなおせばよい。ユーザが、誤って、サイドポート22にUSBメモリを装着してしまっていたなら、USBメモリ23をリアポート21に装着しなおしてから、指定ボタン57を操作すればよい。コントローラ13により、次回行われる
図3の処理では、S20が否定判定され、USBストレージ処理が有効化される。
【0037】
次に、USBストレージ処理が有効化された状態から無効化された状態に切換えられる場面を例に説明を行う。S10を否定判定した場合、具体的には、蓄積印刷機能の設定画面でUSBストレージ処理を無効化する指示を受け付けた場合、S17に進む。S17では、現在、USBストレージ処理で使用中のポートにUSBメモリ23が装着されているか否かを判断する。S17を肯定判定すると、S18に進み、確認画面を表示する。確認画面には、USBメモリ23内のデータを全て削除し、印刷データの保存先としての役割を無効化する旨のメッセージと、USBメモリ23の初期化の選択指示を受付けるOKボタンと、初期化の非指示を受付けるキャンセルボタンとが含まれる。
【0038】
S18を肯定判定すると、S19に進み、現在ポートに装着されているUSBメモリ23内の印刷データや管理情報30bを含む全データを削除して初期化することで、USBストレージ処理を無効化する。また、内部メモリ14に記憶された有効化判定フラグを、USBストレージ処理が無効化されたことを示す値に変更する。更に、設定情報32の値を、ポート21,22から内部メモリ14に変更する。これにより、蓄積印刷機能において、印刷データの保存先は内部メモリ14に設定される。なお、S19において、USBメモリ23内のデータのうち、印刷データや管理情報30のみを削除してもよい。また、S19での、USBストレージ処理の無効化時に、USBメモリ23内の印刷データや管理情報30を削除せずに、印刷データや管理情報30を内部メモリ14へ移動させてもよい。S19の処理を終了すると、
図3の処理を終了する。
【0039】
USBストレージ処理を無効化したときのS19と同様に、第1,第2蓄積印刷機能間での有効無効が切り替えられる場合も、無効化された蓄積印刷機能においてUSBメモリ23に蓄積されていた印刷データを削除する。第1、第2蓄積印刷機能では、後述するS67で必要とされる情報(ユーザ名、PINコード)が異なるため、USBメモリ23に印刷データを残したままだと、例えば、印刷できないままの印刷データが残ってしまうなど、弊害があるためである。なお、この場合において、専用ポートや専用メモリを示す情報は削除されない。これにより、第1,第2蓄積印刷機能間での有効無効が切り替えられた後も、既に設定されているUSBストレージ処理をそのまま利用することができる。
【0040】
次に、蓄積印刷機能が有効化されている状態において、MFP10がジョブデータJDを受信したことを契機に実行される処理を、
図11を用いて説明する。具体的には、第1蓄積印刷機能が有効な場合、コントローラ13は、PINコードが付加されたジョブデータJDを受信したことを検出すると、
図11のフローを開始する。第2蓄積印刷機能が有効な場合、コントローラ13は、ユーザ名が付加されたジョブデータJDを受信したことを検出すると、
図11のフローを開始する。
【0041】
S40では、USBストレージ処理が有効化されているか否か判断する。上述のように、内部メモリ14に記憶された有効化判定フラグに基づいて、USBストレージ処理が有効化されているか否かを判断する。
【0042】
S40を肯定判定すると、S44に進み、リアポート21が専用ポートに設定されているか否かを、S14と同様に判断する。S44を肯定判定すると、S45に進み、
図3のS15での処理と同様な手順でリアポート21に装着されたUSBメモリの状態を判断し、報知すべき状態であれば、
図7~
図10同様のメッセージを表示する。USBストレージ処理を有効化したとき、S15の手順で専用ポートの状態は判断済みである。しかし、USBストレージ処理では、専用ポートから専用メモリが取り外された後に、取り外された専用メモリが専用ポートに再度装着された場合でも、専用ポートに装着された専用メモリに印刷データを記憶することが可能である。そのため、ユーザが、専用ポートから取り外されたUSBメモリ23に対して、ライトプロテクトを設定する場合や、誤って、専用メモリを専用ポートから取り外したままにしてしまうことも懸念されるため、改めて、S45の判断を行っている。一方、サイドポート22が専用ポートに設定されている場合、S46に進み、
図3のS16で示した処理と同様の手順を実行する。
【0043】
S45又はS46の処理を終了すると、S47に進み、専用ポートは、現在、報知状態であるか否かを判断する。すなわち、印刷データを蓄積できない、あるいは、蓄積すべきでない状態であるか否か、を判断する。具体的には、S45又はS46での処理により設定された報知フラグの値から、専用ポートが、現在、報知状態であるか否かを判断する。S47を肯定判定すると、S48に進み、受信されたジョブデータJDを印刷データに変換するためにRIP処理を実行する。具体的には、ジョブデータJDに含まれるPDLデータをラスタライズすることで印刷データを作成する。
【0044】
S49では、S48で作成された印刷データを圧縮した後、圧縮された印刷データを暗号化し、専用メモリに保存する。このとき、
図3のS23で作成された暗号化キー31を用いて、印刷データを暗号化する。S49の処理では、例えば、印刷データを後述する「Direct Print」において処理できない形式で暗号化して、保存する。
【0045】
S50では、専用メモリから管理情報30bを読み出して復号化し、復号化された管理情報30bに、今回受信されたジョブデータJDに応じた情報を追加する。具体的には、USBメモリ23に記憶された管理情報30bを、暗号化キー31を用いて復号化する。第1蓄積印刷機能が有効化されている場合、ジョブデータJDに含まれるPINコードに関連付けて、ジョブ名、データ名及び受信日時が1つのレコードとして管理情報30bに記憶させる。一方、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合、ジョブデータJDに含まれるユーザ名に関連付けて、ジョブ名、データ名、更には受信日時が1つのレコードとして管理情報30bに記憶させる。これにより、MFP10は、管理情報30bの各レコードと、内部メモリ14に記憶された印刷データとを対応付けて管理することができる。S50の処理を実行すると、
図11に示す処理を終了する。
【0046】
S47を否定判定すると、S51に進み、今回受信されたジョブデータを破棄する。S51の処理が終了すると、
図11の処理を終了する。なお、S51で、今回受信されたジョブデータJDを破棄することに代えて、ユーザの指示に応じて、受信されたジョブデータJDまたは、ジョブデータIDから生成した印刷データを内部メモリ14に記憶するものであってもよい。この場合において、エラー画面をユーザIF17又はPC24に表示させてもよい。
【0047】
なお、S51で受信された印刷データが破棄された後は、ユーザIF17に待受画面50が表示される。ユーザは、報知すべき状態を解消してから、PC24を操作して、印刷データをMFP10に再送信させればよい。例えば、専用メモリにライトプロテクトが設定されている場合は、ユーザは、ライトプロテクトの設定を解除した後、PC24を操作して、ジョブデータJDをMFP10に送信する。これにより、次回実行される
図11の処理において、S47が否定判定されることで、S48に進み、S48~S50の処理を実行することで、印刷データを専用メモリに記憶させることが可能となる。
【0048】
USBストレージ処理が無効化されており、S40を否定判定すると、S41に進む。S41では、受信されたジョブデータJDに対してRIP処理を実行する。S41で実行するRIP処理は、S41で実行する処理と同様である。
【0049】
S42では、今回生成された印刷データを、内部メモリ14に記憶することで、印刷データを蓄積保存する。即ち、S42では、S49と違い、印刷データを暗号化しない。S42で、印刷データを圧縮してデータ量を削減してから内部メモリ14に記憶してもよい。S43では、内部メモリ14に記憶されている管理情報30aに、今回作成された印刷データに応じた情報を追加する。S43においても、第2蓄積印刷機能の有効無効に応じて、ユーザ名又はPINコードに関連付けて、ジョブ名、データ名、更には受信日時が1つのレコードとして管理情報30aに記憶される。S43を終了すると、
図11に示す処理を終了する。
【0050】
次に、内部メモリ14又はUSBメモリ23に蓄積保存された印刷データを印刷する手順を、
図12を用いて説明する。
図12に示す処理は、ユーザIF17対して、印刷データに対する印刷指示操作を受付けたことを契機に、コントローラ13により実行される処理である。具体的には、ユーザIF17に表示された待受画面50にて、印刷指示操作を受け付けた場合に、
図12に示す処理を開始する。第2蓄積印刷機能が有効である場合、さらに、ユーザIFを介して、MFP10に対するログイン操作を受け付け、コントローラ13がログイン認証に成功したと判断すると、
図12に示す処理を開始する。
【0051】
S60では、USBストレージ処理が有効化されているか否かを、有効化判定フラグの値により判断する。S60を肯定判定すると、S62に進み、リアポート21が専用ポートに設定されているか否かを判断する。S62を肯定判定すると、S63に進み、
図3のS15での処理と同様な手順でリアポート21に装着されたUSBメモリの状態を判断し、報知すべき状態であれば、
図7~
図10同様のメッセージを表示する。なお、S62を否定判定する場合、S64に進み、
図3のS16での処理と同様な手順でサイドポート22に装着されたUSBメモリの状態を判断する。
【0052】
S63又はS64の処理を終了すると、S65に進み、専用ポートが報知状態であるか否かを判断する。S65を否定判定すると、S66に進み、専用メモリに記憶されている管理情報30bを暗号化キー31により復号化して読み出す。第1蓄積印刷機能が有効化されており、USBストレージ処理が有効化されている場合、管理情報30bはPINコードが付加された印刷データのリストである。一方、第2蓄積印刷機能が有効化されており、USBストレージ処理が有効化されている場合、管理情報30bは、ユーザ名が付加された印刷データのリストである。なお、復号化された管理情報30bは、内部メモリ14に記憶される。S66を終了するとS67に進む。
【0053】
S60を否定判定した場合、S61に進み、内部メモリ14に記憶された管理情報30aを読み出す。S61で読み出される管理情報30aは、PINコード又はユーザ名に対応付けられた印刷データのリストである。
【0054】
S67では、S61又はS66で読み出した管理情報30を用いて、一覧画面をユーザIF17に表示させる。一覧画面は、印刷対象となる印刷データに対して選択指示を受付ける画面である。具体的には、第1蓄積印刷機能が有効化されている場合、ユーザに対して、PINコードを入力させる画面をユーザIF17に表示させ、ユーザにPINコードを入力させる。そのため、第1蓄積印刷機能が有効化されている場合、一覧画面には、ユーザに入力されたPINコードに対応する印刷データの候補が指示される。一方、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合、一覧画面には、ログインユーザのユーザ名に対応する印刷データの候補が表示される。
図13は、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合の一覧画面80であり、この一覧画面80には印刷データの選択指示を受付ける選択アイコン81,82が表示されている。選択アイコン81,82には、管理情報30に記憶されている情報のうち、ログインユーザの「ユーザ名」に関連付けられた「ジョブ名」が表示されている。これ以外にも、一覧画面80を表示するに先立ち、ユーザIF17にユーザ名を示す画面を表示し、ユーザ名の選択指示を受付けた場合に、選択されたユーザに対応する「ジョブ名」を含む一覧画面80を表示するものであってもよい。本実施形態では、コントローラ13がS67で実行する処理が表示処理の一例である。
【0055】
S68では、印刷対象となる印刷データの印刷開始の指示を受付けたか否かを判断する。例えば、
図13に示す一覧画面80において選択アイコン81,82に対する操作により、ジョブ名の選択指示を受付けた後に、ジョブ名に対応する印刷データの印刷開始を受付ける画面をユーザIF17に表示させる。そして、この画面で、印刷開始の操作を受付けたことを検出する場合に、S68を肯定判定して、S69に進む。一方、印刷開始を受付ける画面で、蓄積印刷機能をキャンセルする操作を受付けた場合、S68を否定判定して、
図12の処理を終了する。
【0056】
S69では、現在の機能(第1蓄積印刷機能又は第2蓄積印刷機能)に対応する印刷データがメモリに記憶されているか否かを判断する。S69を否定判定すると、
図12に示す処理を終了する。なお、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合、待機画面からログイン操作を受け付けたことを契機に
図12に示す処理を開始してもよい。また、ログイン操作を受け付け済の状態で、待受画面50にて、印刷指示操作を受け付けた場合に、
図12に示す処理を開始してもよい。また、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合のPINコードの入力を受け付けてから、
図12の処理を開始し、S67では受付を省略してもよい。
【0057】
一方、S69を肯定判定するとS70に進み、S60でUSBストレージ処理が有効化されていると判断しているか否かを判断する。S70を肯定判定すると、S72に進み、S70を否定判定すると、S71に進む。S71、S72では、管理情報30を参照することで、専用メモリに記憶されている印刷データのうち、PINコード又はログインユーザのユーザ名に応じた印刷データを選択し、その印刷データを印刷する。S72では、このとき、暗号化キー31を用いて、専用メモリに記憶された印刷データを復号化する。そして、プリントユニット15に対して、復号化された印刷データを印刷させる。
【0058】
S71又はS72の処理を終了すると、S73に進む。S73では、S71又はS72でプリントユニット15に印刷させた印刷データを削除する。具体的には、印刷データそのものや、印刷処理において発生した一時データを削除する。S74では、印刷された印刷データに関連する情報(レコード)を管理情報30から削除し、管理情報30を更新する。なお、S74の処理は、入力されたPINコードが対応付けられた印刷データ、または、ログインユーザの印刷データ、を全て印刷した後に、実行してもよい。
【0059】
S74の処理を終了すると、S69に戻る。S69を肯定判定する場合、S70~S74の処理を繰り返す。S69を否定判定した場合、
図12に示す処理を終了する。
【0060】
S65を肯定判定すると、
図12の処理を終了する。この場合、ユーザIF17には、
図4に示す待受画面50が表示される。ユーザは、報知すべき状態を解消してから、待受画面50を操作することで、改めて、印刷指示操作を行えばよい。USBストレージ処理を有効化したとき、S15の手順で専用ポートの状態は判断済みである。しかし、S45の処理を実行するのと同様の理由により、改めて、S63の判断を行っている。具体的には、リアポート21に装着されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されていることで、S63で報知画面が報知された場合において、その後に、ユーザがUSBメモリ23のライトプロテクトを解消すればよい。コントローラ13により、次回行われる
図12の処理では、S65が否定判定され、S66に進む。S71で専用メモリに記憶された印刷データが印刷された後、S72に進むと、専用メモリにライトプロテクトが設定されていないため、印刷データを削除することが可能となる。
【0061】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。コントローラ13は、蓄積印刷機能において、印刷指示操作を受付けた場合、専用メモリに対してライトプロテクトが設定されているか否かを判断する。専用メモリにライトプロテクトが設定されていると判断した場合に、ユーザIF17に報知画面68を表示させる。これにより、ユーザは、専用メモリに設定されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されていることを認識することができるため、例えば、その後に、USBメモリ23のライトプロテクトを解除した後に、印刷指示操作を改めて行うことができる。その結果、ライトプロテクトが設定されていることに起因して、蓄積印刷機能に不都合が生じることを抑制することができ、ひいてはユーザの利便性を向上させることができる。
【0062】
コントローラ13は、報知画面68を非表示にする指示操作を受付けた場合に、ユーザIF17に待受画面50を表示させる。これにより、ユーザは、USBメモリ23に設定されたライトプロテクトを解除した後に、ユーザIF17に表示された待受画面50で、蓄積印刷機能における印刷指示操作を改めて行ことができる。
【0063】
コントローラ13は、報知画面68を非表示にする指示操作を受付けた場合に、待受状態に戻ることで、待受画面50をユーザIF17に再表示させる。これにより、報知画面68が非表示にされた後は、待受画面50が再表示されることで、ユーザは、煩雑な操作を行うことなく、待受画面50で蓄積印刷機能に対する印刷指示操作を改めて行うことができる。
【0064】
コントローラ13は、ポートに装着されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されている場合は待受画面50を表示し、USBメモリ23にライトプロテクトが設定されていない場合は、一覧画面8を表示する。これにより、印刷データの選択指示に先だって、報知画面68が表示されるため、ユーザが印刷データを選択指示した後に、報知画面68が表示される場合と比べて、ユーザの利便性をいっそう向上させることができる。
【0065】
コントローラ13は、専用メモリの設定時において、ポートに装着されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されているか否かを判断する。その後に、印刷指示操作を受付けた場合に、コントローラ13は、USBメモリ23にライトプロテクトが設定されているか否かを再び判断する。これにより、USBメモリ23が専用メモリに設定された後、ポートからUSBメモリ23が取り外されて、ライトプロテクトの設定が解除される場合においても、ライトプロテクトが設定されていることに起因して、蓄積印刷機能に不都合が生じることを抑制することができる。その結果、ユーザの利便性をいっそう向上させることができる。
【0066】
コントローラ13は、ジョブデータJDの受信時において、ポートに装着されたUSBメモリ23にライトプロテクトが設定されているか否かを判断する。その後に、コントローラ13は、印刷指示操作を受付けた場合に、USBメモリ23にライトプロテクトが設定されているか否かを再び判断する。これにより、ジョブデータを受信した後、ポートからUSBメモリ23が取り外されて、ライトプロテクトの設定が解除される場合においても、ライトプロテクトが設定されていることに起因して、蓄積印刷機能に不都合が生じることを抑制することができる。その結果、ユーザの利便性をいっそう向上させることができる。
【0067】
コントローラ13は、蓄積印刷機能で印刷された印刷データを専用メモリから削除する。これにより、蓄積印刷機能において、USBメモリ23に記憶された印刷データが印刷された後に、この印刷データが削除されることで、USBメモリ23の記憶容量を有効活用することができる。
【0068】
(本実施形態の変形例)本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。第1実施形態では、コントローラ13は、
図12のS63において、USBメモリ23が装着されているか否かの判断(S30)、USBメモリ23が故障しているか否かの判断(S31)、USBメモリ23に空き容量があるか否かの判断(S33)を行った。これに代えて、コントローラ13は、S63において、S30,S31,S33の各処理を実行しなくともよい。
【0069】
第1実施形態では、MFP10は、リアポート21とサイドポート22とを備えていた。これに代えて、MFP10は、リアポート21及びサイドポート22のいずれかのみを備えていてもよい。また、サイドポート22は、フロント部41における側面側に配置されていた。これに代えて、サイドポート22は、フロント部41における前面側、即ち、ユーザIF17が配置される側と同じ側に配置されていてもよい。また、MFP10は、ポートを3つ以上備えていてもよい。
画像形成装置として、MFP10を例に説明したことは一例である。これ以外にも、画像形成装置は、読取ユニット16を備えていないプリンタであってもよい。
コントローラ13は、印刷データを暗号化せずにUSBメモリ23へ記憶してもよい。この場合において、
図11のS49及び
図12のS66,S72を省略すればよい。
【符号の説明】
【0070】
10…MFP、11,12…メモリIF、13…コントローラ、15…プリントユニット、17…ユーザIF、21,22…ポート、23…USBメモリ