IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 奥山ボーリング株式会社の特許一覧

特開2022-105965地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法
<>
  • 特開-地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法 図1
  • 特開-地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法 図2
  • 特開-地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105965
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 11/06 20060101AFI20220708BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
G01C11/06
G01B11/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000622
(22)【出願日】2021-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000121578
【氏名又は名称】奥山ボーリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】荻田 茂
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA09
2F065BB05
2F065BB27
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM06
2F065PP01
2F065QQ25
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】本発明は、地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法を提供する。
【解決手段】標定盤(測量杭)設置後、無人航空機(UAV)によりすべての標定盤(測量杭)を上空から撮影する。地すべり前に撮影された航空写真(オルソフォト)は、基準写真データとする。地すべり後、無人航空機(UAV)により標定盤(測量杭)を撮影し、撮影した標定盤(測量杭)の写真の歪を補正した航空写真(オルソフォト)を作成し、これらを測定写真データとする。コンピューターに取り込み又は地すべり前後の航空写真(オルソフォト)の基準写真データと測定写真データを比較して標定盤(測量杭)の想定的な移動を計測し、地すべり移動方向と移動量を把握する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地すべり想定地域内にランダム又は一定間隔に標定盤を設置し、前記標定盤設置後、無人航空機によりすべての標定盤を上空から撮影し、撮影した標定盤の写真の歪を補正した航空写真を作成して基準写真データとし、地すべり後、無人航空機によりこれら標定盤を撮影し、撮影した標定盤の写真の歪を補正した航空写真を作成して測定写真データとし、その後コンピューターに取り込み又は地すべり前後の航空写真の基準写真データと測定写真データを比較して標定盤の想定的な移動を計測し、地すべり移動方向と移動量を把握することを特徴とする地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法。
【請求項2】
前記標定盤は、正方形をなし、内部を十字線で区切られた小正方形の対角線上に位置する2個を着色したことを特徴とする請求項1記載の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地すべり移動方向及び移動量を把握することができる、地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地すべり現場での重要な調査の一つに地表面の移動量観測がある。地すべりにより地表面がどの方向にどのくらい移動したかを把握することは、対策工事の設置位置や規模を決めるうえで重要である。
一般的には、地すべり地内に設置した標定盤(測量杭)の位置で、人力によるGPS計測を一点につき1時間から2時間費やされる(図3を参照)。しかし、地盤が移動する地すべり地内に立ち入って観測するには危険が伴う。
【0003】
そこで、監視員が携帯して、遠く離れた地すべり測定領域をCCDなどの固体撮像素子を有するビデオカメラや電子スチールカメラなどの固体撮像装置で撮影する2次元画像比較による外観の測定方法及び装置が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、外観を測定すべき地すべり領域内に相対位置関係が既知のコントロールポイントを4個以上設定し、これらのコントロールポイントを含む測定領域を固体撮像装置で撮像して得られる2次元画像データを基準画像として記憶し、ほぼ同じ位置からほぼ同じ条件で撮像して得られる2次元画像データを測定画像として蓄積した後、各測定画像を、その中の4個以上のコントロールポイントが、基準画像中の4個以上のコントロールポイントとほぼ一致するようにアングル補正して補正済み測定画像を作成し、この補正済み測定画像を基準画像と比較することによって、測定すべき領域の時間的な形状変化や色変化を計測するものである。
【0004】
また、飛翔体を飛行させ、前記飛翔体の撮像部により地形を撮像することで生成した写真測量用の画像データを標定して地形モデルデータを作成するモニタリング方法が知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、地形の位置情報を含む地形モデルデータを用いてターゲットを用意し、第1時刻において、測量装置の撮像部によりターゲットを撮像して第1画像データを生成し、第1時刻より後の第2時刻において、測量装置の撮像部によりターゲットを撮像して第2画像データを生成し、第1画像データに基づく第1画像と第2画像データに基づく第2画像とを用いて、ターゲットの変位を検出するモニタリング方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-337322号公報
【特許文献2】WO2018/020691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の標定盤を上空から撮影して航空写真を作成し、地すべり前後の航空写真を比較して標定盤の移動を計測し、地すべり移動方向及び移動量を把握することができる地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法は、地すべり想定地域内にランダム又は一定間隔に標定盤を設置し、前記標定盤設置後、無人航空機によりすべての標定盤を上空から撮影し、撮影した標定盤の写真の歪を補正した航空写真を作成して基準写真データとし、地すべり後、無人航空機によりこれら標定盤を撮影し、撮影した標定盤の写真の歪を補正した航空写真を作成して測定写真データとし、その後コンピューターに取り込み又は地すべり前後の航空写真の基準写真データと測定写真データを比較して標定盤の想定的な移動を計測し、地すべり移動方向と移動量を把握するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法は、地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測するため、地すべり地内に立ち入って観測する危険がなく安全に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する説明概略図である。
図2】本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測するフロー図である。
図3】従来の地すべりの移動量を計測する説明概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の説明概略図に示すように、地すべりが生じそうな山の斜面にランダム又は一定間隔に標定盤(測量杭)を設置する。現地に入った観測者により標定盤(測量杭)の設置が行われる。
前記標定盤(測量杭)は、図1の下部に拡大図で示すように、一辺が45cmの正方形をなし、内部を十字線に区切られた小正方形の対角線上に位置する2個を着色したものを使用する。
【0011】
無人航空機(UAV)は、前記標定盤(測量杭)を上空から撮影し、GPS(Global Positioning System)により位置情報確認が行われる。
撮影された写真は、歪を補正した航空写真(オルソフォト)を作成する。
【0012】
地すべり前に撮影された航空写真(オルソフォト)は、基準写真データとし、地すべり後に撮影された航空写真(オルソフォト)は、測定写真データとする。
【0013】
コンピューターに取り込み又は前記基準写真データと前記測定写真データを重ね合わせて透視比較することにより、標定盤(測量杭)の想定的な移動を計測し、地すべり移動方向と移動量を把握することができる。
【0014】
次に、本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図2のフロー図に示すように、以下の手順方法で計測が行われる。
(1)地すべり想定地域内にランダム又は一定間隔に標定盤(測量杭)を設置する。現地に入った観測者により標定盤(測量杭)の設置が行われる。
(2)標定盤(測量杭)設置後、無人航空機(UAV)によりすべての標定盤(測量杭)を上空から撮影する。
(3)撮影した標定盤(測量杭)の写真の歪を補正した航空写真(オルソフォト)を作成し、基準写真データとする。
【0015】
(4)地すべり後、無人航空機(UAV)により標定盤(測量杭)を撮影し、撮影した標定盤(測量杭)の写真の歪を補正した航空写真(オルソフォト)を作成し、これらを測定写真データとする。
(5)コンピューターに取り込み又は地すべり前後の航空写真(オルソフォト)の基準写真データと測定写真データを比較する。
【0016】
(6)標定盤(測量杭)の想定的な移動を計測し、地すべり移動方向と移動量を把握することができる。
このようにして、本発明の地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測する方法は、地すべりの移動量を無人航空機により撮影した写真で計測するため、地すべり地内に立ち入って観測する危険がなく安全に計測することができる。
図1
図2
図3