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特開2022-105984X線分光分析装置および元素分析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105984
(43)【公開日】2022-07-15
(54)【発明の名称】X線分光分析装置および元素分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2209 20180101AFI20220708BHJP
   G01N 23/223 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
G01N23/2209
G01N23/223
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195149
(22)【出願日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2021000404
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 真二
(72)【発明者】
【氏名】足立 晋
(72)【発明者】
【氏名】小桧山 朝華
(72)【発明者】
【氏名】和泉 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢治
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA03
2G001AA04
2G001AA05
2G001BA04
2G001BA05
2G001CA01
2G001DA09
2G001EA02
2G001KA01
2G001SA02
(57)【要約】
【課題】検出器において精度よく特性X線を検出することができるX線分光分析装置を提供する。
【解決手段】分光素子12および検出器14は、一つのローランド円104の円周に沿って配設される。ローランド円104に沿った分光素子12の分光面の長さは、試料ホルダ108に照射される励起線の照射面のローランド円104の面内での長さより短い。特性X線群を分光素子12の共通の分光範囲で分光するように、分光素子12と試料ホルダ108とが配設されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ホルダに保持される試料に励起線を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群を発生させる励起源と、
前記特性X線群を分光する湾曲形状の分光素子と、
前記分光素子が分光した前記特性X線群の少なくとも一部を検出する位置敏感型の検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて前記試料中に含まれる元素の分析を行う演算部とを備え、
前記分光素子および前記検出器は、一つのローランド円の円周に沿って配設され、
前記ローランド円に沿った前記分光素子の分光面の長さは、前記試料ホルダに照射される前記励起線の照射面の前記ローランド円の面内での長さより短く、
前記特性X線群を前記分光素子の共通の分光範囲で分光するように、前記分光素子と前記試料ホルダとが配設されている、X線分光分析装置。
【請求項2】
前記検出器は、その表面が前記ローランド円と2点で交差するように配置されている、請求項1に記載のX線分光分析装置。
【請求項3】
前記共通の分光範囲を画定するコリメーターをさらに備え、
前記コリメーターは、前記試料ホルダから前記分光素子を経由して前記検出器に到達するまでの前記特性X線群の経路上に配設されている、請求項1または請求項2に記載のX線分光分析装置。
【請求項4】
前記コリメーターは、前記特性X線群のそれぞれに対応して複数の開口部を有する、請求項3に記載のX線分光分析装置。
【請求項5】
前記ローランド円の円周に沿った前記分光素子の分光面のうち前記分光範囲における分光面の長さは、前記照射面の前記ローランド円の面内での長さの1/2以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のX線分光分析装置。
【請求項6】
前記検出器は、一次元検出器である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のX線分光分析装置。
【請求項7】
前記試料ホルダを回転させる回転機構をさらに備える、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のX線分光分析装置。
【請求項8】
元素分析方法であって、
試料ホルダに保持される試料に励起線を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群を発生させるステップと、
発生した前記特性X線群を湾曲形状の分光素子に入射させ、入射した前記特性X線群を前記分光素子が分光させ、分光した前記特性X線群の少なくとも一部を位置敏感型の検出器に検出させるステップと、
前記検出器の検出結果に基づいて前記試料中に含まれる元素の分析を行うステップとを含み、
前記分光素子および前記検出器は、一つのローランド円の円周に沿って配設され、
前記ローランド円に沿った前記分光素子の分光面の長さは、前記試料ホルダに照射される前記励起線の照射面の前記ローランド円の面内での長さより短く、
前記特性X線群を前記分光素子の共通の分光範囲で分光するように、前記分光素子と前記試料ホルダとが配設されている、元素分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、X線分光分析装置および元素分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1次X線や電子線等の励起線が照射された試料が発する特性X線(蛍光X線)を分光して波長ごとの強度を検出する装置としてX線分光分析装置が知られている。このようなX線分光分析装置として、国際公開第2018/053272号(特許文献1)には、一つのローランド円の円周に沿って湾曲型の分光結晶および検出器を配設するものが記載されている。特許文献1に記載のX線分光分析装置は、ローランド円の内部に配置された光源からの特性X線を湾曲型の分光結晶にて集光すると同時に分光し、検出器にてこれを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/053272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のX線分光分析装置において、互いにピーク波長が異なる特性X線群を湾曲型の分光結晶のような分光素子で分光する場合、特性X線群のそれぞれの特性X線を分光素子のどの分光範囲で分光させるべきかについて配慮がなされていない。特性X線群の全てのピーク波長をカバーさせようと分光範囲を設定すると、分光素子の分光面のローランド円に沿った長さが大きくなってしまう。この長さが大きくなってしまうと、ローランド円と分光素子との曲率半径の違いから、ローランド円から離れる分光素子の領域において、検出器における特性X線の検出精度が低下してしまうという問題が発生する。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑みてなされたものであり、検出器において精度よく特性X線を検出することができるX線分光分析装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うX線分光分析装置は、励起源と、湾曲形状の分光素子と、位置敏感型の検出器と、演算部とを備える。励起源は、試料ホルダに保持される試料に励起線を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群を発生させる。湾曲形状の分光素子は、特性X線群を分光する。位置敏感型の検出器は、分光素子が分光した特性X線群の少なくとも一部を検出する。演算部は、検出器の検出結果に基づいて試料中に含まれる元素の分析を行う。分光素子および検出器は、一つのローランド円の円周に沿って配設される。ローランド円に沿った分光素子の分光面の長さは、試料ホルダに照射される励起線の照射面のローランド円の面内での長さより短い。特性X線群を分光素子の共通の分光範囲で分光するように、分光素子と試料ホルダとが配設されている。
【0007】
本開示の別の局面に従う元素分析方法は、試料ホルダに保持される試料に励起線を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群を発生させるステップと、発生した特性X線群を湾曲形状の分光素子に入射させ、入射した特性X線群を分光素子が分光させ、分光した特性X線群の少なくとも一部を位置敏感型の検出器に検出させるステップと、検出器の検出結果に基づいて試料中に含まれる元素の分析を行うステップとを含み、分光素子および検出器は、一つのローランド円の円周に沿って配設され、ローランド円に沿った分光素子の分光面の長さは、試料ホルダに照射される励起線の照射面のローランド円の面内での長さより短く、特性X線群を分光素子の共通の分光範囲で分光するように、分光素子と試料ホルダとが配設されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、湾曲形状の分光素子の有効な分光範囲をローランド円の円周に接する領域近傍に限定することができるため、ローランド円と分光素子との曲率半径の違いによる特性X線の検出精度の低下を防止することができる。これにより、検出器において精度よく蛍光X線を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】X線分光分析装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】X線分光分析装置とローランド円との関係を示す図である。
図3】湾曲形状の分光素子の一例を示す図である。
図4A】検出器の受光面から見たCoのKα1線の投影像のシミュレーション結果を示す図である。
図4B】検出器の受光面から見たCoのKα1線の投影像のシミュレーション結果を示す図である。
図5A】検出器の検出結果に基づく分析結果を示す図である。
図5B】検出器の検出結果に基づく分析結果を示す図である。
図5C】検出器の検出結果に基づく分析結果を示す図である。
図6A】コリメーターの例を示す図である。
図6B】コリメーターの例を示す図である。
図7】変形例1に係るX線分光分析装置とローランド円との関係を示す図である。
図8】変形例2に係るX線分光分析装置とローランド円との関係を示す図である。
図9】変形例3に係るX線分光分析装置とローランド円との関係を示す図である。
図10】変形例4に係る試料ホルダおよび回転機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一又は相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[X線分光分析装置10]
図1は、X線分光分析装置10の全体構成を概略的に示す図である。
【0012】
図1に示すように、X線分光分析装置10は、励起源としてのX線管11と、湾曲形状の分光素子12と、位置敏感型の検出器14と、演算部15とを備える。
【0013】
演算部15は、X線分光分析装置10の動作を制御するとともに、検出器14の検出結果に基づいて試料中に含まれる元素の分析を行うように構成される。演算部15は、プロセッサおよびメモリなどから構成される。これらの各部は、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0014】
プロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)などの演算処理部である。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することで、X線分光分析装置10の各部の動作を制御する。メモリは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現される。メモリは、プロセッサによって実行されるプログラム、またはプロセッサによって用いられるデータなどを記憶する。
【0015】
X線管11は、試料ホルダ108に保持される試料に励起X線(単に「励起線」とも称する)を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群(波長範囲が異なる複数の特性X線)を発生させる。具体的には、試料ホルダ108は、一辺の長さをL2とする矩形状の照射面108aを有する。照射面108aは、試料ホルダ108の開口部であり、照射面108a全体に励起線が照射される。この照射面108a内全体に試料が保持されているため、照射面108aから特性X線群が発生することになる。
【0016】
湾曲形状の分光素子12は、照射面108aからの特性X線群を分光する。位置敏感型の検出器14は、分光素子12が分光した特性X線群の少なくとも一部を検出する。以下、本実施の形態においては、X線で励起されて発生する特性X線を「蛍光X線」とも称する。
【0017】
位置敏感型の検出器14は、一次元検出器であってもよい。一次元検出器は、たとえば、シリコンストリップ型検出器である。位置敏感型の検出器14として一次元検出器を用いることで、二次元検出器であるCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラに比べ、装置の低コスト化が期待できる。また、2次元データを1次元に再構成する手間が不要となる。
【0018】
演算部15は、X線管11を制御して励起線を照射させるとともに、検出器14が検出した特性X線群の検出結果を取得して試料中に含まれる元素の分析を行う。これにより、試料中の元素の価数(平均価数)を分析することができる。価数の分析では、試料中に含まれる元素および該元素の価数が既知であって、該価数が異なる複数個の標準試料からそれぞれ放出される特性X線のピークエネルギー(特性X線群のそれぞれのピークエネルギー)に基づいて、価数に対するピークエネルギーを示す標準曲線(例えば、エネルギーと価数の関係を1次関数で表したもの)を作成する。価数の値は、X線分光分析装置10を用いて試料を測定し、検出器14の検出結果に基づき得られる特性X線群のそれぞれのエネルギーの値を標準曲線に適用することで得られる。また、X線分光分析装置10は、回転機構110を備えてもよい。演算部15は、回転機構110を制御して、試料ホルダ108を回転させることが可能である。回転機構110については、図10を用いて後述する。
【0019】
ここで、L2は、試料ホルダ108に照射される励起線の照射面108aのローランド円104(図2)の面内での長さである。L1は、ローランド円104に沿った分光素子12の分光面の長さである。本実施の形態においては、分光素子12および検出器14は、一つのローランド円104の円周に沿って配設される。以下、図2を用いて具体的に説明する。
【0020】
図2は、X線分光分析装置10とローランド円104との関係を示す図である。図2に示すように、試料ホルダ108およびX線管11は、半径Rのローランド円104の円内に配設されている。分光素子12の分光面は、ローランド円104の円周に沿った形状・配置を有する。本実施の形態では、検出器14は、その検出面が、ローランド円104の円周に1点で接するのではなく、2点(図2における焦点134,138)で交差するように配置されている。一般に、X線分光分析装置10では、一元素から放出される複数エネルギーのX線(たとえばKα線とKβ線)、複数元素からそれぞれ放出される異なるエネルギーのX線(たとえばMnからのKα線とNiからのKα線)の検出が必要となる場合がある。本実施形態のように検出器14を配置することで、この要求を満たすことができる。このようにすることで、X線分光分析装置10は、異なるエネルギーのX線を高分解能で検出することができる。ただし、分光素子12、検出器14は、本発明の作用効果を奏する範囲で上記と異なる形状・配置を有していてもよい。
【0021】
まず、X線管11からの励起X線は、照射面108a内の試料ホルダ108に照射され、試料に含有されている元素固有の蛍光X線が発生する。次に、試料から発生した蛍光X線は、ローランド円104の円周に沿って配設された分光素子(分光結晶)12にてブラッグ反射し、その表面がローランド円104と2点(焦点134,138)で交差するように配設された検出器14にて検出される。照射面108aから分光素子12に入射する特性X線の入射方向に対して、照射面108aが垂直になるように試料ホルダ108を配設することが望ましく、本実施の形態では、L2は、照射面108aが垂直であるとした場合の長さを指す。検出器14は、ローランド円104の円周に沿って配設されてもよい。
【0022】
試料は、電池、触媒など、励起線を照射することにより特性X線を発生する金属材料を含む任意のものを使用できる。たとえば、試料は、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)の三元素を含んでいてよい。具体例では、試料は、正極材料としてLi(Mn1/3Co1/3Ni1/3)Oを含むリチウムイオン電池(LIB)であってもよい。試料は、Fe(鉄)を含んでいてもよい。
【0023】
その場合、まず、含有元素の一つであるMnから発生した第1のピーク波長(「第1の波長範囲」とも称する)を持つ蛍光X線は、試料表面の第1の範囲140から発光した成分が、分光素子12の分光範囲173に到達してブラッグ反射し、光学パス116,118で示す範囲を通過して、ローランド円104上の焦点138に集光する。
【0024】
ここで、第1の範囲140と分光範囲173を結んでできるローランド円上の仮想焦点を焦点128で示す。幾何学的には、焦点128から蛍光X線が出射し(光学パス125,127で示す範囲)、から光学パス116,118で示す範囲を通過して焦点138に集光しているものと考えることができる。
【0025】
また、Coから発生した第2のピーク波長(「第2の波長範囲」とも称する)を持つ蛍光X線は、試料表面の第2の範囲142から発光した成分が、分光素子12の分光範囲173に到達してブラッグ反射し、光学パス120,122で示す範囲を通過して、ローランド円上の焦点136が集光位置となる。
【0026】
ここで、第2の範囲142と分光範囲173を結んでできるローランド円上の仮想焦点を焦点130で示す。幾何学的には、焦点130から蛍光X線が出射し(光学パス121,123で示す範囲)、から光学パス120,122で示す範囲を通過して焦点136に集光しているものと考えることができる。
【0027】
さらに、Niから発生した第3のピーク波長(「第3の波長範囲」とも称する)を持つ蛍光X線は、試料表面の第3の範囲144から発光した成分が、分光素子12の分光範囲173に到達してブラッグ反射し、光学パス124,126で示す範囲を通過して、ローランド円上の焦点134に集光する。
【0028】
ここで、第3の範囲144と分光範囲173を結んでできるローランド円上の仮想焦点を焦点132で示す。幾何学的には、焦点132から蛍光X線が出射し(光学パス117,119で示す範囲)、から光学パス124,126で示す範囲を通過して焦点134に集光しているものと考えることができる。
【0029】
このように、特性X線(蛍光X線)は、互いにピーク波長が異なる特性X線群(波長範囲が異なる複数の特性X線、この場合、Mn、Co、Niからそれぞれ発生する特性X線)を含んでいる。また、本実施形態においては、これら特性X線群を分光素子12の共通の分光範囲で分光するように、分光素子12と試料ホルダ108とが配設されている。
【0030】
具体的には、上記で説明したように、Mn、Co、Niのいずれから発生した特性X線も、共通の分光範囲である「分光範囲173」で分光する。そして、これらが分光範囲173で分光するように、分光素子12と試料ホルダ108とが配設されている。本実施の形態では、ローランド円104に沿った分光素子12の分光面の長さL1は、試料ホルダ108に照射される励起線の照射面のローランド円104の面内での長さL2より短くなるように、分光素子12と試料ホルダ108とが配設されている。
【0031】
特性X線群の分光範囲が共通でなくそれぞれ異なる場合、ローランド円104に沿った分光素子12の分光面の長さL1が長くなってしまう。分光素子12がヨハン型である場合、その曲率半径は2Rとなる。この場合、半径Rのローランド円104に対して分光素子12のサイズが大きいと、分光素子12周辺部ではローランド円104からのずれが大きくなり、その結果、光学収差による焦点ずれが生じる。これにより、検出器14の検出精度が低下してしまう。
【0032】
また、特性X線群の分光範囲がそれぞれ完全に分離される構成である場合、結晶の欠陥があった場合は、検出器14へ入射する蛍光X線の位置ずれを起こし、これによりピークシフトが生ずる問題が生じる。このため、価数が正しく評価できない可能性がある。たとえば、国際公開第2018/053272号においては、複数のX線の分光範囲は、それぞれ171,173,175であり(図2)、完全に分離されている。
【0033】
本実施の形態においては、特性X線群を共通の分光範囲173のみで分光させ、試料のサイズに対して分光素子12の分光範囲が小さくなるように構成した。これにより、湾曲形状の分光素子12の有効な分光範囲173をローランド円104の円周に接する領域近傍に限定することができるため、ローランド円104と分光素子12との曲率半径の違いによる特性X線の検出精度の低下を防止することができる。このようにして、検出器14において精度よく蛍光X線を検出することができる。
【0034】
また、これにより、次のような3つの利点が考えられる。第1に、共通の分光範囲173で分光させることで、分光素子12をコンパクト化でき、これにより分光素子12の製造コストを下げることができる。第2に、分光素子12に欠陥があった場合、1元素の検査のみで欠陥を調査することができる。第3に、分光素子12の欠陥があった場合でも、分光範囲173が共通であるためピークシフトが生じない。
【0035】
図3は、湾曲形状の分光素子12の一例を示す図である。本実施の形態では、図3に示すように、分光素子12は、二重湾曲型の分光結晶である。
【0036】
分光素子12は、湾曲面状に研磨された台座1020上に、分光結晶となる薄板1022を貼り付けて作製されている。台座の材料はSUSなどの金属や低膨張ガラスを用いる。分光結晶の材料は、Si、Ge、LiF、水晶などの単結晶が好適である。
【0037】
図1図2において説明した長さL1は、ローランド円104に沿った分光素子12の分光面の長さである。図3におけるx方向は、ローランド円104に沿った方向であり、以下「分光方向」とも称する。y方向は、x方向と垂直の分光素子12に沿った方向であり、以下「集光方向」とも称する。
【0038】
分光素子12のサイズは分光方向にWx、集光方向にWyである。図1図2で示した例において、Wx=L1である。また、Wy=L1×6である。ただし、この値に限定されるものではない。
【0039】
分光素子12の凹面は、分光方向(x方向)に半径Rx、集光方向(y方向)に半径Ryの曲率を持っている。最適な曲率を与える厳密解は、ローランド円の半径をRとすると、Rx=2R,Ry=2R×sinθで表される。ここで、θは、分光結晶(分光素子12)の格子間隔と入射X線の波長で決まるブラッグ反射角度である。
【0040】
検出器14としては、Siのストリップ検出器(SSD:Si Strip Detector)を用いる。SSDの一例として、Dectris社(スイス)製の一次元の半導体アレイ検出器Mythen2を用いることができる。Mythen2は、その一画素のサイズが50μm(x方向;ローランド円104に沿った方向)×8mm(y方向:x方向と垂直の検出器に沿った方向)で、x方向に1280画素(チャンネル)を集積している。トータルの視野サイズは、64mm(x方向)×8mm(y方向)となる。
【0041】
[CoのKα1線の投影像のシミュレーション結果]
図4A図4Bは、検出器14の受光面から見たCoのKα1線の投影像のシミュレーション結果を示す図である。
【0042】
ここでは、試料ホルダ108に照射される励起線の照射面108aのローランド円104に沿った方向をx方向、x方向と垂直の照射面108aに沿った方向をy方向とする。図1の例で説明したL2は、試料ホルダ108における照射面108aのx方向の長さである。また、照射面108aのy方向の長さもL2であるとする。
【0043】
図4A図4Bでは、L2(x方向)×L2(y方向)の大きさを持つ試料の照射面(図1での照射面108a)からCoKα1線(6.9303keV)が一様に発光したと仮定した場合、その光線が検出器の検出面にどの様な投影像を結ぶかを、モンテカルロ・シミュレーション(レイトレーシング)にて計算した結果を示している。分光結晶(分光素子12)はGe(220)の単結晶を仮定している。
【0044】
図4Aは、分光素子12のサイズが、Wx=L1,Wy=L1×6である場合のシミュレーション結果であり、図4Bは、分光素子12のサイズが、Wx=L1×6,Wy=L1×6である場合のシミュレーション結果である。本実施の形態においては、L2=L1×4であるとする。
【0045】
図4Bの場合は、検出器14の検出面においてx方向に収差による尾引きが見られる。その一方で、図4Aの場合は、このような尾引きが見られず、良好な分光特性が得られることが分かる。
【0046】
このように、分光素子12のx方向のサイズがWx=L1×6である場合(図4Bの例)よりも、分光素子12のx方向のサイズが1/6であるWx=L1である場合(図4B)の例)の方が良好な分光特性が得られた。
【0047】
シミュレーション結果からは、試料ホルダ108における照射面108aのx方向の長さL2の少なくとも1/2以下、好ましくは1/4以下に分光素子12のサイズWx(=L1=L2/4)を絞ることで、良好な検出特性が得られた。
【0048】
図1図2で説明した本実施の形態においても、L1(ローランド円104に沿った分光素子12の分光面のうち分光範囲における分光面の長さ)は、L2(照射面のローランド円104の面内での長さ)の1/2以下となるように設計している。
【0049】
検出器14で検出された含有元素の蛍光X線波形は、ソフトウエアによるデータ処理によって、そのピーク中心エネルギー、半値幅、ピーク高さが計算され、そのいずれかの値が試料の物理特性と関連付けられる。例えば、ピーク中心エネルギーは、含有元素の価電子状態と相関があり、ピーク中心エネルギーの微小な変化から、試料の価数の変化を知ることができる。詳細は、以下の文献Aに詳しい。
【0050】
[文献A]K. Sato, T. Yoneda, T. Izumi, T. Omori, S. Tokuda, S. Adachi, M. Kobayashi, T. Mukai, H. Tanaka and M. Yanagida, Analytical Chemistry, Vol. 92(1), pp. 758-765, 2020.
なお、Mn、Co、Niの蛍光X線であるKα線は、Kα1線とKα2線の二本から構成されている。Mnのエネルギーは、Kα1線が5898.7eVでありKα2が5887.6eVである。Coのエネルギーは、Kα1線が6930.3eVでありKα2が6915.3eVである。Niのエネルギーは、Kα1線が7478.1eVでありKα2が7460.9eVである。
【0051】
一般に、Kα1線とKα2線は、量子力学的なゆらぎと検出システムのノイズの影響で、測定される波形はある有限の幅を持つピークとなり、その裾野は一部重なって検出される。そのため、カーブフィッティングにより、それぞれをピーク分離することが好ましく、そのためには、両線を含む所定のエネルギー範囲(波長範囲)のデータを連続的に取得することが必要となる。
【0052】
波形解析に好適なエネルギー範囲(波長範囲)としては,Kα1線とKα2線のエネルギー差の少なくとも2倍以上、好ましくは3倍以上が一つの目安となる。本実施の形態においてはKα線の信号を取得するようにしているが、これに限らず、Kβ線の信号を取得するように構成してもよい。その場合は、Kα1線をKβ1,3線に、Kα2線をKβ’線に置き換えて好適なエネルギー範囲(波長範囲)を計算することができる。
【0053】
図5A図5Cは、検出器14の検出結果に基づく分析結果を示す図である。図5AはFe、図5BはCo、図5CはNiのそれぞれに関する結果である。図5Aに示すように、検出器14のx方向の所定の位置に、FeのKα1およびKα2のそれぞれのスペクトルピークが好適に検出されている。CoおよびNiについても同様に、Kα1およびKα2のそれぞれのスペクトルピークが好適に検出されている。
【0054】
[変形例]
以下、本実施の形態における変形例について説明する。
【0055】
<変形例1>
本実施の形態においては、図2で示したように、共通の分光範囲である分光範囲173は、ローランド円104に沿った分光素子12の分光面の長さ(L1)によって画定されるように構成されている。
【0056】
しかし、これに限らず、コリメーター(コリメーター180~183)を備え、コリメーターが共通の分光範囲を画定する(定める)るようにしてもよい。コリメーターは、試料ホルダ108から分光素子12を経由して検出器14に到達するまでの特性X線群の経路上に配設されるようにする。
【0057】
図6A図6Bは、コリメーター(コリメーター180,183)の例を示す図である。図6Aは、単開口型のコリメーター180を示す図であり、図6Bは、複数開口型のコリメーター183を示す図である。
【0058】
単開口型のコリメーター180は、図6Aに示すように、1つの開口部181aを有する。これに対して、複数開口型のコリメーター183は、図6Bに示すように、3つの開口部(開口部184a~184c)を有する。
【0059】
図7は、変形例1に係るX線分光分析装置10aとローランド円104との関係を示す図である。X線分光分析装置10aの構成は、さらにコリメーター180が配設されている以外は、基本的にはX線分光分析装置10と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
図7に示すように、コリメーター180は、試料ホルダ108から分光素子12を経由して検出器14に到達するまでの特性X線群の経路上に配設されている。具体的には、分光素子12の近傍に配設されることで、共通の分光範囲173がコリメーター180の開口部181aによって狭められ、これにより分光範囲が画定される。
【0061】
つまり、分光素子12のサイズに依存することなく、コリメーター180の開口部181aのサイズに依存して共通の分光範囲173が画定されることになる。
【0062】
分光素子12の端部に信号となるX線が当たると、意図せぬ散乱線が発生することがある。このため、上記のようにコリメーター180を配設することで、意図せぬ散乱線の発生を防止することができる。
【0063】
<変形例2>
図8は、変形例2に係るX線分光分析装置10bとローランド円104との関係を示す図である。X線分光分析装置10bの構成は、さらにコリメーター181,182が配設されている以外は、基本的にはX線分光分析装置10と同じであるので、詳細な説明は省略する。コリメーター181,182は、コリメーター180と同じく単開口型のコリメーターである。
【0064】
図8に示すように、コリメーター181,182は、試料ホルダ108から分光素子12を経由して検出器14に到達するまでの特性X線群の経路上に配設されている。具体的には、コリメーター181は、試料ホルダ108から分光素子12までの特性X線群の経路上に配設され、コリメーター182は、分光素子12から検出器14に到達するまでの特性X線群の経路上に配設され、これにより、共通の分光範囲173が画定される。
【0065】
<変形例3>
図9は、変形例3に係るX線分光分析装置10cとローランド円104との関係を示す図である。X線分光分析装置10cの構成は、さらにコリメーター180,183が配設されている以外は、基本的にはX線分光分析装置10と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0066】
図9に示すように、コリメーター180,183は、試料ホルダ108から分光素子12を経由して検出器14に到達するまでの特性X線群の経路上に配設されている。具体的には、コリメーター180を分光素子12の近傍に配設し、コリメーター183を試料ホルダ108の近傍に配設している。
【0067】
Mnから発生した蛍光X線はコリメーター183の開口部184aを通過し(光学パス125,127で示す範囲)、Coから発生した蛍光X線はコリメーター183の開口部184bを通過し(光学パス121,123で示す範囲)、Niから発生した蛍光X線はがコリメーター183の開口部184cを通過する(光学パス117,119で示す範囲)。さらに、共通の分光範囲173がコリメーター180の開口部181aによって狭められ、分光範囲が画定される。
【0068】
このように、コリメーターは、各波長範囲の光線を単独に通過させるもの(コリメーター183)であってもよい。注目する波長範囲以外のX線を遮断することにより、散乱線によるSN比の低下を回避することができる。
【0069】
<変形例4>
図10は、変形例4に係る試料ホルダ109および回転機構110を示す図である。本実施の形態においては、X線分光分析装置10は、回転機構110を備える。演算部15は、回転機構110を制御して、試料ホルダ108を回転させることが可能である。
【0070】
この場合において、試料ホルダ108および照射面108aは矩形状ものとして構成した。しかし、これに限らず、円形状の試料ホルダ109および照射面109aを回転させる回転機構110を備えるようにしてもよい。照射面109aの径はL2である。
【0071】
試料ホルダ109内の試料は、欠陥や偏在により必ずしも均一な状態で保持されていない。このように試料が不均一な状態であると、検出器14の検出結果に基づき算出されるピーク強度が変化してしまう。上記のように、試料を保持する試料ホルダ108を回転させることで、ピーク強度の変化を回避することができ、分析結果において高い再現性を期待することができる。なお、X線分光分析装置10は、回転機構110を備えないものであってもよい。
【0072】
<その他の変形例>
分光素子12は、Si、Ge、LiF、水晶などの単結晶であってもよいし、2keV以下の軟X線に対しては人工累積多層膜を用いてもよい。また、湾曲結晶と同等の効果を有する回折格子を用いるものであってもよい。分光素子12の湾曲形状は、ヨハン型であってもよいし、ヨハンソン型であってもよい。
【0073】
分光素子12の湾曲形状は、球面であってもよいし、トロイダル面であってもよい。また、楕円面や放物面など、中央部が球面に近ければ、その他の形状であってもよい。分光方向(x方向)と集光方向(y方向)の曲率は、上述のように、Rx=2R,Ry=2R×sinθにて決められることが好ましいが、厳密に一致していなくてもよい。特に集光方向については、製造の容易さを考慮して分光方向と同じ曲率としてもよい。
【0074】
励起線はX線であってもよいし、電子線や中性子線、陽子線であってもよい。また、位置敏感型の検出器14は、二次元検出器であるCCDやCMOSカメラであってもよい。
【0075】
[態様]
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0076】
(第1項)一態様に係るX線分光分析装置は、励起源と、湾曲形状の分光素子と、位置敏感型の検出器と、演算部とを備える。励起源は、試料ホルダに保持される試料に励起線を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群を発生させる。湾曲形状の分光素子は、特性X線群を分光する。位置敏感型の検出器は、分光素子が分光した特性X線群の少なくとも一部を検出する。演算部は、検出器の検出結果に基づいて試料中に含まれる元素の分析を行う。分光素子および検出器は、一つのローランド円の円周に沿って配設される。ローランド円に沿った分光素子の分光面の長さは、試料ホルダに照射される励起線の照射面のローランド円の面内での長さより短い。特性X線群を分光素子の共通の分光範囲で分光するように、分光素子と試料ホルダとが配設されている。
【0077】
第1項に記載のX線分光分析装置によれば、湾曲形状の分光素子の有効な分光範囲をローランド円の円周に接する領域近傍に限定することができるため、ローランド円と分光素子との曲率半径の違いによる特性X線の検出精度の低下を防止することができる。これにより、検出器において精度よく蛍光X線を検出することができる。
【0078】
(第2項)第2項に記載のX線分光分析装置では、検出器は、その表面がローランド円と2点で交差するように配置されている。
【0079】
第2項に記載のX線分光分析装置によれば、異なるエネルギーのX線を高分解能で検出することができる。
【0080】
(第3項)第1項に記載のX線分光分析装置では、共通の分光範囲を画定するコリメーターをさらに備える。コリメーターは、試料ホルダから分光素子を経由して検出器に到達するまでの特性X線群の経路上に配設されている。
【0081】
第3項に記載のX線分光分析装置によれば、分光素子の端部からの意図せぬ散乱線の発生を防止することができる。
【0082】
(第4項)第1項または第2項に記載のX線分光分析装置では、コリメーターは、特性X線群のそれぞれに対応して複数の開口部を有する。
【0083】
第4項に記載のX線分光分析装置によれば、注目するピーク波長(波長範囲)以外の特性X線を遮断することにより、散乱線によるSN比の低下を回避することができる。
【0084】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載のX線分光分析装置では、ローランド円の円周に沿った分光素子の分光面のうち分光範囲における分光面の長さは、照射面のローランド円の面内での長さの1/2以下である。
【0085】
第5項に記載のX線分光分析装置によれば、湾曲形状の分光素子の有効な分光範囲をローランド円の円周に接する領域近傍に限定することができるため、ローランド円と分光素子との曲率半径の違いによる特性X線の検出精度の低下を防止することができる。これにより、検出器において精度よく蛍光X線を検出することができる。
【0086】
(第6項)第1項~第5項に記載のX線分光分析装置では、検出器は、一次元検出器である。
【0087】
第6項に記載のX線分光分析装置によれば、装置の低コスト化が期待できる。また、二次元検出器のような2次元データを1次元に再構成する手間が不要となる。
【0088】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載のX線分光分析装置では、試料ホルダを回転させる回転機構をさらに備える。
【0089】
第7項に記載の分析X線分光分析装置によれば、ピーク強度の変化を回避することができ、分析結果の高い再現性を期待することができる。
【0090】
第8項に記載の元素分析方法によれば、試料ホルダに保持される試料に励起線を照射して、互いにピーク波長が異なる特性X線群を発生させるステップと、発生した特性X線群を湾曲形状の分光素子に入射させ、入射した特性X線群を分光素子が分光させ、分光した特性X線群の少なくとも一部を位置敏感型の検出器に検出させるステップと、検出器の検出結果に基づいて試料中に含まれる元素の分析を行うステップとを含み、分光素子および検出器は、一つのローランド円の円周に沿って配設され、ローランド円に沿った分光素子の分光面の長さは、試料ホルダに照射される励起線の照射面のローランド円の面内での長さより短く、特性X線群を分光素子の共通の分光範囲で分光するように、分光素子と試料ホルダとが配設されている。
【0091】
第8項に記載の元素分析方法によれば、湾曲形状の分光素子の有効な分光範囲をローランド円の円周に接する領域近傍に限定することができるため、ローランド円と分光素子との曲率半径の違いによる特性X線の検出精度の低下を防止することができる。これにより、検出器において精度よく蛍光X線を検出することができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
10,10a,10b,10c X線分光分析装置、11 X線管、12 分光素子、14 検出器、15 演算部、104 ローランド円、108,109 試料ホルダ、108a,109a 照射面、110 回転機構、116~127 光学パス、128,130,132,134,136,138 焦点、140 第1の範囲、142 第2の範囲、144 第3の範囲、173 分光範囲、180~183 コリメーター、181a,184a~184c 開口部、1020 台座、1022 薄板。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10