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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106004
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
H03K17/22 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000625
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鹿嶋 一生
(72)【発明者】
【氏名】津田 敦史
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX12
5J055AX14
5J055AX48
5J055AX57
5J055AX63
5J055BX41
5J055DX14
5J055DX22
5J055EY01
5J055EY17
5J055EZ03
5J055EZ10
5J055GX01
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】パワーオンリセット回路の低電圧における検知技術を提供することにある。
【解決手段】半導体装置は、第一バイポーラトランジスタと、バイポーラトランジスタが複数並列接続されて構成された第二バイポーラトランジスタと、検知電圧調整用抵抗素子と、温度特性調整用抵抗素子と、電流調整用抵抗素子と、比較器と、を含むパワーオンリセット回路を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーオンリセット回路を有する半導体装置であって、
前記パワーオンリセット回路は、
第一バイポーラトランジスタと、
N個のバイポーラトランジスタが並列に接続されて構成される第二バイポーラトランジスタと、
反転入力端子と非反転入力端と出力端子を有する比較器と、
温度が上がると電流値が大きくなる正温度特性の第一電流を生成するため前記第一バイポーラトランジスタのベースと前記第二バイポーラトランジスタのベースとの間に接続される第一抵抗素子と、
温度が上がると電流値が小さくなる負温度特性の第二電流を生成するため前記第一バイポーラトランジスタのベースとエミッタとの間に接続される第二抵抗素子と、
前記正温度特性の第三電流を生成するため前記第一バイポーラトランジスタのベースと前記反転入力端子との間に接続される第三抵抗素子と、
前記第一電流と前記第二電流と前記第三電流の合計電流である第四電流を流すように接続される第四抵抗素子と、
を備え、
前記第一バイポーラトランジスタのコレクタおよび前記第二バイポーラトランジスタのベースは前記非反転入力端に接続され、
前記第四電流が前記第四抵抗素子に流れることにより生成される電圧と前記第一バイポーラトランジスタのベースとエミッタとの間の電圧を足し合わせた電圧が電源電圧となるよう構成され、
前記比較器は前記第一電流と前記第三電流が等しくなるときに反転するよう構成される半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置において、さらに、
前記比較器の前記出力端子がゲートに接続され、前記パワーオンリセット回路のハイレベルを出力するPMOSトランジスタと、
前記PMOSトランジスタのドレインに接続され、前記パワーオンリセット回路のローレベルを出力する第五抵抗素子と、
を備える半導体装置。
【請求項3】
請求項1の半導体装置において、
前記第四抵抗素子は電源に接続され、前記第一抵抗素子と直列に接続される半導体装置。
【請求項4】
請求項1の半導体装置において、
さらに、前記パワーオンリセット回路の出力を受ける内部回路を有する半導体装置。
【請求項5】
パワーオンリセット回路を有する半導体装置であって、
前記パワーオンリセット回路は、
基準電位が供給される第一ノードと、
前記第一ノードとの間に電源電圧が印加される第二ノードと、
前記第二ノードと前記第一ノードとの間に直列に接続される、第四抵抗素子、第一抵抗素子および第一バイポーラトランジスタと、
前記第四抵抗素子と前記第一抵抗素子とが接続される第三ノードと、
前記第一抵抗素子と前記第一バイポーラトランジスタのコレクタとが接続される第四ノードと、
前記第三ノードおよび前記第一バイポーラトランジスタのベースに接続される一端と、前記第一バイポーラトランジスタのエミッタに接続される他端と、を有する第二抵抗素子と、
前記第三ノードと前記第一ノードとの間に直列に接続される、第三抵抗素子および第二バイポーラトランジスタと、
前記第三抵抗素子と前記第二バイポーラトランジスタのコレクタとが接続される第五ノードと、
前記第四ノードが接続される非反転入力端子と前記第五ノードが接続される反転入力端子とを有する比較器と、
を有し、
前記第二バイポーラトランジスタはN個のバイポーラトランジスタが並列に接続して構成されている半導体装置。
【請求項6】
請求項5の半導体装置において、
さらに、前記第二ノードと前記第一ノードとの間に直列に接続される、PMOSトランジスタおよび第五抵抗素子を備え、
前記PMOSトランジスタのソースは前記第二ノードに接続され、ゲートは前記比較器の出力端子に接続され、
前記第五抵抗素子の一端は前記第一ノードに接続され、他端は前記PMOSトランジスタのドレインに接続される半導体装置。
【請求項7】
請求項5の半導体装置において、
さらに、一端が前記第一ノードに接続され、他端が前記第一バイポーラトランジスタのエミッタおよび前記第二バイポーラトランジスタのエミッタに接続される第六抵抗素子を備える半導体装置。
【請求項8】
請求項5の半導体装置において、
さらに、前記パワーオンリセット回路の出力を受ける内部回路を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置に関し、例えば、パワーオンリセット回路を有する半導体装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
パワーオンリセット回路は、電源投入時に、別の半導体装置等により構成されるシステムまたは同一の半導体装置に内蔵される他の回路の誤動作するのを防止するため、電源電圧が所定の値になるまでリセット信号を出力する回路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-48349号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ELECTRONICS LETTERS 28th May 2015 Vol. 51 No. 11 pp. 856-858
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IoT(Internet of Things)機器等では半導体装置の動作下限電圧の低下による電池寿命向上と半導体装置の消費電流削減が今後進むと予想される。半導体装置の動作下限電圧以下でリセット信号を発行するパワーオンリセット回路の低電圧における検知技術が必要となる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体装置は、第一バイポーラトランジスタと、バイポーラトランジスタが複数並列接続されて構成された第二バイポーラトランジスタと、検知電圧調整用の抵抗素子と、温度特性調整用の抵抗素子と、電流調整用の抵抗素子と、比較器と、を含むパワーオンリセット回路を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、パワーオンリセット回路を低電圧化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態における半導体装置の構成を示すブロック図である。
図2図2はパワーオンリセット回路の課題を説明する図である。
図3図3図1に示すパワーオンリセット回路の構成の一例を示す回路図である。
図4図4図3に示すパワーオンリセット回路の動作を説明する図である。
図5図5図1に示すパワーオンリセット回路の構成の別の一例を示す回路図である。
図6図6は第一比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。
図7図7図6に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
図8図8は第二比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。
図9図9図8に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
図10図10は第三比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す図である。
図11図11図10に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
図12図12は第四比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。
図13図13図12に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
図14図14は第五比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。
図15図15図14に示すリパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
図16図16図14に示すパワーオンリセット回路に用いる電流源の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。
【0011】
図1は実施形態における半導体装置の構成を示すブロック図である。半導体装置1は、パワーオンリセット回路(POR)10と、内部回路(INC)30と、を一つの半導体チップに含む集積回路(IC:Integrated Circuit)である。半導体装置1がマイクロコントローラの場合、内部回路30には、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)および周辺回路などが含まれる。なお、パワーオンリセット回路10は半導体装置1に内蔵されず、半導体装置1とは別の半導体チップに形成されていてもよい。
【0012】
パワーオンリセット回路10は、電源投入時および電源電圧(VCC)が一時的に低下したときなどに電源電圧(VCC)の値に応じてリセット信号(RS)を内部回路30に出力する。外部電源電圧(VCC)が所定の電圧より低い場合には、リセット信号(RS)はローレベル(以下、Lレベルという。)であり、外部電源電圧(VCC)が所定の電圧より高くなるとリセット信号(RS)がハイレベル(以下、Hレベルという。)に切替わる。ここで、リセット信号(RS)のLレベルをリセット状態という。リセット信号(RS)のHレベルをリセット状態の解除という。パワーオンリセット回路10の具体例については図3において説明する。
【0013】
ここで、実施形態における半導体装置をより明確にするため、パワーオンリセット回路10における課題について図2図6および図7を用いて説明する。図2はパワーオンリセット回路の課題を説明する図である。図6は第一比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。図7図6に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
【0014】
図6に示すように、第一比較例におけるパワーオンリセット回路は、PMOS(Positive Channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ51と、抵抗素子52と、バッファ回路53を備える。PMOSトランジスタ51および抵抗素子52はこの順に電源電圧(VCC)のラインと接地電圧(GND)のラインとの間に直列に設けられる。PMOSトランジスタ51のゲートは、接地電圧(GND)を受ける。PMOSトランジスタ51と抵抗素子52との間のノードがバッファ回路53と接続される。バッファ回路53が、リセット信号(RS)を出力する。
【0015】
電源電圧(VCC)が0Vのとき、中間電位ノードN51は0Vに保たれている。電源投入後、PMOSトランジスタ51のゲート・ソース間電圧がトランジスタの閾値電圧以下の間は、中間電位ノードN51の電位は0Vに保たれる。図7に示すように、バッファ回路53の出力であるリセット信号(RS)はLレベルである。この状態がリセット状態である。その後、電源電圧(VCC)が所定電圧に上昇し、PMOSトランジスタ51の電流駆動力が抵抗素子52の電流駆動力より大きくなると、中間電位ノードN51の電位が上昇する。中間電位ノードN51の電位がバッファ回路53の閾値電位を超えると、図7に示すように、リセット信号(RS)はHレベルになり、リセット状態が解除される。ここで、上記所定電圧を検知電圧(Vpor)という。パワーオンリセット回路は検知電圧(Vpor)を検知する検知回路を有する。
【0016】
電池電源は放電し電源電圧(VCC)が時間経過に従って低下していく。半導体装置1の低電圧化により、矢印(C)に示すように、動作下限電圧(VCCmin)が低下することにより、矢印(D)に示すように、電池寿命が向上して半導体装置1の動作時間が延長される。
【0017】
図2の(A)に示すように、動作下限電圧(VCCmin)がVCC1である場合、パワーオンリセット回路10はVCC1よりも低い電圧において検知電圧(Vpor)を検知する必要がある。すなわち、パワーオンリセット回路10は電源電圧がVCC1からVCC3の範囲で動作する必要がある。
【0018】
半導体装置1の低電圧化により、図2の(B)に示すように、パワーオンリセット回路10はより低い電圧(VCC2)よりも低い電圧において検知電圧(Vpor)を検知する必要がある。検知電圧(Vpor)を低下させることができないと、図7の破線で示すように、リセット信号(RS)は解除できなくなる。すなわち、パワーオンリセット回路10は電源電圧がVCC2からVCC3の範囲で動作する必要がある。
【0019】
また、検知電圧の低下に伴い、検知ばらつきの削減も必要である。さらに、電池駆動の半導体装置においては、消費電流の削減も必要である。
【0020】
次に、検知電圧の検知ばらつきを第一比較例よりも低減する第二比較例におけるパワーオンリセット回路について図8および図9を用いて説明する。図8は第二比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。図9図8に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
【0021】
図8に示すように、第二比較例におけるパワーオンリセット回路は、第一比較例におけるパワーオンリセット回路に検知電圧を調整する検知回路62および定電流生成回路63が追加されている。検知回路62はPMOSトランジスタ54,55およびNMOS(Negative Channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ56を含む。PMOSトランジスタ54,55およびNMOSトランジスタ56は、電源電圧(VCC)のラインと接地電圧(VSS)のラインとの間に直列接続される。PMOSトランジスタ54,51のゲートは、ともにPMOSトランジスタ54のドレインに接続される。PMOSトランジスタ55のゲートはPMOSトランジスタ55のドレインが接続されてダイオードを構成している。NMOSトランジスタ56のゲートは、定電流生成回路63の出力に接続される。NMOSトランジスタ56に定電流生成回路63の出力の電圧に応じたレベルの電流が流れる。
【0022】
定電流生成回路63は、PMOSトランジスタ57,58、NMOSトランジスタ59,60、および抵抗素子61を含む。PMOSトランジスタ57、NMOSトランジスタ59および抵抗素子61は、電源電圧(VCC)のラインと接地電圧(VSS)のラインとの間に直列接続される。PMOSトランジスタ58およびNMOSトランジスタ60は、電源電圧(VCC)のラインと接地電圧(VSS)のラインとの間に直列接続される。PMOSトランジスタ57,58のゲートは、ともにPMOSトランジスタ58のドレインに接続される。NMOSトランジスタ59,60のゲートは、ともにNMOSトランジスタ59のドレイン(定電流生成回路63の出力)に接続される。NMOSトランジスタ59,60のゲート電圧の差と抵抗素子61の抵抗値により、定電流生成回路63の定電流の値が決まる。定電流生成回路63の出力には、定電流に応じたレベルのバイアス電圧が現れる。
【0023】
第一比較例および第二比較例におけるパワーオンリセット回路の抵抗とPMOSトランジスタはプロセスばらつきと温度依存性が大きい。第一比較例におけるパワーオンリセット回路よりも第二比較例におけるパワーオンリセット回路の方がばらつきは小さいが、それでも検知電圧のばらつき(ΔV)は約600mV程度となる。このため、図9に示すように、第一比較例および第二比較例におけるパワーオンリセット回路の検知電圧精度がかなり悪い。なお、第二比較例におけるパワーオンリセット回路の消費電力は数百nA程度である。
【0024】
また、抵抗素子52とPMOSトランジスタ51の引き合いのみだと検知電圧が約1V以上に設定するのは難しい。ダイオードPMOS(PMOSトランジスタ55)で検知電圧をVth分上昇させるため、希望の電圧に調整するのが難しい。このため、第一比較例および第二比較例におけるパワーオンリセット回路の検知電圧の調整が難しい。
【0025】
次に、検知電圧の検知ばらつきを第二比較例よりも低減する第三比較例におけるパワーオンリセット回路について図10および図11を用いて説明する。図10は第三比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す図である。図11図10に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
【0026】
第三比較例におけるパワーオンリセット回路は、第一パワーオンリセット回路(PORA)64と、第二パワーオンリセット回路(PORB)65と、を含む。第一パワーオンリセット回路(PORA)64は第一比較例または第二比較例におけるパワーオンリセット回路で構成され、第一リセット信号(RSA)が出力される。
【0027】
第二パワーオンリセット回路(PORB)65は、抵抗素子65a,65bと、電源電圧(VCC)によって動作する比較器(CMP)65cと、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dと、を含む。抵抗素子65a,65bは、電源電圧(VCC)を受ける電源ノードと、接地電圧(GND)を受ける接地ノードとの間に直列に接続される。比較器65cの非反転入力端子は、抵抗素子65a,65bの接続ノードに接続される。比較器65cの反転入力端子にはバンドギャップリファレンス回路(BGR)65dから出力された基準電圧(VR)が入力される。比較器65cの出力端子から第二リセット信号(RSB)が出力される。接続ノードの検出電圧が基準電圧(VR)を超えると第二リセット信号(RSB)がHレベルになり、リセット状態が解除される。
【0028】
第一パワーオンリセット回路(PORA)64は、第一比較例または第二比較例におけるパワーオンリセット回路で構成されるので、図11に示すように、第一リセット信号(RSA)の立ち上がりのばらつきが大きい。
【0029】
第二パワーオンリセット回路(PORB)65は、基準電圧(VR)と電源電圧(VCC)を比較することによって、第二リセット信号(RSB)の立ち上がりのばらつきを抑制することができる。しかし、図11に示すように、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dが動作するまで第二パワーオンリセット回路(PORB)65は不定出力する。なお、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dが安定したときの基準電圧(VR)は1V程度である。
【0030】
そこで、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dの動作電圧以下では、合成回路66において第一パワーオンリセット回路(PORA)64の第一リセット信号(RSA)により第二リセット信号(RSB)をマスクしてLレベル出力を補償する。
【0031】
第三比較例におけるパワーオンリセット回路は、検知電圧(Vpor)の検知はバンドギャップリファレンス回路(BGR)65dの動作下限電圧と第一パワーオンリセット回路(PORA)64の検知ばらつき以上でしか設定できない。例えば、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dの動作下限電圧は1.5V程度であり、第一パワーオンリセット回路(PORA)64の検知ばらつきは0.6V程度なので、検知電圧(Vpor)は2.1V付近の検知となる。このため、第三比較例におけるパワーオンリセット回路は、検知電圧(Vpor)の低電圧検知が難しい。なお、第三比較例におけるパワーオンリセット回路の検知ばらつきは約80mV程度であり、第二比較例におけるパワーオンリセット回路の検知電圧精度よりも向上する。しかし、第三比較例におけるパワーオンリセット回路の消費電力は数μA程度であり、第二比較例におけるパワーオンリセット回路の消費電力よりも多くなる。
【0032】
なお、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dの出力は、他の内部回路の基準電圧として使用されることがあり、バンドギャップリファレンス回路(BGR)65dにトリミング機能を有することがある。電源電圧の立ち上げ時にフラッシュメモリ等の不揮発性メモリからのトリミング値が不定状態になる。パワーオンリセット回路は電源立ち上げ時に使用するのでトリミングが不定状態になり検知ばらつきが増大する。このため影響を受けないようにトリミング固定など対策が必要である。
【0033】
次に、検知電圧を低電圧化する第四比較例におけるパワーオンリセット回路について図12および図13を用いて説明する。図12は第四比較例におけるパワーオンリセット回路の構成の一例を示す回路図である。図13図12に示すパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。
【0034】
第四比較例におけるパワーオンリセット回路は、PNP型のバイポーラトランジスタ71,72と、抵抗素子73~75と、オペアンプで構成される比較器79と、を含む。バイポーラトランジスタ72はN個のバイポーラトランジスタが並列接続されたものである。抵抗素子73,75の抵抗値をR、抵抗素子74の抵抗値をRとする。比較器79は電源電圧(VCC)によって動作する。まず、これらの構成要素間の接続について説明する。
【0035】
バイポーラトランジスタ71、抵抗素子73はこの順で接地電圧(VSS)を受ける接地ノードN71と外部電源電圧(VCC)を受ける電源ノードN72との間に直列に接続される。バイポーラトランジスタ71のコレクタおよびベースは接地ノードN71に接続される。バイポーラトランジスタ71のエミッタは抵抗素子73の一端に接続され、その接続点によりノードN73が形成されている。抵抗素子73の他端は電源ノードN72に接続される。
【0036】
バイポーラトランジスタ72、抵抗素子74,75はこの順で接地ノードN71と電源ノードN72との間に直列に接続される。バイポーラトランジスタ72のコレクタおよびベースは接地ノードN71に接続される。バイポーラトランジスタ72のエミッタは抵抗素子74の一端に接続され、その接続点によりノードN74が形成されている。抵抗素子74の他端は抵抗素子75の一端に接続され、その接続点によりノードN74が形成されている。抵抗素子75の他端は電源ノードN72に接続される。
【0037】
比較器79は、その反転入力端子がノードN74に接続され、非反転入力端子がノードN73に接続される。比較器79における反転入力端子と非反転入力端子の入力電圧が同じ電圧になることにより出力信号の電圧レベルが反転して電源電圧(VCC)が所定電圧値(Vpor)になったことを検知する。このとき、抵抗素子74,75の第一電流(I)と抵抗素子73の第二電流(I)が等しくなる。
【0038】
ノードN73の電圧とノードN74の電圧が等しいので、VBE1=I×R+VBE2となり、第一電流(I)は図13に示す式(11)で表される。ここで、VBE1はバイポーラトランジスタ71のベース・エミッタ間電圧である。VBE2はバイポーラトランジスタ72のベース・エミッタ間電圧である。また、第二電流(I)は第一電流(I)と等しいので、第二電流(I)は図13に示す式(11)で表される。
【0039】
また、バイポーラトランジスタ71とバイポーラトランジスタ72のエミッタの電位差(VBE2-VBE1)は、図13に示す式(12)で表される。ここで、kbはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子電荷、Nはバイポーラトランジスタ72の並列接続数、lnは自然対数を表す。
【0040】
電源電圧(VCC)は、第二電流(I)が抵抗素子73に流れることにより生成される電圧とVBE1を足し合わせた電圧となる。すなわち、比較器79が反転する電源電圧(VCC)である検知電圧(Vpor)は、図13に示す式(13)で表される。図6に示す式(13)に式(11)を代入することにより図13に示す式(14)が得られる。ここで、式(14)の項M11は負の温度特性を有し、項M12は正の温度特性を有する。よって、負の温度特性の電圧と正の温度特性の電圧を足し合わせることで相殺して温度依存性が無い電圧値で検知が可能となる。
【0041】
しかし、温度依存性を小さくするように抵抗調整すると、図13に示す式(14)の右辺はほぼ一定となり、検知電圧(Vpor)は1.2V付近しか設定できず、検知電圧の調整が出来ない。
【0042】
また、オフセット影響を考慮した検知電圧式は、図13に示す式(15)となり、比較器79にオフセット(Vos)が生じると、オフセットはR/R倍となって検知ばらつきを増加させる。温度依存性を小さくするにはR/Rを約10程度にする必要があり、その結果、オフセットは10倍に増加する。このため、検知電圧精度が悪くなる。第四比較例におけるパワーオンリセット回路の検知ばらつきは約130mV程度であり、消費電力は数百nA程度である。
【0043】
次に、検知電圧が調整できる第五比較例におけるパワーオンリセット回路について図14から図16を用いて説明する。図14は第五比較例におけるパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。図15図14に示すリパワーオンリセット回路の動作を説明するための図である。図16図14に示すパワーオンリセット回路に用いる電流源の構成を示す回路図である。
【0044】
図14に示すように、第五比較例におけるパワーオンリセット回路は、PNP型のバイポーラトランジスタ91,92と、抵抗素子93~95と、オペアンプで構成される比較器99と、PMOSトランジスタ96~98と、を含む。バイポーラトランジスタ92はN個のバイポーラトランジスタが並列接続されたものである。抵抗素子93,95の抵抗値をR、抵抗素子94の抵抗値をRとする。比較器99は電源電圧(VCC)によって動作する。まず、これらの構成要素間の接続について説明する。
【0045】
バイポーラトランジスタ91、PMOSトランジスタ96はこの順で接地電圧(VSS)を受ける接地ノードN91と外部電源電圧(VCC)を受ける電源ノードN92との間に直列に接続される。バイポーラトランジスタ91のコレクタおよびベースは接地ノードN91に接続される。バイポーラトランジスタ91のエミッタはPMOSトランジスタ96のドレインに接続され、その接続点によりノードN93が形成されている。PMOSトランジスタ96のソースは電源ノードN92に接続される。抵抗素子93の一端はノードN93に接続され、他端は接地ノードN91に接続される。
【0046】
バイポーラトランジスタ92、抵抗素子94、PMOSトランジスタ97はこの順で接地ノードN91と電源ノードN92との間に直列に接続される。バイポーラトランジスタ92のコレクタおよびベースは接地ノードN91に接続される。バイポーラトランジスタ92のエミッタは抵抗素子94の一端に接続され、その接続点によりノードN94が形成されている。抵抗素子94の他端はPMOSトランジスタ97のドレインに接続され、その接続点によりノードN95が形成されている。PMOSトランジスタ97のソースは電源ノードN92に接続される。抵抗素子95の一端はノードN95に接続され、他端は接地ノードN91に接続される。
【0047】
比較器99は、その反転入力端子がノードN95に接続され、非反転入力端子がノードN93に接続される。比較器99における反転入力端子と非反転入力端子の入力電圧が同じ電圧になることにより出力信号の電圧レベルが反転して電源電圧(VCC)が所定電圧値(Vpor)になったことを検知する。
【0048】
ノードN93の電圧とノードN94の電圧が等しいので、VBE1=I×R+VBE2となり、第一電流(I)は図15に示す式(21)で表される。ここで、VBE1はバイポーラトランジスタ91のベース・エミッタ間電圧である。VBE2はバイポーラトランジスタ92のベース・エミッタ間電圧である。ΔVBEはバイポーラトランジスタ91とバイポーラトランジスタ92のエミッタの電位差(VBE1-VBE2)である。ここで、kbはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子電荷、Nはバイポーラトランジスタ92の並列接続数、lnは自然対数を表す。また、第二電流(I)は図15に示す式(22)で表される。
【0049】
PMOSトランジスタ96に流れる電流は電流源のPMOSトランジスタ98に流れる電流と同じであり、第一電流(I)と第二電流(I)との和と等しい。すなわち、比較器99が反転する電源電圧(VCC)である検知電圧(Vpor)は、図15に示す式(23)で表される。ここで、R図16に示す式(26)で定義される抵抗値である。図15に示す式(23)に式(21)(22)を代入することにより図15に示す式(24)が得られる。ここで、式(24)の項M21は負の温度特性を有し、項M22は正の温度特性を有する。よって、負の温度特性の電圧と正の温度特性の電圧を足し合わせることで相殺して温度依存性が無い電圧値で検知が可能となる。
【0050】
しかし、オフセット影響を考慮した検知電圧式は、図15に示す式(25)となり、比較器79にオフセット(Vos)が生じると、オフセットは(R/R)×(R/R)倍となって検知ばらつきを増加させる。検知電圧が2.4V程度の場合はR/Rを2程度にする必要があり、温度依存性を小さくするにはR/Rを約10程度にする必要があり、その結果、オフセットは20倍に増加する。このため、検知電圧精度が悪くなる。第五比較例におけるパワーオンリセット回路の検知ばらつきは約130mV程度であり、消費電力は数μA程度である。
【0051】
次に、図14に示すパワーオンリセット回路の電流生成回路について図16を用いて説明する。電流生成回路は、抵抗素子101~103と、オペアンプで構成される比較器104と、PMOSトランジスタ98と、を含む。比較器104は電源電圧(VCC)によって動作する。
【0052】
抵抗素子101,102はこの順で接地ノードN91と電源ノードN92との間に直列に接続される。抵抗素子101の一端は接地ノードN91に接続され、他端は抵抗素子102の一端に接続され、その接続点によりノードN101が形成されている。
【0053】
抵抗素子103、PMOSトランジスタ98はこの順で接地ノードN91と電源ノードN92との間に直列に接続される。抵抗素子103の一端は接地ノードN91に接続され、他端はPMOSトランジスタ98のドレインに接続され、その接続点によりノードN102が形成されている。PMOSトランジスタ98のソースは電源ノードN92に接続される。
【0054】
比較器104は、その反転入力端子がノードN101に接続され、非反転入力端子がノードN102に接続され、出力端子はPMOSトランジスタ98のゲートに接続される。
【0055】
図16に示すような電流生成回路により生成する電流(I)は、図16に示す式(26)で表される。式(26)に示す1/Rの電流を生成するのが難しい。すなわち、出力発振しないように抵抗と容量を接続して調整するため面積増加すると共に、回路設計が複雑になる。また、電流のばらつきが検知電圧のばらつきに数十倍になって増加する。また、動作下限の低下が難しいため低電圧検知が難しい。さらに、消費電流の削減も難しい。
【0056】
次に、実施形態におけるパワーオンリセット回路10の構成について図3を用いて説明する。図3図1に示すパワーオンリセット回路の構成の一例を示す回路図である。
【0057】
パワーオンリセット回路10は、NPN型のバイポーラトランジスタ11,12と、抵抗素子13~18と、オペアンプで構成される比較器19と、PMOSトランジスタ20と、を含む。第二バイポーラトランジスタとしてのバイポーラトランジスタ12はN個のバイポーラトランジスタが並列接続されたものである。比較器19は外部電源電圧(VCC)によって動作する。まず、これらの構成要素間の接続について説明する。
【0058】
抵抗素子13,14、第一バイポーラトランジスタとしてのバイポーラトランジスタ11、抵抗素子115、はこの順で外部電源電圧(VCC)を受ける電源ノードN2と接地電圧(GND)を受ける接地ノードN1との間に直列に接続される。ここで、接地ノードN1を第一ノードともいい、電源ノードN2を第二ノードともいう。第四抵抗素子としての抵抗素子13の一端は電源ノードN2に接続される。抵抗素子13の他端は第一抵抗素子としての抵抗素子14の一端に接続され、その接続点により第三ノードとしてのノードN3が形成されている。抵抗素子14の他端はバイポーラトランジスタ11のコレクタに接続され、その接続点により第四ノードとしてのノードN4が形成されている。バイポーラトランジスタ11のエミッタは第五抵抗素子としての抵抗素子15の一端に接続され、その接続点により第六ノードとしてのノードN6が形成されている。バイポーラトランジスタ11のベースはノードN3に接続される。
【0059】
第二抵抗素子としての抵抗素子16の一端はバイポーラトランジスタ11のベース(ノードN3)に接続され、他端はノードN6に接続される。
【0060】
第三抵抗素子としての抵抗素子17、バイポーラトランジスタ12、はこの順でノードN3とノードN6との間に直列に接続される。抵抗素子17の一端はノードN3に接続される。抵抗素子17の他端はバイポーラトランジスタ12のコレクタに接続され、その接続点によりノードN5が形成されている。バイポーラトランジスタ12のエミッタはノードN6に接続される。バイポーラトランジスタ12のベースはノードN4に接続される。
【0061】
ここで、抵抗素子14,17は温度特性調整用の抵抗素子であり、その抵抗値をRとする。抵抗素子16は電流調整用の抵抗素子であり、その抵抗値をRとする。抵抗素子13,15は検知電圧調整用の抵抗素子であり、その抵抗値をRとする。
【0062】
比較器19は、その反転入力端子がノードN5に接続され、非反転入力端子がノードN4に接続され、出力端子がPMOSトランジスタ20のゲートに接続される。
【0063】
抵抗素子18、PMOSトランジスタ20はこの順で接地ノードN1と電源ノードN2との間に直列に接続される。抵抗素子18の一端は接地ノードN1に接続される。抵抗素子18の他端はPMOSトランジスタ20のドレインに接続され、その接続点により出力ノードN7が形成されている。PMOSトランジスタ20のソースは電源ノードN2に接続される。出力ノードN7からリセット信号(RS)が出力される。ここで、抵抗素子18は低電圧時にリセット信号(RS)を確実にLレベル出力にするため抵抗素子である。
【0064】
電源電圧(VCC)が0Vのとき、出力ノードN7は0Vに保たれている。電源投入後、PMOSトランジスタ20のゲート・ソース間電圧がトランジスタの閾値電圧以下の間は、出力ノードN7の電位は0Vに保たれる。この状態がリセット状態である。その後、電源電圧(VCC)が所定電圧に上昇し、比較器19の出力がLレベルに反転すると、PMOSトランジスタ20の電流駆動力が抵抗素子18の電流駆動力より大きくなり、出力ノードN7の電位が上昇してリセット状態が解除される。
【0065】
パワーオンリセット回路10の動作について図3および図4を用いて説明する。図4はパワーオンリセット回路の動作を説明する図である。
【0066】
比較器19における反転入力端子と非反転入力端子の入力電圧が同じ電圧になることにより出力信号の電圧レベルが反転して電源電圧(VCC)が検知電圧(Vpor)になったことを検知する。このとき、抵抗素子14の第一電流(I)と抵抗素子17の第三電流(I)が等しくなる。
【0067】
バイポーラトランジスタ11とバイポーラトランジスタ12のベースとの間に抵抗素子14が接続されている。バイポーラトランジスタ11とバイポーラトランジスタ12のベースの電位差(ΔVBE(=VBE2-VBE1))により、抵抗素子14に第一電流(I)が生成される。ここで、VBE1はバイポーラトランジスタ11のベース・エミッタ間電圧である。VBE2はバイポーラトランジスタ12のベース・エミッタ間電圧である。
【0068】
第一電流(I)は、図4に示す式(1)で表される。ここで、ΔVBEは抵抗素子14,17の電圧である。kbはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子電荷、Nはバイポーラトランジスタ12の並列接続数、lnは自然対数を表す。第一電流(I)は温度が上がると電流値が大きくなる正の温度特性を有する。
【0069】
バイポーラトランジスタ11のベース・エミッタ間に抵抗素子16を接続されている。ベース・エミッタ間の電圧(VBE1)により、抵抗素子16に第二電流(I)が生成される。第二電流(I)は、図4に示す式(2)で表される。第二電流(I)は温度が上がると電流値が小さくなる負の温度特性を有する。
【0070】
接地ノードN1に抵抗素子15が接続され、ノードN2に抵抗素子13が接続されている。電源電圧(VCC)は、第一電流(I)と第二電流(I)と第三電流(I)の合計電流が抵抗素子13,15に流れることにより生成される電圧とVBE1を足し合わせた電圧となる。
【0071】
すなわち、比較器19が反転する電源電圧(VCC)である検知電圧(Vpor)は、図4に示す式(3)で表される。図4に示す式(3)に式(1)および式(2)を代入することにより図4に示す式(4)が得られる。ここで、式(4)の項M1は負の温度特性を有し、項M2は正の温度特性を有する。よって、負の温度特性の電圧と正の温度特性の電圧を足し合わせることで相殺して温度依存性が無い電圧値で検知が可能となる。
【0072】
また、例えば、式(4)の項M1と項M2との和を1.2Vとすると、抵抗素子13,15の抵抗値(R)を調整することで1.2Vの(2R/R+1)倍の検知電圧となり1.2V以上なら所望の値に調整できる。
【0073】
また、比較器19にオフセット(Vos)が生じても下記の通りキャンセルするように動作して検知電圧のばらつきが抑えられる。
【0074】
オフセット(Vos)により電流(I)が減少すると、バイポーラトランジスタ12のベース・エミッタ間電圧(VBE2)が低下する。これにより、抵抗素子14の電圧(ΔVBE)が増加し、第一電流(I)が増加する。よって、合計電流(I+I+I)が変わらないように動作する。抵抗素子13,15はほぼ同じ電流値でしか検知しないため検知ばらつきが小さい。
【0075】
オフセット影響を考慮した検知電圧式は、図4に示す式(5)となり、式(5)の項M6の(1/ln(N)-1)Vosのln(N)により変動を抑制できる。
【0076】
例えば、検知電圧が2.4V程度の場合は、式(5)における項M3の(2R/R+1)が2程度である。温度依存性を小さくするには、式(5)における項M4の(4R/R1(2R/R+1))が10程度にする必要があるため、式(5)の項M5の2R3/R1は10程度となる。バイポーラトランジスタ12の並列接続数であるNはだいたい4から8となるため、式(5)の項M6の(1/ln(N)-1)は0.3から0.5となるのでVosの3倍から5倍程度の検知ばらつき増加になる。しかし、この検知ばらつきは、第四比較例の10倍および第五比較例の20倍よりも小さくできる。なお、パワーオンリセット回路10の検知ばらつきは約80mV程度である。
【0077】
パワーオンリセット回路10の消費電力は数百nA程度であり、第三比較例および第五比較例の数μA程度よりも小さくできる。また、パワーオンリセット回路10は第三比較例における基準電圧生成回路が不要であり、トリミング制御が不要である。パワーオンリセット回路10を使用することにより半導体装置の動作保証電圧を下げることが可能となり、電池寿命が向上する。
【0078】
パワーオンリセット回路10の別の構成について図5を用いて説明する。図5図1に示すパワーオンリセット回路の構成の別の一例を示す回路図である。
【0079】
図5に示すように、パワーオンリセット回路10は、図3の示す接地ノードN1とノードN6との間に接続される抵抗素子15はなくてもよい。また、パワーオンリセット回路10は、図3の示す電源ノードN2とノードN3の間に接続される抵抗素子13はなくてもよい。
【0080】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0081】
1・・・半導体装置
10・・・パワーオンリセット回路
11・・・バイポーラトランジスタ(第一バイポーラトランジスタ)
12・・・バイポーラトランジスタ(第二バイポーラトランジスタ)
13・・・抵抗素子(第四抵抗素子)
14・・・抵抗素子(第一抵抗素子)
16・・・抵抗素子(第二抵抗素子)
17・・・抵抗素子(第三抵抗素子)
19・・・比較器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図16