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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106005
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】首用サポーター
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20220711BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20220711BHJP
   A61F 5/055 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A61F5/02 G
A61F5/01 G
A61F5/055
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000630
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾貴
(72)【発明者】
【氏名】岸田 貴斗
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB03
4C098BC02
4C098BC35
4C098BC36
(57)【要約】
【課題】装着状態のフィット感を高めることが可能な首用サポーターを提供する。
【解決手段】装着状態において使用者の首を囲う本体部10を備え、前記本体部10は、複数の支持部20と、前記複数の支持部20を繋ぐ繋ぎ部30と、を有し、前記複数の支持部20は、前記装着状態において前記使用者の首の周方向に並んで配置され、前記使用者の首の周方向の寸法B1,B2,B3,B4が異なるものを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着状態において使用者の首を囲う本体部を備え、
前記本体部は、複数の支持部と、前記複数の支持部を繋ぐ繋ぎ部と、を有し、
前記複数の支持部は、前記装着状態において前記使用者の首の周方向に並んで配置され、前記使用者の首の周方向の寸法が異なるものを含む首用サポーター。
【請求項2】
前記本体部は、前記使用者の首を囲うことが可能な長さ寸法を有する帯状であり、
前記装着状態において、前記本体部の長さ方向の両端部は、前記使用者の首の前側で留められる請求項1に記載の首用サポーター。
【請求項3】
前記複数の支持部は、前記装着状態において前記使用者の首の前側に配置される前側支持部と、前記使用者の首の後側に配置される後側支持部と、を有し、
前記前側支持部の前記使用者の首の周方向の寸法は、前記後側支持部の前記使用者の首の周方向の寸法よりも小さい請求項1又は請求項2に記載の首用サポーター。
【請求項4】
前記複数の支持部は、前記装着状態において、高さ寸法が異なるものを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項5】
前記複数の支持部は、前記装着状態において、内外方向の寸法が異なるものを含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項6】
前記複数の支持部は、前記装着状態において前記使用者の首の後側に配置される後側支持部を有し、
前記後側支持部は、第1後側支持部と、前記第1後側支持部の前記使用者の首の周方向の両側に位置する第2後側支持部と、を有し、
前記装着状態において、前記第1後側支持部の内外方向の寸法は、前記第2後側支持部の前記内外方向の寸法よりも小さい請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項7】
前記本体部は、前記装着状態において、前記使用者の首の後側に配置される後面部を有し、
前記後面部の上縁に、頸椎の左右両側に位置させる2つの山部が設けられている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項8】
前記本体部は、前記装着状態において、内周面を形成する内側シート状部材と、外周面を形成する外側シート状部材とを有し、
前記内側シート状部材の上縁側と前記外側シート状部材の上縁側、及び前記内側シート状部材の下縁側と前記外側シート状部材の下縁側が固着されている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項9】
前記本体部は、前記装着状態において、前記首の前側に配置される前面部と、前記首の後側に配置される後面部と、を有し、
前記前面部の上縁の高さ位置は、前記装着状態において、前記後面部の上縁の高さ位置よりも低い請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項10】
前記支持部は、膨張収縮自在な袋体によって形成される請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項11】
前記繋ぎ部は、前記装着状態において、隣接する前記支持部の間を上下方向に延びている請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項12】
前記本体部は、前記装着状態において、内周面を形成する内側シート状部材と、外周面を形成する外側シート状部材とを有し、
前記繋ぎ部は、前記内側シート状部材と前記外側シート状部材とを固着することによって形成されている請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の首用サポーター。
【請求項13】
装着状態において使用者の首を囲う本体部を備え、
前記本体部は、複数の支持部と、前記複数の支持部を繋ぐ繋ぎ部と、を有し、
前記複数の支持部は、前記装着状態において、前記使用者の首の周方向に並んで配置され、前記使用者の首の後側に配置される後側支持部を有し、
前記後側支持部は、第1後側支持部と、前記第1後側支持部の前記使用者の首の周方向の両側に位置する第2後側支持部と、を有し、
前記装着状態において、前記第1後側支持部の内外方向の寸法は、前記第2後側支持部の前記内外方向の寸法よりも小さい首用サポーター。
【請求項14】
装着状態において使用者の首を囲う本体部を備え、
前記本体部は、前記装着状態において、前記使用者の首の後側に配置される後面部を有し、
前記後面部の上縁に、頸椎の左右両側に位置させる2つの山部が設けられている首用サポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首用サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の首に装着される首用サポーターが知られている。首用サポーターは、使用者の首を支え、首の姿勢が悪くなることを抑制する。例えば下記特許文献1には、首の周りに巻き付けられる首用サポーターが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3210961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の首用サポーターは、装着状態のフィット感を高めたいという要望がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、装着状態のフィット感を高めることが可能な首用サポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の首用サポーターは、装着状態において使用者の首を囲う本体部を備え、前記本体部は、複数の支持部と、前記複数の支持部を繋ぐ繋ぎ部と、を有し、前記複数の支持部は、前記装着状態において前記使用者の首の周方向に並んで配置され、前記使用者の首の周方向の寸法が異なるものを含む。前記複数の支持部は、少なくとも前記使用者の首側に膨らんだ形状をなしていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用者の首の周方向の寸法が異なる支持部を首まわりの空間に合わせて配置することによって、支持部を首にあてやすくできる。したがって、装着状態のフィット感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】首用サポーターであって、装着状態を示す正面図
図2】開き状態の首用サポーターを外側から見た図
図3】開き状態の本体部を上側から見た図
図4】閉じ状態の本体部を斜め後側から見た斜視図
図5】装着状態の首用サポーターを示す背面図
図6】装着状態の首用サポーターを示す側面図
図7】ポンプ及び栓を示す断面図
図8】他の実施例(1)から(3)に係る首用サポーターであって、開き状態の本体部を外側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
【0010】
本発明の首用サポーターにおいて、前記本体部は、前記使用者の首を囲うことが可能な長さ寸法を有する帯状であり、前記装着状態において、前記本体部の長さ方向の両端部は、前記使用者の首の前側で留められるものとしてもよい。このような構成によれば、首用サポーターを使用者の首に容易に装着できる。
【0011】
本発明の首用サポーターにおいて、前記複数の支持部は、前記装着状態において前記首の前側に配置される前側支持部と、前記首の後側に配置される後側支持部と、を有し、前記前側支持部の前記使用者の首の周方向の寸法は、前記後側支持部の前記使用者の首の周方向の寸法よりも小さくてもよい。首の前側の空間は顎があるため首の後側の空間より狭い。前側支持部の使用者の首の周方向の寸法は小さいから、首の前側の空間に配置しやすい。したがって、装着状態のフィット感をより高めることができる。
【0012】
本発明の首用サポーターにおいて、前記複数の支持部は、前記装着状態において、高さ寸法が異なるものを含んでもよい。このような構成によれば、高さ寸法が異なる支持部を首まわりの空間に合わせて配置することによって、支持部を首にあてやすくできる。したがって、装着状態のフィット感を高めることができる。
【0013】
本発明の首用サポーターにおいて、前記複数の支持部は、前記装着状態において、内外方向の寸法が異なるものを含んでもよい。このような構成によれば、内外方向の寸法が異なる支持部を首まわりの空間に合わせて配置することによって、支持部を首にあてやすくできる。したがって、装着状態のフィット感を高めることができる。
【0014】
本発明の首用サポーターにおいて、前記複数の支持部は、前記装着状態において前記首の後側に配置される後側支持部を有し、前記後側支持部は、第1後側支持部と、前記第1後側支持部の前記使用者の首の周方向の両側に位置する第2後側支持部と、を有し、前記装着状態において、前記第1後側支持部の内外方向の寸法は、前記第2後側支持部の前記内外方向の寸法よりも小さくてもよい。このような構成によれば、使用者が首用サポーターを装着し、使用者の背面側を椅子の背もたれ等にもたれさせたときに、第1後側支持部が背もたれ等に当たって使用者の首の左右方向中央を前方に押圧することを抑制できる。第2後側支持部は、第1後側支持部の両側において使用者の首の背面を支持する。したがって、使用者の首が前方に傾くこと、及び使用者の首が後方に傾くことを抑制できる。
【0015】
本発明の首用サポーターにおいて、前記本体部は、前記装着状態において、前記首の後側に配置される後面部を有し、前記後面部の上縁に、頸椎の左右両側に位置させる2つの山部が設けられていてもよい。このような構成によれば、2つの山部が使用者の後頭部を左右二箇所で支持するから、使用者の首が後方に傾くことを抑制できる。
【0016】
本発明の首用サポーターにおいて、前記本体部は、前記装着状態において、内周面を形成する内側シート状部材と、外周面を形成する外側シート状部材とを有し、前記内側シート状部材の上縁側と前記外側シート状部材の上縁側、及び前記内側シート状部材の下縁側と前記外側シート状部材の下縁側が固着されているものとしてもよい。2枚のシート状部材が固着されてなる固着部は、1枚のシート状部材よりも剛性が高い。したがって、本体部の上縁側は下向きに押されても変形しにくく、本体部の下縁側は上向きに押されても変形しにくい。よって、上下方向の力に対して本体部を変形しにくくできる。
【0017】
本発明の首用サポーターにおいて、前記本体部は、前記装着状態において、前記首の前側に配置される前面部と、前記首の後側に配置される後面部と、を有し、前記前面部の上縁の高さ位置は、前記装着状態において、前記後面部の上縁の高さ位置よりも低いものとしてもよい。このような構成によれば、前面部の上縁は、使用者の顎を支持しやすく、後面部の上縁は、使用者の後頭部を支持しやすい。よって、使用者の首が前方に傾いたり、後方に傾いたりすることを抑制できる。
【0018】
本発明の首用サポーターにおいて、前記支持部は、気体を出し入れすることによって膨張収縮自在な袋体によって形成されるものとしてもよい。このような構成によれば、袋体から空気を抜いてコンパクトにできるから、容易に持ち運びできる。
【0019】
本発明の首用サポーターにおいて、前記繋ぎ部は、前記装着状態において、隣接する前記支持部の間を上下方向に延びているものとしてもよい。このような構成によれば、支持部が使用者の首にフィットするように、繋ぎ部において本体部を容易に屈曲できる。
【0020】
本発明の首用サポーターにおいて、前記本体部は、前記装着状態において、内周面を形成する内側シート状部材と、外周面を形成する外側シート状部材とを有し、前記繋ぎ部は、前記内側シート状部材と前記外側シート状部材とを固着することによって形成されていてもよい。2枚のシート状部材が固着されてなる固着部は、1枚のシート状部材よりも剛性が高い。したがって、繋ぎ部は、下向きに押されても変形しにくく、上向きに押されても変形しにくい。よって、上下方向の力に対して本体部を変形しにくくできる。
【0021】
<実施例>
本発明を具体化した一実施例について、図1から図6を参照しつつ詳細に説明する。本実施例における首用サポーターSは、図1に示すように、使用者の首に巻いて使用される。首用サポーターSは、使用者の首に装着した状態(装着状態と称する。)では、使用者の首を囲う筒状をなす。首用サポーターSは、使用者の首を支持し、使用者の首を正しい姿勢に保持する。
【0022】
首用サポーターSは、図2に示すように、使用者の首から取り外して帯状にできる。首用サポーターSは、使用者の首を囲うことが可能な長さ寸法を有する。首用サポーターSについて、装着状態と同様に筒状に閉じた状態を閉じ状態、帯状に開いた状態を開き状態と称する。閉じ状態は、使用者の首に巻かれていない状態を含む。
【0023】
以下、各構成部材において、図2の上側(装着状態における上側)を上側、図2の下側(装着状態における下側)を下側、図2の左側を左側、図2の右側を右側、閉じ状態における内側を内側、閉じ状態における外側を外側として説明する。
【0024】
首用サポーターSは、図1に示すように、装着状態において筒状をなす本体部10を備える。本体部10は、カバー部材11によって覆われる。カバー部材11は、本体部10を収容する袋状をなす。カバー部材11は、本体部10に着脱自在である。
【0025】
本体部10の長さ方向の両端部(サポーター端部12と称する。)は、装着状態において、使用者の首の前側に配置される。サポーター端部12は、装着状態において、内側と外側とに重なりあう。サポーター端部12は、留め具によって重なり合った状態に止められる。留め具は、カバー部材11に設けられている。留め具は、例えば面ファスナである。
【0026】
本体部10は、図2に示すように、複数の支持部20と、複数の繋ぎ部30とを有する。複数の支持部20は、左右方向(閉じ状態における周方向)に並んで本体部10に配置されている。
【0027】
支持部20は、後側支持部21、前側支持部24及び中間支持部25を有する。後側支持部21は、装着状態において使用者の首の後側に配置される(図5参照)。前側支持部24は、装着状態において使用者の首の前側に配置される(図1参照)。中間支持部25は、装着状態において使用者の首の左右両側に配置される(図6参照)。
【0028】
後側支持部21は、図2に示すように、本体部10の左右方向の中央部に設けられている。後側支持部21は、第1後側支持部22と、第2後側支持部23とを有している。第1後側支持部22は、後側支持部21の左右方向の中央部に設けられている。第1後側支持部22は、上下方向に3つに分かれている。第1後側支持部22の3つの支持部20について、上から順に、上支持部22A、中支持部22B、及び下支持部22Cと称する。
【0029】
第2後側支持部23は、第1後側支持部22の左右両側に設けられている。第2後側支持部23は、上下方向に長い形状である。第2後側支持部23は、本体部10の上縁17から本体部10の下縁18まで延びている。第2後側支持部23の上下方向の中央部は、第1後側支持部22の中支持部22Bと繋がっている。
【0030】
前側支持部24は、図2に示すように、本体部10の左右方向において端に寄った位置に設けられている。前側支持部24は、サポーター端部12と隣接している。中間支持部25は、後側支持部21と前側支持部24との間に設けられている。中間支持部25は、第1中間支持部25Aと、第2中間支持部25Bとを有する。第1中間支持部25Aと第2中間支持部25Bとは隣に配置されている。第1中間支持部25Aは、後側支持部21の隣に配置されている。第2中間支持部25Bは、前側支持部24の隣に配置されている。
【0031】
前側支持部24、第1中間支持部25A及び第2中間支持部25Bは、本体部10において左右に一対ずつ設けられている。前側支持部24、第1中間支持部25A及び第2中間支持部25Bは、本体部10の左右方向の中心を基準に左右対称である。
【0032】
支持部20は、図2に示すように、幅寸法(使用者の首の周方向の寸法)B1,B2,B3,B4が異なる。後側支持部21の幅寸法B1及び第1中間支持部25Aの幅寸法B2は、第2中間支持部25Bの幅寸法B3及び前側支持部24の幅寸法B4よりも大きい。幅寸法B1,B2,B3,B4は、各支持部20の概ね上下方向中央位置における左右方向の寸法である。
【0033】
支持部20は、図2に示すように、高さ寸法(上下方向の寸法)H1,H2,H3,H4が異なる。後側支持部21の高さ寸法H1及び第1中間支持部25Aの高さ寸法H2は、第2中間支持部25Bの高さ寸法H3及び前側支持部24の高さ寸法H4よりも大きい。高さ寸法H1,H2,H3,H4は、各支持部20の概ね左右方向中央位置における上下方向の寸法である。
【0034】
支持部20は、袋体13によって形成される。袋体13は、本体部10の上縁17、本体部10の下縁18及び繋ぎ部30によって囲われている。支持部20は、袋体13に空気を入れることによって膨張し、袋体13から空気を抜くことによって収縮する。膨らんだ状態の支持部20は、クッション性を有する。支持部20の厚さ寸法(内外方向の寸法)、幅寸法(左右方向の寸法)及び硬さは、袋体13の内部圧力を調整することによって調整できる。支持部20を収縮させることによって、本体部10をシート状にできる。第1後側支持部22の中支持部22Bと左右の第2後側支持部23とは、一つの袋体13によって形成されている。当該袋体13は、第2後側支持部23の上下方向の中間部において、左右方向に連通している。
【0035】
首用サポーターSは、図2に示すように、ポンプ14及び栓15を備えている。ポンプ14及び栓15は、複数の袋体13のうち同一の袋体13(第1中間支持部25Aの袋体13)に設けられている。ポンプ14は、袋体13の上側に寄った位置に配置されている。ポンプ14は、押し操作によって、袋体13に空気を送り込む。一つのポンプ14によって、すべての袋体13に空気が送られる。栓15は、袋体13の下側に寄った位置に配置されている。栓15は、袋体13から空気が抜けないように、空気抜き孔151を閉じる。栓15を開くことによって、袋体13から空気を抜くことができる。
【0036】
ポンプ14は、図7に示すように、後述する外側シート状部材32に固定されている。ポンプ14は、外側部141及び内側部142を備えている。外側部141は、袋体13の外側に突出する。内側部142は、袋体13内に収納される
【0037】
ポンプ14は、空気の入口143及び出口144を備えている。入口143は、外側部141に設けられている。出口144は、内側部142に設けられている。入口143及び出口144は、開き状態の本体部10を外側から見た平面視において、重なる位置に配置される(図2参照)。なお、入口143及び出口144の位置は変更できる。
【0038】
入口143及び出口144は、ポンプ14の外側部141及び内側部142の夫々に設けられた窪み部145に形成されている。入口143及び出口144には、逆止弁146が備えられている。入口143の逆止弁146は、ポンプ14の外部から内部への空気の流入を許容し、ポンプ14の内部から外部への空気の流出を防止する。出口144の逆止弁146は、ポンプ14の内部から外部への空気の流出を許容し、ポンプ14の外部から内部への空気の流入を防止する。ポンプ14を押し操作すると、ポンプ14が弾性変形して容量が減少し、出口144から袋体13の内部に空気が送り込まれる。ポンプ14の押し操作をやめると、ポンプ14の弾性力によって形状が復元し、入口143からポンプ14の内部に空気が取り込まれる。
【0039】
栓15は、図7に示すように、空気抜き孔151を塞ぐ栓部材152を備えている。栓部材152は、有底の筒状部材153の内部に配置されている。空気抜き孔151は、筒状部材153の底部に形成されている。栓部材152は、バネ154の弾性力によって、空気抜き孔151を閉塞状態に保持している。栓部材152を押し操作することによって、空気抜き孔151は開いた状態になる。筒状部材153は、筒状部材153の内部を開閉自在なキャップ155を備えている。なお、キャップ155は、備えなくてもよい。
【0040】
ポンプ14は、装着状態において、使用者の真後ろではなく、斜め後ろに配置される(図5参照)。したがって、使用者が首用サポーターSを装着した状態で椅子の背もたれや壁などに寄りかかっても、ポンプ14が椅子の背もたれや壁などに当たって使用者の首を前方に押すことを防ぐことができる。使用者は、椅子の背もたれや壁などに寄りかかった状態でも、首用サポーターSを快適に使用できる。
【0041】
ポンプ14が設けられていない袋体13は、図2に示すように、通路16を介してポンプ14と連通している。通路16は、各袋体13の上端に連通している。通路16は、隣接する袋体13を、上縁17に沿って左右方向に連通する。これによって、使用者の首が各袋体13の上縁17に圧力を加えた際に、通路16が狭くなり、袋体13間で空気の移動が起こりにくくなる。したがって、使用者の首によって上縁17に圧力が加えられた袋体13の縮小を抑制し、大きさを維持できる。通路16をポンプ14に近い高さ位置に設けることによって、袋体13への空気の送り込みを効率よく行うことができる。
【0042】
繋ぎ部30は、図2に示すように、隣接する袋体13の間に一ずつ設けられている。繋ぎ部30は、袋体13の左側及び右側において上下方向に延びている。繋ぎ部30は、細長い線状である。繋ぎ部30は、本体部10の左右方向にバランスよく配置されている。
【0043】
繋ぎ部30は、第1繋ぎ部30Aと、第2繋ぎ部30Bとを有する。第1繋ぎ部30Aは、後側支持部21と第1中間支持部25Aとの間、第1中間支持部25Aと第2中間支持部25Bとの間、及び第2中間支持部25Bと前側支持部24との間に設けられている。第1繋ぎ部30Aは、互いに略平行である。第1繋ぎ部30Aの上端は、本体部10の上縁17から下側に離れている。第1繋ぎ部30Aの上端と、本体部10の上縁17との間に、通路16が形成される。第1繋ぎ部30Aの下端は、本体部10の下縁18に連なっている。
【0044】
第2繋ぎ部30Bは、後側支持部21に設けられている。第2繋ぎ部30Bは、上支持部22Aの左右両側及び下支持部22Cの左右両側に設けられている。第2繋ぎ部30Bは、第1後側支持部22の上支持部22Aと第2後側支持部23との間を区画している。第2繋ぎ部30Bは、第1後側支持部22の下支持部22Cと第2後側支持部23との間を区画している。上側の第2繋ぎ部30Bは、本体部10の上縁17に連なっている。下側の第2繋ぎ部30Bは、本体部10の下縁18に連なっている。上側の第2繋ぎ部30Bの下端、及び下側の第2繋ぎ部30Bの上端に通路16が形成されている。上側の第2繋ぎ部30Bと下側の第2繋ぎ部30Bとの間に中支持部22Bが形成されている。
【0045】
本体部10は、図3に示すように、内側シート状部材31と、外側シート状部材32とを有する。内側シート状部材31及び外側シート状部材32は、同形状である。内側シート状部材31の面積と外側シート状部材32の面積とは等しい。内側シート状部材31及び外側シート状部材32は、例えばエラストマー等であってもよい。エラストマーとして、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)を適用できる。である。内側シート状部材31は、装着状態において、本体部10の内周面を形成する。外側シート状部材32は、装着状態において、本体部10の外周面を形成する。内側シート状部材31と外側シート状部材32とは、部分的に固着され、一体化している。固着は、溶着により行われる。
【0046】
本体部10の外縁(本体部10の上縁17、本体部10の下縁18及び本体部10の左右両端縁)及び繋ぎ部30は、内側シート状部材31と外側シート状部材32とを固着した固着部によって形成されている。固着部は、1枚のシート状部材よりも剛性が高い。本体部10の上縁17及び本体部10の下縁18は、剛性が高いから上下方向に変形しにくい。繋ぎ部30は、剛性が高いから上下方向の途中の位置で屈曲しにくい。
【0047】
膨張した支持部20は、図3に示すように、内側(使用者の首側)及び外側(使用者の首とは反対側)に膨らんだ形状をなす。支持部20は、厚さ寸法D1,D2,D3,D4,D5が異なる。第1中間支持部25Aの厚さ寸法D1は、第2中間支持部25Bの厚さ寸法D2よりも大きい。第2中間支持部25Bの厚さ寸法D2は、前側支持部24の厚さ寸法D3よりも大きい。後側支持部21の厚さ寸法D4は、第1中間支持部25Aの厚さ寸法D1よりも小さい。厚さ寸法D1,D2,D3,D4は、各支持部20の左右方向中央位置の厚さ寸法のうち最も大きい寸法である。後側支持部21の厚さ寸法D4は、第1後側支持部22の中支持部22Bの厚さ寸法である。中支持部22Bの厚さ寸法D4は、最大で40mmである。中支持部22Bの厚さ寸法D4は、第2後側支持部23の厚さ寸法D5よりも小さい。第2後側支持部23の厚さ寸法D5は、第2後側支持部23の左右方向中央位置の厚さ寸法のうち最も大きい寸法である。
【0048】
第1後側支持部22の上支持部22A、中支持部22B及び下支持部22Cは、図6に示すように、上下方向に並んだ3つの山状をなしている。第2後側支持部23の厚さ寸法は、上下方向の両端部よりも中央部において大きい。
【0049】
本体部10は、図4に示すように、前面部33、後面部34及び左右の側面部35を有する。前面部33は、装着状態において、使用者の首の前側に配置される(図1参照)。前面部33は、サポーター端部12、前側支持部24及び繋ぎ部30を有する。
【0050】
後面部34は、装着状態において、使用者の首の後側に配置される(図5参照)。後面部34は、後側支持部21、第1中間支持部25A及び繋ぎ部30を有する。後面部34の上縁は、2つの山部36を有する。後面部34の上縁は、本体部10の上縁17の一部である。山部36の下側には、第2後側支持部23及び第1中間支持部25Aが配置されている。山部36の頂点は、第1中間支持部25Aの範囲内に位置する。2つの山部36は、装着状態において使用者の頸椎50の左右両側に位置する。2つの山部36は、装着状態において使用者の後頭部の下部近傍に配置される。2つの山部36の頂点の高さ位置は概ね等しい。2つの山部36の間には、谷部37が形成されている。谷部37の下端を中心に、2つの山部36は左右対称な形状である。
【0051】
後面部34の下縁は、装着状態において、使用者の肩よりも下側に位置する。後面部34の下縁は、本体部10の下縁18の一部である。後面部34の下縁は、左右両側から中央側に向かって下がる。後面部34の下縁の左右方向の中央部は、装着状態において最も下側に位置する。後面部34の下縁は、前面部33の下縁よりも下側に位置する(図6参照)。
【0052】
側面部35は、装着状態において、使用者の首の左右両側に配置される(図6参照)。側面部35は、第1中間支持部25A、第2中間支持部25B及び繋ぎ部30を有する。第2中間支持部25Bは、側面部35及び後面部34にわたる。側面部35の上縁は、前面部33側から後面部34側に向かって次第に上る。側面部35の上縁は、本体部10の上縁17の一部である。前面部33の上縁は、装着状態において、後面部34の上縁よりも低い位置に配置される。側面部35の下縁は、前側よりも後側の方が下側に位置する。側面部35の下縁は、本体部10の下縁18の一部である。側面部35の下縁は、装着状態において使用者の肩に沿う湾曲部38を有する。湾曲部38は、前後方向の中央部が上方に凹むように湾曲している。湾曲部38は、開き状態の本体部10の下縁18に、左右方向の中心を基準に左右対称に形成されている(図2参照)。
【0053】
次に、首用サポーターSの使用例を説明する。最初に、袋体13から空気を抜いた状態の首用サポーターS、もしくは袋体13に少し空気を入れた状態の首用サポーターSを、使用者の首に巻き付ける。2つの山部36を上向きにし、ポンプ14を外側に向け、首用サポーターSの後面部34を使用者の首の後側に当てる(図5参照)。次に、サポーター端部12を使用者の首の前側で重ねて止める(図1参照)。サポーター端部12の重ね合わせ量を調整し、首用サポーターSの径寸法を調整する。カバー部材11の留め具によって、首用サポーターSは、閉じ状態に保持される。装着状態において、首用サポーターSの前面部33は、使用者の顎の下側に配置される。首用サポーターSの湾曲部38は、使用者の肩に沿って配置される。これによって、本体部10は周方向に位置ずれしにくくなる。
【0054】
次に、支持部20を膨らませる。ポンプ14を押して袋体13に空気を入れ、支持部20を使用者の首に接触させる。ポンプ14は、図5に示すように、装着状態において、使用者の首の右斜め後に位置するから、押し操作を容易に行うことができる。ポンプ14を一押しするごとに、袋体13に空気が入れられる。袋体13内の空気の量を調整し、支持部20の硬さを調整する。硬さが足りない場合は、ポンプ14を押して袋体13に空気を送り込む。支持部20が硬すぎる場合は、栓15をあけて袋体13から空気を抜く。
【0055】
こうして、適度な硬さに調整された支持部20は、詳しくは後述するように、使用者の首の回りを満遍なく支持した状態になる。繋ぎ部30は屈曲しにくいから、本体部10を自立した状態に保持する。したがって、使用者は、椅子の背もたれや壁などに寄りかからなくてもよい。首用サポーターSに支持された状態の使用者の首は、前後及び左右に倒れにくくなり、正しい姿勢に保持される。
【0056】
後面部34の2つの山部36は、図5に示すように、使用者の後頭骨の上項線53を後方下側から支持した状態になる。これによって、使用者の首は、後側へ倒れることを抑制される。本体部10の上縁17は固着部によって形成されているから、2つの山部36は潰れにくい。したがって、2つの山部36は、使用者の後頭部を安定して支持する。
【0057】
後面部34に谷部37が形成されていることによって、後面部34は、使用者の外後頭隆起54に当たりにくくなっている。これによって、後面部34が使用者の外後頭隆起54に当たって使用者の首を前方に押すことを抑制できる。
【0058】
後面部34の下部は、使用者の頸椎50及び僧帽筋の後側に位置する。後面部34の下部は、使用者の頸椎50及び僧帽筋を後方から支持する。本体部10の下縁18は固着部によって形成されているから、変形しにくい。したがって、後面部34の下部は、使用者の背面を安定して支持する。
【0059】
後側支持部21は、図5及び図6に示すように、使用者の首の後側の空間に配置される。第1後側支持部22は、装着状態において、使用者の頸椎50の真後ろに配置される。使用者の首の後側の空間は、前方に窪んでいる。第1後側支持部22の中支持部22Bは、使用者の首の後側の頚部湾曲の窪みに配置される。これによって、使用者の首の頸椎50は、正しい湾曲姿勢に改善される。左右の第2後側支持部23は、図5に示すように、使用者の頸椎50の後方の左右両側に配置される。左右の第2後側支持部23は、使用者の首の後方の左右両側をバランスよく支持する。これによって、使用者の首の後方への倒れは抑制される。
【0060】
左右の第1中間支持部25Aは、図5及び図6に示すように、使用者の首の斜め後方、左右両側の空間に配置される。第1中間支持部25Aは、使用者の側頭骨の乳様突起51を後方下側から支持する。これによって、使用者の首の後方及び左右への倒れは抑制される。
【0061】
前側支持部24及び第2中間支持部25Bは、図1及び図6に示すように、使用者の首の前側及び斜め前方の空間に配置される。使用者の首の前側及び斜め前方の空間は、使用者の顎と鎖骨との間に形成される。前側支持部24及び第2中間支持部25Bは、使用者の下顎体52の左右両側を下方から支持する。これによって、使用者の首の前方及び左右への倒れは抑制される。
【0062】
首用サポーターSの使用を終了するときには、首用サポーターSを使用者の首から取り外し、栓15を開いて袋体13から空気を抜く。これによって、支持部20を容易に潰すことができる。支持部20を潰すことによって、本体部10はシート状になる。したがって、首用サポーターSを容易に折りたたんだり巻いたりしてコンパクトにできる。コンパクトにまとめた首用サポーターSは、容易に持ち運んだり収納したりできる。
【0063】
上記のように構成された実施例によれば、以下の効果を奏する。首用サポーターSは、本体部10を備える。本体部10は、装着状態において使用者の首を囲う。本体部10は、複数の支持部20と、複数の支持部20を繋ぐ繋ぎ部30と、を有する。複数の支持部20は、装着状態において使用者の首の周方向に並んで配置される。複数の支持部20は、内側に膨らんだ形状をなす。複数の支持部20は、幅寸法B1,B2,B3,B4が異なるものを含む。この構成によれば、幅寸法B1,B2,B3,B4が異なる支持部20を首まわりの空間に合わせて配置することによって、支持部20を首にあてやすくできる。首用サポーターSは、すべての支持部が同一の幅寸法であるものと比べて、首の形状に合わせて装着しやすいから、装着状態の首用サポーターSのフィット感を高めることができる。
【0064】
幅寸法が大きい支持部20は、クッション性が高いから、使用者の首にフィットしやすい。幅寸法が小さい支持部20は、サポート性が高い(収縮しにくい)から、使用者の首が傾くことなく支えることができる。したがって、首用サポーターSは、フィット感及びサポート感(サポートされている感覚)の両方を高めることができる。
【0065】
本体部10は、使用者の首を囲うことが可能な長さ寸法を有する帯状である。装着状態において、本体部10のサポーター端部12は、使用者の首の前側で止められる。この構成によれば、首用サポーターSを容易に装着できる。
【0066】
複数の支持部20は、前側支持部24と、後側支持部21と、を有する。前側支持部24は、装着状態において首の前側に配置される。後側支持部21は、装着状態において首の後側に配置される。前側支持部24の幅寸法B3は、後側支持部21の幅寸法B1よりも小さい。首の前側の空間は、首の後側の空間より狭い。前側支持部24の幅寸法B3は小さいから首の前側にあてやすい。したがって、装着状態の首用サポーターSのフィット感をより高めることができる。
【0067】
複数の支持部20は、装着状態において、高さ寸法H1,H2,H3,H4が異なるものを含む。この構成によれば、高さ寸法H1,H2,H3,H4が異なる支持部20を首まわりの空間に合わせて配置することによって、支持部20を首にあてやすくできる。したがって、装着状態の首用サポーターSのフィット感を高めることができる。
【0068】
複数の支持部20は、装着状態において、厚さ寸法D1,D2,D3,D4,D5が異なるものを含む。この構成によれば、厚さ寸法D1,D2,D3,D4,D5が異なる支持部20を首まわりの空間に合わせて配置することによって、支持部20を首にあてやすくできる。したがって、装着状態のフィット感を高めることができる。
【0069】
後側支持部21は、第1後側支持部22と、第2後側支持部23と、を有する。第2後側支持部23は、第1後側支持部22の左右方向の両側に位置する。装着状態において、第1後側支持部22の厚さ寸法D4は、第2後側支持部23の厚さ寸法D5よりも小さい。この構成によれば、使用者が首用サポーターSを装着し、使用者の背面側を壁面にもたれさせたときに、第1後側支持部22が壁面に当たって使用者の首を前方に押圧することを抑制できる。第2後側支持部23は、第1後側支持部22の左右両側において使用者の首の背面を支持する。したがって、使用者の首が前方に傾くこと、及び使用者の首が後方に傾くことを抑制できる。
【0070】
本体部10は、後面部34を有する。後面部34は、装着状態において、使用者の首の後側に配置される。後面部34の上縁に、2つの山部36が設けられている。2つの山部36は、頸椎50の左右両側に位置させる。この構成によれば、2つの山部36が使用者の後頭部を左右二箇所で支持するから、使用者の首が後方に傾くことを防ぐことができる。
【0071】
本体部10は、内側シート状部材31と、外側シート状部材32とを有する。内側シート状部材31は、装着状態において、内周面を形成する。外側シート状部材32は、装着状態において、外周面を形成する。内側シート状部材31の上縁側と外側シート状部材32の上縁側、及び内側シート状部材31の下縁側と外側シート状部材32の下縁側は、固着されている。2枚のシート状部材31,32が固着されてなる固着部は、1枚のシート状部材よりも剛性が高い。したがって、本体部10の上縁17は下向きに押されても変形しにくく、本体部10の下縁18は上向きに押されても変形しにくい。よって、上下方向の力に対して本体部10を変形しにくくできる。
【0072】
本体部10は、前面部33を有する。前面部33は、装着状態において、使用者の首の前側に配置される。前面部33の上縁の高さ位置は、装着状態において、後面部34の上縁の高さ位置よりも低い。この構成によれば、前面部33の上縁は、使用者の顎を支持しやすく、後面部34の上縁は、使用者の後頭部を支持しやすい。よって、使用者の首が前方に傾いたり、後方に傾いたりすることを抑制できる。
【0073】
支持部20は、膨張収縮自在な袋体13によって形成される。この構成によれば、袋体13から空気を抜いてコンパクトにできるから、容易に持ち運びできる。
【0074】
繋ぎ部30は、装着状態において、隣接する支持部20の間を上下方向に延びている。この構成によれば、支持部20が使用者の首にフィットするように、本体部10を繋ぎ部30において容易に屈曲できる。
【0075】
繋ぎ部30は、内側シート状部材31と外側シート状部材32とを固着することによって形成されている。2枚のシート状部材31,32が固着されてなる固着部は、1枚のシート状部材よりも剛性が高い。したがって、繋ぎ部30は、下向きに押されても変形しにくく、上向きに押されても変形しにくい。よって、上下方向の力に対して本体部10を変形しにくくできる。
【0076】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、支持部20の具体的な構成(大きさ、形状、及び数など)を例示した。これに限らず、支持部の構成は変更できる。例えば、図8に示すように、同等の幅寸法を有する支持部101を、首用サポーター100に並べて設けてもよい。
(2)上記実施例において首用サポーターSは、装着状態において使用者の首を囲う筒状をなす。これに限らず、首用サポーターは、装着状態において使用者の首まわりに沿うU字状をなすものであってもよい。
(3)上記実施例において通路16は、各袋体13の上端に連通している。これに限らず、通路の袋体への連通位置は変更できる。例えば、図8に示すように、通路102は、各袋体103の上端及び下端に連通して形成してもよい。これによって、袋体103の膨張及び収縮を速やかに行い得る。
(4)上記実施例においてポンプ14は、第1中間支持部25Aに設けられている。これに限らず、ポンプの位置は変更できる。例えば、図8に示すように、ポンプ104は、第2中間支持部105に設けても良い。
(5)上記実施例においてポンプ14は、1つ設けられている。これに限らず、ポンプは、2つ以上設けても良い。
(6)上記実施例において首用サポーターSは、使用者の首から取り外して帯状にできる。これに限らず、首用サポーターは、帯状にできなくてもよい。例えば首用サポーターは、常に筒状をなし、径方向に伸縮させて使用者の首に装着するものでもよい。
(7)上記実施例において支持部20は、空気が出し入れされる袋体13によって形成されている。これに限らず、支持部は、ビーズやクッション材などによって形成してもよい。
(8)上記実施例において山部36の下側には、第2後側支持部23及び第1中間支持部25Aが設けられている。これに限らず、山部の下側に支持部が設けられていなくてもよい。例えば、山部の下側に、幅寸法が大きい繋ぎ部を設けてもよい。
(9)上記実施例において固着は、溶着により行われる。これに限らず、固着は、接着等、他の手段であってもよい。
(10)上記実施例において通路16は、各袋体13の上端に連通している。これに限らず、通路は、袋体の上縁と下縁との中央付近にあってもよい。
(11)上記実施例において栓15の具体的な構造を例示した。これに限らず、栓の構造は変更できる。例えば栓は、回旋によって空気抜き孔を開閉するものでもよい。また、栓は、栓部材を備えず、キャップによって空気抜き孔を開閉するものでもよい。
(12)上記実施例において留め具は、カバー部材11に設けられている。これに限らず、留め具は、本体部に設けてもよい。
(13)上記実施例において留め具は、例えば面ファスナである。これに限らず、留め具は、ボタン(一般的なボタン、スナップボタン、マグネット等)、ホック、ベルト、紐(玉紐を含む)などであってもよい。
(14)上記実施例においてカバー部材11に、ポンプ14や栓15を露出させる穴を形成してもよい。これによって、ポンプ14の操作性を向上できる。
(15)上記実施例においてポンプ14は、手押しポンプである。これに限らず、ポンプは電動ファンを利用したものでもよいし、栓と一体になっているものでもよい。また、ポンプは、本体部とは別体の空気入れであってもよい。
(16)上記実施例において本体部10の上縁17及び本体部10の下縁18は固着されている。これに限らず、本体部の上縁より1cm程度下側、本体部の下縁より1cm程度上側を固着してもよい。この場合でも、本体部の上縁及び下縁の剛性を高めて変形しにくくできる。
【符号の説明】
【0077】
B1,B2,B3,B4…幅寸法(使用者の首の周方向の寸法)
D1,D2,D3,D4,D5…厚さ寸法(内外方向の寸法)
H1,H2,H3,H4…高さ寸法
S…首用サポーター
10…本体部
12…サポーター端部(本体部の長さ方向の端部)
13…袋体
20…支持部
21…後側支持部
22…第1後側支持部
23…第2後側支持部
24…前側支持部
30…繋ぎ部
31…内側シート状部材
32…外側シート状部材
33…前面部
34…後面部
36…山部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8