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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106006
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】LED照明用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220711BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20220711BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20220711BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20220711BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H02M3/155 J
H05B45/375
H05B45/345
H05B45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000632
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】細谷 裕
【テーマコード(参考)】
3K273
5H730
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA23
3K273BA24
3K273BA27
3K273BA33
3K273BA34
3K273CA02
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA41
3K273EA42
3K273EA43
3K273EA44
3K273FA14
3K273FA27
3K273GA14
5H730AA20
5H730AS02
5H730AS05
5H730AS11
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE52
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG01
5H730XX03
5H730XX12
5H730XX23
5H730XX32
5H730XX44
(57)【要約】
【課題】定電流制御を行うLED照明用電源装置において、新たな定電圧制御回路を設けずに出力電圧の上昇制限機能を備える。
【解決手段】
DC/DCコンバータ1は、出力端子間に接続されるLED負荷に流れる電流を検出する電流検出部と、検出した電流値が所定の定電流値になるように制御を行う制御回路と、出力端子間にダミー負荷回路とを備え、ダミー負荷回路は、アバランシェ特性を備えたMOSFETQ2とダミー抵抗Rdの直列接続回路からなり、MOSFETQ2とダミー抵抗Rdとの接続点からツェナーダイオードZDを介してLED電流検出回路の出力端子に接続したことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED照明用電源装置であって、
入力電圧から所定の出力電圧に変換するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータは、出力端子間に接続されるLED負荷に流れる電流を検出する電流検出部と、検出した電流値が所定の定電流値になるように制御を行う制御回路と、
前記出力端子間にダミー負荷回路と、を備え、
前記ダミー負荷回路は、アバランシェ特性を備えたMOSFETとダミー抵抗の直列接続回路からなり、
前記MOSFETと前記ダミー抵抗との接続点からツェナーダイオードを介して前記電流検出部の出力端子または入力端子に接続したことを特徴とするLED照明用電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記LED負荷のLED列に応じた出力電圧に基づき、前記ダミー負荷回路の前記MOSFETのゲート電圧を調整することを特徴とする請求項1記載のLED照明用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明用電源装置の出力電圧制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LED照明用電源装置においては、ちらつきを無くして照度を安定するために定電流制御方式のDC/DCコンバータが用いられている。また、LED負荷がオープンになった場合などを想定し、過電圧保護機能以外に通常の使用条件の出力電圧より高めに設定された電圧になるよう制御する定電圧制御を備えるものが多い。この場合、製品の安全性を考慮して、過電圧保護回路と定電圧制御回路を共通回路で構成せず、別々の回路で構成する必要がある。
【0003】
従来のDC/DCコンバータの一構成例を図9に示す。図9に示すDC/DCコンバータは、LLC共振方式を用いた所謂ハーフブリッジ型のDC/DCコンバータである。このDC/DCコンバータは、図9に示すように、スイッチング素子SW1及びSW2と、入力コンデンサC0、電圧共振コンデンサCv及び電流共振コンデンサCrと、トランスTr0とを備えている。なお、トランスTr0の2次側にはダイオード及びコンデンサから成る整流回路(図示せず)が接続される。また、トランスTr0は図示しない漏れインダクタンスと励磁インダクタンスを含み、前記漏れインダクタンスは共振インダクタンスに相当する。上記LLC共振方式とは、電流共振コンデンサCrと、トランスTr0の図示しない漏れインダクタンスと励磁インダクタンスによる直列共振を利用した方式である。従来のDC/DCコンバータの一構成例を図9に示す。図9に示すDC/DCコンバータは、LLC共振方式を用いた所謂ハーフブリッジ型のDC/DCコンバータである。このDC/DCコンバータは、図9に示すように、スイッチング素子SW1及びSW2と、入力コンデンサC0、電圧共振コンデンサCv及び電流共振コンデンサCrと、トランスTr0とを備えている。なお、トランスTr0の2次側にはダイオード及びコンデンサから成る整流回路(図示せず)が接続される。また、トランスTr0は図示しない漏れインダクタンスと励磁インダクタンスを含み、前記漏れインダクタンスは共振インダクタンスに相当する。上記LLC共振方式とは、電流共振コンデンサCrと、トランスTr0の図示しない漏れインダクタンスと励磁インダクタンスによる直列共振を利用した方式である。従来のDC/DCコンバータの一構成例を図9に示す。図9に示すDC/DCコンバータは、LLC共振方式を用いた所謂ハーフブリッジ型のDC/DCコンバータである。このDC/DCコンバータは、図9に示すように、スイッチング素子SW1及びSW2と、入力コンデンサC0、電圧共振コンデンサCv及び電流共振コンデンサCrと、トランスTr0とを備えている。なお、トランスTr0の2次側にはダイオード及びコンデンサから成る整流回路(図示せず)が接続される。また、トランスTr0は図示しない漏れインダクタンスと励磁インダクタンスを含み、前記漏れインダクタンスは共振インダクタンスに相当する。上記LLC共振方式とは、電流共振コンデンサCrと、トランスTr0の図示しない漏れインダクタンスと励磁インダクタンスによる直列共振を利用した方式である。また、図4に示す特許文献1に示されるように、誤差増幅器の出力電圧信号に応じてダミー抵抗に電流を流し、軽負荷時の出力電圧上昇を軽減させるアクティブダミー回路を備えた電源装置が開示されている。ここで図5(A)は、アクティブダミー回路がない場合の特性図であり、図5(B)はアクティブダミー回路を備えて改善された特性図を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-265328公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のアクティブダミー回路を備えた電源装置は、出力電圧上昇が少なければ問題は少ないが、ダミー抵抗R2に流せる電流だけで電圧上昇を抑えることになり、電圧上昇の抑制効果はダミー抵抗値で決まってしまう。
アクティブダミー回路だけで電圧上昇抑制しようとすると、全負荷をここで背負うことになり、大きなロスとなり、実用的ではない。
【0006】
本発明は、ダミー負荷回路と出力電圧の上昇制限を兼用したLED照明用電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、LED照明用電源装置であって、入力電圧から所定の出力電圧に変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータは、出力端子間に接続されるLED負荷に流れる電流を検出する電流検出部と、検出した電流値が所定の定電流値になるように制御を行う制御回路と、前記出力端子間にダミー負荷回路と、を備え、前記ダミー負荷回路は、アバランシェ特性を備えたMOSFETとダミー抵抗の直列接続回路からなり、前記MOSFETと前記ダミー抵抗との接続点からツェナーダイオードを介して前記電流検出部の出力端子または入力端子に接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダミー負荷回路のMOSFETのアバランシェ電圧を利用してダミー負荷抵抗の電圧上昇を検出し、その検出信号を定電流制御回路の信号に重畳して出力電圧の上昇を制限するので、定電圧制御回路の部品を削減できる。また、コストおよび部品実装面積を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るLED照明用電源装置の構成を示す回路図である。
図2図1におけるダミー負荷回路の動作の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るLED照明用電源装置の応用例を示す。
図4】従来技術の出力電圧上昇を軽減させるアクティブダミー回路を備えた電源回路を示す。
図5図4に示す従来技術回路の特性説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
(実施形態)
図1は、LED照明用電源装置のDC/DCコンバータ1を示す回路図である。本実施形態に係るDC/DCコンバータ1は降圧型のバックコンバータからなり、スイッチング素子のMOSFET Q1、リアクトルL1、平滑コンデンサC2、リアクトル電流の回生ダイオードD1の主要部品からなる。
詳しくは、スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路Cont1、制御回路Cont1の出力信号をハイサイドに接続されているMOSFET Q1へゲート信号を駆動するためのレベルシフト回路LV1、およびゲートドライバBF1、LED負荷に流れる電流を検出するためのLED電流検出回路12、出力電圧検出回路11、ダミー負荷回路10およびツェナーダイオードZDから構成されている。また、DC/DCコンバータ1の出力端子には、複数のLEDの列で構成されたLED負荷LED1が接続されている。
【0012】
DC/DCコンバータ1は直流電圧Eに接続され、MOSFET Q1をオンオフ制御することにより、MOSFET Q1のオン時に直流電圧E、MOSFET Q1、リアクトルL1、コンデンサC2の閉回路と、MOSFET Q1のオフ時にリアクトルL1、コンデンサC2、ダイオードD1の閉回路の経路を交互に形成し、直流電圧Eを降下させ出力電圧を得る。
ここで、本実施形態に係るDC/DCコンバータ1では、LED負荷LED1に流れる電流を定電流にするため、電流検出抵抗Rcを含むLED電流検出回路12をGND側に備え、所定の電流が流れるようにLED電流検出回路12の出力信号をダイオード3を介して制御回路Cont1へ送出する。LED電流検出回路12は、オペアンプOP1、基準電圧Vref、検出抵抗Rcからなる。オペアンプOP1の非反転端子は出力のGND端子と抵抗Rcの一方の端子に接続され、基準電圧Vrefの正極は反転端子に接続され、負極は抵抗Rcの他方の端子に接続される。LED電流が流れる検出抵抗Rcの電圧降下が基準電圧Vrefを超えるとオペアンプ出力から信号が出力され、MOSFET Q1のオンパルス信号を狭めるように制御回路Cont1は制御を行う。
【0013】
ダミー負荷回路10は、出力端子間にあるコンデンサC2と並列に接続されている。ダミー負荷回路10はアバランシェ電圧を備えるMOSFET Q2の主端子とダミー抵抗Rdの直列接続回路からなり、MOSFET Q2のゲートは制御回路Cont1に接続されている。MOSFET Q2のソース端子とダミー抵抗Rdとの接続点にツェナーダイオードZDのカソードが接続され、アノードはダイオードD2を介してLED電流検出回路出力のダイオードD3のカソードにオア接続されて制御回路Cont1に接続されている。ダミー負荷回路10は制御回路Cont1の制御信号に基づき、ダミー抵抗Rdに流れる電流を制御する。
なお、MOSFET Q2のアバランシェ電圧特性はコンデンサC2の耐圧以下が好ましく、最大サージ電圧以下が必須である。
【0014】
出力電圧検出回路11は、出力端子間に抵抗R1~R3の直列抵抗回路が接続され、負極に接続された抵抗R3の電圧を制御回路Cont1に入力する。本実施形態においては、制御回路Cont1の中にある基準値と抵抗R3の電圧を比較して、抵抗R3の電圧が基準値に達したときMOSFET Q1のスイッチング動作を停止させる過電圧保護を行う。
【0015】
LED負荷LED1を構成するLED直列数により、LED順方向電圧が左右される。従って、図2に示すように複数の種類のLED負荷を接続することを想定すると、LED(列)の個数により出力電圧はVL~VHまで許容電圧を網羅する必要がある。
DC/DCコンバータ1は定電流制御であるが、出力電圧が低くなった分だけ出力電力は低下するので、MOSFET Q1のオンパルス信号は出力電圧VL~VHの比率で増減することになる。特に設定された定電流値が小さい場合には、MOSFET Q1のオンパルス信号を駆動可能な最小パルス幅を下回るケースがでて、間欠発振動作となり、安定した定電流の制御ができなくなる。
ここで、出力電圧がVL寄りの低電圧側の場合に、ダミー負荷回路10のダミー電流を増加させてMOSFET Q1のオンパルス信号を最小パルス幅以上に確保させればよく、出力電圧検出回路11の検出信号に基づき、制御回路Cont1からMOSFET Q2のゲート電圧信号を出力して、ダミー電流が出力電圧上昇に反して減少するように制御させる。
一例として、図2にダミー負荷抵抗Rdの電圧降下特性を示す。(出力電圧のVL~VHの範囲を参照。)このような特性を持たせることで、DC/DCコンバータ1の効率を良好に保てることができる。
【0016】
次に、DC/DCコンバータ1とLED負荷LED1との接続不良、あるいはLED負荷LED1の開放、またはLED負荷LED1内のLEDがインピーダンスを持つ障害が発生した場合において、過電圧保護で停止させずに所定の出力電圧に抑えたいケースがある。(DC/DCコンバータ1の故障が原因ではない、出力電圧上昇のケース。)
従来では、定電圧制御回路を用意して、過電圧保護の検出電圧より低い所定の出力電圧に設定していた。しかし、出力電圧検出回路11およびオペアンプなどの構成部品が必要になり、コストおよび部品実装において基板面積を占有するなどの問題がある。
ここで、本実施形態に係るDC/DCコンバータ1では、MOSFET Q2のソース端子とダミー抵抗Rdとの接続点にツェナーダイオードZDのカソードが接続され、アノードはダイオードD2を介してLED電流検出回路出力のダイオードD3のカソードにオア接続されて制御回路Cont1に接続されている。MOSFET Q2のアバランシェ電圧特性は過電圧保護の検出電圧より低い値に選定され、上記原因で出力電圧が上昇したときに、図2に示すアバランシェ電流によるダミー抵抗Rdの電圧降下がツェナーダイオードDZのツェナー電圧を超えるとダイオードD2を介して制御回路Cont1へ信号を送出し、出力電圧をVB電圧で抑制させる。
すなわち、ツェナーダイオードDZとダイオードD2の追加で定電圧制御回路の代替えをすることが可能である。従い、コスト、部品点数、実装面積を削減できる。
【0017】
(実施形態の応用例)
図3は、図1に示す本実施形態に係るDC/DCコンバータ1の応用例である。応用例のDC/DCコンバータ1aが異なる部分は、ダミー負荷回路11に接続されたツェナーダイオードZDのアノードをLED電流検出回路12aの入力端子に接続し、MOSFET Q2のアバランシェ動作時の信号を重畳するように変更したものである。接続箇所が異なるだけで、動作に変更はなく、同じ効果を得られる。
【0018】
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び
図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様
々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載
していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲
は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるもの
である。
例えば、入力電圧遮断時に出力電圧の残留電圧を安全電圧以下に放電させるために、ダミー負荷回路のMOSFET Q2のゲート端子と出力の正極端子間に抵抗を接続して、電源断時に制御回路が動作停止した後の放電回路を構成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1、1a LED照明用電源装置
10 ダミー負荷回路
11 出力電圧検出回路
12、12a LED電流検出回路
BF1 ゲートドライバ
C1、C2 コンデンサ
Cont1 制御回路
D1~D3 ダイオード
E 入力電圧
L1 リアクトル
LED1 LED負荷
LV1 レベルシフト回路
OP1 オペアンプ
Q1、Q2 MOSFET
R1~R4、Rd、Rc 抵抗
Vref 基準電圧
ZD ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4
図5