(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106018
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】エレベータの制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/36 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B66B1/36 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000665
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳原 崇
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HA01
3F502JB06
3F502KA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エレベータにおいて、上下2つの乗りかごを含んだ搬送部の現在位置の確認が必要になった場合における当該現在位置の特定を、エレベータの構成を煩雑化させずに短時間で行うことを可能にする。
【解決手段】エレベータの制御装置4において、記憶部41には、上下に隣接する停止階の階間距離の少なくとも1つに、当該階間距離に基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けて記憶されている。搬送部の現在位置の確認が必要な場合、制御装置は、上下に隣接する停止階に2つの乗りかごが何れも着床したことを着床検出装置が検出したときに、当該停止階の階間距離を、そのときの2つの乗りかごのかご間距離に基づいて特定し(第1特定処理)、特定した階間距離が、記憶部に記憶されている階間距離の少なくとも1つに一致した場合に、その階間距離に対応付けられている1組の停止階に対応する位置に搬送部の現在位置があると特定する(第2特定処理)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下2つの乗りかごを含んだ搬送部と、当該乗りかごの着床を検出する着床検出装置と、を備え、上下に隣接する停止階についての階間の距離である階間距離について、同じものが他にない階間距離が少なくとも1つ存在するエレベータにおいて、前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合に当該現在位置を特定する制御装置であり、
前記階間距離の少なくとも1つに、当該階間距離に基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けて記憶されている記憶部と、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合において、前記着床検出装置が、上下に隣接する停止階に前記2つの乗りかごが何れも着床したことを検出したときに、当該停止階の階間距離を、そのときの前記2つの乗りかごのかご間距離に基づいて特定する第1特定処理部と、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合において、前記第1特定処理部で特定された前記階間距離が、前記記憶部に記憶されている前記階間距離の少なくとも1つに一致した場合に、その階間距離に対応付けられている前記1組の停止階に対応する位置に前記搬送部の現在位置があると特定する第2特定処理部と、
を備える、エレベータの制御装置。
【請求項2】
前記搬送部には、前記2つの乗りかごの少なくとも何れか一方を移動させて前記かご間距離を変化させる位置調整機構が設けられており、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、前記第1特定処理部は、上下に隣接する最寄りの停止階まで前記搬送部を移動させ、その後、前記位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に前記2つの乗りかごを何れも着床させ、これによって当該停止階に前記2つの乗りかごが何れも着床したことを前記着床検出装置が検出したときに、当該停止階の階間距離を、そのときの前記2つの乗りかごのかご間距離に基づいて特定する、請求項1に記載のエレベータの制御装置。
【請求項3】
前記位置調整機構は、前記2つの乗りかごを同じ移動量で逆向きに移動させる機構であり、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、前記第1特定処理部は、上下に隣接する前記最寄りの停止階の中間位置に前記2つの乗りかごの床面の中間位置が一致するように前記搬送部を移動させ、その後、前記位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に前記2つの乗りかごを何れも着床させる、請求項2に記載のエレベータの制御装置。
【請求項4】
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、前記第1特定処理部は、
上下に隣接する前記最寄りの停止階の中間位置に前記床面の中間位置が一致するように前記搬送部を移動させた後、前記位置調整機構を制御することにより、前記かご間距離が縮む方向へ前記2つの乗りかごを移動させ、
前記かご間距離が下限値に到達するまでに前記2つの乗りかごが着床しなかった場合には、前記位置調整機構を制御することにより、前記かご間距離が拡がる方向へ前記2つの乗りかごを移動させる、請求項3に記載のエレベータの制御装置。
【請求項5】
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、前記第1特定処理部は、上下に隣接する複数組の停止階に前記搬送部を順次移動させ、その都度、前記位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に前記2つの乗りかごを何れも着床させ、
前記記憶部には、前記2つの乗りかごが移動する順序に従った前記複数組の停止階についての前記階間距離の出現パターンに、当該出現パターンに基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けて記憶されており、
前記第2特定処理部は、前記複数組の停止階への着床時に前記第1特定処理部が特定した前記階間距離から得られる出現パターンが、前記記憶部に記憶されている前記出現パターンの何れかに一致した場合に、その出現パターンに対応付けられている前記1組の停止階に対応する位置に搬送部の現在位置があると特定する、請求項2~4の何れかに記載のエレベータの制御装置。
【請求項6】
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、前記第1特定処理部は、上下に隣接する前記最寄りの停止階まで前記搬送部を移動させた後、上階へ1つずつずれた1組の停止階への前記搬送部の上昇を少なくとも1回行うか、或いは、下階へ1つずつずれた1組の停止階への前記搬送部の降下を少なくとも1回行うことにより、前記搬送部を順次移動させる、請求項5に記載のエレベータの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータにおいて搬送部(少なくとも1つの乗りかごを含んだ部分)の現在位置を確認するための制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータには、上下2つの乗りかごを含んだ搬送部を備えたものが存在する。そのようなエレベータにおいて、制御装置は、搬送部の現在位置(実際の現在位置)を把握するための現在位置情報を有しており、正常時には、当該現在位置情報は、搬送部の移動に伴って、その都度、新しい現在位置の情報に更新される。しかし、例えば停電によって搬送部が非常停止した場合などにおいては、現在位置情報が正常に更新されず、搬送部の現在位置を制御装置で正確に把握することが難しくなる。
【0003】
そこで、搬送部の現在位置(実際の現在位置)を把握できなくなった場合には、エレベータを正常状態に復帰させるための復帰運転が行われる。復帰運転では、搬送部の現在位置を把握し直すために、現在位置を特定できる位置まで搬送部を移動させる必要があり、従来は、搬送部を終端階(最上階又は最下階)まで移動させ、当該終端階に搬送部が到達していることを終端階スイッチで検出することにより、搬送部の実際の現在位置を特定していた。そして、現在位置情報を、特定した実際の現地位置に対応した正しい情報に書き換えていた。
【0004】
一方、このような従来の復帰運転では、搬送部がどの位置にあっても、その搬送部を終端階まで移動させなければならず、それが故に、現在位置を把握し直すまでに時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、復帰運転において短時間での現在位置の把握を可能にするべく、各停止階に設置された着床プレート(各停止階への搬送部の着床を検出するためのプレート)にRFIDタグを取り付け、当該RFIDタグから読み取った情報に基づいて搬送部の現在位置を特定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、RFIDタグを利用した技術では、RFIDタグやそれを読み取るための読取装置などの新たなデバイスが必要になる。このため、そのような新たなデバイスにおける正常な動作を維持するためには、当該デバイスに対するメンテナンスが必要になり、それが故にエレベータの保守が煩雑化することになる。
【0008】
そこで本発明の目的は、エレベータにおいて、上下2つの乗りかごを含んだ搬送部の現在位置の確認が必要になった場合における当該現在位置の特定を、エレベータの構成を煩雑化させずに短時間で行うことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る制御装置は、次のようなエレベータに適用可能である。そのエレベータは、上下2つの乗りかごを含んだ搬送部と、当該乗りかごの着床を検出する着床検出装置と、を備え、上下に隣接する停止階についての階間の距離である階間距離について、同じものが他にない階間距離が少なくとも1つ存在する。そして、制御装置は、そのようなエレベータにおいて、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合に当該現在位置を特定する制御装置であり、記憶部と、第1特定処理部と、第2特定処理部と、を備える。記憶部には、階間距離の少なくとも1つに、当該階間距離に基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けて記憶されている。第1特定処理部は、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合において、着床検出装置が、上下に隣接する停止階に2つの乗りかごが何れも着床したことを検出したときに、当該停止階の階間距離を、そのときの2つの乗りかごのかご間距離に基づいて特定する。第2特定処理部は、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合において、第1特定処理部で特定された階間距離が、記憶部に記憶されている階間距離の少なくとも1つに一致した場合に、その階間距離に対応付けられている1組の停止階に対応する位置に搬送部の現在位置があると特定する。
【0010】
上記制御装置によれば、RFIDタグなどの新たな装置を用いなくても、従来から多くのエレベータに設けられている既存の装置(着床検出装置など)だけを用いて、終端階以外の停止階においても搬送部の現在位置を特定することが可能になる。
【0011】
上記エレベータにおいて、搬送部には、2つの乗りかごの少なくとも何れか一方を移動させてかご間距離を変化させる位置調整機構が設けられていてもよい。この構成によれば、エレベータが、階間距離が全て同じであるといった構成を持ったものでなくても、上下に隣接する何れの停止階にも2つの乗りかごを同時に着床させることが可能となる。そして上記制御装置において、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、第1特定処理部は、上下に隣接する最寄りの停止階まで搬送部を移動させ、その後、位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に2つの乗りかごを何れも着床させ、これによって当該停止階に2つの乗りかごが何れも着床したことを着床検出装置が検出したときに、当該停止階の階間距離を、そのときの2つの乗りかごのかご間距離に基づいて特定してもよい。
【0012】
上記エレベータにおいて、位置調整機構は、2つの乗りかごを同じ移動量で逆向きに移動させる機構であってもよい。そして上記制御装置において、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、第1特定処理部は、上下に隣接する最寄りの停止階の中間位置に2つの乗りかごの床面の中間位置が一致するように搬送部を移動させ、その後、位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に2つの乗りかごを何れも着床させてもよい。
【0013】
上記制御装置において、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、第1特定処理部は、上下に隣接する最寄りの停止階の中間位置に床面の中間位置が一致するように搬送部を移動させた後、位置調整機構を制御することにより、かご間距離が縮む方向(又は拡がる方向)へ2つの乗りかごを移動させ、かご間距離が下限値(又は上限値)に到達するまでに2つの乗りかごが着床しなかった場合には、位置調整機構を制御することにより、かご間距離が拡がる方向(又は縮む方向)へ2つの乗りかごを移動させてもよい。この構成によれば、上下に隣接する停止階に2つの乗りかごを確実に着床させることが可能になる。
【0014】
上記制御装置において、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、第1特定処理部は、上下に隣接する複数組の停止階に搬送部を順次移動させ、その都度、位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に2つの乗りかごを何れも着床させてもよい。また、記憶部には、2つの乗りかごが移動する順序に従った複数組の停止階についての階間距離の出現パターンに、当該出現パターンに基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けて記憶されていてもよい。そして、第2特定処理部は、複数組の停止階への着床時に第1特定処理部が特定した階間距離から得られる出現パターンが、記憶部に記憶されている出現パターンの何れかに一致した場合に、その出現パターンに対応付けられている1組の停止階に対応する位置に搬送部の現在位置があると特定してもよい。この構成によれば、エレベータにおいて階間距離に同じものが2つ以上存在する場合であって、階間距離を1つ特定しただけでは搬送部の現在位置を特定できないことがある場合であっても、2つ以上の階間距離で構成される出現パターンを用いることにより、搬送部の現在位置を特定することが可能になり、その結果として、搬送部の現在位置を特定できる機会が増えることになる。
【0015】
上記制御装置において、搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、第1特定処理部は、上下に隣接する最寄りの停止階まで搬送部を移動させた後、上階へ1つずつずれた1組の停止階への搬送部の上昇を少なくとも1回行うか、或いは、下階へ1つずつずれた1組の停止階への搬送部の降下を少なくとも1回行うことにより、搬送部を順次移動させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エレベータにおいて、上下2つの乗りかごを含んだ搬送部の現在位置の確認が必要になった場合における当該現在位置の特定を、エレベータの構成を煩雑化させずに短時間で行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用することが可能なエレベータを例示した概念図である。
【
図2】上下に隣接する停止階に2つの乗りかごが同時に着床した状態を示した概念図である。
【
図3】本発明を適用することが可能なエレベータの階間距離の一例を示した図である。
【
図4】実施形態に係るエレベータ制御装置を示した概念図である。
【
図5】実施形態に係るエレベータ制御装置で用いられる対応管理データの一例を示した概念図である。
【
図6A】実施形態に係るエレベータ制御装置が実行する位置特定処理の一部を示したフローチャートである。
【
図6B】実施形態に係るエレベータ制御装置が実行する位置特定処理の一部を示したフローチャートである。
【
図7】第1変形例に係るエレベータ制御装置で用いられる対応管理データの一例を示した概念図である。
【
図8】(A)本発明を適用することが可能なエレベータの階間距離の別の例を示した図、及び(B)
図8(A)の例を用いて作成される対応管理データを示した概念図である。
【
図9A】第1変形例に係るエレベータ制御装置が実行する位置特定処理の一部を示したフローチャートである。
【
図9B】第1変形例に係るエレベータ制御装置が実行する位置特定処理の一部を示したフローチャートである。
【
図9C】第1変形例に係るエレベータ制御装置が実行する位置特定処理の一部を示したフローチャートである。
【
図9D】第1変形例に係るエレベータ制御装置が実行する位置特定処理の一部を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明を適用することが可能なエレベータを例示した概念図である。
図1の例では、エレベータは、ダブルデッキ型のエレベータであり、上下2つの乗りかご10A及び10Bを含んだ搬送部1と、当該乗りかご10A及び10Bの着床を検出する着床検出装置2と、搬送部1が終端階に到達していることを検出する終端階検出装置3と、を1つの昇降路R内に備えている。また、エレベータは、当該エレベータの運行に必要な各部の制御を行うエレベータ制御装置4を備えている。以下、各部の構成について具体的に説明する。なお、
図2は、上下に隣接する停止階に乗りかご10A及び10Bが同時に着床した状態を示した概念図である。
【0019】
搬送部1は、昇降路R内を移動する外かご11を有しており、当該外かご11内において乗りかご10A及び10Bが上下に配置されている。また、エレベータが、上下に隣接する停止階についての階間の距離(以下、「階間距離Lf」と称す)が全て同じであるといった構成を持ったものでなくても、上下に隣接する何れの停止階にも乗りかご10A及び10Bを同時に着床させること(
図2参照)が可能となる様に、搬送部1には、外かご11内において乗りかご10A及び10Bの少なくとも何れか一方を移動させてかご間距離Lcを変化(拡縮)させる位置調整機構12が設けられている。
【0020】
具体的には、位置調整機構12は、外かご11内において乗りかご10A及び10Bの床面の中間位置が固定点となるように、当該乗りかご10A及び10Bを同じ移動量で逆向きに移動させる機構である。このような構成によれば、乗りかご10A及び10Bについての基準位置PgA及びPgB(例えば、かご間距離Lcを最も縮めたときの位置)からの移動量をそれぞれ変位量LmA及びLmB(ここでは、LmA=LmB。
図2参照)とした場合、基準位置PgA及びPgB間の距離Lgと、変位量LmA及びLmBと、を用いて、かご間距離Lcを、計算式「Lc=Lg+LmA+LmB」で算出することができる。なお、基準位置PgA及びPgBからの移動量(変位量LmA及びLmB)は、位置調整機構12内に設けた計測手段によって計測することができる。一例として、単位量の移動ごとにパルスを発するエンコーダを位置調整機構12内に設け、基準位置PgA及びPgBからの移動に伴ってエンコーダから発せられる総パルス数をカウントすることにより、基準位置PgA及びPgBからの移動量(変位量LmA及びLmB)を算出することができる。
【0021】
着床検出装置2は、外かご停止位置への外かご11の停止を検出する第1検出装置21と、上下に隣接する停止階への乗りかご10A及び10Bの着床を検出する第2検出装置22と、を含んでいる。外かご停止位置は、上下に隣接する停止階の組合せ(1階と2階の組合せ、2階と3階の組合せなど)ごとに設定されており、当該外かご停止位置への外かご11の停止後における位置調整機構12による調整によって上下の停止階に乗りかご10A及び10Bを同時に着床させることが可能となるような位置である。そして、このように1組の停止階に乗りかご10A及び10Bを同時に着床させることが可能な位置に搬送部1があるということは、「1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)がある」ということを意味する。
【0022】
ここでは、位置調整機構12が、乗りかご10A及び10Bを同じ移動量で逆向きに移動させる機構である。そして、外かご停止位置は、上下に隣接する停止階の中間位置に上記固定点が一致するように設定されている。従って、外かご停止位置への外かご11の停止により、2つの乗りかご10A及び10Bの床面の中間位置を、上下に隣接する停止階の中間位置に一致させることができ、更にその状態からの位置調整機構12による調整により、乗りかご10A及び10Bを、同じ移動量で逆向きに移動させて上下の停止階に同時に着床させることができる。そして、このような場合には、1組の停止階の中間位置に乗りかご10A及び10Bの床面の中間位置(固定点)が一致する位置に搬送部1があるということが、「1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)がある」ということを意味する。
【0023】
具体的には、第1検出装置21は、昇降路R内にて外かご停止位置のそれぞれに設けられた第1着床プレート211と、当該第1着床プレート211を検出するセンサであって外かご11に設けられた第1着床センサ212と、によって構成されている。そして、第1着床プレート211が第1着床センサ212によって検出されることにより、外かご停止位置に外かご11が停止したことが検出される。また、第1着床センサ212が第1着床プレート211を検出した場合、当該第1着床センサ212は、第1着床プレート211の検出をエレベータ制御装置4に認識させるべく、第1着床信号S1をエレベータ制御装置4へ送信する。なお、第1着床センサ212には、光学センサなどの非接触式のものが用いられてもよいし、リミットスイッチなどの接触式のものが用いられてもよい。
【0024】
また、第2検出装置22は、昇降路R内にて停止階のそれぞれに設けられた第2着床プレート221と、当該第2着床プレート221を検出するセンサであって乗りかご10A及び10Bに設けられた第2着床センサ222A及び222Bと、によって構成されている。そして、外かご停止位置への外かご11の停止後に位置調整機構12による調整が行われ、上下に隣接する第2着床プレート221が第2着床センサ222A及び222Bによって検出されることにより、上下に隣接する停止階に乗りかご10A及び10Bがそれぞれ着床したことが検出される。また、第2着床センサ222A及び222Bがそれぞれ第2着床プレート221を検出した場合、第2着床センサ222A及び222Bは、それぞれにおける第2着床プレート221の検出をエレベータ制御装置4に認識させるべく、第2着床信号S2A及びS2Bをエレベータ制御装置4へ送信する。なお、第2着床センサ222A及び222Bには、光学センサなどの非接触式のものが用いられてもよいし、リミットスイッチなどの接触式のものが用いられてもよい。
【0025】
終端階検出装置3は、昇降路R内にて上端階及び下端階にそれぞれ設けられた上端階スイッチ31A及び下端階スイッチ31Bと、これらのスイッチのオン/オフを切り替える操作部であって搬送部1(例えば、外かご11)に設けられたスイッチ操作部32と、によって構成されている。そして、スイッチ操作部32によって上端階スイッチ31Aがオフからオンに切り替わった状態になることにより、搬送部1が上端階に到達していることが検出される。また、スイッチ操作部32によって下端階スイッチ31Bがオフからオンに切り替わった状態になることにより、搬送部1が下端階に到達していることが検出される。なお、終端階検出装置3は、このような接触式のものに限らず、光学センサなどを用いて非接触で上端階及び下端階の何れかに搬送部1が到達していることを検出できるものに適宜変更されてもよい。また、終端階検出装置3は、上端階に搬送部1が到達していることのみを検出するものや、下端階に搬送部1が到達していることのみを検出するものに適宜変更されてもよいし、終端階(上端階や下端階)に限定されない特定階に搬送部1が到達していることを検出するものに適宜変更されてもよい。
【0026】
エレベータ制御装置4は、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を把握するための現在位置情報Ipを有しており、正常時には、当該現在位置情報Ipは、搬送部1の移動に伴って、その都度、新しい現在位置の情報に更新される。しかし、例えば停電によって搬送部1が非常停止した場合などにおいては、現在位置情報Ipが正常に更新されず、搬送部1の現在位置をエレベータ制御装置4で正確に把握することが難しくなる。
【0027】
本発明は、このようなエレベータにおいて、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)の確認が必要になった場合(例えば停電によって搬送部1が非常停止した場合など、搬送部1の現在位置を把握できなくなった場合)に当該現在位置を特定することを可能にするものである。
【0028】
更に、本発明を適用することが可能なエレベータとして、上述したエレベータは、階間距離Lfについて、同じものが他にない階間距離Lfが少なくとも1つ存在するといった構成を持ったものである。
図3は、本発明を適用することが可能なエレベータの階間距離Lfの一例を示した図である。
図3の例では、1~10階が停止階であって、それらの階間距離Lfの一部が、同じものが他にない階間距離Lfである場合が示されている。具体的には、1階と2階の階間距離Lfが4750mm、2階と3階の階間距離Lfが4250mm、4階と5階の階間距離Lfが5000mm、8階と9階の階間距離Lfが3500mm、9階と10階の階間距離Lfが3000mmであり、これらの階間距離Lfにおいては同じものが他にない。一方、5階と6階の階間距離Lf及び7階と8階の階間距離Lfは同じ4000mmであり、また、3階と4階の階間距離Lf及び6階と7階の階間距離Lfは同じ4500mmであり、同じものが2つ存在している。なお、本発明を適用することが可能なエレベータとして、全ての階間距離Lfが、同じものが他にない階間距離Lfであるエレベータ(即ち、階間距離Lfが全て異なっているもの)であってもよい。
【0029】
以下、このようなエレベータにおいて本発明をエレベータ制御装置4に適用した実施形態について、具体的に説明する。
【0030】
[1]実施形態
図4は、実施形態に係るエレベータ制御装置4を示した概念図である。
図4に示される様に、エレベータ制御装置4は、記憶部41と、制御部42と、を備える。そして、本実施形態のエレベータ制御装置4は、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)の確認が必要になった場合に当該現在位置を特定するための位置特定処理を行う。具体的には、エレベータ制御装置4は、搬送部1の現在位置の確認が必要になった場合、搬送部1の実際の現在位置を特定し、当該搬送部1の移動に伴って変化する現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0031】
記憶部41は、ROMやRAMで構成される部分であり、記憶部41には、上述した基準位置PgA及びPgB間の距離Lgや現在位置情報Ip、更には、後述する対応管理データDpなどが記憶されている。そして正常時には、現在位置情報Ipは、搬送部1の移動に伴って、その都度、新しい現在位置の情報に更新される。一方、例えば停電によって搬送部1が非常停止した場合などにおいては、現在位置情報Ipが正常に更新されず、搬送部1の現在位置を正確に把握することが難しくなる。なぜなら、正常時においては、搬送部1を吊すロープが掛けられたシーブの回転量を、例えばエンコーダの出力値(総パルス数)から算出し、算出したシーブの回転量を搬送部1の移動量に換算することで、搬送部1の現在位置を正確に把握することができるが、非常停止時においては、シーブの急停止に伴ってロープのスリップなどが発生することにより、シーブの回転量から換算して得られる搬送部1の移動量が実際の移動量からずれてしまい、それが原因で、搬送部1の現在位置を正確に把握することが難しくなるからである。そこで、本実施形態では、復帰運転によって搬送部1の現在位置を把握し直すことが必要になった場合(即ち、搬送部1の現在位置の確認が必要になった場合)に、位置特定処理が実行される。
【0032】
図5は、対応管理データDpの一例を示した概念図である。
図5の例に示された対応管理データDpでは、
図3の例に示された階間距離Lfのうちの同じものが他にない階間距離Lfごとに、当該階間距離Lfに基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けられている。具体的には、階間距離Lfのうちの同じものが他にない3500mm、4250mm、及び5000mmのそれぞれに、
図3の例にて対応している1組の停止階(8階と9階、2階と3階、及び4階と5階)が、一意に決まる1組の停止階として対応付けられている。
【0033】
なお、
図3の例においては、3000mm及び4750mmについても、同じものが他になく、それらに対応する1組の停止階が一意に決まる。しかし、これらは上端及び下端における1組の停止階であるため、これらに対応する位置に搬送部1が停止している場合には、後述するように(
図6B参照)、上端階スイッチ31A又は下端階スイッチ31Bがオフからオンへ切り替わった状態になっており、それに基づいて搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定できる。このため、上端及び下端における1組の停止階の階間距離Lfについては、たとえ同じものが他にない階間距離である場合でも、対応管理データDpには含まれていない。
【0034】
このような対応管理データDpは、終端階(上端階スイッチ31A又は下端階スイッチ31Bがオンになっている状態)から次の停止階へ搬送部1を順次移動させると共に、乗りかご10A及び10Bを着床させ、その都度、終端階からの乗りかご10A及び10Bの移動量を測定するといった学習運転により、予め作成することができる。
【0035】
制御部42は、CPU等の処理装置で構成される部分であり、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)の確認が必要になった場合に行う位置特定処理では、階間距離Lfを特定するための第1特定処理を実行し、その後、搬送部1の現在位置を特定するための第2特定処理を実行する。
【0036】
第1特定処理では、制御部42は、上下に隣接する最寄りの停止階まで搬送部1を移動させ、その後、それらの停止階に乗りかご10A及び10Bを何れも着床させるべく、位置調整機構12を制御する。そして、着床検出装置2が、最寄りの停止階に乗りかご10A及び10Bが何れも着床したことを検出した場合に、制御部42は、当該停止階の階間距離Lfを、そのときの乗りかご10A及び10Bのかご間距離Lcに基づいて特定する。
【0037】
具体的には、制御部42は先ず、第1着床プレート211を第1着床センサ212によって検出することができる最寄りの位置(外かご停止位置)まで搬送部1を移動(降下又は上昇)させる。これにより、上下に隣接する最寄りの停止階の中間位置に、2つの乗りかご10A及び10Bの床面の中間位置が一致する。その後、制御部42は、位置調整機構12を制御することにより、当該停止階に設けられている上下2つの第2着床プレート221を第2着床センサ222A及び222Bによって検出することができる位置まで、乗りかご10A及び10Bを、同じ移動量で逆向き(かご間距離Lcが縮む方向、又はかご間距離Lcが拡がる方向)に移動させる。
【0038】
そして、制御部42は、上下2つの第2着床プレート221が第2着床センサ222A及び222Bによって検出されたときに、乗りかご10A及び10Bを停止させ、そのときの当該乗りかご10A及び10Bのかご間距離Lcを算出する。具体的には、制御部42は、基準位置PgA及びPgB(例えば、かご間距離Lcを最も縮めたときの位置)からの乗りかご10A及び10Bの移動量をそれぞれ変位量LmA及びLmB(ここでは、LmA=LmB。
図2参照)として、当該変位量LmA及びLmBに基づいて、かご間距離Lcを算出する。より具体的には、制御部42は、基準位置PgA及びPgB間の距離Lgと、変位量LmA及びLmBと、を用いて、かご間距離Lcを、計算式「Lc=Lg+LmA+LmB」で算出する。そして、制御部42は、算出したかご間距離Lcを階間距離Lfとして特定する。
【0039】
第2特定処理では、制御部42は、記憶部41に記憶されている対応管理データDpを参照することにより、第1特定処理で特定した階間距離Lfが、対応管理データDpに記録されている階間距離Lfの何れかに一致するか否かを判断し、「一致する(Yes)」と判断できた場合に、対応管理データDpにてその階間距離Lfに対応付けられている1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0040】
一方、制御部42は、「一致しない(No)」と判断した場合には、第2特定処理から終端階用特定処理に移行する。終端階用特定処理では、制御部42は、搬送部1を終端階まで移動させ、上端階スイッチ31Aがオフからオンに切り替わった状態になった場合には、それを以て上端の1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定し、下端階スイッチ31Bがオフからオンに切り替わった状態になった場合には、それを以て下端の1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0041】
本実施形態では、上述した第1特定処理及び第2特定処理は、制御部42(CPU等の処理装置)内に構成される第1特定処理部421及び第2特定処理部422により実行される(
図4参照)。具体的には、第1特定処理部421及び第2特定処理部422は、プログラムとして実装されている。そして、そのようなプログラムは、記憶部41に記憶されている。なお、当該プログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、CD等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み取られたものが記憶部41に記憶されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされたものが記憶部41に記憶されてもよい。なお、第1特定処理部421及び第2特定処理部422は、プログラムとして実装されたものに限らず、回路などのハードウェアで構成されたものに適宜変更されてもよい。
【0042】
次に、エレベータ制御装置4(制御部42)が実行する位置特定処理の詳細について、説明する。以下では、特に、搬送部1を降下させて当該搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定する場合について、
図6A及び
図6Bのフローチャートを用いて説明する。
図6Aでは、位置特定処理のうちの第1特定処理がステップS101~S111で構成され、位置特定処理のうちの第2特定処理がステップS201~203で構成されている。また、
図6Bでは、位置特定処理のうちの終端階用特定処理がステップS211~S213で構成されている。なお、以下の説明は、適宜、「降下」、「下端」、「下端階」、及び「下端階スイッチ31B」を、「上昇」、「上端」、「上端階」、及び「上端階スイッチ31A」とそれぞれ読み替えることにより、搬送部1を上昇させて当該搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定する場合にも使用できる。
【0043】
位置特定処理が開始されると、制御部42は先ず、第1着床プレート211を第1着床センサ212によって検出することができる最寄りの位置(外かご停止位置)まで搬送部1を移動(降下)させる。具体的には、制御部42は、搬送部1を降下させつつ(ステップS101)、第1着床センサ212から第1着床信号S1を受信したか否かを判断する(ステップS102)。そして、制御部42は、ステップS102にて「受信した(Yes)」と判断できるまで、ステップS101を繰り返し実行することにより、搬送部1の降下を継続する。
【0044】
制御部42は、ステップS102にて「受信した(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、上下に隣接する最寄りの停止階(具体的には、当該停止階に対応した外かご停止位置)に搬送部1が到達していると判断できるため、搬送部1を停止させる(ステップS103)。これにより、上下に隣接する最寄りの停止階の中間位置に、2つの乗りかご10A及び10Bの床面の中間位置が一致する。
【0045】
ステップS103の実行後(搬送部1の停止後)、制御部42は、下端階スイッチ31Bがオフからオンに切り替わった状態になったか否かを判断する(ステップS104)。制御部42は、ステップS104にて「切り替わった状態になった(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、搬送部1は下端の1組の停止階に停止している(
図1参照)と判断できるため、当該下端の1組の停止階(1階と2階)に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する(ステップS213)。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0046】
一方、制御部42は、ステップS104にて「切り替わった状態になっていない(No)」と判断した場合、その判断を以て、搬送部1は終端階以外の1組の停止階に停止しており、当該搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定するための更なる処理が必要であると判断できる。
【0047】
そこで、制御部42は、ステップS104にて「切り替わった状態になっていない(No)」と判断した場合、先ず、そのときに搬送部1が停止している1組の停止階の階間距離Lfを特定するために、当該1組の停止階に乗りかご10A及び10Bを何れも着床させる。具体的には、制御部42は、位置調整機構12を制御することにより、上記1組の停止階に設けられている第2着床プレート221を第2着床センサ222A及び222Bによって検出することができる位置まで、乗りかご10A及び10Bを、同じ移動量で逆向き(かご間距離Lcが縮む方向、又はかご間距離Lcが拡がる方向)に移動させる(ステップS105~S110)。
【0048】
具体的には、制御部42は先ず、位置調整機構12を制御することにより、かご間距離Lcが縮む方向へ乗りかご10A及び10Bを移動させる(ステップS105)。その後、制御部42は、乗りかご10A及び10Bを縮む方向へ移動させつつ、第2着床センサ222A及び222Bから第2着床信号S2A及びS2Bを何れも受信したか否かを判断する(ステップS106)。
【0049】
そして、制御部42は、ステップS106にて「受信した(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、上下に隣接する上記1組の停止階に乗りかご10A及び10Bが到達していると判断できるため、当該乗りかご10A及び10Bを停止させて位置調整を完了する(ステップS110)。
【0050】
一方、制御部42は、ステップS106にて「受信していない(No)」と判断した場合、かご間距離Lcが、最も縮んだときの値である下限値に到達しているか否かを判断する(ステップS107)。そして、制御部42は、ステップS107にて「到達していない(No)」と判断した場合には、ステップS105からの処理を再び実行することにより、縮む方向への乗りかご10A及び10Bの移動を継続する。
【0051】
制御部42は、ステップS107にて「到達している(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、縮む方向への移動だけでは乗りかご10A及び10Bを着床させることができないと判断できる。この場合、制御部42は、拡がる方向において乗りかご10A及び10Bの着床位置を探すべく、位置調整機構12を制御することにより、乗りかご10A及び10Bの移動方向をかご間距離Lcが拡がる方向へ切り替える(ステップS108)。その後、制御部42は、乗りかご10A及び10Bを拡がる方向へ移動させつつ、第2着床センサ222A及び222Bから第2着床信号S2A及びS2Bを何れも受信したか否かを判断する(ステップS109)。そして、制御部42は、ステップS109にて「受信した(Yes)」と判断できるまで、ステップS108を繰り返し実行することにより、拡がる方向への乗りかご10A及び10Bの移動を継続する。
【0052】
制御部42は、ステップS109にて「受信した(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、上下に隣接する上記1組の停止階に乗りかご10A及び10Bが到達していると判断できるため、当該乗りかご10A及び10Bを停止させて位置調整を完了する(ステップS110)。
【0053】
このように、縮む方向への移動で乗りかご10A及び10Bを着床させることができなかった場合に、当該乗りかご10A及び10Bを拡がる方向へ移動させることにより、上下に隣接する停止階に乗りかご10A及び10Bを確実に着床させることが可能になる。なお、ステップS105~S110では、制御部42は、先ず、かご間距離Lcが拡がる方向へ乗りかご10A及び10Bを移動させ、かご間距離Lcが上限値に到達するまでに乗りかご10A及び10Bが着床しなかった場合に、かご間距離Lcが縮む方向へ乗りかご10A及び10Bを移動させてもよい。この場合も、上下に隣接する停止階に乗りかご10A及び10Bを確実に着床させることが可能になる。
【0054】
ステップS110の実行後(位置調整の完了後)、制御部42は、そのときの乗りかご10A及び10Bのかご間距離Lcを算出し、算出したかご間距離Lcを階間距離Lfとして特定する(ステップS111。Lf=Lc)。具体的には、制御部42は、乗りかご10A及び10Bの変位量LmA及びLmB(ここでは、LmA=LmB。
図2参照)に基づいて、かご間距離Lcを算出する。より具体的には、制御部42は、計算式「Lc=Lg+LmA+LmB」(Lgは、基準位置PgA及びPgB間の距離)に変位量LmA及びLmBの値を代入することにより、かご間距離Lcを算出する。そして、制御部42は、算出したかご間距離Lcを階間距離Lfとして特定する。
【0055】
ステップS111の実行後(階間距離Lfの特定後)、制御部42は、記憶部41に記憶されている対応管理データDpを参照することにより、ステップS111で特定した階間距離Lfが、対応管理データDpに記録されている階間距離Lfの何れかに一致するか否かを判断する(ステップS201)。
【0056】
制御部42は、ステップS201にて「一致する(Yes)」と判断できた場合、対応管理データDpにてその階間距離Lfに対応付けられている1組の停止階を抽出し(ステップS202)、抽出した1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する(ステップS203)。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0057】
一方、制御部42は、ステップS201にて「一致しない(No)」と判断した場合には、終端階用特定処理(
図6B)へ移行する。終端階用特定処理では、制御部42は、搬送部1を下端階へ移動(降下)させる(ステップS211)。また、制御部42は、搬送部1を降下させつつ、下端階スイッチ31Bがオフからオンに切り替わった状態になったか否かを判断する(ステップS212)。そして、制御部42は、ステップS212にて「切り替わった状態になった(Yes)」と判断できるまで、ステップS211を繰り返し実行することにより、搬送部1の降下を継続する。
【0058】
制御部42は、ステップS212にて「切り替わった状態になった(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、搬送部1は下端の1組の停止階に到達している(
図1参照)と判断できるため、当該下端の1組の停止階(1階と2階)に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する(ステップS213)。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0059】
このように、本実施形態のエレベータ制御装置4によれば、RFIDタグなどの新たな装置を用いなくても、従来から多くのエレベータに設けられている既存の装置(着床検出装置2など)だけを用いて、終端階以外の停止階においても搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定することができる。よって、エレベータにおいて、搬送部1の現在位置の確認が必要になった場合における当該現在位置の特定を、エレベータの構成を煩雑化させずに短時間で行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態のエレベータ制御装置4において、制御部42は、第2特定処理で搬送部1の現在位置を特定できなかった場合(具体的には、
図6AのステップS201にて「一致しない(No)」と判断した場合)には、終端階用特定処理(
図6B)へ移行することに代えて、次の最寄りの停止階(下階へ1つずれた1組の停止階)を対象としてステップS101から処理を再度実行してもよい。そして、そのような処理を、搬送部1の現在位置を特定できるまで繰り返し行ってもよいし、1回又は何回か行い、それでも特定できない場合に終端階用特定処理(
図6B)へ移行してもよい。
【0061】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
エレベータにおいて階間距離Lfに同じものが2つ以上存在する場合(
図3参照)、上述したエレベータ制御装置4では、それらの階間距離Lfが対応管理データDpから除かれていた(
図5参照)。そのため、制御部42は、第1特定処理(
図6AのステップS111)で特定した階間距離Lfが、同じものが2つ以上存在する階間距離であった場合には、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定するために、搬送部1を下端階まで移動させる必要があった。これに代えて、制御部42は、上下に隣接する複数組の停止階に搬送部1を順次移動させると共に、その都度、階間距離Lf(n)(nは、移動の順序を示す変数。ここでは、「移動の順序」とは、何回目の移動なのかを意味する)を特定し、その移動の順序に従った階間距離Lf(n)の出現パターンに基づいて搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定してもよい。
【0062】
一例として、制御部42は、上階へ1つずつずれた1組の停止階への搬送部1の上昇を少なくとも1回行うか、或いは、下階へ1つずつずれた1組の停止階への搬送部1の降下を少なくとも1回行うことにより、搬送部1を順次移動させることができる。以下では、下階へ1つずつずれた1組の停止階へ搬送部1を順次降下させると共に、その都度、階間距離Lf(n)を特定し、特定した階間距離Lf(n)の出現パターンに基づいて搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定する場合について、具体的に説明する。
【0063】
図7は、第1変形例に係るエレベータ制御装置4で用いられる対応管理データDpの一例を示した概念図である。
図7の例に示された対応管理データDpでは、
図3の例に示された階間距離Lfを用いて、移動の順序を考慮したときの階間距離Lf(n)の出現パターンごとに、当該出現パターンに基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けられている。また、本変形例の対応管理データDpでは、出現パターンごとに、処理回数Nが対応付けられている。ここで、処理回数Nは、出現パターンがいくつの階間距離Lf(n)で構成されているのか示すパラメータである。換言すれば、処理回数Nは、1組の停止階を一意に特定できるようになるまでに、第1特定処理(搬送部1を順次移動させて階間距離Lf(n)を特定するための処理)を何回行う必要があるのかを、エレベータ制御装置4に把握させるためのパラメータである。
【0064】
具体的には、階間距離Lf(1)が、階間距離Lfのうちの同じものが他にない3500mm、4250mm、及び5000mmである場合には、階間距離Lf(1)だけで構成される出現パターンのそれぞれに、
図3の例にて当該階間距離Lf(1)の値に対応している1組の停止階が、一意に決まる1組の停止階として対応付けられている。また、それらの出現パターンには、処理回数Nとして「1」が対応付けられている。
【0065】
一方、階間距離Lf(1)が、階間距離Lfのうちの同じものが2つある4000mm及び4500mmである場合には、階間距離Lf(1)だけでは1組の停止階が一意に決まらない。そこで、対応管理データDpでは、更に階間距離Lf(2)が考慮されることにより、2つの階間距離Lf(1)及びLf(2)で構成される出現パターンのそれぞれに、
図3の例にて当該階間距離Lf(2)の値に対応している1組の停止階が、一意に決まる1組の停止階として対応付けられている。また、それらの出現パターンには、処理回数Nとして「2」が対応付けられている。
【0066】
図8(A)は、階間距離Lfの別の例を示した図であり、
図8(B)は、
図8(A)の例を用いて作成される対応管理データDpを示した概念図である。
図8(A)の例では、階間距離Lfにおいて同じものが3つある場合が示されている。具体的には、3階と4階の階間距離Lf、4階と5階の階間距離Lf、及び5階と6階の階間距離Lfが、同じ4500mmである。この場合、
図8(B)に示されるように、階間距離Lf(1)及びLf(2)が何れも4500mmである場合には、これら2つの階間距離Lf(1)及びLf(2)だけでは1組の停止階が一意に決まらない。そこで、対応管理データDpでは、更に階間距離Lf(3)が考慮されることにより、3つの階間距離Lf(1)、Lf(2)、及びLf(3)で構成される出現パターンのそれぞれに、
図8(A)の例にて当該階間距離Lf(3)の値に対応している1組の停止階が、一意に決まる1組の停止階として対応付けられている。また、それらの出現パターンには、処理回数Nとして「3」が対応付けられている。なお、1番目の階間距離Lf(1)が4500mmであっても、2番目の階間距離Lf(2)が5000mmになった場合には、2回の処理回数で1組の停止階が一意に決まるため、この場合は、3番目の階間距離Lf(3)を考慮する必要がない。
【0067】
このように、階間距離Lfに同じものが2つ以上存在する場合であっても、1組の停止階を一意に対応付けることができる出現パターンを適宜構成することができる。従って、
図3や
図8(A)の例に限定されない階間距離Lfの様々な例において、そのような出現パターンを構成し、対応管理データDpにて各出現パターンに1組の停止階を一意に対応付けることにより、出現パターンに基づいて搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定することが可能になる。
【0068】
図9A~
図9Dは、第1変形例に係るエレベータ制御装置4が実行する位置特定処理を示したフローチャートである。本変形例では、位置特定処理が開始されると、制御部42は先ず、移動の順序(即ち、何回目の移動なのか)を示す変数nを1に設定する(
図9AのステップS100A)。その後、制御部42は、上記実施形態(
図6A)で説明したステップS101~S111と同じ処理を実行する。そして、ステップS111では、制御部42は、算出したかご間距離Lcを階間距離Lf(n)(この段階では、n=1)として特定する。
【0069】
ステップS111の実行後(階間距離Lf(n)の特定後)、制御部42は、階間距離Lf(n)の特定が1回目であるか否かを把握するべく、変数nが1であるか否かを判断する(
図9BのステップS201A)。そして、制御部42は、ステップS201Aにて「変数nは1である(Yes)」と判断した場合、記憶部41に記憶されている対応管理データDp(
図7や
図8(B))を参照することにより、ステップS111で特定した階間距離Lf(1)が、対応管理データDpに記録されている階間距離Lf(1)の何れかに一致するか否かを判断する(
図9BのステップS201B)。
【0070】
制御部42は、ステップS201Bにて「一致する(Yes)」と判断できた場合、ステップS111で特定した階間距離Lf(1)(出現パターン)だけで1組の停止階を一意に特定できるか否かを判断するべく、対応管理データDpにて当該階間距離Lf(1)に対応付けられている処理回数Nが「1」であるか否かを判断する(
図9BのステップS201C)。一方、制御部42は、ステップS201Bにて「一致しない(No)」と判断した場合には、上記実施形態(
図6B)で説明した終端階用特定処理と同じ処理(
図9D)を実行する。
【0071】
制御部42は、ステップS201Cにて「処理回数Nは1である(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、階間距離Lf(1)だけで1組の停止階を一意に特定できると判断できるため、対応管理データDpにてその階間距離Lf(1)に対応付けられている1組の停止階を抽出し(
図9BのステップS202)、抽出した1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する(
図9BのステップS203)。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0072】
一方、制御部42は、ステップS201Cにて「処理回数Nは1でない(No)」と判断した場合、その判断を以て、階間距離Lf(1)だけでは1組の停止階を一意に特定できず、更に2番目の階間距離Lf(2)を特定する必要があると判断できるため、ステップS100Bにて変数nに「1」に加えた後(即ち、変数nを「2」にした後)、ステップS101からの処理を再度実行する。この場合、制御部42は、その後のステップS201Aにて「変数nは1でない(No)」と判断することになる。
【0073】
そして、制御部42は、ステップS201Aにて「変数nは1でない(No)」と判断した場合には、記憶部41に記憶されている対応管理データDp(
図7や
図8(B))を参照することにより、それまでにステップS111で特定した階間距離Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)が、対応管理データDpに記録されている階間距離Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)の何れかに一致するか否かを判断する(
図9CのステップS221)。
【0074】
制御部42は、ステップS221にて「一致する(Yes)」と判断できた場合、それまでにステップS111で特定した階間距離Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)だけで1組の停止階を一意に特定できるか否かを判断するべく、対応管理データDpにて当該Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)に対応付けられている処理回数Nが「n」であるか否かを判断する(
図9CのステップS222)。一方、制御部42は、ステップS221にて「一致しない(No)」と判断した場合には、上記実施形態(
図6B)で説明した終端階用特定処理と同じ処理(
図9D)を実行する。
【0075】
制御部42は、ステップS222にて「処理回数Nはnである(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、階間距離Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)だけで1組の停止階を一意に特定できると判断できるため、対応管理データDpにてその階間距離Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)に対応付けられている1組の停止階を抽出し(
図9CのステップS223)、抽出した1組の停止階に対応する位置に搬送部1の現在位置(実際の現在位置)があると特定する(
図9CのステップS224)。そして、制御部42は、現在位置情報Ipを、搬送部1の実際の現在位置に対応した正しい情報に書き換える。
【0076】
一方、制御部42は、ステップS222にて「処理回数Nはnでない(No)」と判断した場合、その判断を以て、階間距離Lf(1)、・・・、Lf(n)(出現パターン)だけでは1組の停止階を一意に特定できず、更に(n+1)番目の階間距離Lf(n+1)を特定する必要があると判断できるため、ステップS100Bにて変数nに「1」に加えた後(即ち、変数nを「n+1」にした後)、ステップS101からの処理を再度実行する。
【0077】
このように、本変形例のエレベータ制御装置4によれば、エレベータにおいて階間距離Lfに同じものが2つ以上存在する場合であって、階間距離Lfを1つ特定しただけでは搬送部1の現在位置を特定できないことがある場合であっても、上述したように2つ以上の階間距離Lfで構成される出現パターンを用いることにより、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)を特定することが可能になり、その結果として、搬送部1の現在位置を特定できる機会が増えることになる。
【0078】
なお、本変形例のエレベータ制御装置4において、搬送部1の現在位置(実際の現在位置)の特定に用いられる出現パターンは、上述したものに限らず、1組の停止階を一意に決めることができるものであれば、他の様々なパターンに適宜変更されてもよい。また、本変形例の対応管理データDpにおいて、1組の停止階を一意に対応付けることができるのであれば、上述したように出現パターンを構成する階間距離Lf(n)に限らず、1つの纏まりだけを持った複数の階間距離Lf(n)(例えば、順序を考慮しないもの)に1組の停止階が一意に対応付けられてもよい。
【0079】
[2-2]他の変形例
エレベータは、複数の昇降路Rを備えたものであってもよく、各昇降路Rに、搬送部1、着床検出装置2、及び終端階検出装置3が設けられていてもよい。この場合、昇降路Rの全てにエレベータ制御装置4が1つずつ設けられ、且つ、それらが群管理制御装置(不図示)によって一元的に管理及び制御されることになる。そして、各昇降路Rにおいて搬送部1の現在位置(実際の現在位置)の確認が必要になった場合、群管理制御装置が、エレベータ制御装置4に代わって、上述した位置特定処理を行ってもよい。
【0080】
搬送部1の構成は、かご間距離Lcを特定できるものであれば、上述したものに限らず、別の構成に適宜変更されてもよい。例えば、位置調整機構12は、乗りかご10A及び10Bの何れか一方のみを上下に移動させるものに変更されてもよいし、それぞれを互いに独立に上下に移動させるものに変更されてもよい。また、搬送部1は、外かご11を持たないものに変更されてもよい。
【0081】
上述したエレベータ制御装置4は、ダブルデッキ型のエレベータに限らず、3つ以上の乗りかごを備えたマルチデッキ型のエレベータにも適用できる。
【0082】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 搬送部
2 着床検出装置
3 終端階検出装置
4 エレベータ制御装置
N 処理回数
R 昇降路
10A、10B 乗りかご
11 外かご
12 位置調整機構
21 第1検出装置
22 第2検出装置
31A 上端階スイッチ
31B 下端階スイッチ
32 スイッチ操作部
41 記憶部
42 制御部
Dp 対応管理データ
Ip 現在位置情報
Lc かご間距離
Lf 階間距離
S1 第1着床信号
S2A、S2B 第2着床信号
211 第1着床プレート
212 第1着床センサ
221 第2着床プレート
222A、222B 第2着床センサ
421 第1特定処理部
422 第2特定処理部
LmA、LmB 変位量
PgA、PgB 基準位置
【手続補正書】
【提出日】2022-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
上下2つの乗りかごを含んだ搬送部と、当該乗りかごの着床を検出する着床検出装置と、を備え、上下に隣接する停止階についての階間の距離である階間距離について、同じものが他にない階間距離が少なくとも1つ存在するエレベータにおいて、前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合に当該現在位置を特定する制御装置であり、
前記階間距離の少なくとも1つに、当該階間距離に基づいて一意に決まる1組の停止階が対応付けて記憶されている記憶部と、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合において、前記着床検出装置が、上下に隣接する停止階に前記2つの乗りかごが何れも着床したことを検出したときに、そのときの前記2つの乗りかごのかご間距離に基づいて、当該停止階の階間距離を特定する第1特定処理部と、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合において、前記第1特定処理部で特定された前記階間距離が、前記記憶部に記憶されている前記階間距離の少なくとも1つに一致した場合に、その階間距離に対応付けられている前記1組の停止階に対応する位置に前記搬送部の現在位置があると特定する第2特定処理部と、
を備える、エレベータの制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記搬送部には、前記2つの乗りかごの少なくとも何れか一方を移動させて前記かご間距離を変化させる位置調整機構が設けられており、
前記搬送部の現在位置の確認が必要になった場合、前記第1特定処理部は、上下に隣接する最寄りの停止階まで前記搬送部を移動させ、その後、前記位置調整機構を制御することにより、それらの停止階に前記2つの乗りかごを何れも着床させ、これによって当該停止階に前記2つの乗りかごが何れも着床したことを前記着床検出装置が検出したときに、そのときの前記2つの乗りかごのかご間距離に基づいて、当該停止階の階間距離を特定する、請求項1に記載のエレベータの制御装置。