(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106049
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】エレベータかご装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B66B11/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000743
(22)【出願日】2021-01-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
【テーマコード(参考)】
3F306
【Fターム(参考)】
3F306CA32
3F306CB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】かご室内の荷重の検出に誤差が生じることを抑制することができるエレベータかご装置を提供する。
【解決手段】エレベータかご装置2は、床枠を有するかご室と、床枠を支持するかご枠5と、第1横方向に延び、かご枠5を支持する支持枠7と、かご枠5と支持枠7とを接続する支持弾性部と、かごロープが巻き掛けられ、支持枠7に回転可能に接続されるかごシーブ2aと、支持枠7に対する荷重を検出する荷重検出部10と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床枠を有するかご室と、
前記床枠を支持するかご枠と、
第1横方向に延び、前記かご枠を支持する支持枠と、
前記かご枠と前記支持枠とを接続する支持弾性部と、
かごロープが巻き掛けられ、前記支持枠に回転可能に接続されるかごシーブと、
前記支持枠に対する荷重を検出する荷重検出部と、を備える、エレベータかご装置。
【請求項2】
前記支持弾性部は、前記第1横方向において、前記かごシーブと同じ位置に配置される、請求項1に記載のエレベータかご装置。
【請求項3】
前記支持弾性部は、前記支持枠の前記第1横方向の一方側に配置される第1支持弾性部と、前記支持枠の前記第1横方向の他方側に配置される第2支持弾性部と、を含み、
前記荷重検出部は、前記支持枠に固定され、
前記かご枠は、前記荷重検出部に検出される被検出部を備え、
前記被検出部は、前記第1横方向において、前記第1支持弾性部と前記第2支持弾性部との間の中心位置に配置される、請求項1又は2に記載のエレベータかご装置。
【請求項4】
前記床枠と前記かご枠とを接続する複数のかご弾性部をさらに備える、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータかご装置。
【請求項5】
前記支持弾性部のばね定数は、前記かご弾性部のばね定数よりも、大きい、請求項4に記載のエレベータかご装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータかご装置を備える、エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータかご装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータかご装置は、床枠を有するかご室と、床枠を支持するベース枠と、床枠とベース枠とを接続する複数のかご弾性部と、ベース枠に対するかご室の変位量を検出する検出部とを備えている(例えば、特許文献1)。これにより、かご室内の荷重を検出することができる。
【0003】
ところで、かご室内の人の位置によって、床枠に不均一な荷重が働くため、床枠が弾性変形する場合がある。斯かる場合には、床枠の変形が、ベース枠に対する床枠の変位量として検出部に検出されるため、検出部で検出した荷重とかご室内の実際の荷重との間に誤差が生じる。なお、床枠が矩形状に形成されているため、床枠の弾性変形の状況は、例えば、撓んだり、捻じれたりして、予測し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、かご室内の荷重の検出に誤差が生じることを抑制することができるエレベータかご装置及びエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータかご装置は、床枠を有するかご室と、前記床枠を支持するかご枠と、第1横方向に延び、前記かご枠を支持する支持枠と、前記かご枠と前記支持枠とを接続する支持弾性部と、かごロープが巻き掛けられ、前記支持枠に回転可能に接続されるかごシーブと、前記支持枠に対する荷重を検出する荷重検出部と、を備える。
【0007】
また、エレベータかご装置においては、前記支持弾性部は、前記第1横方向において、前記かごシーブと同じ位置に配置される、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータかご装置においては、前記支持弾性部は、前記支持枠の前記第1横方向の一方側に配置される第1支持弾性部と、前記支持枠の前記第1横方向の他方側に配置される第2支持弾性部と、を含み、前記荷重検出部は、前記支持枠に固定され、前記かご枠は、前記荷重検出部に検出される被検出部を備え、前記被検出部は、前記第1横方向において、前記第1支持弾性部と前記第2支持弾性部との間の中心位置に配置される、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータかご装置は、前記床枠と前記かご枠とを接続する複数のかご弾性部をさらに備える、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータかご装置においては、前記支持弾性部のばね定数は、前記かご弾性部のばね定数よりも、大きい、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータは、前記のエレベータかご装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るエレベータの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るエレベータかご装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部斜視図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部側面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るエレベータかご装置の要部図であって、(a)は正面図、(b)は、(a)のVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、エレベータ及びエレベータかご装置における一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、エレベータ1は、ユーザが乗るためのエレベータかご装置(以下、単に「かご装置」ともいう)2と、かご装置2に接続されるかごロープ1aと、かごロープ1aに接続される釣合錘1bと、かごロープ1aを駆動してかご装置2を走行させる巻上機1cとを備えている。巻上機1cは、例えば、かごロープ1aが巻き掛けられる綱車1dと、綱車1dを回転させる駆動源(図示及び採番していない)とを備えていてもよい。
【0015】
かご装置2は、かごロープ1aが巻き掛けられるかごシーブ2aを備えている。そして、例えば、本実施形態のように、釣合錘1bは、錘シーブ1eを備え、かごロープ1aの両端部は、それぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定されている、という構成でもよい。これにより、かごロープ1aがかごシーブ2a及び錘シーブ1eにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ1aは、かご装置2及び釣合錘1bにそれぞれ接続されている。
【0016】
エレベータ1は、例えば、かご装置2を案内するかごレール1fと、釣合錘1bを案内する錘レール1gと、エレベータ1の各部を制御する制御部1hと、かご2の走行速度を検出する調速機3とを備えていてもよい。そして、かご装置2は、例えば、かごレール1fを挟むことによってかご装置2を停止させる停止装置2bと、調速機3の動作を停止装置2bへ伝達する伝達部2cとを備えていてもよい。
【0017】
調速機3は、例えば、かご装置2に接続される無端環状のガバナロープ3aと、ガバナロープ3aに掛けられるガバナシーブ3b,3bと、ガバナロープ3aを把持する把持部3cとを備えていてもよい。これにより、かご装置2の速度が設定速度を超えた場合に、把持部3cがガバナロープ3aを把持し、ガバナロープ3aの走行が停止されることによって、停止装置2bは、作動する。
【0018】
図2に示すように、かご装置2は、人が乗る床部4aを有するかご室4と、かご室4を支持するかご枠5と、かご室4とかご枠5とを接続する複数のかご弾性部6とを備えている。なお、
図2においては、かごシーブ2a等は、図示されていない。
【0019】
床部4aは、剛性を有する床枠4bを備えている。また、床部4aは、例えば、本実施形態のように、床枠4bの上部に固定される床板部4cを備えていてもよい。なお、床板部4cは、ある程度の剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、板材(例えば、べニア板、金属板等)と、板材を覆う床材(例えば、シート、タイル等)と、から構成されてもよい。
【0020】
かご枠5は、かご室4よりも下方に配置されるベース枠5aを備えている。また、かご枠5は、例えば、本実施形態のように、かご室4及びベース枠5aを囲うように配置される周枠5bを備えていてもよい。例えば、周枠5bは、かご室4よりも上方に配置されて第1横方向D1に沿って延びる上枠5cと、かご室4及びベース枠5aよりも下方に配置されて第1横方向D1に沿って延びる下枠5dと、上下方向D3に延びて上枠5cと下枠5dとを接続する縦枠5e,5eとを備えていてもよい。
【0021】
図3に示すように、ベース枠5aは、例えば、第1横方向D1に沿って延びる第1枠5f及び第2枠5gと、第1横方向D1と直交する第2横方向D2に沿って延び、第1枠5f及び第2枠5gを接続する第3枠5h及び第4枠5iとを備えていてもよい。なお、かご枠5は、剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼)で形成されていてもよい。
【0022】
床枠4bは、例えば、第1横方向D1に沿って延びる第1枠4d及び第2枠4eと、第2横方向D2に沿って延び、第1枠4d及び第2枠4eを接続する第3枠4f及び第4枠4gとを備えていてもよい。なお、床枠4bの第1~第4枠4d~4gは、例えば、上下方向D3にて、それぞれベース枠5aの第1~第4枠5f~5iとそれぞれ対面していてもよい。
【0023】
また、床枠4bは、例えば、第1枠4d及び第2枠4eを接続するように、第2横方向D2に沿って延びる複数の補強材4hを備えていてもよい。なお、床枠4bは、剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼)で形成されていてもよい。
【0024】
かご弾性部6は、かご室4の床枠4bとかご枠5のベース枠5aとを接続している。
そして、かご弾性部6は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1に並べられていてもよい。具体的には、かご弾性部6は、床枠4bの第3枠4f及び第4枠4gと、ベース枠5aの第3枠5h及び第4枠5iとを、それぞれ接続していてもよい。なお、かご弾性部6の個数は、特に限定されないが、例えば、かご弾性部6は、6個~10個備えられていてもよい。
【0025】
かご弾性部6は、例えば、本実施形態のように、床部4aに下向きの荷重が加えられた際に、上下方向D3に収縮するように弾性変形してもよい。なお、かご弾性部6は、弾性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ゴム(例えば、防振ゴム)で形成されていてもよい。
【0026】
図4~
図6に示すように、かご装置2は、かごシーブ2aを回転可能に接続する支持枠7と、かご枠5と支持枠7とを接続する複数の支持弾性部8,9と、支持枠7に対する荷重を検出する荷重検出部10とを備えている。なお、かご枠5は、例えば、本実施形態のように、支持弾性部8,9を固定する固定枠5jを備えていてもよい。
【0027】
支持枠7は、第1横方向D1に延びている。そして、支持枠7は、例えば、本実施形態のように、かごシーブ2aを第2横方向D2で挟むように、一対配置され、かごシーブ2aの軸2dを回転可能に支持する、という構成でもよい。なお、支持枠7は、剛性を有していれば、特に限定されないが、例えば、金属(例えば、鉄鋼、ステンレス鋼)で形成されていてもよい。
【0028】
固定枠5jは、例えば、本実施形態のように、支持枠7と上下方向D3で対面するように、第1横方向D1に延びており、ベース枠5aの下部に固定されている、という構成でもよい。また、例えば、固定枠5jは、一対備えられ、一方の固定枠5jは、周枠5bの下枠5dである、という構成でもよい。
【0029】
支持弾性部8,9は、かご枠5の固定枠5j(周枠5bの下枠5d)の下部と支持枠7の上部とを接続している。なお、支持弾性部8,9の個数は、特に限定されないが、例えば、かご弾性部6の個数よりも、少なくてもよい。なお、例えば、本実施形態のように、支持弾性部8,9の個数は、4個としてもよい。
【0030】
そして、支持弾性部8,9は、支持枠7の第1横方向D1の一方側に配置される第1支持弾性部8と、支持枠7の第1横方向D1の他方側に配置される第2支持弾性部9とを備えている。例えば、本実施形態のように、第1支持弾性部8は、一方のかごシーブ2aを第2横方向D2で挟むように一対配置され、第2支持弾性部9は、他方のかごシーブ2aを第2横方向D2で挟むように一対配置されている、という構成でもよい。
【0031】
支持弾性部8,9は、例えば、本実施形態のように、かご枠5に下向きの荷重が加えられた際に、上下方向D3に収縮するように弾性変形してもよい。なお、支持弾性部8,9は、弾性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ゴム(例えば、防振ゴム)で形成されていてもよい。
【0032】
荷重検出部10は、支持枠7に固定されている。特に限定されないが、荷重検出部10は、例えば、本実施形態のように、支持枠7に対するかご枠5の変位量を検出してもよい。即ち、荷重検出部10は、かご枠5との距離を検出する距離センサ(例えば、静電容量式距離センサ、光電式距離センサ)であってもよい。なお、荷重検出部10は、例えば、かご枠5から受ける荷重を検出する荷重センサ(例えば、ロードセル)であってもよい。
【0033】
かご枠5は、支持枠7に対する変位量を、荷重検出部10に検出される被検出部5kを備えている。例えば、荷重検出部10及び被検出部5kは、上下方向D3で対面するように、荷重検出部10は、支持枠7の上部に固定され、被検出部5kは、固定枠5jの下部に固定されていてもよい。
【0034】
これにより、かご装置2がかごロープ1aに吊られることによって、支持枠7には、支持弾性部8,9を介して、かご室4及びかご枠5の荷重が働く。これにより、荷重検出部10が、支持枠7に対する荷重を検出することによって、かご室4内の荷重を検出することができる。
【0035】
ところで、かご室4の床部4aに不均一な荷重が働くため、床枠4bが弾性変形する場合がある。それに対して、かご弾性部6が、床枠4bとベース枠5aとを接続しているため、ベース枠5aを含むかご枠5が変形することを抑制することができる。これにより、例えば、床枠4bが弾性変形した場合でも、それに伴って、被検出部5kが変位することを抑制することができるため、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることを抑制することができる。
【0036】
また、かご室4の床部4aに不均一な荷重が働くことによって、複数の支持弾性部8,9に働く荷重が異なり、複数の支持弾性部8,9の弾性変形量が異なる場合がある。それに対して、被検出部5kは、第1横方向D1において、第1支持弾性部8と第2支持弾性部9との間の中心位置に配置されている。
【0037】
具体的には、被検出部5kは、第1横方向D1において、第1支持弾性部8の中心と第2支持弾性部9の中心との間の中心位置を含むように、配置されている。これにより、複数の支持弾性部8,9の間で弾性変形量が異なる場合でも、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることを抑制することができる。
【0038】
また、支持枠7に対しては、かごシーブ2aの位置で上向きの力が働き、支持弾性部8,9の位置で下向きの力が働く。それに対して、第1支持弾性部8は、第1横方向D1において、一方のかごシーブ2aと同じ位置に配置され、且つ、第2支持弾性部9は、第1横方向D1において、他方のかごシーブ2aと同じ位置に配置されている。
【0039】
具体的には、支持弾性部8,9の少なくとも一部は、第1横方向D1において、かごシーブ2aと同じ位置に配置されている。これにより、支持枠7に対して、第1横方向D1の同じ位置に、上向きの力と下向きの力とが働くため、支持枠7が弾性変形することを抑制することができる。
【0040】
特に限定されないが、支持弾性部8,9の少なくとも一部は、第1横方向D1において、かごシーブ2aの軸2dと同じ位置に配置されていることが好ましい。また、支持弾性部8,9の少なくとも一部は、例えば、本実施形態のように、ベース枠5a(第3枠5h,第4枠5i)と上下方向D3で重なっていてもよい。
【0041】
なお、万が一、支持枠7やかご枠5が弾性変形した場合でも、支持枠7が第1横方向D1に延びているため、当該弾性変形の状況は、予測し易い。これにより、当該弾性変形が予測される構成においては、例えば、荷重検出部10の検出に当該弾性変形を考慮することによって、かご室4内の荷重の検出に誤差が生じることを抑制することができる。
【0042】
また、例えば、かご装置2が振動することによって、当該振動が各弾性部6,8,9で抑制される一方で、各弾性部6,8,9は、弾性変形する。それに対して、支持弾性部8,9のばね定数は、かご弾性部6のばね定数よりも、大きくなっている。これにより、かご装置2が振動した場合に、支持弾性部8,9の弾性変形量を小さくすることができるため、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることを抑制することができる。
【0043】
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、前記のエレベータかご装置2を備える。
【0044】
そして、本実施形態のように、エレベータかご装置2は、床枠4bを有するかご室4と、前記床枠4bを支持するかご枠5と、第1横方向D1に延び、前記かご枠5を支持する支持枠7と、前記かご枠5と前記支持枠7とを接続する支持弾性部8,9と、かごロープ1aが巻き掛けられ、前記支持枠7に回転可能に接続されるかごシーブ2aと、前記支持枠7に対する荷重を検出する荷重検出部10と、を備える、という構成が好ましい。
【0045】
斯かる構成によれば、支持弾性部8,9を介して、支持枠7に、かご室4及びかご枠5の荷重が働くため、荷重検出部10が、支持枠7に対する荷重を検出することによって、かご室4内の荷重を検出することができる。これにより、かご室4内に不均一な荷重が働いて、仮に、床枠4bが弾性変形した場合でも、支持弾性部8,9に働く荷重に影響が生じ難い。
【0046】
したがって、かご室4内の荷重の検出に誤差が生じることを抑制することができる。しかも、支持枠7が第1横方向D1に延びているため、万が一、支持枠7やかご枠5が弾性変形した場合でも、当該変形の状況は、予測し易い。これにより、かご室4内の荷重の検出に誤差が生じることをさらに抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態のように、エレベータかご装置2においては、前記支持弾性部8,9は、前記第1横方向D1において、前記かごシーブ2aと同じ位置に配置される、という構成が好ましい。
【0048】
斯かる構成によれば、支持枠7に対して上向きの力が働くかごシーブ2aの位置と、支持枠7に対して下向きの力が働く支持弾性部8,9の位置とは、第1横方向D1で同じである。これにより、支持枠7が弾性変形することを抑制することができる。したがって、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることをさらに抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態のように、エレベータかご装置2においては、前記支持弾性部8,9は、前記支持枠7の前記第1横方向D1の一方側に配置される第1支持弾性部8と、前記支持枠7の前記第1横方向D1の他方側に配置される第2支持弾性部9と、を含み、前記荷重検出部10は、前記支持枠7に固定され、前記かご枠5は、前記荷重検出部10に検出される被検出部5kを備え、前記被検出部5kは、前記第1横方向D1において、前記第1支持弾性部8と前記第2支持弾性部9との間の中心位置に配置される、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、荷重検出部10は、支持枠7に固定され、被検出部5kは、第1横方向D1において、第1支持弾性部8と第2支持弾性部9との間の中心位置に配置されている。これにより、第1支持弾性部8と第2支持弾性部9との間で弾性変形量に差がある場合でも、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態のように、エレベータかご装置2は、前記床枠4bと前記かご枠5とを接続する複数のかご弾性部6をさらに備える、という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、かご弾性部6が、床枠4bとかご枠5とを接続するため、かご弾性部6には、かご室4の荷重が働く。これにより、例えば、かご室4に不均一な荷重が働いた場合でも、かご枠5が変形することを抑制することができる。したがって、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることをさらに抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態のように、エレベータかご装置2においては、前記支持弾性部8,9のばね定数は、前記かご弾性部6のばね定数よりも、大きい、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、支持弾性部8,9のばね定数が大きいため、かご装置2に振動が生じた場合でも、支持弾性部8,9は、かご弾性部6よりも、振動によって弾性変形し難い。これにより、支持弾性部8,9が振動によって弾性変形することを抑制することができるため、例えば、荷重検出部10の検出に誤差が生じることを抑制することができる。
【0055】
なお、エレベータ1及びエレベータかご装置2は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及びエレベータかご装置2は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0056】
(1)上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、支持弾性部8,9は、第1横方向D1において、かごシーブ2aと同じ位置に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、支持弾性部8,9は、第1横方向D1において、かごシーブ2aから離れて配置されている、という構成でもよい。
【0057】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、荷重検出部10は、支持枠7に固定され、かご枠5は、荷重検出部10に検出される被検出部5kを備える、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、荷重検出部10は、かご枠5に固定され、支持枠7は、荷重検出部10に検出される被検出部を備える、という構成でもよい。
【0058】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、被検出部5kは、第1横方向D1において、第1支持弾性部8と第2支持弾性部9との間の中心位置に配置される、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、被検出部5kは、第1横方向D1において、第1支持弾性部8と第2支持弾性部9との間の中心位置から離れて配置される、という構成でもよい。
【0059】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2は、床枠4bとかご枠5(ベース枠5a)とを接続する複数のかご弾性部6を備える、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータかご装置2は、床枠4bとかご枠5(ベース枠5a)とを、かご弾性部6を介することなく、直接接続する、という構成でもよい。
【0060】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、支持弾性部8,9のばね定数は、かご弾性部6のばね定数よりも、大きい、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。支持弾性部8,9のばね定数は、例えば、かご弾性部6のばね定数よりも、小さい、という構成でもよく、また、例えば、かご弾性部6のばね定数と、同じ、という構成でもよい。
【0061】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置2においては、かごシーブ2aは、かご室4よりも下方に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、かごシーブ2aは、かご室4よりも上方に配置されている、という構成でもよい。斯かる構成においては、例えば、支持枠7は、かご枠5の周枠5bの上枠5cの下方に配置され、支持弾性部8,9は、上枠5cと支持枠7とを接続する、という構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…エレベータ、1a…かごロープ、1b…釣合錘、1c…巻上機、1d…綱車、1e…錘シーブ、1f…かごレール、1g…錘レール、1h…制御部、2…エレベータかご装置、2a…かごシーブ、2b…停止装置、2c…伝達部、2d…軸、3…調速機、3a…ガバナロープ、3b…ガバナシーブ、3c…把持部、4…かご室、4a…床部、4b…床枠、4c…床板部、4d…第1枠、4e…第2枠、4f…第3枠、4g…第4枠、4h…補強材、5…かご枠、5a…ベース枠、5b…周枠、5c…上枠、5d…下枠、5e…縦枠、5f…第1枠、5g…第2枠、5h…第3枠、5i…第4枠、5j…固定枠、5k…被検出部、6…かご弾性部、7…支持枠、8…第1支持弾性部、9…第2支持弾性部、10…荷重検出部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、X1…昇降路
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床枠を有するかご室と、
前記床枠を支持するかご枠と、
第1横方向に延び、前記かご枠を支持する支持枠と、
前記かご枠と前記支持枠とを接続する支持弾性部と、
かごロープが巻き掛けられ、前記支持枠に回転可能に接続されるかごシーブと、
前記支持枠に対する荷重を検出する荷重検出部と、
前記床枠と前記かご枠とを接続する複数のかご弾性部と、を備える、エレベータかご装置であって、
前記かご枠は、前記かご室よりも下方に配置されるベース枠を備え、
前記ベース枠は、前記第1横方向に沿って延びる第1枠及び第2枠と、前記第1横方向と直交する第2横方向に沿って延び、前記第1枠及び第2枠を接続する第3枠及び第4枠と、を備え、
前記複数のかご弾性部は、前記床枠と前記ベース枠とを接続する、エレベータかご装置。
【請求項2】
床枠を有するかご室と、
前記床枠を支持するかご枠と、
第1横方向に延び、前記かご枠を支持する支持枠と、
前記かご枠と前記支持枠とを接続する支持弾性部と、
かごロープが巻き掛けられ、前記支持枠に回転可能に接続されるかごシーブと、
前記支持枠に対する荷重を検出する荷重検出部と、を備える、エレベータかご装置であって、
前記床枠と前記かご枠とを接続する複数のかご弾性部をさらに備え、
前記支持弾性部のばね定数は、前記かご弾性部のばね定数よりも、大きい、エレベータかご装置。
【請求項3】
前記支持弾性部は、前記第1横方向において、前記かごシーブと同じ位置に配置される、請求項1又は2に記載のエレベータかご装置。
【請求項4】
前記支持弾性部は、前記支持枠の前記第1横方向の一方側に配置される第1支持弾性部と、前記支持枠の前記第1横方向の他方側に配置される第2支持弾性部と、を含み、
前記荷重検出部は、前記支持枠に固定され、
前記かご枠は、前記荷重検出部に検出される被検出部を備え、
前記被検出部は、前記第1横方向において、前記第1支持弾性部と前記第2支持弾性部との間の中心位置に配置される、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータかご装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータかご装置を備える、エレベータ。