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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106090
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】包装袋及び包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000814
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA15
3E013BB12
3E013BC13
3E013BC14
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF15
3E013BF27
3E013BF36
(57)【要約】
【課題】電子レンジ等の加熱手段で加熱する際に発生する袋内の蒸気を外部に逃がすための蒸気抜け路を確実に接合部の意図した箇所(接合部の易剥離層がある箇所)に形成させることができる包装袋及び包装材を提供する。
【解決手段】本発明に係る包装袋は、シート2の縁部同士の重ね合わせ部を封止する接合部と、所定領域の接合部に介在する易剥離層3とを備え、易剥離層3は、一方の縁部の内面に設けられる第1易剥離層3Aと、他方の縁部の内面に設けられる第2剥離層3Bとが重ね合わせられる2層構造である。これにより、易剥離層3の剥離性が安定的に向上し、包装袋の内圧が上昇したとき、確実に易剥離層3で剥離を生じさせ、ひいては、蒸気抜け路19を確実に接合部の易剥離層3がある箇所に形成させることができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの縁部同士の重ね合わせ部を封止する接合部と、所定領域の接合部に介在する易剥離層とを備える包装袋において、
易剥離層は、一方の縁部の内面に設けられる第1易剥離層と、他方の縁部の内面に設けられる第2剥離層とが重ね合わせられる2層構造である
包装袋。
【請求項2】
シートの側縁部同士の重ね合わせ部を封止する縦接合部を備え、
易剥離層は、縦接合部に設けられる
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
易剥離層は、縦接合部に沿ってかつ縦接合部の全長に亘って設けられる
請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
シートの側縁部同士の重ね合わせ部を封止する縦接合部と、縦接合部と直交し、表側シート及び裏側シートの端縁部同士の重ね合わせ部を封止する横接合部とを備え、
易剥離層は、横接合部における縦接合部の近傍領域に設けられる
請求項1に記載の包装袋。
【請求項5】
易剥離層は、縦接合部に沿ってかつ表側シート及び裏側シートの全長に亘って設けられる
請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
第1易剥離層は、第2易剥離層よりも幅広であり、幅方向中央部がシートの側縁部同士の重ね合わせ部の基端と対向するように表側シートの内面に設けられ、
第2易剥離層は、一方の側縁が当該基端と重なるように、又は一方の側縁が当該基端の近傍に位置するように、裏側シートの内面に設けられる
請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
請求項3、請求項5又は請求項6のいずれか1項に記載の包装袋の原反となる包装材であって、
長尺なシート原反と、
シート原反の内面の2つの該当箇所に、シート原反の幅方向に所定間隔を有して離間しかつシート原反の長手方向に沿って平行に設けられる第1易剥離層及び第2易剥離層とを備える
包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ等の加熱手段を用いて加熱され得る食品の包装に適した包装袋及び包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートの縁部同士の重ね合わせ部を封止する接合部を備える包装袋において、シートの一方の縁部の内面に剥離剤を塗布することにより、電子レンジで加熱する際に発生する袋内の蒸気を剥離剤を介して外部に逃がすようにした包装袋が知られている(特許文献1)。また、シートの縁部同士の重ね合わせ部を封止する接合部を備える包装袋において、シートの縁部間に易剥離テープを介在させることにより、電子レンジで加熱する際に発生する袋内の蒸気を易剥離テープを介して外部に逃がすようにした包装袋が知られている(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-139465号公報
【特許文献2】特開平3-240674号公報
【特許文献3】特開2002-249177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の包装袋においては、剥離剤や易剥離テープといった易剥離層がある箇所とは異なる、接合部の意図しない箇所に蒸気抜け路が形成されてしまうことが経験的に知られている。これは、易剥離層の剥離性が接合部の剥離性よりも十分に上回っていない場合に生じるものと考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、蒸気抜け路を確実に接合部の意図した箇所(接合部の易剥離層がある箇所)に形成させることができる包装袋及び包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装袋は、
シートの縁部同士の重ね合わせ部を封止する接合部と、所定領域の接合部に介在する易剥離層とを備える包装袋において、
易剥離層は、一方の縁部の内面に設けられる第1易剥離層と、他方の縁部の内面に設けられる第2剥離層とが重ね合わせられる2層構造である
包装袋である。
【0007】
ここで、本発明に係る包装袋の一態様として、
シートの側縁部同士の重ね合わせ部を封止する縦接合部を備え、
易剥離層は、縦接合部に設けられる
との構成を採用することができる。
【0008】
また、この場合、
易剥離層は、縦接合部に沿ってかつ縦接合部の全長に亘って設けられる
との構成を採用することができる。
【0009】
また、本発明に係る包装袋の他態様として、
シートの側縁部同士の重ね合わせ部を封止する縦接合部と、縦接合部と直交し、表側シート及び裏側シートの端縁部同士の重ね合わせ部を封止する横接合部とを備え、
易剥離層は、横接合部における縦接合部の近傍領域に設けられる
との構成を採用することができる。
【0010】
また、この場合、
易剥離層は、縦接合部に沿ってかつ表側シート及び裏側シートの全長に亘って設けられる
との構成を採用することができる。
【0011】
さらに、この場合、
第1易剥離層は、第2易剥離層よりも幅広であり、幅方向中央部がシートの側縁部同士の重ね合わせ部の基端と対向するように表側シートの内面に設けられ、
第2易剥離層は、一方の側縁が当該基端と重なるように、又は一方の側縁が当該基端の近傍に位置するように、裏側シートの内面に設けられる
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係る包装材は、
易剥離層が縦接合部の全長又は表側シート及び裏側シートの全長に亘って設けられる包装袋の原反となる包装材であって、
長尺なシート原反と、
シート原反の内面の2つの該当箇所に、シート原反の幅方向に所定間隔を有して離間しかつシート原反の長手方向に沿って平行に設けられる第1易剥離層及び第2易剥離層とを備える
包装材である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る包装袋によれば、2つの易剥離層が設けられることにより、易剥離層の剥離性が安定的に向上し、包装袋の内圧が上昇したとき、確実に易剥離層で剥離を生じさせることができる。このため、本発明に係る包装袋によれば、蒸気抜け路を確実に接合部の意図した箇所(接合部の易剥離層がある箇所)に形成させることができる。
【0014】
また、本発明に係る包装材によれば、2つの易剥離層がシート原反の幅方向に所定間隔を有して離間しかつシート原反の長手方向に沿って平行に設けられることにより、包装材の厚みの偏りが解消される傾向になる。このため、本発明に係る包装材によれば、包装材をロール状に巻き取る際、包装材の厚みの偏りによる幅方向へのずれが生じにくく、包装材をきれいにロール状に巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る包装袋により食品を包装した包装体の正面側から見た斜視図である。図1(b)は、包装体の背面側から見た斜視図である。
図2図2(a)は、包装体の正面図である。図2(b)は、食品が収容されていない想定での図2(a)のA-A線断面図である。図2(c)は、図2(b)のB部拡大断面図である。
図3図3(a)は、包装袋を構成するシートの展開図である。図3(b)は、図3(a)のC部拡大側面図である。
図4図4は、包装袋の製造に用いられる包装材の製造工程の一例の説明図である。
図5図5は、包装袋の製造に用いられる包装材の製造工程の別例の説明図である。
図6図6は、包装袋の製造工程の説明図である。
図7図7(a)は、加熱処理中の包装体の背面側から見た斜視図である。図7(b)及び図7(c)は、蒸気抜け路の形成態様の説明図である。
図8図8(a)は、本発明の第2実施形態に係る包装袋により食品を包装した包装体の正面図である。図8(b)は、食品が収容されていない想定での図8(a)のD-D線断面図である。図8(c)は、図8(b)のE部拡大断面図である。
図9図9(a)は、包装袋を構成するシートの展開図である。図9(b)は、図9(a)のF部拡大側面図である。図9(c)は、図9(a)のG部拡大側面図である。
図10図10は、包装袋の製造に用いられる包装材の製造工程の一例の説明図である。
図11図11は、加熱処理中の包装体の背面側から見た斜視図である。図11(b)及び図11(c)は、蒸気抜け路の形成態様の説明図である。
図12図12(a)は、第1実施形態の変形例に係る包装袋を構成するシートの展開図である。図12(b)は、第2実施形態の変形例に係る包装袋を構成するシートの展開図である。
図13図13(a)は、第2実施形態の別の変形例に係る包装袋を構成するシートの展開図である。図13(b)は、第2実施形態のさらに別の変形例に係る包装袋を構成するシートの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用の包装袋について、図1ないし図7を参酌して説明する。
【0017】
本実施形態に係る包装袋1は、ピロー包装機により製造されるピロー包装袋の形態である。図1及び図2(a)に示すように、包装袋1は、1枚のシート2の側縁部同士が合掌状に重ね合わせられた筒状であり、重ね合わせ部10が縦接合部(背貼り部)11により封止されるとともに、筒の開口部である両端部15,15がそれぞれ横接合部16により封止されて構成される。両側部17,17は、接合部ではなく、それぞれシート2の折返し部18である。少なくとも一方の側部17は、ガゼットを備えるようにしてもよい。これにより、包装袋1は、表側シート2a及び裏側シート2bを備え、裏側シート2bに両端部15,15に跨って位置する重ね合わせ部10が縦接合部11により封止されるとともに、4つの外縁部15,15,17,17が横接合部16又は折返し部18により封止された1枚のシート2で構成される。
【0018】
シート2は、ピロー包装に用いられる包装材から1つ単位に切断されて分離され、枚葉状にされたものをいう。シート2は、可撓性を有しつつ、適度の剛性を有するシートであり、たとえば、内面に熱溶着性を有する積層シート(ラミネートシート)である。一例として、シート2は、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、2軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の2軸延伸シート(フィルム)が用いられる。あるいは、延伸方向を幅方向に配した1軸延伸シート(フィルム)であってもよい。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が用いられる。また、シート2は、外面側から順に、基材層、接着層、バリア層、接着層及び樹脂層を積層して形成されるものであってもよい。バリア層として、透明蒸着ポリエチレンテレフタレート、透明蒸着ナイロン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、バリアナイロン(ポリ塩化ビニリデン、メタキシレンアジパミド(MXD-6)、エチレン-ビニルアルコール共重合体)等が用いられる。なお、バリア層を中間層として設けるのではなく、基材層として、これらのバリア性を有する材質が用いられるようにしてもよい。本実施形態においては、シート2は、外面側から順に、延伸ナイロン(ONY)15μm/ドライラミネート/低密度ポリエチレン(LLDPE)40μmの積層シート(フィルム)、又は、外面側から順に、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/ドライラミネート/低密度ポリエチレン(LLDPE)40μmの積層シート(フィルム)である。ただし、シート2は、公知となっている電子レンジ用のシートを適宜選択することができるのはいうまでもない。
【0019】
縦接合部11は、シート2の側縁部同士の重ね合わせ部10をシート2の側縁に沿って帯状に接合することにより形成される。横接合部16は、端部15における表側シート2a及び裏側シート2bの端縁部同士の重ね合わせ部をシート2a,2bの端縁に沿って帯状に接合することにより形成される。本実施形態においては、シート2が内面に熱溶着性を有することで、縦接合部11及び横接合部16は、溶着(ヒートシール)により形成される。
【0020】
ただし、図2(b)、図2(c)及び図3に示すように、重ね合わせ部10の間には、易剥離層として、易剥離(イージーピール)テープ3が配置され、重ね合わせ部10は、易剥離テープ3を介在させた状態で接合される。易剥離テープ3は、重ね合わせ部10の幅に相当する幅を有し、重ね合わせ部10の全長に亘って設けられる帯状のテープである。易剥離テープ3は、第1易剥離テープ3A及び第2易剥離テープ3Bを備える。第1易剥離テープ3Aは、重ね合わせ部10の一方の側縁部の内面に接合される。第2易剥離テープ3Bは、重ね合わせ部10の他方の側縁部の内面に接合される。これにより、シート2の側縁部同士は、2つの易剥離テープ3A,3Bが重ね合わせられるようにして重ね合わせられ、縦接合部11は、2つの易剥離テープ3A,3Bの重ね合わせ部を易剥離テープ3A,3Bの側縁に沿って接合することにより形成される。本実施形態においては、外面及び内面に熱溶着性を有する易剥離テープ3が用いられることで、シート2への易剥離テープ3の接合及び易剥離テープ3A,3B同士の接合は、溶着(ヒートシール)により行われる。
【0021】
易剥離テープ3は、全面がシート2に接合される。これに対し、易剥離テープ3A,3B同士は、両側に所定幅の非接合部12,12が形成されるように接合される(縦接合部11)。すなわち、縦接合部11は、易剥離テープ3よりも幅狭でかつ易剥離テープ3の側縁部がシート2に接合されないように形成される。これは、包装袋1の製造装置の精度等(接合箇所ずれ等)を原因として、縦接合部11が重ね合わせ部10の幅方向にずれて易剥離テープ3から外れることにより、シート2の側縁部同士が直接接合されるのを防止するための工夫である。なお、図3の符号11は、縦接合部11の形成領域を表し、符号12は、非接合部12の形成領域を表す。
【0022】
易剥離テープ3は、凝集剥離タイプ、層間剥離タイプ、界面剥離タイプのいずれであってもよい。凝集剥離タイプとは、破壊時にシーラント層自身が破壊されて剥離するタイプである。層間剥離タイプとは、シーラント層に用いる多層フィルムにおいて層自体の強度よりも層界面の接着強度が低いため、シーラント層が内部の層界面に沿って剥離するタイプである。界面剥離タイプとは、シーラント層のシール強度を低下させることによって剥離するタイプである。界面剥離タイプの場合、2つの易剥離テープ3A,3Bの界面(易剥離テープ3A,3Bの外面同士)が剥離するタイプ、シート2及び易剥離テープ3の界面(シート2の内面及び易剥離テープ3の外面)が剥離するタイプのいずれであってもよい。本実施形態においては、凝集剥離層を有する積層フィルムからなる凝集剥離タイプの易剥離テープが用いられる。易剥離テープ3の厚みは、たとえば20μmないし50μmである。
【0023】
易剥離テープ3を備えるシート2は、以上の構成からなる。上述のとおり、シート2は、ピロー包装に用いられる包装材から1つ単位に切断されて分離され、枚葉状にされたものである。そこで、次に、包装材の製造方法について説明する。
【0024】
図4に示すように、包装材1Xの製造工程は、シート原反2Xの内面に、シート原反2Xの長手方向に沿って易剥離テープ3を接合する工程を備える。この工程では、シート原反2Xが連続的に搬送されるとともに、第1易剥離テープ3A及び第2易剥離テープ3Bの2本の易剥離テープ3,3がそれぞれロールから繰り出され、シート原反2Xに供給される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された接合機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、第1易剥離テープ3A及び第2易剥離テープ3Bがシート原反2Xの両側縁部の内面に接合されていく。
【0025】
別の方法として、図5に示すように、2つの包装材1X,1Xを同時に製造する方法がある(いわゆる「2丁取り」、「2連製造」)。この場合の包装材1Xの製造工程は、シート2が横並びとなる合計幅を有する幅広のシート原反2Xの内面に、シート原反2Xの長手方向に沿って易剥離テープ3を接合する工程(第1工程)と、シート原反2Xを幅方向に半分に分割する工程(第2工程)とを備える。
【0026】
第1工程では、シート原反2Xが連続的に搬送されるとともに、第1易剥離テープ3A、第2易剥離テープ3B及び第1易剥離テープ3Aの合計幅を有する幅広の易剥離テープ3B,3A及び第2易剥離テープ3Bの3本の易剥離テープ3,3,3がそれぞれロールから繰り出され、シート原反2Xに供給される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された接合機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、第1易剥離テープ3A及び第2易剥離テープ3Bがシート原反2Xの両側縁部の内面に接合されていくとともに、幅広の易剥離テープ3B,3Aがシート原反2Xの幅方向中央部の内面に接合されていく。
【0027】
第2工程では、シート原反2Xが連続的に搬送される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された切込機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、幅広の易剥離テープ3B,3Aが幅方向に半分に分割されつつ、シート原反2Xが幅方向に半分に分割されていく。
【0028】
これらの製造工程により、包装材1Xが完成する。そして、包装材1Xが一旦ロール状に巻き取られた後、ピロー包装機にロールがセットされて、次に、包装袋1の製造工程に移行する。
【0029】
図6に示すように、包装袋1の製造工程は、i)包装材1Xの内面に、包装材1Xの長手方向に沿って定ピッチで食品Fを配置する工程(第1工程)、ii)包装材1Xを食品Fを包み込むように巻いて筒状にし、包装材1Xの両側縁部を重ね合わせる工程(第2工程)、iii)包装材1Xの両側縁部の重ね合わせ部を接合する工程、すなわち、縦接合部11を形成する工程(第3工程)、iv)食品F,F間の偏平状に折られた包装材1Xを幅方向に沿って接合する工程、すなわち、横接合部16を形成する工程(第4工程)、v)横接合部16を中間線で切断し、包装袋(包装体)1を個別に分離する工程(第5工程)、を備える。
【0030】
第1工程では、包装材1Xが連続的又は間欠的に搬送される。そして、包装材1Xの搬送経路上に配置された搬送機構(図示しない)が包装材1Xの搬送に同期して作動することにより、食品Fが搬送されて包装材1Xの内面の該当箇所に配置されていく。
【0031】
第2工程及び第3工程は、一般的なピロー包装で実施されるセンターシール工程と同一である。第2工程及び第3工程を経て、包装材1Xの左右の側縁部は、2つの易剥離テープ3A,3Bが重ね合わせられるようにして合掌状に重ね合わせられ、縦接合部11は、包装材1Xの長手方向に沿って2つの易剥離テープ3A,3Bの重ね合わせ部に形成されていく。
【0032】
第4工程及び第5工程は、一般的なピロー包装で実施されるエンドシール工程及び分離工程(切り離し工程)と同一である。第5工程を経て、食品F,F間の偏平状に折られた包装材1は、幅方向に沿って帯状に接合される。これにより、包装袋(包装体)1の連続体が完成する。また、第5工程を経て、包装袋1が包装袋1の連続体から切り離される。
【0033】
これらの工程によって、包装袋(包装体)1が完成する。食品Fを加熱して食したいときは、包装体1をたとえば電子レンジで加熱する。電子レンジにかけると、食品Fの水分が蒸気となり、包装袋1の内圧が上昇する。電子レンジによる加熱で内圧が上昇すると、図7に示すように、易剥離テープ3A,3Bのいずれかの箇所において凝集剥離が生じ、縦接合部11の一部が開口して蒸気抜け路19が形成され、蒸気抜け路19を介して蒸気を外部に逃がすことができ、包装袋1が破袋するのを防止することができる。
【0034】
以上のとおり、本実施形態に係る包装袋1によれば、2つの易剥離テープ3A,3Bが設けられることにより、易剥離テープ3A,3Bの剥離性が安定的に向上し、包装袋1の内圧が上昇したとき、確実に易剥離テープ3A,3Bで剥離を生じさせることができる。このため、本実施形態に係る包装袋1によれば、蒸気抜け路を確実に縦接合部11のいずれかの箇所に形成させることができ、意図せず横接合部16に蒸気抜け路が形成されてしまうことを好適に防止することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る包装材1Xによれば、2つの易剥離テープ3A,3Bがシート原反2Xの幅方向に所定間隔を有して離間しかつシート原反2Xの長手方向に沿って平行に設けられることにより、包装材1Xの厚みの偏りが解消される傾向になる。このため、本実施形態に係る包装材1Xによれば、包装材1Xをロール状に巻き取る際、包装材1Xの厚みの偏りによる幅方向へのずれが生じにくく、包装材1Xをきれいにロール状に巻き取ることができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子レンジ用の包装袋について、図8ないし図11を参酌して説明する。なお、第1実施形態と第2実施形態とが異なる点は、包装材1Xないしシート2における易剥離テープ3A,3Bを設ける箇所及び易剥離テープ3A,3Bの幅に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、第1実施形態についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0037】
図8及び図9に示すように、易剥離テープ3A,3Bは、端部15と直交し、両端部15,15に跨って配置される。したがって、易剥離テープ3A,3Bの端部が、端部15における表側シート2a及び裏側シート2bの端縁部間に介在し、横接合部16により接合される。
【0038】
第1易剥離テープ3Aは、第2易剥離テープ3Bよりも幅広である(本実施形態においては、2倍程度)。そして、第1易剥離テープ3Aは、幅方向中央部が重ね合わせ部10の基端と対向するように、表側シート2aの内面に接合される。本実施形態においては、重ね合わせ部10の基端は、裏側シート2bの中央部に位置するため、第1易剥離テープ3Aは、表側シート2aの中央部に配置される。他方、第2易剥離テープ3Bは、一方の側縁が重ね合わせ部10の基端と重なるように、又は一方の側縁が重ね合わせ部10の基端の近傍に位置するように、裏側シート2bの内面に接合される。これにより、端部15における表側シート2a及び裏側シート2bの端縁部のうち、重ね合わせ部10の基端から一方の側部17に向かう所定領域は、2つの易剥離テープ3A,3Bが重ね合わせられるようにして重ね合わせられ、重ね合わせ部10の基端から他方の側部17に向かう所定領域は、第1易剥離テープ3Aが介在する。そして、横接合部16は、端部15の中央部にて2つの易剥離テープ3A,3Bが挟み込まれた状態で形成される。
【0039】
図10に示すように、包装材1Xの製造工程は、シート原反2Xの内面に、シート原反2Xの長手方向に沿って易剥離テープ3を接合する工程を備える。この工程では、シート原反2Xが連続的に搬送されるとともに、第1易剥離テープ3A及び第2易剥離テープ3Bの2本の易剥離テープ3,3がそれぞれロールから繰り出され、シート原反2Xに供給される。そして、シート原反2Xの搬送経路上に配置された接合機構(図示しない)がシート原反2Xの搬送に同期して作動することにより、第1易剥離テープ3Aがシート原反2Xの幅方向中央部の内面に接合されていくとともに、第2易剥離テープ3Bがシート原反2Xの一方の側縁部であって側縁よりも重ね合わせ部10の幅分だけ内側にずれた箇所の内面に接合されていく。
【0040】
包装体1において、電子レンジによる加熱で内圧が上昇すると、図11に示すように、易剥離テープ3A,3Bの一方の端部又は両端部において凝集剥離が生じ、横接合部16の一部が開口して蒸気抜け路19が形成され、蒸気抜け路19を介して蒸気を外部に逃がすことができ、包装袋1が破袋するのを防止することができる。
【0041】
そして、本実施形態に係る包装袋1及び包装材1Xによっても、第1実施形態に包装袋1及び包装材1Xが奏する作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
第1及び第2実施形態においては、易剥離テープ3は、シート2の側縁部同士の重ね合わせ部10に沿ってかつ重ね合わせ部10の全長に亘って設けられる。これは、包装材1Xの製造方法によるものである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図12に示すように、易剥離テープ3は、包装袋1の全長よりも短い所定の長さで設けられるようにしてもよい。
【0044】
また、第2実施形態においては、表側シート2aに設けられる第1易剥離テープ3Aが裏側シート2bに設けられる第2易剥離テープ3Bよりも幅広に形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図13(a)に示すように、第1易剥離テープ3A及び第2易剥離テープ3Bは、同じ幅であってもよい。あるいは、図13(b)に示すように、裏側シート2bに設けられる第2易剥離テープ3Bが表側シート2aに設けられる第1易剥離テープ3Aよりも幅広であってもよい。
【0045】
また、第1及び第2実施形態においては、易剥離層として、易剥離テープ3が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。易剥離層は、剥離剤を塗布したものであってもよい。この場合、包装材1Xの製造工程は、シート原反2Xの内面に、シート原反2Xの長手方向に沿って剥離剤を塗布する工程を備える。
【0046】
また、上記実施形態においては、包装袋1はピロー包装袋である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。包装袋は、三方袋、四方袋、合掌袋等の平袋、サイドガゼット部又は底ガゼット部を有するガゼット袋等、製袋されたものに食品を収容した後、開口(充填口)を封止する種々の公知の包装袋を選択することができる。この場合、易剥離層は、i)いずれかの外縁部の接合部に沿って(かつ当該接合部の全長に亘って)設けられる、ii)いずれかの外縁部の接合部と直交するように設けられる、iii)対向する2つの外縁部の接合部に跨って設けられる、といった各種の形態を採用することができる。また、合掌袋とピロー包装袋との違いは、製袋時に食品を充填しないかするか、製袋された包装材1Xを横接合部の近傍の位置で切断するか横接合部の中間線で切断するかの違いである。したがって、合掌袋については、第1又は第2実施形態に係る易剥離層の構成を採用することができる。
【0047】
また、「矩形状」、「長方形状」、「中央部」、「端部」、「端縁部」、「側部」、「側縁部」、「中間」、「全面」、「平行」、「直交」、「重なる」、「同一」、「同じ」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【0048】
また、シートは、上記のものに限定されない。たとえば、シートは、紙、未晒しクラフト紙、和紙、混抄紙、合成紙、グラシン紙、紙質又は紙様の又はこれらを主とするシート(フィルム)であってもよい(これらをまとめて「紙シート」(フィルム)という。)。紙シートは、必要に応じて、内面側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、紙シートは、紙を外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。また、シートは、複数の材質のシート(フィルム)を積層した積層シート(積層フィルム)ではなく、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単一の材質のシート(フィルム)であってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシート(フィルム)を端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシート(フィルム)を順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシート(フィルム)を用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシート(プラスチックフィルム)ではなく、紙シートを用いるようにしてもよい。なお、本発明において、シートは、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である。
【符号の説明】
【0049】
1…包装袋(包装体)、1X…包装材、2…シート、2a…表側シート、2b…裏側シート、2X…シート原反、3…易剥離テープ、3A…第1易剥離テープ、3B…第2易剥離テープ、10…重ね合わせ部、11…縦接合部(背貼り部)、12…非接合部、15…端部(外縁部)、16…横接合部、17…側部(外縁部)、18…折返し部、19…蒸気抜け路、F…食品
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