(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106098
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】熱中症判定装置、熱中症判定システム及び熱中症判定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20220711BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20220711BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A61B5/02 G
A61B5/01
A61B5/0245 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000832
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】519325577
【氏名又は名称】株式会社クォンタムオペレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
【テーマコード(参考)】
4C017
4C117
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA11
4C017AA16
4C017AB02
4C017BB12
4C017BC11
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4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ32
4C117XP12
(57)【要約】
【課題】熱中症のリスクが比較的高い屋外等の環境又は運動中においてユーザの熱中症のレベルを判定する。
【解決手段】外気温データ及び表皮体温データに基づきユーザの深部体温を推定し、かつ、心拍データに基づきユーザの血流量を推定する推定部232と、深部体温に基づいて決定される第1リスク値、表皮体温に基づいて決定される第2リスク値、血流量に基づいて決定される第3リスク値の少なくとも1つを決定する決定部233と、決定部233で決定された第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、ユーザの熱中症のレベルを判定する判定部234と、判定部234が判定した結果を出力する出力部235と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気温を示す外気温データ、ユーザの表皮体温を示す表皮体温データ及び前記ユーザの心拍数を示す心拍データを取得するデータ取得部と、
前記外気温データ及び前記表皮体温データに基づき前記ユーザの深部体温を推定し、かつ、前記心拍データに基づき前記ユーザの血流量を推定する推定部と、
前記深部体温に基づいて決定される第1リスク値、前記表皮体温に基づいて決定される第2リスク値、前記血流量に基づいて決定される第3リスク値の少なくとも1つを決定する決定部と、
前記決定部で決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記ユーザの熱中症のレベルを判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果を出力する出力部と、
を有する熱中症判定装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記表皮体温データが特定の判定時間の間に低下してから上昇したか否かを判定した結果に基づいて、前記第2リスク値を決定する、
請求項1に記載の熱中症判定装置。
【請求項3】
前記データ取得部は、所定の単位時間が経過するごとに前記表皮体温を取得し、
前記決定部は、3つ以上の連続した前記単位時間を含む前記判定時間において前記表皮体温が低下してから上昇したか否かを判定する、
請求項2に記載の熱中症判定装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記推定部が推定した前記血流量が特定の判定時間の間に増加してから減少したか否かを判定した結果に基づいて、前記第3リスク値を決定する、
請求項1又は2に記載の熱中症判定装置。
【請求項5】
前記推定部は、所定の単位時間が経過するごとに前記血流量を推定し、
前記決定部は、3つ以上の連続した前記単位時間を含む前記判定時間において前記血流量が増加してから減少したか否かを判定する、
請求項4に記載の熱中症判定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記単位時間ごとに前記深部体温を推定し、
前記決定部は、前記推定部が推定した前記深部体温が閾値以上であり、かつ、前記深部体温が前記単位時間において基準値以上上昇したか否かを判定した結果に基づいて、前記第1リスク値を決定する。
請求項3又は5に記載の熱中症判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記決定部で決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか2以上の値を加算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記ユーザの熱中症のレベルを判定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱中症判定装置。
【請求項8】
ユーザが身に着けるウェアラブル端末と、当該ウェアラブル端末と通信する熱中症判定装置とを含む熱中症判定システムであって、
前記ウェアラブル端末は、
前記ユーザの表皮体温、前記ユーザの心拍数及び外気温を測定する測定部と、
前記表皮体温を示す表皮体温データ、前記心拍数を示す心拍データ、及び前記外気温を示す外気温データを前記熱中症判定装置へ送信する送信部と、
熱中症に関する情報を前記ユーザに通知する通知部と
を有し、
前記熱中症判定装置は、
前記表皮体温データ、前記心拍データ及び前記外気温データを前記ウェアラブル端末から取得するデータ取得部と、
前記表皮体温及び前記外気温に基づき前記ユーザの深部体温を推定し、前記心拍数に基づき前記ユーザの血流量を推定する推定部と、
前記深部体温に基づいて第1リスク値を決定し、前記表皮体温に基づいて第2リスク値を決定し、前記血流量に基づいて第3リスク値の少なくとも1つを決定する決定部と、
前記決定部で決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記熱中症のレベルを判定する判定部と、
前記判定部が判定した前記熱中症のレベルを示す情報を前記ウェアラブル端末へ出力する出力部と、
を有し、
前記通知部は、前記出力部が出力した前記熱中症のレベルに基づいて生成した前記熱中症に関する情報を前記ユーザに通知する、
熱中症判定システム。
【請求項9】
前記通知部は、前記熱中症のレベルに対応する情報を前記ユーザに通知する、
請求項8に記載の熱中症判定システム。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
外気温を示す外気温データ、ユーザの表皮体温を示す表皮体温データ及び前記ユーザの心拍数を示す心拍データを取得するステップと、
前記外気温データ及び前記表皮体温データに基づき前記ユーザの深部体温を推定し、かつ、前記心拍データに基づき前記ユーザの血流量を推定するステップと、
前記深部体温に基づいて決定される第1リスク値、前記表皮体温に基づいて決定される第2リスク値、前記血流量に基づいて決定される第3リスク値の少なくとも1つを決定するステップと、
決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記ユーザの熱中症のレベルを判定するステップと、
前記ユーザの熱中症のレベルを判定した結果を出力するステップと、
を有する熱中症判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの熱中症のレベルを判定する熱中症判定装置、熱中症判定システム及び熱中症判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの熱中症のリスクを評価する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、心拍出量の測定データの減少量や、ユーザの体内の温度である深部体温の測定データの増加量等の生体指標の組み合わせから、熱中症リスクを同定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、熱中症リスクの同定においてユーザの体内の温度である深部体温を体温センサにより測定する必要がある。熱中症のリスクが比較的高い屋外等の環境においては深部体温を測定することは困難である。ユーザが運動中である場合にも、深部体温を測定することは困難である。このため、特許文献1に記載の技術では、このような環境において熱中症リスクを同定することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、熱中症のリスクが比較的高い屋外等の環境又は運動中においてユーザの熱中症のレベルを判定することができる熱中症判定装置、熱中症判定システム及び熱中症判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の熱中症判定装置は、外気温を示す外気温データ、ユーザの表皮体温を示す表皮体温データ及び前記ユーザの心拍数を示す心拍データを取得するデータ取得部と、前記外気温データ及び前記表皮体温データに基づき前記ユーザの深部体温を推定し、かつ、前記心拍データに基づき前記ユーザの血流量を推定する推定部と、前記深部体温に基づいて決定される第1リスク値、前記表皮体温に基づいて決定される第2リスク値、前記血流量に基づいて決定される第3リスク値の少なくとも1つを決定する決定部と、前記決定部で決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記ユーザの熱中症のレベルを判定する判定部と、前記判定部が判定した結果を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記決定部は、前記表皮体温データが特定の判定時間の間に低下してから上昇したか否かを判定した結果に基づいて、前記第2リスク値を決定してもよい。前記データ取得部は、所定の単位時間が経過するごとに前記表皮体温を取得し、前記決定部は、3つ以上の連続した前記単位時間を含む前記判定時間において前記表皮体温が低下してから上昇したか否かを判定してもよい。
【0008】
前記決定部は、前記推定部が推定した前記血流量が特定の判定時間の間に増加してから減少したか否かを判定した結果に基づいて、前記第3リスク値を決定してもよい。前記推定部は、所定の単位時間が経過するごとに前記血流量を推定し、前記決定部は、3つ以上の連続した前記単位時間を含む前記判定時間において前記血流量が増加してから減少したか否かを判定してもよい。
【0009】
前記推定部は、前記単位時間ごとに前記深部体温を推定し、前記決定部は、前記推定部が推定した前記深部体温が閾値以上であり、かつ、前記深部体温が前記単位時間において基準値以上上昇したか否かを判定した結果に基づいて、前記第1リスク値を決定してもよい。
【0010】
前記判定部は、前記決定部で決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか2以上の値を加算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記ユーザの熱中症のレベルを判定してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様の熱中症判定システムは、ユーザが身に着けるウェアラブル端末と、当該ウェアラブル端末と通信する熱中症判定装置とを含む熱中症判定システムであって、前記ウェアラブル端末は、前記ユーザの表皮体温、前記ユーザの心拍数及び外気温を測定する測定部と、前記表皮体温を示す表皮体温データ、前記心拍数を示す心拍データ、及び前記外気温を示す外気温データを前記熱中症判定装置へ送信する送信部と、熱中症に関する情報を前記ユーザに通知する通知部とを有し、前記熱中症判定装置は、前記表皮体温データ、前記心拍データ及び前記外気温データを前記ウェアラブル端末から取得するデータ取得部と、前記表皮体温及び前記外気温に基づき前記ユーザの深部体温を推定し、前記心拍数に基づき前記ユーザの血流量を推定する推定部と、前記深部体温に基づいて第1リスク値を決定し、前記表皮体温に基づいて第2リスク値を決定し、前記血流量に基づいて第3リスク値の少なくとも1つを決定する決定部と、前記決定部で決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記熱中症のレベルを判定する判定部と、前記判定部が判定した前記熱中症のレベルを示す情報を前記ウェアラブル端末へ出力する出力部と、を有し、前記通知部は、前記出力部が出力した前記熱中症のレベルに基づいて生成した前記熱中症に関する情報を前記ユーザに通知する。前記通知部は、前記熱中症のレベルに対応する情報を前記ユーザに通知してもよい。
【0012】
本発明の第3の態様の熱中症判定方法は、コンピュータが実行する、外気温を示す外気温データ、ユーザの表皮体温を示す表皮体温データ及び前記ユーザの心拍数を示す心拍データを取得するステップと、前記外気温データ及び前記表皮体温データに基づき前記ユーザの深部体温を推定し、かつ、前記心拍データに基づき前記ユーザの血流量を推定するステップと、前記深部体温に基づいて決定される第1リスク値、前記表皮体温に基づいて決定される第2リスク値、前記血流量に基づいて決定される第3リスク値の少なくとも1つを決定するステップと、決定された前記第1リスク値、前記第2リスク値及び前記第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、前記ユーザの熱中症のレベルを判定するステップと、前記ユーザの熱中症のレベルを判定した結果を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱中症のリスクが比較的高い屋外等の環境又は運動中においてユーザの熱中症のレベルを判定するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の熱中症判定システムの構成を示す図である。
【
図4】決定部による第1リスク値の決定方法を説明するための図である。
【
図5】決定部による第2リスク値の決定方法を説明するための図である。
【
図6】決定部による第3リスク値の決定方法を説明するための図である。
【
図7】熱中症判定装置による熱中症のレベルの判定の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[熱中症判定システムの概要]
図1は、本実施形態の熱中症判定システムSの構成を示す図である。熱中症判定システムSは、ウェアラブル端末100及び熱中症判定装置200を備える。
【0016】
ウェアラブル端末100は、ユーザが身に着けて使用する。ユーザは、例えば、夏季の屋外等の比較的熱中症のリスクの高い環境で働く作業者である。ウェアラブル端末100は、ネットワークを介して、熱中症判定装置200と通信する。ウェアラブル端末100は、ユーザのバイタルサインを測定する。バイタルサインは、例えばユーザの表皮体温及び心拍数である。
【0017】
熱中症判定装置200は、ネットワークを介して、ウェアラブル端末100及び外部装置300と通信する。熱中症判定装置200は、ユーザの熱中症のレベルを判定する。外部装置300は、ネットワークを介して、熱中症判定装置200と通信する。外部装置300は、例えば、外気温データを提供するサービス事業者のサーバであり、ユーザの周囲等の外気温を示す外気温データを記憶している。
【0018】
以下、熱中症判定システムSの処理の流れについて説明する。熱中症判定装置200は、ユーザの周囲の外気温を示す外気温データを外部装置300から取得する(
図1中の(1))。熱中症判定装置200は、ウェアラブル端末100が測定したユーザの心拍数を示す心拍データと、測定した表皮体温を示す表皮体温データとを取得する(
図1中の(2))。
【0019】
熱中症判定装置200は、取得した外気温データ及び表皮体温データに基づき、ユーザの深部体温を推定する。熱中症判定装置200は、取得した心拍データに基づき、ユーザの血流量を推定する(
図1中の(3))。血流量は、例えば、単位時間内に血管内を流れる血液の体積を血管の断面積で除した値であり、血流量の単位は、L(リットル)/h・m
2である。
【0020】
熱中症判定装置200は、熱中症のリスクを評価するためのリスク値を決定する。熱中症判定装置200は、深部体温に対応する第1リスク値、表皮体温に対応する第2リスク値、または血流量に対応する第3リスク値の少なくとも1つ以上を決定する。熱中症判定装置200は、決定した第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値を演算する。熱中症判定装置200は、演算した結果が予め定められた複数のリスク値領域のうちのどのリスク値領域に含まれるかを判定する。
【0021】
熱中症判定装置200は、演算した結果を含むリスク値領域に基づいて、ユーザの熱中症のレベルを判定する(
図1中の(4))。熱中症判定装置200は、熱中症のレベルを判定した結果をユーザに通知する(
図1中の(5))。
【0022】
熱中症判定装置200は、外気温データ、表皮体温データ及び心拍数データに基づいて、深部体温及び血流量を推定する。熱中症判定装置200は、推定した深部体温及び血流量を用いて熱中症のリスクを判定する。このようにして、熱中症判定装置200は、ユーザの深部体温等を直接測定することが困難な屋外等の環境又はユーザの運動中において熱中症のリスクを精度よく判定することができる。
【0023】
[ウェアラブル端末の構成]
図2は、ウェアラブル端末100の構成を示す。ウェアラブル端末100は、心拍センサ11、体温計12、通信部13、表示部14、記憶部15及び制御部16を備える。制御部16は、測定部161、通信制御部162及び通知部163を備える。
【0024】
心拍センサ11は、ユーザの心拍数を測定する。心拍センサ11は、測定した心拍数を測定部161に入力する。体温計12は、ユーザの表皮体温を測定する。体温計12は、測定した表皮体温を測定部161に入力する。
【0025】
通信部13は、熱中症判定装置200と無線通信により通信するための通信モジュールである。表示部14は、各種の文字や画像等を表示する。
【0026】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部15は、制御部16が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部15は、制御部16のワークメモリとして使用される。
【0027】
制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部16は、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することにより、測定部161、通信制御部162及び通知部163として機能する。
【0028】
測定部161は、ユーザの心拍数及び表皮体温を測定する。測定部161は、ユーザの心拍数を心拍センサ11により測定する。測定部161は、ユーザの表皮体温を体温計12により測定する。また、測定部161は、外気温を測定してもよい。測定部161は、測定した心拍数を示す心拍数データと、測定した表皮体温を示す表皮体温データとを通信制御部162へ出力する。
【0029】
通信制御部162は、通信部13を介して、熱中症判定装置200と通信する。通信制御部162は、表皮体温を示す表皮体温データと、心拍数を示す心拍データとを熱中症判定装置200へ送信する。また、通信制御部162は、外気温を示す外気温データを熱中症判定装置200へ送信してもよい。
【0030】
通信制御部162は、心拍数及び表皮体温の測定の開始及び終了を指示するユーザの操作を操作受付部(不図示)が受け付けた場合に、測定の開始及び終了を通知する通知情報を熱中症判定装置200へ送信する。通信制御部162は、GPSセンサ(不図示)が測定した現在位置を示す位置情報を熱中症判定装置200へ送信する。
【0031】
通信制御部162は、ユーザの熱中症のレベルを示す情報を熱中症判定装置200から受信する。通信制御部162は、受信した熱中症のレベルを示す情報を通知部163へ出力する。
【0032】
通知部163は、熱中症判定装置200が出力した熱中症のレベルに基づいて、熱中症に関する情報を生成する。通知部163は、生成した熱中症に関する情報をユーザに通知する。熱中症に関する情報は、例えば、熱中症のレベルに対応する情報である。具体的には、通知部163は、熱中症のレベルが比較的軽度であることを示す値である場合には、ユーザに水を飲むことを要求するメッセージを生成する。通知部163は、熱中症のレベルが中程度であることを示す値である場合には、ユーザに水を飲んだ上で休憩することを要求するメッセージを生成する。通知部163は、熱中症のレベルが比較的重度であることを示す値である場合には、ユーザに直ちに作業を中断して、体調回復するまで待機し、または医療機関を受診することを要求するメッセージを生成する。通知部163は、生成したメッセージを表示部14に表示する。
【0033】
[熱中症判定装置の構成]
図3は、熱中症判定装置200の構成を示す。熱中症判定装置200は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。制御部23は、データ取得部231、推定部232、決定部233、判定部234及び出力部235を備える。
【0034】
通信部21は、ネットワークを介して、ウェアラブル端末100及び外部装置300と通信するためのインターフェースである。記憶部22は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部22は、制御部23のワークメモリとして使用される。
【0035】
制御部23は、例えばCPUである。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、データ取得部231、推定部232、決定部233、判定部234及び出力部235として機能する。
【0036】
データ取得部231は、通信部21を介して、ウェアラブル端末100及び外部装置300と通信する。データ取得部231は、外気温を示す外気温データ、ユーザの表皮体温を示す表皮体温データ、及びユーザの心拍数を示す心拍データを取得する。
【0037】
本明細書の例では、データ取得部231は、表皮体温データ及び心拍データをウェアラブル端末100から取得する。データ取得部231は、表皮体温を示す表皮体温データを所定の単位時間が経過するごとに取得する。同様に、データ取得部231は、心拍データを所定の単位時間が経過するごとに取得する。
【0038】
データ取得部231は、外気温データを外部装置300から取得する。まず、データ取得部231は、ウェアラブル端末100の現在位置を示す位置情報を取得する。外部装置300の記憶部には、位置情報と外気温データとが関連付けて記憶されている。データ取得部231は、取得したウェアラブル端末100の位置情報を外部装置300へ送信し、送信した位置情報に関連付けて外部装置300が記憶している外気温データを外部装置300から取得する。
【0039】
また、データ取得部231は、外気温データをウェアラブル端末100から取得してもよい。データ取得部231は、心拍数及び表皮体温の測定の開始及び終了を通知する通知情報をウェアラブル端末100から取得する。データ取得部231は、外気温データ、表皮体温データ及び心拍データを所定の単位時間ごとに取得する。データ取得部231は、取得した外気温データ、表皮体温データ及び心拍データを推定部232へ出力する。
【0040】
推定部232は、データ取得部231が取得した外気温データ及び表皮体温データに基づいて、ユーザの深部体温を推定する。より詳しくは、推定部232は、記憶部22に記憶されている計算式を読み出し、外気温データ及び表皮体温データをこの計算式に適用することにより深部体温を推定する。推定部232は、計算式として、例えば、外気温と表皮体温と深部体温との関係を示す公知の計算式を使用することができる。推定部232は、外気温と表皮体温と深度体温との関係を示すデータを用いて深部体温を推定してもよい。推定部232は、所定の単位時間が経過するごとに深部体温を推定する。
【0041】
推定部232は、心拍データに基づいて、ユーザの血流量を推定する。推定部232は、所定の単位時間が経過するごとに血流量を推定する。推定部232は、推定したユーザの深部体温及び血流量を決定部233へ出力する。
【0042】
決定部233は、推定部232が推定した深部体温に基づいて決定される第1リスク値、表皮体温に基づいて決定される第2リスク値、血流量に基づいて決定される第3リスク値の少なくとも1つを決定する。まず、決定部233が第1リスク値を決定する場合の例について説明する。
【0043】
[第1リスク値の決定]
決定部233は、推定部232が推定した深部体温が閾値以上であり、かつ、深部体温が単位時間において基準値以上上昇したか否かを判定する。決定部233は、深部体温の変化を判定した結果に基づいて、第1リスク値を決定する。
【0044】
図4(a)及び
図4(b)は、決定部233による第1リスク値の決定方法を説明するための図である。
図4(a)は、深部体温D
nが閾値Aより大きい場合の例を示し、
図4(b)は、深部体温D
nが閾値Aより小さい場合の例を示す。
【0045】
図4(a)の縦軸は深部体温D
nを示し、
図4(a)の横軸は時間を示す。
図4(a)に示すように、決定部233は、深部体温D
nが閾値A以上である場合、熱中症リスクが比較的高いことを示す値を第1リスク値として決定する。閾値Aは、例えば、ユーザが水を飲むだけでは正常値まで低下することが期待できないことを示す値である。本明細書の例では、リスク値が大きいほど、熱中症のリスクが高いことを示すものとする。
図4(a)の例では、決定部233は、第1リスク値を2とするものとする。
【0046】
図4(b)に示すように、決定部233は、深部体温D
nが閾値A未満である場合、深部体温D
nが閾値B以上であるか否かを判定する。閾値Bは、閾値Aより低い値である。決定部233は、深部体温D
nが閾値B未満である場合、熱中症リスクが比較的低いことを示す値を第1リスク値として決定する。例えば、決定部233は、深部体温D
nが閾値B未満である場合に第1リスク値を0とする。
【0047】
決定部233は、深部体温Dnが閾値A未満であり、且つ、深部体温Dnが閾値B以上である場合、深部体温Dnの一つ前に推定部232が推定した深部体温Dn-1と比較して、深部体温Dnが基準値以上上昇したか否かを判定する。基準値は、例えば、閾値Aと閾値Bとの差と同じ値である。
【0048】
決定部233は、深部体温Dnの一つ前に推定された深部体温Dn-1と比較して深部体温Dnが基準値以上上昇したと判定した場合、熱中症リスクが比較的高いことを示す値を第1リスク値として決定する。例えば、決定部233は第1リスク値を2とする。決定部233は、深部体温Dnの一つ前に推定された深部体温Dn-1と比較して深部体温Dnが基準値以上上昇していないと判定した場合、熱中症リスクが比較的低いことを示す値を第1リスク値として決定する。例えば、決定部233は、第1リスク値を0とする。
【0049】
深部体温Dnの一つ前に推定された深部体温Dn-1と比較して深部体温Dnが基準値以上上昇した場合、深部体温Dnの次に推定部232が推定する深部体温D’が閾値A以上となる可能性が高い。この場合に、決定部233は、熱中症リスクが比較的高いことを示す値を第1リスク値として決定することにより、深部体温が閾値A以上となる前の段階において深部体温が閾値A以上となった場合と同様の処理を行うことができる。
【0050】
[第2リスク値の決定]
患者は熱中症において発汗する。この発汗により患者の表皮温度は低下する。熱中症の症状がさらに悪化すると、患者の発汗は停止し、発汗の停止により患者の表皮温度が上昇する。
【0051】
決定部233は、表皮温度がこのように変化したか否かを検出することにより、第2リスク値を決定する。具体的には、決定部233は、表皮体温データが特定の判定時間の間に低下してから上昇したか否かを判定する。このとき、決定部233は、3つ以上の連続した単位時間を含む判定時間において表皮体温が低下してから上昇したか否かを判定する。決定部233は、表皮温度の変化を判定した結果に基づいて、第2リスク値を決定する。
【0052】
図5(a)及び
図5(b)は、決定部233による第2リスク値の決定方法を説明するための図である。
図5(a)は、決定部233が4つの表皮体温E
1~E
4を用いて第2リスク値を決定する場合の例を示す。
図5(b)は、決定部233が3つの表皮体温E
1~E
3を用いて第2リスク値を決定すると仮定した場合の比較例を示す。
【0053】
図5(a)の縦軸は、表皮体温を示す。
図5(a)の横軸は、時間を示す。
図5(a)の例では、決定部233は、表皮体温E
1の測定タイミングから表皮体温E
4の測定タイミングまでの3つの単位時間に相当する判定時間T
1の間に表皮体温が低下してから上昇したか否かを判定する。
【0054】
図5(a)の破線に示すように、表皮体温が判定時間T
1の間に低下してから上昇したものとする。
図5(a)において表皮体温E
1の次に測定された表皮体温E
2は、表皮体温E
1よりも低い。このため、決定部233は、表皮体温E
1の測定タイミングと表皮体温E
2の測定タイミングとの間において、表皮体温が低下したと判定する。表皮体温E
3の次に測定された表皮体温E
4は、表皮体温E
3よりも高い。このため、決定部233は、表皮体温E
3の測定タイミングと表皮体温E
4の測定タイミングとの間において、表皮体温が低下したと判定する。
【0055】
このようにして、
図5(a)の例では、決定部233は、表皮体温が判定時間T
1の間に低下してから上昇したと判定する。決定部233は、表皮体温が判定時間T
1の間に低下してから上昇したと判定した場合、熱中症リスクが比較的高いことを示す値を第2リスク値として決定する。例えば、決定部233は、第2リスク値を1とする。決定部233は、表皮体温が判定時間T
1の間に低下してから上昇する変化をしていないと判定した場合、熱中症リスクが比較的低いことを示す値を第2リスク値として決定する。例えば、決定部233は、第2リスク値を0とする。
【0056】
図5(b)に示すように、決定部233は、3つの表皮体温E
1~E
3を用いて、より短い判定時間T
1’の間に表皮体温が低下してから上昇したか否かを判定することも考えられる。
図5(b)の破線に示すように、判定時間T
1’において表皮体温が低下してから上昇したものとする。表皮体温E
2と表皮体温E
3とは同じ値である。このとき、決定部233は、表皮体温E
2と表皮体温E
3とが同じであることに起因して、特定の判定時間T
1’において表皮体温が低下した後に上昇する変化をしていないと誤って判定するという問題がある。
【0057】
そこで、
図5(a)に示すように、決定部233は、表皮体温E
1~E
3に加えて、表皮体温E
3の測定タイミングの後に表皮体温E
4をさらに測定する。このようにして、決定部233は、表皮体温E
3の測定タイミングと、表皮体温E
4の測定タイミングとの間に表皮体温が上昇したことを把握することができる。このため、決定部233は、表皮体温が低下してから上昇したことを精度よく判定することができる。以上のように、決定部233は、3つ以上の単位時間を含む判定時間T
1において表皮体温が低下してから上昇したか否かを判定することにより、表皮体温の変化の判定精度を向上させることができる。
【0058】
[第3リスク値の決定]
熱中症において患者の体内では、発汗等を促進するために血流量が増加する。熱中症の症状がさらに悪化すると、体内の組織へのダメージ等により血流量が減少する。決定部233は、血流量がこのように変化したか否かを判定することにより、第3リスク値を決定する。決定部233は、推定部232が推定した血流量が特定の判定時間の間に増加してから減少したか否かを判定する。このとき、決定部233は、3つ以上の連続した単位時間を含む判定時間において血流量が増加してから減少したか否かを判定する。決定部233は、血流量の変化を判定した結果に基づいて、第3リスク値を決定する。
【0059】
図6は、決定部233による第3リスク値の決定方法を説明するための図である。
図6には、決定部233が4つの血流量B
1~B
4を用いて第3リスク値を決定する場合の例を示す。
図6の縦軸は、血流量を示す。血流量の単位は、L(リットル)/h・m
2である。
図6の横軸は、時間を示す。
図6の例では、決定部233は、血流量B
1の測定タイミングから血流量B
4の測定タイミングまでの3つの単位時間に相当する判定時間T
2の間に血流量が増加してから減少したか否かを判定する。
【0060】
決定部233が判定時間T
2の間に血流量が増加してから減少したか否かを判定する方法は、上下が逆である点を除いて
図5と同様である。
図6の例では、血流量B
1の次に測定された血流量B
2は、血流量B
1よりも大きい。このため、決定部233は、血流量B
1の測定タイミングと血流量B
2の測定タイミングとの間において、血流量が増加したと判定する。
【0061】
血流量B
3の次に測定された血流量B
4は、血流量B
3よりも小さい。決定部233は、血流量B
3の測定タイミングと血流量B
4の測定タイミングとの間において、血流量が減少したと判定する。このようにして、
図6の例では、決定部233は、判定時間T
2の間に血流量が増加してから減少したと判定する。
【0062】
決定部233は、判定時間T2の間に血流量が増加してから減少したと判定した場合、熱中症のリスクが比較的高いことを示す値を第3リスク値として決定する。例えば、決定部233は、第3リスク値を1とする。決定部233は、判定時間T2の間に血流量が増加してから減少する変化をしていないと判定した場合、熱中症のリスクが比較的低いことを示す値を第3リスク値として決定する。例えば、決定部233は、第3リスク値を0とする。決定部233は、決定した第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値を判定部234へ出力する。
【0063】
[熱中症のレベルの判定]
判定部234は、ユーザの熱中症のレベルを判定する。判定部234は、決定部233で決定された第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値のうちのいずれか1つの値の結果又は2以上の値を演算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、ユーザの熱中症のレベルを判定する。本明細書の例では、判定部234は、決定部233で決定された第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値のうちのいずれか2以上の値を加算した結果が、予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかに基づいて、ユーザの熱中症のレベルを判定する。
【0064】
まず、判定部234は、第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値を加算する。判定部234は、3つのリスク値を加算した結果が0である場合、ユーザは正常であることを示すリスク値領域に含まれると判定する。このとき、判定部234は、ユーザの熱中症のレベルを正常であることを示す値とする。
【0065】
判定部234は、3つのリスク値を加算した結果が1である場合、ユーザは比較的軽度の熱中症であることを示すリスク値領域に含まれると判定する。このとき、判定部234は、ユーザの熱中症のレベルを比較的軽度の熱中症であることを示す値とする。
【0066】
判定部234は、3つのリスク値を加算した結果が2である場合、ユーザは中程度の熱中症であることを示すリスク値領域に含まれると判定する。このとき、判定部234は、ユーザの熱中症のレベルを中程度の熱中症であることを示す値とする。
【0067】
判定部234は、3つのリスク値を加算した結果が3又は4である場合、ユーザは比較的重度の熱中症であることを示すリスク値領域に含まれると判定する。このとき、判定部234は、ユーザの熱中症のレベルを比較的重度の熱中症であることを示す値とする。また、判定部234は、2つ以上のリスク値を乗算した結果がどのリスク値領域に含まれるかに基づいて、熱中症のレベルを判定してもよい。判定部234は、単一のリスク値がどのリスク値領域に含まれるかに基づいて、熱中症のレベルを判定してもよい。
【0068】
判定部234は、心拍数及び表皮体温の測定の開始を通知する通知情報をデータ取得部231が取得した場合に、熱中症のレベルの判定を開始する。判定部234は、心拍数及び表皮体温の測定の終了を通知する通知情報をデータ取得部231が取得した場合に、熱中症のレベルの判定を終了する。判定部234は、熱中症のレベルの判定結果を出力部235へ通知する。
【0069】
出力部235は、判定部234が熱中症のレベルを判定した結果を出力する。出力部235は、通信部21を介して、判定の結果をウェアラブル端末100へ出力する。例えば、出力部235は、熱中症のレベルが比較的軽度であることを示す値である場合には、ユーザに水を飲むことを要求するメッセージをウェアラブル端末100の表示部14に出力する。出力部235は、熱中症のレベルが中程度であることを示す値である場合には、ユーザに水を飲んだ上で休憩することを要求するメッセージを表示部14に出力する。出力部235は、熱中症のレベルが比較的重度であることを示す値である場合には、ユーザに直ちに作業を中断して、体調回復するまで待機し、または医療機関を受診することを要求するメッセージを表示部14に出力する。
【0070】
[熱中症判定装置による熱中症のレベルの判定の処理手順]
図7は、熱中症判定装置200による熱中症のレベルの判定の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、例えば、データ取得部231が表皮温度及び心拍数の測定開始を通知する通知情報を取得したときに開始する。
【0071】
まず、データ取得部231は、ユーザの周囲の外気温データを外部装置300から取得する。データ取得部231は、ユーザの表皮体温を示す表皮体温データ及びユーザの心拍数を示す心拍データをウェアラブル端末100から取得する(S101)。推定部232は、データ取得部231が取得した外気温データ及び表皮体温データに基づいて、ユーザの深部体温を推定する。推定部232は、心拍データに基づいて、ユーザの血流量を推定する(S102)。
【0072】
決定部233は、推定部232が推定した深部体温に基づいて、第1リスク値を決定する。決定部233は、データ取得部231が取得した表皮体温に基づいて、第2リスク値を決定する。決定部233は、推定部232が推定した血流量に基づいて、第3リスク値を決定する(S103)。
【0073】
判定部234は、決定部233で決定された第1リスク値、第2リスク値及び第3リスク値を加算する。判定部234は、加算結果が予め定められた複数のリスク値領域のどの領域に含まれるかを判定する。判定部234は、この判定結果に基づいて、ユーザの熱中症のレベルを判定する(S104)。出力部235は、ユーザの熱中症のレベルの判定の結果をウェアラブル端末100へ出力する(S105)。
【0074】
判定部234は、表皮温度及び心拍数の測定終了を通知する通知情報をデータ取得部231が取得したか否かを判定する(S106)。判定部234は、測定終了を通知する通知情報をデータ取得部231が取得したと判定した場合に(S106のYES)、処理を終了する。判定部234は、S106の判定において、測定終了を通知する通知情報をデータ取得部231が取得していないと判定した場合に(S106のNO)、S101の処理に戻る。
【0075】
[本発明による効果]
本実施形態では、推定部232は、外気温データ及び表皮体温データに基づいて、深部体温を推定し、心拍数データに基づいて、血流量を推定する。判定部234は、推定部232が推定した深部体温及び血流量に基づいて、熱中症のリスクを判定する。このようにして、推定部232及び判定部234は、ユーザの深部体温を直接測定することが困難な屋外等の環境又はユーザの運動中等において熱中症のリスクを精度よく推定することができる。
【0076】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0077】
11 心拍センサ
12 体温計
13 通信部
14 表示部
15 記憶部
16 制御部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
100 ウェアラブル端末
161 測定部
162 通信制御部
163 通知部
200 熱中症判定装置
231 データ取得部
232 推定部
233 決定部
234 判定部
235 出力部
300 外部装置