(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106102
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】トレーラ揺動抑制具、及び、トレーラ車両
(51)【国際特許分類】
B62D 53/06 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B62D53/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000838
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】599056013
【氏名又は名称】黒田 豊文
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】黒田 豊文
(57)【要約】
【課題】牽引車に対する被牽引車の揺動を抑制するように牽引車や被牽引車の外面に当接して、ジャックナイフ現象低減のための「構造の簡素化」と「調整の容易化」などを実現する。
【解決手段】牽引車Kに被牽引車Hが揺動自在に連結したトレーラ車両Tに、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制可能なトレーラ揺動抑制具1は、牽引車Kの後部の上外面の左右端寄り等に当接する牽引当接部2や、被牽引車Hの前部の下外面から前外面に亘る左右端寄り等に当接する被牽引当接部3を有する。又、後付可能なトレーラ揺動抑制具1は牽引車Kと被牽引車Hに挟持されて何れにも固定されなかったり、当該揺動を抑制した抑制状態J1とその抑制を解除した解除状態J2の状態切替部4を有したり、牽引当接部2と被牽引当接部3の相対位置の調整部5を有しても良い。その他、上述したトレーラ揺動抑制具1を取り付けたトレーラ車両Tである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車(K)に被牽引車(H)が揺動自在に連結したトレーラ車両(T)に、前記牽引車(K)に対する被牽引車(H)の揺動を抑制可能に取り付けられるトレーラ揺動抑制具であって、
前記牽引車(K)に対する被牽引車(H)の揺動を抑制するように前記牽引車(K)の外面に当接する牽引当接部(2)、及び/又は、前記牽引車(K)に対する被牽引車(H)の揺動を抑制するように前記被牽引車(H)の外面に当接する被牽引当接部(3)を有していることを特徴とするトレーラ揺動抑制具。
【請求項2】
前記トレーラ車両(T)は、前記牽引車(K)の後部に、前記被牽引車(H)の前部が覆い被さった状態で揺動自在に連結されていて、
当該トレーラ揺動抑制具は、前記牽引車(K)の後部と前記被牽引車(H)の前部との間に、左右一対に取り付けられ、
前記牽引当接部(2)は、前記牽引車(K)の後部における上外面の左右端寄りに、左右一対に当接し、
前記被牽引当接部(3)は、前記被牽引車(H)の前部における下外面から前外面に亘る左右端寄りに、左右一対に当接していることを特徴とする請求項1に記載のトレーラ揺動抑制具。
【請求項3】
当該トレーラ揺動抑制具は、前記トレーラ車両(T)に後付可能に取り付けられ、
当該トレーラ揺動抑制具は、前記牽引車(K)の後部と前記被牽引車(H)の前部に挟持されて、前記牽引車(K)及び被牽引車(H)の何れにも固定されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載のトレーラ揺動抑制具。
【請求項4】
前記牽引車(K)に対する被牽引車(H)の揺動を抑制した抑制状態(J1)と、前記牽引車(K)に対する被牽引車(H)の揺動の抑制を解除した解除状態(J2)に切替可能な状態切替部(4)を有していることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のトレーラ揺動抑制具。
【請求項5】
前記牽引当接部(2)に対する被牽引当接部(3)の位置を調整可能な調整部(5)を有していることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のトレーラ揺動抑制具。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のトレーラ揺動抑制具(1)が取り付けられていることを特徴とするトレーラ車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引車に対する被牽引車の揺動を抑制するトレーラ揺動抑制具、及び、このトレーラ揺動抑制具が取り付けられたトレーラ車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被牽引車両を牽引する牽引車両におけるジャックナイフ現象を防止するための制御装置が知られている(特許文献1)。
この制御装置が取り付けられた牽引車両は、駆動力を発生する駆動装置と、運転者のステアリング操作に基づいて前記牽引車両の前輪を転舵する第1転舵アクチュエータと、前記牽引車両の後輪を転舵する第2転舵アクチュエータと、前記牽引車両の前記前輪、前記後輪及び前記被牽引車両の車輪にそれぞれ制動力を作用させる制動アクチュエータと、を備えている。
【0003】
このような牽引車両における制御装置は、前記牽引車両の車速を検出する車速センサと、前記前輪の操舵量を検出する舵角センサと、前記牽引車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、前記牽引車両の横加速度を検出する横加速度センサと、前記第2転舵アクチュエータ及び前記制動アクチュエータをそれぞれ作動させることが可能な制御部と、を備えている。
更に加えて、この制御装置は、前記制御部は、前記第1転舵アクチュエータにより前記前輪が転舵された場合において、少なくとも前記操舵量、前記ヨーレート、前記横加速度及び前記牽引車両の車両諸元に基づいて推定される前記牽引車両の後輪等価コーナリングパワーが所定の第1閾値以下であるか否かを判定し、前記推定された後輪等価コーナリングパワーが前記所定の第1閾値以下であると判定したとき、前記検出された車速の時系列データに基づいて所定期間内に発生し得る最大車速を予測するとともに前記検出された操舵量の時系列データに基づいて前記所定期間内に発生し得る最大操舵量を予測し、前記予測された最大車速と前記予測された最大操舵量との積が所定の第2閾値以上であるか否かを判定し、前記最大車速と前記最大操舵量との積が前記所定の第2閾値以上であると判定したとき、前記牽引車両に発生する前記横加速度を小さくする方向に前記牽引車両のヨーモーメントを与えるように前記第2転舵アクチュエータ又は前記制動アクチュエータを制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された制御装置は、後輪等価コーナリングパワー、予測された最大車速と予測された最大操舵量との積が閾値以上であるか否かを判定することが必須であり、又、特許文献1の制御装置を、牽引車両に適用すると、牽引車両の車速を検出する車速センサと、前輪の操舵量を検出する舵角センサと、牽引車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、牽引車両の横加速度を検出する横加速度センサの4つのセンサと、制御部など、多くの構成が必須となることから、制御装置そのものや、牽引車両の構造が非常に複雑となる。
更に、特許文献1の制御装置は、制御部そのものがブラックボックス化して、牽引車両の使用者が適宜調整することが出来ない問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、牽引車に対する被牽引車の揺動を抑制するように牽引車や被牽引車の外面に当接することによって、ジャックナイフ現象低減のための「構造の簡素化」と「調整の容易化」などを実現できるトレーラ揺動抑制具、及び、トレーラ車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具1は、牽引車Kに被牽引車Hが揺動自在に連結したトレーラ車両Tに、前記牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制可能に取り付けられるトレーラ揺動抑制具であって、前記牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制するように前記牽引車Kの外面に当接する牽引当接部2、及び/又は、前記牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制するように前記被牽引車Hの外面に当接する被牽引当接部3を有していることを第1の特徴とする。
尚、本発明における「牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制」するとは、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を、完全に防止(停止)させることだけでなく、牽引車Kに対して被牽引車Hを所定範囲内のみ揺動させる(所定範囲内のみの当該揺動を許容する)こと等も含む。
【0008】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記トレーラ車両Tは、前記牽引車Kの後部に、前記被牽引車Hの前部が覆い被さった状態で揺動自在に連結されていて、当該トレーラ揺動抑制具は、前記牽引車Kの後部と前記被牽引車Hの前部との間に、左右一対に取り付けられ、前記牽引当接部2は、前記牽引車Kの後部における上外面の左右端寄りに、左右一対に当接し、前記被牽引当接部3は、前記被牽引車Hの前部における下外面から前外面に亘る左右端寄りに、左右一対に当接している点にある。
【0009】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、 当該トレーラ揺動抑制具は、前記トレーラ車両Tに後付可能に取り付けられ、当該トレーラ揺動抑制具は、前記牽引車Kの後部と前記被牽引車Hの前部に挟持されて、前記牽引車K及び被牽引車Hの何れにも固定されていない点にある。
【0010】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具1の第4の特徴は、上記第1~3の特徴に加えて、前記牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制した抑制状態J1と、前記牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制を解除した解除状態J2に切替可能な状態切替部4を有している点にある。
【0011】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具1の第5の特徴は、上記第1~4の特徴に加えて、前記牽引当接部2に対する被牽引当接部3の位置を調整可能な調整部5を有している点にある。
【0012】
これらの特徴により、トレーラ車両Tにおける牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制可能に取り付け、当該揺動を抑制するように牽引車や被牽引車の外面に当接させることによって、特許文献1とは異なり、所定の値が閾値以上であるか否か等を判定することが不要となると同時に、トレーラ車両Tに適用しても、各センサや制御部などの構成を有さずとも良いことから、ジャックナイフ現象の発生を低減させるためのトレーラ揺動抑制具1としての構造が簡素になる(「構造の簡素化」)。
これに加えて、ブラックボックス化する制御部等がないため、当該揺動の抑制を、トレーラ車両Tの使用者(運転手)が適宜調整することが出来、調整が容易になる(「調整の容易化」)。このように、トレーラ車両Tにおける牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制できる。
【0013】
又、牽引当接部2を、牽引車Kの後部における上外面の左右端寄りに左右一対に当接させ、被牽引当接部3を、被牽引車Hの前部における下外面から前外面に亘る左右端寄りに左右一対に当接させることによって、ジャックナイフ現象低減のための「構造の簡素化」や「調整の容易化」を更に図ることが出来る。
これと共に、特許文献1のように、トレーラ車両Tにおいて、牽引車Kに被牽引車Hを揺動自在に連結させる揺動連結軸Y(キングピンやターンテーブル)1本(1つ)だけでコンテナ型等の被牽引車Hを支える場合とは異なり、揺動連結軸Yと左右のトレーラ揺動抑制具1の3つで被牽引車Hを支える方が、牽引車Kと被牽引車Hをより一体化できる(長さの限度(一般的制限値)は、トレーラ車両Tも、トラック(連結機構を有さない単車)も同じ12mであり、謂わば、トラック化できるとも言える)ため、牽引車K側は横揺れしていないにも関わらず被牽引車Hは横揺れする(運転手は横揺れを感じないため、横揺れが生じていないものとしてコーナリング等を行う)ことを減少させたり、被牽引車H自体における捻じれを抑えることとなり、トレーラ車両Tにおけるコーナリング時の横転を低減したり、コーナリング時に積載物が偏ること等を減少させられるとも言える。
尚、被牽引車Hに横揺れや捻じれが生じた際には、被牽引車Hにおけるタイヤ(車輪)がより摩耗することとなるものの、被牽引車Hの横揺れや捻じれを減少させることで、タイヤの摩耗を抑えると同時に、被牽引車Hのタイヤの本数を設計時・製造時から減らす(例えば、12本(隣接した2本のタイヤを1セットとして、左右1セットずつを前後3軸に設けた場合)から、8本(同じく、隣接した2本のタイヤを1セットとして、左右1セットずつを前後2軸に設けた場合)等へ減らす)ことが出来るとも言える。
【0014】
更に、後付可能なトレーラ揺動抑制具1を、牽引車Kの後部と被牽引車Hの前部に挟持させて、牽引車K及び被牽引車Hの何れにも固定しないことによって、ジャックナイフ現象低減のための「構造の簡素化」や「調整の容易化」をより図ることが出来る。
【0015】
そして、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制した抑制状態J1と、当該揺動の抑制を解除した解除状態J2に切替可能な状態切替部4を有することによって、トレーラ車両Tを後退させる時や、港や倉庫、工場等において、コンテナ型等の被牽引車Hを頻繁に連結・解結(連結を解く)する時、狭い道路や場所でトレーラ車両Tを使用する時など、必要に応じて使用者がすぐに、抑制状態J1から解除状態J2(謂わば、トラック化した状態から本来のトレーラ車両Tの状態)に切り替えるだけで良く、更なる「調整の容易化」が実現できる。
【0016】
その他、牽引当接部2に対する被牽引当接部3の位置を調整可能な調整部5を有することによって、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制具合(当該揺動を完全に防止するのか、所定範囲内のみの当該揺動を許容するのか等)を、使用者自らが容易に調整できる(更なる「調整の容易化」が図れる)と共に、様々なトレーラ車両Tに対して取付けが可能となる。
【0017】
本発明に係るトレーラ車両Tは、上述したトレーラ揺動抑制具1が取り付けられていることを第1の特徴とする。
【0018】
この特徴により、当該トレーラ揺動抑制具1を適用したトレーラ車両Tにおいて、「構造の簡素化」や「調整の容易化」を図ることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具、及び、トレーラ車両によると、牽引車に対する被牽引車の揺動を抑制するように牽引車や被牽引車の外面に当接することによって、ジャックナイフ現象低減のための「構造の簡素化」と「調整の容易化」などを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るトレーラ揺動抑制具とトレーラ車両を示す概要側面図である。
【
図2】トレーラ揺動抑制具とトレーラ車両を示す概要平面図である。
【
図3】トレーラ揺動抑制具の斜視を例示する図面代用写真である。
【
図4】トレーラ揺動抑制具の側面視を例示する図面代用写真である。
【
図5】トレーラ揺動抑制具の平面視を例示する図面代用写真である。
【
図6】トレーラ揺動抑制具の正面視を例示する図面代用写真である。
【
図7】トレーラ揺動抑制具の背面視を例示する図面代用写真である。
【
図8】トレーラ揺動抑制具の抑制状態と解除状態を示す概要側面図であって、(a)は抑制状態を示し、(b)は解除状態を示す。
【
図9】トレーラ揺動抑制具の変形例とトレーラ車両を示す概要側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<トレーラ揺動抑制具1の全体構成>
図1~9には、本発明に係るトレーラ揺動抑制具1が示されている。
トレーラ揺動抑制具1は、トレーラ車両Tに対して、当該トレーラ車両Tにおける牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制可能に取り付けられる器具である。
【0022】
トレーラ揺動抑制具1は、後述する牽引当接部2や被牽引当接部3を有している。
トレーラ揺動抑制具1は、状態切替部4や、調整部5を有していたり、その他、トレーラ揺動抑制具1の本体10や、当該トレーラ揺動抑制具1をトレーラ車両Tに対して取り付ける際の固定手段(ボルトやネジ、溶接部分など)を有していても良い。
【0023】
トレーラ揺動抑制具1は、その素材は特に限定はないが、例えば、鉄や鋼、ステンレスなどの金属製であったり、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)等の合成樹脂や、カーボン繊維強化プラスチックであったり、その他、木製などであっても良い。
トレーラ揺動抑制具1は、1つのトレーラ車両Tに対して、左右一対の2つが取り付けられたり、1つのみが取り付けられたり、3つ以上が取り付けられる等しても良い。
以下はまず、トレーラ揺動抑制具1が取り付けられるトレーラ車両T等について述べる。
【0024】
<トレーラ車両T>
図1、2、8、9に示したように、トレーラ車両Tは、上述したトレーラ揺動抑制具1が取り付けられる車両である。トレーラ車両Tは、牽引車Kと、被牽引車Hを少なくとも有している。
トレーラ車両Tは、揺動連結軸Y(キングピン(第5輪の一部)やターンテーブル(旋回盤、第5輪)とも言う)を有していたり、駆動輪や操舵輪を有していたり、その他、駆動も操舵もしないその他の車輪などを有していても良い。尚、これら揺動連結軸Y、駆動輪や操舵輪、その他の車輪などは、牽引車K側のみが有していたり、被牽引車H側のみが有していたり、牽引車Kと被牽引車Hの両方が有する等、何れでも良い。
【0025】
トレーラ車両Tに対する牽引車Kと被牽引車Hの数について述べる。
1つのトレーラ車両Tにおいては、牽引車Kと被牽引車Hを1つずつ有しても良いが、その他、1つの牽引車Kと2つ以上の被牽引車Hを有していたり(この場合、2連以上のトレーラ車両Tとも言える)、2つの牽引車Kと1つ以上の被牽引車Hを有する(例えば、1つのトレーラ車両Tの一方端(前端)に1つ目の牽引車Kを有し、当該トレーラ車両Tの他方端(後端)に2つ目の牽引車Kを有し、これら2つの牽引車Kの間に、1つ以上の被牽引車Hを有する)等でも構わない。
【0026】
トレーラ車両Tは、牽引車Kと被牽引車Hを有していれば、何れの構成でも良いが、例えば、セミトレーラ型や、フルトレーラ型であったり、ポールトレーラ型であっても良い。
次に、トレーラ車両Tにおける牽引車Kについて述べる。
【0027】
<牽引車K等>
図1、2、8、9に示したように、牽引車Kは、上述したトレーラ車両Tにおいて、後述する被牽引車Hを牽引する車両(自動車)であって、トレーラヘッドや、トラクタとも言われる。
牽引車Kは、被牽引車Hを揺動自在に連結しており、牽引車Kは、揺動連結部K1を有しているとも言える。
【0028】
ここで、本発明における「揺動自在に連結する」とは、回動自在に連結する(つまり、揺動連結軸Y回りに回動自在に連結する)ことを意味する他、揺動溝に沿って揺動ピン等の部材が摺動することや、ターンテーブルを有することなども含む。
牽引車Kは、(後述する被牽引車Hが揺動連結軸Yや揺動ピン等を有していなければ)、揺動連結部K1に揺動連結軸Yや揺動溝を有していたり、逆に、(被牽引車Hが揺動連結軸Yや揺動ピン等を有していれば、)揺動連結部K1に、揺動連結軸Yに揺動自在に(回動自在に)嵌合する嵌合孔(カプラ(第5輪の一部)であるとも言う)や、挿通溝を有していても良い。
【0029】
尚、嵌合孔(カプラ)は、揺動連結軸Yに揺動自在に嵌合できれば、平面視略C字状の部材であったり、貫通状の孔や、有底状の孔など、何れの構成の孔であっても良い。
牽引車Kは、駆動輪や操舵輪を有していたり、又、駆動も操舵もしないその他の車輪を有していても良く、1つの牽引車Kにおける駆動輪、操舵輪及びその他の車輪の数は特に限定はなく、更に、駆動源や、駆動源からの駆動力を駆動輪に伝達する伝達部、駆動輪の駆動を操作するアクセルや、牽引車Kやトレーラ車両Tを停止(制動)させるブレーキ、操舵輪を操舵するハンドルを有していても構わない。
【0030】
ここで、本発明の牽引車Kにおける「駆動輪及び操舵輪の動き」とは、牽引車Kにおける駆動輪の駆動と停止、及び、操舵輪の操舵(向き)を含む。
尚、牽引車Kにおける駆動輪及び操舵輪の動きと、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制は、連動していなくとも良く、更に、牽引車Kにおける駆動輪及び操舵輪の動きだけでなく、牽引車Kにおけるその他の車輪の回転も、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制が、連動していなくとも構わない。
【0031】
ここで、本発明の牽引車Kにおける「連動」とは、牽引車Kにおける駆動輪及び操舵輪の動きや、牽引車Kにおけるその他の車輪の回転を、センサ等にて、電気信号やデジタルデータに変換し、ケーブル等を介して、コンピュータやシーケンサ、計算機等に送り、当該コンピュータ等にて処理した結果を、別のケーブル等を介して、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制における抑制具合(当該抑制のタイミングであったり、当該揺動を完全に防止するか、所定範囲の揺動を許容するか等)をコントロールすることを意味したり、牽引車Kにおける駆動輪及び操舵輪の動き等を、リンクやギア、プーリ等の機構を介して、抑制具合をコントロールすること等を意味する。
その他、牽引車Kは、上述した牽引車K(や後述する被牽引車H)におけるアクセルやブレーキ、ハンドル等を備えた運転席を有していたり、燃料タンク、寝台や休憩スペースなどを有していても良い。
【0032】
牽引車Kの揺動連結部K1は、被牽引車Hを揺動自在に連結できるのであれば、特に限定はないが、例えば、牽引車K自体における後方寄り(後部)に位置し、後述する被牽引車Hの前部の下方に潜り込む等の構成であっても良い。
牽引車Kが揺動連結軸Yを有していれば、揺動連結部K1の上面に、揺動連結軸Yが上方へ立設していても良い。
次に、トレーラ車両Tにおける被牽引車Hについて述べる。
【0033】
<被牽引車H等>
図1、2、8、9に示したように、被牽引車Hは、上述した牽引車Kに牽引される車両(自動車)であって、当該被牽引車Hのみをもってトレーラとも言われる。
被牽引車Hは、牽引車Kに揺動自在に連結されており、被牽引車Hは、被揺動連結部H1を有しているとも言える。
【0034】
被牽引車Hは、(上述した牽引車Kが揺動連結軸Yや揺動ピン等を有していなければ)、被揺動連結部H1に揺動連結軸Yや揺動溝を有していたり、逆に、(牽引車Kが揺動連結軸Yや揺動ピン等を有していれば、)被揺動連結部H1に、揺動連結軸Yに揺動自在に(回動自在に)嵌合する嵌合孔や挿通溝を有していても良い。尚、嵌合孔は、同様に、貫通状の孔や、有底状の孔など、何れの構成の孔であっても良い。
被牽引車Hも、駆動輪や操舵輪を有していたり、又、駆動も操舵もしないその他の車輪を有していても良く、1つの被牽引車Hにおける駆動輪、操舵輪及びその他の車輪の数は特に限定はなく、更に、駆動源や、駆動源からの駆動力を駆動輪に伝達する伝達部、駆動輪の駆動を操作するアクセルや、牽引車Kやトレーラ車両Tを停止(制動)させるブレーキ、操舵輪を操舵するハンドルを有していても良い。
【0035】
ここで、本発明の被牽引車Hにおける「駆動輪及び操舵輪の動き」とは、被牽引車Hにおける駆動輪の駆動と停止、及び、操舵輪の操舵(向き)を含む。
尚、被牽引車Hにおける駆動輪及び操舵輪の動きと、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制は、連動していなくとも良く、更に、被牽引車Hにおける駆動輪並びに操舵輪の動きだけでなく、被牽引車Hにおけるその他の車輪の回転と、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制が、連動していなくとも構わない。
【0036】
ここで、本発明の被牽引車Hにおける「連動」とは、被牽引車Hにおける駆動輪及び操舵輪の動きや、被牽引車Hにおけるその他の車輪の回転を、センサ等にて、電気信号等に変換し、ケーブル等を介して、コンピュータ等に送り、当該コンピュータ等にて処理した結果を、別のケーブル等を介して、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制における抑制具合をコントロールすることを意味したり、被牽引車Hにおける駆動輪及び操舵輪の動き等を、リンク等の機構を介して、抑制具合をコントロールすること等を意味する。
尚、被牽引車Hにおける駆動輪や操舵輪の動きは、牽引車Kにおけるアクセルやブレーキ、ハンドル等によって操作したり、操作できても良い。
【0037】
又、被牽引車Hにおける駆動輪及び操舵輪の動きと、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制も、連動していなくとも良いが、被牽引車Hにおける駆動輪並びに操舵輪の動き、及び、被牽引車Hにおけるその他の車輪の回転と、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制が、連動していなくとも構わない。
その他、被牽引車Hは、被牽引車Hにおけるアクセルやブレーキ、ハンドル等を備えた運転席を有していたり、燃料タンク、寝台や休憩スペースなどを有しても良く、積載物を積載していない場合などに、駆動も操舵もしないその他の車輪等の一部を上げる(地面に接地させない)機構を有していても構わない。
【0038】
被牽引車Hの被揺動連結部H1は、牽引車Kに揺動自在に連結されるのであれば、特に限定はないが、例えば、被牽引車K自体における前方寄り(前部)に位置し、上述した牽引車Kの後部の上方に覆い被さる等の構成であっても良い。
尚、この場合、トレーラ車両Tは、牽引車Kの後部(揺動連結部K1)に、被牽引車Hの前部(被揺動連結部H1)が覆い被さった状態で揺動自在に連結されているとも言え、これは、当該トレーラ車両Tが、後述するセミトレーラ型である、又は、セミトレーラ型用の構成を有したポールトレーラ型であるとも言える。
【0039】
更に、この場合、トレーラ揺動抑制具1は、牽引車Kの後部と被牽引車Hの前部との間に、左右一対に取り付けられていても良く、後述する牽引当接部2は、牽引車Kの後部における上外面の左右端寄り等に、左右一対に当接したり、後述する被牽引当接部3は、被牽引車Hの前部における下外面から前外面に亘る左右端寄り等に、左右一対に当接していても良い。
被牽引車Hが揺動連結軸Yを有していれば、被揺動連結部H1の下面に、揺動連結軸Yが下方へ立設(垂下)していても良い。
【0040】
ここまで述べた被牽引車Hは、上述した牽引車Kに揺動自在に連結されていれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述したように、セミトレーラ型用の構成(当該被牽引車Hにおける前方側に車輪(前輪)がなく、牽引車Kに連結していない時(非連結時)には支持具(ランディングギアやレッグ等)がなければ、自立できない構成)であったり、フルトレーラ型用の構成(当該被牽引車H自体における前方側に車輪(前輪)があり、牽引車Kに連結していない時には、支持具等がなくとも、自立できる構成)であっても構わない。
被牽引車Hは、ポールトレーラ型用の構成(鉄道車両や鉄筋、円柱形重量物(煙突)、レール、橋梁、コンクリートパイル、原木、などの長尺な積載物自体をフレームの一部とし、ターンテーブル等を介して、上述したセミトレーラ型用又はフルトレーラ型用の構成を有したもの)であっても良い。
【0041】
その他、被牽引車Hは、積載物を積載する部分の構成に応じて、コンテナ型(略直方体状の筐体を有した型)であったり、ウイング型(略直方体状の筐体が、左右上方それぞれに開閉可能(謂わば、ウイング上に開閉可能)な型)や、平ボディー型(積載物を積載する荷台のみを有し、覆う筐体等を有さない型)であったり、その他、タンクローリー型、ダンプトレーラ型(土砂等の積載物を積載する荷台が、後傾等してダンプ可能な型)、キャリアカー型(乗用車など他の車両を積載可能な型)、キャンピングトレーラ型(略直方体状等の筐体内に、ドアや窓、ベッド、テーブル、キッチン、トイレ、シャワーなどの設備を有した型)、トレーラバス型(被牽引車Hがバス車両となっている型)など、何れの構成であっても良い。
尚、コンテナ型等の場合、当該コンテナが国際海上コンテナであれば、その国際海上コンテナの積下し時に中身を確認できず、そのコンテナ内部の積載物が偏っているケース(積載物が偏った状態であることに運転手が気付かずに、トレーラ車両Tを運転してしまうケース)があったとしても、トレーラ揺動抑制具1をトレーラ車両Tに取り付けていることで、ジャックナイフ現象や横転を低減できるとも言える。
【0042】
ここまで述べたトレーラ車両Tに対して、トレーラ揺動抑制具1は、後付可能に取り付けられていて(つまり、製造時にはトレーラ揺動抑制具1が取り付けられていない既存のトレーラ車両Tに対しても、製造後に取り付け可能であって)も良い。
又、トレーラ揺動抑制具1は、上述した牽引車Kの後部(揺動連結部K1)と、上述した被牽引車Hの前部(被揺動連結部H1)に挟持されて(謂わば、牽引車K(揺動連結部K1)に押し付けられるように、左右のトレーラ揺動抑制具1が、被牽引車H(被揺動連結部H1)の下敷きとなって)いても良く、この場合、上述したように、被牽引車Hを、揺動連結軸Yだけでなく、左右のトレーラ揺動抑制具1の3つ(3本)で支持することとなる。
【0043】
更に、この場合、左右のトレーラ揺動抑制具1が、被牽引車Hの下敷きとなっているため、左右のトレーラ揺動抑制具1がトレーラ車両Tから脱落しないとも言え、これら左右のトレーラ揺動抑制具1が、牽引車K及び被牽引車Hの何れにも固定されていなくとも良い。
このようなトレーラ車両Tに取り付けられるトレーラ揺動抑制具1における牽引当接部2等について、以下に述べる。
【0044】
<牽引当接部2>
図1~9に示したように、牽引当接部2は、上述したトレーラ車両Tにおける、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制するように、牽引車Kの外面に当接する部分である。
ここで、本発明の牽引当接部2における「当接する」とは、牽引当接部2が、牽引車Kの外面に対して、実際に当接している場合だけでなく、当接し得る(当接可能な)場合や、牽引当接部2と牽引車Kの外面との間に所定距離があり、トレーラ車両Tにおける牽引車Kに対して被牽引車Hが所定角度だけ揺動した際に当接する場合なども含む。
【0045】
又、本発明における「牽引車Kの外面」とは、牽引車Kにおける、最も露出側の面(外装面)であって、実際に露出している面だけでなく、牽引当接部2が当該外面に当接して実際には露出していないものの、最も露出側に位置している面も含む。
牽引当接部2は、1つのトレーラ揺動抑制具1に1つだけ存在しても良いし、2つ以上存在しても構わない。
【0046】
牽引当接部2は、1つの牽引車Kに対して、左右一対の2つが当接したり、1つのみが当接したり、3つ以上が当接していても良い。
牽引当接部2は、上述した牽引車Kの何れの外面に当接しても良いが、例えば、上述したように、牽引車Kの後部(揺動連結部K1)における上外面の左右端寄りに、左右一対に(左右対称位置等に)当接する他、当該左右端寄り以外に、上外面の左右端から左右方向中央までの間の何れか(例えば、左右端から若干中央寄りや、左右端と左右方向中央との間における略中間位置など)に当接したり、牽引車Kの後部における左右それぞれの側外面に対して左右一対に当接したり、牽引車Kの後部における後外面に対して左右一対に当接する等しても構わない。
【0047】
牽引当接部2の構成についても、特に限定はないが、例えば、牽引当接部2は、トレーラ揺動抑制具1における後述する本体10の一部である長手方向を有した枠部材10Aにおける下面であっても良く、別の本体10’の一部である断面略矩形状又は断面略正方形などの棒状部材10A’における下面などであったり、また別の本体そのものである側面視略L字形の板材における下面などであっても構わない。
尚、牽引当接部2が上述した断面略矩形状などの棒状部材における下面等である場合、牽引当接部2は、牽引当接面2であるとも言える。
【0048】
牽引当接部2は、(後述する被牽引当接部3が被牽引車Hの外面に固定されていなければ)、牽引車Kの外面に対して当接した状態で、当該牽引車Kに固定手段(ボルトやナット、溶接等)にて固定されていても良いし、逆に、(被牽引当接部3が被牽引車Hの外面に固定されていれば、)牽引車Kの外面に対して当接する状態で、当該牽引車Kに固定手段にて固定されていなかったり、その他、上述したように、牽引車K及び被牽引車Hの何れにも固定されていなくとも構わない。
次に、被牽引当接部3について述べる。
【0049】
<被牽引当接部3>
図1~9に示したように、被牽引当接部3は、上述したトレーラ車両Tにおける、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制するように、被牽引車Hの外面に当接する部分である。
ここで、本発明の被牽引当接部3における「当接する」も、被牽引当接部3が、被牽引車Hの外面に対して、実際に当接している場合だけでなく、当接し得る(当接可能な)場合や、被牽引当接部3と被牽引車Hの外面との間に所定距離があり、トレーラ車両Tにおける牽引車Kに対して被牽引車Hが所定角度だけ揺動した際に当接する場合なども含む。
【0050】
又、本発明における「被牽引車Hの外面」も、被牽引車Hにおける、最も露出側の面(外装面)であって、実際に露出している面だけでなく、被牽引当接部3が当該外面に当接して実際には露出していないものの、最も露出側に位置している面も含む。
被牽引当接部3も、1つのトレーラ揺動抑制具1に1つだけ存在しても良いし、2つ以上存在しても構わない。
【0051】
被牽引当接部3は、1つの被牽引車Kに対して、左右一対の2つが当接したり、1つのみが当接したり、3つ以上が当接していても良い。
被牽引当接部3は、上述した被牽引車Hの何れの外面に当接しても良いが、例えば、上述したように、被牽引車Hの前部(被揺動連結部H1)における下外面から前外面に亘る左右端寄りに、左右一対に(左右対称位置等に)当接する他、当該左右端寄り以外に、下外面から前外面に亘る左右端から左右方向中央までの間の何れか(例えば、左右端から若干中央寄りや、左右端と左右方向中央との間における略中間位置など)に当接したり、被牽引車Hの前部における左右それぞれの側外面に対して左右一対に当接したり、被牽引車Hの前部における前外面のみに対して左右一対に当接する等しても構わない。
【0052】
被牽引当接部3の構成についても、特に限定はないが、例えば、被牽引当接部3は、トレーラ揺動抑制具1における後述する本体10の一部である略矩形の板材に側面視略L字形の板材(例えば、薄肉状の板材等)を取り付けた部材における略矩形の板材の上面から、本体10の一部である側面視略L字形の板材の2つの内面のうち立設した面に亘る部分や、1枚の略矩形の板材を側面視略L字形に折り曲げた部材における2つの内面に亘る部分であっても良く、別の本体10’の一部である側面視略L字形の板材における2つの内面に亘る部分であったり、また別の本体そのものである側面視略L字形の板材における上面から立設した部分の後面に亘る部分であっても構わない。
尚、被牽引当接部3が上述した略矩形の板材における上面等である場合、被牽引当接部3は、被牽引当接面3であるとも言える。
【0053】
被牽引当接部3は、(上述した牽引当接部2が牽引車Kの外面に固定されていなければ)、被牽引車Hの外面に対して当接した状態で、当該被牽引車Hに固定手段にて固定されていても良いし、逆に、(牽引当接部2が牽引車Kの外面に固定されていれば、)被牽引車Hの外面に対して当接する状態で、当該被牽引車Hに固定手段にて固定されていなかったり、その他、上述したように、牽引車K及び被牽引車Hの何れにも固定されていなくとも構わない。
ここまで述べた牽引当接部2や、被牽引当接部3を備えた本体10(トレーラ揺動抑制具1の本体10)等について、次に述べる。
【0054】
<本体10>
図1~9(特に、
図3~8)に示したように、本体10は、トレーラ揺動抑制具1において、上述した牽引当接部2や、被牽引当接部3を備えた部分である。
本体10は、牽引当接部2や被牽引当接部3を備えていれば、その構成は特に制限がないが、例えば、後述するような、長手方向を有した枠部材10Aと、この枠部材10Aに挿脱自在に(又は、摺動自在に)嵌合した略T字形の嵌合板部材10Bであっても良い。
【0055】
<枠部材10A>
図1~9(特に、
図3~8)に示したように、枠部材10Aは、全体として長手方向を有した棒状材10A1であり、この棒状部材の長手方向に略沿った長手方向を有し且つ上下方向に貫通する嵌合孔10A2(後述する状態切替部4や、調整部5の一部)が設けられている。
この枠部材10Aは、前端部の上方角側と、後端部の上方角側のうちの少なくとも一方が、側面視で丸みを有していたり、面取りされていても良い。
【0056】
枠部材10Aの下面は、上述したように、牽引当接部(牽引当接面)2であるとも言える。
枠部材10Aは、牽引車K(揺動連結部K1)に固定されていなくとも良いが、逆に、固定するためのネジ孔等が設けられていたり、枠部材10Aの下面等が、牽引車K(揺動連結部K1)に溶接等にて固定されていても良い。
【0057】
<嵌合板部材10B>
図1~9(特に、
図3~8)に示したように、嵌合板部材10Bは、上述した枠部材10Aの摺動孔に摺動自在に嵌合し且つ長手方向を有した支持板部10B1(後述する状態切替部4や、調整部5の一部)と、この支持板部10B1の一端面に取り付けられ且つ支持板部10B1の長手方向と略直交する長手方向を有した側面視略L字形の当接板部10B2(上述した被牽引当接部3を含む板材)を有する。
この側面視略L字形の当接板部10B2は、略矩形の板材に側面視略L字形の板材(例えば、薄肉状の板材等)を取り付けた部材であったり、1枚の略矩形の板材を側面視略L字形に折り曲げた部材などであっても良い。
【0058】
このような当接板部10B2は、上述した何れの構成であっても、略矩形の板材10B2aと、この板材10B2aから立設した板材10B2bとを有することで、側面視略L字形となっているが、略矩形の板材10B2aと立設した板材10B2bの間の角度は、略直角であったり、80°以上90°以下であっても良い。
当接板部10B2における立設した板材10B2bは、略矩形の板材10B2aにおける前端側で立設している。
【0059】
このような嵌合板部材10Bは、その支持板部10B1が上述した枠部材10Aの嵌合孔10A2に嵌合されている状態において、正面視で、略T字形となっている。
又、嵌合板部材10Bは、その支持板部10B1が上述した枠部材10Aの嵌合孔10A2に嵌合されている状態では、支持板部10B1が、枠部材10Aから更に下方に突出することとなるが、この下方に突出した部分は、牽引車Kにおける隙間に入ったり、トレーラ揺動抑制具1を取り付けたトレーラ車両T専用に使用し続ける等の場合には、下方に突出した部分を切断するなどしても良い。
【0060】
<状態切替部4、抑制状態J1、解除状態J2>
図1~9(特に、
図8)に示したように、状態切替部4は、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制した抑制状態J1と、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動の抑制を解除した解除状態J2に切替可能な部分であり、詳解すれば、状態切替部4は、抑制状態J1から解除状態J2への切替えと、解除状態J2から抑制状態J1への切替えが可能な部分である。
状態切替部4は、抑制状態J1と解除状態J2に切替可能であれば、何れの構成でも良いが、例えば、トレーラ揺動抑制具1が上述した本体10を有していれば、当該本体10における嵌合板部材10Bが、枠部材10Aの嵌合孔に少なくとも挿脱自在であることから、上述した本体10における嵌合板部材10Bの支持板部10B1と、枠部材10Aの嵌合孔10A2から構成されるとも言える。
【0061】
この状態切替部4においては、支持板部10B1が嵌合孔10A2に嵌合(挿入)されて、枠部材10Aの下面である牽引当接面2が牽引車Kの外面に当接し、且つ、嵌合板部材10Bの当接板部10B2の被牽引当接面3が被牽引車Hの外面に当接した状態であれば、抑制状態J1であると言える(
図8(a)参照)。
逆に、この状態切替部4においては、支持板部10B1を嵌合孔10A2から抜けて(脱落されて)、少なくとも、当接板部10B2の被牽引当接面3が被牽引車Hの外面には当接していない状態であれば、解除状態J2であると言える(
図8(b)参照)。
【0062】
又、この状態切替部4において、トレーラ揺動抑制具1が牽引車K及び被牽引車Hの何れにも固定されていない場合には、トレーラ揺動抑制具1自体を、トレーラ車両Tから取り外すことで、解除状態J2となるとも言える。
更に、後述する調整部5によって、牽引当接面2に対する被牽引当接面3の位置を調整して、少なくとも、当接板部10B2の被牽引当接面3が被牽引車Hの外面には当接していない状態となれば、解除状態J2となっているとも言える。
【0063】
ここで、長さの限度(一般的制限値)は、トレーラ車両Tも、トラックも同じ12mであるが、高速自動車国道においては、セミトレーラ型のトレーラ車両Tは、長さの限度が16.5mとなり、フルトレーラ型のトレーラ車両Tは、長さの限度が18mとなっており、高速自動車国道を走行する前後等に、使用者が、状態切替部4で抑制状態J1と解除状態J2を切り替えても良い。尚、許可されれば、12mを超えるトレーラ車両Tも、高速自動車国道においては走行しても良い。
ここまで述べた状態切替部4は、牽引当接部2や被牽引当接部3を支える本体10における嵌合板部材10Bの支持板部10B1と、枠部材10Aの嵌合孔10A2が兼用しているとも言える。
【0064】
<調整部5>
図1~9(特に、
図3~7)に示したように、調整部5は、牽引当接部2に対する被牽引当接部3の位置を調整可能な部分である。
調整部5は、牽引当接部2に対する被牽引当接部3の位置を調整できるのであれば、何れの構成でも良いが、例えば、トレーラ揺動抑制具1が上述した本体10を有していれば、当該本体10における枠部材10Aに複数箇所に形成された上下一対の貫通状の調整孔5a1と、嵌合板部材10Bの支持板部10B1に複数形成された貫通状の調整孔5a2と、これらの調整孔5a1、5a2に挿通される略U字状等の調整ピン5bから構成されるとも言える。
【0065】
調整部5は、牽引当接部2に対して、被牽引当接部3が所定の位置となるように、枠部材10Aにおける何れか一対の調整孔5a1と、支持板部10B1における隣接する何れか2つの調整孔5a2をそれぞれ連通させて、これらの連通した調整孔5a1、5a2に、調整ピン5bを挿通することで、位置決めが出来る。
よって、この調整ピン5bを何れの調整孔5a1、5a2に挿通させるかによって、使用者が、牽引当接部2に対する被牽引当接部3の位置を調整できる。
尚、調整ピン5bは、上述した略U字状以外に、略コ字状であったり、2本の棒状であっても良い。
【0066】
ここまで述べた調整部5も、上述した状態切替部4のように、牽引当接部2や被牽引当接部3を支える本体10における嵌合板部材10Bの支持板部10B1と、枠部材10Aの嵌合孔10A2が兼用しているとも言える。
又、換言すれば、調整部5は、上述した状態切替部4を兼用しているとも言える。
【0067】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。トレーラ揺動抑制具1や、トレーラ車両T等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
トレーラ揺動抑制具1は、トレーラ車両Tに後付けされず、当該トレーラ車両Tの製造時から取り付けられていても良い。
トレーラ揺動抑制具1は、上述した状態切替部4と調整部5のうち、少なくとも一方を有していなくとも良い。
【0068】
図9に示したように、トレーラ揺動抑制具1の本体10は、その変形例である本体10’として、断面略矩形状又は断面略正方形などの棒状部材10A’と、この棒状部材10A’の上面に設けられた側面視略L字形の板状部材10B’を有していても良く、この側面視略L字形の板状部材10B’は、略矩形の板状部材に側面視略L字形の板状部材(例えば、薄肉状の板状部材等)を取り付けた部材であったり、1枚の略矩形の板状部材を側面視略L字形に折り曲げた部材であっても良い。
尚、この場合、トレーラ揺動抑制具1は、状態切替部4と調整部5を有さないこととなる。
【0069】
更に、トレーラ揺動抑制具1の本体10は、別の変形例である本体としては、1つの側面視略L字形の板材そのものであっても良く、この場合、当然に、トレーラ揺動抑制具1は、状態切替部4と調整部5を有さないこととなる。
本体10の枠部材10Aは、孔等のない棒材に嵌合孔10A2を設けたものであったり、長手方向を有した左右一対の板材の前端部及び後端部それぞれの間に、当該左右一対の板材より短い板材を挟み込んで、溶接や接着、ボルト、ナット、釘等にて、固定したものであっても良い。
本体10の嵌合板部材10Bも、1つの塊を略T字形に削り出したものであったり、支持板部10B1と当接板部10B2を、溶接等によって略T字形に固定定したものであっても良く、又、当接板部10Bも、1つの塊を側面視略L字形に削り出したり、1つの板材を側面視略L字形に折り曲げたものであったり、略矩形の板材10B2aと立設した板材10B2bを、溶接等によって略T字形に固定定したものであっても構わない。
本体10の嵌合板部材10Bにおける当接板部10Bの立設した板材10B2bには、前後方向に貫通する孔が設けられていても良い。
【0070】
本体10の嵌合板部材10Bは、支持板部10B1の上端が、当接板部10B2の長手方向略中央に取り付けられていても良いが、支持板部10B1の上端は、当接板部10B2の長手方向略中央から、何れか一方の長手方向端部側にズレて(例えば、片持ち構造状に)取り付けられていても構わない。
【0071】
トレーラ車両Tが上述したフルトレーラ型である場合、トレーラ揺動抑制具1は、牽引車Kの後端外面に当接する牽引当接部2と、被牽引車Hの前端外面に当接する被牽引当接部3を有した略棒状等が、牽引車Kと被牽引車Hの間に、左右一対に取り付けられて、牽引車Kに対する被牽引車Hの揺動を抑制する構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係るトレーラ揺動抑制具は、セミトレーラ型や、フルトレーラ型、ポールトレーラ型など、牽引車に被牽引車を揺動自在に連結しているのであれば、何れのトレーラ車両に対しても利用可能である。
本発明に係るトレーラ車両は、セミトレーラ型や、フルトレーラ型、ポールトレーラ型など、牽引車に被牽引車を揺動自在に連結しているのであれば、何れのトレーラ車両も含む。
【符号の説明】
【0073】
1 トレーラ揺動抑制具
2 牽引当接部
3 被牽引当接部
4 状態切替部
5 調整部
K 牽引車
H 被牽引車
T トレーラ車両
J1 抑制状態
J2 解除状態