(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106129
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】散水車両の制御システム、散水車両、及び散水車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
E01H 3/02 20060101AFI20220711BHJP
B60W 40/00 20060101ALI20220711BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220711BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20220711BHJP
B05B 12/12 20060101ALI20220711BHJP
E21F 5/00 20060101ALI20220711BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220711BHJP
【FI】
E01H3/02
B60W40/00
B60W60/00
B60W40/02
B05B12/12
E21F5/00
G05D1/02 H
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000898
(22)【出願日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 実里
(72)【発明者】
【氏名】平中 貴士
(72)【発明者】
【氏名】長川 研太
【テーマコード(参考)】
2D026
3D241
4F035
5H301
【Fターム(参考)】
2D026BA02
3D241BA15
3D241BB24
3D241CA19
3D241CC02
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE01
3D241CE02
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DC33Z
4F035AA01
4F035BB02
4F035BB03
4F035BB04
4F035BB06
4F035BB07
4F035BB12
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK08
5H301KK09
(57)【要約】
【課題】散水車両が作業現場を円滑に走行できること。
【解決手段】散水車両の制御システムは、散水車両の進行方向を切り換える走行制御部と、散水車両において進行方向一方側の第1部位に設けられた第1散水スプレーを制御する散水制御部と、を備える。散水制御部は、散水車両が進行方向一方側に進行するときの第1散水スプレーの散水条件が、散水車両が進行方向他方側に進行するときの第1散水スプレーの散水条件とは異なるように、第1散水スプレーを制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水車両の進行方向を切り換える走行制御部と、
前記散水車両において進行方向一方側の第1部位に設けられた第1散水スプレーを制御する散水制御部と、を備え、
前記散水制御部は、前記散水車両が進行方向一方側に進行するときの前記第1散水スプレーの散水条件が、前記散水車両が進行方向他方側に進行するときの前記第1散水スプレーの散水条件とは異なるように、前記第1散水スプレーを制御する、
散水車両の制御システム。
【請求項2】
前記散水条件は、前記第1散水スプレーによる散水の実行及び散水の停止を含み、
前記散水制御部は、前記散水車両が進行方向一方側に進行するときに前記第1散水スプレーからの散水が停止されるように、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1に記載の散水車両の制御システム。
【請求項3】
前記散水条件は、前記第1散水スプレーからの散水量を含み、
前記散水制御部は、前記散水車両が進行方向一方側に進行するときの前記散水量が、前記散水車両が進行方向他方側に進行するときの前記散水量よりも少なくなるように、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1に記載の散水車両の制御システム。
【請求項4】
前記第1散水スプレーは、複数設けられ、
前記散水条件は、散水を実行する前記第1散水スプレーの数を含み、
前記散水制御部は、前記散水車両が進行方向一方側に進行するときに散水を実行する前記第1散水スプレーの数が、前記散水車両が進行方向他方側に進行するときに散水を実行する前記第1散水スプレーの数よりも少なくなるように、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1に記載の散水車両の制御システム。
【請求項5】
前記第1散水スプレーは、複数の位置のそれぞれに設置され、
前記散水条件は、散水を実行する前記第1散水スプレーの設置位置を含み、
前記散水制御部は、前記散水車両が進行方向一方側に進行するときに散水を実行する前記第1散水スプレーの設置位置が、前記散水車両が進行方向他方側に進行するときに散水を実行する前記第1散水スプレーの設置位置とは異なるように、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1に記載の散水車両の制御システム。
【請求項6】
前記走行制御部は、前記散水車両の進行方向を規定するコースデータに基づいて前記散水車両の進行方向を切り換え、
前記散水制御部は、前記コースデータに基づいて、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の散水車両の制御システム。
【請求項7】
前記散水車両は、車輪と、前記車輪の回転方向を検出するセンサと、を有し、
前記散水制御部は、前記センサの検出データに基づいて、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の散水車両の制御システム。
【請求項8】
前記散水車両において進行方向一方側の第2部位に障害物センサが設けられ、
前記散水制御部は、前記障害物センサの検出エリアに前記第1散水スプレーからの水が入らないように、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の散水車両の制御システム。
【請求項9】
前記第1散水スプレーは、前記散水車両の後部に設けられ、
前記散水制御部は、前記散水車両が前進するときに前記第1散水スプレーから散水され、前記散水車両が後進するときに前記第1散水スプレーからの散水が停止されるように、前記第1散水スプレーを制御する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の散水車両の制御システム。
【請求項10】
前記散水車両において進行方向他方側の第3部位に第2散水スプレーが設けられ、
前記散水制御部は、前記散水車両が進行方向他方側に進行するときの前記第2散水スプレーの散水条件が、前記散水車両が進行方向一方側に進行するときの前記第2散水スプレーの散水条件とは異なるように、前記第2散水スプレーを制御する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の散水車両の制御システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の散水車両の制御システムを備える、
散水車両。
【請求項12】
散水車両が進行方向一方側に進行するときに、前記散水車両において前記進行方向一方側の第1部位に設けられた第1散水スプレーが第1散水条件になるように制御することと、
前記散水車両が進行方向他方側に進行するときに、前記第1散水スプレーが第1散水条件とは異なる第2散水条件になるように制御することと、を含む、
散水車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、散水車両の制御システム、散水車両、及び散水車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、作業現場において散水トラックにより散水が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0233245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
散水により作業現場において粉塵又は砂埃が拡散することが抑制される。一方、路面に散水されることにより、散水車両の走行に支障をきたす可能性がある。
【0005】
本開示は、散水車両が作業現場を円滑に走行できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、散水車両の進行方向を切り換える走行制御部と、散水車両において進行方向一方側の第1部位に設けられた第1散水スプレーを制御する散水制御部と、を備え、散水制御部は、散水車両が進行方向一方側に進行するときの第1散水スプレーの散水条件が、散水車両が進行方向他方側に進行するときの第1散水スプレーの散水条件とは異なるように、第1散水スプレーを制御する、散水車両の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、散水車両は作業現場を円滑に走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る無人車両の管理システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る無人散水車両を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る作業現場を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る無人散水車両の制御システムを示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るコースデータを説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る無人散水車両の動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る無人散水車両の動作を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る無人散水車両の動作を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る無人散水車両の制御方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る無人散水車両の動作を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る無人散水車両の動作を説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る無人散水車両の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[管理システム]
図1は、実施形態に係る無人車両の管理システム1を示す模式図である。管理システム1は、作業現場で稼働する無人車両を管理する。無人車両とは、運転者による運転操作によらずに無人で稼働する作業車両をいう。実施形態において、作業現場で稼働する無人車両は、第1無人車両10と第2無人車両20とを含む。
【0011】
実施形態において、第1無人車両10は、無人運搬車両である。第2無人車両20は、無人散水車両である。以下の説明において、第1無人車両10を適宜、無人運搬車両10、と称し、第2無人車両20を適宜、無人散水車両20、と称する。
【0012】
無人運搬車両10は、無人で作業現場を走行して積荷を運搬する。無人運搬車両10として、無人ダンプトラックが例示される。無人運搬車両10に運搬される積荷として、作業現場において掘削された掘削物が例示される。
【0013】
無人散水車両20は、無人で作業現場を走行して散水する。無人散水車両20として、無人散水トラックが例示される。無人散水車両20は、作業現場において粉塵又は砂埃が拡散することを抑制するために散水する。
【0014】
管理システム1は、管理装置2と、通信システム3とを備える。管理装置2は、作業現場の管制施設4に設置される。管制施設4に管理者が存在する。
【0015】
無人運搬車両10は、制御装置11を有する。無人散水車両20は、制御装置21を有する。管理装置2と制御装置11と制御装置21とは、通信システム3を介して無線通信する。管理装置2に無線通信機3Aが接続される。制御装置11に無線通信機3Bが接続される。制御装置21に無線通信機3Cが接続される。通信システム3は、無線通信機3A、無線通信機3B、及び無線通信機3Cを含む。
【0016】
[無人散水車両]
図2は、実施形態に係る無人散水車両20を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、無人散水車両20は、無線通信機3Cと、制御装置21と、車両本体22と、走行装置23と、タンク24と、センサシステム25と、散水スプレー28とを備える。
【0017】
車両本体22は、車体フレームを含む。車両本体22は、走行装置23に支持される。車両本体22は、タンク24を支持する。
【0018】
実施形態において、車両本体22にキャブ29が設けられる。キャブ29は、車両本体22の前部に設けられる。運転者は、キャブ29に搭乗して、無人散水車両20の運転操作を実施することができる。例えば無人散水車両20の保守又は点検を実施する場合、運転者は、無人散水車両20の運転操作を実施する。実施形態において、無人散水車両20は、少なくとも作業現場において散水するときに無人で稼働する。なお、無人散水車両20にキャブ29は設けられなくてもよい。
【0019】
走行装置23は、無人散水車両20を走行させるための駆動力を発生する。走行装置23は、無人散水車両20を減速又は停止させるための制動力を発生する。走行装置23は、無人散水車両20を旋回させるための操舵力を発生する。走行装置23は、無人散水車両20を前進又は後進させる。走行装置23は、車輪26を含む。車輪26にタイヤ27が装着される。車輪26は、前輪26Fと、後輪26Rとを含む。前輪26Fは操舵輪であり、後輪26Rは駆動輪である。なお、前輪26F及び後輪26Rの両方が操舵輪でもよい。前輪26F及び後輪26Rの両方が駆動輪でもよい。前輪26Fが駆動輪で後輪26Rが操舵輪でもよい。タイヤ27は、前輪26Fに装着される前タイヤ27Fと、後輪26Rに装着される後タイヤ27Rとを含む。タイヤ27が作業現場の路面に接触した状態で車輪26が回転することにより、無人散水車両20は、作業現場を走行する。
【0020】
タンク24は、散水のための水を貯蔵する部材である。タンク24の少なくとも一部は、車両本体22よりも上方に配置される。
【0021】
センサシステム25は、位置センサ25Aと、方位センサ25Bと、速度センサ25Cと、障害物センサ25Dとを含む。位置センサ25Aは、無人散水車両20の位置を検出する。無人散水車両20の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS)を利用して検出される。位置センサ25Aは、GNSS受信機を含み、無人散水車両20のグローバル座標系の位置を検出する。方位センサ25Bは、無人散水車両20の方位を検出する。方位センサ25Bとして、ジャイロセンサが例示される。速度センサ25Cは、無人散水車両20の走行速度を検出する。速度センサ25Cとして、車輪26の回転を検出するパルスセンサが例示される。障害物センサ25Dは、無人散水車両20の周囲の障害物を検出する。障害物センサ25Dは、非接触で障害物を検出する。障害物センサ25Dは、少なくとも無人散水車両20の前部と無人散水車両20の後部とに設けられる。無人散水車両20の前部に設けられる障害物センサ25Dは、無人散水車両20の前方の障害物を検出する。無人散水車両20の後部に設けられる障害物センサ25Dは、無人散水車両20の後方の障害物を検出する。障害物センサ25Dとして、レーザセンサ(LIDAR:Light Detection and Ranging)又はレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)が例示される。
【0022】
散水スプレー28は、タンク24の水を噴射する。散水スプレー28は、無人散水車両20の後部に設けられる。散水スプレー28は、無人散水車両20の後方に散水する。実施形態において、散水スプレー28は、複数設けられる。複数の散水スプレーは、タンク24の後部において無人散水車両20の車幅方向に間隔をあけて配置される。車幅方向とは、無人散水車両20が直進状態のときの車輪26の回転軸と平行な方向をいう。
【0023】
[作業現場]
図3は、実施形態に係る作業現場を示す模式図である。作業現場として、鉱山又は採石場が例示される。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。採石場とは、石材を採掘する場所又は事業所をいう。作業現場において、無人運搬車両10及び無人散水車両20のそれぞれが稼働する。
【0024】
実施形態において、作業現場は、鉱山である。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。
【0025】
作業現場に、積込場31、排土場32、駐機場33、給油場34、給水場35、走行路36、及び交差点37が設けられる。
【0026】
積込場31とは、無人運搬車両10に積荷を積載する積込作業が実施されるエリアをいう。積込場31において、積込機5が稼働する。積込機5として、油圧ショベルが例示される。
【0027】
排土場32とは、無人運搬車両10から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアをいう。排土場32に、破砕機6が設けられる。
【0028】
駐機場33とは、無人運搬車両10及び無人散水車両20の少なくとも一方が駐機されるエリアをいう。
【0029】
給油場34とは、無人運搬車両10及び無人散水車両20の少なくとも一方が給油されるエリアをいう。給油場34に、燃料を供給する給油機7が設けられる。
【0030】
給水場35とは、無人散水車両20が給水されるエリアをいう。給水場35において、散水のための水がタンク24に供給される。給水場35に、タンク24に水を供給する給水機8が設けられる。
【0031】
走行路36とは、積込場31、排土場32、駐機場33、給油場34、及び給水場35の少なくとも一つに向かう無人車両が走行するエリアをいう。走行路36は、少なくとも積込場31と排土場32とを繋ぐように設けられる。実施形態において、走行路36は、積込場31、排土場32、駐機場33、給油場34、及び給水場35のそれぞれに繋がる。
【0032】
交差点37とは、複数の走行路36が交わるエリア又は1つの走行路36が複数の走行路36に分岐するエリアをいう。
【0033】
[制御システム]
図4は、実施形態に係る無人散水車両20の制御システム100を示す機能ブロック図である。制御システム100は、制御装置21と、走行装置23と、センサシステム25と、散水スプレー28とを有する。管理システム1は、管理装置2と、通信システム3と、制御装置11と、制御装置21とを有する。
【0034】
管理装置2は、コンピュータシステムを含む。管理装置2は、入力装置9に接続される。管理装置2は、通信インタフェース41と、記憶回路42と、処理回路43とを有する。
【0035】
入力装置9は、処理回路43に接続される。入力装置9は、管制施設4の管理者に操作される。入力装置9は、管理者の操作に基づいて、入力データを生成する。入力装置9により生成された入力データは、処理回路43に入力される。入力装置9として、タッチパネル、コンピュータ用キーボード、マウス、又は操作ボタンが例示される。なお、入力装置9は、光学センサを含む非接触型入力装置でもよいし、音声入力装置でもよい。
【0036】
通信インタフェース41は、処理回路43に接続される。通信インタフェース41は、管理装置2と制御装置11及び制御装置21の少なくとも一方との間の通信を制御する。通信インタフェース41は、通信システム3を介して制御装置11及び制御装置21の少なくとも一方と通信する。
【0037】
記憶回路42は、処理回路43に接続される。記憶回路42は、データを記憶する。記憶回路42として、不揮発性メモリ又は揮発性メモリが例示される。不揮発性メモリとして、ROM(Read Only Memory)又はストレージが例示される。ストレージとして、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)が例示される。揮発性メモリとして、RAM(Random Access Memory)が例示される。
【0038】
処理回路43は、演算処理及び制御指令の出力処理を実施する。処理回路43として、プロセッサが例示される。プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)が例示される。コンピュータプログラムが記憶回路42に記憶される。処理回路43は、記憶回路42からコンピュータプログラムを取得して実行することにより、所定の機能を発揮する。
【0039】
記憶回路42は、散水条件記憶部51を有する。
【0040】
散水条件記憶部51は、散水スプレー28の散水条件を記憶する。散水条件は、散水スプレー28からの散水の実行及び散水の停止、作業現場において散水スプレー28が散水する散水位置(エリア情報又は位置情報)、及び散水スプレー28からの単位時間当たりの散水量の少なくとも一つを含む。また、無人散水車両20に散水スプレー28が複数設けられる場合、散水条件は、散水を実行する散水スプレー28の数を含む。また、無人散水車両20の複数の位置のそれぞれに散水スプレー28が設置される場合、散水条件は、散水を実行する散水スプレー28の設置位置を含む。散水条件は、管理者により指定される。散水条件は、入力装置9を介して記憶回路42に入力される。散水条件記憶部51は、入力装置9から入力された散水条件を記憶する。
【0041】
なお、散水条件は、作業現場の地形条件に基づいて定められてもよい。例えば、水平な地面の作業現場、傾斜している地面の作業現場、及び傾斜状態が不明な地面の作業現場のそれぞれについて、散水条件が定められてもよい。
【0042】
処理回路43は、コースデータ生成部61と、散水データ生成部62と、出力部63とを有する。
【0043】
コースデータ生成部61は、無人散水車両20の走行条件を示すコースデータを生成する。また、コースデータ生成部61は、無人運搬車両10の走行条件を示すコースデータを生成する。
【0044】
散水データ生成部62は、散水スプレー28を制御するための散水データを生成する。散水データ生成部62は、散水条件記憶部51に記憶されている散水条件に基づいて、散水スプレー28を制御するための散水データを生成する。散水データは、散水スプレー28からの散水の実行及び散水の停止、作業現場において散水スプレー28が散水する散水位置(エリア情報又は位置情報)、及び散水スプレー28からの単位時間当たりの散水量の少なくとも一つを含む。また、散水スプレー28が複数設けられる場合、散水データは、散水を実行する散水スプレー28の数を含む。また、無人散水車両20の複数の位置のそれぞれに散水スプレー28が設置される場合、散水データは、散水を実行する散水スプレー28の設置位置を含む。
【0045】
出力部63は、コースデータ生成部61により生成されたコースデータを無人散水車両20及び無人運搬車両10のそれぞれに送信させる。また、出力部63は、散水データ生成部62により生成された散水データを無人散水車両20に送信させる。出力部63は、通信インタフェース41から無人散水車両20の制御装置21にコースデータ及び散水データを送信させる。出力部63は、通信インタフェース41から無人運搬車両10の制御装置11にコースデータを送信させる。
【0046】
制御装置11は、コンピュータシステムを含む。管理装置2と同様、制御装置11は、通信インタフェース、記憶回路、及び処理回路を有する。制御装置11は、管理装置2から送信されたコースデータに基づいて、無人運搬車両10を走行させる。
【0047】
制御装置21は、コンピュータシステムを含む。管理装置2と同様、制御装置21は、通信インタフェース、記憶回路、及び処理回路を有する。制御装置21は、走行装置23を制御する走行制御部81と、散水スプレー28を制御する散水制御部82とを有する。走行制御部81は、管理装置2から送信されたコースデータに基づいて、走行装置23を制御する。散水制御部82は、管理装置2から送信された散水データに基づいて、散水スプレー28を制御する。
【0048】
実施形態において、散水制御部82は、無人散水車両20が進行方向一方側に進行するときの散水スプレー28の散水条件が、無人散水車両20が進行方向他方側に進行するときの散水スプレー28の散水条件とは異なるように、散水スプレー28を制御する。無人散水車両20の進行方向は、前進方向又は後進方向を意味する。実施形態において、進行方向一方側に進行することは、後進することを意味し、進行方向他方側に進行することは、前進することを意味する。すなわち、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときの散水スプレー28の散水条件が、無人散水車両20が前進するときの散水スプレー28の散水条件とは異なるように、散水スプレー28を制御する。散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに、無人散水車両20の後部に設けられた散水スプレー28が第1散水条件になるように散水スプレー28を制御する。散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに、無人散水車両20の後部に設けられた散水スプレー28が第1散水条件とは異なる第2散水条件になるように制御する。
【0049】
実施形態において、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28から散水され、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する。
【0050】
[コースデータ]
図5は、実施形態に係るコースデータを説明するための図である。
【0051】
コースデータは、無人散水車両20の走行条件を規定する。コースデータは、コース点201、走行コース202、無人散水車両20の目標位置、無人散水車両20の目標方位、無人散水車両20の目標走行速度、及び無人散水車両20の目標進行方向を含む。
【0052】
コース点201は、作業現場に複数設定される。コース点201は、無人散水車両20の目標位置を規定する。複数のコース点201のそれぞれに、無人散水車両20の目標方位、目標走行速度、及び目標進行方向が設定される。複数のコース点201は、間隔をあけて設定される。コース点201の間隔は、例えば1[m]以上5[m]以下に設定される。コース点201の間隔は、均一でもよいし、不均一でもよい。
【0053】
走行コース202とは、無人散水車両20の目標走行経路を示す仮想線をいう。走行コース202は、複数のコース点201を通過する軌跡によって規定される。無人散水車両20は、走行コース202に従って、作業現場を走行する。
【0054】
無人散水車両20の目標位置とは、コース点201を通過するときの無人散水車両20の目標位置をいう。無人散水車両20の目標位置は、無人散水車両20のローカル座標系において規定されてもよいし、グローバル座標系において規定されてもよい。
【0055】
無人散水車両20の目標方位とは、コース点201を通過するときの無人散水車両20の目標方位をいう。
【0056】
無人散水車両20の目標走行速度とは、コース点201を通過するときの無人散水車両20の目標走行速度をいう。
【0057】
無人散水車両20の目標進行方向とは、コース点201を通過するときの無人散水車両20の目標進行方向をいう。
【0058】
走行制御部81は、コースデータ及びセンサシステム25の検出データに基づいて、走行装置23を制御する。走行制御部81は、位置センサ25Aの検出データ及び方位センサ25Bの検出データに基づいて、無人散水車両20が走行コース202に従って走行するように、走行装置23を制御する。すなわち、走行制御部81は、コース点201を通過するときに位置センサ25Aにより検出された無人散水車両20の検出位置とコース点201に設定されている無人散水車両20の目標位置との偏差が小さくなるように、走行装置23を制御する。また、走行制御部81は、コース点201を通過するときに方位センサ25Bにより検出された無人散水車両20の検出方位とコース点201に設定されている無人散水車両20の目標方位との偏差が小さくなるように、走行装置23を制御する。また、無人散水車両20は、速度センサ25Cの検出データに基づいて、無人散水車両20が目標走行速度で走行するように、走行装置23を制御する。すなわち、走行制御部81は、コース点201を通過するときに速度センサ25Cにより検出された無人散水車両20の検出走行速度とコース点201に設定されている無人散水車両20の目標走行速度との偏差が小さくなるように、走行装置23を制御する。また、走行制御部81は、コースデータにより規定される目標進行方向に基づいて、無人散水車両20が前進又は後進するように、走行装置23を制御する。
【0059】
無人散水車両20と同様、無人運搬車両10もコースデータに基づいて走行する。無人散水車両20のコースデータと同様、無人運搬車両10のコースデータも、コース点、走行コース102(
図3参照)、無人運搬車両10の目標位置、無人運搬車両10の目標方位、無人運搬車両10の目標走行速度、及び無人運搬車両10の目標進行方向を含む。無人運搬車両10についての説明は省略する。
【0060】
[無人散水車両の動作]
図6は、実施形態に係る無人散水車両20の動作を説明するための図である。
図6に示すように、積込場31において、走行制御部81は、無人散水車両20の進行方向を切り換える場合がある。上述のように、無人散水車両20の進行方向は、前進方向又は後進方向を意味する。すなわち、走行制御部81は、無人散水車両20の前進と後進とを切り換える場合がある。
図6は、一例として、無人散水車両20がスイッチバックしている状態を示す。スイッチバックとは、前進する無人散水車両20が進行方向を転換して後進しながら目標方向に進行する動作をいう。スイッチバックは、コースデータに基づいて実施される。
【0061】
なお、スイッチバックが実施されるエリアは、積込場31に限定されない。スイッチバックが実施されるエリアは、排土場32、駐機場33、給油場34、給水場35、走行路36、及び交差点37の少なくとも一つでもよい。また、無人散水車両20が前進から後進に切り換えられるケースは、スイッチバックに限定されない。また、無人散水車両20の前進から後進への切り換えは、コースデータに基づいて実施されてもよいし、コースデータに基づかずに実施されてもよい。
【0062】
図7は、実施形態に係る無人散水車両20の動作を説明するための図である。散水スプレー28は、無人散水車両20の後方側の第1部位に設けられる。すなわち、散水スプレー28は、無人散水車両20の後部に設けられる。実施形態において、散水スプレー28は、タンク24の後部に配置される。
図7に示すように、無人散水車両20が前進するときに、散水スプレー28から散水される。すなわち、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28から散水されるように、散水スプレー28を制御する。
【0063】
障害物センサ25Dは、無人散水車両20の後方側の第2部位に設けられる。すなわち、障害物センサ25Dは、無人散水車両20の後部に設けられる。実施形態において、散水スプレー28は、車両本体22の後部に配置される。障害物センサ25Dは、散水スプレー28よりも下方に配置される。
【0064】
無人散水車両20が前進しているときに散水スプレー28から散水されるので、散水スプレー28から噴射された水が障害物センサ25Dに掛かることが抑制される。また、前進する無人散水車両20が無人散水車両20よりも後方に存在する障害物と干渉する可能性は低い。そのため、散水スプレー28から噴射された水が無人散水車両20の後部に設けられている障害物センサ25Dの検出エリア250に入り込むことは許容される。
【0065】
図8は、実施形態に係る無人散水車両20の動作を説明するための図である。
図8に示すように、無人散水車両20が後進するときに、散水スプレー28からの散水が停止される。すなわち、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する。
【0066】
無人散水車両20が後進しているときに散水スプレー28からの散水が停止されるので、散水スプレー28から噴射された水が障害物センサ25Dに掛かることが抑制される。
【0067】
散水スプレー28から散水しながら無人散水車両20が後進する場合、無人散水車両20は、散水された直後の路面を走行することになる。散水された直後の路面を走行すると、無人散水車両20のタイヤ27がスリップする可能性が高くなり、無人散水車両20の走行に支障をきたす可能性がある。実施形態においては、散水スプレー28からの散水が停止された状態で無人散水車両20が後進するので、無人散水車両20のタイヤ27がスリップすることが抑制される。したがって、無人散水車両20は、円滑に走行することができる。
【0068】
このように、散水スプレー28が無人散水車両20の後部に設けられ、散水スプレー28が無人散水車両20の後方に向かって散水する場合において、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28から散水され、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する。これにより、無人散水車両20が後進するときにタイヤ27がスリップすることが抑制され、無人散水車両20は、円滑に後進することができる。
【0069】
また、散水スプレー28から噴射された水が無人散水車両20の後部に設けられている障害物センサ25Dに掛かったり障害物センサ25Dの検出エリア250に入り込んだりすると、障害物センサ25Dの検出精度が低下する可能性がある。実施形態においては、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28から噴射された水が無人散水車両20の後部に設けられている障害物センサ25Dに掛かったり障害物センサ25Dの検出エリア250に入り込んだりすることが抑制されるので、障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0070】
散水制御部82は、無人散水車両20のコースデータに基づいて、散水スプレー28からの散水の実行と散水の停止とを切り換えることができる。上述のように、コースデータは、無人散水車両20の目標進行方向を規定する。
図7を参照して説明したように、無人散水車両20の前進から後進への切り換えがコースデータに基づいて実施される場合、散水制御部82は、無人散水車両20のコースデータに基づいて、散水スプレー28からの散水の実行と散水の停止とを切り換えることができる。
【0071】
なお、散水制御部82は、例えば車輪26の回転方向に基づいて、散水スプレー28からの散水の実行と散水の停止とを切り換えてもよい。例えば速度センサ25Cが車輪26の回転方向を検出する機能を有する場合、散水制御部82は、速度センサ25Cの検出データに基づいて、散水スプレー28からの散水の実行と散水の停止とを切り換えてもよい。すなわち、散水制御部82は、速度センサ25Cの検出データに基づいて、無人散水車両20の前進のために車輪26が前転していると判定した場合、散水スプレー28からの散水が実行されるように、散水スプレー28を制御する。散水制御部82は、速度センサ25Cの検出データに基づいて、無人散水車両20の後進のために車輪26が後転していると判定した場合、散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する。
【0072】
[制御方法]
図9は、実施形態に係る無人散水車両20の制御方法を示すフローチャートである。走行制御部81は、管理装置2から送信されたコースデータを取得する。走行制御部81は、コースデータに基づいて走行装置23を制御する。走行制御部81は、無人散水車両20を前進させる走行条件を示すコースデータを取得した場合、無人散水車両20が前進するように、走行装置23を制御する。走行制御部81は、無人散水車両20を後進させる走行条件を示すコースデータを取得した場合、無人散水車両20が後進するように、走行装置23を制御する。
【0073】
散水制御部82は、管理装置2から送信されたコースデータを取得する(ステップS1)。
【0074】
散水制御部82は、管理装置2から送信されたコースデータが無人散水車両20を後進させる走行条件を示すコースデータであるか否かを判定する。すなわち、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するか否かを判定する(ステップS2)。
【0075】
ステップS2において、無人散水車両20が前進すると判定した場合(ステップS2:No)、散水制御部82は、散水スプレー28からの散水が実行されるように、散水スプレー28を制御する(ステップS3)。
【0076】
ステップS2において、無人散水車両20が後進すると判定した場合(ステップS2:Yes)、散水制御部82は、散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する(ステップS4)。
【0077】
なお、散水制御部82は、コースデータに基づかずに、散水スプレー28からの散水と散水の停止とを切り換えてもよい。例えば、上述のように、散水制御部82は、車輪26の回転方向に基づいて、散水スプレー28からの散水の実行と散水の停止とを切り換えてもよい。
【0078】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、散水スプレー28が無人散水車両20の後部に設けられ、散水スプレー28が無人散水車両20の後方に向かって散水する場合において、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28から散水され、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する。これにより、無人散水車両20が後進するときにタイヤ27がスリップすることが抑制され、無人散水車両20は、円滑に走行することができる。
【0079】
また、無人散水車両20が後進するときに、無人散水車両20の後部に設けられている障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0080】
[その他の実施形態]
図10は、実施形態に係る無人散水車両20の動作を説明するための図である。上述の実施形態においては、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28からの散水が実行され、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御することとした。散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときの散水量が、無人散水車両20が前進するときの散水量よりも少なくなるように、散水スプレー28を制御してもよい。散水量とは、散水スプレー28から散水される単位時間当たりの散水量をいう。
図10(A)に示すように、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28から第1散水量で散水されるように、散水スプレー28を制御する。
図10(B)に示すように、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28から第1散水量よりも少ない第2散水量で散水されるように、散水スプレー28を制御する。
【0081】
無人散水車両20が後進するときの散水スプレー28からの散水量が少なくなることにより、無人散水車両20が後進するときにタイヤ27がスリップすることが抑制され、無人散水車両20は、円滑に走行することができる。また、散水スプレー28からの散水量が少なくなることにより、散水スプレー28から噴射された水が障害物センサ25Dに掛かることが抑制される。また、散水スプレー28からの散水量が少なくなることにより、障害物センサ25Dよりも後方に規定される障害物センサ25Dの検出エリア250に散水スプレー28からの水が入り込むことが抑制される。したがって、障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0082】
図11は、実施形態に係る無人散水車両20の動作を説明するための図である。
図11に示すように、散水スプレー28は、無人散水車両20の後部に複数設けられる。散水スプレー28は、無人散水車両20の後部の複数の位置のそれぞれに設置される。
図11に示す例において、複数の散水スプレー28は、無人散水車両20の後部において車幅方向に間隔をあけて配置される。障害物センサ25Dは、車幅方向の中央部に配置される。
【0083】
散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに散水を実行する散水スプレー28の設置位置が、無人散水車両20が前進するときに散水を実行する散水スプレー28の設置位置とは異なるように、散水スプレー28を制御する。また、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに散水を実行する散水スプレー28の数が、無人散水車両20が前進するときに散水を実行する散水スプレー28の数よりも少なくなるように、散水スプレー28を制御する。
【0084】
散水制御部82は、障害物センサ25Dよりも後方に規定される障害物センサ25Dの検出エリア250に散水スプレー28からの水が入らないように、散水スプレー28を制御する。
図11(A)に示すように、散水制御部82は、無人散水車両20が前進するときに、全ての散水スプレー28から散水されるように、散水スプレー28を制御する。
図11(B)に示すように、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに、障害物センサ25Dと第1距離だけ離れている散水スプレー28からの散水が停止され、障害物センサ25Dと第1距離よりも長い第2距離だけ離れている散水スプレー28から散水されるように、散水スプレー28を制御する。
図11(B)に示す例においては、散水スプレー28が車幅方向に4つ配置され、障害物センサ25Dの直上に設置されている2つの散水スプレー28からの散水が停止され、車幅方向の端部に設置されている2つの散水スプレー28からの散水が実行される。
【0085】
無人散水車両20が後進するときに散水する散水スプレー28の数が、無人散水車両20が前進するときに散水する散水スプレー28の数よりも少ないので、無人散水車両20が後進するときにタイヤ27がスリップすることが抑制される。そのため、無人散水車両20は、円滑に走行することができる。また、障害物センサ25Dの近くに設置されている散水スプレー28からの散水が停止されることにより、散水スプレー28から噴射された水が障害物センサ25Dに掛かったり障害物センサ25Dの検出エリア250に散水スプレー28からの水が入り込んだりすることが抑制される。したがって、障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0086】
上述の実施形態においては、障害物センサ25Dが散水スプレー28よりも下方に配置されることとした。障害物センサ25Dは、散水スプレー28よりも上方に配置されてもよいし、散水スプレー28の側方に配置されてもよい。障害物センサ25Dが散水スプレー28よりも上方に配置される場合又は障害物センサ25Dが散水スプレー28の側方に配置される場合においても、障害物センサ25Dの検出エリア250に散水スプレー28からの水が入り込む可能性がある。そのため、障害物センサ25Dが散水スプレー28よりも上方に配置される場合又は障害物センサ25Dが散水スプレー28の側方に配置される場合においても、無人散水車両20が後進するときに、散水スプレー28からの散水が停止されることにより、障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0087】
上述の実施形態においては、散水スプレー28が無人散水車両20の後部に設けられることとした。散水スプレー28が無人散水車両20の前部に設けられ、散水スプレー28が無人散水車両20の前方に向かって散水してもよい。散水スプレー28が無人散水車両20の前部に設けられ、散水スプレー28が無人散水車両20の前方側に向かって散水する場合、散水制御部82は、無人散水車両20が後進するときに散水スプレー28から散水され、無人散水車両20が前進するときに散水スプレー28からの散水が停止されるように、散水スプレー28を制御する。これにより、無人散水車両20が前進するときにタイヤ27がスリップすることが抑制され、無人散水車両20は、円滑に走行することができる。また、障害物センサ25Dが無人散水車両20の前部に設けられている場合、散水スプレー28から噴射された水が無人散水車両20の前部に設けられている障害物センサ25Dに掛かったり障害物センサ25Dの検出エリア250に入り込んだりすることが抑制されるので、障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0088】
図12は、実施形態に係る無人散水車両20Bの動作を説明するための図である。無人散水車両20Bは、キャブを有しないキャブレス散水トラックである。無人散水車両20Bの前部の外形と後部の外形とは、実質的に等しい。無人散水車両20Bは、前進及び後進する。前輪26F及び後輪26Rのそれぞれが操舵輪である。前輪26F及び後輪26Rのそれぞれが駆動輪である。前進時における無人散水車両20Bの走行性能と後進時における無人散水車両20Bの走行性能とは、実質的に同一である。すなわち、前進時における走行装置23の駆動性能、制動性能、及び旋回性能と、後進時における走行装置23の駆動性能、制動性能、及び旋回性能とは、実質的に同一である。例えば、前進時における無人散水車両20Bの最高走行速度と後進時における無人散水車両20Bの最高走行速度とは実質的に同一である。前進時における無人散水車両20Bの最高加速度と後進時における無人散水車両20Bの最高加速度とは実質的に同一である。
【0089】
図12に示す例において、散水スプレー28は、無人散水車両20Bの前部及び後部のそれぞれに設けられる。
図12に示す例において、散水スプレー28は、無人散水車両20Bの後方側の第1部位に設けられる散水スプレー28Rと、無人散水車両20Bの前方側の第3部位に設けられる散水スプレー28Fとを含む。また、障害物センサ25Dが、無人散水車両20Bの前部及び後部のそれぞれに設けられる。
【0090】
散水制御部82は、無人散水車両20Bが進行方向一方側に進行するときの散水スプレー28Rの散水条件が、無人散水車両20Bが進行方向他方側に進行するときの散水スプレー28Rの散水条件とは異なるように、散水スプレー28Rを制御する。また、散水制御部82は、無人散水車両20Bが進行方向他方側に進行するときの散水スプレー28Fの散水条件が、無人散水車両20Bが進行方向一方側に進行するときの散水スプレー28Fの散水条件とは異なるように、散水スプレー28Fを制御する。
【0091】
すなわち、便宜上、無人散水車両20Bが進行方向一方側に進行することを後進とし、無人散水車両20Bが進行方向他方側に進行することを前進とした場合、散水制御部82は、無人散水車両20Bが後進するときの散水スプレー28Rの散水条件が、無人散水車両20Bが前進するときの散水スプレー28Rの散水条件とは異なるように、散水スプレー28Rを制御する。散水制御部82は、無人散水車両20Bが前進するときの散水スプレー28Fの散水条件が、無人散水車両20Bが後進するときの散水スプレー28Fの散水条件とは異なるように、散水スプレー28Fを制御する。
【0092】
図12(A)に示すように、散水制御部82は、無人散水車両20Bが前進するときに散水スプレー28Rから散水され、散水スプレー28Fからの散水が停止されるように、散水スプレー28F及び散水スプレー28Rのそれぞれを制御する。
【0093】
図12(B)に示すように、散水制御部82は、無人散水車両20Bが後進するときに散水スプレー28Fから散水され、散水スプレー28Rからの散水が停止されるように、散水スプレー28F及び散水スプレー28Rのそれぞれを制御する。
【0094】
なお、散水制御部82は、無人散水車両20Bが後進するときに散水スプレー28Fから第1散水量で散水され、無人散水車両20Bが前進するときに散水スプレー28Fから第1散水量よりも少ない第2散水量で散水されるように、散水スプレー28Fを制御してもよい。また、散水スプレー28Fが複数設けられている場合、散水制御部82は、無人散水車両20Bが前進するときに散水を実行する散水スプレー28Fの数が、無人散水車両20Bが後進するときに散水を実行する散水スプレー28Fの数よりも少なくなるように、散水スプレー28Fを制御してもよい。また、散水制御部82は、無人散水車両20Bが後進するときに散水を実行する散水スプレー28Fの設置位置が、無人散水車両20Bが前進するときに散水を実行する散水スプレー28Fの設置位置とは異なるように、散水スプレー28Fを制御してもよい。
【0095】
また、散水制御部82は、無人散水車両20Bが前進するときに散水スプレー28Rから第1散水量で散水され、無人散水車両20Bが後進するときに散水スプレー28Rから第1散水量よりも少ない第2散水量で散水されるように、散水スプレー28Rを制御してもよい。また、散水スプレー28Rが複数設けられている場合、散水制御部82は、無人散水車両20Bが後進するときに散水を実行する散水スプレー28Rの数が、無人散水車両20Bが前進するときに散水を実行する散水スプレー28Rの数よりも少なくなるように、散水スプレー28Rを制御してもよい。また、散水制御部82は、無人散水車両20Bが前進するときに散水を実行する散水スプレー28Rの設置位置が、無人散水車両20Bが後進するときに散水を実行する散水スプレー28Rの設置位置とは異なるように、散水スプレー28Rを制御してもよい。
【0096】
これにより、無人散水車両20Bが前進及び後進するときにタイヤ27がスリップすることが抑制され、無人散水車両20Bは、円滑に走行することができる。
【0097】
また、無人散水車両20Bが前進及び後進するときに、無人散水車両20の前部及び後部のそれぞれに設けられている障害物センサ25Dの検出精度の低下が抑制される。
【0098】
上述の実施形態において、制御装置11の機能及び制御装置21の機能の少なくとも一部が管理装置2に設けられてもよいし、管理装置2の機能の少なくとも一部が制御装置11及び制御装置21の一方又は両方に設けられてもよい。例えば、上述の実施形態において、管理装置2が散水制御部82の機能を有してもよい。制御装置21がコースデータ生成部61の機能及び散水データ生成部62の機能を有してもよい。
【0099】
上述の実施形態において、コースデータ生成部61、散水データ生成部62、及び出力部63のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。走行制御部81及び散水制御部82のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…管理システム、2…管理装置、3…通信システム、3A…無線通信機、3B…無線通信機、3C…無線通信機、4…管制施設、5…積込機、6…破砕機、7…給油機、8…給水機、9…入力装置、10…無人運搬車両、11…制御装置、20…無人散水車両(散水車両)、20B…無人散水車両(散水車両)、21…制御装置、22…車両本体、23…走行装置、24…タンク、25…センサシステム、25A…位置センサ、25B…方位センサ、25C…速度センサ、25D…障害物センサ、26…車輪、26F…前輪、26R…後輪、27…タイヤ、27F…前タイヤ、27R…後タイヤ、28…散水スプレー、28F…散水スプレー、28R…散水スプレー、29…キャブ、31…積込場、32…排土場、33…駐機場、34…給油場、35…給水場、36…走行路、37…交差点、41…通信インタフェース、42…記憶回路、43…処理回路、51…散水条件記憶部、61…コースデータ生成部、62…散水データ生成部、63…出力部、81…走行制御部、82…散水制御部、100…制御システム、102…走行コース、201…コース点、202…走行コース、250…検出エリア。